説明

新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物

【解決手段】本発明は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plant arumCJLP56) KCTC 11402BP、前記乳酸菌を含む腸疾患治療用組成物、および前記乳酸菌を含む免疫増強用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物に係り、より具体的には腸疾患及び免疫疾患の予防治療に有用な新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物関することだ。
【背景技術】
【0002】
キムチのような伝統発酵食品に豊富に存在する乳酸菌は、人体の消化界に共生しながら繊維質および複合蛋白質らを分解して重要な栄養成分で作る役割を担当して、このように人を含んだ動物の胃腸管内で宿主の腸内微生物環境を改善して宿主の健康に有益な影響を与え生きている微生物を通称してプロバイオティクス(probiotics)とする。プロバイオティクス(probiotics)とて効果があるためには経口で摂取して小腸に到達して腸表面に付着して維持されなければならないので、基本的に耐酸性、耐胆汁酸性、および腸皮細胞付着能力が優秀でなければならない。
【0003】
キムチのような伝統醗酵食品で発見される代表的なプロバイオティクスとてラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)乳酸菌がある。ラクトバチルス属微生物は、同型または異形発効をする乳酸桿菌として人を含んだ動物の腸管および乳製品や野菜の発効過程でよく見ることができる。ラクトバチルス属微生物は、腸内pHを酸性で維持させて大腸菌(E.coli)やクロストリジュウム(Clostridium)と同じ有害菌の繁殖を抑制して下痢と便秘を改善するだけでなくビタミン合成、坑癌作用、血清コレステロール低下などの役割をすると知られている。乳酸桿菌によって生産されるアシドリン(acidophillin)は、疫痢菌、サルモネラ菌、葡萄状球菌、大腸菌などの成長を阻害すると知られている。また、下痢原因菌の増殖を抑制して腸内菌総を正常化することで下痢を立ち止らせる作用をする(非特許文献1及び非特許文献2).
ラクトバチルス属微生物の前記特性を利用して生菌剤および家畜飼料で開発しようと思う研究が活発に進行している。家畜の細菌性下痢病は、増体率減少と斃死を誘発する。したがって、これを予防して家畜の生産を高めようと飼料に抗生剤を添加することが一般的に広く行われてきた。しかし、抗生物質に対する耐性菌の出現と畜産物内の残留抗生物質などの問題のために飼料内抗生物質の使用を規制して有機的な家畜飼養法が強調されている傾向だ(特許文献1)(非特許文献3)。
【0004】
また、ラクトバチルス属微生物と同じ乳酸菌は、免疫増強効果を持つことでも知られている。最近全世界的に環境汚染とインスタントフード摂取の増加などの影響で予測される免疫調節以上と関連したアレルギーおよびアトピー疾患が急激に増加していて、韓国でも同じようにこのような疾患が増加傾向にある。最近ヨーロッパでは乳酸菌を經口投与して病気を治療する微生物治療(bacteriotheraphy)の一環で乳酸菌で病の症状を緩和したり改善する努力が成り立っている。ラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacillus rhamnosus GG)を乳児に投与時アトピー発生が半分水準で減少したし(非特許文献4)、すでにアトピー湿疹が進行中の子供にラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)とラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)を投与する場合、湿疹部位および程度が減少するという報告がある(非特許文献5)。
【0005】
このような乳酸菌の免疫増強効果に対するメカニズム(mechanism)に対してずっと研究が進行されていて、具体的なメカニズムに対してはまだ明確に明らかになることはなかったが、おおむね經口的に流入して腸内で棲息することで腸管免疫系に影響を及ぼすと知られている。例をあげれば、ヨーグルトを通した乳酸菌摂取はPeyer's patchのリンパ球らの坑菌活性を増加させると知られていて、実験動物および人を対象に実行された一部研究らによれば乳酸菌は、IgAの反応を強化させると知られている。また、乳酸菌は、先天免疫および適応免疫皆に影響を及ぼす。腸管免疫系の先天免疫反応(innate immunity)では病原菌を貪食して死滅させることで感染に対抗して健康を維持する役割をすると知られている。適応免疫(adaptive immunity)では抗原を分解してTリンパ球に提示する役割をするマクロファージを活性化して多様なサイトキン(cytokine)、特にインタールーキンIL-12、IL-18生産を増加させるが、これは乳酸菌細胞壁構成成分中一部がマクロファージでNF-κB、STAT信号傳達を活性化させることによってサイトキン(cytokine)の生成が増加すると知られている。また、乳酸菌は、専門的な抗原提示細胞としてリンパ節(lymph node)および消化器系の粘膜にたくさん存在する樹状細胞(dendritic cell)でIL-12、IL-18、TNF-α生成を増加させるのはもちろんMHC class IIおよびB7-2とともにTリンパ球(lymphocyte)を活性化させる表面分子の発現も増加させると知られている(非特許文献6)。
【0006】
Tリンパ球は、適応免疫(adaptive immunity)の中心になる細胞として、適応免疫は、細胞性免疫のTh1反応と抗体性免疫のTh2反応で分けることができる。Th1およびTh2それぞれの反応で抗原提示細胞(Antigen Presenting Cell)が生産するサイトウカインが互いに違って、Th1反応では、IL-12、IL-18、インターフェロン(IFN)生産が優勢でTh2反応では、PGE2、IL-4、IL-10生産が優勢だ。このようなTh1反応およびTh2反応は、適切な均衡が成り立つべきで、均衡がこわれる場合、各種免疫疾患が現れると知られている。Th1細胞は、主に感染症と戦う反面Th2細胞は、主にアレルギーと炎症性反応に関与する。これらが正常に作用する時にはTh2細胞は、ホコリおよびその他願わない物質から身体を保護するが、万一、これら細胞が過度な活性を現わす場合IgE抗体生産が増加して人体に威嚇にならなかった蛋白質(例:花粉、食物など)にアレルギー反応を誘発させる。したがって、Th1反応とTh2反応は、必ず均衡を維持するべきで、万一、この中で一つが過剰や他の一つが不足すれば病気が誘発される。また、続くストレスによってコルチゾールが持続的に遊離すればTh1反応が低下してTh2反応が増加することになって、癌、アトピー、アレルギーおよび自家免疫疾患が誘発される(非特許文献7)。
【0007】
In vivo実験によれば乳酸菌は、Tリンパ球でTh1サイトキン(cytokine)のIFN-γの生成を増加させて、Th2サイトキンのIL-4、IL-5生成を抑制するという(非特許文献8)。また、他の実験でもTh2反応動物モデルの卵アルブミン(Ovalbumin)を投与してTh2反応で偏向したマウス(ovalbumin-primed mice)に乳酸菌を経口投与時脾臟細胞(splenocyte)でIFN-γが増加したし、IL-4、IL-5およびIgEが減少したし卵アルブミン(Ovalbumin)を投与してTh2反応で偏向したマウスで摘出した脾臟細胞を乳酸菌と共に培養時にもサイトキンおよびIgEの変化が経口投与実験と同一だと知られている。しかし、Tリンパ球だけを乳酸菌と培養時IFN-γ生成が有意性あるように増加しなかったのでTリンパ球のIFN-γ生成には、マクロファージ、樹状細胞のような抗原提示細胞が必ず必要なことで見なされる(非特許文献9)。一方IL-12およびIL-18は、Th0リンパ球をTh1リンパ球で分化させるのに重要なサイトキンとしてマクロファージまたは受賞細胞で生成されて、脾臟細胞またはマクロファージ培養時乳酸菌を処理すれば濃度依存的にIL-12、IL-18およびIFN-αなどの生成が増加すると知られている。このように乳酸菌は、マクロファージでIL-12、IL-18およびIFN-αなどの生成を増加させるのでTh1細胞での分化を促進してこれらのIFN-γ生成を誘導するので、Th2が優勢な状況でTh1/Th2均衡を合わせる作用をする(非特許文献6)。したがって、乳酸菌は、Th2反応過剰によるTh1/Th2不均衡に誘発される癌、アトピー、アレルギー、および自家免疫疾患を予防または治療するのに役に立つと知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開1998-78358
