新規なモレキュラーシーブ組成物EMM−13、その製造方法およびその使用プロセス
本願は、酸素原子が結合した四面体原子の骨格を含有し、四面体原子骨格は、原子座標がナノメートル単位で表3に記載される単位胞によって定義されるモレキュラーシーブに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、EMM−13として規定される新規なモレキュラーシーブ組成物、その製造方法およびその使用プロセスに関する。特に、本願は、独特のXRD特徴を持つMCM−22族材料であるEMM−13として規定される新規なモレキュラーシーブ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然および合成の両方のモレキュラーシーブ材料は、従来、種々のタイプの炭化水素転化のための触媒特性を持つことが示されてきた。触媒としての用途が見出されるモレキュラーシーブとしては、天然または合成結晶性モレキュラーシーブのいずれも挙げられる。これらのゼオライトの例としては、大孔径ゼオライト、中孔径サイズゼオライト、および小孔径ゼオライトが挙げられる。これらのゼオライトおよびそれらのアイソタイプは、その開示が参照により本願明細書に援用される「Atlas of Zeolite Frame work Types」、W.H.Meier,D.H.OlsonおよびCh.Baerlocher,Elsevier編,第5版,2001年に記載されている。大孔径ゼオライトの細孔サイズは一般に少なくとも約7Åであり、LTL、VFI、MAZ、FAU、OFF、*BEA、およびMOR骨格タイプゼオライトが挙げられる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。大孔径ゼオライトの例としては、マザイト(mazzite)、オフレタイト(offretite)、ゼオライトL、VPI−5、ゼオライトY、ゼオライトX、オメガ、およびベータが挙げられる。中孔径サイズゼオライトの細孔サイズは一般に約5Åから約7Å未満であり、たとえば、MFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWW、およびTON骨格タイプゼオライトが挙げられる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。中孔径サイズゼオライトの例としては、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、MCM−22、シリカライト1、およびシリカライト2が挙げられる。小細孔サイズゼオライトの細孔サイズは約3Åから約5.0Å未満であり、たとえば、CHA、ERI、KFI、LEV、SOD、およびLTA骨格タイプゼオライトが挙げられる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。小孔径ゼオライトの例としては、ZK−4、ZSM−2、SAPO−34、SAPO−35、ZK−14、SAPO−42、ZK−21、ZK−22、ZK−5、ZK−20、ゼオライトA、チャバザイト、ゼオライトT、グメリナイト、ALPO−17、およびクリノプチロライトが挙げられる。
【0003】
米国特許第4,439,409号では、PSH−3と呼ばれる物質の結晶性モレキュラーシーブ組成物と、ヘキサメチレンイミン(MCM−56の合成(米国特許第5,362,697号)において指向剤として作用する有機化合物)を含む水熱反応用の反応混合物からのその合成が開示される。ヘキサメチレンイミンはまた、結晶性モレキュラーシーブのMCM−22(米国特許第4,954,325号)とMCM−49(米国特許第5,236,575号)の合成に用いられることが開示されている。ゼオライトSSZ−25(米国特許第4,826,667号)と呼ばれる物質のモレキュラーシーブ組成物は、アダマンタン第四級アンモニウムイオンを含む水熱反応用の反応混合物から合成される。米国特許第6,077,498号には、ITQ−1と呼ばれる物質の結晶性モレキュラーシーブ組成物と、1つまたは複数の有機添加剤を含む水熱反応用の反応混合物からそれを合成することが開示されている。
【0004】
米国特許出願第11/823,129号はEMM−10−Pとして規定される新規なモレキュラーシーブ組成物を開示し、それは合成されたまま(as−synthesized)の形態で、格子面間隔dの最大値が13.18±0.25オングストロームと12.33±0.23オングストロームにあるX線回折パターンを持ち、13.18±0.25オングストロームにある格子面間隔d最大値のピーク強度は、12.33±0.23オングストロームにある格子面間隔d最大値のピーク強度の少なくとも90%である。米国特許出願第11/824,742号はEMM−10として規定される新規なモレキュラーシーブ組成物を開示し、そのアンモニウム置換形態またはその焼成された形態では、MWWトポロジーを有する単位胞を含み、前記結晶性モレキュラーシーブはc方向に配置された単位胞の回折縞によって特徴付けられる。結晶性モレキュラーシーブは、さらに電子線回折パターンの円弧状のhk0パターンによって特徴付けられる。結晶性モレキュラーシーブは、さらにc*方向に沿った電子線回折パターンのストリークによって特徴付けられる。米国特許出願第11/827,953号は、新規な結晶性MCM−22族モレキュラーシーブを開示し、合成されたままの形態で、X線回折パターンには12.33±0.23オングストロームで格子面間隔d最大値のピークと、12.57オングストロームと約14.17オングストロームとの間の格子面間隔d最大値での判別可能なピークと、8.8オングストロームと11.0オングストロームとの間の格子面間隔d最大値での非ディスクリートピークを含み、ただし12.57オングストロームと約14.17オングストロームとの間の格子面間隔d最大値のピーク強度は、12.33±0.23オングストロームでの格子面間隔d最大値のピーク強度の90%よりも小さい。
【0005】
用語「MCM−22族材料」(あるいは「MCM−22族の材料」または「MCM−22族のモレキュラーシーブ」)は、本明細書で使用される場合は、下記を含む。
(i) 共通の一次結晶性構成ブロック「MWW骨格トポロジーを持つ単位胞」から構成されるモレキュラーシーブ。単位胞は3次元空間に置かれた原子の空間的配置を持ち、その全体が参照により本願明細書に援用される「Atlas of Zeolite Frame work Types」,第5版,2001年に記載される結晶である。
(ii) 共通の2次構成ブロックから製造されるモレキュラーシーブであって、該MWW骨格タイプ単位胞を2次元に置いた場合は、「1単位胞の厚さの単一層」を形成し、好ましくは1つのc−単位胞の厚さである。
(iii) 共通の2次構成ブロックから構成されるモレキュラーシーブであって、「1単位胞以上の厚さの層」を持ち、1単位胞以上の厚さの層は、MWW骨格トポロジーを持つ単位胞の1単位胞の厚さの単一層の少なとも2層を積み重ねるか、充填するか、結合して構成される。該2次構成ブロックの積層は規則的であっても、不規則であっても、ランダムであっても、またはそれらの組み合わせであってもよい。または
(iv) MWW骨格トポロジーを持つ単位胞の規則的またはランダムな、2次元または3次元の組み合わせで構成されるモレキュラーシーブ。
【0006】
MCM−22族材料は、12.4±0.25オングストロームでの格子面間隔d最大値、3.57±0.07オングストロームおよび3.42±0.07オングストロームでの格子面間隔d最大値(焼成または合成されたままの状態のいずれか)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる。MCM−22族材料は、12.4±0.25オングストローム、6.9±0.15オングストローム、3.57±0.07オングストロームおよび3.42±0.07オングストロームでの格子面間隔d最大値を含むX線回折パターン(焼成または合成されたままの状態のいずれか)によっても特徴付けられることができる。モレキュラーシーブを特徴付けるために使用されるX線回折データは、入射放射としの銅Ka二重線、および、収集システムとしてシンチレーションカウンターおよび関連するコンピュータを備える回折計を使用する標準技法で取得することができる。MCM−22族に属する材料としては、MCM−22(米国特許第4,954,325号に記載)、PSH−3(米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ−25(米国特許第4,826,667号に記載)、ERB−1(欧州特許第0293032号に記載)、ITQ−1(米国特許第6,077,498号に記載)、ITQ−2(国際特許出願公開番号WO97/17290号に記載)、ITQ−30(国際特許出願公開番号WO2005118476号に記載)、MCM−36(米国特許第5,250,277号に記載)、MCM−49(米国特許第5,236,575号に記載)およびMCM−56(米国特許第5,362,697号に記載)が挙げられる。前記特許の全体が参照により本願明細書に援用される。
【0007】
上記に記載されたMCM−22族モレキュラーシーブはモルデナイトなどの従来の大孔径ゼオライトアルキル化触媒と、MCM−22材料がモレキュラーシーブの10員環内部細孔系とは連通しない12員環表面ポケットを含む点で区別することができることを理解するべきである。
【0008】
MWWトポロジーとしてIZA−SCによって指定されるゼオライト材料は、10員環および12員環の両方の存在に起因する2つの細孔系を含む多層材料である。Atlas of Zeolite Frame work Typesではこの同一トポロジーを持つ材料を5つの異なる名称MCM−22、ERB−1、ITQ−1、PSH−3、およびSSZ−25で分類している。
【0009】
MCM−22族モレキュラーシーブは、さまざまな炭化水素転化プロセスにおいて有用であることが見いだされてきた。MCM−22族モレキュラーシーブの例はMCM−22、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、PSH−3、SSZ−25、およびERB−1である。該モレキュラーシーブは芳香族の化合物のアルキル化に有用である。たとえば、米国特許第6,936,744号はモノアルキル化芳香族の化合物、特にクメンを製造するためのプロセスを開示し、該プロセスは少なくとも部分的に液相条件下およびトランスアルキル化触媒の存在下で、ポリアルキル化芳香族の化合物をアルキル化可能な芳香族の化合物と接触させて、モノアルキル化芳香族の化合物を製造する工程を含み、トランスアルキル化触媒は、少なくとも2つの異なる結晶性モレキュラーシーブの混合物を含有し、それぞれのモレキュラーシーブはゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイトおよび12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームでの格子面間隔d最大値を含むX線回折パターンを有する材料から選択される。
【0010】
J.Ruan,P.Wu,B.Slater,L.Wu,J.Xiao,Y.Liu,M.He,O.Terasakiの15IZAConference北京2007年での報告によってISE−MWWおよびISE−FER材料が開示され、前者は開始材料としてのMCM−22−P材料から製造された。Tatsumiらによる米国特許出願公開第2005/0158238号はMWWタイプゼオライト物質を開示した。Oguchiらの米国特許出願公開第2004/0092757号は結晶性MWWタイプチタノシリケート触媒を開示した。W.Fan,P.Wu,S.Namba,およびT.Tatsumiらによる報告(J.catalyst243(2006年)183〜191)はMWW−タイプラメラ前駆体に類似の構造を有する新規なチタノシリケートモレキュラーシーブを開示した。J.Ruan,P.Wu B.SlaterおよびO.TerasakiはISE−MWWと類似しているTi−YNU−1の詳細な構造(Angew.Chem.Int.Ed.,2005年,44,6719)を開示した。P.Wu,J.Ruan,L.Wang,L.Wu,Y.Wang,Y.Liu,W.Fan,M.He,O.TerasakiおよびT.Tatsumiによる別の報告は、ゼオライトラメラ前駆体の分子のアルコキシシリル化によって、拡大された細孔窓を含む結晶性アルミノシリケートを合成するための方法論を開示した(J.Am.Chem.Soc.2008年,130,8178〜8187)。
【0011】
これらの密接な関係にある材料はさらに、合成されたままの材料および焼成された材料の両方に対する、(002)、(100)、(101)および(102)反射に対応する格子面間隔d最大値に対する、XRD回折パターンを比較することによって区別することができる。(002)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には14.17から12.57オングストローム(約6.15〜7.05度2θCu Kα)の範囲である。(100)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には12.1から12.56オングストローム(約7.3〜7.05度2θCu Kα)の範囲である。(101)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θCu Kα)の範囲である。(102)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θCu Kα)の範囲である。以下の表(表1)に、合成されたままの材料および焼成された材料の両方に対する(002)、(100)、(101)および(102)反射に対応する格子面間隔d最大値について、XRD回折パターンの存在および/または特徴に基づいて、MCM−22、MCM−49、EMM−10、MCM−56およびTatsumiらによって報告されたチタノシリケート材料間の差異を要約した。
【表1】
【0012】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
結晶形態、サイズおよび凝集(aggregation)/凝塊(agglomeration)、または新規なX線回折は触媒作用、特に触媒活性および触媒安定性に関して影響することが知られている。したがって、新規な結晶性モレキュラーシーブ組成物および該新規な結晶性モレキュラーシーブ組成物を製造する方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(概要)
いくつかの実施形態では、本願は、合成されたままの形態および焼成形態で、X線回折パターンが14.17から12.57オングストローム(約6.15〜7.05度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピーク、12.1から12.56オングストローム(約7.3〜7.05度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピーク、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピーク、および8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピークを含み、ただし10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピークはそれらの間に谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークとを接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するEMM−13モレキュラーシーブに関する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本願は、合成されたままの形態および焼成形態で、X線回折パターンが13.18±0.25、12.33±0.23、11.06±0.18および9.25±0.13オングストロームで格子面間隔d最大値を有するピークを含み、ただし11.06±0.18オングストロームでのピークと9.25±0.13オングストロームでのピークは、11.06±0.18オングストロームと9.25±0.13オングストロームとの間で谷を示すが、最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.06±0.18オングストロームでの格子面間隔d最大値と9.25±0.13オングストロームでの格子面間隔d最大値とを接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するEMM−13モレキュラーシーブに関する。
【0017】
他の実施形態では、本願は、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法に関し、該方法は、
(a) MCM−22−P、酸性組成物を含有し、空間剤を含有してもよい混合物を提供する工程と、
(b) 合成されたままのEMM−13を含む生成物を形成する処理条件で混合物を処理する工程であって、処理条件に50℃から200℃の範囲の温度と約1時間から400時間の結晶化時間を含む工程と、
(c) 結晶性モレキュラーシーブを回収する工程と、を含む。
他の実施形態では、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13はさらに焼成条件下で焼成され、焼成されたEMM−13を形成し、焼成条件は、1分から500時間の範囲の時間で300℃から700℃の範囲の温度を含む。
【0018】
いくつかの態様では、EMM−13モレキュラーシーブはさらに、合成されたままの形態および焼成形態で、3.57±0.07オングストロームおよび3.42±0.07オングストロームでのピークを含むX線回折パターンを含む。
他の形態では、EMM−13モレキュラーシーブはさらに、合成されたままの形態および焼成形態で、6.9±0.15でのピークを含むX線回折パターンを含む。
【0019】
さらに他の形態では、焼成されたEMM−13モレキュラーシーブの組成物は、X2O3:(n)YO2のモル関係を持ち、ただしXはアルミニウム、ホウ素、鉄およびガリウムの少なくとも1つを含む三価元素であり、Yはケイ素およびゲルマニウムの少なくとも1つを含む四価元素であり、nは少なくとも約10である。合成されたままの形態のEMM−13モレキュラーシーブでは、無水ベースでYO2のnモルに対する酸化物のモルを単位として、式(0.005−1)M2O:(1−4)R:X2O3:nYO2であらわされ、ただしMはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Rは有機部分である。好ましい実施形態では、nは約10から約150であり、一層好ましくは約30から約60である。好ましい実施形態ではXはアルミニウムであり、Yはケイ素である。
【0020】
いくつかの実施形態では、焼成されたEMM−13モレキュラーシーブはコリジン吸着容量が少なくとも150μモル/gであり、好ましくは少なくとも250μモル/gである。
本発明のこれらの側面および他の側面は、以下の詳細な説明、図、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の5〜11度2θの間のXRDパターンを示す図である。
【図2】実施例1および3aの合成されたままおよび焼成された生成物のXRDパターン(2θ度で示される)を示す図である。
【図3】シリル化剤の存在無しで異なるSi/Al酸処理がされたMCM−22−PサンプルのXRDパターン(2θ度で示される)を示す図である。上図はSi/Al2が約24/1のMCM−22−P(実施例2)であり、下図は実施例3bの合成されたままのEMM−13である。
【図4】実施例3a、a.(hk0)、b.(00l)およびc.格子画像(側面図)の焼成されたEMM−13の電子線回折パターンを示す図である。
【図5】単一の微結晶(実施例3a)の一連の電子線回折チルトから構成される逆格子の3次元プロットを示す図である。
【図6】密度プロファイル(原点移動後)a.[001];b.[110];c.[−110]と比較した、MICE最終モデルから得られる構造解を示す。
【図7】実施例3aの焼成されたEMM−13の実験粉末X線パターンを示す図である。
【図8】少し拡大した、柱状MCM−22骨格から演算された粉末パターンを示す。
【図9a】焼成されたEMM−13モデルの透視図を示す。
【図9b】焼成されたEMM−13モデルの界面原子を示す立体図を示す。
【図10】結合酸素を含む実験粉末パターンに対して、最終的に適合させたリートベルト(Rietveld)モデルを示し、Rwp=0.0973であり、RF2=0.1071である。
【図11】MCM−22−P(実施例1)、その合成されたままのEMM−13、および焼成されたEMM−13(実施例3a)の29Si NMRを示す。
【図12】MCM−22−P(実施例1)、その合成されたままのEMM−13、および焼成されたEMM−13(実施例3a)の13C CPMAS NMRを示す。
【図13】MCM−22−P(実施例1)、その合成されたままのEMM−13、および焼成されたEMM−13(実施例3a)の27Al MAS NMRを示す。
【図14】焼成されたEMM−13(実施例3a)の1H MAS NMRを示す。
【図15a】実施例6−10の合成されたままのEMM−13と焼成されたEMM−13とのXRDパターン(2θ度で示される)を示す。
【図15b】実施例11−16の合成されたままのEMM−13と焼成されたEMM−13とのXRDパターン(2θ度で示される)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
(概要)
本願に引用したすべての特許、特許出願、試験方法(ASTM方法、UL方法、および同様の方法など)、先行文献、記事、刊行物、マニュアル、および他の文献は、そのような組み込みが許されるすべての法域であって、本願と矛盾しない範囲内で参照により本願にすべて組み込まれる。
本願に数値の下限および数値の上限が記載されている場合には、すべての下限からすべての上限の範囲が考慮される。本願の例示的実施形態が詳細に記載されたが、多様な他の変更形態が当業者には明らかであり、本願の精神および範囲を逸脱しない範囲で当業者には容易に想到できることが理解されるであろう。したがって、本願に添付の特許請求の範囲を実施例に限定する意図は無く、明細書に記載される記述よりもむしろ特許請求の範囲が、本願に関連する当業者にとって均等物として取り扱われるすべての特徴を含む、本願に存在する特許可能な新規性のすべての特徴を含んでいると解釈される。
本明細書で使用される場合、用語「骨格タイプ」は「Atlas of Zeolite Frame work Types,」2001年に記載された意味で使用される。
本明細書で使用される場合、周期律表の元素番号はChemical and Engineering News,63(5),27(1985)に使用されている用例に従う。
【0023】
X線粉末回折パターン
格子面間隔dはオングストローム単位(Å)で演算され、相対線強度I/Ioは、バックグラウンドに対して最も強い線の強度をIo、100とカウントし、プロフィールフィッティング法(または二次導関数)を使用して求めた。強度はLorentz効果および分極効果に対して補正しなかった。相対強度は、VS=非常に強い(60よりも大きく100以下)、S=強い(40よりも大きく60以下)、M=中間(20よりも大きく40以下)およびW=弱い(0から20)という記号で表した。一本の線として表記される回折データは、結晶相変化が相異する場合などの特定の条件下の多重重複線から構成される場合があり、分離した線または部分的に分離した線としてあらわれる場合があることを理解するべきである。典型的には、結晶相変化には、構造の変化を伴わない、単位胞パラメーターの軽微な変化および/または結晶の対称性の変化が含まれる。これらの軽微な効果は、相対強度の変化を含め、カチオン含有量、骨格組成、細孔充填の性質及び程度、および熱履歴および/または水熱履歴の違いによっても生じる。MCM−22と類似材料、たとえば、MCM−49、MCM−56、およびPSH−3とを比較した場合には、回折パターンの他の変化は材料間の重要な相異を示すことができる。
