説明

新規なフェノール誘導体、及び医薬として又は化粧品としてのその使用

本発明は、一般式:


の新規な化合物、及び化粧品としての又は医薬としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式:
【0002】
【化1】

【0003】
の新規な化合物、及び化粧品としての又は医薬としてのその使用に関する。
【0004】
本発明は、強力なアンドロゲン受容体モジュレーターである新規なフェノール誘導体を提供することを企図する。
【背景技術】
【0005】
アンドロゲン受容体活性を調節する分子を記述している先行技術文書のうち、例えば、特許出願EP580459、又は出願WO 200542464において記載されているフェニルイミダゾリンを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP580459
【特許文献2】WO 200542464
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stahl及びWermuthのthe Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use (Wiley-VCH, 2002)
【非特許文献2】Org. Pro R. & D. (2006) 971-1031
【非特許文献3】McOmie J.W.F.、Plenum Press、1973により出版された「Protective Groups in Organic Chemistry」
【非特許文献4】John Wiley & Sons、1991により出版された「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、Greene T.W.及びWuts P.G.M.
【非特許文献5】「Protecting Groups」、Kocienski P.J.、1994、Georg Thieme Verlag
【非特許文献6】Merck、第13版
【非特許文献7】J. Molecular Biology (1965)、12(1)、88-118、Monod J.ら
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、下記の一般式(I):
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、
R1は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)m-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)n-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)n-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)p-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、NO2若しくはNR9R10基、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよい;
R2は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)f-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)l-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)l-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)q-O-C1〜6フルオロアルキル、CORd、CN、NO2若しくはNR9'R10'基、水素、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよい;
R3及びR4は同一であり、又は異なり、水素原子、又はC1〜9アルキル、C3〜9シクロアルキル、C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)k-C3〜9シクロアルキル、-C2〜6アルキル-OH、-(CH2)p-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)k-C3〜7シクロアルキル、-(CH2)k-C1〜6フルオロアルキル、若しくは-(CH2)r-O-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R3及びR4基は、それらを持つ炭素原子と一緒に、C3〜9シクロアルキル基、又はテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ-1-オキシチオピラン若しくはテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオピランなどの複素環を形成することができる;
R5、R6、R7及びR8は同一であり、又は異なり、水素原子、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)g-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)j-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)j-C3〜9シクロアルキル、-C1〜6アルキル-OH、-(CH2)j-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)j-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)s-O-C1〜6フルオロアルキル、CORe、CN若しくはNR11R12基、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRc基で任意選択により置換されていてもよい;
Ra、Rd及びReは同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ又はNR13R14基を表す;
Rb及びRcは同一であり、又は異なり、ハロゲン、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)u-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、OH、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)i-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)i-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)t-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、若しくはNR15R16基を表す;
R9、R9'、R10、R10'、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は同一であり、又は異なり、水素原子、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)h-C3〜7シクロアルキル若しくは-(CH2)h-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R9及びR10基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R9'及びR10'基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R11及びR12基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R13及びR14基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R15及びR16基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる;
