説明

新規なフェノール誘導体、及び医薬として又は化粧品としてのその使用

本発明は、一般式:


の新規な化合物、及び化粧品としての又は医薬としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式:
【0002】
【化1】

【0003】
の新規な化合物、及び化粧品としての又は医薬としてのその使用に関する。
【0004】
本発明は、強力なアンドロゲン受容体モジュレーターである新規なフェノール誘導体を提供することを企図する。
【背景技術】
【0005】
アンドロゲン受容体活性を調節する分子を記述している先行技術文書のうち、例えば、特許出願EP580459、又は出願WO2005/42464において記載されているフェニルイミダゾリンを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP580459
【特許文献2】WO2005/42464
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】the Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use、Stahl及びWermuth、(Wiley-VCH、2002)
【非特許文献2】Org. Pro R. & D.、(2006)、971〜1031頁
【非特許文献3】「Protective Groups in Organic Chemistry」、McOmie J.W.F.、Plenum Press、1973
【非特許文献4】「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、Greene T.W.及びWuts P.G.M.、John Wiley & Sons、1991
【非特許文献5】「Protecting Groups」、Kocienski P.J.、1994、Georg Thieme Verlag
【非特許文献6】J. Molecular Biology、(1965)、12(1)、88〜118頁、Monod J.ら
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、下記の一般式(I):
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、
R1は、C2〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)m-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)n-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)n-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)p-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、NO2若しくはNR8R9基、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよい。
R2及びR3は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜9アルキル、C3〜9シクロアルキル、C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)r-C3〜9シクロアルキル、-C2〜6アルキル-OH、-(CH2)r-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)r-C3〜7シクロアルキル、-(CH2)r-C1〜6フルオロアルキル若しくは-(CH2)q-O-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R2及びR3基は、それらを持つ炭素原子と一緒に、C3〜9シクロアルキル基、又は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ-1-オキシチオピラン若しくはテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオピランなどの複素環を形成することができる。
R4、R5、R6、R7は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)s-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)t-C3〜9シクロアルキル、-C1〜6アルキル-OH、-(CH2)t-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)t-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)u-O-C1〜6フルオロアルキル、CORd、CN若しくはNR8'R9'基、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRc基で任意選択により置換されていてもよい。
Xは、CH又はNを表す。
Yは、窒素原子、或いは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)v-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)l-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)l-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)w-O-C1〜6フルオロアルキル、CORe、CN、NR10R11若しくはNO2基、水素原子、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基で置換されている炭素原子のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基又はヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよく、
Ra、Rd及びReは、同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ又はNR12R13基を表す。
Rb及びRcは、同一であり、又は異なり、ハロゲン、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)j-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、OH、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)i-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)i-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)z-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN若しくはNR14R15基を表す。
R8及びR8'は、同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)f-C3〜7シクロアルキル又は-(CH2)f-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
