説明

新規なジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステル並びにそれらの製造方法

【課題】半導体微細加工用等の感光性レジスト原料や、また、すぐれた光学特性、耐熱性、耐湿性等を有する光学材料用樹脂原料等として有用なジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸及びそのエステルを提供する。
【解決手段】テトラシクロドデカ−3−エン−8−カルボン酸又はそのエステルの不飽和結合を溶媒中、酸触媒の存在下に過酸化水素で酸化することによって、目的化合物の一般式(1)で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸及びそのエステルを提供する。


(式中、RおよびR〜Rは、水素原子またはアルキル基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステル並びにそれらの工業的に有利な製造方法に関する。
詳細には、アルキル置換基を有していてもよい、3、4-ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸類又はその一級アルキルエステル類に関し、並びに、テトラシクロドデセンカルボン酸類又はそのエステル類を原料とし、溶媒中、酸触媒の存在下に酸化してジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸類又はそのエステル類を得る製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋脂環式ヒドロキシカルボン酸又はそのエステルは、近年、半導体微細加工用等の感光性レジスト原料や、また、すぐれた光学特性、耐熱性、耐湿性等を有する光学材料用樹脂原料等としてその有用性が期待されている。特に、光学材料用樹脂原料としては、汎用ポリエステル樹脂に比べ、架橋脂環式化合物からなるポリエステルは物性面で高透明性やガラス転移温度が高くなることが期待できる。特に架橋脂環骨格に直接カルボン酸及びアルコールが結合した構造からなるポリエステルでは更なる高いガラス転移温度を有する特性が期待できる。しかしながら、脂環骨格に直接結合したアルコールは2級アルコールであり、カルボン酸との反応(重縮合)性やエステルとのエステル交換反応性が乏しい。その結果、ヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルを原料とするポリエステルは、樹脂中にモノマーや低分子量体が残存してしまい高純度且つ高分子量の脂環式ポリエステルを得ることは困難であった。
【0003】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決しようと鋭意検討を重ねた結果、ヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステル化合物のヒドロキシル基の数に注目し、このような基を分子内に複数有する化合物は高い反応性を示すことが期待できる。又、そのアルキルエステルの場合は、エステル基としては比較的酸に安定であるため、酸性条件下で水酸基やグリコール基を反応させる場合の保護基とすることもできる。
しかしながら、このようなヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルとしては、従来、本発明者らの知る限りにおいて、3,4−ジヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(米国特許第6265131B1公報、米国特許第6294309B1公報)、或いは、3又は4−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8カルボン酸又はそのエステル(特開平11−240851号公報)が知られているにすぎず、ジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はその一級アルキルエステルは知られていない。
更に、そのような化合物の工業的に有利な製造方法も知られていない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6265131号公報
【特許文献2】米国特許第6294309号公報
【特許文献3】特開平11−240851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記要望に応える為になされたものであって、ジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はその一級アルキルエステルを提供することを課題とする。また、入手容易な脂環式モノオレフィンカルボン酸又はその一級アルキルエステルを原料とし、工業的に容易に収率よく、ジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はその一級アルキルエステルを製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
一般式(1)

(式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜6の一級アルキル基を示し、R〜Rは各々独立して水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を示す。)
で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルが提供される。
【0007】
上記一般式(1)において、Rが水素原子である場合、本発明の上記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸である。

一般式(2)
(式中、R〜Rは一般式(1)のそれと同じである。)
【0008】
上記一般式(1)又は一般式(2)において、式中、R〜Rで表される、炭素原子数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基であり、好ましくは、炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基で、より好ましくは、メチル基、エチル基である。最も好ましいR〜Rは水素原子又はメチル基である。
【0009】
従って、上記一般式(1)において、Rが水素原子である場合の、上記一般式(2)で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸としては、
具体的には、例えば、
3,4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸

3,4−ジヒドロキシ−8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸

3,4−ジヒドロキシ−9−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸

更に、
3,4−ジヒドロキシ−8、9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸
3,4−ジヒドロキシ−9、9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸
3,4−ジヒドロキシ−9−イソプロピルーテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸
3,4−ジヒドロキシ−8−メチル−9−エチルーテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸
等があげられる。
【0010】
また、上記一般式(1)において、Rが炭素原子数1〜6の一級アルキル基である場合、本発明の上記一般式(1)で表される化合物は、ジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸エステルである。
前記Rが炭素原子数1〜6の一級アルキル基である場合のRとしては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基等が挙げられるが、これらのうち炭素原子数1〜3の一級アルキル基であるメチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0011】
従って、上記一般式(1)において、Rが炭素原子数1〜6の一級アルキル基である場合、本発明の上記一般式(1)で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸エステル化合物としては、具体的には、例えば、
3,4−ジヒドロキシ−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン

