説明

新規なヒストンデアセチラーゼインヒビター、その調製方法および使用

本発明は、式(I)によって表される化合物、またはヒストンデアセチラーゼのインヒビターである上記化合物の少なくとも1つを含む組成物に関する。これらの化合物の詳細な説明は、明細書本文中に開示されている。これらの化合物およびこれを含む組成物は、増殖性の障害、およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性を有する酵素と関連し、もしくは結び付いている他の疾患を治療するための医薬として有用であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヒストンデアセチラーゼインヒビター(HDACs)、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子の異常発現は、難病、内分泌撹乱、免疫系障害、遺伝系障害および神経系障害、ならびに神経変性疾患を含む多くのヒトの病気に密接に関わっている。ヒトゲノムは、DNA、ヒストンおよび非ヒストンタンパク質によって適切にパッケージされたクロマチン構造の形で存在しており、このクロマチン構造は、特定の遺伝子が発現するか否かを決めるのに重要な役割を果たしている。一般的に、きつくパックされたクロマチンは転写を抑制する一方、クロマチンがゆるい領域では活発な発現が起こる。
【0003】
真核細胞における核の中では、ヌクレオソームの核粒子がヒストン八量体の周りを包み込むDNA断片(146bp)によって構成されており、クロマチンが、4つのヒストンパートナーと包み込むDNAとによって形成されている。ヒストンの修飾は、遺伝子の転写、DNAの複製およびDNA修復において重要な役割を果たす。これらの修飾は、ヒストンのメチル化、アセチル化、リン酸化を含む。なかでもヒストンの活発なアセチル化レベルは、ヒストンアセチラーゼおよびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)といわれる2つの酵素によって触媒作用的に維持されている。近年の研究によって、小さな有機分子が、HDACsを競合的に阻害することによってヒストンアセチル化レベルを制御し得ること、また、そのため癌疾患、心臓障害および寄生虫症などの治療に有用となりうることが明らかになってきた。HDACsは現在、様々な創薬のターゲットとして有望である。
【0004】
以下の(1)〜(5)を含むいくつかの種類のHDACインヒビター(HDACi)がこれまでに報告されている。
(1)ブチル酸(butylic acid)およびフェニルブチル酸(phenylbutylic acid)などの小さい脂肪酸;
(2)スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)およびトリコスタチンA(TSA)などのヒドロキサム酸(hydroximates);
(3)トラポキシン(trapoxin)およびHC−トキソン(HC-toxon)などの、2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシ−デカノイルを有する環状テトラペプチド;
(4)アピシジン(Apicidin)およびFK228などの、2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシ−デカノイルを有さない環状テトラペプチド;
(5)MS−275などのベンズアミド(欧州特許出願公開第0847992号明細書、米国特許出願公開第2002/0103192号明細書、国際公開第02/26696号パンフレット、国際公開第01/70675号パンフレット、国際公開第01/18171号パンフレット)。
【0005】
なかでも、SAHAは、FDAによって承認され、皮膚T細胞性リンパ腫の治療のために、2006年にボリノスタット(Vorinostat)(ゾーリンザ(Zolinza))として売り出されている(George S. Mack:Journal of the National Cancer Institute, 2006; 98(20):1443-1444)。
【0006】
国際公開第01/38322号パンフレットには、下記式(A)によって表されるHDACインヒビターが開示されている:
【0007】
【化1】

【0008】
上記式(A)中、
Cyは、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基およびヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、これらはそれぞれ必要に応じて置換されていてもよく;
は、−(CH−W−であり、かつmは0〜4であり;
Wは、−C(O)NH−または−S(O)NH−であり;
Arは、置換されたアリール基であり;
は、置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素基であり;
Zは、フェニルアミノ基、ピリジニル基、トリアジアゾイル基および−O−Mより選択されるとともに、Mは、Hまたは薬剤的に認容され得る陽イオンである。
【0009】
国際公開第02/22577号パンフレットには、下記式(B)によって表されるHDACインヒビターが開示されている:
【0010】
【化2】

【0011】
上記式(B)中、
は、水素原子(H)、ハロゲンおよび鎖状C−Cアルキル基からなる群より選択され;
は、H、C−C10アルキル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cヘテロシクロアルキル基、C−Cヘテロシクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基などからなる群より選択され;
およびRは、同じであっても異なっていてもよく、かつ独立してH、C−Cアルキル基、アシル基、およびアシルアミノ基からなる群より選択されてもよく;または、
およびRは、それら全てが結合している炭素原子とともに、C=O、C=SまたはC=NRを形成しており;または、
およびRは、Rが結合している窒素原子、およびRが結合している炭素原子とともに、C−Cヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、縮合環ヘテロアリール基、非アリール縮合環へテロシクリル基、またはアリールと非アリールとが混合した縮合環へテロシクリル基を形成し;
は、H、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、C−Cヘテロシクロアルキル基などであり;
n、m、およびpは、同じであっても異なっていてもよく、かつ独立してそれぞれ0−6から選択されてもよく;nが1−6のとき、全ての炭素原子が独立してかつ必要に応じてRおよび/またはRによって置換されていてもよく;
XおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、かつ独立してそれぞれ、H、ハロゲン、C−Cアルキル基、NO、C(O)R、OR、SR、CNおよびNR1011からなる群より選択される。
【0012】
米国特許出願公開第2006/0052599号明細書には、以下式(C)によって表されるHDACインヒビターが開示されている:
【0013】
【化3】

【0014】
上記式(C)中、
は、低級アルキル基、高級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基または高級アルキニル基、低級シクロアルキル基、高級シクロアルキル基、低級シクロアルキル−低級アルキル基、高級シクロアルキル−低級アルキル基、低級シクロアルケニル−低級アルキル基、アリール−低級シクロアルキル基、低級アルコキシ基、アシル基、アリール基、アリール−低級アルコキシ基、低級へテロアルキル基、アミノ基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基などであり;
は、Hまたは低級アルキル基であり;Xは、アリール基、ヘテロアリール、シクロアリールなどであり;Yは、アリール基またはヘテロアリール基などであり;Zは、低級アルケニル基などである。
【0015】
米国特許第7135493号明細書には、式(D)で示される他のHDACインヒビターが開示されている:
【0016】
【化4】

【0017】
上記式(D)中、
は、Nを含むヘテロシクロアルキルであり、かつ必要に応じて1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよく;
は、ヒドロキサム酸であり;
は、Hまたは適合する置換基であり;
は−(CH−であり、nは0−6であり;これらの残基のそれぞれは、1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよく;
は低級アルケニルである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、より有効性が高く、副作用を最小限にし、かつより好ましい医薬品プロファイリングを示す、さらなるHDACインヒビターの供給が必要とされている。
【0019】
本発明の目的は、新規なHDACインヒビター、それらの製造方法およびそれらの使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一目的に基づいて、新規なHDACインヒビターは、式(I)によって表される:
【0021】
【化5】

