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新規な成体組織由来の幹細胞およびその用途
説明

新規な成体組織由来の幹細胞およびその用途

本発明の課題は、成体組織由来の幹細胞を生体内での性質を維持したまま分離、同定および培養する技術を確立すること、成体組織由来の幹細胞を有効成分として含有する組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療剤を提供することである。該課題を解決するため、本発明は、成体組織由来であって、CD45陰性およびCXCR4陽性である幹細胞を提供する。また本発明は、該幹細胞を有効成分として含有する組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療薬を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、骨髄、皮膚、骨格筋、脂肪組織、末梢血等の成体組織に存在する幹細胞に関する。本発明は、また該幹細胞を含有する組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療薬及び該幹細胞の利用法に関する。
【背景技術】
神経変性疾患、脳梗塞、閉塞性血管病、心筋梗塞組織、心不全、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、気管支炎、間質性肺疾患、喘息、B型肝炎、C型肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝不全、膵炎、糖尿病、クローン病、炎症性大腸炎、IgA腎症、腎炎、腎不全、褥瘡、熱傷、縫合創、裂傷、切開創、咬傷、皮膚炎、肥厚性瘢痕、ケロイド、糖尿病性潰瘍、動脈性潰瘍、静脈性潰瘍などの組織の破壊、変性、異型新生(線維化など)を伴う疾患を根治する有効な治療法はない。
近年の幹細胞生物学の進展から該疾患の治療を目的として培養幹細胞からヒト組織や細胞を分化誘導する技術が検討されている。幹細胞とは自己複製能と様々な組織に分化できる多分化能とを併せ持つ細胞である。幹細胞は採取部位から胚性幹細胞(ES細胞)、胎生幹細胞、成体幹細胞、臍帯血幹細胞、胎盤幹細胞の大きく5つに分類することができる。本発明での成体とは出産後の個体を示す。すなわち成体組織とは、非胎児性、非胚性の組織を示す。
胞胚期の胚の内部細胞塊と呼ばれる部位から分離されるES細胞(Embryonic stem cell)や胎児の生殖腺から採取されるEG細胞(Embryonic germ cell)は、成体のすべての細胞に分化できる全能性(totipotency)を有することから組織を再構築するための材料として注目されている[今日の移植,14,542−548(2001)]。また、胎児の組織からは神経幹細胞などの組織特異的な幹細胞が分離・培養されている[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,14720−14725(2000)]。しかし、このような胚や胎児由来の幹細胞を取得するには、胚や胎児を破壊することが必要なことから倫理的な問題を包含しており、また脳死臓器移植の場合と同様に患者自身の細胞でないことから免疫拒絶の問題を回避することも簡単ではない。さらに、胚の幹細胞や胎児の幹細胞は個体の発生のために機能する細胞であることから、成体の幹細胞とは性質が異なり、また成体組織に対する親和性も異なっている。実際、ES細胞を成体の組織に移植すると腫瘍を形成する。以上のことから、胚や胎児由来の細胞を成体に移植する治療法は長期間にわたる安全性を検証することが容易ではないことを示している。
成体組織由来の幹細胞の場合には患者自身の細胞を用いた治療が可能である。
幹細胞は、自己複製能を有することから細胞の大量製造が可能である。したがって、生体外で培養・製造した幹細胞が組織中の幹細胞と同質のものであることを証明することで、移植の際の安全性を担保することが可能である。皮膚や軟骨を再生するための商品がすでに販売されている[蛋白質 核酸 酵素,45,2342−2347(2000)]。
しかし、成体の組織中に存在する組織特異的な幹細胞は分裂能に限りがあることから、十分に細胞量を確保するのが困難という欠点がある。また、組織特異的な幹細胞を用いる限りは、その組織の治療にしか利用できず、汎用性がない。
しかし、最近成体組織中に成体のほとんどすべての細胞に分化する能力を持つ多分化能幹細胞が存在することが明らかになった(WO01/11011、WO01/21767、WO01/48149)。
当該細胞は無限に増殖する自己複製能を有することから大量に細胞を製造することも可能である。また本細胞は胚由来のES細胞とは異なり、成体組織に移植しても腫瘍を形成することはない。このような多分化能幹細胞は、出生後のヒト皮膚、骨格筋、骨髄から取得できることが示されている。
しかし、該細胞は長期培養を経た後に多分化能を獲得することから、培養により生体内とは異なる性質を獲得した可能性がある。このような培養により人工的に性質を改変した細胞を治療目的で移植すると、長期的には患者にガン化や異型新生などの副作用を引き起こすおそれがある。
【発明の開示】
本発明の目的は、成体組織由来の幹細胞を有効成分として含有する組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療剤を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(14)に関する。
(1) 成体組織由来であって、CD45陰性およびCXCR4陽性であることを特徴とする幹細胞。
(2) 成体組織が、骨髄、皮膚、骨格筋、脂肪組織および末梢血からなる群から選ばれる組織である、上記(1)記載の幹細胞。
(3) 骨髄を酵素処理により細胞を抽出したのち、抗CD45抗体、抗CD34抗体および抗Ter119抗体を用いて分離される上記(1)または(2)記載の幹細胞。
(4) 酵素が、コラゲナーゼである上記(3)記載の幹細胞。
(5) 幹細胞が多分化能幹細胞である、上記(1)〜(4)のいずれか1項記載の幹細胞。
(6) 骨髄を酵素処理により細胞を抽出したのち、抗CD45抗体、抗CD34抗体および抗Ter119抗体を用いて幹細胞を分離することを特徴とする上記(1)または(2)記載の幹細胞の分離方法。
(7) 酵素が、コラゲナーゼである上記(6)記載の方法。
(8) 幹細胞が多分化能幹細胞である上記(6)または(7)記載の方法。
(9) 上記(1)〜(5)のいずれか1項記載の幹細胞を有効成分として含有する組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療剤。
(10) 組織破壊を伴う疾患が、神経疾患、呼吸器系疾患、循環器系疾患、肝臓疾患、膵臓疾患、消化管系疾患、腎臓疾患および皮膚疾患のいずれかである上記(9)記載の予防および/または治療剤。
(11) ファイブロネクチンを含み、かつマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)およびリューケミア阻害因子(LIF)の少なくとも1種類の物質を添加した培地で培養することを特徴とする、上記(1)〜(5)記載の幹細胞を増殖させる方法。
(12) マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、リューケミア阻害因子(LIF)およびフィブロネクチンで添加した培地で培養することを特徴とする上記(1)〜(5)記載の幹細胞を増殖させる方法。
(13) (1)〜(5)のいずれか1項記載の幹細胞を用いることを特徴とする組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療方法。
(14) 組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療剤の製造のための、(1)〜(5)のいずれか1項記載の幹細胞の使用。
本発明の幹細胞としては、成体組織由来であって、CD45陰性およびCXCR4陽性である幹細胞があげられる。好ましくは、CD45陰性およびCXCR4陽性であって、幹細胞抗原マーカーを発現する幹細胞があげられる。
幹細胞抗原マーカーとしては、CD34、c−kit、Sca−1などがあげられる。
成体組織としては、成体内の組織であれば特に制限はないが、例えば骨髄、皮膚、骨格筋、脂肪細胞、末梢血などがあげられる。
本発明の幹細胞は骨髄を酵素処理により細胞を分離した後、抗CD45抗体、抗CD34抗体、抗Ter119抗体等の各種細胞マーカーに対する抗体を用いることにより調製することができる。酵素としては、トリプシン、ディスパーゼ、コラゲナーゼなどがあげられる。
例えば骨髄をコラゲナーゼ処理により細胞を抽出する方法としては、後述する1の方法があげられる。
本発明において、組織破壊を伴う疾患としては、神経疾患、呼吸器系疾患、循環器系疾患、肝臓疾患、膵臓疾患、消化管系疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肺疾患などがあげられる。
神経疾患としては、脳梗塞、脳血管障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、脊髄損傷、うつ病、躁鬱病などがあげられる。
呼吸器系疾患としては、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、気管支炎、喘息、間質性肺炎、肺線維症などがあげられる。
循環器系疾患としては、閉塞性血管病、心筋梗塞、心不全、冠動脈疾患などがあげられる。
肝臓疾患としては、B型肝炎、C型肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝不全などがあげられる。
膵臓疾患としては、糖尿病、膵炎などがあげられる。
消化管系疾患としては、クローン病、潰瘍性大腸炎などがあげられる。
腎臓疾患としては、IgA腎症、腎炎、腎不全などがあげられる。
皮膚疾患としては、褥瘡、熱傷、縫合創、裂傷、切開創、咬傷、皮膚炎、肥厚性瘢痕、ケロイド、糖尿病性潰瘍、動脈性潰瘍、静脈性潰瘍などがあげられる。
肺疾患としては、肺気腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、特発性間質性肺炎(肺線維症)、びまん性肺線維症、結核、喘息などがあげられる。
以下に本発明の幹細胞を調製する方法を示す。
1.骨髄中の幹細胞の分離法
