説明

新規なセファロスポリン誘導体およびその塩

【構成】一般式で示されるセフアロスポリン誘導体およびその塩。


[式中、Rは、保護されていてもよいアミノ基を;Rは、アルキル基、シクロアルキル基等を;Rは、保護されていてもよいカルボキシル基またはカルボキシラト基を;Rは、水素原子または保護されていてもよいアミノ基を;Aは、CHまたはC−X(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)を;B−Dは(置換)アミノ基、(ハロ)アルコキシ基等を;nは0または1を;且つ

はシンもしくはアンチ異性体またはそれらの混合物を示す]
【効果】この化合物は、広範囲な抗菌スペクトルを有し、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌に対して強い抗菌活性を発揮するため、抗菌剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なセファロスポリン誘導体およびその塩、さらに詳しくは、一般式[1]
【化2】


「式中、R1は、保護されていてもよいアミノ基を;R2は、シアノもしくはカルバモイル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニルもしくはシクロアルキル基を;R3は、保護されていてもよいカルボキシル基またはカルボキシラト基を;R4は、水素原子または保護されていてもよいアミノ基を;Aは、CHまたはC-X(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)を;Bは、結合手、メチレンイミノ基または保護されていてもよいヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキレンもしくは-O-低級アルキレン基を;Dは、式
【外4】


(式中、R5は、水素原子またはアミノ保護基を;R6は、水素原子またはカルバモイルもしくはシアノ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリールもしくはシクロアルキル基またはカルバモイル基を示す。)で表わされる基を;また
【外5】


は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基を;
【外6】


は、シンもしくはアンチ異性体またはそれらの混合物を;また、nは、0または1を、それぞれ示す。なお、R4は、チエノ[2,3−b]ピリジン環のピリジン環に一つ以上置換してもよい。」で表わされるセファロスポリン誘導体およびその塩に関する。本発明の目的は、広範囲な抗菌スペクトルを有し、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌に対して強い抗菌活性を発揮するとともに、低毒性で人および動物に対する医薬として有用な新規化合物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】従来、強い抗菌活性を発揮し、広範囲な抗菌スペクトルを有する種々のセファロスポリン系抗生剤が開発されている。しかし、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌に対して強い抗菌活性を発揮する化合物は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下において、広範囲な抗菌スペクトルを有し、特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌に強い抗菌活性を有するセファロスポリン誘導体の開発が切に望まれていた。[参照:MRSA 松本慶蔵編 医薬ジャーナル(1991年発行)]
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため、セファロスポリン誘導体について鋭意研究した結果、セフェム環の3位エキソメチレン基に、置換基を有するチエノ[2,3−b]ピリジニオ基が結合する一般式[1]で表わされる新規なセファロスポリン誘導体およびその塩が、広範囲な抗菌スペクトルを有し、特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌に対して強い抗菌活性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本明細書において、特に、断わらない限り、アルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルまたはウンデシルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC112アルキル基を;低級アルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert−ブチルまたはペンチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC15アルキル基を;アルコキシ基とは、-O-アルキル基を;低級アルキレンおよび-O-低級アルキレン基の低級アルキレン基とは、メチレン、エチレンまたはプロピレン基などのC15アルキレン基を;アルケニル基とは、たとえば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニルまたはヘキセニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC212アルケニル基を;アルキニル基とは、たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルまたはヘキシニルなどの直鎖状もしくは分岐鎖状のC212アルキニル基を;シクロアルキル基とは、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのC36シクロアルキル基を;アリール基とは、フェニルまたはナフチル基を;低級アルキルスルホニルオキシ基とは、低級アルキル-SO3-を、アリールスルホニルオキシとは、アリール-SO3-を、アシルオキシ基とは、たとえば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシもしくはプロピオニルオキシなどのC25アルカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシのようなアリールカルボニルオキシ基またはフロイルオキシ基のような複素環カルボニルオキシ基を;ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を、それぞれ示す。
【0006】以下、一般式[1]の化合物を詳細に説明する。R1、R4およびR5におけるアミノ保護基、Bにおけるヒドロキシル保護基並びにR3における保護されていてもよいカルボキシル基の保護基としては、従来、セフェム系化合物の分野で通常知られているアミノ保護基、ヒドロキシル保護基およびカルボキシル保護基が挙げられ、具体的には、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス[Protective Groups in Organic Synthesis セオドラ・ダブリュー・グリーン(Theodora.W.Green )著、(1981年)ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)]および特公昭60-52755号などに記載されている各保護基が挙げられる。また、一般式[1]の化合物の塩としては、通常知られているアミノ基のような塩基性基またはカルボキシル、スルホもしくはヒドロキシル基などの酸性基における塩または分子内塩が挙げられる。塩基性基における塩としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸もしくは硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、トリクロロ酢酸もしくはトルフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレン―2―スルホン酸もしくはナフタレン―1,5―ジスルホン酸などのスルホン酸類との塩;またはグルタミン酸もしくはアスパラギン酸などの酸性アミノ酸との塩などが、また、酸性基における塩としては、たとえば、ナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムもしくはマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N―ジメチルアニリン、N―メチルピペリジンもしくはN―メチルモルホリンなどの含窒素有機塩基との塩;またはリジンもしくはアルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。さらに、一般式[1]の化合物が分子内において、分子内のチエノピリジニウム基およびこの他にオニウム基を有する場合、該オニウム基は、通常、前述したR3におけるカルボキシラト基と分子内塩を形成していてもよく、ハロゲンアニオン、低級アルキルスルホニルオキシアニオンまたは低級アルキル基もしくはハロゲン原子などで置換されていてもよいアリールスルホニルオキシアニオンなどと塩を形成していてもよい。また、一般式[1]の化合物およびその塩において、異性体(たとえば、光学異性体、幾何異性体、互変異性体など)が存在する場合、本発明は、それらすべての異性体を包含し、また、すべての水和物、溶媒和物および種々の結晶形をも包含するものである。
【0007】つぎに、本発明化合物の製造法について説明する。本発明化合物は、たとえば、つぎに示す製造ルートにしたがって合成することができる。
【式1】