【0022】
上記式(I)中、
Aは、H、−NO、−NH、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ヘテロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基、アシル基、アリールアルキル基、シクロアルキルアリール基、ヘテロアリール基、およびヘテロシクリル基からなる群より選択され、かつこれらはそれぞれ必要に応じて、ハロゲン、=O、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基からなる群より選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
Xは、メチレン基、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CO−NH−、−CO−NR−、−NH−CO−、−NR−CO−、−SONH−、−NH−SO−、−NH−CO−NH−、−NH−CS−NH−、−CO−NH−CO−NH−、−CS−NH−CO−NH−、および単結合からなる群より選択され;Xが−NH−または−NR−のとき、Aはアリール基、ヘテロシクロアリール基、シクロアルケニル基またはヘテロシクロアルケニル基のいずれでもなく;
Yは、−O−、−S−、−NH−および−S(O)−からなる群より選択され;
XおよびYは独立してフェニル環のC、CおよびCに結合しており;
Qは、−(CR)n−、−(CR)n−X−(CR1011)m−、−Ar−X−(CR1011)m−、−(CR)n−X−Ar−、−Cy−X−(CR1011)m−、−(CR)n−X−Cy−からなる群より選択され;
nおよびmは、独立して1、2、3、4、5または6であり;
ZはC−Cアルケニルであり;
およびRは独立して、H、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニルヘテロアルキル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルケンオキシ基(alkenoxy)、アルキニルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基およびアシル基からなる群より選択され、かつこれらはそれぞれ必要に応じて、ハロゲン、=O、=S、−CF、−OCF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケンオキシ基、アルキニルオキシ基、アミノ基およびアルキルアミノ基からなる群より選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
は、H、ニトロ基、アミノ基、アルキル基およびハロゲンからなる群より選択され;
は、H、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルケンオキシ基、アルキンオキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アミド基、COOH、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基またはアシル基であり、これらはそれぞれ必要に応じて、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケンオキシ基、アルキンオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、アルコキシアルキル基、−COOH、−C(O)OR、−COR、−SH、−SR、−ORまたはアシル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
、R、R、R、R10およびR11は独立して、H、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルケンオキシ基、アルキンオキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アミド基、COOH、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基およびアシル基からなる群より選択され;
Arはアリール基またはヘテロアリール基であり、これらのそれぞれは必要に応じてハロゲン、=O、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基またはアルコキシアルキル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよく;Cyはシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基であり、これらのそれぞれは必要に応じてハロゲン、=O、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基またはアルコキシアルキル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよく;
または薬剤的に認容され得るこれらの塩である。
【0023】
ある実施形態において、Aは、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロシクロアルケニル基から選択されることが好ましく、これらはそれぞれ必要に応じて1つまたはそれ以上の置換基によって置換され;
Xは、−NH−、−NR−、−CO−NH−、−CO−NR−、−NH−CO−、−NR−CO−、−SONH−、−NH−SO−、−NH−CO−NH−、−NH−CS−NH−、−CO−NH−CO−NH−、および−CS−NH−CO−NH−から選択されることが好ましく、Xが−NH−または−NR−のとき、Aはアリール基、ヘテロシクロアリール基、シクロアルケニル基またはヘテロシクロアルケニル基のいずれでもなく;
Yは、−O−、−S−または−NH−であることが好ましく;
Qは、C−C10アルキル基およびC−C10アルケニル基から選択されることが好ましく;
およびRは独立して、C−C10アルキル基、C−C10アルケニル基、C−C10ヘテロアルキル基、ハロアルキル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、C−Cヘテロシクロアルキル アルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、およびヘテロアリールアルキル基からなる群より選択され;
Zは、C−Cアルケニル基であることが好ましく;
上述した残基は、さらに置換されていてもよい。
【0024】
他の実施形態において、Xは、−NH−、−CONH−、−NR−または共有結合であることが好ましい。Rは、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシ−エチル基、プロピル基、3,3−ジメチルブチル基、ブチル基、ペンチル基、アリル基、フェニル基、ベンジル基および3,4,5−トリメトキシベンジル基から選択されることが特に好ましい。
【0025】
他の実施形態において、Yは−S−であることが特に好ましい。
【0026】
他の実施形態において、Zは−CH=CH−であり、その立体配置はEであることが特に好ましい。
【0027】
他の実施形態において、RおよびRは、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシ−エチル基、プロピル基、3,3−ジメチルブチル基、ブチル基、ペンチル基、アリル基、フェニル基、ベンジル基および3,4,5−トリメトキシベンジル基から選択されることが好ましい。
【0028】
他の実施形態において、Xは、フェニル環のCまたはCの位置に結合していることが好ましい。特に好ましくは、XがCの位置に結合していることである。
【0029】
他の実施形態において、Yは、フェニル環のCまたはCの位置に結合していることが好ましい。特に好ましくは、YがCの位置に結合していることである。
【0030】
本発明に係る式(I)の化合物に加えて、これらの化合物の薬剤的に認容され得る塩、これらの化合物の薬剤的に認容され得るプロドラッグおよび薬剤的に活性のある代謝産物、ならびにこれらの代謝産物の薬剤的に認容され得る塩もまた、本発明によってカバーされる。
【0031】
本発明の他の目的によれば、式(I)によって表される本発明の少なくとも1つの化合物またはその塩と、薬剤的に認容され得る担体とによって構成される医薬組成物が提供される。
【0032】
本発明の他の目的によれば、式(I)によって表される本発明の化合物もしくはその薬剤的に認容され得る塩の使用、または上述した化合物もしくはそれらの薬剤的に認容され得る塩を含む、ヒストンデアセチラーゼのインヒビターとして使用される薬剤を調製するための組成物の使用が、さらに提供される。
【0033】
本発明の他の目的によれば、式(I)によって表される本発明の化合物もしくはそれらの薬剤的に認容され得る塩の使用、または上述した化合物もしくはそれらの薬剤的に認容され得る塩を含む、細胞増殖および/または脈管形成の崩壊によって引き起こされる障害、該崩壊に付随する障害、または該崩壊に伴って起こる障害を治療するために使用される医薬の調製のための組成物の使用、がさらに提供される。これらの使用は、式(I)の化合物もしくはそれらの薬剤的に認容され得る塩の少なくとも1つを、治療的に効果的な量において投与すること、または式(I)によって表される化合物もしくはそれらの薬剤的に認容され得る塩の少なくとも1つを含む組成物を投与することによるものである。
【0034】
細胞増殖および/または脈管形成の崩壊によって引き起こされる障害、該崩壊に付随する障害、または該崩壊に伴って起こる障害は、限定されないが、増殖性障害(例えば癌)のうちのいずれか1つ;ハンチントン病、ポリグルタミン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん発作、線条体黒質変性症、進行性核上性麻痺、捻転ジストニア、痙性斜頚およびジスキネジア、家族性振戦、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、びまん性レビー小体病、ピック病、脳内出血、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、肥大性間質性多発ニューロパチー(hypertrophic interstitial polyneuropathy)、網膜色素変性症、遺伝性視神経萎縮症、遺伝性痙性対麻痺、進行性運動失調およびシャイ・ドレーガー症候群を含む神経変性疾患のうちのいずれか1つ;2型糖尿病を含む代謝性疾患のうちのいずれか1つ;緑内障、加齢性黄斑変性症、黄斑性近視性変性症(macular myopic degeneration)を含む目の変性疾患のうちのいずれか1つ;関節リウマチ(RA)、変形性関節症、若年性関節リウマチ、移植片対宿主病、乾癬、喘息、脊椎関節症、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アルコール性肝炎、糖尿病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、膜性腎症、椎間板起因性疼痛(discogenic pain)、全身性エリテマトーデス、アレルギー性接触皮膚炎を含む炎症性疾患および/または免疫系障害のうちのいずれか1つ;癌、乾癬、関節リウマチを含む、血管新生を伴う疾患のうちのいずれか1つ;双極性障害、統合失調症、うつ病および認知症を含む心理学的障害のうちのいずれか1つ;心不全、再狭窄、心肥大および動脈硬化症を含む循環器疾患のうちのいずれか1つ;肝線維症、肺線維症、嚢胞性線維症および血管線維腫を含む繊維性疾患のうちのいずれか1つ;カンジダ・アルビカンスなどの真菌症、細菌感染症を含む感染症のうちのいずれか1つ;単純ヘルペスなどのウイルス感染症のうちのいずれか1つ;マラリア、リーシュマニア感染症、ブルセイトリパノソーマ感染症、トキソプラズマ症およびコクシジウム症などの原虫感染のうちのいずれか1つ;ならびに地中海貧血症、貧血症および鎌状赤血球貧血を含む造血性障害のうちのいずれか1つを含む。
【0035】
本発明の他の目的によれば、式(I)によって表される化合物またはこれらの薬剤的に認容され得る塩の少なくとも1つと、薬剤的に認容され得る担体と、希釈剤または賦形剤とにより構成される組成物を使用することによって、特に癌などの疾患に関連する増殖を治療する方法がさらに提供される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明について説明するためにのみ用いられ、本発明の範囲を制限するために用いられるものではないことが理解されるべきである。実施例における、特定の実験条件が与えられていない実験は、特に明記しない限り、通常の条件下において実施され得るか、または供給業者が提供もしくは提案する条件に従い得る。比率および割合のデータは、明示しない限り、重量によって与えられたものである。
【0037】
本願発明は、式(I)によって表されるN−ヒドロキシル桂皮アミド誘導体の調製およびこれらの薬剤的な適用を開示する。これらの化合物は、特に限定されないが、ヒストンデアセチラーゼインヒビターとして使用され得る。これらの桂皮アミド誘導体は、細胞増殖および/または脈管形成の崩壊によって引き起こされる障害、該崩壊に付随する障害、または該崩壊に伴って起こる障害を抑制または治療するために、単一の活性ある成分として、または他の活性ある成分とともに、単独で、あるいは薬剤的に認容され得る担体および希釈剤または賦形剤とともに、使用され得る。このような障害の例としては、癌が挙げられる。
【0038】
本明細書において、用語「癌」は、制御不能な異常な細胞増殖によって特徴づけられる、膨大な数の状態を包含することを意図する一般的な用語である。
【0039】
式(I)によって表される化合物は、様々な癌を治療するために使用され得る。様々な癌は、特に限定しないが、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫などを含む骨癌;聴神経腫瘍、神経芽細胞腫、神経膠腫およびその他の脳腫瘍、脊髄腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、進行性結腸直腸腺癌を含む脳腫瘍および中枢神経系腫瘍;副腎皮質癌、膵臓癌、下垂体癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、胸腺癌、多発性内分泌腫瘍を含む内分泌癌;胃癌、食道癌、小腸癌、肝癌、肝外胆管癌、消化管カルチノイド腫、胆嚢癌を含む消化器癌;精巣癌、陰茎癌、前立腺癌を含む尿生殖器癌;子宮頚癌、卵巣癌、腟癌、子宮/子宮内膜癌、外陰部癌、妊娠性トロホブラスト癌、卵管癌、子宮肉腫を含む婦人科の癌;口腔癌、口唇癌、唾液腺癌、喉頭癌、下咽頭癌、オルト咽頭癌(orthopharynx cancer)、鼻癌、副鼻癌、上咽頭癌を含む頭頚部癌;小児白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、急性前骨髄球性白血病、形質細胞性白血病、骨髄腫を含む白血病;骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、再生不良性貧血、ファンコニー貧血、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む血液疾患;小細胞肺癌、非小細胞肺癌を含む肺癌;ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫を含むリンパ腫;網膜芽細胞腫、眼球内黒色腫を含む眼癌;メラノーマ、非黒色腫皮膚癌、メルケル細胞癌、軟部肉腫(小児軟部肉腫、成人軟部肉腫、カポジ肉腫など)を含む皮膚癌;腎癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、尿道癌を含む泌尿器系癌;ならびに移行上皮癌を含む。
【0040】
本願発明に係る式(I)によって表される化合物は、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、頭頚部癌、腎癌、胃癌および脳癌を治療するために使用されることが好ましい。
【0041】
本願発明に係る式(I)によって表される化合物は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)および末梢性T細胞リンパ腫を治療するために使用されることがより好ましい。
【0042】
本願発明に係る式(I)によって表される化合物は、固形腫瘍および血液系腫瘍を治療するために使用されることがさらに好ましい。
【0043】
本願発明に係る式(I)によって表される化合物またはその薬剤的に認容され得る塩は、HDAC活性が病気の発生を引き起こす役割を担うことが知られていることによって、あるいはその症状がHDACインヒビターによって緩和されることが知られている、もしくは報告されていることによって、HDAC活性に関連するとされている障害または少なくとも一部においてHDAC活性により仲介されることが知られている障害の治療のために使用することも可能である。本願発明に係る式(I)によって表される化合物を用いることによって治療できることが期待される障害の種類は、以下を含むが、特にこれに限定されるものではない:増殖性障害(例えば癌);ハンチントン病、ポリグルタミン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん発作、線条体黒質変性症、進行性核上性麻痺、捻転ジストニア、痙性斜頚およびジスキネジア、家族性振戦、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、びまん性レビー小体病、ピック病、脳内出血、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、肥大性間質性多発ニューロパチー(hypertrophic interstitial polyneuropathy)、網膜色素変性症、遺伝性視神経萎縮症、遺伝性痙性対麻痺、進行性運動失調およびシャイ・ドレーガー症候群を含む神経変性疾患;2型糖尿病を含む代謝性疾患;緑内障、加齢性黄斑変性症、黄斑性近視性変性症(macular myopic degeneration)を含む目の変性疾患;関節リウマチ(RA)、変形性関節症、若年性関節リウマチ、移植片対宿主病、乾癬、喘息、脊椎関節症、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アルコール性肝炎、糖尿病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、膜性腎症、椎間板起因性疼痛(discogenic pain)、全身性エリテマトーデス、アレルギー性接触皮膚炎を含む炎症性疾患および/または免疫系障害;癌、乾癬、関節リウマチを含む、血管新生を伴う疾患;双極性障害、統合失調症、うつ病および認知症を含む心理学的障害;心不全、再狭窄、心肥大および動脈硬化症を含む循環器疾患;肝線維症、肺線維症、嚢胞性線維症および血管線維腫を含む繊維性疾患;カンジダ・アルビカンスなどの真菌症、細菌感染症を含む感染症;単純ヘルペスなどのウイルス感染症;マラリア、リーシュマニア感染症、ブルセイトリパノソーマ感染症、トキソプラズマ症、コクシジウム症などの原虫感染;ならびに地中海貧血症、貧血症および鎌状赤血球貧血を含む造血性障害。
【0044】
本明細書において使用する場合、用語「置換されていない」とは、置換基を全く有していないか、または置換基が水素原子のみであることを意味する。用語「1つまたはそれ以上の適切な置換基によって置換されている」とは、対応する構造における1つまたはそれ以上の水素原子が、水素原子以外の置換基に置き換わっていることを意味する。置換基は、以下のように定義される。
【0045】
「ハロゲン」とは、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素を表す。
【0046】
置換基として、または置換基の一部としての「アルキル基」とは、直線状または分岐状の脂肪族炭化水素基をいうものであり、特に明示しない限り、好ましくはC−C14アルキル基、より好ましくはC−C10アルキル基、特に好ましくはC−Cである。適切な直線状および分岐状のC−Cアルキル基の例としては、特に限定しないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基等を含む。
【0047】
「アルキルアミノ基」としては、特に明示しない限り、モノアルキル−アミノ基およびジアルキル−アミノ基の両方を含む。「モノアルキル−アミノ基」とは、アルキル−NH−基を意味し、このアルキルは上記に定義したものである。「ジアルキル−アミノ基」とは、(アルキル)−N−基を意味し、この式中のそれぞれのアルキルは同じであっても異なっていてもよく、かつアルキル基として上記に定義したものである。ここでいうアルキル基は、好ましくはC−Cアルキル基である。「アルキルアミノ基」の例としては、特に限定しないが、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N,N−(ジエチル)アミノ基等を含む。
【0048】
「アリールアミノ基」としては、特に明示しない限り、モノアリール−アミノ基およびジアリール−アミノ基の両方を含む。モノアリール−アミノ基とは、アリール−NH−を意味し、この式中のアリール基は上記に定義したものである;ジアリール−アミノ基とは、(アリール)−N−を意味し、この式中のそれぞれのアリールは同じであっても異なっていてもよく、かつアリール基として上記に定義したものである。
【0049】
「アシル基」とは、アルキル−CO−またはアリール−CO−を意味し、これらの式中のアルキル基またはアリール基は上述したものである。アシル基の例としては、特に限定しないが、アセチル基、プロピルアシル基、イソブチルアシル基、ベンゾイル基等を含む。
【0050】
「アミド基」とは、アルキル−CONH−またはアリール−CONH−をいい、この式中のアルキル基またはアリール基は上述したものである。アミド基の例としては、特に限定しないが、アセトアミド基、プロピルアミド基、ブチルアミド基、イソブチルアミド基、ベンゾイルアミノ基等を含む。
【0051】
基または基の一部としての「アルケニル基」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、かつ直線状または分岐状であってもよく、好ましくは2−14個の炭素原子、より好ましくは2−12個の炭素原子、特に好ましくは2−6個の炭素原子を有する、脂肪族炭化水素基を意味する。直鎖においては、この基は、1つ以上の二重結合を含んでよく、かつそのそれぞれが独立してEまたはZの立体配置を有していてもよい。好ましいアルケニル基としては、特に限定されないが、エテニル基、プロペニル基を含む。
【0052】