【0024】
格子面間隔dは、ピーク最大値からベースラインまでの50%強度値で定義されるハーフハイト(half height)において、約1.5度以上のピーク幅を示す場合にブロードと判断した。
明細書で使用される場合、用語「XRD判別可能なピーク」とは、バックグランドノイズレベルの平均の少なくとも2倍を有する、明確に定義されるピーク最大値を有するXRDピークによって定義される。
明細書で使用される場合、XRDの用語「非ディスクリート」ピーク(「非分離」ピークともいう)とはピークの間に単調なプロファイル(連続する点がノイズの範囲内で一貫して増加(または一定になる)または減少する(または一定になる)のどちらか)を有するピークを意味する。
明細書で使用される場合、XRDの用語「ディスクリート」ピーク(「分離」ピークともいう)とは、非ディスクリート(非分離)ではないXRDピークを意味する。
【0025】
図1は実施例1の生成物の5度2θから11度2θの間のXRDパターンを図示する。10.14から12.0オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値と8.66から10.13オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値との間の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、Bとして示され、最下点(点a)と、最下点(点a)と同一のXRD格子面間隔dでのバックグランド補正ラインの線上の点(点b)との間の距離である。点bと、10.14から12.0オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値と8.66から10.13オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値とを接続する線上での最下点と同一のXRD格子面間隔dでの点(点c)との間の距離は、Aとして表す。
【0026】
EMM−13の組成物
EMM−13は新規なMCM−22族材料であり、膨張構造であり、層間領域へのアクセスを増加させることを示す前例のないXRDパターンを有する。焼成形態ではXRDの特徴に独特の組み合わせを示し、14.17から12.57オングストローム(約6.15〜7.05度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、12.1から12.56オングストローム(約7.3〜7.05度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、8.66から10.13オングストローム(10.28.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、を含み、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークとはその間に谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークとを接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、EMM−13の組成物は、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは13.5±0.5、12.33±0.23で格子面間隔d最大値のピークを有し、11.05±0.2オングストロームのピークと9.31±0.2オングストロームのピークとの間に谷を示し、最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は11.05±0.2オングストロームの周辺と9.31±0.2オングストロームの周辺での格子面間隔d最大値を接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントの50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有する。
さらなる実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは3.57±0.06オングストロームおよび3.43±0.06オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含む。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、6.9±0.15オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、3.96±0.08オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。
【0028】
他の実施形態では、EMM−13の組成物は、合成されたままの形態および焼成形態で、13.5±0.5オングストローム(M−VS)、12.33±0.23オングストローム(M−VS)で格子面間隔d最大値および相対強度のピークを含むX線回折パターンを含み、11.05±0.2オングストローム(W−S)でのピークと9.31±0.2オングストローム(W−S)でのピークとの間で谷を示すが、最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.05±0.2オングストローム周囲と9.31±0.2オングストローム周囲との格子面間隔d最大値を接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントの50%未満である。
【表2】
【0029】
他の実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、3.57±0.06オングストローム(W−M)および3.43±0.06オングストローム(M−VS)で格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、6.9±0.15オングストローム(W−M、ブロード)で格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、3.96±0.08オングストローム(W−VS、ブロード)で格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。
いくつかの好ましい実施形態では、結晶性モレキュラーシーブEMM−13のX線回折パターンはさらに表2に挙げられる格子面間隔d最大値および強度でピークを含む。
いくつかの実施形態では、本願に開示された結晶性モレキュラーシーブのX線回折パターンはさらには、28±1オングストロームでの格子面間隔d最大値を含む。
【0030】
他の実施形態では、EMM−13の組成物はその結晶構造によって定義されてもよい。EMM−13の結晶構造はその単位胞によって定義されてもよく、最も小さい構造単位は材料のすべての構造元素を含む。EMM−13の単位胞はP6/mmm空間群、および表3に示される四面体原子(T)および酸素原子の原子座標を持ち、単位胞寸法はa=14.198(2)でありc=27.647(7)Åであり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有する。四面体原子は他の結晶力(たとえば無機または有機種の存在)によって動き回る場合があるので、それぞれの座標位置に対して±0.05nmの範囲を伴う。
【表3】
【0031】
表3では、x/a、y/b、z/cは単位胞軸a=b、cとしたときの単位胞の原子の分数座標である。Uisoはそれぞれの原子に対するÅ2単位の等方性温度因子である。量「occ」はそれぞれの原子の占有係数であり、すなわち、1.0未満の場合には、結晶のそれぞれの位置に原子または空孔の統計的分布がある。
いくつかの実施形態では、焼成されたEMM−13は、EMM−10の約120〜200μモル/gおよびMCM−22の120μモル/gに比較して、150μモル/gよりも大きく、好ましくは200μモル/gよりも大きく、一層好ましくは250μモル/gよりも大きく、さらに一層好ましくは300μモル/gよりも大きく、最も好ましくは350μモル/gよりも大きい異常に高いコリジン数を示す。いかなる理論にも制限されることを意図していないが、われわれは焼成されたEMM−13は焼成されると前駆体として拡大された形態で固定されたc−単位胞パラメーターを持つものと信じる。
【0032】
合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13の化学組成物
本願の合成されたままのEMM−13モレキュラーシーブ材料はMCM−22−P前駆体から調製されてもよく、MCM−22−P前駆体は、たとえばナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属(M)供給源と、カチオンと、たとえばアルミニウムなどの三価元素Xの酸化物と、たとえばケイ素などの四価元素Yの酸化物と、以下に詳細に記載する有機(R)指向剤と、水とを含む水熱反応用の反応混合物から取得でき、水熱反応用の反応混合物は、酸化物のモル比で表した以下の組成である。
YO2/X2O3は10から無限大の範囲または10から50の範囲であり、
M/X2O3は0.005−5.0の範囲であり、
R/X2O3は0.01−10の範囲である。
本願の焼成されたEMM−13モレキュラーシーブ材料は、合成されたままのEMM−13から少なくとも大多数の有機テンプレートRを除去する焼成条件で、合成されたままのEMM−13を焼成することによって調製されてもよい。
合成されたままのまたは焼成されたEMM−13モレキュラーシーブ材料は1.6質量%未満のチタンを含有し、好ましくは1質量%未満であり、一層好ましくは0.5質量%未満であり、最も好ましくは0.1質量%未満のチタンを含有する。
【0033】
EMM−13の製造プロセス
いくつかの実施形態では、本願は、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法に関し、該方法は、
(a)MCM−22−Pおよび酸性組成物を含有し、空間剤を含有してもよい混合物を提供するステップと、
(b)合成されたままのEMM−13を含有する生成物を形成する処理条件で混合物を処理する工程と、
(c)酸処理された結晶性モレキュラーシーブを回収する工程と、を含む。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態では、合成されたままのEMM−13は以下のプロセスによって製造される。
(1)Si/Al2を10〜無限大の範囲、好ましくは約10から150の範囲で含有するMCM−22−Pと、硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸の少なくとも1つを含有する酸性組成物であって、前記酸の濃度は10N以下、好ましくは1N未満の酸性組成物と、を含有し、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、およびテトラエチルシラン(TEOS)の少なくとも1つ、好ましくはTEOSを含有する空間剤を含有してもよい混合物をする提供する工程、および
(2)1時間〜24時間の範囲の時間と、50℃から250℃の範囲の温度を含み、攪拌速度の範囲が0〜1000rpmであってもよい処理条件で工程(1)の混合物を処理する工程。
【0035】
工程(a)の混合物は、MCM−22−P、酸性組成物を含有し、空間剤をさらに含有してもよく、酸性組成物に対するMCM−22−Pの固体含有量の重量比およびMCM−22−Pの固体含有量に対する空間剤の重量比を表4に示す。工程(b)の処理条件は、処理温度と、処理時間を含む。処理温度および処理時間の有用で好ましい範囲を表4に示す。
【表4】
【0036】
以下の酸性組成物に対する固体含有量の重量比の有用な下限は、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100および500である。以下の酸性組成物に対する固体含有量の重量比の有用な上限は0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100、500および1000である。酸性組成物に対する固体含有量の重量比は、下限が上限以下である限り、上述の下限の何れかと、上述の上限の何れかとの間の範囲である。一実施形態では、酸性組成物に対する固体含有量の重量比は0.01から100、または、0.1から10、または、0.1から5の範囲の量であってもよい。
以下の比は固体含有量に対する空間剤の重量比の下限として有用であり、0、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、および1.5である。以下の比は固体含有量に対する空間剤の重量比の上限として有用であり0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、1.5、および2である。固体含有量に対する空間剤の重量比の下限値が固体含有量に対する空間剤の重量比の上限値以下である限り、固体含有量に対する空間剤の重量比は、上述の固体含有量に対する空間剤の重量比の下限値の何れかと、上述の固体含有量に対する空間剤の重量比の上限値の何れかとの間である。一実施形態では、固体含有量に対する空間剤の重量比は0から2、または、0から1、または、0.1から0.5の範囲の量であってもよい。
【0037】
以下の温度(℃)の有用な下限処理温度は25、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、および200である。以下の温度(℃)の有用な上限処理温度は50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、および250である。下限処理温度が上限処理温度以下である限り、処理温度(℃)は、上述の上限処理温度の何れかと上述の下限処理温度の何れかとの間の範囲である。一実施形態では、処理温度は、25℃から250℃、または、70℃から200℃、または、90℃から170℃の範囲の量であってもよい。
処理のための以下の時間(hr)の有用な下限時間は0.01、1、5、10、20、30、50、100、および150である。処理のための以下の時間(hr)の有用な上限時間は1、5、10、20、40、50、70、100、150、200、および240である。処理のための下限時間が処理のための上限時間以下である限り、処理のための時間(hr)は、処理のための上述の下限時間の何れかと、処理のための上述の上限時間の何れかとの間である。一実施形態では、処理のための時間は1から100、または、1から48、または、1から24の範囲の量であってもよい。
【0038】
(1) MCM−22−P
MCM−22−P生成物は、その全体が参照により本願明細書に援用される米国特許番号第号4,954,325号に開示されている。
米国特許番号第4,954,325号に開示されるMCM−22−Pは、表5に示されるモル比の組成物を含有する混合物を結晶化することによって製造されてもよい。
【表5】
【0039】
結晶化の後に、MCM−22−P生成物は表6に示されるモル比の組成物を含有する。
【表6】
【0040】
(2) 酸性組成物
本願に有用な酸性組成物は、酸性溶質と溶媒とを含有する。酸性溶質は、硝酸、塩酸および硫酸などの無機酸、および、シュウ酸および酢酸などの有機酸の少なくとも1つ、または何れかの無機酸と有機酸との組み合わせを含有する。好ましくは、酸性溶質は硝酸である。溶媒は、水、メタノール、エタノール、アセトンおよびジメチルスルホン(DMSO)の少なくとも1つを含む。
酸性組成物の酸濃度は0.001から10の範囲である。以下の酸濃度の有用な下限は0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、および9である。以下の酸濃度の有用な上限は0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10である。下限が上限以下である限り、酸濃度は上述の下限の何れかと、上述の上限の何れかとの間の範囲に入る。一実施形態では、酸濃度は0.001から5、または、0.01から4、および代替的に0.1から2の範囲の量であってもよい。
酸性組成物に対する固体含有量の重量比で使用される酸性組成物の重量は、酸性溶質および溶媒の総重量に基づいて演算された。
【0041】
(3) 空間剤
酸性処理工程では、空間剤を含有してよい。有用な空間剤は、拡大された形態の前駆体(すなわち、合成されたままの形態および焼成された形態の両方で13.5±0.25で明白な(002)ピークを有する)を安定化することができる部分を供給できるすべての製剤である。たとえば、空間剤は、拡大された形態の前駆体を安定化することができるケイ素部分を供給できるシリル化剤であってもよい。
空間剤の化合物の例としては、四価元素、三価元素、および/または五価化合物の有機化合物、例えば有機珪素化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機ほう素化合物、有機アルミニウム化合物、および有機りん化合物などが挙げられる。有機珪素ケイ素化合物は、シリコーン、シロキサン、ならびに、ジシランおよびアルコキシシランなどのシランを含むポリシロキサンを含有してもよい。
【0042】
本発明で使用できるシリコーン化合物は、以下に挙げられる。
【化1】
ただしR1は水素、フッ化物、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルカリルまたはフルオロアルキルである。炭化水素置換基は一般には、1から約10炭素原子を含有し、好ましくはメチル基またはエチル基である。R2はR1と同一の基から選択され、nは整数であって少なくとも2であり、一般には2から約1000の範囲である。使用されるシリコーン化合物の分子量は、一般に約80から約20,000の間、好ましくは約150から約10,000の間である。代表的なシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーン、フェニルメチルリコーン、メチルハイドロゲンシリコーン、エチルハイドロゲンシリコーン、フェニルハイドロゲンシリコーン、フルオロプロピルシリコーン、エチルトリフルオロプロピルシリコーン、テトラクロロフェニルメチル メチルエチルシリコーン、フェニルエチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルトリシリコーン、テトラクロロフェニルエチル−シリコーン、メチルビニルシリコーンおよびエチルビニルシリコーンが挙げられる。シリコーン化合物は直鎖である必要はなく、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサンおよびオクタフェニルシクロテトラシロキサンのような環式であってもよい。これらの化合物の混合物は、他の官能基を含むシリコーンとして使用されてもよい。
【0043】
有用なシロキサンおよびポリシロキサンとしては、非限定的な例として、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサンおよびオクタフェニルシクロ−テトラシロキサンが挙げられる。
【0044】
有用なシラン、ジシラン、またはアルコキシシランとしては、以下の一般式を有する有機置換シランが挙げられる。
【化2】
ただしRは水素、アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、アミノ、アセトアミド、トリアルキルシリルオキシなどの反応基であり、R1、R2およびR3はRと同じであってもよく、または有機ラジカルであってもよく、有機ラジカルとしては、1から約40炭素原子のアルキル、アルキルの有機部分が1から約30炭素原子を含み、アリール基はさらに置換されてもよい約6から約24炭素原子を含むアルキルまたはアリールカルボン酸、約7から約30炭素原子を含むアルキルアリールおよびアリールアルキル基が挙げられる。好ましくは、アルキルシランのアルキル基の鎖長は約1から約4炭素原子である。混合物が使用されてもよい。
シランまたはジシランとしては、非限定的な例として、ジメチルフェニルシラン、フェニルトリメチルシラン、トリエチルシランおよびヘキサメチルジシランが挙げられる。有用なアルコキシシランは少なくとも1つのケイ素−水素結合を含有するものである。
【0045】
触媒および吸着
モレキュラーシーブおよび/またはゼオライトの要約は、モレキュラーシーブの製造、修飾および特徴に関しては、「Molecular Sieves−Principles of Synthesis and Identification」;(R. Szostak、Blackie Academic & Professional,ロンドン,1998年,第2版)という本に記載されている。モレキュラーシーブに加えて、アモルファス材料、主にシリカ、アルミニウムシリケイトおよび酸化アルミニウムは吸着剤および触媒担体として使用されてきた。多くの長く知られてきた成形技術、たとえば噴霧乾燥、錠剤化、ペレット化および押し出し成形が、触媒、吸着およびイオン交換に使用される微細孔および他のタイプの多孔性の材料の両方の、たとえば、球状粒子、押し出し物、ペレットおよび錠剤の形状のマクロ構造を製造するために使用されてきたし、使用されている。これらの技術の要約は、「Catalyst Manufacture,」A. B. Stiles and T. A. Koch,Marcel Dekker,ニューヨーク,1995年に記載されている。
【0046】
所望の範囲まで、合成されたままの材料の元の金属カチオンは当該技術分野において知られている技術に従って、少なくとも一部が、他のカチオンとのイオン交換によって置換できる。好ましい置換カチオンとしては、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、たとえば、アンモニウムイオンおよびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいカチオンは、特定の炭化水素転化反応の触媒活性を調整するものである。これらの例としては、水素、希土類金属および元素の周期表の1−17族、好ましくは2−12族の金属が挙げられる。
本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブは、有機化合物転化プロセスで吸着剤または触媒として使用される場合には、一般に、少なくとも部分的に脱水される。これは、空気または窒素などの雰囲気中で、大気圧、準大気圧または超大気圧において、たとえば30分から48時間の間、たとえば200℃から595℃の範囲の温度に加熱することによって実施される。脱水の程度は、48時間、乾燥窒素流(0.001kPa未満の水蒸気分圧)における595℃での、モレキュラーシーブサンプルの総重量損失に対する重量損失の割合によって測定される。脱水は室温(約25℃)で単にシリカートを真空に置くが、十分な量を脱水させるために十分な時間をかけることによっても実施することができる。
【0047】
