説明

新規なポリエステル、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】ロジンの臭気を抑制した新規なポリエステルを提供することにある。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物による変性ロジンを含むカルボン酸成分と、アルコール成分と、の縮重合体であるポリエステルである。一般式(1)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表し、Lは、エステル基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、フェニレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリエステル、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロジン類、α,β-不飽和カルボン酸またはその無水物、脂肪族多塩基酸、多価アルコールとを加熱反応させて得られる印刷インキ用樹脂が提案されている。
【0003】
特許文献2には、アルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルが提案されている。
【0004】
特許文献3には、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂が脂肪族多価アルコールを含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させてなるポリエステル樹脂を含有するトナーを用いた画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−011164号公報
【特許文献2】特開2007−292815号公報
【特許文献3】特開2007−292869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ロジンの臭気を抑制した新規なポリエステルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、
下記一般式(1)で表される化合物による変性ロジンを含むカルボン酸成分と、アルコール成分と、の縮重合体であるポリエステルである。
【0008】
【化1】

【0009】
一般式(1)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。Lは、エステル基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、フェニレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。
【0010】
請求項2に係る発明は、
重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の含有量が、前記ポリエステル中11質量%以下である、請求項1に記載のポリエステルである。
【0011】
請求項3に係る発明は、
請求項1又は2に記載のポリエステルを含む静電荷像現像用トナーである。
【0012】
請求項4に係る発明は、
請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
【0013】
請求項5に係る発明は、
請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
【0014】
請求項6に係る発明は、
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、
像保持体の表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0015】
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
【0016】
請求項8に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、上記一般式(1)で表される化合物以外の化合物による変性ロジンを含むカルボン酸成分を用いて重縮合したポリエステルに比べ、ロジンの臭気が抑制されたポリエステルが得られる。
請求項2に係る発明によれば、重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル中11質量%より多く含まれた請求項1に記載のポリエステルに比べ、臭気が抑制されたポリエステルが得られる。
請求項3に係る発明によれば、上記一般式(1)で表される化合物以外の化合物による変性ロジンを含むカルボン酸成分を用いて重縮合したポリエステルを適用する場合に比較して、ロジンの臭気が抑制された静電荷像現像用トナーが得られる。
請求項4に係る発明によれば、上記一般式(1)で表される化合物以外の化合物による変性ロジンを含むカルボン酸成分を用いて重縮合したポリエステルを用いた静電荷像現像用トナーを適用する場合に比較して、ロジンの臭気が抑制された静電荷像現像剤が得られる。
【0018】
請求項5,6,7,8に係る発明によれば、静電荷像現像用トナーに起因するロジンの臭気を抑制した画像形成が実現されるトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
【0021】
<ポリエステル>
本実施形態に係るポリエステルは、下記一般式(1)で表される化合物による変性ロジン(以下、「特定カルボン酸変性ロジン」と称することがある)を含むカルボン酸成分と、アルコール成分と、の縮重合体であるポリエステルをいう。
【化2】

【0022】
一般式(1)中、Rは水素原子、又はメチル基を表す。Lは、エステル基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、フェニレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。
【0023】
ここで、ロジンの特徴としては、嵩高い構造及び疎水性が高い性質のため、含水し難い点が挙げられる。このような性質を有するロジンをポリエステルに導入する方法として、例えば、カルボン酸で変性したカルボン酸変性ロジンを多価カルボン酸成分として用いることが知られている。
【0024】
しかしながら、ロジンは特有の臭気を有しているため、カルボン酸変性ロジンを用いたポリエステルには、ロジンの臭気が残りやすい。
【0025】
これに対して、本実施形態に係るポリエステルでは、特定カルボン酸変性ロジンとアルコール成分とを縮重合させることで、ロジンの臭気が抑制される。
この理由は、定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
【0026】
特定カルボン酸変性ロジンは、カルボキシル基と(C=C(R)−CO−)とを連結する2価の連結基Lを有する一般式(1)で表される化合物によって、ロジンが変性されたものであることから、特定カルボン酸変性ロジンにおいて、一般式(1)で表される化合物により付与されたカルボキシル基は、2価の連結基Lを介してロジンの縮合環に結合し、縮合環に直接は結合しない(例えば、下記構造式(I)参照)。
つまり、特定カルボン酸変性ロジンは下記で示すような構造になると考えられ、例えば、下記構造式(II)に示すアクリル酸等で変性されたアクリル酸変性ロジンに比べて、カルボキシル基の位置がロジンの縮合環から離れた場所に位置している。
そのため、特定カルボン酸変性ロジンのカルボキシル基は、縮合環から受ける立体障害の影響が小さくなり、反応性に富むと考えられる。
