説明

新規な化合物及び製造方法

本発明は、式(IV)の殺虫性中間体の合成における、式(I)、(II)及び(III)の化合物(ここで置換基は、請求項1に定義された通りである)の使用方法、当該化合物の製造方法、殺虫性中間体を調製するための当該化合物の使用方法、及び式(II')及び(III')の新規化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間体としての式(I)、(II)及び(III)の化合物の使用方法、当該化合物の製造方法、当該化合物を使用する式(IV)の殺虫性中間体の製造方法、及び式(II')及び(III')の新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、カルバメート殺虫剤の合成、例えば、欧州特許第1661886号及び特許出願公開第2006225340号に開示のもの、及びビスアミド殺虫剤の合成、例えば欧州特許第1714958号、特許出願公開第2006/306771号、欧州特許第1911751号、欧州特許第1916236号、及び国際公開第07/017075号に開示のものに適する中間体である。
【0003】
カルバメート殺虫剤及びビスアミド殺虫剤、及び各種好適な中間体、例えば、3−アミノ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミド及びその他の3−アミノ−ベンザミド等の製造方法は、欧州特許第1661886号、特許出願公開第2006225340号、欧州特許第1714958号、特許出願公開第2006/306771号、欧州特許第1911751号、欧州特許第1916236号、及び国際公開第07/017075号に開示されている。これらの参考文献によれば、3−アミノ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドを以下の通りに作製した。
a)3−ニトロ−安息香酸を、塩化3−ニトロ−ベンゾイルに変換した。
b)塩化3−ニトロ−ベンゾイルを、アニリンである2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミンと反応させ、3−ニトロ−ベンザミドである3−ニトロ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドを形成させ、及び
c)3−ニトロ−ベンザミドである3−ニトロ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミド]を還元し、所望の3−アミノ−ベンザミドである3−アミノ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドとして得た。さらに、例えば、ステップa)で、2−フルオロ−3−ニトロ−安息香酸等の置換3−ニトロ−安息香酸を用い、及び/又はステップb)で、異なるアニリン、例えば2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミンを用いることにより3−アミノ−ベンザミドを作製した。この3つの合成ステップは実験室において満足のいく結果が得られたが、カルバメート殺虫剤又はビスアミド殺虫剤を業務用に大量生産する場合、3−アミノ−ベンザミドのより短い合成経路が必要である。
【0004】
ビスアミド殺虫剤及び中間体のための新規でより良好な製造の要請があり、この要請は、本中間体及び関連反応により満たされる。本発明は、代替の3ステップ合成、及びカルバメート殺虫剤又はビスアミド殺虫剤を業務用で大量生産する場合により好適な、より短い2ステップ合成を提供する。これらの合成は、不利な特徴を有する反応(例えば、高価な試薬はコストの点で不利であり、水素ガス等の気体を必要とする反応は、安全性の点で不利であり、塩化スズ(II)等の重金属を必要とする反応は、(生態)毒性の点で不利である)を行う必要がない。これらの代わりに、有利な特徴を有する反応を使用する、中間体合成のための合成経路を提供する(例えば、塩化スルホニルは安価な試薬であり、気体も重金属も必要としない)。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明は式(IV)の化合物又はそのN−酸化物もしくは塩の製造における、式(I)の化合物又はそのN−酸化物もしくは塩、又は式(II)の化合物又はそのN−酸化物もしくは塩、又は式(III)の化合物又はそのN−酸化物もしくは塩の、中間体としての使用方法を提供する。
【0006】
【化1】

