新規な抗腫瘍化合物

【課題】改善された抗腫瘍特性を有する新規カハラリド化合物の提供。
【解決手段】式1に示すカハラリドF系化合物および薬学上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカハラリド(kahalalide)抗腫瘍化合物に係り、特にカハラリドFの類似体、それらを含有する医薬組成物、並びに抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤としての及び乾癬の処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カハラリド化合物は、ハワイの草食性海産種軟体動物であるElysia rufescens及びその食餌、緑藻のBryopsis sp.から単離されたペプチドである。カハラリドFは、Hamann, M等の、J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 5825〜5826頁に記載されている。
【0003】
カハラリドA〜Gは、Hamann, M等の、J. Org. Chem, 1996, 61, 6594〜6600頁: "Kahalalides: bioactive peptides from a marine mollusk Elysia rufescens and its algal diet Bryopsis sp."に記載されている。
【0004】
カハラリドH及びJは、Scheuer P.J.等の、J. Nat. Prod. 1997, 60, 562〜567頁: "Two acyclic kahalalides from the sacoglossan mollusk Elysia rufescens"に記載されている。
【0005】
カハラリドOは、Scheuer P.J.等の、J. Nat. Prod. 2000, 63(1) 152〜4頁: "A new depsipeptide from the sacoglossan mollusk Elysia ornata and the green alga Bryopsis species"に記載されている。
【0006】
カハラリドKについては、Kan, Y. 等の、J. Nat. Prod. 1999 62(8) 1169〜72頁: "Kahalalide K: A new cyclic depsipeptide from the hawaiian green alga Bryopsis species"が参照される。
【0007】
関連する報告については、Goetz等の、Tetrahedron, 1999, 55; 7739〜7746頁: "The absolute stereochemistry of Kahalalide F"; Albericio, F. 等の、Tetrahedron Letters, 2000, 41, 9765〜9769頁: "Kahalalide B. Synthesis of a natural cyclodepsipeptide"; Becerro等の、J. Chem. Ecol. 2001, 27(11), 2287〜99頁: "Chemical defenses of the sarcoglossan mollusk Elysia rufescens and its host Alga bryopsis sp."も参照される。
【0008】
カハラリド化合物の中でも、カハラリドFがその抗腫瘍活性により最も有望である。その構造は複合体であって、環部分として6個のアミノ酸、及び末端脂肪酸基を有する7個のアミノ酸からなる環外鎖を含有する。当初カハラリドFは構造(I)を有すると報告された。
【0009】
【化1】

【0010】
国際公開第04035613号において、下記式(II)を有する4(S)-メチルヘキシル化合物が記載されている。国際公開第04035613号は明細書の参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0011】
【化2】

【0012】
ヒトの肺癌A-549及びヒト結腸癌HT-29のin vitro細胞培養物に対するカハラリドFの活性が欧州特許第610078号に報告されている。カハラリドFはまた、乾癬の処置に有用であるのと同様に抗ウイルス及び抗真菌特性を有することが示された。
【0013】
国際公開第0236145号は、カハラリドFを含有する医薬組成物及びこの化合物の癌治療における新規な使用を記載しており、参照文献により全体として本明細書に組み込まれる。
【0014】
国際公開第0333012号は、カハラリド化合物の腫瘍学における臨床使用を記載し、参照文献により全体として本明細書に組み込まれる。
【0015】
天然及び合成のカハラリド化合物の合成及び細胞毒活性が国際公開第0158934号に記載されており、それは参照文献により全体として本明細書に組み込まれる。国際公開第0158934号は、カハラリドFの合成について及び末端脂肪酸鎖が他の脂肪酸によって置き換えられた類似構造を有する化合物の合成についても記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第04035613号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第610078号明細書
【特許文献3】国際公開第0236145号パンフレット
【特許文献4】国際公開第0333012号パンフレット
【特許文献5】国際公開第0158934号パンフレット
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Hamann, M等、J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 5825〜5826頁
【非特許文献2】Hamann, M等、J. Org. Chem, 1996, 61, 6594〜6600頁: "Kahalalides: bioactive peptides from a marine mollusk Elysia rufescens and its algal diet Bryopsis sp."
【非特許文献3】Scheuer P.J.等、J. Nat. Prod. 1997, 60, 562〜567頁: "Two acyclic kahalalides from the sacoglossan mollusk Elysia rufescens"
【非特許文献4】Scheuer P.J.等、J. Nat. Prod. 2000, 63(1) 152〜4頁: "A new depsipeptide from the sacoglossan mollusk Elysia ornata and the green alga Bryopsis species"
【非特許文献5】Kan, Y, 等、J. Nat. Prod. 1999 62(8) 1169〜72頁: "Kahalalide K: A new cyclic depsipeptide from the hawaiian green alga Bryopsis species"
【非特許文献6】Goetz等、Tetrahedron, 1999, 55; 7739〜7746頁: "The absolute stereochemistry of Kahalalide F"
【非特許文献7】Albericio, F. 等、Tetrahedron Letters 2000, 41, 9765〜9769頁: "Kahalalide B. Synthesis of a natural cyclodepsipeptide"
【非特許文献8】Becerro等、J. Chem. Ecol. 2001, 27(11), 2287〜99頁: "Chemical defenses of the sarcoglossan mollusk Elysia rufescens and its host Alga bryopsis sp."
【非特許文献9】IUPAC-IUB Commission of Biochemical Nomenclature in J. Biol. Chem., 1972, 247, 977〜983頁
【非特許文献10】Lloyd-Williams, P.等、Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins. CRC Press, Boca Raton(FL), 1997
【非特許文献11】Barlos, K.; Gatos, D.; Schafer, W. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1991, 30, 590〜593頁
【非特許文献12】Chiva, C.; Vilaseca, M.; Giralt, E.; Albericio, F. J. Pept. Sci. 1991, 5, 131〜140頁
【非特許文献13】Gomez-Martinez, P.;Thieriet, N.; Albericio, F.; Guibe, F. J. Chem. Soc. Perkin I 1999, 2871〜2874頁
【非特許文献14】Fukase, K.; Kitazawa, M.; Sano, A.; Shimbo, K.; Horimoto, S.; Fujita, H.; Kubo, A.; Wakamiya, T.; Shibe, A.; Bull. Chem. Soc. Jpn. 1992, 65, 2227〜2240頁
【非特許文献15】Royo, M.; Jimenez, J.C.; Lopez-Macia, A.; Giralt, E.; Albericio, F. Eur. J. Org. Chem. 2001, 45〜48頁
【非特許文献16】del Fresno, M.; El-Faham, A.; Carpino, L.A.; Royo, M.; Albericio, F. Organic Lett., 2000, 2, 3539〜3542頁
【非特許文献17】Dangles, O.; Guibe, F.; Balavoine, G.; Lavielle, S.; Marquet. A. J. Org. Chem. 1987, 52, 4984〜4993頁
【非特許文献18】Philip Skehan等、New colorimetric cytotoxicity assay for anticancer drug screening, J. Natl. Cancer Inst., 1990, 82: 1107〜1112頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
それにもかかわらず、さらに抗腫瘍化合物が求められており、特に改善された特性を有する更なるカハラリド化合物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
我々は、改善された生物学的活性を有するカハラリド類似化合物を見出した。
【0020】
本発明は式1で表される化合物に係る。
【0021】
【化3】