【式2】


【式3】


「式中、R1、R2、R3、R4、A、B、D、
【外7】


およびnは、それぞれ、前記したと同様の意味を有し;R3aは、R3と同様の保護されていてもよいカルボキシル基を;R7は、水素原子またはアミノ保護基を;並びにXは、脱離基を、それぞれ示す。」
7のアミノ保護基としては、R1で説明したと同様のアミノ保護基が挙げられる。さらに、一般式[1a]、[1b]、[2]、[3]、[4]、[5]および[6]の化合物の塩としては、一般式[1]の化合物の塩として説明したと同様の塩が挙げられる。さらにまた、Xの脱離基としては、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ハロゲン原子、低級アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基などが挙げられる。
【0008】また、一般式[4]の化合物またはその塩の反応性誘導体としては、たとえば、トリメチルシラニル、ジメチルシランジイル、イソプロピルジメチルシラニル、トリメトキシシラニル、ジメトキシメチルシラニル、ジメチルメトキシシラニルもしくはジメトキシシランジイルなどの有機シリル基またはジメトキシホスフィニル、1,3,2―ジオキソホスホラン―2―イル、4―メチル―1,3,2―ジオキソホスホラン―2―イルもしくは1,3,2―ジオキソホスホリナン―2―イルなどの有機リン基が反応部位であるアミノ基に結合した化合物などが挙げられる。
【0009】また、一般式[5]の化合物またはその塩の反応性誘導体としては、たとえば、特開昭59-93085号などに記載の酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水物、活性酸アミド、活性エステル、活性チオロエステルもしくは酸アジドまたは一般式[5]の化合物とビルスマイヤー試薬との反応性誘導体などが挙げられる。
【0010】つぎに、一般式[1]の化合物またはその塩の製造法を、前述の製造ルートにしたがって、さらに詳細に説明する。
製造法1一般式[2]の化合物またはその塩を、塩基の存在下もしくは不存在下またはヨウ化ナトリウムもしくはヨウ化カリウムの存在下もしくは不存在下、一般式[3]の化合物またはその塩と反応させることによって、一般式[1]の化合物またはその塩を得ることができる。具体的には、脱離基Xが、アシルオキシ基またはカルバモイルオキシ基である一般式[2]の化合物またはその塩を、たとえば、特公昭39-17936号、同46-13023号および同49-45880号;並びに特開昭48-10077号、同48-68593号、同49-295号、同49-5987号、同49-24992号、同51-95088号、同55-9048号、同56-92290号およびザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー[J.Org.Chem]第32卷、第500〜501頁(1967年)などに記載の方法またはそれらに準じた方法に付すことによって、一般式[1]の化合物またはその塩を得ることができる。また、脱離基Xが、ハロゲン原子、低級アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基である一般式[2]の化合物またはその塩を、塩基もしくは脱酸剤の存在下または不存在下、一般式[3]の化合物またはその塩と反応させることによって、一般式[1]の化合物またはその塩を得ることができる。さらに、脱離基Xがヨウ素原子である一般式[2]の化合物またはその塩を、たとえば、テトラヘドロン・レターズ[Tetrahedron Letters]第22巻、第3915〜3918頁(1981年)および米国特許第4336253号などに記載の方法またはそれに準じた方法に付すことによって、一般式[1]の化合物またはその塩を得ることができる。この反応で用いられる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定されないが、たとえば、水;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびジオキサンなどのエーテル類;塩化メチレンおよびクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;メタノールおよびエタノールなどのアルコール類;N,N―ジメチルホルムアミドおよびN,N―ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素類;酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類;アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類;ギ酸および酢酸などの有機カルボン酸類;ジメチルスルホキシド;1,3―ジメチルイミダゾリジノン;ヘキサメチルリン酸トリアミド;並びにアセトニトリルおよびプロピオニトリルなどのニトリル類などが挙げられ、これらの溶媒を一種または二種以上混合して使用してもよい。この反応で必要に応じて用いられる塩基としては、たとえば、水酸化アルカリ、炭酸水素アルカリ、ジメチルアミノピリジン、2,6―ルチジン、テトラメチルグアニジン、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムヘキサメチルジシリルアミド、水素化ナトリウム、1,8―ジアザビシクロ[5.4.0]―7―ウンデセン、1,5―ジアザビシクロ[4.3.0]―5―ノネンまたはメチルマグネシウムブロミドなどが挙げられる。また、必要に応じて用いられる脱酸剤としては、たとえば、モレキュラーシーブスおよびプロピレンオキシドなどが挙げられる。一般式[3]の化合物またはその塩の使用量は、一般式[2]の化合物またはその塩に対して、1 倍モル以上である。また、必要に応じて用いられる塩基または脱酸剤の使用量は、一般式[2]の化合物またはその塩に対して、それぞれ、0.5〜2倍モルまたは1倍モル以上である。さらに、必要に応じて用いられるヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムの使用量は、一般式[2]の化合物またはその塩に対して、1倍モル以上である。また、反応温度および反応時間は、特に限定されないが、通常、−20℃〜100℃で、5分〜50時間実施すればよい。
