新規なテトミラスト結晶、該結晶の製造方法及び医薬組成物
【課題】本発明は、工業的に大量生産しやすいテトミラスト結晶を提供する。
【解決手段】(1)図2と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト水和物結晶、(2)図4と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物A形結晶、(3)図8と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物C形結晶、(4)図10と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラストアセトニトリル和物結晶及び(5)前記テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶との混合物は、熱及び湿度に対して安定で、かつ、錠剤の崩壊性及び溶出性の点において優れており、医薬組成物として好適に使用される。
【解決手段】(1)図2と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト水和物結晶、(2)図4と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物A形結晶、(3)図8と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物C形結晶、(4)図10と実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラストアセトニトリル和物結晶及び(5)前記テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶との混合物は、熱及び湿度に対して安定で、かつ、錠剤の崩壊性及び溶出性の点において優れており、医薬組成物として好適に使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なテトミラスト結晶、該結晶の製造方法及び医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール(又は6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸)は、公知の化合物であり、テトミラストと称されている。このテトミラストは、活性酸素抑制作用、サイトカイン産生抑制作用、接着抑制作用等を有し、潰瘍性大腸炎、クローン病、喘息等の治療に有用である(特許文献1及び2)。また、テトミラストは、慢性閉塞性肺疾患治療薬としても有用である(特許文献3)。さらに、テトミラスト結晶は、熱及び湿気に対して安定で、かつ、錠剤の崩壊性及び溶出性の点において優れている。
【0003】
特許文献1の実施例371によれば、テトミラスト無水物結晶(以下「テトミラスト無水物B形結晶」という)は、例えば、3,4−ジエトキシチオベンズアミドと2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸とを反応させ、得られるテトミラスト粗製物をエタノールにて再結晶することにより製造されている。
【0004】
また、非特許文献1によれば、テトミラスト無水物B形結晶は、3,4−ジエトキシチオベンズアミドと2−(2−ブロモアセチル)−6−ピリジンカルボン酸とを反応させ、得られたメチル 6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを加水分解し、得られるテトミラスト粗製物を酢酸エチルにて再結晶することにより製造されている。
【0005】
しかしながら、テトミラスト無水物B形結晶は目詰まりを起こす性質を有しているため、従来の再結晶法では、テトミラスト無水物B形結晶製造の際、濾過の作業効率が著しく悪くなり、それ故、テトミラスト無水物B形結晶を工業的に大量生産することが困難である。そのため、工業的大量生産に有利な新規のテトミラスト結晶の開発が切望されている。
【特許文献1】特開平5−51318号公報([0015]段落、実施例371)
【特許文献2】特開平10−152437号公報([0024]段落、[0029]段落)
【特許文献3】特開2003−104890号公報
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry, 1995, 38, p353-358
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、工業的に大量生産しやすい新規のテトミラスト結晶を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねてきた。その結果、テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中攪拌することにより、工業的に大量生産可能な新規テトミラスト結晶が得られること、及び該テトミラスト結晶をさらに適当な溶媒を用いて再結晶又は特定の溶媒の懸濁下に加熱することにより、種々の物性を有するテトミラスト結晶が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記のテトミラスト結晶、該結晶の製造方法及び医薬組成物に係る。
1. 図2に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト水和物結晶。
2. テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中で攪拌することによりテトミラスト水和物結晶を製造する方法。
3. 図4に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを
有するテトミラスト無水物A形結晶。
4. テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
5. 溶媒が、エタノール、アセトン又はアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)である上記項4に記載の方法。
6. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
7. 溶媒が、メタノール、エタノール、アセトン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒である上記項6に記載の方法。
8. 図8に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物C形結晶。
9. テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
10. 溶媒が、メタノール又はエタノールである上記項9に記載の方法。
11. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
12. 溶媒が、メタノール又はエタノールである上記項11に記載の方法。
13. 図10に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラストアセトニトリル和物結晶。
14. テトミラスト無水物B形結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
15. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物C形結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
16. 上記項3に記載のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物。
17. テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
18. 溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である上記項17に記載の方法。
19. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
20. 溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である上記項19に記載の方法。
21. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を含有する医薬組成物。
22. 消化器性潰瘍に対する予防及び/又は治療剤;心臓虚血疾患に対する予防及び/又は治療剤;脳血管疾患に対する予防及び/又は治療剤;移植・微小循環不全に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;或いは、ベーチェット病、皮膚血管炎、潰瘍性大腸炎、悪性リウマチ、関節炎、動脈硬化又は糖尿病の予防及び/又は治療剤である上記項21に記載の医薬組成物。
23. 慢性関節リウマチ、エンドトキシンショック、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、熱傷、喘息、心筋梗塞、ウィルス性心筋炎、慢性心不全、虚血再灌流障害、多臓器不全、炎症性腸疾患、自己免疫疾患、モノクローナルB細胞異常症、ポリクローナルB細胞異常症、心房粘液腫、カストルマン症候群、原発性糸球体腎炎、メサンギュウム増殖性腎炎、癌カヘキシー、レンネルトリンパ腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、エイズに伴うカポシ肉腫、閉経後骨粗しょう症、敗血症、炎症性疾患又は慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤、或いは、全身性炎症反応症候群(SIRS)から臓器不全への移行、癌転移又は移植時による拒絶反応の抑制剤である上記項21に記載の医薬組成物。
24. 炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である上記項23に記載の医薬組成物。
25. 慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤である上記項23に記載の医薬組成物。
【0009】
本発明において、新規テトミラスト結晶とは、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶、テトミラストアセトニトリル和物結晶及びテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物をいう。
【0010】
また、本発明において、単にテトミラスト結晶とは、新規テトミラスト結晶と公知のテトミラスト結晶であるテトミラスト無水物B形結晶との総称をいう。
【0011】
テトミラスト水和物結晶
本発明のテトミラスト水和物結晶は、0.5〜3水和物結晶を包含する。
本発明のテトミラスト水和物結晶のうち、1水和物結晶は、下記(1)〜(3)に示す理化学的性質を有する。
【0012】
(1)図1に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、189℃付近に吸熱ピークを有し、102℃付近に幅広いピークを示すことが特徴的である。
【0013】
(2)図2に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=10.6°、12.9°、21.1°、22.3°及び25.0°において特徴的なピークを有する。
【0014】
(3)IR(KBr)スペクトルにおいて、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0015】
テトミラスト水和物結晶の製造方法
本発明のテトミラスト水和物結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は以下に示す方法で得られるテトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中で攪拌することにより製造することができる。より具体的には、テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒に懸濁し、得られる懸濁液を攪拌することにより製造することができる。
【0016】
含水溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチルメチルケトン等の有機溶媒と水との混合溶媒であり、例えばメタノール−水(メタノール含有量10〜80容量%)、エタノール−水(エタノール含有量10〜70容量%)、イソプロパノール−水(イソプロパノール含有量10〜60容量%)、アセトン−水(アセトン含有量10〜80容量%)、エチルメチルケトン−水(エチルメチルケトン含有量10〜80容量%)等を例示できる。この中でも特に、アセトン−水(アセトン含有量10〜60容量%)、エチルメチルケトン−水(エチルメチルケトン含有量10〜60容量%)等が好ましく、アセトン−水(アセトン含有量35〜55%)がより好ましい。
【0017】
含水溶媒の使用量は限定的ではないが、テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、少なくとも10ml、好ましくは10〜50mlである。
【0018】
攪拌温度は、特に限定されないが、10〜35℃程度が好ましく、20〜30℃程度がより好ましい。攪拌時間は、5分〜3時間程度が好ましく、30〜90分程度がより好ましい。
【0019】
また、テトミラスト無水物B形結晶からテトミラスト水和物結晶を製造するに際し、上記方法により別途製造したテトミラスト水和物結晶を種晶として懸濁液内に存在させることが好ましい。
【0020】
種晶を加えるタイミングは、特に限定されるものではないが、攪拌前又は攪拌中が望ましい。
【0021】
得られたテトミラスト水和物結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0022】
このようにして得られたテトミラスト水和物結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0023】
テトミラスト無水物B形結晶
テトミラスト無水物B形結晶は、下記(4)〜(6)に示す理化学的性質を有する。
【0024】
(4)図5に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、177℃付近及び188℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0025】
(5)図6に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=4.1°、8.1°、11.9°、16.1°及び24.2°に特徴的なピークを有する。
【0026】
(6)IR(KBr)スペクトルにおいて、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0027】
テトミラスト無水物B形結晶は、例えば特許文献1又は非特許文献1に記載の方法によって製造することができる。
【0028】
また、テトミラスト無水物B形結晶は、新規テトミラスト結晶を加熱還流下に攪拌しながら、完全に溶媒に溶解させ、次いで得られた溶液を放冷すればよい。ここで新規テトミラスト結晶は、一種単独又は二種以上混合して使用できる。
【0029】
溶媒としては、例えば、イソプロパノール、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。
【0030】
溶媒の使用量は、新規テトミラスト結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、イソプロパノールの場合は新規テトミラスト結晶1gに対して70〜600mlが好ましく、酢酸エチルの場合には、新規テトミラスト結晶1gに対して30〜300mlが好ましい。イソプロパノール及び酢酸エチルの混合溶媒を用いる場合は、イソプロパノールと酢酸エチルとを任意の割合で混合し、新規テトミラスト結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができるように使用量を調整すればよい。
【0031】
得られた溶液を5分〜1時間程度かけて30℃付近まで冷却又は自然放冷することにより、テトミラスト無水物B形結晶が得られる。さらに、放冷後の懸濁液を10℃以下、好ましくは0〜10℃付近にて冷却してもよい。これにより、より収率良く、テトミラスト無水物B形結晶が得られる。
【0032】
また、テトミラスト無水物B形結晶は、新規テトミラスト結晶に塩基性化合物を作用させることにより塩を形成させ、これを適当な含水溶媒中に溶解させて、得られる溶液に適当な酸を加えることによっても得られる。
【0033】
塩基性化合物としては、例えば、炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。この中でも特に、アルカリ金属水酸化物が好ましい。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を例示できる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を例示できる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等を例示できる。これらは、一種又は二種以上で用いられる。この中でも特に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。
【0034】
塩基性化合物の添加量は、特に限定されないが、処理されるべき新規テトミラスト結晶1当量に対し、通常1当量以上、好ましくは1〜1.5当量程度である。
【0035】
前記酸としては、塩酸、硫酸、臭化水素酸等の無機酸を例示できる。
【0036】
酸の添加量は、通常、用いた前記塩基性化合物1当量に対して、当量(中和量)以上であり、好ましくは塩基性化合物1当量に対し、1〜1.5当量程度である。
【0037】
含水溶媒としては、上記テトミラスト水和物結晶の製造方法にて例示の含水溶媒を使用できる。この中でも特に、アセトン−水(アセトン含有量30〜70容量%)が好ましい。
【0038】
含水溶媒の使用量は限定的ではないが、新規のテトミラスト結晶1gに対して、5ml以上、好ましくは5〜300ml、より好ましくは30〜70mlである。
【0039】
酸を加えるときの溶液の温度は、10〜30℃が好ましい。
【0040】
酸を加えることによって、溶液が懸濁液に変化するので、この懸濁液を、通常10℃以下、好ましくは0〜10℃付近にて冷却することにより、テトミラスト無水物B形結晶を効率よく取り出すことができる。
【0041】
また、これらの方法をテトミラスト無水物B形結晶に適用することにより、より高純度のテトミラスト無水物B形結晶を得ることができる。
【0042】
テトミラスト無水物A形結晶
テトミラスト無水物A形結晶は、下記(7)〜(9)に示す理化学的性質を有する。
【0043】
(7)図3に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、188℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0044】
(8)図4に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=10.5°、13.1°、18.4°、21.9°及び25.8°に特徴的なピークを有する。
【0045】
(9)IR(KBr)スペクトルにおいて、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0046】
テトミラスト無水物A形結晶の製造方法
テトミラスト無水物A形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は上記方法で得られるテトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0047】
前記溶媒としては、例えばエタノール、アセトン又はアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)等を使用できる。この中でも、特にアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)が好ましい。
【0048】
溶媒の使用量は、テトミラスト無水物B形結晶を、攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、例えばエタノールの場合は、テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、70〜400ml使用することが好ましく、アセトンの場合は、前記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、30ml〜120ml使用することが好ましく、アセトン−水(アセトン含有量40〜80容量%)の場合は、前記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、30〜500ml使用することが好ましい。
【0049】
溶媒への溶解は、攪拌しながら加熱還流下で行うのが好ましい。この際の加熱温度は、特に限定されないが、通常40〜85℃程度、好ましくは55〜80℃程度である。
【0050】
溶解後、得られる溶液の温度を下げることによって、本発明のテトミラスト無水物A形結晶が晶析する。
【0051】
降温速度は、特に限定されるものではない。例えば、溶媒として、エタノールを使用する場合、降温速度は0.8℃/分以下が好ましい。また、溶媒として、アセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)を使用する場合、降温速度は0.4℃/分以下が好ましい。降温速度をこのような範囲に設定することにより、本発明のテトミラスト無水物A形結晶をより効率的に得ることができる。