【0022】
(式中、環又は環外部分における1個又は複数のアミノ酸は、他の天然又は非天然のアミノ酸によって置換されているか、有機基でマスクされているか、又は除去されている)
本発明はまた、末端脂肪酸基が他のアシル基によって置換されているか、又は除去されている、式1で表される化合物に係る。
【0023】
本発明はまた、すでに定義した化合物及び薬学上許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含有する医薬組成物に係る。
【0024】
本発明はさらに、癌、ウイルス感染、真菌感染又は乾癬に罹患した哺乳類、特にヒトの処置方法であって、治療上有効な量の上で、定義した化合物を、罹患した個体に投与することを含む処置方法を提供する。
【0025】
本発明は、他の処置には好ましく反応しない難治性癌の患者を処置するために特に採用することができる。特に、この発明の組成物は、他の化学療法を試みたが効かなかった場合に採用することができる。
【0026】
本発明は、特に前立腺癌、乳癌、肝細胞癌、メラノーマ、結腸直腸癌、腎臓癌、卵巣癌、NSCL癌、上皮癌、膵臓癌及びHer2/neu腫瘍遺伝子を過剰発現する腫瘍に罹患した患者の処置に係る。
【0027】
別の態様において、本発明は上で定義した化合物の医薬の製造における使用に係る。好ましい態様の1つにおいて、医薬は癌、乾癬、ウイルス感染又は真菌感染の処置用である。
【0028】
本発明は、さらに上で定義した化合物及び再構成剤を含有する医薬組成物を含む分離した容器を備えたキットを提供する。再構成の方法についても提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
我々はカハラリドFに関する活性の顕著な改善を示すカハラリドFの類似体を特定した。
【0030】
本発明は式1で表される化合物に係る。
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、1個又は複数の環外又は環状アミノ酸が他の天然又は非天然のアミノ酸によって置換されているか、有機基によってマスクされているか、又は除去されている)
本発明はまた、脂肪族メチルヘキサン酸のアシル基が他のアシル基によって置換されているか、除去されている、式1で表される化合物に係る。
【0033】
(環外アミノ酸)
本発明の好ましい化合物は、環外鎖の1個又は複数のアミノ酸が他の天然又は非天然のアミノ酸によって置換されているか、有機基によってマスクされているか、又は除去されている、式1で表される化合物を含む。
【0034】
特に、好ましい化合物は、環外鎖中に1、2又は3個の置換アミノ酸を有する化合物、及び環外鎖中の1、2、3、4、5又は6個のアミノ酸が除去された化合物を含有する。
【0035】
特に好ましくは、1個の環外アミノ酸が他の天然又は非天然のアミノ酸によって置換され、及び/又は1個又は複数の置換基の有機基によってマスクされている式1で表される化合物である。この好ましい形態は、特に8位のL-Ornアミノ酸に適用可能である。
【0036】
したがって、本発明の1つの態様において、8位にL-Ornが存在しない式1で表される化合物を提供する。
【0037】
L-OrnはD-Ornによって、又は他の天然若しくは非天然のアミノ酸によって置き換えることができる。例えば、L-Ornはリジン等の天然のアミノ酸によって置き換えることができ、或いは1個又は複数のアルキル、フェニル又はオリゴメチレン置換基を有するアルギニン又はリジン等のマスクされた天然のアミノ酸、例えばN(Me)2,N'(Me)2-Arg、N(Me,Ph),N'(Me)2-Arg、N(CH2)4,N'(Me)2-Arg、N(CH2)4,N'(CH2)4-Arg、Nε(Me)3-Lysによって置き換えることができる。
【0038】
L-Ornはマスクすることができる。例えば、L-Ornのアミノ基は、置換基、特に更に置換されていてもよい(特に複素環基により)アルキル置換基を有してもよく(例えばNδ(CHN(CH2)4,N'(CH2)4)-Orn);又はビオチニルオルニチン若しくはOrn(NδTfa)のようなより複雑な置換基を有していてもよい。
【0039】
(環状アミノ酸)
本発明の他の好ましい化合物は、環状鎖の1個又は複数のアミノ酸が他の天然又は非天然のアミノ酸によって置換され、有機基によってマスクされ又は除去された式1で表される化合物を含む。
【0040】
特に、好ましい化合物は環状鎖中に1,2又は3個の置換アミノ酸を有する化合物を含む。
【0041】
特に好ましくは、1個又は複数のアミノ酸が他の天然又は非天然のアミノ酸によって置換され、及び/又は有機基によってマスクされた式1で表される化合物である。この好ましい形態は、3位のL-Pheアミノ酸に特に適用可能である。
【0042】
したがって、本発明の1つの態様は、3位のL-Pheが置換又はマスクされた式1で表される化合物を提供することである。
【0043】
L-PheはD-Pheによって、又は他の天然又は非天然のアミノ酸によって置き換えることができる。例えば、L-Pheはチロシン等の天然のアミノ酸;N-メチルチロシン等のアルキル置換アミノ酸;2-アミノ-3-ビフェニル-4-イル-プロピオン酸、2-アミノ-3-ナフタレン-2-イル-プロピオン酸又はアミノフェニル酢酸等のアリール置換アミノ酸;2-アミノ-3-チオフェン-2-イルプロピオン酸等の複素環置換アミノ酸;或いはアミノ基が1,2,3,4-テトライソキノリン-3-カルボン酸又はオクタヒドロイソインドール-1-カルボン酸等の複素環の一部である環状アミノ酸によって置き換えることができる。
【0044】
L-Pheはマスクすることができる。例えば、フェニル環は一部又は全部が飽和していてもよく、1個又は複数の置換基によって置換されていてもよい。フェニル環の置換基は示したように好ましくはハロ(halo)又はニトロであってよい。アミノ基は1個又は2個の置換基、特にメチル等のアルキル、とりわけ1個のメチル置換基を有していてもよい。
【0045】
(末端アシル基)
環外鎖及び/又は環状部分のアミノ酸の修飾に加え、環外鎖の末端アシル基において修飾を有する化合物であってもよい。
【0046】
例えば、アシル基は1個又は複数の置換基、特に1個又は複数の置換基を有してもよい芳香族、複素環又は炭素環基を含有してもよく、例えば1個又は複数の置換基を有してもよいベンゾイル基、1個又は複数の置換基を有してもよいフェニルアルカノイル又は1個又は複数の置換基を有してもよいシンナモイルであってもよい。さらに末端アシル基は他の脂肪酸、代表的には炭素原子数3から26、特に炭素原子数12から20の飽和又は不飽和脂肪酸であってよい。
【0047】
式1で表される末端アシル基の代わりに採用される代表的な基は:
-炭素原子数26までで、1個又は複数の置換基、特に、4-メチルシクロヘキシル等の場合によって置換されたシクロアルキル;アルキル、特にメチル等の短鎖アルキル;場合によって置換されたアリール、特にジフルオロフェニル等のフェニル;パーフルオロまでのフルオロ等のハロ;オキソ;アミノ;又はイミノから選択された置換基を有する直鎖アルカノイル、
-場合によって置換されたベンゾイル、例えばベンゾイル自体、p-メチルベンゾイル酸、p-トリフルオロメチルベンゾイル酸、ピペロニロイル、
-好ましくはアルケノイル中に2個の炭素原子を有するアリールアルケノイル基、特にp-トリフルオロメチルシンナモイル等のシンナモイル基、
を含む。
【0048】
さらに、アシル基は他のアシル基、好ましくは式R'CO-で表されるアシル基により置き換えることができ、R'は定義されたとおりであり、適切にはアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロシクリル(heterocyclyl)、又はカルボシクリル(carbocyclyl)であり、及びそれ自体が置換されていてもよい。
【0049】
最終的に、環外鎖の脂肪酸に位置する独自の修飾を有する、5-メチルヘキシル末端基を備えた化合物であってもよい。
【0050】
(組合せによる変化)
環外アミノ酸、環状アミノ酸及び末端アシル基における可能な変化は組合せることができる。
【0051】
したがって、本発明の他の好ましい化合物は、1個又は複数の環外鎖のアミノ酸及び/又は1個又は複数の環部分のアミノ酸が上記のように修飾され、及び/又は末端アシル基が修飾された式1で表される化合物である。
【0052】
8位のL-Ornが置換又はマスクされている化合物は、側鎖の末端基において4(S)-メチルヘキシル又は他の基を含む、他の好ましい修飾を採用することができる。
【0053】
3位のL-Pheが置換又はマスクされている化合物は、側鎖の末端基において4(S)-メチルヘキシル又は他の基を含む、他の好ましい修飾を採用することができる。
【0054】
置換基の例としてC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、アリール、複素環基、OR'、SR'、SOR'、SO2R'、NO2、NHR'、N(R')2、NHCOR'、N(COR')2、NHSO2R'、CN、ハロゲン、C(=O)R'、CO2R'、OC(=O)R'を含み、ここで各R'基は独立してH、OH、NO2、NH2、SH、CN、ハロゲン、C(=O)H、C(=O)アルキル、CO2H、置換又は非置換C1〜C18アルキル、置換又は非置換C2〜C18アルケニル、置換又は非置換C2〜C18アルキニル及び置換又は非置換アリールからなる群から選択される。本発明の化合物における適切なハロゲン置換基は、F、Cl、Br及びIを含む。
【0055】
アルキル基は、例えばメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、t-ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシル、2-メチルブチル、5-メチルヘキシル、9-メチル-3-デシル等、特に1個の分枝したメチル基を有するアルキル基を含む、飽和直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する。適切なアルキル基は長鎖であって、炭素原子数1から20、より典型的には炭素原子数1から15若しくは1から10であり、又は短鎖であって、炭素原子数1から6若しくは1から3であってもよい。長炭素鎖は末端脂肪酸基に使用する候補である。
【0056】
本発明の化合物における好ましいアルケニル及びアルキニル基は、1個又は複数の不飽和結合を有し、炭素原子数2から12、より好ましくは炭素原子数2から8、さらに好ましくは炭素原子数2から6、さらに好ましくは炭素原子数2、3又は4である。本明細書において用いるアルケニル及びアルキニルという用語は、環状及び非環状基の両方を表すが、一般に直鎖又は分枝状の非環状基がより好ましい。一般的な意味において、我々はアルキリデンをアルケニル中に含めるが、それらは両方とも二重結合を有する置換基である。
【0057】
本発明の化合物における適切なアリール基は、単環及び多環化合物を含み、分離した及び/又は縮合したアリール基を含有する多環化合物を含む。代表的なアリール基は、1から3個の分離した又は縮合した環及び6から18個の環炭素原子を含有する。特に好ましいアリール基は、置換又は非置換フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル及びアントラシルを含有する。
【0058】
適切なアシル基は、炭素原子数2から約12の、より好ましくは炭素原子数2から約8、さらに好ましくは炭素原子数2から約6、さらに好ましくは炭素原子数2のアルカノイル基を含有する。他のアシル基はアルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、複素環アシル(heterocyclylacyl)を含有する。
【0059】
適切な複素環基は、芳香族複素環基及び脂肪族複素環(heteroalicyclic)基を含む。本発明の化合物における適切な芳香族複素環基は、N、O又はS原子から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含み、及び例えば8-クマリニルを含むクマリニル、8-キノリニルを含むキノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル及びベンゾチアゾールを含む。本発明の化合物における適切な脂肪族複素環基は、N、O又はS原子から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含み、及び例えばテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ及びピロリンジニル基を含む。
【0060】
上述の基は、1個又は複数の置換基により1個又は複数の利用できる位置に置換されていてもよい。
【0061】
天然のアミノ酸は、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸塩、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジン及びヒドロキシプロリンを含む。
【0062】
我々はまた、明細書の参照により全体として本明細書に組み込まれた国際公開第0158934号を参照する。その初期のテキストは本発明の化合物に応用可能な手引きを与え、我々は本発明の化合物に採用するための定義を取り入れる。
【0063】
アミノ酸に対する以下の記述において使用した略称及びペプチドの記号は、IUPAC-IUB Commission of Biochemical Nomenclature in J. Biol. Chem., 1972, 247, 977〜983頁の規則に従う。
【0064】
以下の略称を用いた。
【0065】
【表1A】

