新規な有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子
新規な有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子が提供される。前記有機光電素子用化合物は化学式1で表される。本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/または電子輸送並びに適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たしうる。前記有機光電素子用化合物は、有機薄膜層に含有された場合、熱的安定性を向上し、駆動電圧を低減して、有機光電素子の寿命特性および効率を向上させうる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子に関する。より詳細には、本発明は、熱的安定性に優れることにより有機光電素子の駆動電圧を低減し、寿命および効率が向上した有機光電素子用材料、およびこれを含む有機光電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電素子は、有機発光材料に電流を加えることにより、電気エネルギーを光に変える素子であって、陽極(anode)と陰極(cathode)の間に機能性材料層が挿入された構造を有する。
【0003】
有機光電素子は、正孔が陽極から注入され、電子が陰極から注入される発光ダイオード(light emitting diodes:LED)と類似する電気的な特性を有しており、正孔および電子は対向電極へ移動し、再結合して高エネルギーを有する励起子を形成する。形成された励起子は、基底状態にシフトする際に、特定の波長の光を発生する。
【0004】
アントラセン有機材料の発光現象は、1960年初頭にはじめて発見されたが、駆動電圧が高いという短所があった。1980年には、Eastman KodakのC.W.Tangらによって低電圧駆動を実現した素子が開発された。その後、1990年にはケンブリッジ大学でポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)を用いた高分子発光ダイオードが開発された。現在、低分子発光素子(SMOLED)および高分子有機発光ダイオード(PLED)の研究が行われている。前記低分子有機発光ダイオードは、真空蒸着法で薄膜に製造され、良好な効率および寿命を有する。高分子有機発光ダイオードは、インクジェットまたはスピンコーティング法で製造され、低い初期コストおよび大面積化が可能であるという利点がある。
【0005】
低分子有機発光素子および高分子有機発光ダイオードは、ともに自己発光および極薄化が可能であり、高速の応答、広視野角、高画質、耐久性、広い駆動温度範囲などの利点を有する。特に自己発光特性によって、既存のLCD(液晶ディスプレイ)と比較して視認性が良く、バックライトを必要としないため、LCDの最大1/3の厚さおよび重量まで低減できる利点を有する。また、応答速度がLCDに比べてマイクロ秒単位で1000倍速いため、残像のない完璧な動画を実現できる。これらの利点に基づき、低分子有機発光素子および高分子有機発光ダイオードは、1980年代後半の初期に開発されたものから、80倍の効率および100倍以上の寿命を実現し、著しい発展を遂げた。近年では、40インチの有機発光素子パネルなど、急速に大型化が進んだディスプレイが用いられている。
【0006】
大型化のためには、発光効率および寿命が向上しなければならない。このとき、発光効率を向上させるためには、発光層内の正孔および電子間の結合が円滑にされる必要がある。しかし、一般的に、有機材料は、正孔移動度に比べて電子移動度が遅いため、発光層内の正孔および電子の結合効率が悪いという短所がある。したがって、陰極からの電子注入および移動度を高めると同時に、正孔の移動を妨げる新規な化合物が特に必要とされている。
【0007】
また、素子は、駆動時に発生するジュール熱により、内部の材料が結晶化しうるため、寿命が短くなりうる。このような問題点を解決するために、移動速度が速い2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)(Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269 1988)が提案されているが、熱的安定性を欠き、それにより素子の駆動時に結晶化する問題点を未だ有している。さらに、正孔移動度の低減に優れたものとして知られるBCPおよびアルミニウム混合配位錯体(BAlq,ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)についても活発に研究されている。しかし、このような材料は正孔移動度を低減する優れた特性を有しているが、電子注入特性の低下および素子駆動時の結晶化という問題点があり、素子特性を満足するものではなかった。
【0008】
したがって、優れた電子の注入、移動性、および熱的安定性を有し、駆動時に結晶化を防ぐ有機化合物が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
技術的課題
本発明の一実施形態によると、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/または輸送、並びに適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たす新規な材料が提供される。
【0010】
技術的解決手段
本発明の他の実施形態によると、有機光電素子用材料を含み、駆動電圧を低減し、寿命および効率が向上する有機光電素子が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によると、下記化学式1で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
前記A1〜A5は、同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNであり、
A1〜A5の1つがNである場合には、A1〜A5の残りの4つが、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択され、この際、前記R1〜R5の少なくとも2つが水素原子ではなく、
A1〜A5がそれぞれCR1〜CR5である場合、R1〜R5のうちの少なくとも2つは水素原子ではない。
【0014】
Bは、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択される。
【0015】
CおよびDは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択され、この際、BがNR”ではない場合には、CはNである。
【0016】
R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択され、並びに
R6〜R8は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基、および置換または非置換のアリール基からなる群から選択される。
【0017】
Eは、水素原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のフルオロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロ環基、およびSO2R9からなる群から選択され、並びに
R9は、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。
【0018】
Lは、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、並びに
nは、0または1である。
【0019】
本発明の他の実施形態によると、陽極、陰極、および前記陽極と前記陰極の間の少なくとも一層の有機薄膜層を含む有機光電素子が提供される。前記有機薄膜層の少なくとも一層は、前記有機光電素子用化合物を含む。
【0020】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【0021】
以下、本発明のその他の実施形態が詳細に説明される。
【発明の効果】
【0022】
有利な効果
本発明の一実施形態によると、有機光電素子用化合物は、大部分が非対称である。当該非対称構造によって非晶質特性が強化されることによって、結晶化が抑制され、有機光電素子用化合物の熱的安定性が向上する。したがって、有機光電素子の駆動時に当該化合物が、有機光電素子の駆動電圧を低減し、寿命および効率を向上させる。
【0023】
本発明の他の実施形態に係る新規な有機光電素子用化合物は、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/または輸送、並びに適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図2】図2は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図3】図3は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図4】図4は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図5】図5は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図6】図6には、本発明の実施例1の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図7】図7には、本発明の実施例2の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図8】図8には、本発明の実施例3の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図9】図9には、本発明の実施例4の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図10】図10には、本発明の実施例5の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図11】図11には、本発明の実施例6の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図12】図12には、本発明の実施例7の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図13】図13には、本発明の実施例8の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図14】図14には、本発明の実施例9の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図15】図15には、実施例10〜13および比較例2の有機発光ダイオードの電圧−輝度特性を示す。
【図16】図16には、実施例14〜16および比較例2の有機発光ダイオードの電圧−輝度特性を示す。
【図17】図17には、実施例10〜13および比較例2の有機発光ダイオードの電力効率を示す。
【図18】図18には、実施例14〜16および比較例2の有機発光ダイオードの電力効率を示す。
【図19】図19には、実施例5の化合物の熱的特性を示す。
【図20】図20には、比較例1の化合物の熱的特性を示す。
【0025】
<図中の主要な要素を示す符号の説明>
100:有機光電素子
110:陰極
120:陽極
105:有機薄膜層
130:発光層
140:正孔輸送層
150:電子輸送層
160:電子注入層
170:正孔注入層
230:発光層+電子輸送層
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の例示的な実施形態について詳しく説明する。しかしながら、これらの実施形態は例示であり、本発明はこれらに制限されず、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0027】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「アルキル基」はC1〜C30のアルキル基、より好ましくはC1〜C15のアルキル基を意味しうる。用語「アルコキシ基」は、C1〜C30のアルコキシ基、より好ましくはC1〜C15のアルコキシ基を意味しうる。用語「アルケニル基」は、C2〜C30のアルケニル基、より好ましくはC2〜C15のアルケニル基を意味しうる。用語「シクロアルキル基」は、C3〜C30のシクロアルキル基、より好ましくはC3〜C15のシクロアルキル基を意味しうる。用語「アリール基」は、C6〜C50のアリール基、より好ましくはC6〜C25のアリール基を意味しうる。用語「アリールアミン基」は、C7〜C50のアリールアミン基、より好ましくはC7〜C25のアリールアミン基を意味しうる。用語「ヘテロアリールアミン基」は、C7〜C50のヘテロアリールアミン基、より好ましくはC7〜C25のヘテロアリールアミン基を意味しうる。用語「ヘテロ環基」は、C5〜C50のヘテロ環基、より好ましくはC5〜C25のヘテロ環基を意味しうる。用語「フルオロアルキル基」はC1〜C10のフルオロアルキル基を意味しうる。
【0028】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「エステル基」は、−COORを意味しうる。用語「カルボニル基」は、−COR’を意味しうる。ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10のアルキル基、C6〜C20のアリール基、C3〜C20のシクロアルキル基、C2〜C10のアルケニル基、C2〜C10のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0029】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「置換」は、少なくともハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、アセチレン基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアルキル基、置換または非置換のアリールアルケニル基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミン基、置換または非置換のシクロアルキル基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたものを意味し、この際、R6〜R8は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC1〜C30のアルキル基、および置換または非置換のC6〜C50のアリール基からなる群から選択される。
【0030】
本明細書において、別途の定義がない限り、接頭語「ヘテロ」は、1つの環内にN、O、S、またはPを1〜3含むものを意味する。
【0031】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「ヘテロ環基」は、C5〜C50のヘテロアリール基、C5〜C50のヘテロシクロアルキル基、C5〜C50のヘテロシクロアルケニル基、C5〜C50のヘテロシクロアルキニル基、およびこれらの縮合環からなる群から選択されるものを意味する。前記ヘテロ環基は、好ましくは1〜20のヘテロ原子を含み、さらに好ましくは1〜15のヘテロ原子を含む。
【0032】
本発明の一実施形態によると、下記化学式1で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0033】
【化2】
【0034】
前記化学式1において、
A1〜A5は,同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNである。
【0035】
A1〜A5の1つがNである場合には、A1〜A5の残りの4つは、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択され、この際、前記R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。
【0036】
A1〜A5がそれぞれCR1〜CR5である場合には、R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。
【0037】
Bは、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択される。
【0038】
CおよびDは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択され、この際、BがNR”でない場合には、CはNである。
【0039】
R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択され、
R6〜R8は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基、および置換または非置換のアリール基からなる群から選択される。
【0040】
Eは、水素原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のフルオロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロ環基、およびSO2R9からなる群から選択され、
R9は、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。
【0041】
Lは、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、並びに
nは、0または1である。
【0042】
前記化学式1の新規な有機光電素子用化合物は、A1〜A5を含む部分、アリール基またはヘテロアリール基を含む連結基L、および5員環を含む官能性置換基を含む。
【0043】
前記化学式1において、A1〜A5は、同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNである。A1〜A5の1つが少なくともNである場合には、LUMO(最低空軌道)エネルギー準位が下がって分子の電子親和力が向上し、これによって電子の注入および移動特性が向上する。したがって、有機発光ダイオードの駆動に必要とする電圧を低減でき、電力効率を向上できる。しかし、A1〜A5が4つを超えてNである場合には、LUMOのエネルギー準位が低くなりすぎて電子の注入が困難になる。
【0044】
特に、A1〜A5の1つが少なくともNである場合には、A1〜A5は4つを超えて、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択される。この際、前記R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。前記R1〜R5の少なくとも1つが水素原子でなく、置換基である場合には、化合物の剛性が高まり、結晶化が容易に生じうる。前記R1〜R5がすべて水素原子である場合には、熱的安定性が低下し、電子の注入が困難となりうる。
【0045】
A1〜A5がすべてNに置換されている場合には、A1〜A5は、CR1〜CR5からなる群から選択される。この際、前記R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。前記R1〜R5の少なくとも1つが水素原子でなく、置換基である場合には、化合物の剛性が高くなりうる。前記R1〜R5がすべて水素原子である場合には、熱的安定性が低下し、電子の注入が困難となりうる。
【0046】
特に、前記R1〜R5の少なくとも2つが水素原子でなく、置換基である場合には、前記置換部位に異なる置換基を導入することで、非晶質特性が向上しうる。したがって、素子の駆動時に発生するジュール熱によって生じる結晶化を抑制することができ、これによって有機発光ダイオードの寿命特性を向上させることができる。
【0047】
