説明

新規なトリテルペン誘導体、その製法および使用

本発明は、トリテルペンの新規な合成誘導体およびその医薬としての使用に関する。ある態様では、本発明はレトロウイルス感染を阻止するための本発明トリテルペン誘導体の使用を教える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリテルペンの新規な合成誘導体およびその医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レトロウイルスは小さな、一本鎖のプラス鎖RNAウイルスである。レトロウイルス粒子は二つの等価な一本鎖のプラス鎖RNA分子よりなる。そのゲノムにはとりわけ、逆転写酵素としても知られる、RNA依存性DNAポリメラーゼが含まれる。成熟したウイルス粒子内にはゲノムRNAと密接に関連して多くの逆転写酵素分子が見出される。細胞内に侵入すると、この逆転写酵素によりウイルスゲノムの二本鎖DNAのコピーが製造され、これが宿主細胞のクロマチン内に挿入される。一度挿入されるとそのウイルス配列はプロウイルスと呼ばれる。レトロウイルスの組み込みはウイルスタンパクに直接依存している。直鎖のウイルスDNA末端部(LTRs)は組み込まれたプロウイルスDNAに対する直前の前駆体である。組み込まれた部位には宿主DNAの短い配列の特徴的な複製が存在する。
【0003】
子孫ウイルスゲノムおよびmRNAは、宿主細胞RNAポリメラーゼにより、プロウイルス配列の末端領域、末端反復配列またはLTRs中の転写制御シグナルに応答して転写される。宿主細胞中のタンパク質産生機構がウイルスタンパク質を製造するために使用されるが、該タンパク質の多くはウイルスにコードされたプロテアーゼでプロセシングされるまでは不活性である。通常は、子孫ウイルス粒子はその表面から非溶解性に発芽する。レトロウイルス感染は感染細胞または感染生物の通常のライフサイクルを妨げるとは限らない。しかしながら、宿主生体に関してはいずれにしろ無害ではあり得ない。DNAウイルスの場合多くの種類が腫瘍形成に係わっているが、レトロウイルスは発癌性である唯一のDNAウイルスの分類上の種類である。ヒトの後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原体であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)のような種々のレトロウイルスは、高等動物の免疫系における極めて特異ないくつかの病気の原因でもある。
【0004】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、レトロウイルスのサブファミリーであるレンチウイルスの仲間である。HIVが感染すると免疫系の細胞に侵入する;HIVは体の免疫系を破壊し患者は日和見感染症や新生物に罹りやすくなる。免疫異常は進行性、かつ不可逆性であって数年間における死亡率は高く100%に達する。
HIV-1は、T4リンパ球、OKT4としても知られる細胞表面分化抗原CD4を発現する免疫系細胞、T4およびleu3に対して栄養性かつ細胞変性的である。ウイルス指向性はウイルスエンベロープの糖タンパク質、gpl20と細胞表面のCD4分子との間の相互作用のためである〔Dalgleish et al., Nature,312:763-767(1984)〕。この相互作用は、敏感な細胞のHIVによる感染を媒介するのみならず、感染および非感染T細胞のウイルス誘導融合の原因となる。そして、この細胞融合の結果、HIV感染患者において巨大多核合胞体、細胞死およびCD4細胞の進行性欠乏がもたらされる。これら事象はさらにHIV誘発の免疫低下とこれに続く続発症、日和見感染および新生物をもたらす。
【0005】
CD4+T細胞に加えて、HIV宿主の範囲は血液単球を含む単核食細胞系統(Dalgleish et al., supra)、組織マクロファージ、皮膚のランゲルハンス細胞、およびリンパ節内の樹枝状細網細胞を含む。HIVはまた向神経性であって、中枢神経系の単球やマクロファージに感染し重篤な神経損傷を与える可能性がある。マクロファージや単球はHIVの主たる蓄積場所である。これらはCD4を有するT細胞と相互作用し融合してT細胞を枯渇させAIDSの発病に寄与している。
過去数年間においてHIV治療のための薬剤が大きく進歩した。HIV治療薬としては、特に限定はされないが、AZT、3TC、ddC、d4T、ddI、テノホビル、アバカビル、ネビラピン、デラビルジン、エムトリシタビン、エファビレンツ、サキナビル、リトナビル、インディナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、およびアタザナビル、またはその他の任意の抗レトロウイルス薬若しくは抗体で相互の組み合わせ若しくは生物学的な基礎の治療薬と関連したもの、例えば、gp41由来のペプチド・エンフュービルタイド(フューゼオン; チメリス-Roche)およびT-1249(トライメリス)、または可溶性CD4、CD4に対する抗体、およびCD4若しくは抗CD4の複合体、またはここで追加的に示したものが少なくともひとつ含まれる。
【0006】
これら薬物の組み合わせは特に効果的で血漿中のウイルスRNAレベルを検出不可な程度にまで低下させウイルス抵抗の発達を遅らせることができ、患者の健康状態及び寿命の改良をもたらす。
これらの進歩にも拘わらず、現在可能な薬物療法には依然として問題がある。多くの薬物は重篤な毒性と副作用(例えば、脂肪の再分配)を有し、複雑な投与計画が必要なためにコンプライアンスを低下させて結果的にその効果を制限する。組み合わせ療法においてさえ期間を超えるとHIVの耐性種がしばしば出現する。これら薬剤の高い費用もまた、特に先進国外において幅広い使用の制限となっている。
これらの問題を回避するため、更に薬剤を開発する必要性が依然として存在する。理想的には、組み合わせ療法の道具に加えてウイルス・ライフサイクルの異なるステージを標的とし、毒性は最小でと製造コストの低いものがよい。
【0007】
かって、Syzigium claviflorumより抗HIVの本体としてベツリン酸とプラタン酸が単離された。ベツリン酸およびプラタン酸はH9リンパ球細胞内のHIV複製に対してEC50がそれぞれ1.4μM、6.5μM、T.I.値がそれぞれ9.3および14であった。ベツリン酸を水素化するとジヒドロベツリン酸が得られ、これはわずかに強い抗HIV効果を有していてEC50が0.9、T.I.値が14を示した〔Fujioka,T., et al., J.Nat.Prod., 57:243-247(1994)〕。
ベツリン酸を、例えば3',3'-ジメチルグルタリルおよび3',3'-ジメチルサクシニルのような置換アシル基でエステル化するとより活性の強い誘導体が得られる〔Kashiwada,Y., et al., J.Med.Chem., 39:1016-1017(1996)〕。アシル化ベツリン酸およびジヒドロベツリン酸誘導体は強力な抗HIV剤であって米国特許第5,679,828号にも記載がある。
【0008】
【化1】

米国特許第5,468,888号には、ルパンの28-アミド誘導体が開示されHIV感染細胞に対する細胞保護作用が記載されている。
日本国特許出願JP01-143,832号にはベツリンとその3,28-ジエステルが抗癌領域で有用であるとの開示がある。
【0009】
【化2】

米国特許第6,172,110号には、ベツリンおよびジヒドロベツリン誘導体に強力な抗HIV作用を見出したとの開示がある。
【0010】
【化3】

【0011】
ベツリンの3-炭素をコハク酸でエステル化するとHIV-1活性を阻害し得る化合物を与える〔Pokrovskii,A.G., et al., Gos. Nauchnyi Tsentr Virusol. BiotekAnol., "Vector" 9:485-491(2001)〕。
国際出願公開公報WO 02/26761にはベツリンおよびそのアナログの真菌感染治療用途が開示されている。また、米国特許第6,369,101号はアロベツリン誘導体のヘルペスウイルス感染治療用途が開示され、同3,903,089号にはウルソル酸誘導体が抗炎症化合物として記載されている。
強力な抗レトロウイルス活性、特に抗HIV活性を有し、生体内分布が改良されかつ作用機序の異なる化合物を求める必要性が存在し続けている。現在の抗HIV療法に追加するためそのような化合物が緊急に必要である。個人間におけるHIV感染を予防するために、膣またはその他の粘膜に局所投与可能で安全かつ有効な化合物がさらに求められている。
【0012】
発明の要約
本発明の第一の側面は、式Iの化合物
【化4】