【表1B】

【0066】
アミノ酸の記号は別段の定めがなければL-立体配置を示す。
【0067】
本発明の化合物の例としては、以下の特徴を有する式1で表される化合物を含む:
-8位のL-Ornの代わりにGlu又はLysであり;
-11位のL-Valの代わりにGly、Phe、Ala、Leu、D-Val、Pro、Gln、Orn、Thr又はGluであり;
-12位のL-Thrの代わりにVal又はD-Thrであり;
-13位のD-Valの代わりにGly、D-Ala、D-Leu、D-Phe、D-Pro、Val、D-Glu、D-Gln又はD-Thrであり;
-11位のL-Valの代わりにhCh、及び/又は13位のD-Valの代わりにD-Chaであり;
-12位のL-Thrの代わりにAla、Gly、Leu、Pro、Glu、Orn又はGlnであり、及び13位のアミノ酸が存在せず;
-7位のD-allo-Ileの代わりにD-Ile又はD-Valであり;
-8位のL-Ornの代わりにD-Ornであり、及び9位のD-Proの代わりにL-Proであり;
-7位のD-allo-Ileの代わりにD-Cysであり、及び11位のL-Valの代わりにL-Cysであり;又は
-7位のD-allo-Ileの代わりにD-Cys又はD-homo-Cysであり、及び10位のD-Valの代わりにD-Cys又はD-homo-Cysであり;
-14位の5-MeHexの代わりにIcos、(c/t)-4-Me-cHexa、Und、(4R)-MeHex、(4RS)-MeHex、(4S)-MeHex、Oct、p-MeBza、Bza、p-CF3Bza、3,5-dFPhAc、Pipe、p-CF3Cinn、p-CF3PhAc、Pfh、6-OHep、6,6-dFHep、4-GuBut、AM、AO又はC(=N(CH3)2)であり、及び場合によって8位のL-Ornの代わりにLysであり;
-9位のD-Proの代わりにPro、D-Pip、D-Tic又は(5R)-Ph-Proであり、及び14位の5-MeHexの代わりに(4S)-MeHexであり;
-8位のL-Ornの代わりにN(Me)2,N'(Me)2-Arg、N(Me,Ph),N'(Me)2-Arg、N(CH2)4,N'(Me)2-Arg、N(CH2)4,N'(CH2)4-Arg、Nδ(CHN(CH2)4,N'(CH2)4)-Orn、Nε(Me)3-Lys、Orn(NδTfa)又はOrn(Biot)であり、及び場合によって14位の5-MeHexの代わりに(4S)-MeHexであり、及び場合によって12位のL-Thrの代わりにThr(OTfa)であり;
-12位のL-Thrの代わりにThr(OTfa)であり、及び14位の5-MeHexの代わりに(4S)-MeHex又はLit(OTfa)であり;
-13位のD-Valの代わりにN-(Hep)2-D-Valであり、及び14位の5-MeHexが存在せず;又は
-11、12及び13位のアミノ酸が存在せず、及び場合によって14位の5-MeHexの代わりにMstであり;
-2位のZ-Dhbの代わりにDha又はE-Dhbであり;
-2位のThrの代わりにD,L-Ser、Gly又はAibであり、水素化した類似体であり;
-1位のL-Valの代わりにD-Valであり;
-3位のL-Pheの代わりにTrpであり;
-6位のD-alo-Thrの代わりにD-Thr又はD-Serであり;
-3位のL-Pheの代わりにhCh、Phe(3,4-Cl2)、Phe(F5)、Phe(4-I)、Phe(4-NO2)、Phe(4-F)、Tyr(Me)、Thi、Tic、Tyr、Oic、NMePhe、Phe(2-Cl)、Phe(3-Cl)、Phe(4-Cl)、Phe(3,4-F2)、NaI、Bip又はPhgであり、及び場合によって14位の5-MeHexの代わりに(4S)-MeHex又はp-CF3Cinnであり、
-5及び7位のD-alo-Ileの代わりにD-Val又はD-Chaであり、及び場合によって4位のD-Valの代わりにD-Chaであり;又は
-1位のL-Valの代わりにD-Valであり、3位のL-Pheの代わりにD-Pheであり、4位のD-Valの代わりにValであり、5位のD-alo-Ileの代わりにL-alo-Ileであり、6位のD-alo-Thrの代わりにL-alo-Thrであり、7位のD-alo-Ileの代わりにL-alo-Ileであり、8位のL-Ornの代わりにD-Ornであり、9位のD-Proの代わりにL-Proであり、10位のD-Valの代わりにL-Valであり、11位のL-Val代わりにD-Valであり、12位のL-Thrの代わりにD-Thrであり、及び13位のD-Valの代わりにL-Valである。
【0068】
必要に応じて、これらの示唆された変更は組合せて取り入れることができる。
【0069】
本発明はまたそれらの薬学上許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、及び溶媒和物を包含する。
【0070】
本発明の化合物は不斉中心を有し、したがって異なる鏡像異性体及びジアステレオマーの形態が存在する。本発明は、本発明の化合物のすべての光学異性体及び立体異性体、及びそれらの混合物の使用、並びにそれらを採用し、又は含有することが可能なすべての医薬組成物及び処置方法に関する。
【0071】
本発明の化合物は、遊離の化合物又は溶媒和物(例えば水和物)のいずれの結晶形態であってもよく、両方の形態が本発明の範囲内であることが意図される。溶媒和の方法は当該技術分野において一般に知られている。
【0072】
本発明はまた、1個又は複数の水素、炭素又は他の原子がそれらの同位体によって置き換えられている本発明の化合物、及びその薬学上許容される塩を含む。かかる化合物は、代謝薬物動態学的研究及び結合分析における研究及び診断の手段として有用であり得る。
【0073】
本明細書で用いるとき、式1で表される化合物を含む本発明の化合物は、その薬学上許容される誘導体又はそのプロドラッグを含むものとして定義される。「薬学上許容される誘導体又はプロドラッグ」は、受容者に投与する上で、本発明の化合物、又はその代謝産物若しくは残留物を(直接又は間接に)提供することが可能な薬学上許容される塩、エステル、エステルの塩又は本発明の化合物の他の誘導体を意味する。特に好ましい誘導体及びプロドラッグは本発明の化合物の生体利用効率を増大させるものであり、かかる化合物が患者に投与されると(例えば、経口投与された化合物はより容易に血中に吸収されることにより)、もとの化合物の生物学的区画への送達を促進し、注射による投与を可能にするために溶解性を向上させ、代謝を修正し又は排出速度を修正する。
【0074】
本発明の化合物の塩は、式1又は2で表される化合物中の窒素から誘導される酸添加塩を含有することができる。治療活性は、本明細書で定義したように本発明の化合物から誘導される部分に存在し、他の成分の同定は、治療及び予防の目的のためには、好ましくは薬学上患者に許容されるものであるが、より重要性は低い。薬学上許容される酸添加塩の例には、鉱酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸、並びに有機酸、例えば酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸及びメタンスルホン酸、及びアリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸から誘導される塩を含む。好ましい塩はトリフルオロ酢酸塩及び塩酸塩を含む。
【0075】
本発明の化合物は、国際公開第0158934号に記載された合成方法に従って、又は本明細書に記載された改良された方法に従って調製することができる。したがって、式1による化合物を調製するための方法も本発明に包含される。
【0076】
カハラリドF及びその類似体をより経済的かつ安全に合成するための、最適化した方法の主要な工程は:(i)クロロトリチルクロロ-ポリスチレン樹脂にFmoc-D-Val-OHを初期挿入量0.5mmol/gで部分的に組み込み;(ii)保護されたアミノ酸及び脂肪族カルボン酸を逐次結合するため、HATU-DIPEAの代わりにDIPCDI-HOBtのカップリング方法を用い;(iii)CH2Cl2中におけるDIPCDI/HOBt/DIPEAによる環化工程;これらの条件は2つの副反応、活性化に伴うVal残基のエピマー化、及びPhe又はその置換体のトリフルオロ酢酸化を回避する;(iv)最終生成物中にPd(0)が存在するのを防止するためAlloc除去後、ジエチル-ジチオカルバミン酸ナトリウムを使用する。
【0077】
該合成法は好ましくは固相合成法である。
【0078】
本発明の合成方法の好ましい実施態様は、目的化合物の形成に係るスキーム1に最もよく示される。
【0079】
【化5】

