説明

新規なビフェニルピリジンアミドおよびフェニルピリジンアミド

式Iの化合物:


(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは本明細書に定義されているとおりである)またはその医薬的に許容される塩。P2Xおよび/またはP2X2/3受容体拮抗薬に関連する疾患の治療のための本化合物の使用方法および本化合物の調製方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2Xプリン受容体に関連する疾患の治療に有用な化合物、より詳細には、尿生殖器系、疼痛性、炎症性、胃腸系および呼吸器系の疾患、病気および障害の治療に使用可能なP2Xおよび/またはP2X2/3拮抗薬に関する。
【発明の概要】
【0002】
膀胱は、貯尿と排尿という2つの重要な生理機能を担っている。このプロセスには、2つの主な工程、すなわち(1)その壁の張力が閾値レベルを超えて上昇するまで膀胱が徐々に満たされる工程、および(2)膀胱を空にするか、それができない場合には、少なくとも尿意を引き起こす神経反射(排尿反射と呼ばれる)が生じる工程が含まれる。排尿反射は自律神経の脊髄反射であるが、大脳皮質または脳の中枢によって阻害または媒介されることもある。
【0003】
細胞外プリン受容体を介して作用するプリン類は、様々な生理学的および病理学的役割を有するものと考えられている(Burnstock (1993) Drug Dev. Res. 28:195-206を参照)。ATPやそれほどでもないがアデノシンは、感覚神経終末を刺激し、それにより激痛および感覚神経放電の顕著な増加を生じさせることができる。ATP受容体は、分子構造、形質導入機構および薬理学的特徴づけに基づいて、2つの主要なファミリー、すなわち、P2YおよびP2Xプリン受容体に分類されている。P2Yプリン受容体はGタンパク質共役受容体であり、P2Xプリン受容体はATP作動性カチオンチャネルのファミリーである。プリン受容体、特にP2X受容体は、ホモ多量体またはヘテロ多量体を形成することが知られている。これまでのところ、いくつかのP2X受容体サブタイプのcDNA、すなわち、6種類のホモマー受容体(P2X、P2X、P2X、P2X、P2XおよびP2X)ならびにいくつかのヘテロマー受容体(P2X2/3、P2X4/6およびP2X1/5)などのクローンが作製されている(例えば、Chen, et al. (1995) Nature 377:428-431; Lewis, et al. (1995) Nature 377:432-435および Burnstock (1997) Neurophamacol. 36:1127-1139を参照)。マウスゲノムP2X受容体サブユニットの構造および染色体マッピングについても記述されている(Souslova, et al. (1997) Gene 195:101-111)。いくつかの感覚ニューロンで見られる特性を有するATP作動性電流を生成するためには、生体外でのP2XおよびP2X受容体サブユニットの同時発現が必要である(Lewis, et al. (1995) Nature 377:432-435)。
【0004】
P2X受容体サブユニットは、齧歯類およびヒトの膀胱尿路上皮の求心性神経に存在する。膨張により膀胱または他の中空臓器の上皮/内皮細胞からATPが放出され得ることを示唆するデータが存在する(Burnstock (1999) J. Anatomy 194:335-342; and Ferguson et al. (1997) J. Physiol. 505:503-511)。このようにして放出されるATPは、上皮下成分(例えば、尿路上皮下固有層)に位置する感覚ニューロンに情報を伝達する役割を担う場合もある(Namasivayam, et al. (1999) BJU Intl. 84:854-860)。P2X受容体は、感覚、交感神経、副交感神経、腸間膜および中枢ニューロンなどの幾つかのニューロンで研究されている(Zhong, et al. (1998) Br. J. Pharmacol. 125:771-781)。これらの研究は、プリン受容体が膀胱からの求心性神経伝達に関与し、かつ、P2X受容体モジュレーターが膀胱障害および他の尿生殖器の疾患または病気の治療に有用となり得ることを示している。
【0005】
最近の証拠によって、マウスにおける侵害受容反応での内因性ATPおよびプリン受容体の役割も示唆されている(Tsuda, et al. (1999) Br. J. Pharmacol. 128:1497-1504)。脊髄の後根神経節神経終末に対するP2X受容体のATP誘発性活性化が、侵害受容シグナル伝達に関与する重要な神経伝達物質であるグルタミン酸の放出を刺激することが分かっている(Gu and MacDermott, Nature 389:749-753 (1997))。P2X受容体は、歯髄の侵害受容ニューロン上で同定された(Cook et al., Nature 387:505-508 (1997))。従って、損傷細胞から放出されるATPによって、侵害受容感覚神経終末上の受容体を含むP2Xおよび/またはP2X2/3を活性化することにより痛みが引き起こされることがある。これは、ヒト疱疹系(blister-base)モデルにおいて、皮内に投与されたATPによる痛みの誘発に一致する(Bleehen, Br J Pharmacol 62:573-577 (1978))。P2X拮抗薬は、動物モデルでは鎮痛薬になることが分かっている(Driessen and Starke, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 350:618-625 (1994))。この証拠は、P2XおよびP2Xが侵害受容に関与し、P2X受容体モジュレーターが鎮痛薬とし有用になり得ることを示唆している。
【0006】
他の研究者は、P2X受容体がヒトの結腸で発現し、正常な結腸よりも炎症を起こした結腸において高レベルで発現されることを証明している(Yiangou et al, Neurogastroenterol Mot (2001) 13:365-69)。他の研究者は、P2X受容体を腸の膨満または腔内圧の検出および反射収縮の開始に関与していると考え(Bian et al., J Physiol (2003) 551.1:309-22)、これを大腸炎に関連づけている(Wynn et al., Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol (2004) 287:G647-57)。
【0007】
Brounsら(Am J Respir Cell Mol Biol (2000) 23:52-61)は、P2X受容体が肺神経上皮小体(NEB:neuroepithelial body)で発現されることを見い出し、この受容体を肺における痛覚伝達に関与していると考えている。ごく最近では、他の研究者は、P2XおよびP2X受容体を肺NEBにおけるpO検出(Rong et al., J Neurosci (2003) 23(36):11315-21)および咳に関与していると考えている。
【0008】
従って、P2XおよびP2X2/3受容体拮抗薬などのP2X受容体モジュレーターとして作用する化合物ならびにP2Xおよび/またはP2X2/3受容体によって媒介される疾患、病気および障害の治療方法が必要とされている。本発明は、これらの必要性ならびに他の必要性を満たすものである。
【0009】
本発明は、式Iの化合物:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、
は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいピリダジニルまたは置換されていてもよいピリジニルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、ハロ−C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1〜6アルキルまたはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルであるか、
あるいはRおよびRは一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成し、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルまたはピリミジニルであり、
は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、アミノ−C1〜6アルキル、アミノ、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキセタニル、C1〜6アルキル、ハロ、ハロ−C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいフェニル、C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいチエニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいフラニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいチアゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキサゾリル、C1〜6アルキルおよびフェニルから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいイソオキサゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピラゾリル、C1〜6アルキルで1置換されていてもよいチアジアゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、C1〜6アルキルまたはアセチルで置換されていてもよいピペリジニル、ピラジニル、またはC1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピリジニルであり、
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはハロである)
を提供する。
【0012】
本発明は、本化合物を含む医薬組成物、本化合物の使用方法および本化合物の調製方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲を含む本出願に使用されている以下の用語は、以下に示す定義を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」および「該(the)」は、文脈が明らかに別の意を示していない限り、複数の指示物を含むものとする。
【0014】
「作用薬」とは、別の化合物または受容体部位の活性を高める化合物を指す。
「アルキル」とは、1〜12個の炭素原子を有する、炭素および水素原子のみからなる一価の直鎖状もしくは分岐鎖状飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6のアルキル基、すなわちC〜Cアルキルを指す。アルキル基または低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチルおよびドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を含む、炭素原子数2〜6の一価の直鎖状炭化水素ラジカルまたは炭素原子数3〜6の一価の分岐鎖状炭化水素ラジカル、例えば、エテニルおよびプロペニルなどを意味する。
【0016】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの三重結合を含む、炭素原子数2〜6の一価の直鎖状炭化水素ラジカルまたは炭素原子数3〜6の一価の分岐鎖状炭化水素ラジカル、例えば、エチニルおよびプロピニルなどを意味する。
【0017】
「アルキレン」とは、炭素原子数1〜6の二価の直鎖状飽和炭化水素ラジカルまたは炭素原子3〜6の二価の分岐鎖状飽和炭化水素ラジカル、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレンおよびペンチレンなどを意味する。
【0018】
同義で使用することができる「アルコキシ」および「アルキルオキシ」とは、式−OR(式中、Rは本明細書に定義されているアルキル部分である)部分を意味する。アルコキシ部分の例としては、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
「アルコキシアルキル」とは、式Ra’−O−Rb’−(式中、Ra’はアルキルであり、Rb’は本明細書に定義されているアルキレンである)部分を意味する。例示的なアルコキシアルキル基としては、例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルおよび1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルが挙げられる。
【0020】
「アルキルカルボニル」とは、式−R’−R”(式中、R’はオキソであり、R”は本明細書に定義されているアルキルである)部分を意味する。
「アルキルスルホニル」とは、式−R’−R”(式中、R’は−SO−であり、R”は本明細書に定義されているアルキルである)部分を意味する。
【0021】
「アルキルスルホニルアルキル」とは、式−R’−R”−R”’(式中、R’はアルキレンであり、R”は−SO−であり、R”’は本明細書に定義されているアルキルである)部分を意味する。
【0022】
「アミノ」とは、式−NRR’(式中、RおよびR’はそれぞれ独立に、水素または本明細書に定義されているアルキルである)部分を意味する。従って、「アミノ」としては、「アルキルアミノ」(ここでは、RおよびR’のうちの一方はアルキルであり、他方は水素である)および「ジアルキルアミノ」(ここでは、RおよびR’はどちらもアルキルである)が挙げられる。
【0023】
「アルコキシアミノ」とは、式−NR−OR’(式中、Rは水素またはアルキルであり、R’は本明細書に定義されているアルキルである)部分を意味する。
「アルキルスルファニル」とは、式−SR(式中、Rは本明細書に定義されているアルキルである)部分を意味する。
【0024】
「アミノアルキル」とは、−R−R’(式中、R’はアミノであり、Rは本明細書に定義されているアルキレンである)基を意味する。「アミノアルキル」としては、アミノメチル、アミノエチル、1−アミノプロピルおよび2−アミノプロピルなどが挙げられる。「アミノアルキル」のアミノ部分は、「アルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」をそれぞれ提供するように、アルキルで1もしくは2置換されていてもよい。「アルキルアミノアルキル」としては、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピルおよびエチルアミノエチルなどが挙げられる。「ジアルキルアミノアルキル」としては、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピルおよびN−メチル−N−エチルアミノエチルなどが挙げられる。
【0025】
「アミノアルコキシ」とは、−OR−R’(式中、R’はアミノであり、Rは本明細書に定義されているアルキレンである)基を意味する。
「アルキルスルホニルアミド」とは、式−NR’SO−R(式中、Rはアルキルであり、R’は水素またはアルキルである)部分を意味する。
【0026】
「アミノカルボニルオキシアルキル」または「カルバミルアルキル」とは、式−R−O−C(O)−NR’R”(式中、Rはアルキレンであり、R’、R”はそれぞれ独立に、水素または本明細書に定義されているアルキルである)基を意味する。
【0027】
「アルキニルアルコキシ」とは、式−O−R−R’(式中、Rはアルキレンであり、R’は本明細書に定義されているアルキニルである)基を意味する。
「拮抗薬」とは、別の化合物または受容体部位の作用を減少または防止する化合物を指す。
【0028】
「アリール」とは、単環式、二環式もしくは三環式の芳香族環からなる一価の環式芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、本明細書に定義されているように置換されていてもよい。アリール部分の例としては、フェニル、ナフチル、フェナンスリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル(benzodioxylyl)、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニルおよびエチレンジオキシフェニルなどが挙げられるが、これらに限定されず、それらの部分的に水素化された誘導体を含み、それぞれが置換されていてもよい。特定の態様では、「アリール」とはフェニルまたはナフチルを意味し、それぞれが置換されていてもよい。多くの態様では、「アリール」は置換されていてもよいフェニルである。
【0029】
同義で使用することができる「アリールアルキル」および「アラルキル」とは、−Ra’b’(式中、Ra’はアルキレン基であり、Rb’は本明細書に定義されているアリール基である)ラジカルを意味し、例えば、ベンジル、フェニルエチルおよび3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチルなどのフェニルアルキルは、アリールアルキルの例である。
【0030】
「アリールスルホニル」とは、式−SO−R(式中、Rは本明細書に定義されているアリールである)基を意味する。
「アリールオキシ」とは、式−O−R(式中、Rは本明細書に定義されているアリールである)基を意味する。
【0031】
「アラルキルオキシ」とは、式−O−R−R’(式中、Rはアルキレンであり、R’は本明細書に定義されているアリールである)基を意味する。
「シアノアルキル」とは、式−R’−R”(式中、R’は本明細書に定義されているアルキレンであり、R”はシアノまたはニトリルである)部分を意味する。
【0032】
「シクロアルキル」とは、単環式もしくは二環式の環からなる一価の飽和炭素環部分を意味する。シクロアルキルは、1つ以上の置換基(ここでは、特に具体的に明記されていない限り、各置換基は独立に、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノである)で置換されていてもよい。シクロアルキル部分の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その部分不飽和の誘導体を含む。
【0033】
「シクロアルキルアルキル」とは、式−R’−R”(式中、R’はアルキレンであり、R”は本明細書に定義されているシクロアルキルである)部分を意味する。
「ヘテロアリール」とは、N、OまたはSから選択される1、2または3つの環異種原子を含み、かつ残りの環原子はCである少なくとも1つの芳香族環を有する5〜12個の環原子からなる単環式もしくは二環式ラジカルを意味し、この場合、ヘテロアリールラジカルの結合点は芳香族環上にあることが理解される。ヘテロアリール環は、本明細書に定義されているように、置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例としては、置換されていてもよいイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニルおよびアクリジニルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その部分的に水素化された誘導体を含み、それぞれが置換されていてもよい。
