新規なトリアジン誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子
【課題】新規なリン光材料、とくに青色リン光材料に適したワイドギャップな電子輸送層を形成するのに有用な新規なトリアジン誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】一般式(1)
で表されるトリアジン誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【解決手段】一般式(1)
で表されるトリアジン誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリン光材料、とくに青色リン光材料に適したワイドギャップな電子輸送層を形成するのに有用な新規なトリアジン誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、電極から注入された正孔と電子の再結合によって生成した励起エネルギーが発光過程を経て基底状態に緩和されることにより自発光する。しかしながら、正孔と電子の再結合によって生成する励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大で25%であるので、この時取り出し効率を20%とすると、最大外部量子効率は5%が理論限界であった。
【0003】
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い三重項励起状態からの発光、すなわちリン光発光を用いることにより発光効率の向上が報告されるようになった(例えば、非特許文献1)。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用することで最大内部量子効率は理論上100%に到達することが可能で、リン光材料は発光材料として注目を浴びている。
【0004】
例えば緑色材料として、下記式
【化12】
に示すトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[IrPPy]が広く利用されている。
【0005】
また安達らによる非特許文献2などにより青色発光材料である下記式
【化13】
で示すビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
【0006】
その結果最近ではS.R.Forrestらによる非特許文献3では下記式
【化14】
で示すトリス[1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾラート,N,C2′]イリジウム(III)(Irtfmppz3)やM.E.Thompsonらによる非特許文献4では下記式
【化15】
で示すビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)が開発された。
【0007】
これら発光材料を効率よく発光させるには正孔と電子の注入バランスを整えて、発光層の中で十分にこれらのキャリアーの再結合が行えるように正孔輸送剤や電子輸送剤などを選択しなければならない。
特に青色リン光材料についてはエネルギーギャップが大きいためにワイドギャップ化された正孔輸送剤や電子輸送剤が必要になってくる。現在これらリン光材料については、電子輸送材料に従来から使用されているAlq3〔トリス(8−キノリノラト)アルミニウム〕やBAlq2〔ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム−p−フェニルフェノラート〕等が使用されているが、リン光材料に使用するには十分なエネルギーギャップを持ち合わせていないため新規なワイドギャップな電子輸送材料の開発が必要である。
【0008】
【非特許文献1】M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest APPLIED PHYSICS LETTER 1999 75(1) 4−7
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.,79, 2082(2001)
【非特許文献3】J.Appl.Phys.90 5048(2001)
【非特許文献4】4Polyhedron 23 (2004) 419−428
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、新規なトリアジン誘導体を提供する点にある。本発明の第2の目的は、それを用いた新規な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化16】
下記一般式(2)
【化17】
下記一般式(3)
【化18】
下記一般式(4)
【化19】
下記一般式(5)
【化20】
および下記一般式(6)
【化21】
〔前記一般式(1)〜(6)における式中のR1〜R14は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化22】
である。〕
よりなる群から選ばれたトリアジン誘導体に関する。
本発明の第2は、前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(7)
【化23】
〔式中のR21〜R32は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化24】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第3は、前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(8)
【化25】
〔式中のR41〜R52は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化26】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第4は、3.4eV以上の広いエネルギーギャップ(Eg)を有する請求項1〜3いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる一般式(1)〜(6)で表される化合物はバンドギャップが3.4eV以上の値を示すことが好ましい。バンドギャップが上記の値を示すことで電子輸送性を保持し正孔ブロック効果が期待でき、発光効率の向上が期待できる。また特に青色リン光材料を発光させるには大きなバンドギャップが必要である。
バンドギャップとは、化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の差を表す。化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)は一般に真空準位を基準に決定される。イオン化ポテンシャル(Ip)は化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーのことであり、一方、電子親和力(Ea)は真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーのことである。
イオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の差は、エネルギーギャップ(Eg)として化合物の吸収スペクトルの吸収端より求めることができる。
一般に以下の式で求めることができる。吸収端の波長をWnmとすればそのときのエネルギーギャップEgは
Eg=1240÷W
で求めることができる。
本発明の第5は、500nmよりも短波長に低温リン光スペクトルの発光端を示す請求項1〜4いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる一般式(1)〜(6)で表される化合物は低温リン光の発光端が500nm以下の値を示すことが好ましい。低温リン光スペクトルの測定は、リン光材料が一般に室温で測定することが困難であり、被測定物を液体ヘリウムなどで冷却した状態で測定する。これを測定することで組み合せるリン光発光材料へのエネルギーの移動がスムーズに起こるかどうかの判断がつく。特に青色リン光材料との組合せの場合、発光端の値が500nm以下でないとスムーズなエネルギー移動が起こりえない。
本発明の第6は、一般式(1)〜(6)におけるAr′がピリジル基である請求項1〜5いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第7は、一般式(1)〜(6)におけるArが単結合またはフェニレン基である請求項1〜6いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第8は、一般式(1)、(2)、(4)、(5)、(6)におけるArが3′−位および/または、5′−位に結合している請求項1〜7いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第9は、請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第10は、請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第11は、請求項4記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第12は、請求項5記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0011】
本発明の一般式(1)〜(6)で示されるトリアジン誘導体は、下記一般式(9)〜(14)
【化27】
【化28】
〔前記、一般式(9)〜(14)中、R1〜R14は前記と同一であり、Xはハロゲン、好ましくはBrまたはCl、とくに好ましくはBrであり、Aは、前記と同一である。〕
で示されるハロゲン化トリアジン化合物を原料とし、塩基、触媒および溶媒の存在下において、下記一般式(15)
【化29】
(式中、Ar、Ar′は前記と同一である)で示されるトリ(ヘテロアリールメシチル)ボランを反応させることにより製造できる。
【0012】
これらの反応で使用する溶媒は、トルエン、トルエン−アルコール混合溶媒、ジメトキシエタンなどが使用できる。またこの反応で使用する塩基については、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような無機アルカリ金属塩、トリエチルアミンのような有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドのような有機アルカリ金属塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド1Mメタノール溶液等の有機塩基化合物の有機溶液等が使用できる。また、触媒で使用するパラジウム触媒については、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムが好ましいが、酢酸パラジウムやビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド、ビス〔1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕パラジウムジクロライド、ビス〔1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〕パラジウムジクロライドなどの0価の有機パラジウム錯体が使用できる。
また、これらの反応で使用するアリールホウ酸化合物については、対応するアリールハロゲン化合物を無水のジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒中でn−ブチルリチウムなどでリチオ化し、これにトリメトキシボラン、トリエトキシボロン、トリイソプロピルボロン、ピナコールボロンやビス(ピナコラート)ジボロンなどと作用させることにより容易に合成することができる。
【0013】
これらの反応は下記反応式に示すとおりである。(略号は、前述の説明とすべて同じである)
【化30】
【化31】
【0014】
前記R1〜R14、R21〜R32、R41〜R52におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどを挙げることができる。
【0015】
置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−(ジメチルアミノ)エトキシ基、2−(ジブチルアミノ)エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−エトキシプロポキシ基、3−(ジメチルアミノ)プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、2−ペントキシ基、3−ペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシロキシ基、2−ヘキシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、2−ブチルヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクトキシ基、2−オクトキシ基、ノニロキシ基、デシロキシ基、ドデシロキシ基、アリロキシ基、ベンジロキシ基、4−メトキシベンジロキシ基、4−フルオロベンジロキシ基、3−(ジメチルアミノ)ベンジロキシ基、4−フェニルベンジロキシ基、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、1−(2−メトキシナフチル)メトキシ基、9−アントリルメトキシ基、ジフェニルメトキシ基、ジ(p−トリル)メトキシ基、ジ(4−メトキシフェニル)メトキシ基、ジ(1−ナフチル)メトキシ基、トリフェニルメトキシ基、3−フェニルプロピロキシ基等が挙げられる。
【0016】
置換もしくは無置換のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ヘプチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、イソブチルメチルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、エチルイソブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、エチルペンチルアミノ基、ヘキシルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、ブチルヘキシルアミノ基、ヘキシルペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルメチルアミノ基、シクロヘキシルエチルアミノ基、シクロヘキシルイソプロピルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、ヘプチルメチルアミノ基、ヘプチルイソプロピルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、オクチルプロピルアミノ基、ジオクチルアミノ基、デシルエチルアミノ基、デシルイソプロピルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルドデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基等が挙げられる。
【0017】
置換もしくは無置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、4−フェニル−2−ナフチル基、1−フェニル−5−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、o−テルフェニル−3−イル基、o−テルフェニル−4−イル基、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−シアノフェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、10−メチル−9−アントリル基、10−メトキシ−9−アントリル基、4−フェニル−8−フルオランテニル基、7−ジメチルアミノ−9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、3′,5′−ジフェニルビフェニル−4−イル基等が挙げられる
【0018】
炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基としては、前記例示の各種アリール基の結合手部分に酸素が導入されたものを挙げることができる。例えば、置換もしくは無置換のアリーロキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、4−フェニル−1−ナフトキシ基、4−フェニル−2−ナフトキシ基、1−フェニル−5−ナフトキシ基、1−アントリロキシ基、2−アントリロキシ基、9−アントリロキシ基、10−フェニル−9−アントリロキシ基、1−フェナントリロキシ基、2−フェナントリロキシ基、3−フェナントリロキシ基、4−フェナントリロキシ基、9−フェナントリロキシ基、1−ピレニロキシ基、2−ピレニロキシ基、1−ペリレノキシ基、2−ペリレノキシ基、3−ペリレノキシ基、1−フルオランテノキシ基、2−フルオランテノキシ基、3−フルオランテノキシ基、8−フルオランテノキシ基、2−トリフェニレノキシ基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イロキシ基、2−ビフェニルイロキシ基、3−ビフェニルイロキシ基、4−ビフェニルイロキシ基、p−ターフェニル−3−イロキシ基、p−ターフェニル−4−イロキシ基、m−ターフェニル−3−イロキシ基、m−ターフェニル−4−イロキシ基、o−ターフェニル−3−イロキシ基、o−ターフェニル−4−イロキシ基、4−(1−ナフチル)−1−ナフトキシ基、o−トリロキシ基、m−トリロキシ基、p−トリロキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、4−ジメチルアミノフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−(トリフルオロメチル)フェノキシ基、4−メチル−1−ナフトキシ基、4−フェニル−1−ナフトキシ基、2−メトキシ−ナフトキシ基、10−メチル−9−アントリロキシ基、10−メトキシ−9−アントリロキシ基、4−フェニル−フルオランテン−8−イロキシ基、7−ジメチルアミノ−9,9−ジメチルフルオランテン−2−イロキシ基、3′,5′−ジフェニルビフェニル−4−イロキシ基等が挙げられる。
【0019】
