説明

新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物

本発明は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP243)KCCM 11045P、前記乳酸菌を含む腸疾患治療用組成物、および前記乳酸菌を含む免疫応答増強用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物に係り、より具体的には腸疾患及び免疫疾患の予防または治療に有用な新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
キムチのような韓国の伝統発酵食品に豊富に存在する乳酸菌は、人体の消化管に共生しながら繊維質及び複合蛋白質を分解して重要な栄養成分を作る役割を担当しており、このようにヒトを含む動物の胃腸管内で宿主の腸内微生物環境を改善して宿主の健康に有益な影響を与える生きている微生物を総称してプロバイオティクス(probiotics)という。 プロバイオティクスとして効果があるためには経口で摂取して小腸に到達し腸表面に付着し維持されなければならないので、プロバイオティクスは、酸耐性、胆汁酸耐性、及び腸上皮細胞付着能力が優秀でなければならない。
【0003】
キムチのような韓国の伝統醗酵食品に存在する代表的なプロバイオティクスとてラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)乳酸菌がある。ラクトバチルス属微生物は、同型または異型発酵をする乳酸桿菌としてヒトを含む動物の腸管及び乳製品や野菜の発酵過程に広く存在する。ラクトバチルス属微生物は、腸内pHを酸性に維持し、大腸菌(E. coli)やクロストリジュウム(Clostridium)のような有害菌の繁殖を抑制し、下痢と便秘を改善するだけでなく、ビタミンを合成し、坑癌作用を有し、血清中コレステロールを低下させる。乳酸桿菌によって生産されるアシドフィリンは、赤痢菌、サルモネラ菌、ブドウ状球菌、大腸菌などの成長を阻害することが知られている。アシドフィリンはまた、下痢原因菌の増殖を抑制して腸内菌叢を正常化することで下痢を防止する(非特許文献1及び非特許文献2)。
【0004】
ラクトバチルス属微生物の前記特性を利用して、ラクトバチルス属微生物のプロバイオティクスとしておよび家畜飼料としての研究が活発に進行している。 家畜の細菌性下痢病は、体重減少、さらには死を誘発する。したがって、これを予防して家畜の生産を高めようと飼料に抗生剤を添加することが一般的に広く行われてきた。しかし、抗生物質に対する耐性菌の出現と畜産物内の残留抗生物質などの問題のために飼料内抗生物質の使用が規制され、有機的な家畜飼養法が推奨されている(特許文献1)(非特許文献3) 。
【0005】
また、ラクトバチルス属微生物のような乳酸菌は、免疫応答増強効果を持つこと でも知られている。このような乳酸菌の免疫応答増強のメカニズムに対して研究が進行されている。具体的なメカニズムは未だ明らかにされていないが、乳酸菌が経口的に導入されて腸内で棲息することで 腸管免疫系に影響を及ぼすことが知られている。例をあげれば、ヨーグルトを通した乳酸菌摂取はPeyer's patchのリンパ球の坑菌活性を増加させると報告されていて、実験動物及びヒトを対象に実行された研究によれば乳酸菌は、IgAの反応を強化させると報告されている。外部微生物病原体に対する抵抗性を現わす免疫系は、先天免疫及び適応免疫に分けられて、そのいずれもが乳酸菌の影響を受ける。腸管免疫系の先天性免疫反応では乳酸菌は病原菌を認識して死滅させることで感染に対抗して健康を維持する役割をすることが知られている。先天性免疫反応は、感染初期に外部病原体個体数の増加抑制に重要な役割を果たし、また、抗原と共刺激性分子を伝達することによって、後に伴う免疫反応の適応性免疫の活性化を誘発させる。このような先天性免疫反応と関連した代表的な免疫細胞としてはNK細胞、好中球、大食細胞(マクロファージ)と樹状細胞が挙げられる(非特許文献4)。適応性免疫は、被験体の感染時に外部病原体の除去を実質的に誘導し、適応性免疫に対応する免疫細胞としてはTリンパ球とBリンパ球が挙げられる。したがって適応性免疫系の活性をいくら増進させるのかによって外部病原体に対する体内抵 抗性が決定されうる(非特許文献5)。
【0006】
適応性免疫では、抗原をTリンパ球に提示する役割をするマクロファージは活性化され、多様なサイトカイン、特にインターロイキンIL-12、IL-18、TNF-αの生産が増加する。これに関連して、乳酸菌の細胞壁の一部の成分はNF-κBを活性化し、またSTATシグナルはマクロファージ内で変換されサイトカインの産生が増加する。また、乳酸菌は、リンパ節及び消化管の粘膜にしばしば見出される樹状細胞などの抗原提示細胞でIL-12、IL-18、T N F-α産生を増加させることが知られている。さらに、乳酸菌はMHCクラスII及びB7-2のようなTリンパ球を活性化させる表面分子の発現も増加させることが知られている(非特許文献6)。
【0007】
ラクトバチルス属微生物と免疫反応との相関関係に対して今まで多く の研究が遂行されてきた。特にいくつかのラクトバチルス(例えばL. fermentum)は 抗原特異的免疫反応を増進させることと知られており、これを細菌(例:ジフテリア菌、破傷風菌)やウイルス(例:インフルエンザ、ポリオ)ワクチンのアジュバントとして使おうとする試みがあった(非特許文献7)。このようなラクトバチルス微生物の免疫増進効果は特定ラクトバチルス微生物によるTh1型サイトカイン産生ヘルパーTリンパ球の活性増進の結果生じると考えられており、これが全般的な免疫細胞の増殖及び適応免疫におけるT細胞またはB細胞の活性を効果的に誘導する(非特許文献8)。このようなTリンパ球活性増進を測定するために産生されるIFN-γの量を測定する研究が最近活発に進行している(非特許文献9)。このような全般的な免疫細胞の増殖誘導によって消化器(腸内)感染(非特許文献10)、泌尿生殖器感染(非特許文献11)、呼吸器感染(非特許文献12)、またはヘリコバクター感染(非特許文献13)およびアレルギー反応(非特許文献14)を治療または、予防できることが知られている。
【0008】
Tリンパ球は、適応免疫を制御し、適応免疫は、細胞性免疫のTh1反応と抗体性免疫のTh2反応に分けることができる。 Th1及びTh2それぞれの反応では抗原提示細胞で異なるサイトカインが産生される。Th1反応では、IL-2、IL-12、IL-18、インターフェロン(IFN-γ)生産が優勢で、Th2反応ではPGE2、IL-4、IL-10生産が優勢である。このようなTh1反応及びTh2反応は、適切な均衡が成り立つべきで、均衡がこわれると各種免疫疾患が現れる。Th1細胞は、主に感染症と戦う反面、Th2細胞は、主にアレルギーと炎症性反応に関与する。これらが正常に作用する時、Th2細胞はホコリ及びその他望ましくない物質から身体を保護するが、万一、これら細胞が過度な活性を現わす場合IgE抗体生産が過度に増加して人体に対して通常は抗原性でない蛋白質(例:花粉、食物など)にアレルギー反応を誘発させる。したがって、Th1反応とTh2反応は必ず均衡を維持するべきで、万一、この中で一つが過剰や不足になれば病気が誘発される。また、継続的なストレスによってコルチゾールが持続的に分泌されるとTh1反応が低下してTh2反応が増加することになって、癌、アトピー、アレルギー及び自己免疫疾患が誘発される(非特許文献15)。
【0009】
In vivo実験によると、乳酸菌は、Tリンパ球において、Th1サイトカイン(cytokine)であるIFN-γの産生を刺激するが、Th2サイトカインのIL-4、IL-5産生を抑制する(非特許文献16)。一方IL-12およびIL-18はTh0リンパ球をTh1リンパ球に分化させるのに重要なサイトカインでありマクロファージまたは、樹状細胞で生成される。培養時に脾臟細胞またはマクロファージを乳酸菌で処理すれば、乳酸菌の濃度依存的にIL-12、IL-18およびIFN-αの産生が増加することが知られている。このように乳酸菌は、マクロファージでIL-12、IL-18およびIFN-αの産生を増加させ、從ってTh1細胞への分化を促進して、IFN-γの形成を誘導するので、Th2が優勢な状況でTh1/Th2均衡を合わせる役割を果たす (非特許文献17)。したがって、乳酸菌は、Th2反応過剰によりTh1/Th2不均衡によって誘発される癌、アトピー、アレルギー、および自己免疫疾患のような免疫疾患を予防または治療するのに役に立つことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許公開1998-78358
