新規な最適化対象を生成するためのプラン群の使用方法
放射線治療システムは、診断用画像スキャナ(12)を含み、その診断用画像スキャナは、被験者の多次元のデータセットを取得し、そのデータセットは、関心対象の少なくとも1つの表示へ再構成される。放射線治療システムの画像処理装置(72)は、セグメンテーションユニット(74)を含み、そのユニットは、関心対象又は他の重要な構造の表面輪郭を識別する。マスキングユニット(82)は、非均一な周縁部を決定するが、その決定は、識別された表面輪郭に基づいて行われ、その決定した非均一な周縁部をその識別された表面輪郭に加える。その非均一な周縁部は、異方性の動き、表面形態、位置の不確実性、他の器官への近接性、及び線量分布の確率のうちの少なくとも1つに基づく。プランニングプロセッサ(70)は、放射線治療プランを生成し、そのプランは、表面輪郭と非均一な周縁部に関連づけられた組織への治療放射線の供給を制限する。放射線供給システム(40)は、その生成されるプランに応じて、治療放射線を供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、放射線治療プランニングの方法及びシステムに関する。それは、医用画像における解剖学的特徴を識別し、そこに放射線治療を供給することへの特別な適用が認められる。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、腫瘍学における一般的な治療技術であり、高エネルギーガンマ(γ)放射線、粒子ビーム、又は他の放射線の線量が、患者の身体に供給され、治療効果を達成する。即ち、癌性組織を絶滅する。複数の断層放射線ビーム、又は単一の放射線ビームが、マルチリーブ(multi-leaved)なコリメータや他のビーム形状の要素を使用して、強度変調されて、影響を受ける近接する器官への照射リスクを制限しつつ、標的容積、例えば癌性組織を正確に照射する。放射線治療セッションは、腫瘍及び近接組織の1つ以上のプラニング(計画)容積画像、例えばコンピュータ断層(CT)画像又は類似のものに基づいて、放射線治療の前に、計画される。コンピュータ化されたプラニングシステムは、自動的に又は半自動的に、標的容積の境界、及び健康な周辺組織をセグメント化し、そのうちの幾つかは、影響を受けやすいリスクのある器官であって、放射線ビームによって回避されるべきである。境界の情報を使用し、プラニングシステムは、強度変調パラメータを最適化し、リスクのある器官に対応する輪郭の範囲内に照射を制限しつつ、主に癌性容積に対応する輪郭の範囲内に放射線を供給する。標的が充分に照射されることを確保するため、固定の周縁部が標的容積の決定された輪郭の周囲に定義され、器官の動きや患者の位置などの不確実性を示す。すなわち、標的は、固定周縁部によって全方向に拡大され、その標的が実際に照射される可能性を向上する。不確定な固定周縁部に依存することは、癌の不適切な照射、周辺組織の不必要な損傷、又はその両方につながることがある。
【0003】
例えば、前立腺癌の治療プラニングでは、前立腺は輪郭付けられて、標的容積として識別されるが、膀胱、直腸、大腿骨頭などの器官は輪郭付けられて、リスクのある器官として識別され、その放射線照射は制限されるべきである。これらの器官は、とても近くにあるので、固定周縁部を標的容積に付加する方法は、これらの影響を受ける器官に対してリスクをもたらす。周縁部を付加しないことは、癌が完全には死滅しないというリスクをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本特許出願は、上述の及び他の問題を解決する放射線治療プランニングのための、新規な改良された方法と装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面に従って、解剖学的特徴の画像セグメンテーション方法が提案される。その方法は、少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するステップと、識別された表面輪郭に基づいて、非一定周縁部を決定するステップとを含み、その非一定輪郭は、識別された表面輪郭に付加される。
【0006】
他の一側面に従って、放射線治療方法が提案される。その方法は、被験者の多次元データセットを取得するステップと、その多次元データセットを、その被験者の少なくとも1つの解剖学的特徴の少なくとも1つの画像表示に再構成するステップとを含む。その画像表示は、画像セグメンテーション方法に従ってセグメント化される。
【0007】
他の一側面に従って、放射線治療システムが提案される。その放射線治療システムは、診断用画像スキャナ、放射線供給システム、及び、解剖学的特徴の画像セグメンテーション方法を実行するようにプログラムされた放射線治療プランニングプロセッサを含む。
【0008】
他の一側面に従って、画像処理装置が提案される。その画像処理装置は、少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するセグメンテーションユニットと、その識別された表面輪郭に基づいて非一定周縁部を決定し、その識別された表面輪郭にその決定された非一定周縁部を付加する、マスキングユニットとを含む。
【0009】
他の一側面に従って、放射線治療システムが提案される。その放射線治療システムは、診断用画像スキャナを含み、その診断用画像スキャナは、被験者の多次元データセットを取得し、その多次元データセット及び画像処理装置から、関心対象の少なくとも1つの画像表示を生成する。
【0010】
1つの有利な点は、健康な組織への放射線照射が低減されることである。
【0011】
本願発明の更なる有利な点は、以下の詳細な説明を読み理解することで、当業者には認識されるだろう。
【0012】
本発明は、各種のコンポーネント及びコンポーネントの配置において、並びに、各種のステップ及びステップの配置において、具体化されてもよい。図面は、好ましい実施形態を説明する目的だけに用いられ、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、非一定周縁部を決定するための画像処理ユニットを備えた放射線治療システムの概略図である。
【図2】図2は、関心対象の二次元の軸方向スライスと、付加された非一定周縁部である。
【図3】図3は、非一定周縁部を決定するための画像セグメンテーション方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、放射線治療システムのような治療システム10は、例えば、コンピュータ断層(CT)画像スキャナやMRIスキャナ、又は類似物といった診断用画像スキャナ12を含み、放射線治療プロトコルを計画する際に使用される診断画像を取得するために用いられる。CT画像スキャナ12は、回転ガントリ16に取り付けられるX線源14を含む。X線源14は、検査領域18を通過するX線を形成し、その検査領域では、X線が被験者(不図示)の標的範囲と相互作用する。その被験者は、検査領域18の範囲内で標的範囲を位置合わせする支持部20によって支持される。X線検出器アレイ22は、X線ビームが検査領域18を通過した後に、X線ビームを受けるように配置され、その検査領域では、X線は被験者と相互作用し、かつ、部分的に被験者に吸収される。従って、その検出されたX線は、被験者に関連した吸収情報を含む。