【0013】
〔式中、Aは下式縮合環
【化5】

であって、ここで、Aの式中xおよびyで示された環構成炭素は、式I中においてxおよびyで示された環構成炭素と同一であり、
【0014】
はカルボキシアルカノイルであって、ここで該アルカノイル鎖は任意で一つ以上のヒドロキシルまたはハロゲンで置換されてもよいか、または窒素、硫黄若しくは酸素原子またはその組み合わせにより中断されてもよく;
およびRは独立して、水素、メチル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシルまたは−COOR17
は水素、メチル、ハロゲンまたはヒドロキシル;
【0015】
はカルボキシアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、カルボキシアルカノイルオキシメチル、アルコキシメチル、カルボキシアルコキシメチル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシアルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アミノアルコキシアルキルアミノカルボニル、モノアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロカルボニル、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニルであって、そのいずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;またはRはカルボキシル若しくはヒドロキシメチルであり、またはR若しくはRの一方がカルボキシルの場合、Rはメチルとなり得、;
【0016】
は水素、メチル、ヒドロキシ、またはハロゲンであり;
およびRは独立して水素またはC1−6アルキル;
はCHまたはCH
10は水素、ヒドロキシ、またはメチル;
llは、メチル、メトキシカルボニル、カルボキシアルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、アルコキシメチルまたはカルボキシアルコキシメチルであって、いずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;
12は、水素またはメチルであり;
13は、水素またはメチルであり;
14は、水素またはヒドロキシであり;
15は、C12とC13が単結合を形成する場合、水素であり、そしてC12とC13が二重結合を形成する場合は存在せず;
16は、水素またはヒドロキシであり;
l7はアルキルまたはカルボキシアルキルであって、該アルキル鎖は一つ以上のヒドロキシ若しくはハロで任意に置換されていてもよく、または窒素、硫黄若しくは酸素またはこれらの組み合わせにより中断されていてもよく;
12およびC13の間またはC20およびC29の間の直線の破線は任意で二重結合を表し;
【0017】
但し、Aが
【化6】

である場合、C12およびC13間に二重結合が存在するとRはグルタリル若しくはサクシニルにはなり得ず;
Aが(ii)、Rllがメチルの場合は、Rはサクシニルにはなり得ず;
Aが(iii)、R、RおよびR13がそれぞれ水素の場合は、Rはサクシニルにはなり得ない;
【0018】
また、RおよびRがいずれもメチルで、C12およびC13の間に二重結合が存在する場合は、A(i)は
【化7】

に、なり得ない。〕
およびその薬学的に許容される塩若しくはエステルを教えている。
【0019】
いくつかの態様においては、R
【化8】

よりなる群から選択される。
【0020】
本発明の第二の側面は、一つ以上の式Iの化合物および薬学的に許容される担体若しくは希釈物を含んでなる薬学的組成物を教える。これら組成物には薬学的に活性な化合物が一つ以上追加的に含まれていてもよい。
式Iの化合物は抗レトロウイルス剤として有用である。従って、本発明は動物の組織または細胞におけるレトロウイルス感染を阻止する方法を提供する;該方法は式Iの化合物のレトロウイルス有効阻止量を投与することを含む。いくつかの実施態様はレトロウイルス関連病変に罹患している患者の治療方法に向けられていて、該方法は式Lの化合物を含む薬学的組成物のレトロウイルス有効阻止量をその対象に投与することを含む。
【0021】
式Iのトリテルペン誘導体は一つ以上の抗ウイルス剤と組み合わせて使用することができる。かくして、本発明はレトロウイルス関連病変に罹患している患者の治療方法を提供し、該方法は少なくとも一つの式Iの化合物のレトロウイルス有効阻止量を一つ以上の抗ウイルス剤と組み合わせてその対象に投与することを含む。いくつかの態様では、その抗ウイルス剤は米国においてHIV治療の用途が認められているものである。本発明はまた、HIV−1に感染した対象を治療する方法にも向けられていて、該方法は少なくとも一つの上記トリテルペン誘導体と、任意で一つ以上の既知の抗AIDS治療薬、または免疫刺激剤とを組み合わせて投与する。
本発明はまた、HIV感染の個人間の伝染を阻止する方法を提供する。特に、本発明は妊娠したHIV感染の女性から胎児へのHIV感染を阻止する方法を提供し、その方法は当該女性または胎児に対し、一つ以上の式Iの化合物のレトロウイルス有効阻止量を妊娠中若しくはその直前、または誕生時若しくはその後に投与することを含む。
【0022】
更に、本発明は性的交渉におけるHIV感染の伝染を阻止する方法を提供する;その方法は一つ以上の式Iの化合物を含む局所組成物のレトロウイルス有効阻止量を性的交渉前に膣またはその他の粘膜に適用することを含む。
更に、本発明は式Iの化合物を製造する方法を教えている。
本発明の追加的な態様および有利な点は、その一部は続く記載において説明され、また一部は記載から自明であり、または発明を実施すれば学習可能である。これら本発明の態様および有利な点は特許請求の範囲で指摘された要素およびその組み合わせによって理解され実現されるであろう。
前述の一般的な記載および以降に続く詳細な記載はいずれも説明および例示に過ぎず、要求された本発明を何ら制限しないと理解しなければならない。
【発明の開示】
【0023】
本発明の化合物は一般式I
【化9】

〔式中、Aは下式縮合環
【化10】

であって、ここで、Aの式中xおよびyで示された環構成炭素は、式I中においてxおよびyで示された環構成炭素と同一であり、
【0024】
はカルボキシアルカノイルであって、ここで該アルカノイル鎖は任意で一つ以上のヒドロキシルまたはハロゲンで置換されてもよいか、または窒素、硫黄若しくは酸素原子またはその組み合わせにより中断されてもよく;
およびRは独立して、水素、メチル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシルまたは−COOR17
は水素、メチル、ハロゲンまたはヒドロキシル;
【0025】
はカルボキシアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、カルボキシアルカノイルオキシメチル、アルコキシメチル、カルボキシアルコキシメチル、であって、そのいずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;またはRはカルボキシル若しくはヒドロキシメチルであり、またはR若しくはRの一方がカルボキシルの場合、Rはメチルとなり得、;
【0026】
は水素、メチル、ヒドロキシ、またはハロゲンであり;
およびRは独立して水素またはC1−6アルキル;
はCHまたはCH
10は水素、ヒドロキシ、またはメチル;
llは、メチル、メトキシカルボニル、カルボキシアルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、アルコキシメチルまたはカルボキシアルコキシメチルであって、いずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;
12は、水素またはメチルであり;
13は、水素またはメチルであり;
14は、水素またはヒドロキシであり;
15は、C12とC13が単結合を形成する場合、水素であり、そしてC12とC13が二重結合を形成する場合は存在せず;
16は、水素またはヒドロキシであり;
l7はアルキルまたはカルボキシアルキルであって、該アルキル鎖は一つ以上のヒドロキシ若しくはハロで任意に置換されていてもよく、または窒素、硫黄若しくは酸素またはこれらの組み合わせにより中断されていてもよく;
12およびC13の間またはC20およびC29の間の直線の破線は任意で二重結合を表し;
【0027】
但し、Aが
【化11】

