説明

新規なドリンクヨーグルトおよびその製造方法

本発明は、新規なドリンクヨーグルトおよびこれを製造する方法に関する。このドリンクヨーグルトは従来のドリンクヨーグルトと同じ風味および官能特性を有するが、これは異なるタンパク構造ならびにカゼインおよびホエイタンパクの含有量に関して異なる組成を有する。特に、ドリンクヨーグルトは、カゼインおよびホエイタンパクを、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含む。ドリンクヨーグルトは、発酵後の凝塊の形成を伴わずに製造できる。加えて、本発明は、このようなドリンクヨーグルトを製造する方法を提供し、該方法は、ホエイ生成物ベース量をミルク生成物ベース量に添加して、カゼインおよびホエイタンパクをカゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含むドリンクヨーグルトを調製することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、発酵乳製品および該乳製品を製造する方法に関する。より詳細には、本発明は新規なドリンクヨーグルトおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
通常、ドリンクヨーグルトまたは飲用発酵乳系製品を製造する際、生成物ベースは適切な脂肪含有量に調整されたミルクである。典型的には、ミルクはウシ由来である。熱処理(例えば95℃で5分間)後、ミルクに開始培地(これはしばしば、S.thermophilusおよびL.bulgaricusの菌株によるバクテリアを基にする)を接種する。発酵の終了後、凝塊は撹拌により崩壊し、続いて典型的にはフルーツまたはジュースの濃縮物を風味付けのために添加する。この混合物を最後に均質化してパックする。
【0003】
ドリンク(drinking)ヨーグルトまたは飲用(drinkable)ヨーグルトの重要な品質パラメータは、例えば口の感触、クリーム性、および離漿がないこと、すなわち保存中のホエイの排出が低いこと、および相分離がないことである。しかし、多くのドリンクヨーグルトは離漿を被り、これは、これらの健康飲料を飲む際に消費者に不快な体験を与える。従って、飲用ヨーグルト製品(そして改善された栄養的価値を備えるもの)の改善された官能特性を有するための市場における強い要望が存在する。
【0004】
ドリンクヨーグルトを製造するための、従来使用されているよりも安価な原料を使用する手法を見出すための増大する工業的な関心もまた存在する。ミルクの一部を液体ホエイで置換することが提案されてきた。酸ホエイを使用する従来の方法は、低温殺菌中の沈殿または沈降(これは官能特性の低下を招来する)に関する問題を示唆する。さらに、酸ホエイを基にする粉末化含有成分の調製は、粉末の品質が低いことに起因して困難であると考えられる。通常、酸ホエイは、現今では動物飼料として使用されているか、または全く使用されていない。さらに、多くの酪農工場では、豚飼料としての使用よりも採算性のよい酸ホエイの使用を見出す必要性が存在する。
【0005】
ドリンクヨーグルトの加工を単純化する手法はまた、特に、発酵後の凝塊形成を回避するために(このプロセスステップは高度の作業行動および汚染問題を含むため)関心あるものである。上記のように、通常の方法において、凝塊はいずれにしても均質化手順の間に手間をかけて破壊される。よって、凝塊形成がなくなることにより、カゼイン凝塊を破壊するための均質化の必要性をプロセススキームにおいて省略できる。よって、ドリンクヨーグルトの適正な風味および官能特性を維持しつつ凝塊形成を回避する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
よって、本発明の目的は、従来のドリンクヨーグルトと同じ風味および官能特性を有するが、従来のドリンクヨーグルトと比べて異なるタンパク構造ならびにカゼインおよびホエイタンパクの含有量に関して異なる組成を有するドリンクヨーグルトの提供に関する。
【0007】
さらに、本発明の目的は、全ての上記の工業的な要求を考慮して、言及した先行技術の問題を解決する、このようなドリンクヨーグルトを製造するための方法を提供することである。
【0008】
よって、本発明の一側面は、カゼインおよびホエイタンパクを、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含む、ドリンクヨーグルトに関する。
【0009】
本発明の別の側面は、総タンパク濃度約1%(w/w)〜約3%(w/w)の範囲を含むドリンクヨーグルトに関する。
【0010】
本発明のさらに別の側面は、本発明に係るドリンクヨーグルトを含むフルーツ風味スムージードリンクに関する。
【0011】
本発明のさらに別の側面は、発酵後の凝塊形成を伴わずにドリンクヨーグルトを製造する方法であって、カゼインとホエイタンパクとを組合せて、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)を含むドリンクヨーグルトを調製することを含む、方法に関する。好ましい態様に従い、該方法は、ホエイ生成物ベース量をミルク生成物ベース量に添加して、カゼインおよびホエイタンパクをカゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含むドリンクヨーグルトを調製することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(原文に記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
定義
本発明をさらに詳細に議論する前に、以下の用語および通例をまず定義する。
【0014】
本明細書において、用語「ドリンク(drinking)もしくは飲用(drinkable)のヨーグルト(yoghurt/yogurt)またはヨーグルトドリンク」(“yoghourt”または“yogourt”はより一般的でない)は、ミルクのバクテリア発酵によって製造される乳製品であって低粘度のものに関する。従来のドリンクヨーグルトの温度10℃での粘度は、50〜400センチポイズ(cP)であり、一方、撹拌されたヨーグルトの粘度は10.000cP超である。
【0015】