【0011】製造法2一般式[4]の化合物もしくはその塩またはそれらの反応性誘導体を、塩基の存在下または不存在下、一般式[5]の化合物もしくはその塩またはそれらの反応性誘導体と反応させることにより、一般式[1]の化合物またはその塩を得ることができる。この反応に用いられる溶媒としては、製造法1で説明したと同様の溶媒が挙げられる。この反応で必要に応じて用いられる塩基としては、たとえば、酢酸ナトリウム、ナトリウム メトキシド、カリウム tert−ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、N―メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ジシクロヘキシルアミン、2,6―ルチジン、テトラメチルグアニジン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムヘキサメチルジシリルアミド、1,8―ジアザビシクロ[5.4.0]―7―ウンデセン、1,5―ジアザビシクロ[4.3.0]―5―ノネンなどの有機塩基;水素化ナトリウム、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸水素カリウムなどの無機塩基などが挙げられる。一般式[5]の化合物を遊離酸またはその塩の状態で使用するには、適切な縮合剤を用いる。このような縮合剤としては、たとえば、N,N´―ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなN,N´―ジ置換カルボジイミドが挙げられる。一般式[5]の化合物もしくはその塩またはそれらの反応性誘導体の使用量は、一般式[4]の化合物もしくはその塩またはそれらの反応性誘導体に対して、0.9 倍モル以上、好ましくは、0.9 〜1.5 倍モルである。また、反応温度および反応時間は、特に限定されないが、通常、−50〜80℃で、5分〜30時間実施すればよい。
【0012】製造法3(1) 異性化一般式[6]の化合物またはその塩を、塩基と反応させることにより、一般式[1b]の化合物またはその塩を得ることができる。この反応は、たとえば、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー[J.Amer.Chem.Soc.]第88巻、第852〜853 頁(1966年)に記載の方法またはそれに準じた方法によって実施することができる。
(2) 酸化・還元また、別法として、一般式[6]の化合物またはその塩を、従来セフェム系化合物の分野で通常用いられている酸化反応に付すことによって、一般式[1a]の化合物またはその塩に誘導し、ついで一般式[1a]の化合物またはその塩を、従来セフェム系化合物の分野で通常用いられている還元反応に付すことにより、一般式[1b]の化合物またはその塩を得ることもできる。これらの酸化・還元反応は、たとえば、ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー[J.Org.Chem]第35巻、第2430〜2433頁(1970年)、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティー[J.Chem.Soc.(C)]第1142〜1151頁(1966年)および特開昭52-48683号などに記載の方法またはそれらに準じた方法によって実施することができる。
【0013】上で述べた製造法における一般式[4]もしくは[5]の化合物またはそれらの塩あるいはそれらの反応性誘導体;および一般式[2]もしくは[6]の化合物または一般式[3]の化合物あるいはその塩において、異性体(たとえば、光学異性体、幾何異性体、互変異性体など)が存在する場合、これらすべての異性体を使用することができ、また、すべての水和物、溶媒和物および種々の結晶形を使用することができる。このようにして得られた本発明の一般式[1]の化合物またはその塩は、抽出、晶出およびカラムクロマトグラフィーなどの常法にしたがって単離精製することができる。
【0014】ついで、本発明の化合物を製造するための原料である一般式[3]の化合物またはその塩;および一般式[4]の化合物またはその塩の製造法について説明する。
(イ). 製造法1における原料化合物である一般式[3]の化合物またはその塩は、公知方法またはそれらに準じた方法にしたがって製造することができるが、具体的には、たとえば、アドヴァンスト・ヘテロサイクリック・ケミストリー[Adv.Heterocyclic Chem.]第21巻、第65〜117頁(1977年)ジョーン・エム・バーカー(John M.Barker)著の総説を参考にして種々の誘導体に導くことが出来る。チエノ[2,3−b]ピリジンは、ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー[J.Org.Chem.]第34巻、第347〜353頁(1969年)、ジャーナル・ヘテロサイクリック・ケミストリー[J.Heterocyclic Chem.]第11巻、第205〜209頁(1974年)、同、第11巻、第355〜361頁(1974年)に記載の方法、3−アミノチエノ[2,3−b]ピリジン誘導体は、ジャーナル・ヘテロサイクリック・ケミストリー[J.Heterocyclic Chem.]第11巻、第975〜977頁(1974年)、同、第21卷、第587〜589頁(1984年)、同、第24卷、第85〜89頁(1987年)、ジャーナル・プラクティシュ・ケミエー[J.Prakt.Chem.]第316卷、第1030〜1036頁(1974年)、ファルマコ・エディ・サイエンス[Farmaco.Ed.Sci.]第31卷、第21〜30頁(1976年)、ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー[J.Org.Chem.]第46巻、第4179〜4182頁(1981年)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー[J.Med.Chem.]第27卷、第1639〜1643頁(1984年)およびドイツ国特許第2241717号などに記載の方法またはそれに準じた方法にしたがって得ることが出来る。また、これらの文献に記載の反応の他に、さらに、通常のアルキル化反応、置換反応、アシル化反応、酸化反応、還元反応などを応用し、さらに他の目的の原料化合物へ誘導することができる。
(ロ). 製造法2および製造法3における原料化合物である一般式[4]および一般式[6]の化合物並びにそれらの塩は、製造法1および自体公知の方法を組み合わせて製造することができる。なお、一般式[4]の化合物またはその塩においては、つぎに示す製造ルートにしたがって製造することができる。
【式4】