【0080】
上のスキーム1に示すように、カハラリドFの類似形態の好ましい合成方法は固相法に基づいており、例えば、Lloyd-Williams, P.等のChemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins. CRC Press, Boca Raton(FL), 1997、及びそれに続くカハラリドF及びそのいくつかの類似体の調製のためのすでに記載された改良方法(国際公開第0158934号)に従う。
【0081】
スキーム1の方法は以下の逐次的工程を含む:
(a)クロロトリチルクロロ樹脂上にFmoc-D-Val-OHを組み込み、エステル結合を形成し;
(b)Fmoc/tBuストラテジーを用い、3個のアミノ酸[DaIle,DaThr(遊離OH),DaIle]によりペプチド鎖を延長し;
(c)Alloc/tBuストラテジーを用い、[Val(1)]を組み込み;
(d)Fmoc/tBuストラテジーを用い、残存するアミノ酸及び脂肪族カルボン酸によりペプチド鎖を延長し;
(e1)溶液中で結合し脱水した、ジペプチドAlloc-Phe-ZDhb-OHを組み込み;
(e2a)2個のアミノ酸、好ましくはThr及びPheによりペプチド鎖を延長する。ThrのOHは保護されておらず、Pheのアミノ基又はその置換体はFmoc又は好ましくはAllocにより保護されており;Fmocにより保護されているいくつかの場合において、これが除去されAllocが固相に導入され;
(e2b)固相における脱水によりジデヒドロペプチドを生成し;
(f)Phe、又はその置換体のAlloc/Fmoc基を除去し、一方、ペプチドはなお固体支持体に結合しており;
(g)固体支持体からペプチドを保護した側鎖を切断し;
(h)溶液中でペプチドを環化し;
(i)TFAの不安定な側鎖保護基を除去し;
(j)さらに溶液相で官能基を修飾する。
【0082】
したがって、該方法は以下のように実施することができる:
Fmoc-D-Val-OHを好ましくはクロロトリチルポリスチレン樹脂に組み込み、Barlos, K.; Gatos, D.; Schafer, W. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1991, 30, 590〜593頁参照、DIPEAの存在下、置換のレベルを約0.5mmol/gに維持する。より高い挿入量の使用は最終生成物中に終端となったペプチドの存在をもたらす、Chiva, C.; Vilaseca, M.; Giralt, E.; Albericio, F. J. Pept. Sci. 1991, 5, 131〜140頁参照。
【0083】
すべての溶媒の比率は別段の記載がなければ容量/容量である。
【0084】
Fmoc基の除去は、ピペリジン-DMF(2:8, v/v)により行うことができる(1x2分、2x10分)。Fmoc-aa-OH(4〜5当量)及び14-位の酸のカップリングはDIPCDI-HOBt(カルボン酸成分に対しそれぞれ等モル量)又はPyBOP-DIPEA(等モル量のPyBOP及び2倍量のDIPEA)を用い、DMF又はDMF-トルエン(1:1)中、90分間で行うことができる。カップリング後、ニンヒドリン又はクロラニル試験を行い、陽性の場合は同一の条件でカップリングを繰り返すか、プロセスを継続する。脱保護、カップリング、及び再び脱保護の工程の間に、DMF(5x0.5分)及びCH2Cl2(5x0.5分)により、例えば各回に溶媒10mL/g樹脂を用いて洗浄することができる。
【0085】
Alloc-Val-OH(5当量)を等モル量のDIPCDI及び10%のDMAPを用いて組み込むことができる。このカップリングは少なくとも2回繰り返す。
【0086】
Alloc基の除去はPhSiH3(10当量)の存在下、Pd(PPh3)4(0.1当量)を用いて行うことができ、Gomez-Martinez, P.;Thieriet, N.; Albericio, F.; Guibe, F. J. Chem. Soc. Perkin I 1999, 2871〜2874頁参照、及び樹脂をDMF中のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.02Mにより洗浄する(3x15分)。
【0087】
Alloc-Phe-OH及びH-Thr-OtBuとEDC-HClから溶液中で調製し、その後脱水及びTFAによる処理をしたジペプチドAlloc-Phe-ZDhb-OH(4当量)は、DIPCDI-HOAt(各4当量)により5時間から一晩でカップリングすることができる。HOBtに基づく他のカップリング試薬、例えばHBTU又はDIPCDI-HOBtの使用は、ジペプチドの組み込みを不完全にする。
【0088】
脱水は、EDC-HCl(水溶性カルボジイミド、20当量)を用い、CH2Cl2-DMF(9:1)中のCuCl(12当量)の存在下、7日間、固相において行うことができる。EDC-HCl/CuClは、Nisin(Fukase, K.; Kitazawa, M.; Sano, A.; Shimbo, K.; Horimoto, S.; Fujita, H.; Kubo, A.; Wakamiya, T.; Shibe, A.; Bull. Chem. Soc. Jpn. 1992, 65, 2227〜2240頁)のフラグメント中のThr残基の溶液中における脱水、及びThr、Ser、及びフェニルセリンからのジデヒドロペプチドの調製(Royo, M.; Jimenez, J.C.; Lopez-Macia, A.; Giralt, E.; Albericio, F. Eur. J. Org. Chem. 2001, 45〜48頁)のための固相における脱水により使用されてきた。
【0089】
該樹脂からの保護されたペプチドの切断はTFA-CH2Cl2(1:99)により行うことができる(5x30秒)。
【0090】
環化工程は、CH2Cl2中でDIPCDI/HOBt/DIPEAにより行うことができる。これらの条件は2つの副反応:活性化に伴うVal残基のエピマー化及びPhe又はその置換体のトリフルオロ酢酸化を回避する。
【0091】
最終の脱保護は、TFA-H2O(95:5)を用い、1時間で行うことができる。
【0092】
保護基の特別な選択は重要でなく、他の選択が広く可能であることが理解されよう。例えば、Bzl型の基はtBu/Bocを置き換えることができ;Fmocの代わりにBocに;Allocの代わりにFmocに;クロロトリチルの代わりにWang樹脂に置き換えることができる。
【0093】
合成のさらに詳細については実施例において記載する。
【0094】
本発明の方法は、すべての合成操作の間、構成される分子が不溶性支持体に結合された固相合成法を利用して、エナンチオ-の出発物質から、立体制御され、かつ迅速な手段において実施することができる。
【0095】
本発明の化合物の医薬製剤は、いかなる使用経路、例えば経口(口腔又は舌下腺を含む)、経腸、経鼻、局所(口腔、舌下腺又は経皮を含む)、経膣、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内又は皮内を含む)経路による投与に対しても適合することができる。かかる製剤は、製薬の分野において知られているいかなる方法、例えば活性成分と担体又は賦形剤との組合せによっても調製することができる。
【0096】
好ましくは本発明の化合物の医薬組成物は、静脈内投与に適した組成を有する液体(溶液、懸濁液又は乳液)を含み、それらは純粋な化合物又は担体若しくは他の薬学的に活性な化合物との組合せを含んでもよい。医薬組成物に関するさらなる指針は、全体として本明細書に組み込まれる、国際公開第0236145号において見ることができる。
【0097】
したがって、非イオン性界面活性剤及び有機酸の組合せは、充填剤を用いる使用に適しており、再調製に適した本発明の化合物の凍結乾燥された形態を付与する。再調製は、好ましくは乳化可溶化剤混合物、アルカノール及び水によってもたらされる。
【0098】
凍結乾燥された組成物は、好ましくは主に充填剤、例えば少なくとも90%又は少なくとも95%の充填剤を含有する。充填剤の例はよく知られており、サッカロース及びマンニトールを含有する。他の充填剤を用いることもできる。
【0099】
凍結乾燥された組成物中の非イオン性界面活性剤は、好ましくはソルビタンエステルであり、より好ましくはポリエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレンソルビタンアルカノアート、特にポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、例えばポリソルベート80である。非イオン性界面活性剤は代表的には組成物に対して0から5%等の、組成物に対して数%含有し、例えば組成物に対して2から3又は4%含有する。
【0100】
凍結乾燥された組成物中の有機酸は、代表的には脂肪酸、好ましくはヒドロキシカルボン酸、及びより好ましくはヒドロキシポリカルボン酸、特にクエン酸である。有機酸は、代表的には組成物に対して0から5%等の、組成物に対して数%含有し、例えば組成物に対して2から3又は4%含有する。
【0101】
凍結乾燥された組成物中の本発明の化合物の量は、代表的には混合物に対して1%より少ないか、しばしば0.1%より少ない。適切な量は50から200μgの範囲、例えば100mgの組成物あたり約100μgである。
