説明

新規なフェノール誘導体、及び医薬として又は化粧品としてのその使用

本発明は、一般式:


の新規な化合物、及び化粧品としての又は医薬としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式:
【0002】
【化1】

【0003】
の新規な化合物、及び化粧品としての又は医薬としてのその使用に関する。
【0004】
本発明は、強力なアンドロゲン受容体モジュレーターである新規なフェノール誘導体を提供することを企図する。
【背景技術】
【0005】
アンドロゲン受容体活性を調節する分子を記述している先行技術文書のうち、例えば、特許出願EP580459、又は出願WO2005/42464において記載されているフェニルイミダゾリンを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP580459
【特許文献2】WO2005/42464
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】the Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use、Stahl及びWermuth、(Wiley-VCH、2002)
【非特許文献2】Org. Pro R. & D.、(2006)、971〜1031頁
【非特許文献3】「Protective Groups in Organic Chemistry」、McOmie J.W.F.、Plenum Press、1973
【非特許文献4】「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、Greene T.W.及びWuts P.G.M.、John Wiley & Sons、1991
【非特許文献5】「Protecting Groups」、Kocienski P.J.、1994、Georg Thieme Verlag
【非特許文献6】Merck、第13版
【非特許文献7】J. Molecular Biology (1965)、12(1)、88-118、Monod J.ら
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、下記の一般式(I):
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、
R1は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)m-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)n-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)n-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)p-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、NO2若しくはNR8R9基、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよく、
R2は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)v-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)q-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)q-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)q-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)q-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)r-O-C1〜6フルオロアルキル、CORd、CN、NO2若しくはNR8'R9'基、水素原子、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRe基で任意選択により置換されていてもよく、
R3は、水素原子、又は、C1〜9アルキル、C3〜9シクロアルキル、C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)t-C3〜9シクロアルキル、-C2〜6アルキル-OH、-(CH2)u-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)t-C3〜7シクロアルキル、-(CH2)t-C1〜6フルオロアルキル若しくは-(CH2)u-O-C1〜6フルオロアルキル基を表し、
R4、R5、R6及びR7は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)l-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)i-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)i-C3〜9シクロアルキル、-C1〜6アルキル-OH、-(CH2)i-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)i-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)j-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN若しくはNR10R11基、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRc基で任意選択により置換されていてもよく、
Ra、Rd及びRfは、同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ又はNR12R13基を表し、
Rb、Rc及びReは、同一であり、又は異なり、ハロゲン、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)k-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)g-C3〜7シクロアルキル、OH、-(CH2)g-C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)g-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)g-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)w-O-C1〜6フルオロアルキル、CORf、CN若しくはNR14R15基を表し、
R8、R8'、R9、R9'、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)h-C3〜7シクロアルキル若しくは-(CH2)h-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R8及びR9基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R8'及びR9'基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R10及びR11基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R12及びR13基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R14及びR15基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができ、
