説明

新規なポリアミド樹脂を含むICトレイ用材料及びICトレイ

【課題】低吸水性でありながら、十分な高分子量化が達成され、融点と熱分解温度の差から見積もられる成形可能温度幅が広く、溶融成形性に優れ、かつ導電性に優れ、さらに、従来の脂肪族ポリアミド樹脂に比較して、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性などに優れたICトレイ用材料を提供すること。
【解決手段】ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂に、導電性付与剤を含むことを特徴とするICトレイ用材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリアミド樹脂を含むICトレイ用材料に関する。詳しくは、ジカルボン酸成分が蓚酸であるポリアミド樹脂であって、成形可能温度幅が広く、成形加工性に優れ、かつ低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性などにも優れたポリアミド樹脂に導電性付与剤を配合したICトレイ用材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナイロン6、ナイロン66などに代表される結晶性ポリアミドは、その優れた特性と溶融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるいは汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用いられているが、一方では吸水による物性変化、酸、高温のアルコール、熱水中での劣化などの問題点も指摘されており、より寸法安定性、耐薬品性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。
【0003】
一方、ジカルボン酸成分として蓚酸を用いるポリアミド樹脂はポリオキサミド樹脂と呼ばれ、同じアミノ基濃度の他のポリアミド樹脂と比較して融点が高いこと、吸水率が低いことが知られ(特許文献1)、吸水による物性変化が問題となっていた従来のポリアミドが使用困難な分野での活用が期待される。
【0004】
これまでに、ジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。しかしながら、例えば、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂は融点(約320℃)が熱分解温度(窒素中の1%重量減少温度;約310℃)より高いため(非特許文献1)、溶融重合、溶融成形が困難であり実用に耐えうるものではなかった。
【0005】
ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるポリオキサミド樹脂(以後、PA92と略称する)については、L. Francoらが蓚酸源として蓚酸ジエチルを用いた場合の製造法とその結晶構造を開示している(非特許文献2)。ここで得られるPA92は固有粘度が0.97dL/g、融点が246℃のポリマーであるが、強靭な成形体が成形出来ない程度の低分子量体しか得られていない。また、ジカルボン酸エステルとして蓚酸ジブチルを用いた場合について、固有粘度が0.99dL/g、融点が248℃のPA92を製造したことが示されている(特許文献2)。この場合も強靭な成形体が成形出来ない程度の低分子量体しか得られていないという問題点がある。
先行文献においてはジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂の具体的な開示はない。
【0006】
また、ポリアミド樹脂を用いた部品の用途では、帯電防止などの目的で導電性に対する要求がある(たとえば、特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、低吸水性でありながら、十分な高分子量化が達成され、融点と熱分解温度の差から見積もられる成形可能温度幅が広く、溶融成形性に優れ、かつ導電性に優れ、さらに、従来の脂肪族ポリアミド樹脂に比較して、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性などに優れたICトレイ用材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂として、蓚酸源として蓚酸ジエステルを用い、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1である混合物を用いることにより、高分子量で、融点と熱分解温度の差が大きく溶融成形性に優れ、さらに直鎖ポリオキサミド樹脂に見られる低吸水性を損なうことなく、従来のポリアミドに比較して耐薬品性、耐加水分解性、機械的特性などに優れるポリアミド樹脂が得られること、さらにこの新規なポリアミド樹脂(PA92C)に導電性付与剤を配合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明のICトレイ用材料は、低吸水性でありながら、溶融重合による高分子量化が可能であり、成形可能温度幅が50℃以上と広く、溶融成形性に優れ、かつ導電性に優れ、さらに耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、反りを測定するための射出成形体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)ポリアミド樹脂の構成成分
本発明で用いるポリアミドは、ジカルボン酸成分が蓚酸であり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるジアミン混合物であるポリアミド樹脂(PA92C)である。
【0012】
本発明で用いるポリアミドの製造に用いられる蓚酸源としては、蓚酸ジエステルが用いられ、これらはアミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(またはi−)プロピル、蓚酸ジn−(またはi−、またはt−)ブチル等の脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等の脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、蓚酸ジフェニル等の芳香族アルコールの蓚酸ジエステル等が挙げられる。
【0013】
上記の蓚酸ジエステルの中でも炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、芳香族アルコールの蓚酸ジエステルが好ましく、その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルが特に好ましい。