置換もしくは無置換のアリールアミノ基の例としては、前記アリール基として挙げた1価の基にアミノ基が置換した基であり、たとえば、1−フェニルアミノ基、N−o−トリルアミノ基、N−m−トリルアミノ基、N−p−トリルアミノ基、N−1−ナフチルアミノ基、N−2−ナフチルアミノ基、N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(4−エチルフェニル)アミノ基、N−(4−フルオロフェニル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−アミノ基、2−ナフチルアミノ基、N−(1−アントリル)アミノ基、N−(2−アントリル)アミノ基、N−(9−アントリル)アミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)アミノ基、N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(o−トリル)アミノ基、N,N−ジ(m−トリル)アミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、N,N−ジ(1−ナフチル)アミノ基、N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−エチルフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−フルオロフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(o−トリル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(o−トリル)アミノ基、N−(1−アントリル)フェニルアミノ基、N−(2−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(1−アントリル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(2−アントリル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(9−フェナントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(9−フェナントリル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(m−トリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−フェニルアミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N,N−ジ(3−フルオランテニル)アミノ基、N−フェニル−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(9−フルオランテニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−フェニルアミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−(m−トリル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノメチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(9−フルオランテニル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アミノ基、ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)アミノ基等が挙げられる。
【0020】
Arにおけるアリーレン基は、前記アリール基の例に挙げたものに対応するアリーレン基を挙げることができ、またAr′のヘテロアリール基としては、1個〜3個の窒素を1つの環内に有するもの、1個の硫黄を環内に有するもの、1個の硫黄と窒素を1つの環内に有するもの、1個の窒素と酸素を1つの環内に有するもの、1個の酸素と硫黄を1つの環内に有するものなどを挙げることができる。
【0021】
Ar′−Ar−として具体的な例を以下に示す。
【0022】
【化32】
【0023】
【化33】
【0024】
【化34】
【0025】
【化35】
【0026】
【化36】
前記Meはメチル基である。
【0027】
本発明のトリアジン誘導体の例を以下に示す。
【0028】
【化37】
【0029】
【化38】
【0030】
【化39】
【0031】
【化40】
【0032】
【化41】
【0033】
【化42】
【0034】
【化43】
【0035】
【化44】
【0036】
【化45】
【0037】
【化46】
【0038】
【化47】
【0039】
【化48】
【0040】
【化49】
【0041】
【化50】
【0042】
【化51】
【0043】
【化52】
【0044】
【化53】
【0045】
【化54】
【0046】
【化55】
【0047】
【化56】
【0048】
【化57】
【0049】
【化58】
【0050】
【化59】
【0051】
【化60】
【0052】
【化61】
【0053】
【化62】
【0054】
【化63】
【0055】
【化64】
【0056】
【化65】
【0057】
【化66】
【0058】
【化67】
【0059】
【化68】
【0060】
【化69】
【0061】
【化70】
【0062】
【化71】
【0063】
【化72】
【0064】
【化73】
【0065】
【化74】
【0066】
【化75】
【0067】
【化76】
【0068】
【化77】
【0069】
【化78】
【0070】
【化79】
【0071】
【化80】
【0072】
【化81】
【0073】
【化82】
【0074】
【化83】
【0075】
【化84】
【0076】
【化85】
【0077】
【化86】
【0078】
【化87】
【0079】
【化88】
【0080】
【化89】
【0081】
【化90】
【0082】
【化91】
【0083】
【化92】
【0084】
【化93】
【0085】
【化94】
【0086】
【化95】
【0087】
【化96】
【0088】
【化97】
【0089】
【化98】
【0090】
【化99】
【0091】
【化100】
【0092】
【化101】
【0093】
【化102】
【0094】
【化103】
【0095】
【化104】
【0096】
【化105】
【0097】
【化106】
【0098】
本発明のトリアジン誘導体は高い電子輸送性能を有する。従って、電子注入材料及び電子輸送材料として使用することができる。
【0099】
本発明のトリアジン誘導体を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する場合、適当な発光材料(ドーパント)と組み合わせて使用することもできる。
【0100】
本発明のトリアジン化合物を電子輸送層に用いる場合、電子注入材料、電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することもできる。
【0101】
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明トリアジン誘導体を含有する。有機エレクトロルミネッセンス素子が一層の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有しそれに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送するのが目的で、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有していても良い。多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成例としては、例えば陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層されたものがあげられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0102】
正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であっても良い。また正孔輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(正孔注入層及び電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0103】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0104】
以下本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素に関して、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて詳細に説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。
【0105】
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであれば良く、例えばガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
【0106】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により基板上に形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0107】
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さな金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光を効率良く取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明もしくは半透明であることが好ましい。
【0108】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm2/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0109】
前記の正孔伝達物質としては、例えば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)、等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたもので良く、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでもよい。
正孔注入材料としては、下記化学式に示すPEDOT:PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを
【化107】
正孔輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASI、m−DTATPBなどを挙げることができる。
【化108】
【0110】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の発光物質については特に制限されることはなく、従来の公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0111】
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体{トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Almq3)等の蛍光材料や[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス[1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾラート,N,C2′]イリジウム(III)(Irtfmppz3)、ビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[IrPPy]などのリン光材料}などを挙げることができる。
【0112】
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl.Phys.Lett.,65 3610(1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要でありこの時使用されるホスト材料としては4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン、2,2′−ジ〔4″−(N−カルバゾリル)フェニル〕−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等があげられる。
【0113】
ゲスト材料は、ホスト材料に対して、好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。ゲスト材料としては、従来公知のFIrpic(化13)、IrPPy(化12)、Fir6(化15)などを挙げることができる。
【0114】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明のトリアジン誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが他の電子輸送材料と併用しても構わない。
【0115】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で、陰極と有機層の間に絶縁体で構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される絶縁体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム等が挙げられる。
【0116】
正孔輸送層、発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式成膜法〔溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)〕を使用することができる。本発明のトリアジン化合物の電子輸送層の形成方法については、乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法)が好ましい。また素子の作製については上記の成膜方法を併用しても構わない。
【0117】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着条件は、特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0118】
正孔輸送層、発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
【0119】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
【0120】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等との接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等が挙げられる。
【0121】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧を通常1.5〜20V程度印加すると発光が観測される。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示素子、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【0122】
図52〜66に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0123】
図52は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。図52は、基板1上に陽極2、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子は、それ自体が正孔輸送性、電子輸送性及び発光性の機能を単一で有している場合や、それぞれの機能を有する化合物を混合して使用する場合に有用である。
【0124】
図53は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図53は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0125】
図54は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図54は、基板1上に、陽極2、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は正孔輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0126】
図55は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図55は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0127】
図56は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図56は、基板1上に、陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、正孔注入層7を設けることにより、陽極2と正孔輸送層5の密着性を高めたり、陽極から正孔の注入を良くし、発光素子の低電圧駆動に効果がある。
【0128】
図57は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図57は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧駆動に効果がある。
【0129】
図58は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図58は、基板1上に、陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2から正孔の注入を良くし、陰極4からは電子の注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0130】
図59〜65は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図59〜65は、発光層3と陰極4あるいは電子輸送層6の間に正孔ブロック層9を挿入した構成のものである。陽極から注入された正孔、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4側に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。
【0131】
図59〜65で、正孔輸送層5、正孔注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、正孔ブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。
【0132】
図52〜65は、あくまで基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成は、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0133】
本発明のトリアジン誘導体は、これまで知られている代表的な電子輸送材料Alq3よりも高い電子輸送性能を示すだけでなく、正孔ブロック性が高いため、青色リン光発光素子に用いることで、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも高効率発光が可能となった。従って、本発明のトリアジン誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
【0134】
本発明のトリアジン誘導体は、実施例に示されるようにこれまで知られている代表的な電子輸送材料Alq3よりも遙かに高い電子輸送性能を示すことがわかる。このため有機エレクトロルミネッセンス素子、有機半導体トランジスタ等の有機半導体デバイスに適した材料を提供することが可能になった。また本発明のトリアジン誘導体を用いることにより、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも低い駆動電圧で作動し、発光特性に優れ且つ安定性に優れた長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが可能になった。従って本発明のトリアジン誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
またトリアジン誘導体は、可視領域に蛍光を持たないためAlq3のような発光機能を示さない。従って電子輸送層として使用した場合Alq3のように有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧をあげると発光してくると言うことはない。このため発光材料の選択決定が容易である。