本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブは特にその金属、水素およびアンモニウム型において、熱処理によって別の型に有益に転化され得る。この熱処理は、一般にこれらの型の1つを少なくとも1分であって一般に1000時間以下、少なくとも370℃の温度で加熱することによって実施される。熱処理には大気圧より低い圧力を使用できるが、大気圧が便宜上好ましい。熱処理は約925℃までの温度で実施できる。熱処理生成物は特定の炭化水素転化反応の触媒に特に有用である。熱処理生成物は、特にその金属、水素およびアンモニウム型において、炭化水素転化反応等の特定の有機物質の触媒に特に有用である。該反応の非限定的な例としては、触媒反応の記載としてそれぞれが参照により本願明細書に援用される米国特許第4,954,325号;第4,973,784号;第4,992,611号;第4,956,514号;第4,962,250号;第4,982,033号;第4,962,257号;第4,962,256号;第4,992,606号;第4,954,663号;第4,992,615号;第4,983,276号;第4,982,040号;第4,962,239号;第4,968,402号;第5,000,839号;第5,001,296号;第4,986,894号;第5,001,295号;第5,001,283号;第5,012,033号;第5,019,670号;第5,019,665号;第5,019,664号;および第5,013,422号に記載されたものがある。
【0048】
本願に開示されるEMM−13結晶性モレキュラーシーブは広い範囲の粒子サイズに形成される。一般的に言えば、粒子は粉末、顆粒、または押出物などの成形品の形態であってもよい。触媒が押し出し成形などによって成形される場合には、結晶は乾燥前に押し出され、または部分的に乾燥されてから押し出される。
本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブは、本願に開示のEMM−13結晶性モレキュラーシーブとは異なる吸着特性を有する蒸気相または液相の成分の混合物から少なくとも1つの成分を分離するためなどに、吸着剤として使用されてもよい。すなわち、選択的に1つの成分を吸着するために混合物を本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブと接触させることによって、本願に開示のEMM−13結晶性モレキュラーシーブとは異なる吸着特性を有する成分の混合物から、少なくとも1つの成分を部分的にまたは実質的にすべてを分離することができる。
【0049】
本願に開示されるEMM−13結晶性モレキュラーシーブは、分離プロセスおよび炭化水素転化プロセスを含む広範囲のプロセスで触媒として有用である。本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブそれのみにより、または他の結晶性触媒を含む1つまたは複数の他の触媒的に活性な物質との組み合わせによって効果的に触媒される炭化水素転化プロセスの具体的な実施例は以下に挙げられる。
(i)、、約340℃から約500℃の温度、約101から約20200kPa−a(絶対値)の圧力、約2時間-1から約2000時間-1の毎時重量空間速度および約1/1から約20/1の芳香族炭化水素/オレフィンモル比を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、芳香族炭化水素、例えばベンゼンを長鎖のオレフィン、たとえばC14などのオレフィンによってアルキル化して、長鎖アルキル芳香族化合物を提供し、それはさらにスルフォン化されて合成洗浄剤を与える。
(ii)約10℃から約125℃の温度、約101から約3030kPa−aの圧力、および5時間-1から約50時間-1の芳香族炭化水素の毎時重量空間速度(WHSV)を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、芳香族炭化水素を気体オレフィンによりアルキル化して短鎖アルキル芳香族化合物を与える。たとえば、ベンゼンのプロピレンによるアルキル化によってクメンを提供する。
(iii)約315℃から約455℃の温度、約3000から約6000kPa−aの圧力、約0.4時間-1から約0.8時間-1のWHSV−オレフィン、約1時間-1から約2時間-1のWHSV−改質ガソリンおよび約1.5から2.5のvol/vol燃料ガス原料のガスリサイクルを、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、C5オレフィンを含む燃料ガスによって、相当量のベンゼンおよびトルエンを含む改質ガソリンをアルキル化し、特に、モノおよびジアルキル体を提供する。
【0050】
(iv)約160℃から約260℃の温度および約2600から3500kPa−aの圧力を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、芳香族炭化水素、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレンを、たとえば、C14オレフィンなどの長鎖オレフィンでアルキル化し、アルキル化された芳香族潤滑剤ベースストックを提供する。
(v)約200℃から約250℃の温度、約1500から2300kPa−aの圧力および約2時間-1から約10時間-1の総WHSVを、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、フェノールをオレフィンまたは等価なアルコールでアルキル化し、長鎖アルキルフェノールを提供する。
(vi)約425℃から約760℃の温度および約170から約15000kPa−aの圧力を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、軽質パラフィンをオレフィンおよび芳香族化合物へ転化する。
(vii)約175℃から約375℃の温度および約800から約15000kPa−aの圧力を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、軽質オレフィンをガソリン、蒸留物および潤滑剤の範囲の炭化水素へ転化する。
(viii)約340℃から約455℃の温度、約3000から約18000kPa−aの圧力、約176から約1760リットル/リットルの水素循環および約0.1から10時間-1毎時液体空間速度(LHSV)を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、約260℃よりも高い初期沸点を有する炭化水素流を品質改善するために2段階水素化分解して、第1の段階では本願のMCM−22族モレキュラーシーブを8−10族の金属と組み合わせて触媒として使用し、第2の段階では第1の段階からの生成物流を、ゼオライトベータを8−10族の金属と組み合わせて触媒として使用して反応させて、上質の蒸留物およびガソリン沸点範囲の生成物を得る。
【0051】
(ix)約350℃から約400℃の温度、約10000から約11000kPa−aの圧力、約0.4から約0.6のLHSVおよび約528から約880リットル/リットルの水素循環を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、触媒としての本願のMCM−22族モレキュラーシーブおよび水素化成分、または該触媒とゼオライトベータの混合物の存在下での水素化分解/脱ロウを組み合わせた工程。
(x)約20℃から約200℃の温度、200から約20000kPa−aの圧力、約0.1時間-1から約200時間-1のWHSV(時間グラム−ゼオライトあたりのグラムオレフィン)および約0.1/1から約5/1のアルコールとオレフィンとの供給モル比を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む転化条件で、アルコールをオレフィンと反応させ混合エーテルを得る反応。たとえば、メタノールをイソブテンおよび/またはイソペンタンと反応させメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)および/またはt−アミルメチルエーテル(TAM)を得る反応。
(xi)約315℃から約595℃の温度、約101から約7200kPa−aの圧力、約0(水素を添加しない)から約10の水素/炭化水素モル比および約0.1時間-1から約30時間-1のWHSVを、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件での、補助材料(co−feed)としてのC9+芳香族化合物によるトルエンの不均化反応。
【0052】
(xii)イソブチルベンゼンとプロピレンオキシドを反応させ、中間体2−(4−イソブチルフェニル)プロパノールを与え、その後該アルコールの対応するカルボン酸への酸化による薬理学的に活性な化合物2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、すなわちイブプロフェンの調製。
(xiii)その全体が参照により本願明細書に援用される独国特許第DE3,625,693号に記載された、、アミンとヘテロ環繊維−反応性の成分との反応における酸−結合剤としての使用であって、実質的に塩を含まない反応性の染料含有溶液を調製する染料の調製における使用。
【0053】
(xiv)その全体が参照により本願明細書に援用される米国特許第4,721,807号に記載されているように、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)をその異性体から分離するための吸着剤としての使用であって、2,6−TDIおよび2,4−TDIを含有する供給混合物をKイオンとカチオン交換された本願のMCM−22族モレキュラーシーブと接触させて2,6−TDIを吸収し、その後トルエンを含有する溶離材によって溶離された2,6−TDIを回収する。
(xv)その全体が参照により本願明細書に援用される米国特許第4,721,806号に記載されているように、2,4−TDIをその異性体から分離するための吸着剤としての使用であって、2,4−TDIおよび2,6−TDIを含有する供給混合物を、Na、Ca、Liおよび/またはMgイオンとカチオン交換された本願のMCM−22族モレキュラーシーブと接触させて2,4−TDIを吸収し、その後トルエンを含有する溶離材によって溶離された2,4−TDIを回収する。
(xvi)約230℃から約425℃の温度および約457から約22000kPa−aの圧力を別々にまたは何れかの組み合わせで含む条件で、水素化金属を含む本願のMCM−22族モレキュラーシーブの触媒の上で、ジュレンを含有する底部留分を水素と接触させることを含む、メタノールからガソリンへの触媒転化によって得られる90−200℃+底部留分のジュレン含有量を減少させる工程。
(xvii)ベンゼンのアルキル化、その後のアルキルベンゼンヒドロペルオキシドの生成およびフェノールおよびケトンへのアルキルベンゼンヒドロペルオキシドの開裂を経て行われる、フェノールおよびケトンを同時に生成する工程。たとえば国際出願PCT/EP2005/008557に記載されているもののような、ベンゼンとプロピレンからフェノールとアセトンへ、ベンゼンとC4オレフィンからフェノールとメチルエチルケトンへ、その後国際出願PCT/EP2005/008554に記載されるような、フェノールとアセトンからビス−フェノール−Aへの転化、たとえば国際出願PCT/EP2005/008551に記載されるような、ベンゼンからフェノールとシクロヘキサノン、またはベンゼンとエチレンからフェノールとメチルエチルケトンへの転化を行うことができる。
(xviii)モノアルキルベンゼンへの選択性が要求されるベンゼンアルキル化反応、たとえば、国際出願PCT/EP2005/008557に記載されているようにベンゼンと、直鎖ブテンが多いC4オレフィン原料から選択的にsec−ブチルベンゼンを製造する工程。好ましくは、約60℃から約260℃の温度、たとえば約100℃から200℃、7000kPa−a以下の圧力、並びにC4アルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約0.1から50時間-1の原料供給および約1から約50のC4アルキル化剤に対するベンゼンのモル比でベンゼンとC4オレフィン原料を同時に供給し、本発明の触媒によってこの転化が実施される工程。
(xix)たとえば、ポリアルキルベンゼントランスアルキル化などのトランスアルキル化工程。
【0054】
多くの触媒の場合には、有機転化プロセスに使用される温度および他の条件に耐性のある別の材料を該新規な結晶に組み入れることが望ましい。該材料としては、活性および非活性材料および合成または天然のゼオライト、および粘土、シリカおよび/またはアルミナなどの金属酸化物、などの無機材料が挙げられる。後者は天然または、シリカおよび金属酸化物の混合物を含有するゼラチン状の沈殿物またはゲルの形態であってもよい。活性な新規な結晶と組み合わせた、すなわちこれと結合されたまたは新規な結晶の合成時に存在する材料中の使用によって、特定の有機転化プロセスにおける転化および/または触媒の選択性が変化する傾向がある。非活性材料が所与のプロセスにおいて転化量を制御するために希釈剤として好適に機能することで、反応速度を制御する他の手段を使用することなく生成物を経済的および問題なく得ることができる。これらの材料は天然の粘土、たとえば、ベントナイトおよびカオリンに組み入れられ、生産条件下での触媒の圧潰強度を向上させる。該材料、すなわち粘土、酸化物等は、触媒に対するバインダーとして機能する。実際の生産では、触媒が粉砕されて粉末状材料になることを防ぐことが望ましいため、良好な圧潰強度を持つ触媒を提供することが望ましい。通常これらの粘土バインダーは触媒の圧潰強度を向上させるためだけに使用されてきた。
【0055】
新規な結晶に混合され得る天然の粘土としては、モンモリナイト属とカオリン属が挙げられ、その属としては、サブベントナイト類、およびディクシー(Dixie)、マクナミー(McNamee)、ジョ−ジア(Georgia)およびフロリダ粘土として一般に知られるカオリン類または主要無機成分がハロイサイト、カオリナイト、ディクタイト、ナルサイト、またはアナウザイトである他の物質が挙げられる。該粘土は元来の採掘されたままの状態で使用でき、または最初に焼成、処理または化学的修飾を受けることもできる。本願の結晶と組成物を形成するために有用なバインダーとしては、無機酸化物、特にアルミナが挙げられる。
【0056】
前述した材料に加え、新規な結晶は、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニアなどの3種の組成物ばかりではなく、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニアなどの多孔性のマトリックス材料と組成物を形成し得る。
細かく粉砕されたEMM−13結晶性モレキュラーシーブと無機酸化物マトリックスの相対的な割合は広く変化し、結晶含有量の範囲は約1から約99質量パーセント、より通常は、特に組成物が粒状に調製されている場合には、組成物の約20質量%から約80質量%の範囲である。
以下の実施例は本発明の実施形態を示し、本発明の範囲を制限することを決して意図しない。
【実施例】
【0057】
実験
粉末X線回折
粉末X線データは単色Cu Kα放射を使用するBrukerD4測定器のBragg−Brentano幾何学配置から得られた。構造的特徴に使用されたパターンは2θで1.2°から80°に及ぶ。リートベルト(Rietveld)精密化のための強度は連続走査によって抽出された。粉末パターンの指標付けはMDI Inc.のJADEプログラムツールを使用して実行した。
【0058】
粉末パターンの指標付けはMDI Inc.のJADEプログラムツールを使用して実行した。試作品の構築後(Cerius2(Accelrys、Inc.)の構造構築モジュールによって促進された)、その粉末回折プロフィールへの適合は、A. C. Larsson& R.B.von Dreele、General Stracture Analysis System、GSAS、Los Alamos National Laboratory、Los Alamos、NM、1994に記載されているGSASプログラムを使用したリートベルト(Rietveld)精密化によって実施された。Ch.Baerlocher,A.Hepp、&W.M.Meier,Distance Least Squares Refinement Program、DLS−76.ETH、チューリッヒ、1977年に記載されたDLSプログラムによって、骨格は幾何学的にしばしば最適化される。GSASで生成された電子密度マップは単位胞の中の追加の原子を配置させるために使用でき、最初にCerius2モデルを使用して試験され、骨格原子に不一致がないことを確認した。精密化中には注意を払い、異常な結合配置を避けた。骨格に対しては、Si−O結合距離(1.61±0.03Å)およびO−O四面体距離(2.65±0.06Å)の制限を強制することによって部分的に保証された。骨格精密化の重み付け関数は徐々に緩和されたが、それぞれの精密化工程の後に、結合配置の化学的な妥当性が確認された。単位胞パラメーター、背景およびゼロ点移動に加えて、プロファイル関数も精密化されてモデル適合性を改善させたが、R値はモデルを実験強度曲線に必ずしも緊密に合致させることにはならないことがしばしば見られる。いくつかの場合には、The Rietveld Method(R.A.Young、編集).Oxford Univ. Press,Oxford,1995年,P.11のR.A.Youngによる板状の結晶組立体からBragg−Brentanoデータに期待される好ましい方向に調製がなされた。
【0059】
表面積
モレキュラーシーブの総表面積は、窒素の吸着−脱着(液体窒素の温度、77K)を使用して、Brunauer−Emmett−Teller(BET)方法によって測定できる。内部表面積(ZSA、m2/g)はBrunauer−Emmett−Teller(BET)測定のt−プロットを使用して演算することができる。外部表面積(ZSA、m2/g)は、Brunauer−Emmett−Teller(BET)測定によって測定された総表面積から内部表面積を減算することによって演算することができる。マイクロ細孔容積(cm3/gでのマイクロ細孔)は窒素吸着/脱着(窒素等温線)によって決定される。
【0060】
コリジン数の測定
モレキュラーシーブのコリジン数はTGAによって測定でき、サンプルは200℃で(1時間で重量変化が±1%未満になる)一定質量まで乾燥させる。乾燥サンプル(収着質)の重量が、次に測定される。吸着剤である2,4,6−コリジンが、気密シリンジを介して0.3ml/時間で供給され、60分間200ml/分で通過する窒素によってサンプルに運ばれる。コリジン数は収着質の1グラム当たりの吸着量のマイクロモルによって表される。
【0061】
電子顕微鏡および回折
選択された領域の電子線回折実験はFEI/Philips CM−30電子顕微鏡の300kVで実施され、選択された領域の直径には0.25μmを使用した。場合によっては、所定の逆格子の周囲で3次元チルトが実施され、3次元逆格子を図示した。32,240倍の直接倍率によって明視野電子顕微鏡写真が得られた。電界制限開口部によって回折情報をd*=0.08Å-1に出力する。すべての露出はKodak Biomax MSフィルムに記録された。
主要な強度データ収集のために、回折フィルムがフラットベッド型スキャナーの上でデジタル化され、指標化後に、S.Hovmoller、Ultramicroscopy41(1992)121)パッケージに記載されたCRISP内のX.D.Zou、Yu.Sukharev&S.Hovmoller,Ultramicroscopy53(1994)271プログラムELDによってそれぞれのスポットの強度が評価された。対称関係にある反射は平均化され、Lorentz補正は派生構造因子の大きさには適用しなかった。場合によっては、ELDで好適なピークの積分を得ることが困難であった。この場合には、フィルムはフラットベッド型Joyce Loebl Mk.III マイクロデンシトメータの上でデジタル化され、使用されるピーク面積はそれらの強度で評価された。データを3次元セットに組み合わせるために、D.L Dorset.Structural Electron Crystallography.Plenum、NY、1995年に記載されているように、1つのセットから他のセットに尺度を変えるために分離ゾーンからの共通反射が使用された。
【0062】
電子線回折の検討のために、構造因子演算がフォートランプログラムSFで実施され、知られたの構造からの位相近似後にフォートランプログラムZPOTで一次元静電電位分布が得られた。
所与の単位胞の逆軸の周囲の3次元チルト(一般にa*)をプロットすることによって、3次元逆格子の無歪み図が得られる。較正用の通常の金粉末標準を使用して、完全な単位胞寸法が測定される。これらのプロットの規則的な欠如から、Th.Hahn(編集)、International Tables for Crystallography. Volume A. Space−Group Symmetry.Kluwer,Dordrecht,1995年によって単位胞の対称性も推定できた。
【0063】
C.J.Gilmore、K.Shankland、&G.Bricogne、Proc.Roy.Soc.London 442(1993)97によるプログラムMICEによる最大エントロピー、および、尤度を使用して、3次元データセットから構造が見出された。Ch.Baerlocher,L.B.McCusker&L.Palatinus,Z.Krist.222(2007)47に記載された典型的なゼオライト密度ヒストグラムを使用することは有用であり、さらにC.J.Gilmore、G.Bricogne&C.Bannister,Acta Cryst.A46(1990)297による特長の最大尤度図によって選択された試験構造解をさらに識別した。特定された反射の全要因位相変換の代わりに、C.J.Gilmore,W.Dong,&G.Bricogne,Acta Cryst.A55(1999)70によるノルドストローム・ロビンソン誤り訂正符号を、演算速度を加速するために使用した。
【0064】
NMR実験手順
すべての固体状態のNMR測定は室温で実施された。27Al、29Si MASおよび29Si CPMAS NMRスペクトルが、それぞれ27Alおよび29Si対して130MHzおよび99MHzラーモア周波数に対応する11.7T(1H499.2MHz)で動作するVarian Infinity Plus500スペクトロメーターに記録された。29Si MAS(Bloch decay)およびCPMAS NMRはそれぞれ4−kHzおよび3.5−kHzのスピン速度で7.5−mmバリアンプローブを使用して記録された。29Si MASデータはデータ収集の際の1Hデカップリング、4μsπ/2パルス、60秒パルス遅延で記録し、600スキャンを収集した。29Si CPMASデータはデータ収集の際の1Hデカップリング、4μsπ/2パルス、3.5ms接触時間、3秒パルス遅延で記録し、1440〜4000スキャンを収集した。27Al MAS(Bloch decay)NMRスペクトルは10−kHzのスピン速度で4−mmバリアンプローブを使用して、データ収集の際の1H双極性デカップリング、1.2μsπ/6パルス、0.3秒パルス遅延で記録し、2400〜4000スキャンを収集した。13C CPMAS NMRスペクトルは4−kHzのスピン速度で5−mmバリアンプローブを使用して、13Cラーモア周波数50.3MHzに対応する4.7T(1H199.9MHz)で動作するChemagnetics CMX−200に記録した。13C CPMASデータはデータ収集の際の1Hデカップリング、3.5μsπ/2パルス、3.5ms接触時間、2秒パルス遅延で記録し、3200〜8000スキャンを収集した。1H MAS NMRスペクトルは399.4MHzの1Hラーモア周波数に対応する9.4TVarian InfinityPlus 400スペクトロメーターに記録した。1H MAS(Bloch decay)データは10−kHzのスピン速度で4−mmバリアンプローブを使用して、4μsπ/2パルス、30秒パルス遅延で記録し、32スキャンを収集した。
【0065】
材料および合成
実施例1:Si/Al2約60のMCM−22−Pの合成