さらに、特定カルボン酸変性ロジンは1級カルボン酸であることから、反応性に富むと考えられる。
【0027】
【化3】

【0028】
したがって、特定カルボン酸変性ロジンは、反応性に富んでいることから、本実施形態に係るポリエステルを製造する際の特定カルボン酸変性ロジンとアルコール成分との縮重合反応が容易に進行するので、製造されたポリエステル中には、未反応の特定カルボン酸変性ロジンに起因する残存モノマー成分やオリゴマー成分が少なくなると考えられる。
【0029】
以上から、本実施形態に係るポリエステルでは、ロジンの臭気が抑制されると考えられる。
【0030】
以下、本実施形態に係るポリエステルを詳細に説明する。
【0031】
本実施形態に係るポリエステルは、特定カルボン酸変性ロジンを含むカルボン酸成分とアルコール成分との縮重合である。
【0032】
まず、カルボン酸成分について説明する。
カルボン酸成分は、特定カルボン酸変性ロジンを含むが、当該カルボン酸成分以外のその他のカルボン酸を含んでもよい。
ただし、特定カルボン酸変性ロジンは、全カルボン酸成分に対して、50質量%以上100質量%以下で含むことがよく、70質量%以上100質量%以下で含むことがより望ましい。
【0033】
−特定カルボン酸変性ロジン−
まず、カルボン酸成分に含まれる特定カルボン酸変性ロジンについて説明する。
特定カルボン酸変性ロジンとは、例えば、変性前のロジンに、一般式(1)で表される化合物(不飽和カルボン酸)を付加反応させて得られるものが挙げられ、より具体的には、例えば、変性前のロジンの主成分の中で共役二重結合を有する酸と、不飽和カルボン酸と、による加熱下でのディールス−アルダー(Diels−Alder)反応を経て得られたものである。
特定カルボン酸変性ロジンとしては、ディールス−アルダー(Diels−Alder)反応における反応活性の観点から、立体障害の少ないアクリル酸で変性したアクリル酸変性ロジンが望ましい。
【0034】
ロジンの変性度(以下、不飽和カルボン酸変性度)は、ポリエステルの分子量を高め、低分子量のオリゴマー成分を低減させる観点から、例えば、5以上105以下がよく、望ましくは20以上105以下、より望ましくは40以上105以下、さらに望ましくは60以上105以下である。
【0035】
不飽和カルボン酸変性度Xaは、式(Aa)により算出される。なお、式(Aa)の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
式(Aa):Xa=[(Xa1−Y)/(Xa2−Y)]×100
式(Aa)中、Xa1は、変性度を算出する不飽和カルボン酸変性ロジンのSP値を示す。Xa2は、不飽和カルボン酸1モルとロジン1モルとを反応させて得られる不飽和カルボン酸変性ロジンの飽和SP値を示す。Yは、ロジンのSP値を示す。
【0036】
ここで、SP値とは、環球式自動軟化点試験器で測定される軟化温度である。具体的には、SP値は、溶融した状態の目的の試料をリングに流し込んだ後、室温(例えば25℃)まで冷却後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行った値である。
・測定機:環球式自動軟化点試験器ASP−MGK2((株)メイテック製)
・昇温速度:5℃/min
・昇温開始温度:40℃
・測定溶剤:グリセリン
また、飽和SP値とは、不飽和カルボン酸とロジンとの反応を、得られる特定カルボン酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値である。
【0037】
−ロジン−
次に、ロジンについて説明する。
ロジン(変性ロジンに使用される変性前のロジン)とは、樹木から得られる樹脂酸の総称であり、主成分は3環性ジテルペン類の1種であるアビエチン酸とその異性体類を含む天然物由来の物質である。ロジンの具体的な成分としては、例えば、アビエチン酸の他にパラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸などがあり、本実施形態で用いるロジンはこれらの混合物である。
【0038】
ロジンは、採取方法による分類では、原料をパルプとするトールロジン、原料を生松脂とするガムロジン、及び原料を松の切り株とするウッドロジンの3種に大別される。
ロジンは入手が容易であることからガムロジン、及びトールロジンの少なくとも一方が望ましい。
【0039】
ロジンは、精製ロジンであることがよい、精製ロジンとは、未精製のロジン類から樹脂酸の過酸化物から生起したと考えられる高分子量物や、未精製のロジン類に含まれていた不ケン化物を除去することにより得られたものである。
精製方法は特に限定されず、公知の各種精製方法を選択する。具体的には蒸留、再結晶、抽出等の方法が挙げられる。工業的には蒸留による精製を行うことが望ましい。蒸留は、通常、200℃以上300℃以下、6.67kPa以下の圧力で蒸留時間を考慮して選択される。再結晶は、例えば、未精製ロジンを良溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、この溶液に貧溶媒を添加することにより行う。良溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロホルムなどの塩素化炭化水素類、低級アルコール等のアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられ、貧溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。抽出は、例えば、アルカリ水を用いて未精製のロジンをアルカリ水溶液となし、これに含まれる不溶性の不ケン化物を、有機溶媒を用いて抽出したのち、水層を中和することで精製ロジンを得る方法である。
【0040】
ロジンは、不均化ロジンでもよい。不均化ロジンとは、主成分としてアビエチン酸を含むロジンを不均化触媒の存在下で高温加熱することによって、分子内の不安定な共役二重結合を消失させたもので、主成分として、デヒドロアビエチン酸とジヒドロアビエチン酸との混合物である。
不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものが挙げられる。
【0041】
ロジンは、分子内の不安定な共役二重結合を消失させることを目的として、水素化ロジンでもよい。水素化反応については、公知の水素化反応条件を選択する。すなわち、水素化触媒の存在下に水素加圧下で、ロジンを加熱させることにより行う。水素化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものが挙げられる。
【0042】
なお、不均化ロジン、水素化ロジンは、不均化処理、又は水素化処理の前後において、上記精製工程を設けてもよい。
【0043】
−不飽和カルボン酸−
下記一般式(1)で表される化合物は、Rは水素原子、又はメチル基を表す。Lは、エステル基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、フェニレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。
【化4】

【0044】
一般式(1)中、Rは、ディールスアルダー反応における反応活性の観点から、Rは水素原子であることが望ましい。
一般式(1)中、Lとしては、具体的に、例えば、下記一般式(2)〜(4)で示される構造から選択された少なくとも1種が挙げられる。
【0045】
【化5】

【0046】
上記一般式(2)中、Xは、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。Xは、エチレン基又はペンチレン基であることが望ましい。