「直線状のアルケニル基」とは、上述したように少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直線状のアルケニル基をいう。該「アルケニル基」は、好ましくはC−C12アルケニル基である。
【0053】
「アルコキシ基」とは、アルキル−O−をいい、この式中のアルキル基とは上述したものである。アルコキシ基は、C−Cアルコキシ基であることが好ましい。C−Cアルコキシ基の例としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、n−プロプロキシ基、イソ−プロプロキシ基、n−ブトキシ基、イソ−ブトキシ基等を含む。
【0054】
「アルケンオキシ基」とは、アルケニル−O−をいい、この式中のアルケニル基は上述したものである。アルケンオキシ基は、C−Cアルケンオキシ基であることが好ましい。
【0055】
「アルキニルオキシ基」とは、アルキニル−O−をいい、この式中のアルキニル基は上述したものである。アルキニルオキシ基は、C−Cアルキニルオキシ基であることが好ましい。
【0056】
「アルコキシカルボニル基」とは、アルキル−C(O)−O−をいい、この式中のアルキル基は上述したものである。該アルキル基は好ましくはC−Cアルキル基である。例としては、特に限定されないが、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が含まれる。
【0057】
「アルキルスルフィニル基」とは、アルキル−S(O)−を意味し、この式中のアルキル基は上述したものである。該アルキル基は、好ましくはC1−C6アルキル基である。アルキルスルフィニル基は、特に限定されないが、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等を含むことが好ましい。
【0058】
「アルキルスルフォニル」基とは、アルキル−S(O)−をいい、この式中のアルキル基は上述したものである。該アルキル基は、C−Cアルキル基であることが好ましい。例としては、特に限定されないが、メチルスルフォニル基、エチルスルフォニル基等が含まれる。
【0059】
「アルキルアミノカルボニル基」とは、アルキルアミノ−カルボニル基をいい、この式中アルキルアミノ基は上述したものである。
【0060】
「シクロアルキル基」とは、飽和または部分的に飽和した、単環、または縮合環もしくはスピロ環の多環の炭素環をさし、3から9個の炭素を含むことが好ましい。シクロアルキル基は、特に限定しないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を含むことが好ましい。
【0061】
「シクロアルキルアルキル」基は、シクロアルキル−アルキル−を意味し、この式中のシクロアルキル基およびアルキル基の部分は上述したものである。モノシクロアルキルアルキルには、特に限定されないが、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基等が含まれる。
【0062】
「ヘテロシクロアルキル基」とは、窒素、硫黄、酸素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を環系の中に含むシクロアルキルをさし、環の中に1から3個のヘテロ原子を含むことが好ましい。この環は、好ましくは3から14員環であり、より好ましくは4から7員環である。ヘテロシクロアルキル基は、特に限定されないが、ピロリジニル基、ジヒドロピロリル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロピラニル基等を含む。
【0063】
「ヘテロシクロアルケニル基」とは、上述したヘテロシクロアルキル基のうち、少なくとも1つの二重結合を含むものをいう。
【0064】
「ヘテロシクロアルキルアルキル基」とは、ヘテロシクロアルキル−アルキルをいい、このうちヘテロシクロアルキル基およびアルキル基の部分は上述したものである。ヘテロシクロアルキルアルキル基は、特に限定されないが、(2−テトラヒドロフリル)メチル基、(2−テトラヒドロチオフラニル)メチル基等を含む。
【0065】
「ヘテロアルキル基」は、S、OおよびNから選択される少なくとも1つまたはそれ以上のヘテロ原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基をいう。ヘテロアルキル基は、その鎖の中に2から14個の原子を有することが好ましい。ヘテロアルキル基は、特に限定されないが、アルキルエーテル、アルキルエステル アルキルスルフィド、第2または第3アルキルアミン、スルフィン酸アルキル等から生じる基を含む。
【0066】
基または基の一部としての「アリール基」とは、(i)芳香族の単環または縮合した多環、好ましくは5から12個の炭素原子を有する芳香族の炭素環(全て炭素原子からなる環を有する環構造)。アリール基の例としては、特に限定されないが、フェニル基、ナフチル基が含まれる;(ii)フェニルとC−Cシクロアルキルとが縮合して形成された二環式構造等の、部分的に飽和した炭素環に結合されたアリール基を意味する。アリール基としては、特に限定されないが、テトラヒドロナフチル基、インデニル基またはインダニル基等が含まれる。このアリール基は、1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよい。
【0067】
「アリールアルケニル基」とは、アリール−アルケニル−を意味し、該アリール基および該アルケニル基は、上述したものである。アリールアルケニル基は、特に限定しないが、フェニルプロペニル基等を含むことが好ましい。
【0068】
「アリールアルキル基」とは、アリール−アルキル−を意味し、該アリール基および該アルキル基の部分は上述したものである。アリールアルキル基は、特に限定しないが、ベンジル基、フェニルエチル基および1−ナフチルメチル基等を含む。
【0069】
「シクロアルケニル基」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、かつ好ましくは環につき5−10個の炭素原子を有する、非芳香族の単環または多環の環系を意味する。単環のシクロアルケニル基の環は、特に限定されないが、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等を含むことが好ましい。シクロアルケニル基は、1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよい。
【0070】
「ヘテロアリール基」とは、単環または縮合した多環のどちらかの芳香族ヘテロシクリルをいい、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を環の原子として有する、5−7員環の芳香環をいう。典型的なヘテロアリール基は、特に限定されないが、例えばフラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、ベンズイミダゾール等から生じた基を含む。
【0071】
「ヘテロアリールアルキル基」は、ヘテロアリール−アルキルを意味し、該ヘテロアリール基およびアルキル基の部分は上述したものである。ヘテロアリールアルキル基は、特に限定されないが、2−フラニルメチル、3−フラニルメチル、2−ピリジルメチル等を含むことが好ましい。
【0072】
これらの幾何異性体の全てが本発明に係る式(I)の化合物のファミリーに含まれることが理解されるであろう。幾何異性体には、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体、および「E」もしくは「Z」の立体配置異性体、あるいはEおよびZの立体配置異性体の混合物が含まれる。これらの異性体の全ては、当業者に一般的に知られている、これらを分離する目的のために用いる物理的および/または化学的な従来の方法によって分離され得ることもまた、理解されるであろう。
【0073】
本発明に係る式(I)の化合物は、その考えられる単体の立体異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、および/またはこれらの混合物を包含し得る。
【0074】
さらに、本発明に係る式(I)の化合物は、本願においては、その考えられる溶媒和された形態および溶媒和されていない形態を包含し得る。したがって、各々の化学式は、その示す構造であって、水和された形態および水和されていない形態を含む構造を有する化合物を含むものである。
【0075】
本発明に係る式(I)の化合物に加えて、様々な実施態様の形態におけるHDACを阻害する薬剤は、これらの化合物における薬剤的に認容され得る塩、プロドラッグおよび活性ある代謝物、ならびにこの代謝物における薬剤的に認容され得る塩を包含する。
【0076】
用語「薬剤的に認容され得る塩」とは、上述した化合物における、所望の生物活性を保持し得る塩であって、一定の医療用目的に適合する塩をいい、薬剤的に認容され得る、酸が添加された塩および塩基が添加された塩を含む。式(I)の化合物における、薬剤的に認容され得る、酸が添加された塩として適したものは、無機酸を用いて、または有機酸から調製され得る。このような無機酸としては、塩酸、硫酸、およびリン酸を含む。適切な有機酸は、脂肪族系酸、脂環式の酸、芳香族の酸、複素環のカルボン酸およびスルホン酸等から選択されてもよい。このような有機酸の例としては、特に限定されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリシン、アルギニン、クエン酸、フマル酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸が含まれる。適切な薬剤的に認容され得る塩基としては、本発明に係る式(I)の化合物の塩に加えて、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛から作られる金属塩、ならびにコリン、ジエタノールアミン、モルホリン等の有機塩基から作られる有機酸塩が含まれる。
【0077】
「プロドラッグ」とは、代謝的な方法(例えば加水分解、還元または酸化)によって体内において式(I)の化合物に変換される化合物を意味する。例えば、ヒドロキシル基を含む式(I)の化合物は、酸と反応して、対応するエステルを得ることができる。また、ヒドロキシル基を含む式(I)の化合物におけるエステルのプロドラッグは、生体内において加水分解によって親分子に変換され得る。ヒドロキシル基を含む式(I)の化合物におけるエステルとしては、特に限定されないが、酢酸、クエン酸、酒石酸、プロピオン酸、シュウ酸、サリチル酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メチル−ビス−β−ヒドロキシナフトエ酸、ゲンチシン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が適している。
【0078】
HDAC阻害剤は、これらの化合物のうち、100μM以下のIC50値を有するものを含むことが好ましい。
【0079】
式(I)の化合物のヒトへの投与は、一般的に認められた経腸的な投与の態様(経口または直腸等)のいずれか、または皮下、筋肉内、静脈内および皮内等の経路での非経口的投与によって行なわれ得る。活性のある化合物は、治療的に有効な投与量を患者に供給するために充分な量において、薬剤的に認容され得る担体または希釈剤とともに、投与され得る。
【0080】
用語「治療的に有効な量」または「有効な量」とは、有益な、または所望の結果を達成するために充分な量である。1回またはそれ以上の投与により、有効な量が投与されてもよい。有効な量とは、病状の進行を軽くし、回復させ、安定させ、転換させ、緩慢にさせ、あるいは遅らせるために一般的に充分なものである。
【0081】
本発明に係る化合物は、単独で、または1つもしくはそれ以上の化学療法薬もしくは他のHDAC阻害剤といった他の活性ある成分と組み合わせて、および/または上述した疾患/障害の治療のための外科的処置もしくは放射線治療などの他の処置と組み合わせて、投与され得る。本発明に係る化合物は、投与または治療の目的における所望の態様に基づいて、医薬的に認容され得る担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物の形態としても投与され得る。
【0082】
本発明に係る注射剤のための医薬組成物は、殺菌された注射用の溶液または分散液として使用する直前に再構成するための、医薬的に認容され得る殺菌された水または非水溶液、分散剤、懸濁液または乳剤、および殺菌された粉末を含む。
【0083】
必要に応じて、またより効果的に分散させるために、本化合物は、ポリマーマトリクス、リポソーム、およびミクロスフェアなどの、徐放性の運搬システムまたは標的化された運搬システムに組み入れられ得る。
【0084】
経口投与のための固形の剤形としては、カプセル剤、タブレット、丸薬、粉剤、および粒剤を含む。このような固形の剤形においては、式(I)によって表される活性のある化合物は、少なくとも1つの不活性な、クエン酸ナトリウムまたは2カルシウムリン酸塩等の薬剤的に認容され得る賦形剤または担体、および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびサリチル酸等の賦形剤または増量剤;b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤;c)寒天、炭酸カルシウム、ポテトスターチまたはタピオカスターチ、アルギン酸、いずれかのケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの粉末化剤;d)パラフィン等の溶液緩染剤;e)四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;f)例えば、セチルアルコールおよびグリセロール・モノステアレート等の湿潤剤;g)カオリンおよびベントナイトクレー等の吸収剤;ならびにh)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形のポリエチレングリコール等のルブリカントとともに混合される。
【0085】
タブレット、ドラジェー、カプセル、丸薬、および粒剤における固形の剤形は、被覆剤および殻とともに調製され得る。
【0086】
活性のある化合物は、必要に応じて、1つまたはそれ以上の上述した賦形剤とともに、マイクロカプセルに入れた形態であってもよい。
【0087】
経口投与のための液体の剤形としては、薬剤的に認容され得る乳剤、液剤、懸濁液、およびシロップ剤を含む。活性のある化合物に加えて、液体の剤形は、技術的に一般的に使用される不活性な希釈剤を含み得る。この希釈剤とは、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤(例えばエチルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレン グリコール、1,3−ブチレン グリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚油、オリーブ油、キャスター オイル、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリル アルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなど)である。
【0088】
不活性な希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などのアジュバントを含んでいてもよい。
【0089】
懸濁液は、活性のある化合物に加えて、懸濁剤を含んでいてもよい。懸濁剤としては、例えば、エトキシル化されたイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびポリオキシエチレンソルビタンエステルなどが挙げられる。
【0090】
直腸投与または腟内投与のための組成物は座薬であることが好ましい。座薬は、本発明の化合物と適切な非刺激性の賦形剤または担体とを混合することによって調製され得る。
【0091】
本発明の化合物の局所投与のための剤形としては、粉末、パッチ、スプレー、軟膏、および吸入剤が挙げられる。活性のある化合物は、滅菌下において、薬剤的に認容され得る担体および必要とされる任意の保存剤、バッファ、または必要とされ得る噴射剤と混合される。
【0092】
好ましい用量は、1日につき体重1kg当たり約0.01〜300mgであり得る。より好ましい用量は、1日につき体重1kg当たり0.1〜80mgであり得る。適切な用量は、1日につき複数回に分けて投与され得る。
【0093】
上述したように、本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し得る。式(I)で表される化合物のヒストンデアセチラーゼに対する酵素阻害活性は、公知の方法を用いて測定され得る(J. Biol. chem., 1990; 265:171-74; Science, 1996; 272:408)。
【0094】
本発明に係る式(I)で表される化合物は、特に癌を治療するために使用され得る。癌としては、限定されないが、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、頭頚部癌、腎癌、胃癌、および脳癌を含む。さらに、本発明の化合物はまた、血管新生を伴う疾患(血液悪性腫瘍(hematologic malignancies)、乾癬が挙げられる)を治療するために使用され得る。
【0095】
さらに、本発明の化合物は、神経変性疾患、炎症性疾患、および/または免疫系の障害を治療するために有用であり得る。
【0096】
本発明の特定の化合物は、下記に記載するような反応経路および合成プロセスを用いて調製され得る。示された出発物質は容易に利用可能である。さらに、当業者は、本願の教示に触れた場合および化学の基本的な知識と組み合わせた場合、記載された化学反応が、式(I)で表される他の多くの目的化合物を調製するために、適切な出発物質を用いることによって容易に適応され得ることを認識する。例えば、例示されていない化合物を合成するために当業者がしなければならないことは、新しい目的化合物に適合するものに出発物質を変更することであり、必要に応じて反応条件の軽微な改変を行なうことである。そして、本願の教示を参照するとともに、当業者に周知の事実と組み合わせて、新しい目的化合物を得ることができる。
【0097】
本発明の目的化合物を合成するために必要な試薬は、下記に記載する合成の経路およびプロセスの教示にしたがうとともに、当業者に公知の技術と組み合わせて、これらの試薬に対応する原料から得られてもよいし、調製されてもよい。
【0098】
本発明のいくつかの具体的な化合物の合成を、以下の実施例にて詳細に例示する。しかしながら、当業者であれば、他の例示されていない化合物も、この合成の実施例を参照することによって同様に調製され得ることを理解し、場合によっては、例えば、ある反応に感受性のある置換基のために別の保護基を用いるか、より適切な試薬を選択するか、または反応条件をある程度に改変するなどというように、例示された反応のパラメータの改変/変更がいくつか必要になることがあるかもしれないことを理解する。有機合成のために適切な保護基のリストは、書籍「T. W. Greene: Protective Groups in organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1981」から見出され得る。当業者は、他の書籍またはハンドブックから知られる同様の知識に精通している。
【0099】
下記の実施例において、特に明記のない限り、以下の記載における温度の全ては摂氏温度である。
【0100】
種々の出発物質および他の試薬は、商業的な供給業者から購入した。このような供給業者としては、限定されないが、アルドリッチケミカルカンパニー(Aldrich Chemical Company)またはランカスターシンセシスLtd.(Lancaster Synthesis Ltd.)が挙げられる。商業的に利用可能な出発物質および他の試薬は、特に明記のない限り、さらなる精製を行わずに使用することができる。
【0101】
ガラス製品は、オーブンにて乾燥したか、および/または加熱によって乾燥した。分析用の薄層クロマトグラフィーを、ガラスに支持されたシリカゲル60F254プレート(E Merck(0.25mm))上にて行ない、適切な溶媒比(v/v)を用いて溶出を行った。反応は、TLCによってアッセイされ、出発物質が消費され尽くしたときに終了された。
【0102】
検査は典型的に、反応溶媒で反応体積を2倍にし、次いで、(特に明記しない限り)抽出体積の25%の体積である示された溶液を用いて、3回抽出することによって行なった。生成物の溶液をろ過する前に無水硫酸ナトリウム上にて乾燥し、減圧下においてロータリーエバポレータによって溶媒の蒸発を行ない、in vacuoで溶媒を除去した際に、生成物を認めた。フラッシュカラムクロマトグラフィーを用いて、目的の生成物を精製した(J. Org. Chem., 1978, 43:2923-2925)。
【0103】
H NMRのスペクトルを、H NMRについて300MHzまたは400MHzにて作働するBrukerスペクトロメータによって記録した。化学シフトを、参照標準としてのクロロフォルム(7.25ppm)またはDMSO−d(0.00ppm)を用いてppmで表すか、あるいは他に示されているように表す。また、他のNMRの溶媒も必要に応じて使用してもよい。ピークの多重度を報告する際には、以下の略語を使用する:s=1重項、d=2重項、t=3重項、q=4重項、m=多重項、br=ブロード(broadened)、dd=2重項の2重項、dt=3重項の2重項。結合定数が与えられた場合には、これをヘルツで報告する。
【0104】
質量スペクトルは、ESIまたはAPCIのどちらかにおいてLC/MSを用いて得られた。全ての融点は、訂正されていない。
【0105】
下記の実施例は、本発明の化合物を如何にして合成するかを説明するために提供されるものであり、本発明の化合物を限定するものとして解釈されるべきではない。下記の化合物以外のさらなる化合物は、下記の反応のスキームおよびプロセスを用い、必要に応じて、このスキームおよびプロセスに軽微で適切な変形または改変をいくつか行なうことによって、調製され得る。
【0106】
スキーム1では、zが−CH=CH−であり、XおよびYがそれぞれCおよびCの位置に結合されている式(I)の化合物、を調製するために使用される手順を説明する。例えば、Rが水素であり、XがNHである場合、対応する式(I)の化合物は、スキーム1において説明する類似の方法にしたがって、トランス−3−ニトロ−4−クロロ−桂皮酸と適切なアミド誘導体(RN−Q−YH)との縮合を行ない、次いでエステル化を行ない、還元を行ない、そして、アルデヒドとの縮合を行ない、最後にナトリウムメトキシドなどの適切な塩基の存在下でヒドロキシルアミンまたはN−アルキルヒドロキシルアミン(NHOH)との反応を介して最終生成物を得ることによって調製することができる。
【0107】
【化6】