【0014】
ジアミン成分としては1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物を用いる。さらに、1,9−ノナンジアミン成分と2−メチル−1,8−オクタンジアミン成分のモル比は、1:99〜99:1であり、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは5:95〜40:60又は60:40〜95:5、特に5:95〜30:70又は70:30〜90:10である。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンを上記の特定量共重合することにより、成形可能温度幅が広く、溶融成形性に優れ、かつ低吸水性、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性などにも優れたポリアミドが得られる。
【0015】
(2)ポリアミド樹脂の製造
本発明に用いるポリアミド樹脂PA92Cは、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。本発明者らの研究によれば、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより得ることができる。具体的には、以下の操作で示されるような、(i)前重縮合工程、(ii)後重縮合工程の順で行うのが好ましい。
【0016】
(i)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン(ジアミン成分)及び蓚酸ジエステル(蓚酸源)を混合する。混合する場合にジアミン及び蓚酸ジエステルが共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及び蓚酸源が共に可溶な溶媒としては、特に制限されないが、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノールなどを用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。このとき、蓚酸ジエステルと上記ジアミンの仕込み比は、蓚酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
【0017】
このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間である。
【0018】
(ii)後重縮合工程:更に高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち80〜150℃から、最終的に220℃以上300℃以下、好ましくは230℃以上280℃以下、更に好ましくは240℃以上270℃以下の温度範囲にまで到達させる。昇温時間を含めて1〜8時間、好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa未満〜13.3Paである。
【0019】
本発明に用いるポリアミド樹脂の製造方法の具体的例を説明する。
まず原料の蓚酸ジエステルを容器内に仕込む。容器は、後に行う重縮合反応の温度および圧力に耐え得るものであれば、特に制限されない。その後、容器を原料のジアミンと混合する温度まで昇温させ、次いでジアミンを注入し重縮合反応を開始させる。原料を混合する温度は、原料の蓚酸ジエステルおよびジアミンの融点以上、沸点未満の温度であり、かつシュウ酸ジエステルとジアミンの重縮合反応によって生じるポリオキサミドが熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンの混合物からなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるジアミンとシュウ酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、上記混合温度は15℃から240℃が好ましい。また、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比は、5:95〜90:10、常温で液状か又は40℃程度に加温するだけで液化するので取り扱いやすいためより好ましい。混合温度が縮合反応によって生成するアルコールの沸点以上の場合、アルコールを留去、凝縮する装置を備えた容器を用いるのが望ましい。また、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合には、耐圧容器を用いる。シュウ酸ジエステルとジアミンの仕込み比は、シュウ酸ジエステル/上記ジアミンで、0.8〜1.2(モル比)、好ましくは0.91〜1.09(モル比)、更に好ましくは0.98〜1.02(モル比)である。
【0020】
次に、容器内をポリオキサミド樹脂の融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温する。例えば、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が85:15であるジアミンとシュウ酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、融点は235℃であることから240℃から280℃に昇温するのが好ましい(圧力は、2MPa〜4MPa)。生成したアルコールを留去しながら、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。耐圧容器内で原料を混合し、縮合反応によって生成するアルコール存在下で加圧重合する場合は、まず生成したアルコールを留去しながら放圧する。その後、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は760〜0.1Torrである。温度は、240〜280℃が好ましい。また、アルコールは水冷コンデンサで冷却して液化し、回収する。
【0021】
(3)ポリアミド樹脂の性状及び物性
本発明に用いるポリアミド樹脂PA92Cの分子量に特別の制限はないが、96%濃硫酸を溶媒とし、ポリアミド樹脂濃度が1.0g/dlの溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが1.8〜6.0の範囲内である。好ましくは2.0〜5.5であり、2.5〜4.5が特に好ましい。ηrが1.8より低いと成形物が脆くなり物性が低下する。一方、ηrが6.0より高いと溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなる。
【0022】