である場合、C12およびC13間に二重結合が存在するとRはグルタリル若しくはサクシニルにはなり得ず;
Aが(ii)、Rllがメチルの場合は、Rはサクシニルにはなり得ず;
Aが(iii)、R、RおよびR13がそれぞれ水素の場合は、Rはサクシニルにはなり得ない;
【0028】
また、RおよびRがいずれもメチルで、C12およびC13の間に二重結合が存在する場合は、A(i)は
【化12】

に、なり得ない。〕
またはその薬学的に許容される塩若しくはエステルである。
【0029】
ある態様においては、Rはカルボキシ(C2−10)アルキルカルボニル基またはカルボキシ(C2−10)アルコキシ(C1−10)アルキルカルボニル基である。ある態様においては、Rはカルボキシ(C2−6)アルキルカルボニル基またはカルボキシ(C2−6)アルコキシ(C1−6)アルキルカルボニル基である。
適切なR基は
【化13】

よりなる群から選択される。
【0030】
ある態様においては、RおよびRは独立して水素、メチル、ハロゲン、またはヒドロキシである。ある態様においては、RおよびRは独立してカルボキシである。また、ある態様においては、RおよびRは独立してCOOR17である。
ある態様において、R17はカルボキシ(C2−10)アルキル基またはカルボキシ(C2−10)アルコキシ(C1−10)アルキル基である。ある態様において、R17はカルボキシ(C2−6)アルキル基またはカルボキシ(C2−6)アルコキシ(C1−6)アルキル基である。また、ある態様において、R17
【化14】

よりなる群から選択される。
【0031】
本発明に従えば、ある態様において該化合物は式II
【化15】

で表され、
【0032】
式中、R、R、R、R、R、RおよびR14は上記の式Iと同様である。ある態様においては、Rはβ-メチル、Rは水素、Rはヒドロキシメチル、Rは3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルスクシニル、グルタリルまたはスクシニルである。別の態様では、Rは水素、RおよびRはいずれもメチル、Rはカルボキシル、Rは3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルスクシニル、グルタリルまたはスクシニルである。
【0033】
ある態様においては、Rはカルボキシアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、カルボキシアルカノイルオキシメチル、アルコキシメチル、カルボキシアルコキシメチル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシアルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アミノアルコキシアルキルアミノカルボニル、モノアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニルであって、そのいずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;またはRはカルボキシルまたはヒドロキシメチルである。ある態様においては、Rはカルボキシアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、カルボキシアルカノイルオキシメチル、アルコキシメチル、カルボキシアルコキシメチルである。ある態様においては、Rはカルボキシル、ヒドロキシメチル、−CO(CH)nCOOH、−CO(CH)nCH、−CHOC(O)(CH)nCH、−CHOC(O)(CH)nCOOH、−CHO(CH)nCHおよび−CHO(CH)nCOOHよりなる群から選択される。
【0034】
ある態様においては、R
【化16】

よりなる群から選択される。
【0035】
ある態様においては、R
【化17】

よりなる群から選択される。
【0036】
ある態様において、Rはヒドロキシメチルである。また、ある態様においてRはカルボキシルである。ある態様において、nは0から20である。ある態様において、nは1から10である。ある態様において、nは2から8である。ある態様において、nは1から6である。ある態様において、nは2から6である。
【0037】
ある態様において、本発明の化合物は式IIIで表され、
【化18】

式中、R、R、R10、およびR11は式Iと同様である。ある態様において、R11は3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルスクシニル、グルタリルまたはスクシニルである。
【0038】
ある態様において、R11はメチル、メトキシカルボニル、カルボキシアルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、アルコキシメチルまたはカルボキシアルコキシメチルであり、いずれも任意で一つ以上のヒドロキシまたはハロゲンで置換されていてもよい。ある態様において、R11はメチル、−CO(CH)nCOOH、−CHOC(O)(CH)nCH、−CHO(CH)nCHおよび−CHO(CH)nCOOHよりなる群から選択される。ここである態様において、nは0から20である。ある態様において、nは1から10である。ある態様において、nは2から8である。ある態様において、nは1から6である。ある態様において、nは2から6である。ある態様においては、R11はメチルである。ある態様においては、R11はメトキシカルボニルである。ある態様においては、R11はメトキシメチルおよびエトキシメチルよりなる群から選択される。ある態様においてR11のメチルはハロゲンまたはヒドロキシで置換され得る。
【0039】
ある態様において、本発明の化合物は式IVで表され、
【化19】

式中、R、R、R、RおよびR13は式Iと同様である。ある態様において、Rは3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルスクシニル、グルタリルまたはスクシニルである。ある態様において、R2およびR3はいずれもメチルである。
【0040】
ある態様において、本発明の化合物は式Vで表され、
【化20】

式中、R、R、R、R、RおよびRは式Iと同様である。ある態様において、Rは水素、Rはメチル、そしてRはメチルである。ある態様において、Rはメチル、Rは水素、そしてRはメチルである。ある態様において、Rはカルボキシルである。ある態様において、RはCOOR17であって、R17は式Iと同様である。
【0041】
ある態様において、本発明の化合物は式VIで表され、
【化21】

式中、RおよびRは式Iと同様である。
【0042】
式Iの範囲に包含されるトリテルペンはいずれも使用することができる。本発明に従うと、ある態様において式Iの化合物はウバオール、ウルソ酸、エリスロジオール、エチノシスト酸、オレアノール酸、スマレシノール酸、ルペオール、ジヒドロウペオール、ベツリン酸メチルエステル、ジヒドロベツリン酸メチルエステル、17-α-メチルアンドロスタンジオール、アンドロスタンジオール、ギムネム酸、α-ボスウェル酸、β-ボスウェル酸、および4,4-ジメチル-アンドロスタンジオールよりなる群から選択される。
ある態様において、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、RおよびRはいずれもメチルである。ある態様において、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、3',3'-ジメチルスクシニルである。ある態様において、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Rはスクシニル、即ち
【化22】