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Michael and Philippe, Probiotics and prebiotics: Effects on diarrhea, The journal of nutrition, Volume 137, March 2007, pages 803S-811S
【非特許文献2】Roberfroid, Prebiotics and probiotics: Are they functional foods, American journal of clinical nutrition, Volume 71, June 2000, pages 1682S-1687S
【非特許文献3】McEwen and Fedorka-Cray, Antimicrobial use and resistance in animals, Clinical infectious Diseases, Volume 34, June 2002, pages S93-S106
【非特許文献4】Kalliomaki et. al., Probiotics in primary prevention of atopic disease: a randomized placebo-controlled trial, Lancet, Volume 357, April 2001, pages 1076-1079
【非特許文献5】Rosenfeldt et. al., Effect of probiotic Lactobacillusstrains in children with atopic dermatitis, Dermatologic and ocular diseases, Volume 111, February 2003, pages 389-395
【非特許文献6】Cross et. al., Anti-allergy properties of fermented foods: an important immunoregulatory mechanism of lactic acid bacteria, International Immunopharmacology, Volume 1, May 2001, pages 891-901
【非特許文献7】Elenkov and Chrousos, Stress hormones, Th1/Th2 patterns, pro/anti-inflammatory cytokines and susceptibility to disease, Trends in Endocrinology and Metabolism, Volume 10, November 1999, pages 359-368
【非特許文献8】Matsuzaki et. al., The effect of oral feeding of Lactobacillus casei strain Shirota on immunoglobulin E production in mice, Journal of Dairy Science, Volume 81, January 1998, pages 48-53
【非特許文献9】Kato et. al., Lactic acid bacterium potently induces the production of interleukin-12 and interferon-gamma by mouse splenocytes, International Journal of Immunopharmacology, Volume 21, February 1999, pages 121-131
【非特許文献10】Miraglia et. al, Immune dysregulation in atopic dermatitis, Allergy and Asthma Proceedings, Volume 27, November-December 2006, pages 451-455
【非特許文献11】Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)
【非特許文献12】Kim et. al., Leuconostoc inhae sp. nov., a lactic acid bacterium isolated from kimchi, International Journal of Systematic and Evolutional Microbiology, Volume 53, July 2003, pages 1123-1126
【非特許文献13】Kim et. al., Leuconostoc kimchii sp. nov., a new species from kimchi. International Journal of Systematic and Evolutional Microbiology, Volume 50, September 2000, pages 1915-1919
【非特許文献14】Kobayashi et. al., Studies on biological characteristics of Lactobacillus: II. Tolerance of the multiple antibiotic resistance strain, L. casei PSR3002, to artificial digestive fluids. Japan Journal of Microbiology. Volume 29, July 1974, pages 691-697
【非特許文献15】Casey et. al., Isolation and characterization of anti-Salmonella lactic acid bacteria from the porcine gastrointestinal tract, Letters in Applied Microbiology. Volume 39, 2004, pages 431-438
【非特許文献16】Kim et. al., Probiotic properties of Lactobacillusand Bifidobacterium strains isolated from porcine gastrointestinal tract, Applied Microbiology and Biotechnology, Volume 74, April 2007, pages 1103-1111
【非特許文献17】Hirano et. al., The effect of Lactobacillus rhamnosuson enterohemorrhagic Escherichia coliinfection of human intestinal cells in vitro, Microbiology and Immunology, Volume 47, 2003, pages 405-109
【非特許文献18】Fujiwara et. al. A double-blind trial of Lactobacillus paracasei strain KW3110 administration for immunomodulation in patients with pollen allergy, Allergology International, 2005, volume 54, pages 143-149