「生成物ベース」は、本明細書において、ベースの化合物または化合物の組成物(これから、ドリンクヨーグルト製造プロセスが基になり、および/または開始する)と理解すべきである。以下で詳細に説明するように、本発明に係るドリンクヨーグルト製造プロセスは、ホエイ生成物ベースと脂肪含有生成物ベースとの組合せを基にする。語句「ホエイ生成物ベース」は、主としてチーズ製造からの液体ホエイを含む調製されたホエイ混合物について使用され、そして語句「脂肪含有生成物ベース」は、主として水および脂肪含有化合物を含む調製された脂肪含有混合物に関する。
【0016】
「ホエイ」または「液体ホエイ」は、チーズの製造後に残留する、ミルクの漿液または水の多い部分に関する総称である。ミルクは1種以上の家畜反芻動物(例えば牛、羊、山羊、ヤク、水牛、馬、またはラクダ)からのものであることができる。
【0017】
本明細書において、用語「酸ホエイ」(サワーホエイとしても公知)は、酸性タイプのチーズ(例えばカッテージチーズおよびクオーク)の製造中に、またはカゼイン/カゼイン塩の製造から得られるホエイに関する。酸ホエイのpH値は、3.8〜4.6の間の範囲であることができる。
【0018】
「スイートホエイ」は、レンネットタイプのハードチーズ(チェダーチーズまたはスイスチーズのような)の製造中に得られるホエイに関する。スイートホエイのpH値は、5.2〜6.7の間の範囲であることができる。
【0019】
用語「ホエイ粉末」は、液体ホエイを乾燥させることにより得られる生成物に関する。
【0020】
本明細書において、語句「ホエイタンパク濃縮物(WPC)」は、十分な非タンパク成分のホエイからの除去(乾燥生成物が25%以上のタンパクを含有するように)によって得られる液体ホエイの乾燥部分に関する。
【0021】
「ホエイタンパク」は、液体ホエイから単離できる球状タンパクの総称名である。これは典型的にはベータ−ラクトグロブリン(〜65%)、アルファ−ラクトアルブミン(〜25%)、およびセラムアルブミン(〜8%)の混合物であり、これらはその天然型でpHに左右されず可溶である。
【0022】
用語「凝塊」は、その従来の意味で使用され、発酵乳製品の発酵中に形成される、タンパクのネットワークに関する。
【0023】
ホエイの「浸透」または「浸透分画」は、ホエイのろ別(例えば限外ろ過等)により得られる。
【0024】
「カゼイン」または「カゼイン塩カルシウム」または「カゼイン塩」は、本明細書において、これらの従来の意味で使用され、ミルクまたはチーズにおいて見出される最も主要なリンタンパク質に関する。
【0025】
好ましい態様
本発明者らは、驚くべきことに、生成物ベース中のカゼイン含有量をゲル形成の臨界濃度未満に低減させ、そして同時に部分的にカゼインをホエイタンパクで置換し、優れた、そして改善された官能特性および物理特性を有するが凝塊形成を伴わないドリンクヨーグルトを製造できたことを見出した。よって、凝塊の破壊は排除でき、これは、ドリンクヨーグルトの製造のプロセスを単純化するという酪農工場の要望を実現する。プロセスにおける1つの従来のステップの排除およびホエイの生成物ベースの主要部としての使用は、改善されたプロセス経済性を提供するのみでなく、低価値原料の大幅により良好な利用も提供することになる。
【0026】
ホエイタンパクは、極めて高い栄養価および栄養的価値のものと理解されている。これらは容易に消化され、そしてアミノ酸組成は、全ての推奨される栄養所要量を達成しまたはこれを超える。よって、ホエイタンパクの高い含有量およびカゼインの低い含有量により、本発明に係るドリンクヨーグルトは、ドリンクヨーグルトを(その通常の味および質感とともに)楽しむ一方で同時にホエイタンパクの栄養的な利点を享受することを望む個人にとって優れた選択である。
【0027】
上記のように、本発明の第1の側面は、カゼインおよびホエイタンパクを、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含む、ドリンクヨーグルトに関する。
【0028】
以下の例で示すように、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)、好ましい比8%カゼイン/カゼイン塩および92%ホエイタンパク、は、通常のドリンクヨーグルトを特徴付けている良好な感知特性および官能特性を維持するのに最適であることを見出した。
【0029】
好ましい態様において、ドリンクヨーグルトは、カゼイン濃度が、約0.1%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)〜約0.4%(w/w)の範囲、約0.1%(w/w)〜約0.3%(w/w)の範囲、または約0.1%(w/w)〜約0.2%(w/w)の範囲、例えば約0.2%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、例えば約0.2%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲、約0.2%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲、約0.2%(w/w)〜約0.4%(w/w)の範囲、例えば約0.3%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、約0.3%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲、約0.3%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲、例えば約0.4%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、または例えば約0.4%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲のものである。
【0030】
好ましい態様において、ドリンクヨーグルト中の総タンパク含有量は、約0.9%(w/w)〜約2.7%(w/w)の範囲または約1.8%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、例えば約1.7%(w/w)〜約2.6%(w/w)の範囲、例えば、約1.7%(w/w)〜2.4%(w/w)の範囲、例えば約1.8%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、約1.9%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、約2%(w/w)〜約2.2%(w/w)の範囲である。しかし、好ましい態様において、総タンパク含有量は2.1%(w/w)である。