R9、R9'、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)g-C3〜7シクロアルキル若しくは-(CH2)g-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R8及びR9基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R8'及びR9'基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R10及びR11基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R12及びR13基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R14及びR15基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。
f、g、i、l、n、r及びtは、異なり、又は同一であり、1、2又は3に等しく、
j、m、s及びvは、異なり、又は同一であり、0、1又は2に等しく、
p、q、u、w及びzは、異なり、又は同一であり、2、3又は4に等しい]
に対応する新規のフェノール誘導体、また並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物及びその立体異性体又は回転異性体に関する。
【0011】
式(I)の化合物は、1個若しくは複数の不斉炭素原子を含んでいてもよい。式(I)の化合物は、したがって、鏡像異性体又はジアステレオマーの混合物の形態で存在していてもよい。これらの鏡像異性体及びジアステレオマー、また並びにそれらのラセミ混合物を含む混合物は、本発明の部分を形成する。
【0012】
式(I)の化合物は、塩基又は酸付加塩の形態で存在していてもよい。そのような付加塩は、本発明の部分を形成する。これらの塩は、有利には、薬学的に許容される酸を用いて調製されるが、例えば、式(I)の化合物を精製又は単離するために有用な別の酸の塩もまた、本発明の部分を形成する。これらの酸は、例えば、ピクリン酸、シュウ酸又は光学活性酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸又はカンファースルホン酸、及び、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩又はパラ-トルエンスルホン酸塩などの生理学的に許容される塩を形成するものであってもよい。生理学的に許容される塩の総説については、Stahl及びWermuthのthe Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use (Wiley-VCH、2002)を参照されたい。
【0013】
溶媒和物又は水和物は、合成工程後に、直接得ることができ、化合物(I)は、水和物、例えば一水和物若しくは半水和物、又は反応溶媒若しくは精製溶媒の溶媒和物の形態で単離される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の文脈において、以下の定義が適用される。
Cb-cにおいて、b及びcは、1〜9の値をとってもよく:b個〜c個の炭素原子の炭素ベースの鎖、例えば、C1〜6は、1個〜6個の炭素原子を含有し得る炭素ベースの鎖であり、
アルキル:直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族基、例えば、C1〜6アルキル基は、直鎖状又は分岐状の1個〜6個の炭素原子の炭素ベースの鎖、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシル基を表し、
シクロアルキル:環状の、任意選択により分岐状の、3個〜7個の炭素原子を含有している飽和の炭素ベースの鎖。例として、C3〜7シクロアルキル基は、3個〜7個の炭素原子を含有している炭素ベースの鎖、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを表し、
複素環:O、S及びNから選択される1種若しくは複数のヘテロ原子を含む、単環又は二環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの鎖、
ヘテロアリール:芳香族複素環、好ましくは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル又はイミダゾリル基、
ハロゲン:フッ素、塩素又は臭素原子、
アルキルオキシ:-O-アルキル基、
アルキルチオ:-S-アルキル基、
フルオロアルキル:1個若しくは複数の水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキル基、
フルオロアルキルオキシ:1個若しくは複数の水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキルオキシ基。
【0015】
上記で定義されている式(I)の化合物の群(A)が好ましく、この化合物において、
Xは、CHを表し、Yは、上記で定義されている基のうちの1つにより、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、CF3、CONH2、CO2CH3、CO2CH2CH3、CN、NO2、SCH3若しくはSCH2CH3基、水素原子、ハロゲン、又は、OCF3、OCH3、OCH2CH3若しくはOCH(CH3)2基により置換されている炭素原子を表す。
【0016】
その置換基X及びYが、上記又は好ましい群(A)中で定義されており、R1基が、ハロゲン、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表すような式(I)の化合物の群(B)は、好ましい化合物の群であり、さらに特に、R1が、ハロゲン、又は、メトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表すようなものが好ましい。
【0017】
下記の化合物、並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物及び水和物及び立体異性体又は回転異性体が特に好ましい:
2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモピリジン-2-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
6-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)ピリジン-2-カルボニトリル
2-[1-(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[(6-トリフルオロメチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-エチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-エトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-イソプロポキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