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Michael and Philippe, Probiotics and prebiotics: Ef fects on diarrhea, The journal of nutrition, Volume 137, March 2007, pages 803S-811S
【非特許文献2】Roberfroid, Prebiotics and probiotics: Are they funct ional foods、American journal of clinical nutrition, Volume 71, June 2000, pages 1682S-1687S
【非特許文献3】McEwen and Fedorka-Cray, Antimicrobial use and resis tance in animals, Clinical infectious Diseases, Volume 34, June 2002, pages S93-S106
【非特許文献4】Fearon DT, Locksley RM, Science 1996, 272:50-53, The instructive role of innate immunity in the acquired immune response
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【非特許文献7】de Vrese et al., 2005; Olivares et al., 2007; West et al., 2008).
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【非特許文献9】Shida et al., 2006; Foligne et al., 2007).
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【非特許文献17】Cross et. al., Anti-allergy properties of fermented foods: an important immunoregulatory mechanism of lactic acid bacteria, International Immunopharmacology, Volume 1, May 2001, pages 891-901).
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【非特許文献19】Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)
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【非特許文献25】Hirano et. al., The effect of Lactobacillus rhamnosus on enterohemorrhagic Escherichia coli infection of human intestinal cells in vitro, Microbiology and Immunology, Volume 47, 2003, pages 405-109)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者は、従来知られている乳酸菌に比べて免疫応答増強の効果が非常に優秀 な新しい乳酸菌を開発するために研究した結果、韓国の伝統発酵食品から新規なラクトバチルス属乳酸菌菌株を分離、同定した。
【0013】
したがって、本発明は、プロバイオティクスとしての基本性質の酸耐性、胆汁酸耐性、腸上皮細胞付着能が優秀なだけでなく、免疫応答増強効果、特にTh1型 サイトカインのIFN-γの分泌を促進してそれによる全般的な免疫細胞の増殖を誘導する効果が優秀なだけでなく、Th2反応過剰によるTh1/Th2不均衡を調節する効果が優秀な新規なラクトバチルス属乳酸菌菌株を提供する。
【0014】
本発明はまた、前記ラクトバチルス属乳酸菌菌株を含む腸疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0015】
本発明はまた、前記ラクトバチルス属乳酸菌菌株を含む免疫増強用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様では、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 243(Lactobacillus plantarum CJLP243)(寄託機関:韓国微生物保存センター、寄託日時:2000.10.14、受託番号:KCCM11045P)を提供する。
【0017】
また、本発明の別の態様では、前記ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を含む腸疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0018】
また、本発明の一態様では、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を含む免疫応答増強用組成物を提供する。
【0019】
以下、本発明の例証的実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
本発明の一態様によるラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantar um CJLP143)は、韓国の伝統発酵食品から分離および同定されたラクトバチルス・プランタラムの新規な菌株である。前記伝統発酵食品には、キムチ 、野菜発酵物、味噌、醤油、清麹醤または塩辛などがあるが、これに限定されることはない。
【0021】
本発明のラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、微生物の同定および分類 のための16S rRNA塩基配列分析の結果ラクトバチルス・プランタラム標準菌株 (L actobacillus plantarum NBRC15891T、GenBank 受託番号AB32635 1)と最も高い相同性(99.9%)を現わしてラクトバチルス・プランタラムと最も 高い分子系統学的関係を示した。したがって、前記微生物をラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)と同定して、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243と命名し、 韓国微生物保存センターに2009年10月14日付で寄 託した(受託番号KCCM11045P)。ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、本明細書に添付された配列表の配列番号1で表される。
【0022】
本発明のラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、クラム陽性菌であり好気 的条件と嫌気的条件で全部成長が可能な通性嫌気性であり胞子を形成せず運動性がなく、細胞の形態は、桿菌状である。ラクトバチルス・プランタラムCJLP243のより具体的な形態および生理学的特性は、本技術分野の通常の方法により分析され、下記の表1に示される。
【表1】


【0023】
