説明

新規な乳酸菌及び当該乳酸菌を使用して加工した各種製品

【課題】 優れた耐酸性有し、短時間で増殖し、病原菌の増殖を抑制し、有用な細菌の増殖を促進するラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌を見出し、この新規な乳酸菌を利用した広範囲の各種製品を提供する。
【解決手段】 ラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)No.1088(受託番号:NITE P−278)を健康成人の胃液から見出し、この新規な乳酸菌を使用して加工した発酵製品、健康食品、機能性食品、医薬品等の広範囲な各種製品を開発した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバシラス属に属する乳酸菌であって、pH1.0の緩衝液において少なくとも60分間生存する強い耐酸性を有すること、短時間で増殖すること、病原菌を抑制すること、及び有用な細菌の増殖を促進すること、の性質を有することを特徴とする新規な乳酸菌、並びに前記新規な乳酸菌を使用し、加工することを特徴とする各種製品に関する。尚、本明細書において百分率の表示は、特に断りのない限り、重量によるものである。
【背景技術】
【0002】
ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌の耐酸性については、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)についてpH3.0における試験が報告されている(非特許文献1を参照。)。また、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌については、フジサワ(Fujisawa)らによりラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)等の詳細な菌種に分別されている(非特許文献2を参照。)。
【0003】
一方、最近プロバイオティクスとしての乳酸菌の効果についてアレルギー炎症性腸疾患、感染症、潰瘍性大腸炎、高血圧、コレステロール血症、大腸癌等の予防又は治療が注目されている(非特許文献3を参照。)。しかしながら、従来公知の乳酸菌を飲食品、医薬品等に利用した場合、摂取又は服用時に胃酸の影響により腸まで到達する菌数が減少することが知られている(非特許文献4を参照。)。従来、この菌数の減少を防止するために、使用する乳酸菌末又は乳酸菌錠剤をコーティングする等の方法により、胃酸による乳酸菌の死滅を軽減する方法が採用されている(特許文献1乃至特許文献5を参照。)。また、耐酸性を有するラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)を使用したヨーグルトも市販されている。
【特許文献1】 特開平5−186335号
【特許文献2】 特開平5−186336号
【特許文献3】 特開平5−186337号
【特許文献4】 特開2000−16320号
【特許文献5】 特開2001−64189号
【非特許文献1】 プラサド・ジェー(Prasad,J.)ら、インターナショナル・デイリー・ジャーナル(International Dairy Journal)、第8巻、第993ページ、1998年
【非特許文献2】 フジサワ・ティー(Fujisawa,T.)ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Iiternational Journal of Systematic Bacteriology)、第42巻、第3号、第487ページ、1992年
【非特許文献3】 グウプタ・ピー・エー(Gupta,P.A.)ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・フード・マイクロバイオロジー(International Journal of Food Microbiology)、第巻29、第105ページ、1996年
【非特許文献4】 ホッド・エス・ケー(Hood,S.K.)ら、ジャーナル・オブ・フード・サイエンス(Journal of Food Science)、第53巻、第1514ページ、1988年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術に鑑みて本発明者は、数年前から胃酸により死滅することなく腸に到達可能な耐酸性乳酸菌に強い関心を持ち、耐酸性乳酸菌の研究を鋭意行った結果、pH1.0において少なくとも60分間生存する従来にない格段に優れた耐酸性を有するラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌を見出し、更にこの新規な乳酸菌の用途として各種製品に利用することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
本発明の第一の目的は、短時間で増殖し、優れた耐酸性を有し、病原菌の増殖を抑制するラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌を提供することであり、本発明の第二の目的は、当該新規な乳酸菌の用途として、当該乳酸菌を含有する各種製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明の第一の発明(以下、第一発明、と記載する。)は、ラクトバシラス属に属する乳酸菌であって、次のa)乃至d)
a)pH1.0の緩衝液において少なくとも60分間生存する強い耐酸性を有すること、
b)短時間で増殖すること、
c)病原菌を抑制すること、及び
