説明

新規なナフタルアルデヒド化合物、その製造法、および該化合物からトリアリールアミン化合物を製造する方法

【課題】医農薬および電子材料の中間体として有用な新規な2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物、及び該化合物からトリアリール化合物を合成する方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物


(式中、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基またはナフチレン基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物およびその製造法に関する。さらに、本発明は、この2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物からトリアリールアミン化合物を製造する方法に関する。
【0002】
本発明の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、様々な誘導体の中間体として利用可能である。特に、医農薬の中間体および電子材料の中間体として有用である。具体的には、国際特許公報2007/119800パンフレットおよび特開2011−012047号公報に記載の化合物を合成する中間体として用いられるため、非常に重要である。
【背景技術】
【0003】
2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物としては、2−(4−フルオロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドおよびその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、2−(4−フルオロフェニル)−1−ナフタルアルデヒド以外の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は知られていない。上記の開示されている2−(4−フルオロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドは、下記の反応スキームに従って製造されるが、その製造プロセスは、反応工程が多く、且つ釜効率の低いボロン酸化合物を経由するため、工業的には満足できない。
【0004】
【化1】

【0005】
また、2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒドに近い構造を有する化合物として、(1E)−N−(4−メトキシフェニル)−1−(3−フェニルナフタレン−2−イル)エタンイミンおよびその製造方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
電子材料および医薬中間体として重要なハロゲン化ベンゾ[a]フルオレノン誘導体、またはハロゲン化ベンゾ[a]フルオレン誘導体は、下記の反応スキームを含むプロセスにより合成できることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。この反応スキームを含む製造プロセスでは、高価なボロン酸化合物およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物を用いるため、工業的に不利である。
【0007】
【化2】

【0008】
なお、当該プロセスにおいては、パラクロロフェニルボロン酸同士の反応が進行して、クロロビフェニル化合物など環境負荷の高い化合物が副生しやすいという課題があり、改善が求められていた。
【0009】
また、特許文献4には、有機EL素子用に有用なトリアリールアミン化合物を、下記反応スキームを含むプロセスにより製造する方法が記載されているこの製造プロセスでは、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ボロン酸化合物、および水素化ホウ素ナトリウムが用いられている。
【0010】
しかしながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物は腐食性が高く、水素化ホウ素ナトリウムについては禁水性物質であり且つ毒性が高いため、取扱いにおいては細心の注意を要する。よって、これらの化合物を用いない工業的プロセスの確立が求められていた。
【0011】
【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表昭60−500499号公報
【特許文献2】特開2009−114114号公報
【特許文献3】国際特許公報2007/119800パンフレット
【特許文献4】特開2011−012047号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Organic Letters,第4巻,第10号,第1783−1785頁,2002年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、医農薬中間体、および電子材料の中間体として有用な新規な2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物、およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、上記の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を製造中間物として、該化合物から、国際公開2007/119800パンフレットおよび特開2011−012047号公報に記載のトリアリールアミン化合物を合成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、下記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を提供する。
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
さらに、本発明は、酸存在下、下記一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物を加水分解することを特徴とする、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法を提供する。
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Rは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、または炭素数7〜18のアリールアルキル基を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
さらに、本発明は、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の別の製造方法として、遷移金属触媒および塩基の存在下、下記一般式(2)で表される1−ナフチルアルジミン化合物と下記一般式(3)で表されるジハロゲン化芳香族化合物を反応させ、次に、反応生成物を、酸存在下に加水分解することを特徴とする、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法を提供する。
【0021】
【化6】

【0022】
(式(1)、(2)、(3)及び(6)において、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Rは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、または炭素数7〜18のアリールアルキル基を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。XおよびXは、それぞれ独立して、ヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
さらに、本発明は、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物から一般式(c)で表されるハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物を製造し、次いで、該ハロゲン化ベンゾフルオレン化合物または該ハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物から一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造する方法を提供する。
【0023】
【化7】

【0024】
(式(1)、(c)及び(Y)において、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基、またはフェニル基を表し、Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されることはない。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。式(c)および式(Y)中の
【0025】
【化8】