本発明のラクトバチルス・プランタラム CJLP243は、長期間安定的に保存す るためには該株を水とグリセロールを混合して作った保管溶液に分配し、該分配物を-70℃で保管したり、または該株を滅菌された10%脱脂乳に懸濁して該懸濁物を凍結乾燥することができる。
【0024】
また、本発明のラクトバチルス・プランタラム CJLP243は、乳酸菌の一般的な効果である整腸および免疫応答増強に効果的なプロバイオティクスである。
【0025】
本発明において、「プロバイオティクス」は、ヒトを含む動物の 胃腸管内で宿主の腸内微生物環境を改善して宿主の健康に有益な影響を与える生きている微生物である。プロバイオティクスは、単一または複合菌株形態でプロバイオティク活性を持って生きている微生物であり、ヒトや動物に乾燥された細胞形態や発酵産物形態で摂取される場合、宿主の腸内菌叢に有 益な影響を及ぼす。該プロバイオティク微生物は、胃液と胆汁に影響されてはならず、胃を通過後腸で生存できなければならず、腸内に定着して生存でき宿主の腸内菌叢に有益な影響を及ぼすべきである。したがって、該プロバイオティク微生物は、酸耐性、胆汁酸耐性および腸上皮細胞に対する強い付着性を持たなければならない。さらに、プロバイオティク微生物は、安定でなければならない。これと関連してゼラチン液化反応検査、フェニルアラニンデアミナーゼ検査、アンモニア生成検査、溶血性実験検査などが遂行される。本発明のラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、優秀な酸耐性、胆汁酸耐性及び腸上皮細胞に対する強い付着性を持つだけでなく(実施例2,3参照)、ゼラチン液化反応検査、フェニルアラニンデアミナーゼ検査およびアンモニア生成検査で陰性を示し、溶血性実験検査では病原性と関係がないと判定されるα-溶血が確認されて安全であることが分かった(実施例4)。
【0026】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は 、酸耐性、胆汁酸耐性および腸皮細胞付着性が非常に優秀であることから、優秀な整腸効果が予想される。
【0027】
したがって、本発明は、他の側面において、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を 含む腸疾患の予防または治療用組成物を提供する。
【0028】
前記本発明にともなう微生物を含む腸疾患の予防または治療用組成物は、ヒト、および牛、馬、豚のような家畜を含む哺乳動物の腸疾患の予防または治療に 利用される。前記'腸疾患'とは腸有害細菌感染および炎症性腸疾患を全部含み 、例えば病原性微生物(大腸菌、サルモネラ、クロストリジウムなど)による感染性下痢、胃腸炎、炎症性腸疾患、神経性腸炎症候群、小腸微生物過成長症、下痢などを含むが、これに限定されることはない。前記腸疾患治療用組 成物に含まれるラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、生菌体または死菌体として存在することができるが、生菌体として存在することが好ましい。一般的に生菌体は、腸内細菌叢の異常発酵によって引き起こされる諸症状を治療して改善する効果があってヒトおよび動物に投与すれば腸内の消化管壁に定着して有害菌が定着できないようにする作用をしながら、乳酸を生成して腸内のpHを低くして有害細菌が増殖できないようにする。また、投与された生菌体は、バクテリオシンと過酸化物を生成して病原菌の増殖を抑制して栄養分の吸収を担当する腸絨毛の活動を助ける。この他にも生菌体は、栄養素の吸収と利用を助ける物質を生成して、動物において飼料要求率を改善させて、病原菌が生成する毒性物質を中和する物質を生成したりもする。
【0029】
前記本発明の腸疾患の予防または治療用組成物の投与方法は、特に限定されることはないか、経口で投与することが好ましい。投与量は、腸疾患の種類、疾患の程度、年齢、性別、人種、治療または予防目的などにより変わるが、一般的に成人を基準として一日に1千万細胞〜1000億細胞を投与することができる。
【0030】
また、本発明のラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、整腸効果その他 にも従来の乳酸菌に比べて顕著に優秀な免疫応答増強効果を持つ。ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、特にTh1型サイトカインのIFN-γの分泌を促進してTh1型の免疫応答増強を誘導できる。以下、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の免疫応答増強効果に対してより具体的に説明する。
【0031】
マウスの脾臟細胞から分離した免疫細胞に、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を処理したところ、Th2応答により誘導される一般的な免疫細胞の増殖を活性化し(実施例5)、Th1型サイトカインであるIFN-γの分泌を増加させた(実施例6)。このような免疫細胞増殖の活性化およびTh1型免疫反応の増強効果は、Lactobacillus rhamnosus GG(KCTC 5033)などの他の典型的な乳酸菌に比べて顕著に優秀なことが確認された。また、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243をマウスに8週間経口投与した後、Th1型サイトカインであるIFN-γおよびIL-2の分泌が増加し、T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞の増殖が皆増加したことが示された。したがって、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243はIFN-γを多量に分泌しTh1型反応を促進することによって全般的な免疫増進効果があるだけでなく、Th1/Th2不均衡を調節する。
【0032】
全般的な免疫細胞の増加、特にCD4 T細胞およびCD-8 T細胞を含んだT-細胞の増加は免疫力を増加させて消化器(腸内)感染、泌尿生殖器感染、呼吸器感染、ヘリコバクター感染、またはアレルギー反応の予防または、治療に効果があることが知られている[消化器(腸内)感染;非特許文献10、泌尿生殖器感染;非特許文献11、呼吸器感染;非特許文献12、またはヘリコバクター感染;非特許文献13およびアレルギー反応;非特許文献14)]。したがって、実験結果は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243がT-細胞増殖活性化によって全般的な免疫力増進によって消化器(腸内)感染、泌尿生殖器感染、呼吸器感染、ヘリコバクタ感染、または、アレルギー反応の予防または、治療にも効果があることを示す。
【0033】
最近、アトピー皮膚炎患者の末消血液と皮膚病変にはTh2細胞が相対的に増加することが報告された(非特許文献18)。したがって、Th2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡はアトピーのような疾患を誘発する。また、上述したとおり、Th1反応とTh2反応の中の一つが過剰や他の一つが不足すれば疾病が惹起されて、Th1反応が低下しTh2反応が増加すると、癌、アトピー、アレルギー、および自己免疫疾患が惹起されることが知られている(非特許文献15)。したがって、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243はTh1型反応促進によってTh1/Th2の不均衡を調節することによって、アトピー、アレルギーのような疾病に対して効果的に作用することができることを期待できるだけでなく、癌および自己免疫疾患の予防または、治療にも効果があることが期待される。
【0034】