d)有用な細菌の増殖を促進すること、
の性質を有することを特徴とする新規な乳酸菌であり、ラクトバシラス属に属する乳酸菌が、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johonsonii)No.1088(受託番号:NITE P−278)であることを望ましい態様としている。
【0007】
前記課題を解決する本発明の第二の発明(以下、第二発明、と記載する。)は、ラクトバシラス属に属する乳酸菌であって、次のa)乃至d)
a)pH1.0の緩衝液において少なくとも60分間生存する強い耐酸性を有すること、
b)短時間で増殖すること、
c)病原菌を抑制すること、及び
d)有用な細菌の増殖を促進すること、
の性質を有する新規な乳酸菌を使用し、加工することを特徴とする各種製品であり、ラクトバシラス属に属する乳酸菌が、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)No.1088(受託番号:NITE P−278)であること、並びに加工が、新規な乳酸菌による発酵、新規な乳酸菌の混合、新規な乳酸菌の菌末化又は新規な乳酸菌の錠剤化であることを望ましい態様としている。
【0008】
次に本発明について詳細に記載する。第一発明は、本発明者がヒトの胃液から後記試験例1に示すとおり分離した乳酸菌ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)No.1088(以下、No.1088と略記する。)であり、従来知られていなかったラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌であり、各種製品に使用することが可能である。これらの菌株は後記試験例から明らかなとおり、16SrRNA の塩基配列から新規な菌株であることが明白である。更に後記試験例から明らかなとおり、短時間で増殖し、病原菌の増殖を抑制し、有用な細菌の増殖を促進し、pH1.0の緩衝液(0.1Mの塩酸・クエン酸ナトリウム緩衝液)において少なくとも60分間生存し得る優れた耐酸性を有する乳酸菌である。
【0009】
第二発明は、前記第一発明の短時間で増殖し、病原菌の増殖を抑制し、優れた耐酸性を有するラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌を含有する各種製品であり、前記新規な乳酸菌により発酵したヨーグルト等の発酵製品、前記新規な乳酸菌を凍結乾燥した粉末からなる健康食品、前記新規な乳酸菌末を加工した錠剤等の医薬品等の多くの製品に使用することが可能である。
【0010】
前記発酵製品を製造するには、例えば次のように実施する。原料乳に前記新規な乳酸菌、スターターとしてラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を添加し、常法により製造することができる。
【0011】
前記新規な乳酸菌末を製造するには、例えば次のように実施する。前記新規な乳酸菌を市販の培地(例えば、エムアールエス・ブロス(MRS broth)、ベクトン・デッキンソン社製)に接種し(例えば、培地1ml当たり1×10の割合で接種)、培養し(例えば、37℃で12〜18時間)、培養終了後に遠心分離により集菌し、集菌した菌体を洗浄液(例えば、食塩濃度0.85%の滅菌生理食塩水)により洗浄し、再び遠心分離により集菌し、脱脂粉乳を主成分とする溶液(例えば、10%脱脂粉乳及び1%グルタミン酸ナトリウムを勧誘する溶液)に洗浄した菌体を懸濁し、常法により凍結乾燥し、前記新規な乳酸菌末を製造する。
【0012】
前記新規な乳酸菌末を加工した錠剤を製造するには、例えば次のように実施する。前記新規な乳酸菌末を、例えば糖、デキストリン及び澱粉等からなる賦形剤を使用し、常法により錠剤に加工する。以上記載したとおり、前記新規な乳酸菌は公知の乳酸菌と同様に処理又は使用することが可能である。
【0013】
次に試験例を示し、本発明について詳細に記載する。
試験例1
この試験はラクトバシラス属に属する新規な乳酸菌株を分離、同定するために行った。尚、菌株の分離及び菌株の確認は、厚生省生活衛生局監修、「食品衛生検査指針:微生物編」、日本食品衛生協会、1990年及び乳酸菌研究集談会編、「乳酸菌の科学と技術」、学会出版センター、1996年に記載されている方法に基づいて実施した。
【0014】
1.乳酸菌株の分離
1)菌株の採取
健康な成人10名から胃液を採取し、採取した胃液の1mlに滅菌生理食塩水9mlを添加し、試料液を調製した。調製した試料液を滅菌生理食塩水により10倍から10万倍に希釈し、希釈液を調製した。
【0015】
胃液原液、試料液及び各希釈液0.1mlを、滅菌して調製したビーエル(BL)寒天培地(ニッスイ製薬社製)、エムアールエス(MRS)寒天培地(ベクトン・デッキンソン社製)を充填したシャーレの培地表面に塗布し、コンラージ棒によりまき広げ、各シャーレをアネロパック(三菱ガス化学社製)と共に嫌気培養用ジャー(三菱ガス化学社製。アネロパック角型ジャー標準型)に入れ、37℃で48時間培養した。培養終了後、出現したコロニーをエムアールエス(MRS)寒天培地(ベクトン・デッキンソン社製)により3代継承培養し、純粋な菌株を分離した。
【0016】
2)菌株の確認
分離した菌株の確認は前記文献記載の方法により、グラム染色性が陽性、細胞形態が桿菌、カタラーゼが陰性、運動性が陰性、芽胞形成が陰性及び乳酸産生能が陽性であることから、ラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する菌株であることを確認し、15株を取得した。
【0017】
3)耐酸性菌株の分離