【0135】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0136】
実施例1
(1)2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)
【化109】
四つ口フラスコにトリフロロメタンスルホン酸(6.0g,40mmol)と無水クロロホルム(60mL)を入れて、窒素気流下0℃まで冷やした。激しく撹拌しながら、3−ブロモベンゾニトリル(3−bromobenzonitrile)(3.64g,20mmol)のクロロホルム溶液(50mL)をゆっくり滴下し、さらに1時間同温で反応させ、室温に戻した。その後、さらに40時間反応させた。反応終了後、反応溶液をアモニア水で中和させ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
クロロホルム/n−ヘキサンによる再結晶を行い、白い固体を得た。収率:26.6mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。
(2)2,4,6−トリス〔3−(イソキノリニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmiQPhTAZ)の合成
【化110】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(612mg,1.12mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−イソキノリン〔4−(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolan−2−yl)−isoquinoline〕(1.0g,3.9mmol)、Pd(PPh3)4(226mg,0.20mmol)、トルエン/エタノ−ル(4/1,50mL)と2M K2CO3(20mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、トルエンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノ−ル=15/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(イソキノリニ−4−イル)フェニル−1,3,5−トリアジン〕(TmiQPhTAZ)の白い固体を得た。収率:84.5mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は図1に示す。
また、実施例1の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルは図7に示し、その物性は表1に示す。
【0137】
実施例2
2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyPhTAZ)の合成
【化111】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(1.09g,2.0mmol)、(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン〔(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolan−2−yl)−pyridine〕(1.44g,7.0mmol)、Pd(PPh3)4(416mg,0.36mmol),トルエン/エタノール(4/1,100mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて,窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後,反応溶液を水に注ぎ,クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し,溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:86.0mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果を図2に示す。
また、実施例2の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルは図8に示し、その物性は表1に示す。
【0138】
実施例3
2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(Tm4PyPhTAZ)の合成
【化112】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(1.64g,3.0mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラニル)−ピリジン〔4−(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolanyl)−pyridine〕(2.15g,10.5mmol)、Pd(PPh3)4(600mg,0.52mmol)、トルエン/エタノール(5/1,180mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後,反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=18/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(Tm4PyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:49.9mol%。さらに、昇華精製を行い、無色の固体を得た。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図3に示す。また、実施例3の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図9に示し、その物性を表1に示す。
図13は、実施例2の化合物(TmPyPhTAZ)、実施例3の化合物(Tm4PyPhTAZ)およびTAZ(トリアゾール)のリン光スペクトルを示すグラフである。このグラフから明らかなようにリン光スペクトルの面からみると、この3つの化合物のなかでTAZが最も悪い。実施例3のTm4PyPhTAZのスペクトルは、430nm付近から急激に上昇している。また、実施例2のTmPyPhTAZのスペクトルは、450nm付近から急激に上昇している。それに対してTAZのスペクトルの上昇し始めている波長は470nm付近で、他の2つの実施例化合物よりも長波長側になっていることが分る。このことから、TAZの三重項レベルが他の2つの実施例化合物よりも低いことが分る。つまり、実施例2と3の化合物は、TAZよりも三重項レベルが高く、ワイドギャップであることが分る。
【0139】
実施例4
2,4,6−トリス〔3−(6−メトキシピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmMPyPhTAZ)の合成
【化113】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(0.66g,1.2mmol)、2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラニル)−ピリジン〔2−methoxy−5−(4,4,5,5−tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolanyl)−pyridine〕(1.0g,4.25mmol)、Pd(PPh3)4(245mg,0.212mmol)、トルエン/エタノール(4/1,100mL)と2M K2CO3(20mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(6−メトキシピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmMPyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:97.0mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図4に示す。また、実施例4の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図10に示し、その物性を表1に示す。
【0140】
実施例5
(1)2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TpBrPhTAZ)の合成
【化114】
四つ口フラスコにトリフロロメタンスルホン酸(10.7g,71.3mmol)と無水クロロホルム(60mL)を入れて、窒素気流下0℃まで冷やした。激しく撹拌しながら、4−ブロモベンゾニトリル(4−bromobenzonitrile)(6.5g,35.7mmol)クロロホルム溶液(50mL)をゆっくり滴下し、さらに1時間同温で反応させ、室温に戻した。その後、さらに48時間反応させた。反応終了後、反応溶液をアンモニア水で中和させ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
クロロホルム/n−ヘキサンによる再結晶を行い、2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TpBrPhTAZ)の白い固体を得た。収率:90.6mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。
(2)2,4,6−トリス〔4−(6−ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TpPyPhTAZ)の合成
【化115】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TpBrPhTAZ)(1.09g,2.0mmol)、(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolan−2−yl)−pyridine(1.44g,7.0mmol)、Pd(PPh3)4(416mg,0.36mmol)、トルエン/エタノール(4/1,100mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行った。トルエンによる再結晶を行い、2,4,6−トリス〔4−(6−ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TpPyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:64.7mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図5に示す。また、実施例5の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図11に示し、その物性を表1に示す。
【0141】
実施例6
(1)1−(3−ピリジン)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2,−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(3PyPhDOB)の合成
【化116】
四つ口フラスコに3−(1−クロロフェニル)−ピリジン(CPh3Py)(5.57g,29.4mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン〔bis(pinacolato)diboron〕(10g,39.4mmol)、酢酸カリウム(8.84g,90.1mmol)、ビス(ジベリジリデンアセトン)パラジウム(0)〔bis(dibenzylideneacetone)palladium(0)〕〔Pd(dba)2〕(518mg,0.90mmol)、トリシクロヘキイシルホスフィン(tricyclohexylphosphine)(1.01g,3.6mmol)と無水1,4−ジオキサン(150mL)を入れて、窒素気流下80℃で72時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、トルエンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法〔展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=6/1(2回)〕を行い、1−(3−ピリジン)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2,−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(3PyPhDOB)の薄い黄色の粘体を得た。収率:39.9mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。
(2)2,4,6−トリス〔5′−(ピリジニ−3−イル)ビフェニリ−3−イル〕−1,3,5−トリアジン(Tm3PyBPhTAZ)の合成
【化117】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(1.64g,3.0mmol)、1−(3−ピリジル)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(3PyPhDOB)(2.93g,10.4mmol)、Pd(PPh3)4(208mg,0.18mmol)、トルエン/エタノール(5/1,180mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行い、アセトンによる再結晶を行い2,4,6−トリス〔5′−(ピリジニ−3−イル)ビフェニリ−3−イル〕−1,3,5−トリアジン(Tm3PyBPhTAZ)の白色の粉末を得た。収率:68.5mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図6に示す。また、実施例6の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図12に示し、その物性を表1に示す。
【0142】
【表1】
Td:分解温度、Tg:二次転移温度、Tm:融点、Ip:イオン化ポテンシャル、Eg:エネルギーギャップ、Ea:エレクトロアフィニティ(電子親和力)、n.d.:検出されず。
Tg(二次転移温度)については、DSC(Diffirential Scanning Calorimeter 示差熱量計)中にサンプルを加え、溶融させたものを急冷し、2〜3回繰り返すとガラス転移を表すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用する。
Tm(融点)は、同じくDSCにサンプルを加え、昇温していくと吸熱カーブが現れるのでその極大のところとの温度を読んで、その温度をTmとする。
Td(分解温度)は、DTA(Differential thermal analyzer 示差熱分析装置)にサンプルを加え、加熱していくとサンプルが熱によって分解し、重量が減少しだす。その減少が開始しだしたところの温度を読んで、その温度をTdとする。
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりの所に接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
Ip(イオン化ポテンシャル)は、イオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−1)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始しだしたところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
本明細書における波長に対する強度(intensity a.u.)の測定は、浜松ホトニクス社製ストリークカメラを用いて、クライオスタット中で4.2Kにおいて測定した。
【0143】
実施例7〜10および比較例1
(本発明化合物を電子輸送層として使用)
(1)各実施例、比較例の素子構成
比較例1(図66に相当)
○:ITO(陽極)/α−NPD(50nm)(正孔輸送層)/Alq3(70nm)(電子輸送性発光層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)(陰極);
実施例7(図57に相当)
□:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例1の化合物TmiQPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例8(図57に相当)
◇:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例2の化合物TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例9(図57に相当)
▽:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例3の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例10(図57に相当)
△:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例4の化合物TmMPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
前記○、□、◇、▽、△の印は、図14〜18の各グラフの印である。
【化118】
【化119】
【0144】
前記実施例7〜10および比較例1の各素子の特性を下記表2〜4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
ETMs:発光材料(Emitting Materials)
Max.P.E.:最大視感効率(Maximum Power
Efficiency)
Max.C.E.:最大電流効率(Maximum Current
Efficiency)
Max.Q.E.:最大外部量子効率(Maximum External
Quantum Efficiency)
P.E.:視感効率(Power Efficiency)
Q.E.:外部量子効率(External Quantum
Efficiency)
【0145】
各素子の電流密度−電圧特性は 図14に、
輝度 −電圧特性は 図15に、
視感効率−電圧特性は 図16に、
電流効率−電圧特性は 図17に、
輝度 −電流密度特性は図18に、
電流効率−電流密度特性は図19に、
ELスペクトルは 図20に、
それぞれ示す。
【0146】
実施例11〜13および比較例2
(本発明化合物の青色リン光素子への応用)
(1)各実施例、比較例の素子構成(図58に相当)
比較例2
○:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/TAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例11
□:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/実施例1の化合物TmiQPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例12
◇:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/実施例2の化合物TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例13
△:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/実施例3の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化120】