本発明は、他の態様において、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を含む免疫応答増強用組成物を提供する。ラクトバチルス・プランタラムCJLP243が上記に説明したように免疫応答増強作用効果を有する乳酸菌であることから、該免疫応答増強用組成物は免疫応答増強効果がある。特に、下記実施例で立証されるとおり、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243はT-細胞を含んだ全般的な免疫細胞の増殖を活性化する効果を有し、したがって該免疫応答増強用組成物は、消化器(腸内)感染、泌尿生殖器感染、呼吸器感染、ヘリコバクタ感染、およびアレルギー反応の予防または、治療に効果がある。また、下記実施例で立証されるとおり、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243はTh1反応の促進効果を有しTh2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡を調節する効果があることから、該免疫応答増強用組成物は、Th1/Th2の不均衡により誘発される疾患の予防または治療に効果がある。したがって、該免疫応答増強用組成物は、アトピー、アレルギー、癌および自己免疫疾患の予防または治療に効果的に使われうる。前記自己免疫疾患は喘息、枯草熱などを含むが、これに限定されることはない。
【0035】
前記本発明の免疫応答増強用組成物の投与方法は、特別に限定されるものではないか、経口で投与することが好ましい。投与量は、免疫応答増強が必要な疾患の種類、疾患の程度、年齢、性別、人種、治療または予防目的などにより変わるが、一般的に成人に対して一日に1千万細胞〜1000億細胞を投与することができる。
【0036】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を含む、腸疾患の予防または治療用組成物および
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243を含む免疫応答増強用組成物は、安全性が立証された乳酸菌を使用し、したがって、副作用などの憂慮なしで医薬品、食品、化粧品、飼料、または飼料添加剤として利用することができる。
【0037】
前記組成物が医薬品として利用される場合には、当該技術分野に知られている通常の薬剤学的剤形で製剤化されることができる。前記医薬品は、好ましくは経口剤形に製剤化することができ、例えば液剤、懸濁液剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤またはエキス剤のような経口投与用剤形で製剤化されることができる。
【0038】
組成物を製剤化するに当たり、製剤に薬剤学的に許容可能な賦形剤または添加剤を添加することができる。経口投与用のための製剤は賦形剤として、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩解剤、甘味剤、安定剤および防腐剤からなる群より選択される1以上を含んでもよく、添加剤として香味剤、ビタミン類および抗酸化剤からなる群より選択される少なくとも1以上を含んでもよい。
【0039】
前記賦形剤および添加剤は、任意の薬剤学的に許容可能な材料のものであってもよい。具体的には、希釈剤は乳糖、とうもろこし澱粉、大豆油、微晶質セルロース、またはマンニトールであってもよく、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムまたはタルクであってもよく、結合剤はポルリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルセルロースであってもよい。また、崩解剤はカルボキシメチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ポラクリリンカリウムまたはクロスポビドンであってもよく、甘味剤は白糖、果糖、ソルビトール、または、アスパルテームであってもよく、安定剤はカルボキシメチルセルロースナトリム、β-シクルロデキストリン、白斑、またはキサンタンゴムであってもよく、防腐剤はパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、または、ソルビン酸カリウムであってもよい。
【0040】
また、前記成分の他にも公知の添加剤として味覚を改善するために、梅の実 香り、レモン香り、パイナップル香り、ハーブ香りなどの天然香料、天然果汁 、クロロフィリン、フラボノイドなどの天然色素、果糖、蜂蜜、糖アルコール 、砂糖などの甘美成分、または、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの酸味剤、またはこれらの混合物を製剤に添加することができる。
【0041】
このような製剤化方法および製剤化時の賦形剤および添加剤は非特許文献19に詳細に記載されている。
【0042】
前記組成物は、食品として利用することもできる。前記食 品は健康機能食品それだけでなく、毎日摂取する一般的な食品を含む。健康機能食品として利用される場合、食品学的に許容可能な賦形剤または添加剤とともに当該技術分野で知られている通常の健康機能食品の剤形で製剤化されることができる。前記健康機能食品は、例えば酸剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ剤、液剤、エキス剤、茶、ジェリー、または飲み物などで製造されることができる。前記食品学的に許容可能な賦形剤または添加剤は、製造しようと思う剤形の製造に当該技術分野で使用可能になることが知られている任意の賦形剤または添加剤が利用されることができる。
【0043】
前記組成物は、アトピーの予防または治療効果を有することから、化粧品として利用されうる。前記組成物が化粧品として利用される場合には当該化粧品技術分野で知られている通常の剤形の多様な化粧品で製造されることができる。製剤の調製時に、化粧品の製造に許容可能な賦形剤または添加剤を製剤に添加することができる。
【0044】
前記組成物は、飼料添加剤または、飼料として利用される ことができる。
【0045】
飼料添加剤として利用される場合、前記組成物は、20ないし90%の高濃縮液や粉末または顆粒形態で製造されることができる。前記飼料添加剤は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸や燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、酸性ピロ燐酸塩、 ポリ燐酸塩(重合燐酸塩)等の燐酸塩や、ポリフェノール、カテキン、α-トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草抽出物、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤の一つまたは一つ以上を追加で含むことができる。飼料として利用される場合、前記組成物は、通常の飼料形態で製剤化されるし、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0046】
前記飼料添加剤および飼料は、穀物、例をあげれば粉砕または破砕されたコムギ、 燕麦、麦、とうもろこしおよび米;植物性蛋白質飼料、例をあげればアブラナ、豆、およびひまわりを主成分とする飼料;動物性蛋白質飼料、例をあ げれば血分、肉粉、 骨粉および魚分;糖分および乳製品、例をあげれば各種 粉乳および乳状粉末で成り立つ乾燥成分などをさらに含むことができる。飼料添加剤および飼料は、その他にも栄養補充剤、消化および吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0047】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり食用賦形剤中で他の飼料添加剤と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとしてまたはこれらを動物飼料に直接混合したりまたは飼料と別途の経口剤形で容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料と別に投与する場合、当該技術分野に良く知られたとおり薬剤学的に許容可能な食用賦形剤と組み合わせて、直ちに放出または徐放性剤形で製造することができる。このような食用賦形剤は、固体または液体、例えばとうもろこし澱粉、ラクトース、スクロース、豆フレーク、落花生油、オリーブ油、胡麻油およびプロピレングリコールでありうる。固体賦形剤が使われる場合、飼料添加剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤または含糖錠剤または、未分散性形態のトップドレッシングでありうる。液体賦形剤が使われる場合、飼料添加剤は、ゼラチン軟質カプセル剤、またはシロップ剤や懸濁液剤、エマルジョン剤、または溶液剤の剤形でありうる。