上記一般式(3)中、Xは、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Yは、炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフェニレン基を示す。Xは、エチレン基が望ましく、Yは、エチレン基、シクロヘキシレン基又はフェニレン基が望ましい。
上記一般式(4)中、Xは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Yは炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキレン基又はフェニレン基を示し、nは1以上5以下の整数を示す。Xは、エチレン基又はペンチレン基が望ましく、Yはシクロヘキシレン基が望ましい。
【0047】
以下に一般式(1)で示される化合物の具体例として例示化合物を示すが、本願実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0048】
【化6】

【0049】
−特定カルボン酸変性ロジンの製造方法−
特定カルボン酸変性ロジンの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ロジンと不飽和カルボン酸を混合し、180℃以上260℃以下(望ましくは180℃以上210℃以下)に加熱することで、ディールス−アルダー反応により、ロジンに含まれる共役二重結合を有する酸に不飽和カルボン酸を付加させて、特定カルボン酸変性ロジンを得る。
特定カルボン酸変性ロジンは、反応後、そのまま使用してもよく、さらに蒸留等の操作を経て精製して使用してもよい。
【0050】
ロジンと一般式(1)で表される化合物との割合は、ロジン100モルに対して、30モル以上120モル以下が望ましく、50モル以上110モル以下がより望ましい。
【0051】
特定カルボン酸変性ロジンの製造方法においては、フェノール類の存在下で、ロジンと不飽和カルボン酸を反応させることがよい。ロジンと不飽和カルボン酸との反応効率が向上し易くなる。
【0052】
ディールスアルダー反応の際には、一般式(1)で表される化合物同士の重合を防ぐために重合禁止剤を用いることが望ましい。
【0053】
重合禁止剤としては、フェノール類が望ましく、フェノール類としては、2価のフェノール及び水酸基に対して少なくともオルト位に置換基を有するフェノール性化合物(以下、ヒンダードフェノール)が好適に挙げられ、望ましくはヒンダードフェノールである。
2価のフェノールとは、ベンゼン環に、OH基が2個結合したもので、他の置換基がついていない化合物であり、具体的には、例えば、ハイドロキノンが好適に挙げられる。
【0054】
ヒンダードフェノールとしては、例えば、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、プロピルガルード、4,4’−メチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、オクタデシル−3−(4−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル(4−ハイドロキシ−3−メチル−5−t−ブチル)ベンジルマロネート、6−(4−ハイドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2,6−ジフェニル−4−オクタデカノキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−ジハイドロキシ−3,3’―ジ−(α―メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート]、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェノール)イソシアヌレート、1,1,3’−トリス(2−メチル−4−ハイドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシハイドロシンナメート)、ヘキサメチレングルコールビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[β−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシフェニルプロピオネート]メタン等が挙げられ、これらの中では、一般式(1)で表される不飽和カルボン酸同士の重合を抑制する観点から、例えば、t−ブチルカテコール及び2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンが望ましい。
【0055】
フェノール類の使用量は、特定カルボン酸変性ロジンの原料モノマー100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部がよく、望ましくは0.003質量部以上0.1質量部以下である。
【0056】
−変性ロジン以外のカルボン酸−
カルボン酸成分に含まれる変性ロジン以外のカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルキルコハク酸、分岐鎖を有する炭素数1以上20以下のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及び、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。
これらの中では、トナーの耐久性、定着性及び着色剤の分散性の観点から芳香族カルボン酸化合物が望ましい。
【0057】
−アルコール成分−
アルコール成分としては、例えば、脂肪族ジオールから選ばれる少なくとも1種を使用する。脂肪族ジオールとして、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル-1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール、ダイマージオール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら脂肪族ジオールは単独で用いても、二種以上を併用しても良い。
これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
また、本実施形態において、脂肪族ジオールと共に、例えば、エーテル化ジフェノールを更に用いても良い。エーテル化ジフェノールとは、ビスフェノールAとアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるジオールであり、該アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドであり、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数がビスフェノールAの1モルに対して2以上16以下モルであるものが望ましい。
【0058】
−ポリエステルの製造方法−
本実施形態に係るポリエステルは、カルボン酸成分及びアルコール成分を原料として、公知慣用の製造方法によって調製される。その反応方法としては、例えば、エステル交換反応又は直接エステル化反応のいずれも適用してもよい。また、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法又は常圧下で不活性ガスを流す方法によって重縮合を促進してもよい。上記反応によっては、例えば、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム及びマンガンより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用の反応触媒が用いられ、反応が促進されてもよい。これら反応触媒の添加量は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分の総量100質量部に対しては、例えば、0.01質量部以上1.5質量部以下が望ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより望ましい。反応温度は、例えば、180℃以上300℃以下の温度で行う。
