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新規なリン含有ポリカーボネート樹脂及びその組成物、並びにそれらの製造方法
説明

新規なリン含有ポリカーボネート樹脂及びその組成物、並びにそれらの製造方法

【課題】組成物に使用したときにブリードアウトを抑制することができ、更に耐加水分解性と難燃性のバランスに優れたリン含有ポリカーボネート樹脂、及びこのリン含有ポリカーボネート樹脂を含む組成物を提供する。
【解決手段】下記式(A)で示される構造の繰り返し単位と特定な繰り返し単位を有するリン含有ポリカーボネート樹脂、及びこれを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリン原子を含有する新規なリン含有ポリカーボネート樹脂及びその組成物、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は機械的・熱的特性に優れており、例えば、自動車分野、OA機器分野、電子・電気分野等で工業的に広く利用されている。近年、これらの分野では、材料に難燃性が要求されるようになってきており、使用される樹脂についてもさまざまな難燃化の検討がなされている。
【0003】
これまで、高い難燃性を示す樹脂材料を得る方法として、ハロゲン原子を含有した化合物を汎用の樹脂材料に添加する方法が広く用いられてきた。しかしながら、このような含ハロゲン系樹脂材料は、燃焼時に人体に有害な物質を発生させる場合があり問題となることがある。
【0004】
そこで、ハロゲン以外の原子を含む化合物、特に、リン酸エステル化合物や含リン系のオリゴマーなど含リン系化合物を用いた難燃化についての検討が多く報告されてきている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、リン酸エステル化合物は、加水分解を受け易いことが知られており、使用する材料分野によってはその加水分解性が問題となる場合がある。また、リン系難燃剤を樹脂中へ多く配合した場合、製品からリン系難燃剤がブリードアウトして表面に析出したり、あるいは樹脂中でリン系難燃剤が凝集したりするため、難燃性以外の物性を低下させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−32154号公報
【特許文献2】特開平2−115262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、リン原子を骨格中に組み込んだモノマーを使用することで、組成物に使用したときに前記ブリードアウトを抑制することができ、更に耐加水分解性と難燃性のバランスに優れたリン含有ポリカーボネート樹脂、及びこのリン含有ポリカーボネート樹脂を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対し、本願発明者は鋭意検討を行い、
[1]式(A)で示される構造の繰り返し単位と式(B)で示される構造の繰り返し単位とを有する新規なリン含有ポリカーボネート樹脂により、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、p、q、r及びsは、ベンゼン環上のR、R、R及びRの個数をそれぞれ示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【0012】
【化3】

【0013】
[式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示し、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。])
【0014】
更に、上記課題は、以下の[2]〜[7]の発明によっても解決される。
[2]式(B)で示される構造の繰り返し単位が、式(B−1)〜(B−8)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂。
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【0017】
[3]式(B)で示される構造の繰り返し単位が、式(B−6)及び(B−7)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂。
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【0020】
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂と、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、内部滑剤、帯電防止剤、着色剤、及びドリップ防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを含む、リン含有ポリカーボネート樹脂組成物。
【0021】
[5]金属触媒存在下、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物、式(2)で示されるジオール化合物、及び式(3)で示されるカルボニル化合物を反応させることを含む、リン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、p、q、r及びsは、ベンゼン環上のR、R、R及びRの個数をそれぞれ示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0024】
【化7】

【0025】
(式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【0026】
【化8】

【0027】
[式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示し、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。])
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、R及びRはそれぞれ、塩素原子、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。)
【0030】
[6]式(2)で示されるジオール化合物が、式(2−1)〜(2−8)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール化合物である、[5]に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【0031】
【化10】

【0032】
(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【0033】
[7]式(2)で示されるジオール化合物が、式(2−6)及び式(2−7)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【0034】
【化11】

【0035】
(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、従来よりも耐加水分解性と難燃性のバランスの優れたリン含有ポリカーボネート樹脂及びその組成物を提供することができる。また、本発明によれば、難燃性成分の組成物からのブリードアウトを抑制することができる。
【0037】
また、本発明により得られる新規なリン含有ポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、例えば、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、内部滑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、ドリップ防止剤等の添加剤を配合してリン含有ポリカーボネート樹脂組成物とすることで、例えば、自動車分野、OA機器分野、電子・電気分野で工業的に広く利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<リン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂は、
金属触媒存在下、式(1):
【0039】
【化12】