【0052】
なお、溶媒としてアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)を使用する場合、上記溶液を40〜50℃で60分以上保持した後、冷却することによりテトミラスト無水物A形結晶が晶析する。前記冷却における降温速度は、テトミラスト無水物A形結晶の晶析に特に影響しない。
【0053】
また、降温の際、途中40〜50℃、30〜40℃、15〜25℃、0〜10℃など幾つかの温度域で温度を保持しながら、30分〜5時間程度攪拌して段階的に降温してもよい。この段階的に降温させる方法において、40〜50℃の時点で、別途製造したテトミラスト無水物A形結晶を種晶として加えてもよい。
【0054】
また、テトミラスト無水物A形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物A形結晶を除く)を使用し、これを適当な溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによって製造される。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造することができる。
【0055】
テトミラスト無水物A形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶、又は新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物A形結晶を除く)を含水溶媒(水含有量90容量%以下)中に懸濁し、攪拌することによっても製造できる。
【0056】
含水溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の水と相溶性の高い有機溶媒と水との混合溶媒を使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、アセトン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒を使用できる。特に前記含水溶媒として、アセトン−水(アセトン含有量30〜60容量%)が好ましい。
【0057】
攪拌する際の懸濁液の温度は、特に限定されないが、通常0〜65℃、好ましくは10〜60℃である。
【0058】
攪拌時間は、通常10分〜48時間、好ましくは10分〜3時間である。
【0059】
また、これらの方法をテトミラスト無水物A形結晶に適用することにより、より高純度のテトミラスト無水物A形結晶を得ることができる。
【0060】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0061】
このようにして得られたテトミラスト無水物A形結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0062】
テトミラスト無水物C形結晶
テトミラスト無水物C形結晶は、下記(10)〜(12)に示す理化学的性質を有する。
【0063】
(10)図7に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、184℃付近及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0064】
(11)図8に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=4.2°、8.2°、12.0°、16.4°、24.7°及び25.9°に特徴的なピークを有する。
【0065】
(12)IR(KBr)スペクトルにおいて3300、3088、1744、1593、1476、1346、1267、1132、1045、754及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0066】
テトミラスト無水物C形結晶の製造方法
テトミラスト無水物C形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は上記方法で得られるテトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0067】
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等を使用できる。この中でも、特にメタノールが好ましい。
【0068】
溶媒の使用量は、前記テトミラスト無水物B形結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、上記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、好ましくは70〜200ml、より好ましくは80〜120mlである。
【0069】
前記溶解後、得られる溶液の温度を10〜30℃に下げることによって、本発明のテトミラスト無水物C形結晶が晶析する。降温速度は、メタノールの場合は特に限定されず、0.4〜0.6℃/分程度であればよい。エタノールの場合は、5℃/分以上、好ましくは10℃/分以上の速度で急冷すればよい。降温速度をこのような範囲に設定することにより、本発明のテトミラスト無水物C形結晶をより効率的に得ることができる。
【0070】
具体的には、まず、公知のテトミラスト無水物B形結晶をメタノールに加え、攪拌しながら加熱還流下に溶解させる。得られた溶液を、40分〜1時間程度で30℃付近までに放冷する。さらに、放冷後得られた懸濁液を10℃以下、好ましくは0〜10℃付近にて30分〜3時間冷却することにより、本発明のテトミラスト無水物C形結晶が、結晶として得られる。
【0071】
また、テトミラスト無水物C形結晶は、公知のテトミラストB形無水物結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物C形結晶を除く)を適当な溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによって製造される。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造することができる。
【0072】
使用する溶媒及び再結晶条件としては、テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶する前記方法と同様の溶媒及び再結晶条件を採用すればよい。
【0073】
さらに、上記方法をテトミラスト無水物C形結晶に適用することより、より高純度のテトミラスト無水物C形結晶を得ることができる。
【0074】
得られたテトミラスト無水物C形結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0075】
このようにして得られたテトミラスト無水物C形結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0076】
テトミラストアセトニトリル和物結晶
テトミラストアセトニトリル和物結晶は、下記(13)〜(15)に示す理化学的性質を有する。
【0077】
(13)図9に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、91℃付近、176℃付近及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0078】
(14)図10に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=3.6°、7.1°、10.6°、14.2°及び24.8°に特徴的なピークを有する。
【0079】
(15)IR(KBr)スペクトルにおいて3300、3090、2249(ニトリル基)、1744、1593、1476、1346、1269、1132、1045、752及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0080】
テトミラストアセトニトリル和物結晶の製造方法
テトミラストアセトニトリル和物結晶は、公知のテトラミストB形無水物結晶又は上記方法により得られたテトラミストB形無水物結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0081】
アセトニトリルの使用量は、上記テトミラスト無水物B形結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、上記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、好ましくは70〜150ml、より好ましくは70〜100mlである。
【0082】
アセトニトリルへの溶解は、例えば攪拌しながら加熱還流下で行えばよい。前記溶解後、テトミラスト無水物B形結晶を溶解させた溶液の温度を下げることによって、本発明のテトミラストアセトニトリル和物結晶が晶析する。降温速度は、特に限定されず、0.1〜1.5℃/分程度であればよい。本発明のテトミラストアセトニトリル和物結晶は、特に降温速度に影響されずに好適に得ることができる。
【0083】
具体的には、公知のテトミラスト無水物B型結晶をアセトニトリルに加え、攪拌しながら加熱還流下に溶解させる。得られた溶液を、30分〜8時間程度で30℃付近までに放冷する。さらに、前記放冷により得られた懸濁液を10℃以下で、好ましくは0〜10℃付近にて30分〜3時間冷却することにより、本発明のテトミラストアセトニトリル和物結晶が、結晶として得られる。
【0084】
また、テトミラストアセトニトリル和物結晶は、公知のテトミラストB形無水物結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラストアセトニトリル和物結晶を除く)をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによって製造される。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物C形結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造することができる。
【0085】
使用する溶媒及び再結晶条件としては、テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶する前記方法と同様の溶媒及び再結晶条件を採用すればよい。
【0086】
さらに、上記方法をテトミラストアセトニトリル和物結晶に適用することにより、より高純度のテトミラストアセトニトリル和物結晶を得ることができる。
【0087】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0088】
このようにして得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0089】
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、製造条件によって様々の比率の混合物が生成するが、例えば、その一例として、下記(16)〜(18)に示す理化学的性質を有する混合物が生成する。
【0090】
(16)吸熱ピークの強弱はA形晶、B形晶の混合比によって影響を受ける。図11はA:Bが40:60の試料のものである。図11に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、175℃及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0091】
(17)テトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物の粉末X線回折スペクトルは、各々純粋なテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルの和となり、各結晶形に由来するピークの強度はテトミラスト無水物A形晶とテトミラスト無水物B形晶の混合比に影響される。図12に示される粉末X線回折スペクトルはテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合比が40:60の試料のものである。
【0092】
(18)テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合比が40:60の試料では、IR(KBr)スペクトルにおいて、3298、3088、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、760及び704cm−1に顕著な赤外吸収バンドを有する。なお、テトミラスト無水物A形晶とテトミラスト無水物B形晶の混合比の違いによって、吸収ピークに±5cm−1のズレが生じ得る。
【0093】
また、A:Bが10:90の試料のもの下記(19)〜(21)に示す理化学的性質を有する。
【0094】
(19)図13に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、176℃及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0095】
(20)図14に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=4.1°、11.9°、16.1°、17.2°、19.3°、24.2°、25.1°、25.9°及び27.3°に特徴的なピークを有する。
【0096】
(21)IR(KBr)スペクトルにおいて3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、756及び706cm−1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0097】
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストB形結晶の混合物の製造方法
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は上記方法により得られたテトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0098】
前記溶媒としては、特に限定されないが、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)が好ましい。
【0099】
前記溶媒の使用量は、前記テトミラスト結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、上記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、好ましくは30〜160ml、より好ましくは30〜50mlである。
【0100】
前記溶媒への溶解は、例えば攪拌しながら加熱還流下で行えばよい。前記溶解後、テトミラスト無水物B形結晶を溶解させた溶液の温度を下げることによって、本発明のテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物を得ることができる。降温速度は、0.4〜1.9℃/分程度であればよい。特に、降温速度を調節することにより、本発明のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の混合比を調節することができる。
【0101】
具体的には、まず、テトミラスト無水物B形結晶をアセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)に加え、攪拌しながら加熱還流下(約60℃)に溶解させる。得られた溶液を15分〜1時間程度で30℃付近までに放冷する。さらに、前記放冷により得られた懸濁液を10℃以下、好ましくは、0〜10℃付近にて30分〜3時間冷却することにより、本発明のテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物が、結晶として得られる。例えば、攪拌しながら加熱還流後、急冷(例えば、5分〜1時間程度で10℃以下、好ましくは、0〜10℃付近に冷却する)する場合、テトミラスト無水物A形結晶:テトミラストB形結晶が約10:90(重量比)の混合物が得られる。
【0102】
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の割合は、特に限定されない。
【0103】
また、上記混合物は、公知のテトミラストB形無水物結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を除く)を用いて製造することもできる。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造することができる。
【0104】
使用する溶媒及び再結晶条件としては、テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶する前記方法と同様の溶媒及び再結晶条件を採用すればよい。
【0105】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0106】
このようにして得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は純度(全体中に占めるテトミラストA形結晶及びテトミラストB形結晶の含有割合)95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0107】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれた少なくとも1種のテトミラスト結晶を含有する。
【0108】
本発明の医薬組成物は、さらにテトミラスト無水物B形結晶を含有してもよい。そのような医薬組成物として、例えばテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物を含む医薬組成物が挙げられる。
【0109】
本発明の新規のテトミラスト結晶は、好中球からの活性酸素の放出を抑制し、又は活性酸素種を除去する活性を有する。従って、過酸化脂質の生体内生成を防止する作用乃至これを低下させる作用を発揮する。よって、本発明の新規のテトミラスト結晶は、上記活性酸素種の過剰発生、過酸化脂質の生体内蓄積、或いはこれらに対する防御機構の欠損に起因する各種障害乃至疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。より具体的には、本発明の医薬組成物を含む薬剤は、虚血、及び血液再開通に伴う障害から各種組織細胞を保護するような薬剤、例えばストレス性潰瘍等の消化器性潰瘍に対する予防及び/又は治療剤;心筋梗塞・不整脈等の心臓虚血疾患に対する予防及び/又は治療剤;脳出血・脳梗塞・一過性脳虚血発作等の脳血管疾患に対する予防及び/又は治療剤;移植・微小循環不全等に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;或いは、虚血以外の原因で異常に発生した活性酸素に依ると考えられる各種細胞障害を抑制する様な薬剤、例えばベーチェット病・皮膚血管炎・潰瘍性大腸炎・悪性リウマチ・関節炎・動脈硬化・糖尿病等の予防及び/又は治療剤として医薬品分野で有用である。
【0110】
また、本発明の新規のテトミラスト結晶は、サイトカイン産生異常、特にTNF−α、IL−1β、IL−6、IFN−γ等の産生異常に伴う各種疾患又は接着作用の亢進状態に伴う各種疾患に有効である。特に慢性関節リウマチ、エンドトキシンショック、胃液等の誤飲や毒性ガス又は敗血症等に起因する成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、熱傷、喘息等の各疾患、心筋虚血状態である心筋梗塞、ウィルス性心筋炎(特に、ウィルス性心筋炎の急性期)、特発性拡張型心筋症、虚血性心筋症等の慢性心不全、冠動脈バイパス手術(CABG)時や人工心肺使用時の虚血再灌流障害、肝臓癌等の肝切除後の肝不全や重傷急性膵炎等に起因する多臓器不全、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性腸疾患、高γグロブリン血症、全身性エリトマトーデス(SLE)、多発性硬化症等一連の自己免疫疾患、モノクローナルB細胞異常症(ミエローマ等)、ポリクローナルB細胞異常症、心房粘液腫、カストルマン症候群、原発性糸球体腎炎、メサンギュウム増殖性腎炎、癌カヘキシー、レンネルトリンパ腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、エイズに伴うカポシ肉腫、閉経後骨粗しょう症、敗血症、動脈硬化、血管炎、肝炎等の炎症性疾患、又は慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤、或いは全身性炎症反応症候群(SIRS)から重症急性膵炎、播種性血管内凝固症候群(DIC)等の臓器不全への移行、癌転移又は移植時による拒絶反応の抑制剤として好適に使用され得る。
【0111】
本発明の新規のテトミラスト結晶は、特に、気流閉塞(airflow obstruction)等の肺機能の低下改善作用を有し、慢性閉塞性肺疾患に対して極めて高い治療効果を示す。
【0112】
本発明の新規のテトミラスト結晶は、通常、一般的な医薬製剤の形態で用いられる。製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来よりよく知られている各種のものを広く使用することができる。その例としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。カプセル剤は常法に従い通常有効成分化合物を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。注射剤として調製される場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用でき、例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有させることもできる。