ヒトの骨髄中より本発明の幹細胞を取得する方法としては、以下の方法があげられる。
ヒト体内から骨片を回収し、骨片表面の筋肉・腱・軟骨などの組織を除去した後、はさみで細かく切断ならびに破砕することで細かい骨片にする。細かい骨片をPBSで3回洗った後、酵素を含む培養液に懸濁し、37℃で2時間インキュベーションする。培養液を40μmマイクロフィルターに通過させ、Bone Marrow Extracted Cell(以下BMECと称する)を回収することができる。BMEC中には多能性を有する幹細胞が含有される。
酵素としては、コラゲナーゼ、トリプシンなどがあげられるが、好ましくはコラゲナーゼがあげられる。具体的にはCollagenase type IA(Sigma社製)などがあげられる。コラゲナーゼ濃度としては、0.06〜0.6%、好ましくは0.2%があげられる。
培養液としては、上述の酵素および2.4units Dispase(Gibco社製)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM;GIBCO社製)などがあげられる。
BMECから本発明の幹細胞を分離する方法としては、抗体とフローサイトメトリー(FACSソーター)を利用する方法があげられる。
骨髄は造血組織である。そこで、BMEC液に含まれる血球細胞を分離するために、白血球細胞マーカーであるCD45、赤血球細胞マーカーであるTer−119を指標として、抗CD45抗体(BD Parmingen 30−F11)、抗Ter−119抗体(BD Parmingen Ter−119)を用いて、CD45陽性・Ter−119陽性画分(以下BMEC CD45+細胞と称する)を除去する。
残りの細胞画分は、幹細胞マーカーであるCD34を指標として、抗CD34抗体(BD Pharmingen RAM34)を用いてCD45陰性・Ter−119陰性・CD34陽性画分(以下BMEC CD45−/34+と称する)、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陰性画分(以下BMEC CD45−/34−と称する)に分離する。二つの画分にはいずれもCXCR4陽性細胞が存在する。二つの画分から、さらにCXCR4陽性細胞を濃縮するには、抗CXCR4抗体(BD Pharmingen)を用いて、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陽性・CXCR4陽性細胞画分(以下BMEC CD45−/34+/CXCR4+と称する)、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陰性・CXCR4陽性画分(以下BMEC CD45−/34−/CXCR4+と称する)を分離する。
BMEC CD45−/34−またはBMEC CD45−/34+中の幹細胞をさらに濃縮するには、幹細胞を染色しない核酸染色試薬Hoechst33342を用いて、side−population cell(以下SP細胞)を採取するか、血管内皮細胞及び造血幹細胞を初めとする幹細胞マーカーであるCD31、CD144およびFlk−1を指標として、抗CD31抗体(BD Parmingen MEC13.3)
抗CD144抗体(BD Parmingen 11D4.1)および抗FLK−1抗体(BD Parmingen Avas12α1)、造血幹細胞で発現されているマーカーであるCD117、Tie−2およびCD90を指標として、抗CD117抗体(BD Pamingen 2B8)、抗体Tie−2抗体および抗CD90抗体(BD Parmingen 52−2.1)、ならびに間葉系幹細胞のマーカーであるALCAM−1を指標として、抗ALCAM−1抗体を用いて本発明の幹細胞を分画することができる。
2.皮膚中の幹細胞の分離・培養法
ヒトの皮膚より本発明の幹細胞を取得する方法としては、以下の方法があげられる。
ヒトのひざの裏や臀部より表皮、真皮を含む皮膚組織を採取する。該皮膚組織を0.6%トリプシン(Gibco社製)/DMEM/F−12(Gibco社製)/1%anti−biotics,anti−mycotics(Gibco社製)に皮膚内側を下にして浸し、37℃30分間処理する。
皮膚組織を裏返して内側をピンセットで軽くこすった後、はさみを使って皮膚組織を約1mmに細断し、1200rpm10分間室温で遠心分離する。上清を除去し、組織沈殿に対して25ml 0.1%トリプシン/DMEM/F−12/1%anti−biotics,anti−mycoticsを加えスターラーを用いて37℃200−300rpm40分間で攪拌する。組織沈殿が十分消化されたことを確認後、3ml FBS(JRH)を加えガーゼ(PIP社製Type I)、100μmナイロンフィルター(FALCON)、40μmナイロンフィルター(FALCON)の順で濾過する。1200rpm室温で10分間遠心分離し上清を除去後、DMEM/F−12/1%anti−biotics,anti−mycoticsを加えて沈殿を洗浄し、1200rpm室温で10分間遠心分離する。上清を除去し、5ml DMEM/F−12/B−27(Gibco)/1%anti−biotics,anti−mycotics/20ng/ml EGF(Genzyme)/40ng/ml FGF(Genzyme)を加えφ60mm浮遊細胞用培養皿(FALCON)を用いて37℃ 5% COで培養を行う。
培養開始後1週毎にSphere形成細胞を含む浮遊細胞分画を回収し、1200rpm室温で10分間遠心分離する。細胞沈殿をTransfer pipettes(Samco SM262−1S)を用いてバラバラにした後、50%コンディションメディウムに交換して培養を継続する。EGF,FGFは2〜3日毎に添加する。このようにして、取得されたSphereの中に皮膚由来の本発明の幹細胞が濃縮される。このようにして得られた皮膚中の本発明の幹細胞はCXCR4陽性となる。
3.骨格筋中の幹細胞の分離法
ヒトの骨格筋より幹細胞を取得する方法としては、以下の方法があげられる。
ヒトの上腕二頭筋の外側頭や下腿の縫工筋などの筋肉を含む結合組識を切皮して摘出後、縫合する。取得した全筋ははさみあるいはメスを利用してミンチ状にした後、collagenase type IA(sigma)を0.06%、FBSを10%含むDMEM(high glucose)にけん濁し、37Cで2時間インキュベーションする。ミンチ状の筋肉より分離してきた細胞を回収後、遠心分離により細胞を回収しFBSを10%含むDMEM(high glucose)にけん濁する。該けん濁液をまず半径40μmマイクロフィルターを通過させた後、半径20μmのマイクロフィルターを通すことによりSmooth Muscle Extracted Cell(以下SMECと称する)を回収することができる。SMEC中には多能性幹細胞が含有される。
幹細胞は、抗体とフローサイトメトリー(FACSソーター)を利用してSMEC液より分離することができる。まずSMEC液に含まれる血球細胞を分離するために、白血球細胞マーカーであるCD45、赤血球細胞マーカーであるTer−119を指標として、抗CD45抗体(BD Parmingen 30−F11)、抗Ter−119抗体(BD Parmingen Ter−119)を用いて、CD45陽性・Ter−119陽性画分(以下SMEC CD45+細胞と称する)を除去する。残りの細胞画分は、幹細胞マーカーであるCD34を指標として、抗CD34抗体(BD Pharmingen RAM34)を用いてCD45陰性・Ter−119陰性・CD34陽性画分(以下SMEC CD45−/34+と称する)、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陰性画分(以下SMEC CD45−/34−と称する)に分離する。二つの画分にはいずれもCXCR4陽性細胞が存在する。二つの画分から、さらにCXCR4陽性細胞を濃縮するには、抗CXCR4抗体(BD Pharmingen)を用いて、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陽性・CXCR4陽性細胞画分(以下SMEC CD45−/34+/CXCR4+と称する)、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陰性・CXCR4陽性画分(以下SMEC CD45−/34−/CXCR4+と称する)を分離する。
SMEC CD45−/34−またはSMEC CD45−/34+中の幹細胞をさらに濃縮するには、幹細胞を染色しない核酸染色試薬Hoechst33342を用いて、side−population cell(以下SP細胞)を採取するか、血管内皮細胞及び造血幹細胞を初めとする幹細胞マーカーであるCD31、CD144およびFlk−1を指標として、抗CD31抗体(BD Parmingen MEC13.3)、抗CD144抗体(BD Parmingen 11D4.1)および抗FLK−1抗体(BD Parmingen Avas12α1)、造血幹細胞で発現されているマーカーであるCD117、Tie−2およびCD90を指標として、抗CD117抗体(BD Parmingen 2B8)、抗体Tie−2抗体および抗CD90抗体(BD Parmingen 52−2.1)、ならびに間葉系幹細胞のマーカーであるALCAM−1を指標として、抗ALCAM−1抗体を用いて細胞を分画することができる。
4.脂肪組織中の幹細胞の分離法
ヒトの脂肪組織より幹細胞を取得する方法としては、以下の方法があげられる。
ヒトの胸部あるいは腹部の脂肪組織を主に含む結合組識を切皮して摘出後、縫合する。取得した脂肪組織ははさみまたはメスを利用してミンチ状にした後、collagenase type IA(sigma)を0.06%、FBSを10%含むDMEM(high glucose)にけん濁し、37Cで2時間インキュベーションする。ミンチ状の脂肪組織より分離してきた細胞を回収後、遠心分離により細胞を回収しFBSを10%含むDMEM(high glucose)にけん濁する。該けん濁液をまず半径40μmマイクロフィルターを通過させた後、半径20μmのマイクロフィルターを通すことによりAdipocyte Extracted Cell(以下ACECと称する)を回収することができる。ACEC中には多能性幹細胞が含有される。