【0102】
再調製剤についての乳化可溶化剤は、適切にはポリエチレングリコールエステル、特に脂肪酸のエステル、より好ましくはPEG-35オレアート等のPEGオレアートを含有する。乳化可溶化剤は、適切には再調製剤に対して0から10%、代表的には約3から7%、例えば約5%である。アルカノールは、通常エタノールであり、適切には再調製剤に対して0から10%、代表的には約3から7%、例えば約5%である。再調製剤の残部は水であり、静脈注射に適した再調製された溶液を生成する。
【0103】
さらに、0.9%生理食塩水を用いた再調製された溶液の希釈がカハラリド化合物の輸液に適する場合がある。適切な輸液機材は、好ましくはポリエチレン製よりガラス製の容器を含む。チューブは好ましくはシリコーン製である。
【0104】
好ましい再調製剤は、2から7%、例えば約5%の乳化可溶化剤;2から7%、例えば約5%のアルコール;及び残部の水を含有する。
【0105】
製剤は単位投与量又は複数回投与量の容器、例えば密封されたアンプル及びバイアル中に存在することができ、使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする、凍結乾燥状態で保管することができる。
【0106】
本発明は、さらに凍結乾燥した組成物及び再調製剤を含有する分離した容器を含むキットを提供する。再調製方法についても提供する。
【0107】
本発明の化合物又は組成物の投与は静脈内注入による。注入時間は72時間まで使用することができ、より好ましくは1から24時間、最も好ましくは約1時間又は約3時間のいずれかである。一晩病院に滞在することを要さずに処置することができる、短時間の注入が特に望ましい。しかし、注入は必要により約24時間又はそれより長時間であってもよい。
【0108】
投与は周期的に行われ、好ましい適用方法においては、本発明の化合物は各サイクルの最初の週に患者に静脈内注入され、サイクルの残りで患者は回復することができる。各サイクルの好ましい継続期間は、1、3又は4週間であり、必要に応じて多重サイクルで行うことができる。別の投与プロトコルでは、3週間おきに5日間連続で例えば約1時間、本発明の化合物を投与する。他の投与プロトコルは、変法として立案することができる。
【0109】
投与の延期及び/又は投与量の削減、及びスケジュール調整は、処置に対する個々の患者の許容程度により必要に応じて行い、特に投与量の削減は、肝臓のトランスアミナーゼ又はアルカリフォスファターゼが正常な血清レベルより高い患者に対して推奨される。
【0110】
1つの態様において、本発明は癌に冒されたヒト患者の処置方法であって、該患者に本発明の化合物を、1200mcg/m2/日より低い投与量、好ましくは930mcg/m2/日より低い投与量、より好ましくは800mcg/m2/日より低い投与量で投与することを含む処置方法を提供する。適切な投与量は少なくとも320mcg/m2/日である。好ましい投与量は400〜900mcg/m2/日の範囲であり、好ましくは500〜800mcg/m2/日、より好ましくは600〜750mcg/m2/日である。特に好ましくは約650〜700mcg/m2/日の投与量である。
【0111】
別の態様において、本発明は癌に冒されたヒト患者の処置方法であって、該患者に本発明の化合物を、930mcg/m2/日より低い投与量で毎日5日間投与し、それに続くカハラリド化合物を投与しない1から4週間の休止期間を含む処置方法を提供する。投与量は好ましくは650〜750mcg/m2/日、より好ましくは約700mcg/m2/日である。注入時間は好ましくは1から24時間の間であり、より好ましくは1から3時間の間である。特に好ましくは約1時間又は約3時間の注入時間である。休止期間は好ましくは2〜3週間、より好ましくは約2週間である。
【0112】
本発明はまた癌に冒されたヒト患者の処置方法であって、該患者に本発明の化合物を、1週間に一度、800mcg/m2/日より低い投与量で投与することを含む処置方法を提供する。投与量は好ましくは600〜700mcg/m2/日、より好ましくは約650mcg/m2/日である。注入時間は好ましくは1から24時間であり、より好ましくは1から3時間の間である。
【0113】
投与量の指針は上記のとおりであるが、該化合物の適正な投与量は特定の製剤、適用様式、並びに特定の位置、宿主及び処置される腫瘍により変動する。他の因子として年齢、体重、性別、食餌、投与時間、排出速度、宿主の状態、薬物の組合せ、反応感度、疾患の重篤性等を考慮する。投与は継続的に又は定期的に最大許容投与量の範囲内で行うことができる。
【0114】
本発明は特に前立腺癌、乳癌、肝細胞癌、メラノーマ、結腸直腸癌、腎臓癌、卵巣癌、NSCL癌、上皮癌、膵臓癌及びHer2/neu腫瘍遺伝子を過剰発現する腫瘍に罹患した患者の処置に係る。最も好ましくは肝細胞癌、メラノーマ、乳癌、膵臓癌及び前立腺癌の処置に係る。
【0115】
本発明はまた、哺乳動物の真皮細胞の過剰増殖を含む皮膚疾患の処置方法であって、哺乳動物に本発明の化合物の無毒の有効量を投与することを含む処置方法に係る。皮膚疾患は好ましくは乾癬である。本発明は好ましくは乾癬、特に重篤な乾癬に罹患したヒト患者の処置に係る。
【0116】
本発明の化合物及び組成物は、併用療法を提供するために他の薬物とともに使用することができる。他の薬物は同一の組成物の一部を形成してもよいし、同時若しくは異なる時間に投与するために分離した組成物として提供してもよい。他の化学療法剤、ホルモン剤又は抗体剤との組合せが予想されるが、他の薬物の同一性は特に限定されない。本発明の化合物及び他の薬学的な活性剤又はその複数の活性剤の量、並びに関連する投与時間は、所望の複合した治療効果を達成するために選択することができる。
【実施例】
【0117】
(一般的手順)
Cl-TrtCl-樹脂、保護されたFmoc-アミノ酸誘導体、HOBt、HOAtは、ABI(Framingham, MA)、Bachem(Bubendorf, Switzerland)、NovaBiochem(Laufelfingen, Switzerland)から、4-MeHex誘導体はNarchemから、HATU及び他のグアニジル化誘導体はABI(Framingham, MA)から入手するか、del Fresno, M.; El-Faham, A.; Carpino, L.A.; Royo, M.; Albericio, F. Organic Lett., 2000, 2, 3539〜3542頁に従って調製した。
【0118】
Alloc-アミノ酸は基本的にDangles等による記載、Dangles, O.; Guibe, F.; Balavoine, G.; Lavielle, S.; Marquet. A. J. Org. Chem. 1987, 52, 4984〜4993頁に従って調製し、Alloc-Z-Dhb-Phe-OH及びカハラリドFは国際公開第0158934号の記載に従って調製し、DIPEA、DIPCDI、EDC-HCl、ピペリジン、TFAはアルドリッチ(Milwaukee, WI)から入手した。DMF及びCH2Cl2はSDS(Peypin, France)から入手した。アセトニトリル(HPLC品位)はScharlau(Barcelona, Spain)から入手した。すべての市販試薬及び溶媒は、CH2Cl2以外入荷したものを用い、CH2Cl2は酸性不純物を除くためアルミナカラムを通した。
【0119】
固相合成は、ポリエチレン多孔性ディスクが取り付けられたポリプロピレンシリンジ(10〜50mL)内で行った。溶媒及び可溶性試薬は吸引により除去した。Fmoc基の除去はピペリジン-DMF(2:8, v/v)を用いて行った(1x2分、2x10分)。脱保護、カップリング、再度の脱保護工程間の洗浄はDMF(5x0.5分)及びCH2Cl2(5x0.5分)により、各回毎に10mL溶媒/g樹脂を用いて行った。ペプチド合成の変換及び洗浄は25℃で行った。固相上で行われる合成は、一定量(約2mg)のペプチジル樹脂の1分間のTFA-H2O(1:99)切断後に得られた中間体のHPLCにより制御した。HPLC逆相カラム[Nucleosil-C18 4,6x250mm、10μm(カラムA);Nucleosil-C4 4,6x250mm、10μm(カラムB)はSharlau(Spain)から入手し;Symmetry(商標)C18 4,6x150mm、5μm(カラムC);Symmetry300(商標)C18 4,6x50mm、5μm(カラムD)はWaters(Ireland)から及びZorbax SB C18 4,6x150mm、3.5μm(カラムE)はAgilent(USA)から入手した]。HPLC分析は、2つの溶媒送達ポンプ(Waters 1525)、自動注入装置(Waters 717 自動試料採取装置)、二波長検出器(Waters 2487)及びシステムコントローラ(Breeze V3.20)を備えたWaters装置、及び2つの溶媒送達ポンプ(G1311A)、自動注入装置(G1329A)、DAD(G1315B)を備えたAgilent 1100装置により行った。215又は220nmにおけるUV検出、及びCH3CN(+0.036%TFA)の水(+0.045%TFA)中への直線勾配(linear gradient)は以下の条件により行った。
【0120】
【表2】