5-クロロ-2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-トリフルオロメチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-クロロピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-4-トリフルオロメチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-4-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メトキシピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-メトキシ-6-メチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メチルスルファニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メタンスルフィニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メタンスルホニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-6-メチルフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(4-クロロ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-6-フルオロフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(6-ブロモ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(4-クロロ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(6-クロロ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[1-(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[1-(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[1-(6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1-メチルエチル]フェノール
2-[1-(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)プロピル]-4-フルオロフェノール
2-[1-(6-ブロモピリジン-2-イルアミノ)プロピル]-4-フルオロフェノール
4-フルオロ-2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
4-フルオロ-2-[1-(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)エチル]フェノール
4-フルオロ-2-[1-(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[(6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-4-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
【0018】
本発明の対象はまた、一般式(I)の化合物を調製するプロセスである。
【0019】
本発明によれば、式(I)の化合物は、以下のスキーム1に記載されている3つの方法のうちの1つによって調製することができ、任意選択により、スキーム2に記載されている反応のうちの1つ又は複数によって完了することができる。
【0020】
スキーム1
【0021】
【化3】

【0022】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X及びYが上記で定義されている通りである式(I)のフェノール化合物は、例えば、及び非限定的な形で、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの還元剤の存在下において、スキーム1に示されている方法1aに従って、及び例えば、Org. Pro R. & D.、(2006)、971〜1031頁に記載されている反応と類似した反応によって、アルデヒド又はベンジルケトン(II)とアミン(III)との間の還元的アミノ化反応によって調製することができる。
【0023】
式(I)のフェノール化合物は、非限定的な形で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどの塩基の存在下において、例えば、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中で、スキーム1の方法1bに記載されているように、脱離基を含む複素環(V)とベンジルアミンとの間の反応によって調製することができる。「脱離基」という用語は、非限定的な形で、ハロゲン、メシラート、トシラート又はトリフラートなどの当業者に周知の基を意味する。
【0024】
式(I)のフェノール化合物を調製する第3の方法は、非限定的な形で、スキーム1の方法1cに示されているように、水素化リチウムアルミニウムなどの反応性の水素供与基を使用してアミド中間体(VII)を還元することに本質がある。これらのアミド中間体は、例えば、及び非限定的な形で、ピリジン中での塩化アシル(VI)とアミン(III)との間の反応により調製してもよい。塩化アシル(VI)は、当業者に周知の手法に従い、例えば、塩化チオニル中で還流させながら、酸から調製する。
【0025】
スルホキシ基(X)又はスルホン基(XI)を含む特定の化合物は、任意選択により、スキーム2に記載されている通り、方法2aに従いチオエーテル中間体(IX)の酸化によって調製してもよい。酸化は、例えば、及び非限定的な形で、オキソンにより実施してもよい。チオエーテル中間体(IX)は、非限定的な形で、塩素原子などの脱離基を含む化合物(VIII)から、ジメチルスルホキシド中でチオラートと反応させることにより調製してもよい。エーテル基を含む特定の化合物は、任意選択により、中間体(VIII)を、例えば、及び非限定的な形で、水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下でメタノールなどの対応するアルコールと反応させることによって、任意選択により、マイクロ波オーブン中で、スキーム2に記載されている通り、方法2bに従い加熱することによって、調製してもよい。
【0026】
スキーム2
【0027】
【化4】

【0028】
このプロセスにおいて使用される反応中間体中に任意選択により存在する官能基は、永続的に又は一時的に、予期される化合物の明白な合成を確実にする保護基を用いて保護されてもよい。保護反応及び脱保護反応は、当業者に周知の手法に従って実施される。「アミン、アルコール又はカルボン酸の一時的な保護基」という用語は、McOmie J.W.F.、Plenum Pressにより1973年に出版された「Protective Groups in Organic Chemistry」において、John Wiley & Sons、1991により編集された「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、Greene T.W.及びWuts P.G.M.において、及び「Protecting Groups」、Kocienski P.J.、1994、Georg Thieme Verlagにおいて記載されているものなどの保護基を意味する。