【0040】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、p、q、r及びsは、ベンゼン環上のR、R、R及びRの個数をそれぞれ示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
で示されるリン含有ジフェノール化合物、少なくとも1種の式(2):
【0041】
【化13】

【0042】
(式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【0043】
【化14】

【0044】
[式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示し、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。])
で示されるジオール化合物、及び少なくとも1種の式(3):
【0045】
【化15】

【0046】
(式中、R及びRはそれぞれ、塩素原子、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。)
で示されるカルボニル化合物を反応させることを含む、リン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法により合成される。
【0047】
<式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物>
次に、合成原料として使用される、式(1):
【0048】
【化16】

【0049】
(式中、R、R、R、R及びR、並びにp、q、r及びsは、前記と同義である。)
で示されるリン含有ジフェノール化合物について説明する。
【0050】
式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物において、R、R、R及びRは、それぞれ互いに同一又は異なっていてもよい、ニトロ基;シアノ基;ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜6のアルキルオキシ基などの置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基;ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜6のアルキルオキシ基などの置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基;ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜6のアルキルオキシ基などの置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基;ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルキルオキシ基などの置換基を有してもよい、炭素数6〜18のアリール基又は炭素数6〜18のアリールオキシ基を示す。また、ベンゼン環上の置換基R、R、R及びRの個数はそれぞれp、q、r及びsで示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数である。Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。なお、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物の炭素数は、25以上、48以下である。
【0051】
からRにおける、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のアルキルオキシ基の「アルキル」基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、t-ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの無置換の炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐鎖状又は環状のアルキル基を示す。なお「アルキル」基は、置換基の位置異性体(例えば、n−体、iso−体、sec−体、又はtert−体)、光学異性体を含む。
【0052】
からRにおける、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基などの置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等の無置換のアリール基;トルイル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、シクロプロピルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、シクロペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基などの炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6の直鎖状アルキルオキシ基、炭素数3〜6の分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基で置換されたアリール基;ビフェニル基などを示す。
【0053】
からRにおける、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基などの置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基は、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラニルオキシ基等の無置換のアリールオキシ基;トルイルオキシ基、エチルフェニルオキシ基、ジメチルフェニルオキシ基、プロピルフェニルオキシ基、イソプロピルフェニルオキシ基、シクロプロピルフェニルオキシ基、トリメチルフェニルオキシ基、ブチルフェニルオキシ基、t−ブチルフェニルオキシ基、n−ペンチルフェニルオキシ基、シクロペンチルフェニルオキシ基、n−ヘキシルフェニルオキシ基、シクロヘキシルフェニルオキシ基などの炭素数1〜6の直鎖状アルキル基、炭素数3〜6の分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたアリールオキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6の直鎖状アルキルオキシ基、炭素数3〜6の分岐鎖状又は環状のアルキルオキシ基で置換されたアリールオキシ基;ビフェニルオキシ基などを示す。
【0054】
、R、R及びRとしては、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜6のアルキルオキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基;ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜6のアルキルオキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルケニル基;ニトロ基又はシアノ基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基が好ましい。また、Rとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。なお、前記のRからRを導入することで、本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂自体の成形性を改善する効果が期待できる。
【0055】
(入手方法又は製造方法)
式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物は、市販品をそのまま使用することもできるが、式(4)、式(5)、及び式(6)を用いて、下記<反応スキーム>に従って別途合成してもよい。
【0056】
【化17】

【0057】
(式中、RからR、及びpからsについては、前記と同義である。)
【0058】
<式(2)で示されるジオール化合物>
次に、合成原料として使用される、式(2):
【0059】
【化18】

【0060】
で示されるジオール化合物について説明する。
【0061】
本発明の製造方法にて使用される式(2)で示されるジオール化合物において、式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基(o−,m−,p−体)、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【0062】
【化19】

【0063】
式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示す。R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。なお、Zの好ましい態様及び具体例は、後述の式(2−1)〜(2−8)のジオール化合物から両端の水酸基を除いた残基として示される。なお、式(2)で示されるジオール化合物の炭素数は、2以上、48以下である。
【0064】
式(2)で示されるジオール化合物として、式(2−1)〜式(2−8):
【0065】
【化20】