【0026】
は、隣接する5員環に縮合しているフェニレン基またはナフチレン基を表し、該フェニレン基および該ナフチレン基は、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基の中から選ばれた少なくとも1つの置換基を有しても良い。)
【発明の効果】
【0027】
本発明の上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、様々な誘導体の中間体として利用可能である。特に、医農薬の中間体および電子材料の中間体として有用である。具体的には、国際公開2007/119800パンフレットおよび特開2011−012047号公報に記載されている、有機EL素子の構成材料として有用なトリアリール化合物を合成するための中間体として重要である。
【0028】
本発明に係る、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法によれば、当該2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を高い選択率で、かつ効率よく製造することができる。
【0029】
また、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、電子材料の中間体および医薬の中間体として有用なハロゲン化ベンゾ[a]フルオレノン誘導体またはハロゲン化ベンゾ[a]フルオレン誘導体の製造原料として用いることができる。
【0030】
一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を用いれば、医薬中間体、および電子材料の中間体として有用なハロゲン化ベンゾ[a]フルオレノン誘導体およびハロゲン化ベンゾ[a]フルオレン誘導体を高価なボロン酸化合物およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物を用いることなく、且つクロロビフェニル化合物などの環境負荷の高い副生物の生成を抑えて製造することができる。
【0031】
さらに、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を製造中間物として、上記一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造する本発明の方法によれば、一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を工業的に有利に製造することができる。すなわち、例えば、特許文献4に記載される製造プロセスにおいて用いられていたトリフルオロメタンスルホン酸無水物および水素化ホウ素ナトリウムを用いることなく、且つ従来より少ない工程で、一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】合成例1で得られた1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンのH−NMR(CDCl)測定結果を示すチャートである。
【図2】実施例1で得られた2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドのH−NMR(CDCl)測定結果を示すチャートである。
【図3】実施例1で得られた2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの13C−NMR(CDCl)測定結果を示すチャートである。
【図4】実施例3で得られた2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドのH−NMR(CDCl)測定結果を示すチャートである。
【図5】実施例3で得られた2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの13C−NMR(CDCl)測定結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係る、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物において、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基である。
【0034】
は、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基である。
【0035】
の炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロイル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルブチル基、4−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デカニル基、n−ドデカニル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等が挙げられる。
【0036】
の炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基等が挙げられる。
【0037】
なお、Rは、水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基またはフェニル基であることが、原料入手容易性の点好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
【0038】
一般式(1)で表されるArは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基である。
【0039】
Arにおいて、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、一般式(1)におけるRで示される炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基と同じ置換基を例示することができ、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、一般式(1)におけるRで示される炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0040】
一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、酸存在下、下記一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物を加水分解することにより合成される。
【0041】
【化9】

【0042】
(式中、R、ArおよびXは、一般式(1)と同じ基を表す。Rの置換位置は1および2位以外であれば制限されない。Rは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、または炭素数7〜18のアリールアルキル基を表す。)
上記一般式(6)において、Rは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、または炭素数7〜18のアリールアルキル基である。
【0043】
の炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基において、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、一般式(1)におけるRで示される炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基と同じ置換基を例示することができ、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、一般式(1)におけるRで示される炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0044】
の炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、一般式(1)のRで示した炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基と同じ置換基を例示することができる。
【0045】
の炭素数7〜18のアリールアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルヘキシル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0046】
の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等を上げることができる。このうち、原料調達が容易な点、合成が容易な点で、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基が好ましく、4−メトキシフェニル基が特に好ましい。
【0047】
一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(4−ブロモフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(4−ヨードフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(3−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(3−ブロモフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(3−ヨードフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、4−メトキシ−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、4−メトキシ−2−(4−ブロモフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、4−メトキシ−2−(4−ヨードフェニル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(4−クロロ−1−ナフチル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(4−ブロモ−1−ナフチル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(4−ヨード−1−ナフチル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(6−クロロ−2−ナフチル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(6−ブロモ−2−ナフチル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン、2−(6−ヨード−2−ナフチル)−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン等が挙げられる。
【0048】
一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物の加水分解反応は、通常、2−アリール−1−ナフチルアルジミン化合物と酸の水溶液を接触、混合することにより行われる。
【0049】
酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、または酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸等の有機酸が用いられ、通常、2−アリール−1−ナフチルアルジミン化合物と酸の水溶液との混合物が酸性となる量の酸が用いられる。このうち、酸としては塩酸が好ましく、2−アリール−1−ナフチルアルジミン化合物と酸の水溶液との混合物がpH3以下となる量を用いるのが好ましい。
【0050】
加水分解反応は通常10〜100℃の温度範囲で行われ、反応時間は反応温度や酸の量によって異なるが、通常、数分〜24時間の範囲で行われる。反応温度は、10℃以上であれば反応が十分に進行し、100℃以下であれば経済的に好ましい。
【0051】
加水分解反応は、有機溶媒の存在下に実施してもよい。有機溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はないが、通常は、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量は特に制限されない。
【0052】
加水分解反応においては、原料を数回に分けて反応容器に添加して反応させることもできるし、2種以上の原料を交互または同時に、および断続的または連続的に反応容器に添加して反応させることもできる。
【0053】
加水分解反応後、水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理することにより、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を含む有機層が得られる。得られた該有機層を濃縮処理することにより、2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を取り出すことができる。
【0054】
一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、必要に応じて、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィー等の操作により単離精製することができる。
【0055】
一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(4−ヨードフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(3−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(3−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(3−ヨードフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、4−メトキシ−2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、4−メトキシ−2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、4−メトキシ−2−(4−ヨードフェニル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(4−クロロ−1−ナフチル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(4−ブロモ−1−ナフチル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(4−ヨード−1−ナフチル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(6−クロロ−2−ナフチル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(6−ブロモ−2−ナフチル)−1−ナフタルアルデヒド、2−(6−ヨード−2−ナフチル)−1−ナフタルアルデヒド等が挙げられる。
【0056】
一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物は、遷移金属触媒および塩基の存在下、下記一般式(2)で表される1−ナフチルアルジミン化合物と下記一般式(3)で表されるジハロゲン化芳香族化合物を反応(アリール化反応)させることにより合成することができる。
【0057】
【化10】