「式中、R3、R7、Xおよびnは、それぞれ、前記したと同様の意味を示す。」
【0015】以上、説明した本発明化合物の製造法および原料化合物の製造法において、反応部位以外に、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびメルカプト基などの活性基を有する場合、予めこれらの基を常法にしたがって保護しておき、反応後に常法にしたがって脱離してもよい。また、反応終了後、反応目的物は単離することなく、そのままつぎの反応に用いることもでき、また、再結晶、カラム分離など通常の方法によって単離精製してもよい。
【0016】なお、本発明における具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−{3−(2−フルオロエチル)アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(2−フルオロエトキシ)イミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0017】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(2−フルオロエトキシ)イミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート3−{3−(2−アミノエトキシ)−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド−3−セフェム−4−カルボキシラート3−(5−アミノ−3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−カルバモイルメチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0018】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−シクロプロピルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−シアノメチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−フェニルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−フルオロメトキシイミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0019】3−{3−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(2,2−ジフルオロエトキシ)イミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート3−{7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]}−3−(3−セミカルバジドメチル−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−アリルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0020】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(2−クロロアリル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(2−クロロアリル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(1−シアノシクロブタン−1−イル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(1,1−ジクロロアリル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0021】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(1,1,1−トリフルオロブテ−2−エン−1−イル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−フルオロメトキシイミノアセトアミド]−3−(3−シアノメチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−フルオロシアノメトキシイミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(1−カルバモイルシクロブタン−1−イル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0022】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(1−カルバモイルシクロブタン−1−イル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(2−フルオロエトキシ)イミノアセトアミド]−3−(3−シアノメチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−(3−プロピニル)オキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−フルオロメトキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0023】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−{3−(N−エチルアミノ)−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−メトキシ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0024】7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−フルオロメトキシ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート7−[2−(2−アミノ−5−クロロチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0025】本発明化合物を医薬として用いる場合、通常製剤化に使用される賦形剤、通常の医薬担体および希釈剤などの製剤補助剤を適宜混合してもよく、これらは、常法にしたがって、錠剤、軟もしくは硬カプセル剤、散剤、シロップ剤、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、粉体製剤、坐剤、軟膏剤または皮下、筋肉、静脈内もしくは点滴注射剤などの形態で経口または非経口投与することができる。また、投与方法、投与量および投与回数は、患者の年齢、体重および症状に応じて適宜選択することができ、通常成人に対しては、経口または非経口(たとえば、注射、点滴または直腸部位への投与など)投与により、1日当り0.1 〜100 mg/kgを1回から数回に分割して投与すればよい。
【0026】つぎに、本発明の代表的化合物の抗菌作用について説明する。
試験方法日本化学療法学会標準法[ケモテラピー(CHEMOTHERAPY)第29巻、第1号、第76〜79頁(1981年)]に準じ、増殖用培地で一夜培養した試験菌を106cells/mlに調整し、その1白金耳を、薬剤を含むハート インフュージョン アガー(Heart Infusion agar) 培地(栄研化学社製)に接種し、37℃で20時間培養した後、菌の発育の有無を観察し、菌の発育が阻止された最小濃度をもってMIC(μg/ml)とした。その結果を、表1、表2および表3に示す。なお、表1、表2および表3中の記号は、それぞれ、つぎの意味を示す。
* :β−ラクタマーゼ産生菌**:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
【0027】被検化合物: 実施例番号を記載して引用した。
対照化合物化合物A: 7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(2−アミノ−5−チエノ[3,2−c]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート化合物B: 7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(2−メチル−5−チエノ[3,2−c]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート
【0028】
【表1】