【0066】
(式中、R及びにR、並びにt及びuは、前記と同じである。)
が好ましく、式(2−1)、(2−5)、(2−6)及び(2−7)がより好ましく、式(2−6)及び(2−7)が特に好ましく使用される。なお、式(2−1)から式(2−8)を使用することで、本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂は、より一層の耐熱性を向上が図れるほか、当該樹脂自体の成形性を改善する効果が期待できる。
【0067】
(入手方法又は製造方法)
式(2)で示されるジオール化合物は、市販品をそのまま使用することもできるが、別途合成して使用してもよい。
【0068】
<式(3)で示されるカルボニル化合物>
本発明の製造方法にて使用される式(3)で示されるカルボニル化合物において、R及びRは、それぞれ、塩素原子、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。
【0069】
前記置換基を有してもよいアルキルオキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12の直鎖状、炭素数3〜6の分岐鎖状のアルキルオキシ基、更に好ましくは炭素数1〜6の直鎖状、炭素数3〜6の分岐鎖状のアルキルオキシ基、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は炭素数3〜6の分岐鎖状のアルキルオキシ基、特に好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状又は炭素数3〜6の分岐鎖状のアルキルオキシ基である。
【0070】
前記置換基を有してもよいアリールオキシ基におけるアリールオキシ基としては、炭素数6〜32のアリールオキシ基が好ましく、炭素数6〜24のアリールオキシ基がより好ましく、炭素数6〜12のアリールオキシ基が特に好ましい。
【0071】
前記置換基を有してもよいアルキルオキシ基における「置換基」は、炭素数1〜4のアルキルオキシ基であることが好ましく、置換基を有してもよいアリールオキシ基における「置換基」は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルキルオキシ基であることが好ましい。
【0072】
式(3)で示されるカルボニル化合物であって、置換基を有してもよいアルキルオキシ基を有する化合物として、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、プロピルイソプロピルカーボネート、メチルイソブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート、プロピルイソブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネートが好ましく使用される。
【0073】
また、式(3)で示されるカルボニル化合物であって、置換基を有してもよいアリールオキシ基を有する化合物として、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、フェニルプロピルカーボネート、フェニルイソプロピルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、イソブチルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0074】
(入手方法又は製造方法)
式(3)で示されるカルボニル化合物は、市販品を購入して使用することもできるが、例えば、別途、対応するアルコールとホスゲンとを反応させることによっても得ることができる。
【0075】
(使用量)
〔式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物の使用量〕
式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物は、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよく、その使用量は式(2)で示されるジオール化合物1モルに対して、0.0001〜1モルが好ましく、0.001〜0.5モルが更に好ましく、0.01〜0.25モルがより好ましく、0.01〜0.15モルが特に好ましい。上記の使用量とすることで、良好な難燃性を示すリン含有ポリカーボネート樹脂が得られる。
【0076】
〔式(3)で示されるカルボニル化合物の使用量〕
式(3)で示されるカルボニル化合物は、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよく、その使用量は、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物と式(2)で示されるジオール化合物の合計使用量1モルに対して、1〜5モルが好ましく、1〜2.5モルがより好ましく、1〜1.2モルが特に好ましい。上記の使用量とすることで、良好な難燃性を示すリン含有ポリカーボネート樹脂が得られる。
【0077】
<金属触媒>
本発明における重合反応は、触媒を加えずに実施することができるが、重合速度を高めるため、金属触媒の存在下で行うことが望ましい。金属触媒としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウムのようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、若しくはその他の遷移金属を含む無機金属触媒又は有機金属触媒からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の金属触媒が使用される。なお、これらの金属触媒は、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0078】
前記無機金属触媒としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)等のアルカリ金属化合物;アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、金属の無機酸化物(酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素)が挙げられる。
【0079】
前記有機金属触媒としては、例えば、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機マンガン化合物、有機ニッケル化合物、有機アンチモン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機スズ化合物等が挙げられる。
【0080】
アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の炭素数1〜4のアルコールのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0081】
アルカリ土類金属アルコキシドとしては、例えば、マグネシウムメトキシド、バリウムメトキシド、カルシウムエトキシド、ストロンチウムエトキシド等の炭素数1〜4のアルコールのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0082】
有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムアルコキシド(アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムsec−ブトキシド等)、アルミニウムアセチルアセトナート等のアルミニウム化合物等が挙げられる。
【0083】
有機亜鉛化合物としては、亜鉛のカルボン酸塩(酢酸亜鉛等)、亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられ、有機マンガン化合物としては、マンガンのカルボン酸塩(酢酸マンガン等)、マンガンアセチルアセトナート等が挙げられ、有機ニッケル化合物としては、ニッケルのカルボン酸塩(酢酸ニッケル等)、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0084】