有機光電素子用化合物において、A1およびA5は互いに異なっていてもよく、並びにA2およびA4は互いに異なっていてもよい。本発明の一実施形態に係る化合物は、A3を含む対称軸に対して上下の置換基が互いに異なる非対称構造を有する。この非対称構造は、非晶質特性を強化して、結晶化を抑制でき、これによって有機光電素子の駆動時の寿命特性が向上しうる。また、有機光電素子の駆動電圧を低減し、効率および熱的安定性の観点から優れた効果を有する有機光電素子を提供しうる。
【0048】
アリール基またはヘテロアリール基を含む連結基Lは、分子間の相互作用を高めて熱的安定性を向上させる。また、π共役長(π−conjugation length)および可視領域における発光を調節しうる。したがって、本発明に係る有機光電素子用化合物は、発光層に有効に適用されうる。
【0049】
また、5員環を含む官能性置換基のBは、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択され、CおよびDは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択される。しかしながら、BがNR”でない場合には、CがNである。前記5員環を含む官能性置換基は、有機光電素子用化合物の構造を全体的に非対称構造として、前記化合物に熱的安定性を付与しうる。
【0050】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立してアリール基であり、置換または非置換のC6〜C40のアリール基であることが好ましい。前記アリール基が、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、スチレン基などの単環式アリール基、またはナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基などの多環式アリール基である場合には、前記化合物は、発光層の材料に好適でありうる。
【0051】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立してアリールアミン基である。前記アリールアミン基は、好ましくはジフェニルアミン基、ジナフチルアミン基、ジビフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、フェニルジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾリル基、およびトリフェニルアミン基からなる群から選択される。
【0052】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立して置換または非置換のヘテロ環基であり、前記ヘテロ環基は、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニン基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群から選択される。
【0053】
前記置換または非置換のヘテロ環基がイミダゾリル基またはトリアゾリル基である場合には、前記イミダゾリル基またはトリアゾリル基の窒素原子(N)に結合する置換基は、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のイソプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のt−ブチル基、置換または非置換のペンチル基、置換または非置換のヘキシル基、および置換または非置換のヘプチル基などの置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロペンチル基、置換または非置換のシクロヘキシル基などの置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のナフチル基などの置換または非置換のアリール基;並びに置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。前記ヘテロ環基は、好ましくはピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、イソキノリル基などのヘテロアリール基である。
【0054】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、電子注入特性に優れる官能基、または熱的安定性を向上できる官能基である。前記官能基は、選択的に正孔注入/輸送能および電子注入/輸送能を付与し、発光層における効率的な正孔−電子結合が可能となりうる。
【0055】
例えば、R1〜R5、R’、およびR”から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基を含む場合には、前記化合物は正孔注入層(HIL)および正孔輸送層(HTL)の材料として有効に用いられる。
【0056】
R1〜R5、R’、およびR”から選択される1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基からなる群から選択される優れた電子親和力を有する置換基を含む場合には、前記化合物は電子注入層(EIL)または電子輸送層(ETL)の材料として有効に用いられる。
【0057】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基を含み、R1〜R5、R’、およびBのR’から選択される1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基からなる群から選択される優れた電子親和力を有する置換基を含む場合、前記化合物は、正孔輸送能および電子輸送能の両者を有する。好ましいアミン置換のヘテロ環基は、アミン置換のヘテロアリール基であり、好ましいヘテロ環基はヘテロアリール基である。
【0058】
化学式1において、EおよびBのR”から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基を含み、EおよびBのR”のもう一方が、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基を含む場合には、非晶質の特性がより向上して正孔輸送特性および電子輸送特性が精密に制御されうる。好ましいアミン置換のヘテロ環基はアミン置換のヘテロアリール基であり、好ましいヘテロ環基はヘテロアリール基である。
【0059】
Lは、置換または非置換のC6〜C30のアリール基、および置換または非置換のC5〜C30のヘテロアリール基からなる群から選択されることが好ましい。
【0060】
前記化学式1で表される上述の化合物の多様な置換基は、一実施形態に係る有機光電素子用化合物の本質的な性質を変化させるものではない。
【0061】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物の例として、下記化学式2〜111で表される化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】
【化10】
【0070】
【化11】
【0071】
【化12】
【0072】
【化13】
【0073】
本発明の一実施形態において、下記化学式112で表される有機光電素子用化合物は、連続して繰り返されたアリール基およびヘテロ環基を含む。
【0074】
【化14】
【0075】
前記化学式112において、A1〜A12は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR1〜CR12およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つはNであり、互いに隣接するR1〜R6は縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7〜R12は縮合環を形成していてもよい。
【0076】
Xは、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yは、CR14またはNであり、この際、XはO、S、およびSeからなる群から選択され、YはNであり、
Lは、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aは、0または1であり、この際、aが0である場合には、A1〜A6は、それぞれ独立して、CR1〜CR6であり、aが1である場合には、A1〜A6の少なくとも1つはNであり、
bおよびcは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、並びに
R1〜R14は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリーレン基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換されたヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BRR’、またはSiRR’R”からなる群から選択され、この際、前記R、R’、およびR”は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0077】
R1〜R6の隣接した少なくとも2つが縮合環を形成する場合、またはR7〜R12の隣接した少なくとも2つが縮合環を形成する場合、A1〜A6を含む縮合環およびA7〜A12を含む縮合環は、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニル、ピレニル、フルオレニルなどの多環式アリールでありうる。具体的には、A7〜A12の少なくとも1つがNである場合には、前記多環式アリールの1つ以上の炭素がNで置換されうる。
【0078】
R7〜R12が、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアリーレン基である場合には、前記化合物は、発光層に有効に適用されうる。
【0079】
Xが、O、S、およびSeからなる群から選択される場合には、YはNである。すなわち、XおよびYの少なくとも一方は原則としてNである。この場合、LUMOエネルギー準位が下がって分子の電子親和力が向上し、これによって電子の注入および輸送能が向上しうる。したがって、有機発光ダイオードの駆動に必要とする電圧を低減でき、電力効率を向上できる。
【0080】
XおよびYを含む官能性置換基は、化合物に所定の剛性を付与し、分子間の相互作用が向上する。一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、高いガラス転移温度を有することにより熱的安全性を有し、これによって有機発光ダイオードの寿命特性が向上する。
【0081】
Lは、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基である。より具体的には、R7〜R12およびLは、C6〜C50のアリール基であり、前記アリール基は、フェニル基などの単環式アリール基;またはナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フェリレニル基などの多環式アリール基でありうる。前記化合物は、発光層の材料に有用でありうる。
【0082】
前記連結基Lは、分子間の相互作用を高め、これによって熱的安定性を向上しうる。また、π共役長を調節し、可視領域における発光を調節しうる。したがって、本発明に係る有機光電素子用化合物は、発光層に有効に適用されうる。
【0083】
bおよびcは1〜3の整数であり、bおよびcが2以上である場合には、それぞれの反復ユニットは相違しうる。
【0084】
特に、前記cが2である場合には、2つの反復ユニットは、A1〜A6を含むベンゼン環のメタ位置で互いに結合する。一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、下記化学式113で表される化合物を含みうる。
【0085】
【化15】
【0086】
前記化学式113において、
A2、A4〜A12、およびA7'〜A12'は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR12、CR7'〜CR12'、およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つはNであり、A7'〜A12'の少なくとも1つはNであり、互いに隣接するR4〜R6は縮合環を形成していてもよく、互いに隣接するR7〜R12は縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7'〜R12'は縮合環を形成していてもよく、
Xは、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yは、CR14またはNであり、この際、XがO、S、およびSeからなる群から選択される場合には、Yは、Nであり、
LおよびL’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aおよびa’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、0または1であり、この際、aおよびa’が、それぞれ独立して0である場合には、A2、A4〜A6は、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR6であり、aおよびa’が、それぞれ独立して1である場合には、A2、A4〜A6の少なくとも1つはNであり、
bおよびb’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、並びに
R2、R4〜R14、およびR7'〜R12'は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキニレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリーレン基、置換もしくは非置換のアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアミノ基、BRR’、またはSiRR’R”であり、この際、R、R’、およびR”は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0087】
R4〜R6の少なくとも隣接した2つは縮合環を形成し、R7〜R12の少なくとも隣接した2つは縮合環を形成し、およびR7'〜R12'の少なくとも隣接した2つは縮合環を形成しうる。前記融合環は、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニル、ピレニル、フルオレニルなどの多環式アリールでありうる。特に、A7〜A12の少なくとも1つがNである場合、およびA7'〜A12'の少なくとも1つがNである場合には、前記多環式アリールの1つ以上の炭素がNで置換されうる。
【0088】
LおよびL’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基である。より具体的には、前記アリールは、C6〜C50のアリールであり、前記アリールは、フェニルなどの単環式アリール;またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニルなどの多環式アリールでありうる。前記化合物は発光層の材料に有用でありうる。
【0089】
bおよびb’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、この際、bおよびb’が2以上である場合には、それぞれの反復ユニットは異なっていてもよい。
【0090】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリーレン基、または置換もしくは非置換のアリールアミン基である場合には、前記アリールはC6〜C50のアリールでありうる。特に、前記アリールが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、スチレンなどの単環式アリール、またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニルなどの多環式アリールである場合には、前記化合物は発光層の材料に有用でありうる。
【0091】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である場合には、前記アリールは、上述のものと同じでありうる。前記ヘテロアリールは、N、O、S、またはPのヘテロ原子を1〜3含み、残りは炭素であるアリールを意味しうる。
【0092】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換または非置換のアリールアミン基である場合には、前記アリールアミン基は、ジフェニルアミン基、ジナフチルアミン基、ジビフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、フェニルジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾリル基、およびトリフェニルアミン基からなる群から選択され、この際、電子および正孔の移動特性のバランスを付与しうる。
【0093】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換または非置換のヘテロ環基である場合には、前記ヘテロ環基は、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニン基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群から選択される。
【0094】
特に、前記イミダゾリル基またはトリアゾリル基の窒素(N)元素に結合される置換基は、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のイソプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のt−ブチル基、置換または非置換のペンチル基、置換または非置換のヘキシル基、および置換または非置換のヘプチル基などの置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロペンチル基、置換または非置換のシクロヘキシル基などの置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のナフチル基などの置換または非置換のアリール基;および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。この際、前記ヘテロ環基は、好ましくはピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、イソキノリル基などのヘテロアリール基である。
【0095】
化学式112のR1〜R12の少なくとも1つ、並びに化学式113のR2、R4〜R12、およびR7'〜R12'の少なくとも1つは、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基から選択される少なくとも1つの置換基で置換され、前記化合物は、正孔注入層(HIL)または正孔輸送層(HTL)に適用されうる。
【0096】
また、前記化学式112のR1〜R12の少なくとも1つ、および化学式113のR2、R4〜R12、R7'〜R12'の少なくとも1つは、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換され、これは電子注入または輸送能力を強化し、これによって、前記化合物は電子注入層(EIL)または電子輸送層層(ETL)に適用される。したがって、正孔輸送能および電子輸送能が同時に向上しうる。
【0097】
上述した前記化学式112および化学式113で表される上述の化合物の多様な置換基は、一実施形態に係る有機光電素子用化合物の本質的な性質を変化させるものではない。