【0029】
本発明の対象である製品は、有利な薬理学的特性を有し、これらがアンドロゲン受容体活性を調節することが特に注目された。
【0030】
実験の部に記載されている試験は、このアンドロゲン受容体モジュレート活性を例証する。本発明の対象である製品は、部分的な又は全体のアンタゴニスト活性又はアゴニスト活性を示す。この活性のために、本発明の製品は、ヒト又は動物において医薬として使用することができる。
【0031】
これらの特性により、本発明の一般式(I)の製品は、前立腺がん又は乳がんなどのホルモン依存性がんを治療するため、また及び良性前立腺肥大症、思春期早発症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群、スタイン-リーヴェンサール症候群、性欲低下、又は子宮内膜炎と闘うために、医薬として使用することができる。部分的な又は全体のアゴニスト活性を示す化合物は、特に、筋肉量の低下(サルコペニア)、筋萎縮、インポテンス及び男性不妊症、異常な男性分化(半陰陽)、性腺機能低下症又は骨粗鬆症などの疾患を治療するために使用することができる。
【0032】
本発明の一般式(I)の製品には、体又は毛髪の健康のための化合物において、化粧品として用途がある。
【0033】
本発明の一般式(I)の製品はまた、多毛症、ざ瘡、脂漏症、脂性肌、アンドロゲン性脱毛症又は過剰発毛の治療において用途があり、これらは、多毛症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、アトピー性皮膚炎、又は、過剰脂漏症、ざ瘡、脂性肌若しくは脂漏性皮膚炎などの皮脂腺障害を予防及び/又は治療するための医薬の製造のために使用することができる。式(I)の製品はしたがって、皮膚科学において使用することができ、これらは単独で又は組み合わせて使用することができる。式(I)の製品は、アゼライン酸、フシジン酸又はエリスロマイシンの誘導体などの抗生物質製品と、或いはざ瘡の治療のためのトレチノインなどのレチノイド誘導体と、或いは(5α,17β)-N-1,1-ジメチルエチル-3-オキソ-4-アザアンドロスト-1-エン-17-カルボキサミド(又はフィナステリド、Merck、第13版)若しくはアゼライン酸などの5a-レダクターゼ阻害剤、又はざ瘡、脱毛症若しくは多毛症の治療のためのアンドロゲン受容体遮断薬と、或いは脱毛症の治療のためのMinoxidilなどの発毛を刺激する製品と、特に組み合わせることができる。
【0034】
本発明の対象はまた、医薬としての、上述した式(I)の化合物、また並びにその薬学的に許容される塩並びに薬学的に許容される溶媒和物及び/又は水和物である。
【0035】
本発明による式(I)の活性化合物の調製のいくつかの例、及びそのような化合物の生物活性の結果を、例示として及び非限定的に、下記に示す。
【0036】
手順
<実施例1>
<2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール>
<スキーム1、方法1aによる合成>
512mg(2.41mmol、1.5当量)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを、20mlのテトラヒドロフラン中の200mg(1.61mmol、1当量)の6-メトキシピリジン-2-イルアミン(出発材料1)及び236mg(2.41mmol、1当量)の2-ヒドロキシベンズアルデヒド(出発材料2)の溶液に添加する。この溶液を室温で48時間撹拌する。この溶液を蒸発させ、残渣をジクロロメタン100ml中に取り、次いで、塩化アンモニウムの飽和水溶液で抽出する。水相をジクロロメタンで2回抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させる。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(5/95の酢酸エチル/ヘプタン)にかける。2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。融点=103℃。
1H NMR (CDCl3): 3.94 (s, 3H); 4.52 (d, 2H, J=3.08Hz); 4.95 (s, 1H), 6.03 (dd, 2H, J=6.2Hz, J'=1.64Hz); 6.85 (t, 1H, J=6.28Hz, J'=7.4Hz); 6.95 (d, 1H, J=9.04Hz); 7.15〜7.23 (m, 2H); 7.36 (t, 1H, J=7.92Hz, J'=7.96Hz); 10.21 (s, 1H)
【0037】
6-アミノピリジン-2-カルボニトリル中間体の調製
340mg(2.89mmol、1当量)のシアン化亜鉛を、マイクロ波管に入った10mlのジメチルホルムアミド中の500mg(2.89mmol、1当量)の6-ブロモピリジン-2-イルアミンに添加する。170mg(0.147mmol、0.05当量)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを添加する。媒体を、マイクロ波オーブン中で170℃にて1時間30分加熱する。50mlの酢酸エチルを媒体に添加し、この媒体をセライトで濾過する。濾液を水で洗浄し、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させる。残渣を、ヘプタン中で研和する。6-アミノピリジン-2-カルボニトリルが、オレンジ色の固体の形態で得られる。
融点=92℃。
【0038】
6-エトキシピリジン-2-イルアミン中間体の調製
マイクロ波管中に、500mg(2.89mmol)の2-アミノ-6-ブロモピリジンを導入し、そこに、2mlのエタノール及び231mg(5.78mmol、2当量)の水酸化ナトリウムを添加する。この混合物を、マイクロ波オーブン中で170℃、10時間加熱する。反応媒体を50mlのジクロロメタンで希釈してから、50mlの水で2回洗浄する。有機相を濃縮乾固し、溶出液としてヘプタン/酢酸エチル(1/1)を用いて、残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製する。予期される生成物が、無色の油の形態で得られる。
【0039】
6-イソプロポキシピリジン-2-イルアミン中間体の調製
この中間体は、エタノールをイソプロパノールに置き換えて、6-エトキシピリジン-2-イルアミンについて記載した手順に従って調製される。予期される生成物が、無色の油の形態で得られる。
【0040】
<実施例2〜12>
実施例2〜12を、下記の表1に記載する。化合物は、実施例1において挙げている出発材料1及び2を、表1において挙げている製品で置き換えて、上述した手順に従って合成される。
【0041】
【表1A】

【0042】
【表1B】

【0043】
【表1C】

【0044】
<実施例13>
<2-[(6-ブロモピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール>
<スキーム1、方法1bによる合成>
50m