有機アンチモン化合物としては、アンチモンのカルボン酸塩(酢酸アンチモン等)、アンチモンアルコキシド等が挙げられ、有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド等)、ジルコニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0085】
有機チタン化合物としては、例えば、チタンアルコキシド(チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート等)、チタンアシレート(トリブトキシチタンステアレート、イソプロポキシステアレート等)、チタンキレート(ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート、ジヒドロキシ−ビスラクタトチタン等)などが挙げられる。
【0086】
有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルチンオキシド等のジアルキルチンオキシド、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等のジアルキルチンアルキレートが挙げられる。
【0087】
カルボン酸塩は、炭素数2〜30のものが好ましく、炭素数2〜18のものがより好ましい。アルコキシドは、アルコキシ基の炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数2〜18のものがより好ましい。
【0088】
上記金属触媒として、酸化亜鉛、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物及び有機スズ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属触媒が好ましく、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、チタンアルコキシド、ジアルキルチンオキシドが更に好ましく、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、チタンアルコキシドがより好ましく、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドが特に好ましく、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、チタンテトラブトキシドが特により好ましく使用される。
【0089】
(金属触媒の使用量)
前記金属触媒の使用量は、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物と式(2)で示されるジオール化合物の合計使用量1モルに対して、0.01〜50ミリモルが好ましく、0.02〜30ミリモルがより好ましく、0.03〜10ミリモルが特に好ましい。
【0090】
<反応助触媒>
本発明の製造方法では、反応の進行状態などを考慮して、必要に応じて、前記金属触媒に加えて塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を反応助触媒として併用することも可能である。
【0091】
反応助触媒としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、又はストロンチウム塩等の塩基性ホウ素化合物;トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、四級ホスホニウム塩等の塩基性リン化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物;4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等の含窒素複素環化合物が挙げられる。なお、これらの反応助触媒は、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0092】
(反応助触媒の使用量)
前記反応助触媒の使用量は、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物と式(2)で示されるジオール化合物の合計使用量1モルに対して、0.01〜50ミリモルが好ましく、0.02〜30ミリモルがより好ましく、0.03〜10ミリモルが特に好ましく使用される。
【0093】
<反応溶媒>
本発明の製造方法は無溶媒で行うことも、反応溶媒を使用して行うこともできる。本発明の製造方法において使用される反応溶媒は、反応を阻害するものでなければ、特に制限されない。このような溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等の含ハロゲン類、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド類などが挙げられる。なおこれらの反応溶媒は単独でも2種以上併用して使用してもよい。
【0094】
(使用量)
前記反応溶媒の使用量は、反応の進行を遅くしたり、又は停止させたりする量でなければ特に制限されず、必要に応じて適宜決められる。
【0095】
<反応条件>
(反応装置)
本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法では、金属触媒の存在下、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物、式(2)で示されるジオール化合物、及び式(3)で示されるカルボニル化合物とを、減圧下及び/又は不活性ガス気流下で加熱しながら溶融状態でエステル交換反応を行い重縮合する。使用される重合装置については、特に制限はない。また、重合反応の製造方式は、バッチ方式、連続方式のいずれも可能である。
【0096】
使用できる重合装置として、具体的には、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が挙げられる。これらの重合装置は単独もしくは組み合わせて使用してもよい。これらの重合装置の材質について特に制限はなく、例えば、ステンレススチール、ニッケル、又はグラスライニング等から適宜選んで使用される。
【0097】
(反応温度)
本発明の製造方法における反応温度は、50〜350℃が好ましく、100〜350℃が更に好ましく、150〜320℃がより好ましく、200〜300℃が特に好ましい。この反応温度範囲であれば、材料加工上、好適な分子量を有するリン含有ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
【0098】
(反応圧力)
本発明の製造方法について、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物、式(2)で示されるジオール化合物、及び式(3)で示されるカルボニル化合物との反応における反応圧力は、特に制限されない。しかしながら、例えば、式(3)で示されるカルボニル化合物として、R及びRが、それぞれ、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示すカルボニル化合物を使用した場合、反応初期は、1.33kPa(10mmHg)〜101.33kPa(大気圧)下で行い、その後減圧して反応後期を行うようにすることが好ましい。
【0099】
減圧は、前記式(2)で示されるジオール化合物が50%以上消費された状態で開始することが好ましく、70%以上進行した状態で開始することがより好ましい。減圧度は、0.1Pa(7.5×10−4mmHg)〜1.33kPa(10mmHg)が好ましく、1.0Pa(7.5×10−3mmHg)〜670Pa(5mmHg)がより好ましく、2.0Pa(1.5×10−2mmHg)〜330Pa(2.5mmHg)が特に好ましい。このような減圧下で反応後期を行うことにより、副生成するアルコール化合物又はフェノール化合物を反応系外に抜き出しやすくなる。そこで、これらのアルコール化合物又はフェノール化合物を、適宜反応系外に抜き出しながら反応を行うことにより、重合反応における化学平衡が生成物側に偏るため、所望とする分子量のリン含有ポリカーボネート樹脂の生成反応をより促進させることができる。
【0100】
<本発明の新規なリン含有ポリカーボネート樹脂>
上記の本発明の製造方法により、式(A)と式(B):
【0101】
【化21】