【0029】
【表2】


【0030】
【表3】


【0031】以上の試験結果から、本発明の一般式[1]の化合物またはその塩は、優れた抗菌作用を発揮することが容易に理解できる。
【0032】
【発明の効果】したがって、本発明化合物は、抗菌剤として極めて有用な化合物であることが明らかである。
【0033】
【実施例】つぎに、本発明化合物の製造法を具体的に参考例および実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける担体は、キーゼルゲル60、アート.7734(Kieselgel 60、Art.7734)(メルク社製)を、さらに逆相カラムクロマトグラフィーにおける担体は、LC-SORB SP-B-ODS 100G(ケムコ社製)を、それぞれ用いた。また、溶離液における混合比は、すべて容量比である。さらに、以下に使用される略号は、それぞれ、つぎの意味を有する。
Ph;フェニル基、 Tr;トリフェニルメチル基、t-Bu;tert-ブチル基、 Boc;tert-ブトキシカルボニル、PMB;p-メトキシベンジル基、PMBZ;p-メトキシベンジルオキシカルボニル基さらにまた、IRの波数は、カルボニルの吸収を示し、表4、表5、表8、表9、表10、表11、表12および表13中のIRは、それぞれ、KBr法による測定値を示す。
【0034】参考例13−アミノチエノ[2,3−b]ピリジン5gをN,N−ジメチルホルムアミド20mlに溶解させ、これにジ−tert−ブチルジカーボネート10gを加え、室温で6時間攪拌する。反応液に水100mlおよび酢酸エチル100mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7.0に調整し、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物にジイソプロピルエーテル50mlを加え、析出晶を濾取すれば、融点152〜154Cを示す3−tert−ブトキシカルボニルアミノチエノ[2,3−b]ピリジン6.5gを得る。
IR(KBr)cm-1;1715NMR(CDCl3)δ値;1.56(9H,s),6.90(1H,bs),7.33(1H,dd,J=5Hz,J=8Hz)
7.98(1H,dd,J=1Hz,J=8Hz),8.65(1H,dd,J=1Hz,J=5Hz)
【0035】参考例2(1) 3−アミノチエノ[2,3−b]ピリジン1.0gを塩化メチレン15mlに溶解させ、これに氷冷下、トリフルオロ酢酸無水物0.94mlを滴下し、同温度で30分間攪拌する。得られた混合物を、水20mlに、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7.0に調整しながら投入し、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物にジイソプロピルエーテル10mlを加え、析出晶を濾取すれば、融点110〜112Cを示す3−トリフルオロアセチルアミノチエノ[2,3−b]ピリジン1.15gを得る。
IR(KBr)cm-1;1725,1705NMR(CDCl3)δ値; 7.31(1H,dd,J=5Hz,J=8Hz),7.92(1H,s),7.98(1H,dd,J=2Hz,J=8Hz),8.60(1H,dd,J=2Hz,J=5Hz),8.88(1H,bs)
【0036】(2) 3−トリフルオロアセチルアミノチエノ[2,3−b]ピリジン1.1gを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン5mlおよびテトラヒドロフラン5mlに溶解させ、これに水素化ナトリウム(純度60%)0.18gを分割添加する。室温で30分間攪拌した後、1−ブロモ−2−フルオロエタン0.57gを加え、80℃で3時間攪拌する。反応液を冷却した後、水20mlおよび塩化メチレン20mlの混合溶媒に投入し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した後、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液; ヘキサン: 酢酸エチル=10:1)で精製し、ヘキサ ン10mlを加えた後、析出晶を濾取すれば、3−[N−(2−フルオロエチル)トリフルオロアセチルアミノ]チエノ[2,3−b]ピリジン0.47gを得る。
IR(KBr)cm-1; 1705NMR(CDCl3)δ値; 4.02(1H,m),4.05-4.50(2H,m),5.06(1H,m),7.41(1H,dd,J=5Hz,J=8Hz),7.66(1H,s),7.96(1H,dd,J=2Hz,J=8Hz),8.68(1H,dd,J=2Hz,J=5Hz)
【0037】参考例3(1) 3−アミノチエノ[2,3−b]ピリジン1.0gおよびシクロプロピルアミン塩酸塩3.1gをエタノール10mlに溶解させ、1時間加熱還流する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物に水20mlおよび酢酸エチル20mlを加えて溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した後、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製すれば、3−シクロプロピルアミノチエノ[2,3−b]ピリジン0.6gを得る。
NMR(CDCl3)δ値; 0.53-0.82(4H,m),2.60(1H,m),3.60(1H,m),6.45(1H,s),7.23(1H,dd,J=5Hz,J=8Hz),7.80(1H,dd,J=2Hz,J=8Hz),8.56(1H,dd,J=2Hz,J=5Hz)
【0038】(2) 参考例2−(1)と同様にして、3−シクロプロピルアミノチエノ[2,3−b]ピリジンから3−(N−シクロプロピルトリフルオロアセチルアミノ)チエノ[2,3−b]ピリジンを得る。
IR(KBr)cm-1; 1710NMR(CDCl3)δ値; 0.40-1.10(4H,m),3.45(1H,m),7.30-7.50(2H,m),7.93(1H,dd,J=2Hz,J=8Hz),8.66(1H,dd,J=2Hz,J=5Hz)
【0039】参考例43−ヒドロキシチエノ[2,3−b]ピリジン1gをN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解させ、これに氷冷下、カリウム tert−ブトキシド0.78gを添加し、10分間攪拌する。ついでp−メトキシベンジルオキシカルボニルアミノエチルブロミド1.9gを加え、室温で2時間攪拌する。反応液を水50mlおよび酢酸エチル50mlの混合溶媒に投入し、2N塩酸でpH7.0に調整した後、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製すれば、融点92〜93Cを示す3−[2−(p−メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシ]チエノ[2,3−b]ピリジン1.0gを得る。
IR(KBr)cm-1;1710NMR(CDCl3)δ値;3.35〜3.60(2H,m),3.77(3H,s),4.20(2H,t,J=6Hz),5.02(2H,s),6.92(1H,s),6.93(1H,d,J=10Hz),7.27〜7.57(4H,m),8.06(1H,dd,J=2Hz,J=8Hz),8.65(1H,dd,J=2Hz,J=5Hz)