前記15菌株を、それぞれ別個にエムアールエス・ブロス(MRS broth)(ベクトン・デッキンソン社製)に接種し、37℃で48時間培養した。得られた菌液0.1mlを、pH2.0の0.1M塩酸・クエン酸ナトリウム緩衝液2mlに添加し、37℃で2時間保持し、のち残存菌数を測定し、最も残存菌数の多い1菌株を取得した。
【0018】
2.菌株の同定
前記取得した菌株の同定は、乳酸菌研究集談会編、「乳酸菌の科学と技術」、学会出版センター、1996年及びピーター・エッチ・エー・スニース(Peter H.A.Sneath)編、「バージェイズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(BergeysManual of Systematic Bacteriology)」、第2巻、ウイリアムス・アンド・ウイルキンス社、1986年に記載されている方法に基づいて実施した。
【0019】
3.試験結果
【表1】

【表2】

この試験の結果、前記取得した菌株の細菌学的性質は表1及び表2に示すとおりである。尚、表2は表1の続きである。表1及び表2から明らかなとおり、細菌学的性質からこの菌株は、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)であることが証明され、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)No.1088と命名した。この菌株を平成18年11月14日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託し、NITE P−278の受託番号が付与された。
【0020】
試験例2
この試験は、No.1088の塩基配列レベルでの特徴を調べるために行った。尚、No.1088の塩基配列の同定は、株式会社テクノスルガに依頼し、次の方法により同定した旨の報告を受けた。
【0021】
1.供試菌体の調製
No.1088をエムアールエス・アガー(MRS Agar)培地(オクソイド社製)により37℃で24時間嫌気培養し、供試菌体を調製した。
【0022】
2.塩基配列の決定
塩基の抽出からサイクルシークエンスまでの操作は、各プロトコルに基づいて実施した。塩基の抽出はインスタ・ジーン・マトリックス(Insta Gene Matrix)(バイオラド社製)を使用し、ポリメラーゼ連鎖反応にはプリメ・スター・クッチエス・デイーエヌエー・ポリメラーゼ(Prime Star HS DNA Polymerase)(タカラバイオ社製)を使用し、サイクルシークエンスにはビッグ・ダイ・ターミネーター・ブイ3.1・サークル・シークエンシング・キット(Big Dye Terminatar V3.1 Cycle Sequencing Kit)(アプライド・バイオシステム社製)を使用した。また、使用したプライマーは、9F、339F、785F、1099F、536R、802R、1242R 及び1510R であり、配列の測定にはアビイ・プリズム3100ジェネティック・アナライザー・システム(ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer System)(アプライド・バイオシステム社製)を使用し、解析ソフトウェアにはオートアセンブラー(Auto Assembler)(アプライド・バイオシステム社製)を使用し、相同性検索にはアポロン・デービー最新基準株データベース(テクノスルガ社製)及び国際塩基配列データベース(ジーン・バンク/ディーディービージェー/イーエムビーエル(Gen Bank/DDBJ/EMBL))を使用した。
【0023】
3.試験結果
【表3】

この試験の結果は、表3及び配列表に示すとおりである。表3から明らかなとおりNo.1088はアポロン・デービー最新基準株データベース(テクノスルガ社製)のラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株であるATCC33200株との相同率が99.7%であり、国際塩基配列データベースの同菌の基準株であるNCC533株との相同率が100%であった。従って、塩基配列からもNo.1088がラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)であることが確認された。
【0024】
全ての細菌は、16Sr塩基配列中に共通な塩基配列が存在しているので、16Sr塩基配列により細菌の分類群を推定することが可能である。しかしながら、乳酸菌に属する菌群の推定には16Sr塩基配列のみならず、細菌の形態、生理学的性質、生化学的性質も重要であり、本発明の試験例で示したとおりである。
【0025】
試験例3
この試験は、No.1088の耐酸性を調べるために行った。
1.試料の調製
No.1088、耐酸性が知られているラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)TI1012(ヒト糞便由来。東海大学医学部生体防御学保存株)、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)JCM2012(理化学研究所リソースセンターから入手)、後記する方法により市販ヨーグルトから分離したラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)LC1、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)JCM1132(理化学研究所リソースセンターから入手)及びラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)JCM1131(理化学研究所リソースセンターから入手)を、それぞれ別個にエムアールエス・ブロス(MRS broth)(ベクトン・デッキンソン社製)に接種し、37℃で18時間培養し、試料の培養液を調製した。