【化121】
【化122】
【化123】
【化124】
【0147】
各素子の電流密度 −電圧特性は 図21に、
輝度 −電圧特性は 図22に、
輝度 −電流密度特性は図23に、
外部量子効率−輝度特性は 図24に、
視感効率 −輝度特性は 図25に、
電流効率 −電圧特性は 図26に、
視感効率 −電圧特性は 図27に、
電流効率 −電流密度特性は図28に、
それぞれ示す。
【0148】
実施例11〜13および比較例2の各素子の物性を下記表に示す。
【表5】
ETLs:電子輸送層
Turn on voltage:発光開始電圧
Max.luminance:最大輝度
【0149】
【表6】
【0150】
【表7】
【0151】
実施例14、比較例3
本発明化合物を用いた緑色リン光素子においてα−NPDを正孔輸送層に用いた。
(1)素子の構成
比較例3(図65に相当)
○:ITO(陽極)/TPDPES(20nm)(正孔注入層)/α−NPD(30nm)(正孔輸送層)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)(発光層)/BCP(10nm)(正孔ブロック層)/Alq3(20nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)(陰極);
実施例14(図58に相当)
□:ITO(陽極)/TPDPES(20nm)(正孔注入層)/α−NPD(30nm)(正孔輸送層)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)(発光層)/実施例1のTmiQPhTAZ(30nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)(陰極);
【0152】
【表8】
【0153】
各素子の電流密度 −電圧特性を 図29に、
輝度 −電圧特性を 図30に、
視感効率 −輝度特性を 図31に、
外部量子効率−輝度特性を 図32に、
ELスペクトルを 図33に示す。
【0154】
実施例15、16(緑色リン光素子への応用)
本発明の実施例2と3の化合物を用いたEL素子であって、TAPCを正孔輸送層として用いた例である。
(1)素子の構成(図58に相当)
実施例15
○:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)/実施例2の化合物TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例16
□:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)/実施例3の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化125】
【化126】
【0155】
各素子の物性を下記表に示す。
【表9】
【0156】
【表10】
【0157】
【表11】
【0158】
各素子の電流密度 −電圧特性を 図34に、
輝度 −電圧特性を 図35に、
輝度 −電流密度特性を図36に、
電流効率 −電流密度特性を図37に、
電流効率 −電圧特性を 図38に、
視感効率 −電圧特性を 図39に、
外部量子効率−輝度特性を 図40に、
視感効率 −輝度特性を 図41に、
ELスペクトルを 図42に、
それぞれ示す。
【0159】
実施例17(緑色リン光素子の膜厚効果)
(1)素子の構成(図58に相当)
その1
○:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)/実施例1の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
その2
◇:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(10nm)/実施例1の化合物Tm4PyPhTAZ(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
その3
△:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(50nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(10nm)/実施例1の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化127】
【0160】
各素子の物性を下記表に示す。
【表12】
HTL/EML/ETL:正孔輸送層/発光層/電子輸送層
【0161】
【表13】
【0162】
【表14】
【0163】
各素子の電流密度 −電圧特性を 図43に、
輝度 −電圧特性を 図44に、
輝度 −電流密度特性を図45に、
電流効率 −電流密度特性を図46に、
電流効率 −電圧特性を 図47に、
視感効率 −電圧特性を 図48に、
外部量子効率−輝度特性を 図49に、
視感効率 −輝度特性を 図50に、
ELスペクトルを 図51に、
それぞれ示す。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明化合物である実施例1の2,4,6−トリス〔3−(イソキノリニ−4−イル)フェニル−1,3,5−トリアジン〕(TmiQPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図2】本発明化合物である実施例2の2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図3】本発明化合物である実施例3の2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(Tm4PyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図4】本発明化合物である実施例4の2,4,6−トリス〔3−(6−メトキシピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmMPyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図5】本発明化合物である実施例5の2,4,6−トリス〔4−(6−ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TpPyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図6】本発明化合物である実施例6の2,4,6−トリス〔5′−(ピリジニ−3−イル)ビフェニリ−3−イル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyBPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図7】実施例1の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図8】実施例2の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図9】実施例3の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルをを示すグラフである。
【図10】実施例4の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図11】実施例5の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図12】実施例6の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図13】実施例2の化合物(TmPyPhTAZ)、実施例3の化合物(Tm4PyPhTAZ)およびTAZ(トリアゾール)のリン光スペクトルを示すグラフである。
【図14】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図15】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図16】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図17】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図18】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図19】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図20】比較例1、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図21】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図22】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図23】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図24】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図25】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図26】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図27】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図28】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図29】比較例3(○印)と実施例14(□印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図30】比較例3(○印)と実施例14(□印))のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図31】比較例3(○印)と実施例14(□印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図32】比較例3(○印)と実施例14(□印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図33】比較例3(実線)と実施例14(点線)のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図34】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図35】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図36】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図37】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図38】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図39】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図40】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図41】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図42】実施例15(点線)と実施例16(実線)のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図43】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図44】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図45】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図46】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図47】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図48】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図49】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図50】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図51】実施例17のその1(実線)、その2(点線)、その3(○印)のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図52】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図53】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図54】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図55】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図56】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図57】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図58】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図59】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図60】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図61】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図62】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図63】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図64】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図65】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図66】比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0165】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 正孔輸送層
6 電子輸送層
7 正孔注入層
8 電子注入層
9 正孔ブロック層
10 電子輸送性発光層
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリン光材料、とくに青色リン光材料に適したワイドギャップな電子輸送層を形成するのに有用な新規なトリアジン誘導体およびそれを含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、電極から注入された正孔と電子の再結合によって生成した励起エネルギーが発光過程を経て基底状態に緩和されることにより自発光する。しかしながら、正孔と電子の再結合によって生成する励起状態には一重項励起状態と三重項励起状態の2種類がそれぞれ1対3の割合で存在する。これまでの多くは一重項励起状態からの発光を利用した蛍光材料が発光材料に利用されていたため、内部量子効率が最大で25%であるので、この時取り出し効率を20%とすると、最大外部量子効率は5%が理論限界であった。
【0003】
近年、イリジウムやプラチナなどの重原子効果を利用した錯体化合物を用い三重項励起状態からの発光、すなわちリン光発光を用いることにより発光効率の向上が報告されるようになった(例えば、非特許文献1)。一重項励起状態に加え、三重項励起状態からの発光を利用することで最大内部量子効率は理論上100%に到達することが可能で、リン光材料は発光材料として注目を浴びている。
【0004】
例えば緑色材料として、下記式
【化12】
に示すトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[IrPPy]が広く利用されている。
【0005】
また安達らによる非特許文献2などにより青色発光材料である下記式
【化13】
で示すビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)が注目を浴びるようになり、それ以降FIrpicを用いた有機EL素子の高効率化検討および新規な青色リン光錯体探索研究が盛んに行われるようになった。
【0006】
その結果最近ではS.R.Forrestらによる非特許文献3では下記式
【化14】
で示すトリス[1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾラート,N,C2′]イリジウム(III)(Irtfmppz3)やM.E.Thompsonらによる非特許文献4では下記式
【化15】
で示すビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)が開発された。
【0007】
これら発光材料を効率よく発光させるには正孔と電子の注入バランスを整えて、発光層の中で十分にこれらのキャリアーの再結合が行えるように正孔輸送剤や電子輸送剤などを選択しなければならない。
特に青色リン光材料についてはエネルギーギャップが大きいためにワイドギャップ化された正孔輸送剤や電子輸送剤が必要になってくる。現在これらリン光材料については、電子輸送材料に従来から使用されているAlq3〔トリス(8−キノリノラト)アルミニウム〕やBAlq2〔ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム−p−フェニルフェノラート〕等が使用されているが、リン光材料に使用するには十分なエネルギーギャップを持ち合わせていないため新規なワイドギャップな電子輸送材料の開発が必要である。
【0008】
【非特許文献1】M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest APPLIED PHYSICS LETTER 1999 75(1) 4−7
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.,79, 2082(2001)
【非特許文献3】J.Appl.Phys.90 5048(2001)
【非特許文献4】4Polyhedron 23 (2004) 419−428
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、新規なトリアジン誘導体を提供する点にある。本発明の第2の目的は、それを用いた新規な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化16】
下記一般式(2)
【化17】
下記一般式(3)
【化18】
下記一般式(4)
【化19】
下記一般式(5)
【化20】
および下記一般式(6)
【化21】
〔前記一般式(1)〜(6)における式中のR1〜R14は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化22】
である。〕
よりなる群から選ばれたトリアジン誘導体に関する。
本発明の第2は、前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(7)
【化23】