幹細胞は、抗体とフローサイトメトリー(FACSソーター)を利用してACEC液より分離することができる。まずACEC液に含まれる血球細胞を分離するために、白血球細胞マーカーであるCD45、赤血球細胞マーカーであるTer−119を指標として、抗CD45抗体(BD Parmingen 30−F11)、抗Ter−119抗体(BD Parmingen Ter−119)を用いて、CD45陽性・Ter−119陽性画分(以下ACEC CD45+細胞と称する)を除去する。残りの細胞画分は、幹細胞マーカーであるCD34を指標として、抗CD34抗体(BD Pharmingen RAM34)を用いてCD45陰性・Ter−119陰性・CD34陽性画分(以下ACEC CD45−/34+と称する)、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陰性画分(以下ACEC CD45−/34−と称する)に分離する。二つの画分にはいずれもCXCR4陽性細胞が存在する。二つの画分から、さらにCXCR4陽性細胞を濃縮するには、抗CXCR4抗体(BD Pharmingen)を用いて、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陽性・CXCR4陽性細胞画分(以下ACEC CD45−/34+/CXCR4+と称する)、CD45陰性・Ter−119陰性・CD34陰性・CXCR4陽性画分(以下ACEC CD45−/34−/CXCR4+と称する)を分離する。
ACEC CD45−/34−またはACEC CD45−/34+中の幹細胞をさらに濃縮するには、幹細胞を染色しない核酸染色試薬Hoechst33342を用いて、side−population cell(以下SP細胞)を採取するか、血管内皮細胞及び造血幹細胞を初めとする幹細胞マーカーであるCD31、CD144およびFlk−1を指標として、抗CD31抗体(BD Parmingen MEC13.3)、抗CD144抗体(BD Parmingen 11D4.1)および抗FLK−1抗体(BD Parmingen Avas12α1)、造血幹細胞で発現されているマーカーであるCD117、Tie−2およびCD90を指標として、抗CD117抗体(BD Parmingen 2B8)、抗体Tie−2抗体および抗CD90抗体(BD Parmingen 52−2.1)、ならびに間葉系幹細胞のマーカーであるALCAM−1を指標として、抗ALCAM−1抗体を用いて細胞を分画することができる。
5.末梢血中の多能性幹細胞の分離・培養法
ヒト末梢血より幹細胞を取得する方法としては、以下の方法があげられる。
まず静脈中から血液を50mlから500ml程度採取して細胞を回収し、Ficoll−Hypaque法により単核細胞を回収する[Kanof,M.E.and Smith,P.D.1993 Isolation of whole mononuclear cells from peripheral blood.in Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevack,and W.Strober,eds.)pp7.1.1−7.1.5,John Wiley & Sons,New York.]。次にヒト末梢血単核細胞1×10〜1×10程度を10%牛胎児血清(JRH Biosciences)100μg/ml,Streptomycin 100units/ml Penicillin(Invitrogen)を含むRPMI1640培地(Invitrogen)(以下末梢血幹細胞培養基本培地と称する)を用いて懸濁し、2度洗浄して回収する。回収した細胞は末梢血幹細胞培養基本培地で再懸濁し、100mm dish(BD Falcon)当たり1×10cellsになるように播種して37℃インキュベーターにて8%のCO条件下で培養し、10時間後に浮遊細胞を除去して付着細胞のみをピペッティングにて取得する。取得した付着細胞はFibronectin(BD)処理(5μg/ml)したtissue culture dish(BD Falcon)に3nM phorbol 12−myristate 13−acetate(PMA,ナカライ社製)、50ng/mlのhuman macrophage colony−stimulating growth factor(以下、M−CSFと略記するSigma社製)、または50ng/mlのhuman M−CSF及び1000units/mlのhuman Leukemia Inhibitory factor(以下、LIFと略記するSigma社製)を含む末梢血幹細胞培養基本培地を用いて5×10cells/cmにて播種し、5〜7日に一度培地を半分交換しながら培養する。培養開始後およそ2〜3週間で、双極性の形態を有する末梢血中の多能性幹細胞(Peripheral Blood Fibroblastic Stem Cells、以下PBFSCと称す)を増幅して取得することができる。
6.本発明の多能性幹細胞を有効成分とする組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療剤とその投与方法
上述の方法により得られた本発明の幹細胞を有効成分とする組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療剤は、骨髄、皮膚、骨格筋、脂肪、末梢血いずれの組織由来の幹細胞も用いることができる。
上記1〜5の方法で調製した本発明の幹細胞はヘモネテイックス社のヘモライト2など閉鎖系で細胞の濃縮、洗浄、回収処理が可能な機器を用いて生理食塩水で洗浄し、分離・培養に用いた抗体やサイトカインなどを限りなく100%近くまで除去することが好ましい。このようにして、洗浄濃縮された幹細胞は、通常の点滴法で静脈中に注入するか、患部に直接注入することで組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療に用いることができる。
本発明の幹細胞の投与量としては、疾患または組織破壊の状況によって異なるが、1回あたり10〜10細胞投与するのが好ましい。
また、体内の組織に存在する本発明の幹細胞を、薬剤を用いて組織破壊された部位に動員させることにより、幹細胞を用いて組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療することもできる。
体内の組織、例えば骨髄から薬剤により動員された本発明の幹細胞は、CXCR4のリガンドであるストローマ由来因子−1(SDF−1と略記する)が、組織破壊を受けた部位で発現が増大しているため、組織破壊を受けた部位へ特異的に集積させることができる。したがって、本発明の幹細胞は、組織破壊を伴う疾患を選択的に治療することができる。
体内の組織に存在する幹細胞を動員する薬剤としては、G−CSF活性を有するポリペプチド、レチノイン酸またはレチノイン酸誘導体、CXCR4阻害剤などがあげられる。これらの薬剤は単剤(合剤)としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用または投与することができる。複数の製剤の組み合わせとして使用する際には、同時にまたは時間をおいて別々に使用または投与することができる。
G−CSF活性を有するポリペプチドとしては、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号1記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつG−CSF活性を有するポリペプチド等があげられる。
具体的には、ナルトグラスチム(商品名ノイアップ、協和発酵工業製)、フィルグラスチム(商品名グラン、三共製;商品名Granulokine、ホフマン・ラ・ロシュ製;商品名Neupogen、アムジェン製)、レノグラスチム(商品名ノイトロジン、中外製薬製;商品名Granocyte、アベンティス製)、ペグフィルグラスチム(商品名Neulasta、アムジェン製)、サルグラモスチム(商品名Leukine、シェーリング製)等があげられる。
また、G−CSF活性を有するポリペプチドとしては、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)によって、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するG−CSFとのアミノ酸配列の相同性を検索した際に、好ましくは60%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、もっとも好ましくは95%以上の相同性を有するポリペプチドがあげられる。配列番号1記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が置換し、かつG−CSF活性を有するポリペプチドの具体例を表1に示す。

またG−CSF活性を有するポリペプチドは、化学修飾されていてもよい。
化学修飾の方法としては、例えばWO00/51626に記載の方法等があげられ、例えばポリアルキレングリコールで修飾、例えばポリエチレングリコール(PEG)で修飾したG−CSF活性を有するポリペプチドが包含される。
レチノイン酸誘導体としては、レチノイン酸受容体に結合する化合物であればいかなるものでもよいが、具体的にはパルミチン酸レチノール、レチノール、レチナール、3−デヒドロレチノイン酸、3−デヒドロレチノール、3−デヒドロレチナール等のレチノイン酸誘導体、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、β−クリプトキサンチン、エキネノン等のプロビタミンA等をあげることができる。また、モトレチナイド(商品名Tasmaderm、ホフマン・ラ・ロシュ製、US4105681参照)、WO02/04439に記載の化合物、タザロテン(商品名Tazorac、Allergan社、EP284288参照)、AGN−194310及びAGN−195183(Allergan製、WO97/09297参照)、retinoic acid TopiCare(商品名Avita、Mylan Laboratories製)、UAB−30(CAS Number 205252−59−1、UAB Research Foundation製)等があげられる。
CXCR4阻害剤としてはAMD−3100などがあげられる。