【0031】
さらに、さらなる態様において、ドリンクヨーグルトは、総タンパク濃度が最大2.7%、例えば最大2.4%、例えば最大2.3%、例えば最大2.1%、例えば最大1.8%、例えば最大1.6%、例えば最大1.4%、例えば最大1.2%、しかし0.9%以上のものである。
【0032】
本発明者らは、ドリンクヨーグルトの所望の風味および官能特性を得るために、生成物ベースの総タンパク含有量を約1%(w/w)〜約3%(w/w)に調整しなければならないことをさらに見出した。ここで、風味物質の添加前の総タンパク含有量約2.3%が好ましい。
【0033】
よって、更なる側面は、総タンパク濃度約0.9%(w/w)〜約2.7%(w/w)の範囲を含むドリンクヨーグルトを提供する。しかし、好ましい態様において、ドリンクヨーグルト中の総タンパク含有量は、約1.8%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、例えば約1.6%(w/w)〜約2.6%(w/w)の範囲、例えば約1.7%(w/w)〜2.5%(w/w)の範囲、例えば約1.8%(w/w)〜約2.4%(w/w)の範囲、約1.9%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、約2%(w/w)〜約2.2%(w/w)の範囲である。しかし、好ましい態様において、総タンパク含有量は2.1%(w/w)である。
【0034】
さらに、さらなる態様において、ドリンクヨーグルトは、総タンパク濃度が、最大2.7%、例えば最大2.3%、例えば最大2.2%、例えば最大1.8%、例えば最大1.6%、例えば最大1.3%、例えば最大1.2%、しかし0.9%以上のものである。
【0035】
さらなる態様において、ドリンクヨーグルトは、カゼインおよびホエイタンパクの濃度の合計が、約0.9%(w/w)〜約2.7%(w/w)の範囲、例えば約1.8%(w/w)〜約2.4%(w/w)の範囲のものである。最も好ましくは、カゼインおよびホエイタンパクの濃度の合計は2.3%(w/w)である。
【0036】
本発明の別の側面は、本発明に係るドリンクヨーグルトを含むフルーツ風味スムージードリンクを提供する。用語「スムージードリンク」は、本明細書において、ヨーグルト系飲料であって、ブレンドされ、冷やされ、フルーツ(例えば生もしくは冷凍のフルーツ)もしくはフルーツブレンド、フルーツジュース、フルーツからの抽出物、またはフルーツもしくはフルーツジュースの濃縮物から形成されるものに関する。特定の態様に従い、添加するフルーツの量は、生成物の総質量の2〜20%(w/w)、例えば5〜15%(w/w)、7.5〜12.5%(w/w)、または例えば8〜12%(w/w)に対応する。現在最も好ましい態様において、フルーツは、生成物の総質量の10%(w/w)に対応する量で添加する。
【0037】
本発明のさらなる側面において、発酵後の凝塊形成を伴わずにドリンクヨーグルトを製造するための方法を提供しており、該ドリンクヨーグルトは、通常のドリンクヨーグルトを特徴付ける官能パラメータを有し、ホエイ生成物ベース量をミルク生成物ベース量に添加して、カゼインおよびホエイタンパクをカゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含むドリンクヨーグルトを調製することを含む。好ましい態様において、カゼイン:ホエイタンパク比は8:92(w/w)である。
【0038】
本発明の方法によれば凝塊形成がなく、これは該方法が、ドリンクヨーグルトを製造する従来の方法に比べて、凝塊の破壊に含まれる作業行動および汚染問題を回避することによって単純化されていることを意味する。
【0039】
本発明は、ヨーグルト中の凝塊形成のための臨界カゼイン濃度を最初に見出したものである。この発見に基づき、発酵後の凝塊の形成が防止されたドリンクヨーグルトを製造する方法を提供することが可能であった。本発明に従い、カゼイン濃度の調節は、生成物ベースのカゼイン含有量の一部をホエイタンパクおよび/または浸透物で置換することによって首尾よくなされる。よって、カゼイン:ホエイタンパク比を4:96〜12:88(w/w)の間に保つことにより、凝塊の形成が防止される一方、従来のドリンクヨーグルトの風味および官能特性をなお維持することを見出した。
【0040】
さらに、このような高濃度のホエイ(これは、高価値生成物と考えられている、ミルクからのカゼインの濃度と比べて、低価値生成物と考えられている)の使用に起因し、本発明は、ドリンクヨーグルトのための従来の製造手順と比べて採算性の利点を提供する。
【0041】
本発明の好ましい態様に従い、ドリンクヨーグルトを製造する方法は、生成物ベースを活用し、これは上記のホエイ生成物ベースおよび脂肪含有生成物ベースからなる。
【0042】
好ましい態様において、ホエイ生成物ベースは、酸ホエイまたはスイートホエイを含むホエイ混合物を基にする。好ましい態様において、ホエイ生成物ベースは、酸ホエイを含むホエイ混合物を基にする。酸ホエイは、生チーズ(例えばカッテージチーズ、クリームチーズ、クオーク、およびフロマージュ・フレ)の製造の副生成物として、先行技術で公知の方法に従って調製できる。よって、酸ホエイは、pHを等電pHまで低下させることでミルクの凝塊によりもたらされる固体カードから濁った液体を分離する際に得ることができる。
【0043】
有用な態様において、ホエイ生成物ベースは、スイートホエイを含むホエイ混合物を基にする。このスイートホエイまたは浸透物は、ミルクまたはホエイの限外ろ過によってもたらされることができる。
【0044】
さらなる態様において、ホエイ混合物は、上記のホエイタンパク濃縮物(WPC)をさらに含む。このようなホエイタンパク濃縮物は、20〜40%のホエイタンパク(w/w)、例えば25〜35%のホエイタンパク(w/w)、または約30%のホエイタンパク(w/w)を含むことができる。WPCの添加は改善された粘度を招来する。
【0045】
有用な態様において、食用糖(例えばグルコース、スクロース、ラクトースまたはフルクトース)をホエイ混合物に2〜10%(w/w)の量で添加する。好ましい態様において、該量は4〜9%(w/w)であり、そして最も好ましい態様において、添加する糖の該量は5〜8%(w/w)である。その添加は、ヨーグルトに甘みを与えることによって改善された官能品質を招来する。
【0046】
ホエイ混合物は、好ましくは温度0〜50℃の間で、より好ましくは温度2〜20℃の間で、最も好ましくは温度5〜10℃の間で調製できる。