本発明に用いるポリアミド樹脂は、カルボン酸成分として蓚酸を用い、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを共重合することで、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて、上記相対粘度を増加させること、すなわち分子量を増加させることが可能である。また、実質的な熱分解の指標である1%重量減少温度(以下、Tdと略す)と融点(以下、Tmと略す)の差(Td−Tm)で表される成形可能温度範囲が、蓚酸と1,9−ノナンジアミンからなるポリアミドと比べて拡大し、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であることができ、さらには90℃以上も可能である。本発明のポリアミド樹脂は、Tdが好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは320℃以上であり、高い耐熱性を有することを特徴とする。
【0023】
(4)導電性付与剤
本発明に用いる導電性付与剤は、特に限定されず、ポリアミド樹脂に配合して導電性を付与できるものであればよい。
導電性付与剤としては、導電性を付与できればよく、限定されないが、カーボンブラック、炭素繊維、金属繊維などが挙げられ、とりわけカーボンブラック、炭素繊維が好ましく用いられる。
【0024】
本発明で用いることができるカーボンブラックとしては、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラックや、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でもアセチレンブラック、ファーネスブラック(ケッチェンブラック)が特に好適に用いられる。
【0025】
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。該カーボンブラックの特性に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は耐衝撃性の面で好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る観点から、平均粒径は500nm以下であることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましく、10〜70nmであることがさらに好ましく、また表面積(BET法)は10m/g以上であることが好ましく、300m/g以上であることがより好ましく、500〜1500m/gであることがさらに好ましく、更にDBP(ジブチルフタレート)吸油量は50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100gであることがより好ましく、300ml/100g以上であることがさらに好ましい。また灰分は0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。ここでいうDBP吸油量は、ASTM D−2414に定められた方法で測定した値である。また、カーボンブラックは、揮発分含量が1.0重量%未満であることがより好ましい。
【0026】
カーボンブラックの配合割合は、樹脂全体100質量部に対して、2〜50重量部が好ましい。カーボンブラックの配合割合が2重量部未満になると十分な導電性が得られないため好ましくなく、配合割合が50重量部を超えると、溶融粘性が高く流動性が低下し成型加工性が著しく損なわれるため好ましくない。2〜15重量部が好ましい。
【0027】
炭素繊維としては、ピッチ系、PAN系などの炭素繊維が制限なく用いられるが、物性・導電性などの性能からPAN系の炭素繊維のほうが好ましい。
【0028】
炭素繊維長は、用途により短繊維のもののほか、1000mmに及ぶ長繊維でもよいが、混練前の繊維長が0.1〜12mmのものが好ましく、1〜8mmのものが特に好ましい。
【0029】
また、炭素繊維の繊維径は、5〜15μmのものが好ましいが、微細炭素繊維も用いることができる。
【0030】
炭素繊維の配合割合は、樹脂全体100質量部に対して、2〜40重量部が好ましい。配合割合が40重量部を超えると、剛性が高く耐衝撃性が劣るとともに、成形品表面の平滑性が悪く摺動性が低下するおそれがある。炭素繊維の配合割合は、3重量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、7質量部以上がさらに好ましい。配合割合が少ないと、導電性が低下し静電気を帯び易くなり、ホコリや粉塵が付着し精密製品に不具合を生じる恐れがある。
【0031】
本発明のICトレイ用材料に求められる導電性は、用途に応じて異なってよく、特に限定されない。ポリアミド樹脂の表面抵抗が1015Ω程度である。導電性付与剤を配合することで、たとえば、1012〜10Ω程度あるいはそれ以下にすることができるが、用途に応じて、ポリアミド樹脂製品に求められる物性と帯電防止の目的のバランスから決定すればよい。一般的には10〜1010Ω程度の導電性は1つの好ましい範囲であると考えられる。
【0032】
(5)その他の配合できる成分
本発明に用いるポリアミド樹脂PA92Cには、本発明の効果を損なわない範囲で他のジカルボン酸成分を混合する事が出来る。蓚酸以外の他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸、また、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、さらにテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。蓚酸以外の他のジカルボン酸成分の配合量は、一般的には全ジカルボン酸成分を基準に5モル%以下が好ましい。
【0033】
また、本発明に用いるポリアミド樹脂PA92Cには本発明の効果を損なわない範囲で、他のジアミン成分を混合する事が出来る。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン以外の他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどの脂肪族ジアミン、さらにシクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン、さらにp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンなどを単独で、あるいはこれらの任意の混合物を重縮合反応時に添加することもできる。1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン以外の他のジアミン成分の配合量は、一般的には全ジアミン成分を基準に5モル%以下が好ましい。
【0034】