【0007】
【化2】

【0008】
【化3】

【0009】
【化4】

【0010】
【化5】

【0011】
上記式(IV)中、
1、A2、A3及びA4は、互いに独立に、C−R3又は窒素であり、A1、A2、A3及びA4のうち2つ以下は窒素であり、
2は、水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキルカルボニル−であり、
2は、酸素又は硫黄であり、
各々R3は、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ−、C1−C4ハロアルコキシ−、チオール、C1−C4アルキルチオ−、C1−C4ハロアルキルチオ−、C1−C4アルキルスルフィニル−、C1−C4ハロアルキルスルフィニル−、C1−C4アルキルスルホニル−、C1−C4ハロアルキルスルホニル−、アミノ、N−C1−C4アルキルアミノ−又はN,N−ジ−(C1−C4アルキル)−アミノ−であり、及び
2は、式(A)又は(B)部分であり、
ここで、
1及びY5は、各々独立に、ハロゲン、シアノ、チオシアナート、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4アルキル−、シアノ−C1−C4アルキル−、C1−C3アルキルチオ−、C1−C3ハロアルキルチオ−、C1−C3アルキルスルフィニル−、C1−C3ハロアルキルスルフィニル−、C1−C3アルキルスルホニル−又はC1−C3ハロアルキルスルホニル−であり、
3は、C2−C6パーフルオロアルキル、C1−C6パーフルオロアルキルチオ−、C1−C6パーフルオロアルキルスルフィニル−又はC1−C6パーフルオロアルキルスルホニル−であり、
2及びY4は、各々独立に、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルであり、
6及びY9は、各々独立に、ハロゲン、シアノ、チオシアナート、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4−アルキル−、シアノ−C1−C4−アルキル−、C1−C3アルキルチオ−、C1−C3ハロアルキルチオ−、C1−C3アルキルスルフィニル−、C1−C3ハロアルキルスルフィニル−、C1−C3アルキルスルホニル−又はC1−C3ハロアルキルスルホニル−であり、
8は、C1−C4ハロアルコキシ−、C2−C6パーフルオロアルキル、C1−C6パーフルオロアルキルチオ−、C1−C6パーフルオロアルキルスルフィニル−又はC1−C6パーフルオロアルキルスルホニル−であり、
7は、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルである。
【0012】
a)上記式(I)中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(IV)の化合物の定義の通りである。
【0013】
b)上記式(II)中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(IV)の化合物の定義の通りである。
【0014】
c)上記式(III)中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(IV)の化合物の定義の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物は、幾何異性体又は光学異性体又は互変異性体の異なる状態で存在してもよい。本発明は、当該全ての異性体及び互変異性型異性体及び全ての比率のその混合物、並びに重水素化化合物等の同位体を包含する。
【0016】
単独であるか、又はより大きい基(例えばアルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル)の一部としての各アルキル部分は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、プロプ−2−イル、n−ブチル、ブト−2−イル、2−メチル−プロプ−1−イル又は2−メチル−プロプ−2−イルがある。アルキル基は、好ましくは、C1〜C6アルキル基であり、より好ましくはC1−C4、最も好ましくはC1−C3である。
【0017】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0018】
ハロアルキル基(単独であるか、又はより大きい基(例えばハロアルコキシ又はハロアルキルチオ)の一部として)は、1又は複数の、同じか又は異なるハロゲン原子により置換されるアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、又は2,2−ジフルオロエチルがある。パーフルオロアルキル基(単独であるか、又はより大きい基(例えば、パーフルオロアルキルチオ)の一部として)は、ハロアルキル基の特定タイプであり、これらは、フッ素原子で完全に置換されるアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロ−プロプ−2−イル、又はノナフルオロ−ブト−2−イルがある。
【0019】
シアノアルキル基は、1又は複数のシアノ基で置換されるアルキル基であり、例えば、シアノメチル又は1,3−ジシアノプロピルがある。
【0020】
任意の組み合わせでの、A1、A2、A3、A4、R2、G2、R3及びG2の好ましい基を以下に示す。当該好ましい基を、式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物のそれぞれへ適用する。
【0021】
好ましいA1は、C−R3である。
好ましいA2は、C−R3である。
好ましいA3は、C−R3である。
好ましいA4は、C−R3である。
好ましいR2は、水素、メチル、エチル又はアセチルであり、より好ましくは水素、メチル又はエチルであり、さらにより好ましくは水素又はエチルであり、最も好ましくは水素である。
【0022】
好ましいG2は、水素である。
好ましい各々のR3は、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル又はC1−C4アルコキシ−であり、より好ましくは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシ−であり、さらにより好ましくは、水素、フルオロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル又はメトキシ−であり、よりさらに好ましくは、水素、フルオロ又はシアノであり、最も好ましくは水素である。
【0023】
好ましいQ2は、式(A)部分である。
好ましいY1は、ハロゲン、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチル−であり、より好ましくはブロモ、クロロ、メチル、エチル又はメトキシメチル−であり、さらにより好ましくはブロモ、メチル又はエチルであり、最も好ましくはメチルである。
【0024】
好ましいY2は、水素、クロロ、フルオロ又はメチルであり、最も好ましくは水素である。
好ましいY3は、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロプ−2−イル、ヘプタフルオロプロピルチオ−、ヘプタフルオロプロピルスルフィニル−、ヘプタフルオロプロピルスルホニル−、ヘプタフルオロプロプ−2−イルチオ−、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルフィニル−、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルホニル−又はノナフルオロブト−2−イルであり、より好ましくは、ヘプタフルオロプロプ−2−イル又はノナフルオロブト−2−イルであり、最も好ましくは、ヘプタフルオロプロプ−2−イルである。
【0025】
好ましいY4は、水素、クロロ、フルオロ又はメチルであり、最も好ましくは水素である。
好ましいY5は、ハロゲン、シアノ、メチル、エチル又はトリフルオロメチルであり、より好ましくはブロモ、クロロ、メチル又はエチルであり、さらにより好ましくはブロモ、メチル又はエチルであり、最も好ましくはメチルである。
【0026】
好ましいY6は、ハロゲン、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチル−であり、より好ましくは、ブロモ、クロロ、メチル、エチル又はメトキシメチル−であり、さらにより好ましくは、ブロモ、メチル又はエチルであり、最も好ましくはメチルである。
【0027】
好ましいY7は、水素、クロロ、フルオロ又はメチルであり、最も好ましくは水素である。
【0028】
好ましいY8は、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロプ−2−イル、ヘプタフルオロプロピルチオ−、ヘプタフルオロプロピルスルフィニル−、ヘプタフルオロプロピルスルホニル−、ヘプタフルオロプロプ−2−イルチオ−、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルフィニル−、ヘプタフルオロプロプ−2−イルスルホニル−又はノナフルオロブト−2−イルであり、より好ましくは、ヘプタフルオロプロプ−2−イル又はノナフルオロブト−2−イルであり、最も好ましくは、ヘプタフルオロプロプ−2−イルである。
【0029】
好ましいY9は、ハロゲン、シアノ、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチル−であり、より好ましくは、ブロモ、クロロ、メチル、エチル又はメトキシメチル−であり、さらにより好ましくはブロモ、メチル又はエチルであり、最も好ましくはメチルである。
【0030】
好ましい実施態様によれば、A1、A2、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A1はC−Fであり、A2、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A2はC−Fであり、A1、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A3はC−Fであり、A1、A2及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A4はC−Fであり、A1、A2及びA3はCHである。
好ましい実施態様によれば、A1はC−CNであり、A2、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A2はC−CNであり、A1、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A3はC−CNであり、A1、A2及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A4はC−CNであり、A1、A2及びA3はCHである。
好ましい実施態様によれば、A1はC−NO2であり、A2、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A2はC−NO2であり、A1、A3及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A3はC−NO2であり、A1、A2及びA4はCHである。
好ましい実施態様によれば、A4はC−NO2であり、A1、A2及びA3はCHである。
【0031】
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジメチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−エチル−6−メチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジエチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−メトキシメチル−6−メチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−ブロモ−6−メチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−ブロモ−6−エチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジクロロ−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジブロモ−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジメチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−エチル−6−メチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジエチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−メトキシメチル−6−メチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−ブロモ−6−メチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2−ブロモ−6−エチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジクロロ−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
好ましい実施態様によれば、Q2は2,6−ジブロモ−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルである。
【0032】
本発明を説明する式(I)の化合物の例を、表1に示す。
【0033】
表1:
表1に、G2が酸素であり、X1、X2、X3及びX4が表1で特定される基である、13個の式(I)の化合物を示す。
【0034】
【化6】