【0047】
本発明の方法で用いるホエイ生成物ベースは、調製されたホエイ混合物の膨潤によってもたらされ、これは、塊がないタンパク水和物の添加を可能にするためにホエイ混合物を既定温度に特定時間供することを意味する。
【0048】
よって、好ましい態様において、ホエイ混合物を膨潤処理に温度0〜40℃の間で0〜24時間供し、ホエイ生成物ベースを得る。さらなる態様において、膨潤処理は、ホエイ混合物を0〜40℃、例えば温度0〜25℃の間で、例えば温度0〜10℃の間で0〜24時間、例えば温度で0〜5時間の間で、例えば温度で15〜30分間の間で置くことによって実現する。
【0049】
膨潤処理の後、得られるホエイ生成物ベースは、予熱処理、次いで均質化処理および低温殺菌処理、そして最後に冷却ステップに供する。これらの処理は、好ましくは、ホエイ生成物ベースを脂肪含有生成物ベースと混合する前に短時間実施する。
【0050】
よって、有用な態様において、ホエイ生成物ベースは、温度40〜90℃の間で、好ましくは温度45〜70℃、55〜65℃または70〜90℃の間で、および最も好ましくは60℃で予熱する。予熱ステップは、数秒間、例えば10秒間であることができる。
【0051】
ホエイ生成物ベースの均質化ステップは、好ましくは2ステップ均質化によって、好ましい圧力(例えば、300および25bar、250および40bar、最も好ましくは200および50bar)で実施できる。
【0052】
ホエイ生成物ベースの低温殺菌処理は、温度70〜98℃、75〜95℃、70〜90℃の間で、および最も好ましくは85℃で5〜6分間であることができる。続いて、ホエイ生成物ベースを温度5〜10℃の間まで冷却する。
【0053】
一態様において、ホエイ生成物ベース中のホエイタンパク濃縮物(WPC)の含有量は、6.0%〜7.2%(w/w)の間、好ましくは6.1%〜7.1%(w/w)の間の量、例えば6.2%〜7.0%(w/w)の間、例えば6.3%〜6.9%(w/w)の間、例えば6.4%〜6.8%(w/w)の間、例えば6.5%〜6.7%(w/w)の間であり、そして最も好ましい態様において、添加するWPCの該量は6.6%(w/w)である。
【0054】
本発明の方法に従い、生成物ベースの他の部分は脂肪含有生成物ベースである。この生成物ベースは、主として水および脂肪含有化合物(最終製品の口の感触の感覚を高めるのに十分な量の)からなる。
【0055】
よって、有用な態様において、脂肪含有生成物ベースは、水と、クリーム、バター、バターオイル、植物性脂肪含有化合物および全脂肪乳からなる群から選択される脂肪含有成分とを混合することによって得られる脂肪含有混合物を基にする。ここで「クリーム」はミルクの脂肪成分と理解すべきである。
【0056】
さらに、カゼイン塩および/またはホエイタンパク濃縮物(WPC)を脂肪含有混合物中に添加できる。WPCの添加は、より高い粘度を示唆し、これは官能特性を改善し、そしてカゼイン塩はヨーグルトに所望の口の感触を与える。好ましい態様において、カゼイン塩および/またはホエイWPCは、20〜40%のタンパク、例えば25〜35%のタンパク、または30%のタンパクを含む。
【0057】
有用な態様において、食用糖、例えばグルコース、スクロース、ラクトースまたはフルクトースを脂肪含有混合物に2〜10%(w/w)の量で添加する。好ましい態様において、該量は4〜9%(w/w)であり、そして最も好ましい態様において、添加する糖の量は5〜8%(w/w)である。
【0058】
脂肪含有混合物は、好ましくは温度0〜50℃の間で、より好ましくは温度2〜20℃の間で、最も好ましくは温度5〜10℃の間で調製できる。
【0059】
本発明の方法において使用する脂肪含有生成物ベースは、調製された脂肪含有混合物の膨潤によりもたらされ、これは、塊がないタンパク水和物の添加を可能にするために脂肪含有混合物を既定温度に特定時間供することを意味する。
【0060】
よって、好ましい態様において、脂肪含有混合物を膨潤処理に温度0〜40℃の間で0〜24時間供し、脂肪含有生成物ベースを得る。さらなる態様において、膨潤処理は、脂肪含有混合物を0〜40℃、より好ましくは0〜25℃、および最も好ましくは0〜10℃で0〜24時間、より好ましくは0〜5時間、最も好ましくは15〜30分間置くことによって実現する。
【0061】
膨潤処理後、得られる脂肪含有生成物ベースは、予熱処理、次いで均質化処理および低温殺菌処理、そして最後に冷却ステップに供する。これらの処理は、好ましくは、脂肪含有生成物ベースをホエイ生成物ベースと混合する前に短時間実施する。
【0062】
よって、有用な態様において、脂肪含有生成物ベースは、温度40〜90℃の間で、好ましくは温度45〜70℃、55〜65℃または70〜90℃の間で、および最も好ましくは60℃で予熱する。予熱ステップは、数秒間、例えば10秒間であることができる。
【0063】
脂肪含有生成物ベースの均質化ステップは、好ましくは2ステップ均質化によって、好ましい圧力(例えば、300および25bar、250および40bar、最も好ましくは200および50bar)で実施できる。
【0064】
脂肪含有生成物ベースの低温殺菌処理は、温度80〜99℃、75〜95℃、80〜99℃、85〜99℃、90〜99℃の間で、および最も好ましくは95℃で5〜6分間で実施できる。続いて、脂肪含有生成物ベースを温度約42℃まで冷却する。
【0065】
一態様において、脂肪含有生成物ベース中のホエイタンパク濃縮物(WPC)の含有量は、6.0%〜7.2%(w/w)の間であり、好ましくは該量が6.1%〜7.1%(w/w)の間、例えば6.2%〜7.0%(w/w)の間、例えば6.3%〜6.9%(w/w)の間、例えば6.4%〜6.8%(w/w)の間、例えば6.5%〜6.7%(w/w)の間であり、そして最も好ましい態様において、添加するWPCの該量は6.6%(w/w)である。
【0066】
脂肪含有生成物ベース中の脂肪含有成分の含有量は、好ましくは最大15%(w/w)である。好ましい態様において、脂肪含有成分の量は、最大14.5,14.0,13.5,13.0,12.5,12.0,11.5,11.0,10.5,10.0,9.5および9.0%(w/w)である。
【0067】