【0058】
(式中、R、R、ArおよびXは、一般式(1)または(6)と同じ基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
一般式(2)で表される1−ナフチルアルジミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−メチルイミノメチルナフタレン、1−イソプロピルイミノメチルナフタレン、1−(tert−ブチルイミノメチル)ナフタレン、1−(n−ヘキシルイミノメチル)ナフタレン、1−シクロヘキシルイミノメチルナフタレン、1−(n−オクチルイミノメチル)ナフタレン、1−(n−ドデシルイミノメチル)ナフタレン、1−ベンジルイミノメチルナフタレン、1−フェネチルイミノメチルナフタレン、1−フェニルイミノメチルナフタレン、1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン等が挙げられる。
【0059】
一般式(3)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、2−ブロモクロロベンゼン、3−ブロモクロロベンゼン、4−ブロモクロロベンゼン、2−ブロモヨードベンゼン、3−ブロモヨードベンゼン、4−ブロモヨードベンゼン、2−ヨードクロロベンゼン、3−ヨードクロロベンゼン、4−ヨードクロロベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、2,6−ジクロロナフタレン、1,4−ジブロモナフタレン、1,4−ジヨードナフタレン、1,8−ジヨードナフタレン、2,6−ジヨードナフタレン、2,7−ジヨードナフタレン、1,3−ジヨードナフタレン、1,6−ジヨードナフタレンなどが挙げられる。
【0060】
アリール化反応に用いる遷移金属触媒としては、特に限定されないが、例えば、ロジウム触媒、ルテニウム触媒を挙げることができる。
【0061】
ロジウム触媒としては、特に限定されないが、例えば、アセチルアセトナフトビス(エチレン)ロジウム(I)、アセチルアセトナートビス(1,5−シクロオクテン)ロジウム(I)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート、クロロビス(シクロオクテン)ロジウム(I)ダイマー、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、酢酸ロジウム(II)ダイマー、塩化ロジウム(III)、ロジウム(III)アセチルアセトナート等が挙げられる。
【0062】
ルテニウム触媒としては、特に限定されないが、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(0)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニル(ジヒドリド)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、クロロ(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロ(ベンゼン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(p−シメン)トリシクロヘキシルホスフィンルテニウム(II)、ジクロロジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ルテニウム(III)アセチルアセトナート、塩化ルテニウム(III)、沃化ルテニウム(III)等が挙げられる。
【0063】
遷移金属触媒の使用量は、反応がスムーズに進行する限りにおいて、特に制限はないが、通常、1−ナフチルアルジミン化合物に対して、遷移金属のモル数換算で0.01〜10mol%である。0.01mol%以上であれば反応が十分に進行し、10mol%以下であれば経済的に好ましい。
なお、これら遷移金属触媒は、公知の配位子を含んでいてもよい。 配位子としては、特に限定されないが、例えば、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(フリル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−ビフェニル、2−ジ(tert−ブチル)ホスフィノ−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−ジメチルアミノメチル−1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ナフチル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン等のホスフィン化合物、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロリド等のカルベン化合物を挙げることができる。
【0064】
このうち、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン化合物は、高収率で目的物を得られる点で好ましい。
【0065】
上記配位子の含有量は、遷移金属触媒中に含まれる遷移金属のモル数に対して0.5〜10倍モルの範囲とするのが好ましく、1〜4倍モルの範囲がより好ましい。0.5倍モル以上であれば反応が十分に進行し、10倍モル以下であれば経済的に好ましい。
【0066】
アリール化反応に用いる塩基としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、燐酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属塩基、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化バリウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩基を挙げることができる
塩基の使用量は、1−ナフチルアルジミン化合物1モルに対して1〜10倍モルの範囲が好ましく、1〜5倍モルの範囲がより好ましい。1倍モル以上であれば反応が十分に進行し、10倍モル以下であれば経済的に好ましい。
【0067】
アリール化反応は、通常、有機溶媒存在下で実施される。有機溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はないが、通常は、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。
【0068】
アリール化反応の反応温度および反応時間は、1−ナフチルアルジミン化合物、ジハロゲン化芳香族化合物、遷移金属触媒、塩基および有機溶媒の使用量等によって異なるが、通常、それぞれ0〜200℃および1〜72時間の範囲から選ばれる。反応温度は、0℃以上であれば反応が十分に進行し、200℃以下であれば経済的に好ましい。
【0069】
アリール化反応においては、原料を数回に分けて反応容器に添加して反応させることもできるし、2種以上の原料を交互または同時に、および断続的または継続的に反応容器に添加して反応させることもできる。
【0070】
遷移金属触媒および塩基存在下における、一般式(2)で表される1−ナフチルアルジミン化合物と一般式(3)で表されるジハロゲン化芳香族化合物の反応(アリール化反応)においては、驚くべきことに、一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物が高選択的に合成された。
【0071】
一般式(2)で示される1−ナフチルアルジミン化合物は、対応する一般式(4)で示されるナフタルアルデヒド化合物と下記一般式(5)で示される1級アミン化合物から、公知の方法、例えば、無触媒或いは酸触媒存在下に加熱することで容易に合成できる(例えば、特表2008−546642号公報記載の方法等参照)。
【0072】
【化11】