【非特許文献19】Fujiwara et. al.,The anti-allergic effects of lactic acid bacteria are strain dependent and mediated by effects on both Th1/Th2 cytokine expression and balance, International Archives of Allergy and Immunology, 2004, Volume135, pages 205-215
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これに、本発明者などは、従来公示されている乳酸菌に比べてTh2反応過剰によるTh1/Th2不均衡を調節する効果が非常に優秀な新しい乳酸菌を開発するために研究した結果、伝統発酵食品から新規なラクトバチルス属酸菌菌株を分離、同定して本発明を完成することになった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、プロバイオティクスとしての基本性質の耐酸性、耐胆汁酸性、腸上皮細胞付着能が優秀なだけでなく、免疫増強効果、特にTh2反応過剰によるTh1/Th2不均衡を調節する効果が優秀な新規なラクトバチルス属乳酸桿菌菌株を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記ラクトバチルス属乳酸桿菌菌株を含む腸疾患の予防または治療用組成物を提供することである。
【0013】
本発明のまた他の目的は、前記ラクトバチルス属乳酸桿菌菌株を含む免疫増強用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 56(Lactobacillus plantarumCJLP56)(寄託機関:生命工学研究院遺伝子銀行、寄託日時:2008.10.16、受託番号:KCTC 11402BP)を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記ラクトバチルス・プランタラムCJLP56を含む腸疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP56を含む免疫増強用組成物を提供する。
【0017】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本発明にともなうラクトバチルス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarumCJLP56)は、伝統発酵食品から分離および同定されたラクトバチルス・プランタラムの新規な菌株であることを特徴とする。前記伝統発酵食品では、キムチ、野菜発効物、味噌、醤油、清麹醤または塩辛などがあるが、これに限定されるのではない。
【0019】
本発明のラクトバチルス・プランタラムCJLP56は、微生物の同情および分類のための16S rRNA塩基配列分析結果ラクトバチルス・プランタラム標準菌株(Lactobacillus plantarum NBRC15891T、GenBank accession number AB326351)と最も高い相同性(99.9%)を現わしてラクトバチルス・プランタラムと最も高い分子系統学的柔軟関係を見せた。したがって、前記微生物をラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)で同定して、ラクトバチルス・プランタラムCJLP56で命名したし、生命工学研究院遺伝子銀行に2008年10月16日付で寄託した(受託番号KCTC 11402BP)。ラクトバチルス・プランタラムCJLP56の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、本明細書に添付された塩基配列目録SEQ ID NO.1のようだ。
【0020】
本発明のラクトバチルス・プランタラムCJLP56は、クラミ陽性菌であり好気的条件と嫌気的条件で全部成長が可能な通性嫌気性(facultive anaerobe)であり胞子を形成しないで運動性がなくて細胞の形態は、桿菌である。
【0021】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP56のより具体的な形態および生理学的特性は、当該技術分野の通常の方法により分析した結果表1と同じであることが分かった。
【0022】
【表1】

【0023】
本発明のラクトバシルロス・プランタラム CJLP56は、長期間安定的に保存するためには水にグリセロール成分を一定量混合して作った保管溶液に菌体を解いて-70℃で保管したり滅菌された10%脱脂乳に懸濁して凍結乾燥することが好ましい。
【0024】
また、本発明のラクトバシルロス・プランタラム CJLP56は、プロバイオティクスとして乳酸菌の一般的な整腸効果および免疫増強効果を持つ。
【0025】
本発明において、'プロバイオティクス(probiotics)'は、人を含んだ動物の胃腸管内で宿主の腸内微生物環境を改善して宿主の健康に有益な影響を与え生きている微生物という意味で理解される。プロバイオティクスは、プロバイオティク活性を持って生きている微生物で単一または複合菌株形態で人や動物に乾燥された細胞形態や発効産物形態で給与される場合、宿主の腸内菌総に有益な影響を及ぼすことができる。このようなプロバイオティク微生物であるためには一番目で、胃液と胆汁での影響を少なく受けながら胃を通過して腸で生存できるかを確認して、腸内に定着して生存が可能なのかを確認して宿主の腸内菌総に有益な影響を及ぼすべきだ。したがって、胃酸に対する耐酸性、胆汁酸に対する耐胆汁酸性および腸上皮細胞に対する付着性を持たなければならない。二番目で、プロバイオティク微生物であるためには、微生物の安全性に問題があってはならなくて、これと関連しては一般的にゼラチン液化反応検査、フェニルアラニン脱アミン生成検査、アンモニア生成検査、溶血性実験検査などが遂行される。本発明にともなうラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、優秀な耐酸性、胆汁酸に対する耐胆汁酸性腸上皮細胞に対する付着性を持つだけでなく、ゼラチン液化反応検査、フェニルアラニン脱アミン生成検査およびアンモニア生成検査で陰性で現れたし、溶血性実験検査では病原性と関係がないと判定されるα-溶血で確認されて安全なことが分かった。
【0026】
本発明にともなうラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、耐酸性、耐胆汁酸性および腸皮細胞付着性が非常に優秀で整腸効果が予想される。したがって、本発明は、他の側面において、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56を含む腸疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0027】
前記本発明にともなう微生物を含む腸疾患の予防または治療用組成物は、人を含んだ哺乳動の腸疾患の予防または治療に利用されるし、好ましくは牛、馬、豚のような家畜を含む。前記'腸疾患'では腸ために細菌感染および炎症性腸疾患を全部含んで、例えば病原性微生物(大腸菌、サルモネラ、クルロ ストゥリディウムなど)による感染性下痢、胃腸炎、炎症性腸疾患、神経性腸炎症候群、小腸微生物過成長症、腸急性下痢などを含むが、これに限定されるのではない。前記腸疾患治療用組成物に含まれるラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、生菌体または死菌体として存在することもできるが、生菌体として存在することが好ましい。一般的に生菌体は、腸内細菌総の異常発効によって引き起こされる諸般症状を治療して改善する効果があって人および動物に投与すれば腸内の消化管壁に密集、定着して有害菌が定着できないようにする作用をしながら、乳酸を生成して腸内のpHを低くして有害細菌が増殖できないようにする。また、投与された生菌体は、バクテリオシン(bacteriocin)と過酸化物を生成して病院菌の増殖を抑制して栄養分の吸収を担当する腸絨毛の活動を助ける。この他にも、栄養素の吸収と利用を助ける物質を生成して、動物において飼料要求率を改善させて、病原菌が生成する毒性物質を中和する物質を生成したりもする。