合成混合物は184gの水、1.5gのUsalco45、22gの10%NaOH、17gのヘキサメチレンイミンおよび23gのウルトラシル(Ultrasil)を使用して調製された。それを300mlのオートクレーブ中で、150℃100rpmで反応させた。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0066】
実施例2:Si/Al2約23のMCM−22−Pの合成
合成は、米国特許第4,954,325号の実施例1に類似する。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0067】
実施例3a:合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13を製造するためにシランを用いるMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)を0.3gの空間剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランと混合し、続いて実施例1の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによって合成されたままのEMM−13として同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例3aの焼成された材料はXRDによって焼成されたEMM−13として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0068】
実施例3b:合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13を製造するためのMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)を混合し、続いて実施例1の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによって合成されたままのEMM−13として同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例3bの焼成された材料は、XRDによって焼成されたEMM−13として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0069】
実施例3c:合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13を製造するためにシリカを用いるMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)と0.3gのヒュームドシリカ(Cab−o−Sil)を混合し、続いて実施例1の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによって合成されたままのEMM−13として同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例3cの焼成された材料はXRDによって焼成されたEMM−13として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0070】
実施例4a:MCM−22−PおよびMCM−22を製造するためにシランを用いたMCM−22−P(実施例2)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)と0.3gの空間剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランを混合し、続いて実施例2の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによってMCM−22−Pとして同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例4aの焼成された材料はXRDによってMCM−22として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0071】
実施例4b:MCM−22製造するためのMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)を混合し、続いて実施例2の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによってMCM−22−Pとして同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例4bの焼成された材料はXRDによってMCM−22として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【表7】
【0072】
実施例1〜4の結果および考察
実施例3a、3b、3cの合成されたままの生成物および焼成された生成物のXRDと、実施例1の合成されたままの生成物および焼成された生成物のXRDとの比較によって、合成されたままの構造のEMM−13の明確な証拠が、特に図2の低角度領域6〜10度2θ(Cu Kα)において観察された。前者の4つのピークパターンは実施例3a、3bおよび3cの焼成後にも残り、一方、実施例1の焼成によって6.5度2θ(Cu Kα)の第1のピークは明確に消滅している。いかなる理論にも拘束されることを意図しないが、われわれは27Åから約25Åへの単位胞収縮の結果によってこの(002)ピークのシフトが引き起こされ、7.1度のピークに吸収されたと信じる。XRDによって示された層間隔が保持されることで、追加の熱安定部分が挿入されることが示され、可能性が最も高いのはSi原子の取り込みであるとわれわれは信じる。EDとNMRの両方の結果はこの理論と一致する。
【0073】
表7に示すように、その親MCM−22と比較して、焼成された生成物であるEMM−13の改良されたBET表面積および微孔性体積が明らかになった。
実施例2の高Al濃度MCM−22−Pでは、処理によって、図3に示すXRDによって証明されるように、焼成する前でも酸性媒体中で25Åc−単位胞材料に崩壊する。また、合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13は空間剤(シリル化剤)の添加が無くとも製造できる。
処理によって積層の側面図を通常は見ることができる。これは図4に図示される。結晶板上の図からhk0電子線回折パターンの特徴を見出すことができる。低分解能格子画像から規則的な積層が分かる(図4)。電子線回折パターンから測定されたセルの寸法はa=14.14±0.14Å、c=27.42±0.32Åである。単一の微結晶の一連のチルト回折による逆格子の3次元プロット(図5)はc=27.1Åの間隔を支持している.許容される反射クラスは空間群P6/mmm(C4)と一致する。
【0074】
図5に示されるものと類似するパターン中で測定されたhk0強度は、[001]投影中のゼオライトのMWW族の他のものとよく似ている。151独特のhkl電子線回折振幅の3次元結晶構造の解析からこの構造の中にMCM−22層が含まれることが明らかになる(図6)。
粉末インデックスプログラムをX線回折パターン(図7)に適用することで六方晶空間群、たとえばa=14.166、c=27.533ÅであるP6/mmmを再び特定する。電子線回折によって同定される、この構造中のMCM−22層の存在によって、c−軸長を拡大することも使用してMCM−22の−O−結合が−O−Si−O−によって置換されたモデルが構築された。後のリートベルト(Rietveld)法による精密化の前に、DLS法による精密化によってモデルは幾何学的およびエネルギー的に最適化された。
当初の焼成されたEMM−13モデル(図8)に対する演算された粉末回折パターンでは、2θ=3.0°近傍のピークに対する予想された強度が観測されたものより大きいことがわかる。拡大された層構造モデルの実験粉末データへの適合を最適化した後に、電子密度マップをGSAS内で演算して、追加の原子位置を探した。2つの位置が、拡大された−O−Si−O−結合とともに界面内で見出された。これらはSi原子として含有されるが、原子占有率の精密化によって、質量が減少して存在するか、または他の原子種であるか(実際にはこちら)がわかった。これらの追加の原子により骨格精密化の後では、Rwp=0.0977、RF2=0.1080であった。単位胞寸法はa=14.198(2)、c=27.647(7)Åに精密化され、原子座標は表3に示すように改良された。構造モデルが図9に示される。2θ=10°未満の大きなピークに対してプロファイル関数をモデリングすることは幾分困難であるが、モデルを観察強度プロフィールに適合することは妥当である(図10)。
【0075】
図11に示したのはMCM−22−P(上)、合成されたままのEMM−13(中)および焼成されたEMM−13(下)の29Si MAS(Bloch decay)NMRスペクトルである。重ねて挿入した、これらのスペクトルを近くで比較すると、合成されたままのEMM−13を形成するためのMCM−22−Pのシリル化によってδSi=−90ppmから−102ppm領域の強度が著しく減少することが分かり、これはジメチルジエトキシシランと表面との反応によるシラノールの損失を示す。焼成されたEMM−13を形成するために後に行った焼成によって、δSi=−100ppm〜−110ppm領域のスペクトル強度が増加し、これは中間層Si−O−Si結合と関連し、その形成と一致する。ジメチルジエトキシシランと表面との反応は対応する29Si CPMAS NMRスペクトル(図12)によって確認され、δSi=−10ppmから20ppm領域の表面ジメチルシリル種と関連する共鳴が、合成されたままのEMM−13で検出される。CP実験はH(たとえば表面ヒドロキシル、表面オルガノシリル、または閉じ込められたSDA)に非常に近接したSi核に対して選択的であるので、そのデータでも表面シラノールの対応する損失が確認され、MCM−22−Pと比較して合成されたままのEMM−13ではδSi=−90から−102ppm領域の強度の損失が見られる。合成されたままのEMM−13の表面結合ジメチルシリル種の存在も13C CPMAS NMRスペクトル(図13)によって確認され、ヘキサメチレンイミン(HMI)SDAからの共鳴に加えて、メチルシリルに関連している共鳴が検出される(δC約0ppm)。
【0076】
図14に示したのは、MCM−22−P(上)、合成されたままのEMM−13(中)および焼成されたEMM−13(下)の27Al MAS(Bloch decay)NMRスペクトルである。これらのスペクトルを近くで比較すると、予想どおり、MCM−22−Pのシリル化では平均局所Al四面体環境に変化が見られない。MCM−22に典型的に見られるように、合成されたままの後に行ったEMM−13の焼成によって八面体Alの骨格は形成されない。
図15に示される焼成されたEMM−13の1H MAS NMRスペクトルによって約0.56mモル/gのブレンステッド酸の存在が示される。これらすべてがTdAlに関連しているとすると、このH-含有量は2.8質量%のTdAl2O3に対応する。0.62mモル/gのSiOH含有量はMCM−22/−49材料で典型的に検知される量と一致する。
【0077】
実施例5:40/1MCM−22−Pの合成
上記と同様に調製が実施されたが、ゲルは以下のモル比の反応物を含有する。シリカ/アルミナ=54/1、OH/Si=0.15、水/Si=35、R/Si=0.58。混合物は170℃で70時間加熱され、生成物は標準方法で分離された。
【0078】
実施例6−16:40/1MCM−22−Pを含むEMM−13の合成
実施例6−16は濃酸を水と混合して実施され、表8の酸溶液を形成した。さまざまな量の空間剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランを添加し、その後、表8にしたがって実施例5の合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を表8の処理温度と処理時間を含む処理条件で反応させた。生成物を濾過して、水で洗浄し、乾燥させた。生成物の焼成が空気中で540℃4時間実施された。処理されたままの材料は空気中で540℃4時間さらに焼成された。実施例6−16の焼成された材料はEMM−13(#12を除き)としてXRD(図16)によって同定された。
【表8】
【0079】
実施例17
3つの、実施例3aの焼成された65質量%のEMM−13および35質量%アルミナ触媒を調製した。これらの3つの触媒は、ベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを生成することについて試験された。
【0080】
供給の事前処理
ベンゼン
ベンゼンを商業的供給源から入手した。ベンゼンを等量(体積)のモレキュラーシーブ13X、モレキュラーシーブ4A、エンゲルハルト社製F−24粘土、およびセレックスソーブ社製CD(入口から出口の順番)を含む事前処理入れ物に通過させ、次にMCM−22触媒を含む事前処理入れ物に通過させた。すべての供給事前処理材料は使用前に260℃のオーブンで12時間乾燥させた。
プロピレン
プロピレンは市販の特殊ガス供給源から入手し、ポリマーグレードであった。
窒素
窒素は超高純度グレードで、市販の特殊ガス供給源から入手した。
【0081】
固定床試験でクメンを製造するための試験手順
実験を固定床3/8”OD管状反応器で、1/8”内部熱電対をダウンフロー配置で実施した。反応器の炉を等温モードで制御した。14/20メッシュサイズの2グラムの触媒を3/8”反応器の中に添加した。触媒床を炉の中央部分で軸中心に形成した。触媒を不活性な砂で覆い、空隙空間内を充填した。反応条件は130℃、2169kPa−aで、ベンゼン/プロピレンモル比は3/1であった。毎時重量空間速度はプロピレンベースで1時間-1であった。
反応器の開始時に、反応器の反応圧力を超高純度窒素によって2169kPa−aとし、ベンゼンを供給する前に、反応温度150℃で24時間加熱した。プロピレンを導入する前に触媒を一日平衡させ、データを収集する前に安定状態に到達させた。反応器をベンゼン流のもとで130℃に冷却し、次にプロピレンを導入した。生成物を収集し、運転中に13日間解析した。クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)に対するジイソプロピルベンゼン(DIPB)の生成物のモル比は12%から18%の範囲であった。
【技術分野】
【0001】
本願は、EMM−13として規定される新規なモレキュラーシーブ組成物、その製造方法およびその使用プロセスに関する。特に、本願は、独特のXRD特徴を持つMCM−22族材料であるEMM−13として規定される新規なモレキュラーシーブ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然および合成の両方のモレキュラーシーブ材料は、従来、種々のタイプの炭化水素転化のための触媒特性を持つことが示されてきた。触媒としての用途が見出されるモレキュラーシーブとしては、天然または合成結晶性モレキュラーシーブのいずれも挙げられる。これらのゼオライトの例としては、大孔径ゼオライト、中孔径サイズゼオライト、および小孔径ゼオライトが挙げられる。これらのゼオライトおよびそれらのアイソタイプは、その開示が参照により本願明細書に援用される「Atlas of Zeolite Frame work Types」、W.H.Meier,D.H.OlsonおよびCh.Baerlocher,Elsevier編,第5版,2001年に記載されている。大孔径ゼオライトの細孔サイズは一般に少なくとも約7Åであり、LTL、VFI、MAZ、FAU、OFF、*BEA、およびMOR骨格タイプゼオライトが挙げられる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。大孔径ゼオライトの例としては、マザイト(mazzite)、オフレタイト(offretite)、ゼオライトL、VPI−5、ゼオライトY、ゼオライトX、オメガ、およびベータが挙げられる。中孔径サイズゼオライトの細孔サイズは一般に約5Åから約7Å未満であり、たとえば、MFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWW、およびTON骨格タイプゼオライトが挙げられる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。中孔径サイズゼオライトの例としては、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、MCM−22、シリカライト1、およびシリカライト2が挙げられる。小細孔サイズゼオライトの細孔サイズは約3Åから約5.0Å未満であり、たとえば、CHA、ERI、KFI、LEV、SOD、およびLTA骨格タイプゼオライトが挙げられる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。小孔径ゼオライトの例としては、ZK−4、ZSM−2、SAPO−34、SAPO−35、ZK−14、SAPO−42、ZK−21、ZK−22、ZK−5、ZK−20、ゼオライトA、チャバザイト、ゼオライトT、グメリナイト、ALPO−17、およびクリノプチロライトが挙げられる。
【0003】
米国特許第4,439,409号では、PSH−3と呼ばれる物質の結晶性モレキュラーシーブ組成物と、ヘキサメチレンイミン(MCM−56の合成(米国特許第5,362,697号)において指向剤として作用する有機化合物)を含む水熱反応用の反応混合物からのその合成が開示される。ヘキサメチレンイミンはまた、結晶性モレキュラーシーブのMCM−22(米国特許第4,954,325号)とMCM−49(米国特許第5,236,575号)の合成に用いられることが開示されている。ゼオライトSSZ−25(米国特許第4,826,667号)と呼ばれる物質のモレキュラーシーブ組成物は、アダマンタン第四級アンモニウムイオンを含む水熱反応用の反応混合物から合成される。米国特許第6,077,498号には、ITQ−1と呼ばれる物質の結晶性モレキュラーシーブ組成物と、1つまたは複数の有機添加剤を含む水熱反応用の反応混合物からそれを合成することが開示されている。
【0004】
米国特許出願第11/823,129号はEMM−10−Pとして規定される新規なモレキュラーシーブ組成物を開示し、それは合成されたまま(as−synthesized)の形態で、格子面間隔dの最大値が13.18±0.25オングストロームと12.33±0.23オングストロームにあるX線回折パターンを持ち、13.18±0.25オングストロームにある格子面間隔d最大値のピーク強度は、12.33±0.23オングストロームにある格子面間隔d最大値のピーク強度の少なくとも90%である。米国特許出願第11/824,742号はEMM−10として規定される新規なモレキュラーシーブ組成物を開示し、そのアンモニウム置換形態またはその焼成された形態では、MWWトポロジーを有する単位胞を含み、前記結晶性モレキュラーシーブはc方向に配置された単位胞の回折縞によって特徴付けられる。結晶性モレキュラーシーブは、さらに電子線回折パターンの円弧状のhk0パターンによって特徴付けられる。結晶性モレキュラーシーブは、さらにc*方向に沿った電子線回折パターンのストリークによって特徴付けられる。米国特許出願第11/827,953号は、新規な結晶性MCM−22族モレキュラーシーブを開示し、合成されたままの形態で、X線回折パターンには12.33±0.23オングストロームで格子面間隔d最大値のピークと、12.57オングストロームと約14.17オングストロームとの間の格子面間隔d最大値での判別可能なピークと、8.8オングストロームと11.0オングストロームとの間の格子面間隔d最大値での非ディスクリートピークを含み、ただし12.57オングストロームと約14.17オングストロームとの間の格子面間隔d最大値のピーク強度は、12.33±0.23オングストロームでの格子面間隔d最大値のピーク強度の90%よりも小さい。
【0005】
用語「MCM−22族材料」(あるいは「MCM−22族の材料」または「MCM−22族のモレキュラーシーブ」)は、本明細書で使用される場合は、下記を含む。
(i) 共通の一次結晶性構成ブロック「MWW骨格トポロジーを持つ単位胞」から構成されるモレキュラーシーブ。単位胞は3次元空間に置かれた原子の空間的配置を持ち、その全体が参照により本願明細書に援用される「Atlas of Zeolite Frame work Types」,第5版,2001年に記載される結晶である。
(ii) 共通の2次構成ブロックから製造されるモレキュラーシーブであって、該MWW骨格タイプ単位胞を2次元に置いた場合は、「1単位胞の厚さの単一層」を形成し、好ましくは1つのc−単位胞の厚さである。
(iii) 共通の2次構成ブロックから構成されるモレキュラーシーブであって、「1単位胞以上の厚さの層」を持ち、1単位胞以上の厚さの層は、MWW骨格トポロジーを持つ単位胞の1単位胞の厚さの単一層の少なとも2層を積み重ねるか、充填するか、結合して構成される。該2次構成ブロックの積層は規則的であっても、不規則であっても、ランダムであっても、またはそれらの組み合わせであってもよい。または
(iv) MWW骨格トポロジーを持つ単位胞の規則的またはランダムな、2次元または3次元の組み合わせで構成されるモレキュラーシーブ。
【0006】
MCM−22族材料は、12.4±0.25オングストロームでの格子面間隔d最大値、3.57±0.07オングストロームおよび3.42±0.07オングストロームでの格子面間隔d最大値(焼成または合成されたままの状態のいずれか)を含むX線回折パターンによって特徴付けられる。MCM−22族材料は、12.4±0.25オングストローム、6.9±0.15オングストローム、3.57±0.07オングストロームおよび3.42±0.07オングストロームでの格子面間隔d最大値を含むX線回折パターン(焼成または合成されたままの状態のいずれか)によっても特徴付けられることができる。モレキュラーシーブを特徴付けるために使用されるX線回折データは、入射放射としの銅Ka二重線、および、収集システムとしてシンチレーションカウンターおよび関連するコンピュータを備える回折計を使用する標準技法で取得することができる。MCM−22族に属する材料としては、MCM−22(米国特許第4,954,325号に記載)、PSH−3(米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ−25(米国特許第4,826,667号に記載)、ERB−1(欧州特許第0293032号に記載)、ITQ−1(米国特許第6,077,498号に記載)、ITQ−2(国際特許出願公開番号WO97/17290号に記載)、ITQ−30(国際特許出願公開番号WO2005118476号に記載)、MCM−36(米国特許第5,250,277号に記載)、MCM−49(米国特許第5,236,575号に記載)およびMCM−56(米国特許第5,362,697号に記載)が挙げられる。前記特許の全体が参照により本願明細書に援用される。
【0007】
上記に記載されたMCM−22族モレキュラーシーブはモルデナイトなどの従来の大孔径ゼオライトアルキル化触媒と、MCM−22材料がモレキュラーシーブの10員環内部細孔系とは連通しない12員環表面ポケットを含む点で区別することができることを理解するべきである。
【0008】
MWWトポロジーとしてIZA−SCによって指定されるゼオライト材料は、10員環および12員環の両方の存在に起因する2つの細孔系を含む多層材料である。Atlas of Zeolite Frame work Typesではこの同一トポロジーを持つ材料を5つの異なる名称MCM−22、ERB−1、ITQ−1、PSH−3、およびSSZ−25で分類している。
【0009】