【0059】
なお、本実施形態に係るポリエステルを加水分解すると各モノマー(カルボン酸成分及びアルコール成分)に分解する。ポリエステルは、例えば、カルボン酸とアルコール(例えばジオール)の1:1縮合物なので、分解物から樹脂の構成を推定する。
【0060】
−ポリエステルの特性−
本実施形態に係るポリエステルは、重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の含有量が、全ポリエステル中11質量%以下であることが望ましい。
重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の含有量が少ないほど、ポリエステル中の未反応の不飽和カルボン酸変性ロジンが少ないと考えられ、重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の含有量が、ポリエステル中11質量%より多く含まれた本実施形態に係るポリエステルに比べ、臭気が抑制される。
500以下の低分子量成分の含有量は、より望ましくは3.6質量%以下で、さらに望ましくは1.5質量%以下が良い。
なお、低分子量成分の含有量には、合成後のポリエステルを試料とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(島津製作所(株)製)により測定する。溶離液としてアセトニトリル/リン酸ナトリウム緩衝溶液を用い、検出波長210nmで測定を行う。
【0061】
本実施形態に係るポリエステルの重量平均分子量は、トナーの耐久性、耐オフセット性の観点から、4000以上1000000以下が望ましく、7000以上300000以下がより望ましい。
なお、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定には、「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI(Refractive Index)検出器(示差屈折率検出器)を用いて実験を行う。また、検量線は東ソー(株)製「Polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製する。
【0062】
本実施形態に係るポリエステルの軟化温度は、トナーの定着性、保存性、及び耐久性の観点から、80℃以上160℃以下が望ましく、90℃以上150℃以下がより望ましい。
なお、軟化温度の測定には、高化式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔の径を0.5mm、加圧荷重を0.98MPa(10Kg/cm2)、昇温速度を1℃/分とした条件下で、1cm3の試料を溶融流出させた時の流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度として求める。
【0063】
本実施形態に係るポリエステルのガラス転移温度は、定着性、保存性、及び耐久性の観点から35℃以上80℃以下が望ましく、40℃以上70℃以下がより望ましい。軟化温度及びガラス転移温度は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整、又は反応条件の選択により容易に調整する。
なお、ガラス転移温度の測定には、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)を使用し、試料10mgを昇温速度10℃/minで加熱して測定する。
【0064】
本実施形態に係るポリエステルの酸価は、トナーの帯電性の観点から1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下が望ましく、3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより望ましい。
なお、酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行う。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出する。
【0065】
本実施形態に係るポリエステルは、変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルを包含する。
【0066】
本実施形態のポリエステルは、静電荷像現像用トナー用結着樹脂として用いた場合、ロジンの臭気を抑制した静電荷像現像用トナーが得られる。
本実施形態のトナーには、本実施形態の効果を損なわない範囲で、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が併用されても良いが、本発明のポリエステルの含有量は、結着樹脂中、70重量%以上が望ましく、90重量%以上がより望ましく、実質的に100重量%であることがさらに望ましい。
ただし、本実施形態に係るポリエステルの用途は、静電荷像現像用トナーに限定されない。
【0067】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像トナー(以下、「トナー」と称することがある)は、上記本実施形態に係るポリエステルを含んで構成されている。
【0068】
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
【0069】
本実施形態に係るトナーは、例えば、トナー粒子と、必要に応じて、外添剤と、を有して構成される。
【0070】
−トナー粒子−
トナー粒子について説明する。
トナー粒子は、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤、離型剤及びその他添加剤と、を含んで構成される。
そして、結着樹脂としては、非晶性樹脂が挙げられ、非晶性樹脂として上記本実施形態に係るポリエステルが適用される。
結着樹脂としては、非晶性樹脂と共に結晶性樹脂を併用してもよい。
結着樹脂としては、上記本実施形態に係るポリエステルと共に、当該本実施形態に係るポリエステル以外のその他非晶性樹脂を併用してもよい。
但し、本実施形態に係るポリエステルの含有量は、全結着樹脂100質量部に対して、70質量部以上が望ましく、90質量部以上がより望ましい。
【0071】
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温(例えば25℃)固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
具体的には、例えば、結晶性樹脂とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性樹脂とは、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を意味する。
【0072】
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられるが、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結晶性ポリエステル樹脂が望ましい。