【0035】
【表1】

【0036】
本発明を説明する式(II)の化合物の例を、表2に示す。
【0037】
表2:
表2に、G2が酸素であり、X1、X2、X3及びX4が表2で特定される基である、13個の式(II)の化合物を示す。
【0038】
【化7】

【0039】
【表2】

【0040】
本発明を説明する式(III)の化合物の例を、表3〜表18に示す。
【0041】
表3:
表3に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジメチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
【0042】
【化8】

【0043】
【表3】

【0044】
表4に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−エチル−6−メチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表5に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジエチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表6に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−メトキシメチル−6−メチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表7に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−ブロモ−6−メチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表8に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−ブロモ−6−エチル−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表9に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジクロロ−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表10に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジブロモ−4−(ヘプタフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
【0045】
表11に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジメチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表12に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−エチル−6−メチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表13に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジエチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表14に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−メトキシメチル−6−メチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表15に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−ブロモ−6−メチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表16に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2−ブロモ−6−エチル−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表17に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジクロロ−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
表18に、G2が酸素であり、R2が水素であり、Q2が2,6−ジブロモ−4−(ノナフルオロプロプ−2−イル)−フェニルであり、及びX1、X2、X3及びX4が表3で特定される基である、13個の式(III)の化合物を示す。
【0046】
【化9】

【0047】
スキームAは、反応(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)を要約するものであり、ここでそれぞれ、式(II)の殺虫性中間体は式(I)の化合物から調製され、式(III)殺虫性中間体は式(II)の化合物から調製され、式(IV)の殺虫性中間体は式(III)の化合物から調製され、式(IV)の殺虫性中間体は式(II)の化合物から調製され、及び式(III)殺虫性中間体は式(IV)から調製される。
【0048】
【化10】