【0026】
尚、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)LC1は、この菌株を含有する市販のヨーグルト(ネスレ社製)から次のとおり分離した。ヨーグルトを滅菌生理食塩水により10倍、10倍、10倍及び10倍に希釈し、各希釈液の0.1mlをビーエル(BL)寒天平板培地(ニッスイ社製)に滴下し、コンラージ棒によりまき広げ、37℃で2日間嫌気培養し、培養後に各コロニーを常法により鑑別し、桿菌状の乳酸菌を同菌と同定し、この菌株を試験に使用した。
【0027】
2.試験方法
得られた6種の培養液0.1mlを、それぞれ別個にpH2.0、pH1.5及びpH1.0の0.1M塩酸・クエン酸緩衝液に添加し、37℃に保持し、15分後、30分後、60分後及び90分後に経時的な残存菌数を常法により測定した。
【0028】
3.試験結果
【表4】

この試験結果は表4に示すとおりである。尚、表4のNDは、残存菌数が検出されなかったことを示す。表4から明らかなとおり、No.1088は、最も高い残存菌数を示し、pH1.0において90分間保持した場合にも生存し、格段に耐酸性に優れた菌株であることが判明した。
【0029】
試験例4
この試験は、No.1088が前記試験例3において使用したラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)LC1と異なる菌株であることを立証するために行った。
1.試料の調製
1)菌株の調製
前記試験例3において使用した両菌株をそれぞれエムアールエス・ブロス(MRS broth)(ベクトン・デッキンソン社製)に接種し、37℃で18時間培養し、培養液から各菌株を集菌し、リン酸緩衝化生理食塩水により3回洗浄し、各菌株を調製した。
【0030】
2)デオキシリボ核酸(DNA)の調製
各菌株をそれぞれリン酸緩衝化生理食塩水に懸濁し、各懸濁液からウイザード・ジェノミック・ディーエヌエー・ピューリフィケーション・キット(Wizard Genomic DNA Purification Kit)(プロメガ社製)によりDNAを抽出した。尚、抽出の方法は前記キットに添付されている方法に従った。
【0031】
3)使用したプライマー配列
【表5】

表5に示した6種類のプライマーを使用した。
【0032】
2.試験方法
【表6】

【表7】

表6に示した反応液を使用し、表7に示した条件により反応サイクルを行い、反応終了後に反応液5μlを1.4%アガロースゲルを使用し、常法により電気泳動を行った。
【0033】
3.試験結果
この試験の結果は、図1に示すとおりである。図中M、A及びBは、それぞれ100bラターマーカー、LC1菌株及び本発明のNo.1088菌株を示す。図1から明らかなとおり、P−07、P−09及びP−30の電気泳動パターンには明瞭な相違が認められ、LC1菌株及び本発明のNo.1088菌株は、いずれもラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)に属するが、異なった菌株であることが立証された。
【0034】
試験例5
この試験は、No.1088のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に対する抑制効果を調べるために行った。
1.試料の調製
試験菌株であるNo.1088及びラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株であるJCM2012(理化学研究所リソースセンターから入手)を、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130(ヒト慢性胃炎患者から分離。東海大学医学部生体防御学保存株)と共に、ビー・エッチ・アイ・ブロス(BHI broth)(ベクトン・デッキンソン社製)100mlに5%の馬血清を添加した液体培地に、液体培地1ml当たりラクトバシラス属の2菌株を各1.0×10及びヘリコバクター・ピロリを1.0×10の割合で接種し、37℃の微好気培養条件下で培養し、培養開始後6時間、12時間、24時間及び48時間に経時的に培地を採取し、試料を調製した。尚、前記両菌を添加しない液体培地そのものを対照試料とした。
【0035】
2.試験方法
採取した試料を次の培地により、アネロパック角型ジャー(三菱ガス化学社製)にアネロパック・ヘリコ(三菱ガス化学社製)を入れ、37℃で4日間微好気培養し、ヘリコバクター・ピロリの菌数を測定した。菌数測定に使用した培地は、ビー・エチ・アイ(BHI)寒天培地(ベクトン・デッキンソン社製)1000mlに馬血清7%、テトラゾリウム(ジグマ社製)25mg、ポリミキシン・ビー(ジグマ社製)2500単位、バンコマイシン(ジグマ社製)10mg、バシトラシン(ジグマ社製)5mg及びアンフォテリシン・ビー(ジグマ社製)2mgの割合で添加した。
【0036】
3.試験結果
この試験の結果は図2に示すとおりである。図中●は対照試料、△はNo.1088、□はラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株を示す。図2から明らかなとおり、No.1088添加試料では24時間後のヘリコバクター・ピロリの菌数が1.0×10/ml、48時間後には検出限界以下であった。一方、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株添加試料では、24時間後のヘリコバクター・ピロリの菌数が1.0×104.2/ml、48時間後には検出限界以下であった。この試験結果から、No.1088は公知のラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株よりも10倍以上ヘリコバクター・ピロリ菌を抑制することが認められた。