〔式中のR21〜R32は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化24】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第3は、前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(8)
【化25】
〔式中のR41〜R52は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化26】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第4は、3.4eV以上の広いエネルギーギャップ(Eg)を有する請求項1〜3いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる一般式(1)〜(6)で表される化合物はバンドギャップが3.4eV以上の値を示すことが好ましい。バンドギャップが上記の値を示すことで電子輸送性を保持し正孔ブロック効果が期待でき、発光効率の向上が期待できる。また特に青色リン光材料を発光させるには大きなバンドギャップが必要である。
バンドギャップとは、化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の差を表す。化合物のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)は一般に真空準位を基準に決定される。イオン化ポテンシャル(Ip)は化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーのことであり、一方、電子親和力(Ea)は真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーのことである。
イオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の差は、エネルギーギャップ(Eg)として化合物の吸収スペクトルの吸収端より求めることができる。
一般に以下の式で求めることができる。吸収端の波長をWnmとすればそのときのエネルギーギャップEgは
Eg=1240÷W
で求めることができる。
本発明の第5は、500nmよりも短波長に低温リン光スペクトルの発光端を示す請求項1〜4いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる一般式(1)〜(6)で表される化合物は低温リン光の発光端が500nm以下の値を示すことが好ましい。低温リン光スペクトルの測定は、リン光材料が一般に室温で測定することが困難であり、被測定物を液体ヘリウムなどで冷却した状態で測定する。これを測定することで組み合せるリン光発光材料へのエネルギーの移動がスムーズに起こるかどうかの判断がつく。特に青色リン光材料との組合せの場合、発光端の値が500nm以下でないとスムーズなエネルギー移動が起こりえない。
本発明の第6は、一般式(1)〜(6)におけるAr′がピリジル基である請求項1〜5いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第7は、一般式(1)〜(6)におけるArが単結合またはフェニレン基である請求項1〜6いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第8は、一般式(1)、(2)、(4)、(5)、(6)におけるArが3′−位および/または、5′−位に結合している請求項1〜7いずれか記載のトリアジン誘導体に関する。
本発明の第9は、請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第10は、請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第11は、請求項4記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第12は、請求項5記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0011】
本発明の一般式(1)〜(6)で示されるトリアジン誘導体は、下記一般式(9)〜(14)
【化27】
【化28】
〔前記、一般式(9)〜(14)中、R1〜R14は前記と同一であり、Xはハロゲン、好ましくはBrまたはCl、とくに好ましくはBrであり、Aは、前記と同一である。〕
で示されるハロゲン化トリアジン化合物を原料とし、塩基、触媒および溶媒の存在下において、下記一般式(15)
【化29】
(式中、Ar、Ar′は前記と同一である)で示されるトリ(ヘテロアリールメシチル)ボランを反応させることにより製造できる。
【0012】
これらの反応で使用する溶媒は、トルエン、トルエン−アルコール混合溶媒、ジメトキシエタンなどが使用できる。またこの反応で使用する塩基については、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような無機アルカリ金属塩、トリエチルアミンのような有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドのような有機アルカリ金属塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド1Mメタノール溶液等の有機塩基化合物の有機溶液等が使用できる。また、触媒で使用するパラジウム触媒については、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウムが好ましいが、酢酸パラジウムやビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライド、ビス〔1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕パラジウムジクロライド、ビス〔1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン〕パラジウムジクロライドなどの0価の有機パラジウム錯体が使用できる。
また、これらの反応で使用するアリールホウ酸化合物については、対応するアリールハロゲン化合物を無水のジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒中でn−ブチルリチウムなどでリチオ化し、これにトリメトキシボラン、トリエトキシボロン、トリイソプロピルボロン、ピナコールボロンやビス(ピナコラート)ジボロンなどと作用させることにより容易に合成することができる。
【0013】
これらの反応は下記反応式に示すとおりである。(略号は、前述の説明とすべて同じである)
【化30】
【化31】
【0014】
前記R1〜R14、R21〜R32、R41〜R52におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどを挙げることができる。
【0015】
置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−(ジメチルアミノ)エトキシ基、2−(ジブチルアミノ)エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−エトキシプロポキシ基、3−(ジメチルアミノ)プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、2−ペントキシ基、3−ペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシロキシ基、2−ヘキシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、2−ブチルヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクトキシ基、2−オクトキシ基、ノニロキシ基、デシロキシ基、ドデシロキシ基、アリロキシ基、ベンジロキシ基、4−メトキシベンジロキシ基、4−フルオロベンジロキシ基、3−(ジメチルアミノ)ベンジロキシ基、4−フェニルベンジロキシ基、1−ナフチルメトキシ基、2−ナフチルメトキシ基、1−(2−メトキシナフチル)メトキシ基、9−アントリルメトキシ基、ジフェニルメトキシ基、ジ(p−トリル)メトキシ基、ジ(4−メトキシフェニル)メトキシ基、ジ(1−ナフチル)メトキシ基、トリフェニルメトキシ基、3−フェニルプロピロキシ基等が挙げられる。
【0016】
置換もしくは無置換のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ヘプチルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、イソブチルメチルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、エチルイソブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、エチルペンチルアミノ基、ヘキシルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、ブチルヘキシルアミノ基、ヘキシルペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルメチルアミノ基、シクロヘキシルエチルアミノ基、シクロヘキシルイソプロピルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、ヘプチルメチルアミノ基、ヘプチルイソプロピルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、メチルオクチルアミノ基、オクチルプロピルアミノ基、ジオクチルアミノ基、デシルエチルアミノ基、デシルイソプロピルアミノ基、ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、ドデシルメチルアミノ基、ドデシルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルドデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基等が挙げられる。
【0017】
置換もしくは無置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、4−フェニル−2−ナフチル基、1−フェニル−5−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、o−テルフェニル−3−イル基、o−テルフェニル−4−イル基、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、4−シアノフェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、10−メチル−9−アントリル基、10−メトキシ−9−アントリル基、4−フェニル−8−フルオランテニル基、7−ジメチルアミノ−9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、3′,5′−ジフェニルビフェニル−4−イル基等が挙げられる
【0018】
炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基としては、前記例示の各種アリール基の結合手部分に酸素が導入されたものを挙げることができる。例えば、置換もしくは無置換のアリーロキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、4−フェニル−1−ナフトキシ基、4−フェニル−2−ナフトキシ基、1−フェニル−5−ナフトキシ基、1−アントリロキシ基、2−アントリロキシ基、9−アントリロキシ基、10−フェニル−9−アントリロキシ基、1−フェナントリロキシ基、2−フェナントリロキシ基、3−フェナントリロキシ基、4−フェナントリロキシ基、9−フェナントリロキシ基、1−ピレニロキシ基、2−ピレニロキシ基、1−ペリレノキシ基、2−ペリレノキシ基、3−ペリレノキシ基、1−フルオランテノキシ基、2−フルオランテノキシ基、3−フルオランテノキシ基、8−フルオランテノキシ基、2−トリフェニレノキシ基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イロキシ基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イロキシ基、2−ビフェニルイロキシ基、3−ビフェニルイロキシ基、4−ビフェニルイロキシ基、p−ターフェニル−3−イロキシ基、p−ターフェニル−4−イロキシ基、m−ターフェニル−3−イロキシ基、m−ターフェニル−4−イロキシ基、o−ターフェニル−3−イロキシ基、o−ターフェニル−4−イロキシ基、4−(1−ナフチル)−1−ナフトキシ基、o−トリロキシ基、m−トリロキシ基、p−トリロキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、4−ジメチルアミノフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−(トリフルオロメチル)フェノキシ基、4−メチル−1−ナフトキシ基、4−フェニル−1−ナフトキシ基、2−メトキシ−ナフトキシ基、10−メチル−9−アントリロキシ基、10−メトキシ−9−アントリロキシ基、4−フェニル−フルオランテン−8−イロキシ基、7−ジメチルアミノ−9,9−ジメチルフルオランテン−2−イロキシ基、3′,5′−ジフェニルビフェニル−4−イロキシ基等が挙げられる。
【0019】
置換もしくは無置換のアリールアミノ基の例としては、前記アリール基として挙げた1価の基にアミノ基が置換した基であり、たとえば、1−フェニルアミノ基、N−o−トリルアミノ基、N−m−トリルアミノ基、N−p−トリルアミノ基、N−1−ナフチルアミノ基、N−2−ナフチルアミノ基、N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(4−エチルフェニル)アミノ基、N−(4−フルオロフェニル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−アミノ基、2−ナフチルアミノ基、N−(1−アントリル)アミノ基、N−(2−アントリル)アミノ基、N−(9−アントリル)アミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)アミノ基、N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(o−トリル)アミノ基、N,N−ジ(m−トリル)アミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、N,N−ジ(1−ナフチル)アミノ基、N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−エチルフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−フルオロフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ基、N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(o−トリル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(o−トリル)アミノ基、N−(1−アントリル)フェニルアミノ基、N−(2−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(1−アントリル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(2−アントリル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(10−メチル−9−アントリル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(9−フェナントリル)−N−フェニルアミノ基、N−(9−フェナントリル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(m−トリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−フェニルアミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(1−ナフチル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(2−ナフチル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(3−フルオランテニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミノ基、N,N−ジ(3−フルオランテニル)アミノ基、N−フェニル−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)−N−(p−トリル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(9−アントリル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(1−ピレニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−フルオランテニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(9−フルオランテニル)−N−(1−ピレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−フェニルアミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−(m−トリル)アミノ基、N−(4−ジメチルアミノメチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(1−ナフチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(2−ナフチル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(1−アントリル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(3−ペリレニル)−N−(9−フェナントリル)アミノ基、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、N−(9−フルオランテニル)−N−(3−ペリレニル)アミノ基、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アミノ基、ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)アミノ基等が挙げられる。
【0020】
Arにおけるアリーレン基は、前記アリール基の例に挙げたものに対応するアリーレン基を挙げることができ、またAr′のヘテロアリール基としては、1個〜3個の窒素を1つの環内に有するもの、1個の硫黄を環内に有するもの、1個の硫黄と窒素を1つの環内に有するもの、1個の窒素と酸素を1つの環内に有するもの、1個の酸素と硫黄を1つの環内に有するものなどを挙げることができる。
【0021】
Ar′−Ar−として具体的な例を以下に示す。
【0022】
【化32】
【0023】
【化33】
【0024】
【化34】
【0025】
【化35】
【0026】
【化36】
前記Meはメチル基である。
【0027】
本発明のトリアジン誘導体の例を以下に示す。
【0028】
【化37】
【0029】
【化38】
【0030】
【化39】
【0031】
【化40】
【0032】
【化41】
【0033】
【化42】
【0034】
【化43】
【0035】
【化44】
【0036】
【化45】
【0037】
【化46】
【0038】
【化47】
【0039】
【化48】