また、本発明のポリアミド樹脂には本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリオキサミドや、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどポリアミド類を混合することが可能である。
【0035】
更に、ポリアミド以外の熱可塑性ポリマー、エラストマーなども同様に配合することができる。しかし、本発明に用いるポリアミド樹脂PA92Cは樹脂成分の50質量%以上含まれることが好ましい。
【0036】
また、本発明のICトレイ用材料には、補強繊維を配合してもよい。配合する補強繊維は、格別に限定されないが、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、鉱物繊維などの無機繊維、ポリアミド樹脂より強靭なアラミド繊維などの有機繊維を挙げることができる。補強繊維を配合することで、組成物の強度、耐クリープ性などの物性が改良される効果が顕著である。特にガラス繊維と炭素繊維が好ましい。炭素繊維を用いると、帯電防止性能を付与できる効果がある。炭素繊維については、先に説明したものを使用できる。
【0037】
ガラス繊維も、特に制限されない。ガラス繊維径も限定されないが、5〜15μmのものが好ましい。繊維長は、用途により短繊維のもののほか、長繊維でもよいが、5〜1000μmが好ましい。
【0038】
ガラス繊維の配合比は、樹脂組成物全体に対して35質量%以下が好適であり、2〜33質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましく、特に5〜25質量%が好ましい。ガラス繊維の配合量が少ないと、剛性、耐クリープ性の改善が低くなり、またチューブなどとの結合が悪くなるおそれがある。一方、ガラス繊維の配合量が多くなると、組成物の流動性が悪くなり、ショートショットの原因になったり表面状態が悪くなる恐れがある。
【0039】
さらに、本発明のICトレイ用材料には必要に応じて、フィラー、銅化合物などの安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、可塑剤、潤滑剤などを重縮合反応時、またはその後に添加することもできる。
【0040】
(6)ICトレイ用材料の成形加工
本発明のICトレイ用材料の成形方法としては、ポリアミド樹脂と導電性付与剤を予めブレンドし、あるいは成形機の途中で導電性付与剤を投入する、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸などICトレイ用材料に適用できる公知の成形加工法はすべて可能であり、これらの成形法によってフィルム、シート、成形品、繊維などに加工することができる。
【0041】
(7)ICトレイ用材料の用途
本発明の新規なポリアミド樹脂を含むICトレイ用材料を用いた成形物は、ICトレイの用途に有用である。
【実施例】
【0042】
[物性測定、成形、評価方法]
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
なお、実施例中の測定は以下の方法により行った。
【0043】
(1)相対粘度(ηr):
ηrはポリアミドの96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を使用してオストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
【0044】
(2)融点(Tm)及び結晶化温度(Tc):
Tm及びTcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSC用いて窒素雰囲気下で測定した。30℃から270℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、270℃で3分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に270℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
【0045】
(3)1%重量減少温度(Td):
Tdは島津製作所社製THERMOGRAVIMETRIC ANALYZER TGA−50を用い、熱重量分析(TGA)により測定した。20ml/分の窒素気流下室温から500℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、Tdを測定した。
【0046】
(4)溶融粘度:
溶融粘度はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製溶融粘弾性測定装置ARESに25mmのコーン・プレートを装着して、窒素中、250℃、せん断速度0.1s-1の条件で測定した。
【0047】
(5)フィルム成形:
東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いてフィルム成形を行った。500〜700Paの減圧雰囲気下260℃で5分間加熱溶融させた後、5MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻したのち室温5MPaで1分間冷却結晶化させてフィルムを得た。
【0048】
(6)吸水率(飽和吸水率、平衡吸水率):
ポリアミド樹脂を(5)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ0.25mm;重量約0.05g)を23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの重量を測定した。フィルム重量の増加率が0.2%以内の範囲で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの重量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの重量(Yg)から式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
飽和吸水率(%)=100(Y−X)/X (1)
なお、上記フィルムの成形直後の重量(Xg)と上記フィルムを成形後に湿度65%、温度23℃で平衡に達したときの重量(Yg)から式(1)により算出した吸水率(平衡吸水率)をウェットでの吸水率として表中に記載した。
【0049】
(7)耐薬品性:
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムを以下に列挙する薬品中に7日間浸漬した後に、フィルムの重量残存率(%)及び外観の変化を観測した。濃塩酸、64%硫酸、氷酢酸のそれぞれの溶液においては23℃において浸漬した試料について試験を行った。