lの丸底フラスコ中に、1g(4.2mmol)の2,6-ジブロモピラジン(出発材料3)を導入し、そこに、15mlのジメチルスルホキシド、638mg(4.2mmol、1当量)の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン及び1.03g(8.4mmol、2当量)の2-ヒドロキシベンジルアミン(出発材料4)を添加し、この混合物を室温で2時間撹拌させておく。反応媒体を、50mlの酢酸エチルで希釈し、次いで、混合物を、50mlの塩化アンモニウム飽和溶液で洗浄してから、50mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製し、溶出液としてヘプタン/酢酸エチル混合液(8/2)を用いる。2-[(6-ブロモピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
融点=168℃。
1H NMR (DMSO): 4.36 (d, 1H, J=5.3Hz); 6.74〜6.76 (m, 1H); 6.83 (dd, 1H); 7.07〜7.11 (m, 1H); 7.17 (dd, 1H); 7.75 (s, 1H); 7.80〜7.83 (m, 1H); 7.96 (s, 1H); 9.61 (s, 1H)
【0045】
<実施例14〜18>
実施例14〜18を、下記の表2に記載する。化合物は、実施例13において挙げている出発材料3及び4を、表2において挙げている製品で置き換えて、上記の手順に従って合成される。
【0046】
【表2】

【0047】
<実施例19>
<2-[(6-メトキシピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール>
<スキーム2、方法2bによる合成>
マイクロ波管中に、先に実施例12に記載したように調製した363mg(1.29mmol)の2-[(6-ブロモピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールを導入し、そこに、3mlのメタノール及び103mg(2.58mmol、2当量)の水酸化ナトリウムを添加する。次に、反応混合物をマイクロ波オーブン中で150℃、30分間加熱してから、50mlの酢酸エチルで希釈する。この混合物を塩化アンモニウム溶液でpH=7に中和し、デカントし、有機相を50mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製し、溶出液としてヘプタン/酢酸エチル(7/3)を用いる。2-[(6-メトキシピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
融点=158℃。
1H NMR (DMSO): 3.78 (s, 1H); 4.40 (d, 2H, J=5.2Hz); 6.73 (t, 1H, J=7.4Hz); 6.81 (d, 1H, J=8Hz); 7.05 (t, 1H, J=7.8Hz); 7.19 (d, 1H, J=7.4Hz); 7.26 (s, 1H); 7.31〜7.32 (m, 1H); 7.50 (s, 1H); 9.55 (s, 1H)。
【0048】
<実施例20>
<2-[(2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール>
この化合物は、2-[(2-クロロピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノールから開始して、実施例19について記載した手順に従って調製される。2-[(2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
融点=161℃。
1H NMR (CD3OD): 3.90 (s, 3H); 4.53 (s, 3H); 6.15 (d, 2H, J=6.0Hz); 6.77〜6.81 (m, 2H); 7.07〜7.12 (m, 1H); 7.21 (d, 1H, J=7.4Hz); 7.78 (s, 1H)
【0049】
<実施例21>
<2-[(2-メトキシ-6-メチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール>
この化合物は、2-[(2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノールから開始して、実施例19について上記した手順に従って調製される。
1H NMR (DMSO): 2.12 (s, 3H); 3.74 (s, 3H); 4.38 (m, 2H); 6.04 (s, 1H); 6.73 (t, 1H, J=7.4Hz); 6.80 (d, 1H, J=8.0Hz); 7.06 (t, 1H, J=7.7Hz); 7.11 (d, 1H, J=7.3Hz); 7.65 (s, 1H); 9.71 (s, 1H)。
【0050】
<実施例22>
<2-[(6-メチルスルファニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール>
<スキーム2、方法2aによる合成>
マイクロ波管中に、300mg(1.28mmol)の2-[(6-クロロピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールを導入し、そこに、5mlのジメチルスルホキシド及び448mg(6.4mmol、5当量)のナトリウムメタンチオラートを添加する。反応混合物を、90℃で16時間加熱する。反応媒体を、50mlの酢酸エチルで希釈してから、50mlの塩化アンモニウム飽和溶液で洗浄した後、2×50mlの蒸留水で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させてから、濾過し、濃縮乾固する。残渣を40gのシリカでのクロマトグラフィーにより精製し、溶出液としてヘプタン/酢酸エチル(7/3)を用いる。得られた生成物を酢酸エチル溶液中に戻し、この溶液が濁るまでヘプタンを加えてから、溶液を0℃に冷却し、濾過する。2-[(6-メチルスルファニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
融点=61℃。
1H NMR (DMSO): 2.38 (s, 3H); 4.38 (d, 2H, J=5.6Hz); 6.21 (d, 1H, J=8.2Hz); 6.34 (d, 1H, J=7.4Hz); 6.72 (t, 1H, 7.3Hz); 6.93〜6.96 (m, 1H); 7.04 (t, 1H, J=7.7Hz); 7.15 (d, 1H, J=7.1Hz); 7.23 (t, 1H, J=7.6Hz); 9.65 (s, 1H)。
【0051】
<実施例23>
<2-[(6-メタンスルフィニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール>
160mg(0.66mmol)の2-[(6-メタンスルファニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール及び406mg(0.66mmol、1当量)のオキソンを、20mlのジオキサン中で混合する。室温で1時間撹拌後、反応媒体を90℃で4時間加熱する。室温に戻した後、反応媒体を、50mlの酢酸エチルで希釈してから、50mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製し、溶出はヘプタン/酢酸エチル混合液(1/1)を用いて行う。2-[(6-メタンスルフィニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