【0034】
「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアラルキル」とは、式−R−R’(式中、Rはアルキレンであり、R’は本明細書に定義されているヘテロアリールである)基を意味する。
【0035】
「ヘテロアリールスルホニル」とは、式−SO−R(式中、Rは本明細書に定義されているヘテロアリールである)基を意味する。
「ヘテロアリールオキシ」とは、式−O−R(式中、Rは本明細書に定義されているヘテロアリールである)基を意味する。
【0036】
「ヘテロアラルキルオキシ」とは、式−O−R−R’(式中、Rはアルキレンであり、R’は本明細書に定義されているヘテロアリールである)基を意味する。
同義で使用することができる「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲン化物」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード置換基を指す。
【0037】
「ハロアルキル」とは、1つ以上の水素がいくつかのハロゲンまたは異なるハロゲンで置換されている本明細書に定義されているアルキルを意味する。例示的なハロアルキルとしては、−CHCl、−CHCF、−CHCClおよびペルフルオロアルキル(例えば、−CF)などが挙げられる。
【0038】
「ハロアルコキシ」とは、式−OR、(式中、Rは本明細書に定義されているハロアルキル部分である)部分を意味する。例示的なハロアルコキシはジフルオロメトキシである。
【0039】
「ヘテロシクロアミノ」とは、少なくとも1つの環原子がN、NHまたはN−アルキルであり、残りの環原子がアルキレン基を形成している飽和環を意味する。
「ヘテロシクリル」とは、1、2、3または4つの異種原子(窒素、酸素または硫黄から選択される)を含む1〜3つの環からなる一価の飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は、本明細書に定義されているように、置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例としては、置換されていてもよいピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニルおよびテトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「ヘテロシクリルアルキル」とは、式−R−R’(式中、Rはアルキレンであり、R’は本明細書に定義されているヘテロシクリルである)部分を意味する。
「ヘテロシクリルオキシ」とは、式−OR(式中、Rは本明細書に定義されているヘテロシクリルである)部分を意味する。
【0041】
「ヘテロシクリルアルコキシ」とは、式−OR−R’(式中、Rはアルキレンであり、R’は本明細書に定義されているヘテロシクリルである)部分を意味する。
「ヒドロキシアルコキシ」とは、式−OR(式中、Rは本明細書に定義されているヒドロキシアルキルである)部分を意味する。
【0042】
「ヒドロキシアルキルアミノ」とは、式−NR−R’(式中、Rは水素またはアルキルであり、R’は本明細書に定義されているヒドロキシアルキルである)部分を意味する。
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」とは、式−R−NR’−R”(式中、Rはアルキレンであり、R’は水素またはアルキルであり、R”は本明細書に定義されているヒドロキシアルキルである)部分を意味する。
【0043】
「ヒドロキシカルボニルアルキル」または「カルボキシアルキル」とは、式−R−(CO)−OH(式中、Rは本明細書に定義されているアルキレンである)基を意味する。
「ヒドロキシアルキルオキシカルボニルアルキル」または「ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル」とは、式−R−C(O)−O−R−OH(式中、各Rはアルキレンであり、同一であっても異なっていてもよい)基を意味する。
【0044】
「ヒドロキシアルキル」とは、1つ以上、好ましくは1、2または3つのヒドロキシ基で置換された本明細書に定義されているアルキル部分(但し、同じ炭素原子が2つ以上のヒドロキシ基を保有していない)を意味する。代表的な例としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
「ヒドロキシシクロアルキル」とは、シクロアルキルラジカル中の1、2または3つの水素原子がヒドロキシ置換基で置換された本明細書に定義されているシクロアルキル部分を意味する。代表的な例としては2−、3−または4−ヒドロキシシクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「尿素」または「ウレイド」とは、式−NR’−C(O)−NR”R”’(式中、R’、R”およびR”’はそれぞれ独立に、水素またはアルキルである)基を意味する。
「カルバミン酸基(カルバマート)」とは、式−O−C(O)−NR’R”(式中、R’およびR”はそれぞれ独立に、水素またはアルキルである)基を意味する。
【0047】
「カルボキシ」とは、式−O−C(O)−OH基を意味する。
「スルホンアミド」とは、式−SO−NR’R”(式中、R’およびR”はそれぞれ独立に、水素またはアルキルである)基を意味する。
【0048】
「置換されていてもよい」とは、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「シクロアルキル」または「ヘテロシクリル」に関連づけて使用されている場合、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR、−SOR(式中、Rは、水素、アルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、−(CR’R”)n−COOR(式中、nは0〜5の整数であり、R’およびR”は独立に、水素またはアルキルであり、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)または−(CR’R”)n−CONRa’b’(式中、nは0〜5の整数であり、R’およびR”は独立に、水素またはアルキルであり、Ra’およびRb’は互いに独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)から選択される1〜4つの置換基、好ましくは1または2つの置換基で独立に置換されていてもよいアリール、フェニル、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを意味する。特定の態様では、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」、「シクロアルキル」または「ヘテロシクリル」の任意の置換基としては、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、シアノ、アミノおよびアルキルスルホニルが挙げられる。多くの態様では、置換基は、メチル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、メトキシ、アミノおよびメタンスルホニルである。
【0049】
「脱離基」は、有機合成化学で従来からそれに関連づけられた意味を有する基、すなわち、置換反応条件下で置換可能な原子もしくは基を意味する。離脱基の例としては、ハロゲン、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシおよびチエニルオキシなどのアルカンもしくはアリーレンスルホニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、置換されていてもよいベンジルオキシ、イソプロピルオキシおよびアシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
「モジュレーター」とは、標的と相互作用する分子を意味する。相互作用分子としては、本明細書に定義されている作用薬および拮抗薬などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
「任意の」または「任意に」とは、その後に記載されている事象または状況が必ずしも生じる必要はなく、この説明は、その事象または状況が生じる場合および生じない場合を含む。
【0052】
「疾患」および「病状」とは、任意の疾患、病気、症状、障害または徴候を意味する。
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」とは、それと共に記載されている反応条件下で不活性な溶媒を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンもしくはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサンおよびピリジンなどが挙げられる。それに反する明記がない限り、本発明の反応で使用される溶媒は不活性溶媒である。
【0053】
「医薬的に許容される」とは、一般に安全で、毒性がなく、かつ生物学的にもそれ以外の場合にも望ましくないものではない医薬組成物を調製する際に有用なものを意味し、獣医学ならびにヒトの医薬用途のために許容されるものが挙げられる。
【0054】
化合物の「医薬的に許容される塩」とは、本明細書に定義されているように、医薬的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。そのような塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸などの無機酸または酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸およびトリメチル酢酸などの有機酸と共に形成された酸付加塩、または酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウムイオンのいずれかによって置換された親化合物中に存在する場合に形成される塩、あるいは有機もしくは無機塩基との配位化合物(coordinate)が挙げられる。許容される有機塩基としては、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミンおよびトロメタミンなどが挙げられる。許容される無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。好ましい医薬的に許容される塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛およびマグネシウムから形成された塩である。医薬的に許容される塩についての参照は全て、同じ酸付加塩の本明細書に定義されている溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形態(多形)を含むことを理解されたい。
【0055】
「保護基」とは、合成化学で従来からそれに関連づけられた意味において、別の保護されていない反応部位で選択的に化学反応を行うことができるように多官能化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を意味する。本発明の特定のプロセスは、反応物中に存在する反応性窒素および/または酸素原子をブロックする保護基に依存している。例えば、「アミノ保護基」および「窒素保護基」という用語は、本明細書では同義で使用され、合成手順の間の望ましくない反応から窒素原子を保護する目的のそれらの有機基を指す。例示的な窒素保護基としては、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル(BOC)などが挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、除去を容易にするため、および以下の反応に耐えることができるようにするための基の選択方法を知っている。
【0056】
「溶媒和物」とは、溶媒の化学量論量もしくは非化学量論量のいずれかを含む溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶性固体中に一定のモル比の溶媒分子を捕捉する傾向があるため、溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラート(アルコール和物)である。水和物は、1つ以上の水分子と、水がHOとしてその分子状態を保持する物質のうちの1つとの組み合わせによって形成されているため、そのような組み合わせによって1種以上の水和物を形成することができる。
【0057】
「対象」とは、哺乳類および非哺乳類を意味する。哺乳類とは、限定されるものではないが、ヒト、チンパンジーおよび他の類人猿およびサル種などのヒト以外の霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギおよびブタなどの家畜、ウサギ、イヌおよびネコなどの家庭動物、ならびにラット、マウスおよびモルモットなどの齧歯類を含む実験動物などの哺乳類綱の任意のメンバーを意味する。非哺乳類の例としては、トリなどが挙げられるが、これに限定されない。「対象」という用語は、特定の年齢または性別を示していない。
【0058】
「尿路症状」と同義で使用される「尿路障害」または「尿路疾患」とは、尿路の病理学的な変化を意味する。尿路障害の例としては、失禁、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿筋過反射、下部尿路閉塞、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、切迫性尿失禁、尿道炎、前立腺痛、膀胱炎および特発性膀胱過敏症などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
「尿路症状」と同義で使用される「尿路に関連する病状」または「尿路病状」または「尿路疾患」とは、尿路における病理学的な変化あるいは膀胱平滑筋または貯尿もしくは排尿障害を引き起こすその神経支配の機能不全を意味する。尿路症状としては、過活動膀胱(排尿筋過活動としても知られている)、下部尿路閉塞、下部尿路不全(outlet insufficiency)および骨盤過敏症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
「過活動膀胱」または「排尿筋過活動」としては、切迫感、頻度、膀胱容量の変化、失禁、尿意閾値、不安定な膀胱収縮、括約筋痙縮、排尿筋過反射(神経因性膀胱)および排尿筋不安定などの症候的に現れる変化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
「下部尿路閉塞」としては、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄症、腫瘍、流速の低下、排尿開始の困難、切迫感および恥骨上痛などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
「下部尿路不全」としては、尿道過可動、内因性括約筋不全、混合型尿失禁および腹圧性尿失禁などが挙げられるが、これらに限定されない。
「骨盤過敏症」としては、骨盤痛、間質性(細胞)膀胱炎、前立腺痛、前立腺炎、外陰部痛(vulvadynia)、尿道炎、睾丸痛および過活動膀胱などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
「呼吸器疾患」とは、限定されるものではないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、喘息および気管支痙攣などを指す。
「胃腸障害」(「GI(Gastrointestinal)障害」)とは、限定されるものではないが、過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)、胆石仙痛および他の尿路障害、腎仙痛、下痢優位型IBS、および胃腸膨満に伴うなど痛みなどを指す。
【0064】
「疼痛」としては、炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷、または過敏性腸症候群に伴う痛みが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
「治療的有効量」とは、病状を治療するために対象に投与された場合に、病状のそのような治療を達成するのに十分な化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、本化合物、治療される病状、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、投与経路および投与形態、主治医もしくは獣医師の判断および他の要因に応じて異なる。
【0066】
「上に定義されているもの」および「本明細書に定義されているもの」という用語は、可変物を参照する場合、可変物の広い定義ならびに、存在すれば、好ましい定義、より好ましい定義および最も好ましい定義を参照により組み込む。
【0067】
病状を「治療すること」または病状の「治療」としては、(i)当該病状を予防すること、すなわち当該病状に罹患しているか罹患しやすい可能性があるが、当該病状の症状をまだ経験することも呈することもしていない対象において当該病状の臨床的症状を発症させないこと、(ii)当該病状を抑制すること、すなわち当該病状またはその臨床的症状の進行を止めること、または(iii)当該病状を軽減すること、すなわち当該病状またはその臨床的症状の一時的もしくは永久的な退行を引き起こすことが挙げられる。
【0068】
「処理すること」、「接触させること」および「反応させること」という用語は、化学反応について述べる場合、適当な条件下で2種以上の試薬を添加または混合して、所望の生成物を生成することを意味する。当然のことながら、所望の生成物を生成する反応物は、最初に添加した2種類の試薬の組み合わせから直接得られるものである必要はなく、最終的に所望の生成物が生成される混合物で生成される1種以上の中間体が存在していてもよい。
【0069】
一般に、本出願で使用される命名は、AUTONOM(商標)バージョン4.0、すなわちIUPACの体系的な命名の生成のためのBeilstein Instituteコンピュータシステムに基づく。本明細書に図示されている化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成した。本明細書の構造中の炭素、酸素、硫黄もしくは窒素原子上に表されている任意の空の原子価は、特に明記しない限り、水素原子の存在を表す。構造中にキラル中心が存在するが、キラル中心について具体的な立体化学が図示されていない場合、キラル中心に関連する両鏡像異性体が当該構造によって包含される。本明細書に図示されている構造が複数の互変異性形態で存在し得る場合、全てのそのような互変異性体が当該構造によって包含される。
【0070】
本明細書に特定されている全ての特許および刊行物の内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
特定の態様では、本発明は、式Iの化合物:
【0071】
【化2】