【0108】
具体的には、zが−CH=CH−であり、Rが水素であり、X、YがそれぞれCおよびCの位置に結合している場合、式(I)で表されるヒドロキサメート化合物(VIII)は、スキーム1に示す合成経路において示された適切な出発物質を用いることによって合成することができる。トランス−4−クロロ−3−ニトロ桂皮酸(II)と適切なアミン誘導体(置換基としてメルカプト基またはヒドロキシル基を有している)(III)とを、塩基(例えばトリエチルアミン)と適切な溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロゲンフラン)との存在下において反応させることによって、(IV)を得た。酸性触媒(例えば硫酸)下においてメタノール中で(IV)を処理することによってエステル化が起こり、(V)を得た。適切な還元剤(例えば、塩化スズ(II))によって、(V)のニトロ基を還元してアミノ基にすることができ、生じたアミノ化合物(VI)を、A’−CHOの試薬と還元的に結合させて、重要な中間体(VII)を得た。公知の合成方法によってメチルエステル(VII)からヒドロキサメート化合物(VIII)を得た。
【0109】
また、式(I)で表される化合物は、スキーム2に示される適切な出発物質を用いることによって合成してもよい。スキーム1にしたがって調製した化合物(VI)を、適切な酸(A’−COOH)または適切なアシルクロリド(A’−COOCl)、あるいは適切なスルホニルクロリド(A’−SOCl)を用いて適切な触媒下で処理し、化合物(IX)を得た。化合物(VI)を、適切なA′−NCOまたはA’−NCSと反応させて、化合物(XI)を得た。また、化合物(VI)を適切なアシルイソシアネートA’−CO−NCOまたはアシルイソチオシアネートA’−CO−NCSと適切な溶媒中にて反応させて、化合物(XIII)を得ることができた。最終的な目的の化合物(X)、(XII)および(XIV)は、対応する重要な中間体(IX)、(XI)および(XIII)をナトリウムメトキシドの触媒下において適切なヒドロキシルアミンと反応させた後に得られた。
【0110】
【化7】