である。
【0043】
本発明に従うと、ある態様においては側鎖置換基の立体化学が重要である。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(i)でRはβ位である。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(i)でRはβ位である。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(i)でR14はα位である。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(i)でRはα−メチルであり、Rは水素である。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(i)でRはα−メチルであり、Rは水素である。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(i)でRおよびRはいずれもメチルである。ある態様においては、本発明の化合物は式Iで定義され、式中、Aは(ii)でR11はβ位である。
【0044】
ある態様において、3',3'-ジメチルスクシニル基はC炭素にある。ある態様において、式IIの化合物は3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)ウバオール;3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)エリスロジオール、3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)エチノシスト酸または3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)スマレシノール酸である。ある態様において、式IIIの化合物は3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)ルペオール;3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)ジヒドロルペオール;3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)-17β-メチルエステル-ベツリン酸;または3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)-17β-メチルエステル-ジヒドロベツリン酸である。ある態様において、式IVの化合物は、3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)-4,4-ジメチルアンドロスタンジオール;3-0-(3',3-ジメチルスクシニル)-17α-メチルアンドロスタンジオール;または3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)アンドロスタンジオールである。ある態様において、式Vの化合物は、3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)-α-ボスウェル酸または3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)-β-ボスウェル酸である。ある態様において、式VIの化合物は、3-0-(3',3'-ジメチルスクシニル)ギムネム酸である。
【0045】
本発明化合物のアルキル基およびアルキル基を含む置換基は直鎖または分枝鎖状であって、好ましくは1個から10個の炭素原子を有する。ある態様において、本発明のアルキル基またはアルキル基を含む置換基はC3−7シクロアルキル基で置換され得る。ある態様において、該シクロアルキル基はシクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルを含み得るが限定はされない。
本発明化合物の薬学的に許容される無毒の塩もまた本発明の範囲内に含まれる。これらの塩は化合物の最後の単離と精製の間に溶液中で調製され、または遊離酸の形で精製した該化合物と適切な有機若しくは無機の塩とを別々に反応させ得られた塩を単離して調製される。その中には、アルカリおよびアルカリ土類金属の塩、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩が含まれ、また、無毒のアンモニウム、四級アンモニウムおよびアミンカチオン、例えば限定はされないがアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、N-メチルグルカミン等が含まれる。
【0046】
本発明化合物の薬学的に許容される無毒のエステルもまた本発明の範囲内に含まれる。該エステルは、生理的条件下で容易に加水分解されるタイプのエステルが好ましい。本発明化合物の薬学的に許容されるエステルの例としては、直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキルエステルが含まれる。許容されるエステルとしてはC5−7シクロアルキルエステルやアリールアルキルエステルがまた含まれるが、ベンジルに限定されない。C1−4アルキルエステルが好ましい。ある態様においては、エステルは例えば酢酸エステルのようなあるきるカルボン酸エステル、および、例えばメチルホスフェートエステルやジメチルホスフェートエステルのようなモノ若しくはジアルキルホスフェートよりなる群から選択される。本発明化合物のエステルは慣用的な方法により製造され得る。
【0047】
式I、II、III、IV、VおよびVIに含まれるある種の化合物は「プロドラッグ」と呼ばれる誘導体である。「プロドラッグ」とは、例えば血中の加水分解で酵素的若しくは化学的工程によりin vivoで変換され、上記式の親化合物を生成する化合物をいう。詳細な議論は、Higuchi, T. and V. Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」, Vol. 1d, A.C.S.Symposium Series、および「Bioreversible Carriers in Drug Design」, Ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association, Pergamon Press, 1987にある。式I、II、III、IV、VおよびVIの化合物のエステルは有用なプロドラッグとなり得る。あるプロドラッグの態様では、低級アルキル基は一つ以上のヒドロキシル基もしくはハロゲンを有し、適切な酸により置換される。適切な酸としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸若しくはその低級アルキルエステル、およびホスホン酸若しくはその低級アルキルエステルが含まれる。例えば適切なカルボン酸には酢酸のようなアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、およびアリールアルキルカルボン酸が含まれる。そして、適切なスルホン酸には、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸およびアリールアルキルスルホン酸が含まれる。適切なリン酸およびホスホン酸エステルはメチル若しくはエチルエステルである。
【0048】
ある態様において、C3'位にジメチル基または酸素を有するC3アシル基は最も活性な化合物となり得る。この観測結果はアシル基のこれらのタイプが抗HIV活性増強に重要かもしれない。
本発明はまた、少なくとも一つの上記トリテルペン誘導体と、一つ以上の既知の抗AIDS治療薬若しくは免疫刺激剤とを任意で組み合わせて投与し、HIV感染した対象を治療する方法を教えている。
本発明のその他の特徴、利点、態様、側面および目的はここでの記述、教唆および指導に基づいて関連分野の当業者には明らかであろう。
本発明の類縁体は抗レトロウイルス活性を有し得る。こうして、レトロウイルス感染治療のための化合物および組成物が、抗レトロウイルス、抗HIV、および/または免疫刺激剤若しくは抗ウイルス抗体若しくはそのフラグメントのような薬学的な有効成分を任意で追加して、提供される。
【0049】
「抗レトロウイルス活性」や「抗HIV活性」の語により、下記の少なくとも一つが阻止されることが意図される;
(1)宿主細胞遺伝子内へのウイルスのプロDNAの集積
(2)レトロウイルスの細胞への結合
(3)ウイルスの細胞内への侵入
(4)ウイルス複製を許す細胞代謝
(5)ウイルスの細胞間拡散阻止
(6)ウイルス抗原の合成および/または細胞発現
(7)ウイルス出芽または成熟化
(8)ウイルスコード酵素(例えば、逆転写酵素、インテグラーゼ、プロテアーゼ等)の活性、および/または
(9)既に知られている、例えば免疫低下等のレトロウイルス若しくはHIVの病原性作用のいずれか。
【0050】
こうして、これらメカニズムのいずれかを阻止する傾向のある作用はいずれも「抗レトロウイルス活性」や「抗HIV活性」である。
本発明のトリテルペン誘導体は、それ単独でまたは既に知られた他の治療法と組み合わせてレトロウイルス(例えばHIV)感染の治療に用いることができる。そのような治療法には、限定はされないが例えばAZT、3TC、ddC、d4T、ddI、テノフォビル、アバカビル、ネビラピン、デラビルジン、エントリシタビン、エホビレンツ、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アンプレナビル、フォサンプレナビル、およびアタザナビルまたは他の抗レトロウイルス薬若しくは抗体の少なくとも一つを互いに組み合わせた薬物による化学療法、または、例えば、gp41由来のペプチドであるエンフビルチド(フューゼオン;Timeris-Roche)やT-1249 (トリメリス)、可溶性CD4、CD4抗体、CD4複合体、若しくは抗CD4、または以下に追加されるような生物学的な治療法と関連する化学療法が含まれる。