本発明で用いられるG−CSF活性を有するポリペプチドと、レチノイン酸もしくはレチノイン酸誘導体、またはCXCR4阻害剤は、これらそれぞれの有効成分を含有するように製剤化したものであれば、単剤(合剤)としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用または投与することができる。複数の製剤の組み合わせとして使用する際には、同時にまたは時間をおいて別々に使用または投与することができる。なお、これら製剤は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、軟膏、テープ剤、またはドライパウダー、エアロゾル等の吸入剤等の形態として用いることができる。
前記の製剤は、それぞれの有効成分の他に製剤学的に許容される希釈剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、水、生理食塩水、植物油可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を用いて常法により製造することができる。
錠剤の製造にあたっては、例えば乳糖等の賦形剤、澱粉等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いることができる。
注射剤の製造にあたっては、例えば水、生理食塩水、大豆油等の植物油、溶剤、可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を用いることができる。
また、吸入剤はG−CSF活性を有するポリペプチドそのもの、または受容者の口腔及び気道粘膜を刺激せず、かつ該ポリペプチドを微細な粒子として分散させ、吸収を容易にさせる担体等を用いて調製される。担体としては、例えば乳糖、グリセリン等が挙げられる。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
投与量または投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なるが、G−CSF活性を有するポリペプチドでは通常成人1日当たり0.01μg/kg〜10mg/kg、レチノイン酸もしくはレチノイン酸誘導体、またはCXCR4阻害剤では通常成人1日当たり0.1mg/kg〜100mg/kgを投与するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明の実施例を示す。
実施例1 マウス大腿骨・脛骨より骨髄内深部の幹細胞の分離
3〜12週齢の雌マウス(日本クレア社)を頚椎脱臼により致死させ、70%エタノールで十分に消毒した後、はさみまたはメスで皮膚を切除し、下肢大腿骨及び脛骨を取得した。実体顕微鏡下で、微細ハサミ及びメスで、骨の表面にある筋肉・腱・軟骨などの組織を除去した。次に骨を0.5%Tripsin−EDTA(Gibco)に浸し、37℃で1時間インキュベーションした。トリプシン処理した骨から、さらに骨の表面組織を完全に除去し、PBSで十分に洗浄した。ハサミで両端の骨端部を切除し、注射器(PBS入り)の針を骨髄内に刺し、十分量のPBSを溶出することにより骨髄細胞(Bone Marrow Cell、以下BMCと略する)を回収した。
次に、溶出した骨をはさみで細かく切るあるいは砕くことで、骨片にし、PBSで3回洗った後、0.2%のCollagenase type IA(sigma)および2.4単位Dispase(Gibco)を含むDMEM(Gibco)に懸濁し、37℃で2時間インキュベーションした。懸濁液を40μmマイクロフィルターに通過させ、マウスBMECを得た。
BMC液およびBMEC液をFBS5%入りDMEMにそれぞれ浮遊させ、遠心操作を行い、再度FBS入りDMEMに懸濁させることで、細胞を洗浄した。この細胞の洗浄を2回行った。
BMEC液より幹細胞を取得するために、抗体とフローサイトメトリー(FACSソーター)を利用して分離を行った。BMEC液に含まれる細胞から、死細胞を染め分けるpropidium iodide(Molecular Probes)、抗CD45抗体(BD Parmingen 30−F11)、抗Ter−119抗体(BD Parmingen Ter−119)および抗CD34抗体(BD Pharmingen RAM34)を用いて細胞の分離、回収を行った。また核酸染色試薬Hoechst33342(SIGMA)を用いて、幹細胞が濃縮するside−population cell(以下SP細胞)及びマウス造血幹細胞マーカーであるKSL細胞[CD117陽性、Sca−1陽性およびLinage(CD4,CD8a,CD11b,CD45R/B220,Ter−119,Gr−1,BD Parmingen)陰性細胞]の解析を行った。
またBMECのCD45陰性およびTer−119陰性細胞を、抗CD34抗体、抗Sca−1抗体(BD Parmingen D7)、抗CD31抗体(BD Parmingen MEC13.3)、抗CD144抗体(BD Parmingen 11D4.1)、抗FLK−1抗体(BD Parmingen Avas12α1)、抗CD117抗体(BD Parmingen 2B8)、抗ALCAM−1抗体、抗Tie−2抗体および抗CD90抗体(BD Parmingen 52−2.1)、抗CXCR4抗体(BD Pharmingen 2B11)の各抗体を用いて解析を行った。
従来法によって得られるBMCは、CD45陰性且つTer−119陰性細胞がわずか(0.03〜0.5%)であるのに対し、上記に示した方法により得られるBMECは約22.6〜197倍(5.9〜11.3%)であった。またCD45陰性且つCD34陽性細胞は、BMC中にはほとんどなかったのに対し、BMEC中には0.5〜1.1%存在した。従来法では分離できなかった骨髄由来のCD45陰性細胞が、本発明の手法で回収することができた。
BMEC中のCD45陰性且つTer−119陰性細胞は、CD34陽性細胞(1〜18%)とCD34陰性細胞(82〜99%)の2集団に分離することができた。この2集団について、細胞表面に発現する抗原の解析を行った。以下、CD45陰性、Ter−119陰性およびCD34陽性細胞をCD45−/CD34+と称し、CD45陰性、Ter−119陰性およびCD34陰性細胞をCD45−/CD34−と称する。
FACSソーターを使用したBMEC CD45−/CD34+の細胞表面マーカー解析の結果、Sca−1+(91.8%),CXCR4+(31.5%),Flk−1+(33.4%),CD117(15.2%),Tie−2+(57.2%),CD144+(51.3%),CD31+(58.9%),Lineage−(84.0%),CD90.2+(83.4%),SP細胞(1.3〜1.35%)であった。BMEC CD45−/CD34+中のSP細胞の細胞表面マーカー解析を行なった結果、Sca−1(100%),Tie−2+(66%),CD144+(69.3%),CD31+(93.3%)であった。
同様にBMEC CD45−/CD34−の細胞表面マーカー解析の結果は、
Sca−1+(17.6%),CXCR4+(16.3%),Flk−1+(3.6%),CD117(19.9%),Tie−2+(11.3%),CD144(3.0%),CD31+(4.5%),Lineage−(96.2%),CD90.2+(6.9%)、SP細胞(0〜0.07%)であった。BMEC CD45−/CD34−中のSP細胞の細胞表面マーカーを解析した結果、Sca−1(0%),Tie−2+(24.0%),CD144+(19.4%),CD31+(0%)であった。
次に、FACSソーターにより取得したBMEC CD45−/CD34+及びCD45−/CD34−より、RNeasy Mini kit(QIAGEN)を用いて、細胞よりRNAを分離し、Advantage RT−for PCR kit(Clontech)を利用してcDNAを合成した。各DNAと以下に示す塩基配列を有するプライマーを用いることにより、RT−PCRを行い、Flk−1、Flt−1、Tie−2およびCXCR4の各発現を解析した。対照としてはグリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(以下、GAPDHと略記する)の発現を解析した。
GAPDHプライマー:配列番号2および3
Flk−1プライマー:配列番号4および5
Flt−1プライマー:配列番号6および7
Tie−2プライマー:配列番号8および9
CXCR4プライマー:配列番号10および11、配列番号12および13
RT−PCRの結果、BMEC CD45−/CD34+では、Flk−1、Flt−1、Tie−2およびCXCR4はすべて陽性であったが、CD45−/CD34−細胞は、Flk−1およびCXCR4は陽性であり、Flt−1およびTie−2は陰性であった。
実施例2 BMEC CD45−/CD34+およびCD45−/CD34−細胞の培養
実施例1により取得したBMEC CD45−/CD34+細胞およびCD45−/CD34−細胞の多分化能を解析するために以下の方法で培養実験を行った。
BMEC CD45−/CD34+細胞およびCD45−/CD34−細胞をそれぞれ10000cells/mlの条件で、完全なメチルセルロース培地MethocultoGFH4434V(StemCell Tech)で培養を行った。インキュベーションは37℃、5%COに設定した。培養10〜14日目に、BMEC CD45−/CD34+細胞のなかに自律拍動する筋肉様細胞が検出された。そこで、実施例1と同様の方法でCD45−/CD34+細胞からDNAを抽出し、心筋型トロポニンI(Cardiac TroponinI)および骨格筋型トロポニンI(Fast Skeletal TroponinI)の発現をみるために配列番号14および配列番号15ならびに配列番号16および17の特異的プライマーをそれぞれ用いてRT−PCRを行った。
その結果、心筋型トロポニンI陽性、骨格筋型トロポニンIが陽性であることから、骨格筋細胞、心筋細胞への分化が確認された。また細胞内に油滴を持ちOil Redで染色される脂肪細胞も検出された。
血液細胞および血管内皮細胞への支持能が高いマウスストローマ細胞OP−9を培養したのち、6000細胞/ml、FBSを10%含むDMEMの条件でBMEC CD45−/CD34+細胞またはCD45−/CD34−細胞のそれぞれについてOP−9との共培養を行った。インキュベーションは37℃、5%COに設定した。
培養10日目の細胞の様子を顕微鏡下で確認した。BMEC CD45−/CD34+細胞より、筋肉様細胞(24コロニー)および多数の脂肪様細胞が検出された。また、抗CD31抗体を用いた免疫染色によりCD31陽性の血管内皮様細胞(103コロニー)が確認された。
FBSを10%含むDMEM培地で、細胞密度5000cells/cmの条件で培養を行い、細胞がサブコンフレントになった後、継代培養を行った。