【0049】
1)式(II)の酸塩化物を、式(I)のアミノ−カルボン酸から、塩化チオニルでの処理等の当業者に既知の方法により作製してもよい。この反応は、例えばJournal fuer Praktische Chemie (Leipzig) (1937), 148, 161-169に記載がある。当該反応は、好ましくは好適な溶媒中で行うことができ、溶媒としては、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばエーテル(テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、又は1,1,1−トリクロロエタン等)、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族(トルエン又はクロロベンゼン等)、又はその混合物がある。
【0050】
【化11】

【0051】
2)式(III)の化合物を、塩基性条件下(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、又は過剰量の式HNR22のアミンの存在下、又は炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウム等の酸捕捉剤の存在下)、式HNR22のアミンで処理することによりアミノ結合を形成させ、作製してもよい。当該反応は、好ましくは好適な溶媒中で行うことができ、溶媒としては、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばエーテル(テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、又は1,1,1−トリクロロエタン等)、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族(トルエン又はクロロベンゼン等)、又はその混合物がある。
【0052】
【化12】

【0053】
3)式(IV)の化合物を、中性又は酸性又は塩基性条件下(好ましくは、酸性条件、例えば、希塩酸の存在下)、式(III)の化合物を水で処理することにより作製してもよい。当該反応は、好ましくは好適な溶媒中で行うことができ、溶媒としては、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばエーテル(テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、又は1,1,1−トリクロロエタン等)、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族(トルエン又はクロロベンゼン等)、又はその混合物(例えば、ジクロロメタンとテトラヒドロフランの混合物)がある。
【0054】
【化13】

【0055】
4)(4)型の反応は、(2)型の反応と(3)型の反応の組み合わせである。式(III)の化合物は加水分解の影響を受け易く、当該化合物を単離するのではなく、通常取り扱いのより容易な式(IV)の化合物に直接変換することが便利である。さらに、これは実際のステップ数を1つ減らし、最後の変換は、反応混合物の水中操作の際に、都合良く式(III)の化合物とすることができる。塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイルと、第一級アミンとの反応は、例えば、欧州特許第54,839号に記載されている。塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイルと、アニリン、2−メチル−アニリン及び2−メトキシ−アニリンとの反応は、例えば、Deposited Doc. (1975), (VINITI 2561-2575), (CAN 87:134385)に記載されている。塩化2−スルフィニルアミノ−ベンゾイルと、アニリンとの反応は、例えばJournal of Organic Chemistry (2001), 66(8), 2784-2788に記載されている。ただし、これらの参考文献の中に、式(III)の中間体を開示するものはない。ここで、式(III)の化合物は2)型反応の直接生成物であり、式(III)の化合物はその後、例えば水中操作の際に加水分解されることが示されている。当該反応は、好ましくは好適な溶媒中で行うことができ、溶媒としては、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばエーテル(テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、又は1,1,1−トリクロロエタン等)、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族(トルエン又はクロロベンゼン等)、又はその混合物がある。
【0056】
【化14】

【0057】
5)式(III)の化合物を、当業者に既知の方法、例えば塩化チオニルでの処理等により、式(IV)のアミノ−カルボン酸誘導体を処理することにより作製してもよい。当該反応は、好ましくは好適な溶媒中で行うことができ、溶媒としては、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばエーテル(テトラヒドロフラン又はジエチルエーテル等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、又は1,1,1−トリクロロエタン等)、ハロゲン化もしくは非ハロゲン化芳香族(トルエン又はクロロベンゼン等)、又はその混合物がある。
【0058】
式(II)及び(III)の特定の化合物は新規であり、これらは本発明のさらなる態様を形成する。従って、本発明は以下の式(II')(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(I)の化合物の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物もしくは塩を提供する。ただし、(II')は、塩化2−クロロ−5−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化4−メトキシ−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化4−メチル−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化2,3,4,6−テトラヨード−5−スルフィニルアミノ−ベンゾイル又は塩化2,4,6−トリヨード−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイルではない。
【0059】
【化15】

【0060】
好ましいA1、A2、A3、A4及びG2は、式(I)の化合物の対応する置換基について説明した好ましいものと同じである。
【0061】
さらに、本発明は式(III')(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(I)の化合物の定義の通りであり、R2及びQ2は、式(III)の化合物の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物もしくは塩を提供する。好ましいA1、A2、A3、A4及びG2は、式(I)の化合物の対応する置換基について説明した好ましいものと同じである。好ましいR2及びQ2は、式(III)の化合物の対応する置換基について説明した好ましいものと同じである。
【0062】
【化16】