【0121】
ペプチド試料のMALDI-TOF及びES-MS分析は、DHBマトリックスを用い、PerSeptive Biosystems Voyager DE RP及びWaters Micromass ZQスペクトロメータ及びAgilent Ion Trap 1100 Series LC/MSDTrapにより行った。ペプチド-樹脂試料は12N HCl水溶液-プロピオン酸(1:1)中、155℃で1から3時間加水分解し、ペプチドを有しない試料は6N HCl水溶液中、155℃で1時間加水分解した。その後のアミノ酸分析はBeckman System 6300自動分析装置により行った。1H-NMR分光分析[(278K)における1H, NOESY, TOCSY]はVarian Unity Plus(500MHz)により行った。化学シフト(δ)はTMSからの100万分の1のダウンフィールドにおいて表す。カップリング定数はヘルツにより表す。
【0122】
該類似体の名称は、式(I)で表されるカハラリドFの5-メチルヘキシル異性体に関連して名付け、角括弧内に修飾された残基を示し、末尾"no"は配列から天然の残基が除去されていることを示す。
【0123】
(実施例1)
(4S)-MeHex-D-Val-ThrVal-D-Val-D-Pro-Orn-D-allo-Ile-cyclo[D-allo-Thr-D-allo-Ile-D-Val-Phe-(Z)Dhb-Val], [(4S)-MeHex14]-カハラリドF(化合物1)
【0124】
〈工程1:H-D-Val-O-TrtCl-樹脂〉
Cl-TrtCl-樹脂(1g、1.64mmol/g)をポリエチレンフィルターディスクを取り付けた20mLのポリプロピレンシリンジ内に設置した。次に樹脂をCH2Cl2で洗浄し(5x0.5分)、Fmoc-D-Val-OH(238mg、0.7mmol、0.7当量)及びDIPEA(0.41mL)を含むCH2Cl2(2.5mL)溶液を加え、混合物を15分間撹拌し、DIPEA(0.81mL、合計7当量、7mmol)を追加し、及び混合物を45分間撹拌した。10分間撹拌した後MeOH(800μL)を添加することにより反応を停止させた。Fmoc-D-Val-O-TrtCl-樹脂を、一般的手順に記載されているようにCH2Cl2(3x0.5分)、DMF(3x0.5分)、ピペリジン、及びDMF(5x0.5分)により洗浄/処理した。Fmoc測定により計算された挿入量は0.50mmol/gであった。
【0125】
〈工程2:Fmoc-D-allo-Ile-D-allo-Thr(Val-Alloc)-D-allo-Ile-D-Val-O-TrtCl-樹脂〉
Fmoc-D-allo-Ile-OH(707mg、2mmol、4当量)、Fmoc-D-allo-Thr-OH(遊離の水酸基)(683mg、2mmol、4当量)、及びFmoc-D-allo-Ile-OH(707mg、2mmol、4当量)を、DMF(2.5mL)中のDIPCDI(310μL、2mmol、4当量)及びHOBt(307mg、2mmol、4当量)を用い、上で得られたH-D-Val-O-TrtCl-樹脂に順次加えた。すべての場合において、90分間のカップリング後、ニンヒドリン試験は陰性であった。Fmoc基の除去及び洗浄は、一般的手順の記載に従って行った。Alloc-Val-OH(502mg、2.5mmol、5当量)は、DMAP(30.6mg、0.25mmol、0.5当量)及びDIPEA(88μL、0.5mmol、1当量)の存在下、45分間DIPCDI(387mg、2.5mmol、5当量)とカップリングした。このカップリングは同一の条件で2回繰り返した。ペプチジル-樹脂の一定量をTFAで処理し、そして蒸発後に得られた粗生成物のHPLC(tR7.8分、条件S、カラムD)は>98%の純度を示した。ESMS、C45H63N5O11に対する計算値は、849.45である。実測値:m/z 850.1[M+H]+
【0126】
〈工程3:Fmoc-D-Val-D-Pro-Orn(Boc)-D-allo-Ile-D-allo-Thr(Val-Allo)-D-allo-Ile-D-Val-O-TrtCl-樹脂〉
Fmoc基が除去され、Fmoc-Orn(Boc)-OH(912mg、2mmol、4当量)、Fmoc-D-Pro-OH(843mg、2.5mmol、5当量)、及びFmoc-D-Val-OH(255mg、2.5mmol、5当量)を、DIPCDI(2.0mmol及び4当量に対し310μL;2.5mmol、5当量に対し388μL)及びHOBt(2.0mmol及び4当量に対し307mg;2.5mmol、5当量に対し395mg)を90分間用い、上で得られたペプチジル-樹脂(工程2)に順次添加した。Orn及びD-Proを組み込んだ後のニンヒドリン試験は陰性であった。D-Valを組み込んだ後のクロルアニルはわずかに陽性であった。したがってこの残基の再カップリングをFmoc-D-Val-OH(678mg、2.0mmol、4当量)、DIPCDI(310μL、2.0mmol、4当量)及びHOBt(307mg、2.0mmol、4当量)を用い90分間行った。ペプチジル-樹脂の一定量をTFAで処理し、そして蒸発後に得られた粗生成物のHPLC(tR10.1分、条件S、カラムD)は>98%の純度を示した。MALDI-TOF-MS、C65H97N9O16に対する計算値は、1,259.71である。実測値:m/z 1,282.16[M+Na]+
【0127】
〈工程4:(4S)-MeHex-D-Val-Thr(tBu)-Val-D-Val-D-Pro-Orn(Boc)-D-allo-Ile-D-allo-Thr(Val-Alloc)-D-allo-Ile-D-Val-O-TrtCl-樹脂〉
Fmoc基が除去され、Fmoc-Val-OH(678mg、2mmol、4当量)、Fmoc-Thr(tBu)-OH(992mg、2.5mmol、5当量)、Fmoc-D-Val-OH(678mg、2mmol、4当量)、及び(4S)-MeHex-OH(195mg、1.5mmol、3当量)を、DIPCDI(1.5mmol及び3当量に対し233μL;2mmol及び4当量に対し310μL、及び2.5mmol及び5当量に対し388μL)及びHOBt(1.5mmol及び3当量に対し230mg;2mmol及び4当量に対し307mg、及び2.5mmol及び5当量に対し395mg)を90分間用い、上記のペプチジル-樹脂(工程3)に順次添加した。すべての場合において、90分のカップリング後、ニンヒドリン試験は陰性であった。Fmoc基の除去及び洗浄は一般的手順の記載に従って行った。
【0128】
〈工程5:(4S)-MeHex-D-Val-Thr(tBu)-Val-D-Val-D-Pro-Orn(Boc)-D-allo-Ile-D-allo-Thr(Val-Z-Dhb-Phe-Alloc)-D-allo-Ile-D-Val-O-TrtCl-樹脂〉
Alloc基をAr雰囲気中、PhSiH3(617μL、5mmol、10当量)の存在下でPd(PPh3)4(58mg、0.05mmol、0.1当量)により除去し、Alloc-Phe-Z-Dhb-OH(666mg、2mmol、4当量)及びHOAt(273mg、2mmol、4当量)をDMF(1.25mL)中に溶解し、ペプチジル樹脂に加え、次いでDIPCDI(310μL、2mmol、4当量)を加え、混合物を5時間撹拌したところ、ニンヒドリン試験は陰性であった。DMF及びCH2Cl2により洗浄後、ペプチジル樹脂の一定量をTFA-H2O(1:99)で1分間処理し、生成物の特徴をMALDI-TOF-MSにより調べた。C88H146N14O21に対する計算値は、1,735.08である。実測値:m/z 1,758.67[M+Na]+、1,774.62[M+K]+
【0129】
〈工程6:(4S)-MeHex-D-Val-Thr(tBu)-Val-D-Val-D-Pro-Orn(Boc)-D-allo-Ile-D-allo-Thr(Val-Z-Dhb-Phe-H)-D-allo-Ile-D-Val-OH〉
DMF及びCH2Cl2により洗浄後、Alloc基をAr雰囲気中、PhSiH3(617μL、5mmol、10当量)の存在下でPd(PPh3)4(58mg、0.05mmol、0.1当量)により除去した。保護されたペプチドをTFA-CH2Cl2(1:99)により樹脂から切断した(5x30秒)。ろ液をH2O(4mL)に集め、H2Oをロータベーパーにより一部除去した。次いでACNを加え、H2O除去中に析出した固体を溶解し、溶液を凍結乾燥し、639mg(387μmol、収率77%)の標記化合物をHPLC(条件R、カラムC、tR10.5分)による試験で>95%の純度で得た。
【0130】
〈工程7:(4S)-MeHex-D-Val-Thr-Val-D-Val-D-Pro-Orn-D-allo-Ile-cyclo(D-allo-Thr-D-allo-Ile-D-Val-Phe-Z-Dhb-Val)〉
保護されたペプチド(工程6)(639mg、387μmol)をCH2Cl2(390mL、1mM)に溶解し、HOBt(237mg、1.55mmol)をHOBtの溶解に必要な最少量のDMFに溶解し、DIPEA(203μL、1.16mmol、3当量)、及びDIPCDI(240μL、1.55mmol、4当量)を加えた。混合物を1時間撹拌し、次いで環化工程の経過をHPLCにより調べた。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去した。保護された環状ペプチドをTFA-H2O(19:1、85mL)に溶解し、混合物を1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去し、ジオキサン(30mL)を加え、溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去し(このプロセスを3回繰り返した)、次にH2O(40mL)を加え、凍結乾燥した。粗生成物をHPLC(Kromasil C8 5μm、205x50mm)、水(+0.05% TFA)に溶かした44%アセトニトリル(+0.05% TFA)を用いたイソクラティックで、55mL/時間、220nm検出により精製し、標記生成物(192mg、0.13mmol、収率26%、92.3%)を得た。MALDI-TOF-MS、C75H124N14O16に対する計算値は、1,476.93である。実測値:m/z 1,500.12[M+Na]+、1,515.97[M+K]+1H-NMR(2.5mM、500KHz、H2O-D2O(9:1)化合物のスペクトルを表IIに示す)。
【0131】
【表3】