抗α−smooth muscle actin抗体(DAKO 1A4)を用いた免疫染色を行った結果、継代数3以上のBMEC CD45−/CD34+由来培養細胞から平滑筋細胞が検出された。
無血清培地として、B27サプリメント(Gibco)を含むDMEM/F12(Gibco)、またはNeuroCulto(StemCell Tech)にhuman FGF(PeproTech)20ng/ml,murin EGF(PeproTech)20ng/mlを添加した培地を用いて、各20000cells/mlのBMEC CD45−/CD34+細胞またはCD45−/CD34−細胞を培養した。
約3週間培養したCD45−/CD34−細胞をFACS解析した結果、CD45−/CD34+が10〜13%検出された。このことは、BMEC CD45−/CD34−細胞を培養することによりCD45−/CD34+を誘導し、増殖させたことを示している。
同様のB27サプリメントを含むDMEM/F12に、FGFおよびEGF、または50ng/mlのhuman β−NGF(R&D)、human Neurotrophin−3(SIGMA)およびhuman Brain−derived neurotrophic factor(SIGMA)を加えた神経幹細胞用培地または神経細胞分化誘導用培地を用いて、ラミニンコートディッシュ(BD Biosciences)上にBMEC CD45−/CD34+細胞、CD45−/CD34−細胞をそれぞれ7〜14日間培養した結果、いずれの細胞も突起を持つ神経様細胞を増殖し、分化誘導することができた。
肝細胞分化誘導培地である、FBSを10%含むHBM(Clonetics)に50ng/mlヒトHGF(SIGMA)および20ng/mlマウスEGFの培地で、ラミニンコートディッシュ(BD Biosciences)で20000cells/mlのBMEC CD45−/CD34+細胞またはCD45−/CD34−細胞をそれぞれ培養した。その結果、CD45−/CD34+細胞またはCD45−/CD34−細胞の両群で、接着型細胞を増殖し、肝細胞に特徴的な2核を有する細胞を検出した。
実施例3 マウス皮膚からの多能性幹細胞の分離・培養
C57BL/6雌マウス 12週齢(日本SLC社)の体毛を除去し、腹側および背側から皮膚組織を採取した。PBS(Phosphate Buffered Saline)(GIBCO社製)で洗浄した後、皮下組織を物理的に除去し、残った皮膚組織(表皮組織および真皮組織)を0.6%トリプシン溶液に浸し37℃で30分間反応させた。0.6%トリプシン溶液は2.5%トリプシン溶液(GIBCO社製)を1% Antibiotic−Antimycotic(GIBCO社製)を含むDMEM/F−12培地(GIBCO社製)に希釈して作製した。
はさみを使って皮膚組織を約1mmに細断した後、1200rpm室温で10分間(CENTRIFUGE 05P−021)(HITACHI社製)遠心分離により皮膚組織片を回収し、0.1%トリプシン溶液に懸濁して攪拌機(MAGNETIC STIRRER HS−3E)(IUCHI社製)を用いて200−300rpm 37℃ 40分間攪拌した。0.1%トリプシン溶液は2.5%トリプシン溶液を1% Antibiotic−Antimycoticを含むDMEM/F−12培地に希釈して用いた。
皮膚組織片が十分消化されたことを確認し、FBS(Fetal Bovine Serum)(JRH社製)を1/10量加えた後、ガーゼ(Type IPIP社製)、100μmナイロンフィルター(FALCON社製)、40μmナイロンフィルター(FALCON社製)の順で濾過した。1200rpm室温で10分間遠心分離して上清を除去後、1% Antibiotic−Antimycoticを含むDMEM/F−12培地を用いて沈殿を洗浄し、1200rpm室温で10分間遠心分離した。上清を除去し、5mlのB−27(GIBCO社製)、20ng/ml EGF(Genzyme社製)、40ng/ml FGF(Genzyme社製)、1% Antibiotic−Antimycoticを含むDMEM/F−12培地に懸濁し、直径60mm浮遊細胞用培養皿(FALCON社製)を用いて37℃、5%CO存在下で培養を行った。
培養開始後1週間毎にSphere形成細胞を含む浮遊細胞分画を回収し、0.1〜4×10細胞/培養皿の密度を保って継代培養を繰り返したところ、Sphereを形成して活発に増殖する細胞(以下A163細胞と記載する)を取得した。また、A163細胞から限界希釈法を用いて単一細胞由来のクローン細胞株計8株(以下Y164、Y165、Y166、Y168、Y170、Y171、Y172、Y173と称する)を樹立した。
限界希釈法は以下に記載する方法で行った。対数増殖期にあるA163細胞を培養上清に希釈し、96ウェルプレート(IWAKI社製)に0.5細胞/ウェルで捲き、37℃ 5%CO存在下で培養した。2−3日毎にEGF、FGFを添加し、1週間毎に1/2量の培地を交換した。細胞数が1000細胞/ウェル以上に達したところで24ウェルプレート(IWAKI社製)に拡大培養し、2×10細胞/ml以上の細胞密度を維持しながら拡大培養を行うことで、A163細胞の単一細胞由来のクローン細胞株を取得した。
トリプシン溶液処理により単一細胞にしたA163細胞をポリ−L−オルニチン(SIGMA社製)/ラミニン(Becton Dickinson社製)コート上で培養し、1%FBS、1% Antibiotic−Antimycoticを含むDMEM/F−12培地で分化誘導したところ、90%以上の効率でOil Red染色陽性脂肪細胞への分化が認められた。また、10%FBS、1% Antibiotic−Antimycoticを含むDMEM/F−12培地で分化誘導したところ、長径50〜100μm、繊維状形態を示し核膜構造が明瞭で抗フィブロネクチン抗体(FN−3E2)(SIGMA社製)陽性な繊維芽細胞への分化が90%以上の効率で認められた。その中には抗α−平滑筋アクチン抗体(1A4)(SIGMA社製)陽性の平滑筋細胞が低頻度(〈5%)ながら含まれることが確認された。A163細胞より樹立したクローン細胞株計8株(Y164、Y165、Y166、Y168、Y170、Y171、Y172、Y173)について同様の解析を行ったところ、全てのクローンでEGFおよびFGF依存的なSphere形成能と増殖が認められ、Y171、Y173を除いて脂肪細胞、繊維芽細胞、平滑筋細胞への分化が認められた。Y171、Y173は脂肪細胞と繊維芽細胞への分化能を示した。
以上の結果より、A163細胞がEGF、FGF依存的な自己複製能と多分化能をもった成体多能性幹細胞であることが明らかとなった。
抗体による染色は以下の方法で行った。細胞を4%パラホルムアルデヒドを含むPBSで室温で15分間固定し、PBSを用いて3回洗浄した後、0.3%Triton X−100(ナカライ社製)を含むPBSに室温15分間反応させた。PBSで3回洗浄後、PBSを用いて1/20に希釈した正常ブタ血清(DAKO社製)を室温で30分間反応させた後、PBSを用いて1/400に希釈した抗フィブロネクチン抗体もしくは抗α−平滑筋アクチン抗体溶液(抗α−smooth muscle actin immunohistology kit)(SIGMA社製)を室温で1時間反応させた。PBSで3回洗浄後、LSAB2 kit(DAKO社製)を用いて陽性細胞を検出した。
さらに、EGF、FGF添加培地により培養した未分化なA163細胞および10%FBS培地により繊維芽細胞に分化誘導したA163細胞の表面抗原を、FACS Caliber(Becton Dickinson社製)を用いて解析した。表面抗原解析は以下の方法で行った。トリプシン溶液処理により単一細胞にした後、5×10細胞を100μlの0.5% BSAを含むPBSに懸濁し、1次抗体2〜10μlを添加して氷上で45分間反応させた。2mlの0.5% BSAを含むPBSを加えて洗浄し、1000rpm室温5分間遠心分離後、1mlのPBSに懸濁し、ナイロンメッシュ(FALCON社製352235+tube)で濾過した後測定を行った。2次抗体反応が必要なものについては上清を除去後1次抗体反応と同様の方法で反応、洗浄を行った。測定はFACS Caliber(Becton Dickinson社製)によって行い、Cell Quest(Becton Dickinson社製)を用いて解析した。1次抗体として抗CD10 rabbit抗体(Santa Cruz社製)、FITC標識抗CD34抗体(Becton Dickinson社製)、ビオチン標識抗CD45抗体(Becton Dickinson社製)、FITC標識抗CD90抗体(Becton Dickinson社製)、PE標識抗c−kit抗体(Becton Dickinson社製)、ビオチン標識抗Ter−119抗体(Becton Dickinson社製)、PE標識抗Sca−1抗体(Becton Dickinson社製)、PE標識抗Flk−1抗体(Becton Dickinson社製)、FITC標識controlrat IgG(Becton Dickinson社製)、PE標識control rat IgG(Becton Dickinson社製)、ビオチン標識rat IgG(Becton Dickinson社製)、Rabbit IgFraction(DAKO)を用いた。2次抗体としてFITC標識抗rabbit Ig抗体(Becton Dickinson社製)およびFITC標識ストレプトアビジン(Becton Dickinson社製)を用いた。
未分化なA163細胞はCD10陰性、CD34陽性、CD45陰性、CD90陽性/陰性、CD117弱陽性、Ter−119陰性、Sca−1強陽性、Flk−1弱陽性を示し、幹細胞抗原であるCD34、c−kit、Sca−1の発現が確認された。一方、繊維芽細胞に分化誘導したA163細胞ではCD10陰性、CD34陰性、CD45陰性、CD90陽性、CD117陰性、Ter−119陰性、Sca−1陽性、Flk−1陰性を示し、CD34、c−kitの発現消失、Sca−1の発現低下が認められた。未分化A163細胞における幹細胞抗原の発現および分化誘導による幹細胞抗原の消失からもA163細胞は成体皮膚組織由来の多能性幹細胞株であることが明らかとなった。
実施例4 マウス皮膚由来多能性幹細胞でのCXCR4受容体の発現
A163細胞のCXCR4遺伝子の発現はReal time RT−PCRにて次のように検討した。