【0102】
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、p、q、r及びsは、ベンゼン環上のR、R、R及びRの個数をそれぞれ示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0103】
【化22】

【0104】
(式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【0105】
【化23】

【0106】
[式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示し、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。])
で示される構造の繰り返し単位を有する、新規なリン含有ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0107】
本発明の新規なリン含有ポリカーボネート樹脂において、式(A)におけるRからR、pからs、式(B)におけるZ、及び式(C)(Z基)におけるR、R及びL、並びにt及びuは、好ましい態様及び具体例も含めて、前記にて説明したものと同じである。
【0108】
従って、例えば、式(B)で示される構造の繰り返し単位として、式(B−1)〜(B−8):
【0109】
【化24】

【0110】
(式中、R及びR、並びにt及びuは、前記と同じである。)
が好ましく、式(B−1)、(B−5)、(B−6)及び(B−7):
【0111】
【化25】

【0112】
(式中、R及びR、並びにt及びuは、前記と同じである。)
がより好ましく、式(B−6)及び(B−7):
【0113】
【化26】

【0114】
(式中、R及びR、並びにt及びuは、前記と同じである。)
が特に好ましい。
【0115】
(本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂の分子量)
本発明の方法で得られるリン含有ポリカーボネート樹脂の分子量は、例えば、材料を二次加工に使用するなどの観点から、GPC分析(ゲル透過クロマトグラフィー)で算出された重量平均分子量が、標準ポリスチレン換算で、1,000〜50,000が好ましい。
【0116】
(リン含有ポリカーボネート樹脂中の繰り返し単位(A)の含有比)
本発明の方法で得られるリン含有ポリカーボネート樹脂1モルに対する繰り返し単位(A)の含有比率(%)は、0.01〜50%が好ましく、0.1〜33%が更に好ましく、1〜20%がより好ましく、1〜13%が特に好ましい。但し、得られたリン含有ポリカーボネート樹脂の分子量は、前記GPC分析(ゲル透過クロマトグラフィー)にて算出された値を用い、また、前記(A)の含有率は、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物を2種以上使用する場合、その総和の含有比率を示す。
【0117】
本発明の製造方法において、反応終了後、得られたリン含有ポリカーボネート樹脂は、例えば、溶融状態にあるうちに二軸押出機等に導入してペレット状にして製品とする。この際に、10μm程度の焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去することが好ましい。
【0118】
<本発明の新規なリン含有ポリカーボネート樹脂組成物>
本発明の製造方法にて得られたリン含有ポリカーボネート樹脂に、本発明の目的を阻害しない範囲で、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、内部滑剤、帯電防止剤、着色剤、及びドリップ防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を配合して、リン含有ポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。
【0119】
(添加剤:無機充填剤)
無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリカ、珪藻土、アルミナ、硫酸マグネシウム、タルク、マイカ、アスベスト、ベントナイト、グラファイト、鉄粉等が挙げられる。
【0120】
(添加剤:酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート等のヒンダードフェノール系化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸エステル系化合物、トリスフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等が挙げられる。
【0121】
(添加剤:紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
【0122】
(添加剤:光安定剤)
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(三共株式会社製 SANOL LS770)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(三共株式会社製 SANOL LS765)、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロビオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロビオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共株式会社製 SANOL LS2626)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共株式会社製 SANOL LS744)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン(三共株式会社製 SANOL