【0073】
(式中、RおよびRは、一般式(1)または(6)で示した置換基と同一である。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。)
一般式(4)で表されるナフタルアルデヒド化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−ナフタルアルデヒド、4−メトキシ−1−ナフタルアルデヒド、5,8−ジヒドロキシ−1−ナフタルアルデヒド、7−メトキシ−1−ナフタルアルデヒド、8−メトキシ−1−ナフタルアルデヒド、4−(ベンジルオキシ)−1−ナフタルアルデヒド等が挙げられる。
【0074】
一般式(5)で表される1級アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロイルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、6−フェニルヘキシルアミン、1−ナフチルメチルアミン等の脂肪族アミン類、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【0075】
一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、例えば、公知の亜塩素酸ナトリウムを用いたPinnick酸化によりカルボン酸へと誘導し、更にポリ燐酸等の公知の酸触媒によりハロゲン化ベンゾ[a]フルオレノン誘導体に誘導することができる(例えば、特開2009−114114号公報参照)。
【0076】
【化12】

【0077】
(式中、RおよびXは、一般式(1)と同じ基を表す。Arはフェニレン基を表す。)
ベンゾ[a]フルオレノン誘導体およびその還元体であるベンゾ[a]フルオレン誘導体は、ハロゲン原子、ケトン基のような官能基を有することから、さらに有用な化合物、例えば、有機EL材料、液晶材料等の電子材料や医農薬化合物に変換可能である。
【0078】
より具体的には、本願発明の一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を用いれば、特開2011−012047の一般式(1)で表される化合物を従来公知の製造方法に比べて少ない工程数で合成することが出来る。
【0079】
【化13】

【0080】
(式中、R、R、Xは前述と同じ定義を表す。Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。はヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。)
なお、ナフタレン〜1−ナフタルアルデヒドの反応(1工程)は、例えば、Journal of the Chemical Society,第339−346頁,1936年に記載されている。
【0081】
ナフタレン〜2−ヒドロキシ−1−アセトナフトンの反応(3工程)は例えば、Journal of Organic Chemistry,56巻,21項,第6148−6151頁,1991年およびAsian Journal of Chemistry,5巻,4項,第831−835頁,1993年に記載されている。
【0082】
さらに、本発明は、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物から一般式(c)で表されるハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物を製造し、次いで一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造する方法を提供する。
【0083】
【化14】

【0084】
(式中、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基、またはフェニル基を表し、Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されることはない。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。式(c)および式(Y)中の
【0085】
【化15】

【0086】
は、隣接する5員環に縮合しているフェニレン基またはナフチレン基を表し、該フェニレン基および該ナフチレン基は、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基の中から選ばれた少なくとも1つの置換基を有しても良い。)
本願発明の一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物から、一般式(c)で表されるハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物を製造する方法、及び一般式(c)で表されるハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物から一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造する方法については、特に限定するものではないが、例えば、特許文献3、特許文献4等に記載の公知の方法を用いることが出来る。
【0087】
なお、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物から一般式(c)で表されるハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物を製造し、次いで一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、下記の工程A〜工程Dを含む製造方法が挙げられる。
【0088】
工程A:上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物に炭素求核剤を反応させて一般式(a)で表される化合物を得る工程;
工程B:工程Aで得られた一般式(a)で表される化合物を酸触媒と反応させて一般式(b)で表される化合物を得る工程;
工程C:工程Bで得られた一般式(b)で表される化合物をハロゲン化アルキルと反応させて一般式(c)で表される化合物を得る工程;および
工程D:工程Cで得られた一般式(c)で表される化合物をアリールアミン化合物と反応させて一般式(Y)で表される化合物を得る工程。
【0089】
【化16】

【0090】
(式中、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基、またはフェニル基を表し、Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されることはない。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。一般式(c)および一般式(Y)中の
【0091】
【化17】