【0028】
前記本発明の腸疾患の予防または治療用組成物の投与方法は、特に限定されるのではないか、經口で投与することが好ましい。投与量は、腸疾患の種類、疾患の程度、年齢、性別、人種、治療または予防目的などにより変われるが、一般的に成人を基準として一日に1千万匹で1000億匹を投与することができる。
【0029】
また、本発明のラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、整腸効果その他にも従来の乳酸菌に比べて顕著に優秀な免疫増強効果を持つ。ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、脾臟細胞(splenocyte)でTh1反応を誘導するIL-12の生成を増加させて、Th2反応を誘導するIL-4の生成を抑制する。また、抗原提示細胞としてT細胞免疫反応を調節するマクロファージおよび樹状細胞のような免疫調節関連した細胞を刺激してTh0リンパ球のTh1リンパ球での分化を誘導するサイトキンの生成を促進させてTh2反応の過剰によるTh1/Th2不均衡を調節できる免疫調節力があると確認された。ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の免疫増強効果に対してより具体的に説明すれば次のようだ。
【0030】
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、陰性対照群に比べて、卵アルブミン(OVA)を投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞(spleenocyte)に処理時Th1反応誘導サイトキンのIL-12を5.8-8.4倍高く生成したし、Th2反応誘導サイトキンのIL-4の生成を10.7-12.9%水準で抑制したし、これは他の典型的な乳酸菌Lactobacillus rhamnosusGG(KCTC 5033)、Lactobacillus casei (KCTC 3109) 、Lactobacillus sakei CJLS118(KCTC 13416)に比べて顕著に優秀だと確認された。したがって、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th2反応を抑制してTh1反応を促進して、Th2反応の過剰によるTh1/Th2不均衡を調節する免疫調節力があるといえる。
【0031】
また、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarum CJLP56)をマクロファージ細胞株RAW264.7および樹状細胞JAWSIIに処理した結果、乳酸菌数が増加するということによってマクロファージ細胞株を刺激して免疫反応を増強させるということが確認された。マクロファージ細胞株RAW264.7と受賞細胞細胞株JAWSIIにラクトバシルロス・プランタラムCJLP56を処理した結果、Th1分化誘導サイトキンIL-12、IL-18生成を促進してTh1分化誘導抑制サイトキンのIL-10はIL-12の生成量に比べて相対的に少なく生成することによってTh1分化誘導を促進すると確認された。したがって、このような実験結果からもラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th2反応を抑制してTh1反応を促進して、Th2反応の過剰によるTh1/Th2不均衡を調節する免疫調節力があるといえる。
【0032】
IL-4は、Th2細胞で由来して特異的に細胞免疫反応の中枢的な役割をしてTh1細胞のサイトキンのIL-12の生産を抑制する抗炎症性サイトキン(anti-inflammatory cytokine)機能を持つ。近ごろアトピー皮膚炎患者の末梢血液と皮膚病変にはIL-4,IL-5等を主に生産するTh2細胞が相対的に増加するという事実が知られている(非特許文献10)。したがって、Th2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡は、アトピーのような疾患を誘発する。また、先立って調べたように、Th1反応とTh2反応の中の一つが過剰や他の一つが不足すれば病気が引き起こされて、Th1反応が低下してTh2反応が増加時、癌、アトピー、アレルギーおよび自家免疫疾患が引き起こされると知られている(非特許文献11)。したがって、本発明にともなうラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、免疫調節と関連したTh1細胞、Th2細胞、マクロパジおよび樹状細胞が生産するサイトキンを調節してTh2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡を調節することによって、アトピー、アレルギーのような病気に対し効果的に作用する可能性があることを期待できるだけでなく、癌および自家免疫疾患の予防または治療にも効果があると期待される。
【0033】
したがって、本発明は、他の側面において、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56を含む免疫増強用組成物を提供する。本発明にともなう免疫増強用組成物は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56が乳酸菌として前記従来技術で説明したことのような一般的な乳酸菌の免疫増強作用効果によって免疫増強効果がある。特に、本発明にともなう前記免疫増強用組成物は、下記実施例で立証された通りラクトバシルロス・プランタラムCJLP56がTh1反応の促進効果を持ってTh2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡を調節する効果があるので、Th2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡に誘発される疾患の予防または治療に効果がある。したがって、本発明にともなう前記免疫増強用組成物は、アトピー、アレルギー、癌および自家免疫疾患の予防または治療に効果的に使われることができる。前記自家免疫疾患では喘息、枯草熱などを含むが、これに限定されるのではない。
【0034】
前記本発明の免疫増強用組成物の投与方法は、特に限定されるのではないか、經口で投与することが好ましい。投与量は、免疫増強が必要な疾患の種類、疾患の程度、年齢、性別、人種、治療または予防目的などにより変われるが、一般的に成人を基準として一日に1千万匹で1000億匹を投与することができる。
【0035】
前記本発明にともなうラクトバシルロス・プランタラムCJLP56を含む腸疾患の予防または治療用組成物および免疫増強用組成物は、安全性が立証された乳酸菌を含むので副作用などの憂慮なしで医薬品、食品、化粧品、飼料、または飼料添加剤として利用されることができる。
【0036】
前記本発明にともなう組成物が医薬品として利用される場合には、当該技術分野に公示されている通常の薬剤学的剤形で製剤化されることができる。前記医薬品は、好ましくは經口剤形を製剤化されるし、例えば液体額剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、精剤、カプセル剤、丸剤またはエックス剤のような経口投与用剤形で製剤化されることができる。
【0037】
前記それぞれの剤形で製剤化詩、それぞれの剤形の製造に必要な薬剤学的に許容可能な担体または添加剤を付加して製造することができる。代表的に経口投与用剤形で製剤化詩前記担体として希釈剤、滑澤剤、結合剤、崩解剤、甘美剤、安定剤および防腐剤中で1種以上を選択して使えるし、添加剤では香料、ビタミン類および抗酸化剤中で1種以上を選択して使うことができる。
【0038】