【0051】
本発明に従うとトリテルペン誘導体は例えば血液銀行で維持されている血液製剤の処置に使用することができる。現在、国の血液供給はHIV抗体が試験されている。しかしながら、その試験は依然として完全ではなく、試験結果が陰性であってもHIVウイルスを含むサンプルが存在し得る。血液および血液製剤を本発明のトリテルペン誘導体で処理すれば、検出されなかったレトロウイルスを除去し若しくは低減させて安全性の幅を更に追加することができる。
【0052】
更に、本発明のトリテルペン誘導体は個人間のHIV感染の伝染を予防するための予防薬として使用することができる。例えば、該誘導体をHIV感染の妊娠した女性および/または胎児に対して経口的にまたは注射により妊娠中または誕生直前、誕生時若しくは誕生後に投与して新生児の感染の可能性を低減させることができる。また、該誘導体を誕生直前に膣投与して新生児が産道から感染することを予防できる。さらには、式I、II、III、IV、VおよびVIの化合物の一つ以上を含む局所組成物のレトロウイルス阻害有効量を性的交渉の前に膣またはその他の粘膜に適用することによって、本発明の誘導体は性的交渉の間のHIV感染を予防するために使用することができる。例えば、感染した男性から未感染の女性への伝染またはその逆の場合の伝染を予防するため、本発明の誘導体を使用することができる。
【0053】
薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は少なくとも一つのトリテルペン誘導体を含む。本発明の薬学的組成物はさらに、他の抗ウイルス薬、例えば限定はされないが、AZT(ジドブジン、レトロビル、グラクソスミスクライン)、3TC〔ラミブジン、EPIVIR(登録商標)、グラクソスミスクライン〕、AZT+3TC〔COMBIVIRC(登録商標)、グラクソスミスクライン〕、AZT+3TC+アバカビル〔TRIZIVIR(登録商標)、グラクソスミスクライン〕、ddI〔ジダノシン、VIDEZ(登録商標)、ブリストルマイヤーズ・スクイブ〕、ddC〔ザルシタビン、HIVID(登録商標)、ホフマン・ラロシュ〕、D4T〔スタブジン、ZERIT(登録商標)、ブリストルマイヤーズ・スクイブ〕、アバカビル〔ZIAGEN(登録商標)、グラクソスミスクライン〕、ネビラピン〔VIRAMUNE(登録商標)、ベーリンガー・インゲルハイム〕、デラビルジン〔Pfizer〕、エファビレンツ〔SUSTIVA(登録商標)、デュポン・ファーマシューティカルズ〕、テノフォビル〔VIREAD(登録商標)、ギリード・サイエンシス〕、サキナビル〔INVIRASE(登録商標)、FORTVASE(登録商標)、ホフマン・ラロシュ〕、リトナビル〔NORVIR(登録商標)、アボット・ラボラトリーズ〕、インディナビル〔CRIXIVAN(登録商標)、メルクアンドカンパニー〕、ネルフィナビル〔VIRACEPT(登録商標)、ファイザー〕、アムプレナビル〔AGENERASE(登録商標)、グラクソスミスクライン〕、アデフォビル〔PREVEON(登録商標)、HEPSERA(登録商標)、ギリード・サイエンシス〕、アタザナビル〔REYATAZ(登録商標)、ブリストルマイヤーズ・スクイブ〕、フォスアムプレナビル〔LEXIVA(登録商標)、グラクソスミスクライン〕、およびヒドロキシウレア〔HYDREA(登録商標)、ブリストルマイヤーズ・スクイブ〕、または他の任意の抗レトロウイルス薬、若しくは抗体でそれらの組み合わせ、または、例えば、gp41由来のペプチドであるエンフビルチド(FUZEON(登録商標);ロシュ・トリメリス)やT-1249、可溶性CD4、CD4抗体、CD4複合体、若しくは抗CD4、または以下に追加されるような生物学的な治療法に関連する薬物を含むことができる。
【0054】
本発明のトリテルペン誘導体に追加して用いられる抗ウイルス薬で最適のものには、制限はされないが、アムホテリシンB〔FUNGIZONE(登録商標)〕;アンプリジェン〔ミスマッチRNA、ヘミスフェリックス・バイオファルマ〕; BETASERON(登録商標) (β-インターフェロン、カイロン);ブチル化ヒドロキシトルエン; カロシン(ポリマンノアセテート);カスタノスペルミン;コントラカン(ステアリン酸誘導体);クリーム・ファルマテクス(塩化ベンザルコニウムを含む);ジドブジンの5-無置換誘導体;ペンシクロビル〔DENAVIR(登録商標)、ノバーチス〕;ファムシクロビル〔FAMVIR(登録商標)、ノバーチス〕;アシクロビル〔ZOVIRAX(登録商標)、グラクソスミスクライン〕;シトフォビル〔VISTIDE(登録商標)、ギリード〕;ガンシクロビル〔CYTOVENE(登録商標)、ホフマン・ラロシュ〕;硫酸デキストラン;D-ペニシラミン(3-メルカプト-D-バリン);FOSCARNET(登録商標)(ホスホノギ酸三ナトリウム、アストラゼネカ);フシジン酸;グリチルリチン(甘草成分);HPA-23(アンモニウム-21-タングスト-9-アンチモン酸塩);ORNIDYL(登録商標)(エフロルニチン、アベンチス);ノノキシノール;ペンタミジン・イセチオネート(PENTAM-300);ペプチドT(オクタペプチド・シーケンス、ペニンシュラ・ラボラトリーズ);フェニトイン(ファイザー);INHまたはイソニアジド;リバビリン〔VIRAZOLE(登録商標)、バリーント・ファーマシューチカルス〕;リバブチン、アンサマイシン〔MYCOBUTIN(登録商標)、ファイザー〕;CD4-IgG2(プロジェニック・ファーマシューチカルス)またはその他のCD-4含有若しくはCD-4関連分子;トリメトレキサート(メディミューン);スマミンおよびその類縁体(バイエル);およびWELLFERON(登録商標)(α-インターフェロン、グラクソスミスクライン)を含むことができる。
【0055】
本発明の薬学的組成物はまたさらに免疫調節薬を含むことができる。本発明に従って、トリテルペン誘導体と最適に使用される免疫調節薬には、制限はされないが、ABPP(ブロプリリミン);抗ヒトインターフェロンα抗体;アスコルビン酸およびその誘導体;インターフェロン-β;シアメキソン;シクロスポリン;シメチジン; CL-246,738;GM-CSFを含むコロニー刺激因子;ジニトロクロロベンゼン;HE2000(ホリス・エデン・ファーマスーティカルズ);インターフェロン-γ;グルカン;ハイパーイミューン・γ-グロブリン(バイエル);イミュチオール(ジエチルチオカルバメートナトリウム);インターロイキン-1(ホフマン・ラロシュ、アムジェン);インターロイキン-2(IL-2)(カイロン);イソプリノシン(イノシン・プラノベクス);クレスチン;LC-9018(ヤクルト);レンチナン(山之内);LF-1695;メチオニン-エンケファリン;ミノファーゲンC;ムラミルトリペプチド、MTP-PE;ナルトレキソン(バール・ラボラトリーズ);RNA免疫調節剤;REMUNE(登録商標)(イミューンレスポンス・コーポレーション);RETICULOSE(登録商標)(アドバンスト・ウイルスリサーチ・コーポレーション);小柴胡湯;朝鮮人参;胸腺体液性因子;チモペンチン;胸腺因子5;チモシン1〔ZADAXIN(登録商標)、サイクロン〕;チモスチミュリン;TNF(腫瘍壊死因子、ジュネンテック);およびビタミン製剤が含まれる。
【0056】
ある態様において、本発明の対象動物は哺乳類である。「哺乳類」の語は、哺乳類の項目に属するすべての個体を意味する。本発明は特にヒト患者の治療に有用である。
「治療」の語は、レトロウイルス関連病変の予防、軽減または治癒の目的でトリテルペン誘導体を対象に投与することを意味する。
薬物は同時に患者に提供される場合、または各薬物の投与間隔が生物学的活性の重複を許容するような時間である場合、互いに組み合わせて提供されたと考えられる。
ある態様においては、少なくとも一つのトリテルペン誘導体が単一の薬学的組成物を構成する。
本発明によれば投与のための薬学的組成物は本発明のトリテルペン誘導体を少なくとも一つ、薬学的に許容される形態で含み、任意で薬学的に許容される担体と組み合わせ得る。これら組成物はその目的を達成するための任意の手段で投与することができる。本発明のトリテルペン誘導体の投与計画および投与量はレトロウイルス病変治療の臨床技術の専門家により決定することができる。
【0057】
例えば、皮下、静脈内、筋肉内、経皮または口腔内のような非経口的投与が可能である。或いは、若しくは並行して経口投与も可能である。投与量は患者の年齢、健康状態および体重;同時治療か前治療か;あるならば治療の回数;および望まれる効果の性質に依存する。
本発明の範囲内の組成物は少なくとも一つのトリテルペン誘導体を含むすべての組成物を包含し、該誘導体は本発明に従ってその目的を達成するための有効量が含まれる。個人に必要な量は一定でないが、各成分の最適な有効量の決定は当業者の技術範囲内でなされる。典型的な投与量は約0.1mg/kg体重から約100mg/kg体重を含む。ある態様では、投与量には有効成分が約1mg/kg体重から約100mg/kg体重が含まれる。またある態様では、投与量には有効成分が約2.5mg/kg体重から約50mg/kg体重が含まれる。またある態様では、投与量には有効成分が約5mg/kg体重から約25mg/kg体重が含まれる。
【0058】