【0098】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物の例として、下記化学式114〜183で表される化合物が挙げられるが、本発明の化合物がこれに限定されない。
【0099】
【化16】
【0100】
【化17】
【0101】
【化18】
【0102】
【化19】
【0103】
【化20】
【0104】
【化21】
【0105】
【化22】
【0106】
上述の化合物を含む有機光電素子用化合物は、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/もしくは輸送の役割を果たし、また、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たしうる。有機光電素子用化合物を有機薄膜層中に含むと、有機光電素子の寿命特性および効率特性の向上のための熱的安定性を向上させ、駆動電圧を低減しうる。
【0107】
上述の化合物を含む有機光電素子用化合物は、正孔輸送および電子輸送の役割を果たし、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たしうる。特に、前記ドーパントは還元性ドーパントでありうる。前記還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される。
【0108】
新規な有機光電素子用化合物は、ホスト材料または電荷輸送材料に有効に用いられうる。ここで、前記有機光電素子は、有機発光ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機メモリ素子等を含みうる。
【0109】
有機太陽電池に関しては、本発明に係る新規な化合物は、電極または電極緩衝層に含有され、量子効率を増加させうる。有機トランジスタに関しては、ゲート電極、ソース−ドレイン電極の電極材料などに用いられうる。
【0110】
以下、有機発光ダイオードについてより詳細に説明する。本発明の別の実施形態に係る有機発光素子は、通常、有機発光素子が、陽極、陰極、および前記陽極と前記陰極の間の少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む場合、当該有機薄膜層の少なくとも一層に有機光電素子用化合物を含む。
【0111】
有機発光ダイオードは、多様なエネルギーバンドギャップを有する化合物を含み、これによって、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)などに必要とされる多様な条件を満たす。したがって、前記有機発光ダイオードは、低駆動電圧および高発光効率を実現しうる。
【0112】
前記有機薄膜層は、発光層、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、および正孔遮断層からなる群から選択される1つを含む。少なくとも1つの層は、本発明に係る有機光電素子用化合物を含む。
【0113】
図1〜図5は、本発明の各実施形態に係る新規な有機化合物を含む有機発光素子を示す断面図である。
【0114】
図1〜図5を参照すると、一実施形態に係る有機光電素子100、200、300、400、および500は、陽極120および陰極110の間の少なくとも1層の有機薄膜層105を含む。
【0115】
前記陽極120は、有機薄膜層への正孔注入を助けるための大きい仕事関数を有する陽極材料を含む。前記陽極材料は、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、および金などの金属もしくはこれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、およびインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlもしくはSnO2:Sbなどの金属および酸化物の組み合わせ;またはポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール、およびポリアニリンなどの導電性高分子を含むが、これらに限定されない。
【0116】
前記陰極110は、有機薄膜層への電子注入を助けるための小さい仕事関数を有する陰極材料を含む。前記陰極材料は、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛などの金属もしくはこれらの合金;またはLiF/Al、Liq/Al、LiO2/Al、LiF/Ca、LiF/Al、およびBaF2/Caなどの多層材料を含むが、これらに限定されない。
【0117】
図1を参照すると、前記有機発光素子100は、発光層130のみを含む有機薄膜層105を含む。
【0118】
図2を参照すると、2層有機発光素子200は、電子輸送層(ETL)を含む発光層230および正孔輸送層(HTL)140を含む有機薄膜層105を含む。前記発光層130は電子輸送層(ETL)としても機能し、正孔輸送層(HTL)140は、ITOなどの透明電極との優れた接合性または優れた正孔輸送能を有する。
【0119】
図3を参照すると、3層有機発光素子300は、電子輸送層(ETL)150、発光層130、および正孔輸送層(HTL)140を含む有機薄膜層105を含む。前記発光層130は独立して設置され、優れた電子輸送能または優れた正孔輸送能を有する層は別々に積層されている。
【0120】
図4を参照すると、4層有機発光素子400は、電子注入層(EIL)160、発光層130、正孔輸送層(HTL)140、およびITOの陽極と接合するための正孔注入層(HIL)170を含む。
【0121】
図5を参照すると、5層有機発光素子500は、電子輸送層(ETL)150、発光層130、正孔輸送層(HTL)140、および正孔注入層(HIL)170含み、低電圧化を達成するために、さらに電子注入層(EIL)160を含む有機薄膜層を含む。
【0122】
前記発光ダイオードは、基板上に陽極を形成し、有機薄膜層を形成し、その表面に陰極を形成することによって製造されうる。前記有機薄膜層は、蒸着(evaporation)、スパッタリング、プラズマめっき、およびイオンめっきなどの乾式コーティング、またはスピンコーティング、浸漬(dipping)、フローコーティングなど湿式コーティングによって形成されうる。
【0123】
本発明の別の実施形態により、上述の実施形態に係る前記有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【実施例】
【0124】
以下、実施例を参照にして、上記実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0125】
合成例1:2−(3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾールの合成
【0126】
【化23】
【0127】
3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモベンズアルデヒド10g(27.7mmol)および2−アミノフェノール3.6g(33.2mmol)を酢酸100mlに溶解し、室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)14.7g(33.2mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、水を注ぎ、得られた生成物を酢酸エチルで抽出し、溶媒を減圧下で除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、4.5g(Y=33%)の白色の固体を得た。
【0128】
合成例2:2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールの合成
【0129】
【化24】
【0130】
2−(4−ブロモフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール5g(16.6mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン5.1g(19.9mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)およびジクロロメタンの複合体0.41g(3mol%)、および酢酸カリウム4.9g(49.8mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)100mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出した。抽出物の溶媒を減圧下で除去し、抽出物をカラムで分離して、3.1g(Y=53%)の淡黄色の固体を得た。
【0131】
合成例3:2−(3,5−ジブロモフェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの合成
【0132】
【化25】
【0133】
3,5−ジブロモベンズアルデヒド20g(75.8mmol)およびN−フェニル−o−フェニレンジアミン16.8g(90.9mmol)を酢酸150mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)37g(83.4mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注いだ。得られた生成物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥さて、9.5g(Y=29%)の黄色の固体を得た。
【0134】
合成例4:2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの合成
【0135】
【化26】
【0136】
合成例3で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール9.4g(22.0mmol)、ピリジン−3−ボロン酸2.7g(22.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.76g(3mol%)、および炭酸カリウム6.1g(44.0mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水300mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。反応物をカラムで分離し、乾燥させて、5.15g(Y=54%)の黄色の固体を得た。
【0137】
合成例5:2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0138】
【化27】
【0139】
3,5−ジブロモベンズアルデヒド5.03g(19.1mmol)および2−アミノチオフェノール3.1mL(28.6mmol)を酢酸60mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。ここに酢酸鉛(IV)9.78g(21.0mmol)を添加した。混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を、カラムで分離し、乾燥させて、4.74g(Y=67%)の白色の固体を得た。
【0140】
合成例6:2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0141】
【化28】
【0142】
合成例5で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾール4.74g(12.8mmol)、ピリジン−3−ボロン酸1.89g(15.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.44g(3mol%)、および炭酸カリウム5.31g(38.4mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水50mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.54g(Y=54%)の白色の固体を得た。
【0143】
合成例7:3−(2H−テトラゾール−5−イル)ピリジンの合成
【0144】
【化29】
【0145】
3−ピリジンカルボニトリル30g(288mmol)、アジ化ナトリウム(NaN3)28.1g(432mmol)、および塩化アンモニウム23.1g(432mmol)をDMF200mLに溶解した。前記溶液を100℃で24時間反応させた。次いで、得られた反応物に水を注いだ。得られた生成物を塩酸で中和してろ過し、19.6g(Y=46%)の白色の固体を得た。
【0146】
合成例8:3−(5−(3−ブロモフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジンの合成
【0147】
【化30】
【0148】
合成例7で合成した3−(2H−テトラゾール−5−イル)ピリジン16.8g(114mmol)および3−ブロモベンゾイルクロリド25g(114mmol)をo−キシレン180mLに溶解した。前記溶液を150℃で8時間反応させた。得られた反応物を減圧下で精製し、メタノールで洗浄して、30g(Y=87%)の白色の固体を得た。
【0149】
合成例9:3−(5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジンの合成
【0150】
【化31】
【0151】
合成例8で合成した3−(5−(3−ブロモフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン12g(40mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン12.2g(48mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)とジクロロメタンの複合体0.98g(3mol%)、酢酸カリウム5.9g(60mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)250mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、10g(Y=71%)の白色の固体を得た。
【0152】
合成例10:2−(2,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0153】
【化32】
【0154】
2,5−ジブロモベンズアルデヒド5g(18.5mmol)、2−アミノチオフェノール3mL(27.7mmol)、およびヨウ素2.35g(9.25mmol)をDMF100mLに溶解した。前記溶液を100℃で1時間反応させた。得られた反応物をカラムで精製し、4.64g(Y=68%)の白色の固体を得た。
【0155】
合成例11:2−(2−ブロモピリジン−3−イル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0156】
【化33】
【0157】
2−ブロモ−3−ピリジンカルボキシルアルデヒド6.58g(34.0mmol)および2−アミノチオフェノール5.5mL(50.9mmol)を酢酸150mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)19.0g(40.8mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去して、5.55g(Y=55%)の白色の固体を得た。
【0158】
合成例12:2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾールの合成
【0159】
【化34】
【0160】
3,5−ジブロモベンズアルデヒド10g(37.9mmol)および2−アミノフェノール5g(45.5mmol)を酢酸200mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)20.2g(45.5mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去して、5.7g(Y=42%)の白色の固体を得た。
【0161】
実施例1:化学式44の化合物の合成
【0162】
【化35】
【0163】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸5g(18.1mmol)、合成例1で合成した2−(3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール8.16g(18.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.63g(3mol%)、および炭酸カリウム5g(36.2mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水450mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、6g(Y=55%)の白色の固体を得た。
【0164】
実施例2:化学式64の化合物の合成
【0165】
【化36】
【0166】
合成例2で合成した2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール2.32g(6.7mmol)、合成例1で合成した2−(3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール2.5g(5.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.19g(3mol%)、および炭酸ナトリウム1.2g(11.1mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水90mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.6g(Y=79%)の白色の固体を得た。
【0167】
実施例3:化学式83の化合物の合成
【0168】
【化37】
【0169】
3,5−ジ−3−(ピリジニル)−ベンゼンボロン酸4.14g(15.0mmol)、合成例4で合成した2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール6.4g(15.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.52g(3mol%)、および炭酸カリウム4.15g(30.0mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水300mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、1.2g(Y=13%)の白色の固体を得た。
【0170】
実施例4:化学式87の化合物の合成
【0171】
【化38】
【0172】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸0.84g(3.1mmol)、合成例6で合成した2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール1.0g(2.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.14g(5mol%)、および炭酸カリウム1.15g(8.34mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水25mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、1.35g(Y=92%)の白色の固体を得た。
【0173】
実施例5:化学式92の化合物の合成
【0174】
【化39】
【0175】