【0050】
(8)耐加水分解性:
本発明によって得られるポリアミドの熱プレスフィルムをオートクレーブに入れ、水(pH=7)、0.5mol/l硫酸(pH=1)、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液(pH=14)中でそれぞれ121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)、及び外観変化を調べた。
【0051】
(9)機械的物性:
以下に示す〔1〕〜〔4〕の測定は、下記の試験片を樹脂温度260℃、金型温度80℃の射出成形により成形し、これを用いて行った。成形後直ちに調湿せずに23℃で評価したものをドライ、成形後に湿度65%、温度23℃で調湿した後に23℃で評価したものをウェットとして表中に記載した。
〔1〕 引張試験(引張降伏点強度):ASTM D638に記載のTypeIの試験片を用いてASTM D638に準拠して測定した。
〔2〕 曲げ試験(曲げ弾性率):試験片寸法127mm×12.7mm×3.2mmの試験片を用いてASTM D790に準拠し、23℃で測定した。
〔3〕 アイゾット衝撃強度:試験片寸法127mm×12.7mm×3.2mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
〔4〕 荷重たわみ温度:試験片寸法127mm×12.7mm×3.2mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPaで測定した。
【0052】
(10)成形品の表面抵抗
ASTM D−638に基づく引張試験片を、横川ヒューレットパッカード社製の4261ALCRメーターを用いて、1cm間隔で任意の3箇所を測定し、平均値を求めた。
【0053】
(11)反り
反りは、以下に示す射出成形条件の下で、本発明の射出成形材料を図1に示す箱形の形状に射出成形して得られた試験片を用いて評価した。
[射出成形条件]
・射出成形機:東芝機械(株)製 IS−80
・シリンダー設定温度:C1240℃;C2270℃;C3270℃;C4270℃;ノズルヒーター270℃
・射出圧力:一次圧 650kg/cm2
・金型温度:移動金型40℃;固定金型40℃
・射出時間:11秒
・冷却時間:20秒
[反りの評価]
図1の寸法AおよびBを測定し、寸法Bを基準として、次式から求めた。
反り(内倒れの反り)(%)=(Bの長さ−Aの長さ)/Bの長さ×100
反り(%)は、9%以下が許容範囲となる。
【0054】
[樹脂製造例1:PA92C−1の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調節装置及びポリマー抜出し口を備えた内容積が150リットルの圧力容器にシュウ酸ジブチル28.40kg(140.4モル)を仕込み、圧力容器の内部を純度が99.9999%の窒素ガスで0.5MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰り返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。約30分間かけてシュウ酸ジブチルの温度を100℃にした後、1,9−ノナンジアミン18.89kg(119.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン3.34kg(21.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が85:15)をダイアフラムフポンプにより流速1.49リットル/分で約17分間かけて反応容器内に供給すると同時に昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、1時間かけて温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールを放圧口より抜き出しながら、内圧を0.5MPaに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを約20分間かけて抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5リットル/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、約1時間かけて重縮合物の温度を260℃にし、260℃において4.5時間反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaに加圧して約10分間静置した後、内圧0.5MPaまで放圧し、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重合物は直ちに水冷し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化した。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.20であった。
【0055】
[樹脂製造例2:PA92C−2の製造]
1,9−ノナンジアミン17.62kg(111.3モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.45kg(28.1モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が80:20)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.10であった。
【0056】
[樹脂製造例3:PA92C−3の製造]
1,9−ノナンジアミン11.11kg(70.2モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン11.11kg(70.2モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が50:50)を仕込んだ以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.35であった。
【0057】
[樹脂製造例4:PA92C−4の製造]
1,9−ノナンジアミン 6.67 kg(42.1モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン15.56kg(98.3モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が30:70)を仕込んだ以外は製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られたポリアミドは白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.55であった。