【0040】
【化49】
【0041】
【化50】
【0042】
【化51】
【0043】
【化52】
【0044】
【化53】
【0045】
【化54】
【0046】
【化55】
【0047】
【化56】
【0048】
【化57】
【0049】
【化58】
【0050】
【化59】
【0051】
【化60】
【0052】
【化61】
【0053】
【化62】
【0054】
【化63】
【0055】
【化64】
【0056】
【化65】
【0057】
【化66】
【0058】
【化67】
【0059】
【化68】
【0060】
【化69】
【0061】
【化70】
【0062】
【化71】
【0063】
【化72】
【0064】
【化73】
【0065】
【化74】
【0066】
【化75】
【0067】
【化76】
【0068】
【化77】
【0069】
【化78】
【0070】
【化79】
【0071】
【化80】
【0072】
【化81】
【0073】
【化82】
【0074】
【化83】
【0075】
【化84】
【0076】
【化85】
【0077】
【化86】
【0078】
【化87】
【0079】
【化88】
【0080】
【化89】
【0081】
【化90】
【0082】
【化91】
【0083】
【化92】
【0084】
【化93】
【0085】
【化94】
【0086】
【化95】
【0087】
【化96】
【0088】
【化97】
【0089】
【化98】
【0090】
【化99】
【0091】
【化100】
【0092】
【化101】
【0093】
【化102】
【0094】
【化103】
【0095】
【化104】
【0096】
【化105】
【0097】
【化106】
【0098】
本発明のトリアジン誘導体は高い電子輸送性能を有する。従って、電子注入材料及び電子輸送材料として使用することができる。
【0099】
本発明のトリアジン誘導体を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する場合、適当な発光材料(ドーパント)と組み合わせて使用することもできる。
【0100】
本発明のトリアジン化合物を電子輸送層に用いる場合、電子注入材料、電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することもできる。
【0101】
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明トリアジン誘導体を含有する。有機エレクトロルミネッセンス素子が一層の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有しそれに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送するのが目的で、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有していても良い。多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成例としては、例えば陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層されたものがあげられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0102】
正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であっても良い。また正孔輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(正孔注入層及び電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0103】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0104】
以下本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素に関して、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて詳細に説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。
【0105】
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであれば良く、例えばガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
【0106】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により基板上に形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0107】
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さな金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光を効率良く取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明もしくは半透明であることが好ましい。
【0108】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm2/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0109】
前記の正孔伝達物質としては、例えば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)、等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたもので良く、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでもよい。
正孔注入材料としては、下記化学式に示すPEDOT:PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを
【化107】
正孔輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASI、m−DTATPBなどを挙げることができる。
【化108】
【0110】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の発光物質については特に制限されることはなく、従来の公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0111】
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体{トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Almq3)等の蛍光材料や[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス[1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ピラゾラート,N,C2′]イリジウム(III)(Irtfmppz3)、ビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(Fir6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)[IrPPy]などのリン光材料}などを挙げることができる。
【0112】
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl.Phys.Lett.,65 3610(1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要でありこの時使用されるホスト材料としては4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン、2,2′−ジ〔4″−(N−カルバゾリル)フェニル〕−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等があげられる。
【0113】
ゲスト材料は、ホスト材料に対して、好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。ゲスト材料としては、従来公知のFIrpic(化13)、IrPPy(化12)、Fir6(化15)などを挙げることができる。
【0114】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明のトリアジン誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが他の電子輸送材料と併用しても構わない。
【0115】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で、陰極と有機層の間に絶縁体で構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される絶縁体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム等が挙げられる。
【0116】
正孔輸送層、発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式成膜法〔溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)〕を使用することができる。本発明のトリアジン化合物の電子輸送層の形成方法については、乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法)が好ましい。また素子の作製については上記の成膜方法を併用しても構わない。
【0117】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着条件は、特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0118】
正孔輸送層、発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
【0119】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
【0120】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等との接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等が挙げられる。
【0121】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧を通常1.5〜20V程度印加すると発光が観測される。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示素子、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【0122】
図52〜66に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0123】
図52は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。図52は、基板1上に陽極2、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光素子は、それ自体が正孔輸送性、電子輸送性及び発光性の機能を単一で有している場合や、それぞれの機能を有する化合物を混合して使用する場合に有用である。
【0124】
図53は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図53は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0125】
図54は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図54は、基板1上に、陽極2、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は正孔輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0126】
図55は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図55は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0127】
図56は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図56は、基板1上に、陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、正孔注入層7を設けることにより、陽極2と正孔輸送層5の密着性を高めたり、陽極から正孔の注入を良くし、発光素子の低電圧駆動に効果がある。
【0128】
図57は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図57は、基板1上に、陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧駆動に効果がある。
【0129】
図58は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図58は、基板1上に、陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2から正孔の注入を良くし、陰極4からは電子の注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0130】
図59〜65は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図59〜65は、発光層3と陰極4あるいは電子輸送層6の間に正孔ブロック層9を挿入した構成のものである。陽極から注入された正孔、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4側に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。
【0131】
図59〜65で、正孔輸送層5、正孔注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、正孔ブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。
【0132】
図52〜65は、あくまで基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成は、これに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0133】
本発明のトリアジン誘導体は、これまで知られている代表的な電子輸送材料Alq3よりも高い電子輸送性能を示すだけでなく、正孔ブロック性が高いため、青色リン光発光素子に用いることで、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも高効率発光が可能となった。従って、本発明のトリアジン誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
【0134】
本発明のトリアジン誘導体は、実施例に示されるようにこれまで知られている代表的な電子輸送材料Alq3よりも遙かに高い電子輸送性能を示すことがわかる。このため有機エレクトロルミネッセンス素子、有機半導体トランジスタ等の有機半導体デバイスに適した材料を提供することが可能になった。また本発明のトリアジン誘導体を用いることにより、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも低い駆動電圧で作動し、発光特性に優れ且つ安定性に優れた長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが可能になった。従って本発明のトリアジン誘導体は、工業的に極めて重要なものである。
またトリアジン誘導体は、可視領域に蛍光を持たないためAlq3のような発光機能を示さない。従って電子輸送層として使用した場合Alq3のように有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧をあげると発光してくると言うことはない。このため発光材料の選択決定が容易である。
【0135】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0136】
実施例1
(1)2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)
【化109】
四つ口フラスコにトリフロロメタンスルホン酸(6.0g,40mmol)と無水クロロホルム(60mL)を入れて、窒素気流下0℃まで冷やした。激しく撹拌しながら、3−ブロモベンゾニトリル(3−bromobenzonitrile)(3.64g,20mmol)のクロロホルム溶液(50mL)をゆっくり滴下し、さらに1時間同温で反応させ、室温に戻した。その後、さらに40時間反応させた。反応終了後、反応溶液をアモニア水で中和させ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
クロロホルム/n−ヘキサンによる再結晶を行い、白い固体を得た。収率:26.6mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。
(2)2,4,6−トリス〔3−(イソキノリニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmiQPhTAZ)の合成
【化110】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(612mg,1.12mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−イソキノリン〔4−(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolan−2−yl)−isoquinoline〕(1.0g,3.9mmol)、Pd(PPh3)4(226mg,0.20mmol)、トルエン/エタノ−ル(4/1,50mL)と2M K2CO3(20mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、トルエンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノ−ル=15/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(イソキノリニ−4−イル)フェニル−1,3,5−トリアジン〕(TmiQPhTAZ)の白い固体を得た。収率:84.5mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は図1に示す。
また、実施例1の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルは図7に示し、その物性は表1に示す。
【0137】
実施例2
2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyPhTAZ)の合成