【0111】
以下の調製の実施例は、当業者が本発明の技術的解決策をより明確に理解し、実践し得るために提供される。これらの実施例は、本開示および請求される保護の範囲を限定するものとして考慮されるべきではなく、本開示および請求される保護の範囲の説明および代表として考慮されるべきである。
【0112】
〔実施例1〕
3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(3−フェニルプロピルアミノ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド(1)の調製
<ステップ1>
4−クロロ−3−ニトロ−桂皮酸(1.14g、5.0mmol)を、メタノール(70mL)中に懸濁した。この懸濁液に、KOH(4.21g、75mmol)およびジエチルアミノ−エタンチオール(過剰量)をそれぞれ加えた。生じた混合物を−10℃〜50℃の温度にて1〜24時間、攪拌した。濃塩酸を用いて−10℃〜50℃にてpHを3.0〜9.0に調整した。減圧下において20〜80℃(水浴)にて溶媒を除去した。100mLの水を残渣に加え、攪拌して残渣を水に溶解し、pHを1〜5に調整した。黄色の沈殿を収集し、洗浄した。冷水を用いてこの沈殿を2回洗浄し、そして3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−ニトロフェニル)アクリル酸(収率:定量(quantitative))を得た。
TLC:Rf=0.2(DCM:MeOH=9:1)。HPLC:96.6%;t=7.25min(LC/PDA:ジアモンシル(Diamonsil)C18 5μ 150×4.6mm、流速:1.0mL/min、勾配:10−100%B、20分;移動相A:水;移動相B:アセトニトリル;UV254);MP:229.4℃−230.1℃。IR(cm−1):3364、1680、1603、1465、936。HNMR(400MHz,CDCl)δ:10.77(1H,s),8.51(1H,d,J=1.6Hz),8.07(1H,d,J=1.6Hz),7.88(1H,d,J=8.8Hz),7.69(1H,d,J=16Hz),6.73(1H,d,J=16Hz),3.59(2H,t,J=4Hz);3.15−3.27(6H,br);1.22(6H,t,J=7.2Hz)。MS(m/z):324(MH)
【0113】
<ステップ2>
3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−ニトロフェニル)アクリル酸(1.74g、5.4mmol)を攪拌しながら、メタノール(25mL)に懸濁した。この溶液に濃硫酸(1.0mL)を加えた。生じた溶液を加熱して、19時間還流した。この溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下において除去した。生じた残渣に100mLの水を加えて溶解した。氷浴を用いて得られた溶液を冷却し、攪拌しながらアンモニアを用いてpHを9.0に調整した。(E)−メチル3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−ニトロフェニル)アクリレートを黄色の固体として得た。
TLC:Rf=0.75(DCM:MeOH=9:1);MP:57.4℃−59.1℃。HPLC:92.0%;t=9.74min(LC/PDA:ジアモンシル C18 5μ 150×4.6mm,流速:1.0mL/min,勾配:10−100%B、20分;移動相A:水;移動相B:アセトニトリル;UV254);IR(cm−1):2967,2926,1720,1639,1604,918。HNMR(400MHz,CDCl)δ:8.36(1H,s),7.70(1H,d,J=1.6 Hz),7.69(1H,d,J=16Hz),7.50(1H,d,J=8Hz),7.27(1H,s),6.51(1H,d,J=16Hz),3.83(3H,s),3.12(2H,t,J=8Hz);2.83(2H,t,J=8Hz);2.64(4H,q,J=7.2Hz),1.07(6H,t,J=7.2Hz)。MS(m/z):339(MH)
【0114】
<ステップ3>
(E)−メチル3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−ニトロフェニル)アクリレート(736mg,2.2mmol)を、氷酢酸−メタノールの溶液(15mL)に懸濁した。攪拌しながら、塩化スズ(4.9g、21.7mmol)を加え、生じた溶液を0〜100℃に0.5〜5.0時間、加熱した。この溶液を室温に冷却した。減圧下において溶媒を除去した。残渣に飽和炭酸ナトリウム(20mL)とジクロロメタン(20mL)とを、10〜120分間、徹底的に攪拌しながら、ゆっくりと加えた。有機層を分離し、MgSOを用いて乾燥した。MgSOを除去し、ろ液を濃縮して油にした。クロマトグラフィーを介して生成物を精製した。496.3mgの(E)−メチル3−(3−アミノ−4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−フェニル)アクリレートを得た(収率:73.9%)。
TLC:0.31(DCM:MeOH=9:1)。MP:153.2℃−154.6℃.HPLC:98.5%;t=7.82min(LC/PDA:ジアモンシル C18 5μ 150×4.6mm,流速1.0mL/min,勾配:10−100%B、12分;移動相A:HO;移動相B:アセトニトリル;UV254)。HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.56(1H,d,J=16Hz),7.39(1H,d,J=8Hz),7.28(1H,s),6.87(1H,dd,J=8Hzおよび16Hz),6.39(1H,d,J=16Hz),4.51(2H,s),3.81(3H,s),3.05(6H,m),1.29(6H,t,J=7.2Hz);MS(m/z):309(MH)
【0115】
<ステップ4>
250mg(0.62mmol)の(E)−メチル3−(3−アミノ−4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−フェニル)アクリレートをアセトニトリル(5mL)に懸濁し、この溶液に3−フェニルプロピオンアルデヒド(108mg、0.8mmol)を攪拌しながら加えた。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(636mg、3mmol)を加え、生じた混合物を室温にて3〜60時間攪拌した。溶媒−アセトニトリルを除去した後に、水およびエチルアセテートを加えた。有機層を収集し、乾燥した。クロマトグラフィーによって精製した後に、229mgの(E)−メチル3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(3−フェニルプロピルアミノ)フェニル)アクリレートを、油状の生成物の形態で得た(収率:86.6%)。
TLC:Rf=0.6(DCM:MeOH=9:1)。HPLC:91%;tR=9.90min(LC/PDA:ジアモンシル C18 5μ 150×4.6mm,流速1.0mL/min,勾配:10−100%B、18分;移動相A:HO;移動相B:アセトニトリル;UV254).MS(m/z):427(MH)
【0116】
<ステップ5>
30%のナトリウムメトキシドのメタノール(2.72g、15.1mmol)を、(E)−メチル3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(3−フェニルプロピルアミノ)フェニル)アクリレート(229mg、0.54mmol)とヒドロキシルアミノヒドロクロリド(750mg、10.8mmol)とのメタノール溶液(1.6mL)に攪拌しながら加えた。生じた混合物を室温にて5〜50分間維持し、次いで、予め冷却したHCl−MeOHの溶液を加えて、pHを7に調整した。溶媒を減圧下において除去した。クロマトグラフィーによって生成物を精製した。5mgの(E)−3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(3−フェニルプロピルアミノ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド(I)を得た(収率:2%)。
TLC:Rf=0.23(DCM:MeOH=9:1);HPLC:93.1%;t=8.16min(LC/PDA:Diamonsil C18 5μ 150×4.6mm,流速1.0mL/min,勾配:10−100%B、20分;移動相A:HO;移動相B:アセトニトリル;UV254);HNMR(400MHz,DMSO−δ6)δ:10.68(1H,s),9.00(1H,s),7.17−7.37(6H,m),6.77(1H,d,J=8.0Hz),6.72(1H,s),6.40(1H,d,J=16.0Hz),5.45(1H,br),3.20(2H,q,J=6.4Hz),2.86(2H,br),2.69(3H,t,8.0Hz),1.90(2H,m,3.2Hz),0.92(6H,br)。MS(m/z):428(MH)
【0117】
〔実施例2〜17〕
式(I)で表される多種多様な化合物を、適切な出発物質を用いることによって実施例1に記載の手順に従って調製することができた。実施例2〜17の化合物は、いくつかの典型的な代表に過ぎない(表1)。
【0118】
【表1】