【0063】
以下の実施例は、限定するものではないが、本発明を説明するものである。
【0064】
調製の実施例:
1.(1)型反応
実施例1.1:塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイルの調製
【0065】
【化17】

【0066】
塩化チオニル(95.17 g, 0.8 mol)を、トルエン(250 ml)中の3−アミノ−安息香酸(27.43 g, 0.2 mol)溶液に添加した。反応混合物を2時間還流させながら加熱した。過剰な塩化チオニル及びトルエンを、減圧下で蒸発させた。残存物の精製を、真空下(0.40 bar)167℃で、バブル−トゥー−バブル(bulb-to-bulb)蒸留により行い、塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(29.6 g, 収率73.4%)を得た。
【0067】
実施例1.2:塩化3−スルフィニルアミノ−4−ブロモ−ベンゾイルの調製
【0068】
【化18】

【0069】
塩化チオニル(4.4 g, 37 mmol)を、トルエン(12 ml)中の3−アミノ−4−ブロモ−安息香酸(2 g, 9.25 mmol)溶液に添加した。反応混合物を2時間還流させながら加熱した。過剰な塩化チオニル及びトルエンを、減圧下で蒸発させた。残存物の精製を、真空下(0.40 bar)130℃で、バブル−トゥー−バブル(bulb-to-bulb)蒸留により行い、塩化3−スルフィニルアミノ−4−ブロモ−ベンゾイル(0.978, 収率48.9%)を得た。
【0070】
実施例1.3:塩化3−スルフィニルアミノ−4−シアノ−ベンゾイルの調製
【0071】
【化19】

【0072】
塩化チオニル(4.4 g, 37 mmol)を、トルエン(12 ml)中の3−アミノ−4−シアノ−安息香酸(2.0 g, 9.25 mmol)(実施例6.1)溶液に添加した。反応混合物を2時間還流させながら加熱した。過剰な塩化チオニル及びトルエンを、減圧下で蒸発させた。この生成物をさらなる精製を行わずに使用した。
【0073】
2.(2)型反応
実施例2.1:3−スルフィニルアミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミドの調製
【0074】
【化20】

【0075】
乾燥重クロロホルム(0.5 ml)中の塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(0.033 g, 0.165 mmol)(実施例1.1)溶液を、25℃で攪拌させながら、そこに重クロロホルム(0.5 ml)中の2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(0.050 g, 0.165 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)溶液を添加した。40℃で14時間攪拌後、ピリジン(0.013 g, 0.16 mmol)を反応混合物に添加し、その後25℃で60時間攪拌した。反応混合物の一定量を、乾燥アセトニトリルで希釈し、直接注入により質量分析に供した(条件は以下を参照)。
【0076】
【化21】

【0077】
質量分析解析:溶媒アセトニトリルでの直接注入。注入速度は、5 μl/分であった。質量分析検出は、Quattro Micro triple quadrupole mass spectrometer(Waters)で行った。
【0078】
【表4】

【0079】
実施例2.2:3−スルフィニルアミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミドの調製(別法)
【0080】
【化22】

【0081】
乾燥重クロロホルム(0.5 ml)中の塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(0.033 g, 0.165 mmol)(実施例1.1)溶液を、25℃で攪拌させながら、そこに重クロロホルム(0.5 ml)中の2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(0.050 g, 0.165 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)溶液を添加した。25℃で60時間攪拌後、反応混合物を1H−NMR分光分析に供した。反応混合物中に、所望の化合物と共に、未反応の出発物質が検出された。シグナル強度から、変換率は40%であることが示された。
【0082】
【化23】

【0083】
実施例2.3:3−スルフィニルアミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミドの調製(別法)
【0084】
【化24】

【0085】
重クロロホルム(1.0 ml)中の2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(0.100 g, 0.33 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)溶液を、25℃で攪拌させながら、そこに乾燥重クロロホルム(1.0 ml)中の塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(0.033 g, 0.165 mmol)(実施例1.1)溶液を添加した。40℃で8時間攪拌後、反応混合物のサンプルを、1H−NMR分光分析に供した。所望の化合物は、その特徴的シグナル(実施例2.2に記載の1H−NMRデータを参照されたい)に基づいて、反応混合物中に検出され、また未反応の出発物質も存在した。シグナル強度から、変換率は85%であることが示された。反応混合物の一定量を乾燥アセトニトリルで希釈し、直接注入を介して質量分析に供した(実施例2.1の記載と同じ条件)。
【0086】
【化25】