【化111】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(1.09g,2.0mmol)、(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン〔(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolan−2−yl)−pyridine〕(1.44g,7.0mmol)、Pd(PPh3)4(416mg,0.36mmol),トルエン/エタノール(4/1,100mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて,窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後,反応溶液を水に注ぎ,クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し,溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:86.0mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果を図2に示す。
また、実施例2の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルは図8に示し、その物性は表1に示す。
【0138】
実施例3
2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(Tm4PyPhTAZ)の合成
【化112】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(1.64g,3.0mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラニル)−ピリジン〔4−(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolanyl)−pyridine〕(2.15g,10.5mmol)、Pd(PPh3)4(600mg,0.52mmol)、トルエン/エタノール(5/1,180mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後,反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=18/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(Tm4PyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:49.9mol%。さらに、昇華精製を行い、無色の固体を得た。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図3に示す。また、実施例3の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図9に示し、その物性を表1に示す。
図13は、実施例2の化合物(TmPyPhTAZ)、実施例3の化合物(Tm4PyPhTAZ)およびTAZ(トリアゾール)のリン光スペクトルを示すグラフである。このグラフから明らかなようにリン光スペクトルの面からみると、この3つの化合物のなかでTAZが最も悪い。実施例3のTm4PyPhTAZのスペクトルは、430nm付近から急激に上昇している。また、実施例2のTmPyPhTAZのスペクトルは、450nm付近から急激に上昇している。それに対してTAZのスペクトルの上昇し始めている波長は470nm付近で、他の2つの実施例化合物よりも長波長側になっていることが分る。このことから、TAZの三重項レベルが他の2つの実施例化合物よりも低いことが分る。つまり、実施例2と3の化合物は、TAZよりも三重項レベルが高く、ワイドギャップであることが分る。
【0139】
実施例4
2,4,6−トリス〔3−(6−メトキシピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmMPyPhTAZ)の合成
【化113】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(0.66g,1.2mmol)、2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラニル)−ピリジン〔2−methoxy−5−(4,4,5,5−tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolanyl)−pyridine〕(1.0g,4.25mmol)、Pd(PPh3)4(245mg,0.212mmol)、トルエン/エタノール(4/1,100mL)と2M K2CO3(20mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行い、2,4,6−トリス〔3−(6−メトキシピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmMPyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:97.0mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図4に示す。また、実施例4の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図10に示し、その物性を表1に示す。
【0140】
実施例5
(1)2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TpBrPhTAZ)の合成
【化114】
四つ口フラスコにトリフロロメタンスルホン酸(10.7g,71.3mmol)と無水クロロホルム(60mL)を入れて、窒素気流下0℃まで冷やした。激しく撹拌しながら、4−ブロモベンゾニトリル(4−bromobenzonitrile)(6.5g,35.7mmol)クロロホルム溶液(50mL)をゆっくり滴下し、さらに1時間同温で反応させ、室温に戻した。その後、さらに48時間反応させた。反応終了後、反応溶液をアンモニア水で中和させ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
クロロホルム/n−ヘキサンによる再結晶を行い、2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TpBrPhTAZ)の白い固体を得た。収率:90.6mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。
(2)2,4,6−トリス〔4−(6−ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TpPyPhTAZ)の合成
【化115】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(p−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TpBrPhTAZ)(1.09g,2.0mmol)、(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(4,4,5,5−Tetramethyl−[1,3,2]dioxaborolan−2−yl)−pyridine(1.44g,7.0mmol)、Pd(PPh3)4(416mg,0.36mmol)、トルエン/エタノール(4/1,100mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行った。トルエンによる再結晶を行い、2,4,6−トリス〔4−(6−ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TpPyPhTAZ)の白い固体を得た。収率:64.7mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図5に示す。また、実施例5の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図11に示し、その物性を表1に示す。
【0141】
実施例6
(1)1−(3−ピリジン)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2,−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(3PyPhDOB)の合成
【化116】
四つ口フラスコに3−(1−クロロフェニル)−ピリジン(CPh3Py)(5.57g,29.4mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン〔bis(pinacolato)diboron〕(10g,39.4mmol)、酢酸カリウム(8.84g,90.1mmol)、ビス(ジベリジリデンアセトン)パラジウム(0)〔bis(dibenzylideneacetone)palladium(0)〕〔Pd(dba)2〕(518mg,0.90mmol)、トリシクロヘキイシルホスフィン(tricyclohexylphosphine)(1.01g,3.6mmol)と無水1,4−ジオキサン(150mL)を入れて、窒素気流下80℃で72時間反応させた。その後、反応溶液に水を注ぎ、トルエンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法〔展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=6/1(2回)〕を行い、1−(3−ピリジン)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2,−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(3PyPhDOB)の薄い黄色の粘体を得た。収率:39.9mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。
(2)2,4,6−トリス〔5′−(ピリジニ−3−イル)ビフェニリ−3−イル〕−1,3,5−トリアジン(Tm3PyBPhTAZ)の合成
【化117】
四つ口フラスコに2,4,6−トリス(m−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(TmBrPhTAZ)(1.64g,3.0mmol)、1−(3−ピリジル)−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼン(3PyPhDOB)(2.93g,10.4mmol)、Pd(PPh3)4(208mg,0.18mmol)、トルエン/エタノール(5/1,180mL)と2M K2CO3(30mL)を入れて、窒素気流下90℃で24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒をエバポレーターで除去した。
精製はカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)を行い、アセトンによる再結晶を行い2,4,6−トリス〔5′−(ピリジニ−3−イル)ビフェニリ−3−イル〕−1,3,5−トリアジン(Tm3PyBPhTAZ)の白色の粉末を得た。収率:68.5mol%。
構造確認は1H−NMRで行った。その結果は、図6に示す。また、実施例6の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図12に示し、その物性を表1に示す。
【0142】
【表1】
Td:分解温度、Tg:二次転移温度、Tm:融点、Ip:イオン化ポテンシャル、Eg:エネルギーギャップ、Ea:エレクトロアフィニティ(電子親和力)、n.d.:検出されず。
Tg(二次転移温度)については、DSC(Diffirential Scanning Calorimeter 示差熱量計)中にサンプルを加え、溶融させたものを急冷し、2〜3回繰り返すとガラス転移を表すカーブがチャート上に現れるので、そのカーブを接線で結び、その交点の温度をTgとして採用する。
Tm(融点)は、同じくDSCにサンプルを加え、昇温していくと吸熱カーブが現れるのでその極大のところとの温度を読んで、その温度をTmとする。
Td(分解温度)は、DTA(Differential thermal analyzer 示差熱分析装置)にサンプルを加え、加熱していくとサンプルが熱によって分解し、重量が減少しだす。その減少が開始しだしたところの温度を読んで、その温度をTdとする。
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりの所に接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
Ip(イオン化ポテンシャル)は、イオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−1)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始しだしたところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。
本明細書における波長に対する強度(intensity a.u.)の測定は、浜松ホトニクス社製ストリークカメラを用いて、クライオスタット中で4.2Kにおいて測定した。
【0143】
実施例7〜10および比較例1
(本発明化合物を電子輸送層として使用)
(1)各実施例、比較例の素子構成
比較例1(図66に相当)
○:ITO(陽極)/α−NPD(50nm)(正孔輸送層)/Alq3(70nm)(電子輸送性発光層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)(陰極);
実施例7(図57に相当)
□:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例1の化合物TmiQPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例8(図57に相当)
◇:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例2の化合物TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例9(図57に相当)
▽:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例3の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例10(図57に相当)
△:ITO/α−NPD(50nm)/Alq3(40nm)/実施例4の化合物TmMPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
前記○、□、◇、▽、△の印は、図14〜18の各グラフの印である。
【化118】
【化119】
【0144】
前記実施例7〜10および比較例1の各素子の特性を下記表2〜4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
ETMs:発光材料(Emitting Materials)
Max.P.E.:最大視感効率(Maximum Power
Efficiency)
Max.C.E.:最大電流効率(Maximum Current
Efficiency)
Max.Q.E.:最大外部量子効率(Maximum External
Quantum Efficiency)
P.E.:視感効率(Power Efficiency)
Q.E.:外部量子効率(External Quantum
Efficiency)
【0145】
各素子の電流密度−電圧特性は 図14に、
輝度 −電圧特性は 図15に、
視感効率−電圧特性は 図16に、
電流効率−電圧特性は 図17に、
輝度 −電流密度特性は図18に、
電流効率−電流密度特性は図19に、
ELスペクトルは 図20に、
それぞれ示す。
【0146】
実施例11〜13および比較例2
(本発明化合物の青色リン光素子への応用)
(1)各実施例、比較例の素子構成(図58に相当)
比較例2
○:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/TAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例11
□:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/実施例1の化合物TmiQPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例12
◇:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/実施例2の化合物TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例13
△:ITO/TPDPES(20nm)/3DTAPBP(20nm)/4CzPBP:Firpic(11wt%)(30nm)/実施例3の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化120】
【化121】
【化122】
【化123】
【化124】
【0147】
各素子の電流密度 −電圧特性は 図21に、
輝度 −電圧特性は 図22に、
輝度 −電流密度特性は図23に、
外部量子効率−輝度特性は 図24に、
視感効率 −輝度特性は 図25に、
電流効率 −電圧特性は 図26に、
視感効率 −電圧特性は 図27に、
電流効率 −電流密度特性は図28に、
それぞれ示す。
【0148】
実施例11〜13および比較例2の各素子の物性を下記表に示す。
【表5】
ETLs:電子輸送層
Turn on voltage:発光開始電圧
Max.luminance:最大輝度
【0149】
【表6】
【0150】
【表7】
【0151】
実施例14、比較例3
本発明化合物を用いた緑色リン光素子においてα−NPDを正孔輸送層に用いた。
(1)素子の構成
比較例3(図65に相当)
○:ITO(陽極)/TPDPES(20nm)(正孔注入層)/α−NPD(30nm)(正孔輸送層)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)(発光層)/BCP(10nm)(正孔ブロック層)/Alq3(20nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)(陰極);
実施例14(図58に相当)
□:ITO(陽極)/TPDPES(20nm)(正孔注入層)/α−NPD(30nm)(正孔輸送層)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)(発光層)/実施例1のTmiQPhTAZ(30nm)(電子輸送層)/LiF(0.5nm)(電子注入層)/Al(100nm)(陰極);
【0152】
【表8】
【0153】
各素子の電流密度 −電圧特性を 図29に、
輝度 −電圧特性を 図30に、
視感効率 −輝度特性を 図31に、
外部量子効率−輝度特性を 図32に、
ELスペクトルを 図33に示す。
【0154】
実施例15、16(緑色リン光素子への応用)
本発明の実施例2と3の化合物を用いたEL素子であって、TAPCを正孔輸送層として用いた例である。
(1)素子の構成(図58に相当)
実施例15
○:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)/実施例2の化合物TmPyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
実施例16
□:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)/実施例3の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化125】
【化126】
【0155】
各素子の物性を下記表に示す。
【表9】
【0156】
【表10】
【0157】
【表11】
【0158】
各素子の電流密度 −電圧特性を 図34に、
輝度 −電圧特性を 図35に、
輝度 −電流密度特性を図36に、