【0048】
前記飼料は、動物の食餌欲求を充足させるのに通常的に使われる任意の蛋白 質-含有有機穀粉を含むことができる。このような蛋白質-含有穀粉は、通常的 にとうもろこし、豆穀粉、またはとうもろこし/豆穀粉ミックスで主に構成されている。
【0049】
また、前記飼料添加剤および飼料は、補助剤、例えば保存剤、安定化剤、湿 潤剤または乳化剤、可溶化剤などを含有することができる。前記飼料添加剤 は、浸透、噴霧または、混合して動物の飼料に添加して利用されることができる。
【0050】
本発明の飼料または飼料添加剤は、哺乳類、家禽および魚類を含む多数の動物食餌に適用することができる。前記哺乳類として豚、牛、羊、ヤギ、実験用 齧齒動物および実験用齧齒動物、愛玩動物(例:犬、猫)等が挙げられる。前記家禽類として鶏、七面鳥、鴨、ガチョウ、キジおよびウズラなどが挙げられ、前記魚類には鱒などが含まれる。しかしながら、飼料はこれに限定されない。
【発明の効果】
【0051】
上述したとおり、本発明にともなう新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、プロバイオティクスであり、非常に優秀な酸耐性、胆汁酸耐性および腸上皮細胞付着性を有し、したがって腸疾患の緩和に効果がある。さらに、T細胞を含む一般的な免疫細胞の増殖促進に起因する免疫増強効果のため、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は種々の疾患の予防または治療に効果がある。とりわけ、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243はTh1応答を促進し、したがってTh2反応過剰によるTh1/Th2の不均衡を調節するのに効果的である。したがって、本発明の新規乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、腸疾患治療用組成物および免疫応答増強用組成物として利用されうる。
【0052】
本発明の上記および他の構成と効果は、図面を参照しつつ例示的な実施例においてより詳細に説明することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の酸耐性実験結果を示すグラフである。
【図2】図2は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の胆汁酸耐性実験結果を示すグラフである。
【図3】図3は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の腸上皮細胞付着能実験結果を示すグラフである。
【図4】図4は、マウスで摘出後ex vivo上で培養した脾臟細胞にラクトバチルス・プランタラムCJLP243を処理した後MTT分析を施行した結果を主要分裂促進物質処理群、β-グルカン処理群、Lactobacillus rhamnosus GG処理群と比較して示すグラフである。
【図5】図5は、マウスで摘出後ex vivo上で培養した脾臟細胞にラクトバチルス・プランタラムCJLP243を処理した後IFN-γ分析を施行した結果を主要分裂促進物質処理群、β-グルカン処理群、Lactobacillus rhamnosus GG処理群と比較して示すグラフである。
【図6】図6は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 243菌株を経口投与後急殺直前のマウスの体重を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【図7】図7は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスを急殺後摘出した脾臟の免疫細胞に対するラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の影響を確認するためにT細胞集団の変化を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GGと比較して示すグラフである。
【図8】図8は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスを急殺後摘出した脾臟の免疫細胞に対するラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の影響を確認するためにCD4 T細胞集団の変化を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG 投与群と比較して示すグラフである。
【図9】図9は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスを急殺後摘出した脾臟の免疫細胞に対するラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の影響を確認するためにCD8 T細胞集団の変化を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG 投与群と比較して示すグラフである。
【図10】図10は、T細胞活性化にラクトバチルス・プランタラムCJLP243が及ぼす影響を確認するために、乳酸菌経口投与後マウス急殺後摘出した脾臟細胞をex vivoにてConAで刺激したT細胞のIL-2を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【図11】図11は、T細胞活性化にラクトバチルス・プランタラムCJLP243が及ぼす影響を確認するために、乳酸菌経口投与後マウス急殺後摘出した脾臟細胞をex vivoにてConAで刺激したT細胞のIFN-γを測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明を下記実施例によってより一層具体的に説明する。しかし、これら実施例は本発明の目的と範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0055】
実施例1:ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の分離および同定
キムチから分離したラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を1.5%寒天が含まれたMRS固体培地(Difco、USA)に塗抹して37℃で24時間培養した。純粋分離したことが確認された集落を白金耳で取ってMRS液体培地(Difco、USA)で37℃で18-24時間培養した。
【0056】
その次に、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の形態および生理学 的特性をKimなど(非特許文献20)の方法とAPI50CH およびAPI50CHLキット (バイオメリオ社製品)を使って測定した。その結果確認されたCJLP243菌株の形態および生理学的特性を前記表1 に整理した。
【0057】
また、乳酸菌同定および分類のための16S rRNA遺伝子の塩基配列を分析した 。16S rRNA遺伝子の塩基配列決定および分析は、Kimなど(非特許文献21)の方法を用いて行った。その結果確認されたラクトバチルス・プランタラムCJLP243の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、後記配列表に記載した(配列番号1)。