合成例9で合成した3−(5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン4.63g(13.3mmol)、合成例4で合成した2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール5.15g(12.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.47g(3mol%)、および炭酸カリウム3.3g(24.2mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水300mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2g(Y=33%)の白色の固体を得た。
【0176】
実施例6:化学式96の化合物の合成
【0177】
【化40】
【0178】
合成例10で合成した2−(2,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾール1g(2.76mmol)、ピリジン−3−ボロン酸0.85g(6.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.28g(10mol%)、および炭酸カリウム2.3g(16.6mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水25mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧かで溶媒を除去した。前記抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、0.8g(Y=79%)の白色の固体を得た。
【0179】
実施例7:化学式105の化合物の合成
【0180】
【化41】
【0181】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸1.33g(4.8mmol)、合成例11で合成した2−(2−ブロモピリジン−3−イル)ベンゾ[d]チアゾール1.7g(5.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.28g(5mol%)、および炭酸カリウム2.0g(14.4mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水30mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.28g(Y=88%)の白色の固体を得た。
【0182】
実施例8:化学式108の化合物の合成
【0183】
【化42】
【0184】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸2.3g(8.4mmol)、合成例5で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾール1.5g(4.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.46g(10mol%)、および炭酸カリウム3.3g(23.9mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水50mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.04g(Y=75%)の白色の固体を得た。
【0185】
実施例9:化学式110の化合物の合成
【0186】
【化43】
【0187】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸4.3g(15.6mmol)、合成例12で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール2.5g(7.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.82g(10mol%)、および炭酸カリウム5.9g(42.7mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水100mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、3.37(Y=72%)の白色の固体を得た。
【0188】
前記実施例1〜9で合成された化合物は、1H NMR(核磁気共鳴分光法)によって分析した。その結果をそれぞれ図6〜図14に示す。
【0189】
比較例1:2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)
従来に優れた電荷輸送能を有すると知られた(Jpn. J. Appl. Phys., 27,L269 1988)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)を準備した。
【0190】
実施例10:有機発光ダイオードの製作
15Ω/cm2(120nm)ITOガラス基板(Corning社製)を25mm×25mm×0.7mmの大きさとなるように準備し、イソプロピルアルコールおよび純水でそれぞれ5分間洗浄し、UVおよびオゾンで再度洗浄した。
【0191】
次に、前記基板上に厚さ40nmのN,N’−ジ(4−(N,N’−ジフェニル−アミノ)−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(DNTPD)正孔注入層(HIL)を形成した。
【0192】
次いで、前記正孔注入層(HIL)上にN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)を真空蒸着し、厚さ10nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0193】
発光材料としてEB−46およびEB−512(e−Ray Optpelectronics Technology社製)を94:6の重量比で真空蒸着し、前記正孔輸送層(HTL)上に厚さ40nmの発光層を形成した。
【0194】
電子輸送材料として実施例2で合成した化合物を真空蒸着し、前記発光層上に厚さ10nmの電子輸送層(ETL)を形成した。
【0195】
前記電子輸送層(ETL)上には、LiF 0.5nm/Al 100nmをそれぞれ順に真空蒸着してLiF/Alを含む陰極を形成し、実施例10の有機発光ダイオードを製作した。
【0196】
実施例11:有機発光ダイオードの製作
実施例3で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0197】
実施例12:有機発光ダイオードの製作
実施例4で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0198】
実施例13:有機発光ダイオードの製作
実施例5で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0199】
実施例14:有機発光ダイオードの製作
実施例7で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0200】
実施例15:有機発光ダイオードの製作
実施例8で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0201】
実施例16:有機発光ダイオードの製作
実施例9で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0202】
比較例2:有機発光ダイオードの製作
電子輸送材料Alq3を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0203】
物性測定および分析
1)駆動電圧、輝度、および発光効率
実施例10〜16および比較例2の有機発光ダイオードの1000nitの輝度の発生に必要な駆動電圧(Vd)、並びに同じ輝度の電流効率(cd/A)および電力効率(lm/W)を測定した。結果を下記表1に示す。
【0204】
【表1】
【0205】
表1の結果、並びに図15および図16を参照すると、実施例10〜16の有機発光ダイオードは、比較例2の有機発光ダイオードよりも駆動電圧が著しく低かった。また、表1、並びに図17および図18を参照すると、実施例10〜16の有機発光ダイオードは駆動電圧が著しく低かったが、優れた電流効率および電力効率を有していた。
【0206】
有機発光ダイオードのこれらの測定結果は、発光層内の正孔および電子の結合バランスに基づくものである。実施例10〜16の化合物は、一般的な電子輸送材料であるAlq3と比較して、優れた電子注入および移動特性を有することが分かる。
【0207】
2)熱的安定性
実施例1〜9の化合物を示差走査熱量計法(DSC)で分析し、次いで、同様の方法で2次分析した。実施例5および比較例1の化合物の分析結果を図19および図20に示す。図19および図20を参照すると、実施例5の化合物は、1次分析において溶融点ピークを有していたが、2次分析では溶融点ピークはなかった。一方、比較例1の2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)は、1次分析および2次分析ともに138℃で溶融点ピークを有し、2次分析において65℃の結晶化温度を有していた。実施例5の化合物は、従来の材料と比較して非晶質状態として安定に存在することが確認された。したがって、本発明の化合物を含む有機発光ダイオードは、駆動時に発生するジュール熱の影響を低減し、これによって従来の有機発光ダイオードと比較して寿命特性が向上しうることが分かった。
【0208】
本発明を現在の想定される実際の例示的な実施形態に関連して記載してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されず、様々な修飾および同等の形態は添付の特許請求の範囲の思想および技術的範囲に含まれることが理解されうる。
【符号の説明】
【0209】
100 有機光電素子、
110 陰極、
120 陽極、
105 有機薄膜層、
130 発光層、
140 正孔輸送層(HTL)、
150 電子輸送層(ETL)、
160 電子注入層(EIL)、
170 正孔注入層(HIL)、
230 発光層+電子輸送層(ETL)。
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子に関する。より詳細には、本発明は、熱的安定性に優れることにより有機光電素子の駆動電圧を低減し、寿命および効率が向上した有機光電素子用材料、およびこれを含む有機光電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電素子は、有機発光材料に電流を加えることにより、電気エネルギーを光に変える素子であって、陽極(anode)と陰極(cathode)の間に機能性材料層が挿入された構造を有する。
【0003】
有機光電素子は、正孔が陽極から注入され、電子が陰極から注入される発光ダイオード(light emitting diodes:LED)と類似する電気的な特性を有しており、正孔および電子は対向電極へ移動し、再結合して高エネルギーを有する励起子を形成する。形成された励起子は、基底状態にシフトする際に、特定の波長の光を発生する。
【0004】
アントラセン有機材料の発光現象は、1960年初頭にはじめて発見されたが、駆動電圧が高いという短所があった。1980年には、Eastman KodakのC.W.Tangらによって低電圧駆動を実現した素子が開発された。その後、1990年にはケンブリッジ大学でポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)を用いた高分子発光ダイオードが開発された。現在、低分子発光素子(SMOLED)および高分子有機発光ダイオード(PLED)の研究が行われている。前記低分子有機発光ダイオードは、真空蒸着法で薄膜に製造され、良好な効率および寿命を有する。高分子有機発光ダイオードは、インクジェットまたはスピンコーティング法で製造され、低い初期コストおよび大面積化が可能であるという利点がある。
【0005】
低分子有機発光素子および高分子有機発光ダイオードは、ともに自己発光および極薄化が可能であり、高速の応答、広視野角、高画質、耐久性、広い駆動温度範囲などの利点を有する。特に自己発光特性によって、既存のLCD(液晶ディスプレイ)と比較して視認性が良く、バックライトを必要としないため、LCDの最大1/3の厚さおよび重量まで低減できる利点を有する。また、応答速度がLCDに比べてマイクロ秒単位で1000倍速いため、残像のない完璧な動画を実現できる。これらの利点に基づき、低分子有機発光素子および高分子有機発光ダイオードは、1980年代後半の初期に開発されたものから、80倍の効率および100倍以上の寿命を実現し、著しい発展を遂げた。近年では、40インチの有機発光素子パネルなど、急速に大型化が進んだディスプレイが用いられている。
【0006】
大型化のためには、発光効率および寿命が向上しなければならない。このとき、発光効率を向上させるためには、発光層内の正孔および電子間の結合が円滑にされる必要がある。しかし、一般的に、有機材料は、正孔移動度に比べて電子移動度が遅いため、発光層内の正孔および電子の結合効率が悪いという短所がある。したがって、陰極からの電子注入および移動度を高めると同時に、正孔の移動を妨げる新規な化合物が特に必要とされている。
【0007】
また、素子は、駆動時に発生するジュール熱により、内部の材料が結晶化しうるため、寿命が短くなりうる。このような問題点を解決するために、移動速度が速い2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)(Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269 1988)が提案されているが、熱的安定性を欠き、それにより素子の駆動時に結晶化する問題点を未だ有している。さらに、正孔移動度の低減に優れたものとして知られるBCPおよびアルミニウム混合配位錯体(BAlq,ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)についても活発に研究されている。しかし、このような材料は正孔移動度を低減する優れた特性を有しているが、電子注入特性の低下および素子駆動時の結晶化という問題点があり、素子特性を満足するものではなかった。
【0008】
したがって、優れた電子の注入、移動性、および熱的安定性を有し、駆動時に結晶化を防ぐ有機化合物が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
技術的課題
本発明の一実施形態によると、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/または輸送、並びに適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たす新規な材料が提供される。
【0010】
技術的解決手段
本発明の他の実施形態によると、有機光電素子用材料を含み、駆動電圧を低減し、寿命および効率が向上する有機光電素子が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によると、下記化学式1で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
前記A1〜A5は、同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNであり、
A1〜A5の1つがNである場合には、A1〜A5の残りの4つが、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択され、この際、前記R1〜R5の少なくとも2つが水素原子ではなく、
A1〜A5がそれぞれCR1〜CR5である場合、R1〜R5のうちの少なくとも2つは水素原子ではない。
【0014】
Bは、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択される。
【0015】
CおよびDは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択され、この際、BがNR”ではない場合には、CはNである。
【0016】
R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択され、並びに
R6〜R8は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基、および置換または非置換のアリール基からなる群から選択される。
【0017】
Eは、水素原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のフルオロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロ環基、およびSO2R9からなる群から選択され、並びに
R9は、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。
【0018】
Lは、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、並びに
nは、0または1である。
【0019】
本発明の他の実施形態によると、陽極、陰極、および前記陽極と前記陰極の間の少なくとも一層の有機薄膜層を含む有機光電素子が提供される。前記有機薄膜層の少なくとも一層は、前記有機光電素子用化合物を含む。
【0020】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【0021】
以下、本発明のその他の実施形態が詳細に説明される。
【発明の効果】
【0022】
有利な効果
本発明の一実施形態によると、有機光電素子用化合物は、大部分が非対称である。当該非対称構造によって非晶質特性が強化されることによって、結晶化が抑制され、有機光電素子用化合物の熱的安定性が向上する。したがって、有機光電素子の駆動時に当該化合物が、有機光電素子の駆動電圧を低減し、寿命および効率を向上させる。
【0023】
本発明の他の実施形態に係る新規な有機光電素子用化合物は、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/または輸送、並びに適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図2】図2は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図3】図3は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図4】図4は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図5】図5は、本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子の断面図である。
【図6】図6には、本発明の実施例1の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図7】図7には、本発明の実施例2の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図8】図8には、本発明の実施例3の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図9】図9には、本発明の実施例4の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図10】図10には、本発明の実施例5の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図11】図11には、本発明の実施例6の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図12】図12には、本発明の実施例7の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図13】図13には、本発明の実施例8の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図14】図14には、本発明の実施例9の化合物の1H NMRスペクトルを示す。