h、i、j、k、l及びnは異なり、又は同一であり、1、2又は3に等しい;
f、g、m及びuは異なり、又は同一であり、0、1又は2に等しい;
p、q、r、s及びtは異なり、又は同一であり、2、3又は4に等しい)
に相当する新規なフェノール誘導体、また並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物及びその立体異性体又は回転異性体に関する。
【0011】
式(I)の化合物は、1個若しくは複数の不斉炭素原子を含んでいてもよい。式(I)の化合物は、したがって、鏡像異性体又はジアステレオ異性体の混合物の形態で存在していてもよい。これらの鏡像異性体及びジアステレオジアステレオマー、また並びにそれらのラセミ混合物を含む混合物は、本発明の部分を形成する。
【0012】
式(I)の化合物は、塩基又は酸付加塩の形態で存在していてもよい。そのような付加塩は、本発明の部分を形成する。これらの塩は、有利には、薬学的に許容される酸を用いて調製されるが、例えば、式(I)の化合物を精製又は単離するために有用な別の酸の塩もまた、本発明の部分を形成する。これらの酸は、例えば、ピクリン酸、シュウ酸又は光学活性酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸又はカンファースルホン酸、及び、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩又はパラ-トルエンスルホン酸塩などの生理学的に許容される塩を形成するものであってもよい。生理学的に許容される塩の総説については、Stahl及びWermuthのthe Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use (Wiley-VCH、2002)を参照されたい。
【0013】
溶媒和物又は水和物は、合成工程後に、直接得ることができ、化合物(I)は、水和物、例えば一水和物若しくは半水和物、又は反応溶媒若しくは精製溶媒の溶媒和物の形態で単離される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の文脈において、以下の定義が適用される。
Cb-cにおいて、b及びcは、1〜9の値をとってもよく:b個〜c個の炭素原子の炭素ベースの鎖、例えば、C1〜6は、1〜6個の炭素原子を含有し得る炭素ベースの鎖であり、
アルキル:直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族基、例えば、C1〜6アルキル基は、直鎖状又は分岐状の1個〜6個の炭素原子の炭素ベースの鎖、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシルを表し、
シクロアルキル:環状の、任意選択により分岐状の、3個〜7個の炭素原子を含有している飽和の炭素ベースの鎖、例として、C3〜7シクロアルキル基は、3個〜7個の炭素原子を含有している炭素ベースの鎖、例えば、シクロプロピル,シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを表し、
複素環:O、S及びNから選択される1種若しくは複数のヘテロ原子を含む、単環の又は二環式の、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの鎖、
ヘテロアリール:芳香族複素環、例えば、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル又はイミダゾリル基、
ハロゲン:フッ素、塩素、又は臭素原子、
アルキルオキシ:-O-アルキル基、
アルキルチオ:-S-アルキル基、
フルオロアルキル:1種若しくは複数の水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキル基、
フルオロアルキルオキシ:1種若しくは複数の水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキルオキシ基。
【0015】
上記で定義されている式(I)の化合物の群(A)が好ましく、この化合物において、
R1は、ハロゲン、又はメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル、若しくはチオイソプロピル基を表し、
R2は、水素原子、ハロゲン、又はメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表し、
さらに特に、
R1は、ハロゲン、又はメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表し、
R2は、水素原子、ハロゲン、又はメトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表す。
【0016】
下記の化合物、並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物及び水和物、及びその立体異性体又は回転異性体が特に好ましい:
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-クロロピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(2-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-トリフルオロメチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
4-フルオロ-2-[(2-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-6-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-6-メチルフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-5-メチルフェノール
2-[(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[1-(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[1-(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)プロピル]-フェノール
2-[(2-ブロモ-6-エトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[1-(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)-1-メチルエチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
【0017】
本発明の対象はまた、一般式(I)の化合物を調製するプロセスである。
【0018】
本発明によれば、式(I)の化合物は、以下のスキーム1に記載されている3つの方法のうちの1つによって調製することができる。
【0019】
【化3】