前記担体および添加剤は、薬剤学的に許容可能になることは全部可能で、具体的に希釈剤では乳糖、とうもろこし澱粉、大豆油、米晶質セルロース、またはマンニトル、滑澤剤ではステアリン酸マグネシウムまたはタルク、結合剤ではポルリビニルピロルリドンまたはヒドロックシプロフィールセルロースが好ましい。また、崩解剤ではカルボクシメティルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ポルラクリルリンカルリュムまたはクロスポビドン、甘美剤では白糖、果糖、ソルビトル、または、アスパルテーム、安定剤ではカルボクシメティルセルロースナトゥリュム、β-サイクルロデクストゥリン、白斑、またはチャンタンゴム、防腐剤ではパラオクシ安息香酸メティル、パラオキシ安息香酸プロフィール、または、ソルビン酸カリウムが好ましい。
【0039】
また、前記成分その他にも公示の添加剤として味覚を注ぐために、梅の実香り、レモン香り、パイナップル香り、ハブ香りなどの天然香料、天然果汁、クロロフィリン、フラボノイドなどの天然色素、果糖、蜂蜜、糖アルコール、砂糖と同じ甘美成分、または、枸櫞酸、枸櫞酸ナトリウムと同じ酸味剤を混合して使うこともできる。
【0040】
このような製剤化方法および製剤化時必要な担体および添加剤に対しては非特許文献11に詳細に記載されている。
【0041】
前記本発明にともなう組成物は、食品として利用されることができる。前記食品は健康機能食品それだけでなく、人間が広く通常的に毎日摂取する一般的な食品を含むことだ。健康機能食品として利用される場合、食品学的に許容可能な担体または添加剤とともに当該技術分野に公示されている通常の健康機能食品の剤形で製剤化されることができる。前記健康機能食品は、例えば酸剤、顆粒剤、精剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ剤、液剤、エックス剤、茶、ジェリー、または飲み物などで製造されることができる。前記食品学的に許容可能な担体または添加剤は、製造しようと思う剤形の製造に当該技術分野で使用可能になることで公示されている任意の担体または添加剤が利用されることができる。
【0042】
前記本発明にともなう組成物は、アトピーの予防または治療効果を持つので、化粧品として利用されることもできる。前記本発明にともなう組成物が化粧品として利用される場合には当該化粧品技術分野に公示されている通常の剤形の多様な化粧品で製造されることができる。前記それぞれの剤形で製剤化詩、それぞれの剤形の製造に必要な化粧品の製造に許容可能な担体または添加剤を付加して製造することができる。
【0043】
前記本発明にともなう組成物は、飼料添加剤または、飼料として利用されることができる。
【0044】
飼料添加剤として利用される場合、前記組成物は、20ないし90%高濃縮液や粉末または顆粒形態で製造されることができる。前記飼料添加剤は、枸櫞酸、フマル酸、アディピック酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸や燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、酸性疲労燐酸炎、ポリ燐酸炎(重合燐酸炎)等の燐酸炎や、ポリフェノール、カテキン、α-トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草抽出物、キトサン、タンニン酸、ピティン酸などの天然抗酸化剤中どれ一つまたは一つ以上を追加で含むことができる。飼料として利用される場合、前記組成物は、通常の飼料形態で製剤化されるし、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0045】
前記飼料添加剤および飼料は、穀物、例をあげれば粉砕または破砕されたコムギ、燕麦、麦、とうもろこしおよび米;植物性蛋白質飼料、例をあげればアブラナ、豆、およびひまわりを主成分でする飼料;動物性蛋白質飼料、例をあげれば血分、肉粉、骨粉および魚分;糖分および乳製品、例をあげれば各種粉乳および乳状粉末で成り立つ乾燥成分などをさらに含めるし、その他にも栄養補充剤、消化および吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0046】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり食用担体中で他の飼料添加剤と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとしてまたはこれらを動物飼料に直接混合したりまたは飼料と別途の經口剤形で容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料と別に投与する場合、当該技術分野に良く知られた通り薬剤学的に許容可能な食用担体と組み合わせて、直ちに放出または徐放性剤形で製造することができる。このような食用担体は、固体または液体、例えばとうもろこし澱粉、ラクトース、スクロオス、豆フレーク、落花生油、オリーブ油、胡麻油およびプロピレングリコールでありうる。固体担体が使われる場合、飼料添加剤は、精剤、カプセル剤、酸剤、トローチ剤または含糖精剤または、未分散性形態のトップドレッシングでありうる。液体担体が使われる場合、飼料添加剤は、ゼラチン軟質カプセル剤、またはシロップ剤や懸濁液、エマルジョン剤、または溶液剤の剤形でありうる。
【0047】
前記飼料は、動物の食餌欲求を充足させるのに通常的に使われる任意の蛋白質-含有有機穀粉を含むことができる。このような蛋白質-含有穀粉は、通常的にとうもろこし、豆穀粉、またはとうもろこし/豆穀粉ミックスで主に構成されている。
【0048】
また、前記飼料添加剤および飼料は、補助剤、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進剤などを含有することができる。前記飼料添加剤は、浸透、噴霧または、混合して動物の飼料に添加して利用されることができる。
【0049】
本発明の飼料または飼料添加剤は、哺乳類、家禽および魚類を含む多数の動物食餌に適用することができる。前記哺乳類として豚、牛、羊、ヤギ、実験用設置動物および実験用設置動物それだけでなく、愛玩動物(例:犬、猫)等に使えるし、前記家禽類として鶏、七面鳥、鴨、ガチョウ、キジおよびウズラなどにも使用できて、前記魚類として鱒などに利用されるが、これに限定されるのではない。
【発明の効果】
【0050】
先立って説明した通り、本発明にともなう新規乳酸菌ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、プロバイオティクスとして耐酸性、耐胆汁酸性および腸上皮細胞付着性が非常に優秀で整腸効果を持って、Th1反応を促進する効果があってTh2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡を調節する効果がある。したがって、本発明にともなう新規乳酸菌ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、腸疾患治療用組成物および免疫増強用組成物として利用されるし、特にTh2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡に誘発される疾患の予防または治療に効果的だ。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の耐酸性実験結果を示すグラフである。
【図2】図2は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の耐胆汁酸性実験結果を示すグラフである。
【図3】図3は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の腸上皮細胞付着能実験結果を示すグラフである。
【図4】図4は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を卵アルブミンを投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞に処理した後Th1反応誘導サイトキンのIL-12の濃度を測定した結果を他の乳酸菌と比較して示すグラフである。
【図5】図5は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を卵アルブミンを投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞に処理した後Th2反応誘導サイトキンのIL-4の濃度を測定した結果を他の乳酸菌と比較して示すグラフである。