MCM−22族モレキュラーシーブは、さまざまな炭化水素転化プロセスにおいて有用であることが見いだされてきた。MCM−22族モレキュラーシーブの例はMCM−22、MCM−49、MCM−56、ITQ−1、PSH−3、SSZ−25、およびERB−1である。該モレキュラーシーブは芳香族の化合物のアルキル化に有用である。たとえば、米国特許第6,936,744号はモノアルキル化芳香族の化合物、特にクメンを製造するためのプロセスを開示し、該プロセスは少なくとも部分的に液相条件下およびトランスアルキル化触媒の存在下で、ポリアルキル化芳香族の化合物をアルキル化可能な芳香族の化合物と接触させて、モノアルキル化芳香族の化合物を製造する工程を含み、トランスアルキル化触媒は、少なくとも2つの異なる結晶性モレキュラーシーブの混合物を含有し、それぞれのモレキュラーシーブはゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイトおよび12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07および3.42±0.07オングストロームでの格子面間隔d最大値を含むX線回折パターンを有する材料から選択される。
【0010】
J.Ruan,P.Wu,B.Slater,L.Wu,J.Xiao,Y.Liu,M.He,O.Terasakiの15IZAConference北京2007年での報告によってISE−MWWおよびISE−FER材料が開示され、前者は開始材料としてのMCM−22−P材料から製造された。Tatsumiらによる米国特許出願公開第2005/0158238号はMWWタイプゼオライト物質を開示した。Oguchiらの米国特許出願公開第2004/0092757号は結晶性MWWタイプチタノシリケート触媒を開示した。W.Fan,P.Wu,S.Namba,およびT.Tatsumiらによる報告(J.catalyst243(2006年)183〜191)はMWW−タイプラメラ前駆体に類似の構造を有する新規なチタノシリケートモレキュラーシーブを開示した。J.Ruan,P.Wu B.SlaterおよびO.TerasakiはISE−MWWと類似しているTi−YNU−1の詳細な構造(Angew.Chem.Int.Ed.,2005年,44,6719)を開示した。P.Wu,J.Ruan,L.Wang,L.Wu,Y.Wang,Y.Liu,W.Fan,M.He,O.TerasakiおよびT.Tatsumiによる別の報告は、ゼオライトラメラ前駆体の分子のアルコキシシリル化によって、拡大された細孔窓を含む結晶性アルミノシリケートを合成するための方法論を開示した(J.Am.Chem.Soc.2008年,130,8178〜8187)。
【0011】
これらの密接な関係にある材料はさらに、合成されたままの材料および焼成された材料の両方に対する、(002)、(100)、(101)および(102)反射に対応する格子面間隔d最大値に対する、XRD回折パターンを比較することによって区別することができる。(002)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には14.17から12.57オングストローム(約6.15〜7.05度2θCu Kα)の範囲である。(100)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には12.1から12.56オングストローム(約7.3〜7.05度2θCu Kα)の範囲である。(101)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θCu Kα)の範囲である。(102)反射に対応する格子面間隔d最大値は典型的には8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θCu Kα)の範囲である。以下の表(表1)に、合成されたままの材料および焼成された材料の両方に対する(002)、(100)、(101)および(102)反射に対応する格子面間隔d最大値について、XRD回折パターンの存在および/または特徴に基づいて、MCM−22、MCM−49、EMM−10、MCM−56およびTatsumiらによって報告されたチタノシリケート材料間の差異を要約した。
【表1】
【0012】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
結晶形態、サイズおよび凝集(aggregation)/凝塊(agglomeration)、または新規なX線回折は触媒作用、特に触媒活性および触媒安定性に関して影響することが知られている。したがって、新規な結晶性モレキュラーシーブ組成物および該新規な結晶性モレキュラーシーブ組成物を製造する方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(概要)
いくつかの実施形態では、本願は、合成されたままの形態および焼成形態で、X線回折パターンが14.17から12.57オングストローム(約6.15〜7.05度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピーク、12.1から12.56オングストローム(約7.3〜7.05度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピーク、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピーク、および8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピークを含み、ただし10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲での格子面間隔d最大値のピークはそれらの間に谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークとを接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するEMM−13モレキュラーシーブに関する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本願は、合成されたままの形態および焼成形態で、X線回折パターンが13.18±0.25、12.33±0.23、11.06±0.18および9.25±0.13オングストロームで格子面間隔d最大値を有するピークを含み、ただし11.06±0.18オングストロームでのピークと9.25±0.13オングストロームでのピークは、11.06±0.18オングストロームと9.25±0.13オングストロームとの間で谷を示すが、最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.06±0.18オングストロームでの格子面間隔d最大値と9.25±0.13オングストロームでの格子面間隔d最大値とを接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するEMM−13モレキュラーシーブに関する。
【0017】
他の実施形態では、本願は、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法に関し、該方法は、
(a) MCM−22−P、酸性組成物を含有し、空間剤を含有してもよい混合物を提供する工程と、
(b) 合成されたままのEMM−13を含む生成物を形成する処理条件で混合物を処理する工程であって、処理条件に50℃から200℃の範囲の温度と約1時間から400時間の結晶化時間を含む工程と、
(c) 結晶性モレキュラーシーブを回収する工程と、を含む。
他の実施形態では、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13はさらに焼成条件下で焼成され、焼成されたEMM−13を形成し、焼成条件は、1分から500時間の範囲の時間で300℃から700℃の範囲の温度を含む。
【0018】
いくつかの態様では、EMM−13モレキュラーシーブはさらに、合成されたままの形態および焼成形態で、3.57±0.07オングストロームおよび3.42±0.07オングストロームでのピークを含むX線回折パターンを含む。
他の形態では、EMM−13モレキュラーシーブはさらに、合成されたままの形態および焼成形態で、6.9±0.15でのピークを含むX線回折パターンを含む。
【0019】
さらに他の形態では、焼成されたEMM−13モレキュラーシーブの組成物は、X2O3:(n)YO2のモル関係を持ち、ただしXはアルミニウム、ホウ素、鉄およびガリウムの少なくとも1つを含む三価元素であり、Yはケイ素およびゲルマニウムの少なくとも1つを含む四価元素であり、nは少なくとも約10である。合成されたままの形態のEMM−13モレキュラーシーブでは、無水ベースでYO2のnモルに対する酸化物のモルを単位として、式(0.005−1)M2O:(1−4)R:X2O3:nYO2であらわされ、ただしMはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Rは有機部分である。好ましい実施形態では、nは約10から約150であり、一層好ましくは約30から約60である。好ましい実施形態ではXはアルミニウムであり、Yはケイ素である。
【0020】
いくつかの実施形態では、焼成されたEMM−13モレキュラーシーブはコリジン吸着容量が少なくとも150μモル/gであり、好ましくは少なくとも250μモル/gである。
本発明のこれらの側面および他の側面は、以下の詳細な説明、図、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1の5〜11度2θの間のXRDパターンを示す図である。
【図2】実施例1および3aの合成されたままおよび焼成された生成物のXRDパターン(2θ度で示される)を示す図である。
【図3】シリル化剤の存在無しで異なるSi/Al酸処理がされたMCM−22−PサンプルのXRDパターン(2θ度で示される)を示す図である。上図はSi/Al2が約24/1のMCM−22−P(実施例2)であり、下図は実施例3bの合成されたままのEMM−13である。
【図4】実施例3a、a.(hk0)、b.(00l)およびc.格子画像(側面図)の焼成されたEMM−13の電子線回折パターンを示す図である。
【図5】単一の微結晶(実施例3a)の一連の電子線回折チルトから構成される逆格子の3次元プロットを示す図である。
【図6】密度プロファイル(原点移動後)a.[001];b.[110];c.[−110]と比較した、MICE最終モデルから得られる構造解を示す。
【図7】実施例3aの焼成されたEMM−13の実験粉末X線パターンを示す図である。
【図8】少し拡大した、柱状MCM−22骨格から演算された粉末パターンを示す。
【図9a】焼成されたEMM−13モデルの透視図を示す。
【図9b】焼成されたEMM−13モデルの界面原子を示す立体図を示す。
【図10】結合酸素を含む実験粉末パターンに対して、最終的に適合させたリートベルト(Rietveld)モデルを示し、Rwp=0.0973であり、RF2=0.1071である。
【図11】MCM−22−P(実施例1)、その合成されたままのEMM−13、および焼成されたEMM−13(実施例3a)の29Si NMRを示す。
【図12】MCM−22−P(実施例1)、その合成されたままのEMM−13、および焼成されたEMM−13(実施例3a)の13C CPMAS NMRを示す。
【図13】MCM−22−P(実施例1)、その合成されたままのEMM−13、および焼成されたEMM−13(実施例3a)の27Al MAS NMRを示す。
【図14】焼成されたEMM−13(実施例3a)の1H MAS NMRを示す。
【図15a】実施例6−10の合成されたままのEMM−13と焼成されたEMM−13とのXRDパターン(2θ度で示される)を示す。
【図15b】実施例11−16の合成されたままのEMM−13と焼成されたEMM−13とのXRDパターン(2θ度で示される)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
(概要)
本願に引用したすべての特許、特許出願、試験方法(ASTM方法、UL方法、および同様の方法など)、先行文献、記事、刊行物、マニュアル、および他の文献は、そのような組み込みが許されるすべての法域であって、本願と矛盾しない範囲内で参照により本願にすべて組み込まれる。
本願に数値の下限および数値の上限が記載されている場合には、すべての下限からすべての上限の範囲が考慮される。本願の例示的実施形態が詳細に記載されたが、多様な他の変更形態が当業者には明らかであり、本願の精神および範囲を逸脱しない範囲で当業者には容易に想到できることが理解されるであろう。したがって、本願に添付の特許請求の範囲を実施例に限定する意図は無く、明細書に記載される記述よりもむしろ特許請求の範囲が、本願に関連する当業者にとって均等物として取り扱われるすべての特徴を含む、本願に存在する特許可能な新規性のすべての特徴を含んでいると解釈される。
本明細書で使用される場合、用語「骨格タイプ」は「Atlas of Zeolite Frame work Types,」2001年に記載された意味で使用される。
本明細書で使用される場合、周期律表の元素番号はChemical and Engineering News,63(5),27(1985)に使用されている用例に従う。
【0023】
X線粉末回折パターン
格子面間隔dはオングストローム単位(Å)で演算され、相対線強度I/Ioは、バックグラウンドに対して最も強い線の強度をIo、100とカウントし、プロフィールフィッティング法(または二次導関数)を使用して求めた。強度はLorentz効果および分極効果に対して補正しなかった。相対強度は、VS=非常に強い(60よりも大きく100以下)、S=強い(40よりも大きく60以下)、M=中間(20よりも大きく40以下)およびW=弱い(0から20)という記号で表した。一本の線として表記される回折データは、結晶相変化が相異する場合などの特定の条件下の多重重複線から構成される場合があり、分離した線または部分的に分離した線としてあらわれる場合があることを理解するべきである。典型的には、結晶相変化には、構造の変化を伴わない、単位胞パラメーターの軽微な変化および/または結晶の対称性の変化が含まれる。これらの軽微な効果は、相対強度の変化を含め、カチオン含有量、骨格組成、細孔充填の性質及び程度、および熱履歴および/または水熱履歴の違いによっても生じる。MCM−22と類似材料、たとえば、MCM−49、MCM−56、およびPSH−3とを比較した場合には、回折パターンの他の変化は材料間の重要な相異を示すことができる。
【0024】
格子面間隔dは、ピーク最大値からベースラインまでの50%強度値で定義されるハーフハイト(half height)において、約1.5度以上のピーク幅を示す場合にブロードと判断した。
明細書で使用される場合、用語「XRD判別可能なピーク」とは、バックグランドノイズレベルの平均の少なくとも2倍を有する、明確に定義されるピーク最大値を有するXRDピークによって定義される。
明細書で使用される場合、XRDの用語「非ディスクリート」ピーク(「非分離」ピークともいう)とはピークの間に単調なプロファイル(連続する点がノイズの範囲内で一貫して増加(または一定になる)または減少する(または一定になる)のどちらか)を有するピークを意味する。
明細書で使用される場合、XRDの用語「ディスクリート」ピーク(「分離」ピークともいう)とは、非ディスクリート(非分離)ではないXRDピークを意味する。
【0025】
図1は実施例1の生成物の5度2θから11度2θの間のXRDパターンを図示する。10.14から12.0オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値と8.66から10.13オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値との間の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、Bとして示され、最下点(点a)と、最下点(点a)と同一のXRD格子面間隔dでのバックグランド補正ラインの線上の点(点b)との間の距離である。点bと、10.14から12.0オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値と8.66から10.13オングストロームの範囲の格子面間隔d最大値とを接続する線上での最下点と同一のXRD格子面間隔dでの点(点c)との間の距離は、Aとして表す。
【0026】
EMM−13の組成物
EMM−13は新規なMCM−22族材料であり、膨張構造であり、層間領域へのアクセスを増加させることを示す前例のないXRDパターンを有する。焼成形態ではXRDの特徴に独特の組み合わせを示し、14.17から12.57オングストローム(約6.15〜7.05度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、12.1から12.56オングストローム(約7.3〜7.05度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、8.66から10.13オングストローム(10.28.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと、を含み、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークとはその間に谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、10.14から12.0オングストローム(8.7〜7.35度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークと8.66から10.13オングストローム(10.2〜8.7度2θ)の範囲で格子面間隔d最大値を有するピークとを接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、EMM−13の組成物は、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは13.5±0.5、12.33±0.23で格子面間隔d最大値のピークを有し、11.05±0.2オングストロームのピークと9.31±0.2オングストロームのピークとの間に谷を示し、最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は11.05±0.2オングストロームの周辺と9.31±0.2オングストロームの周辺での格子面間隔d最大値を接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントの50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有する。
さらなる実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは3.57±0.06オングストロームおよび3.43±0.06オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含む。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、6.9±0.15オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、3.96±0.08オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。
【0028】
他の実施形態では、EMM−13の組成物は、合成されたままの形態および焼成形態で、13.5±0.5オングストローム(M−VS)、12.33±0.23オングストローム(M−VS)で格子面間隔d最大値および相対強度のピークを含むX線回折パターンを含み、11.05±0.2オングストローム(W−S)でのピークと9.31±0.2オングストローム(W−S)でのピークとの間で谷を示すが、最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.05±0.2オングストローム周囲と9.31±0.2オングストローム周囲との格子面間隔d最大値を接続する線上の同一のXRD格子面間隔dポイントの50%未満である。
【表2】
【0029】
他の実施形態では、EMM−13の組成物はさらに、合成されたままの形態および焼成形態では、3.57±0.06オングストローム(W−M)および3.43±0.06オングストローム(M−VS)で格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、6.9±0.15オングストローム(W−M、ブロード)で格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。なおさらなる実施形態では、EMM−13の組成物さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、3.96±0.08オングストローム(W−VS、ブロード)で格子面間隔d最大値のピークを含むX線回折パターンを有する。
いくつかの好ましい実施形態では、結晶性モレキュラーシーブEMM−13のX線回折パターンはさらに表2に挙げられる格子面間隔d最大値および強度でピークを含む。
いくつかの実施形態では、本願に開示された結晶性モレキュラーシーブのX線回折パターンはさらには、28±1オングストロームでの格子面間隔d最大値を含む。
【0030】
他の実施形態では、EMM−13の組成物はその結晶構造によって定義されてもよい。EMM−13の結晶構造はその単位胞によって定義されてもよく、最も小さい構造単位は材料のすべての構造元素を含む。EMM−13の単位胞はP6/mmm空間群、および表3に示される四面体原子(T)および酸素原子の原子座標を持ち、単位胞寸法はa=14.198(2)でありc=27.647(7)Åであり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有する。四面体原子は他の結晶力(たとえば無機または有機種の存在)によって動き回る場合があるので、それぞれの座標位置に対して±0.05nmの範囲を伴う。
【表3】
【0031】
表3では、x/a、y/b、z/cは単位胞軸a=b、cとしたときの単位胞の原子の分数座標である。Uisoはそれぞれの原子に対するÅ2単位の等方性温度因子である。量「occ」はそれぞれの原子の占有係数であり、すなわち、1.0未満の場合には、結晶のそれぞれの位置に原子または空孔の統計的分布がある。
いくつかの実施形態では、焼成されたEMM−13は、EMM−10の約120〜200μモル/gおよびMCM−22の120μモル/gに比較して、150μモル/gよりも大きく、好ましくは200μモル/gよりも大きく、一層好ましくは250μモル/gよりも大きく、さらに一層好ましくは300μモル/gよりも大きく、最も好ましくは350μモル/gよりも大きい異常に高いコリジン数を示す。いかなる理論にも制限されることを意図していないが、われわれは焼成されたEMM−13は焼成されると前駆体として拡大された形態で固定されたc−単位胞パラメーターを持つものと信じる。
【0032】
合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13の化学組成物
本願の合成されたままのEMM−13モレキュラーシーブ材料はMCM−22−P前駆体から調製されてもよく、MCM−22−P前駆体は、たとえばナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属(M)供給源と、カチオンと、たとえばアルミニウムなどの三価元素Xの酸化物と、たとえばケイ素などの四価元素Yの酸化物と、以下に詳細に記載する有機(R)指向剤と、水とを含む水熱反応用の反応混合物から取得でき、水熱反応用の反応混合物は、酸化物のモル比で表した以下の組成である。
YO2/X2O3は10から無限大の範囲または10から50の範囲であり、
M/X2O3は0.005−5.0の範囲であり、
R/X2O3は0.01−10の範囲である。