total RNAは、EGFおよびFGF−2により増殖中のA163細胞及びウシ胎児血清処理にて3日間分化誘導したA163細胞よりそれぞれRNeasy kit(Qiagen)を用いて取得し、DNase I(Promega)処理して混在するgenomic DNAを除去したものを用いた。上記total RNA 2.5μgに500ngのoligo dT primer(Invitrogen)および逆転写酵素(SuperScriptII,Invitrogen)を加え、42℃にてcDNAを合成し、PCRのテンプレートとした。PCRはEx−Tag for R−PCR(TAKARA)及びSYBR−Green(Biowhittaker)を含む反応液で増幅し(95℃15秒間、60℃30秒間、70℃30秒間 40サイクル)、ABI PRISM7700 Sequence detector(PERKIN ELMER)にて増幅量を検出した。一反応当たりのテンプレート量はtotal RNA2ngに相当する。
この解析の結果、皮膚由来幹細胞株A163細胞では未分化状態を維持している状態(EGF、FGF2存在下での培養)ではCXCR4遺伝子が発現しており、FBS刺激による分化誘導により少なくとも1/10に減少することを見出した。
実施例5 ヒト末梢血中の多能性幹細胞(PBFSC)の分離・培養
凍結保存されたヒト末梢血単核細胞(5×10cells、Clonetics)は37℃で融解し、10%牛胎児血清(JRH Biosciences)100μg/ml,Streptomycin 100units/ml Penicillin(Invitrogen)を含むRPMI1640培地(Invitrogen)を用いて懸濁し、2度洗浄して回収した。回収した細胞は上記培地で再懸濁し、100mm dish(BD Falcon)当たり1×10cellsになるように播種して37℃インキュベーターにて8% CO条件下で培養し、10時間後に浮遊細胞を除去して付着細胞のみをピペッティングにて取得した。取得した付着細胞はFibronectin(BD)処理(5μg/ml)または未処理のtissue culture dish(BD Falcon)に、3nM phorbol 12−myristate 13−acetate(PMA、ナカライ社製)、50ng/mlのhuman macrophage colony−stimulating growth factor(M−CSF,Sigma)、または50ng/mlのhuman M−CSFおよび1000units/mlのhuman Leukemia Inhibitory factor(LIF,Sigma)を含む上記培地を用いて5×10cells/cmにて播種し、5〜7日に一度培地を半分交換しながら培養した。培養開始後およそ3週間で、M−CSF処理した細胞からは双極性の形態を有する多能性幹細胞が出現した。
また出現頻度はLIFの添加により上昇し、さらにFibronectinコートしたdish上で培養することにより出現頻度が上昇した。
実施例6 末梢血由来多能性幹細胞(PBFSC)数に対するG−CSFの効果
実施例5に従い、凍結ヒト末梢血単核細胞(hPBMC,BioWhittarker社製,Cat.#CC−2702,lot #2F1388)及びG−CSF動員ヒト末梢血単核細胞(MPB,BioWhittarker社製,Cat.#2G−125C,lot #2F0501)を培養し、多能性幹細胞(PBFSC)数に対するG−CSFの効果を検討した。
末梢血単核細胞由来の付着性細胞を5×10cells/cmの密度で播種してfibronectinコート下でM−CSF及びLIF存在下で培養した。およそ4週間後、各末梢血単核細胞からPBFSC細胞が出現したことを目視による形態観察で確認した。単位面積当りのPBFSCの数を計測した結果、PBFSCの出現数は通常の末梢血単核細胞では1.1×10cells/cmでG−CSF動員末梢血由来の単核細胞では2.3×10cells/cm(P=0.002)で、PBFSCの数はG−CSF動員末梢血で有意に増加していた。
実施例7 末梢血由来多能性幹細胞(PBFSC)におけるNucleostemin遺伝子の発現
PBFSCを含む細胞集団に幹細胞が濃縮されているかどうかを検討するため、Real time RT−PCRを用いて幹細胞マーカーであるNucleostemin遺伝子の発現を解析した(Tsai,RYL.et al.Gen.& Dev.16,2991−3003,2002)。
(1) 鋳型cDNAの作製
PBFSCを含む細胞集団よりtotal RNAをRNeasy kit(Qiagen Cat.#74904)を用いて取得し、DNase I(Promega社製 Cat.#M6101)処理して混在するgenomic DNAを除去した。上記total RNA2.5gに500ngのoligo dT primer(Invitrogen社製 Cat.#18418−012)および逆転写酵素(SuperScriptII,Invitrogen社製 Cat.#18064−014)を加え、42℃にてcDNAを合成し、PCRのテンプレートとした(20μl)。cDNA作製の際、逆転写酵素を添加しないサンプルを作製した[RTase(−)]。
(2) プライマーの設定
ヒトNucleostemin遺伝子、ヒトGAPDH遺伝子、ヒトbeta−actin遺伝子に対するプライマーはそれぞれGenbank Acc.#AK027514、AB062273及びNM_001101を元に設定し、合成した(Genset社製)。ヒトNucleostemin遺伝子のフォワードプライマーを配列番号18、リバースプライマーを配列番号19、ヒトGAPDH遺伝子のフォワードプライマーを配列番号20、リバースプライマーを配列番号21、ヒトbeta−actin遺伝子のフォワードプライマーを配列番号22、リバースプライマーを配列番号23に、それぞれ示した。
(3) RT−PCRによる発現の確認
PCR反応はABI PRISM 7700 Sequence detector(PERKIN ELMER)を用いて行った。PCR反応は、上記cDNA0.1μl(一反応当たりのテンプレート量はtotal RNA20ngに相当)、各成分300μMのdNTP(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)、300nMのForward及びReverseプライマー、TaKaRa Ex Taq R−PCR version(TAKARA Cat.#RR007A)1単位、1×R−PCRバッファー、2.5mM Mg2+溶液、5%Dimethyl Sulfoxide(nacalai社製Cat.#134−45)及び0.2×SYBR−Green(Molecular probes社製Cat.#S−7567)を含む反応溶液20μLを用い、94℃で5分間加熱後、95℃15秒、65℃30秒、72℃30秒を1サイクルとして40サイクル行い、更に72℃で10分間加熱することにより行った。反応終了後、得られたPCR反応液より10μLを分取し、2%アガロースゲル〔AGAROSE(nacalai社)をTAEバッファー(40mM Tris−Acetate,1mM Ethylendiamine Tetraacetatic acidに溶かして作製)〕にて電気泳動した。ゲルをEthidium Bromide(nalacai Cat.#14631−94)0.5μg/mlを含むTAE溶液にて30分間染色し、UVサンプル撮影装置(TOYOBO FAS−III)で予想されるDNA断片(NS遺伝子:0.58kb、GAPDH遺伝子:0.43kb,beta−actin:0.48kb)の増幅を確認した。
解析の結果、末梢血由来単核細胞に比べ、PBFSCを含む細胞集団ではNucleostemin遺伝子の発現が増加していることを見出し、PBFSCを含む細胞集団には幹細胞が濃縮されていた。
以上のことから、G−CSFにより動員された末梢血単核細胞には幹細胞マーカーであるNucleostemin遺伝子を発現する多能性幹細胞PBFSCが多数動員されていることが示唆された。
実施例8 マウス大腿骨・脛骨より骨髄内深部の幹細胞の検出
免疫組織染色法によって、大腿骨および脛骨の組織の幹細胞を検出し、BMEC CD45−/CD34+が組織の骨近傍領域に存在するか観察した。
C57BL/6マウス(日本クレア社)5週齢より大腿骨及び脛骨を採取し、固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]中に4℃で2時間浸した後、PBSでリンスし、高ショ糖溶液[20%Sucrose、PBS]中に浸して4℃で一晩置き、翌日、OCT(optimum cutting temperature)compound(MILES社製)で包埋し、ドライアイスで冷却したイソペンタンで凍結した。このようにして凍らせた組織を、クライオスタットを用いて薄さ4μmに切り、APSコート付スライドグラス(MATSUNAMI社製)に貼り付け、よく乾かして凍結切片を作成した。
こうして作成した凍結切片に対し、以下のようにして抗CD34抗体による免疫染色をおこなった。
凍結切片の乗せたスライドグラスをアセトン(和光純薬社製)に4℃で10分間浸し、PBSで5分間浸すことを3回繰り返し、スライドグラスを洗った。スライドを0.45%過酸化水素(和光純薬社製)を含むメタノール(和光純薬社製)に室温で30分間浸し、PBSで5分間浸すことを3回繰り返し、スライドグラスを洗った。ブロッキング液[1%BSA(SIGMA社製)、PBS]に室温で30分間浸し、次に一次抗体[Biotinyl monoclonal rat Anti−CD34 Purified IgG,RAM34](BD Bioscience社製)を、1%BSAを含むPBSで0.25μg/mlに希釈した溶液と4℃で一晩反応させた。PBSで5分間浸すことを3回繰り返し、スライドグラスを洗った後、streptavidin−HPR(PerkinElmer社製)を200倍希釈したPBS溶液に室温で30分間浸し、PBSで3回洗った。次にBiotinyl tyamide reagent(TSA Biotin System,PerkinElmer社製)を室温で7分間反応させ、PBSで5回洗った後、streptavidin−HPRを250倍希釈したPBS溶液に室温で45分間浸し、PBSで3回洗った。発色溶液[0.0075%過酸化水素、0.3mg/ml Diaminobenzidine(和光純薬社製)、PBS]で浸し発色させ、PBSで3回洗った後、顕微鏡ECLIPSETE300(Nikon社製)で観察した。