【0040】参考例5(1) 3−ホルミルチエノ[2,3−b]ピリジン0.8gをメタノール10mlに懸濁させ、これに氷冷下、ニトロメタン0.8mlおよび28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.2mlを順次添加し、さらに室温で1時間攪拌する。反応液に室温で酢酸0.1mlを添加した後、酢酸エチル20mlおよび水20mlを加え、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製すれば、3−(1−ヒドロキシ−2−ニトロエチル)チエノ[2,3−b]ピリジン0.82gを得る。
NMR(CDCl3)δ値;3.50(1H,bs),4.60〜5.00(2H,m),5.84(1H,m),7.32(1H,dd,J=4Hz,J=8Hz),7.60(1H,s),8.22(1H,dd,J=1Hz,J=8Hz),8.52(1H,dd,J=1Hz,J=4Hz)
【0041】(2) 3−(1−ヒドロキシ−2−ニトロエチル)チエノ[2,3−b]ピリジン0.42gを酢酸5mlに溶解させ、これに5%パラジウム−炭素0.1gを加え、50℃で3時間水素添加する。触媒を濾去した後、減圧下に溶媒を留去すれば、粗3−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)チエノ[2,3−b]ピリジン0.4gを得る。これをN,N−ジメチルホルムアミド4mlに溶解させ、ジ−tert−ブチルジカーボネート0.56gを加え、室温で30分間攪拌する。反応液に水20mlおよび酢酸エチル20mlを加え、有機層を分取し、水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製すれば、3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チエノ[2,3−b]ピリジン0.44gを得る。
IR(neat)cm-1;1695NMR(CDCl3)δ値;1.39(9H,s),3.27〜3.63(2H,m),4.60(1H,bs),5.12(1H,m),5.50(1H,bt,J=6Hz),7.21(1H,dd,J=4Hz,J=8Hz),7.47(1H,s),8.19(1H,dd,J=1Hz,J=8Hz),8.43(1H,dd,J=1Hz,J=4Hz)
【0042】参考例63−ホルミルチエノ[2,3−b]ピリジン0.3gをメタノール5mlに溶解させ、室温でセミカルバジド塩酸塩1.25gを加え、同温度で一夜攪拌する。反応液を水10mlで希釈した後、氷冷下、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH10.0に調整し、析出晶を濾取すれば、(チエノ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ヒドラゾン0.37gを得る。
IR(KBr)cm-1;1685NMR(DMSO-d6)δ値;6.40(2H,bs),7.48(1H,dd,J=4Hz,J=8Hz),8.11(2H,s),8.60(1H,d,J=4Hz),8.91(1H,d,J=8Hz)
【0043】参考例7(1) 2−クロロ−3−シアノ−5−ニトロピリジン3.0g、チオグリコール酸メチル1.46gおよびN,N−ジメチルホルムアミド15mlの溶液に氷冷下、トリエチルアミン2.28mlを10分間要して滴下する。同温度で15分間撹拌した後、酢酸エチル50mlおよび水50mlを加え、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物にジイソプロピルエーテル20mlを加え、析出晶を濾取し乾燥すれば、3−シアノ−2−メトキシカルボニルメチルチオ−5−ニトロピリジン3.8gを得る。
IR(KBr)cm-1;1750NMR(CDCl3)δ値;3.80(3H,s),4.17(2H,s),8.66(1H,d,J=2Hz),9.39(1H,d,J=2Hz)
【0044】(2) 3−シアノ−2−メトキシカルボニルメチルチオ−5−ニトロピリジン3.7g、エタノール37mlおよびテトラヒドロフラン10mlの懸濁液に鉄粉3.24gを加え、30〜50℃で濃塩酸14.5mlを15分間要して滴下する。同温度で10分間撹拌した後、不溶物を濾去し、減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物を酢酸エチル50mlおよび水50mlの混合溶媒に溶解させ、炭酸カリウムでpH8.0に調整する。析出物をセライト上で濾去した後、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄する。無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去すれば、5−アミノ−3−シアノ−2−メトキシカルボニルメチルチオピリジン2.94gを得る。
IR(KBr)cm-1;1735NMR(CDCl3)δ値;3.75(3H,s),3.97(2H,s),4.10(2H,bs),7.24(1H,d,J=3Hz),8.15(1H,d,J=3Hz)
【0045】(3) 5−アミノ−3−シアノ−2−メトキシカルボニルメチルチオピリジン2.9gをN,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶解させ、氷冷下、カリウム tert-ブトキシド50mgを加え、同温度でさらに15分間撹拌する。反応液に酢酸エチル50mlおよび水50mlを加え、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物にジエチルエーテル10mlを加え、析出晶を濾取し、乾燥すれば、3,5−ジアミノ−2−メトキシカルボニルチエノ[2,3−b]ピリジン2.75gを得る。
IR(KBr)cm-1;1675NMR(DMSO-d6)δ値;3.81(3H,s),5.38(2H,bs),7.05(2H,bs),7.57(1H,d,J=3Hz),8.22(1H,d,J=3Hz)
【0046】(4) 3,5−ジアミノ−2−メトキシカルボニルチエノ[2,3−b]ピリジン2.23gをエタノール20mlに懸濁させ、2N水酸化カリウム水溶液10mlを加え、60℃で2時間攪拌する。反応液を室温まで冷却し、2N塩酸5.00mlを加え、減圧下に溶媒を留去し、乾固する。残留固形物にエタノール20mlおよび酢酸1.14mlを加え、2時間加熱還流する。減圧下に溶媒を留去した後、反応液に水30mlを加え、25%アンモニア水でpH9.0に調整し、酢酸エチル30mlで抽出する。抽出液を、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル)で精製すれば、3,5−ジアミノチエノ[2,3−b]ピリジン0.6gを得る。
NMR(CDCl3)δ値;4.14(4H,bs),6.28(1H,s),7.30(1H,d,J=3Hz),8.13(1H,d,J=3Hz)
【0047】参考例8〜19参考例1〜7と同様にして、表4および表5の化合物を得る。なお、表4および表5における-B-DおよびR4は、それぞれ、次の式
【化3】