【0015】
CTスキャナ12は、コントローラ30によって操作され、選択画像を連続して実行し、放射線治療法によって治療されるべき被験者の選択された標的範囲を取得する。画像の連続により、標的範囲と近接組織との多次元の診断用画像データセットを獲得する。その診断用画像データセットはデータバッファ32に保存される。再構成プロセッサ34は、獲得した画像データから3D画像表示を再構成し、その再構成された画像表示は診断用画像メモリ36に保存される。総合すれば、CTスキャナ12、コントローラ30、及び再構成プロセッサ34は、診断用画像発生手段を定義する。
【0016】
説明される診断用画像システムは、単に例示的なものである。当業者は、CTスキャナ12は、他の種類の診断用画像スキャナ、例えば磁気共鳴断層撮影(MRI)スキャナ、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナ、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャナ又は類似物によって任意的に代替できることを理解するだろう。
【0017】
示される実施形態では、診断用画像装置12は、治療供給システム40から分離しているが、それらは単一の筐体に結合されてもよい。治療供給システムは、外部の放射線治療供給システム或いは内部の放射線治療供給システム、例えば、近接照射療法であり得る。任意的には、診断用画像の前に、マーカーが被験者に適用され、そのマーカーは次の放射線治療用に依然として有効で、診断用画像と放射線送出との間のレジストレーションを供給する。診断用画像取得と放射線治療との間の空間的レジスタリングの他の方法、例えば固有の解剖学的マーカーを使用することも考えられる。また、診断用画像スキャナを放射線治療と統合して、診断用画像と放射線治療との間のミスレジストレーションを低減することも考えられる。
【0018】
放射線供給システム40は、放射線供給装置42を含み、その放射線供給装置は、例えば、線形アクセラレータや焦点X線、又は類似物といった放射線源44を有する。ガントリ46は、放射線源44を回転軸48の周りに回転させるか又はステップさせる。支持台50は、被験者を、放射線源44によって発生される強度変調放射線ビーム52にさらされた標的範囲に関して、厳密に位置合わせする。支持台50は、ガントリ46が被験者の周りに放射線源44を回転させる間、被験者を位置合わせし且つ移動させる。放射線ビーム52は、調整可能な強度及び/又はペリメータ(周囲)と共に断面積54を有する。放射線ビーム52は、連続的に適用されるか、又は、治療の間、パルスはオンとオフにされることが可能である。任意的に、放射線検出システムは、患者を横切る放射線の強度をモニタするために、放射線源から患者の反対側に配置される。検出器からのデータは、低解像度の投影画像に再構成され、そうして、ビーム、標的(ターゲット)、線量のアライメントをモニタする。放射線供給システム40は、放射線コントローラ60によって操作され、プラニングプロセッサ70によって規定されるように選択放射線プロトコルを実行する。総合すれば、放射線供給システム40、放射線コントローラ60、及びプランニングプロセッサ70は、放射線治療手段を定義する。
【0019】
放射線治療手段を定義するプラニングプロセッサ70は、画像装置12から取得された、関心対象と重要な器官との診断用画像表示に基づいて、放射線治療プランを決定する。関心対象は、放射線供給システム40から放射線治療を受けるべき癌性の腫瘍や病変であり得る。例えば脊髄や類似物のような重要な構造は、健康な又は敏感な組織を含み、それは可能な限りとっておかれる必要があり、非重要組織に対してより高い優先順位を有する。一般的には、関心対象が配置され識別されると、等方性の周縁部(周辺部)が関心対象の表面輪郭に付け加えられ、照射される予定の領域は拡大され、関心対象の全体が照射される可能性を増し、即ち、付け加えられた周縁部に対応する組織は、同じ放射線量を受けるだろう。その周縁部は、動きの不確定の要因であり、その不確定性は、治療セッション中の動きに関連し、例えば、肺の動きや心臓の動き等であり、或いは、治療セッションの合間の動きにも関連し、例えば、患者の位置合わせや直腸や膀胱注入や類似のものである。等方性の周縁部を付加することの問題は、もし、関心対象が1つの方向だけの又は2つの方向の動きを受けたときも、等方性の周縁部は、その関心対象が全方向に等しく受けたものと仮定し、健康な組織への不必要な照射をもたらすことになることである。
【0020】
引き続き図1を参照すると、プラニングプロセッサ70と通信し、さらに画像処理手段を定義する画像処理ユニット72は、非等方性又は非一定周縁部を決定する。その決定は、関心対象及び/又は重要構造の特性、投影された動き、及び潜在的なエラーのソースに基づいて行われる。画像処理ユニットは、セグメンテーションユニット74を含み、そのセグメンテーションユニットは、セグメンテーション手段を定義し、取得される診断用画像表示から自律的に乃至は半自律的に関心対象と重要組織との表面輪郭を描写する。公知のセグメンテーション方法、例えばクラスタリング、特徴抽出、モデルベース、或いは類似の方法の何れか1つが考えられる。識別ユニット76は、識別手段を定義するもので、描写された表面輪郭を参照データに一致させる。参照データは、各種の器官及び/又は組織タイプに対応する表面モデルのデータベース78を含み、そのデータベースから、関連する表面モデルが関心対象の描写輪郭に一致される。一致(マッチング)技術は、最大尤度推定、ニューラルネットワーク又は類似のものを含んでもよい。
【0021】
非一定周縁部は各表面モデルに関連付けられる。例えば、表面モデルは、複数の領域を含み、各領域は、その領域に関連付けられた周縁部の幅を有する。表面モデルの個々の領域での周縁部の幅は、多くの要因に依存する。要因は、関心対象の形態を含み、例えば、その表面が平坦であるか、不規則か、巻きひげのような突起を有するかどうか等である。1つ又はそれ以上の方向の動きに起因する境界位置の不確実性(例えば肺腫瘍)は、呼吸に起因する冠方向の動きを受けることがある。従って、進行の平均方向に垂直な表面モデルの領域は、より広い関連の周縁部を有する。照射されるべき組織の生理学的機能、又は近接構造、重要と非重要の両方、及び重要構造への近接性も考慮される。要因は、放射線供給システム40に依存してもよく、例えば、ビーム幅、ビーム強度、ビーム散乱、ガントリ速度、ガントリ振動乃至はバイブレーション、又は類似するものである。周縁部の幅に加えて、表面モデルの各領域は、重み因子(weight factor)を有してもよく、その重み因子は、当該領域に対応する組織に供給される放射線治療ビームの強度に対応する。