有用な態様において、脂肪含有生成物ベースを中間pHまでの酸性化ステップに供する。冷却ステップの後、脂肪含有生成物ベースの酸性化は、開始培地(例えば、好熱性培地、中等温度好性および好熱性培地の群からの1種以上のバクテリア培地)の添加によって起こる。S.thermophilusおよびL.bulgaricusの菌株が好ましかった。開始培地が脂肪含有生成物ベースの発酵をもたらすことが理解されよう。酸性化はまた、単独または組合された有機酸(例えば、有機酸、例えば酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、リン酸またはグルコノデルタラクトン(GDL)からなる群からの1種以上の酸)の添加によって実現できる。
【0068】
好ましい態様において、脂肪含有生成物ベースを、中間pH5〜6.8の間、例えば5〜6.7の間、例えば5〜6.6の間、例えば5.2〜6.4の間まで酸性化ステップに供する。好ましい態様において、脂肪含有生成物ベースを中間pH6.4まで酸性化ステップに供する。
【0069】
ホエイ生成物ベースおよび脂肪含有生成物ベースの調製後、2つの生成物ベースを、均一混合物が得られるまで混合する。酸ホエイの場合、酸ホエイを用いる際の平板熱交換器の汚れを回避するために、ホエイ生成物ベースおよび脂肪含有生成物ベースについて別個のベース処理を有することが重要である。
【0070】
しかし、ホエイ生成物ベース生成物および脂肪含有ベース生成物についての含有成分の直接混合は、例2および3に示すように酸ホエイが処方中に存在しない場合にも実施できる。これらの態様に関し、ホエイ生成物ベース中またはミルク生成物ベース中に存在する含有成分に関する任意の特徴が、直接混合する場合の同じ含有成分にも当てはまることが理解されよう。種々の原料を使用して、カゼイン/カゼイン塩とホエイタンパクとのバランスを形成する一方、ドリンクヨーグルト中約2.3%の総タンパク含有量の上限を維持できる。
【0071】
ホエイおよび脂肪含有生成物ベースの混合後、カゼイン濃度がないかまたは低いさらなる成分をドリンクヨーグルトに添加できる。有用なカゼインは、正常乳またはNa−カゼイン塩からのミセル由来のものであることができる。
【0072】
さらに、風味剤および/または芳香剤をドリンクヨーグルトに添加して風味ドリンクヨーグルトを得ることができる。風味剤は固体として添加できるが、好ましくは液体、例えばフルーツジュース等の形状で添加する。芳香剤は、固体または液体のいずれでも添加できる。心地良い香りを与える典型的な剤はフルーツを基にするものである。
【0073】
有用な態様において、ドリンクヨーグルトを好適な容器、例えばプラスチックまたはガラスのボトル(キャップ有りまたは無し)等の中に充填する。キャップ付容器内に充填される場合、酸性化および/または発酵は中断しないが、制限された空気量が得られることを見出した。
【0074】
容器内のドリンクヨーグルトのpHを観測して所望のpHに到達した時点で温度を低下させて発酵を終了させることができる。
【0075】
本発明に従い、方法は、カゼイン濃度が約0.1%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)〜約0.4%(w/w)の範囲、約0.1%(w/w)〜約0.3%(w/w)の範囲、または約0.1%(w/w)〜約0.2%(w/w)の範囲、例えば約0.2%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、例えば約0.2%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲、約0.2%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲、約0.2%(w/w)〜約0.4%(w/w)の範囲、例えば約0.3%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、約0.3%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲、約0.3%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲、例えば約0.4%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲、または例えば約0.4%(w/w)〜約0.8%(w/w)の範囲のドリンクヨーグルトをもたらす。
【0076】
ある態様において、本発明の方法は、ドリンクヨーグルト中の総タンパク含有量、すなわちカゼイン プラス ホエイタンパク、約0.9%(w/w)〜約2.7%(w/w)または約1.8%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、例えば約1.7%(w/w)〜約2.6%(w/w)の範囲、例えば約1.7%(w/w)〜2.4%(w/w)の範囲、例えば約1.8%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、約1.9%(w/w)〜約2.3%(w/w)の範囲、約2%(w/w)〜約2.2%(w/w)の範囲をもたらす。よって、好ましい態様において、総タンパク含有量は2.1%(w/w)である。
【0077】
興味深い態様において、本発明の方法は、フルーツまたはフルーツブレンドをドリンクヨーグルトに添加するステップ、および続いてフルーツ風味ドリンクヨーグルトをプロセスに供してフルーツ風味スムージードリンクを得るステップをさらに含む。
【0078】
発酵後のタンパクネットワーク(凝塊)の生成の除外、および従ってこのようなタンパクネットワークを壊すことの除外は、本発明の方法によって得ることができるドリンクヨーグルトに特異なタンパク構造または少なくとも、従来の製造方法により製造されるドリンクヨーグルトと比べて異なるタンパク構造を与える。
【0079】
よって、さらなる側面において、本発明に係る方法によって得ることができるドリンクヨーグルトを提供する。本発明のドリンクヨーグルトは、上記の特徴の他、従来製造されるドリンクヨーグルトと比べて異なるタンパク構造を有することでさらに特徴付けられる。
【0080】
本発明の側面の1つの文脈で記載される態様および特徴は、発明の他の側面にも当てはまることに留意すべきである。
【0081】
本明細書を通じ、単語「含む(comprise)」および変形(例えば"comprises"または"comprising")は、記載される要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を包含するが任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を排除しないという意味を含むことが理解されよう。加えて、用語「少なくとも1」および「1以上」は本明細書において互換的に用いる。