本願の焼成されたEMM−13モレキュラーシーブ材料は、合成されたままのEMM−13から少なくとも大多数の有機テンプレートRを除去する焼成条件で、合成されたままのEMM−13を焼成することによって調製されてもよい。
合成されたままのまたは焼成されたEMM−13モレキュラーシーブ材料は1.6質量%未満のチタンを含有し、好ましくは1質量%未満であり、一層好ましくは0.5質量%未満であり、最も好ましくは0.1質量%未満のチタンを含有する。
【0033】
EMM−13の製造プロセス
いくつかの実施形態では、本願は、合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法に関し、該方法は、
(a)MCM−22−Pおよび酸性組成物を含有し、空間剤を含有してもよい混合物を提供するステップと、
(b)合成されたままのEMM−13を含有する生成物を形成する処理条件で混合物を処理する工程と、
(c)酸処理された結晶性モレキュラーシーブを回収する工程と、を含む。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態では、合成されたままのEMM−13は以下のプロセスによって製造される。
(1)Si/Al2を10〜無限大の範囲、好ましくは約10から150の範囲で含有するMCM−22−Pと、硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸の少なくとも1つを含有する酸性組成物であって、前記酸の濃度は10N以下、好ましくは1N未満の酸性組成物と、を含有し、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、およびテトラエチルシラン(TEOS)の少なくとも1つ、好ましくはTEOSを含有する空間剤を含有してもよい混合物をする提供する工程、および
(2)1時間〜24時間の範囲の時間と、50℃から250℃の範囲の温度を含み、攪拌速度の範囲が0〜1000rpmであってもよい処理条件で工程(1)の混合物を処理する工程。
【0035】
工程(a)の混合物は、MCM−22−P、酸性組成物を含有し、空間剤をさらに含有してもよく、酸性組成物に対するMCM−22−Pの固体含有量の重量比およびMCM−22−Pの固体含有量に対する空間剤の重量比を表4に示す。工程(b)の処理条件は、処理温度と、処理時間を含む。処理温度および処理時間の有用で好ましい範囲を表4に示す。
【表4】
【0036】
以下の酸性組成物に対する固体含有量の重量比の有用な下限は、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100および500である。以下の酸性組成物に対する固体含有量の重量比の有用な上限は0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100、500および1000である。酸性組成物に対する固体含有量の重量比は、下限が上限以下である限り、上述の下限の何れかと、上述の上限の何れかとの間の範囲である。一実施形態では、酸性組成物に対する固体含有量の重量比は0.01から100、または、0.1から10、または、0.1から5の範囲の量であってもよい。
以下の比は固体含有量に対する空間剤の重量比の下限として有用であり、0、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、および1.5である。以下の比は固体含有量に対する空間剤の重量比の上限として有用であり0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、1.5、および2である。固体含有量に対する空間剤の重量比の下限値が固体含有量に対する空間剤の重量比の上限値以下である限り、固体含有量に対する空間剤の重量比は、上述の固体含有量に対する空間剤の重量比の下限値の何れかと、上述の固体含有量に対する空間剤の重量比の上限値の何れかとの間である。一実施形態では、固体含有量に対する空間剤の重量比は0から2、または、0から1、または、0.1から0.5の範囲の量であってもよい。
【0037】
以下の温度(℃)の有用な下限処理温度は25、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、および200である。以下の温度(℃)の有用な上限処理温度は50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、および250である。下限処理温度が上限処理温度以下である限り、処理温度(℃)は、上述の上限処理温度の何れかと上述の下限処理温度の何れかとの間の範囲である。一実施形態では、処理温度は、25℃から250℃、または、70℃から200℃、または、90℃から170℃の範囲の量であってもよい。
処理のための以下の時間(hr)の有用な下限時間は0.01、1、5、10、20、30、50、100、および150である。処理のための以下の時間(hr)の有用な上限時間は1、5、10、20、40、50、70、100、150、200、および240である。処理のための下限時間が処理のための上限時間以下である限り、処理のための時間(hr)は、処理のための上述の下限時間の何れかと、処理のための上述の上限時間の何れかとの間である。一実施形態では、処理のための時間は1から100、または、1から48、または、1から24の範囲の量であってもよい。
【0038】
(1) MCM−22−P
MCM−22−P生成物は、その全体が参照により本願明細書に援用される米国特許番号第号4,954,325号に開示されている。
米国特許番号第4,954,325号に開示されるMCM−22−Pは、表5に示されるモル比の組成物を含有する混合物を結晶化することによって製造されてもよい。
【表5】
【0039】
結晶化の後に、MCM−22−P生成物は表6に示されるモル比の組成物を含有する。
【表6】
【0040】
(2) 酸性組成物
本願に有用な酸性組成物は、酸性溶質と溶媒とを含有する。酸性溶質は、硝酸、塩酸および硫酸などの無機酸、および、シュウ酸および酢酸などの有機酸の少なくとも1つ、または何れかの無機酸と有機酸との組み合わせを含有する。好ましくは、酸性溶質は硝酸である。溶媒は、水、メタノール、エタノール、アセトンおよびジメチルスルホン(DMSO)の少なくとも1つを含む。
酸性組成物の酸濃度は0.001から10の範囲である。以下の酸濃度の有用な下限は0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、および9である。以下の酸濃度の有用な上限は0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10である。下限が上限以下である限り、酸濃度は上述の下限の何れかと、上述の上限の何れかとの間の範囲に入る。一実施形態では、酸濃度は0.001から5、または、0.01から4、および代替的に0.1から2の範囲の量であってもよい。
酸性組成物に対する固体含有量の重量比で使用される酸性組成物の重量は、酸性溶質および溶媒の総重量に基づいて演算された。
【0041】
(3) 空間剤
酸性処理工程では、空間剤を含有してよい。有用な空間剤は、拡大された形態の前駆体(すなわち、合成されたままの形態および焼成された形態の両方で13.5±0.25で明白な(002)ピークを有する)を安定化することができる部分を供給できるすべての製剤である。たとえば、空間剤は、拡大された形態の前駆体を安定化することができるケイ素部分を供給できるシリル化剤であってもよい。
空間剤の化合物の例としては、四価元素、三価元素、および/または五価化合物の有機化合物、例えば有機珪素化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機ほう素化合物、有機アルミニウム化合物、および有機りん化合物などが挙げられる。有機珪素ケイ素化合物は、シリコーン、シロキサン、ならびに、ジシランおよびアルコキシシランなどのシランを含むポリシロキサンを含有してもよい。
【0042】
本発明で使用できるシリコーン化合物は、以下に挙げられる。
【化1】
ただしR1は水素、フッ化物、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルカリルまたはフルオロアルキルである。炭化水素置換基は一般には、1から約10炭素原子を含有し、好ましくはメチル基またはエチル基である。R2はR1と同一の基から選択され、nは整数であって少なくとも2であり、一般には2から約1000の範囲である。使用されるシリコーン化合物の分子量は、一般に約80から約20,000の間、好ましくは約150から約10,000の間である。代表的なシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーン、フェニルメチルリコーン、メチルハイドロゲンシリコーン、エチルハイドロゲンシリコーン、フェニルハイドロゲンシリコーン、フルオロプロピルシリコーン、エチルトリフルオロプロピルシリコーン、テトラクロロフェニルメチル メチルエチルシリコーン、フェニルエチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルトリシリコーン、テトラクロロフェニルエチル−シリコーン、メチルビニルシリコーンおよびエチルビニルシリコーンが挙げられる。シリコーン化合物は直鎖である必要はなく、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサンおよびオクタフェニルシクロテトラシロキサンのような環式であってもよい。これらの化合物の混合物は、他の官能基を含むシリコーンとして使用されてもよい。
【0043】
有用なシロキサンおよびポリシロキサンとしては、非限定的な例として、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサンおよびオクタフェニルシクロ−テトラシロキサンが挙げられる。
【0044】
有用なシラン、ジシラン、またはアルコキシシランとしては、以下の一般式を有する有機置換シランが挙げられる。
【化2】
ただしRは水素、アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、アミノ、アセトアミド、トリアルキルシリルオキシなどの反応基であり、R1、R2およびR3はRと同じであってもよく、または有機ラジカルであってもよく、有機ラジカルとしては、1から約40炭素原子のアルキル、アルキルの有機部分が1から約30炭素原子を含み、アリール基はさらに置換されてもよい約6から約24炭素原子を含むアルキルまたはアリールカルボン酸、約7から約30炭素原子を含むアルキルアリールおよびアリールアルキル基が挙げられる。好ましくは、アルキルシランのアルキル基の鎖長は約1から約4炭素原子である。混合物が使用されてもよい。
シランまたはジシランとしては、非限定的な例として、ジメチルフェニルシラン、フェニルトリメチルシラン、トリエチルシランおよびヘキサメチルジシランが挙げられる。有用なアルコキシシランは少なくとも1つのケイ素−水素結合を含有するものである。
【0045】
触媒および吸着
モレキュラーシーブおよび/またはゼオライトの要約は、モレキュラーシーブの製造、修飾および特徴に関しては、「Molecular Sieves−Principles of Synthesis and Identification」;(R. Szostak、Blackie Academic & Professional,ロンドン,1998年,第2版)という本に記載されている。モレキュラーシーブに加えて、アモルファス材料、主にシリカ、アルミニウムシリケイトおよび酸化アルミニウムは吸着剤および触媒担体として使用されてきた。多くの長く知られてきた成形技術、たとえば噴霧乾燥、錠剤化、ペレット化および押し出し成形が、触媒、吸着およびイオン交換に使用される微細孔および他のタイプの多孔性の材料の両方の、たとえば、球状粒子、押し出し物、ペレットおよび錠剤の形状のマクロ構造を製造するために使用されてきたし、使用されている。これらの技術の要約は、「Catalyst Manufacture,」A. B. Stiles and T. A. Koch,Marcel Dekker,ニューヨーク,1995年に記載されている。
【0046】
所望の範囲まで、合成されたままの材料の元の金属カチオンは当該技術分野において知られている技術に従って、少なくとも一部が、他のカチオンとのイオン交換によって置換できる。好ましい置換カチオンとしては、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、たとえば、アンモニウムイオンおよびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいカチオンは、特定の炭化水素転化反応の触媒活性を調整するものである。これらの例としては、水素、希土類金属および元素の周期表の1−17族、好ましくは2−12族の金属が挙げられる。
本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブは、有機化合物転化プロセスで吸着剤または触媒として使用される場合には、一般に、少なくとも部分的に脱水される。これは、空気または窒素などの雰囲気中で、大気圧、準大気圧または超大気圧において、たとえば30分から48時間の間、たとえば200℃から595℃の範囲の温度に加熱することによって実施される。脱水の程度は、48時間、乾燥窒素流(0.001kPa未満の水蒸気分圧)における595℃での、モレキュラーシーブサンプルの総重量損失に対する重量損失の割合によって測定される。脱水は室温(約25℃)で単にシリカートを真空に置くが、十分な量を脱水させるために十分な時間をかけることによっても実施することができる。
【0047】
本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブは特にその金属、水素およびアンモニウム型において、熱処理によって別の型に有益に転化され得る。この熱処理は、一般にこれらの型の1つを少なくとも1分であって一般に1000時間以下、少なくとも370℃の温度で加熱することによって実施される。熱処理には大気圧より低い圧力を使用できるが、大気圧が便宜上好ましい。熱処理は約925℃までの温度で実施できる。熱処理生成物は特定の炭化水素転化反応の触媒に特に有用である。熱処理生成物は、特にその金属、水素およびアンモニウム型において、炭化水素転化反応等の特定の有機物質の触媒に特に有用である。該反応の非限定的な例としては、触媒反応の記載としてそれぞれが参照により本願明細書に援用される米国特許第4,954,325号;第4,973,784号;第4,992,611号;第4,956,514号;第4,962,250号;第4,982,033号;第4,962,257号;第4,962,256号;第4,992,606号;第4,954,663号;第4,992,615号;第4,983,276号;第4,982,040号;第4,962,239号;第4,968,402号;第5,000,839号;第5,001,296号;第4,986,894号;第5,001,295号;第5,001,283号;第5,012,033号;第5,019,670号;第5,019,665号;第5,019,664号;および第5,013,422号に記載されたものがある。
【0048】
本願に開示されるEMM−13結晶性モレキュラーシーブは広い範囲の粒子サイズに形成される。一般的に言えば、粒子は粉末、顆粒、または押出物などの成形品の形態であってもよい。触媒が押し出し成形などによって成形される場合には、結晶は乾燥前に押し出され、または部分的に乾燥されてから押し出される。
本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブは、本願に開示のEMM−13結晶性モレキュラーシーブとは異なる吸着特性を有する蒸気相または液相の成分の混合物から少なくとも1つの成分を分離するためなどに、吸着剤として使用されてもよい。すなわち、選択的に1つの成分を吸着するために混合物を本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブと接触させることによって、本願に開示のEMM−13結晶性モレキュラーシーブとは異なる吸着特性を有する成分の混合物から、少なくとも1つの成分を部分的にまたは実質的にすべてを分離することができる。
【0049】
本願に開示されるEMM−13結晶性モレキュラーシーブは、分離プロセスおよび炭化水素転化プロセスを含む広範囲のプロセスで触媒として有用である。本願のEMM−13結晶性モレキュラーシーブそれのみにより、または他の結晶性触媒を含む1つまたは複数の他の触媒的に活性な物質との組み合わせによって効果的に触媒される炭化水素転化プロセスの具体的な実施例は以下に挙げられる。
(i)、、約340℃から約500℃の温度、約101から約20200kPa−a(絶対値)の圧力、約2時間-1から約2000時間-1の毎時重量空間速度および約1/1から約20/1の芳香族炭化水素/オレフィンモル比を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、芳香族炭化水素、例えばベンゼンを長鎖のオレフィン、たとえばC14などのオレフィンによってアルキル化して、長鎖アルキル芳香族化合物を提供し、それはさらにスルフォン化されて合成洗浄剤を与える。
(ii)約10℃から約125℃の温度、約101から約3030kPa−aの圧力、および5時間-1から約50時間-1の芳香族炭化水素の毎時重量空間速度(WHSV)を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、芳香族炭化水素を気体オレフィンによりアルキル化して短鎖アルキル芳香族化合物を与える。たとえば、ベンゼンのプロピレンによるアルキル化によってクメンを提供する。
(iii)約315℃から約455℃の温度、約3000から約6000kPa−aの圧力、約0.4時間-1から約0.8時間-1のWHSV−オレフィン、約1時間-1から約2時間-1のWHSV−改質ガソリンおよび約1.5から2.5のvol/vol燃料ガス原料のガスリサイクルを、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、C5オレフィンを含む燃料ガスによって、相当量のベンゼンおよびトルエンを含む改質ガソリンをアルキル化し、特に、モノおよびジアルキル体を提供する。
【0050】
(iv)約160℃から約260℃の温度および約2600から3500kPa−aの圧力を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、芳香族炭化水素、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレンを、たとえば、C14オレフィンなどの長鎖オレフィンでアルキル化し、アルキル化された芳香族潤滑剤ベースストックを提供する。
(v)約200℃から約250℃の温度、約1500から2300kPa−aの圧力および約2時間-1から約10時間-1の総WHSVを、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、フェノールをオレフィンまたは等価なアルコールでアルキル化し、長鎖アルキルフェノールを提供する。
(vi)約425℃から約760℃の温度および約170から約15000kPa−aの圧力を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、軽質パラフィンをオレフィンおよび芳香族化合物へ転化する。
(vii)約175℃から約375℃の温度および約800から約15000kPa−aの圧力を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、軽質オレフィンをガソリン、蒸留物および潤滑剤の範囲の炭化水素へ転化する。
(viii)約340℃から約455℃の温度、約3000から約18000kPa−aの圧力、約176から約1760リットル/リットルの水素循環および約0.1から10時間-1毎時液体空間速度(LHSV)を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、約260℃よりも高い初期沸点を有する炭化水素流を品質改善するために2段階水素化分解して、第1の段階では本願のMCM−22族モレキュラーシーブを8−10族の金属と組み合わせて触媒として使用し、第2の段階では第1の段階からの生成物流を、ゼオライトベータを8−10族の金属と組み合わせて触媒として使用して反応させて、上質の蒸留物およびガソリン沸点範囲の生成物を得る。
【0051】
(ix)約350℃から約400℃の温度、約10000から約11000kPa−aの圧力、約0.4から約0.6のLHSVおよび約528から約880リットル/リットルの水素循環を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件で、触媒としての本願のMCM−22族モレキュラーシーブおよび水素化成分、または該触媒とゼオライトベータの混合物の存在下での水素化分解/脱ロウを組み合わせた工程。
(x)約20℃から約200℃の温度、200から約20000kPa−aの圧力、約0.1時間-1から約200時間-1のWHSV(時間グラム−ゼオライトあたりのグラムオレフィン)および約0.1/1から約5/1のアルコールとオレフィンとの供給モル比を、別々にまたは何れかの組み合わせで含む転化条件で、アルコールをオレフィンと反応させ混合エーテルを得る反応。たとえば、メタノールをイソブテンおよび/またはイソペンタンと反応させメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)および/またはt−アミルメチルエーテル(TAM)を得る反応。
(xi)約315℃から約595℃の温度、約101から約7200kPa−aの圧力、約0(水素を添加しない)から約10の水素/炭化水素モル比および約0.1時間-1から約30時間-1のWHSVを、別々にまたは何れかの組み合わせで含む反応条件での、補助材料(co−feed)としてのC9+芳香族化合物によるトルエンの不均化反応。
【0052】
(xii)イソブチルベンゼンとプロピレンオキシドを反応させ、中間体2−(4−イソブチルフェニル)プロパノールを与え、その後該アルコールの対応するカルボン酸への酸化による薬理学的に活性な化合物2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、すなわちイブプロフェンの調製。
(xiii)その全体が参照により本願明細書に援用される独国特許第DE3,625,693号に記載された、、アミンとヘテロ環繊維−反応性の成分との反応における酸−結合剤としての使用であって、実質的に塩を含まない反応性の染料含有溶液を調製する染料の調製における使用。
【0053】
(xiv)その全体が参照により本願明細書に援用される米国特許第4,721,807号に記載されているように、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)をその異性体から分離するための吸着剤としての使用であって、2,6−TDIおよび2,4−TDIを含有する供給混合物をKイオンとカチオン交換された本願のMCM−22族モレキュラーシーブと接触させて2,6−TDIを吸収し、その後トルエンを含有する溶離材によって溶離された2,6−TDIを回収する。
(xv)その全体が参照により本願明細書に援用される米国特許第4,721,806号に記載されているように、2,4−TDIをその異性体から分離するための吸着剤としての使用であって、2,4−TDIおよび2,6−TDIを含有する供給混合物を、Na、Ca、Liおよび/またはMgイオンとカチオン交換された本願のMCM−22族モレキュラーシーブと接触させて2,4−TDIを吸収し、その後トルエンを含有する溶離材によって溶離された2,4−TDIを回収する。