【0022】
一実施形態では、重み因子は一定であって、対応する周縁部はステップ関数のように振舞う。他の実施形態では、重み因子は例えばグラディエント関数のように非線形であって、ビーム強度は、関心対象の反対にある周縁部のエッジに向かって増加/減少する。例えば、重み因子は選択されて、所定の線量(dose)を描写する放射線パタンを、選択可能な確実性で、ターゲット(標的)のエッジ範囲に供給する。例えば、99%の可能性は、所定の線量がターゲットの全部分に供給されることであり、又は、95%の可能性である。
【0023】
変形手段を定義する変形ユニット80は、表面モデルの表面を適応して、関心対象の表面輪郭の形状に対応する。マスキング手段を定義するマスキングユニット82は、非一定周縁部を関心対象に付加し、プラニングプロセッサ70は、関心対象の付加表面輪郭と重要構造の輪郭とに基づいて、強度マップを生成する。
【0024】
図2を参照すると、関心対象の表面モデル84の軸方向2次元スライスの例が、付加非一定周縁部86と共に示される。関心対象の正味の動きは、z方向であり、従って、非一定周縁部86は、より広く、進行方向に対して垂直な又は実質的に垂直な表面の位置不確実性を表す。進行方向に実質的に平行な(即ち、図示の実施形態ではy方向)表面は、その表面に関連付けられる、より狭い非一定周縁部86を有する。強度マップは、放射線コントローラのために治療ビームの軌跡、形状、及び/又は強度を策定し、放射線供給システム40をコントロールする。プラニングプロセッサは、コンソール90に強度マップを出力する。コンソール90は、グラフィックユーザインターフェースを含み、更に、ユーザ入力デバイスを含み、そのユーザ入力デバイスは、臨床医が、スキャナコントローラ30又は放射線コントローラ60をコントロールするために使用することができ、そうして、生成された強度マップに従って、スキャニングシーケンスやプロトコル、及び治療スキーム又は線量をそれぞれ選択する。コンソールは、診断用画像、セグメンテーションツール、表面モデル、非一定周縁部及び類似のものを表示する。総合すれば、セグメンテーションユニット74、識別ユニット76、データベース78、変形ユニット80、及びマスキングユニット82は非一定周縁部生成手段を定義する。
【0025】
コンソール90は、グラフィックユーザインターフェースを含み、更に、ユーザ入力デバイスを含み、そのユーザ入力デバイスは、臨床医が、スキャナコントローラ30又は放射線コントローラ60をコントロールするために使用することができ、そうして、スキャニングシーケンスやプロトコル、及び治療スキーム又は線量をそれぞれ選択する。コンソールは、診断用画像、セグメンテーションツール、強度マップ、表面モデル、又は類似のものを表示する。
【0026】
図3を参照すると、プラニングプロセッサ70は、コンピュータプログラムでプログラムされるプロセッサを含み、そのコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に保存され、放射線治療方法と画像セグメンテーションとを実行する。コンピュータ読み取り可能な媒体は、光学メモリ、磁気メモリ、又は半導体メモリを含み、例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)チップ、又は類似物である。
【0027】
フローチャートに示されるように、画像セグメンテーション及び放射線治療の方法は、多次元データセット100を取得することを含み、例えば、診断用画像スキャナから画像又は投影データを取得する。データセットは、検査されるべき解剖学的特徴の画像表示に再構成される(102)。解剖学的特徴の表面輪郭が識別される(104)。例えば、腫瘍の境界がセグメントされて強調されることが可能である。表面モデルは、表面輪郭に一致する(106)。その一致は、関心対象の形態、位置、動き、前回の治療結果、機能性等に基づく。表面モデルは、解剖学的特徴の形状に適合する(108)。各表面モデルは、その表面モデルに関連付けられる非一定周縁部を有する。非一定周縁部は、前述したように、他の因子とともに、表面モデルと関連付けられた非一定周縁部とに基づいて、解剖学的特徴のため決定される(110)。その関連付けられた非一定周縁部は、一般的には患者に特有の因子に基づいて、調整されるか、又は、最適化される。非一定周縁部は、解剖学的特徴の表面輪郭に付加され(112)、放射線治療プランがそこから生成される(114)。放射線治療プランは実施され、放射線治療、例えばガンマ放射線が、付加表面モデルに対応する患者の組織に供給される(116)。
【0028】
他の実施形態では、フォローアップ画像表示がシミュレートされる。例えば、付加表面モデルと変形の確率を示す統計、及び/又は、解剖学的特徴の機能的変化を用いて、モンテカルロ法や類似のものによりシミュレートされる。腫瘍コントロール確率(TCP)及び正常組織コントロール確率(NTCP)が、フォローアップ画像表示から生成される、複数の放射線治療方法のために決定される。放射線治療方法は、TCP/NTCP比に基づいてランク付けされ、最適なプランが選択される。
【0029】
他の実施形態では、周縁部の厚さが或る器官には均一である。通常の臨床業務では、器官位置や機能的特徴の統計データや展開(spreading)は、利用できないか、又は、使用には計算的な集中度が非常に高い。日常使用には、器官は描写され、幾つかの関心対象(ROI)は所定のモデルに一致し、その後、これらの領域は目的関数において使用される。ROIは描写される。ROIの関連する輪郭は、或るモデルに一致する。各モデルの表面は異なる領域を有し、各領域ごとに、実際の境界までの距離及び重み因子が定義される。表面モデルの輪郭は、拡張される。器官の輪郭を利用する目的関数は、拡張された輪郭に沿って、その重み因子と共に定義される。(人工的な)フォローアップ画像と共にプランの集合を用いることで、実際の境界までの距離とモデルの各領域の重み因子とが決定される。単一の目的関数に対する領域の組合せ、器官の機能的アーキテクチャ(シリアル又はパラレル)及び使用される目的関数のタイプ(生物学的又は物理的制約)によって決定される。
【0030】
他の実施形態では、プランニングプロセッサ70は、付加された非一定周縁部に基づいて、将来を見越して、適応的な放射線治療プランを生成する。CTスキャナ12は、関心対象のプラニング画像を取得し、そこから非一定周縁部は非一定周縁部生成手段によって決定される。プラニングプロセッサは、付加関心対象に従って、放射線治療プランを生成する。生成された治療プランは、各セッションの前に、複数の放射線治療セッションを含み、CTスキャナ12又は他の診断用画像モダリティは、関心対象のパイロット画像を取得し、患者の位置を調整し、そして、治療の過程をモニタする。プラニングプロセッサは、現在の関心対象の形態、位置、又は類似のものを、例えばプラニング画像又は以前に取得したパイロット画像等から得られる以前の決定値と比較する。もし、その差異が予め選択した閾値を満たすなら、非一定周縁部は、現在の表面輪郭に従って更新される。こうして、プラニングプロセッサは、治療プランの間に適応的に非一定周縁部を更新する。従って、現在の治療セッション及び/又は残りの放射線治療プランは、更新されて、付加関心対象における変化を示す。更新される特徴は、放射線量、ビーム軌跡、ビーム形状、及び/又は治療セッションスケジュールを含む。しかし、他の特徴もまた考慮される。