【0087】
実施例2.4:3−スルフィニルアミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミドの調製(別法)
【0088】
【化26】

【0089】
重クロロホルム(1.0 ml)中の、2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(0.082 g, 0.27 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)及び微粉砕炭酸カリウム(0.112 g, 0.81 mmol)の懸濁物を、25℃で攪拌させながら、そこに乾燥重クロロホルム(1.0 ml)中の塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(0.055 g, 0.27 mmol)(実施例1.1)溶液を添加した。反応混合物を40℃で16時間攪拌した。懸濁物サンプルを1H−NMR分光分析に供した。所望の化合物は、その特徴的シグナル(実施例2.2に記載の1H−NMRデータを参照されたい)に基づいて、反応混合物中に検出され、また未反応の出発物質も存在した。反応混合物の一定量を乾燥アセトニトリルで希釈し、直接注入を介して質量分析に供した(実施例2.1の記載と同じ条件)。
【0090】
【化27】

【0091】
3.(3)型反応
実施例3.1:3−アミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミドの調製
【0092】
【化28】

【0093】
ジクロロメタン(2 ml)及びテトラヒドロフラン(2 ml)中の、3−スルフィニルアミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミド(0.111 g, 0.237 mmol)(例えば、実施例2.1)溶液を、塩酸(2N)(1 ml)で処理し、25℃で30分攪拌した。減圧下で反応混合物から有機溶媒を除去した。残存物を炭酸水素ナトリウム(飽和)水溶液で中性化し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、所望の化合物を得た。
【0094】
【化29】

【0095】
4.(4)型反応
実施例4.1:3−アミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)フェニル]−ベンザミドの調製(別法)
【0096】
【化30】

【0097】
ジクロロメタン(30 ml)中の、2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(2.09 g, 6.9 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)の溶液を、25℃で攪拌させながら、そこにピリジン(0.8 ml, 9.9 mmol)及びジクロロメタン(7 ml)中の塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(1.39 g, 6.9 mmol)(実施例1.1)溶液を連続的に添加した。反応混合物を、室温で6時間攪拌した。反応混合物を、塩酸(2N)(4 ml)の添加により反応停止させ、20分勢いよく攪拌した。混合物を、水(20 ml)で希釈し、相を分離した。水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合した有機相を、炭酸水素ナトリウム(飽和)水溶液及びブラインで連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製した(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン 1:4〜3:2)。溶媒を蒸発させた後、黄色オイルをヘキサンで倍散し、結晶化させる。所望の化合物を、白色結晶として単離した。融点、143〜145℃。1H−NMRは実施例3.1に記載の通りである。
【0098】
実施例4.2:3−アミノ−N−[2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−6−チオシアナート−フェニル]−ベンザミドの調製
【0099】
【化31】

【0100】
無水ジクロロメタン(80 ml)中の2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−6−チオシアナート−フェニルアミン(3.00g, 9.05 mmol)(実施例6.2)溶液に、無水ジクロロメタン(10 ml)中の塩化3−スルフィニルアミノベンゾイル(2.74 g, 13.58 mmol)(実施例1.1)溶液、及び無水ジクロロメタン(10 ml)中のピリジン(2.15 g, 27.15 mmol)溶液を、20℃で添加した。反応混合物を、室温で1時間攪拌した。反応混合物へ水(50 ml)を添加することにより反応を停止させた。相を分離後、水相をジクロロメタンで抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン 2:3)、3−アミノ−N−[2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−6−チオシアナート−フェニル]−ベンザミドを得た。
【0101】
【化32】

【0102】
実施例4.3:3−アミノ−4−ブロモ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドの調製
【0103】
【化33】

【0104】
無水テトラヒドロフラン(2 ml)中の、2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(0.31 g, 1.1 mmol mol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)の溶液に、無水テトラヒドロフラン(2 ml)中の、ピリジン(0.174 g, 2.2 mmol)及び塩化3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(0.25 g, 0.86 mmol)(実施例1.2)溶液を、20℃で添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水(5 ml)を添加し、反応を停止させた。相分離後、水相を酢酸エチルで抽出した。混合した有機相をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン 1:3)、3−アミノ−4−ブロモ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドを得た(0.235 g, 収率78%)。
【0105】
【化34】

【0106】
実施例4.4:3−アミノ−4−ブロモ−N−[2,6−ジクロロ−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドの調製
【0107】
【化35】