3,4−ジヒドロキシ−8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、

3,4−ジヒドロキシ−9−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン

更に
3,4−ジヒドロキシ−8、9−ジメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン
3,4−ジヒドロキシ−9、9−ジメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン
3,4−ジヒドロキシ−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン
等が挙げられる。
【0012】
本発明のジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルにおいて、その純度は、特に制限はないが、製品としては、通常、ガスクロマトグラフィー分析法において、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。特にポリエステル原料や感光性レジスト原料として用いる場合は、98%以上が好ましい。
このような本発明の一般式(1)で示されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルは、その製造方法については特に制限はないが、しかしながら、工業的に容易に、純度よく製造できる好ましい製造方法としては、下記一般式(3)で表されるテトラシクロドデカ−3−エン−8−カルボン酸又はそのエステルの不飽和結合を溶媒中、酸触媒の存在下に過酸化水素で酸化することにより、本発明の一般式(1)で示されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルを得ることができる。

一般式(3)
(式中、R及びR〜Rは一般式(1)のそれと同じである。)
【0013】
上記製造方法において、原料としてテトラシクロドデカ−3−エン−8−カルボン酸を用いると、対応したジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸が得られ、又、原料としてテトラシクロドデカ−3−エン−8−カルボン酸一級アルキルエステルを用いると、同様に対応したジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸一級アルキルエステルが得られる。
【0014】
例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン−8―カルボン酸を原料とし、溶媒中、酸触媒の存在下に過酸化水素で酸化して3、4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸を得る場合の反応式は、下記の反応式(1)で示される。

反応式(1)
又、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン−8―カルボン酸メチルエステルを原料とし、溶媒中、酸触媒の存在下に過酸化水素で酸化して3、4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸メチルエステルを得る場合の反応式は、下記の反応式(2)で示される。