【0031】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明された。様々な改良及び変形は、前述の詳細な説明を読み理解することにより、想到するであろう。本発明は、付属の特許請求の範囲の適用範囲又はそこから均等な範囲内において、そうした改良及び変形の全てを含んだものとして構成されることを意図する。
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、放射線治療プランニングの方法及びシステムに関する。それは、医用画像における解剖学的特徴を識別し、そこに放射線治療を供給することへの特別な適用が認められる。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、腫瘍学における一般的な治療技術であり、高エネルギーガンマ(γ)放射線、粒子ビーム、又は他の放射線の線量が、患者の身体に供給され、治療効果を達成する。即ち、癌性組織を絶滅する。複数の断層放射線ビーム、又は単一の放射線ビームが、マルチリーブ(multi-leaved)なコリメータや他のビーム形状の要素を使用して、強度変調されて、影響を受ける近接する器官への照射リスクを制限しつつ、標的容積、例えば癌性組織を正確に照射する。放射線治療セッションは、腫瘍及び近接組織の1つ以上のプラニング(計画)容積画像、例えばコンピュータ断層(CT)画像又は類似のものに基づいて、放射線治療の前に、計画される。コンピュータ化されたプラニングシステムは、自動的に又は半自動的に、標的容積の境界、及び健康な周辺組織をセグメント化し、そのうちの幾つかは、影響を受けやすいリスクのある器官であって、放射線ビームによって回避されるべきである。境界の情報を使用し、プラニングシステムは、強度変調パラメータを最適化し、リスクのある器官に対応する輪郭の範囲内に照射を制限しつつ、主に癌性容積に対応する輪郭の範囲内に放射線を供給する。標的が充分に照射されることを確保するため、固定の周縁部が標的容積の決定された輪郭の周囲に定義され、器官の動きや患者の位置などの不確実性を示す。すなわち、標的は、固定周縁部によって全方向に拡大され、その標的が実際に照射される可能性を向上する。不確定な固定周縁部に依存することは、癌の不適切な照射、周辺組織の不必要な損傷、又はその両方につながることがある。
【0003】
例えば、前立腺癌の治療プラニングでは、前立腺は輪郭付けられて、標的容積として識別されるが、膀胱、直腸、大腿骨頭などの器官は輪郭付けられて、リスクのある器官として識別され、その放射線照射は制限されるべきである。これらの器官は、とても近くにあるので、固定周縁部を標的容積に付加する方法は、これらの影響を受ける器官に対してリスクをもたらす。周縁部を付加しないことは、癌が完全には死滅しないというリスクをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本特許出願は、上述の及び他の問題を解決する放射線治療プランニングのための、新規な改良された方法と装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面に従って、解剖学的特徴の画像セグメンテーション方法が提案される。その方法は、少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するステップと、識別された表面輪郭に基づいて、非一定周縁部を決定するステップとを含み、その非一定輪郭は、識別された表面輪郭に付加される。
【0006】
他の一側面に従って、放射線治療方法が提案される。その方法は、被験者の多次元データセットを取得するステップと、その多次元データセットを、その被験者の少なくとも1つの解剖学的特徴の少なくとも1つの画像表示に再構成するステップとを含む。その画像表示は、画像セグメンテーション方法に従ってセグメント化される。
【0007】
他の一側面に従って、放射線治療システムが提案される。その放射線治療システムは、診断用画像スキャナ、放射線供給システム、及び、解剖学的特徴の画像セグメンテーション方法を実行するようにプログラムされた放射線治療プランニングプロセッサを含む。
【0008】
他の一側面に従って、画像処理装置が提案される。その画像処理装置は、少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するセグメンテーションユニットと、その識別された表面輪郭に基づいて非一定周縁部を決定し、その識別された表面輪郭にその決定された非一定周縁部を付加する、マスキングユニットとを含む。
【0009】
他の一側面に従って、放射線治療システムが提案される。その放射線治療システムは、診断用画像スキャナを含み、その診断用画像スキャナは、被験者の多次元データセットを取得し、その多次元データセット及び画像処理装置から、関心対象の少なくとも1つの画像表示を生成する。
【0010】
1つの有利な点は、健康な組織への放射線照射が低減されることである。
【0011】
本願発明の更なる有利な点は、以下の詳細な説明を読み理解することで、当業者には認識されるだろう。
【0012】
本発明は、各種のコンポーネント及びコンポーネントの配置において、並びに、各種のステップ及びステップの配置において、具体化されてもよい。図面は、好ましい実施形態を説明する目的だけに用いられ、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、非一定周縁部を決定するための画像処理ユニットを備えた放射線治療システムの概略図である。
【図2】図2は、関心対象の二次元の軸方向スライスと、付加された非一定周縁部である。
【図3】図3は、非一定周縁部を決定するための画像セグメンテーション方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、放射線治療システムのような治療システム10は、例えば、コンピュータ断層(CT)画像スキャナやMRIスキャナ、又は類似物といった診断用画像スキャナ12を含み、放射線治療プロトコルを計画する際に使用される診断画像を取得するために用いられる。CT画像スキャナ12は、回転ガントリ16に取り付けられるX線源14を含む。X線源14は、検査領域18を通過するX線を形成し、その検査領域では、X線が被験者(不図示)の標的範囲と相互作用する。その被験者は、検査領域18の範囲内で標的範囲を位置合わせする支持部20によって支持される。X線検出器アレイ22は、X線ビームが検査領域18を通過した後に、X線ビームを受けるように配置され、その検査領域では、X線は被験者と相互作用し、かつ、部分的に被験者に吸収される。従って、その検出されたX線は、被験者に関連した吸収情報を含む。