【0058】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株は、16S rRNA塩基配列分析の結 果、ラクトバチルス・プランタラム標準菌株(Lactobacillus plantarum NBRC 15891T、GenBank受託番号AB326351)と最も高い相同性(99.9%)を有し、同定し、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243と命名し、韓国微生物保護センターに2009年10月14日付で寄託した(受託番号KCCM11045P)。
【0059】
実施例2: ラクトバチルス・プランタラムCJLP133菌株の人工胃液での酸耐性実験および人工胆汁での胆汁酸耐性実験
人工胃液での酸耐性実験は、Kobayashiなど(非特許文献22)の実験を変形し て製造した人工胃液を使って行った。具体的に人工胃液は、MRS液体培地を1N HClでpH 2.5になるように調整し、ペブシンを1000 ユニット/mlになるよう に添加した後滅菌して製造した。
【0060】
前記実施例1で分離および同定されたラクトバチルス・プランタラムCJLP243をMRS液体培地で37℃、18時間の間培養した菌体を遠心分離して菌株を沈殿させ、滅菌食塩水(0.85%NaCl)で2回洗浄した。その後菌体懸濁液を対照培地と人工胃液に各々約107cfu/ml水準で接種し、37℃で培養しながら接種から0および3時間後に生存菌数を測定した。総菌数は、KH2PO4、Na2HPO、L-システイン、HCl、Tween80等が含まれた燐酸緩衝液(pH6.8)で10倍に希釈して測定した。
【0061】
人工胆汁での胆汁酸耐性実験は、Caseyなど(非特許文献23)の方法により行っ た。前記酸耐性評価で使われたMRS液体培地に雄牛胆汁を0.3%添加することにより調整した培地中でラクトバチルス・プランタラムCJLP243をインキュベートした。
【0062】
前記酸耐性評価方法と同じ方法で、乳酸菌を接種し、接種の開始時、12時間後、および24時間後に生存菌数を測定した。
【0063】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の試験におけるのと同様に、Lactobacillus rhamnosus GG(KCTC 5033)の酸耐性評価および胆汁酸耐性評価も比較のために遂行した。
【0064】
その結果を図1および図2に示した。図1はラクトバチルス・プランタラムCJLP243の酸耐性実験結果を示したグラフである。図2はラクトバチルス・プランタラムCJLP243の胆汁酸耐性実験結果を示したグラフである。
【0065】
図1および図2の結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、比較実験した他の乳酸菌に比べて同等以上の酸耐性および胆汁酸耐性を持つことが明らかになった。これは本発明の新規菌株が体内で胃液の影響を受けないで腸まで到達することができ、腸内で胆汁の影響を受けないで生存できることを示す。
【0066】
実施例3:ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の腸上皮細胞に対する付着能実験
腸上皮細胞付着能試験のための動物細胞としてHT-29を韓国細胞株銀行(KCLB)で譲り受けて使い、実験方法は、キムら(非特許文献24)およびHiranoら(非特許文献25)の方法を使った。
【0067】
HT-29細胞は、熱不活性化された10%牛胎児血清(FBS)、1% L-グルタミン、ペニシリンG (100IU/mL)、そしてストレプトマイシン(100 mg/mL)が添加されたRPMI1640 (Gibco、USA)培地を利用して5% CO2存在下で37℃で培養させた。付着能実験と付着抑制能実験のためにHT-29細胞は、ウェル当たり1.0×105細胞/mLの数になるように24ウェル-プレートに播いた。隔日で培地を交換して完全に単一層を形成するまで培養した。完全単一層を形成したHT-29細胞は、25℃のPBS緩衝溶液を利用して5回洗浄して抗生剤が添加されなかったRPMI1640培地0.5 mLを添加した。
【0068】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、各々約1.0×109 cfu/mLの濃度になるようにRPMIに懸濁した後前記ウェルプレートに接種して5% CO2存在下 で37℃で2時間インキュベートした。インキュベートが完了した後付着しなかった乳酸菌の除去と洗浄にともなう付着能力を確認するために、3分間200rpmの速度で攪拌しながらPBS緩衝溶液を使って3回洗浄を実施した。洗浄が完了した 後0.2%トリプシン-EDTAを加えてて付着している細胞を引き離してペプトン水を利用して連続希釈法でMRS-寒天に平板塗抹して37℃で24 時間の間培養した。培養後、菌数を測定した。
【0069】
これとは別に、部分的な付着を確認するために70%アルコールに一日程度漬けて完全殺菌されたカバーグラスをペットリ皿底に載せた後HT-29細胞をインキュベートし、上と同量の乳酸菌を添加し上記と同様に培養し洗浄した。洗浄によって洗い流されないでHT-29細胞に付着したままの乳酸菌株は、乾燥した後Gram染色を用いて染色した。染色された細菌を光学顕微鏡で観察し、菌の数を測定した。Lactobaillus rhamnosus GG(KCTC 5033)に対しても同様の実験を遂行した。
【0070】
その結果を図3に示した。図3は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の腸上皮細胞付着能実験結果を示すグラフである。
【0071】
図3の結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、プロバイオティクス菌株として商業的に良く知られたLactobacillus rhamnosusGG(KCTC 5033)と比較して24時間経過後腸上皮細胞付着能がより優秀であった。この結果によると、本発明の一態様に係るラクトバチルス・プランタラムCJLP243は腸上皮細胞に付着する能力を有し、それにより腸内環境を改善できる。
【0072】
実施例4:ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株の安全性評価
前記実施例1で分離した菌株の安全性を評価するために韓国バイオベンチャー協会団体標準で提示した安全性評価試験法により溶血現象検査、ゼラチン液化反応検査、有害代謝産物(アンモニア)生成確認、フェニルアラニンデアミナーゼ検査を遂行した。
【0073】
その結果を下記表2に示した。
【表2】

【0074】
前記結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP243)は、ゼラチン液化反応、有害代謝産物(アンモニア)生成、フェニルアラニンデアミナーゼ生成に対して陰性であり、溶血現象検査では病原性と関係がないと判定されるα-溶血が確認された。したがって、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、人体に安全に投与できることが証明された。
【0075】
実施例5: ex vivo実験を通したマウス免疫細胞の増殖