【0037】
試験例6
この試験は、腸管出血性大腸菌、エッシェリキア・コリ(Escherichia coli)O−157に対するNo.1088の抑制効果を調べるために行った。
1.試料の調製
ガム(GAM)ブイヨン(ニッスイ製薬社製)にブドウ糖0.7%を添加した液体培地を使用したことを除き、前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料を調製した。尚、エッシェリキア・コリ(Escherichia coli)O−157は、臨床分離株で東海大学医学部生体防御学保存株である。
【0038】
2.試験方法
エッシェリキア・コリ(Escherichia coli)O−157の培養にディー・エッチ・エル(DHL)寒天培地(ニッスイ製薬社製)を使用したことを除き、前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料の菌数を測定した。
【0039】
3.試験結果
この試験の結果は図3に示すとおりである。図中●は対照試料、△はNo.1088、□はラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株を示す。図3から明らかなとおり、No.1088添加試料では24時間後のヘリコバクター・ピロリの菌数が1.0×103.8/ml、48時間後には検出限界以下であった。一方、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株添加試料では、24時間後のヘリコバクター・ピロリの菌数が1.0×104.9/ml、48時間後には検出限界以下であった。この試験結果から、No.1088は公知のラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基凖株よりも10倍以上エッシェリキア・コリ(Escherichia coli)O−157を抑制することが認められた。
【0040】
試験例7
この試験は、No.1088のサルモネラ菌に対する抑制効果を調べるために行った。
1.試料の調製
前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料を調製した。尚、サルモネラ菌(Salmonella thyphimurium LT2)は、臨床分離株で東海大学医学部生体防御学保存株である。
【0041】
2.試験方法
前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料の菌数を測定した。
【0042】
3.試験結果
この試験の結果は図4に示すとおりである。図中●は対照試料、△はNo.1088、□はラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株を示す。図4から明らかなとおり、No.1088添加試料では12時間後にはサルモネラ菌の検出限界以下であった。一方、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株添加試料では、12時間後のサルモネラ菌の菌数が1.0×10/mlであった。この試験結果から、No.1088は公知のラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株よりも1000倍以上サルモネラ菌を抑制することが認められた。
【0043】
試験例8
この試験は、No.1088のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)に対する抑制効果を調べるために行った。
1.試料の調製
嫌気培養を行ったことを除き、前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料を調製した。尚、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)JCM1296は、理化学研究所リソースセンターから入手した。
【0044】
2.試験方法
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の菌数測定のための培養にシーシーエフエー(CCFA)寒天培地を使用したことを除き、前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料の菌数を測定した。
【0045】
3.試験結果
この試験の結果は図5に示すとおりである。図中●は対照試料、△はNo.1088、□はラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株を示す。図5から明らかなとおり、No.1088添加試料では48時間後にはクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)JCM1296が1.0×10/ml検出された。一方、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株添加試料では、48時間後のクロストリジウム・ティフィシル(Clostridium difficile)JCM1296の菌数が1.0×103.6/mlであった。この試験結果から、No.1088は公知のラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株よりもクロストリジウム・ティフィシル(Clostridium difficile)JCM1296を抑制することが認められた。