g、h、i、n、q及びtは、異なり、又は同一であり、1、2又は3に等しく、
k、l、m及びvは、異なり、又は同一であり、0、1又は2に等しく、
j、p、r、u及びwは、異なり、又は同一であり、2、3又は4に等しい]
に対応する新規のフェノール誘導体、また並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物及びその立体異性体又は回転異性体に関する。
【0011】
式(I)の化合物は、1個若しくは複数の不斉炭素原子を含んでいてもよい。式(I)の化合物は、したがって、鏡像異性体又はジアステレオマーの混合物の形態で存在していてもよい。これらの鏡像異性体及びジアステレオマー、また並びにそれらのラセミ混合物を含む混合物は、本発明の部分を形成する。
【0012】
式(I)の化合物は、塩基又は酸付加塩の形態で存在していてもよい。そのような付加塩は、本発明の部分を形成する。これらの塩は、有利には、薬学的に許容される酸を用いて調製されるが、例えば、式(I)の化合物を精製又は単離するために有用な別の酸の塩もまた、本発明の部分を形成する。これらの酸は、例えば、ピクリン酸、シュウ酸又は光学活性酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸又はカンファースルホン酸、及び、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩又はパラ-トルエンスルホン酸塩などの生理学的に許容される塩を形成するものであってもよい。生理学的に許容される塩の総説については、Stahl及びWermuthのthe Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use (Wiley-VCH、2002)を参照されたい。
【0013】
溶媒和物又は水和物は、合成工程後に、直接得ることができ、化合物(I)は、水和物、例えば一水和物若しくは半水和物、又は反応溶媒若しくは精製溶媒の溶媒和物の形態で単離される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の文脈において、以下の定義が適用される。
Cb-cにおいて、b及びcは、1〜9の値をとってもよく:b個〜c個の炭素原子の炭素ベースの鎖、例えば、C1〜6は、1個〜6個の炭素原子を含有し得る炭素ベースの鎖であり、
アルキル:直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族基、例えば、C1〜6アルキル基は、直鎖状又は分岐状の1個〜6個の炭素原子の炭素ベースの鎖、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシルを表し、
シクロアルキル:環状の、任意選択により分岐状の、3個〜7個の炭素原子を含有している飽和の炭素ベースの鎖。例として、C3〜7シクロアルキル基は、3個〜7個の炭素原子の炭素ベースの鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを表し、
複素環:O、S及びNから選択される1種若しくは複数のヘテロ原子を含む、単環の又は二環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの鎖、
ヘテロアリール:芳香族複素環、例えば、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル又はイミダゾリル基、
ハロゲン:フッ素、塩素、又は臭素原子、
アルキルオキシ:-O-アルキル基、
アルキルチオ:-S-アルキル基、
フルオロアルキル:1種若しくは複数の水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキル基、
フルオロアルキルオキシ:1種若しくは複数の水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキルオキシ基。
【0015】
R1基が、ハロゲン、又は、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表し、さらに特には、R1が、ハロゲン、又は、メトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表すような、上記で定義された式(I)の化合物の群(A)、R1置換基が、上記で、又は、好ましい群(A)中で定義されており、R2基が水素原子であるような、式(I)の化合物の群(B)が、好ましい。
【0016】
R1置換基及びR2置換基が、上記で、又は、好ましい群(A)若しくは群(B)中で定義されており、R3基が、水素原子又はC1〜6アルキル基であるような、式(I)の化合物の群(C)が特に好ましい。
【0017】
下記の化合物、並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物及び水和物、及びその立体異性体又は回転異性体が特に好ましい:
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-3,5-ジクロロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-4-クロロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-4,6-ジフルオロフェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)エチル]-4-フルオロフェノール
2-[(5-メトキシピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-3,4-ジフルオロフェノール
5-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)ニコチノニトリル
2-[(5-クロロピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)ブチル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)ペンチル]フェノール
2-[(5-ブロモ-6-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-ブロモ-6-メトキシピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
5-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)-3-メチルピリジン-2-カルボニトリル
2-[(6-メトキシ-5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5,6-ジメチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-メチル-6-トリフルオロメチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール。
【0018】
本発明の対象はまた、一般式(I)の化合物を調製するプロセスである。
【0019】
本発明によれば、式(I)の化合物は、以下のスキーム1に記載されている一般的なプロセスによって調製することができる。
【0020】
スキーム1
【0021】
【化3】