【0092】
は、隣接する5員環に縮合しているフェニレン基またはナフチレン基を表し、該フェニレン基および該ナフチレン基は、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基の中から選ばれた少なくとも1つの置換基を有しても良い。)
一般式(Y)において、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。当該炭素数1〜18の置換基とは、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリフルオロメチル基(以上、炭素数1〜18のアルキル基)、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基(以上、炭素数1〜18のアルコキシ基)、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基(以上、炭素数1〜18の芳香族炭化水素基)、フェノキシ基、ナフトキシ基、フルオレニルオキシ基(以上、炭素数1〜18の芳香族オキシ基)、ピリジル基、キノリル基、ベンゾイミダゾリル基、フラニル基、ジベンゾフラニル基、チアゾリル基、チエニル基、ジベンゾチエニル基(以上、炭素数1〜18のヘテロ芳香族炭化水素基)、ジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ビフェニリルフェニルアミノ基(以上、炭素数1〜18のジアリールアミノ基)、シアノ基等が挙げられる。当該ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0093】
Ar、Arにおける、炭素数6〜40のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、べンゾ[a]フルオレニル基、べンゾ[b]フルオレニル基、べンゾ[c]フルオレニル基などが挙げられる。このうち、真空蒸着法による成形安定性を考慮すると炭素数6〜18のアリール基が好ましい。なお、これらアリール基は上記炭素数1〜18の置換基又はハロゲン原子を複数有していても良い。
【0094】
Ar、Arにおける、炭素数5〜40のヘテロアリール基としては、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含有する芳香環基であり、特に限定するものではないが、例えば、キノリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基等が挙げられる。このうち、真空蒸着法による成形安定性を考慮すると、炭素数5〜18のヘテロアリール基が好ましい。なお、これらヘテロアリール基は上記炭素数1〜18の置換基又はハロゲン原子を複数有していても良い。
【0095】
一般式(Y)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。
【0096】
およびRにおける、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロイル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルブチル基、4−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デカニル基、n−ドデカニル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等が挙げられる。
【0097】
およびRにおける、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基等が挙げられる。
【0098】
なお、Rは、水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基またはフェニル基であることが、原料入手容易性の点好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
【0099】
およびRで示した炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基において、当該炭素数1〜18の置換基とは、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリフルオロメチル基(以上、炭素数1〜18のアルキル基)、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基(以上、炭素数1〜18のアルコキシ基)、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基(以上、炭素数1〜18の芳香族炭化水素基)、フェノキシ基、ナフトキシ基、フルオレニルオキシ基(以上、炭素数1〜18の芳香族オキシ基)、ピリジル基、キノリル基、ベンゾイミダゾリル基、フラニル基、ジベンゾフラニル基、チアゾリル基、チエニル基、ジベンゾチエニル基(以上、炭素数1〜18のヘテロ芳香族炭化水素基)、ジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ビフェニリルフェニルアミノ基(以上、炭素数1〜18のジアリールアミノ基)、シアノ基等が挙げられる。当該ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0100】
また、当該炭素数6〜40のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、べンゾ[a]フルオレニル基、べンゾ[b]フルオレニル基、べンゾ[c]フルオレニル基などが挙げられる。このうち、真空蒸着法による成形安定性を考慮すると炭素数6〜18のアリール基が好ましい。なお、これらアリール基は上記炭素数1〜18の置換基又はハロゲン原子を複数有していても良い。
【0101】
また、当該炭素数5〜40のヘテロアリール基としては、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含有する芳香環基であり、特に限定するものではないが、例えば、キノリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基等が挙げられる。このうち、真空蒸着法による成形安定性を考慮すると、炭素数5〜18のヘテロアリール基が好ましい。なお、これらヘテロアリール基は上記炭素数1〜18の置換基又はハロゲン原子を複数有していても良い。
【0102】
工程Aにおいては、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物と炭素求核剤を有機溶媒存在下に反応させる。
【0103】
炭素求核剤としては、特に限定するものではないが、例えば、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨージド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムヨージド、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロペンチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド等の有機マグネシウム化合物、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム化合物、ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物が挙げられる。
【0104】
溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はなく、通常は、テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒が挙げられる。
【0105】
反応温度および反応時間としては、2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物、炭素求核剤、および有機溶媒の使用量等によって異なるが、通常、それぞれ−80〜150℃および1〜48時間の範囲から選ばれる。反応温度は、0℃以上であれば反応が十分に進行し、100℃以下であれば経済的に好ましく、反応時間は1〜24時間の範囲が好ましい。
【0106】
炭素求核剤の使用量は、通常、2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物1モルに対して1〜10倍モルの範囲が好ましく、副生成物を抑制する観点から1〜3倍モルの範囲がより好ましい。
【0107】
工程Aは、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも、また加圧下でも行うこともできる。
【0108】
工程B〜Dについては、特開2011−012047に記載の方法と同様に行うことが出来る。
【実施例】
【0109】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0110】
実施例において、測定に用いた装置および条件は下記のとおりである。
H,13C−NMR測定]
測定装置:バリアン社製 Gemini200
[質量分析]
測定装置:日立製作所製 M−80B
[ガスクロマトグラフィー測定]
装置:島津製作所製 GC−17A
カラム:キャピラリーカラム(GL Science社製 NB−5)
キャリアガス:ヘリウム
カラム温度:150℃ → 10℃/min → 300℃
インジェクション:280℃
検出器:FID
[HPLC分析]
装置:東ソー社製 マルチステーション LC−8020
カラム:Inertsil ODS−3V(4.6mmΦ×250mm)
検出器:UV検出(波長 254nm)
溶離液:メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
合成例1 1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの合成
1−ナフタルアルデヒド 10.89g(69.7mmol)、p−アニシジン 10.23g(69.7mmol)、およびエタノール 150mLを300mLナス型フラスコに窒素雰囲気下加え、4時間、加熱還流した。反応液を濃縮後、18.2gの淡褐色粘調油状物を得た(収率=100%、GC純度=97.5%。数日後、徐々に結晶化した)。H−NMR(図1)により目的物(1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレン)であることを確認した。
【0111】
H−NMR(CDCl)δ(ppm):9.13(s,1H),9.02(d,1H,J=8.4Hz),8.08(d,1H,J=7.0Hz),7.93(t,2H,J=8.4Hz),7.50−7.64(m,3H),7.32(d,2H,J=9.2Hz),6.97(d,2H,J=9.2Hz),3.84(s,3H)
実施例1 2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの合成その1
合成例1で得られた1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの濃縮液 2.0g(7.42mmol)、p−ブロモクロロベンゼン 1.71g(8.91mmol)、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー 113mg(0.18mmol,1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの2.5mol%に相当)、トリフェニルホスフィン 194mg(0.74mmol)、炭酸カリウム 2.04g(14.8mmol)およびN−メチルピロリドン 20mLを100mLナス型フラスコに加え、窒素雰囲気下、20時間、100℃で反応させた。
【0112】
冷却後、トルエン 50mL、HO 40mLを加え有機層を抽出した。飽和食塩水で有機層を洗浄後、有機層を濃縮した。有機層は、テトラハイドロフラン 20mL、10%塩酸水溶液 25mLを加えて室温下攪拌した。テトラハイドロフランを留去したのち、トルエン 30mLを加えて有機層を抽出した。HO、飽和食塩水で有機層を洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、得られた有機層を濃縮し、更にシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=2/1体積比)にて精製することにより、淡黄色の固体を1.82g得た(収率=92%)。