【0020】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が上記に定義されている通りである式(I)のフェノール化合物は、例えば、及び非限定的な形で、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの還元剤の存在下において、スキーム1に示されている方法1aに従って、及び例えば、Org. Pro R. & D. (2006) 971-1031に記載されている反応の類似物によって、アルデヒド又はベンジルケトン(II)とアミン(III)との間の還元的アミノ化反応によって調製することができる。
【0021】
式(I)のフェノール化合物は、非限定的な形で、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどの塩基の存在下において、例えば、ジメチルスルホキシドなどの溶媒中で、スキーム1の方法1bに記載されているように、脱離基を含む複素環(V)とベンジルアミン(IV)との間の反応によって調製することができる。「脱離基」という用語は、非限定的な形で、ハロゲン、メシラート、トシラート又はトリフラートなどの当業者によく知られている基を意味する。
【0022】
プロセスにおいて使用される反応中間体中に存在し得る官能基は、永続的に又は一時的に、予期される化合物の明白な合成を確実にする保護基を用いて保護されてもよい。保護反応及び脱保護反応は、当業者によく知られている技術に従って実施される。「アミン、アルコール又はカルボン酸の一時的な保護基」という用語は、McOmie J.W.F.、Plenum Press、1973により出版された「Protective Groups in Organic Chemistry」において、John Wiley & Sons、1991により出版された「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、Greene T.W.及びWuts P.G.M.において、及び「Protecting Groups」、Kocienski P.J.、1994、Georg Thieme Verlagにおいて記載されているものなどの保護基を意味する。
【0023】
本発明の対象である製品は、有利な薬理学的特性を有し、これらがアンドロゲン受容体活性を調節することが特に注目された。
【0024】
実験の部に記載されている試験は、このアンドロゲン受容体モジュレート活性を例証する。本発明の対象である製品は、部分的な又は全体のアンタゴニスト活性又はアゴニスト活性を示す。この活性のために、本発明の製品は、ヒト又は動物において医薬として使用することができる。
【0025】
これらの特性により、本発明の一般式(I)の製品は、前立腺がん又は乳がんなどのホルモン依存性がんを治療するため、また及び良性前立腺肥大症、思春期早発症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群、スタイン-リーヴェンサール症候群、性欲低下、又は子宮内膜炎と闘うために、医薬として使用することができる。部分的な又は全体のアゴニスト活性を示す化合物は、特に、筋肉量の低下(サルコペニア)、筋萎縮、インポテンス及び男性不妊症、異常な男性分化(半陰陽)、性腺機能低下症又は骨粗鬆症などの苦痛を治療するために使用することができる。
【0026】
本発明の一般式(I)の製品にはまた、体又は毛髪の健康のためのそれらの化粧品として用途がある。
【0027】
本発明の一般式(I)の製品はまた、多毛症、ざ瘡、脂漏症、脂性肌、アンドロゲン性脱毛症又は過剰発毛の治療においてそれらの用途があり、これらは、多毛症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、アトピー性皮膚炎、又は、過剰脂漏症、ざ瘡、脂性肌若しくは脂漏性皮膚炎などの皮脂腺障害を予防及び/又は治療するための医薬の製造のために使用することができる。式(I)の製品はしたがって、皮膚科学において使用することができ、これらは単独で又は組み合わせて使用することができる。式(I)の製品は、アゼライン酸、フシジン酸又はエリスロマイシンの誘導体などの抗生物質製品と、或いはざ瘡の治療のためのトレチノインなどのレチノイド誘導体と、或いは(5α,17β)-N-1,1-ジメチルエチル-3-オキソ-4-アザ-アンドロスト-1-エン-17-カルボキサミド(又はフィナステリド、Merck、第13版)若しくはアゼライン酸などの5a-レダクターゼ阻害剤、又はざ瘡、脱毛症若しくは多毛症の治療のためのアンドロゲン受容体遮断薬と、或いは脱毛症の治療のためのMinoxidilなどの発毛を刺激する製品と、特に組み合わせることができる。
【0028】
本発明の対象はまた、医薬としての、上述した式(I)の化合物、また並びにその薬学的に許容される塩並びに薬学的に許容される溶媒和物及び/又は水和物である。
【0029】
本発明による式(I)の活性化合物の調製のいくつかの例、及びそのような化合物の生物活性の結果を、例示として及び非限定的に、下記に示す。
【0030】
手順
<実施例1>
<2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
スキーム1、方法1aによる合成>
400mg(1.97mmol)の2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミン(出発材料1)を、分子ふるいの存在下において、10mlのTHF中の363mg(2.96mmol、1.5当量)の2-ヒドロキシベンズアルデヒド(出発材料2)及び184mg(2.96mmol、1.5当量)の酢酸の混合物に添加する。室温で5分後、835mg(3.94mmol、2当量)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドを添加し、混合物を室温で2時間撹拌させておく。反応媒体を、50mlの酢酸エチルで希釈し、次いで、混合物を、50mlの塩化アンモニウム飽和溶液で洗浄した後、水50mlで3回洗浄する。有機相を濃縮乾固し、残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製し、溶出を、ヘプタン/酢酸エチル(7/3)の混合物で行う。2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノールが、ベージュ色の固体の形態で得られる。
融点=137℃。
NMR 1H (DMSO) 3.69 (s, 3H); 4.17 (d, 2H, J=5.2Hz); 5.81 (s, 1H); 6.45 (s, 1H) 6.75 (t, 1H, J=7.4Hz); 6.82 (d, 1H, J=8Hz); 7.07 (t, 1H, J=7.7Hz); 7.12 (d, 1H, J=7.4Hz); 7.17-7.19 (m, 1H); 9.64 (s, 1H)。
<実施例2〜14>
【0031】
実施例2〜14を、下記の表1に記載する。化合物は、実施例1において挙げている出発材料1及び2を、表1において挙げている製品で置き換えて、上述した手順に従って合成される。
【0032】
【表1A】