反応式(2)
【0015】
また、本発明の一般式(1)で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルの好ましい製造法に用いられる上記一般式(3)で表される原料化合物において、式中、R及びR〜Rは一般式1のそれと同じであり、従って、本発明の一般式(3)で表されるテトラシクロドデカ−3−エン−8−カルボン酸又はエステルとしては、具体的には、例えば、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
9−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
8,9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
9−イソプロピル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
8−メチル−9−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
8―メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
9−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
8,9−ジメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
などが挙げられる。
【0016】
本発明の一般式(1)で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルの好ましい製造方法においては、上記一般式(3)で表される原料テトラシクロドデカ−3−エン−8−カルボン酸又はそのエステルとしては、その純度は、特に制限はないが、生産性向上及び副生物抑制などの理由より、通常、ガスクロマトグラフィー分析法において、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が望ましい。
反応において用いられる過酸化水素としては、その性状に特に制限はないが、好ましくは濃度30〜40%程度の過酸化水素水が用いられる。過酸化水素の量としては、原料カルボン酸又はそのエステル1モルに対し、通常、1.0〜1.5モル倍の範囲、好ましくは1.1〜1.3モル倍の範囲で用いられる。
【0017】
また、過酸化水素と共に用いる酸触媒としては、過酸化水素に作用して不飽和結合を酸化しヒドロキシル基を付加しうるものであれば特に制限はないが,例えば、タングステン酸、酸化バナジウム、二酸化セレン、四酸化オスミウムなどが挙げられる。これらのうち、好ましい酸触媒は、タングステン酸である。
酸触媒の使用量は、原料カルボン酸1モル量に対し、通常、1.0〜10モル%の範囲、好ましくは2〜5モル%の範囲である。
反応に際し、用いられる溶媒としては、原料テトラシクロドデセンカルボン酸又はそのエステルを溶解するものであれば、特に、制限はないが、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級飽和脂肪族カルボン酸アルキルエステル類、ベンゼン或いはトルエン、キシレン等のアルキル置換ベンゼン類等の芳香族炭化水素類、又はこれらの混合物が挙げられる。
このような反応溶媒は、原料テトラシクロドデセンカルボン酸又はそのエステル1重量部に対して、通常、1〜10重量部の範囲、好ましくは、3〜6重量部の範囲で用いられる。しかし、反応溶媒の量は、上記に限定されるものではない。
また、酸化反応は、通常、0〜100℃の範囲、好ましくは、40〜60℃の範囲の温度で行われる。
【0018】
反応に際し、その反応操作方法は、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択する事ができる。例えば、原料テトラシクロドデセンカルボン酸又はそのエステルと酸触媒及び溶媒を反応容器に仕込み、不活性ガス中、攪拌下に上記反応温度において過酸化水素水を滴下し反応を完結させる。反応の終点は、液体クロマトグラフィー分析やガスクロマトグラフィー分析等により確認することができる。
このような反応条件の下で、反応は、通常、1〜10時間程度で終了する。
反応終了後、反応終了混合液から目的物を得る精製方法は公知の方法を適宜用いることができる。例えば、反応終了混合液に亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を添加して未反応の過酸化水素を失活させる。その後、酸触媒を濾別し、更に水層を分離して得られた油層を水洗後、反応溶媒等を蒸留等により分離して留出除去した後の蒸留残液として目的物を得ることができる。この粗製品は、必要に応じて、薄層クロマトグラフィーや再結晶等の適宜の方法で更に精製して、精製品とすることもできる。
上記方法によれば、原料テトラシクロドデセンカルボン酸又はそのエステルに対する目的物の収率は、通常、50〜80モル%程度(反応収率80〜90%程度)である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルは脂環骨格に反応性の高い二つのヒドロキシル基(グリコール基)とカルボキシル基又はその一級アルキルエステル基を分子末端に有するので、ポリエステルの原料として用いた場合、容易に高分子量のポリエステルが得られる。更に、光学材料樹脂等の原料として用いた場合、光学特性、耐熱性、透明性、耐湿性の向上が期待できる他、そのグリコール基及び/またはカルボキシル基又はその一級アルキルエステル基の反応性を利用して、例えば、これらの水酸基を他のカルボン酸等を用い公知の方法によりエステル化したり、または、グリコール基にケトン類を反応させたり、その他、水酸基をアクリレート化し、重合させたのち、アルカリ水溶液によりエステル基(COOR基)を加水分解するなど変性することができるので、脂環骨格に各種官能基を持つ化合物を製造するための中間体原料として用いることもできる。或いはまた、そのグリコール基の一方を未反応のヒドロキシル基として残すこともできるので親水基を有するポリエステルを得ることも期待できる。
【0020】
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
【0021】
実施例1
3,4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸の合成
攪拌翼、温度計、窒素流入管、冷却管を備えた1L容量の4つ口フラスコに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸80.0g、酢酸エチル400.0g及びタングステン酸2.9gを仕込んだ。
次いで、溶液を50℃に昇温し、その温度を保持したまま1時間かけて35%過酸化水素水45.7gを滴下した。
滴下終了後、同温度で5時間攪拌を続け反応を完結した。
反応終了後、得られた反応終了混合液に10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液45.7gを滴下して余剰の過酸化水素を失活させた。
次いで、タングステン酸を濾別した後、得られた濾液から水層を分離除去し、目的物を含む油層を得た。
得られた油層に水を加えて水洗した後、水洗後の油層から溶媒を留去し、蒸留残渣として、目的物59.2g(純度81.4%、ゲル浸透クロマトグラフィー法による)を得た。
【0022】
分子量:237(M−H)-(質量分析法 APCI-
1H−NMR分析結果(400MHz、溶媒:DMSO―d6、基準物質:テトラメチルシラン)
1.00-1.36(m、4H)、1.51-2.13(m、8H)、2.32-2.40(m、1H)、2.51-2.59(m、1H)、3.61(m、1H)、4.54(d、2H)、11.93(s、1H)(ppm)
13C−NMR分析結果(400MHz、溶媒:DMSO―d6、基準物質:テトラメチルシラン)
176.18,176.14,175.07,76.19,75.97,75.90,75.58,75.42,75.37,75.32,50.93,50.87,50.52,49.83,49.79,49.60,49.45,46.89,46.71,46.37,46.04,45.93,44.81,44.74,44.69,44.51,43.56,43.48,42.81,42.73,42.02,40.94,40.83,40.73,40.68,39.99,39.93,39.79,39.57,39.37,39.16,38.95,38.86,38.77,38.21,37.89,34.73,34.41,34.31,34.19,32.77,32.32,21.06,20.99,14.04
【0023】
(参考例)
ジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸とモノヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸の自己エステル化反応性の比較(表1)
【0024】
参考実施例1
攪拌翼、温度計、窒素流入管、ディーンスターク冷却管を備えた1L容量の4つ口フラスに、実施例1で得られた3,4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸11.1g、トルエン22.2g及びp−トルエンスルホン酸1.1gを仕込んだ。
その後、この溶液を110℃に加温して、攪拌下に4時間反応を行った。得られた反応液をゲル浸透クロマトグラフィー分析したところ、生成したポリエステルの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で53770であった。
【0025】
比較参考例1
参考例1において、3,4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸に代えて、3又は4−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸を仕込んだ以外は参考例1と同様にして反応を行った。
得られた反応液をゲル浸透クロマトグラフィー分析したところ、生成したポリエステルの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で2280であった。
【0026】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)

(式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜6の一級アルキル基を示し、R〜Rは各々独立して水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を示す。)
で表されるジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステル。
【請求項2】
一般式(2)

(式中、R〜Rは一般式(1)のそれと同じである。)
で表される請求項1記載のジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸。
【請求項3】
3,4−ジヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−8−カルボン酸。
【請求項4】
下記一般式(3)で表されるテトラシクロドデセンカルボン酸又はそのエステルを原料とし、溶媒中、酸触媒の存在下に酸化することを特徴とする、請求項1記載のジヒドロキシテトラシクロドデカンカルボン酸又はそのエステルの製造方法。

一般式(3)
(式中、R及びR〜R は一般式(1)のそれと同じである。)

【公開番号】特開2008−143850(P2008−143850A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333924(P2006−333924)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000243272)本州化学工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】