また、治療のための投与は、少なくとも一つの追加的な本発明トリテルペン誘導体または抗ウイルス薬や免疫刺激薬等の他の治療薬の投与の前の、同時の、続く若しくは補助的な投与を包含し得る。そのようなアプローチにおいては、第二の薬物の投与量は第一の薬物投与量と同等か、または異なってもよい。ある態様では、各薬物の推奨量が毎日交代で投与される。
本発明化合物の投与はまた、追加免疫薬若しくは免疫調節薬を用いる、先の、同時の、続くまたは補助的な治療を包含し得る。薬学的な活性化合物に加えて、本発明の薬学的組成物は賦形剤および補助物を含む薬学的に許容される適切な担体を含むことが可能であって、これら担体は該活性化合物を薬学的に使用される製剤に加工することを容易にする。ある態様においては、これらの製剤は、特に経口的に投与され上記の投与に使用される製剤は、例えば錠剤、糖衣錠、カプセルであり、また経直腸的に投与される製剤は例えば座剤であり、注射若しくは経口投与のための適切な溶液も同様に、約1%から約99%、好ましくは約20%から約75%の活性化合物を賦形剤とともに含む。
【0059】
本発明の薬学的な製剤はそれ自身既に知られた、例えば慣用的な混合、造粒、打錠、溶解、または凍結乾燥工程のような方法で製造される。こうして、経口のための薬学的製剤は活性化合物を賦形剤と組み合わせて、状況により得られた混合物をすりつぶして、適切な補助剤を加えた後、顆粒混合物を加工し、必要ならまたは望ましいならば錠剤若しくは糖衣錠核を得る。
適切な賦形剤としては、例えば単糖類のような充填剤(例えば乳糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール等);セルロース類および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム;例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン等を用いたデンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンのような結合剤がある。望ましいなら、上記のデンプンやカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸の塩のような崩壊剤を加えることもできる。補助剤は何よりも流動調節剤および滑沢剤であり、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウムのようなステアリン酸塩、および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠核は適切なコーティングをして提供され、望ましいならば胃液に抵抗的なコーティングがされる。
【0060】
この目的のため、単糖類の濃縮溶液が使用され、任意でアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、適切な有機溶媒若しくは溶媒混合物等を含む。胃液に抵抗的な被膜化のためには、アセチルセルロースフタレートやヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのような適切なセルロース剤の溶液が使用される。例えば、薬物の同定や有効成分量の特徴づけのため、染料や顔料を錠剤や糖衣錠コーティングに加えることもできる。
経口的に使用されるその他の薬学的製剤には、ゼラチン製の押し込み型カプセルのほか、ゼラチンとグリセロールやソルビトールのような可塑剤でできた軟かい密閉カプセルが含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプン類のような結合剤、および/またはタルク、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、および任意で安定化剤と混合した顆粒状の活性化合物を含むことができる。軟カプセルを使用したある態様においては、活性化合物を脂肪油または液体パラフィン中に溶解若しくは懸濁させる。さらに、安定化剤を添加することもできる。
【0061】
経直腸的な使用が可能な薬学的製剤には、例えば活性化合物と座剤の基剤を組み合わせた座剤が含まれる。適切な座剤の基剤には例えば天然または合成トリグリセリド、またはパラフィン炭化水素がある。更には、活性化合物と基剤より構成されるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能な基剤としては、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が含まれる。
非経口投与のための適切な剤型には、水溶性形態、例えば水溶性塩とした活性化合物の水溶液が含まれる。さらには、適切な油性注射用懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与することもできる。適切な親油性溶媒若しくは基剤には、ゴマ油のような脂肪油、オレイン酸エチルやトリグリセリドのような合成脂肪酸エステルが含まれる。懸濁液の粘度を増大させる物質を含み得る水性注射用懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む。状況により、該懸濁液は安定化剤を含むことができる。
【0062】
本発明に従うと全身投与のための薬学的剤型は腸溶性、非経口または局所投与のための剤型とすることができる。実際、これら三つのタイプの剤型は有効成分の全身投与を達成するために同時に使用することができる。
経口投与のための適切な剤型は、硬若しくは軟ゼラチンカプセル、糖衣錠、ピル、錠剤(被膜化された錠剤を含む)、エリキシル、懸濁液、シロップまたは吸入用製剤とその徐放性製剤を含む。
経口投与用のこれら剤型に加えて固体の投与量形態には直腸座剤が含まれる。
性的な交渉や子供の誕生の際の個人間におけるHIV感染を予防するための予防的局所組成物は、一つ以上の式I、II、III、IV、VおよびVIの化合物と少なくとも一つの薬学的に許容される局所用担体若しくは希釈剤を含む。該局所組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、ペースト、ゼリー、スプレー、フォーム、またはスポンジの形態とすることができる。予防的局所製剤中の式I、II、III、IV、VおよびVIの化合物の投与量は、一般に、約1000mgより少なく、ある態様では約0.01mgから約100mgである。該局所製剤は他の予防的成分を含むことができる。担体および希釈剤は製剤中の他の成分との混合可能性および患者への無害性の意味で許容できるものである必要がある。
【0063】
予防的局所製剤は経膣、経直腸または局所投与に適したものを含む。該製剤は適当な場合には、別個の投与量単位でもって都合よく提供され、製剤学の既知の方法で製造され得る。そのような方法はすべて活性薬を液状の担体、ジェル、若しくは粉砕した固体の担体またはその両方になじませて、必要な場合は生成物を所望の形態に形成する工程を含む。
経膣投与に適した予防的剤型は、活性薬のほか、技術的に知られている適切な担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、ゼリー、フォーム、スプレー、または水性若しくは油性懸濁液、溶液または乳液(液状剤型)として提供され得る。液状剤型は例えば懸濁剤、乳化剤、食用油のような非水系基剤、または保存剤のような慣用的な添加剤を含むことができる。これらの製剤は性的交渉の際のHIV感染および新生児の産道感染の両方を予防するのに有用である。一つの例では、性的交渉の前または出産の直前に経膣投与を行なうことができる。
【0064】
ある態様では、経直腸または経膣投与に適した固体の担体を有する予防的製剤は単位投与量座剤として表される。適切な担体にはカカオバターおよびその他の当該分野で通常使用される物質が含まれる。例えば座剤は、一つ以上の式I、II、III、IV、VおよびVIの化合物を一つ以上の軟化させた若しくは溶融させた担体と混合し、型に入れて冷却し成型して製造し得る。
本発明に従うと予防的剤型はまたドロップの形状とすることができて、一つ以上の分散剤、可溶化剤または懸濁剤を含む水性若しくは非水性基剤でもって製剤化され得る。液状スプレーは加圧パックから提供され得る。
本発明に従うと予防的剤型は遅延型輸送を与えるように適合可能である。また、該予防的剤型は例えば殺精子薬、抗菌薬および抗ウイルス薬のようなその他の活性薬を含むことができる。
【0065】
本発明のトリテルペン誘導体は、生分解性の徐放性担体と結合させて埋め込み型の形態で投与することも可能である。あるいは、本発明のトリテルペン誘導体は、有効成分を連続的に放出する経皮投与用パッチとしての剤型も可能である。
局所投与用の適切な剤型には、クリーム、ジェル、ゼリー、粘液剤、ペースト、および軟膏が含まれる。適切な注射用溶液には、静脈内、皮下および筋肉内注射用の溶液が含まれる。あるいは、トリテルペン誘導体は吸入用の溶液の形態で、または経鼻吸入若しくはスプレーの形態で投与することもできる。
本発明の化合物は当業者に知られた方法により調製可能である。種々のトリテルペン骨格は市販品として入手できる。本発明の式Iの化合物は、スキーム1に示したベツリンの修飾で例示される方法と同様にして製造することができる。ベツリンまたはジヒドロベツリンを無水ピリジン中で4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下6倍量の適切な無水物とともに95℃で終夜加熱する。CHORzは上記で定義したA(ii)のR11に対応する。薄層クロマトグラフィー(TLC)上で出発物質が完全に消失したことが示されたら、反応液をEtOAcで希釈し10%HC1溶液で洗浄する。EtOAc層をMgS04上で乾燥しカラムクロマトグラフィー上で精製する。
【0066】
スキーム1
【化23】