【0119】

【0120】

【0121】
〔実施例18〜35〕
上記にて開示した方法と類似の方法によって、および、以下の合成に使用されるべき適切な出発物質を選択することによって、多種多様な式(I)の化合物を調製することができた。このような化合物としては、限定されないが、表2に載せた典型的な例(実施例18〜35)が挙げられる。
【0122】
【表2】

【0123】

【0124】
〔実施例36 生物学的テストおよび有効性のアッセイ〕
<IC50値を決定するためのin vitroのHDACiアッセイ>
本発明の化合物のIC50値を決定するためのin vitroのHDACiアッセイに、BIOMOLの蛍光に基づくHDAC活性のアッセイを適用した。このアッセイを、BIOMOLの方法に従って白色の96ウェルのフォーマットにて実施した。実験条件およびオプチナル(optinal)を最適化するために、蛍光光度計のモデルに依存して変化するデアセチル化される標準(biomol、KI−142)の正確な濃度範囲、ゲインのセッティング、ならびに正確な励起波長および発光波長を用いた。アッセイバッファーを用いてこの標準のいくつかを比較的低い濃度に希釈することが推奨される(デアセチル化される標準の適切な一連の希釈物は、20μM〜0.3125μMである。)。また、0時間としてのアッセイバッファーをマイクロタイタープレートの一組のウェルに配置することが推奨される。実験サンプル(5つの希釈グループ:100μM、20μM、4μM、0.8μM、0.16μM)は、0時間(HDACと基質とを混合した直後にディベロッパーが加えられるサンプル)、ネガティブコントロール(酵素なし)、およびポジティブコントロール(SAHA、4μM)と比較されるべきである。反応混合物は、アッセイバッファー(50mMのTris pH8.0、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、1mMのMgCl、1mg/mlのBSAを含んでいる)、テスト化合物またはポジティブコントロールとしての薬剤、適切な濃度のHDAC1(600nM)またはHDAC8(500nM)、HDAC1酵素用の200μMのFlur de lysの一般的基質またはHDAC8酵素用の200μMのFlur de lysの一般的基質から構成されている。反応混合物を室温にて2時間インキュベートした。Flur de lysのディベロッパーを加えて、反応を10分間インキュベートした。すなわち、基質のデアセチル化はディベロッパーに対して感受性があり、フルオロフォアを生成する。このフルオロフォアを360nmの光で励起し、発光(460nm)を蛍光分析用のプレートリーダー(Molecular Device Ultra Microplate detection system, MD Group Ltd)にて検出する。
【0125】
分析ソフトウェアであるPrism 4.0(GraphPad Software Inc.)を用いて、一連のデータからIC50を生成した。代表的な化合物によるHDAC酵素の阻害の結果を表3に示す。これらの結果によって、本発明の化合物が強力で選択的なHDAC阻害活性を有していることが示された。
【0126】
<GI50値を決定するための細胞に基づく増殖アッセイ>
本発明の化合物の増殖阻害効果を評価するために、スルホローダミンB(SRB)のタンパク質染色を用いたマルチウェルプレートの迅速なアッセイを採用した。癌細胞株のスクリーニングパネルは、Colo205およびHCT116の大腸癌細胞、MDA−MB231およびMDA−MB435の胸の癌細胞、A549の肺癌細胞、およびチャイニーズハムスターオバリー細胞株であるCHOを包含している。これらの細胞はATCCから入手した。
【0127】
細胞株Colo205は、2mMのL−グルタミン、5%のウシ胎仔血清、および1.0mMのピルビン酸ナトリウムを含んでいるRPMI 1640培地にて増殖させる。細胞株A549およびMDA−MB231は、2mMのL−グルタミンおよび5%のウシ胎仔血清を含んでいるRPMI 1640培地にて増殖させる。細胞株MDA−MB435は、2mMのL−グルタミンおよび5%のウシ胎仔血清を含んでいるDMEM培地にて増殖させる。細胞株HCT116は、2mMのL−グルタミンおよび5%のウシ胎仔血清を含んでいるIMEM培地にて増殖させる。毒性に対する正常なコントロールとして使用するCHO細胞株は、細胞株のための特別な培地にて増殖させる。典型的なスクリーニング実験に関し、A549およびColo205の細胞を1ウェルにつき100μLにて、1ウェル当たりそれぞれ2000個および5000個の細胞になるように96ウェルのマイクロタイタープレートに播種する。また、MDA−MB435、HCT116、MDA−MB231およびCHOの細胞を、1ウェル当たり6000個の細胞になるように、96ウェルのマイクロタイタープレートに播種する。細胞を播種した後に、マイクロタイタープレートを37℃、5%のCO、および100%の相対湿度にて24時間インキュベートして、細胞をウェルの壁に付着させる。
【0128】
インキュベーションから24時間後、すなわち薬剤の添加についての0時間に、各細胞株に対して、冷やした5%(w/v)のTCA(50μL)をコントロール用に用いられるウェルに添加して、in situにて細胞を固定する。また、0時間において、異なる濃度の化合物(100μL)を用いて、化合物の最終濃度を様々なもの(0.1μM、1μM、5μM、10μM)にして、それぞれ24時間、48時間および72時間、他のウェル内の細胞を処理する。各化合物の濃度における各処理の期間、三つ組みのウェルおよび種々のコントロールのウェルが存在する。コントロールのウェルには、ブランクのコントロールのウェル(細胞培養液のみであり、細胞が存在しない)、化合物のないコントロールのウェル(同一体積の細胞培養液を添加するが、化合物が存在しない)、ポジティブコントロールのウェル(スベロイラニリドヒドロキサム酸(Suberoylanilide hydroxamic acid)(SAHA))を用いて処理される)、および正常な細胞のコントロールのウェル(CHO細胞)が包含される。化合物を添加した後に、細胞のプレートを処理グループ当たり24時間、48時間または72時間、37℃、5%のCOおよび100%の相対湿度にてインキュベートする。次いで、冷やしたTCAを添加し、4℃にて1時間インキュベートすることによって処理を終了させる。上清を廃棄し、全てのウェルを脱イオン水で5回洗浄し、そして風乾する。次いで、各ウェルに、100μLのスルホローダミンB(SRB)の溶液(1%の酢酸中において作製された0.4%(w/v)の溶液)を添加し、細胞のプレートを室温にて20〜30分間インキュベートする。染色後に、1%の酢酸で5回洗浄することによって未結合の色素を除去し、プレートを風乾する。その後、10mM(200μL)のTris塩基を用いて、プラットフォームを5分間振動させるか、ピペットで液体を上下に移動させることによって結合した染料を可溶化する。吸光度は、(690nmの波長においてブランクのコントロールを読み取り、0に調整されている)自動プレートリーダー(M5 detection system,MD Group Ltd.)を用いて565nmの波長にて読み取られる。分析ソフトウェア、XL−fitを用いて、このようにして得られた一連のデータからGI50を生成した。
【0129】
代表的な化合物の結果を表3に示す。これらの結果によって、本発明の化合物が、ヒト腫瘍細胞株、特に大腸癌に対して強力で選択的な毒性(toxicology)を有していることが示された。
【0130】
【表3】