【0082】
ここで本発明を、以下の限定しない例によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0083】

例1:クリームチーズ製造からの酸ホエイを基にするドリンクヨーグルト
この例の目的は、酸ホエイを用いて本発明に係るドリンクヨーグルトを製造することである。ここで用いるミルクはウシ属由来である。この例は、ヨーグルトの官能特性とカゼインおよびホエイタンパクの濃度の比との間の関係を開示する。例1において用いた手順の概要を図1に示す。
【0084】
材料
以下の含有成分を、試験no2(下表参照)に用いた。
【0085】
ベース1(ホエイ生成物ベース)について:
12.45%(w/w)(8.72kg)の糖、80.96%(w/w)(56.67kg)の酸ホエイ、6.59%(w/w)(4.61kg)の粉末化WPC(Lacprodan−30(登録商標) Arla Foods Ingredients)。
【0086】
ベース2(脂肪含有生成物ベース)について:
12%のクリーム(脂肪レベル40%)、0.58%のカゼイン塩(Miprodan−40(登録商標) Arla Foods Ingredients)、6.12%の粉末化WPC(Lacprodan−30(登録商標) Arla Foods Ingredients)、80.8%の水。
【0087】
他の試験1,3,4および5について、カゼイン塩(Miprodan−40(登録商標) Arla Foods Ingredients)と粉末化WPC(Lacprodan−30(登録商標) Arla Foods Ingredients)との間の比を、表1.1に示すように変えて、下表に記載するようなホエイタンパクおよびカゼインの含有量を与えた。最終生成物中の総タンパク含有量は、体積で約10%のフルーツジュース濃縮物の添加後で2.3%であった。
【0088】
表1.1 ベース2(脂肪含有生成物ベース)の含有物
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
手順:
ベース1を低温で混合し、そして膨潤のために30分間置き、次いで65℃/15秒間予熱し、85℃/5分間低温殺菌し、2ステップ200/50barで均質化し、そして続いて5℃に冷却した。
【0092】
ベース2を低温で混合し、そして膨潤のために30分間置き、次いで65℃で15秒間予熱し、90℃/5分間低温殺菌し、2ステップ200/50barで均質化し、そして続いて42℃に冷却した。ヨーグルト開始培地を用量0.02%(YCX1(登録商標) Chr.Hansen)で添加した。
【0093】
ベース2におけるpHがpH6.4に到達した時点で、ベース1(70%)をベース2(30%)中に混合し、混合物における見積もりpH5.4を与えた。発酵は混合ベースで継続する。
【0094】
混合物にフルーツジュースを添加し、ボトル中に充填し、そして40℃でpHが4.7に到達するまで置いた。次いで、ボトルをブラストクーラー内に移動させて発酵を停止させた。
【0095】
最終pHは約4.4であった。
【0096】
結果
以下の結果は生成物の感覚判定にて得た(Wp=ホエイタンパク および C=カゼイン):
表1.2 試験1〜5のドリンクヨーグルト中のホエイタンパクおよびカゼインの濃度ならびに生成物の感覚判定から得た結果
【0097】
【表3】

【0098】
官能測定は、5人の訓練を受けた人の感覚パネルによって行なった。
【0099】
クリーム性の評価は、10点スケールに従って行なった。10点は、評価した生成物が全乳と同じ位クリーム状である場合に与えられ、5点は、生成物が半脱脂乳と同じ位クリーム状である場合に与えられ、そして最後に1点は、生成物が脱脂乳(脂肪の感覚なし)のクリーム状と類似する場合に与えられる。
【0100】
クリーム性は、口中での滑らかさの感触として、全く脂肪の感覚がないこととの対比で定義する。
【0101】
口の感触の測定は、10点スケールに従って行なった。10点は、評価した生成物が全乳と同じ位濃厚に感じられる場合に与えられ、5点は、生成物が半脱脂乳と同じ位濃厚に感じられる場合に与えられ、そして最後に1点は、生成物が脱脂乳の濃厚さと類似する場合に与えられる。
【0102】
離漿の程度は、最終生成物の上部の望ましくない透明層として定義する。離漿の測定は、48時間の貯蔵後に行なった。各試験について、ドリンクヨーグルトを、フルーツジュース中で混合した後シリンダーガラス内に充填し、外側から目視の離漿の量を測定した。
【0103】
測定を、以下のように定義する10点スケールに従って点に変換した。
【0104】
【表4】

【0105】
粘度は、10℃で48時間の貯蔵後に、Haake Rheostress RS1(登録商標)にて以下のプロトコルに従って測定した。
【0106】
測定
原理
液体生成物の粘度は、レオメータ(Haake rheostress)で、ボブ/カップシステムで測定した。測定は10℃で実施した(粘度は温度依存性であるため)。温度は水浴で制御した。粘度はcP値に変換した。cP値は粘度に比例する。cP値が高いほど粘度が高い。
【0107】
常に2重の反復を行なった。測定は製造日から3日間行なった。
【0108】
方法設定
プログラムのパラメータは以下の通りである:
・ステップ1 ゼロ点
・ステップ2 制御応力1,00Paで0,50分間 5,00℃
周波数1,000Hz. 1データ点を収集
・ステップ3 制御速度50,00 1/sで2,00分間 5,00℃
60データ点を収集
・ステップ4 リフト分離
【0109】
材料
この手順のために以下が必要であった:
・Haake rheostress 1 レオメータ
・ボブ:Z34 DIN 53019シリーズ
・カップ:Z34 DIN53018シリーズプローブ
・水浴 Haake k20/Haake DC50
・水浴 Thermo Haake V26
【0110】
条件
方法:制御速度
剪断速度:50 s−1
初期休止時間:30秒
サンプリング時間:2分
サンプリング速度:2秒/データサンプリング
温度:5℃
【0111】
手順
1.サンプル調製
プロセス中に各サンプルをボトル内に打ち込み、2日間低温貯蔵庫(4℃)内で貯蔵した。ボトルを実験室クーラー(6℃)内に置いて1日間穏やかにした。
2.設定
HAAKE rheostressのための水浴を5℃で調整した。
生成物をHaake rheostressにて測定するためのプログラムを設定した。ボブ/カップシステムを据え付けた。