【図15】図15には、実施例10〜13および比較例2の有機発光ダイオードの電圧−輝度特性を示す。
【図16】図16には、実施例14〜16および比較例2の有機発光ダイオードの電圧−輝度特性を示す。
【図17】図17には、実施例10〜13および比較例2の有機発光ダイオードの電力効率を示す。
【図18】図18には、実施例14〜16および比較例2の有機発光ダイオードの電力効率を示す。
【図19】図19には、実施例5の化合物の熱的特性を示す。
【図20】図20には、比較例1の化合物の熱的特性を示す。
【0025】
<図中の主要な要素を示す符号の説明>
100:有機光電素子
110:陰極
120:陽極
105:有機薄膜層
130:発光層
140:正孔輸送層
150:電子輸送層
160:電子注入層
170:正孔注入層
230:発光層+電子輸送層
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の例示的な実施形態について詳しく説明する。しかしながら、これらの実施形態は例示であり、本発明はこれらに制限されず、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0027】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「アルキル基」はC1〜C30のアルキル基、より好ましくはC1〜C15のアルキル基を意味しうる。用語「アルコキシ基」は、C1〜C30のアルコキシ基、より好ましくはC1〜C15のアルコキシ基を意味しうる。用語「アルケニル基」は、C2〜C30のアルケニル基、より好ましくはC2〜C15のアルケニル基を意味しうる。用語「シクロアルキル基」は、C3〜C30のシクロアルキル基、より好ましくはC3〜C15のシクロアルキル基を意味しうる。用語「アリール基」は、C6〜C50のアリール基、より好ましくはC6〜C25のアリール基を意味しうる。用語「アリールアミン基」は、C7〜C50のアリールアミン基、より好ましくはC7〜C25のアリールアミン基を意味しうる。用語「ヘテロアリールアミン基」は、C7〜C50のヘテロアリールアミン基、より好ましくはC7〜C25のヘテロアリールアミン基を意味しうる。用語「ヘテロ環基」は、C5〜C50のヘテロ環基、より好ましくはC5〜C25のヘテロ環基を意味しうる。用語「フルオロアルキル基」はC1〜C10のフルオロアルキル基を意味しうる。
【0028】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「エステル基」は、−COORを意味しうる。用語「カルボニル基」は、−COR’を意味しうる。ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10のアルキル基、C6〜C20のアリール基、C3〜C20のシクロアルキル基、C2〜C10のアルケニル基、C2〜C10のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0029】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「置換」は、少なくともハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、アセチレン基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアルキル基、置換または非置換のアリールアルケニル基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミン基、置換または非置換のシクロアルキル基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択される少なくとも一つの置換基で置換されたものを意味し、この際、R6〜R8は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC1〜C30のアルキル基、および置換または非置換のC6〜C50のアリール基からなる群から選択される。
【0030】
本明細書において、別途の定義がない限り、接頭語「ヘテロ」は、1つの環内にN、O、S、またはPを1〜3含むものを意味する。
【0031】
本明細書において、別途の定義がない限り、用語「ヘテロ環基」は、C5〜C50のヘテロアリール基、C5〜C50のヘテロシクロアルキル基、C5〜C50のヘテロシクロアルケニル基、C5〜C50のヘテロシクロアルキニル基、およびこれらの縮合環からなる群から選択されるものを意味する。前記ヘテロ環基は、好ましくは1〜20のヘテロ原子を含み、さらに好ましくは1〜15のヘテロ原子を含む。
【0032】
本発明の一実施形態によると、下記化学式1で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0033】
【化2】
【0034】
前記化学式1において、
A1〜A5は,同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNである。
【0035】
A1〜A5の1つがNである場合には、A1〜A5の残りの4つは、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択され、この際、前記R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。
【0036】
A1〜A5がそれぞれCR1〜CR5である場合には、R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。
【0037】
Bは、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択される。
【0038】
CおよびDは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択され、この際、BがNR”でない場合には、CはNである。
【0039】
R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択され、
R6〜R8は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基、および置換または非置換のアリール基からなる群から選択される。
【0040】
Eは、水素原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のフルオロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロ環基、およびSO2R9からなる群から選択され、
R9は、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。
【0041】
Lは、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、並びに
nは、0または1である。
【0042】
前記化学式1の新規な有機光電素子用化合物は、A1〜A5を含む部分、アリール基またはヘテロアリール基を含む連結基L、および5員環を含む官能性置換基を含む。
【0043】
前記化学式1において、A1〜A5は、同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNである。A1〜A5の1つが少なくともNである場合には、LUMO(最低空軌道)エネルギー準位が下がって分子の電子親和力が向上し、これによって電子の注入および移動特性が向上する。したがって、有機発光ダイオードの駆動に必要とする電圧を低減でき、電力効率を向上できる。しかし、A1〜A5が4つを超えてNである場合には、LUMOのエネルギー準位が低くなりすぎて電子の注入が困難になる。
【0044】
特に、A1〜A5の1つが少なくともNである場合には、A1〜A5は4つを超えて、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択される。この際、前記R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。前記R1〜R5の少なくとも1つが水素原子でなく、置換基である場合には、化合物の剛性が高まり、結晶化が容易に生じうる。前記R1〜R5がすべて水素原子である場合には、熱的安定性が低下し、電子の注入が困難となりうる。
【0045】
A1〜A5がすべてNに置換されている場合には、A1〜A5は、CR1〜CR5からなる群から選択される。この際、前記R1〜R5の少なくとも2つは水素原子ではない。前記R1〜R5の少なくとも1つが水素原子でなく、置換基である場合には、化合物の剛性が高くなりうる。前記R1〜R5がすべて水素原子である場合には、熱的安定性が低下し、電子の注入が困難となりうる。
【0046】
特に、前記R1〜R5の少なくとも2つが水素原子でなく、置換基である場合には、前記置換部位に異なる置換基を導入することで、非晶質特性が向上しうる。したがって、素子の駆動時に発生するジュール熱によって生じる結晶化を抑制することができ、これによって有機発光ダイオードの寿命特性を向上させることができる。
【0047】
有機光電素子用化合物において、A1およびA5は互いに異なっていてもよく、並びにA2およびA4は互いに異なっていてもよい。本発明の一実施形態に係る化合物は、A3を含む対称軸に対して上下の置換基が互いに異なる非対称構造を有する。この非対称構造は、非晶質特性を強化して、結晶化を抑制でき、これによって有機光電素子の駆動時の寿命特性が向上しうる。また、有機光電素子の駆動電圧を低減し、効率および熱的安定性の観点から優れた効果を有する有機光電素子を提供しうる。
【0048】
アリール基またはヘテロアリール基を含む連結基Lは、分子間の相互作用を高めて熱的安定性を向上させる。また、π共役長(π−conjugation length)および可視領域における発光を調節しうる。したがって、本発明に係る有機光電素子用化合物は、発光層に有効に適用されうる。
【0049】
また、5員環を含む官能性置換基のBは、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択され、CおよびDは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択される。しかしながら、BがNR”でない場合には、CがNである。前記5員環を含む官能性置換基は、有機光電素子用化合物の構造を全体的に非対称構造として、前記化合物に熱的安定性を付与しうる。
【0050】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立してアリール基であり、置換または非置換のC6〜C40のアリール基であることが好ましい。前記アリール基が、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、スチレン基などの単環式アリール基、またはナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基などの多環式アリール基である場合には、前記化合物は、発光層の材料に好適でありうる。
【0051】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立してアリールアミン基である。前記アリールアミン基は、好ましくはジフェニルアミン基、ジナフチルアミン基、ジビフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、フェニルジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾリル基、およびトリフェニルアミン基からなる群から選択される。
【0052】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、それぞれ独立して置換または非置換のヘテロ環基であり、前記ヘテロ環基は、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニン基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群から選択される。
【0053】
前記置換または非置換のヘテロ環基がイミダゾリル基またはトリアゾリル基である場合には、前記イミダゾリル基またはトリアゾリル基の窒素原子(N)に結合する置換基は、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のイソプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のt−ブチル基、置換または非置換のペンチル基、置換または非置換のヘキシル基、および置換または非置換のヘプチル基などの置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロペンチル基、置換または非置換のシクロヘキシル基などの置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のナフチル基などの置換または非置換のアリール基;並びに置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。前記ヘテロ環基は、好ましくはピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、イソキノリル基などのヘテロアリール基である。
【0054】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”は、電子注入特性に優れる官能基、または熱的安定性を向上できる官能基である。前記官能基は、選択的に正孔注入/輸送能および電子注入/輸送能を付与し、発光層における効率的な正孔−電子結合が可能となりうる。
【0055】
例えば、R1〜R5、R’、およびR”から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基を含む場合には、前記化合物は正孔注入層(HIL)および正孔輸送層(HTL)の材料として有効に用いられる。
【0056】
R1〜R5、R’、およびR”から選択される1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基からなる群から選択される優れた電子親和力を有する置換基を含む場合には、前記化合物は電子注入層(EIL)または電子輸送層(ETL)の材料として有効に用いられる。
【0057】
化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基を含み、R1〜R5、R’、およびBのR’から選択される1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基からなる群から選択される優れた電子親和力を有する置換基を含む場合、前記化合物は、正孔輸送能および電子輸送能の両者を有する。好ましいアミン置換のヘテロ環基は、アミン置換のヘテロアリール基であり、好ましいヘテロ環基はヘテロアリール基である。
【0058】
化学式1において、EおよびBのR”から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基を含み、EおよびBのR”のもう一方が、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基を含む場合には、非晶質の特性がより向上して正孔輸送特性および電子輸送特性が精密に制御されうる。好ましいアミン置換のヘテロ環基はアミン置換のヘテロアリール基であり、好ましいヘテロ環基はヘテロアリール基である。
【0059】
Lは、置換または非置換のC6〜C30のアリール基、および置換または非置換のC5〜C30のヘテロアリール基からなる群から選択されることが好ましい。
【0060】
前記化学式1で表される上述の化合物の多様な置換基は、一実施形態に係る有機光電素子用化合物の本質的な性質を変化させるものではない。
【0061】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物の例として、下記化学式2〜111で表される化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】
【化10】
【0070】
【化11】
【0071】
【化12】
【0072】
【化13】
【0073】
本発明の一実施形態において、下記化学式112で表される有機光電素子用化合物は、連続して繰り返されたアリール基およびヘテロ環基を含む。
【0074】
【化14】
【0075】
前記化学式112において、A1〜A12は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR1〜CR12およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つはNであり、互いに隣接するR1〜R6は縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7〜R12は縮合環を形成していてもよい。
【0076】
Xは、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yは、CR14またはNであり、この際、XはO、S、およびSeからなる群から選択され、YはNであり、
Lは、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aは、0または1であり、この際、aが0である場合には、A1〜A6は、それぞれ独立して、CR1〜CR6であり、aが1である場合には、A1〜A6の少なくとも1つはNであり、
bおよびcは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、並びに
R1〜R14は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリーレン基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換されたヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BRR’、またはSiRR’R”からなる群から選択され、この際、前記R、R’、およびR”は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0077】
R1〜R6の隣接した少なくとも2つが縮合環を形成する場合、またはR7〜R12の隣接した少なくとも2つが縮合環を形成する場合、A1〜A6を含む縮合環およびA7〜A12を含む縮合環は、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニル、ピレニル、フルオレニルなどの多環式アリールでありうる。具体的には、A7〜A12の少なくとも1つがNである場合には、前記多環式アリールの1つ以上の炭素がNで置換されうる。
【0078】
R7〜R12が、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアリーレン基である場合には、前記化合物は、発光層に有効に適用されうる。
【0079】
Xが、O、S、およびSeからなる群から選択される場合には、YはNである。すなわち、XおよびYの少なくとも一方は原則としてNである。この場合、LUMOエネルギー準位が下がって分子の電子親和力が向上し、これによって電子の注入および輸送能が向上しうる。したがって、有機発光ダイオードの駆動に必要とする電圧を低減でき、電力効率を向上できる。
【0080】
XおよびYを含む官能性置換基は、化合物に所定の剛性を付与し、分子間の相互作用が向上する。一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、高いガラス転移温度を有することにより熱的安全性を有し、これによって有機発光ダイオードの寿命特性が向上する。
【0081】
Lは、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基である。より具体的には、R7〜R12およびLは、C6〜C50のアリール基であり、前記アリール基は、フェニル基などの単環式アリール基;またはナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フェリレニル基などの多環式アリール基でありうる。前記化合物は、発光層の材料に有用でありうる。