【0113】
前記医薬製剤中に含有されるべき有効成分化合物の量としては、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、通常製剤組成物中に約1〜70重量%とするのがよい。
【0114】
本発明の医薬製剤には、本発明の有効成分化合物と共に、他の薬理活性成分若しくは他
の薬剤を配合することができる。このような薬理活性成分及び薬剤としては、例えば、ロ
イコトリエン生合成阻害剤 (5-リポキシゲナーゼ阻害剤及び5-リポキシゲナーゼ活性化蛋
白質(FLAP) 拮抗薬)、ロイコトリエン(LTB4,LTC4,LTD4及びLTE4)のための受容体拮抗
薬、アイソフォームPDE4Dの阻害剤を含むPDE4阻害剤、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、5-リポキシゲナーゼ活性化蛋白質 (FLAP) 拮抗薬、二重の5-リポキシゲナーゼ阻害剤、血小板活性化因子 (PAF) 拮抗剤、LTB4,LTC4,LTD4及びLTE4の拮抗剤を含むロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、抗ヒスタミン薬のH1受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬、α1及びα2アドレナリン受容体作動血管収縮交感神経作動薬(特に、うっ血除去薬用)、α1及びα2アドレナリン受容体作動薬と5-リポキシゲナーゼ阻害剤との混合物、抗コリン薬、β1 〜 β4アドレナリン受容体作動薬、メチルキサンタニン類、クロモグリク酸ナトリウム、ムスカリン性受容体 (M1 〜 M3) 拮抗薬、COX-1阻害剤 (NSAID) 、COX-2選択的阻害剤、一酸化窒素NSAID、1型インスリン様成長因子 (IGF-1) 模倣薬、シクレソニド、グルココルチコイド (全身の副作用を低減させた吸入させるもの)、トリプターゼ阻害薬、血小板活性化因子 (PAF) 拮抗薬、内在する炎症の実体に対して活性のある単クローン抗体、IPL576、抗腫瘍壊死因子(TNF-α) 薬、DMARD (レフルミドを含む)、TCRペプチド類、インターロイキン変換酵素 (ICE) 阻害剤、IMPDH阻害剤、VLA-4拮抗薬を含む接着分子阻害剤、カテプシン類、MAPキナーゼ阻害薬、グルコース-6リン酸脱水素酵素阻害剤、キニン-B1及びB2受容体拮抗薬、様々な親水基を有する金チオ基の形の金、免疫抑制剤、抗痛風薬、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、尿酸排泄薬、抗腫瘍薬 (特に細胞分裂抑制薬)、成長ホルモン分泌促進物質、MMP阻害剤、TGF-β、PDGF、線維芽細胞成長因子 (例えば塩基性線維芽成長因子: b-FGF)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子 (GM-CSF)、カプサンシンクリーム、タキキニンNK1及びNK3受容体拮抗薬、エラスターゼ阻害剤、PDE3阻害剤、H4受容体拮抗剤、その逆作動薬、抗酸化剤、ラジカル消去剤、β2アドレナリン受容体作動薬とグルココルチコイドとの混合物、低酸素誘発性因子 (HIF-1α) の蛋白質レベル増加剤、HIF-1αによってレベルが上昇する抗酸化蛋白質、血管内皮成長因子 (VEGF) 分泌促進物質、VEGF受容体作動薬等が挙げられる。
【0115】
前記医薬製剤の投与方法は特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
【0116】
前記医薬製剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分化合物の量が、1日当り体重1kg当り、約0.2〜200mg程度とするのがよい。
【発明の効果】
【0117】
本発明のテトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶、テトミラストアセトニトリル和物結晶及び前記テトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物は、再結晶による結晶形の制御が容易で、濾過性に優れているため、工業的な大量製造に向いている。
【0118】
また、これらテトミラスト結晶は、熱及び湿気に対する安定性、錠剤の崩壊性及び溶出性の点においてテトミラスト無水物B形結晶と同等又はそれ以上の性能を有する。従って、これらテトミラスト結晶は、医薬組成物として好適に使用できる。
【実施例】
【0119】
以下に、参考例、実施例及び製剤例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0120】
分析方法
(1)熱重量測定/示差熱分析
重量測定/示差熱分析は、津製作所製のTA60WS制御装置とDTG−60A示差熱熱重量同時測定装置を用いて行った。具体的には、前記装置を用いて、5〜10mgの試料を、乾燥窒素雰囲気下で20℃(室温)から250℃まで5℃/分の昇温速度で加熱することにより行った。基準物質としてはα−アルミナを用いた。
【0121】
(2)粉末X線回折
粉末X線回折スペクトルは、理学電機製のRAD−2B回折計(線源CuKα)を用いて、回折角3〜40°の範囲で日本薬局方の一般試験法により測定した。なお、測定の際、電圧/電流を35kV/20mAとし、スキャン速度を5°/分とした。
【0122】
テトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物の混合比は、該混合物の粉末X線回折スペクトルと純粋なテトミラスト無水物A形結晶と純粋なテトミラスト無水物B形結晶とを種々の割合で混合したものの粉末X線回折スペクトルとを比較することにより求めた。
【0123】
(3)赤外分光分析
IRスペクトルはKBr法により測定した。
【0124】
(4)1H−NMR測定
1H−NMRスペクトルは、DMSO−d6中、TMSを基準として測定した。
【0125】
(5)純度測定
純度測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。測定条件は、下記の通りであった。
【0126】
試料:試料0.03gをアセトニトリル80mlに溶かし、さらに水を20ml加えることにより試料溶液を調製した。試料溶液10μlを用いて測定を行った。
【0127】
検出器:紫外吸光光度計(UV254nm)
カラム:Wakosil 5C18 HG
移動相:アセトニトリル/10mMNa2SO4水溶液/リン酸(500:500:1)。
【0128】
(6)粒子サイズ測定
粒度は、0.1W/V%ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル0.2gのn−ヘキサン20ml溶液に、測定すべき粒子0.1gを懸濁し、超音波処理を行い、粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、マイクロトラック社製)を用いて測定した。
【0129】
(7)水分値測定
カールフィッシャー法により試料中の水分を測定した。
【0130】
(8)融点測定(補正済み)
融点は、加熱装置(製品名「LK6000PM」、ジャパンハイテック株式会社製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件下、加熱し、融解の様子を株式会社キーエンス製のVH−7000C顕微鏡を用いて観測記録した。
【0131】
参考例1
テトミラスト無水物B形結晶の製造
テトミラスト無水物B形結晶は、下記(1)〜(3)の方法により製造した。
【0132】
(1)非特許文献1に記載の方法により、テトミラスト無水物B形結晶を得た。すなわち、次の方法により、テトミラスト無水物B形結晶を得た。
【0133】
まず、エタノール(1.4L)に、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸メチル(49g、127mmol)及び10%水酸化ナトリウム(100ml)を入れ、4時間攪拌しながら加熱還流下した。得られた混合溶液から、大部分の溶媒を取り除き、残渣に水及び酢酸エチルを加えて分液した。分液により得られた水層を10%塩酸で酸性にした後、酢酸エチルを用いて抽出し、すばやく、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに過剰の硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた混合物を酢酸エチルで再結晶することにより、テトミラスト無水物B形結晶を得た。
【0134】
得られたテトミラスト無水物B形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0135】
得られたテトミラスト無水物B形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図5と同様の吸熱ピークを示した。
【0136】
得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図6と同様のスペクトルが見られた。
【0137】
得られたテトミラスト無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0138】
(2)後述する実施例1の方法により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをイソ
プロパノール400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色針状晶のテトミラスト無水物B形結晶を4.6g得た(収率92%)。
【0139】
得られたテトミラスト無水物B形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0140】
得られたテトミラスト無水物B形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図5に示したように、177℃付近及び188℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0141】
得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図6に示したように2θ=4.1°、8.1°、11.9°、16.1°及び24.2°に特徴的なピークを示した。
【0142】
得られたテトミラスト無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0143】
(3)後述する実施例1の方法により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gを酢酸エチル400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を、約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色針状晶のテトミラスト無水物B形結晶を9.3g得た(収率93%)。
【0144】
得られたテトミラスト無水物B形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0145】
得られたテトミラスト無水物B形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図5と同様の吸熱ピークを示した。
【0146】
得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図6と同様のスペクトルが見られた。
【0147】
得られたテトミラスト無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0148】
実施例1
テトミラスト無水物A形結晶の製造
テトミラスト無水物A形結晶は、下記(1)〜(7)の方法により製造した。
【0149】
(1)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶5gをアセトン140ml及び水35mlの混合溶液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約100分かけて40℃まで冷却後(この時点でテトミラスト無水物A形結晶が析出)、さらに、10℃以下に冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を60℃で18時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を4.0g得た(収率80%)。
【0150】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、187〜189℃で融解(分解)した。
【0151】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3に示したように、188℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0152】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4に示したように2θ=10.5°、13.1°、18.4°、21.9°及び25.8°に特徴的なピークが見られた。
【0153】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0154】
(2)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをエタノール400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を4.3g得た(収率86%)。
得られたテトミラスト無水物A形結晶の融点は、188〜190℃(分解)であった。
【0155】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0156】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0157】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0158】
(3)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gを攪拌しながら加熱還流下、アセトン400ml中に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を8.3g得た(収率83%)。
【0159】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、188〜190℃で融解(分解)した。
【0160】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0161】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0162】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0163】
(4)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gをアセトン320ml及び水80mlの混合液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を、3時間かけて30℃、1時間かけて20℃、更に0.5時間かけて10℃と段階的に冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を8.3g得た(収率83%)。
【0164】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、187〜189℃で融解(分解)した。
【0165】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0166】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0167】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0168】
(5)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをアセトン450ml及び水300mlの混合液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を4.2g得た(収率84%)。
【0169】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、188〜190℃で融解(分解)した。
【0170】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0171】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0172】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0173】
(6)3−オキソ−3−(6−メトキシカルボニル−2−ピリジル)プロピオン酸エチル41.4gを水42mlと酢酸エチル414mlの混合液中に溶解し、5〜10℃に冷却した。この中に塩化スルフリル35.6gを酢酸エチル83mlに溶解した溶液を攪拌下、約30分を要して滴下した。10〜20℃で1時間攪拌後、反応液の溶媒を留去しながら90℃付近まで加熱し、そのまま約90〜100℃で2時間加熱攪拌を続けた。得られた混合懸濁液(結晶を含む)を10℃付近まで冷却し1時間攪拌した後、濾過することにより、2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸27.99gを黄褐色結晶(融点184−189℃、純度98〜99%)として得た。
【0174】
2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸20g及び3,4−ジエトキシチオベンズアミド22.6gを水100ml及びジメトキシエタン200mlの混合液中に溶解させた。得られた混合溶液を攪拌下に2時間攪拌しながら加熱還流下した後、その反応液を5℃以下に冷却して、黄褐色析出物を濾取した。
【0175】
次に、水酸化カリウム6.18gを水372mlに溶かした混合溶液に、前記析出晶を溶解させた。この溶液を酢酸エチルで2回抽出した(186ml×2)。分離した水層に1gの活性炭を加えて、約30℃で30分間攪拌した。その後、活性炭を濾去し、得られた濾液にアセトン372ml及び濃塩酸11.2gを加えて懸濁液(テトミラスト水和物結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物)を得た。テトミラスト水和物結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物をテトミラスト無水物A形結晶へ転移させるために、前記懸濁液を60℃で30分間加熱した後、室温まで冷却して、結晶を濾取することにより、テトミラスト無水物A形粗結晶(34.82g、wet状態)が得られた。
【0176】
この粗結晶8.67gを乾燥することなく、アセトン213ml及び水53mlの混合液に60℃で加熱溶解し、熱時濾過を行なった。次に、得られた濾液を再加熱して結晶の溶解を確認した後、50℃まで冷却した。冷却した濾液にテトミラスト無水物A形結晶79mgを種晶として加え、42〜50℃(内温)で2時間攪拌した。得られた溶液を約20分かけて20℃まで冷却し、19〜25℃で2時間攪拌した。その後、35分かけて5℃まで冷却し、4〜5℃で2時間攪拌し、析出晶を濾取した。前記析出晶を80℃で一夜乾燥することによりテトミラスト無水物A形晶を7.25g得た(6−クロロアセチル−2−ピリジンカルボン酸を基準とした収率は、78.4%であった)。
得られたテトミラスト無水物A形結晶のHPLC純度は、99.9%であった。
【0177】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0178】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0179】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0180】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0181】
得られたテトミラスト無水物A形結晶をアトマイザーで粉砕し、平均粒子径30.4μm、90%積算粒子径57μmの粉末を得た。
【0182】
(7)後述する実施例5(2)によって得られたテトミラスト水和物粗結晶32.36gを精製水197ml及びアセトン793mlの混合液中に約60℃で加熱溶解し、熱時濾過を行なった。次に、得られた濾液を再加熱し、結晶の溶解を確認した後、45℃まで冷却した。冷却した濾液にテトミラスト無水物A形晶290mgを加えて、45℃で2時間攪拌した。得られた溶液を、約1時間かけて20℃まで冷却し、20〜24℃で2時間攪拌した。その後、約2時間かけて5℃まで冷却し、−1〜5℃で2時間攪拌し、析出晶を濾取した。前記析出晶を、80℃で4時間乾燥することにより、テトミラスト無水物A形晶を24.11g得た。