LS440)、2−(3,5−ジ−t−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー社製 TINUVIN 144)、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(チバガイギー社製 TINUVIN 780FF)、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの重縮合物(チバガイギー社製 TINUVIN 622LD)、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}(チバガイギー社製 CHIMASSORB 944LD)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの重縮合物(チバガイギー社製CHIMASSORB 119FL)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバガイギー社製 TINUVIN 292)、ビス(1−オクタオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバガイギー社製 TINUVIN 123)、HA‐70G(三共株式会社製)、アデカスタブ LA−52、アデカスタブ LA−57、アデカスタブ LA−62、アデカスタブ LA−63、アデカスタブ LA−67、アデカスタブ LA−68、アデカスタブ LA−82、アデカスタブ LA−87(旭電化工業株式会社製)等のヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0123】
(添加剤:内部滑剤)
内部滑剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸エステル、パラフィン、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0124】
(添加剤:帯電防止剤)
帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸モノエステル、リン酸ジエステル等が挙げられる。
【0125】
(添加剤:着色剤)
着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニン系化合物等が挙げられる。
【0126】
(添加剤:ドリップ防止剤)
更に本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂組成物には、燃焼時の樹脂垂れ(ドリップ)を防止するために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、シリコンゴム等のドリップ防止剤を使用することができる。
【0127】
<本発明の新規なリン含有ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、リン含有ポリカーボネート樹脂と必要に応じて前記添加剤及びその他の熱可塑性樹脂を配合し、混練する等の方法によって得ることができる。
【0128】
前記配合及び混練には、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機を用いて、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形等の種々の成形方法にて製造することができる。
【0129】
また、混練に際しての加熱温度は、250〜300℃の範囲で好ましくは行われる。
【0130】
上記の方法により得られたリン含有ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、電気・電子機器分野、通信機器分野、OA機器分野における、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ、パーソナルコンピューター等のハウジング材や、自動車部品分野における金属部品の代替材料等の用途に用いることができる。
【実施例】
【0131】
次に本発明を実施例において具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0132】
(合成品の構造同定方法)
本発明の合成原料は、MSスペクトル(CI−MS)、及びH−NMRスペクトルより構造同定を行った。
【0133】
(分子量の測定方法)
下記実施例で得られた、本発明のリン含有ポリカーボネート樹脂は、GPC分析(ゲル透過クロマトグラフィー)より構造同定を行った。
測定装置:HLC−8220GPC(東ソー(株)製、Refractive Indexによる検出)
測定カラム:Shodex GPC K−806L×3本、昭和電工(株)製
測定溶媒:クロロホルム(カラム温度:35℃)
重量平均分子量の算出法:標準単分散ポリスチレンを用いて得た換算分子量較正曲線(MPC=0.3591MPS1.0388;式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量、MPSはポリスチレンの重量平均分子量を示す)を用いて算出した。
【0134】
(熱的挙動の測定)
融点及びガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の操作条件にて測定した。
測定装置:EXSTAR DSC7020(SII NanoTechnorogy Inc.)
測定温度:20→300℃(昇温速度:10℃/分)
【0135】
参考例1(一般式(1)で示されるリン含有化合物(R=H;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルジフェニルホスフィンオキシド)の製造)
温度計、温度調整装置、滴下装置及び撹拌装置を備えたガラス製反応容器に、ジフェニルホスフィンオキシド10.1g(0.05モル)を加え、次いで、これに4−ヒドロキシベンズアルデヒド6.1g(0.05モル)とフェノール23.5g(0.25モル)とを順に加え、65℃にて1.5時間撹拌を行った。次いで、これにp−トルエンスルホン酸0.2g(0.001モル)を加えて、更に110℃まで昇温して3時間撹拌し反応を行った。反応終了後、得られた反応液にエタノール50mLを加え、これをトルエン100mL中に滴下していったところ、析出物が生成した。生成した析出物をろ別し、更にトルエン30mLで洗浄した。得られた析出物を乾燥し、白色粉末として目的物であるビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルジフェニルホスフィンオキシド16.7gを得た(取得収率:83.5%)。
【0136】
得られたビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルジフェニルホスフィンオキシドの分析値は、以下のとおりであった。
【0137】
MSスペクトル〔CI−MS〕:401[M+1]
H−NMRスペクトル〔300MHz,d−DMSO,δ(ppm)〕:5.28(1H,d)、6.53(4H,d)、7.32−7.43(10H,brs)、7.75−7.82(4H,brs)、9.16(2H,s)
融点:301℃
【0138】
参考例2(一般式(1)で示されるリン含有化合物(R=H;((2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メチル)ジフェニルホスフィンオキシド)の製造)
温度計、温度調整装置、滴下装置及び撹拌装置を備えたガラス製反応容器に、ジフェニルホスフィンオキシド2.02g(0.01モル)を加え、次いで、これに2−ヒドロキシベンズアルデヒド1.22g(0.01モル)とフェノール5.70g(0.05モル)とを順に加え、65℃にて1.5時間撹拌を行った。次いで、これにp−トルエンスルホン酸0.02g(0.0001モル)を加えて、更に110℃まで昇温して3時間撹拌し反応を行った。反応終了後、得られた反応液をトルエン20mL中に滴下していったところ、析出物が生成した。生成した析出物をろ別し、更にトルエン20mLで洗浄した。得られた析出物を乾燥し、白色粉末として目的物である((2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メチル)ジフェニルホスフィンオキシド3.21gを得た(取得収率:80.3%)。
【0139】
得られた((2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メチル)ジフェニルホスフィンオキシドの分析値は、以下のとおりであった。
【0140】
MSスペクトル〔CI−MS〕:401[M+1]
H−NMRスペクトル〔300MHz,d−DMSO,δ(ppm)〕:5.49(1H,d)、6.52(2H,d)、6.65−6.69(2H,brs)、6.89−6.94(2H,brs)、7.22−7.26(2H,brs)、7.34−7.46(6H,brs)、7.64−7.79(4H,brs)、7.91−7.94(1H,brs)、9.20(1H,s)、9.77(1H,s)
【0141】
実施例1(リン含有ポリカーボネート樹脂の合成、酸化亜鉛使用)
温度計、温度調整装置、撹拌装置、及び分留管付き冷却管を備えたガラス製反応容器に、ビスフェノールA 269.9g(1.18モル)、ジフェニルカーボネート274.8g(1.28モル)、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルジフェニルホスフィンオキシド30.0g(0.075モル)を加えた。次に、この反応容器の内温を160℃にして、酸化亜鉛0.0576gを添加し、更に昇温を続けたところフェノールが留出し始めてきた。内温260℃に達した時点で減圧を開始し、更に、昇温を行いながら減圧度を高め、最終的に280〜290℃/8〜4Paで2時間反応を行った。反応終了後、得られたポリマーはジクロロメタン1Lに溶解し、これをろ過して不溶物を除去し、得られたジクロロメタン溶液をメタノール500mLに投入して再沈殿を行い、沈殿物をろ過にて取得した。得られた沈殿物を、80℃で10時間減圧乾燥し、本発明の目的物であるリン含有ポリカーボネート樹脂を、微黄褐色透明の粒状物として、236gを得た。
【0142】
得られた実施例1のリン含有ポリカーボネート樹脂のGPC測定を行ったこところ、重量平均分子量は、49,700(標準ポリスチレン換算)であった。また、示差走査熱量計を用いて、ガラス転移点(Tg)を測定したところ、141℃であった。
【0143】
比較例1(ポリカーボネート樹脂の合成、酸化亜鉛使用)
温度計、温度調整装置、撹拌装置、及び分留管付き冷却管を備えたガラス製反応容器に、ビスフェノールA 300.0gとジフェニルカーボネート287.1gを入れた。次に、この反応容器の内温を160℃にして、酸化亜鉛0.0587gを添加し、更に昇温を続けたところフェノールが留出し始めてきた。内温260℃に達した時点で減圧を開始し、更に、昇温を行いながら減圧度を高め、最終的に280〜290℃/8〜4Paで2時間反応を行った。反応終了後、得られたポリマーはジクロロメタン1Lに溶解し、これをろ過して不溶物を除去し、得られたジクロロメタン溶液をメタノール500mLに投入して再沈殿を行い、沈殿物をろ過にて取得した。得られた沈殿物を、80℃で10時間減圧乾燥し、本発明の目的物であるリン含有ポリカーボネート樹脂を、微黄色透明の粒状物として、228gを得た。
【0144】
得られた比較例1のリン含有ポリカーボネート樹脂のGPC測定を行ったこところ、重量平均分子量は、38,000(ポリスチレン換算)であった。また、示差走査熱量計を用いて、ガラス転移点(Tg)を測定したところ、140℃であった。
【0145】
参考例3(難燃性試験:実施例1及び比較例1)
前記実施例1及び比較例1で得られたポリマーを270℃でプレス成形し、厚さ3mm(125×13mm)の試験片を作成した。この試験片でUL−94V(20mm垂直燃焼試験;IE60695−11−10 B法, ASTM D3801)に準拠した難燃性試験を行った。実施例1及び比較例1の各サンプルにつき5回試験を実施した。その結果を下記表1に示した。
【0146】
【表1】