【0113】
淡黄色の固体のHおよび13C−NMRから、得られた化合物が2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドであることを同定した。
【0114】
H−NMR(CDCl)δ(ppm):10.2(s,1H),9.22(d,1H,J=8.0Hz),8.08(d,1H,J=8.4Hz),7.91(d,1H,J=7.8Hz),7.75−7.35(m,7H)(図2参照)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm):194.01,146.29,137.03,134.65,134.02,132.98,131.64,130.20,129.32,128.82,128.51,128.22,127.85,126.90,125.65(図3参照)
実施例2 2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの合成その2
実施例1で用いたジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーの代わりに、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II) 71mg(0.07mmol,1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの1mol%に相当)を用い、更にトリフェニルホスフィンを用いずに、実施例1と同様の実験を行い、1.78gの2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドを得た(収率=90%)。
【0115】
実施例3 2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの合成その1
合成例1で得られた1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの濃縮液 2.0g(7.42mmol)、p−ジブロモベンゼン 7.0g(29.7mmol)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II) 71mg(0.07mmol,1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの1mol%に相当)、炭酸カリウム 2.04g(14.8mmol)およびN−メチルピロリドン 40mLを100mLナス型フラスコに加え、窒素雰囲気下、20時間100℃で反応させた。
【0116】
実施例1に準じて後処理を行い、1.54gの2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドを得た(収率=64%)。質量分析の結果、目的物であることを確認した(分子量=310)。
【0117】
H−NMR(CDCl)δ(ppm):10.2(s,1H),9.22(d,1H,J=8.4Hz),8.08(d,1H,J=8.8Hz),7.92(d,1H,J=8.2Hz),7.70−7.25(m,7H)(図4参照)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm):193.85,146.18,137.43,133.93,132.89,131.85,131.37,130.11,129.24,128.70,128.13,127.69,126.83,125.56,122.76(図5参照)
実施例4 2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの合成その2
実施例1で用いたp−ブロモクロロベンゼンの代わりに、p−ブロモヨードベンゼン 2.52g(8.91mmol)を用い、更にジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー 45mg(0.07mmol,1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ナフタレンの1.0mol%に相当)、トリフェニルホスフィン 73mg(0.28mmol)を用いて実施例1と同様の実験を行い、2.01gの2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドを得た(収率=87%)。
【0118】
Hおよび13C−NMRから、得られた化合物が実施例3の2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒドであることを同定した。
【0119】
H−NMR(CDCl)δ(ppm):10.2(s,1H),9.22(d,1H,J=8.4Hz),8.08(d,1H,J=8.8Hz),7.92(d,1H,J=8.2Hz),7.70−7.25(m,7H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm):193.87,146.20,137.45,133.95,132.91,131.86,131.39,130.12,129.26,128.71,128.15,127.69,126.84,125.58,122.78
実施例5 9−クロロベンズ[a]フルオレン−11−オンの合成
実施例1で得られた2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒド 0.5g(1.87mmol)、t−ブタノール 10mL、2−メチル−2−ブテン 0.56g(7.99mmol)、テトラハイドロフラン 8mL、HO 2mL、亜塩素酸ナトリウム 0.54g(6.0mmol)、燐酸二水素ナトリウム 0.36g(3.0mmol)の混合物を室温で4時間攪拌した。濃縮後、トルエン 30mL、HO 10mLを加えて分液した。有機層を濃縮後、得られた濃縮液に、ポリ燐酸 12.0gを仕込み、130℃で21時間加熱攪拌した。反応液を冷却後、トルエン80mlと水50mlを加えて分液した。得られた有機層は、中性になるまで水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機層を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで再結晶することにより、赤褐色結晶を0.28g得た。H−NMR測定の結果、特開2009−114114記載の9−クロロベンズ[a]フルオレン−11−オンであることを確認した。
【0120】
実施例6 1−(1−ヒドロキシ)エチル−2−(4−クロロフェニル)ナフタレンの合成
実施例1で得られた2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒド 1.00g(3.74mmol)、テトラハイドロフラン 8mLを100mLナス型フラスコに窒素雰囲気下加え、反応液の温度を0℃に冷却した。その後、メチルマグネシウムブロミド(1.4mol/Lのトルエン/テトラハイドロフラン溶液)3.2mLを滴下した。更に、室温で2時間撹拌した後、5%塩酸水溶液 5mLを滴下して反応を終了させた。トルエンを加えて有機層を抽出した後、HO、飽和食塩水で有機層を洗浄、硫酸マグネシウムによる乾燥処理の後、溶媒を留去して淡黄色の固体を1.01g得た。H−NMR測定の結果、国際特許公報2007/119800パンフレットおよび特開2011−012047記載の1−(1−ヒドロキシ)エチル−2−(4−クロロフェニル)ナフタレンである事を確認した。
【0121】
実施例7 N,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)フェニルアミンの合成
1−ナフタルアルデヒド 19.0g(122mmol)を出発物質として実施例4の方法で、2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒド 37.9g(HPLC純度93.5%)を合成した。
【0122】
2−(4−クロロフェニル)−1−ナフタルアルデヒドの代わりに、前記2−(4−ブロモフェニル)−1−ナフタルアルデヒド を未精製のまま用いた以外は実施例6と同様の方法で1−(1−ヒドロキシ)エチル−2−(4−ブロモフェニル)ナフタレン 39.8g(HPLC純度94.2%)を合成した。
【0123】
さらに、1−(1−ヒドロキシ)エチル−2−(4−クロロフェニル)ナフタレンの代わりに、得られた1−(1−ヒドロキシ)エチル−2−(4−ブロモフェニル)ナフタレンを用い、特開2011−012047記載と同様の方法(合成例1及び実施例2)でN,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)フェニルアミンを合成した。
【0124】
上記で得られた未精製の1−(1−ヒドロキシ)エチル−2−(4−ブロモフェニル)ナフタレン 39.8gに、ジクロロメタン 160mLを加え、0℃に冷却した後、硫酸(三フッ化ホウ素・ジエチルエーテラートから変更した) 23.9g(244mmol)を滴下し、室温にて1時間攪拌した。
【0125】
O 40mLを添加して反応を終了した後、10%水酸化ナトリウム水溶液 195g(水酸化ナトリウムとして488mmol)を攪拌しながら滴下し、中和した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムによる乾燥処理の後、濃縮して褐色粘調油状物34.4g(HPLC純度93.5%)が得られた。H−NMR測定により9−ブロモ−11−メチル−11H−ベンゾ[a]フルオレンであることを確認し、生成物は精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
【0126】
得られた9−ブロモ−11−メチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン 34.4g(111mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 25.3g(111mmol)、ヨウ化メチル 31.6g(222mmol)をジメチルスルホキシド 282mLに溶解し、0℃に冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液 27.8g(水酸化ナトリウムとして333mmol)を攪拌しながら滴下した。室温にて1時間攪拌後、HO 100mL、トルエン 230mLを加えてから、有機層を洗浄した。硫酸マグネシウムによる乾燥の後、抽出液を濃縮し、得られた残渣を再結晶で精製することにより、淡黄色の結晶を26.4g(HPLC純度94.1%)得た。H−NMR測定の結果、9−ブロモ−11,11−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレンであることを確認した。
【0127】
得られた9−ブロモ−11,11−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン 6.63g(20.5mmol)、アニリン 0.93g(9.98mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 2.40g(25.0mmol)、酢酸パラジウム 32mg(0.14mmol,アニリンの1.4mol%に相当)、トリ−tert−ブチルホスフィン 113mg(0.56mmol)、o−キシレン 68mLを加え、140℃で15時間攪拌した。反応終了後、HO 17mLを添加し、室温にて0.5時間攪拌して静置した後、水層を分離した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、抽出液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーの代わりに再結晶で精製することにより、淡黄色の結晶を2.71g(HPLC純度99.9%)得た。
【0128】
質量分析の結果、特開2011−012047記載(実施例2)のN,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)フェニルアミンであることを確認した。
【0129】
【化18】