【0072】
(式中、
は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいピリダジニルまたは置換されていてもよいピリジニルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、ハロ−C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルであるか、
あるいはRおよびRは一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成し、
は、水素、C1〜6アルキルまたはピリミジニルであり、
は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、アミノ−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキセタニル、C1〜6アルキル、ハロ、ハロ−C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいフェニル、C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいチエニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいフラニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいチアゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキサゾリル、C1〜6アルキルおよびフェニルから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいイソオキサゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピラゾリル、C1〜6アルキルで1置換されていてもよいチアジアゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、C1〜6アルキルまたはアセチルで置換されていてもよいピペリジニル、またはC1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピリジニルであり、
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはハロである)
を提供する。
【0073】
さらに、本明細書に開示されている特定の残基R〜RおよびXおよびR10に関するあらゆる態様を、本明細書に開示されている別の残基R〜RおよびXおよびR10に関する任意の他の態様と組み合わせてもよいことが理解される。
【0074】
特定の態様では、式(I)の化合物は、医薬的に許容される塩として使用される。
式Iの特定の態様では、Rは、ハロまたはメチルで独立に1もしくは2置換されたフェニルである。
【0075】
式Iの多くの態様では、Rは、4位においてメチルまたはハロで置換され、かつ2位および6位においてハロで置換されていてもよいフェニルである。
式Iの多くの態様では、Rは、4位においてメチルまたはハロで置換され、かつ2位においてハロで置換されていてもよいフェニルである。
【0076】
式Iの特定の態様では、Rは、4−メチル−フェニル、2−フルオロ−4−メチル−フェニル、2−クロロ−4−フルオロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2,4−ジフルオロ−フェニルまたは2−クロロ−4−メチル−フェニルである。
【0077】
式Iの特定の態様では、Rは、4−メチル−フェニルまたは4−クロロ−フェニルである。
式Iの特定の態様では、Rは4−メチル−フェニルである。
【0078】
式Iの特定の態様では、Rは2−フルオロ−4−メチル−フェニルである。
式Iの特定の態様では、Rは2−クロロ−4−フルオロ−フェニルである。
式Iの特定の態様では、Rは4−クロロ−2−フルオロ−フェニルである。
【0079】
式Iの特定の態様では、Rは2,4−ジクロロ−フェニルである。
式Iの特定の態様では、Rは2,4−ジフルオロ−フェニルである。
式Iの特定の態様では、Rは2−クロロ−4−メチル−フェニルである。
【0080】
式Iの多くの態様では、Rは置換されていてもよいピリジニルである。例示的なピリジニルとしては、ピリジン−2−イルおよびピリジン−2−オン−1−イルが挙げられ、それぞれが、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ハロ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルキルスルホニルまたはシアノで1、2もしくは3置換されていてもよい。好ましいピリジルとしては、4−メチル−ピリジン−2−イル、4−フルオロ−ピリジン−2−イルおよび4−メチル−ピリジン−2−オン−1−イルが挙げられる。
【0081】
式Iの特定の態様では、Rは、5位においてメチルまたはハロで置換されたピリジン−2−イルである。
式Iの特定の態様では、Rは、5位においてメチルまたはハロで置換されたピリジン−2−イルである。
【0082】
式Iの特定の態様では、Rは、5位においてメチルまたはハロで置換され、かつ3位においてハロで置換されていてもよいピリジン−2−イルであり、R、RおよびRは水素である。
【0083】
式Iの特定の態様では、Rは、5−メチル−ピリジン−2−イル、5−クロロ−ピリジン−2−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メチル−3−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メチル−3−クロロ−ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イルまたは3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イルである。
【0084】
式Iの特定の態様では、Rは5−メチル−ピリジン−2−イルである。
式Iの特定の態様では、Rは5−メチル−ピリジン−2−イルであり、R、RおよびRは水素である。
【0085】
式Iの特定の態様では、Rは5−クロロ−ピリジン−2−イルである。
式Iの特定の態様では、Rは5−フルオロ−ピリジン−2−イルである。
式Iの特定の態様では、Rは5−メチル−3−フルオロ−ピリジン−2−イルである。
【0086】
式Iの特定の態様では、Rは5−メチル−3−クロロ−ピリジン−2−イルである。
式Iの特定の態様では、Rは3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イルである。
式Iの特定の態様では、Rは3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イルである。
【0087】
式Iの多くの態様では、R、RおよびRは水素である。
式Iの特定の態様では、R、RおよびRのうちの1つはハロであり、残りは水素である。
【0088】
式Iの特定の態様では、R、RおよびRのうちの1つはフルオロであり、残りは水素である。
多くの態様では、式Iの化合物は、式IIで表される化合物:
【0089】
【化3】