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、低温定着性を実現する観点から、脂肪族ジカルボン酸(その酸無水物および酸塩化物を含む)と脂肪族ジオールとの縮重合体であることがよい。
結晶性樹脂の含有量としては、全結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが望ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより望ましい。
なお、本実施形態において低温定着とは、トナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう。
【0073】
その他非晶性樹脂としては、公知の結着樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の他の樹脂が挙げられる。
【0074】
−着色剤−
着色剤としては、例えば、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
【0075】
着色剤としては、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりしてもよい。
着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
【0076】
着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が望ましい。
【0077】
−離型剤−
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
【0078】
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上15質量部以下が望ましく、1.0質量部以上12質量部以下がより望ましい。
離型剤の含有量が0.5質量%以上であれば、特にオイルレス定着において剥離不良の発生が防止される。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性が悪化することがなく、画質および画像形成の信頼性が向上する。
【0079】
−その他添加剤−
帯電制御剤としては、公知のものを使用してもよいが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いてもよい。
【0080】
−トナー粒子の特性−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂(本実施形態に係るポリエステル及び結晶性ポリエステル樹脂)と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂(本実施形態に係るポリエステル)を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0081】
トナー粒子の体積平均粒径は、例えば2.0μm以上10μm以下であることがよく、望ましくは3.5μm以上7.0μm以下μm以下である。
なお、トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
【0082】
トナー粒子の形状係数SF1は、例えば、110以上150以下であることがよく、望ましくは120以上140以下である。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
【0083】
なお、SF1は、主に顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0084】
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0085】
外添剤としての無機粒子の表面は、予め疎水化処理をしてもよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部程度である。
【0086】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子粉末)等も挙げられる。
【0087】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下であることがよく、望ましくは0.01質量部以上2.0質量部以下である。
【0088】
−トナーの製造方法−
以下、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
まず、トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中も、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0089】
具体的には、以下の通りである。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0090】
(樹脂粒子分散液準備工程)
まず、ポリエステル樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤分散液を準備する。
【0091】
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、ポリエステル樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0092】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0093】
界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用されてもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0094】
樹脂粒子分散液において、ポリエステル樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法が挙げられる。また、用いる樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0095】
樹脂粒子分散液中に分散するポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下の範囲が挙げられ、0.08μm以上0.8μm以下であってもよく、0.1μm以上0.6μmであってもよい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定される。以下、他に断りがないかぎり、粒子の体積平均粒径は同様に測定される。
【0096】
樹脂粒子分散液に含まれるポリエステル樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が挙げられ、10質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0097】
なお、樹脂粒子分散と同様にして、例えば、着色剤分散液、離型剤分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0098】
(凝集粒子形成工程)