【図6】図6は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株をマクロファージ細胞株RAW264.7に処理した後、IL-12およびIL-10の濃度をELISAで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示すグラフである。
【図7】図7は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を樹状細胞細胞株JAWSIIに処理した後、IL-12およびIL-10の濃度をELISAで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示すグラフである。
【図8】図8は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株をマクロファージ細胞株RAW264.7に処理した後、IL-12p40およびIL-18 mRNAの発現をRT-PCRで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示すグラフである。
【図9】図9は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を樹状細胞細胞株JAWSIIに処理した後、IL-12p40およびIL-18 mRNAの発現をRT-PCRで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明を下記実施例によってより一層具体的に説明する。しかし、これら実施例は本発明に対する理解を助けるためのものだけ、どんな意味でも本発明の範囲がこれらによって制限されるのではない。
【0053】
実験例1:微生物ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株の分離および同定
キムチで分離したラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を1.5%寒天(agar)が含まれたMRS固体培地(Difco, USA)に塗抹して37℃で24時間培養した後純粋分離したことが確認された集落を白金が(loop)で取ってMRS液体培地(Difco, USA)で37℃18-24時間培養した。
【0054】
その次に、CJLP56菌株の形態および生理学的特性をKimなど(非特許文献12)の方法とAPI50CHおよびAPI50CH Lキット(バイオメリオ社製品)を使って決めた。その結果確認されたCJLP56菌株の形態および生理学的特性を前記表1に整理した。
【0055】
また、乳酸菌同定および分類のための16S rRNA遺伝子の塩基配列を分析した。16S rRNA遺伝子の塩基配列決定および分析は、Kimなど(非特許文献13)の方法を使った。その結果確認されたCJLP56の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、序列目録に記載した(SEQ ID NO:1) 。
【0056】
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株は、16S rRNA塩基配列分析結果ラクトバシルロス・プランタラム標準菌株(Lactobacillus plantarum NBRC 15891T、GenBank accession number AB326351)と最も高い相同性(99.9%)を現わしてラクトバシルロス・プランタラム(Lactobacillus plantarm)で同定して、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56で命名したし、生命工学研究院遺伝子銀行に2008年10月16日付で寄託した(受託番号KCTC 11402 BP)。
【0057】
実験例2:ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株の人工胃液での耐酸性実験および人工胆汁での耐胆汁性実験
人工胃液での耐酸性実験は、Kobayashiなど(非特許文献14)の実験を変形して製造した人工胃液を使って進行したし、具体的に人工胃液は、MRS液体培地を1N HClでpH 2.5になるべく調整してペブシンを1000ユニット/mlになるべく添加した後滅菌して製造した。
【0058】
前記実施例1から分離および同定されたラクトバシルロス・プランタラムCJLP56をMRS液体培地で37℃、18時間の間培養した菌体を遠心分離して乳酸菌主を沈殿させてまた滅菌食塩水(0.85%NaCl)で2回洗浄した後菌体懸濁液を対照群培地と人工胃液に各々約107cfu/ml水準で接種させて37℃で培養させながら接種後0および3時間後に生存菌数を測定した。総菌数は、KH2PO4、Na2HPO、L-システイン、HCl、Tween 80等が含まれた燐酸緩衝液(pH 6.8)で10倍数希釈して測定した。
【0059】
人工胆汁での耐胆汁性実験は、Caseyなど(非特許文献15)の方法により進行したし前記耐酸性評価で使われたMRS液体培地に黄牛胆汁を0.3%添加した後、前記耐酸性評価方法と同じ方法でして乳酸菌接種後0時間、12時間、24時間後に生存菌数を測定した。
【0060】
前記耐酸性評価および耐胆汁酸性評価皆で典型的な乳酸菌のLactobacillus c asei(KCTC 3109)、Lactobacillus sakei CJLS118(KCTC 13416)、およびLactoba ilus rhamnosus GG(KCTC 5033)に対しても同一に比較実験を遂行した。
【0061】
その結果を図1および図2に示した。図1はラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の耐酸性実験結果を示したグラフである。図2はラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の耐胆汁酸性実験結果を示したグラフである。
【0062】
図1および図2の結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、比較実験した他の乳酸菌皆に比べて同等以上の耐酸性および耐胆汁酸性を持つことが明らかになった。これは本発明にともなう新規菌株が体内で胃液の影響を受けないで腸まで到達することができるし腸内では胆汁の影響を受けないで生存する可能性があることを現わす。
【0063】
実施例3:ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株の腸上皮細胞に対する付着能実験
腸上皮細胞付着能試験のための動物細胞としてHT-29を韓国細胞株銀行(KCLB)で譲り受けて使ったし、実験方法は、キムなど(非特許文献16)とHiranoなど(非特許文献17)の方法を使った。
【0064】
HT-29細胞は、熱非活性化された10%牛胎児血清(FBS)、1% L-グルタミン、ペニシリンG(100IU/mL)、そしてストレプトマイシン(100mg/mL)が添加されたRPMI 1640(Gibco, USA)培地を利用して5%CO2存在下で37℃で培養させた。付着能実験と付着抑制能実験のためにHT-29細胞は、ウェル当1.0×105細胞/mLの数になるべく24ウェル-プレートに分株しかったし隔日で培地を交換して完全に単一層(monolayer)を形成する時まで培養して実験に使った。完全単一層を形成したHT-29細胞は、25℃のPBS緩衝溶液を利用して5回洗浄して抗生剤が添加されなかったRPMI 1640培地0.5mLを添加した。
【0065】
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、各々約1.0×109cfu/mLの濃度になるべくRPMIに懸濁した後前記ウェルプレートに接種して5% CO2存在下で37℃で2時間の間培養を実施した。培養が完了した後付着しなかった乳酸菌の除去と洗浄にともなう付着能力を確認するために3分ずつ200rpmの速度で攪拌しながらPBS緩衝溶液を使って3回洗浄を実施した。洗浄が完了した後0.2%トリプシン-EDTAを分株して付着している細胞を引き離してペプトン(peptone)数を利用して連続希釈法でMRS-あか(agar)に評判塗抹して37℃で24時間の間培養して菌数を測定した。