【0183】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0184】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0185】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0186】
実施例2
テトミラスト無水物C形結晶の製造
実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをメタノール500ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却して、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色板状晶のテトミラスト無水物C形結晶を3.8g得た(収率76%)。
【0187】
得られたテトミラスト無水物C形結晶は、184℃で結晶表面より針状晶が成長し、187〜190℃で融解(分解)した。
【0188】
得られたテトミラスト無水物C形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図7に示したように、184℃付近及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0189】
得られたテトミラスト無水物C形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図8に示したように2θ=4.2°、8.2°、12.0°、16.4°、24.7°及び25.9°に特徴的なピークが見られた。
【0190】
得られたテトミラスト無水物C形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3300、3088、1744、1593、1476、1346、1267、1132、1045、754及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0191】
実施例3
テトミラストアセトニトリル和物結晶の製造
実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをアセトニトリル400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色板状晶のテトミラストアセトニトリル和物を5.1g得た(収率:定量的)を得た。
【0192】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶は、90℃で結晶の白濁が認められた後、187〜190℃で融解(分解)した。
【0193】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図9に示したように、91℃付近、176℃付近及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0194】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図10に示したように2θ=3.6°、7.1°、10.6°、14.2°及び24.8°に特徴的なピークが見られた。
【0195】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3300、3090、2249(ニトリル基)、1744、1593、1476、1346、1269、1132、1045、752及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0196】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶のNMR(DMSO−d6)スペクトルを測定すると、δ2.1ppmにアセトニトリルのメチル基ピークが見られた。
【0197】
実施例4
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の製造
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、下記(1)又は(2)の方法により製造した。
【0198】
(1)実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gをアセトン320ml及び水80mlの混合液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、続けて、約10分かけて10℃まで放冷し、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)を8.5g得た(収率85%)。
【0199】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、178℃でごく一部が融解し、針状晶に結晶化した後、188〜190℃で融解(分解)した。
【0200】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)を熱重量測定/示差熱分析すると、図11に示したように、175℃及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0201】
また、得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図12に示したように2θ=4.2°、11.9°、13.2°、16.2°、17.3°、24.3°、25.3°、25.9°及び27.5°に特徴的なピークが見られた。
【0202】
さらに、得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3088、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、760及び704cm−1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0203】
(2)実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gをアセトン320ml及び水80ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を30分間かけて10℃まで急冷し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色粉末のテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)を7.8g得た(収率78%)。得られた混合物は、176℃で一部が融解し、針状晶に結晶化した後、187〜190℃で融解(分解)した。
【0204】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)を熱重量測定/示差熱分析すると、図13に示したように、176℃及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0205】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図14に示したように2θ=4.1°、11.9°、16.1°、17.2°、19.3°、24.2°、25.1°、25.9°及び27.3°に特徴的なピークが見られた。
【0206】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、756及び706cm−1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0207】
実施例5
テトミラスト1水和物結晶の製造
テトミラスト1水和物結晶は、下記(1)〜(3)の方法により製造した。
【0208】
(1)2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸18.7g及び3,4−ジエトキシチオベンズアミド21.1gを水94ml及びジメトキシエタン187mlの混合液中に溶かし、約80℃(還流)で2時間攪拌した。得られた溶液を5℃まで冷却した後、1時間攪拌し、黄褐色析出物を濾取した。前記析出晶を水酸化カリウム5.78gを水348mlに溶かした溶液に溶解させた。得られた混合溶液を174mlの酢酸エチルで2回洗浄した。その後、分離した水層に、1.9mlの水に活性炭0.9gを懸濁させた液を加え、30〜31℃で30分攪拌した。活性炭を濾去し、得られた濾液に348mlのアセトンを加え、次いで攪拌下に10.4gの濃塩酸を加え、1時間攪拌後、析出した結晶を濾取した。この結晶を348mlの水に懸濁させて、27〜30℃で30分間攪拌した後、これを濾取した。得られた結晶をアセトン35ml及び水35mlの混合液で洗浄し、29.53gのテトミラスト1水和物結晶を得た。
【0209】
得られたテトミラスト1水和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図1に示したように、189℃付近に吸熱ピークが見られ、さらに、102℃付近に幅広いピークが見られた。
【0210】
得られたテトミラスト1水和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図2に示したように2θ=10.6°、12.9°、21.1°、22.3°及び25.0°に特徴的なピークが見られた。
【0211】
得られたテトミラスト1水和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0212】
(2)水酸化カリウム8.33gを水500mlに溶かした混合液に、実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶50gを溶解させた。この混合溶液を濾過後、濾液にアセトン500mlを加え、攪拌下、濃塩酸13ml(1.1eq)を加えた(このとき析出するのは、テトミラスト無水物B形結晶であった)。得られる溶液を約10分間室温で攪拌した。攪拌後、上記実施例5(1)にて得られたテトミラスト1水和物の結晶2.5gを種晶として加え、2時間攪拌を続けた(この間、溶媒媒介転移が進行する。攪拌時間が短いとテトミラスト水和物結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物が得られる)。得られた析出晶を濾取した後、水400ml中に懸濁して、20〜30℃で30分間攪拌を行なった。その後、結晶を濾取し、アセトン−水(アセトン含有量50容量%)80mlで洗浄した。そして、それを1終夜減圧乾燥することにより、テトミラスト1水和物結晶を51.5g得た。
【0213】
得られたテトミラスト1水和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図1と同様の吸熱ピークを示した。
【0214】
得られたテトミラスト1水和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図2と同様のスペクトルが見られた。
【0215】
得られたテトミラスト1水和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0216】
(3)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶2.37gをアセトン50ml及び水50mlの混合液中に懸濁させ、5分程度攪拌した後、テトミラスト水和物結晶を種晶として加え、さらに、30℃で1時間攪拌した。結晶を濾取後、60℃で終夜乾燥し、2.34gのテトミラスト水和物結晶を得た。
【0217】
得られたテトミラスト水和物結晶の水分値は4.68%であり、テトミラスト1水和物結晶の理論水分量(4.64%)とほぼ一致した。
【0218】
前記1水和物は、100℃付近で白濁し、188〜189℃で融解(分解)した。
【0219】
得られたテトミラスト1水和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図1と同様の吸熱ピークを示した。
【0220】
得られたテトミラスト1水和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図2と同様のスペクトルが見られた。
【0221】
得られたテトミラスト1水和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0222】
実施例6
テトミラスト無水物B形結晶からテトミラスト無水物A形結晶への熱転移
テトミラスト無水物B形結晶からテトミラスト無水物A形結晶への熱転移を下記(1)〜(3)により確認した。
【0223】
(1)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶を20〜30℃で約1年間放置した後、粉末X線回折により、結晶形を調べたところ、テトミラスト無水物B形結晶形を保持していることが確認できた。
【0224】
(2)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶5gをアセトン40ml及び水10mlの混合液中に懸濁し、20℃で攪拌した。その際、15分、30分、60分、120分おきにサンプリングを行い粉末X線回折により、結晶形を調べたところ、15分間攪拌したもの、30分攪拌したもの及び60分間攪拌したものは、テトミラスト無水物B形結晶形を保持していることが確認できた。
一方、120分間攪拌したものは、テトミラスト無水物B形結晶及びテトミラスト無水物A形結晶の混合物(A:B=70:30)であることが確認できた。
【0225】
(3)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶5gをアセトン40ml及び水10mlの混合液中に懸濁し、40℃で攪拌した。15分、30分、60分、120分おきにサンプリングを行い粉末X線回折により、結晶形を調べたところ、15分間攪拌したものは、テトミラスト無水物B形結晶及びテトミラスト無水物A形結晶の混合物(A:B=50:50)であることが確認できた。
【0226】
一方、30分間攪拌したもの、60分間攪拌したもの及び120分間攪拌したものは、テトミラスト無水物A形結晶に変化していることが確認できた。
【0227】
なお、使用する溶媒の種類によって、異なる結晶形態のテトミラストが得られる場合、原料として使用するテトミラスト結晶の結晶形には依存しないため、テトミラスト無水物A形結晶(純度99.9%)を用いた例を掲げたが、テトミラスト無水物A形結晶以外の新規テトミラスト結晶を用いた場合にも同様の結果が得られた。
【0228】
製剤例
1錠中に、テトミラスト無水物C形結晶5mg、デンプン132mg、マグネシウムステアレート18mg及び乳糖45mgの組成を含有する錠剤を常法により製造した。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】図1は、実施例5(1)得られたテトミラスト水和物結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図2】図2は、実施例5(1)で得られたテトミラスト水和物結晶の粉末X線回折図である。
【図3】図3は、実施例1(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図4】図4は、実施例1(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折図である。
【図5】図5は、参考例1(2)で得られたテトミラスト無水物B形結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図6】図6は、参考例1(2)で得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折図である。
【図7】図7は、実施例2で得られたテトミラスト無水物C形結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図8】図8は、実施例2で得られたテトミラスト無水物C形結晶の粉末X線回折図である。
【図9】図9は、実施例3で得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図10】図10は、実施例3で得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶の粉末X線回折図である。
【図11】図11は、実施例4(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図12】図12は、実施例4(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の粉末X線回折図である。
【図13】図13は、実施例4(2)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図14】図14は、実施例4(2)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の粉末X線回折図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なテトミラスト結晶、該結晶の製造方法及び医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール(又は6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸)は、公知の化合物であり、テトミラストと称されている。このテトミラストは、活性酸素抑制作用、サイトカイン産生抑制作用、接着抑制作用等を有し、潰瘍性大腸炎、クローン病、喘息等の治療に有用である(特許文献1及び2)。また、テトミラストは、慢性閉塞性肺疾患治療薬としても有用である(特許文献3)。さらに、テトミラスト結晶は、熱及び湿気に対して安定で、かつ、錠剤の崩壊性及び溶出性の点において優れている。
【0003】
特許文献1の実施例371によれば、テトミラスト無水物結晶(以下「テトミラスト無水物B形結晶」という)は、例えば、3,4−ジエトキシチオベンズアミドと2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸とを反応させ、得られるテトミラスト粗製物をエタノールにて再結晶することにより製造されている。
【0004】
また、非特許文献1によれば、テトミラスト無水物B形結晶は、3,4−ジエトキシチオベンズアミドと2−(2−ブロモアセチル)−6−ピリジンカルボン酸とを反応させ、得られたメチル 6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを加水分解し、得られるテトミラスト粗製物を酢酸エチルにて再結晶することにより製造されている。
【0005】
しかしながら、テトミラスト無水物B形結晶は目詰まりを起こす性質を有しているため、従来の再結晶法では、テトミラスト無水物B形結晶製造の際、濾過の作業効率が著しく悪くなり、それ故、テトミラスト無水物B形結晶を工業的に大量生産することが困難である。そのため、工業的大量生産に有利な新規のテトミラスト結晶の開発が切望されている。
【特許文献1】特開平5−51318号公報([0015]段落、実施例371)
【特許文献2】特開平10−152437号公報([0024]段落、[0029]段落)
【特許文献3】特開2003−104890号公報
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry, 1995, 38, p353-358
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、工業的に大量生産しやすい新規のテトミラスト結晶を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねてきた。その結果、テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中攪拌することにより、工業的に大量生産可能な新規テトミラスト結晶が得られること、及び該テトミラスト結晶をさらに適当な溶媒を用いて再結晶又は特定の溶媒の懸濁下に加熱することにより、種々の物性を有するテトミラスト結晶が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記のテトミラスト結晶、該結晶の製造方法及び医薬組成物に係る。
1. 図2に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト水和物結晶。
2. テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中で攪拌することによりテトミラスト水和物結晶を製造する方法。
3. 図4に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを
有するテトミラスト無水物A形結晶。
4. テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
5. 溶媒が、エタノール、アセトン又はアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)である上記項4に記載の方法。
6. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
7. 溶媒が、メタノール、エタノール、アセトン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒である上記項6に記載の方法。
8. 図8に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物C形結晶。
9. テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