【0130】
実施例8 2−[N−フェニル−N−(4−ビフェニリル)アミノ]11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレンの合成
実施例7で用いたアニリンの代わりに、N−フェニル−N−4−ビフェニリルアミン 2.45g(9.98mmol)を用い、9−ブロモ−11,11−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン 3.32g(10.3mmol)、酢酸パラジウム 16mg(0.07mmol,アニリンの0.7mol%に相当)、トリ−tert−ブチルホスフィン 57mg(0.28mmol)、o−キシレン 60mLを用いて実施例8と同様の実験を行い、淡黄色の結晶を2.23g(HPLC純度99.9%)得た。
【0131】
質量分析の結果、特開2011−012047記載(実施例1)の2−[N−フェニル−N−(4−ビフェニリル)アミノ]11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレンであることを確認した。
【0132】
実施例9 N,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)−p−トリルアミンの合成
実施例7で用いたアニリンの代わりに、p−トルイジン 1.07g(9.98mmol)を用いた以外は同様の実験を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、淡黄色の結晶を4.13g(HPLC純度99.9%)得た。
【0133】
質量分析の結果、特開2011−012047記載(実施例3)のN,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)−p−トリルアミンであることを確認した。
【0134】
実施例10 N,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)−4−ピリジルアミンの合成
実施例7で用いたアニリンの代わりに、4−アミノピリジン 0.94g(9.98mmol)を用いた以外は同様の実験を行い、淡黄色の結晶を2.60g(HPLC純度99.9%)得た。
【0135】
質量分析の結果、特開2011−012047記載(実施例4)のN,N’−ビス(11,11’−ジメチル−11H−ベンゾ[a]フルオレン−9−イル)−4−ピリジルアミンであることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明の上記一般式(1)で表される新規な2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、様々な誘導体の中間体として利用可能である。特に、医農薬の中間体および電子材料の中間体として有用である。具体的には、国際公開2007/119800パンフレットおよび特開2011−012047号公報に記載されている、有機EL素子の構成材料として有用なトリアリール化合物を合成するための中間体として重要である。
【0137】
また、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物は、電子材料の中間体および医薬の中間体として有用なハロゲン化ベンゾ[a]フルオレノン誘導体またはハロゲン化ベンゾ[a]フルオレン誘導体の製造原料として用いることができる。式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を出発物質として用いれば、これらのハロゲン化ベンゾ[a]フルオレノン誘導体およびハロゲン化ベンゾ[a]フルオレン誘導体を安価に、且つ環境負荷の高い副生物の生成を抑えて製造することができる。
【0138】
さらに、上記一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を出発物質として、国際公開2007/119800パンフレットおよび特開2011−012047号公報に記載されている、有機EL素子の構成材料として有用なトリアリール化合物を工業的に有利に製造することができる。すなわち、例えば、特許文献4に記載される製造プロセスにおいて用いられていたトリフルオロメタンスルホン酸無水物および水素化ホウ素ナトリウムを用いることなく、また、少ない工程で、収率よくトリアリールアミン化合物を合成することができる。収率向上に伴う廃棄物削減、および環境負荷低減が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物。
【化1】