【0046】
試験例9
この試験は、No.1088のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対する増殖抑制効果を調べるために行った。
1.試料の調製
嫌気培養を行ったことを除き、前記試験例5と同様の方法により試料及び対照試料を調製した。尚、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TI3001は、臨床分離株で東海大学医学部生体防御学保存株である。
【0047】
2.試験方法
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TI3001の菌数測定のための同菌の接種菌数を1.0×10/mlにしたこと及び菌数測定のための培地を次のとおり変更したこと除き、前記試験例4と同様の方法により試料及び対照試料の菌数を測定した。菌数測定のための培地は、ポテトデキストロース寒天培地(ニッスイ製薬社製)を滅菌後、10%酒石酸を培地11当たり1.4ml添加し、pHを3.5に調整したものを使用した。
【0048】
3.試験結果
この試験の結果は図6に示すとおりである。図中●は対照試料、△はNo.1088、□はラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株を示す。図6から明らかなとおり、No.1088添加試料では48時間後にカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TI3001の菌数が2×10/ml検出された。一方、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)の基準株添加試料では48時間後にカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TI3001の菌数が5×10/mlであった。この試験結果から、No.1088は、公知のラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)基準株よりもカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TI3001を抑制することが認められた。
【0049】
試験例10
この試験は、No.1088のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染マウスに対する抑制効果を調べるために行った。
1.試料の調製
4週齢の無菌マウス(東海大学医学部生体防御学繁殖マウス)15匹に、試験例4と同一の方法により培養したヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130(臨床分離株。東海大学医学部生体防御学保存株)を3日間1.0×10/0.5mlを経口投与し、常法により飼育した。4週間飼育後、5匹のマウスを屠殺し、胃組織中のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130の菌数を、次の試験方法に記載の方法により測定した結果、いずれのマウスも胃組織1g当たり10〜10のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130の感染が確認され、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130感染マウスを作成した。
【0050】
2.試験方法
前記ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130感染マウス10匹に、試験例4と同一の方法により調製したNo.1088 1.0×10を1回経口投与し、常法により飼育した。No.1088投与、2週間後及び4週間後にそれぞれ感染マウス5匹を屠殺し、胃組織中のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130の菌数を次の方法により測定した。尚、No.1088を投与しない10匹を対照マウス試料とした。
【0051】
胃組織中のヘリコバクター・ピロリ菌数の測定は、マウスをエーテルで麻酔し、胃を摘出し、胃の内容物を除去し、滅菌したリン酸緩衝化生理食塩水を添加し、ガラスホモジナイザー(旭テクノグラス社製。5ml容)で破砕し、試料液を調製した。この試料液を1

広げ、37℃で4〜5日微好気培養し、出現したコロニー数に希釈倍率を乗じて菌数を測定した。尚、この試験を2回実施した。
【0052】
3.試験結果
この試験の結果は、図7に示すとおりである。図中黒の表示はNo.1088を投与しない対照群の平均値、白の表示はNo.1088を投与した群の平均値を示し、両群の有意差検定(T検定)の結果をp<0.05と表示している。図7から明らかなとおりNo.1088投与しない対照群では2回の試験とも胃組織中に1.0×104.7/gのヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130が存在していたが、No.1088を投与した試料群では胃組織中のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130が1.0×102.4/g(第1回)、1.0×10/g(第2回)であり、対照群よりも有意に減少していたことが認められた。従って、No.1088の経口投与がヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130の抑制に有効であることが証明された。