【0066】
別に、一部付着確認のために70%アルコールに一日程度漬けて完全殺菌されたカバーグラスをペットリティシュィ底に付着させた後HT-29細胞を培養して上と同量の乳酸菌を添加して実験した。洗浄によって洗い流されていかないでHT-29細胞に付着した乳酸菌株は、乾燥した後Gram染色をして光学顕微鏡で観察して、菌数を測定した。Lactobacillus sakei CJLS118、およびLactobaillus rhamnosusGG(KCTC 5033)に対しても同一に比較実験を遂行した。
【0067】
その結果を図3に示した。図3は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56の腸上皮細胞付着能実験結果を示すグラフである。
【0068】
図3の結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、プロバオティクス菌株で商業的に良く知られたLactobacillus rhamnosusGG(KCTC 5033)と Lactobacillus sakei CJLS118に比べて24時間経過後腸上皮細胞付着能が優秀なことが明らかになったし、特にLactobacillus sakei CJLS118に比べて腸上皮細胞付着能が顕著に高いことが分かった。このような結果は本発明にともなう新規菌株が腸上皮細胞に付着して腸内環境を改善する可能性があることを現わす。
【0069】
実施例4:ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株の安全性評価
前記実施例1で分離した菌株の安全性を評価するために韓国バイオベンチャー協会団体標準で提示した安全性評価試験法により溶血現象検査、ゼラチン液化反応検査、有害代謝産物(アンモニア)生成確認、ペニンアラニンタルアミン検査を遂行した。
【0070】
その結果を下記表2に示した。
【0071】
【表2】

【0072】
前記結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarum CJLP56)は、ゼラチン液化反応、有害代謝産物(アンモニア)生成、ペニンアラニンタルアミン生成に対して陰性であり、溶血現象検査では病原性と関係がないと判定されるα-溶血で確認された。したがって、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、人体に投与できる安全な菌株だと確認された。
【0073】
実施例5:マウス 脾臟細胞処理後IL-12生成促進力評価
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarum CJLP56)菌株を、卵アルブミンを投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞に処理時Th1反応誘導サイトキンのIL-12生成促進力を評価するために、Fujiwaraなど(非特許文献18)とFujiwaraなど(非特許文献19)を参考にして次の通り実験を進行した。
【0074】
免疫化(immunization)は、6週令の雌Balb/cマウス5匹を購入して、alum hydroxide(Sigma) 13mg/mL溶液1.538mL、卵アルブミン10mgおよびPBS 0.4615mLとよく混合して常温で20分間反応させた混合液体をマウス当たり0.2mL(1mg OVA + 2 mg alum)ずつ腹腔に注射したし同じ量を6日目なる日にまた腹腔に注射してブスティング(boosting)した。マウスを13日目犠牲させて脾臟を摘出したしこれから得られた脾臟細胞(splenocyte)100μl(4×106細胞/mL)と試験対象菌の死菌50μlと卵アルブミン50μl(4 mg/ml)を細胞培養ウェルプレート(cell culture well plate)に加えてDMEM-10培地中で7日間10%CO2培養器で培養した。7日間培養した後、上清浄液を取ってIL-12 ELISAキットでアッセイ(Biosource)を遂行してIL-12の濃度を測定した。
【0075】
前記試験対象菌の死菌は、次の通り獲得した。
【0076】
験対象菌は、MRS液体培地(Difco)に接種して37℃で24時間培養したし13,000rpmで1分間遠心分離して得た菌体を生理食塩水に2回洗浄後菌体だけ取った。回収された菌体は動物細胞株接種試験のために原培養液体積と同一体積の滅菌蒸溜水で100℃で10分間加熱したし13,000 rpmで1分間遠心分離をした後回収してDMEM培地に適当量希釈して細胞株培養液体積基準として50μg/mlと5μg/mlの濃度の菌体になるようにした。試験対象菌としてラクトバシルロス・プランタラムCJLP56を使ったし、Lactobaillus rhamnosus GG(KCTC 5033)、Lactobacillus casei (KCTC 3109)、Lactobacillus sakei CJLS118(KCTC 13416)に対しても同じ実験を遂行してその結果を比較した。
【0077】
前記IL-12 ELISAキットを利用したIL-12アッセイ(assay)は、IL-12 ELISAキットに提供された指示事項により実験を進行したしELISA readerで測定されたO.D.値を測定してキットに提供されたIL-12対照サンプルに対する検量式によりIL-12生成量を換算した。そのようにして、得られた測定結果を図4に示した。
【0078】
図4は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を卵アルブミンを投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞に処理した後Th1反応誘導サイトキンのIL-12の濃度を測定した結果を他の乳酸菌と比較して示したグラフである。
【0079】
図4の結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th1反応誘導サイトキンのIL-12の生成を他の乳酸菌に比べて顕著に促進させることが明らかになった。したがって、本発明にともなうラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th2反応で偏向したマウスでTh1反応を効果的に誘導するということを確認することができた。
【0080】
実施例6:マウス 脾臟細胞処理後IL-4生成抑制力評価
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarum CJLP56)菌株を、卵アルブミンを投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞に処理時Th2反応誘導サイトキンのIL-4の生成抑制効果を確認するために、前記実施例5の方法でIL-12キットの代わりにIL-4キット(Biosource)を使うことだけ違って残り条件は同一に実験を進行した。そのようにして測定した結果を図5に示した。
【0081】
図5は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を卵アルブミンを投与してTh2反応で偏向したマウスの脾臟細胞に処理した後Th2反応誘導サイトキンのIL-4の濃度を測定した結果を他の乳酸菌と比較して示したグラフである。
【0082】
図5に示した結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th2反応誘導サイトキンのIL-4サイトキンを抑制することによってTh2反応で偏向したマウス脾臟細胞でTh2反応に対する抑制効果があるということを確認することができた。
【0083】
実施例7:マクロファージおよび樹状細胞でTh1リンパ球分化誘導サイトキンIL-12p40およびIL-18の発現とTh1リンパ球分化抑制サイトキンのIL-10発現確認実験