(xvi)約230℃から約425℃の温度および約457から約22000kPa−aの圧力を別々にまたは何れかの組み合わせで含む条件で、水素化金属を含む本願のMCM−22族モレキュラーシーブの触媒の上で、ジュレンを含有する底部留分を水素と接触させることを含む、メタノールからガソリンへの触媒転化によって得られる90−200℃+底部留分のジュレン含有量を減少させる工程。
(xvii)ベンゼンのアルキル化、その後のアルキルベンゼンヒドロペルオキシドの生成およびフェノールおよびケトンへのアルキルベンゼンヒドロペルオキシドの開裂を経て行われる、フェノールおよびケトンを同時に生成する工程。たとえば国際出願PCT/EP2005/008557に記載されているもののような、ベンゼンとプロピレンからフェノールとアセトンへ、ベンゼンとC4オレフィンからフェノールとメチルエチルケトンへ、その後国際出願PCT/EP2005/008554に記載されるような、フェノールとアセトンからビス−フェノール−Aへの転化、たとえば国際出願PCT/EP2005/008551に記載されるような、ベンゼンからフェノールとシクロヘキサノン、またはベンゼンとエチレンからフェノールとメチルエチルケトンへの転化を行うことができる。
(xviii)モノアルキルベンゼンへの選択性が要求されるベンゼンアルキル化反応、たとえば、国際出願PCT/EP2005/008557に記載されているようにベンゼンと、直鎖ブテンが多いC4オレフィン原料から選択的にsec−ブチルベンゼンを製造する工程。好ましくは、約60℃から約260℃の温度、たとえば約100℃から200℃、7000kPa−a以下の圧力、並びにC4アルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約0.1から50時間-1の原料供給および約1から約50のC4アルキル化剤に対するベンゼンのモル比でベンゼンとC4オレフィン原料を同時に供給し、本発明の触媒によってこの転化が実施される工程。
(xix)たとえば、ポリアルキルベンゼントランスアルキル化などのトランスアルキル化工程。
【0054】
多くの触媒の場合には、有機転化プロセスに使用される温度および他の条件に耐性のある別の材料を該新規な結晶に組み入れることが望ましい。該材料としては、活性および非活性材料および合成または天然のゼオライト、および粘土、シリカおよび/またはアルミナなどの金属酸化物、などの無機材料が挙げられる。後者は天然または、シリカおよび金属酸化物の混合物を含有するゼラチン状の沈殿物またはゲルの形態であってもよい。活性な新規な結晶と組み合わせた、すなわちこれと結合されたまたは新規な結晶の合成時に存在する材料中の使用によって、特定の有機転化プロセスにおける転化および/または触媒の選択性が変化する傾向がある。非活性材料が所与のプロセスにおいて転化量を制御するために希釈剤として好適に機能することで、反応速度を制御する他の手段を使用することなく生成物を経済的および問題なく得ることができる。これらの材料は天然の粘土、たとえば、ベントナイトおよびカオリンに組み入れられ、生産条件下での触媒の圧潰強度を向上させる。該材料、すなわち粘土、酸化物等は、触媒に対するバインダーとして機能する。実際の生産では、触媒が粉砕されて粉末状材料になることを防ぐことが望ましいため、良好な圧潰強度を持つ触媒を提供することが望ましい。通常これらの粘土バインダーは触媒の圧潰強度を向上させるためだけに使用されてきた。
【0055】
新規な結晶に混合され得る天然の粘土としては、モンモリナイト属とカオリン属が挙げられ、その属としては、サブベントナイト類、およびディクシー(Dixie)、マクナミー(McNamee)、ジョ−ジア(Georgia)およびフロリダ粘土として一般に知られるカオリン類または主要無機成分がハロイサイト、カオリナイト、ディクタイト、ナルサイト、またはアナウザイトである他の物質が挙げられる。該粘土は元来の採掘されたままの状態で使用でき、または最初に焼成、処理または化学的修飾を受けることもできる。本願の結晶と組成物を形成するために有用なバインダーとしては、無機酸化物、特にアルミナが挙げられる。
【0056】
前述した材料に加え、新規な結晶は、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニアなどの3種の組成物ばかりではなく、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニアなどの多孔性のマトリックス材料と組成物を形成し得る。
細かく粉砕されたEMM−13結晶性モレキュラーシーブと無機酸化物マトリックスの相対的な割合は広く変化し、結晶含有量の範囲は約1から約99質量パーセント、より通常は、特に組成物が粒状に調製されている場合には、組成物の約20質量%から約80質量%の範囲である。
以下の実施例は本発明の実施形態を示し、本発明の範囲を制限することを決して意図しない。
【実施例】
【0057】
実験
粉末X線回折
粉末X線データは単色Cu Kα放射を使用するBrukerD4測定器のBragg−Brentano幾何学配置から得られた。構造的特徴に使用されたパターンは2θで1.2°から80°に及ぶ。リートベルト(Rietveld)精密化のための強度は連続走査によって抽出された。粉末パターンの指標付けはMDI Inc.のJADEプログラムツールを使用して実行した。
【0058】
粉末パターンの指標付けはMDI Inc.のJADEプログラムツールを使用して実行した。試作品の構築後(Cerius2(Accelrys、Inc.)の構造構築モジュールによって促進された)、その粉末回折プロフィールへの適合は、A. C. Larsson& R.B.von Dreele、General Stracture Analysis System、GSAS、Los Alamos National Laboratory、Los Alamos、NM、1994に記載されているGSASプログラムを使用したリートベルト(Rietveld)精密化によって実施された。Ch.Baerlocher,A.Hepp、&W.M.Meier,Distance Least Squares Refinement Program、DLS−76.ETH、チューリッヒ、1977年に記載されたDLSプログラムによって、骨格は幾何学的にしばしば最適化される。GSASで生成された電子密度マップは単位胞の中の追加の原子を配置させるために使用でき、最初にCerius2モデルを使用して試験され、骨格原子に不一致がないことを確認した。精密化中には注意を払い、異常な結合配置を避けた。骨格に対しては、Si−O結合距離(1.61±0.03Å)およびO−O四面体距離(2.65±0.06Å)の制限を強制することによって部分的に保証された。骨格精密化の重み付け関数は徐々に緩和されたが、それぞれの精密化工程の後に、結合配置の化学的な妥当性が確認された。単位胞パラメーター、背景およびゼロ点移動に加えて、プロファイル関数も精密化されてモデル適合性を改善させたが、R値はモデルを実験強度曲線に必ずしも緊密に合致させることにはならないことがしばしば見られる。いくつかの場合には、The Rietveld Method(R.A.Young、編集).Oxford Univ. Press,Oxford,1995年,P.11のR.A.Youngによる板状の結晶組立体からBragg−Brentanoデータに期待される好ましい方向に調製がなされた。
【0059】
表面積
モレキュラーシーブの総表面積は、窒素の吸着−脱着(液体窒素の温度、77K)を使用して、Brunauer−Emmett−Teller(BET)方法によって測定できる。内部表面積(ZSA、m2/g)はBrunauer−Emmett−Teller(BET)測定のt−プロットを使用して演算することができる。外部表面積(ZSA、m2/g)は、Brunauer−Emmett−Teller(BET)測定によって測定された総表面積から内部表面積を減算することによって演算することができる。マイクロ細孔容積(cm3/gでのマイクロ細孔)は窒素吸着/脱着(窒素等温線)によって決定される。
【0060】
コリジン数の測定
モレキュラーシーブのコリジン数はTGAによって測定でき、サンプルは200℃で(1時間で重量変化が±1%未満になる)一定質量まで乾燥させる。乾燥サンプル(収着質)の重量が、次に測定される。吸着剤である2,4,6−コリジンが、気密シリンジを介して0.3ml/時間で供給され、60分間200ml/分で通過する窒素によってサンプルに運ばれる。コリジン数は収着質の1グラム当たりの吸着量のマイクロモルによって表される。
【0061】
電子顕微鏡および回折
選択された領域の電子線回折実験はFEI/Philips CM−30電子顕微鏡の300kVで実施され、選択された領域の直径には0.25μmを使用した。場合によっては、所定の逆格子の周囲で3次元チルトが実施され、3次元逆格子を図示した。32,240倍の直接倍率によって明視野電子顕微鏡写真が得られた。電界制限開口部によって回折情報をd*=0.08Å-1に出力する。すべての露出はKodak Biomax MSフィルムに記録された。
主要な強度データ収集のために、回折フィルムがフラットベッド型スキャナーの上でデジタル化され、指標化後に、S.Hovmoller、Ultramicroscopy41(1992)121)パッケージに記載されたCRISP内のX.D.Zou、Yu.Sukharev&S.Hovmoller,Ultramicroscopy53(1994)271プログラムELDによってそれぞれのスポットの強度が評価された。対称関係にある反射は平均化され、Lorentz補正は派生構造因子の大きさには適用しなかった。場合によっては、ELDで好適なピークの積分を得ることが困難であった。この場合には、フィルムはフラットベッド型Joyce Loebl Mk.III マイクロデンシトメータの上でデジタル化され、使用されるピーク面積はそれらの強度で評価された。データを3次元セットに組み合わせるために、D.L Dorset.Structural Electron Crystallography.Plenum、NY、1995年に記載されているように、1つのセットから他のセットに尺度を変えるために分離ゾーンからの共通反射が使用された。
【0062】
電子線回折の検討のために、構造因子演算がフォートランプログラムSFで実施され、知られたの構造からの位相近似後にフォートランプログラムZPOTで一次元静電電位分布が得られた。
所与の単位胞の逆軸の周囲の3次元チルト(一般にa*)をプロットすることによって、3次元逆格子の無歪み図が得られる。較正用の通常の金粉末標準を使用して、完全な単位胞寸法が測定される。これらのプロットの規則的な欠如から、Th.Hahn(編集)、International Tables for Crystallography. Volume A. Space−Group Symmetry.Kluwer,Dordrecht,1995年によって単位胞の対称性も推定できた。
【0063】
C.J.Gilmore、K.Shankland、&G.Bricogne、Proc.Roy.Soc.London 442(1993)97によるプログラムMICEによる最大エントロピー、および、尤度を使用して、3次元データセットから構造が見出された。Ch.Baerlocher,L.B.McCusker&L.Palatinus,Z.Krist.222(2007)47に記載された典型的なゼオライト密度ヒストグラムを使用することは有用であり、さらにC.J.Gilmore、G.Bricogne&C.Bannister,Acta Cryst.A46(1990)297による特長の最大尤度図によって選択された試験構造解をさらに識別した。特定された反射の全要因位相変換の代わりに、C.J.Gilmore,W.Dong,&G.Bricogne,Acta Cryst.A55(1999)70によるノルドストローム・ロビンソン誤り訂正符号を、演算速度を加速するために使用した。
【0064】
NMR実験手順
すべての固体状態のNMR測定は室温で実施された。27Al、29Si MASおよび29Si CPMAS NMRスペクトルが、それぞれ27Alおよび29Si対して130MHzおよび99MHzラーモア周波数に対応する11.7T(1H499.2MHz)で動作するVarian Infinity Plus500スペクトロメーターに記録された。29Si MAS(Bloch decay)およびCPMAS NMRはそれぞれ4−kHzおよび3.5−kHzのスピン速度で7.5−mmバリアンプローブを使用して記録された。29Si MASデータはデータ収集の際の1Hデカップリング、4μsπ/2パルス、60秒パルス遅延で記録し、600スキャンを収集した。29Si CPMASデータはデータ収集の際の1Hデカップリング、4μsπ/2パルス、3.5ms接触時間、3秒パルス遅延で記録し、1440〜4000スキャンを収集した。27Al MAS(Bloch decay)NMRスペクトルは10−kHzのスピン速度で4−mmバリアンプローブを使用して、データ収集の際の1H双極性デカップリング、1.2μsπ/6パルス、0.3秒パルス遅延で記録し、2400〜4000スキャンを収集した。13C CPMAS NMRスペクトルは4−kHzのスピン速度で5−mmバリアンプローブを使用して、13Cラーモア周波数50.3MHzに対応する4.7T(1H199.9MHz)で動作するChemagnetics CMX−200に記録した。13C CPMASデータはデータ収集の際の1Hデカップリング、3.5μsπ/2パルス、3.5ms接触時間、2秒パルス遅延で記録し、3200〜8000スキャンを収集した。1H MAS NMRスペクトルは399.4MHzの1Hラーモア周波数に対応する9.4TVarian InfinityPlus 400スペクトロメーターに記録した。1H MAS(Bloch decay)データは10−kHzのスピン速度で4−mmバリアンプローブを使用して、4μsπ/2パルス、30秒パルス遅延で記録し、32スキャンを収集した。
【0065】
材料および合成
実施例1:Si/Al2約60のMCM−22−Pの合成
合成混合物は184gの水、1.5gのUsalco45、22gの10%NaOH、17gのヘキサメチレンイミンおよび23gのウルトラシル(Ultrasil)を使用して調製された。それを300mlのオートクレーブ中で、150℃100rpmで反応させた。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0066】
実施例2:Si/Al2約23のMCM−22−Pの合成
合成は、米国特許第4,954,325号の実施例1に類似する。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0067】
実施例3a:合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13を製造するためにシランを用いるMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)を0.3gの空間剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランと混合し、続いて実施例1の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによって合成されたままのEMM−13として同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例3aの焼成された材料はXRDによって焼成されたEMM−13として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0068】
実施例3b:合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13を製造するためのMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)を混合し、続いて実施例1の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによって合成されたままのEMM−13として同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例3bの焼成された材料は、XRDによって焼成されたEMM−13として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0069】
実施例3c:合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13を製造するためにシリカを用いるMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)と0.3gのヒュームドシリカ(Cab−o−Sil)を混合し、続いて実施例1の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによって合成されたままのEMM−13として同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例3cの焼成された材料はXRDによって焼成されたEMM−13として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0070】
実施例4a:MCM−22−PおよびMCM−22を製造するためにシランを用いたMCM−22−P(実施例2)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)と0.3gの空間剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランを混合し、続いて実施例2の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによってMCM−22−Pとして同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例4aの焼成された材料はXRDによってMCM−22として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【0071】
実施例4b:MCM−22製造するためのMCM−22−P(実施例1)の酸処理
30グラムの1M HNO3溶液(3gの濃酸を27gの水と混合して得た)を混合し、続いて実施例2の3gの合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を170℃で24時間反応させた。生成物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。処理されたままの材料はXRDによってMCM−22−Pとして同定された。処理されたままの材料は、さらに空気中で540℃4時間焼成された。実施例4bの焼成された材料はXRDによってMCM−22として同定された。生成物組成および構造的な空隙特性を表7に示す。
【表7】
【0072】
実施例1〜4の結果および考察
実施例3a、3b、3cの合成されたままの生成物および焼成された生成物のXRDと、実施例1の合成されたままの生成物および焼成された生成物のXRDとの比較によって、合成されたままの構造のEMM−13の明確な証拠が、特に図2の低角度領域6〜10度2θ(Cu Kα)において観察された。前者の4つのピークパターンは実施例3a、3bおよび3cの焼成後にも残り、一方、実施例1の焼成によって6.5度2θ(Cu Kα)の第1のピークは明確に消滅している。いかなる理論にも拘束されることを意図しないが、われわれは27Åから約25Åへの単位胞収縮の結果によってこの(002)ピークのシフトが引き起こされ、7.1度のピークに吸収されたと信じる。XRDによって示された層間隔が保持されることで、追加の熱安定部分が挿入されることが示され、可能性が最も高いのはSi原子の取り込みであるとわれわれは信じる。EDとNMRの両方の結果はこの理論と一致する。
【0073】
表7に示すように、その親MCM−22と比較して、焼成された生成物であるEMM−13の改良されたBET表面積および微孔性体積が明らかになった。
実施例2の高Al濃度MCM−22−Pでは、処理によって、図3に示すXRDによって証明されるように、焼成する前でも酸性媒体中で25Åc−単位胞材料に崩壊する。また、合成されたままのEMM−13および焼成されたEMM−13は空間剤(シリル化剤)の添加が無くとも製造できる。
処理によって積層の側面図を通常は見ることができる。これは図4に図示される。結晶板上の図からhk0電子線回折パターンの特徴を見出すことができる。低分解能格子画像から規則的な積層が分かる(図4)。電子線回折パターンから測定されたセルの寸法はa=14.14±0.14Å、c=27.42±0.32Åである。単一の微結晶の一連のチルト回折による逆格子の3次元プロット(図5)はc=27.1Åの間隔を支持している.許容される反射クラスは空間群P6/mmm(C4)と一致する。
【0074】
図5に示されるものと類似するパターン中で測定されたhk0強度は、[001]投影中のゼオライトのMWW族の他のものとよく似ている。151独特のhkl電子線回折振幅の3次元結晶構造の解析からこの構造の中にMCM−22層が含まれることが明らかになる(図6)。
粉末インデックスプログラムをX線回折パターン(図7)に適用することで六方晶空間群、たとえばa=14.166、c=27.533ÅであるP6/mmmを再び特定する。電子線回折によって同定される、この構造中のMCM−22層の存在によって、c−軸長を拡大することも使用してMCM−22の−O−結合が−O−Si−O−によって置換されたモデルが構築された。後のリートベルト(Rietveld)法による精密化の前に、DLS法による精密化によってモデルは幾何学的およびエネルギー的に最適化された。
当初の焼成されたEMM−13モデル(図8)に対する演算された粉末回折パターンでは、2θ=3.0°近傍のピークに対する予想された強度が観測されたものより大きいことがわかる。拡大された層構造モデルの実験粉末データへの適合を最適化した後に、電子密度マップをGSAS内で演算して、追加の原子位置を探した。2つの位置が、拡大された−O−Si−O−結合とともに界面内で見出された。これらはSi原子として含有されるが、原子占有率の精密化によって、質量が減少して存在するか、または他の原子種であるか(実際にはこちら)がわかった。これらの追加の原子により骨格精密化の後では、Rwp=0.0977、RF2=0.1080であった。単位胞寸法はa=14.198(2)、c=27.647(7)Åに精密化され、原子座標は表3に示すように改良された。構造モデルが図9に示される。2θ=10°未満の大きなピークに対してプロファイル関数をモデリングすることは幾分困難であるが、モデルを観察強度プロフィールに適合することは妥当である(図10)。
【0075】
図11に示したのはMCM−22−P(上)、合成されたままのEMM−13(中)および焼成されたEMM−13(下)の29Si MAS(Bloch decay)NMRスペクトルである。重ねて挿入した、これらのスペクトルを近くで比較すると、合成されたままのEMM−13を形成するためのMCM−22−Pのシリル化によってδSi=−90ppmから−102ppm領域の強度が著しく減少することが分かり、これはジメチルジエトキシシランと表面との反応によるシラノールの損失を示す。焼成されたEMM−13を形成するために後に行った焼成によって、δSi=−100ppm〜−110ppm領域のスペクトル強度が増加し、これは中間層Si−O−Si結合と関連し、その形成と一致する。ジメチルジエトキシシランと表面との反応は対応する29Si CPMAS NMRスペクトル(図12)によって確認され、δSi=−10ppmから20ppm領域の表面ジメチルシリル種と関連する共鳴が、合成されたままのEMM−13で検出される。CP実験はH(たとえば表面ヒドロキシル、表面オルガノシリル、または閉じ込められたSDA)に非常に近接したSi核に対して選択的であるので、そのデータでも表面シラノールの対応する損失が確認され、MCM−22−Pと比較して合成されたままのEMM−13ではδSi=−90から−102ppm領域の強度の損失が見られる。合成されたままのEMM−13の表面結合ジメチルシリル種の存在も13C CPMAS NMRスペクトル(図13)によって確認され、ヘキサメチレンイミン(HMI)SDAからの共鳴に加えて、メチルシリルに関連している共鳴が検出される(δC約0ppm)。