【0147】
表1より、実施例1に示したサンプルは、比較例1のリン不含のサンプルに比べ有炎燃焼時間が短く、難燃性に優れた材料であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明の新規なリン含有ポリカーボネート樹脂及びその組成物は、難燃性成分がブリードアウトすることなく、更に耐加水分解性と難燃性のバランスが良好であることから、例えば、自動車分野、OA機器分野、電子・電気分野などの分野において幅広く利用することができる工業的樹脂材料である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)で示される構造の繰り返し単位と式(B)で示される構造の繰り返し単位とを有するリン含有ポリカーボネート樹脂。
【化1】

(式中、R、R、R及びRはそれぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、p、q、r及びsは、ベンゼン環上のR、R、R及びRの個数をそれぞれ示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【化2】

(式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【化3】

[式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示し、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。])
【請求項2】
式(B)で示される構造の繰り返し単位が、式(B−1)〜(B−8)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂。
【化4】

(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【請求項3】
式(B)で示される構造の繰り返し単位が、式(B−6)及び(B−7)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂。
【化5】

(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂と、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、内部滑剤、帯電防止剤、着色剤、及びドリップ防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤とを含む、リン含有ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
金属触媒存在下、式(1)で示されるリン含有ジフェノール化合物、式(2)で示されるジオール化合物、及び式(3)で示されるカルボニル化合物を反応させることを含む、リン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【化6】

(式中、R、R、R及びRはそれぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、p、q、r及びsは、ベンゼン環上のR、R、R及びRの個数をそれぞれ示し、p及びqはそれぞれ0〜5の整数であり、r及びsはそれぞれ0〜4の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【化7】

(式中、Zは、炭素数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基、置換基を有してもよいキシリレン基、又は式(C)で示されるZ基を示す。
【化8】

[式(C)中、Lは、単結合、フェニレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、アミド基(−CONH−又は−NHCO−)、及び炭素数1〜6のアルキレン基からなる群より選ばれる連結基を示し、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。])
【化9】

(式中、R及びRはそれぞれ、塩素原子、置換基を有してもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。)
【請求項6】
式(2)で示されるジオール化合物が、式(2−1)〜(2−8)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール化合物である、請求項5に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【化10】

(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)
【請求項7】
式(2)で示されるジオール化合物が、式(2−6)及び式(2−7)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載のリン含有ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【化11】

(式中、R及びRは、それぞれ、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリール基又は置換基を有してもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基を示し、t及びuは、ベンゼン環上のR及びRの個数をそれぞれ示し、それぞれ0〜4の整数である。)

【公開番号】特開2013−10852(P2013−10852A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144078(P2011−144078)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】