【0132】
(実施例2)
表IIIに示す類似体は、欄(工程)に示された工程[残基(A)は他の残基(B)によって置き換えられたか除去(none)されている]である以外、実施例1に記載の実験手順と同様にして合成した。
【0133】
【表4A】

【表4B】

【表4C】

【表4D】

【表4E】

【表4F】

【0134】
(実施例3)
5-MeHex-D-Val-Thr-Val-D-Val-D-Pro-Orn-D-allo-Ile-cyclo[D-allo-Thr-D-alo-Ile-D-Val-hCh-(Z)-Dhb-Val](化合物63)
工程4において(4S)-MeHexを5-MeHexにより置換し、かつ工程5を以下の実験手順に従って行った以外、実施例1に記載の実験手順と同様にした:
5-MeHex-D-Val-Thr(tBu)-Val-D-Val-D-Pro-Orn(Boc)-D-allo-Ile-D-alo-Thr(Val-Alloc)-D-allo-Ile-D-Val-O-2-Clorotrityl-Ps(250mg、初期挿入量=0.5mmol/g樹脂)からAlloc基を、上記と同様にAr雰囲気中、PhSiH3の存在下でPd(PPh3)4により除去した。Fmoc-Thr-OH(遊離の水酸基)(213.2mg; 0.63mmol; 5当量)及びFmoc-hCha-OH(254.0mg; 0.63mmol; 5当量)を、DMF中のDIPCDI(96.8mg; 0.63mmol; 5当量)及びHOBt(85mg; 0.63mmol; 5当量)を用い、上記のペプチジル-樹脂に順次添加した。DMFにより十分に洗浄後(5x30秒)、該ペプチジル-樹脂をCH2Cl2-DMF(1:9)中のEDC-HCl(479mg、2,5mmol、20当量)、CuCl(184mg、1,5mmol、12当量)により6日間処理した。DMF、CH2Cl2、及びDMFで十分に洗浄後、実施例1に記載の実験手順に従い、KF類似体を得た。
【0135】
(実施例4)
表IVに記載の類似体を、工程4の(4S)-MeHexを5-MeHexにより置換し、工程5を実施例3に記載と同様に行った以外、実施例1に記載の実験手順に従って合成し、ただしFmoc-hCh-OHの代わりにFmoc-Phe-OHを組み込み、及び欄(工程)に示された工程において、残基(A)は他の残基(B)により置換されたか、除去(none)された。類似体64〜66において、該類似体は水素化されているため、脱水反応は採用しなかった。
【0136】
【表5】

【0137】
(実施例5)
表Vに記載の類似体は、工程5を実施例3における記載と同様に行った以外、実施例1に記載の実験手順に従って合成し、及び欄(工程)に示された工程において、残基(A)は他の残基(B)により置換された。さらに、固相を脱水する前に、Fmoc基を一般的手順における記載に従って除去し、アミノ基をDIPEA(5当量)の存在下、溶媒としてDMFを用い、Alloc-OSu(5当量)との反応(2時間)によりAllocの形態で保護した。
【0138】
【表6】