【0112】
3.測定
Haake rheostressシステムを計量してデータサンプリングプログラムを開始させた。
40mlのサンプルをカップに添加した。分析すべきサンプルのみを低温貯蔵庫から取出した。
4.洗浄
分析終了時に、ボブ/カップシステムを分解して、水および石鹸、その後イオン化水で洗浄した。ボブ/カップシステムを拭って次サンプルのために再び据え付けた。
【0113】
結果
12分後に読み取ったcP値を記録した。
【0114】
結論
比が%WPC(w/w)2.1:0.2%カゼイン(w/w)(ホエイタンパク:カゼイン比92:8に等しい)である試験no3が、低い離漿および高い感覚スコアの点で最も良い結果を示した。しかし、ホエイタンパク:カゼイン比88:12もまた離漿および感覚スコアが所望の範囲内である。結論として、例は、カゼインに代えて酸ホエイを用いてドリンクヨーグルトを製造することが、高度に実行可能および実用的であり、得られる生成物が所望の質感を有することを確認した。
【0115】
例2
Havartiチーズ製造からのスイートホエイを基にする安定なドリンクヨーグルト(1.5%脂肪,2.3%タンパク)
この例の目的は、スイートホエイの使用を伴う本発明に係るドリンクヨーグルトの製造を示すことである。ここで使用したホエイは、スイートHavartiチーズの製造からの副生成物であり、そしてオレンジジュース濃縮物を風味付けの目的で添加した。
【0116】
以下の含有成分を用いた:
2.5%のクリーム(脂肪量40%)、0.80%の粉末化ミルクタンパク混合物(45%タンパク/50:50比のカゼインをホエイタンパクに対して含有)、3.9%の粉末化WPC(Lacprodan−35(登録商標)Arla Foods Ingredients)、86.8%のスイートHavartiチーズホエイ、6%の糖。
全含有成分を開始から一緒に混合した。
【0117】
手順:
クリーム、スイートHavartiチーズホエイおよび全乾燥含有成分を低温で混合し、そして膨潤のために45分間置き、次いで65℃に15秒間予熱し、95℃/5分間で低温殺菌し、2ステップ200/50barで均質化し、そして続いて42℃に冷却した。ヨーグルト開始物質を用量0.02%(YC−183(登録商標) Chr.Hansen)で添加した。
【0118】
次いで混合物に10%フルーツジュースを添加し、ボトル内に充填し、そして40℃でpHが4.7に到達するまで置いた。次いで、ボトルをブラストクーラー内に移動させて発酵を停止させた。
【0119】
最終pHは約4.3〜4.5であった。
【0120】
結論
結論として、例は、カゼインに代えてスイートホエイを用いてドリンクヨーグルトを製造することが、高度に実行可能および実用的であり、得られる生成物が所望の質感を有することを確認する。
【0121】
例3
Havartiチーズ製造からのスイートホエイを基にする安定なスムージー(1.6%脂肪,2.3%タンパク)
この例の目的は、カゼインに代えてスイートホエイの使用を伴う本発明に係る安定なスムージーの製造を示すことである。ここで使用したホエイは、スイートHavartiチーズの製造からの副生成物であり、そしてオレンジジュース濃縮物を風味付けの目的で添加した。
【0122】
以下の含有成分を用いた:
ヨーグルトベースについて:4.1%のクリーム(脂肪量40%)、1.23%の粉末化ミルクタンパク混合物(45%タンパク/50:50比でカゼインをホエイタンパクに対して含有)、6.0%の粉末化WPC(Lacprodan−35(登録商標) Arla Foods Ingredients)、79.47%のスイートHavartiチーズホエイ、9.2%の糖。
フルーツベースについて:20%オレンジジュース濃縮物(55%ブリックス)を水で希釈(80%)。
【0123】
手順
クリーム、スイートハバーティチーズホエイおよび全乾燥含有成分を低温で混合し、そして膨潤のために45分間置き、次いで65℃/15秒間予熱し、95℃/5分間で低温殺菌し、2ステップ200/50barで均質化し、そして続いて42℃に冷却した。次いでヨーグルト開始物質を用量0.02%(YC−183(登録商標) Chr.Hansen)で添加した。
【0124】
オレンジジュース濃縮物を水と混合してヨーグルトベースに比65:35で添加した。
【0125】
スムージー混合物をボトル内に充填し、そして40℃でpHが4.55に到達するまで置いた。次いで、ボトルをブラストクーラー内に移動させて発酵を停止させた。
【0126】
最終pHは約4.1〜4.25であった。
【0127】
結論
結論として、例は、カゼインに代えてスイートホエイを用いてフルーツスムージーを製造することが、高度に実行可能および実用的であり、得られる生成物が所望の質感を有することを確認する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゼインおよびホエイタンパクを、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含む、ドリンクヨーグルト。
【請求項2】
カゼイン濃度が約0.1%(w/w)〜約0.5%(w/w)の範囲である、請求項1に記載のドリンクヨーグルト。
【請求項3】
総タンパク濃度約0.9%(w/w)〜約3%(w/w)の範囲を含む、ドリンクヨーグルト。
【請求項4】
総タンパク濃度が約2%(w/w)〜約2.5%(w/w)の範囲である、請求項3に記載のドリンクヨーグルト。
【請求項5】
カゼインおよびホエイタンパクの濃度の合計が約0.9%(w/w)〜約3%(w/w)の範囲である、請求項3に記載のドリンクヨーグルト。
【請求項6】
カゼインおよびホエイタンパクの濃度の合計が約2%(w/w)〜約2.5%(w/w)の範囲である、請求項3に記載のドリンクヨーグルト。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のドリンクヨーグルトを含む、フルーツ風味のスムージードリンク。
【請求項8】
発酵後の凝塊形成を伴わずにドリンクヨーグルトを製造する方法であって、カゼインとホエイタンパクとを組合せて、カゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)を含むドリンクヨーグルトを調製することを含む、方法。
【請求項9】