【0067】
本発明の式Iの化合物は、スキーム2に示したベツリンの修飾で例示される方法と同様にして調製することができる。スキーム2はRとR11が置換若しくは無置換のカルボキシアシルである化合物の合成経路を示す。CHORzは上記で定義したA(ii)のR11に対応する。
【0068】
スキーム2
【化24】

【0069】
スキーム3は固相有機合成〔Pathak,A., et al., Combinatorial Chem. and High Throughput Screening 5, 241-248(2002)〕により本発明化合物を合成する別法を示す。簡単には、トリテルペン骨格をR、R11またはR13(Raで示される)によりアミド若しくはエステルを介して樹脂と結合させる。温和な条件下で化合物を切断可能な樹脂はいずれも使用することができ、例えば2-クロロトリチルクロリド樹脂やシーバー(Sieber)アミド樹脂がある。望むならば、トリテルペンと樹脂の間にスペーサーとしてアミノ酸を挟むこともできる。トリテルペンを一度樹脂の足場に固定化すると、所望のR置換基(Rbで表される)を酸の形態で加えることによりC3位に望むまま多様性を導入できる。
【0070】
スキーム3
【化25】

【0071】
本発明のトリテルペン誘導体はスキーム4に示すように調製することができる。ベツリン(1)の28位ヒドロキシ基をトリフェニルメチルエーテル基で保護するとベツリン-28-O-トリフェニルメチルエーテルが得られ、これをピリジンに溶解してジメチルアミノピリジンの存在下で適切なジカルボン酸を加えて還流する。最後に、CH2Cl2-EtOH中でp-トルエンスルホン酸ピリジン塩と還流することにより28位保護基を除去して、目的の3-O-アシルベツリン誘導体を得る。
【0072】
スキーム4
【化26】

【0073】
HIV-1阻害についての生物学的評価は、確立された手法〔Montefiori,D.C., et al., Clin. Microbiol. 26,231-235(1988)〕に従って以下のように行なうことができる。ヒトT細胞ライン、MT-2を完全培地(RPMI 1640、10%子ウシ胎児血清;L-グルタミンを添加して5% C02、37℃で補完)の連続培養で維持する。試験試料を最初にジメチルスルホキシドで濃度10mg/mlの溶液を調製してマスター・ストックとし、これを組織培養液で希釈して試験用のストックとする。スクリーニング用には以下の薬物濃度を通常使用する;100、20、4、および0.8<g/ml。活性が見出された薬物については更に希釈した溶液を調製し、続く試験により正確なEC50値(以下に定義)を決定する。試験試料を調製して各試料のウエルに、MT-2細胞 3x105cells/mlおよび接種ウイルス(単離HIV-1 IIIIB) 45<lを含む培地90<lを加える;これは感染後(PI)5日で標的細胞の80%を死滅させるのに必要な濃度である。また対照ウエルとして、ウイルスと細胞のみ(薬物なし)および細胞のみ(ウイルスと薬物なし)を含むウエルを調製する。第一の試料セットと同じ第二の試料セットを調製しウイルスのない同一条件下(偽感染)で細胞に添加して毒性(以下に定義するIC50)を決定する。さらにまた、各試験で陽性対照としてAZTを試験する。感染5日後にXTT法により細胞生存率を測定してウイルスによる殺細胞を決定する。偽感染試料を用いてXTTにより化合物の毒性を決定する。試験した試料に抑制効力があり毒性がなければ、その効果を次の語で表す:IC50、偽感染MT-2細胞の50%について毒性を示す試験試料の濃度;EC50、HIVの複製を50%抑制することのできる試験試料の濃度;治療係数(TI)、EC50に対するIC50の比。
【0074】
以下の試験例は例示に過ぎず、本発明の化合物および方法を制限するものではない。その他、通常遭遇するところの種々のパラメータや条件の変更および順応であって当業者にとって自明なものは本発明の精神および範囲内にある。
具体的な態様が示され記述されていても、種々の修飾および変更が本発明の精神および範囲内から逸脱することなく可能であることを当業者は理解するであろう。
当業者にとってここで開示された本発明の明細および実施例から、本発明の他の態様は明らかであろう。明細および実施例は例示に過ぎないと考えるように意図されており、本発明の真の精神及び範囲は続く特許請求の範囲で示される。ここで引用した出版物、特許出願および特許はすべて参考のために援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式Iの化合物
【化1】

〔式中、Aは下式縮合環
【化2】

であって、ここで、Aの式中xおよびyで示された環構成炭素は、式I中においてxおよびyで示された環構成炭素と同一であり、
は下式よりなる群
【化3】

から選択され、
およびRは独立して、水素、メチル、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシルまたは−COOR17
は水素、メチル、ハロゲンまたはヒドロキシル;
はカルボキシアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、カルボキシアルカノイルオキシメチル、アルコキシメチル、カルボキシアルコキシメチル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシアルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルコキシアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アミノアルコキシアルキルアミノカルボニル、モノアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニルであって、そのいずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;またはRはカルボキシル若しくはヒドロキシメチルであり、またはR若しくはRの一方がカルボキシルの場合、Rはメチルとなり得、;
は水素、メチル、ヒドロキシ、またはハロゲンであり;
およびRは独立して水素またはC1−6アルキル;
はCHまたはCH
10は水素、ヒドロキシ、またはメチル;
llは、メチル、メトキシカルボニル、カルボキシアルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、アルコキシメチルまたはカルボキシアルコキシメチルであって、いずれも、一つ以上のヒドロキシ基若しくはハロで任意に置換されてもよく;
12は、水素またはメチルであり;
13は、水素またはメチルであり;
14は、水素またはヒドロキシであり;
15は、C12とC13が単結合を形成する場合、水素であり、そしてC12とC13が二重結合を形成する場合は存在せず;
16は、水素またはヒドロキシであり;
l7はアルキルまたはカルボキシアルキルであって、該アルキル鎖は一つ以上のヒドロキシ若しくはハロで任意に置換されていてもよく、または窒素、硫黄若しくは酸素またはこれらの組み合わせにより中断されていてもよく;
12およびC13の間またはC20およびC29の間の直線の破線は任意で二重結合を表し;
但し、Aが
【化4】

である場合、C12およびC13間に二重結合が存在するとRはグルタリル若しくはサクシニルにはなり得ず;
Aが(ii)、Rllがメチルの場合は、Rはサクシニルにはなり得ず;
Aが(iii)、R、RおよびR13がそれぞれ水素の場合は、Rはサクシニルにはなり得ない;
また、RおよびRがいずれもメチルで、C12およびC13の間に二重結合が存在する場合は、A(i)は
【化5】

に、なり得ない。〕
またはその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項2】
およびRがいずれもメチルである、請求項1の化合物。
【請求項3】
が3',3'-ジメチルサクシニルである、請求項1の化合物。
【請求項4】
Aが(i)であり、Rがβ位にある、請求項1の化合物。
【請求項5】
Aが(i)であり、Rがβ位にある、請求項1の化合物。
【請求項6】
Aが(i)であり、R14がα位にある、請求項1の化合物。
【請求項7】
Aが(i)であり、Rがα-メチルであり、Rが水素である、請求項1の化合物。
【請求項8】
Aが(i)であり、Rがα-メチルであり、Rが水素である、請求項1の化合物。
【請求項9】
Aが(i)であり、RおよびRがいずれもメチルである、請求項1の化合物。
【請求項10】
Aが(ii)であり、R11がβ位にある、請求項1の化合物。
【請求項11】
下式II
【化6】