【0131】
<本発明の化合物による、ミクロソームの安定化およびクリアランスの測定>
ベラパミル(ポジティブコントロール)および化合物の溶液(両方とも10mMである)を200倍に希釈した。実験には、6つの反応の時点(0分、5分、15分、30分、45分および60分)があり、三つ組のサンプルを各データの点のために使用する。0時間およびネガティブな薬剤効果のためのコントロール(インキュベーション用バッファを含んでいないか、酵素を含んでいないネガティブコントロール)が存在する。各化合物またはベラパミルのサンプルに関し、化合物またはベラパミルをポジティブな効果のない濃度(それぞれ5μMおよび2.5μM)で用いて処理されるサンプルも存在する。希釈されたポジティブコントロール(ベラパミル)および化合物の溶液は、予め(37℃に)加熱されたインキュベーション用バッファ(100mMのリン酸カリウムのバッファ、NADPHリジェネレーションシステム溶液(regeneration system solution)B、NADPHリジェネレーションシステム溶液A、HLM/MLMを含むMilli−Qの超純粋)と混合し、37℃にて10分間インキュベートする。100μLの停止溶液の混合物(80%のアセトニトリルおよび20%のDMSOを含んでいる(両方ともHPLCのグレードである))を、別々のサンプリングプレートの各ウェル内に分配する。各反応の時点(0分、5分、15分、30分、45分および60分)において、50μLの反応溶液をインキュベーションプレートのウェルから取り出し、この反応溶液をサンプリングプレートの対応するウェルに移動させる。そして、ピペットを用いて液体を上下に移動させることによって、このウェル内に既に添加されていた停止溶液と混合する。次いで、サンプリングプレートを覆い、氷上に配置し、4℃にて15分間、2000rpmで遠心する。100μLの上清を各ウェルから取り出し、LC/MSで分析する(または、分析するまで冷蔵庫において4℃にて保存する)。
【0132】
データの分析:
化合物の残留のパーセンテージを、0時間に対する各時点の面積によって計算する。時間(分)に対する残留のパーセンテージの曲線は、Prism 4.0によって、第1フェーズの指数関数的減衰の方程式y=ye(−kT)を用いてプロットした。結果を、頂点、K、t1/2(分)、R2の値、および時間に対する残留のパーセンテージの曲線の形式で示す。
【0133】
これらの結果によって、本発明の化合物は、マウスおよびヒトの肝臓のミクロソームにおいて安定であることが示された。
【0134】
【表4】

【0135】
<ヒストンH3のアセチル化のアッセイ>
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害の特徴は、ヒストンのアセチル化レベルの増加である。ヒストン(H3、H4およびH2Aが挙げられる)のアセチル化は、イムノブロッティング(ウエスタンブロット)によって検出することができる。適切な数のColo205細胞を培地中に播種し、24時間培養し、そして、0.1、1.5および10μMのHDAC阻害剤、ならびにポジティブコントロールを用いて処理した。24時間後に細胞を収集し、Sigma Mammalian Cell Lysis Kitからのインストラクションに従って溶解した。タンパク質の濃度を、BCA法(Sigma Pte Ltd.)を用いて定量した。タンパク質のライセートを、4〜12%のbis−tris SDS−PAGEゲル(Invitrogen Pte Ltd.)を用いて分離し、PVDFメンブレン(BioRad Pte Ltd.)に転写した。アセチル化されたH3、H4および/またはH2Aに特異的な一次抗体(Upstate Pte Ltd.)を用いて、このメンブレンを検出した。検出用抗体としては、HRPに結合したヤギのウサギ抗体を、製造業者(Pierce Pte Ltd.)のインストラクションに従って使用した。メンブレンから検出用抗体を除去した後、HRPを検出するための増強された化学発光基質(Pierce Pte Ltd.)をメンブレンに加えた。この基質を除去した後に、メンブレンを1秒間〜20分間、X線フィルム(Kodak)に曝露した。このX線フィルムを、X線フィルム処理装置を用いて現像した。現像したフィルム上にて観察可能な各バンドの密度を、UVPバイオイメージングソフトウェア(UVP Bio−imaging software)(UVP,Inc,Upland,CA)を用いて定量的に分析することができた。次いで、タンパク質の発現を得るために対応するサンプル中のアクチンの密度に対して値を正規化した。
【0136】
これらのデータは、本発明の化合物が、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、その結果、アセチル化されたヒストンが蓄積することを実証している。
【0137】
<HDAC阻害剤のin vivoの抗新生物効果(または抗腫瘍効果)>
本発明の選択された化合物の有効性を、in vivoの動物(マウス)における異種移植研究を用いて決定することができる。動物の異種移植モデルは、薬剤的に有効な量、投与経路、頻度および間隔を研究するために最も一般的に用いられるin vivoの癌モデルの1つである。
【0138】
胸腺が欠損したヌードマウス(メス、5〜6週齢、BALB/c、nu/nu、約18〜20gの体重)を、Vital Riverから入手する。動物を12hの明/暗のサイクル(0700〜1900)にて維持し、食物と水とを適宜提供する。In vivoの実験の全てにおいて、特定の病原体が除去された施設にて(22℃で)実施する。胸腺が欠損したヌードマウスにおけるヒトの癌の同種移植モデルは、異種移植用の細胞株である、大腸癌細胞株colo205、乳癌細胞株MDA−MB435、および肺癌細胞株A549を用いて構築される。これらの細胞株は全てATCCから入手される。培養した細胞を消化によって培養プレートの壁から取り除き、収集し、FBSを含んでいない細胞培養液に5×10/0.2mLの濃度で懸濁し、氷上に配置しながら動物施設まで移動させる。0.2mLの細胞懸濁液をサイズ6の針を用いて、マウスの背中の左側の補助的な肩の皮下(rear left auxilliary subcutaneous scapular)に注入する。腫瘍の形成の大きさについてマウスを2〜3日ごとに測定する。2週間後、漏出することなく十分に増殖した腫瘍を、滅菌条件下において動物から除去し、数個の少断片(2〜3mmの直径)に分け、動物の背中の左側の補助的な肩の皮下に注入する。3世代後に、大き過ぎる腫瘍または小さ過ぎる腫瘍のどちらかを有しているマウスを研究から除外する一方、100mmの大きさの腫瘍を有しているマウスを無作為的に5つの治療グループに振り分ける。5つの治療グループには、化合物の3つのグループ(4、12、20mg/kgのテスト化合物をそれぞれ受容する)、ポジティブコントロールのグループ(4mg/kgのSAHAを受容する)、および媒体(vehicle)のコントロールのグループが包含される。化合物のグループ1つにつき8匹のマウスが存在する。同様に、ポジティブコントロールのグループにも、8匹のマウスが存在する。媒体のコントロールのグループには、16匹のマウスが存在する。全ての動物は、4週間、腹腔内に毎週連続的に注入される。動物が治療される間に、動物の体重と腫瘍の大きさとを3日ごとに測定し、死亡率も記録する。最後に注入してから24時間後に、全ての動物を屠殺する。腫瘍を除去し、重さを量り、大きさを測定する。腫瘍の体積の増加およびマウスの体重の増加に関する曲線をプロットする。腫瘍の阻害率、死亡率、および相対的な腫瘍の増殖率T/C(%)を計算する。T/C(%)=TRTV/CRTV×100%。TRTVは、治療のグループのRTVのことであり、CRTVは、媒体のグループのRTVのことである。RTV、すなわち相対的な腫瘍の体積は、治療の直後の腫瘍の体積(Vt)と治療の直前の腫瘍の体積(V0)との比として規定される。
【0139】
これらの結果によって、本発明の化合物は、T/C%≦50%を有していることが示された。腫瘍の増殖率における有意差は、偏差を分析することによって決定された(表5)。
【0140】
【表5】

【0141】
本願において言及された文書の全ては、これらの文書が別々に参照される場合と同様に、参考として本願の内容の一部として援用される。本願の教示を知った当業者であれば、本願の精神から逸脱することなく、本発明に種々の改変および/または変更を行なうことを理解でき、本発明のこれらの均等物/変形物の全てが、特許請求の範囲に規定された保護範囲内に包含されることも理解し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物、またはその薬剤的に認容され得る塩もしくはプロドラッグ。
【化1】