【0082】
前記連結基Lは、分子間の相互作用を高め、これによって熱的安定性を向上しうる。また、π共役長を調節し、可視領域における発光を調節しうる。したがって、本発明に係る有機光電素子用化合物は、発光層に有効に適用されうる。
【0083】
bおよびcは1〜3の整数であり、bおよびcが2以上である場合には、それぞれの反復ユニットは相違しうる。
【0084】
特に、前記cが2である場合には、2つの反復ユニットは、A1〜A6を含むベンゼン環のメタ位置で互いに結合する。一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、下記化学式113で表される化合物を含みうる。
【0085】
【化15】
【0086】
前記化学式113において、
A2、A4〜A12、およびA7'〜A12'は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR12、CR7'〜CR12'、およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つはNであり、A7'〜A12'の少なくとも1つはNであり、互いに隣接するR4〜R6は縮合環を形成していてもよく、互いに隣接するR7〜R12は縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7'〜R12'は縮合環を形成していてもよく、
Xは、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yは、CR14またはNであり、この際、XがO、S、およびSeからなる群から選択される場合には、Yは、Nであり、
LおよびL’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aおよびa’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、0または1であり、この際、aおよびa’が、それぞれ独立して0である場合には、A2、A4〜A6は、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR6であり、aおよびa’が、それぞれ独立して1である場合には、A2、A4〜A6の少なくとも1つはNであり、
bおよびb’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、並びに
R2、R4〜R14、およびR7'〜R12'は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキニレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリーレン基、置換もしくは非置換のアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアミノ基、BRR’、またはSiRR’R”であり、この際、R、R’、およびR”は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0087】
R4〜R6の少なくとも隣接した2つは縮合環を形成し、R7〜R12の少なくとも隣接した2つは縮合環を形成し、およびR7'〜R12'の少なくとも隣接した2つは縮合環を形成しうる。前記融合環は、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニル、ピレニル、フルオレニルなどの多環式アリールでありうる。特に、A7〜A12の少なくとも1つがNである場合、およびA7'〜A12'の少なくとも1つがNである場合には、前記多環式アリールの1つ以上の炭素がNで置換されうる。
【0088】
LおよびL’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基である。より具体的には、前記アリールは、C6〜C50のアリールであり、前記アリールは、フェニルなどの単環式アリール;またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニルなどの多環式アリールでありうる。前記化合物は発光層の材料に有用でありうる。
【0089】
bおよびb’は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、この際、bおよびb’が2以上である場合には、それぞれの反復ユニットは異なっていてもよい。
【0090】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリーレン基、または置換もしくは非置換のアリールアミン基である場合には、前記アリールはC6〜C50のアリールでありうる。特に、前記アリールが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、スチレンなどの単環式アリール、またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニルなどの多環式アリールである場合には、前記化合物は発光層の材料に有用でありうる。
【0091】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である場合には、前記アリールは、上述のものと同じでありうる。前記ヘテロアリールは、N、O、S、またはPのヘテロ原子を1〜3含み、残りは炭素であるアリールを意味しうる。
【0092】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換または非置換のアリールアミン基である場合には、前記アリールアミン基は、ジフェニルアミン基、ジナフチルアミン基、ジビフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、フェニルジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾリル基、およびトリフェニルアミン基からなる群から選択され、この際、電子および正孔の移動特性のバランスを付与しうる。
【0093】
化学式112のR1〜R14、並びに化学式113のR2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、置換または非置換のヘテロ環基である場合には、前記ヘテロ環基は、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニン基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群から選択される。
【0094】
特に、前記イミダゾリル基またはトリアゾリル基の窒素(N)元素に結合される置換基は、置換または非置換のメチル基、置換または非置換のエチル基、置換または非置換のプロピル基、置換または非置換のイソプロピル基、置換または非置換のブチル基、置換または非置換のt−ブチル基、置換または非置換のペンチル基、置換または非置換のヘキシル基、および置換または非置換のヘプチル基などの置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のシクロペンチル基、置換または非置換のシクロヘキシル基などの置換または非置換のシクロアルキル基;置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のナフチル基などの置換または非置換のアリール基;および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される。この際、前記ヘテロ環基は、好ましくはピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、イソキノリル基などのヘテロアリール基である。
【0095】
化学式112のR1〜R12の少なくとも1つ、並びに化学式113のR2、R4〜R12、およびR7'〜R12'の少なくとも1つは、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基から選択される少なくとも1つの置換基で置換され、前記化合物は、正孔注入層(HIL)または正孔輸送層(HTL)に適用されうる。
【0096】
また、前記化学式112のR1〜R12の少なくとも1つ、および化学式113のR2、R4〜R12、R7'〜R12'の少なくとも1つは、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換され、これは電子注入または輸送能力を強化し、これによって、前記化合物は電子注入層(EIL)または電子輸送層層(ETL)に適用される。したがって、正孔輸送能および電子輸送能が同時に向上しうる。
【0097】
上述した前記化学式112および化学式113で表される上述の化合物の多様な置換基は、一実施形態に係る有機光電素子用化合物の本質的な性質を変化させるものではない。
【0098】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物の例として、下記化学式114〜183で表される化合物が挙げられるが、本発明の化合物がこれに限定されない。
【0099】
【化16】
【0100】
【化17】
【0101】
【化18】
【0102】
【化19】
【0103】
【化20】
【0104】
【化21】
【0105】
【化22】
【0106】
上述の化合物を含む有機光電素子用化合物は、正孔注入、正孔輸送、発光、または電子注入および/もしくは輸送の役割を果たし、また、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たしうる。有機光電素子用化合物を有機薄膜層中に含むと、有機光電素子の寿命特性および効率特性の向上のための熱的安定性を向上させ、駆動電圧を低減しうる。
【0107】
上述の化合物を含む有機光電素子用化合物は、正孔輸送および電子輸送の役割を果たし、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たしうる。特に、前記ドーパントは還元性ドーパントでありうる。前記還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される。
【0108】
新規な有機光電素子用化合物は、ホスト材料または電荷輸送材料に有効に用いられうる。ここで、前記有機光電素子は、有機発光ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機メモリ素子等を含みうる。
【0109】
有機太陽電池に関しては、本発明に係る新規な化合物は、電極または電極緩衝層に含有され、量子効率を増加させうる。有機トランジスタに関しては、ゲート電極、ソース−ドレイン電極の電極材料などに用いられうる。
【0110】
以下、有機発光ダイオードについてより詳細に説明する。本発明の別の実施形態に係る有機発光素子は、通常、有機発光素子が、陽極、陰極、および前記陽極と前記陰極の間の少なくとも一層以上の有機薄膜層を含む場合、当該有機薄膜層の少なくとも一層に有機光電素子用化合物を含む。
【0111】
有機発光ダイオードは、多様なエネルギーバンドギャップを有する化合物を含み、これによって、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)などに必要とされる多様な条件を満たす。したがって、前記有機発光ダイオードは、低駆動電圧および高発光効率を実現しうる。
【0112】
前記有機薄膜層は、発光層、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、および正孔遮断層からなる群から選択される1つを含む。少なくとも1つの層は、本発明に係る有機光電素子用化合物を含む。
【0113】
図1〜図5は、本発明の各実施形態に係る新規な有機化合物を含む有機発光素子を示す断面図である。
【0114】
図1〜図5を参照すると、一実施形態に係る有機光電素子100、200、300、400、および500は、陽極120および陰極110の間の少なくとも1層の有機薄膜層105を含む。
【0115】
前記陽極120は、有機薄膜層への正孔注入を助けるための大きい仕事関数を有する陽極材料を含む。前記陽極材料は、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、および金などの金属もしくはこれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、およびインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlもしくはSnO2:Sbなどの金属および酸化物の組み合わせ;またはポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロール、およびポリアニリンなどの導電性高分子を含むが、これらに限定されない。
【0116】
前記陰極110は、有機薄膜層への電子注入を助けるための小さい仕事関数を有する陰極材料を含む。前記陰極材料は、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛などの金属もしくはこれらの合金;またはLiF/Al、Liq/Al、LiO2/Al、LiF/Ca、LiF/Al、およびBaF2/Caなどの多層材料を含むが、これらに限定されない。
【0117】
図1を参照すると、前記有機発光素子100は、発光層130のみを含む有機薄膜層105を含む。
【0118】
図2を参照すると、2層有機発光素子200は、電子輸送層(ETL)を含む発光層230および正孔輸送層(HTL)140を含む有機薄膜層105を含む。前記発光層130は電子輸送層(ETL)としても機能し、正孔輸送層(HTL)140は、ITOなどの透明電極との優れた接合性または優れた正孔輸送能を有する。
【0119】
図3を参照すると、3層有機発光素子300は、電子輸送層(ETL)150、発光層130、および正孔輸送層(HTL)140を含む有機薄膜層105を含む。前記発光層130は独立して設置され、優れた電子輸送能または優れた正孔輸送能を有する層は別々に積層されている。
【0120】
図4を参照すると、4層有機発光素子400は、電子注入層(EIL)160、発光層130、正孔輸送層(HTL)140、およびITOの陽極と接合するための正孔注入層(HIL)170を含む。
【0121】
図5を参照すると、5層有機発光素子500は、電子輸送層(ETL)150、発光層130、正孔輸送層(HTL)140、および正孔注入層(HIL)170含み、低電圧化を達成するために、さらに電子注入層(EIL)160を含む有機薄膜層を含む。
【0122】
前記発光ダイオードは、基板上に陽極を形成し、有機薄膜層を形成し、その表面に陰極を形成することによって製造されうる。前記有機薄膜層は、蒸着(evaporation)、スパッタリング、プラズマめっき、およびイオンめっきなどの乾式コーティング、またはスピンコーティング、浸漬(dipping)、フローコーティングなど湿式コーティングによって形成されうる。
【0123】
本発明の別の実施形態により、上述の実施形態に係る前記有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【実施例】
【0124】
以下、実施例を参照にして、上記実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0125】
合成例1:2−(3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾールの合成
【0126】
【化23】
【0127】
3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモベンズアルデヒド10g(27.7mmol)および2−アミノフェノール3.6g(33.2mmol)を酢酸100mlに溶解し、室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)14.7g(33.2mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、水を注ぎ、得られた生成物を酢酸エチルで抽出し、溶媒を減圧下で除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、4.5g(Y=33%)の白色の固体を得た。
【0128】
合成例2:2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾールの合成
【0129】
【化24】
【0130】
2−(4−ブロモフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール5g(16.6mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン5.1g(19.9mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)およびジクロロメタンの複合体0.41g(3mol%)、および酢酸カリウム4.9g(49.8mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF)100mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出した。抽出物の溶媒を減圧下で除去し、抽出物をカラムで分離して、3.1g(Y=53%)の淡黄色の固体を得た。
【0131】
合成例3:2−(3,5−ジブロモフェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの合成
【0132】
【化25】
【0133】
3,5−ジブロモベンズアルデヒド20g(75.8mmol)およびN−フェニル−o−フェニレンジアミン16.8g(90.9mmol)を酢酸150mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)37g(83.4mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注いだ。得られた生成物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥さて、9.5g(Y=29%)の黄色の固体を得た。
【0134】
合成例4:2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの合成
【0135】
【化26】
【0136】
合成例3で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール9.4g(22.0mmol)、ピリジン−3−ボロン酸2.7g(22.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.76g(3mol%)、および炭酸カリウム6.1g(44.0mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水300mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。反応物をカラムで分離し、乾燥させて、5.15g(Y=54%)の黄色の固体を得た。
【0137】
合成例5:2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0138】
【化27】
【0139】
3,5−ジブロモベンズアルデヒド5.03g(19.1mmol)および2−アミノチオフェノール3.1mL(28.6mmol)を酢酸60mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。ここに酢酸鉛(IV)9.78g(21.0mmol)を添加した。混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を、カラムで分離し、乾燥させて、4.74g(Y=67%)の白色の固体を得た。