10. 溶媒が、メタノール又はエタノールである上記項9に記載の方法。
11. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
12. 溶媒が、メタノール又はエタノールである上記項11に記載の方法。
13. 図10に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラストアセトニトリル和物結晶。
14. テトミラスト無水物B形結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
15. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物C形結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
16. 上記項3に記載のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物。
17. テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
18. 溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である上記項17に記載の方法。
19. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
20. 溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である上記項19に記載の方法。
21. テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を含有する医薬組成物。
22. 消化器性潰瘍に対する予防及び/又は治療剤;心臓虚血疾患に対する予防及び/又は治療剤;脳血管疾患に対する予防及び/又は治療剤;移植・微小循環不全に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;或いは、ベーチェット病、皮膚血管炎、潰瘍性大腸炎、悪性リウマチ、関節炎、動脈硬化又は糖尿病の予防及び/又は治療剤である上記項21に記載の医薬組成物。
23. 慢性関節リウマチ、エンドトキシンショック、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、熱傷、喘息、心筋梗塞、ウィルス性心筋炎、慢性心不全、虚血再灌流障害、多臓器不全、炎症性腸疾患、自己免疫疾患、モノクローナルB細胞異常症、ポリクローナルB細胞異常症、心房粘液腫、カストルマン症候群、原発性糸球体腎炎、メサンギュウム増殖性腎炎、癌カヘキシー、レンネルトリンパ腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、エイズに伴うカポシ肉腫、閉経後骨粗しょう症、敗血症、炎症性疾患又は慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤、或いは、全身性炎症反応症候群(SIRS)から臓器不全への移行、癌転移又は移植時による拒絶反応の抑制剤である上記項21に記載の医薬組成物。
24. 炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である上記項23に記載の医薬組成物。
25. 慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤である上記項23に記載の医薬組成物。
【0009】
本発明において、新規テトミラスト結晶とは、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶、テトミラストアセトニトリル和物結晶及びテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物をいう。
【0010】
また、本発明において、単にテトミラスト結晶とは、新規テトミラスト結晶と公知のテトミラスト結晶であるテトミラスト無水物B形結晶との総称をいう。
【0011】
テトミラスト水和物結晶
本発明のテトミラスト水和物結晶は、0.5〜3水和物結晶を包含する。
本発明のテトミラスト水和物結晶のうち、1水和物結晶は、下記(1)〜(3)に示す理化学的性質を有する。
【0012】
(1)図1に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、189℃付近に吸熱ピークを有し、102℃付近に幅広いピークを示すことが特徴的である。
【0013】
(2)図2に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=10.6°、12.9°、21.1°、22.3°及び25.0°において特徴的なピークを有する。
【0014】
(3)IR(KBr)スペクトルにおいて、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0015】
テトミラスト水和物結晶の製造方法
本発明のテトミラスト水和物結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は以下に示す方法で得られるテトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中で攪拌することにより製造することができる。より具体的には、テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒に懸濁し、得られる懸濁液を攪拌することにより製造することができる。
【0016】
含水溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチルメチルケトン等の有機溶媒と水との混合溶媒であり、例えばメタノール−水(メタノール含有量10〜80容量%)、エタノール−水(エタノール含有量10〜70容量%)、イソプロパノール−水(イソプロパノール含有量10〜60容量%)、アセトン−水(アセトン含有量10〜80容量%)、エチルメチルケトン−水(エチルメチルケトン含有量10〜80容量%)等を例示できる。この中でも特に、アセトン−水(アセトン含有量10〜60容量%)、エチルメチルケトン−水(エチルメチルケトン含有量10〜60容量%)等が好ましく、アセトン−水(アセトン含有量35〜55%)がより好ましい。
【0017】
含水溶媒の使用量は限定的ではないが、テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、少なくとも10ml、好ましくは10〜50mlである。
【0018】
攪拌温度は、特に限定されないが、10〜35℃程度が好ましく、20〜30℃程度がより好ましい。攪拌時間は、5分〜3時間程度が好ましく、30〜90分程度がより好ましい。
【0019】
また、テトミラスト無水物B形結晶からテトミラスト水和物結晶を製造するに際し、上記方法により別途製造したテトミラスト水和物結晶を種晶として懸濁液内に存在させることが好ましい。
【0020】
種晶を加えるタイミングは、特に限定されるものではないが、攪拌前又は攪拌中が望ましい。
【0021】
得られたテトミラスト水和物結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0022】
このようにして得られたテトミラスト水和物結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0023】
テトミラスト無水物B形結晶
テトミラスト無水物B形結晶は、下記(4)〜(6)に示す理化学的性質を有する。
【0024】
(4)図5に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、177℃付近及び188℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0025】
(5)図6に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=4.1°、8.1°、11.9°、16.1°及び24.2°に特徴的なピークを有する。
【0026】
(6)IR(KBr)スペクトルにおいて、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0027】
テトミラスト無水物B形結晶は、例えば特許文献1又は非特許文献1に記載の方法によって製造することができる。
【0028】
また、テトミラスト無水物B形結晶は、新規テトミラスト結晶を加熱還流下に攪拌しながら、完全に溶媒に溶解させ、次いで得られた溶液を放冷すればよい。ここで新規テトミラスト結晶は、一種単独又は二種以上混合して使用できる。
【0029】
溶媒としては、例えば、イソプロパノール、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。
【0030】
溶媒の使用量は、新規テトミラスト結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、イソプロパノールの場合は新規テトミラスト結晶1gに対して70〜600mlが好ましく、酢酸エチルの場合には、新規テトミラスト結晶1gに対して30〜300mlが好ましい。イソプロパノール及び酢酸エチルの混合溶媒を用いる場合は、イソプロパノールと酢酸エチルとを任意の割合で混合し、新規テトミラスト結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができるように使用量を調整すればよい。
【0031】
得られた溶液を5分〜1時間程度かけて30℃付近まで冷却又は自然放冷することにより、テトミラスト無水物B形結晶が得られる。さらに、放冷後の懸濁液を10℃以下、好ましくは0〜10℃付近にて冷却してもよい。これにより、より収率良く、テトミラスト無水物B形結晶が得られる。
【0032】
また、テトミラスト無水物B形結晶は、新規テトミラスト結晶に塩基性化合物を作用させることにより塩を形成させ、これを適当な含水溶媒中に溶解させて、得られる溶液に適当な酸を加えることによっても得られる。
【0033】
塩基性化合物としては、例えば、炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。この中でも特に、アルカリ金属水酸化物が好ましい。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を例示できる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を例示できる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等を例示できる。これらは、一種又は二種以上で用いられる。この中でも特に水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。
【0034】
塩基性化合物の添加量は、特に限定されないが、処理されるべき新規テトミラスト結晶1当量に対し、通常1当量以上、好ましくは1〜1.5当量程度である。
【0035】
前記酸としては、塩酸、硫酸、臭化水素酸等の無機酸を例示できる。
【0036】
酸の添加量は、通常、用いた前記塩基性化合物1当量に対して、当量(中和量)以上であり、好ましくは塩基性化合物1当量に対し、1〜1.5当量程度である。
【0037】
含水溶媒としては、上記テトミラスト水和物結晶の製造方法にて例示の含水溶媒を使用できる。この中でも特に、アセトン−水(アセトン含有量30〜70容量%)が好ましい。
【0038】
含水溶媒の使用量は限定的ではないが、新規のテトミラスト結晶1gに対して、5ml以上、好ましくは5〜300ml、より好ましくは30〜70mlである。
【0039】
酸を加えるときの溶液の温度は、10〜30℃が好ましい。
【0040】
酸を加えることによって、溶液が懸濁液に変化するので、この懸濁液を、通常10℃以下、好ましくは0〜10℃付近にて冷却することにより、テトミラスト無水物B形結晶を効率よく取り出すことができる。
【0041】
また、これらの方法をテトミラスト無水物B形結晶に適用することにより、より高純度のテトミラスト無水物B形結晶を得ることができる。
【0042】
テトミラスト無水物A形結晶
テトミラスト無水物A形結晶は、下記(7)〜(9)に示す理化学的性質を有する。
【0043】
(7)図3に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、188℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0044】
(8)図4に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=10.5°、13.1°、18.4°、21.9°及び25.8°に特徴的なピークを有する。
【0045】
(9)IR(KBr)スペクトルにおいて、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0046】
テトミラスト無水物A形結晶の製造方法
テトミラスト無水物A形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は上記方法で得られるテトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0047】
前記溶媒としては、例えばエタノール、アセトン又はアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)等を使用できる。この中でも、特にアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)が好ましい。
【0048】
溶媒の使用量は、テトミラスト無水物B形結晶を、攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、例えばエタノールの場合は、テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、70〜400ml使用することが好ましく、アセトンの場合は、前記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、30ml〜120ml使用することが好ましく、アセトン−水(アセトン含有量40〜80容量%)の場合は、前記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、30〜500ml使用することが好ましい。
【0049】
溶媒への溶解は、攪拌しながら加熱還流下で行うのが好ましい。この際の加熱温度は、特に限定されないが、通常40〜85℃程度、好ましくは55〜80℃程度である。
【0050】
溶解後、得られる溶液の温度を下げることによって、本発明のテトミラスト無水物A形結晶が晶析する。
【0051】
降温速度は、特に限定されるものではない。例えば、溶媒として、エタノールを使用する場合、降温速度は0.8℃/分以下が好ましい。また、溶媒として、アセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)を使用する場合、降温速度は0.4℃/分以下が好ましい。降温速度をこのような範囲に設定することにより、本発明のテトミラスト無水物A形結晶をより効率的に得ることができる。
【0052】
なお、溶媒としてアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)を使用する場合、上記溶液を40〜50℃で60分以上保持した後、冷却することによりテトミラスト無水物A形結晶が晶析する。前記冷却における降温速度は、テトミラスト無水物A形結晶の晶析に特に影響しない。
【0053】
また、降温の際、途中40〜50℃、30〜40℃、15〜25℃、0〜10℃など幾つかの温度域で温度を保持しながら、30分〜5時間程度攪拌して段階的に降温してもよい。この段階的に降温させる方法において、40〜50℃の時点で、別途製造したテトミラスト無水物A形結晶を種晶として加えてもよい。
【0054】
また、テトミラスト無水物A形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物A形結晶を除く)を使用し、これを適当な溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによって製造される。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造することができる。
【0055】
テトミラスト無水物A形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶、又は新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物A形結晶を除く)を含水溶媒(水含有量90容量%以下)中に懸濁し、攪拌することによっても製造できる。
【0056】
含水溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の水と相溶性の高い有機溶媒と水との混合溶媒を使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、アセトン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒を使用できる。特に前記含水溶媒として、アセトン−水(アセトン含有量30〜60容量%)が好ましい。
【0057】
攪拌する際の懸濁液の温度は、特に限定されないが、通常0〜65℃、好ましくは10〜60℃である。
【0058】
攪拌時間は、通常10分〜48時間、好ましくは10分〜3時間である。
【0059】
また、これらの方法をテトミラスト無水物A形結晶に適用することにより、より高純度のテトミラスト無水物A形結晶を得ることができる。
【0060】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0061】
このようにして得られたテトミラスト無水物A形結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0062】
テトミラスト無水物C形結晶
テトミラスト無水物C形結晶は、下記(10)〜(12)に示す理化学的性質を有する。
【0063】
(10)図7に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、184℃付近及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0064】
(11)図8に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=4.2°、8.2°、12.0°、16.4°、24.7°及び25.9°に特徴的なピークを有する。
【0065】
(12)IR(KBr)スペクトルにおいて3300、3088、1744、1593、1476、1346、1267、1132、1045、754及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0066】
テトミラスト無水物C形結晶の製造方法
テトミラスト無水物C形結晶は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は上記方法で得られるテトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0067】
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等を使用できる。この中でも、特にメタノールが好ましい。
【0068】
溶媒の使用量は、前記テトミラスト無水物B形結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、上記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、好ましくは70〜200ml、より好ましくは80〜120mlである。
【0069】
前記溶解後、得られる溶液の温度を10〜30℃に下げることによって、本発明のテトミラスト無水物C形結晶が晶析する。降温速度は、メタノールの場合は特に限定されず、0.4〜0.6℃/分程度であればよい。エタノールの場合は、5℃/分以上、好ましくは10℃/分以上の速度で急冷すればよい。降温速度をこのような範囲に設定することにより、本発明のテトミラスト無水物C形結晶をより効率的に得ることができる。
【0070】
具体的には、まず、公知のテトミラスト無水物B形結晶をメタノールに加え、攪拌しながら加熱還流下に溶解させる。得られた溶液を、40分〜1時間程度で30℃付近までに放冷する。さらに、放冷後得られた懸濁液を10℃以下、好ましくは0〜10℃付近にて30分〜3時間冷却することにより、本発明のテトミラスト無水物C形結晶が、結晶として得られる。
【0071】
また、テトミラスト無水物C形結晶は、公知のテトミラストB形無水物結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物C形結晶を除く)を適当な溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによって製造される。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造することができる。
【0072】
使用する溶媒及び再結晶条件としては、テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶する前記方法と同様の溶媒及び再結晶条件を採用すればよい。
【0073】
さらに、上記方法をテトミラスト無水物C形結晶に適用することより、より高純度のテトミラスト無水物C形結晶を得ることができる。