【0015】
CTスキャナ12は、コントローラ30によって操作され、選択画像を連続して実行し、放射線治療法によって治療されるべき被験者の選択された標的範囲を取得する。画像の連続により、標的範囲と近接組織との多次元の診断用画像データセットを獲得する。その診断用画像データセットはデータバッファ32に保存される。再構成プロセッサ34は、獲得した画像データから3D画像表示を再構成し、その再構成された画像表示は診断用画像メモリ36に保存される。総合すれば、CTスキャナ12、コントローラ30、及び再構成プロセッサ34は、診断用画像発生手段を定義する。
【0016】
説明される診断用画像システムは、単に例示的なものである。当業者は、CTスキャナ12は、他の種類の診断用画像スキャナ、例えば磁気共鳴断層撮影(MRI)スキャナ、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャナ、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)スキャナ又は類似物によって任意的に代替できることを理解するだろう。
【0017】
示される実施形態では、診断用画像装置12は、治療供給システム40から分離しているが、それらは単一の筐体に結合されてもよい。治療供給システムは、外部の放射線治療供給システム或いは内部の放射線治療供給システム、例えば、近接照射療法であり得る。任意的には、診断用画像の前に、マーカーが被験者に適用され、そのマーカーは次の放射線治療用に依然として有効で、診断用画像と放射線送出との間のレジストレーションを供給する。診断用画像取得と放射線治療との間の空間的レジスタリングの他の方法、例えば固有の解剖学的マーカーを使用することも考えられる。また、診断用画像スキャナを放射線治療と統合して、診断用画像と放射線治療との間のミスレジストレーションを低減することも考えられる。
【0018】
放射線供給システム40は、放射線供給装置42を含み、その放射線供給装置は、例えば、線形アクセラレータや焦点X線、又は類似物といった放射線源44を有する。ガントリ46は、放射線源44を回転軸48の周りに回転させるか又はステップさせる。支持台50は、被験者を、放射線源44によって発生される強度変調放射線ビーム52にさらされた標的範囲に関して、厳密に位置合わせする。支持台50は、ガントリ46が被験者の周りに放射線源44を回転させる間、被験者を位置合わせし且つ移動させる。放射線ビーム52は、調整可能な強度及び/又はペリメータ(周囲)と共に断面積54を有する。放射線ビーム52は、連続的に適用されるか、又は、治療の間、パルスはオンとオフにされることが可能である。任意的に、放射線検出システムは、患者を横切る放射線の強度をモニタするために、放射線源から患者の反対側に配置される。検出器からのデータは、低解像度の投影画像に再構成され、そうして、ビーム、標的(ターゲット)、線量のアライメントをモニタする。放射線供給システム40は、放射線コントローラ60によって操作され、プラニングプロセッサ70によって規定されるように選択放射線プロトコルを実行する。総合すれば、放射線供給システム40、放射線コントローラ60、及びプランニングプロセッサ70は、放射線治療手段を定義する。
【0019】
放射線治療手段を定義するプラニングプロセッサ70は、画像装置12から取得された、関心対象と重要な器官との診断用画像表示に基づいて、放射線治療プランを決定する。関心対象は、放射線供給システム40から放射線治療を受けるべき癌性の腫瘍や病変であり得る。例えば脊髄や類似物のような重要な構造は、健康な又は敏感な組織を含み、それは可能な限りとっておかれる必要があり、非重要組織に対してより高い優先順位を有する。一般的には、関心対象が配置され識別されると、等方性の周縁部(周辺部)が関心対象の表面輪郭に付け加えられ、照射される予定の領域は拡大され、関心対象の全体が照射される可能性を増し、即ち、付け加えられた周縁部に対応する組織は、同じ放射線量を受けるだろう。その周縁部は、動きの不確定の要因であり、その不確定性は、治療セッション中の動きに関連し、例えば、肺の動きや心臓の動き等であり、或いは、治療セッションの合間の動きにも関連し、例えば、患者の位置合わせや直腸や膀胱注入や類似のものである。等方性の周縁部を付加することの問題は、もし、関心対象が1つの方向だけの又は2つの方向の動きを受けたときも、等方性の周縁部は、その関心対象が全方向に等しく受けたものと仮定し、健康な組織への不必要な照射をもたらすことになることである。
【0020】
引き続き図1を参照すると、プラニングプロセッサ70と通信し、さらに画像処理手段を定義する画像処理ユニット72は、非等方性又は非一定周縁部を決定する。その決定は、関心対象及び/又は重要構造の特性、投影された動き、及び潜在的なエラーのソースに基づいて行われる。画像処理ユニットは、セグメンテーションユニット74を含み、そのセグメンテーションユニットは、セグメンテーション手段を定義し、取得される診断用画像表示から自律的に乃至は半自律的に関心対象と重要組織との表面輪郭を描写する。公知のセグメンテーション方法、例えばクラスタリング、特徴抽出、モデルベース、或いは類似の方法の何れか1つが考えられる。識別ユニット76は、識別手段を定義するもので、描写された表面輪郭を参照データに一致させる。参照データは、各種の器官及び/又は組織タイプに対応する表面モデルのデータベース78を含み、そのデータベースから、関連する表面モデルが関心対象の描写輪郭に一致される。一致(マッチング)技術は、最大尤度推定、ニューラルネットワーク又は類似のものを含んでもよい。
【0021】
非一定周縁部は各表面モデルに関連付けられる。例えば、表面モデルは、複数の領域を含み、各領域は、その領域に関連付けられた周縁部の幅を有する。表面モデルの個々の領域での周縁部の幅は、多くの要因に依存する。要因は、関心対象の形態を含み、例えば、その表面が平坦であるか、不規則か、巻きひげのような突起を有するかどうか等である。1つ又はそれ以上の方向の動きに起因する境界位置の不確実性(例えば肺腫瘍)は、呼吸に起因する冠方向の動きを受けることがある。従って、進行の平均方向に垂直な表面モデルの領域は、より広い関連の周縁部を有する。照射されるべき組織の生理学的機能、又は近接構造、重要と非重要の両方、及び重要構造への近接性も考慮される。要因は、放射線供給システム40に依存してもよく、例えば、ビーム幅、ビーム強度、ビーム散乱、ガントリ速度、ガントリ振動乃至はバイブレーション、又は類似するものである。周縁部の幅に加えて、表面モデルの各領域は、重み因子(weight factor)を有してもよく、その重み因子は、当該領域に対応する組織に供給される放射線治療ビームの強度に対応する。
【0022】