【0022】
R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が上記で定義されている通りである式(I)のフェノール化合物は、例えば、及び非限定的な形で、ジクロロメタンなどの溶媒中のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの還元剤の存在下において、スキーム1に従って、及び例えば、Org. Pro R. & D.、(2006)、971〜1031頁に記載されている反応の類似物によって、アルデヒド又はベンジルケトン(II)とアミン(III)との間の還元的アミノ化反応によって調製することができる。
【0023】
プロセスにおいて使用される反応中間体中に存在し得る官能基は、永続的に又は一時的に、予期される化合物の明白な合成を確実にする保護基を用いて保護されてもよい。保護反応及び脱保護反応は、当業者に周知の手法に従って実施される。「アミン、アルコール又はカルボン酸の一時的な保護基」という用語は、McOmie J.W.F.、Plenum Pressにより1973年に出版された「Protective Groups in Organic Chemistry」において、John Wiley & Sonsにより1991年に出版された「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、Greene T.W.及びWuts P.G.M.において、及び「Protecting Groups」、Kocienski P.J.、1994、Georg Thieme Verlagにおいて記載されているものなどの保護基を意味する。
【0024】
本発明の対象である製品は、有利な薬理学的特性を有し、これらがアンドロゲン受容体活性を調節することが特に注目された。
【0025】
実験の部に記載されている試験は、このアンドロゲン受容体モジュレート活性を例証する。本発明の対象である製品は、部分的な又は全体のアンタゴニスト活性又はアゴニスト活性を示す。この活性のために、本発明の製品は、ヒト又は動物において医薬として使用することができる。
【0026】
これらの特性により、本発明の一般式(I)の製品は、前立腺がん又は乳がんなどのホルモン依存性がんを治療するため、また及び良性前立腺肥大症、思春期早発症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群、スタイン-リーヴェンサール症候群、性欲低下又は子宮内膜炎と闘うために、医薬として使用することができる。部分的な又は全体のアゴニスト活性を示す化合物は、特に、筋肉量の低下(サルコペニア)、筋萎縮、インポテンス及び男性不妊症、異常な男性分化(半陰陽)、性腺機能低下症又は骨粗鬆症などの苦痛を治療するために使用することができる。
【0027】
本発明の一般式(I)の製品にはまた、体又は毛髪の健康のためのそれらの化粧品として用途がある。
【0028】
本発明の一般式(I)の製品はまた、多毛症、ざ瘡、脂漏症、脂性肌、アンドロゲン性脱毛症又は過剰発毛の治療においてそれらの用途があり、これらは、多毛症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、アトピー性皮膚炎、又は、過剰脂漏症、ざ瘡、脂性肌若しくは脂漏性皮膚炎などの皮脂腺障害を予防及び/又は治療するための医薬の製造のために使用することができる。式(I)の製品はしたがって、皮膚科学において使用することができ、これらは単独で又は組み合わせて使用することができる。式(I)の製品は、アゼライン酸、フシジン酸又はエリスロマイシンの誘導体などの抗生物質製品と、或いはざ瘡の治療のためのトレチノインなどのレチノイド誘導体と、或いは(5α,17β)-N-1,1-ジメチルエチル-3-オキソ-4-アザアンドロスト-1-エン-17-カルボキサミド(又はフィナステリド、Merck、第13版)若しくはアゼライン酸などの5a-レダクターゼ阻害剤、又はざ瘡、脱毛症若しくは多毛症の治療のためのアンドロゲン受容体遮断薬と、或いは脱毛症の治療のためのMinoxidilなどの発毛を刺激する製品と、特に組み合わせることができる。
【0029】
本発明の対象はまた、医薬としての、上述した式(I)の化合物、また並びにその薬学的に許容される塩並びに薬学的に許容される溶媒和物及び/又は水和物である。
手順
<実施例1>
【0030】
<2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール>
295mg(1.4mmol、1.4当量)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを、20mlのジクロロメタン中の173mg(1mmol、1当量)の5-ブロモピリジン-3-イルアミン(出発材料1)及び122mg(1mmol、1当量)の2-ヒドロキシベンズアルデヒド(出発材料2)の溶液に添加する。この溶液を室温で24時間撹拌する。この媒体を水中に注ぎ、2時間撹拌する。水相をジクロロメタンで抽出する。有機相を合わせ、水で洗浄してから、硫酸ナトリウムで乾燥させる。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(80/20のヘプタン/酢酸エチル)にかける。2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
融点=184℃。
1H NMR (DMSO) 4.19 (d, 2H, J=5.8Hz); 6.62〜6.65 (m, 1H); 6.74 (t, 1H, J=7.4Hz); 6.82〜6.84 (d, 1H, J=9.0Hz); 7.05〜7.09 (m, 2H); 7.15〜7.17 (d, 1H, J=8.8Hz); 7.77 (s, 1H); 7.95 (s, 1H); 9.62 (s, 1H)。
<実施例2〜15>
【0031】
実施例2〜15を、下記の表1に記載する。化合物は、実施例1において挙げている出発材料1及び2を、表1において挙げている製品で置き換えて、上述した手順に従って合成される。
【0032】
【表1A】