【0053】
試験例11
この試験は、No.1088の腸内菌叢への影響を調べるために行った。
1.試料の調製
試験例10と同一の無菌マウス10匹に、ヒト成人の糞便を100倍に希釈した希釈液を経口投与し、常法により4週間飼育し、ヒトフローラ・マウスを調製した。
【0054】
2.試験方法
前記ヒトフローラ・マウス10匹に、No.1088をエム・アール・エス・ブロス(MRS broth)(ベクトン・デッキンソン社製)により37℃で24時間培養した培養液(2.0×10/mlの菌数)を1回0.5ml連日経口投与して常法により飼育し、4週間後の各マウスの糞便中の菌叢を光岡の方法(光岡知足著、「腸内菌の世界:嫌気性菌の分離と同定」、叢文社、1980年)により次のとおり検出した。尚、残りのヒトフローラ・マウス5匹には何も投与せず、常法により4週間飼育し、対照群とした。
【0055】
次の培地を使用した。尚、メーカー名の記載のない培地は、本発明者が、前記光岡の方法に基づいて調製した。
1)非選択培地
a.嫌気培養用
イー・ジー(EG)寒天培地(ニッスイ製薬社製)、ビー・エル(BL)寒天培地(ニッスイ製薬社製)
b.好気培養用
トリプト・ソイ血液寒天培地(ベクトン・デッキンソン社製)
【0056】
2)選択培地
a.嫌気培養用
*ビー・エス(BS)寒天培地(ニッスイ製薬社製):ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)選択培地
*イー・エス(ES)寒天培地:ユーバクテイリウム(Eubacterium)選択培地
*エヌ・ビー・ジー・ティー(NBGT)寒天培地:バクテロイデス(Bacteroides)選択培地
*変法ブイ・エス(VS)寒天培地:ベイロネラ(Veillonella)選択培地
*エヌ・エヌ(NN)寒天培地:クロストリジウム・パーフリンゲス(Clostridium perfringes)選択培地
*シー・シー・エフ・エー(CCFA)寒天培地(オクソイド社製):クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)選択培地
【0057】
b.好気培養用
*変法エル・ビー・エス(LBS)寒天培地(ベクトン・デッキンソン社製):ラクトバシラス(Lactobacillus)選択培地
*ディー・エッチ・エル(DHL)寒天培地(ニッスイ製薬社製):エンテロバクテリア(Enterobacteria)選択培地
*ティー・エー・ティー・エー・シー(TATAC)寒天培地:エンテロコッカス(Enterococcus)選択培地
*ピー・イー・イー・エス(PEES)寒天培地:スタフィロコッカス(Staphylococcus)選択培地
*ポテト・デキストロース寒天培地(ニッスイ製薬社製):酵母選択培地
*エヌ・エー・シー(NAC)寒天培地(ニッスイ製薬社製):緑膿菌選択培地
【0058】
前記各平板培地に希釈した試料液を滴下し、37℃で3日間好気培養又は嫌気ジャー(三菱化学社製。角型ジャー標凖型)にアネロパック(三菱化学社製)を入れて嫌気培養した。培養後、出現した集落を計測し、のちグラム染色し、細胞の形態学的観察及び集落の好気・嫌気培養条件下の育成の有無から細菌群を決定した。
【0059】
3.試験結果
この試験の結果は、図8に示すとおりである。図中、両群の有意差検定(T検定)の結果をp<0.05と表示している。図8から明らかなとおり、No.1088投与群では糞便1gから1.0×10〜10のNo.1088が検出された。また、善玉菌と言われているビフィズス菌(Bifidobacteria)が対照群よりも有意に増加し、腐敗菌(Clostridia)が対照群よりも有意に減少したことが認められた。従って、No.1088は、ヒトの腸内菌叢に極めて有利に作用することが確認された。
【0060】
以上の試験結果を総括すれば、図2、図3、図4、図5及び図6に示すインビトロの試験において明らかなとおり、No.1088は多くの病原菌に対して格段の抑制効果を有し、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)基準株JCM2012よりも、その抑制効果は顕著であった。更に、動物実験においても図7及び図8に示すとおり、ヘリコバクター・ピロリ感染に対する抑制効果、整腸作用を有するビフィズス菌の増加、腐敗菌(Clostridia)の抑制が実証され、No.1088はプロバイオティクスとして格段に有効な菌株であることが立証された。
【発明の効果】
【0061】
本発明は、ラクトバシラス属に属する乳酸菌であって、pH1.0の緩衝液において少なくとも60分間生存し得る強い耐酸性を有すること、短時間で増殖すること、及び病原菌の増殖を抑制すること、の性質を有することを特徴とする新規な乳酸菌、並びに前記新規な乳酸菌を使用し、加工することを特徴とする各種製品に関するものであり、本発明が奏する効果は次のとおりである。
1)優れた耐酸性を有するので、服用又は摂取したとき胃酸による死滅が少なく、大量の 菌数を腸に到達させ、プロバイオティクス効果を高める新規な乳酸菌を提供する。
2)この新規な乳酸菌は、発酵製品、健康食品、機能性食品、医薬品等の広範囲な製品に 利用することが可能である。
3)この新規な乳酸菌は、プロバイオティクスとして広範囲の病原菌の抑制効果を有し、 特に胃内のヘリコバクター・ピロリ感染に対して顕著な抑制効果を有する。
4)この新規な乳酸菌は、ビフィズス菌等の有用細菌を増加させ、腐敗菌であるクロスト リジウムを減少させる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