【0108】
無水ジクロロメタン(25 ml)中の2,6−ジクロロ−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(1.02g, 3.1 mmo)(実施例6.3)溶液に、ピリジン(0.74 g, 2.0 mmol)及び塩化4−ブロモ−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル(0.94 g, 9.30 mmol)(実施例1.2)を、20℃で連続的に添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。その後反応混合物を、50℃で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、その後ジメチルホルムアミド(50 ml)を添加した。ジクロロメタンを蒸発させ、反応混合物を130℃で16時間加熱した。炭酸水素ナトリウム(飽和)水溶液(10 ml)の添加により、反応を停止させた。相を分離後、水相を酢酸エチルで抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン 1:5〜1:0)、3−アミノ−4−ブロモ−N−[2,6−ジクロロ−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドを得た。
【0109】
【化36】

【0110】
実施例4.5:3−アミノ−4−シアノ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドの調製
【0111】
【化37】

【0112】
テトラヒドロフラン(3 ml)中の、2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(0.19 g, 0.69 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)の溶液に、ピリジン(0.145 g, 1.84 mmol)及び塩化3−スルフィニルアミノ−4−シアノ−ベンゾイル(0.150 g, 0.92 mmol)(実施例1.3)溶液を20℃で連続的に添加した。2時間後、反応混合物に炭酸水素ナトリウム(飽和)水溶液及び水の混合物(1:1、10 ml)を添加することにより反応を停止させた。相の分離後、水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン、1:1〜1:0)、3−アミノ−4−シアノ−N−[2,6−ジメチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドを得た(0.049 g, 収率16.4%)。
【0113】
【化38】

【0114】
5.(5)型反応
実施例5.1:3−スルフィニルアミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミドの調製(別法)
【0115】
【化39】

【0116】
四塩化炭素(1 ml)中の3−アミノ−N−[2−エチル−6−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル]−ベンザミド(0.100 g, 0.237 mmol)(実施例4.1)の懸濁物を、50℃まで加熱すると透明溶液になった。四塩化炭素中の塩化チオニル溶液(1.68 M)(0.725 ml, 1.218 mmol)を添加し、混合物を80℃で1時間加熱した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、残存物をシクロヘキサンで倍散した。懸濁物を濾過し、溶液を高真空下で乾燥させた。所望の化合物を白色結晶として得た。融点100〜108℃。1H−NMRは、実施例2.2に記載のものと同じである。
【0117】
【化40】

【0118】
6.中間体の合成
実施例6.1:3−アミノ−4−シアノ−安息香酸の調製
【0119】
【化41】

【0120】
ジメチルホルムアミド(6.0 g, 276 mmol)中の3−アミノ−4−ブロモ−安息香酸()の溶液に、シアン化亜鉛(11.66 g, 99.4 mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(9.57 g, 8.28 mmol)を室温で連続的に添加した。混合物を100℃で14時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、その後さらにシアン化亜鉛(0.65 g, 5.54 mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.9 g, 1.64 mmol)を室温で連続的に添加した。混合物を100℃で1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却させ、トルエン及びアンモニア水溶液(1M)混合物の添加により反応を停止させた。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン、1:2〜1:0)、3−アミノ−4−シアノ−安息香酸を得た(2.94 g, 収率67%)。
【0121】
実施例6.2:2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−6−チオシアナート−フェニルアミンの調製
【0122】
【化42】

【0123】
酢酸((30 ml)中の2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(5.0 g, 18.20 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)溶液に、酢酸(20 ml)中のチオシアナートカリウム(7.25 g, 74.62 mmol)の溶液を添加した。この溶液を5℃まで冷却し、酢酸(10 ml)中の臭素(3.2 g, 1.03 ml)を添加した。反応混合物を室温までもどし、室温で3時間攪拌した。反応混合物に水を添加することにより反応を停止させた。混合物を酢酸エチルで抽出した(3×100 ml)。混合した有機抽出物を、水酸化ナトリウム(10 g/l)(100 ml)、水(100 ml)及びブライン(100 ml)で連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥さえ、濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン、1:3)、2−メチル−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−6−チオシアナート−フェニルアミンを得た(3.7 g, 収率61.2%)。
【0124】
【化43】

【0125】
実施例6.3:2,6−ジクロロ−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミンの調製
【0126】
【化44】

【0127】
ジクロロメタン(150 ml)中の4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミン(10 g, 38.30 mmol)(欧州特許第1,006,102号に従って調製)溶液に、N−クロロスクシンイミド(「NCS」)(21.48 g, 160.8 mmol)を20℃で添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。水酸化ナトリウム水溶液(2N)の添加により反応を停止し、相を分離した。水相をジクロロメタンで抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残存物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィで精製し(溶離液:酢酸エチル/シクロヘキサン、1:4)、2,6−ジクロロ−4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニルアミンを得た(7.6 g, 収率60.1%)。
【0128】
【化45】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)
【化1】