【0074】
得られたテトミラスト無水物C形結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0075】
このようにして得られたテトミラスト無水物C形結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0076】
テトミラストアセトニトリル和物結晶
テトミラストアセトニトリル和物結晶は、下記(13)〜(15)に示す理化学的性質を有する。
【0077】
(13)図9に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、91℃付近、176℃付近及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0078】
(14)図10に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=3.6°、7.1°、10.6°、14.2°及び24.8°に特徴的なピークを有する。
【0079】
(15)IR(KBr)スペクトルにおいて3300、3090、2249(ニトリル基)、1744、1593、1476、1346、1269、1132、1045、752及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0080】
テトミラストアセトニトリル和物結晶の製造方法
テトミラストアセトニトリル和物結晶は、公知のテトラミストB形無水物結晶又は上記方法により得られたテトラミストB形無水物結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0081】
アセトニトリルの使用量は、上記テトミラスト無水物B形結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、上記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、好ましくは70〜150ml、より好ましくは70〜100mlである。
【0082】
アセトニトリルへの溶解は、例えば攪拌しながら加熱還流下で行えばよい。前記溶解後、テトミラスト無水物B形結晶を溶解させた溶液の温度を下げることによって、本発明のテトミラストアセトニトリル和物結晶が晶析する。降温速度は、特に限定されず、0.1〜1.5℃/分程度であればよい。本発明のテトミラストアセトニトリル和物結晶は、特に降温速度に影響されずに好適に得ることができる。
【0083】
具体的には、公知のテトミラスト無水物B型結晶をアセトニトリルに加え、攪拌しながら加熱還流下に溶解させる。得られた溶液を、30分〜8時間程度で30℃付近までに放冷する。さらに、前記放冷により得られた懸濁液を10℃以下で、好ましくは0〜10℃付近にて30分〜3時間冷却することにより、本発明のテトミラストアセトニトリル和物結晶が、結晶として得られる。
【0084】
また、テトミラストアセトニトリル和物結晶は、公知のテトミラストB形無水物結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラストアセトニトリル和物結晶を除く)をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによって製造される。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物C形結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造することができる。
【0085】
使用する溶媒及び再結晶条件としては、テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶する前記方法と同様の溶媒及び再結晶条件を採用すればよい。
【0086】
さらに、上記方法をテトミラストアセトニトリル和物結晶に適用することにより、より高純度のテトミラストアセトニトリル和物結晶を得ることができる。
【0087】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0088】
このようにして得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶は純度95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0089】
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、製造条件によって様々の比率の混合物が生成するが、例えば、その一例として、下記(16)〜(18)に示す理化学的性質を有する混合物が生成する。
【0090】
(16)吸熱ピークの強弱はA形晶、B形晶の混合比によって影響を受ける。図11はA:Bが40:60の試料のものである。図11に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、175℃及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0091】
(17)テトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物の粉末X線回折スペクトルは、各々純粋なテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルの和となり、各結晶形に由来するピークの強度はテトミラスト無水物A形晶とテトミラスト無水物B形晶の混合比に影響される。図12に示される粉末X線回折スペクトルはテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合比が40:60の試料のものである。
【0092】
(18)テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合比が40:60の試料では、IR(KBr)スペクトルにおいて、3298、3088、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、760及び704cm−1に顕著な赤外吸収バンドを有する。なお、テトミラスト無水物A形晶とテトミラスト無水物B形晶の混合比の違いによって、吸収ピークに±5cm−1のズレが生じ得る。
【0093】
また、A:Bが10:90の試料のもの下記(19)〜(21)に示す理化学的性質を有する。
【0094】
(19)図13に示される熱重量測定/示差熱分析(昇温速度/分)吸熱曲線と実質的に同じ吸熱曲線を有する。具体的には、176℃及び189℃付近に吸熱ピークを示すことが特徴的である。
【0095】
(20)図14に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有する。具体的には、2θ=4.1°、11.9°、16.1°、17.2°、19.3°、24.2°、25.1°、25.9°及び27.3°に特徴的なピークを有する。
【0096】
(21)IR(KBr)スペクトルにおいて3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、756及び706cm−1に顕著な赤外吸収バンドを有する。
【0097】
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストB形結晶の混合物の製造方法
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、公知のテトミラスト無水物B形結晶又は上記方法により得られたテトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することにより製造できる。
【0098】
前記溶媒としては、特に限定されないが、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)が好ましい。
【0099】
前記溶媒の使用量は、前記テトミラスト結晶を攪拌加熱還流下で完全に溶解させることができる量であればよく、上記テトミラスト無水物B形結晶1gに対し、好ましくは30〜160ml、より好ましくは30〜50mlである。
【0100】
前記溶媒への溶解は、例えば攪拌しながら加熱還流下で行えばよい。前記溶解後、テトミラスト無水物B形結晶を溶解させた溶液の温度を下げることによって、本発明のテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物を得ることができる。降温速度は、0.4〜1.9℃/分程度であればよい。特に、降温速度を調節することにより、本発明のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の混合比を調節することができる。
【0101】
具体的には、まず、テトミラスト無水物B形結晶をアセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)に加え、攪拌しながら加熱還流下(約60℃)に溶解させる。得られた溶液を15分〜1時間程度で30℃付近までに放冷する。さらに、前記放冷により得られた懸濁液を10℃以下、好ましくは、0〜10℃付近にて30分〜3時間冷却することにより、本発明のテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物が、結晶として得られる。例えば、攪拌しながら加熱還流後、急冷(例えば、5分〜1時間程度で10℃以下、好ましくは、0〜10℃付近に冷却する)する場合、テトミラスト無水物A形結晶:テトミラストB形結晶が約10:90(重量比)の混合物が得られる。
【0102】
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の割合は、特に限定されない。
【0103】
また、上記混合物は、公知のテトミラストB形無水物結晶に代えて、新規テトミラスト結晶(テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を除く)を用いて製造することもできる。具体的には、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造することができる。
【0104】
使用する溶媒及び再結晶条件としては、テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶する前記方法と同様の溶媒及び再結晶条件を採用すればよい。
【0105】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、例えば、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって分離することができる。また、分離後、公知の方法により乾燥処理を行ってもよい。さらに、公知の精製操作によって、精製することができる。
【0106】
このようにして得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は純度(全体中に占めるテトミラストA形結晶及びテトミラストB形結晶の含有割合)95%以上であり、通常の粉砕機(例えばアトマイザー)によって粉砕することができる。これにより、製剤化に適した平均粒子径10〜50μm、90%積算粒子径80μm以下のテトミラスト粉砕品を得ることができる。
【0107】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれた少なくとも1種のテトミラスト結晶を含有する。
【0108】
本発明の医薬組成物は、さらにテトミラスト無水物B形結晶を含有してもよい。そのような医薬組成物として、例えばテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物を含む医薬組成物が挙げられる。
【0109】
本発明の新規のテトミラスト結晶は、好中球からの活性酸素の放出を抑制し、又は活性酸素種を除去する活性を有する。従って、過酸化脂質の生体内生成を防止する作用乃至これを低下させる作用を発揮する。よって、本発明の新規のテトミラスト結晶は、上記活性酸素種の過剰発生、過酸化脂質の生体内蓄積、或いはこれらに対する防御機構の欠損に起因する各種障害乃至疾患の予防及び/又は治療剤として有用である。より具体的には、本発明の医薬組成物を含む薬剤は、虚血、及び血液再開通に伴う障害から各種組織細胞を保護するような薬剤、例えばストレス性潰瘍等の消化器性潰瘍に対する予防及び/又は治療剤;心筋梗塞・不整脈等の心臓虚血疾患に対する予防及び/又は治療剤;脳出血・脳梗塞・一過性脳虚血発作等の脳血管疾患に対する予防及び/又は治療剤;移植・微小循環不全等に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;或いは、虚血以外の原因で異常に発生した活性酸素に依ると考えられる各種細胞障害を抑制する様な薬剤、例えばベーチェット病・皮膚血管炎・潰瘍性大腸炎・悪性リウマチ・関節炎・動脈硬化・糖尿病等の予防及び/又は治療剤として医薬品分野で有用である。
【0110】
また、本発明の新規のテトミラスト結晶は、サイトカイン産生異常、特にTNF−α、IL−1β、IL−6、IFN−γ等の産生異常に伴う各種疾患又は接着作用の亢進状態に伴う各種疾患に有効である。特に慢性関節リウマチ、エンドトキシンショック、胃液等の誤飲や毒性ガス又は敗血症等に起因する成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、熱傷、喘息等の各疾患、心筋虚血状態である心筋梗塞、ウィルス性心筋炎(特に、ウィルス性心筋炎の急性期)、特発性拡張型心筋症、虚血性心筋症等の慢性心不全、冠動脈バイパス手術(CABG)時や人工心肺使用時の虚血再灌流障害、肝臓癌等の肝切除後の肝不全や重傷急性膵炎等に起因する多臓器不全、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性腸疾患、高γグロブリン血症、全身性エリトマトーデス(SLE)、多発性硬化症等一連の自己免疫疾患、モノクローナルB細胞異常症(ミエローマ等)、ポリクローナルB細胞異常症、心房粘液腫、カストルマン症候群、原発性糸球体腎炎、メサンギュウム増殖性腎炎、癌カヘキシー、レンネルトリンパ腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、エイズに伴うカポシ肉腫、閉経後骨粗しょう症、敗血症、動脈硬化、血管炎、肝炎等の炎症性疾患、又は慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤、或いは全身性炎症反応症候群(SIRS)から重症急性膵炎、播種性血管内凝固症候群(DIC)等の臓器不全への移行、癌転移又は移植時による拒絶反応の抑制剤として好適に使用され得る。
【0111】
本発明の新規のテトミラスト結晶は、特に、気流閉塞(airflow obstruction)等の肺機能の低下改善作用を有し、慢性閉塞性肺疾患に対して極めて高い治療効果を示す。
【0112】
本発明の新規のテトミラスト結晶は、通常、一般的な医薬製剤の形態で用いられる。製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来よりよく知られている各種のものを広く使用することができる。その例としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。カプセル剤は常法に従い通常有効成分化合物を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。注射剤として調製される場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用でき、例えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有させることもできる。
【0113】
前記医薬製剤中に含有されるべき有効成分化合物の量としては、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、通常製剤組成物中に約1〜70重量%とするのがよい。
【0114】
本発明の医薬製剤には、本発明の有効成分化合物と共に、他の薬理活性成分若しくは他
の薬剤を配合することができる。このような薬理活性成分及び薬剤としては、例えば、ロ
イコトリエン生合成阻害剤 (5-リポキシゲナーゼ阻害剤及び5-リポキシゲナーゼ活性化蛋
白質(FLAP) 拮抗薬)、ロイコトリエン(LTB4,LTC4,LTD4及びLTE4)のための受容体拮抗
薬、アイソフォームPDE4Dの阻害剤を含むPDE4阻害剤、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、5-リポキシゲナーゼ活性化蛋白質 (FLAP) 拮抗薬、二重の5-リポキシゲナーゼ阻害剤、血小板活性化因子 (PAF) 拮抗剤、LTB4,LTC4,LTD4及びLTE4の拮抗剤を含むロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、抗ヒスタミン薬のH1受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬、α1及びα2アドレナリン受容体作動血管収縮交感神経作動薬(特に、うっ血除去薬用)、α1及びα2アドレナリン受容体作動薬と5-リポキシゲナーゼ阻害剤との混合物、抗コリン薬、β1 〜 β4アドレナリン受容体作動薬、メチルキサンタニン類、クロモグリク酸ナトリウム、ムスカリン性受容体 (M1 〜 M3) 拮抗薬、COX-1阻害剤 (NSAID) 、COX-2選択的阻害剤、一酸化窒素NSAID、1型インスリン様成長因子 (IGF-1) 模倣薬、シクレソニド、グルココルチコイド (全身の副作用を低減させた吸入させるもの)、トリプターゼ阻害薬、血小板活性化因子 (PAF) 拮抗薬、内在する炎症の実体に対して活性のある単クローン抗体、IPL576、抗腫瘍壊死因子(TNF-α) 薬、DMARD (レフルミドを含む)、TCRペプチド類、インターロイキン変換酵素 (ICE) 阻害剤、IMPDH阻害剤、VLA-4拮抗薬を含む接着分子阻害剤、カテプシン類、MAPキナーゼ阻害薬、グルコース-6リン酸脱水素酵素阻害剤、キニン-B1及びB2受容体拮抗薬、様々な親水基を有する金チオ基の形の金、免疫抑制剤、抗痛風薬、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、尿酸排泄薬、抗腫瘍薬 (特に細胞分裂抑制薬)、成長ホルモン分泌促進物質、MMP阻害剤、TGF-β、PDGF、線維芽細胞成長因子 (例えば塩基性線維芽成長因子: b-FGF)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子 (GM-CSF)、カプサンシンクリーム、タキキニンNK1及びNK3受容体拮抗薬、エラスターゼ阻害剤、PDE3阻害剤、H4受容体拮抗剤、その逆作動薬、抗酸化剤、ラジカル消去剤、β2アドレナリン受容体作動薬とグルココルチコイドとの混合物、低酸素誘発性因子 (HIF-1α) の蛋白質レベル増加剤、HIF-1αによってレベルが上昇する抗酸化蛋白質、血管内皮成長因子 (VEGF) 分泌促進物質、VEGF受容体作動薬等が挙げられる。
【0115】
前記医薬製剤の投与方法は特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
【0116】
前記医薬製剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分化合物の量が、1日当り体重1kg当り、約0.2〜200mg程度とするのがよい。
【発明の効果】
【0117】
本発明のテトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶、テトミラストアセトニトリル和物結晶及び前記テトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物は、再結晶による結晶形の制御が容易で、濾過性に優れているため、工業的な大量製造に向いている。
【0118】
また、これらテトミラスト結晶は、熱及び湿気に対する安定性、錠剤の崩壊性及び溶出性の点においてテトミラスト無水物B形結晶と同等又はそれ以上の性能を有する。従って、これらテトミラスト結晶は、医薬組成物として好適に使用できる。
【実施例】
【0119】
以下に、参考例、実施例及び製剤例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0120】
分析方法
(1)熱重量測定/示差熱分析
重量測定/示差熱分析は、津製作所製のTA60WS制御装置とDTG−60A示差熱熱重量同時測定装置を用いて行った。具体的には、前記装置を用いて、5〜10mgの試料を、乾燥窒素雰囲気下で20℃(室温)から250℃まで5℃/分の昇温速度で加熱することにより行った。基準物質としてはα−アルミナを用いた。
【0121】
(2)粉末X線回折
粉末X線回折スペクトルは、理学電機製のRAD−2B回折計(線源CuKα)を用いて、回折角3〜40°の範囲で日本薬局方の一般試験法により測定した。なお、測定の際、電圧/電流を35kV/20mAとし、スキャン速度を5°/分とした。
【0122】
テトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶との混合物の混合比は、該混合物の粉末X線回折スペクトルと純粋なテトミラスト無水物A形結晶と純粋なテトミラスト無水物B形結晶とを種々の割合で混合したものの粉末X線回折スペクトルとを比較することにより求めた。
【0123】
(3)赤外分光分析
IRスペクトルはKBr法により測定した。
【0124】
(4)1H−NMR測定
1H−NMRスペクトルは、DMSO−d6中、TMSを基準として測定した。
【0125】
(5)純度測定