【0033】
【表1B】

【0034】
【表1C】

【0035】
【表1D】

【0036】
【表1E】

【0037】
<実施例15>
<2-[(2-トリフルオロメチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
スキーム1、方法1bによる合成>
300mg(1.65mmol)の4-クロロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジンを、マイクロ波管中に導入し、5mlのジメチルスルホキシド、251mg(1.65mmol、1当量)の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン及び406mg(3.3mmol、2当量)の2-アミノメチルフェノールをそこに添加し、混合物をマイクロ波中で150℃、30分間加熱する。反応媒体を、50mlの酢酸エチルで希釈し、次いで、混合物を、50mlの塩化アンモニウム飽和溶液で洗浄した後、水50mlで3回洗浄する。有機相を濃縮乾固し、残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製し、溶出を、ヘプタン/酢酸エチル(7/3)の混合物で行う。2-[(2-トリフルオロメチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノールが、白色固体の形態で得られる。
1H NMR (DMSO) 4.27 (d, 2H, J=5.5Hz); 6.69 (s, 1H); 6.76 (t, 1H, J=7.2Hz); 6.84 (d, 1H, J=7.9Hz); 6.97 (s, 1H); 7.09 (t, 1H, J=6.8Hz); 7.15 (d, 1H, J=7.3Hz); 7.47 (s, 1H); 8.12 (d, 1H, J=5.6Hz); 9.68 (s, 1H)。
【0038】
すべてのNMR(核磁気共鳴)スペクトルは、提案された構造に一致する。化学シフトは、100万分の1単位で表す。内部参照はテトラメチルシランである。以下の省略形を使用する:CDCl3=重水素化クロロホルム、DMSO=重水素化ジメチルスルホキシド、CD3OD=重水素化メタノール。
<実施例16>
【0039】
<生物学的試験>
本発明による化合物は、AR型の受容体に対する阻害特性を示す。このAR受容体阻害活性を、J. Molecular Biology (1965)、12(1)、88-118、Monod J.らに記載されている方法に従って、KdR(休止)、KdA(活性)及びKdapp(見かけ)解離定数によって、トランス活性化試験において測定する。
【0040】
「AR型受容体阻害剤」という表現は、本発明によれば、トランス活性化試験において、1μM以下のKdapp解離定数、及び10以下のKdR/Kda比を有する任意の化合物を意味する。
【0041】
本発明の好ましい化合物は、500nM以下及び有利には100nM以下の解離定数を有する。
【0042】
トランス活性化試験は、PMMTV-neo-Luc(レポーター遺伝子)及びpSG5puro-ARプラスミドを含有する安定なトランスフェクタントであるPALM(PC3アンドロゲン受容体ルシフェラーゼMMTV)細胞株において行う。
【0043】
この試験において、2つの受容体状態についての各品の親和性(KdR及びKdA)を、見かけのKd(KdApp)として決定する。この定数は、2つのKdの結果であるが、活性状態と休止状態の間の受容体の初期の平衡(L0)及びその発現量にもまた依存する。この定数は、以下の式によって決定される:
1/KdApp=(L0/(1+L0))×(1/KdR)+(1/(1+L0))×(1/KdA)
【0044】
これらの定数を決定するために、参照アゴニストであるメチルトリエノロンに対する試験品の「交差曲線(cross curve)」を、96ウェルプレートにおいて作成する。試験品は10種類の濃度で、及び参照アゴニストは7種類の濃度で使用する。
【0045】
例示のために、化合物(1)では20nMのKdappが得られ、化合物(2)では4nMのKdappが得られ、化合物(4)では20nMのKdappが得られ、化合物(5)では50nMのKdappが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
R1は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)m-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)n-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)n-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)n-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)p-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、NO2若しくはNR9R10基、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよい;
R2は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)f-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)l-C3〜9シクロアルキル、C2〜6アルキル-OH、-(CH2)l-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)l-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)q-O-C1〜6フルオロアルキル、CORd、CN、NO2若しくはNR9R10基、水素、ハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基を表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)1個の酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRb基で任意選択により置換されていてもよい;
R3及びR4は同一であり、又は異なり、水素原子又はC1〜9アルキル、C3〜9シクロアルキル、C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)k-C3〜9シクロアルキル、-C2〜6アルキル-OH、-(CH2)p-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)k-C3〜7シクロアルキル、-(CH2)k-C1〜6フルオロアルキル又は-(CH2)r-O-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R3及びR4基は、それらを持つ炭素原子と一緒に、C3〜9シクロアルキル基、又は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ-1-オキシチオピラン若しくはテトラヒドロ-1,1-ジオキシチオピランなどの複素環を形成することができる;