(式中、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
【請求項2】
一般式(1)において、Rが水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基、またはフェニル基であり、Arがフェニレン基又はナフチレン基であることを特徴とする、請求項1に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物。
【請求項3】
一般式(1)において、Rが水素原子であり、Arがフェニレン基であることを特徴とする、請求項1に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物。
【請求項4】
酸存在下、一般式(6)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフチルアルジミン化合物を加水分解することを特徴とする、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【化2】

(式中、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Rは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、または炭素数7〜18のアリールアルキル基を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
【請求項5】
一般式(1)、および(6)において、Arがフェニレン基またはナフチレン基であり、Rが水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基またはフェニル基であることを特徴とする、請求項4に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【請求項6】
一般式(1)、および(6)において、Arがフェニレン基またはナフチレン基であり、Rが水素原子であることを特徴とする、請求項4に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【請求項7】
遷移金属触媒および塩基の存在下、一般式(2)で表される1−ナフチルアルジミン化合物と一般式(3)で表されるジハロゲン化芳香族化合物を反応させ、次に、反応生成物を、酸存在下に加水分解することを特徴とする、一般式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【化3】

(式中、Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を表す。Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されない。Rは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、または炭素数7〜18のアリールアルキル基を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。XおよびXは、それぞれ独立して、ヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
【請求項8】
一般式(1)、(2)、(3)、および(6)において、Arがフェニレン基またはナフチレン基であり、Rが水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基またはフェニル基であることを特徴とする、請求項7に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【請求項9】
一般式(1)、(2)、(3)、および(6)において、Arがフェニレン基であり、Rが水素原子であることを特徴とする、請求項7に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【請求項10】
遷移金属触媒がロジウム触媒またはルテニウム触媒である、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【請求項11】
遷移金属触媒が、配位子としてトリフェニルホスフィンを含むルテニウム触媒である、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物の製造方法。
【請求項12】
請求項3に記載の2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物から一般式(c)で表されるハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物を製造し、次いで、該ハロゲン化ベンゾフルオレン化合物またはハロゲン化ジベンゾフルオレン化合物から下記一般式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を得ることを特徴とする、一般式(Y)で表されるアリールアミン化合物の製造方法。
【化4】

(上記式において、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基、またはフェニル基を表し、Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されることはない。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。Arは、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いフェニレン基、または炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基を有しても良いナフチレン基を表す。一般式(c)および一般式(Y)中の
【化5】

は、隣接する5員環に縮合しているフェニレン基またはナフチレン基を表し、該フェニレン基および該ナフチレン基は、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基の中から選ばれた少なくとも1つの置換基を有しても良い。)
【請求項13】
が水素原子であり、Arがフェニレン基であり、一般式(c)および一般式(Y)中の
【化6】

が隣接する5員環に縮合しているフェニレン基である、請求項12に記載のトリアリールアミン化合物の製造方法。
【請求項14】
請求項4または7に記載の方法により式(1)で表される2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物を製造し、次いで、請求項12に記載の方法により、該2−ハロゲン化アリール−1−ナフタルアルデヒド化合物から、下記式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物を製造することを特徴とする、式(Y)で表されるトリアリールアミン化合物の製造方法。
【化7】

(上記式において、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基、またはフェニル基を表し、Rの置換位置は1位および2位以外であれば制限されることはない。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは、環状のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数6〜40のアリール基、または炭素数1〜18の置換基若しくはハロゲン原子を有していても良い炭素数5〜40のヘテロアリール基を表す。一般式(c)および一般式(Y)中の
【化8】

は、隣接する5員環に縮合しているフェニレン基またはナフチレン基を表し、該フェニレン基および該ナフチレン基は、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、炭素数1〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基またはフェニル基の中から選ばれた少なくとも1つの置換基を有しても良い。)
【請求項15】
が水素原子であり、
【化9】

が、隣接する5員環に縮合しているフェニレン基である、請求項14に記載のトリアリールアミン化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−47219(P2013−47219A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165263(P2012−165263)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】