一実施形態では、重み因子は一定であって、対応する周縁部はステップ関数のように振舞う。他の実施形態では、重み因子は例えばグラディエント関数のように非線形であって、ビーム強度は、関心対象の反対にある周縁部のエッジに向かって増加/減少する。例えば、重み因子は選択されて、所定の線量(dose)を描写する放射線パタンを、選択可能な確実性で、ターゲット(標的)のエッジ範囲に供給する。例えば、99%の可能性は、所定の線量がターゲットの全部分に供給されることであり、又は、95%の可能性である。
【0023】
変形手段を定義する変形ユニット80は、表面モデルの表面を適応して、関心対象の表面輪郭の形状に対応する。マスキング手段を定義するマスキングユニット82は、非一定周縁部を関心対象に付加し、プラニングプロセッサ70は、関心対象の付加表面輪郭と重要構造の輪郭とに基づいて、強度マップを生成する。
【0024】
図2を参照すると、関心対象の表面モデル84の軸方向2次元スライスの例が、付加非一定周縁部86と共に示される。関心対象の正味の動きは、z方向であり、従って、非一定周縁部86は、より広く、進行方向に対して垂直な又は実質的に垂直な表面の位置不確実性を表す。進行方向に実質的に平行な(即ち、図示の実施形態ではy方向)表面は、その表面に関連付けられる、より狭い非一定周縁部86を有する。強度マップは、放射線コントローラのために治療ビームの軌跡、形状、及び/又は強度を策定し、放射線供給システム40をコントロールする。プラニングプロセッサは、コンソール90に強度マップを出力する。コンソール90は、グラフィックユーザインターフェースを含み、更に、ユーザ入力デバイスを含み、そのユーザ入力デバイスは、臨床医が、スキャナコントローラ30又は放射線コントローラ60をコントロールするために使用することができ、そうして、生成された強度マップに従って、スキャニングシーケンスやプロトコル、及び治療スキーム又は線量をそれぞれ選択する。コンソールは、診断用画像、セグメンテーションツール、表面モデル、非一定周縁部及び類似のものを表示する。総合すれば、セグメンテーションユニット74、識別ユニット76、データベース78、変形ユニット80、及びマスキングユニット82は非一定周縁部生成手段を定義する。
【0025】
コンソール90は、グラフィックユーザインターフェースを含み、更に、ユーザ入力デバイスを含み、そのユーザ入力デバイスは、臨床医が、スキャナコントローラ30又は放射線コントローラ60をコントロールするために使用することができ、そうして、スキャニングシーケンスやプロトコル、及び治療スキーム又は線量をそれぞれ選択する。コンソールは、診断用画像、セグメンテーションツール、強度マップ、表面モデル、又は類似のものを表示する。
【0026】
図3を参照すると、プラニングプロセッサ70は、コンピュータプログラムでプログラムされるプロセッサを含み、そのコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に保存され、放射線治療方法と画像セグメンテーションとを実行する。コンピュータ読み取り可能な媒体は、光学メモリ、磁気メモリ、又は半導体メモリを含み、例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)チップ、又は類似物である。
【0027】
フローチャートに示されるように、画像セグメンテーション及び放射線治療の方法は、多次元データセット100を取得することを含み、例えば、診断用画像スキャナから画像又は投影データを取得する。データセットは、検査されるべき解剖学的特徴の画像表示に再構成される(102)。解剖学的特徴の表面輪郭が識別される(104)。例えば、腫瘍の境界がセグメントされて強調されることが可能である。表面モデルは、表面輪郭に一致する(106)。その一致は、関心対象の形態、位置、動き、前回の治療結果、機能性等に基づく。表面モデルは、解剖学的特徴の形状に適合する(108)。各表面モデルは、その表面モデルに関連付けられる非一定周縁部を有する。非一定周縁部は、前述したように、他の因子とともに、表面モデルと関連付けられた非一定周縁部とに基づいて、解剖学的特徴のため決定される(110)。その関連付けられた非一定周縁部は、一般的には患者に特有の因子に基づいて、調整されるか、又は、最適化される。非一定周縁部は、解剖学的特徴の表面輪郭に付加され(112)、放射線治療プランがそこから生成される(114)。放射線治療プランは実施され、放射線治療、例えばガンマ放射線が、付加表面モデルに対応する患者の組織に供給される(116)。
【0028】
他の実施形態では、フォローアップ画像表示がシミュレートされる。例えば、付加表面モデルと変形の確率を示す統計、及び/又は、解剖学的特徴の機能的変化を用いて、モンテカルロ法や類似のものによりシミュレートされる。腫瘍コントロール確率(TCP)及び正常組織コントロール確率(NTCP)が、フォローアップ画像表示から生成される、複数の放射線治療方法のために決定される。放射線治療方法は、TCP/NTCP比に基づいてランク付けされ、最適なプランが選択される。
【0029】
他の実施形態では、周縁部の厚さが或る器官には均一である。通常の臨床業務では、器官位置や機能的特徴の統計データや展開(spreading)は、利用できないか、又は、使用には計算的な集中度が非常に高い。日常使用には、器官は描写され、幾つかの関心対象(ROI)は所定のモデルに一致し、その後、これらの領域は目的関数において使用される。ROIは描写される。ROIの関連する輪郭は、或るモデルに一致する。各モデルの表面は異なる領域を有し、各領域ごとに、実際の境界までの距離及び重み因子が定義される。表面モデルの輪郭は、拡張される。器官の輪郭を利用する目的関数は、拡張された輪郭に沿って、その重み因子と共に定義される。(人工的な)フォローアップ画像と共にプランの集合を用いることで、実際の境界までの距離とモデルの各領域の重み因子とが決定される。単一の目的関数に対する領域の組合せ、器官の機能的アーキテクチャ(シリアル又はパラレル)及び使用される目的関数のタイプ(生物学的又は物理的制約)によって決定される。
【0030】
他の実施形態では、プランニングプロセッサ70は、付加された非一定周縁部に基づいて、将来を見越して、適応的な放射線治療プランを生成する。CTスキャナ12は、関心対象のプラニング画像を取得し、そこから非一定周縁部は非一定周縁部生成手段によって決定される。プラニングプロセッサは、付加関心対象に従って、放射線治療プランを生成する。生成された治療プランは、各セッションの前に、複数の放射線治療セッションを含み、CTスキャナ12又は他の診断用画像モダリティは、関心対象のパイロット画像を取得し、患者の位置を調整し、そして、治療の過程をモニタする。プラニングプロセッサは、現在の関心対象の形態、位置、又は類似のものを、例えばプラニング画像又は以前に取得したパイロット画像等から得られる以前の決定値と比較する。もし、その差異が予め選択した閾値を満たすなら、非一定周縁部は、現在の表面輪郭に従って更新される。こうして、プラニングプロセッサは、治療プランの間に適応的に非一定周縁部を更新する。従って、現在の治療セッション及び/又は残りの放射線治療プランは、更新されて、付加関心対象における変化を示す。更新される特徴は、放射線量、ビーム軌跡、ビーム形状、及び/又は治療セッションスケジュールを含む。しかし、他の特徴もまた考慮される。