R5、R6、R7及びR8は同一であり、又は異なり、水素原子、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)g-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)j-C3〜9シクロアルキル、-(CH2)j-C3〜9シクロアルキル、-C1〜6アルキル-OH、-(CH2)j-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)j-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)s-O-C1〜6フルオロアルキル、CORe、CN若しくはNR11R12基、又はハロゲン、又はフェニル若しくはヘテロアリール基のいずれかを表し、ヘテロアリール基は、a)1個〜4個の窒素原子、又はb)酸素若しくは硫黄原子及び1個若しくは2個の窒素原子のいずれかを含有している。これらのフェニル基及びヘテロアリール基は、1個〜3個の同一の又は異なるRc基で任意選択により置換されていてもよい;
Ra、Rd及びReは同一であり、又は異なり、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ又はNR13R14基を表す;
Rb及びRcは同一であり、又は異なり、ハロゲン、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、-S(O)u-C1〜6アルキル、C1〜6フルオロアルキル、C1〜6フルオロアルキルオキシ、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、OH、-(CH2)i-C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキル-OH、-(CH2)i-C1〜6アルキルオキシ、-(CH2)i-C1〜6フルオロアルキル、-(CH2)t-O-C1〜6フルオロアルキル、CORa、CN、若しくはNR15R16基を表す;
R9、R9'、R10、R10'、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は同一であり、又は異なり、水素原子、又はC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、-(CH2)h-C3〜7シクロアルキル若しくは-(CH2)h-C1〜6フルオロアルキル基を表す。
任意選択により、R9及びR10基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R9'及びR10'基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R11及びR12基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R13及びR14基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる。任意選択により、R15及びR16基は、それらを持つ窒素原子と一緒に、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン又はピペラジンなどの複素環を形成することができる;
h、i、j、k、l及びnは異なり、又は同一であり、1、2又は3に等しい;
f、g、m及びuは異なり、又は同一であり、0、1又は2に等しい;
p、q、r、s及びtは異なり、又は同一であり、2、3又は4に等しい)
の化合物、また並びに薬学的に許容されるその塩、溶媒和物又は水和物及びその立体異性体又は回転異性体。
【請求項2】
R1が、ハロゲン、又はメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表し、
R2が、水素原子、ハロゲン、又はメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、ニトリル、ニトロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、チオメチル、チオエチル若しくはチオイソプロピル基を表す
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、ハロゲン、又はメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表し、
R2が、水素原子、ハロゲン、又はメトキシ、エトキシ、チオメチル、チオエチル若しくはトリフルオロメチル基を表す
ことを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
下記の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、立体異性体及び回転異性体:
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-クロロピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(2-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-トリフルオロメチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
4-フルオロ-2-[(2-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-6-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-6-メチルフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-3-フルオロフェノール
2-[(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-5-メチルフェノール
2-[(2-クロロ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[(2-ブロモ-6-メチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]-4-フルオロフェノール
2-[1-(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)エチル]フェノール
2-[1-(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)プロピル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-エトキシピリジン-4-イルアミノ)メチル]フェノール
2-[1-(2-ブロモ-6-メトキシピリジン-4-イルアミノ)-1-メチルエチル]フェノール
2-[(2-ブロモ-6-メチルピリジン-4-イルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノール
【請求項5】
医薬としての、請求項1から4の一項に記載の化合物。
【請求項6】
体又は毛髪の健康のための、請求項1から4の一項に記載の化合物の化粧品としての使用。
【請求項7】
多毛症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、アトピー性皮膚炎、又は過剰脂漏症、ざ瘡、脂性肌若しくは脂漏性皮膚炎などの皮脂腺障害を予防及び/又は治療するための医薬の製造のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
ざ瘡を治療するための医薬の製造のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−515707(P2013−515707A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545397(P2012−545397)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052874
【国際公開番号】WO2011/077046
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】