マクロファージおよび樹状細胞のような抗原提示細胞(antigen presenting cell, APC)は、IL-12およびIL-18を生成してTh0リンパ球をTh1リンパ球で分化を誘導して、他の一方ではIL-10を生成してTh1リンパ球で分化誘導を抑制する。本発明にともなう乳酸菌がマクロファージおよび樹状細胞のIL-12、IL-10、IL-18の生成に及ぼす影響を評価するために次のような実験を遂行した。
【0084】
試験対象菌をマクロファージ細胞株のRAW264.7に5×107/mL濃度で処理して37℃、10% CO2培養を48時間の間遂行した後培地を取ってELISA方法でIL-12p40およびIL-10の濃度を測定した。また、樹状細胞細胞株のJAWSIIにも同じ方法で試験対象菌を接種および培養した後培地を取ってIL-12p40およびIL-10の生成量を測定した。
【0085】
前記試験対象菌としてラクトバシルロス・プランタラムCJLP56を使ったし、量の対照群としてリポポルリサカライドを使ったし、Lactobaillus rhamnosus GG(KCTC 5033)、Lactobacillus casei (KCTC 3109)、Lactobacillus sakei CJLS118(KCTC 13416)に対しても同じ実験を遂行してその結果を比較した。
【0086】
前記ELISA方法による濃度測定は、IL-12の濃度を測定できるIL-12p40キット(BD Biosciences、USA)およびIL-10の濃度を測定できるIL-10キット(BD Biosciences、USA)を利用して製造会社の指針により遂行した。そのようにして、測定されたそれぞれの結果を図6および図7に示した。
【0087】
図6は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株をマクロファージ細胞株RAW264.7に処理した後、IL-12およびIL-10の濃度をELISAで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示したグラフである。
【0088】
図7は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を樹状細胞細胞株JAWSIIに処理した後、IL-12およびIL-10の濃度をELISAで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示したグラフである。
【0089】
図6および7の結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th1分化誘導サイトキンのIL-12サイトキンを生成させて、Th1分化抑制サイトキンIL-10の生成は、IL-12に比べて顕著に少なく生成させるのを確認できるし、他の乳酸菌に比べてIL-12の生成を顕著に増加させるということが分かる。
【0090】
また、遺伝子水準(level)でのIL-12およびIL-18の生成を確認するために試験対象菌をマクロファージ細胞株のRAW264.7に5×107/mL濃度で処理して、37℃、10% CO2培養を6時間の間遂行した後総RNAを抽出してRT-PCR方法でIL-12とIL-18mRNAの生成量を測定した。樹状細胞細胞株のJAWSIIにも同じ方法で試験対象菌を接種および培養した後RNAを抽出してRT-PCR方法でIL-12とIL-18mRNAの生成量を測定した。
【0091】
そのようにして、測定されたそれぞれの結果を図8および図9に示した。
【0092】
図8は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株をマクロファージ細胞株RAW264.7に処理した後、IL-12p40およびIL-18 mRNAの発現をRT-PCRで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示したグラフである。
【0093】
図9は、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56菌株を樹状細胞細胞株JAWSIIに処理した後、IL-12p40およびIL-18mRNAの発現をRT-PCRで測定した結果を他の乳酸菌と比較して示したグラフである。
【0094】
図8および9の結果によれば、ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56は、Th1分化誘導サイトキンのIL-12およびIL-18の生成を指示するmRNAの生成を促進させるということが分かって、特にIL-12 mRNAの発現促進において他の乳酸菌に比べて顕著に優秀だと確認された。
【0095】
実施例8:ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarum CJLP56)を含む生菌剤の製造
前記実施例1で同定されたプロバイオティクス ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarum CJLP56)を医薬品、食品、飼料、飼料添加剤、または化粧品の原料で適用するために大量生産して、これを凍結乾燥して生菌剤化した。
【0096】
菌の生産のためにMRS液体培地(Difco)で25% NaOH溶液を使ってpHを6.0で調節しながら37℃で約18時間培養をして遠心分離を遂行して菌体を回収した。回収した菌体はデキストリン5%と脱脂牛乳10%を凍結保護剤で使って-40℃で凍結後37℃で乾燥した菌体をミキサーで砕いて分体化した。分体化した生菌は目標にする菌数に合わせて保管をするために適当量の葡萄糖、乳糖、脱脂牛乳などと同じ賦形剤と混合して密封されるアルミニウムパウチに入れて包装した。
【0097】
このように製造された生菌剤は飼料に原料で使われる穀物粉と混合して飼料用生菌剤で活用したり、担体または添加剤などを混合して精剤、カプセルなどの医薬品、食品用生菌剤で活用したり、化粧品に使われる原料に一定量を混合することによって医薬品、食品、飼料、化粧品など多様な分野に当該技術分野で通常の方法により活用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarumCJLP56) KCTC 11402BP。
【請求項2】
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarumCJLP56) KCTC 11402BPを含む腸疾患の予防または治療用組成物。
【請求項3】
ラクトバシルロス・プランタラムCJLP56(Lactobacillus plantarumCJLP56) KCTC 11402BPを含む免疫増強用組成物。
【請求項4】
Th2反応過剰によるTh1/Th2不均衡に誘発される免疫疾患の予防または治療用であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記免疫疾患は、アレルギー性疾患、アトピー、癌および自家免疫疾患で構成された群で選択されるのを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
医薬品であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
食品であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
飼料または飼料添加剤であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
化粧品であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−510291(P2012−510291A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539440(P2011−539440)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004913
【国際公開番号】WO2010/064777
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507421681)シージェイ チェイルジェダン コーポレーション (24)
【Fターム(参考)】