【0058】
[樹脂製造例5:PA92C−5の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込んだほかは、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=3.53であった。
【0059】
[樹脂製造例6:PA92C−6の製造]
1,9−ノナンジアミン1.33kg(8.4モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン20.88kg(131.9モル)の混合物(1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が6:94)を仕込み、ブタノールの抜出による内圧を0.25MPaに保持した以外は、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は白色の強靭なポリマーであり、ηr=4.00であった。
【0060】
[比較樹脂製造例1:PA92−0の製造]
ジアミン原料として1,9−ノナンジアミン22.25kg(140.4モル)だけを用いて、製造例1と同様に反応を行ってポリアミドを得た。得られた重合物は黄白色のポリマーであり、ηr=2.78であった。
【0061】
樹脂製造例1〜6及び比較樹脂製造例1で得られたポリアミド樹脂PA92C−1〜PA92C−6、PA92−0、並びにナイロン6(宇部興産製、UBEナイロン1015B)、ナイロン66(宇部興産製、UBEナイロン2020B)及びナイロン12(宇部興産製、UBESTA3020U)について、相対粘度、融点、結晶化温度、1%重量減少温度、溶融粘度、飽和吸水率、耐薬品性、耐加水分解性、ドライ及びウェットにおける機械的特性を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
[実施例1〜15、比較例1〜8]
製造例1〜6及び比較製造例1で製造したポリアミドPA92C−1〜PA92C−6及びPA92−0、並びに市販のナイロン6(宇部興産製UBEナイロン1015B;PA6)、ナイロン66(宇部興産製UBEナイロン2020B;PA66)及びナイロン12(UBESTA3020U;PA12)と、炭素繊維(東邦テナックス(株)ベスファイトHTA−C6NR(繊維径7μm)、黄銅繊維(繊維径80μm)、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインテーナショナル製EC600JD)、ガラス繊維(日本電気硝子製ECS T-289(繊維径13μm)を用いて、表2に示した割合の混合物を作成した。
【0064】
さらに、それらの混合物をシリンダー径40mmの二軸混練機を用い、260℃(PA66では290℃、ナイロン12では230℃)で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットを作成した。
得られたペレットから射出成形により各種の試験片を作成した。
【0065】
上記で得られた試験片を用いて、成形品表面抵抗値、機械的特性、耐薬品性、そり、成形品平滑性などを評価した。その評価結果を表2に示す。なお、成形品平滑性は目視により判断し、○×で評価した。
【0066】
【表2−1】

【0067】
【表2−2】


【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の新規なポリアミド樹脂を含むICトレイ用材料は、導電性を有し、かつ、低吸水性、耐熱性、耐薬品性、柔軟性、耐加水分解性、成形品そり、成形品平滑性などに優れ、溶融成形加工性に優れたものであり、ICトレイに使用できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0069】
【非特許文献1】S. W. Shalaby., J. Polym. Sci., 11, 1(1973)
【非特許文献2】L. Franco et al., Macromolecules., 31, 3912(1988)
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2006−57033号公報
【特許文献2】特表平5−506466号公報
【特許文献3】特許3036666号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカルボン酸成分が蓚酸からなり、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が1:99〜99:1であるポリアミド樹脂に、導電性付与剤を含むことを特徴とするICトレイ用材料。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂は、96%硫酸を溶媒とし、濃度が1.0g/dlのポリアミド樹脂溶液を用いて25℃で測定した相対粘度(ηr)が1.8〜6.0である、請求項1記載のICトレイ用材料。
【請求項3】
前記ポリアミド樹脂は、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した熱重量分析における1%重量減少温度と窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した示差走査熱量法により測定した融点との温度差が50℃以上である、請求項1または2に記載のICトレイ用材料。
【請求項4】
前記ポリアミド樹脂は、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が5:95〜95:5であるジアミン成分とからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のICトレイ用材料。
【請求項5】
前記導電性付与剤が、カーボンブラック及び/又は炭素繊維である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のICトレイ用材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のICトレイ用材料を用いたICトレイ。

【図1】
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【公開番号】特開2011−116884(P2011−116884A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276657(P2009−276657)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】