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP 243)菌株の免疫応答増強力を確認するためにマウス免疫細胞の増殖をMTTアッセイで測定した。MTTアッセイは、MTTアッセイキット(promega社、カタログ番号G5430)製造会社の指針により次のとおり遂行した。まずB6マウスの脾臟細胞で赤血球を除去した免疫細胞を分離後10%牛胎児血清を含有したRPMI 1640培地に細胞数を合わせた。その後免疫細胞を96ウェル-プレートに1 x 106 細胞/ウェル(総体積200μl)で接種した。免疫細胞の接種完了後、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP 243)生菌(5 x 106 CFU/ml)を入れてCO2培養器で5% CO2、37℃で3日間培養した。3日後MTTアッセイを準備するためにMTTアッセイの1時間前に100μlの培地を除去した。このMTT溶液(2 mg/ml)を各ウェルに20μlずつ分柱し、37℃で1時間培養を実施した。その後ELISAリーダー(Molecular device、USA)を利用して490nmで吸光度を測定した。この実験を最小3回以上繰り返した。陽性対照群は主要分裂促進物質のコンカナバリンA (con A;Sigma社カタログ番号L6397) 、フィトヘマグルチニン(PHA;Sigma社カタログ番号L8902)、リポポリサッカライド(LPS;Sigma社カタログ番号L4516)を各々10 μg/mlを使った。また、純度99%β-グルカンをSigma Chemical(カタログ番号G 5011、USA)で購入して最終濃度1.25 mgで使って免疫応答増強能力を比較した。その結果を図4に示した。
【0076】
図4は、マウスで摘出後ex vivo上で培養した脾臟免疫細胞にラクトバチルス・プランタラムCJLP243を処理した後MTTアッセイを施行した結果である。
【0077】
図4の結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、陽性対照群 の主要分裂促進物質、β-グルカンおよびLactobacillus rhamnosus GG (KCTC 5033)に比べて脾臟細胞の増殖を活性化する能力が優れており、免疫増強を誘導できることが確認された。
【0078】
実施例6: サイトカインアッセイを利用したIFN-γ産生能
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の外部抗原に対する免疫増進力を確認するためにTh1型サイトカインのIFN-γの分泌能をELISAアッセイで確認した。まずB6マウスの脾臟細胞で赤血球を除去することにより取得した免疫細胞を10%牛胎児血清を含有するRPMI1640培地に希釈した。その後免疫細胞 を96ウェル-プレートに1 x 106 細胞/ウェル(総体積200μl)で接種した。免疫細胞の接種完了後、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243生菌(5 x 106 CFU/ml)を各ウェルに入れCO2インキュベーターで5% CO2、37℃の条件で3日間培養した。3日後培養液50μlを分注して培養液に含有されたIFN-γの量をELISAアッセイで測定した。ELISAアッセイを遂行するためにIFN-γ抗体(BD Biosceince、カタログ番号554409)をELISAプレートに4時 間程度室温でコーティングした後、培養液50μlを添加して室温で培養させた。その後培養液を除去して、2次抗体のビオチン化IFN-γ抗体 (BD Biosciences、カタログ番号554410)を室温で2時間程度コーティングした。 発色反応は、ストレプトアビジン-コンジュゲート化セイヨウワサビペルオキシダーゼ (vector社、カタログ番号SA-5004)とその基質のTMB (3,3'、5,5'-テトラメチルベンジジン、KPL 、カタログ番号50-76-03)により誘導した。発色反応が進行された後、発色反応を止めるために100μl停止溶液(3 M HCl)をプレートに添加した。この時発色反応は、青色から黄色に変化し、発色反応が止まった後ELISAリーダー (Molecular device、USA)を利用して450 nmで吸光度を測定した。この実験は最小3回以上繰り返して実施した。この手法で使われた陽性対照群は主要分裂促進物質のコンカナバリンA(con A; Sigmaカタログ番号L6397)、フィトヘマグルチニン(PHA)、リポポリサッカライド(LPS)であり各々10μg/mlを使った。また、純度99%β-グルカンをSigma Chemical(カタログ番号G 5011、USA)で購入して最終濃度 1.25 mgで使って免疫応答増強能力を比較した。その結果を図5に示した。
【0079】
図5は、マウスで摘出後ex vivo上で培養した脾臟免疫細胞にラクトバチルス・プランタラムCJLP243を処理した後IFN-γの分析を施行した結果である。
【0080】
図5によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、IFN-γ生成に関して陽 性対照群の主要分裂促進物質よりは弱いが、Lactobacillus rhamnosus GG (KCTC 5033)に比べて顕著に優秀なことが確認され、Th1型の免疫増強を誘導できることが確認された。
【0081】
実施例7: ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP243)株の経口投与時の免疫増強力
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243の経口投与時における免疫増強力確認のために次のとおり実験を進行した。
【0082】
4週齢の雌Balb/cマウスを購入して室内温度 24±2℃、湿度55±15%が維持されるSPF環境の動物飼育室で1週間安定化した 。飼料は、いくつかの抗生剤が添加された一般的な粉末飼料を供給し、水は随時摂取できるようにした。陽性対照群Lactobacillus rhamnosus GGと Lac tobacillus plantarum CJLP 243を凍結乾燥粉末形態に加工し冷蔵保管した。各乳酸菌を取った後粉末飼料に均一に混合し、2.5 x 1010CFU/日/マウスの用量にてマウスに経口投与した。給餌の中8週間にわたり各マウスの体重を測定して次の実験のために全匹急殺した。
【0083】
急殺されたすべてのマウスから脾臟を摘出し、その長さと重さを測定した。脾臓はシリンジのプランジャーを使用して破砕し、メッシュを通して濾過することにより細胞を分離し、これらの工程はACKバッファーで行った。分離した細胞は顕微鏡で細胞数を測定した。
【0084】
前記の分離した脾臓細胞における免疫細胞の組成変化を確認するために、分離した細胞中のT細胞を抗Thy1.2-FITC抗体で、B細胞を抗CD19-FITC抗体で、染色した。CD T細胞は抗Thy1.2-FITC抗体と抗CD4-PE抗体で、CD8細胞は抗Thy1.2-FITC抗体と抗CD8-PE抗体で染色した。各組織中の染色された細胞はFACScan(BD Biosiences、米国)を用いて組成比率を分析した。
【0085】
前記の分離した脾臟細胞にConAを5μg/ml濃度で処理してTリンパ球を刺激した。24時間後上層液を取って、Tリンパ球サイトカインのIFN-γおよびIL-2の濃度をELISA方法で測定した。マイクロプレートをIFN-γ(BD Biosciences、米国)、IL-2(BD Bios ciences)キャプチャ抗体で4℃で一晩中コーティングした 後0.05% Tween20が含まれたPBS (PBS-T)で洗浄して、3%牛胎児血清(BSA)が含まれたPBSでブロッキングした。1時間後洗浄して上層液と標準液(BD Biosciences社提供標準溶液)をウェルに入れて4℃で一晩中反応させた。次いで、マイクロプレートを洗浄後ビオチン化抗体を各ウェルに入れて室温で45分の間反応させた。続いてマイクロプレートを洗浄してストレプトアビジン-アルカリホスファターゼを各ウェルに入れ、室温で30分間培養した。マイクロプレートを洗浄後、各ウェルに基質p-ニトロフェニルホスフェート (Sigma、米国)溶液を入れて発色させた。吸光度はマイクロプレートリーダーの405 nm波長で測定し、サイトカインの濃度は標準検量曲線を用いて計算した。
【0086】
測定されたそれぞれの結果を図6、図7、図8、図9、図10、図11に示した。
【0087】
図 6は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスの、急殺直前の体重を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG 投与群と比較して示すグラフである。
【0088】