次に本発明を実施するための最良の形態について、実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0063】
エムアールエス・ブロス(MRS broth)(ベクトン・デッキンソン社製)101にNo.1088を生菌数濃度1×10/mlの割合で接種し、37℃で15時間培養し、培養終了後、遠心分離により集菌し、集菌した菌体を濃度0.85%の滅菌食塩水に懸濁し、遠心分離により洗浄した菌体を集菌し、10%の脱脂粉乳及び1%のグルタミン酸ナトリウムを含有する溶液に洗浄した菌体を懸濁し、常法により凍結乾燥し、約50gの乾燥菌末を製造した。得られた乾燥菌末の生菌数を前記試験例1と同一の方法により測定した結果2.0×1011/gであった。
【0064】
前記No.1088の乾燥菌体10gを水分3%以下の市販デキストリン(松谷化学社製。パインデックス)4.99kgに倍散し、乳酸菌末約5kgを製造した。得られた乳酸菌末の生菌数を前記試験例1と同一の方法により測定した結果4.0×10/gであった。
【実施例2】
【0065】
殺菌した原料乳10kgに、スターターとしてNo.1088、ラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)(市販ヨーグルトから分離した菌株)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(市販ヨーグルトから分離した菌株)の等量混合菌末を2%の割合で添加したことを除き、常法のタンク発酵タイプによりタンク内で発酵させ、約10kgのヨーグルトを製造した。
【実施例3】
【0066】
実施例1で得られたNo.1088の乾燥菌体2.0kgを、約0.3gずつそのまま直接打錠し、約6.500個の錠剤を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上記載したとおり、No.1088は、優れた耐酸性を有するので、発酵製品、健康食品、機能性食品、医薬品等の広範囲な製品に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】 図1は、No.1088とラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)LC1のDNAの電気泳動図である。
【図2】 図2は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130に対するNo.1088の抑制効果を示す。
【図3】 図3は、腸管出血性大腸菌O−157に対するNo.1088の抑制効果を示す。
【図4】 図4は、Salmonella thyphimurium LT2に対するNo.1088の抑制効果を示す。
【図5】 図5は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)JCM1296に対するNo.1088の抑制効果を示す。
【図6】 図6は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TI3001に対するNo.1088の抑制効果を示す。
【図7】 図7は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)No.130感染マウスに対するNo.1088の抑制効果を示す。
【図8】 図8は、ヒトフローラマウスの腸内菌叢に対するNo.1088の影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバシラス属に属する乳酸菌であって、次のa)乃至d)
a)pH1.0の緩衝液において少なくとも60分間生存する強い耐酸性を有すること、
b)短時間で増殖すること、
c)病原菌を抑制すること、及び
d)有用な細菌の増殖を促進すること、
の性質を有することを特徴とする新規な乳酸菌。
【請求項2】
ラクトバシラス属に属する乳酸菌が、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)No.1088(受託番号:NITE P−278)である請求項1に記載の新規な乳酸菌。
【請求項3】
ラクトバシラス属に属する乳酸菌であって、次のa)乃至d)
a)pH1.0の緩衝液において少なくとも60分間生存する強い耐酸性を有すること、
b)短時間で増殖すること、
c)病原菌を抑制すること、及び
d)有用な細菌の増殖を促進すること、
の性質を有する新規な乳酸菌を使用し、加工することを特徴とする各種製品。
【請求項4】
ラクトバシラス属に属する乳酸菌が、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)No.1088(受託番号:NITE P−278)である請求項3に記載の各種製品。
【請求項5】
加工が、新規な乳酸菌による発酵、新規な乳酸菌の混合、新規な乳酸菌の菌末化又は新規な乳酸菌の錠剤化である請求項3に記載の各種製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−271931(P2008−271931A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141034(P2007−141034)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(507173573)
【出願人】(593206894)スノーデン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】