【0090】
(式中、
Xは、−N−または−CR(式中、Rは、水素、ハロまたはメチルである)であり、
10は、メチルまたはハロであり、
、R、RおよびRは、本明細書に定義されているとおりである)
であってもよい。
【0091】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは水素である。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC1〜6アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはメチルである。
【0092】
式Iまたは式IIの特定の態様では、RおよびRは一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成している。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RおよびRは一緒になってシクロプロピルを形成している。
【0093】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルスルファニル−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルスルホニル−C1〜6アルキル、アミノ−C1〜6アルキル、N−C1〜6アルキル−アミノ−C1〜6アルキル、N,N−ジ−C1〜6アルキル−アミノ−C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル−C1〜6アルキルである。
【0094】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル−C1〜6アルキルである。
【0095】
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキルである。1つの好ましいC1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキルはメトキシメチルである。
【0096】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはヒドロキシ−C1〜6アルキルである。1つの好ましいヒドロキシ−C1〜6アルキルはヒドロキシメチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはヘテロアリールである。
【0097】
がヘテロアリールである特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ−イソオキサゾリル、テトラゾリル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[4,5−b]ピリジニルおよびベンズイミダゾリルであってもよく、それらのうちのそれぞれが、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ、アミノ、N−C1〜6アルキル−アミノまたはN,N−ジ−(C1〜6アルキル)−アミノから独立に選択される1つ以上の基で1、2もしくは3置換されていてもよい。より好ましくは、そのようなヘテロアリールは、メチル、エチル、n−プロピル、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノまたはジメチルアミノから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよい。
【0098】
がヘテロアリールである特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリルまたはチアゾリルであってもよく、それらのうちのそれぞれが、メチル、エチル、n−プロピル、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノまたはジメチルアミノから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよい。
【0099】
がヘテロアリールである特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニルまたはピラジニルであってもよく、それらのうちのそれぞれが、メチル、フルオロ、クロロ、アミノ、メチルアミノまたはジメチルアミノから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよい。
【0100】
がヘテロアリールである特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、ピリジニル、ピリミジニルまたはピラジニルであってもよく、それらのうちのそれぞれが、メチルで1もしくは2置換されていてもよい。
【0101】
がヘテロアリールである特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、ピリミジニルまたはピラジニルであってもよく、それらのうちのそれぞれが、メチルで1もしくは2置換されていてもよい。
【0102】
がヘテロアリールである特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、メチルで1もしくは2置換されていてもよいピラジニルであってもよい。
がヘテロアリールである式Iまたは式IIの特定の態様では、そのようなヘテロアリールは、チオフェン−2−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、オキサゾール−2−イル、ピリミジン−2−イル、ピリダジン−4−イル、ピラジン−2−イル、5−メチル−ピラジン−2−イル、イミダゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル、2−メチル−チアゾール−4−イル、3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、3−(ピリジン−4−イル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、ピリダジン−3−イル、2−メチル−ピラゾール−3−イル、チアゾール−5−イル、1−メチル−イミダゾール−2−イル、6−クロロ−ピリミジン−4−イル、4−エチル−[1,2,4]−トリアゾール−3−イル、1,3,5−トリメチル−ピラゾール−4−イル、1,5−ジメチル−ピラゾール−4−イル、1,3−ジメチル−ピラゾール−4−イル、3−(2−メトキシ−エチル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、3−(ピリジン−3−イル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル、テトラゾール−5−イル、ピラゾール−3−イル、4−アミノ−2−メチル−ピリミジン−5−イル、2−アミノ−ピリミジン−4−イル、6−メトキシ−ピリダジン−3−イル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ−イソオキサゾール−5−イル、3−メチル−チオフェン−2−イル、5−メチル−[1,3,4]−オキサジアゾール−2−イル、4−メチル−イソオキサゾール−3−イル、3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル、1−メチル−ピラゾール−3−イル、3−メチル−ピラゾール−1−イル、5−メチル−3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル、5−シクロプロピル−3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル、イミダゾ[2,1−b]−チアゾール−6−イル、チアゾール−4−イル、2−プロピル−ピラゾール−3−イル、2−エチル−ピラゾール−3−イル、5−アミノ−ピリダジン−2−イル、3−アミノ−ピリダジン−2−イル、3−クロロ−ピリダジン−2−イル、2−アミノ−ピリミジン−5−イル、1−メチル−イミダゾール−4−イル、6−アミノ−ピリジン−3−イル、6−アミノ−ピリダジン−2−イル、2−アミノ−ピリジン−4−イル、2−ジメチルアミノ−ピリミジン−5−イル、6−アミノ−ピリジン−2−イル、2−メチルアミノ−ピリジン−4−イル、2−ジメチルアミノ−ピリジン−4−イル、3−メチル−2−ジメチルアミノ−ピリジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、2−メチル−ピリジン−4−イル、6−メチルアミノ−ピリジン−3−イル、6−ジメチルアミノ−ピリジン−3−イル、6−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル、6−ジメチルアミノ−ピリジン−3−イル、6−メチルアミノ−ピリジン−3−イル、2−メチルアミノ−ピリミジン−5−イル、6−メチル−ピリジン−3−イル、4−メチル−チアゾール−2−イル、2,6−ジメチル−ピリジン−3−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、6−メチル−ピリジン−2−イル、1−エチル−ピラゾール−3−イル、3−メチル−ピリジン−2−イル、4−メチル−チアゾール−5−イル、1−エチル−イミダゾール−2−イル、1−メチル−ピラゾール−4−イル、イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル、3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−イル、6−フルオロ−ピリジン−2−イル、1,5−ジメチル−ピラゾール−3−イル、5−メチル−ピリジン−2−イル、6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル、5−メチル−イソオキサゾール−3−イル、5−メチル−イミダゾール−2−イル、5−メトキシ−ベンズイミダゾール−2−イル、[1,2,4]トリアゾール−3−イル、6−メチル−ピリダジン−3−イル、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルまたは8−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルであってもよい。
【0103】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはヘテロシクリル−C1〜6アルキルである。
がヘテロシクリル−C1〜6アルキルである態様では、そのようなヘテロシクリル−C1〜6アルキルは、モルホリノメチル、ピペリジニル−メチル、ピペラジニル−メチル、チオモルホリニルメチル、ピロリジニルメチルまたはアゼチジニルメチルなどのヘテロシクリル−メチルであってもよく、それらのうちのそれぞれのヘテロシクリル部分は、メチル、メトキシ、ハロ、メタンスルホニル、オキソまたはアセチルから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよい。
【0104】
がヘテロシクリル−メチルである態様では、そのようなヘテロシクリルメチルは、モルホリン−4−イル−メチル、4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル−メチル、4−アセチル−ピペラジン−1−イル−メチル、ピペリジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル−メチル、4−メチル−ピペラジン−1−イル−メチル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル−メチル、3−メトキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、4−メトキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−メチル、1−オキソ−チオモルホリン−4−イル−メチル、3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル−メチル、アゼチジン−3−イル−メチル、4−メタンスルホニル−ピペリジン−1−イル−メチル、4−フルオロ−ピペリジン−1−イル−メチル、4−アセチル−3−メチル−ピペラジン−1−イル−メチル、4−アセチル−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イル−メチル、2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル−メチル、4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル−メチル、3−フルオロ−ピペリジン−1−イル−メチル、4−メチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル−メチルまたは3−フルオロ−4−メトキシ−ピペリジン−1−イル−メチルであってもよい。
【0105】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチルまたはピラジン−2−イルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イルまたはモルホリン−4−イル−メチルである。
【0106】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イルまたは5−メチル−ピラジン−2−イルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イル、5−メチル−ピラジン−2−イル、6−メチル−ピリダジン−3−イルまたは1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルである。
【0107】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、5−メチル−ピラジン−2−イル、2−メチル−ピリミジン−5−イル、5−メチル−ピリミジン−2−イル、ヒドロキシメチルまたはメトキシメチルである。
【0108】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはヒドロキシメチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはメトキシメチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはピラジン−2−イルである。
【0109】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは5−メチル−ピラジン−2−イルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはモルホリン−4−イル−メチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イルである。
【0110】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは2−メチル−ピリミジン−5−イルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは6−メチル−ピリダジン−3−イルである。
【0111】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは水素である。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC1〜6アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC3〜7シクロアルキルである。
【0112】
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはピリミジニルである。
【0113】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはメチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはエチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、水素、メチル、エチルまたはピリミジン−4−イルである。
【0114】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、水素、メチルまたはエチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、メチルまたはエチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、水素またはメチルである。
【0115】
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC1〜6アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC1〜6アルコキシである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC3〜7シクロアルキルである。
【0116】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキセタニルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC1〜6アルコキシ−C1〜6アルキルである。
【0117】
式Iまたは式IIの特定の態様では、RはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキル、ハロ、ハロ−C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいフェニルである。
【0118】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいチエニルである。
【0119】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいフラニルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいチアゾリルである。
【0120】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキサゾリルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルおよびフェニルから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいイソオキサゾリルである。
【0121】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピラゾリルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1置換されていてもよいチアジアゾリルである。
【0122】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはテトラヒドロピラニルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはモルホリニルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルまたはアセチルで置換されていてもよいピペリジニルである。
【0123】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはピラジニルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピリジニルである。
【0124】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキルまたはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、C1〜6アルキルまたはC3〜7シクロアルキルである。
【0125】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、イソプロピル、イソブチルおよびtert−ブチルなどの分岐鎖状C3〜5アルキルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチルまたはtert−ブチルである。
【0126】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rは、イソプロピル、イソブチルまたはtert−ブチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはイソプロピルである。
【0127】
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはイソブチルである。
式Iまたは式IIの特定の態様では、Rはtert−ブチルである。
式IIの特定の態様では、R10はメチルである。
【0128】
式IIの特定の態様では、R10はハロである。
式IIの特定の態様では、XはNである。
式IIの特定の態様では、XはCRである。
【0129】
式IIの特定の態様では、XはCRであり、Rは水素またはハロである。
式IIの特定の態様では、XはCHである。
、R、R、R、R、R、R、R、R10およびRのうちのいずれかがアルキルであるかアルキル部分を含む場合、そのようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、すなわちC〜Cアルキルであり、より好ましくはC〜Cアルキルである。
【0130】
特定の態様では、本化合物は、以下からなる群から選択される:
4−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
フラン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−ベンゾイルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
ピリジン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−(シクロヘキサンカルボニル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(2,4−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
チアゾール−4−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
2,5−ジメチル−オキサゾール−4−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−メチル−イソオキサゾール−3−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
4−メトキシ−チオフェン−3−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
4’−メチル−5−(メチル−プロピオニル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−(メチル−プロピオニル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸((R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミド;
5−(アセチル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(アセチル−エチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[(2−メトキシ−アセチル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[エチル−(2−メトキシ−アセチル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(アセチル−ピリミジン−4−イル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−(プロピオニル−ピリミジン−4−イル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(イソブチリル−ピリミジン−4−イル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
ピラジン−2−カルボン酸エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
N−エチル−N−[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−イソニコチンアミド;
5−[エチル−(3−メチル−ブチリル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[エチル−(3−メチル−ブチリル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
N−エチル−N−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−ニコチンアミド;
5−[(2,2−ジメチル−プロピオニル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(シクロプロパンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−カルバミン酸イソブチルエステル;
4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸メチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−カルバミン酸イソプロピルエステル;
5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−カルバミン酸メチルエステル;
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−イソブチリルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸メチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
モルホリン−4−カルボン酸[4’−クロロ−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−メチル−アミド;
4’−クロロ−5−(3−エチル−1−メチル−ウレイド)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−[メチル−(2−メチル−ブチリル)−アミノ]−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[(2−エチル−ブチリル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[(2,2−ジメチル−ブチリル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(シクロペンタンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(シクロペンタンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(シクロヘキサンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−[メチル−(2−メチル−ブチリル)−アミノ]−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’−クロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’−クロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’−クロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド;
4’−クロロ−5−(トリメチル−ウレイド)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’−フルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’−フルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’−フルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド;
1−アセチル−ピペリジン−4−カルボン酸メチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド;
2’,4’−ジクロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸((R)−2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’,4’−ジクロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’,4’−ジフルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸((R)−2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’,4’−ジフルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−N−(1−ピラジン−2−イル−エチル)−ベンズアミド;
3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−ベンズアミド;
3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ベンズアミド;
3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−N−(1−ピラジン−2−イル−エチル)−ベンズアミド;
3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド;
N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド、および
3−メチル−オキセタン−3−カルボン酸メチル−[3−[(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−カルバモイル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−フェニル]−アミド。
【0131】
本発明は、P2X受容体拮抗薬、P2X2/3受容体拮抗薬またはその両方によって媒介されるか、あるいはそれ以外の方法で関連する疾患または病気の治療方法であって、それを必要としている対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法も提供する。
【0132】
当該疾患は、尿生殖器疾患または尿路疾患であってもよい。他の場合には、当該疾患は、疼痛に関連する疾患であってよい。尿路疾患は、膀胱容量の減少、頻尿(frequent micturition)、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿(urinary frequency)、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症であってもよい。
【0133】
疼痛に関連する疾患は、炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みであってもよい。
【0134】
当該疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息または気管支痙攣などの呼吸器疾患、過敏性腸症候群(IBS)および炎症性腸疾患(IBD)などの胃腸(GI)障害、胆石仙痛および他の尿路障害、腎仙痛、下痢優位型IBSまたは胃腸膨満に伴う痛みであってもよい。
【0135】
本発明の方法に係る代表的な化合物を、P2X受容体のpIC50値と共に表1に示す。
【0136】
【表1−1】

【0137】
【表1−2】

【0138】
【表1−3】

【0139】
【表1−4】

【0140】
【表1−5】

【0141】
【表1−6】

【0142】
【表1−7】

【0143】
【表1−8】

【0144】
【表1−9】

【0145】
【表1−10】

【0146】
【表1−11】

【0147】
【表1−12】

【0148】
【表1−13】

【0149】
【表1−14】

【0150】
本発明の化合物は、以下に図示および記載されている例示的な合成反応スキームに示されている様々な方法によって調製することができる。
これらの化合物を調製するために使用される出発物質および試薬は一般に、Aldrich Chemical社などの商業的な供給元から入手可能なものであるか、または、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis(フィーザーおよび有機合成のためのフィーザー試薬); Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds(Roddの炭素化合物の化学), Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and SupplementalsおよびOrganic Reactions(有機反応), Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40などの参考文献に記載されている手順に従って当業者に知られている方法によって調製する。以下の合成反応スキームは、単に本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法の例示であって、これらの合成反応スキームに対する様々な修正が可能であり、それらは、本出願に含まれている開示を参照した当業者に対して示唆されている。
【0151】
合成反応スキームの出発物質および中間体は、限定されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化およびクロマトグラフィーなどの従来の技術を用いて、必要に応じて単離および精製することができる。そのような材料は、物理定数およびスペクトルデータなどの従来の手段を用いて特徴づけることができる。
【0152】
本明細書に記載されている反応は、それに反する明記がない限り、好ましくは約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃、最も好ましくかつ好都合にはおよそ室温(または周囲温度)、例えば約20℃の反応温度範囲で、大気圧の不活性雰囲気下で行う。
【0153】
以下のスキームAは、式I(式中、Rは低級アルキルであり、X、R、R、R、RおよびR10は本明細書に定義されているとおりである)の具体的な化合物を調製するために使用可能な合成手順を例示している。
【0154】
【化4】