融点=133℃。
1H NMR (CDCl3): 2.89 (s, 3H); 4.51 (d, 2H, J=6.2Hz); 5.32〜5.33 (m, 1H); 6.5 (dd, 1H); 6.87〜6.95 (m, 2H); 7.19〜7.28 (m, 2H); 7.30〜7.59 (m, 1H); 7.62 (t, 1H, J=7.3Hz); 9.28 (s, 1H)。
【0052】
<実施例24>
<2-[(6-メタンスルホニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール>
80mg(0.33mmol)の2-[(6-メタンスルファニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール及び406mg(0.66mmol、2当量)のオキソンを、20mlのジオキサン中で混合し、90℃で16時間加熱する。反応媒体を50mlの酢酸エチルで希釈してから、50mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製し、溶出はヘプタン/AcOEt混合液(1/1)を用いて行う。2-[(6-メタンスルホニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノールが、緑色がかった固体の形態で得られる。
1H NMR (CDCl3): 3.12 (s, 3H); 5.32〜5.33 (m, 1H); 6.58 (d, 1H, J=7.9Hz); 6.79〜6.83 (m, 1H); 6.87 (d, 1H, J=7.4Hz); 7.3 (d, 1H, J=6.6Hz); 7.5 (t, 1H, J=7.2Hz); 8.56 (s, 1H)。
【0053】
<実施例25>
<2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-6-メチルフェノール>
<スキーム1、方法1cによる合成>
80mg(2.1mmol、6当量)の水素化リチウムアルミニウムを、10mlのジオキサン中の90mg(0.35mmol)の2-ヒドロキシ-N-(6-メトキシピリジン-2-イル)-3-メチルベンズアミドの混合物に、少しずつ添加する。反応媒体を、80℃で16時間加熱する。80mg(2.1mmol、6当量)の水素化リチウムアルミニウムを再び添加し、この媒体を80℃で4時間加熱する。反応媒体を、50mlの酢酸エチルで希釈し、50mlの塩化アンモニウム飽和溶液で洗浄してから、50mlの水で2回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固する。残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製し、溶出はヘプタン/酢酸エチル混合液(1/1)を用いて行う。2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-6-メチルフェノールが、白色固体の形態で得られる。
1H NMR (CDCl3): 2.19 (s, 3H); 3.89 (s, 3H); 4.46 (d, 2H, J=6.7Hz); 4.75 (s, 1H); 5.93〜5.97(m, 2H); 6.68 (t, 1H, J=7.4Hz); 6.92 (d, 1H, J=7.5Hz); 7.0 (d, 1H, J=7.4Hz); 7.27 (t, 1H, J=7.9Hz), 9.66 (s, 1H)。
【0054】
<2-ヒドロキシ-N-(6-メトキシピリジン-2-イル)-3-メチルベンズアミド中間体の調製>
10mlの塩化チオニルを、1.47g(16.11mmol)の2-ヒドロキシ-3-メチル安息香酸に添加し、反応混合物を90℃で2時間加熱する。反応媒体を、トルエンで共沸させることにより濃縮乾固する。次に、残渣を10mlのピリジン溶液中に入れ、これに、600mg(4.83mmol、1当量)の2メトキシピリジン-6-アミンを滴下添加し、反応媒体を室温で1時間30分撹拌させておく。30mlの1M水酸化ナトリウム(19.34mmol、4当量)を添加し、反応媒体を60℃で16時間加熱する。反応媒体を100mlの酢酸エチルで希釈し、水相を抽出し、50mlの酢酸エチルで洗浄する。次に、37%HClを滴下添加して0℃で水相を酸性化させて、pH=4とする。有機相を50mlの酢酸エチルで2回抽出してから、これを50mlの水で2回洗浄する。有機相を濃縮乾固し、残渣をシリカクロマトグラフィーにより精製し、溶出はヘプタン/酢酸エチル混合液(1/1)を用いて行う。2-ヒドロキシ-N-(6-メトキシピリジン-2-イル)-3-メチルベンズアミドが、白色固体の形態で得られる。
1H NMR (CDCl3): 2.23 (s, 3H); 3.84 (s, 3H); 6.48 (d, 1H, J=8Hz); 6.78 (t, 1H, J=7.7Hz); 7.26 (d, 1H, J=7.3Hz); 7.38 (d, 1H, J=8Hz); 7.58 (t, 1H, J=8Hz); 7.76 (d, 1H, J=7.7Hz); 8.31 (s, 1H); 12.12 (s, 1H)。
【0055】
すべてのNMR(核磁気共鳴)スペクトルは、提案された構造に一致する。化学シフトは、100万分の1単位で表す。内部参照はテトラメチルシランである。以下の省略形を使用する:CDCl3=重水素化クロロホルム、DMSO=重水素化ジメチルスルホキシド、CD3OD=重水素化メタノール。
【0056】
<実施例26>
<生物学的試験>
本発明による化合物は、AR型の受容体に対する阻害特性を示す。このAR受容体阻害活性を、J. Molecular Biology、(1965)、12(1)、88〜118頁、Monod J.らに記載されている方法に従って、KdR(休止)、KdA(活性)及びKdapp(見かけ)解離定数によって、トランス活性化試験において測定する。
【0057】
「AR型受容体阻害剤」という表現は、本発明によれば、トランス活性化試験において、1μM以下のKdapp解離定数、及び10以下のKdR/KdA比を有する任意の化合物を意味する。
【0058】
本発明の好ましい化合物は、500nM以下、有利には100nM以下の解離定数を有する。
【0059】
トランス活性化試験は、PMMTV-neo-Luc(レポーター遺伝子)及びpSG5puro-ARプラスミドを含有する安定なトランスフェクタントであるPALM(PC3アンドロゲン受容体ルシフェラーゼMMTV)細胞株において行う。
【0060】
この試験において、2つの受容体状態についての各品の親和性(KdR及びKdA)を、見かけのKd(KdApp)として決定する。この定数は、2つのKdの結果であるが、活性状態と休止状態の間の受容体の初期の平衡(L0)及びその発現量にもまた依存する。この定数は、以下の式によって決定される:
1/KdApp=(L0/(1+L0))×(1/KdR)+(1/(1+L0))×(1/KdA)
【0061】
これらの定数を決定するために、参照アゴニストであるメチルトリエノロンに対する試験品の「交差曲線(cross curve)」を、96ウェルプレートにおいて作成する。試験品は10種類の濃度で、及び参照アゴニストは7種類の濃度で使用する。
【0062】