【0140】
合成例6:2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0141】
【化28】
【0142】
合成例5で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾール4.74g(12.8mmol)、ピリジン−3−ボロン酸1.89g(15.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.44g(3mol%)、および炭酸カリウム5.31g(38.4mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水50mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.54g(Y=54%)の白色の固体を得た。
【0143】
合成例7:3−(2H−テトラゾール−5−イル)ピリジンの合成
【0144】
【化29】
【0145】
3−ピリジンカルボニトリル30g(288mmol)、アジ化ナトリウム(NaN3)28.1g(432mmol)、および塩化アンモニウム23.1g(432mmol)をDMF200mLに溶解した。前記溶液を100℃で24時間反応させた。次いで、得られた反応物に水を注いだ。得られた生成物を塩酸で中和してろ過し、19.6g(Y=46%)の白色の固体を得た。
【0146】
合成例8:3−(5−(3−ブロモフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジンの合成
【0147】
【化30】
【0148】
合成例7で合成した3−(2H−テトラゾール−5−イル)ピリジン16.8g(114mmol)および3−ブロモベンゾイルクロリド25g(114mmol)をo−キシレン180mLに溶解した。前記溶液を150℃で8時間反応させた。得られた反応物を減圧下で精製し、メタノールで洗浄して、30g(Y=87%)の白色の固体を得た。
【0149】
合成例9:3−(5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジンの合成
【0150】
【化31】
【0151】
合成例8で合成した3−(5−(3−ブロモフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン12g(40mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン12.2g(48mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)とジクロロメタンの複合体0.98g(3mol%)、酢酸カリウム5.9g(60mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)250mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、10g(Y=71%)の白色の固体を得た。
【0152】
合成例10:2−(2,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0153】
【化32】
【0154】
2,5−ジブロモベンズアルデヒド5g(18.5mmol)、2−アミノチオフェノール3mL(27.7mmol)、およびヨウ素2.35g(9.25mmol)をDMF100mLに溶解した。前記溶液を100℃で1時間反応させた。得られた反応物をカラムで精製し、4.64g(Y=68%)の白色の固体を得た。
【0155】
合成例11:2−(2−ブロモピリジン−3−イル)ベンゾ[d]チアゾールの合成
【0156】
【化33】
【0157】
2−ブロモ−3−ピリジンカルボキシルアルデヒド6.58g(34.0mmol)および2−アミノチオフェノール5.5mL(50.9mmol)を酢酸150mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)19.0g(40.8mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去して、5.55g(Y=55%)の白色の固体を得た。
【0158】
合成例12:2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾールの合成
【0159】
【化34】
【0160】
3,5−ジブロモベンズアルデヒド10g(37.9mmol)および2−アミノフェノール5g(45.5mmol)を酢酸200mLに溶解した。前記溶液を室温で30分間撹拌した。次に、酢酸鉛(IV)20.2g(45.5mmol)を添加し、50℃で1時間撹拌した。次いで、得られた反応物に水を注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去して、5.7g(Y=42%)の白色の固体を得た。
【0161】
実施例1:化学式44の化合物の合成
【0162】
【化35】
【0163】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸5g(18.1mmol)、合成例1で合成した2−(3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール8.16g(18.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.63g(3mol%)、および炭酸カリウム5g(36.2mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水450mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、6g(Y=55%)の白色の固体を得た。
【0164】
実施例2:化学式64の化合物の合成
【0165】
【化36】
【0166】
合成例2で合成した2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール2.32g(6.7mmol)、合成例1で合成した2−(3−(アントラセン−9−イル)−5−ブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール2.5g(5.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.19g(3mol%)、および炭酸ナトリウム1.2g(11.1mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水90mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.6g(Y=79%)の白色の固体を得た。
【0167】
実施例3:化学式83の化合物の合成
【0168】
【化37】
【0169】
3,5−ジ−3−(ピリジニル)−ベンゼンボロン酸4.14g(15.0mmol)、合成例4で合成した2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール6.4g(15.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.52g(3mol%)、および炭酸カリウム4.15g(30.0mmol)を、体積比2/1で混合したテトラヒドロフラン/水300mlに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、1.2g(Y=13%)の白色の固体を得た。
【0170】
実施例4:化学式87の化合物の合成
【0171】
【化38】
【0172】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸0.84g(3.1mmol)、合成例6で合成した2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール1.0g(2.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.14g(5mol%)、および炭酸カリウム1.15g(8.34mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水25mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、1.35g(Y=92%)の白色の固体を得た。
【0173】
実施例5:化学式92の化合物の合成
【0174】
【化39】
【0175】
合成例9で合成した3−(5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン4.63g(13.3mmol)、合成例4で合成した2−(3−ブロモ−5−(ピリジン−3−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール5.15g(12.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.47g(3mol%)、および炭酸カリウム3.3g(24.2mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水300mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2g(Y=33%)の白色の固体を得た。
【0176】
実施例6:化学式96の化合物の合成
【0177】
【化40】
【0178】
合成例10で合成した2−(2,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾール1g(2.76mmol)、ピリジン−3−ボロン酸0.85g(6.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.28g(10mol%)、および炭酸カリウム2.3g(16.6mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水25mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧かで溶媒を除去した。前記抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、0.8g(Y=79%)の白色の固体を得た。
【0179】
実施例7:化学式105の化合物の合成
【0180】
【化41】
【0181】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸1.33g(4.8mmol)、合成例11で合成した2−(2−ブロモピリジン−3−イル)ベンゾ[d]チアゾール1.7g(5.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.28g(5mol%)、および炭酸カリウム2.0g(14.4mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水30mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.28g(Y=88%)の白色の固体を得た。
【0182】
実施例8:化学式108の化合物の合成
【0183】
【化42】
【0184】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸2.3g(8.4mmol)、合成例5で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]チアゾール1.5g(4.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.46g(10mol%)、および炭酸カリウム3.3g(23.9mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水50mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、2.04g(Y=75%)の白色の固体を得た。
【0185】
実施例9:化学式110の化合物の合成
【0186】
【化43】
【0187】
3,5−ジ−(3−ピリジニル)−ベンゼンボロン酸4.3g(15.6mmol)、合成例12で合成した2−(3,5−ジブロモフェニル)ベンゾ[d]オキサゾール2.5g(7.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.82g(10mol%)、および炭酸カリウム5.9g(42.7mmol)を、体積比4/1で混合したテトラヒドロフラン/水100mLに溶解した。前記溶液を80℃で12時間反応させた。得られた反応物を酢酸エチルで抽出し、減圧下で溶媒を除去した。抽出物をカラムで分離し、乾燥させて、3.37(Y=72%)の白色の固体を得た。
【0188】
前記実施例1〜9で合成された化合物は、1H NMR(核磁気共鳴分光法)によって分析した。その結果をそれぞれ図6〜図14に示す。
【0189】
比較例1:2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)
従来に優れた電荷輸送能を有すると知られた(Jpn. J. Appl. Phys., 27,L269 1988)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)を準備した。
【0190】
実施例10:有機発光ダイオードの製作
15Ω/cm2(120nm)ITOガラス基板(Corning社製)を25mm×25mm×0.7mmの大きさとなるように準備し、イソプロピルアルコールおよび純水でそれぞれ5分間洗浄し、UVおよびオゾンで再度洗浄した。
【0191】
次に、前記基板上に厚さ40nmのN,N’−ジ(4−(N,N’−ジフェニル−アミノ)−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(DNTPD)正孔注入層(HIL)を形成した。
【0192】
次いで、前記正孔注入層(HIL)上にN,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)を真空蒸着し、厚さ10nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
【0193】
発光材料としてEB−46およびEB−512(e−Ray Optpelectronics Technology社製)を94:6の重量比で真空蒸着し、前記正孔輸送層(HTL)上に厚さ40nmの発光層を形成した。
【0194】
電子輸送材料として実施例2で合成した化合物を真空蒸着し、前記発光層上に厚さ10nmの電子輸送層(ETL)を形成した。
【0195】
前記電子輸送層(ETL)上には、LiF 0.5nm/Al 100nmをそれぞれ順に真空蒸着してLiF/Alを含む陰極を形成し、実施例10の有機発光ダイオードを製作した。
【0196】
実施例11:有機発光ダイオードの製作
実施例3で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0197】
実施例12:有機発光ダイオードの製作
実施例4で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0198】
実施例13:有機発光ダイオードの製作
実施例5で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0199】
実施例14:有機発光ダイオードの製作
実施例7で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0200】
実施例15:有機発光ダイオードの製作
実施例8で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0201】
実施例16:有機発光ダイオードの製作
実施例9で合成した化合物を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0202】
比較例2:有機発光ダイオードの製作
電子輸送材料Alq3を用いて電子輸送層(ETL)を形成したことを除いては、実施例10と同様の方法で有機発光ダイオードを製作した。
【0203】
物性測定および分析
1)駆動電圧、輝度、および発光効率
実施例10〜16および比較例2の有機発光ダイオードの1000nitの輝度の発生に必要な駆動電圧(Vd)、並びに同じ輝度の電流効率(cd/A)および電力効率(lm/W)を測定した。結果を下記表1に示す。
【0204】
【表1】
【0205】
表1の結果、並びに図15および図16を参照すると、実施例10〜16の有機発光ダイオードは、比較例2の有機発光ダイオードよりも駆動電圧が著しく低かった。また、表1、並びに図17および図18を参照すると、実施例10〜16の有機発光ダイオードは駆動電圧が著しく低かったが、優れた電流効率および電力効率を有していた。
【0206】
有機発光ダイオードのこれらの測定結果は、発光層内の正孔および電子の結合バランスに基づくものである。実施例10〜16の化合物は、一般的な電子輸送材料であるAlq3と比較して、優れた電子注入および移動特性を有することが分かる。
【0207】
2)熱的安定性
実施例1〜9の化合物を示差走査熱量計法(DSC)で分析し、次いで、同様の方法で2次分析した。実施例5および比較例1の化合物の分析結果を図19および図20に示す。図19および図20を参照すると、実施例5の化合物は、1次分析において溶融点ピークを有していたが、2次分析では溶融点ピークはなかった。一方、比較例1の2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)は、1次分析および2次分析ともに138℃で溶融点ピークを有し、2次分析において65℃の結晶化温度を有していた。実施例5の化合物は、従来の材料と比較して非晶質状態として安定に存在することが確認された。したがって、本発明の化合物を含む有機発光ダイオードは、駆動時に発生するジュール熱の影響を低減し、これによって従来の有機発光ダイオードと比較して寿命特性が向上しうることが分かった。
【0208】
本発明を現在の想定される実際の例示的な実施形態に関連して記載してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されず、様々な修飾および同等の形態は添付の特許請求の範囲の思想および技術的範囲に含まれることが理解されうる。
【符号の説明】
【0209】
100 有機光電素子、
110 陰極、
120 陽極、
105 有機薄膜層、
130 発光層、
140 正孔輸送層(HTL)、
150 電子輸送層(ETL)、
160 電子注入層(EIL)、
170 正孔注入層(HIL)、
230 発光層+電子輸送層(ETL)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】
(前記化学式1において、
A1〜A5が、同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNであり、
A1〜A5の1つがNである場合には、A1〜A5の残りの4つが、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択され、この際、前記R1〜R5の少なくとも2つが水素原子ではなく、
A1〜A5が、それぞれCR1〜CR5である場合には、R1〜R5の少なくとも2つが水素原子ではなく、
Bが、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択され、
CおよびDが、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択され、この際、BがNR”でない場合には、CがNであり、
R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択され、