その結果、CD34陽性細胞として、既知である血管内皮細胞と骨髄中に均一に散らばった一部の血液細胞に加え、新規な細胞として、骨近傍の骨芽細胞に接した細胞、骨組織に直接接着した細胞、皮質骨内に埋もれた細胞が観察された。この骨組織中及び近傍のCD34+細胞がPBS溶出後の骨から抽出されるBMEC CD45−/CD34+細胞である。
実施例9 BMEC CD45−/CD34+及びCD45−/CD34−細胞の移植
X線を照射されたマウスは、腸管上皮や骨髄等での細胞新生が起こらなくなることが知られている(nature review cancer、2003年、3巻、p.117−129)。ここでは特に、全身障害モデルとしてX線照射マウスを作成し、BMEC CD45−/CD34+及びCD45−/CD34−細胞が組織の修復に寄与しているかどうか確認した。
全身の細胞にGFP遺伝子が組み込まれGFP蛋白質が発現しているマウス(C57BL/6×129系統)の5週齢の個体より、実施例1に示した方法に従いBMEC CD45−/CD34+及びCD45−/CD34−細胞を、フローサイトメーターを使用して完全純度で分離し、回収した。またC57BL/6マウス(日本クレア社)8週齢より大腿骨及び脛骨を採取し、骨髄細胞を回収した。
こうして採取したBMEC CD45−/CD34+細胞(あるいはCD45−/CD34−細胞)を、以下のようにして尾静脈より注入して移植を行った。まず、移植をうけるC57BL/6マウス(日本クレア社)は8週齢のものを用意し、移植の前日に、X線照射装置(日立メディコ社製)を用いて9.5Gyの線量のX線を照射した。採取したBMEC CD45−/CD34+を1匹あたり6,000cells、またはCD45−/CD34−細胞12,000cellsをそれぞれ尾静脈より移植した。X線照射によって破壊された血液系を再生させるためにC57BL/6マウスの骨髄細胞2×10cellsを同時に尾静脈より移植した。BMEC CD45−/CD34+(またはCD45−/CD34−細胞)はGFP蛋白質を発現していることから、移植マウスの組織において蛍光を発する細胞が、移植したBMEC CD45−/CD34+(またはCD45−/CD34−細胞)由来であることで検出できる。
その後5ヶ月経過して生存しているかどうか確認し、移植マウスを作製した。
次に該移植マウスを解剖し、末梢血と、下肢の脛骨より骨髄細胞を回収した後、灌流固定をおこない、肝臓・心臓・肺・脾臓・胃・脳・骨格筋・皮膚・腎臓・膵臓・小腸・大腸を摘出した。具体的には、まず移植マウスにネンブタール(大日本製薬社製)を腹腔内注射して麻酔し、下肢の動脈を紐で縛った後、下肢の脛骨を採取した。骨端をハサミで切り落とし、25Gのテルモ製静注針でPBSを押し出し、骨髄細胞を回収した。マウスを開腹開胸して心臓を露出させ末梢血を回収し、25Gのテルモ製翼付静注針を左心室に挿入し、右心耳を切りPBSを20mL流し、全身を灌流させた。PBSを全量流した後、同様の操作により固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]を20mL流し、固定をおこなった。その後、固定したマウスから肝臓・心臓・肺・脾臓・胃・脳・骨格筋・皮膚・腎服・膵臓・小腸・大腸を摘出した。肺以外の組織は、4℃で2時間固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]中に浸した後、PBSでリンスし、高ショ糖溶液[20%Sucrose、PBS]中に浸して4℃で一晩置き、翌日、OCT(optimum cutting temperature)compound(MILES社製)で包埋し、ドライアイスで冷却したイソペンタンで凍結した。肺は摘出後、OCTを注入・包埋した後、凍結した。
このようにして凍らせた組織を、クライオスタット(Frigocut2800、Leica社製)を用いて薄さ10μmに切り、APSコート付スライドグラス(MATSUNAMI社製)に貼り付け、よく乾かして凍結切片を作成した。
こうして作成した凍結切片に対し、以下のようにして抗GFP抗体による免疫染色をおこなった。
凍結切片の乗せたスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回繰り返し、スライドグラスを洗った。ブロッキング液[5%ブタ血清(DAKO社製)、PBS]に室温で1時間浸し、次に一次抗体[Polyclonal rabbit Anti−GFP Purified IgG,1E4](MBL社製)を、1.5%ブタ血清を含むPBSで500倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[Alexa Fluor 488−conjugated Goat Anti−rabbit IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、Zeiss製蛍光顕微鏡Axiophot2で観察した。その結果、BMEC D45−/CD34+移稙マウスについて、肝臓・肺・脾臓・脳・胃・皮膚(毛包細胞)・膵臓・小腸・大腸の組織にGFP陽性細胞が観察された。BMEC CD45−/CD34−移植マウスについては、脾臓・腎臓・小腸の組織にGFP陽性細胞が観察された。
以上のことから、移植に用いたBMEC CD45−/CD34+細胞およびCD45−/CD34−細胞から、X線照射によって破壊された様々な組織の細胞に新生さらには生着したことが確認された。末梢血および骨髄細胞においてはGFP陽性細胞は観察されず、肝臓・肺・脾臓・脳・胃・皮膚・膵臓・小腸・大腸・腎臓で観察された細胞は血液系細胞ではないことを確認した。
実施例10 db/dbマウスにおける骨髄細胞の組織機能細胞分化
db/dbマウスは、db遺伝子の単一劣性変異マウスであり、肥満・過食・高インスリン血症など顕著な糖尿病症状を自然発症する2型糖尿病モデルマウスとして知られている(ジョスリン糖尿病学、1995年、p.317−349)。db/dbマウスは生後4〜5週齢頃より肥満が始まり、体重の増加に伴い血糖値が上昇することから、肥満・高血糖により全身の臓器に対して炎症などの組織傷害が誘導されていると推測される。そこでdb/dbマウスにおいて、骨髄細胞からの組織機能細胞への分化が正常マウスよりも高頻度に観察されるか検討を行った。
db/dbマウスとしては、C57BL/KsJ−db/db(日本クレア社)の6週齢の雌の個体を用い、移植の前日にX線照射装置(日立メディコ社製)を用いて9.5Gyの線量のX線を照射した。翌日、このマウスに対し、C57BL/6系統で全身の細胞にGFP遺伝子が組み込まれGFP蛋白質が発現しているマウスの8週齢の個体の骨髄から単離した細胞3×10個を尾静脈より移植し、骨髄細胞キメラマウスを作成した。
移植して4週間経過後、マウスを解剖して灌流固定をおこない、各臓器を摘出した。このとき、大腿骨より骨髄細胞を単離しGFP陽性細胞の生着率をFACSCalibur(Becton Dickinson社製)を用いて解析したところ全骨髄細胞中90%以上がGFP陽性の移植骨髄細胞に置き換わっていた。具体的には、まずネンブタール(大日本製薬社製)を腹腔内注射して麻酔し、開腹開胸して心臓を露出させ、25Gのテルモ製翼付静注針を左心室に挿入した後、右心耳を切りPBSを20mL流し、全身を灌流させた。Phosphate Buffered Saline(以下PBSと記載)を全量流した後、同様の操作により固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]を20mL流し、固定をおこなった。
その後、固定したマウスから各臓器を摘出し、4℃で2時間固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]中に浸した後、PBSでリンスし、高ショ糖溶液[20%Sucrose、PBS]中に浸して4℃で一晩置き、翌日、OCT(optimum cutting temperature)compound(MILES社製)で包埋し、ドライアイスで冷却したイソペンタンを用いて凍結した。
このようにして凍らせた組織を、クライオスタットを用いて薄さ10μmに切り、APSコート付スライドグラス(MATSUNAMI社製)に貼り付け、よく乾かして凍結切片を作成し、以下の種々の抗体による免疫染色を行った。
肝臓を摘出して作成した凍結切片の乗ったスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回行って洗浄した後、ブロッキング液[10%ブタ血清(DAKO社製)、PBS]に室温で1時間浸し、次に一次抗体[Anti−mouse albumin rabbit polyclonal](Biogenesis社製)を、1.5%ブタ血清を含むPBSで200倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[AlexaFluor594−anti rabbit IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP陽性でかつアルブミン陽性であり、形態的にも肝実質細胞と同様の細胞が観察された。
膵臓を摘出して作成した凍結切片の乗ったスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回行って洗浄した後、ブロッキング液[10%ブタ血清(DAKO社製)、PBS]に室温で1時間浸し、次に一次抗体[Anti−insulin mouse monoclonal](Sigma社製)を、1.5%ブタ血清を含むPBSで1000倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[AlexaFluor594−anti mouse IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP陽性でかつインスリン陽性な膵β細胞が観察された。
心臓を摘出して作成した凍結切片の乗ったスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回行って洗浄した後、ブロッキング液[10%ブタ血清(DAKO社製)、PBS]に室温で1時間浸し、次に一次抗体[Anti−sarcomeric α−actinin mouse monoclonal](Sigma社製)を、1.5%ブタ血清を含むPBSで400倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[AlexaFluor594−anti mouse IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP陽性でかつアクチニン陽性であり、形態的にも心筋繊維と同様の繊維が確認された。