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、ポリエステル樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、ポリエステル樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0099】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加してた後、ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0100】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、例えば無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0101】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などが挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、ポリエステル樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下の範囲内が挙げられ、0.1質量部以上3.0質量部未満であってもよい。
【0102】
(融合・合一工程)
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えばポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0103】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、ポリエステル樹脂粒子(本実施形態に係るポリエステル樹脂の粒子)が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらにポリエステル樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0104】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが望ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が望ましく用いられる。更に乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が望ましく用いられる。
【0105】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダーやヘンシュルミキサー、レディーゲミキサーなどによっておこなうことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機などを使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0106】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0107】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア、樹脂分散型キャリア等が挙げられる。
【0108】
二成分現像剤における、本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0109】
<画像形成装置/画像形成方法>
次に、本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有する。そして、静電荷像現像剤として、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤を適用する。
【0110】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0111】
本実施形態に係る画像形成方法は、像保持体を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する。そして、静電荷像現像剤として、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤を適用する。
【0112】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0113】
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
【0114】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
【0115】
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0116】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0117】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0118】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0119】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む本実施形態に係る静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
【0120】
感光体1Y上のイエロートナー画像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0121】
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0122】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0123】
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0124】
トナー画像を転写する被転写体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、被転写体の表面も平滑であることが望ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0125】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー画像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー画像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0126】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置に対して着脱自在としたものである。
【0127】
図2で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0128】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、画像形成装置に脱着され、少なくとも、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用の静電荷像現像トナーを収容するトナーカートリッジである。
【0129】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0130】
以下、実施例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例中において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0131】
[不飽和カルボン酸変性ロジンの合成]
(不飽和カルボン酸変性ロジン(1))
撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に、蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン400g、β−カルボキシエチルアクリレート(ダイセル(株)製、例示化合物(1))210g、t−ブチルカテコール0.3gを加え、220℃で12時間反応させ、不飽和カルボン酸変性ロジン(1)を得た。
その後、6.6kPaの減圧条件下、220℃で蒸留を行い、未反応のβ−カルボキシエチルアクリレートを留去した。留去物は21gであった。
得られた不飽和カルボン酸ロジンは、変性度95であった。
【0132】
(不飽和カルボン酸変性ロジン(2))
撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に、蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン400g、EO変性コハク酸アクリレート(商品名HOA−MS、共栄社化学(株)製、例示化合物(3))315g、t−ブチルカテコール0.4gを加え、220℃で12時間反応させ、不飽和カルボン酸変性ロジン(2)を得た。
その後、6.6kPaの減圧条件下、220℃で蒸留を行い、未反応のEO変性コハク酸アクリレートを留去した。留去物は26.5gであった。
得られた不飽和カルボン酸ロジンは、変性度90であった。
【0133】
(不飽和カルボン酸変性ロジン(3))
撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に、蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン400g、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(商品名アロニックスM−5300、東亜合成(株)製、例示化合物(5))435g、t−ブチルカテコール0.6gを加え、220℃で12時間反応させ、不飽和カルボン酸変性ロジン(3)を得た。
その後、6.6kPaの減圧条件下、220℃で蒸留を行い、未反応のω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートを留去した。留去物は38gであった。
得られた不飽和カルボン酸ロジンは、変性度94であった。
【0134】
(不飽和カルボン酸変性ロジン(4))
撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン400g、EO変性コハク酸メタクリレート(商品名HO−MS、共栄社化学(株)製、例示化合物(2))333g、t−ブチルカテコール0.4gを加え、220℃で12時間反応させ、不飽和カルボン酸変性ロジン(4)を得た。
その後、6.6kPaの減圧条件下、220℃で蒸留を行い、未反応のEO変性コハク酸メタクリレートを留去した。留去物は28gであった。
得られた不飽和カルボン酸ロジンは、変性度95であった。
【0135】
(比較例用不飽和カルボン酸変性ロジン(1))
撹拌装置、加熱装置、冷却管、温度計を備えたステンレス製反応容器に蒸留による精製処理(蒸留条件:6.6kPa、220℃)を行ったガムロジン400g、アクリル酸(和光純薬(株)製)105g、t−ブチルカテコール0.2gを加え、220℃で12時間反応させ、比較変性ロジン(1)を得た。その後、6.6kPaの減圧条件下、220℃で蒸留を行い、未反応のアクリル酸を留去した。留去物は15gであった。
得られた不飽和カルボン酸ロジンは、変性度94であった。
【0136】
[ポリエステルの合成]
(ポリエステル(1))
カルボン酸成分として不飽和カルボン酸変性ロジン(1)223g、アルコール成分として1,2−プロパンジオール(和光純薬工業(株)製)38g、及び反応触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(東京化成工業(株)製)0.5gを、攪拌装置、加熱装置、温度計、分留装置、窒素ガス導入管を備えたステンレス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら230℃で10時間重縮合させ、分子量、酸価を確認し、ポリエステル(1)を合成した。
HPLCにより重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の残存量を測定したところ、3.5質量%であった。
【0137】
−ポリエステル(1)の同定−
合成した特定ポリエステル樹脂(1)を2gとり、重ジメチルスルホキシド10mlと水酸化ナトリウムの重メタノール溶液(7N)2ml中で150℃、3時間加熱し、加水分解させた。その後、重水を加え、H−NMR測定を行い、不飽和カルボン酸変性ロジン(1)、及び1,2−プロパンジオールで仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認した。
【0138】
(ポリエステル(2)〜(10)、比較ポリエステル(1))
ポリエステル(1)の合成と同様の方法で、以下の表1に示すモノマーを用いてポリエステル(2)〜(10)、比較ポリエステル(1)の合成を行った。分子量、酸価、ガラス転移温度(Tg)、軟化温度、不飽和カルボン酸変性ロジンの測定結果及びロジンの種類を示す。
【0139】
−ポリエステル(2)〜(10)の同定−
得られたポリエステル(2)〜(10)を、ポリエステル(1)と同様に調べたところ、仕込み値通り樹脂が構成されていることを確認し、得られた化合物がそれぞれポリエステル(2)〜(10)であることが同定された。
【0140】
【表1】

【0141】
[実施例1]
(トナー粒子1の製造)
・ポリエステル(1) 100質量部
・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57) 3質量部
上記組成物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した。その後、風力式分級機(ターボクラシファイアー(TC−15N)、日清エンジニアリング社製)で細粒、粗粒を分級し、その中間サイズの粒子を得る過程を3回繰り返し、体積平均粒径=8μmのマゼンタトナー粒子1を得た。
【0142】
(現像剤1の製造)
−トナー組成物1の製造−
マゼンタトナー粒子1の100質量部にシリカ(商品名:R812(日本エアロジル社製))0.5質量部を加え、高速混合機によって混合し、トナー組成物1を得た。
【0143】
上記トナー組成物1とメチルメタクリレート−スチレン共重合体で被覆した粒径50μmほどのフェライトよりなるキャリアを用い、キャリア100質量部に対して、トナー組成物1を7質量部添加し、タンブラーシェーカーミキサーで混合して現像剤1を得た。
【0144】
[評価]
(臭気評価)
得られたトナー粒子1に関して臭気官能評価を行った。
臭気官能評価は、無作為に選択した試験者10人に対し、ホットプレート上で150℃に加熱したトナー粒子を用いて行った。
評価基準は、以下の通りである。
◎ : 10人中、10人が臭気を感じない
○ : 10人中、2人が臭気を感じる
△ : 10人中、5人が臭気を感じる
× : 10人中、8人が臭気を感じる
【0145】
[実施例2〜5、比較例1]
ポリエステル(1)、マゼンタ顔料(C.I.ピグメント レッド57)を表2に示すポリエステル、顔料に変えたこと以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子2〜5、比較トナー粒子1、トナー組成物2〜5、比較トナー組成物1、現像剤2〜5、比較現像剤1を得た。
評価結果は、以下の表2に示す。
【0146】
[実施例6]
(ポリエステル(6)の粒子分散液の作製)