で表わされる化合物の置換基を示す。また、R4中における番号はチエノ[2,3−b]ピリジン環への置換位置を示す。
【0048】
【表4】


【0049】
【表5】


【0050】参考例20(1) (Z)−2−ヒドロキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステル4.0gをジメチルスルホキシド20mlに溶解させ、これに粉砕炭酸カリウム1.9gを加え、室温で10分間攪拌する。ついで氷冷下にブロモフルオロ酢酸エチルエステル1.4gを加えた後、室温で2時間攪拌する。反応液を酢酸エチル70mlおよび水70mlの混合溶媒に投入し、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン:酢酸エチル=20:1)で精製し、さらにジイソプロピルエーテルで結晶化すれば、(Z)−2−エトキシカルボニルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステル4.5gを得る。
IR(KBr)cm-1;1750
【0051】(2) (Z)−2−エトキシカルボニルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステル5.0gをアニソール50mlに溶解させ、これに氷冷下、トリフルオロ酢酸25mlを加え、同温度で1時間攪拌する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物を酢酸エチル50mlに溶解させ、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を留去した後、得られた残留物にジイソプロピルエーテル30mlを投入し、析出晶を濾取し、乾燥すれば、(Z)−2−エトキシカルボニルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸3.1gを得る。
IR(KBr)cm-1;1765
【0052】(3) (Z)−2−エトキシカルボニルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸3.0gをエタノール20mlに溶解させ、これに氷冷下、25%アンモニア水6mlを加えた後、室温で1時間攪拌する。析出晶を濾取し、エタノール5mlで洗浄する。得られた結晶を酢酸エチル10ml、テトラヒドロフラン20mlおよび水10mlの混合溶媒に懸濁させ、氷冷下に2N硫酸5mlを加えた後、室温で1時間攪拌する。これに酢酸エチル50mlおよび水30mlを加えて希釈した後、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧下に溶媒を留去する。得られた粗生成物にジイソプロピルエーテル20mlを加え、析出晶を濾取し乾燥すれば、(Z)−2−カルバモイルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸2.6gを得る。
IR(KBr)cm-1;1705
【0053】(4) (Z)−2−カルバモイルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸2.5gをテトラヒドロフラン30mlに溶解させ、これに氷冷下、ジフェニルジアゾメタンの酢酸エチル溶液(1mmol/ml)5.5mlを滴下する。ついで室温で1時間撹拌した後、酢酸0.5mlを加え同温度で10分間撹拌する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物を酢酸エチル50mlおよび水50mlの混合溶液に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウムでpH7.0に調整した後、有機層を分取する。分取した有機層を、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン:酢酸エチル=5:1)で精製し、さらにジイソプロピルエーテルおよびヘキサンの混合液で結晶化すれば、(Z)−2−カルバモイルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステル3.1gを得る。
IR(KBr)cm-1;1745,1710
【0054】(5) (Z)−2−カルバモイルフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステル3.0gを塩化メチレン30mlに溶解させ、これに氷冷下、ピリジン1.2mlおよびトリフルオロ酢酸無水物1.1mlを順次添加し、同温度で1時間撹拌する。反応液を水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン)で精製すれば、(Z)−2−シアノフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステル1.9gを得る。
IR(KBr)cm-1;1745
【0055】(6) (2)と同様にして、(Z)−2−シアノフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸ジフェニルメチルエステルから(Z)−2−シアノフルオロメトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)酢酸を得る。
IR(KBr)cm-1; 1735,1590NMR(DMSO-d6)δ値; 6.60(1H,s),7.16(1H,s),7.20-7.50(16H,m),9.00(1H,s)
【0056】実施例1P-メトキシベンジル=3−ヨ−ドメチル−7−[(Z)−2−メトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート1.0g、3−tert−ブトキシカルボニルアミノチエノ[2,3−b]ピリジン0.34gおよびN,N−ジメチルホルムアミド5mlの混合溶液を室温で6時間攪拌する。反応液にジイソプロピルエーテル50mlを加え、デカンテーションで油状物を分離した後、ジエチルエーテル30mlを加え、析出物を濾取し、減圧下に乾燥すれば、P-メトキシベンジル=3−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−7−[(Z)−2−メトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート ヨージド1.05g を得る。
IR(KBr)cm-1; 1790,1720,1660
【0057】実施例2〜29実施例1と同様にして、表6および表7の化合物を得る。なお、表6および表7におけるA、R2、-B-DおよびR4は、それぞれ、つぎの式
【化4】