【0155】
スキームAの工程1では、ニトロ安息香酸を硫酸条件下でヨウ素化して、ヨード−ニトロ安息香酸を得る。安息香酸化合物をテトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下でアリールボロン酸化合物と反応させて、ビフェニル酸化合物を得る。ビフェニル酸の酸性基を工程3でエステル化によって保護して、ビフェニル酸メチルエステルを形成する。次いで、ビフェニルエステルを還元して、工程4でビフェニルアミンを形成する。工程5ではアシル化を行い、ここでは、ビフェニルアミンをハロゲン化アシルで処理して、ビフェニルアミド化合物を得る。工程6では、ビフェニルアミドを任意にハロゲン化アルキルと反応させてN−アルキル化して、化合物を得る。工程7では、化合物のエステル基を加水分解して、対応する酸化合物を得る。工程8では、化合物をアミンと反応させてアミド形成して、本発明に係る式Iの化合物である化合物IIを得る。
【0156】
スキームAの多くは変形が可能であり、それらを当業者に示唆している。例えば、特定の態様では、以下の実施例の調製6に示すように、化合物のボロン酸官能基を化合物のハロ官能基と入れ換えてもよい。いくつかの態様では、(Rが水素である化合物を得るための)工程6を省略してもよい。他の態様では、工程6のアルキル化を工程5の前に行ってもよい。さらに他の態様では、工程5において酸ハロゲン化物の代わりに酸無水物を使用してもよい。本発明の化合物を生成するための具体的詳細については、以下の実施例の箇所に記載されている。
【0157】
本発明の化合物を、膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎および特発性膀胱過敏症などの下部尿路閉塞および尿失禁状態ならびに過活動膀胱に関連する他の症状を伴う尿路病状を含む広範囲な尿生殖器の疾患、病気および障害の治療のために使用することができる。
【0158】
本発明の化合物は、限定されるものではないが、関節炎(関節リウマチおよび骨関節炎など)に伴う痛みなどの炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷(骨折およびスポーツ損傷など)、および過敏性腸症候群などの機能的な腸障害に伴う痛みを含む多種多様な原因による疼痛に関連する疾患および病気の治療において鎮痛薬としての有用性が見い出されることが期待されている。
【0159】
さらに、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息および気管支痙攣などの呼吸器疾患の治療に有用である。
さらに、本発明の化合物は、過敏性腸症候群(IBS)および炎症性腸疾患(IBD)などの胃腸障害、胆石仙痛および他の尿路障害、腎仙痛、下痢優位型IBSならびに胃腸膨満に伴う痛みの治療に有用である。
【0160】
本発明は、治療的に活性な物質として使用される上記化合物を包含する。
本発明は、P2XまたはP2X2/3受容体に関連する疾患の治療に使用される上記化合物もさらに包含する。
【0161】
本発明は、膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療に使用されるか、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療に使用される上記化合物もさらに包含する。
【0162】
本発明は、P2XまたはP2X2/3受容体に関連する疾患の治療方法であって、それを必要としている対象に上に定義した化合物の有効量を投与することを含む方法もさらに包含する。
【0163】
本発明は、膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療方法、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療方法であって、それを必要としている対象に上記化合物の有効量を投与することを含む方法もさらに包含する。
【0164】
本発明は、P2XまたはP2X2/3受容体に関連する疾患の治療のための上記化合物の使用もさらに包含する。
本発明は、膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療のため、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療のための上記化合物の使用もさらに包含する。
【0165】
本発明は、P2XまたはP2X2/3受容体に関連する疾患の治療薬の調製のための上記化合物の使用もさらに包含する。
本発明は、膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療薬あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療薬の調製のための上記化合物の使用もさらに包含する。
【0166】
本発明は、少なくとも1種の医薬的に許容される担体および任意で他の治療成分および/または予防成分と共に、少なくとも1種の本発明の化合物または個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を含む。
【0167】
本発明は、(a)医薬的に許容される担体および(b)上記化合物を含む医薬組成物をさらに含む。
一般に、本発明の化合物は、同様の有用性を提供する薬剤に対して承認されている投与経路のいずかによって治療的有効量で投与される。好適な用量範囲は、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与経路、投与形態、投与の対象となる兆候ならびに担当医師の好みおよび経験などの多くの要因に応じて、典型的には1日1〜500mg、好ましくは1〜100mg、最も好ましくは1〜30mgである。そのような疾患の治療の分野の当業者であれば、過度の実験をせずに、個人的な知識および本出願の開示内容に基づいて、所与の疾患のために本発明の化合物の治療的有効量を確認することができる。
【0168】
本発明の化合物を、経口(口内および舌下など)、直腸内、経鼻、局所、経肺、膣内または非経口(筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、皮下および静脈内など)投与に適したものを含む医薬組成物として、あるいは吸入またはガス注入による投与に適した形態で投与してもよい。好ましい投与様式は一般に、罹患の程度に従って調節することができる好都合な毎日の投与計画を用いる経口である。
【0169】
本発明の1種以上の化合物を、1種以上の従来の補助剤、担体または希釈剤と共に、医薬組成物の形態および単位剤形の中に含めてもよい。本医薬組成物および単位剤形は、さらなる活性化合物または原理を用いるか否かに関わらず、従来の割合の従来の成分で構成されていてもよく、単位剤形は、使用される目的の1日用量範囲に相応する有効成分の任意の好適な有効量を含んでいてもよい。本医薬組成物を、経口用途のための、錠剤または充填カプセルなどの固体、半固体、粉末、徐放製剤または溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシルまたは充填カプセルなどの液体として、直腸内もしくは膣内投与用の坐薬の形態または非経口用途のための無菌注射溶液の形態で用いてもよい。従って、1つの錠剤につき約1mg、より広くは約0.01〜約100mgの有効成分を含む製剤は好適で代表的な単位剤形である。
【0170】
本発明の化合物を、多種多様な経口投与剤形に製剤化してもよい。本医薬組成物および剤形は、有効成分として1種以上の本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を含んでいてもよい。医薬的に許容される担体は、固体または液体のいずれであってもよい。固形製剤としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、坐薬および分散可能な顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、着香料、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤または封入材料としても機能する1種以上の物質であってもよい。粉末では、担体は一般に、微粉有効成分との混合物である微粉固体である。錠剤では一般に、有効成分を、必要とされる結合能力を有する担体と好適な割合で混合し、所望の形状および大きさに圧縮する。粉末および錠剤は、好ましくは約1〜約70%の活性化合物を含む。好適な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび低融点ワックスおよびカカオ脂などが挙げられるが、これらに限定されない。「調製」という用語は、担体としての封入材料と共に活性化合物を製剤化し、担体を含むか含んでいない有効成分がそれに会合する担体に囲まれているカプセルを提供することを含むことが意図されている。同様に、カシェ剤およびトローチ剤が含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤およびトローチ剤は経口投与に適した固形であってもよい。
【0171】
経口投与に適した他の形態としては、乳濁液、シロップ、エリキシル、水溶液および水性懸濁液などの液状製剤または使用直前に液状製剤への変換が意図されている固形製剤が挙げられる。乳濁液は、溶液、例えばプロピレングリコール水溶液で調製してもよく、あるいは、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアカシアなどの乳化剤を含んでいてもよい。水溶液は、有効成分を水に溶解し、かつ好適な着色剤、着香料、安定化剤および増粘剤を添加して調製することができる。水性懸濁液は、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロースおよびカルボキシルメチルセルロースナトリウムなどの粘性材料ならびに他の周知の懸濁化剤と共に微粉有効成分を水に分散させて調製することができる。固形製剤は、溶液、懸濁液および乳濁液を含み、有効成分に加えて、着色剤、着香料、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤および可溶化剤などを含んでいてもよい。
【0172】
本発明の化合物を、非経口投与(例えば、ボーラス注射などの注射または持続注入による投与)のために製剤してもよく、アンプル、予め充填された注射器、小体積注入、またはさらなる防腐剤を含む複数回投与容器での単位剤形で提供してもよい。本組成物は、油性もしくは水性媒体の懸濁液、溶液または乳濁液などの形態、例えば、ポリエチレングリコール水溶液であってもよい。油性すなわち非水性担体、希釈剤、溶剤または媒体の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられ、それらは、防腐剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含んでいてもよい。あるいは、有効成分は、無菌固体の無菌単離によって、あるいは使用前に好適な媒体、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水を用いて構成用溶液を凍結乾燥することによって得られる粉末形態であってもよい。
【0173】
本発明の化合物を、軟膏、クリームまたはローションとして、あるいは経皮パッチとして、表皮への局所投与のために製剤化してもよい。軟膏およびクリームは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して、水性もしくは油性基剤で製剤化してもよい。ローションは、水性もしくは油性基剤で製剤化してもよく、一般に、1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤を含んでいてもよい。口内への局所投与に適した製剤としては、風味づけした基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカンタ中に活性剤を含むトローチ剤、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に有効成分を含む香錠、および好適な液体担体中に有効成分を含む洗口剤が挙げられる。
【0174】
本発明の化合物を、坐薬としての投与のために製剤化してもよい。脂肪酸グリセリドとカカオ脂との混合物などの低融点ワックスを最初に融解し、有効成分を例えば撹拌によって均一に分散させる。次いで、融解した均一な混合物を、好都合な大きさの型に入れ、冷却させ、凝固させる。
【0175】
本発明の化合物を、膣内投与のために製剤化してもよい。有効成分に加えてそのような担体を含む腟坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレーは、当該技術分野で適当であることが知られている。
【0176】
対象化合物を、経鼻投与のために製剤化してもよい。例えば、スポイト、ピペットまたはスプレーを用いる従来の手段によって、溶液または懸濁液を鼻腔に直接塗布する。本製剤を、単回もしくは複数回投与形態で提供してもよい。スポイトまたはピペットの複数回投与の場合、適当な所定の容量の溶液もしくは懸濁液を投与する患者によって、これを達成してもよい。スプレーの場合、例えば、定量噴霧スプレーポンプによって、これを達成してもよい。
【0177】
本発明の化合物を、特に気道へのエアゾール投与、例えば鼻腔内投与のために製剤化してもよい。本化合物は一般に、例えば約5ミクロン以下の小さい粒径を有する。そのような粒径は、当該技術分野で知られている手段、例えば微粒子化によって得てもよい。有効成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素あるいは他の好適なガスなどの好適な噴射剤を含む加圧パックで提供される。また、エアゾールは、好都合には、レシチンなどの界面活性剤を含んでいてもよい。薬物の用量を定量弁で制御してもよい。あるいは、有効成分を、乾燥粉末、例えば、ラクトース、澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)などの澱粉誘導体などの好適な粉末基剤に入れた本化合物の粉末混合物の形態で提供してもよい。粉末担体は鼻腔内でゲルになる。本粉末組成物を単位剤形、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジまたは粉末を吸入器によって投与することができるブリスターパックで提供してもよい。
【0178】
必要に応じて、有効成分の徐放もしくは制御放出投与に適した腸溶コーティングと共に製剤を調製することができる。例えば、本発明の化合物を、経皮または皮下薬物送達装置に製剤化してもよい。本化合物の徐放が必要であり、かつ患者の治療計画順守が重要な場合に、これらの送達システムが有利である。経皮送達システム中の化合物は、皮膚接着性固体支持体に頻繁に取り付けられる。対象の化合物を浸透促進剤、例えば、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)とも組み合わせることができる。徐放送達システムは、外科手術または注射によって皮下層の中まで皮下に挿入される。皮下インプラントは、脂溶性膜(例えば、シリコーンゴム)または生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸)の中に本化合物をカプセル化したものである。
【0179】
医薬製剤は、好ましくは単位剤形である。そのような剤形では、本製剤は、適当な量の有効成分を含む単位用量に再分割される。単位剤形は、包装された製剤、すなわち、包装された錠剤、カプセルおよびバイアルもしくはアンプル中の粉末などの分離量の製剤を含む包装体とすることができる。また、単位剤形は、それ自体をカプセル、錠剤、カシェ剤またはトローチ剤とすることもでき、あるいは、これらのいずれかの適当な数を包装形態にすることもできる。
【0180】
他の好適な医薬担体およびそれらの製剤はRemington: The Science and Practice of Pharmacy(レミントン:薬学の科学および実践) 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含む代表的な医薬組成物を以下に記載する。
【実施例】
【0181】
以下の調製例および実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、かつ実施することができるように提供するものである。それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単にその例示および代表としてみなされるべきである。
【0182】
特に明記しない限り、融点(すなわち、MP)を含む全ての温度は、摂氏温度(℃)である。当然のことながら、所望の生成物を生成する反応物は、最初に添加した2種類の試薬の組み合わせから直接得られるものである必要はなく、最終的に所望の生成物が生成される混合物で生成される1種以上の中間体が存在していてもよい。以下の略語を、調製例および実施例に使用している場合もある。
【0183】
DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DCM(ジクロロメタン/塩化メチレン)、DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DME(1,2−ジメトキシエタン(グリム))、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMFDMA(N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、ECDI(1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、EtN(トリエチルアミン)、gc(ガスクロマトグラフィー)、HMPA(ヘキサメチルホスホルアミド)、HOBt(N−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、hplc(高速液体クロマトグラフィー)、IPA(イソプロパノール)、mCPBA(m−クロロ過安息香酸)、MeCN(アセトニトリル)、NMM(N−メチルモルホリン)、NMP(N−メチルピロリジノン)、TEA(トリエチルアミン)、THF(テトラヒドロフラン)、LDA(リチウムジイソプロピルアミン)、TLC(薄層クロマトグラフィー)。
調製例1:(S)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン
この調製で使用した合成手順を以下のスキームBに概説する。
【0184】
【化5】