【0031】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明された。様々な改良及び変形は、前述の詳細な説明を読み理解することにより、想到するであろう。本発明は、付属の特許請求の範囲の適用範囲又はそこから均等な範囲内において、そうした改良及び変形の全てを含んだものとして構成されることを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的特徴の画像セグメンテーション方法であって:
少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するステップと、
識別された前記表面輪郭に基づいて非一定周縁部を決定するステップであり、当該非定常輪郭は前記識別された表面輪郭に付加される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記非一定周縁部は、前記関心対象の異方性動作に基づいて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記非一定周縁部は、前記関心対象の表面形態に基づいて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記表面輪郭に基づいて表面モデルを識別するステップと、
前記表面モデルに基づいて前記非一定周縁部を決定するステップと、
を更に含む、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記表面モデルは、前記表面モデルを定義する複数の表面要素を含み、各表面要素は、当該表面要素に対応する非一定周縁部の部分の幅と重み付け因子を表す、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法であって、前記表面モデルを識別するステップには:
表面モデルを少なくとも1つの関心対象の表面輪郭に一致させるステップと、
前記少なくとも1つの関心対象の表面輪郭の形状に対応するよう前記表面モデルを適応するステップと、
を更に含む、方法。
【請求項7】
前記表面モデルを少なくとも1つの関心対象の表面輪郭に一致させるステップは、前記関心対象の位置、形態、動き、又は機能性のうちの少なくとも1つに基づいて行われる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
放射線治療方法であって:
被験者の多次元データセットを取得するステップと、
前記多次元データセットを、前記被験者の少なくとも1つの解剖学的特徴の少なくとも1つの画像表示に再構成するステップと、
前記請求項1乃至7のいずれか1つの方法に従って前記画像表示をセグメント化するステップと、
前記セグメント化された画像表示に従って放射線治療プランを生成するステップであり、該放射線治療プランは、治療放射線の供給を、前記解剖学的特徴の前記識別された表面輪郭と前記付加された非一定周縁部との範囲内に制限する、ステップと、
前記生成された放射線治療プランに従って治療放射線を供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
プロセッサをコントロールし、請求項1乃至9のいずれか1つに記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項10】
放射線治療システムであって:
診断用画像スキャナと、
放射線供給システムと、
前記請求項1乃至8のいずれか1つに記載の方法を実行するようプログラムされた、放射線治療プランニングプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項11】
画像処理装置であって:
少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するセグメンテーションユニットと、
非一定周縁部を前記識別された表面輪郭に基づいて決定し、当該決定した非一定周縁部を前記識別された表面輪郭に付加する、マスキングユニットと、
を含む、画像処理装置。
【請求項12】
前記請求項11に記載の画像処理装置であって:
表面モデルデータベースから選択し、前記識別された表面輪郭に基づいて、表面モデルを識別する識別ユニットを更に含む、画像処理装置。
【請求項13】
前記非一定周縁部は、異方性の動き、表面形態、位置の不確実性、他の器官との近接性、及び線量分布の確率のうちの少なくとも1つに基づく、前記請求項11乃至12のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記表面モデルは、該表面モデルの表面を定義する複数の表面要素を含み、各表面要素は、該表面要素に対応する前記非一定周縁部の部分の幅と重みづけ因子とを記述する、前記請求項12乃至13のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記表面モデルを、前記少なくとも1つの関心対象の前記表面輪郭に一致させ、前記表面モデルの表面を、前記少なくとも1つの関心対象の前記表面輪郭の形状に対応するように適応する、変形ユニットを更に含む、前記請求項12乃至14のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記表面モデルを、前記少なくとも1つの関心対象の前記表面輪郭に一致させることは、前記関心対象の位置、形態、動き、又は機能性のうちの少なくとも1つに基づく、前記請求項15記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記表面モデルは表面メッシュモデルであり、各表面要素は多角形のメッシュ要素である、前記請求項14乃至16のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項18】
放射線治療システムであって:
被験者の多次元データセットを取得し、関心対象の少なくとも1つの画像表示を前記多次元データセットから生成する、画像スキャナと、
前記請求項11乃至16のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
を含む、システム。
【請求項19】
前記セグメント化された画像表示に従った放射線治療プランを生成するプランニングプロセッサであって、該放射線治療プランは治療放射線の供給を、前記解剖学的特徴の前記識別された表面輪郭と前記付加された非一定周縁部との範囲内に制限する、プランニングプロセッサと、
前記生成された放射線治療プランに従って治療放射線を供給する放射線供給システムと、を更に含む、前記請求項18記載の放射線治療システム。
【請求項1】
解剖学的特徴の画像セグメンテーション方法であって:
少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するステップと、
識別された前記表面輪郭に基づいて非一定周縁部を決定するステップであり、当該非定常輪郭は前記識別された表面輪郭に付加される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記非一定周縁部は、前記関心対象の異方性動作に基づいて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記非一定周縁部は、前記関心対象の表面形態に基づいて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記表面輪郭に基づいて表面モデルを識別するステップと、
前記表面モデルに基づいて前記非一定周縁部を決定するステップと、
を更に含む、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記表面モデルは、前記表面モデルを定義する複数の表面要素を含み、各表面要素は、当該表面要素に対応する非一定周縁部の部分の幅と重み付け因子を表す、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法であって、前記表面モデルを識別するステップには:
表面モデルを少なくとも1つの関心対象の表面輪郭に一致させるステップと、
前記少なくとも1つの関心対象の表面輪郭の形状に対応するよう前記表面モデルを適応するステップと、
を更に含む、方法。
【請求項7】
前記表面モデルを少なくとも1つの関心対象の表面輪郭に一致させるステップは、前記関心対象の位置、形態、動き、又は機能性のうちの少なくとも1つに基づいて行われる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
放射線治療方法であって:
被験者の多次元データセットを取得するステップと、
前記多次元データセットを、前記被験者の少なくとも1つの解剖学的特徴の少なくとも1つの画像表示に再構成するステップと、
前記請求項1乃至7のいずれか1つの方法に従って前記画像表示をセグメント化するステップと、
前記セグメント化された画像表示に従って放射線治療プランを生成するステップであり、該放射線治療プランは、治療放射線の供給を、前記解剖学的特徴の前記識別された表面輪郭と前記付加された非一定周縁部との範囲内に制限する、ステップと、
前記生成された放射線治療プランに従って治療放射線を供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
プロセッサをコントロールし、請求項1乃至9のいずれか1つに記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項10】
放射線治療システムであって:
診断用画像スキャナと、
放射線供給システムと、
前記請求項1乃至8のいずれか1つに記載の方法を実行するようプログラムされた、放射線治療プランニングプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項11】
画像処理装置であって:
少なくとも1つの関心対象の表面輪郭を多次元データセットから識別するセグメンテーションユニットと、
非一定周縁部を前記識別された表面輪郭に基づいて決定し、当該決定した非一定周縁部を前記識別された表面輪郭に付加する、マスキングユニットと、
を含む、画像処理装置。
【請求項12】
前記請求項11に記載の画像処理装置であって:
表面モデルデータベースから選択し、前記識別された表面輪郭に基づいて、表面モデルを識別する識別ユニットを更に含む、画像処理装置。
【請求項13】
前記非一定周縁部は、異方性の動き、表面形態、位置の不確実性、他の器官との近接性、及び線量分布の確率のうちの少なくとも1つに基づく、前記請求項11乃至12のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記表面モデルは、該表面モデルの表面を定義する複数の表面要素を含み、各表面要素は、該表面要素に対応する前記非一定周縁部の部分の幅と重みづけ因子とを記述する、前記請求項12乃至13のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記表面モデルを、前記少なくとも1つの関心対象の前記表面輪郭に一致させ、前記表面モデルの表面を、前記少なくとも1つの関心対象の前記表面輪郭の形状に対応するように適応する、変形ユニットを更に含む、前記請求項12乃至14のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記表面モデルを、前記少なくとも1つの関心対象の前記表面輪郭に一致させることは、前記関心対象の位置、形態、動き、又は機能性のうちの少なくとも1つに基づく、前記請求項15記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記表面モデルは表面メッシュモデルであり、各表面要素は多角形のメッシュ要素である、前記請求項14乃至16のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項18】
放射線治療システムであって:
被験者の多次元データセットを取得し、関心対象の少なくとも1つの画像表示を前記多次元データセットから生成する、画像スキャナと、
前記請求項11乃至16のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
を含む、システム。
【請求項19】
前記セグメント化された画像表示に従った放射線治療プランを生成するプランニングプロセッサであって、該放射線治療プランは治療放射線の供給を、前記解剖学的特徴の前記識別された表面輪郭と前記付加された非一定周縁部との範囲内に制限する、プランニングプロセッサと、
前記生成された放射線治療プランに従って治療放射線を供給する放射線供給システムと、を更に含む、前記請求項18記載の放射線治療システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公表番号】特表2013−514115(P2013−514115A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543932(P2012−543932)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055268
【国際公開番号】WO2011/073820
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055268
【国際公開番号】WO2011/073820
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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