【0139】
(実施例6)
[N(Me)2,N'(Me)2-Arg8]-カハラリドF(化合物89)
DIPEA(1.73μL; 10.17μmol)及びHATU(3.86mg; 10.15μmol)をDMF(5ml)に溶解したカハラリドF(10.0mg; 6.76μmol)に添加した。反応をHPLCにより追跡し、4時間後、DMFを減圧下で除去し、残渣をCH3CN-H2O-AcOH(4.5:4.5:1、20ml)に溶解し、凍結乾燥し、粗精製HPLCにより精製し、標記の類似体(4.5mg、40%)を得た。
【0140】
(実施例7)
[N(Me,Ph),N'(Me)2-Arg8]-カハラリドF(化合物90)
HATU:1.63mg、12%の代わりにHAPyU(4.87mg、10.15μmol)を用いた以外、実施例6に記載の実験手順を用いた。
【0141】
(実施例8)
[N(CH2)4,N'(Me)2-Arg8]-カハラリドF(化合物91)
HATU:5.2mg、46%の代わりにM2A(4.12mg、10.14μmol)を用いた以外、実施例6に記載の実験手順を用いた。
【0142】
(実施例9)
[N(CH2)4,N'(CH2)4-Arg8]-カハラリドF(化合物92a)及び[Nδ(CHN(CH2)4,N'(CH2)4)-Orn8]-カハラリドF(化合物92b)
HATUの代わりにBTFFH(約50%の1,1'-(フルオロメチレン)ジピロリジン)(3.16mg; 10.16μmを含有する)を用いた以外、実施例6に記載の実験手順を用いた。2つの生成物、92a及び92b、が得られ、それら(1:1の比率の4.0mgの混合物、35.6%)を分離することができなかった。
【0143】
HPLC(Cond.A,カラムA)、tR:20.8分(92b)45%及びtR:20.9分(43a)46%。EM(MALDI-TOF, m/z):(92a)計算値1,627.05; 実測値1,630.8[M+H]+; 1,652.6[M+Na]+。(43b)計算値1,629.06; 実測値1,632.7[M+H]+; 1,670.6[M+K]+
【0144】
(実施例10)
[Nε(Me)3-Lys8,(4S)-MeHex14]-KF(化合物93)
DIPEA(10μL; 58.8μmol)及びMeI(6μL;0.100mmol)をDMF/DCM(1:1、5ml)に溶解した[Lys8、(4S)-MeHex14]-カハラリドF(化合物30)(5.0mg; 3.35μmol)に加えた。反応をHPLCにより追跡し、12時間後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をCH3CN-H2O-AcOH(4.5:4.5:1、20ml)に溶解し、凍結乾燥し、粗精製HPLCにより精製し、標記の類似体(2.2mg、44%)を得た。
【0145】
(実施例11)
[Thr(OTfa)12,4(S)MeHex14]-カハラリドF(化合物94)
[4(S)MeHex14]-カハラリドF(化合物1;10.0mg; 6.7μmol)をTFA-DCM(1:1、20mL)に溶解し、室温で3日間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、残渣をH2O-CH3CN(1:9)に溶解し、試料が水に溶解している時間を最小限にするように直ちに精製した。標記の類似体に対応する分画を液体N2に没入させた丸底フラスコに集め、凍結乾燥した(2.5mg; 25%)。
【0146】
(実施例12)
[Orn(NδTfa)8, Thr(OTfa)12,4(S)MeHex14]-カハラリドF(化合物95)
[4(S)-MeHex14]-KF(化合物1;10mg; 6.7μmol)をDCM(8mL)に溶解し;TFAA(18.9μL; 134μmol)及びDIPEA(22.8μL; 134μmol)を加え、12時間反応させた。次に、溶媒を減圧下で除去し、H2O-CH3CN(1:1)に再溶解し、及び直ちに精製した(2.0mg; 20%)。
【0147】
(実施例13)
[Orn(NδTfa)8,4(S)MeHex14]-カハラリドF(化合物96)
精製前に、類似体をH2O-CH3CN(1:1)に溶解し、溶液中に2時間放置し、精製した(4.3mg; 43%)以外、実施例12に記載の実験手順を用いた。
【0148】
(実施例14)
[Thr(OTfa)12,Lit(OTfa)14]-カハラリドF(化合物97)
工程4において(4S)-MeHexをLit-OHによって置き換え、工程7において環状ペプチドをTFA-DCM(1:1、20ml)に溶解し、室温で3日間撹拌した以外、実施例1に記載の実験手順を用いた。この時間の後、一定量(10%)から溶媒を減圧下で除去し、固体残渣をH2O-CH3CN(1:9)に溶解し、試料がH2Oに溶解している時間を最小限にするように直ちに精製した。標記の類似体に対応する分画を液体N2に没入させた丸底フラスコに集め、凍結乾燥した(5.6mg; 出発樹脂からの収率6%)。
【0149】
(実施例15)
[no5-MeHex14-N-(Hep)2-D-Val13]-カハラリドF(化合物98)
工程4において、DMF-AcOH(99:1; 2mL)に溶解したヘプタンアルデヒド(60.65μL; 0.75mmol; 5当量)をH-D-Val-Thr(tBu)-Val-D-Val-D-Pro-Orn(Boc)-D-allo-Ile-D-alo-Thr(Val-Alloc)-D-allo-Ile-D-Val-O-2-クロロトリチル-Ps(300mg; 初期挿入量=0.5mmol/g樹脂)に加え及び5分後、DMF-AcOH(99:1; 1mL)に溶解したNaBH3CN(28.28mg; 0.45mmol; 3当量)を加えた以外、実施例1に記載の実験手順を用い、混合物を2時間反応させた。HPLCにより反応を観察しながらこの処理をさらに2回繰り返した。
【0150】
(実施例16)
[Orn(Biot)8]-カハラリドF(化合物99)
カハラリドF(150.0mg; 94.3μmol)、d-ビオチン(37.0mg、151.5μmol)及びHATU(114.0mg、299.8μmol)をAr雰囲気中で無水DCM(6.0ml)に溶解し、NMM(58μl、524.0μmol)を加えた。混合物を20時間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で除去し、残渣をMeOH中に溶解し、精製した。標記の類似体に対応する分画を凍結乾燥した(74.0mg; 43%)。
【0151】
(カハラリドF類似体の特性)
特性を表VI及びVIIに示す。表VI中のEMはMALDI-TOFに対応し、正確な質量はChemwind 6.0により計算し、及び表VII中のEMはpositive modeでのAPCIに対応する。
【0152】
【表7A】

【表7B】

【表7C】

【表7D】

【表7E】

【表7F】

【0153】
【表8】

【0154】
(実施例17:生物学的活性)
本発明の化合物の生物学的活性を以下に記載の方法に従って得られた下記の表の結果により示す。この分析の最終的な判断は、細胞を試験試料に継続して提示する方法により、「in vitro」の腫瘍細胞培養の成長を中断させることによって判断した。
【0155】
【表9】

【0156】
スルホローダミンB(SRB)反応を用いる比色分析を、細胞成長及び生存率の定量測定[以下のPhilip Skehan等、(1990)により記載された技術、New colorimetric cytotoxicity assay for anticancer drug screening, J. Natl. Cancer Inst., 82: 1107〜1112頁]に適用した。
【0157】
分析のこの形態は直径9mmの96ウェル細胞培養マイクロプレートを採用する(Faircloth, 1988; Mosmann, 1983)。大部分の細胞系は、異なるヒト癌タイプから誘導されたアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から得られる。
【0158】
細胞は、0.1g/lのペニシリン及び0.1g/lのストレプトマイシン硫酸塩を補充したRPMI 1640 10%FBSで維持し、次に37℃、5%CO2及び湿度98%でインキュベートした。実験のために、トリプシンを用いて、subconfluentな培養液から細胞を回収し、プレイティングする前に新鮮な培地に再懸濁した。
【0159】
細胞を、96ウェルのマイクロタイタープレートに、ウェルあたり5x103個の細胞(各195μLの培地中)でプレイティングし、薬物の存在しない培地中で18時間成長させることにより、プレート表面に付着させる。その後、DMSO:EtOH:PBS(0.5:0.5:99)に溶解させた10から10-8μg/mLの範囲の試料を各5μLで添加する。48時間暴露した後、抗腫瘍効果をSRB法により測定する:50μLの冷却した50%(wt/vol)トリクロロ酢酸(TCA)を添加し、4℃で60分間インキュベートすることにより細胞を固定する。プレートを脱イオン水で洗浄し、乾燥する。100μLのSRB溶液(1%酢酸中0.4wt/vol%)を各マイクロタイターウェルに添加し、室温で10分間インキュベートする。結合していないSRBを1%酢酸で洗浄することにより除去する。プレートを空気乾燥し、結合した染色物をトリス緩衝液で溶解する。吸光度を自動分光光度プレートリーダーにより490nmの単波長で読み取る。
【0160】
3重のウェルからのデータの平均+/-SD値を計算する。セル応答に対するいくつかのパラメータを計算することができる:GI=成長阻害、TGI=合計の成長阻害(細胞静止作用)及びLC=殺細胞(細胞傷害効果)。
【0161】
表VIII及びIXは本発明の化合物の生物学的活性データを示す。
【0162】
【表10A】

【表10B】

【表10C】

【表10D】

【表10E】

【表10F】

【表10G】

【表10H】

【表10I】

【表10J】

【表10K】

【表10L】

【表10M】

【表10N】

【表10O】

【表10P】

【表10Q】

【0163】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
[Oct14]-KFであり、括弧内に示された基がカハラリドFの構造に導入された変更である、KFとして表される式1のカハラリドFの構造に基づく化合物:
【化1】

又はこれらの薬学上許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、及び薬学上許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
医薬としての使用のための、請求項1に記載の化合物または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
癌の処置における使用のための、請求項1に記載の化合物または請求項2に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−51899(P2012−51899A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214680(P2011−214680)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2006−525886(P2006−525886)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(505036641)ファーマ・マール・エス・アー・ウー (11)
【Fターム(参考)】