【0033】
【表1B】

【0034】
【表1C】

【0035】
【表1D】

【0036】
【表1E】

【0037】
すべてのNMR(核磁気共鳴)スペクトルは、提案された構造に一致する。化学シフトは、100万分の1単位で表す。内部参照はテトラメチルシランである。以下の省略形を使用する:CDCl3=重水素化クロロホルム、DMSO=重水素化ジメチルスルホキシド、CD3OD=重水素化メタノール。
<実施例16>
【0038】
<生物学的試験>
本発明による化合物は、AR型の受容体に対する阻害特性を示す。このAR受容体阻害活性を、J. Molecular Biology (1965)、12(1)、88-118、Monod J.らに記載されている方法に従って、KdR(休止)、KdA(活性)及びKdapp(見かけ)解離定数によって、トランス活性化試験において測定する。
【0039】
「AR型受容体阻害剤」という表現は、本発明によれば、トランス活性化試験において、1μM以下のKdapp解離定数、及び10以下のKdR/Kda比を有する任意の化合物を意味する。
【0040】
本発明の好ましい化合物は、500nM以下及び有利には100nM以下の解離定数を有する。
【0041】
トランス活性化試験は、PMMTV-neo-Luc(レポーター遺伝子)及びpSG5puro-ARプラスミドを含有する安定なトランスフェクタントであるPALM(PC3アンドロゲン受容体ルシフェラーゼMMTV)細胞株において行う。
【0042】
この試験において、2つの受容体状態についての各品の親和性(KdR及びKdA)を、見かけのKd(KdApp)として決定する。この定数は、2つのKdの結果であるが、活性状態と休止状態の間の受容体の初期の平衡(L0)及びその発現量にもまた依存する。この定数は、以下の式によって決定される:
1/KdApp=(L0/(1+L0))×(1/KdR)+(1/(1+L0))×(1/KdA)
【0043】
これらの定数を決定するために、参照アゴニストであるメチルトリエノロンに対する試験品の「交差曲線(cross curve)」を、96ウェルプレートにおいて作成する。試験品は10種類の濃度で、及び参照アゴニストは7種類の濃度で使用する。
【0044】
例示のために、化合物(1)では6nMのKdappが得られ、化合物(2)では5nMのKdappが得られ、化合物(4)では200nMのKdappが得られ、化合物(9)では60nMのKdappが得られ、化合物(14)では15nMのKdappが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)m-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)n-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)n-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)p-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、NO2若しくはNR8R9基、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよく、
R2は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)v-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)q-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)q-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)q-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)q-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)r-O-C1〜6フルオロアルキル、CORd、CN、NO2若しくはNR8'R9'基、水素原子、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRe基で任意選択により置換されていてもよく、
R3は、水素原子、又は、C1〜9アルキル、C3〜9シクロアルキル、C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)t-C3〜9シクロアルキル、-C2〜6アルキル-OH、-(CH2)u-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)t-C3〜7シクロアルキル、-(CH2)t-C1〜6フルオロアルキル若しくは-(CH2)u-O-C1〜6フルオロアルキル基を表し、
R4、R5、R6及びR7は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)l-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)i-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)i-C3〜9シクロアルキル、-C1〜6アルキル-OH、-(CH2)i-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)i-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)j-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN若しくはNR10R11基、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRc基で任意選択により置換されていてもよく、
Ra、Rd及びRfは、同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ又はNR12R13基を表し、
Rb、Rc及びReは、同一であり、又は異なり、ハロゲン、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)k-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)g-C3〜7シクロアルキル、OH、-(CH2)g-C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)g-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)g-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)w-O-C1〜6フルオロアルキル、CORf、CN若しくはNR14R15基を表し、
R8、R8'、R9、R9'、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一であり、又は異なり、水素原子、又は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)h-C3〜7シクロアルキル若しくは-(CH2)h-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R8及びR9基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R8'及びR9'基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R10及びR11基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R12及びR13基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R14及びR15基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。
g、h、i、n、q及びtは、異なり、又は同一であり、1、2又は3に等しく、
k、l、m及びvは、異なり、又は同一であり、0、1又は2に等しく、
j、p、r、u及びwは、異なり、又は同一であり、2、3又は4に等しい]
の化合物、また並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物及びその立体異性体又は回転異性体。
【請求項2】
R1が、ハロゲン、又は、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1基が、ハロゲン、又は、メトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表すことを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R2基が水素原子であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R3基が水素原子又はC1〜6アルキル基であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
下記の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体及び回転異性体:
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-3,5-ジクロロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-4-クロロフェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-4,6-ジフルオロフェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)エチル]-4-フルオロフェノール
2-[(5-メトキシピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)メチル]-3,4-ジフルオロフェノール
5-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)ニコチノニトリル
2-[(5-クロロピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
5-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)ニコチノニトリル
2-[(5-クロロピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)ブチル]フェノール
2-[1-(5-ブロモピリジン-3-イルアミノ)ペンチル]フェノール
2-[(5-ブロモ-6-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-ブロモ-6-メトキシピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
5-(2-ヒドロキシベンジルアミノ)-3-メチルピリジン-2-カルボニトリル
2-[(6-メトキシ-5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-クロロ-5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(6-ブロモ-5-メチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5,6-ジメチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(5-メチル-6-トリフルオロメチルピリジン-3-イルアミノ)メチル]フェノール。
【請求項7】
医薬としての、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
体又は毛髪の健康のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物の化粧品としての使用。
【請求項9】
多毛症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、アトピー性皮膚炎、又は過剰脂漏症、ざ瘡、脂性肌若しくは脂漏性皮膚炎などの皮脂腺障害を予防及び/又は治療するための医薬の製造のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
ざ瘡を治療するための医薬の製造のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−515706(P2013−515706A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545396(P2012−545396)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052872
【国際公開番号】WO2011/077044
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】