(式中、R、R、R、R、R、RおよびR14は請求項1と同じ)。
で表される、請求項1の化合物。
【請求項12】
がβ-メチル、Rが水素、Rがヒドロキシメチル、Rが3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルサクシニル、グルタリルまたはサクシニルである、請求項11の化合物。
【請求項13】
がヒドロキシメチル、−CO(CH)COOH、または−CO(CH)CHであり、nが0から6のいずれかの数字である、請求項11の化合物。
【請求項14】
が-COC(O)(CH)CHまたは-COC(O)(CH)COOHであり、nが0から6のいずれかの数字である、請求項11の化合物。
【請求項15】
が-CO(CH)CHまたは-CO(CH)COOHであり、nが0から6のいずれかの数字である、請求項11の化合物。
【請求項16】
以下の
3-O-(3',3'-ジメチルサクシニル)ウバオール;
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)エリスロジオール;
3-O-(3',3'-ジメチルサクシニル)エチノシスト酸;および
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)スメアシノール酸の
いずれかである、請求項11の化合物。
【請求項17】
下式III
【化7】

(式中、R、R、R10およびR11は請求項1と同じ)
で表される、請求項Iの化合物。
【請求項18】
が3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルサクシニル、グルタリルまたはサクシニルである、請求項17の化合物。
【請求項19】
11がメチル、カルボキシアルコキシカルボニル、アルカノイルオキシメチル、アルコキシメチル、またはカルボキシアルコキシメチルである、請求項17の化合物。
【請求項20】
11がメチル、または−CO(CH)COOHであり、nが0から6のいずれかの数字である、請求項17の化合物。
【請求項21】
11が−COC(O)(CH)CHであり、nが0から6のいずれかの数字である、請求項17の化合物。
【請求項22】
11が-CO(CH)CHまたは-CO(CH)COOHであり、nが0から6のいずれかの数字である、請求項17の化合物。
【請求項23】
下記
3-O-(3',3'-ジメチルサクシニル)ルペオール;
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)ジヒドロルペオール;
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)-17β-メチルエステル-ベツリン酸;および
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)-17β-メチルエステル-ジヒドロベツリン酸
のいずれかである、請求項17の化合物。
【請求項24】
下式IV
【化8】

(式中R、R、R、RおよびR13は請求項1に同じ)
で表される、請求項1の化合物。
【請求項25】
が3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルサクシニル、グルタリルまたはサクシニルである、請求項24の化合物。
【請求項26】
が3',3'-ジメチルグルタリル、3',3'-ジメチルサクシニル、グルタリルまたはサクシニルであり、RおよびRがいずれもメチルである、請求項24の化合物。
【請求項27】
下記
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)-4,4-ジメチルアンドロスタンジオール;
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)-17α-メチルアンドロスタンジオール;および
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)アンドロスタンジオール
のいずれかである、請求項24の化合物。
【請求項28】
下式V
【化9】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは請求項1と同じ。)
で表される、請求項1の化合物。
【請求項29】
が水素、RがメチルおよびRもメチルである、請求項28の化合物。
【請求項30】
がメチル、Rが水素、そしてRがメチルである、請求項28の化合物。
【請求項31】
下記
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)-α-ボスウェル酸;および
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)-β-ボスウェル酸
のいずれかである、請求項28の化合物。
【請求項32】
下式VI
【化10】

(式中、RおよびRは請求項1と同じ。)
で表される、請求項1の化合物。
【請求項33】
3-0-(3',3'-ジメチルサクシニル)ギムネム酸である、請求項1の化合物。
【請求項34】
請求項1の化合物またはその薬学的に許容される塩若しくはエステル、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項35】
さらに抗ウイルス剤若しくは免疫刺激剤を含む、請求項34の薬学的組成物。
【請求項36】
該抗ウイルス剤が、ジドブジン、ラミブジン、ザルシタビン、スタブジン、ジダノシン、テノフォビル、アバカビル、ネビラピン、デラビルジン、エントリシタビン、エファビレンツ、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アムプレナビル、フォスアムプレナビル、アタザナビル、エンフビルチド、ヒドロキシウレア、インターロイキン-2、γ-グロブリン、アマンタジン、グアニジンヒドロキシベンズイミダゾール、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、チオセミカルバゾン、メチサゾン、リファンピン、リバビリン、ピリミジン類縁体、プリン類縁体、フォスカルネット、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ジデオキシヌクレオチド、およびガンシクロビルのひとつ以上よりなる群から選択される、請求項34の薬学的組成物。
【請求項37】
請求項34の薬学的組成物のレトロウイルス阻止有効量を投与することを含む、動物細胞または動物組織におけるレトロウイルス感染を阻止する方法。
【請求項38】
該組成物の投与で約0.1mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲の量の該化合物が提供される、請求項37の方法。
【請求項39】
該組成物の投与で約5mg/kg体重から25mg/kg体重の範囲の量の該化合物が提供される、請求項38の方法。
【請求項40】
該動物がヒトである、請求項39の方法。
【請求項41】
請求項11、17、24、28または32の化合物若しくはその薬学的に許容される塩若しくはエステル、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項42】
さらに抗ウイルス剤および免疫刺激剤から選択される薬剤を含む、請求項41の薬学的組成物。
【請求項43】
該抗ウイルス剤がジドブジン、ラミブジン、ザルシタビン、スタブジン、ジダノシン、テノフォビル、アバカビル、ネビラピン、デラビルジン、エントリシタビン、エファビレンツ、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アムプレナビル、フォスアムプレナビル、アタザナビル、エンフビルチド、ヒドロキシウレア、インターロイキン-2、γ-グロブリン、アマンタジン、グアニジンヒドロキシベンズイミダゾール、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、チオセミカルバゾン、メチサゾン、リファンピン、リバビリン、ピリミジン類縁体、プリン類縁体、フォスカルネット、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ジデオキシヌクレオチド、およびガンシクロビルのひとつ以上よりなる群から選択される、請求項41の薬学的組成物。
【請求項44】
請求項43の薬学的組成物のレトロウイルス阻止有効量を投与することを含む、動物細胞または動物組織におけるレトロウイルス感染を阻止する方法。
【請求項45】
該組成物の投与で約0.1mg/kg体重から100mg/kg体重の範囲の量の該化合物が提供される、請求項44の方法。
【請求項46】
該組成物の投与で約5mg/kg体重から25mg/kg体重の範囲の量の該化合物が提供される、請求項45の方法。
【請求項47】
該動物がヒトである、請求項46の方法。
【請求項48】
請求項1、11、17、24、28または32の化合物と細胞を接触させることによる、レトロウイルス感染を阻止する方法。
【請求項49】
HIV感染した妊娠女性から胎児へのHIV伝染を防ぐ方法であって、請求項1、11、17、24、28または32の化合物のレトロウイルス阻止有効量を妊娠中または出産直前、出産時若しくは出産後に当該女性および/または胎児に投与することを含む方法。
【請求項50】
一つ以上の請求項1、11、17、24、28または32の化合物のレトロウイルス阻止有効量を性的交渉前に膣若しくはその他の粘膜に適用することを含む、性的交渉におけるHIV感染の伝染を防ぐ方法。

【公表番号】特表2007−506761(P2007−506761A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528207(P2006−528207)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031370
【国際公開番号】WO2005/030790
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500407787)パナコス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】