ホエイ生成物ベース量をミルク生成物ベース量に添加して、カゼインおよびホエイタンパクをカゼイン:ホエイタンパク比4:96〜12:88(w/w)で含むドリンクヨーグルトを調製する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ホエイ生成物ベースが、酸ホエイまたはスイートホエイを含むホエイ混合物を基にする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ホエイ混合物が、ホエイタンパク濃縮物(WPC)をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ホエイタンパク濃縮物が、20〜40%の間のタンパクを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ホエイ混合物を0〜50℃の間の温度で調製する、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ホエイ混合物を、温度0〜40℃の間で0〜24時間の膨潤処理に供してホエイ生成物ベースを得る、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
後続してホエイ生成物ベースを温度40〜90℃の間で予熱する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ホエイ生成物ベース中のホエイタンパク濃縮物の含有量が、6.0〜7.2%(w/w)の間である、請求項8〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ミルク生成物ベースが、水をカゼイン塩および/またはホエイタンパク濃縮物(WPC)、およびクリーム、スキムミルク、全脂肪乳からなる群から選択される脂肪含有成分と混合することにより得られるミルク混合物を基にする、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
ホエイタンパク濃縮物が、20〜40%の間のタンパクを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ミルク混合物を、0〜50℃の間の温度によって調製する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
ミルク混合物を、温度0〜40℃の間で0〜24時間の膨潤処理に供してミルク生成物ベースを得る、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ミルク生成物ベース中のホエイタンパク濃縮物の含有量が、6.0〜7.2%(w/w)の間である、請求項16〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ミルク生成物ベース中の脂肪含有成分の含有量が、最大15%(w/w)である、請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
後続してミルク生成物ベースを温度45〜70℃の間で予熱ステップに供する、請求項17〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
後続してミルク生成物ベースを均質化ステップに供する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
後続してミルク生成物ベースを温度80〜90℃の間で加熱ステップに供する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ミルク生成物ベースを酸性化ステップに供する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
カゼインの濃度がないかまたは低い更なる成分をドリンクヨーグルトに添加する、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
使用されるカゼインが、正常乳またはNa−カゼイン塩からのミセル由来である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
風味剤および/または芳香剤をドリンクヨーグルトに添加して風味ドリンクヨーグルトを得る、請求項8〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
ドリンクヨーグルトを好適な容器内に充填する、請求項8〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
容器内のドリンクヨーグルトのpHを観測する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ドリンクヨーグルト中のカゼイン含有量が、約0.1%(w/w)〜約1%(w/w)の範囲である、請求項8〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
ドリンクヨーグルト中の総タンパク含有量が、約0.9%(w/w)〜約2.7%(w/w)の範囲である、請求項8〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
ドリンクヨーグルト中の総タンパク含有量が、約2%(w/w)〜約2.5%(w/w)の範囲である、請求項8〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
フルーツをドリンクヨーグルトに添加するステップ、および続いてフルーツ風味ドリンクヨーグルトを、フルーツ風味スムージードリンクを得るプロセスに供するステップをさらに含む、請求項8〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
請求項8〜35のいずれかに記載の方法によって得ることができるドリンクヨーグルト。

【図1】
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【公表番号】特表2010−517515(P2010−517515A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547532(P2009−547532)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000048
【国際公開番号】WO2008/092458
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508104282)
【Fターム(参考)】