小腸を摘出して作成した凍結切片の乗ったスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回行って洗浄した後、酵素液[10μg/ml Proteinase K(Gibco社製)、PBS]に室温で20分間浸した。PBSで2回洗った後、固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]に10分間浸し、ブロッキング液[10%ブタ血清(DAKO社製)、PBS]に室温で1時間浸し、次に一次抗体[Anti−cytokeratin antibody mouse monoclonal](DAKO社製)を、1.5%ブタ血清を含むPBSで50倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[AlexaFluor594−anti rabbit IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP陽性でかつサイトケラチン陽性であり、形態的にも上皮細胞と同様の細胞が観察された。
肺を摘出して作成した凍結切片の乗ったスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回行って洗浄した後、酵素液[0.25%Trypsin(Gibco社製)、PBS]に室温で2分間浸した。直ちに停止液[2%Fetal Bovine Serum(JRH Biosciences社製)、PBS]に浸し、PBSで2回洗った後、固定液[4%PFA(パラホルムアルデヒド)、PBS]に4分間浸した後、ブロッキング液[3%Bovine Serum Albumin(Sigma社製)、0.1%Tween−20、PBS]に室温で30分間浸し、次に一次抗体[Anti−keratin antibody rabbit polyclonal](DAKO社製)を、1.5%ブタ血清を含むPBSで100倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[AlexaFluor594−anti rabbit IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP陽性でかつケラチン陽性であり、形態的にも肺上皮細胞と同様の細胞が観察された。
脳を摘出して作成した凍結切片の乗ったスライドグラスをPBSで5分間浸すことを3回行って洗浄した後、ブロッキング液[10%ブタ血清(DAKO社製)、0.01%Triton、PBS]に室温で1時間浸し、次に一次抗体[Anti−Neu N mouse monoclonal](Chemicon社製)を、1.5%ブタ血清および0.01%Tritonを含むPBSで1000倍希釈した溶液と室温で1時間反応させた。PBSで4回洗った後、二次抗体[AlexaFluor594−anti mouse IgG](Molecular Probe社製)を1.5%ブタ血清を含むPBSで800倍希釈した溶液と、室温で1時間反応させた。更にPBSで4回洗った後、VECTASHIELD Mounting Medium with DAPI(VECTOR LABORATORIES社製)を切片に滴下し、カバーガラスをかけて封入し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP陽性でかつNeu N陽性な神経細胞が確認された。また、形態的な観察から小脳組織中のプルキンエ細胞において、プルキンエ細胞特有の樹状形態を有するGFP陽性細胞が確認された。
以上のように、X線照射されたC57BL/KsJ−db/dbマウスにC57BL/6マウスの骨髄細胞を移植する実験において、骨髄細胞が肝実質細胞、膵β細胞、心筋細胞、消化管上皮細胞、肺上皮細胞、ニューロン、プルキンエ細胞に新生したことを確認した。
C57BL/KsJ−db/db(日本クレア社)、C57BL/KsJ−db/+m(日本クレア社)、C57BL/6J(日本クルア社)の6週齢の雌の個体を用い、移植の前日にX線照射装置(日立メディコ社製)を用いてそれぞれ9.5Gy、12Gy、9.5Gyの線量のX線を照射した。C57BL/KsJ−db/+mはdb遺伝子のヘテロ変異マウスで、肥満・過食・高インスリン血症などの糖尿病症状を示さないため、C57BL/KsJ−db/dbのコントロールとして用いられる。翌日、このマウスに対し、C57BL/6系統で全身の細胞にGFP遺伝子が組み込まれGFP蛋白質が発現しているマウスの8週齢の個体の骨髄から単離した細胞3×10個を尾静脈より移植し、骨髄細胞キメラマウスを作成した。
移植して4週間経過後、マウスを解剖して灌流固定をおこない、各臓器を摘出し包埋して凍結切片を作成した。このとき、大腿骨より骨髄細胞を単離しGFP陽性細胞の生着率をFACSCalibur(Becton Dickinson社製)を用いて解析したところC57BL/KsJ−db/dbにおいて全骨髄細胞中90%以上、C57BL/KsJ−db/+mにおいて全骨髄細胞中90%以上、C57BL/6Jにおいて全骨髄細胞中60〜80%がGFP陽性の移植骨髄細胞に置換されていた。こうして作成した心臓、肝臓、膵臓の凍結切片(20〜40切片)に対し、それぞれ(1)に示したのと同様の方法で免疫染色を行い、骨髄細胞由来の心筋細胞、肝実質細胞、膵β細胞を判定した。表2に、解析した組織切片の面積に対して検出されたGFP陽性の心筋細胞、肝実質細胞、膵β細胞の数を解析組織面積あたりの検出頻度[GFP陽性・組織機能細胞数/組織面積(cells/cm)]として数値化した結果を示した。

表2で示すように、C57BL/KsJ−db/dbマウスではGFP陽性の心筋細胞、肝実質細胞、膵β細胞がC57BL/6マウスよりも高頻度に検出されることが定量的に明らかとなった。この原因としては、心筋細胞、膵β細胞への分化についてはC57BL/KsJ−db/+mでも同程度認められることから、遺伝子バックグラウンドの影響、つまり移植細胞とレシピエントの不一致による同種移植によるものと考えられた。一方、肝実質細胞への分化はC57BL/KsJ−db/+mで平均値±標準偏差:0.032±0.015cells/cm、C57BL/6で平均値±標準偏差:0.055±0.025cells/cmとほぼ同程度であるのに対し、C57BL/KsJ−db/dbでは平均値±標準偏差:1.9±0.4cells/cmと有意に増加している(P〈0.01)ことから、肥満・糖尿病・高インスリン血症などによって引き起こされる肝臓の機能亢進および傷害が原因と考えられた。
以上のことから、X線照射されたC57BL/KsJ−db/dbマウスにC57BL/6マウスの骨髄細胞を移稙する実験で、移植免疫系の不一致および肥満・糖尿病・高インスリン血症などによって引き起こされる組織機能の亢進や傷害によって骨髄細胞からの組織機能細胞への分化・生着が増加するという現象が見られた。
【産業上の利用可能性】
本発明により、CD45陰性およびCXCR4陽性である幹細胞が提供される。また本発明により、該幹細胞を有効成分として含有する組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療薬が提供される。
【配列表フリーテキスト】
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【配列表】













【特許請求の範囲】
【請求項1】
成体組織由来であって、CD45陰性およびCXCR4陽性であることを特徴とする幹細胞。
【請求項2】
成体組織が、骨髄、皮膚、骨格筋、脂肪組織および末梢血からなる群から選ばれる組織である、請求項1記載の幹細胞。
【請求項3】
骨髄を酵素処理により細胞を抽出したのち、抗CD45抗体、抗CD34抗体および抗Ter119抗体を用いて分離される請求項1または2記載の幹細胞。
【請求項4】
酵素が、コラゲナーゼである請求項3記載の幹細胞。
【請求項5】
幹細胞が多分化能幹細胞である、請求項1〜4のいずれか1項記載の幹細胞。
【請求項6】
骨髄を酵素処理により細胞を抽出したのち、抗CD45抗体、抗CD34抗体および抗Ter119抗体を用いて幹細胞を分離することを特徴とする請求項1または2記載の幹細胞の分離方法。
【請求項7】
酵素が、コラゲナーゼである請求項6記載の方法。
【請求項8】
幹細胞が多分化能幹細胞である請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項記載の幹細胞を有効成分として含有する組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療剤。
【請求項10】
組織破壊を伴う疾患が、神経疾患、呼吸器系疾患、循環器系疾患、肝臓疾患、膵臓疾患、消化管系疾患、腎臓疾患および皮膚疾患のいずれかである請求項9記載の予防および/または治療剤。
【請求項11】
ファイブロネクチンを含み、かつマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)およびリューケミア阻害因子(LIF)の少なくとも1種類の物質を添加した培地で培養することを特徴とする、請求項1〜5記載の幹細胞を増殖させる方法。
【請求項12】
マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、リューケミア阻害因子(LIF)およびフィブロネクチンで添加した培地で培養することを特徴とする請求項1〜5記載の幹細胞を増殖させる方法。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項記載の幹細胞を用いることを特徴とする組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療方法。
【請求項14】
組織破壊を伴う疾患の予防および/または治療剤の製造のための、請求項1〜5のいずれか1項記載の幹細胞の使用。

【国際公開番号】WO2004/101775
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506274(P2005−506274)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006912
【国際出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】