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、(株)ユーロテック製)にポリエステル(6)を200質量部入れ、120℃の温度で加熱溶融させた。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度でキャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分30質量%のポリエステル(6)粒子分散液を得た。
【0147】
(着色剤分散液の作製)
下記成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、(株)スギノマシン製)により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20質量%の着色剤粒子分散液を得た。
シアン顔料(Pigment Blue15:3、大日精化工業(株)製) 10質量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2質量部
イオン交換水 80質量部
【0148】
(結晶性樹脂粒子分散液の作製)
ドデカン二酸(東京化成工業(株)製)115質量部、ドデカンジオール(宇部興産(株)製)101質量部をフラスコに仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、反応系内が撹拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.02質量部投入した。更に生成する水を留去しながら同温度から6時間かけて200℃まで上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い、結晶性ポリエステルを得た。
【0149】
得られた結晶性ポリエステルを用いて下記組成を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が180nmになったところで回収した。このようにして固形分20質量%の結晶性樹脂粒子分散液を得た。
【0150】
−組成−
結晶性ポリエステル 50質量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC,第一工業製薬(株)製) 2質量部
イオン交換水 200質量部
【0151】
(トナー粒子6の製造)
・ポリエステル(6)粒子分散液 150質量部
・着色剤粒子分散液 25質量部
・結晶性樹脂粒子分散液 50質量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.4質量部
・イオン交換水 100質量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50(IKA社製)を用い、混合、分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、ここにポリエステル(6)粒子分散液を70質量部追加した。その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0に調製した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら90℃まで加熱して3時間保持した。
反応終了後、降温速度を2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに30℃のイオン交換水3Lを用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところでヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー粒子(6)を得た。
トナー粒子6の体積平均粒径をコールカウンターで測定したところ、5.2μmであった。さらに、このトナーに、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒径平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、それぞれの着色粒子の表面に対する被覆率が40%になるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、トナー粒子6を作製した。
【0152】
(現像剤6の調製)
作製したトナー粒子6を用い、ポリメタクリレート(綜研化学社製)を1質量%コートした体積平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5質量%になるよう秤量し、ボールミルで5分間撹拌・混合し、現像剤6を調製した。
【0153】
(評価)
得られたトナー粒子6及び現像剤6に関して、実施例1と同様に評価した。
評価結果は、以下の表2に示す。
【0154】
〔実施例7〜10、比較例2〕
ポリエステル(6)を表2に示すポリエステルに変えたこと以外は実施例6と同様の方法でトナー粒子7〜10、比較トナー粒子2、現像剤7〜10、比較現像剤2を得た。
得られたトナー粒子及び現像剤に関して、実施例1と同様に評価した。
評価結果は、以下の表2に示す。
【0155】
【表2】

【0156】
上記の結果から、本実施例は、比較例に比べ、臭気が抑制されていることがわかる。
【符号の説明】
【0157】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ(帯電手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K 現像剤カートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段の一例)
28、115 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物による変性ロジンを含むカルボン酸成分と、アルコール成分と、の縮重合体であるポリエステル。
【化1】

(一般式(1)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。Lは、エステル基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基、フェニレン基、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す)
【請求項2】
重量平均分子量(Mw)500以下の低分子量成分の含有量が、前記ポリエステル中11質量%以下である、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリエステルを含む静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項5】
請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項6】
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、
像保持体の表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項4に記載の静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−49821(P2013−49821A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189951(P2011−189951)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】