【0076】
図14に示したのは、MCM−22−P(上)、合成されたままのEMM−13(中)および焼成されたEMM−13(下)の27Al MAS(Bloch decay)NMRスペクトルである。これらのスペクトルを近くで比較すると、予想どおり、MCM−22−Pのシリル化では平均局所Al四面体環境に変化が見られない。MCM−22に典型的に見られるように、合成されたままの後に行ったEMM−13の焼成によって八面体Alの骨格は形成されない。
図15に示される焼成されたEMM−13の1H MAS NMRスペクトルによって約0.56mモル/gのブレンステッド酸の存在が示される。これらすべてがTdAlに関連しているとすると、このH-含有量は2.8質量%のTdAl2O3に対応する。0.62mモル/gのSiOH含有量はMCM−22/−49材料で典型的に検知される量と一致する。
【0077】
実施例5:40/1MCM−22−Pの合成
上記と同様に調製が実施されたが、ゲルは以下のモル比の反応物を含有する。シリカ/アルミナ=54/1、OH/Si=0.15、水/Si=35、R/Si=0.58。混合物は170℃で70時間加熱され、生成物は標準方法で分離された。
【0078】
実施例6−16:40/1MCM−22−Pを含むEMM−13の合成
実施例6−16は濃酸を水と混合して実施され、表8の酸溶液を形成した。さまざまな量の空間剤(シリル化剤)ジメチルジエトキシシランを添加し、その後、表8にしたがって実施例5の合成されたままのMCM−22−Pサンプルを添加した。混合物を表8の処理温度と処理時間を含む処理条件で反応させた。生成物を濾過して、水で洗浄し、乾燥させた。生成物の焼成が空気中で540℃4時間実施された。処理されたままの材料は空気中で540℃4時間さらに焼成された。実施例6−16の焼成された材料はEMM−13(#12を除き)としてXRD(図16)によって同定された。
【表8】
【0079】
実施例17
3つの、実施例3aの焼成された65質量%のEMM−13および35質量%アルミナ触媒を調製した。これらの3つの触媒は、ベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを生成することについて試験された。
【0080】
供給の事前処理
ベンゼン
ベンゼンを商業的供給源から入手した。ベンゼンを等量(体積)のモレキュラーシーブ13X、モレキュラーシーブ4A、エンゲルハルト社製F−24粘土、およびセレックスソーブ社製CD(入口から出口の順番)を含む事前処理入れ物に通過させ、次にMCM−22触媒を含む事前処理入れ物に通過させた。すべての供給事前処理材料は使用前に260℃のオーブンで12時間乾燥させた。
プロピレン
プロピレンは市販の特殊ガス供給源から入手し、ポリマーグレードであった。
窒素
窒素は超高純度グレードで、市販の特殊ガス供給源から入手した。
【0081】
固定床試験でクメンを製造するための試験手順
実験を固定床3/8”OD管状反応器で、1/8”内部熱電対をダウンフロー配置で実施した。反応器の炉を等温モードで制御した。14/20メッシュサイズの2グラムの触媒を3/8”反応器の中に添加した。触媒床を炉の中央部分で軸中心に形成した。触媒を不活性な砂で覆い、空隙空間内を充填した。反応条件は130℃、2169kPa−aで、ベンゼン/プロピレンモル比は3/1であった。毎時重量空間速度はプロピレンベースで1時間-1であった。
反応器の開始時に、反応器の反応圧力を超高純度窒素によって2169kPa−aとし、ベンゼンを供給する前に、反応温度150℃で24時間加熱した。プロピレンを導入する前に触媒を一日平衡させ、データを収集する前に安定状態に到達させた。反応器をベンゼン流のもとで130℃に冷却し、次にプロピレンを導入した。生成物を収集し、運転中に13日間解析した。クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)に対するジイソプロピルベンゼン(DIPB)の生成物のモル比は12%から18%の範囲であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素原子が結合した四面体原子の骨格を含有するモレキュラーシーブであって、前記四面体原子骨格は、原子座標がナノメートル単位で以下の表に記載される単位胞によって定義されるモレキュラーシーブ。
【請求項2】
請求項1に記載のモレキュラーシーブであって、
以下のモル関係の組成物を有するモレキュラーシーブ。
X2O3:(n)YO2、
(Xはアルミニウム、ホウ素、鉄およびガリウムの少なくとも1つを含有する三価元素であり、Yはケイ素およびゲルマニウムの少なくとも1つを含有する四価元素であり、nは少なくとも約30である。)
【請求項3】
請求項2に記載のモレキュラーシーブであって、
合成されたままの形態では、無水ベースでYO2のnモルに対する酸化物のモルを単位として、以下の式を有するモレキュラーシーブ。
(0.005−1)M2O:(1−4)R:X2O3:nYO2
(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、nは少なくとも約30であり、Rは有機部分である。)
【請求項4】
請求項2または3に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約150であるモレキュラーシーブ。
【請求項5】
請求項2または3に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約60であるモレキュラーシーブ。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
Xはアルミニウムであり、Yはケイ素であるモレキュラーシーブ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
1質量%未満のTiを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも150μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも200μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは13.18±0.25オングストローム、12.33±0.23オングストローム、11.05±0.2オングストロームおよび9.31±0.2オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含み、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークと9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークとはそれらの間で谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値と9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値と接続した線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項11】
請求項10に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは3.57±0.07オングストロームと3.42±0.07オングストロームとでピークを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは6.9±0.15オングストロームでピークを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項13】
モレキュラーシーブであって、
合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは13.18±0.25オングストローム、12.33±0.23オングストローム、11.05±0.2オングストロームおよび9.31±0.2オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含有し、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークと9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークとはそれらの間で谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値と9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値とを接続した線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項14】
請求項13に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは3.57±0.07オングストロームと3.42±0.07オングストロームにピークを含むモレキュラーシーブ。
【請求項15】
請求項13または14に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは6.9±0.15オングストロームにピークを含むモレキュラーシーブ。
【請求項16】
請求項13乃至15の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
以下のモル関係の組成物を有するモレキュラーシーブ。
X2O3:(n)YO2、
(Xは、アルミニウム、ホウ素、鉄およびガリウムの少なくとも1つを含有する三価元素であり、Yはケイ素およびゲルマニウムの少なくとも1つを含有する四価元素であり、nは少なくとも約30である。)
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
合成されたままの形態では、無水ベースでYO2のnモルに対する酸化物のモルを単位として、以下の式を有するモレキュラーシーブ。
(0.005−1)M2O:(1−4)R:X2O3:nYO2
(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、nは少なくとも約30であり、Rは有機部分である。)
【請求項18】
請求項16または17に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約150であるモレキュラーシーブ。
【請求項19】
請求項16または17に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約60であるモレキュラーシーブ。
【請求項20】
請求項16乃至19の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
Xはアルミニウムであり、Yはケイ素であるモレキュラーシーブ。
【請求項21】
請求項13乃至20の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
1質量%未満のTiを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項22】
請求項13乃至21何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも150μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項23】
請求項13乃至22の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも200μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項24】
請求項13乃至23の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに酸素原子が結合した四面体原子の骨格を含有し、前記四面体原子骨格は、原子座標がナノメートル単位で表3に記載される単位胞によって定義され、
それぞれの座標位置が±0.05ナノメートルの範囲内で変化してもよいモレキュラーシーブ。
【請求項25】
合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法であって、
(a) MCM−22−Pと、10N以下の濃度の酸性材料と、を含有し、空間剤を含有してもよい混合物を供給する工程と、
(b) 合成されたままのEMM−13を含有する生成物を形成する処理条件で混合物を処理する工程であって、前記前記処理条件は、処理温度が50℃から250℃の範囲であり、処理時間が約0.01時間から240時間の間である工程と、
(c) 合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を回収する工程と、を含む方法。
【請求項26】
焼成された結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法であって、 請求項25に記載された前記合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を焼成条件で焼成する工程を含む方法。
【請求項27】
炭化水素転化プロセスであって、炭化水素供給原料を請求項1〜24に記載の前記結晶性モレキュラーシーブEMM−13と炭化水素転化条件下で接触させる工程を含む方法。
【請求項1】
酸素原子が結合した四面体原子の骨格を含有するモレキュラーシーブであって、前記四面体原子骨格は、原子座標がナノメートル単位で以下の表に記載される単位胞によって定義されるモレキュラーシーブ。
【請求項2】
請求項1に記載のモレキュラーシーブであって、
以下のモル関係の組成物を有するモレキュラーシーブ。
X2O3:(n)YO2、
(Xはアルミニウム、ホウ素、鉄およびガリウムの少なくとも1つを含有する三価元素であり、Yはケイ素およびゲルマニウムの少なくとも1つを含有する四価元素であり、nは少なくとも約30である。)
【請求項3】
請求項2に記載のモレキュラーシーブであって、
合成されたままの形態では、無水ベースでYO2のnモルに対する酸化物のモルを単位として、以下の式を有するモレキュラーシーブ。
(0.005−1)M2O:(1−4)R:X2O3:nYO2
(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、nは少なくとも約30であり、Rは有機部分である。)
【請求項4】
請求項2または3に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約150であるモレキュラーシーブ。
【請求項5】
請求項2または3に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約60であるモレキュラーシーブ。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
Xはアルミニウムであり、Yはケイ素であるモレキュラーシーブ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
1質量%未満のTiを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも150μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも200μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは13.18±0.25オングストローム、12.33±0.23オングストローム、11.05±0.2オングストロームおよび9.31±0.2オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含み、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークと9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークとはそれらの間で谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値と9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値と接続した線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項11】
請求項10に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは3.57±0.07オングストロームと3.42±0.07オングストロームとでピークを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは6.9±0.15オングストロームでピークを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項13】
モレキュラーシーブであって、
合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは13.18±0.25オングストローム、12.33±0.23オングストローム、11.05±0.2オングストロームおよび9.31±0.2オングストロームで格子面間隔d最大値のピークを含有し、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークと9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値の前記ピークとはそれらの間で谷を示し、前記谷の最下点でバックグランドに対して補正された測定強度は、11.05±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値と9.31±0.2オングストロームでの格子面間隔d最大値とを接続した線上の同一のXRD格子面間隔dポイントでの強度の50%未満であり、前記EMM−13モレキュラーシーブは1.6質量%未満のチタンを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項14】
請求項13に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは3.57±0.07オングストロームと3.42±0.07オングストロームにピークを含むモレキュラーシーブ。
【請求項15】
請求項13または14に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに、合成されたままの形態および焼成形態では、X線回折パターンは6.9±0.15オングストロームにピークを含むモレキュラーシーブ。
【請求項16】
請求項13乃至15の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
以下のモル関係の組成物を有するモレキュラーシーブ。
X2O3:(n)YO2、
(Xは、アルミニウム、ホウ素、鉄およびガリウムの少なくとも1つを含有する三価元素であり、Yはケイ素およびゲルマニウムの少なくとも1つを含有する四価元素であり、nは少なくとも約30である。)
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
合成されたままの形態では、無水ベースでYO2のnモルに対する酸化物のモルを単位として、以下の式を有するモレキュラーシーブ。
(0.005−1)M2O:(1−4)R:X2O3:nYO2
(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、nは少なくとも約30であり、Rは有機部分である。)
【請求項18】
請求項16または17に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約150であるモレキュラーシーブ。
【請求項19】
請求項16または17に記載のモレキュラーシーブにおいて、
前記nは約30から約60であるモレキュラーシーブ。
【請求項20】
請求項16乃至19の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
Xはアルミニウムであり、Yはケイ素であるモレキュラーシーブ。
【請求項21】
請求項13乃至20の何れか一項に記載のモレキュラーシーブであって、
1質量%未満のTiを含有するモレキュラーシーブ。
【請求項22】
請求項13乃至21何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも150μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項23】
請求項13乃至22の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
コリジン吸着容量が少なくとも200μモル/gであるモレキュラーシーブ。
【請求項24】
請求項13乃至23の何れか一項に記載のモレキュラーシーブにおいて、
さらに酸素原子が結合した四面体原子の骨格を含有し、前記四面体原子骨格は、原子座標がナノメートル単位で表3に記載される単位胞によって定義され、
それぞれの座標位置が±0.05ナノメートルの範囲内で変化してもよいモレキュラーシーブ。
【請求項25】
合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法であって、
(a) MCM−22−Pと、10N以下の濃度の酸性材料と、を含有し、空間剤を含有してもよい混合物を供給する工程と、
(b) 合成されたままのEMM−13を含有する生成物を形成する処理条件で混合物を処理する工程であって、前記前記処理条件は、処理温度が50℃から250℃の範囲であり、処理時間が約0.01時間から240時間の間である工程と、
(c) 合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を回収する工程と、を含む方法。
【請求項26】
焼成された結晶性モレキュラーシーブEMM−13を製造する方法であって、 請求項25に記載された前記合成されたままの結晶性モレキュラーシーブEMM−13を焼成条件で焼成する工程を含む方法。
【請求項27】
炭化水素転化プロセスであって、炭化水素供給原料を請求項1〜24に記載の前記結晶性モレキュラーシーブEMM−13と炭化水素転化条件下で接触させる工程を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図9b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図9b】
【公表番号】特表2011−529441(P2011−529441A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521173(P2011−521173)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050732
【国際公開番号】WO2010/014406
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050732
【国際公開番号】WO2010/014406
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】
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