図6の結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243は、正常飼育 状態で過度な免疫応答増強による異常なしに正常な体重を維持できることが確認され、その他脾臟重さ、細胞数にも異常は観察されなかった(データ未図示)。
【0089】
図7は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスを 急殺後摘出した脾臟の免疫細胞に対するラクトバチルス・プランタラムCJLP243株の影響を確認するためにT細胞集団の変化を測定した結果を陰性対照群およびLactobacillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【0090】
図8は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスを急殺後摘出した脾臟の免疫細胞に対するラクトバチルス・プランタラムCJLP243株の影響を確認するためにCD4 T細胞集団の変化を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【0091】
図9は、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243菌株を経口投与したマウスを 急殺後摘出した脾臟の免疫細胞に対する影響を確認するためにCD8 T細胞集団 の変化を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG 投与群と比 較して示すグラフである。
【0092】
図7、図8および図9の結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 243はT細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞の細胞数を増加させることが確認され、したがってラクトバチルス・プランタラムCJLP 243がT細胞増殖の活性化に影響を与えることで免疫を増強させることを分かった。
【0093】
また、T細胞の活性化にラクトバチルス・プランタラムCJLP 243が及ぼす影響を確認するために、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 243株を経口投与したマウスを急殺した後摘出した脾臟から取得し、次いでex vivoでConA刺激した脾臓細胞由来のT細胞により産生されるIL-2およびIFN-γの量をELISA法で確認した。得られた結果を図10および図11に示した。
【0094】
図10は、T細胞活性化にラクトバチルス・プランタラムCJLP243が及ぼす影響を確認するために、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 243株を経口投与したマウスを急殺後、摘出した脾臟から取得し、次いでex vivoでConA刺激したT細胞により産生されるIL-2の量を測定した結果を陰性対照群、Lactob acillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【0095】
図11は、T細胞活性化にラクトバチルス・プランタラムCJLP243が及ぼす影響を確認するために、ラクトバチルス・プランタラムCJLP 243株を経口投与したマウスを急殺後、摘出した脾臟から取得し、次いでex vivoでConAで刺激したT細胞により産生されるIFN-γの量を測定した結果を陰性対照群、Lactobacillus rhamnosus GG投与群と比較して示すグラフである。
【0096】
図10および11の結果によれば、ラクトバチルス・プランタラムCJLP243株は陰性対照群に比べてT細胞のサイトカイン生成を増加させ、これを通じてT細胞の活性を誘導でき全般的な免疫を増強できることが分かった。
【0097】
実施例8: ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP243)を含むプロバイオティクス粉末の製造
前記実施例1で同定されたラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP243)を医薬品、食品、飼料、飼料添加剤、または、化粧品の原料に適用するために大量生産してこれを凍結乾燥してプロバイオティクスを製造した。
【0098】
菌の生産のためにMRS液体培地(Difco)で25% NaOH溶液を使ってpHを6.0に調節しながら37℃で約18時間インキュベートして遠心分離を遂行して菌体を取得した。回収した菌体はデキストリン5%と脱脂粉乳10%を凍結保護剤として使って-40℃で凍結後、乾燥した菌体をミキサーで37℃で砕いて粉末を調製した。粉末化した生菌剤は所望のレベルの菌数に調整して保管するために、適当量の葡萄糖、乳糖、 脱脂粉乳などの賦形剤と混合し、密封アルミニウムパウチに入れて包装した。
【0099】
このように製造された生菌剤は飼料に原料で使われる穀物粉と混合したり、 錠剤、カプセルなどの医薬品の賦形剤または添加剤などと混合したり、化粧品に使われる原料と混合したりして、医薬品、食品、飼料、化粧品など多様な分野に当該技術分野で通常の方法により活用することができる。
【0100】
本発明を例示的な実施形態を参照して具体的に示し説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の形態および詳細について種々の変更を加えることができる、と当業者であれば理解する。
【0101】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarum CJLP 243) KCCM 11045P。
【請求項2】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarumCJLP 243) (KCCM11045P)を含む腸疾患の予防または治療用組成物。
【請求項3】
ラクトバチルス・プランタラムCJLP243(Lactobacillus plantarumCJLP 243) (KCCM11045P)を含む免疫応答増強用組成物。
【請求項4】
消化器(腸内)感染、呼吸器感染、ヘリコバクター感染およびアレルギー反応からなる群より選択される免疫疾患の予防または治療用の、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
Th2反応過剰によるTh1/Th2不均衡により誘発される免疫疾患の予防または治療用の請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記免疫疾患は、アレルギー性疾患、アトピー性疾患、癌および自己免疫疾患からなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が医薬品である請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が機能性食品である請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物 。
【請求項9】
組成物が飼料または飼料添加剤である請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が化粧品である請求項2から6のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−509176(P2013−509176A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536674(P2012−536674)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007431
【国際公開番号】WO2011/052996
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(507421681)シージェイ チェイルジェダン コーポレーション (24)
【Fターム(参考)】