例示のために、化合物(1)では40nMのKdappが得られ、化合物(2)では2nMのKdappが得られ、化合物(19)では8nMのKdappが得られ、化合物(18)では1000nMのKdappが得られ、化合物(4)では200nMのKdappが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1は、C2〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)m-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)n-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)n-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)p-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、NO2若しくはNR8R9基、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有しており、これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよく、
R2及びR3は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜9アルキル、C3〜9シクロアルキル、C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)r-C3〜9シクロアルキル、-C2〜6アルキル-OH、-(CH2)r-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)r-C3〜7シクロアルキル、-(CH2)r-C1〜6フルオロアルキル若しくは-(CH2)q-O-C1〜6フルオロアルキル基を表し、
任意選択により、前記R2及びR3基は、それらを持つ炭素原子と一緒に、C3〜9シクロアルキル基、又は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ-1-オキシチオピラン若しくはテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオピランなどの複素環を形成することができ、
R4、R5、R6、R7は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)s-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)t-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)t-C3〜9シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)t-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)t-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)u-O-C1〜6フルオロアルキル、CORd、CN若しくはNR8'R9'基、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有しており、これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRc基で任意選択により置換されていてもよく、
Xは、CH又はNを表し、
Yは、窒素原子、或いは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)v-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)l-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)l-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)w-O-C1〜6フルオロアルキル、CORe、CN、NR10R11若しくはNO2基、水素原子、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基で置換されている炭素原子のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有しており、これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよく、
Ra、Rd及びReは、同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ又はNR12R13基を表し、
Rb及びRcは、同一であり、又は異なり、ハロゲン、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)j-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、OH、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)i-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)i-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)z-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN若しくはNR14R15基を表し、
R8及びR8'は、同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)f-C3〜7シクロアルキル又は-(CH2)f-C1〜6フルオロアルキル基を表し、
R9、R9'、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一であり、又は異なり、水素原子、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)g-C3〜7シクロアルキル若しくは-(CH2)g-C1〜6フルオロアルキル基を表し、
任意選択により、前記R8及びR9基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができ、任意選択により、R8'及びR9'基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができ、任意選択により、R10及びR11基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができ、任意選択により、R12及びR13基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができ、任意選択により、R14及びR15基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができ、
f、g、i、l、n、r及びtは、異なり、又は同一であり、1、2又は3に等しく、
j、m、s及びvは、異なり、又は同一であり、0、1又は2に等しく、
p、q、u、w及びzは、異なり、又は同一であり、2、3又は4に等しい]