(式中、
1、A2、A3及びA4は、互いに独立に、C−R3又は窒素であり、A1、A2、A3及びA4のうち2つ以下は窒素であり、
2は、水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルキルカルボニル−であり、
2は、酸素又は硫黄であり、
各々のR3は、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ−、C1−C4ハロアルコキシ−、チオール、C1−C4アルキルチオ−、C1−C4ハロアルキルチオ−、C1−C4アルキルスルフィニル−、C1−C4ハロアルキルスルフィニル−、C1−C4アルキルスルホニル−、C1−C4ハロアルキルスルホニル−、アミノ、N−C1−C4アルキルアミノ−又はN,N−ジ−(C1−C4アルキル)−アミノ−であり、及び
2は、式(A)又は(B)部分であり、
【化2】

ここで、
1及びY5は、各々独立に、ハロゲン、シアノ、チオシアナート、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4アルキル−、シアノ−C1−C4アルキル−、C1−C3アルキルチオ−、C1−C3ハロアルキルチオ−、C1−C3アルキルスルフィニル−、C1−C3ハロアルキルスルフィニル−、C1−C3アルキルスルホニル−又はC1−C3ハロアルキルスルホニル−であり、
3は、C2−C6パーフルオロアルキル、C1−C6パーフルオロアルキルチオ−、C1−C6パーフルオロアルキルスルフィニル−又はC1−C6パーフルオロアルキルスルホニル−であり、
2及びY4は、各々独立に、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルであり、
6及びY9は、各々独立に、ハロゲン、シアノ、チオシアナート、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、C1−C4アルコキシ−C1−C4−アルキル−、シアノ−C1−C4−アルキル−、C1−C3アルキルチオ−、C1−C3ハロアルキルチオ−、C1−C3アルキルスルフィニル−、C1−C3ハロアルキルスルフィニル−、C1−C3アルキルスルホニル−又はC1−C3ハロアルキルスルホニル−であり、
8は、C1−C4ハロアルコキシ−、C2−C6パーフルオロアルキル、C1−C6パーフルオロアルキルチオ−、C1−C6パーフルオロアルキルスルフィニル−又はC1−C6パーフルオロアルキルスルホニル−であり、
7は、水素、ハロゲン又はC1−C4アルキルである)
の化合物、又はそのN−酸化物もしくは塩の製造における、
a)式(I)
【化3】

(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(IV)の化合物の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物もしくは塩、又は
b)式(II)
【化4】

(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(IV)の化合物の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物もしくは塩、又は
c)式(III)
【化5】

(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、式(IV)の化合物の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物もしくは塩、
の中間体としての使用方法。
【請求項2】
式(III)
【化6】

(式中、A1、A2、A3、A4、R2、G2及びQ2は、請求項1の定義の通りである)の化合物を製造する方法であって、式(II)
【化7】

(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、請求項1の定義の通りである)の化合物を、塩基性条件下、式HNR22(式中、R2及びG2は、請求項1の定義の通りである)のアミンで処理することにより製造する方法。
【請求項3】
式(IV)
【化8】

(式中、A1、A2、A3、A4、R2、G2及びQ2は、請求項1の定義の通りである)の化合物を製造する方法であって、式(III)
【化9】

(式中、A1、A2、A3、A4、R2、G2及びQ2は、請求項1の定義の通りである)の化合物を、水で処理することにより製造する方法。
【請求項4】
式(IV)
【化10】

(式中、A1、A2、A3、A4、R2、G2及びQ2は、請求項1の定義の通りである)の化合物を製造する方法であって、式(II)
【化11】

(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、請求項1の定義の通りである)の化合物を、塩基性条件下、式HNR22(式中、R2及びG2は、請求項1の定義の通りである)のアミンで処理し、その後水で当該中間体を処理することにより製造する方法。
【請求項5】
式(II')
【化12】

(式中、A1、A2、A3、A4及びG2は、請求項1の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物又は塩であるが、(II')は、塩化2−クロロ−5−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化4−メトキシ−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化4−メチル−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイル、塩化2,3,4,6−テトラヨード−5−スルフィニルアミノ−ベンゾイル又は塩化2,4,6−トリヨード−3−スルフィニルアミノ−ベンゾイルではない、化合物。
【請求項6】
式(III')
【化13】

(式中、A1、A2、A3、A4、R2、G2及びQ2は、請求項1の定義の通りである)の化合物、又はそのN−酸化物又は塩。

【公表番号】特表2010−537957(P2010−537957A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522263(P2010−522263)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007160
【国際公開番号】WO2009/030457
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】