純度測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。測定条件は、下記の通りであった。
【0126】
試料:試料0.03gをアセトニトリル80mlに溶かし、さらに水を20ml加えることにより試料溶液を調製した。試料溶液10μlを用いて測定を行った。
【0127】
検出器:紫外吸光光度計(UV254nm)
カラム:Wakosil 5C18 HG
移動相:アセトニトリル/10mMNa2SO4水溶液/リン酸(500:500:1)。
【0128】
(6)粒子サイズ測定
粒度は、0.1W/V%ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル0.2gのn−ヘキサン20ml溶液に、測定すべき粒子0.1gを懸濁し、超音波処理を行い、粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、マイクロトラック社製)を用いて測定した。
【0129】
(7)水分値測定
カールフィッシャー法により試料中の水分を測定した。
【0130】
(8)融点測定(補正済み)
融点は、加熱装置(製品名「LK6000PM」、ジャパンハイテック株式会社製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件下、加熱し、融解の様子を株式会社キーエンス製のVH−7000C顕微鏡を用いて観測記録した。
【0131】
参考例1
テトミラスト無水物B形結晶の製造
テトミラスト無水物B形結晶は、下記(1)〜(3)の方法により製造した。
【0132】
(1)非特許文献1に記載の方法により、テトミラスト無水物B形結晶を得た。すなわち、次の方法により、テトミラスト無水物B形結晶を得た。
【0133】
まず、エタノール(1.4L)に、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸メチル(49g、127mmol)及び10%水酸化ナトリウム(100ml)を入れ、4時間攪拌しながら加熱還流下した。得られた混合溶液から、大部分の溶媒を取り除き、残渣に水及び酢酸エチルを加えて分液した。分液により得られた水層を10%塩酸で酸性にした後、酢酸エチルを用いて抽出し、すばやく、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに過剰の硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた混合物を酢酸エチルで再結晶することにより、テトミラスト無水物B形結晶を得た。
【0134】
得られたテトミラスト無水物B形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0135】
得られたテトミラスト無水物B形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図5と同様の吸熱ピークを示した。
【0136】
得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図6と同様のスペクトルが見られた。
【0137】
得られたテトミラスト無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0138】
(2)後述する実施例1の方法により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをイソ
プロパノール400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色針状晶のテトミラスト無水物B形結晶を4.6g得た(収率92%)。
【0139】
得られたテトミラスト無水物B形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0140】
得られたテトミラスト無水物B形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図5に示したように、177℃付近及び188℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0141】
得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図6に示したように2θ=4.1°、8.1°、11.9°、16.1°及び24.2°に特徴的なピークを示した。
【0142】
得られたテトミラスト無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0143】
(3)後述する実施例1の方法により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gを酢酸エチル400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を、約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色針状晶のテトミラスト無水物B形結晶を9.3g得た(収率93%)。
【0144】
得られたテトミラスト無水物B形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0145】
得られたテトミラスト無水物B形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図5と同様の吸熱ピークを示した。
【0146】
得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図6と同様のスペクトルが見られた。
【0147】
得られたテトミラスト無水物B形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、762及び706cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0148】
実施例1
テトミラスト無水物A形結晶の製造
テトミラスト無水物A形結晶は、下記(1)〜(7)の方法により製造した。
【0149】
(1)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶5gをアセトン140ml及び水35mlの混合溶液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約100分かけて40℃まで冷却後(この時点でテトミラスト無水物A形結晶が析出)、さらに、10℃以下に冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を60℃で18時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を4.0g得た(収率80%)。
【0150】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、187〜189℃で融解(分解)した。
【0151】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3に示したように、188℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0152】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4に示したように2θ=10.5°、13.1°、18.4°、21.9°及び25.8°に特徴的なピークが見られた。
【0153】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0154】
(2)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをエタノール400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を4.3g得た(収率86%)。
得られたテトミラスト無水物A形結晶の融点は、188〜190℃(分解)であった。
【0155】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0156】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0157】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0158】
(3)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gを攪拌しながら加熱還流下、アセトン400ml中に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を8.3g得た(収率83%)。
【0159】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、188〜190℃で融解(分解)した。
【0160】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0161】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0162】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0163】
(4)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gをアセトン320ml及び水80mlの混合液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を、3時間かけて30℃、1時間かけて20℃、更に0.5時間かけて10℃と段階的に冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を8.3g得た(収率83%)。
【0164】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、187〜189℃で融解(分解)した。
【0165】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0166】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0167】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0168】
(5)後述する実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをアセトン450ml及び水300mlの混合液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶を4.2g得た(収率84%)。
【0169】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、188〜190℃で融解(分解)した。
【0170】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0171】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0172】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0173】
(6)3−オキソ−3−(6−メトキシカルボニル−2−ピリジル)プロピオン酸エチル41.4gを水42mlと酢酸エチル414mlの混合液中に溶解し、5〜10℃に冷却した。この中に塩化スルフリル35.6gを酢酸エチル83mlに溶解した溶液を攪拌下、約30分を要して滴下した。10〜20℃で1時間攪拌後、反応液の溶媒を留去しながら90℃付近まで加熱し、そのまま約90〜100℃で2時間加熱攪拌を続けた。得られた混合懸濁液(結晶を含む)を10℃付近まで冷却し1時間攪拌した後、濾過することにより、2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸27.99gを黄褐色結晶(融点184−189℃、純度98〜99%)として得た。
【0174】
2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸20g及び3,4−ジエトキシチオベンズアミド22.6gを水100ml及びジメトキシエタン200mlの混合液中に溶解させた。得られた混合溶液を攪拌下に2時間攪拌しながら加熱還流下した後、その反応液を5℃以下に冷却して、黄褐色析出物を濾取した。
【0175】
次に、水酸化カリウム6.18gを水372mlに溶かした混合溶液に、前記析出晶を溶解させた。この溶液を酢酸エチルで2回抽出した(186ml×2)。分離した水層に1gの活性炭を加えて、約30℃で30分間攪拌した。その後、活性炭を濾去し、得られた濾液にアセトン372ml及び濃塩酸11.2gを加えて懸濁液(テトミラスト水和物結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物)を得た。テトミラスト水和物結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物をテトミラスト無水物A形結晶へ転移させるために、前記懸濁液を60℃で30分間加熱した後、室温まで冷却して、結晶を濾取することにより、テトミラスト無水物A形粗結晶(34.82g、wet状態)が得られた。
【0176】
この粗結晶8.67gを乾燥することなく、アセトン213ml及び水53mlの混合液に60℃で加熱溶解し、熱時濾過を行なった。次に、得られた濾液を再加熱して結晶の溶解を確認した後、50℃まで冷却した。冷却した濾液にテトミラスト無水物A形結晶79mgを種晶として加え、42〜50℃(内温)で2時間攪拌した。得られた溶液を約20分かけて20℃まで冷却し、19〜25℃で2時間攪拌した。その後、35分かけて5℃まで冷却し、4〜5℃で2時間攪拌し、析出晶を濾取した。前記析出晶を80℃で一夜乾燥することによりテトミラスト無水物A形晶を7.25g得た(6−クロロアセチル−2−ピリジンカルボン酸を基準とした収率は、78.4%であった)。
得られたテトミラスト無水物A形結晶のHPLC純度は、99.9%であった。
【0177】
得られたテトミラスト無水物A形結晶は、175℃付近で一部が融解し、針状晶に変化した後、187〜190℃で完全に融解(分解)した。
【0178】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0179】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0180】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0181】
得られたテトミラスト無水物A形結晶をアトマイザーで粉砕し、平均粒子径30.4μm、90%積算粒子径57μmの粉末を得た。
【0182】
(7)後述する実施例5(2)によって得られたテトミラスト水和物粗結晶32.36gを精製水197ml及びアセトン793mlの混合液中に約60℃で加熱溶解し、熱時濾過を行なった。次に、得られた濾液を再加熱し、結晶の溶解を確認した後、45℃まで冷却した。冷却した濾液にテトミラスト無水物A形晶290mgを加えて、45℃で2時間攪拌した。得られた溶液を、約1時間かけて20℃まで冷却し、20〜24℃で2時間攪拌した。その後、約2時間かけて5℃まで冷却し、−1〜5℃で2時間攪拌し、析出晶を濾取した。前記析出晶を、80℃で4時間乾燥することにより、テトミラスト無水物A形晶を24.11g得た。
【0183】
得られたテトミラスト無水物A形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図3と同様の吸熱ピークを示した。
【0184】
得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図4と同様のスペクトルが見られた。
【0185】
得られたテトミラスト無水物A形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3306、3084、1746、1593、1474、1348、1271、1132、1045、758及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0186】
実施例2
テトミラスト無水物C形結晶の製造
実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをメタノール500ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、さらに、10℃以下で1時間冷却して、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色板状晶のテトミラスト無水物C形結晶を3.8g得た(収率76%)。
【0187】
得られたテトミラスト無水物C形結晶は、184℃で結晶表面より針状晶が成長し、187〜190℃で融解(分解)した。
【0188】
得られたテトミラスト無水物C形結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図7に示したように、184℃付近及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0189】
得られたテトミラスト無水物C形結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図8に示したように2θ=4.2°、8.2°、12.0°、16.4°、24.7°及び25.9°に特徴的なピークが見られた。
【0190】
得られたテトミラスト無水物C形結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3300、3088、1744、1593、1476、1346、1267、1132、1045、754及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0191】
実施例3
テトミラストアセトニトリル和物結晶の製造
実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶5gをアセトニトリル400ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色板状晶のテトミラストアセトニトリル和物を5.1g得た(収率:定量的)を得た。
【0192】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶は、90℃で結晶の白濁が認められた後、187〜190℃で融解(分解)した。
【0193】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図9に示したように、91℃付近、176℃付近及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0194】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図10に示したように2θ=3.6°、7.1°、10.6°、14.2°及び24.8°に特徴的なピークが見られた。
【0195】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3300、3090、2249(ニトリル基)、1744、1593、1476、1346、1269、1132、1045、752及び704cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0196】
得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶のNMR(DMSO−d6)スペクトルを測定すると、δ2.1ppmにアセトニトリルのメチル基ピークが見られた。
【0197】
実施例4
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の製造
テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、下記(1)又は(2)の方法により製造した。
【0198】
(1)実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gをアセトン320ml及び水80mlの混合液中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を約1時間かけて約30℃まで放冷した後、続けて、約10分かけて10℃まで放冷し、さらに、10℃以下で1時間冷却し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色柱状晶のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)を8.5g得た(収率85%)。
【0199】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物は、178℃でごく一部が融解し、針状晶に結晶化した後、188〜190℃で融解(分解)した。
【0200】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)を熱重量測定/示差熱分析すると、図11に示したように、175℃及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0201】
また、得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図12に示したように2θ=4.2°、11.9°、13.2°、16.2°、17.3°、24.3°、25.3°、25.9°及び27.5°に特徴的なピークが見られた。