(上記式(I)中、
Aは、H、−NO、−NH、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ヘテロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基、アシル基、アリールアルキル基、シクロアルキルアリール基、ヘテロアリール基、およびヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、これらはそれぞれ必要に応じて、ハロゲン、=O、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基からなる群より選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
Xは、共有結合、または、メチレン基、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−CO−NH−、−CO−NR−、−NH−CO−、−NR−CO−、−SONH−、−NH−SO−、−NH−CO−NH−、−NH−CS−NH−、−CO−NH−CO−NH−、−CS−NH−CO−NH−からなる群より選択された基であり;Xが−NH−または−NR−のとき、Aはアリール基、ヘテロシクロアリール基、シクロアルケニル基またはヘテロシクロアルケニル基のいずれでもなく;
Yは、−O−、−S−、−NH−および−S(O)−からなる群より選択され;
XおよびYはそれぞれフェニル環のC、CおよびCに結合しており;
Qは、−(CR)n−、−(CR)n−X−(CR1011)m−、−Ar−X−(CR1011)m−、−(CR)n−X−Ar−、−Cy−X−(CR1011)m−、および−(CR)n−X−Cy−からなる群より選択され;
nおよびmは、独立して1、2、3、4、5または6であり;
ZはC−Cアルケニルであり;
およびRは、同じであるか異なっているかであり、かつ独立して、H、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルキニル基、ヘテロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケンオキシ基、アルキニルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基およびアシル基からなる群より選択され、
は、H、ニトロ基、アミノ基、アルキル基およびハロゲンからなる群より選択され;
は、H、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルケンオキシ基、アルキンオキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アミド基、COOH、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基またはアシル基であり;これらはそれぞれ必要に応じて、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルケンオキシ基、アルキンオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、−COOH、−C(O)OR、−COR、−SH、−SR、−ORおよびアシル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されていてもよく;
、R、R、R、R10およびR11は、それぞれ独立して、H、アルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルケンオキシ基、アルキンオキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、アミド基、COOH、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アミノスルホニル基およびアシル基からなる群より選択され;
Arはアリール基またはヘテロアリール基であり、これらのそれぞれは必要に応じてハロゲン、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基およびアルコキシアルキル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよく;
Cyはシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基であり、これらのそれぞれは必要に応じてハロゲン、=O、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基およびアルコキシアルキル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されてもよい。)
【請求項2】
上記Aは、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基からなる群より選択され、これらはそれぞれ必要に応じて、ハロゲン、=O、−CF、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、およびアルコキシアルキル基から選択される1つまたはそれ以上の置換基によって置換されていてもよいことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
上記Xは、−NH−、−NR−、−CO−NH−、−CO−NR−、−NH−CO−、−NR−CO−、−SONH−、−NH−SO−、−NH−CO−NH−、−NH−CS−NH−、−CO−NH−CO−NH−、および−CS−NH−CO−NH−からなる群より選択されるものであり;
上記Xが−NH−または−NR−のとき、上記Aはアリール基、ヘテロアリール基、シクロアリール基、シクロアルケニル基またはヘテロシクロアルケニル基のいずれでもないことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
上記Xは、−NH−、−CONH−、−NHR−または共有結合であり、
上記Rは、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシ−エチル基、プロピル基、3,3−ジメチルブチル基、ブチル基、ペンチル基、アリル基、フェニル基、ベンジル基および3,4,5−トリメトキシベンジル基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
上記A−Xは、−NH、−NO、−F、−Cl、メチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソ−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−(ジエチルアミノ)−エチルアミノ基、3−ハイドロキシプロピルアミノ基、3−(メトキシ)プロピルアミノ基、3−イソプロポキシプロピルアミノ基、2,2−(ジメチル)−プロピルアミノ基、3−(ジメチルアミノ)−プロピルアミノ基、3−(ジメチルアミノ)−2,2−(ジメチル)−プロピルアミノ基、4−(ジメチルアミノ)−ブチルアミノ基、アリール基、ヘテロシクロアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロシクロアルケニル基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
上記Yは−O−、−S−または−NH−であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
上記Qは、C−C10アルキル基またはC−C10アルケニル基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
上記Qは−CHCH−であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
上記Zは、C−Cアルケニル基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
上記Zは、Eの立体配置を有する−CH=CH−であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
上記Rおよび上記Rは、それぞれ独立して、C−C10アルキル基、C−C10アルケニル基、C−C10ヘテロアルキル基、ハロアルキル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、C−Cヘテロシクロアルキル アルキル基、シクロアルキル−アルキル基、アリールアルキル基、およびヘテロアリールアルキル基から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
上記Rおよび上記Rは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、プロピル基、3,3−ジメチルブチル基、ブチル基、ペンチル基、アリル基、フェニル基、ベンジル基および3,4,5−トリメトキシベンジル基から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
上記Xおよび上記Yは、それぞれフェニル環系のCおよびCの位置に結合していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
上記Xおよび上記Yは、それぞれフェニル環系のCおよびCの位置に結合していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(3−フェニルプロピルアミノ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド、3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(ペンチルアミノ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド、3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−(プロピルアミノ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド、3−(3−アセトアミド−4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド、3−(4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)−3−ニトロフェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド、3−(3−(ベンジルアミノ)−4−(2−(ジエチルアミノ)エチルチオ)フェニル)−N−ヒドロキシ−アクリルアミド、またはこれらの薬剤的に認容され得る塩から選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物と、薬剤的に認容され得る担体とを含んでいることを特徴とする医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物またはその薬剤的に認容され得る担体の調製方法。
【請求項18】
HDACインヒビターとしての、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
細胞増殖および/または脈管形成の崩壊によって引き起こされる障害、該崩壊に付随する障害、または該崩壊に伴って起こる障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
上記障害は増殖性の障害であることを特徴とする請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
上記増殖性の障害は癌であることを特徴とする請求項19に記載の使用。
【請求項22】
HDACインヒビターおよび/またはDNAメチル化のインヒビターとしての、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物または当該化合物を含む組成物の、使用。
【請求項23】
上記HDACは、クラスIヒストンデアセチラーゼであることを特徴とする請求項21に記載の使用。
【請求項24】
上記DNAメチル化は、DNMT1であることを特徴とする請求項21に記載の使用。
【請求項25】
上記HDACは、HDAC1であることを特徴とする請求項21または22に記載の使用。
【請求項26】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物、もしくは当該化合物を治療的に効果的な量において含む組成物を患者に投与することによって、当該患者のHDACまたはDNAメチル化を阻害することにより疾患を治療する方法。
【請求項27】
上記障害は、増殖性障害(例えば癌);ハンチントン病、ポリグルタミン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん発作、線条体黒質変性症、進行性核上性麻痺、捻転ジストニア、痙性斜頚およびジスキネジア、家族性振戦、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、びまん性レビー小体病、ピック病、脳内出血、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、肥大性間質性多発ニューロパチー(hypertrophic interstitial polyneuropathy)、網膜色素変性症、遺伝性視神経萎縮症、遺伝性痙性対麻痺、進行性運動失調およびシャイ・ドレーガー症候群を含む神経変性疾患;2型糖尿病を含む代謝性疾患;緑内障、加齢性黄斑変性症、黄斑性近視性変性症(macular myopic degeneration)、麻疹性緑内障(rubeotic glaucoma)、角膜実質炎、糖尿病性網膜症、ピーター異常(Peter’s anomaly)、網膜変性症、セロハン網膜症を含む目の変性疾患;コーガンジストロフィー(Cogan's Dystrophy);角膜ジストロフィー;虹彩血管新生(皮膚潮紅);角膜の血管新生;未熟児網膜症;黄斑浮腫;黄斑円孔;黄斑パッカー;眼瞼縁炎、近視、結膜の非悪性増殖;関節リウマチ(RA)、変形性関節症、若年性関節リウマチ、移植片対宿主病、乾癬、喘息、脊椎関節症、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アルコール性肝炎、糖尿病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、膜性腎症、椎間板起因性疼痛(discogenic pain)、全身性エリテマトーデス、アレルギー性接触皮膚炎を含む炎症性疾患および/または免疫系障害;癌、乾癬、関節リウマチを含む、血管新生を伴う疾患;双極性障害、統合失調症、うつ病および認知症を含む心理学的障害;心不全、再狭窄、心肥大および動脈硬化症を含む循環器疾患;肝線維症、肺線維症、嚢胞性線維症および血管線維腫を含む繊維性疾患;カンジダ・アルビカンスなどの真菌症、細菌感染症を含む感染症;単純ヘルペスなどのウイルス感染症;マラリア、リーシュマニア感染症、ブルセイトリパノソーマ感染症、トキソプラズマ症、コクシジウム症などの原虫感染;ならびに地中海貧血症、貧血症および鎌状赤血球貧血を含む造血性障害からなる群より選択されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜16に記載の化合物またはこれを治療的に有効な量にて含む組成物の投与を含むことを特徴とする、細胞増殖を阻害する方法。
【請求項29】
請求項1〜16に記載の化合物またはこれを治療的に有効な量にて含む組成物の患者への投与を含むことを特徴とする、神経変性疾患を治療する方法。
【請求項30】
請求項1〜16に記載の化合物またはこれを治療的に有効な量にて含む組成物の患者への投与を含むことを特徴とする、炎症性疾患および/または免疫系疾患を治療する方法。
【請求項31】
上記炎症性疾患および/または免疫系疾患は、関節リウマチ(RA)であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記炎症性疾患および/または免疫系疾患は、アレルギー性接触皮膚炎であることを特徴とする請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2011−500734(P2011−500734A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530252(P2010−530252)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001802
【国際公開番号】WO2009/067856
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(510116819)浙江海正薬業股▲ふん▼有限公司 (4)
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Hisun Pharmaceutical CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】46 Waisha Road,Jiaojiang District,Taizhou City,Zhejiang,318000,P.R.China
【出願人】(510116820)中南大学 (3)
【氏名又は名称原語表記】Central South University
【住所又は居所原語表記】172 Tongzipo Road,Changsha,Hunan,410013,P.R.China
【Fターム(参考)】