電流効率 −電流密度特性を図37に、
電流効率 −電圧特性を 図38に、
視感効率 −電圧特性を 図39に、
外部量子効率−輝度特性を 図40に、
視感効率 −輝度特性を 図41に、
ELスペクトルを 図42に、
それぞれ示す。
【0159】
実施例17(緑色リン光素子の膜厚効果)
(1)素子の構成(図58に相当)
その1
○:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(30nm)/実施例1の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
その2
◇:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(30nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(10nm)/実施例1の化合物Tm4PyPhTAZ(50nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
その3
△:ITO/TPDPES(20nm)/TAPC(50nm)/CBP:IrPPy(7wt%)(10nm)/実施例1の化合物Tm4PyPhTAZ(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(100nm);
【化127】
【0160】
各素子の物性を下記表に示す。
【表12】
HTL/EML/ETL:正孔輸送層/発光層/電子輸送層
【0161】
【表13】
【0162】
【表14】
【0163】
各素子の電流密度 −電圧特性を 図43に、
輝度 −電圧特性を 図44に、
輝度 −電流密度特性を図45に、
電流効率 −電流密度特性を図46に、
電流効率 −電圧特性を 図47に、
視感効率 −電圧特性を 図48に、
外部量子効率−輝度特性を 図49に、
視感効率 −輝度特性を 図50に、
ELスペクトルを 図51に、
それぞれ示す。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明化合物である実施例1の2,4,6−トリス〔3−(イソキノリニ−4−イル)フェニル−1,3,5−トリアジン〕(TmiQPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図2】本発明化合物である実施例2の2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図3】本発明化合物である実施例3の2,4,6−トリス〔3−(ピリジニ−4−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(Tm4PyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図4】本発明化合物である実施例4の2,4,6−トリス〔3−(6−メトキシピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TmMPyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図5】本発明化合物である実施例5の2,4,6−トリス〔4−(6−ピリジニ−3−イル)フェニル〕−1,3,5−トリアジン(TpPyPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図6】本発明化合物である実施例6の2,4,6−トリス〔5′−(ピリジニ−3−イル)ビフェニリ−3−イル〕−1,3,5−トリアジン(TmPyBPhTAZ)の1H−NMRを示す。
【図7】実施例1の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図8】実施例2の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図9】実施例3の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルをを示すグラフである。
【図10】実施例4の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図11】実施例5の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図12】実施例6の化合物の蒸着膜の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを示すグラフである。
【図13】実施例2の化合物(TmPyPhTAZ)、実施例3の化合物(Tm4PyPhTAZ)およびTAZ(トリアゾール)のリン光スペクトルを示すグラフである。
【図14】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図15】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図16】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図17】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図18】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図19】比較例1(○印)、実施例7(□印)、実施例8(◇印)、実施例9(▽印)、実施例10(△印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図20】比較例1、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図21】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図22】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図23】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図24】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図25】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図26】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図27】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図28】比較例2(○印)、実施例11(□印)、実施例12(◇印)実施例13(△印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図29】比較例3(○印)と実施例14(□印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図30】比較例3(○印)と実施例14(□印))のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図31】比較例3(○印)と実施例14(□印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図32】比較例3(○印)と実施例14(□印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図33】比較例3(実線)と実施例14(点線)のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図34】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図35】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図36】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図37】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図38】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図39】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図40】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図41】実施例15(○印)と実施例16(□印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図42】実施例15(点線)と実施例16(実線)のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図43】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電流密度−電圧特性を示すグラフである。
【図44】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの輝度−電圧特性を示すグラフである。
【図45】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの輝度−電流密度特性を示すグラフである。
【図46】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電流効率−電流密度特性を示すグラフである。
【図47】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの電流効率−電圧特性を示すグラフである。
【図48】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの視感効率−電圧特性を示すグラフである。
【図49】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの外部量子効率−輝度特性を示すグラフである。
【図50】実施例17のその1(○印)、その2(□印)、その3(△印)のそれぞれの視感効率−輝度特性を示すグラフである。
【図51】実施例17のその1(実線)、その2(点線)、その3(○印)のそれぞれのELスペクトルを示すグラフである。
【図52】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図53】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図54】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図55】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図56】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図57】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図58】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図59】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図60】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図61】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図62】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図63】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図64】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図65】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図66】比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0165】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 正孔輸送層
6 電子輸送層
7 正孔注入層
8 電子注入層
9 正孔ブロック層
10 電子輸送性発光層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
下記一般式(2)
【化2】
下記一般式(3)
【化3】
下記一般式(4)
【化4】
下記一般式(5)
【化5】
および下記一般式(6)
【化6】
〔前記一般式(1)〜(6)における式中のR1〜R14は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化7】
である。〕
よりなる群から選ばれたトリアジン誘導体。
【請求項2】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(7)
【化8】
〔式中のR21〜R32は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化9】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体。
【請求項3】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(8)
【化10】
〔式中のR41〜R52は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化11】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体。
【請求項4】
3.4eV以上の広いエネルギーギャップ(Eg)を有する請求項1〜3いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項5】
500nmよりも短波長に低温リン光スペクトルの発光端を示す請求項1〜4いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項6】
一般式(1)〜(6)におけるAr′がピリジル基である請求項1〜5いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項7】
一般式(1)〜(6)におけるArが単結合またはフェニレン基である請求項1〜6いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項8】
一般式(1)、(2)、(4)、(5)、(6)におけるArが3′−位および/または、5′−位に結合している請求項1〜7いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
請求項4記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項5記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
下記一般式(2)
【化2】
下記一般式(3)
【化3】
下記一般式(4)
【化4】
下記一般式(5)
【化5】
および下記一般式(6)
【化6】
〔前記一般式(1)〜(6)における式中のR1〜R14は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化7】
である。〕
よりなる群から選ばれたトリアジン誘導体。
【請求項2】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(7)
【化8】
〔式中のR21〜R32は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化9】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体。
【請求項3】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(8)
【化10】
〔式中のR41〜R52は、水素、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基をもつアルキルアミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリール基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーロキシ基および炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリールアミノ基よりなる群からそれぞれ独立に選ばれた基であり、Arは、単結合または炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を置換基として有することもあるアリーレン基、Ar′は窒素、硫黄および酸素よりなる群から選ばれたヘテロ元素をもつヘテロアリール基(置換基として、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を有していてもよい)であり、Aは、
【化11】
である。〕
で示される請求項1記載のトリアジン誘導体。
【請求項4】
3.4eV以上の広いエネルギーギャップ(Eg)を有する請求項1〜3いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項5】
500nmよりも短波長に低温リン光スペクトルの発光端を示す請求項1〜4いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項6】
一般式(1)〜(6)におけるAr′がピリジル基である請求項1〜5いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項7】
一般式(1)〜(6)におけるArが単結合またはフェニレン基である請求項1〜6いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項8】
一般式(1)、(2)、(4)、(5)、(6)におけるArが3′−位および/または、5′−位に結合している請求項1〜7いずれか記載のトリアジン誘導体。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求項1〜8いずれか記載のトリアジン誘導体を電子輸送材料として使用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
請求項4記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項5記載のトリアジン誘導体とリン光発光材料を併用したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【公開番号】特開2007−137829(P2007−137829A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334956(P2005−334956)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国などの委託成果にかかる特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率有機デバイスの開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国などの委託成果にかかる特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率有機デバイスの開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】
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