【0185】
工程1:(S)−Boc−2−アミノ−プロパノール
D−アラニン(3.5g、39.3mmol)を、LiAlH(2.89g、76.26mmol)の還流THF懸濁液に少しずつ添加した。還流を12時間続けた後、反応混合物を0℃に冷却し、15%NaOH水溶液(3ml)および水(9ml)を慎重に添加して過剰な試薬を失活させた。室温で10分間撹拌した後、(Boc)O(8.31g、38.13mmol)のCHCl(40ml)溶液を添加した。反応混合物を60℃で6時間撹拌し、室温まで冷却し、無水NaSOのパッドで濾過し、濾液を真空濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる残留物の精製によって、(S)−Boc−2−アミノ−プロパノールを白色の固体として得た(収率:63%)。MS(M+H)=176。
工程2:(S)−Boc−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン
(S)−Boc−2−アミノ−プロパノール(2.00g、11.4mmol)溶液に、室温のAgO(5.89g、25.4mmol)およびヨウ化メチル(16.00g、112.7mmol)を連続的に添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌した。固体を濾別し、濾液を真空濃縮して、(S)−Boc−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンを無色の油として得、これをさらに精製することなく使用した。
工程3:(S)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミン
(S)−Boc−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンをMeOH(40mL)に溶解し、3M HCl(10mL)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残留物をさらなるEtOH(20mL)と同時蒸発させて、(S)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンを塩酸塩形態で薄茶色の油として得た(1.42g、100%)。MS(M+H)=90。
【0186】
同様に、(S)−2−エトキシ−1−メチル−エチルアミンを調製した。同様に、L−アラニンから(R)−2−メトキシ−1−メチル−エチルアミンおよび(R)−2−エトキシ−1−メチル−エチルアミンを調製した。
調製例2:(S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミン
この調製で使用した合成手順を以下のスキームCに概説する。
【0187】
【化6】

【0188】
工程1:メタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステル
0℃の(S)−Boc−2−アミノ−プロパノール(4.91g、0.028mol)、EtN(1.5当量)のCHCl溶液に、塩化メタンスルホニル(1.1〜1.2当量)を添加した。反応系を0℃で30分間撹拌した。水(5ml)を添加し、有機層を分離し、NaHCO飽和水溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去して、メタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステルを白色の固体として得た(収率:98%)。MS(M+H)=254。
工程2:(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
メタンスルホン酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステル(23mmol)のCHCN(20mL)溶液に、室温のモルホリン(28mmol)およびKCO(23mmol)を添加した。反応混合物を50℃にし、同じ温度に一晩維持した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で除去し、残留物をCHCl(50mL)およびHO(50mL)で処理した。有機層を分離し、水層をCHClで抽出した。一緒にした有機層をNaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製して、(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを粘性の液体として得た(収率:62%)。MS(M+H)=245。
工程3:(S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミン
(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.30g、1.22mmol)のメタノール(10mL)溶液に、2規定HCl(5mL)を0℃で添加した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去して、(S)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミンを淡黄色の固体として得た(250mg、96%)。MS(M+H)=145。
【0189】
同様に、(S)−1−メチル−2−チオモルホリン−4−イル−エチルアミン、(S)−1−[4−(2−アミノ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−エタノン、(S)−1−(2−アミノ−プロピル)−ピペリジン−4−オール、(S)−1−(2−アミノ−プロピル)−ピペリジン−3−オール、(S)−1−メチル−2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミン、(S)−1−メチル−2−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−エチルアミン、(S)−4−(2−アミノ−プロピル)−ピペラジン−2−オン、1−メチル−2−ピペリジン−1−イル−エチルアミン、1−(2−アミノ−プロピル)−ピロリジン−3−オール、(S)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−エチルアミン、(S)−2−(3−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−エチルアミン、(S)−2−(4−メタンスルホニル−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−エチルアミンおよび他の2−アミノ−1−ヘテロシクリルプロパンを調製した。
調製例3:1−ピラジン−2−イル−エチルアミン
この調製で使用した合成手順を以下のスキームDに概説する。
【0190】
【化7】

【0191】
1−ピラジン−2−イル−エタノン(2.0g、15.85mmol)および酢酸アンモニウム(19.337g、158.5mmol)のメタノール(50mL)溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.7g、11.1mmol)を全量添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。メタノールの除去後、水(20mL)を残留物に添加し、得られた溶液を、水酸化ナトリウムを添加してpH=13まで塩基性にした。この水溶液をジクロロメタンで抽出し、一緒にした有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去して、14.62gの1−ピラジン−2−イル−エチルアミンを得た(収率:75%)。MS(M+H)=124。
【0192】
同様に、適当なヘテロアリールメチルケトン類またはフェニルメチルケトン類から、1−ピリジン−2−イル−エチルアミン、1−ピリジン−3−イル−エチルアミン、1−ピリジン−4−イル−エチルアミン、1−(2−フルオロ−フェニル)−エチルアミン、1−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミン、1−(4−メタンスルホニル−フェニル)−エチルアミン、1−チエン−3−イル−エチルアミン、1−フラン−2−イル−エチルアミン、1−(5−メチル−フラン)−2−イル−エチルアミン、1−チアゾール−2−イル−エチルアミン、1−チエン−2−イル−エチルアミン、1−ピリミジン−2−イル−エチルアミン、C−(6−メチル−ピリダジン−3−イル)−メチルアミン、C−(5−メチル−ピラジン−2−イル)−メチルアミンおよび1−ピリダジン−4−イル−エチルアミンを調製した。
調製例4:5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
この調製で使用した合成手順を以下のスキームEに概説する。
【0193】
【化8】

【0194】
工程1:3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸
ヨウ素(137.95g、0.5436mmol)の発煙硫酸(250ml)撹拌溶液に、m−ニトロ安息香酸(64.6g、0.3866mmol)を室温で添加した。反応混合物を2時間かけて85℃まで徐々に加熱し、同じ温度でさらに12時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、氷に入れ、この水溶液をジクロロメタンで抽出した。有機相を分離し、水、2.0M Na溶液および塩水で洗浄した後、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で除去して、3−ヨード−5−ニトロ安息香酸を淡黄色の固体として得た(111g、収率98%)。MS(M+H)=294。
工程2:4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸
3−ヨード−5−ニトロ安息香酸(15.48g、52.83mmol)およびPd(PhP)(1.84g、1.69mmol)のトルエン(300ml)およびエタノール(50ml)撹拌溶液に、p−トリルボロン酸(7.87g、58.11mmol)およびCsCO(18.89g、58.11mmol)水(20ml)溶液を室温で添加した。反応系を18時間還流させた後、室温まで冷却した。2規定NaOH溶液を添加し、反応混合物を30分間撹拌した。有機相を分離し、12規定HClを用いて水相をpH<4に調整した。得られた固体沈殿物をを濾過し、トルエンで洗浄して、13.2gの4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸を淡黄色の固体として得た(97.2%)。MS(M+H)=258。
工程3:4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
EDCI(16.17g、84.38mmol)を、4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(15.49g、60.27mmol)、HOBt(11.44g、84.38mmol)および2−アミノ−1−メトキシ−1−プロパン(7ml、66.31mmol)のNMP(9.29ml、84.38mmol)、CHCl(180ml)およびDMF(20ml)撹拌溶液に数回に分けて0℃で添加した。混合物を室温まで温め、同じ温度で14時間撹拌した。反応混合物を、2規定HCl、2規定NaOH、NaHCO飽和水溶液および塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過および真空濃縮して、4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミドを黄色の油として得た(16.5g、83.5%)。MS(M+H)=329。
工程4:5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド
4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド(39mmol)のメタノール(250ml)撹拌溶液に、室温でSnCl(117mmol)を全量添加した。反応混合物を3時間還流加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルで希釈し、NaHCO飽和溶液で処理した。固体を濾別し、濾液をNaHCO飽和水溶液および塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過および真空濃縮して、5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミドを黄色の油として得た(10.5g、90.3%)。MS(M+H)=299。
調製例5:5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
この調製で使用した合成手順を以下のスキームFに概説する。
【0195】
【化9】

【0196】
工程1:4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸(10.00g、0.039mol)のメタノール溶液に、0℃のSOCl(5.09g、0.043mol)を添加した。反応混合物を室温まで温めた後、2時間還流加熱した。溶媒を真空下で除去して、4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを淡黄色の固体として得た(9.72g、92%)。MS(M+H)=273。
工程2:5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
4’−メチル−5−ニトロ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを、調製例4の工程4の手順を用いてSnClで還元して、5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを得た。MS(M+H)=242。
調製例6:3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
この調製で使用した合成手順を以下のスキームGに概説する。
【0197】
【化10】

【0198】
工程1:3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル
3−ヨード−5−ニトロ安息香酸(20.00g、0.068mol)のメタノール(50mL)溶液に、SOCl(5.45mL、0.075mol)を0℃で添加した。反応混合物を室温まで温めた後、2時間還流加熱した。反応系を冷却し、溶媒を真空除去して、3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸メチルエステルを淡黄色の固体として得た(20.67g、99%)。MS(M+H)=309。
工程2:3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
3−ヨード−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル(10g、0.0326mol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(9.1g、0.0358mol)、KOAc(9.59g、0.098mol)およびPdCl(dppf)(798mg、0.98mmol)のDMSO(40ml)溶液をN雰囲気下で80℃まで4時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、EtOで抽出した。一緒にした有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた粗製の3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを精製することなく次の工程で使用した。
工程3:3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル
2−ブロモ−5−メチルピリジン(1.24g、7mmol)、Pd(PPh(226mg、0.2mmol)およびKPO(2.76g、13mmol)のDME/HO(5ml/1ml)溶液に、3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル(2.00g、6.5mmol)をN雰囲気下で添加した。混合物をマイクロ波放射線に130℃で0.5時間曝露した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)で精製して、3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステルを白色の固体として得た(700mg、40%)。
工程4:3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステル
3−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−5−ニトロ−安息香酸メチルエステル(4g、14.7mmol)のメタノール/酢酸エチル溶液に、SnCl(11.15g、58.8mmol)を室温で添加した。反応混合物を3時間還流した後、冷却した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をHOに溶解し、NaCOを添加してpH=9まで塩基性にした。混合物をCHClで抽出し、有機相を水および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧下で除去して、3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを白色の固体として得た(3.2g、90%)。
【0199】
同様に、3−アミノ−5−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを調製した。
実施例1:5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド
この調製で使用した合成手順を以下のスキームHに概説する。
【0200】
【化11】