で表わされる化合物の置換基を示す。また、R4中における番号は、チエノ[2,3−b]ピリジン環への置換位置を示す。
【0058】
【表6】


【0059】
【表7】


【0060】実施例30実施例1と同様にして、P-メトキシベンジル=3−{3−[N−(2−フルオロエチル)]トリフルオロアセチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−7−[(Z)−2−メトキシイミノ−2−(5−クロロ−2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート ヨージドを得る。
IR(KBr)cm-1; 1790,1720,1670
【0061】実施例31P-メトキシベンジル=3−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−7−[(Z)−2−メトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート ヨージド0.5gをアニソール5mlに懸濁させ、これに氷冷下、トリフルオロ酢酸5mlを加え、同温度で30分間さらに室温で1時 間攪拌する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物にジエチルエーテル20mlを加え、析出物を濾取する。アセトニトリル2mlおよび水10mlを加えて溶解させ、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した後、減圧下に溶媒を約半量ま で濃縮する。濃縮液を逆相カラムクロマトグラフィー(溶離液;5%アセトニトリル水)で精製すれば、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート0.02gを得る。
IR(KBr)cm-1;1775,1665,1610NMR(DMSO-d6)δ値;3.20-3.70(2H,m),3.80(3H,s),5.00-5.82(4H,m),6.58(1H,s),6.71(1H,s),7.12(4H,bs),8.05(1H,m),8.91(1H,m),9.25-9.53(2H,m)
【0062】実施例32P-メトキシベンジル=3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−7−[(Z)−2−メトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート ヨージド0.53gをアニソール5mlに懸濁させ、これに氷冷下、トリフルオロ酢酸5mlを加え、同温度で1時間攪拌する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物にジエチルエーテル20mlを加え、析出物を濾取する。これをテトラヒドロフラン5mlおよび50%ギ酸5mlの混合溶媒に溶解させ、50℃で1.5時間攪拌する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物にジエチルエーテル20mlを加え、析出物を濾取する。アセトニトリル2mlおよび水10mlを加えて溶解させ、飽和炭 酸水素ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した後、減圧下に溶媒を約半量まで濃縮 する。濃縮液を、逆相カラムクロマトグラフィー(溶離液;5%アセトニトリル水)で精製すれば、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−ホルミルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート0.1gを得る。
IR(KBr)cm-1;1770,1670,1615NMR(DMSO-d6)δ値;3.20-3.50(2H,m),3.85(3H,s),5.05(1H,d,J=5Hz),5.45-5.85(3H,m),6.70(1H,s),7.12(2H,bs),8.00-8.40(3H,m),8.95-9.25(2H,m),9.45(1H,d,J=8Hz),10.64(1H,s)
【0063】実施例33(1) P-メトキシベンジル=3−{3−[N−(2−フルオロエチル)]トリフルオロアセチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−7−[(Z)−2−メトキシイミノ−2−(2−トリフェニルメチルアミノチアゾール−4−イル)アセトアミド]−3−セフェム−4−カルボキシラート ヨージドを実施例32と同様に反応させ、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−{3−[N−(2−フルオロエチル)]トリフルオロアセチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラートを得る。
IR(KBr)cm-1; 1775,1710,1675,1615
【0064】(2) 7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−{3−[N−(2−フルオロエチル)]トリフルオロアセチルアミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート70mgをアセトン0.5mlおよび水2mlの混合溶媒に溶解させ、炭酸水素ナトリウム9mgを加え、室温で3時間攪拌する。反応液を減圧下に約半量までに濃縮した後、逆相カラムクロマトグラフィー(溶離液;20%アセトニトリル水)で精製すれば、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−{3−(2−フルオロエチル)アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ}メチル−3−セフェム−4−カルボキシラート30mgを得る。
IR(KBr)cm-1;1770,1665,1615NMR(DMSO-d6)δ値; 3.15-3.90(6H,m),4.10-4.35(2H,m),4.95-5.30(2H,m),5.45-5.80(3H,m),6.54(1H,s),6.70(1H,s),7.10(3H,bs),8.10(1H,m),8.95(1H,m),9.30-9.55(2H,m)
【0065】実施例34〜61実施例31〜33と同様にして、表8、表9、表10、表11、表12および表13の化合物を得る。なお、表8、表9、表10、表11、表12および表13におけるR2,-B-DおよびR4は、それぞれ、つぎの式
【化5】


で表わされる化合物の置換基を示す。また、R4における番号はチエノ[2,3−b]ピリジン環への置換位置を示す。
【0066】
【表8】


【0067】
【表9】


【0068】
【表10】


【0069】
【表11】


【0070】
【表12】


【0071】
【表13】


【0072】実施例62実施例31〜33と同様にして、7−[2−(2−アミノ−5−クロロチアゾール−4−イル)−(Z)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−(3−アミノ−7−チエノ[2,3−b]ピリジニオ)メチル−3−セフェム−4−カルボキシラートを得る。
IR(KBr)cm-1;1775,1670,1615NMR(DMSO-d6)δ値; 3.35-3.60(2H,m),3.87(3H,s),5.05(1H,d,J=5Hz),5.40-5.85(3H,m),6.56(1H,s),7.32(2H,s),8.06(1H,m),8.88(1H,m),9.25-9.50(2H,m)

【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)一般式
【化1】


「式中、R1は、保護されていてもよいアミノ基を;R2は、シアノもしくはカルバモイル基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニルもしくはシクロアルキル基を;R3は、保護されていてもよいカルボキシル基またはカルボキシラト基を;R4は、水素原子または保護されていてもよいアミノ基を;Aは、CHまたはC-X(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)を;Bは、結合手、メチレンイミノ基または保護されていてもよいヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキレンもしくは-O-低級アルキレン基を;Dは、式
【外1】


(式中、R5は、水素原子またはアミノ保護基を;R6は、水素原子またはカルバモイルもしくはシアノ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリールもしくはシクロアルキル基またはカルバモイル基を示す。)で表わされる基を;また
【外2】


は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基を;
【外3】


は、シンもしくはアンチ異性体またはそれらの混合物を;また、nは、0または1を、それぞれ示す。なお、R4は、チエノ[2,3−b]ピリジン環のピリジン環に一つ以上置換してもよい。」で表わされるセファロスポリン誘導体およびその塩。