の化合物、また並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物及びその立体異性体又は回転異性体。
【請求項2】
Xが炭素原子を表し、Yが、上記で定義した基のうちの1つで、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、CF3、CONH2、CO2CH3、CO2CH2CH3、CN、NO2、SCH3若しくはSCH2CH3基、又は水素原子、ハロゲン、又は、OCF3、OCH3、OCH2CH3若しくはOCH(CH3)2基で任意選択により置換されている炭素原子を表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記R1基が、ハロゲン、又は、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記R1基が、ハロゲン、又は、メトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表すことを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
下記の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物、並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体及び回転異性体:
2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモピリジン-2-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
6-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)ピリジン-2-カルボニトリル
2-[1-(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[(6-トリフルオロメチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-エチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-エトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-イソプロポキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
5-クロロ-2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-トリフルオロメチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-クロロピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-4-トリフルオロメチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-4-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メトキシピラジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-メトキシ-6-メチルピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メチルスルファニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メタンスルフィニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メタンスルホニルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-6-メチルフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(4-クロロ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-6-フルオロフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(6-ブロモ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(4-クロロ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(6-クロロ-2-メトキシピリミジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[1-(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[1-(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[1-(6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イルアミノ)-1-メチルエチル]フェノール
2-[1-(4-ブロモ-6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)プロピル]-4-フルオロフェノール
2-[1-(6-ブロモピリジン-2-イルアミノ)プロピル]-4-フルオロフェノール
4-フルオロ-2-[(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
4-フルオロ-2-[1-(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)エチル]フェノール
4-フルオロ-2-[1-(6-メトキシピリジン-2-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[(6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-4-メトキシピリジン-2-イルアミノ)メチル]フェノール。
【請求項6】
医薬としての、請求項1から5のいずれか一項に定義された化合物。
【請求項7】
体又は毛髪の健康のための、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物の化粧品としての使用。
【請求項8】
多毛症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、アトピー性皮膚炎、又は、過剰脂漏症、ざ瘡、脂性肌若しくは脂漏性皮膚炎などの皮脂腺障害を予防及び/又は治療するための医薬の製造のための、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
ざ瘡を治療するための医薬の製造のための、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−515705(P2013−515705A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545395(P2012−545395)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052871
【国際公開番号】WO2011/077043
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】