【0201】
工程1:5−ホルミルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
無水酢酸(11.0g、108mmol)をTHF(15mL)に添加した後、ギ酸(5.09g、133mmol)を添加した。混合物を65℃まで2.5時間加熱した後、室温まで冷却した。5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(5.0g、21mmol)を添加し、反応混合物を70℃で3時間撹拌した後、室温まで冷却した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮して、5−ホルミルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを得、これをさらに精製することなく次の工程で直接使用した。
工程2:4’−メチル−5−メチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
4’−メチル−5−メチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(5.3g、20mmol)のTHF(50mL)溶液を60℃に加熱した。BH−ジメチルスルフィド(THF中2.95mLの10M溶液、30mmol)を注射器で徐々に添加した。反応混合物を75℃まで90分間撹拌しながら加熱した。反応混合物を冷却し、CHOH(50mL)で希釈し、30分間撹拌した。次いで、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮して、4.9gの4’−メチル−5−メチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを白色の固体として得た。
工程3:5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
4’−メチル−5−メチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(1.0g、4mmol)およびトリエチルアミン(0.79g、8mmol)を塩化メチレン(15.0mL)に添加し、撹拌した。DMAP(0.1g)と共に、塩化イソブチリル(0.459g、4mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、塩化メチレンで希釈し、1規定HCl水溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮して、1.1gの5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを白色の泡として得た。
工程4:5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(85mg、0.26mmol)を、メタノール(2mL)および1規定NaOH(2mL)水溶液の混合物に添加し、混合物を1時間撹拌した。沈殿物が形成されるまでHCl(1規定水溶液)を撹拌溶液に滴下した。さらなる0.5mLの1規定HClを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮して、67mgの5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸を得た。
工程5:5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(67mg、0.22mmol)を塩化メチレン(3mL)に添加し、室温で撹拌した。TEA(0.87g)、1−ピラジン−2−イル−エチルアミン(32mg、0.25mmol)、HOBt(29mg)およびECDI(54mg)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をシリカカラム上に直接置き、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、32mgの5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミドを白色の固体として得た。MS(M+H)=417。
【0202】
同様に、5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルの代わりに3−アミノ−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−安息香酸メチルエステルを用いて、3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−N−(1−ピラジン−2−イル−エチル)−ベンズアミドを調製した。MS(M+H)=418。
【0203】
同様に、塩化イソブチリルの代わりに塩化アセチルを用いて、5−(アセチル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミドを調製した。MS(M+H)=389。
【0204】
同様に、塩化イソブチリルの代わりに2,2−ジメチル−プロピオニルクロリドを用いて、5−[(2,2−ジメチル−プロピオニル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミドを調製した。MS(M+H)=431。
【0205】
同様に、1−ピラジン−2−イル−エチルアミンの代わりにC−ピラジン−2−イル−メチルアミンを用いて、5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミドを調製した。MS(M+H)=403。
【0206】
上記手順を用いて調製したさらなる化合物を表1に示す。
実施例2:5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド
この調製で使用した合成手順を以下のスキームIに概説する。
【0207】
【化12】

【0208】
工程1:5−イソブチリルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
5−アミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(0.10g、2.49mmol)およびトリエチルアミン(6.75g、7.47mmol)を、ジクロロメタン(40mL)に添加し、窒素雰囲気下で撹拌した。塩化イソブチリル(0.318g、2.98mmol)を徐々に添加し、反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。混合物を水および1規定HCl水溶液で希釈し、有機層を分離し、水および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮して、0.786gの5−イソブチリルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを得た。
工程2:5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル
5−イソブチリルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(0.786g、2.32mmol)およびNaH(6.2g、2.55mmol)をDMF(20mL)に添加し、混合物を室温で30分間撹拌した後、0℃に冷却した。ヨウ化エチル(1.181g、11.6mmol)を添加し、反応混合物を室温で5日間撹拌した。NHCl飽和水溶液および水を添加して反応を止め、混合物をジエチルエーテルで抽出した。一緒にした有機層を分離し、水および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の30%酢酸エチル)で精製して、0.461gの5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステルを得た。
工程3:5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸
5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(0.461g、1.36mmol)をTHF(10mL)に溶解した。このTHF溶液に、LiOH(0.342g)の水(8mL)溶液を添加した。混合物を50℃で3時間撹拌した後、室温まで冷却した。1規定HCl水溶液を添加して混合物を酸性にし、酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過および減圧下で濃縮して、0.46gの5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸を透明な泡として得た。
工程4:5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド
実施例1の工程5の手順に従って、5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸を、1−ピラジン−2−イル−エチルアミンと反応させて、5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミドを得た。MS(M+H)=431。
【0209】
同様に、塩化イソブチリルを3−メチル−ブチリルクロリドで置き換えて、5−[エチル−(3−メチル−ブチリル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミドを調製した。MS(M+H)=445。
【0210】
上記手順を用いて調製したさらなる化合物を表1に示す。
実施例3:製剤
様々な経路による送達のための医薬製剤を、以下の表に示すように製剤化する。表に用いられている「有効成分」または「活性化合物」とは、1種以上の式Iの化合物を意味する。
【0211】
【表2】

【0212】
これらの成分を混合し、それぞれ約100mgを含むカプセルに分注する。1つのカプセルは、およそ総1日投与量である。
【0213】
【表3】

【0214】
これらの成分を合わせて、メタノールなどの溶媒を用いて顆粒化する。次いで、この製剤を乾燥し、適当な錠剤機で錠剤(約20mgの活性化合物を含む)に形成する。
【0215】
【表4】

【0216】
これらの成分を混合して、経口投与用の懸濁液を形成する。
【0217】
【表5】

【0218】
有効成分を注射用水の一部に溶解する。次いで、十分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら添加して、溶液を等張にする。この溶液を、注射用水の残りで最大重量に調製し、0.2ミクロンの濾過膜で濾過し、無菌条件下で包装する。
【0219】
【表6】

【0220】
これらの成分を一緒に融解し、水蒸気浴上で混合し、総重量2.5gを含む型に入れる。
【0221】
【表7】

【0222】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱する。次いで、約60℃の十分な量の水を激しく撹拌しながら添加して、成分を乳化した後、約100gになるまで水を適量添加する。
鼻スプレー製剤
約0.025〜0.5%の活性化合物を含む数種の水性懸濁液を、鼻スプレー製剤として調製する。本製剤は、例えば、微結晶性セルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムおよびデキストロースなどの不活性成分を任意に含む。pHを調整するために塩酸を添加してもよい。鼻スプレー製剤を、典型的には1回の作動当たり約50〜100mLの製剤を送達する鼻スプレー定量ポンプによって送達してもよい。典型的な投与計画は、4〜12時間毎に2〜4回の噴霧である。
実施例4:P2X/P2X2/3蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR:Fluorometric Imaging Plate Reader)アッセイ
CHO−K1細胞に、クローン化ラットP2XまたはヒトP2X2/3受容体サブユニットを形質移入し、フラスコ内で継代培養した。FLIPR実験の18〜24時間前に、細胞をこれらのフラスコから剥離し、遠心分離し、2.5×10細胞/mlで培養液に再懸濁した。細胞を50,000細胞/ウェルの密度で黒壁96ウェルプレートに等分し、5%CO中37℃で一晩インキュベートした。実験の当日、細胞をFLIPR緩衝液(カルシウムおよびマグネシウム非含有ハンクス平衡塩類溶液、10mMのHEPES、2mMのCaCl、2.5mMのプロベネシド;FB)で洗浄した。各ウェルに100μlのFBおよび100μlの蛍光色素Fluo−3AM(最終濃度2μM)を添加した。37℃で1時間の色素添加インキュベーション後、細胞をFBで4回洗浄し、最終の75μl/ウェルのFBを各ウェルに残した。
【0223】
試験化合物(10mMでDMSOに溶解し、FBで連続的に希釈した)またはビークルを、各ウェル(25μlの4×溶液)に添加し、室温で20分間平衡化させた。次いで、プレートをFLIPR内に配置し、基準蛍光測定値(488nmで励起、510〜570nmで発光)を10秒間得た後、100μl/ウェルの作用薬またはビークルを添加した。作用薬は、1μM(P2X)または5μM(P2X2/3)の最終濃度を生成するα,β−meATPの2×溶液であった。作用薬添加後に1秒間隔でさらに2分間蛍光を測定した。FLIPR試験プレートの各ウェルにイオノマイシン(5μM、最終濃度)の最終添加を行って、細胞生存率および色素に結合したサイトゾルカルシウムの最大蛍光を確立した。α,β−meATPの添加に応答したピーク蛍光(試験化合物の非存在および存在下)を測定し、非線形回帰を用いて阻害曲線を生成した。PPADSすなわち標準的なP2X拮抗薬を陽性対照として使用した。
【0224】
上記手順を用いると、本発明の化合物は、表1に示すように、P2XおよびP2X2/3受容体に対する活性を示した。
実施例5:喘息および肺機能に関する生体内アッセイ
標準的な免疫法でBALb/cJマウスを免疫する。簡潔にいうと、0および14日目に、オボアルブミン(OVA;10μg)のミョウバン溶液を用いる腹腔内投与でマウス(N=8/群)を免疫する。次いで、21および22日目に、マウスをエアロゾル化OVA(5%)に曝露する。動物にビークル(経口)または本発明の化合物(100mg/kg経口)を全て20日目に開始して投与する。
【0225】
23日目にBuxcoシステムを用いて肺機能を評価して、エアロゾルメタコリン曝露に応答したPenH(enhanced pause)を決定する。次いで、マウスを安楽死させ、調査終了時に血漿試料を回収する。
実施例6:容量誘発膀胱収縮アッセイ
雌のSDラット(200〜300g)に、ウレタン(1.5g/kg、皮下)で麻酔をかけた。動物の気管を切開し、血圧測定および薬物投与のためにそれぞれ頸動脈および大腿静脈にカニューレを挿入した。開腹を行い、尿管を結紮し、結紮部位の近位を横切開した。外部尿道口を絹の縫合糸で結紮し、食塩水注入および膀胱圧測定のためにドームを介して膀胱にカニューレを挿入した。
【0226】
15〜30分の安定化期間後、連続的な容量誘発膀胱収縮(VIBC:volume-induced bladder contraction)が観察されるまで、室温の食塩水を100μl/分で膀胱に注入した。次いで、注入速度を3〜5μl/分まで30分間低下させた後、膀胱から排液し、30分間休息させた。その後の全ての注入を、より低い注入速度を30分間ではなく15分間のみ維持したこと以外は、上述どおりに行った。閾値容量(TV:threshold volume;最初の尿意膀胱収縮を誘発するために必要な容量)が2種類の連続的な基準に対して10%未満で変動し、収縮頻度が低注入速度後の10分間に2回以内の収縮になるまで、膀胱の注液および排液サイクルを繰り返した。再生可能なTVおよびVIBCが確立されたら、次に予定されている注入開始の3分前に、膀胱から排液し、動物に薬物またはビークルを投与した(0.5ml/kg、静脈内)。
実施例7:ホルマリン疼痛アッセイ
雄のSDラット(180〜220g)を、個々のプレキシグラスシリンダーの中に入れ、30分間試験環境に順応させた。ビークル、薬物または陽性対照(モルヒネ2mg/kg)を、5ml/kgで皮下投与する。投与から15分後、26ゲージ針を用いて右後肢の足底面にホルマリン(5%の50μl溶液)を注射する。直ちにラットを観察室に戻す。観察室の周りに配置された鏡によって、ホルマリンを注射した肢も妨害なしに観察することができる。自動行動タイマーを用いて盲検観察者によって各動物の侵害防御行動期間を記録する。計60分間、5分2相(bin)で後肢を舐める動作(licking)、後肢を振る動作(shaking)/後肢を上げる動作(lifting)について別々に記録する。0〜5分後の数秒間の後肢を舐める動作または振る動作に費やされた時間の合計を早期相と見なし、15〜40分後の後肢を舐める動作または振る動作に費やされた数秒間の合計を後期相と見なす。血漿試料を回収する。
実施例8:結腸疼痛アッセイ
成体の雄SDラット(350〜425g;Harlan社、インディアナ州インディアナポリス)を、動物管理施設において1かご当たり1〜2匹で収容する。腹膜内に投与されるペントバルビタールナトリウム(45mg/kg)でラットに深く麻酔をかける。筋電図検査(EMG)記録のために、外部の斜紋筋組織内に電極を配置および固定する。電極リード線を皮下に通し、今後のアクセスのために首筋で露出させる。手術後、ラットを別々に収容し、試験前の4〜5日間で回復させる。
【0227】
撓み管の周囲に結びつけられた長さ7〜8cmの柔軟なラテックス製バルーンの圧力制御された膨張によって、下行結腸および直腸を膨張させる。バルーンに潤滑剤を塗り、それを肛門から結腸に挿入し、バルーンカテーテルを尾部の基部にテープで止めて固定する。結腸直腸膨張(CRD:colorectal distension)は、一定の圧縮空気貯蔵所に通じるソレノイドゲートを開放することによって達成される。結腸内の圧力は、圧力制御装置によって制御および連続監視される。反応は、内臓運動反応(VMR:visceromotor response)、すなわち腹部および後肢筋組織の収縮として定量化する。外部の斜紋筋組織の収縮によって生成されるEMG活性は、Spike2ソフトウェア(Cambridge Electronic Design社)を用いて定量化する。各膨張試験を60秒間継続し、膨張の20秒前(基準)、膨張中の20秒間、および膨張後の20秒間のEMG活性を定量化する。膨張中に記録された基準を超える数の総数の増加を反応として定義する。CRDに対する安定な基準反応(10、20、40および80mmHg、20秒、4分間隔)は、処置前の意識のある鎮静剤投与されていない任意のラットで得られる。
【0228】
約6cmの深さで挿入される胃管栄養針で結腸内に注入されるザイモサン(1ml、25mg/ml)による結腸内処置によって生成される急性内臓侵害受容モデルおよび結腸過敏性モデルにおいて、最初に結腸膨張に対する反応への効果について化合物を評価する。実験群はそれぞれ8匹のラットで構成する。
【0229】
急性内臓侵害受容:急性内臓侵害受容に対する薬物の効果を試験するために、基準反応が確立された後、薬物、ビークルまたは陽性対照(モルヒネ、2.5mg/kg)の3種類の用量のうちの1つを投与し、その後の60〜90分間にわたって膨張に対する反応を追跡調査する。
【0230】
内臓過敏性:ザイモサンによる結腸内処置後の薬物またはビークルの効果を試験するために、基準反応が確立された後、結腸内処置を施す。薬物試験の4時間前に、膨張に対する反応を評価して、過敏性の存在を確立する。ザイモサン処置ラットでは、ザイモサン処置の4時間後に、薬物、ビークルまたは陽性対照(モルヒネ、2.5mg/kg)の3種類の用量うちの1つを投与し、その後の60〜90分間にわたって膨張に対する反応を追跡調査する。
実施例9:坐骨神経の慢性絞扼性神経損傷を有するラットにおける冷感異痛
ラットにおける神経因性疼痛の慢性絞扼性神経損傷(CCI)モデルを用いて、冷感異痛に対する本発明の化合物の効果を決定する。ここでは、冷感異痛を、金属プレート床を備え、かつ1.5〜2.0cmの深さで3〜4℃の温度の水を含む冷水浴で測定する(Gogas, K.R. et al., Analgesia, 1997, 3, 1-8)。
【0231】
具体的には、CCIラットを麻酔し、坐骨神経の三分岐の位置を探し、4本の結紮糸(4−0または5−0縫合糸(chromic gut))を三分岐の近位の坐骨神経の周りに円周方向に配置する。次いで、ラットを手術から回復させる。手術後4〜7日目に、動物を個々に冷水浴に入れ、かつ1分間にわたって負傷した肢の総肢上げ数(負傷した肢が水の中から持ち上げられる回数)を記録することによって、最初に冷感誘発性異痛症についてラットを評価する。歩行運動または体の再配置に関連する肢上げは記録しない。手術後4〜7日目に、1分あたり5回以上の肢上げを示したラットは冷感異痛を呈しているとみなし、後続の調査に使用する。急性調査では、試験の30分前に、ビークル、参照化合物または本発明の化合物を皮下投与する。以下の投与計画:7日間にわたる約12時間間隔(1日2回)のビークル、参照化合物または本発明の化合物の経口投与、の最後の経口用量から14、20または38時間後に、冷感異痛に対する本発明の化合物の反復投与の効果を決定する。
実施例10:C3H/HeJマウスにおける癌性骨痛
C3H/HeJマウスの遠位大腿骨に2472肉腫細胞を髄内注射してから7〜18日目に、骨痛に対する本発明の化合物の効果を決定する。
【0232】
具体的には、髄内注射後に骨内に溶解性病変を形成することを以前に示したNCTC2472腫瘍細胞(米国培養細胞系統保存機関、ATCC:American Type Culture Collection)を、ATCCの推奨に従って増殖および維持する。約10個の細胞を、麻酔したC3H/HeJマウスの遠位大腿骨の髄腔に直接注射した。約7日目に開始して、自発的な生体防御行動(畏縮(flinching)および警戒(guarding))、触診誘発生体防御行動(畏縮および警戒)、強制的歩行警戒(forced ambultory guarding)および肢の使用についてマウスを評価する。単回急性(皮下)投与から7〜15日目に、本発明の化合物の効果を決定する。さらに、7〜15日目の本発明の化合物の反復(2日に1回)投与の効果を、7、9、11、13および15日目の最初の用量から1時間以内に決定する。
【0233】
本発明をその具体的な態様を参照しながら説明してきたが、様々な変形が可能であり、かつ本発明の真の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で均等物を代用し得ることが、当業者によって理解されるはずである。さらに、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1以上のプロセス工程を本発明の目的の趣旨および範囲に適応させるために、多くの修正が可能である。そのような全ての修正は、本明細書に添付されている特許請求の範囲に含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいピリダジニルまたは置換されていてもよいピリジニルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、ハロ−C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1〜6アルキルまたはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルであるか、
あるいは、RおよびRは一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成し、
は、水素、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルまたはピリミジニルであり、
は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、アミノ−C1〜6アルキル、アミノ、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキセタニル、C1〜6アルキル、ハロ、ハロ−C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいフェニル、C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいチエニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいフラニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいチアゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキサゾリル、C1〜6アルキルおよびフェニルから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいイソオキサゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピラゾリル、C1〜6アルキルで1置換されていてもよいチアジアゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、C1〜6アルキルまたはアセチルで置換されていてもよいピペリジニル、ピラジニルまたはC1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピリジニルであり、
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはハロである)
の化合物。
【請求項2】
式I:
【化2】