【0202】
さらに、得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=40:60)のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3088、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、760及び704cm−1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0203】
(2)実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶10gをアセトン320ml及び水80ml中に攪拌しながら加熱還流下に溶解させた。得られた溶液を30分間かけて10℃まで急冷し、析出晶を濾取した。前記析出晶を50℃で3時間乾燥することにより、白色粉末のテトミラスト無水物A形結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)を7.8g得た(収率78%)。得られた混合物は、176℃で一部が融解し、針状晶に結晶化した後、187〜190℃で融解(分解)した。
【0204】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)を熱重量測定/示差熱分析すると、図13に示したように、176℃及び189℃付近に吸熱ピークが見られた。
【0205】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図14に示したように2θ=4.1°、11.9°、16.1°、17.2°、19.3°、24.2°、25.1°、25.9°及び27.3°に特徴的なピークが見られた。
【0206】
得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物(A:B=10:90)のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3298、3090、1744、1593、1474、1348、1269、1132、1045、756及び706cm−1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0207】
実施例5
テトミラスト1水和物結晶の製造
テトミラスト1水和物結晶は、下記(1)〜(3)の方法により製造した。
【0208】
(1)2−(2−クロロアセチル)−6−ピリジンカルボン酸18.7g及び3,4−ジエトキシチオベンズアミド21.1gを水94ml及びジメトキシエタン187mlの混合液中に溶かし、約80℃(還流)で2時間攪拌した。得られた溶液を5℃まで冷却した後、1時間攪拌し、黄褐色析出物を濾取した。前記析出晶を水酸化カリウム5.78gを水348mlに溶かした溶液に溶解させた。得られた混合溶液を174mlの酢酸エチルで2回洗浄した。その後、分離した水層に、1.9mlの水に活性炭0.9gを懸濁させた液を加え、30〜31℃で30分攪拌した。活性炭を濾去し、得られた濾液に348mlのアセトンを加え、次いで攪拌下に10.4gの濃塩酸を加え、1時間攪拌後、析出した結晶を濾取した。この結晶を348mlの水に懸濁させて、27〜30℃で30分間攪拌した後、これを濾取した。得られた結晶をアセトン35ml及び水35mlの混合液で洗浄し、29.53gのテトミラスト1水和物結晶を得た。
【0209】
得られたテトミラスト1水和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図1に示したように、189℃付近に吸熱ピークが見られ、さらに、102℃付近に幅広いピークが見られた。
【0210】
得られたテトミラスト1水和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図2に示したように2θ=10.6°、12.9°、21.1°、22.3°及び25.0°に特徴的なピークが見られた。
【0211】
得られたテトミラスト1水和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0212】
(2)水酸化カリウム8.33gを水500mlに溶かした混合液に、実施例1(6)により得られたテトミラスト無水物A形結晶50gを溶解させた。この混合溶液を濾過後、濾液にアセトン500mlを加え、攪拌下、濃塩酸13ml(1.1eq)を加えた(このとき析出するのは、テトミラスト無水物B形結晶であった)。得られる溶液を約10分間室温で攪拌した。攪拌後、上記実施例5(1)にて得られたテトミラスト1水和物の結晶2.5gを種晶として加え、2時間攪拌を続けた(この間、溶媒媒介転移が進行する。攪拌時間が短いとテトミラスト水和物結晶とテトミラスト無水物B形結晶の混合物が得られる)。得られた析出晶を濾取した後、水400ml中に懸濁して、20〜30℃で30分間攪拌を行なった。その後、結晶を濾取し、アセトン−水(アセトン含有量50容量%)80mlで洗浄した。そして、それを1終夜減圧乾燥することにより、テトミラスト1水和物結晶を51.5g得た。
【0213】
得られたテトミラスト1水和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図1と同様の吸熱ピークを示した。
【0214】
得られたテトミラスト1水和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図2と同様のスペクトルが見られた。
【0215】
得られたテトミラスト1水和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0216】
(3)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶2.37gをアセトン50ml及び水50mlの混合液中に懸濁させ、5分程度攪拌した後、テトミラスト水和物結晶を種晶として加え、さらに、30℃で1時間攪拌した。結晶を濾取後、60℃で終夜乾燥し、2.34gのテトミラスト水和物結晶を得た。
【0217】
得られたテトミラスト水和物結晶の水分値は4.68%であり、テトミラスト1水和物結晶の理論水分量(4.64%)とほぼ一致した。
【0218】
前記1水和物は、100℃付近で白濁し、188〜189℃で融解(分解)した。
【0219】
得られたテトミラスト1水和物結晶を熱重量測定/示差熱分析すると、図1と同様の吸熱ピークを示した。
【0220】
得られたテトミラスト1水和物結晶の粉末X線回折スペクトルを測定すると、図2と同様のスペクトルが見られた。
【0221】
得られたテトミラスト1水和物結晶のIR(KBr)スペクトルを測定すると、3516、3433、1742、1709、1587、1472、1267、1143、1040、758及び716cm-1に顕著な赤外吸収バンドが見られた。
【0222】
実施例6
テトミラスト無水物B形結晶からテトミラスト無水物A形結晶への熱転移
テトミラスト無水物B形結晶からテトミラスト無水物A形結晶への熱転移を下記(1)〜(3)により確認した。
【0223】
(1)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶を20〜30℃で約1年間放置した後、粉末X線回折により、結晶形を調べたところ、テトミラスト無水物B形結晶形を保持していることが確認できた。
【0224】
(2)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶5gをアセトン40ml及び水10mlの混合液中に懸濁し、20℃で攪拌した。その際、15分、30分、60分、120分おきにサンプリングを行い粉末X線回折により、結晶形を調べたところ、15分間攪拌したもの、30分攪拌したもの及び60分間攪拌したものは、テトミラスト無水物B形結晶形を保持していることが確認できた。
一方、120分間攪拌したものは、テトミラスト無水物B形結晶及びテトミラスト無水物A形結晶の混合物(A:B=70:30)であることが確認できた。
【0225】
(3)参考例1(3)により得られたテトミラスト無水物B形結晶5gをアセトン40ml及び水10mlの混合液中に懸濁し、40℃で攪拌した。15分、30分、60分、120分おきにサンプリングを行い粉末X線回折により、結晶形を調べたところ、15分間攪拌したものは、テトミラスト無水物B形結晶及びテトミラスト無水物A形結晶の混合物(A:B=50:50)であることが確認できた。
【0226】
一方、30分間攪拌したもの、60分間攪拌したもの及び120分間攪拌したものは、テトミラスト無水物A形結晶に変化していることが確認できた。
【0227】
なお、使用する溶媒の種類によって、異なる結晶形態のテトミラストが得られる場合、原料として使用するテトミラスト結晶の結晶形には依存しないため、テトミラスト無水物A形結晶(純度99.9%)を用いた例を掲げたが、テトミラスト無水物A形結晶以外の新規テトミラスト結晶を用いた場合にも同様の結果が得られた。
【0228】
製剤例
1錠中に、テトミラスト無水物C形結晶5mg、デンプン132mg、マグネシウムステアレート18mg及び乳糖45mgの組成を含有する錠剤を常法により製造した。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】図1は、実施例5(1)得られたテトミラスト水和物結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図2】図2は、実施例5(1)で得られたテトミラスト水和物結晶の粉末X線回折図である。
【図3】図3は、実施例1(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図4】図4は、実施例1(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶の粉末X線回折図である。
【図5】図5は、参考例1(2)で得られたテトミラスト無水物B形結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図6】図6は、参考例1(2)で得られたテトミラスト無水物B形結晶の粉末X線回折図である。
【図7】図7は、実施例2で得られたテトミラスト無水物C形結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図8】図8は、実施例2で得られたテトミラスト無水物C形結晶の粉末X線回折図である。
【図9】図9は、実施例3で得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図10】図10は、実施例3で得られたテトミラストアセトニトリル和物結晶の粉末X線回折図である。
【図11】図11は、実施例4(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図12】図12は、実施例4(1)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の粉末X線回折図である。
【図13】図13は、実施例4(2)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の熱重量測定/示差熱分析図である。
【図14】図14は、実施例4(2)で得られたテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物の粉末X線回折図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図2に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト水和物結晶。
【請求項2】
テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中で攪拌することによりテトミラスト水和物結晶を製造する方法。
【請求項3】
図4に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物A形結晶。
【請求項4】
テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
【請求項5】
溶媒が、エタノール、アセトン又はアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
【請求項7】
溶媒が、メタノール、エタノール、アセトン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
図8に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物C形結晶。
【請求項9】
テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
【請求項10】
溶媒が、メタノール又はエタノールである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
【請求項12】
溶媒が、メタノール又はエタノールである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
図10に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラストアセトニトリル和物結晶。
【請求項14】
テトミラスト無水物B形結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
【請求項15】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物C形結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
【請求項16】
請求項3に記載のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物。
【請求項17】
テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
【請求項18】
溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
【請求項20】
溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を含有する医薬組成物。
【請求項22】
消化器性潰瘍に対する予防及び/又は治療剤;心臓虚血疾患に対する予防及び/又は治療剤;脳血管疾患に対する予防及び/又は治療剤;移植・微小循環不全に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;或いは、ベーチェット病、皮膚血管炎、潰瘍性大腸炎、悪性リウマチ、関節炎、動脈硬化又は糖尿病の予防及び/又は治療剤である請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
慢性関節リウマチ、エンドトキシンショック、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、熱傷、喘息、心筋梗塞、ウィルス性心筋炎、慢性心不全、虚血再灌流障害、多臓器不全、炎症性腸疾患、自己免疫疾患、モノクローナルB細胞異常症、ポリクローナルB細胞異常症、心房粘液腫、カストルマン症候群、原発性糸球体腎炎、メサンギュウム増殖性腎炎、癌カヘキシー、レンネルトリンパ腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、エイズに伴うカポシ肉腫、閉経後骨粗しょう症、敗血症、炎症性疾患又は慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤、或いは、全身性炎症反応症候群(SIRS)から臓器不全への移行、癌転移又は移植時による拒絶反応の抑制剤である請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤である請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項1】
図2に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト水和物結晶。
【請求項2】
テトミラスト無水物B形結晶を含水溶媒中で攪拌することによりテトミラスト水和物結晶を製造する方法。
【請求項3】
図4に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物A形結晶。
【請求項4】
テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
【請求項5】
溶媒が、エタノール、アセトン又はアセトン−水(アセトン含有量40容量%以上)である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶を製造する方法。
【請求項7】
溶媒が、メタノール、エタノール、アセトン及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
図8に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラスト無水物C形結晶。
【請求項9】
テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
【請求項10】
溶媒が、メタノール又はエタノールである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物C形結晶を製造する方法。
【請求項12】
溶媒が、メタノール又はエタノールである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
図10に示される粉末X線回折スペクトルと実質的に同じ粉末X線回折スペクトルを有するテトミラストアセトニトリル和物結晶。
【請求項14】
テトミラスト無水物B形結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
【請求項15】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物C形結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶をアセトニトリルに溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラストアセトニトリル和物結晶を製造する方法。
【請求項16】
請求項3に記載のテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物。
【請求項17】
テトミラスト無水物B形結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
【請求項18】
溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を溶媒に溶解させた溶液から再結晶することによりテトミラスト無水物A形結晶及びテトミラスト無水物B形結晶の混合物を製造する方法。
【請求項20】
溶媒が、アセトン−水(アセトン含有量40〜95容量%)である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
テトミラスト水和物結晶、テトミラスト無水物A形結晶、テトミラスト無水物C形結晶及びテトミラストアセトニトリル和物結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のテトミラスト結晶を含有する医薬組成物。
【請求項22】
消化器性潰瘍に対する予防及び/又は治療剤;心臓虚血疾患に対する予防及び/又は治療剤;脳血管疾患に対する予防及び/又は治療剤;移植・微小循環不全に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;或いは、ベーチェット病、皮膚血管炎、潰瘍性大腸炎、悪性リウマチ、関節炎、動脈硬化又は糖尿病の予防及び/又は治療剤である請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
慢性関節リウマチ、エンドトキシンショック、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、熱傷、喘息、心筋梗塞、ウィルス性心筋炎、慢性心不全、虚血再灌流障害、多臓器不全、炎症性腸疾患、自己免疫疾患、モノクローナルB細胞異常症、ポリクローナルB細胞異常症、心房粘液腫、カストルマン症候群、原発性糸球体腎炎、メサンギュウム増殖性腎炎、癌カヘキシー、レンネルトリンパ腫、乾癬、アトピー性皮膚炎、エイズに伴うカポシ肉腫、閉経後骨粗しょう症、敗血症、炎症性疾患又は慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤、或いは、全身性炎症反応症候群(SIRS)から臓器不全への移行、癌転移又は移植時による拒絶反応の抑制剤である請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎又はクローン病である請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
慢性閉塞性肺疾患の予防及び/又は治療剤である請求項23に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−277235(P2007−277235A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69799(P2007−69799)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]