(式中、
は、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいピリダジニルまたは置換されていてもよいピリジニルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、ハロ−C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルであるか、
あるいは、RおよびRは一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成し、
は、水素、C1〜6アルキルまたはピリミジニルであり、
は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル、アミノ−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキセタニル、C1〜6アルキル、ハロ、ハロ−C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいフェニル、C1〜6アルキルおよびC1〜6アルコキシから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいチエニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいフラニル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいチアゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいオキサゾリル、C1〜6アルキルおよびフェニルから独立に選択される1つ以上の基で1もしくは2置換されていてもよいイソオキサゾリル、C1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピラゾリル、C1〜6アルキルで1置換されていてもよいチアジアゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、C1〜6アルキルまたはアセチルで置換されていてもよいピペリジニルまたはC1〜6アルキルで1もしくは2置換されていてもよいピリジニルであり、
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはハロである)
の請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、RおよびRが水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が4位においてメチルまたはハロで置換され、かつ2位においてハロで置換されていてもよいフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が4−メチル−フェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
該化合物が式II:
【化3】

(式中、
Xは、−N−または−CR(式中、Rは、水素、ハロまたはメチルである)であり、
10は、メチルまたはハロであり、
、R、RおよびRは請求項2に記載されているとおりである)
の化合物である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
が水素またはメチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルスルファニル−C1〜6アルキル、C1〜6アルキルスルホニル−C1〜6アルキル、アミノ−C1〜6アルキル、N−C1〜6アルキル−アミノ−C1〜6アルキル、N,N−ジ−C1〜6アルキル−アミノ−C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、置換されていてもよいフェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル−C1〜6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
が、C1〜6アルキルオキシ−C1〜6アルキル、ヒドロキシ−C1〜6アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル−C1〜6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
が、ピリジニル、ピリミジニルまたはピラジニルから選択されるヘテロアリールであり、それらのうちのそれぞれがメチルで1もしくは2置換されていてもよい、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
が、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ピラジン−2−イルまたは5−メチル−ピラジン−2−イルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
が、水素、メチル、エチルまたはピリミジン−4−イルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項13】
が、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキルまたはC3〜7シクロアルキル−C1〜6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項14】
該化合物が以下:
4−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
フラン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−ベンゾイルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
ピリジン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−(シクロヘキサンカルボニル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(2,4−ジメチル−ベンゾイルアミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(2−クロロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
チアゾール−4−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
2,5−ジメチル−オキサゾール−4−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−メチル−イソオキサゾール−3−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
4−メトキシ−チオフェン−3−カルボン酸[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−アミド;
4’−メチル−5−(メチル−プロピオニル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−(メチル−プロピオニル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸((R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミド;
5−(アセチル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(アセチル−エチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[(2−メトキシ−アセチル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[エチル−(2−メトキシ−アセチル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(アセチル−ピリミジン−4−イル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−(プロピオニル−ピリミジン−4−イル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(イソブチリル−ピリミジン−4−イル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
ピラジン−2−カルボン酸エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
N−エチル−N−[5−(2−メトキシ−1−メチル−エチルカルバモイル)−4’−メチル−ビフェニル−3−イル]−イソニコチンアミド;
5−[エチル−(3−メチル−ブチリル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[エチル−(3−メチル−ブチリル)−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
N−エチル−N−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−ニコチンアミド;
5−[(2,2−ジメチル−プロピオニル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(シクロプロパンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−カルバミン酸イソブチルエステル;
4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボン酸メチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−カルバミン酸イソプロピルエステル;
5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−カルバミン酸メチルエステル;
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸エチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−イソブチリルアミノ−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸メチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
モルホリン−4−カルボン酸[4’−クロロ−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−メチル−アミド;
4’−クロロ−5−(3−エチル−1−メチル−ウレイド)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−[メチル−(2−メチル−ブチリル)−アミノ]−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[(2−エチル−ブチリル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−[(2,2−ジメチル−ブチリル)−メチル−アミノ]−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(エチル−イソブチリル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(シクロペンタンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
5−(シクロペンタンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
5−(シクロヘキサンカルボニル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
4’−メチル−5−[メチル−(2−メチル−ブチリル)−アミノ]−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’−クロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’−クロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’−クロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド;
4’−クロロ−5−(トリメチル−ウレイド)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’−フルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’−フルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’−フルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド;
1−アセチル−ピペリジン−4−カルボン酸メチル−[4’−メチル−5−(1−ピラジン−2−イル−エチルカルバモイル)−ビフェニル−3−イル]−アミド;
5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−4’−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(ピラジン−2−イルメチル)−アミド;
2’,4’−ジクロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸((R)−2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’,4’−ジクロロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
2’,4’−ジフルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸((R)−2−メトキシ−1−メチル−エチル)−アミド;
2’,4’−ジフルオロ−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ビフェニル−3−カルボン酸(1−ピラジン−2−イル−エチル)−アミド;
3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−N−(1−ピラジン−2−イル−エチル)−ベンズアミド;
3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−ベンズアミド;
3−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−5−(イソブチリル−メチル−アミノ)−ベンズアミド;
3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−N−(1−ピラジン−2−イル−エチル)−ベンズアミド;
3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−N−(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド;
N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−3−(イソブチリル−メチル−アミノ)−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド;および
3−メチル−オキセタン−3−カルボン酸メチル−[3−[(5−メチル−ピラジン−2−イルメチル)−カルバモイル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−フェニル]−アミド;
から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
治療的に活性な物質として使用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療に使用されるか、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療に使用される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
(a)医薬的に許容される担体および(b)請求項2に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項18】
膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療方法、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療方法であって、それを必要としている対象に請求項2に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項19】
膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療のため、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療のための請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
膀胱容量の減少、頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱反応亢進、良性前立腺肥大、前立腺炎、排尿筋過反射、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎または特発性膀胱過敏症から選択される尿路疾患の治療薬、あるいは炎症痛、術後痛、内臓痛、歯痛、月経前痛、中枢性疼痛、火傷による痛み、片頭痛もしくは群発性頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス性、寄生性もしくは細菌性感染症、外傷後損傷または過敏性腸症候群に伴う痛みから選択される疼痛疾患の治療薬の調製のための請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
これより前に記載されているような発明。

【公表番号】特表2012−530750(P2012−530750A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516659(P2012−516659)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058611
【国際公開番号】WO2010/149578
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】