R6〜R8が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル、および置換または非置換のアリール基からなる群から選択され、
Eが、水素原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のフルオロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロ環基、およびSO2R9からなる群から選択され、
R9が、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択され、
Lが、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
nが、0または1である。)
で表される、有機光電素子用化合物。
【請求項2】
下記化学式112:
【化2】
(前記化学式112において、
A1〜A12が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR1〜CR12およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つがNであり、互いに隣接するR1〜R6が縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7〜R12が縮合環を形成していてもよく、
Xが、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yが、CR14またはNであり、この際、XがO、S、およびSeからなる群から選択され、YがNであり、
Lが、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aが、0または1であり、この際、aが0である場合には、A1〜A6が、それぞれ独立して、CR1〜CR6であり、aが1である場合には、A1〜A6の少なくとも1つがNであり、
bおよびcが、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、並びに
R1〜R14が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリーレン基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換されたヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BRR’、およびSiRR’R”からなる群から選択され、この際、R、R’、およびR”が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。)
で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項3】
下記化学式113:
【化3】
(前記化学式113において、
A2、A4〜A12、およびA7'〜A12'が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR12、CR7'〜CR12'、およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つがNであり、A7'〜A12'の少なくとも1つがNであり、互いに隣接するR4〜R6が縮合環を形成していてもよく、互いに隣接するR7〜R12が縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7'〜R12'が縮合環を形成していてもよく、
Xが、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yが、CR14またはNであり、この際、Xが、O、S、およびSeからなる群から選択される場合には、YがNであり、
LおよびL’が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aおよびa’が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、0または1であり、この際、aおよびa’が、それぞれ独立して0である場合には、A2、A4〜A6が、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR6であり、aおよびa’が、それぞれ独立して1である場合には、A2、およびA4〜A6の少なくとも1つがNであり、
bおよびb’が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、
R2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキニレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリーレン基、置換もしくは非置換のアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアミノ基、BRR’、またはSiRR’R”であり、この際、R、R’、およびR”が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。)
で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項4】
前記化合物が、A3を含む対称軸に対して上下の置換基が互いに異なる非対称構造である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項5】
前記A1および前記A5が、互いに異なり、前記A2および前記A4が、互いに異なる、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項6】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C40アリール基である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項7】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、および”が、それぞれ独立して、ジフェニルアミン基、ジナフチルアミン基、ジビフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、フェニルジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カバゾリル基、およびトリフェニルアミン基からなる群から選択されるアリールアミン基である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項8】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択されるヘテロ環基であり、前記ヘテロ環基が、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニン基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群から選択される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項9】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、置換されたイミダゾリル基または置換されたトリアゾリル基であり、前記イミダゾリル基または前記トリアゾリル基の窒素原子(N)に結合する置換基が、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項10】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびBのR’から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換され、
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびBのR’の1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項11】
前記化学式112において、R7〜R12の1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換され、
前記化学式112において、R1〜R6の1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換される、請求項2に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項12】
陽極、陰極、および前記陽極および前記陰極の間の少なくとも一層の有機薄膜層を含み、
前記有機薄膜層の少なくとも一層が、請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機光電素子用化合物を含む、有機光電素子。
【請求項13】
前記有機光電素子用化合物が、ホスト材料または電荷輸送材料である、請求項12に記載の有機光電素子。
【請求項14】
前記有機薄膜層が、発光層、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、および正孔遮断層からなる群から選択される層である、請求項12に記載の有機光電素子。
【請求項15】
前記有機薄膜層の少なくとも一層が、前記化合物および還元性ドーパントを含む、請求項12に記載の有機光電素子。
【請求項16】
前記還元性ドーパントが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される、請求項15に記載の有機光電素子。
【請求項17】
請求項12に記載の有機光電素子を含む、表示装置。
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】
(前記化学式1において、
A1〜A5が、同一でも異なってもよく、CR1〜CR5がNであり、この際、前記A1〜A5の3つ以下がNであり、
A1〜A5の1つがNである場合には、A1〜A5の残りの4つが、それぞれCR1〜CR5からなる群から選択され、この際、前記R1〜R5の少なくとも2つが水素原子ではなく、
A1〜A5が、それぞれCR1〜CR5である場合には、R1〜R5の少なくとも2つが水素原子ではなく、
Bが、O、S、Se、およびNR”からなる群から選択され、
CおよびDが、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR’およびNからなる群から選択され、この際、BがNR”でない場合には、CがNであり、
R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換のヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BR6R7、およびSiR6R7R8からなる群から選択され、
R6〜R8が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル、および置換または非置換のアリール基からなる群から選択され、
Eが、水素原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のフルオロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロ環基、およびSO2R9からなる群から選択され、
R9が、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択され、
Lが、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
nが、0または1である。)
で表される、有機光電素子用化合物。
【請求項2】
下記化学式112:
【化2】
(前記化学式112において、
A1〜A12が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR1〜CR12およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つがNであり、互いに隣接するR1〜R6が縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7〜R12が縮合環を形成していてもよく、
Xが、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yが、CR14またはNであり、この際、XがO、S、およびSeからなる群から選択され、YがNであり、
Lが、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aが、0または1であり、この際、aが0である場合には、A1〜A6が、それぞれ独立して、CR1〜CR6であり、aが1である場合には、A1〜A6の少なくとも1つがNであり、
bおよびcが、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、並びに
R1〜R14が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアリーレン基、置換または非置換のアリールアミン基、置換または非置換されたヘテロアリールアミン基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアミノ基、BRR’、およびSiRR’R”からなる群から選択され、この際、R、R’、およびR”が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。)
で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項3】
下記化学式113:
【化3】
(前記化学式113において、
A2、A4〜A12、およびA7'〜A12'が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR12、CR7'〜CR12'、およびNからなる群から選択され、この際、A7〜A12の少なくとも1つがNであり、A7'〜A12'の少なくとも1つがNであり、互いに隣接するR4〜R6が縮合環を形成していてもよく、互いに隣接するR7〜R12が縮合環を形成していてもよく、および互いに隣接するR7'〜R12'が縮合環を形成していてもよく、
Xが、O、S、Se、およびNR13からなる群から選択され、Yが、CR14またはNであり、この際、Xが、O、S、およびSeからなる群から選択される場合には、YがNであり、
LおよびL’が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C50のアリーレン基であり、
aおよびa’が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、0または1であり、この際、aおよびa’が、それぞれ独立して0である場合には、A2、A4〜A6が、それぞれ独立して、CR2、CR4〜CR6であり、aおよびa’が、それぞれ独立して1である場合には、A2、およびA4〜A6の少なくとも1つがNであり、
bおよびb’が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、1〜3の整数であり、
R2、R4〜R14、およびR7'〜R12'が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキレン基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルケニレン基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキニレン基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリーレン基、置換もしくは非置換のアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロアリールアミン基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアミノ基、BRR’、またはSiRR’R”であり、この際、R、R’、およびR”が、同一でも異なってもよく、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。)
で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項4】
前記化合物が、A3を含む対称軸に対して上下の置換基が互いに異なる非対称構造である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項5】
前記A1および前記A5が、互いに異なり、前記A2および前記A4が、互いに異なる、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項6】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、置換または非置換のC6〜C40アリール基である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項7】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、および”が、それぞれ独立して、ジフェニルアミン基、ジナフチルアミン基、ジビフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、フェニルジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カバゾリル基、およびトリフェニルアミン基からなる群から選択されるアリールアミン基である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項8】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択されるヘテロ環基であり、前記ヘテロ環基が、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニン基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群から選択される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項9】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびR”が、それぞれ独立して、置換されたイミダゾリル基または置換されたトリアゾリル基であり、前記イミダゾリル基または前記トリアゾリル基の窒素原子(N)に結合する置換基が、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項10】
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびBのR’から選択される1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換され、
前記化学式1において、R1〜R5、R’、およびBのR’の1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、およびヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項11】
前記化学式112において、R7〜R12の1つが、アミン置換のアルキル基、アミン置換のシクロアルキル基、アミン置換のアリール基、およびアミン置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換され、
前記化学式112において、R1〜R6の1つが、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群から選択される置換基で置換される、請求項2に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項12】
陽極、陰極、および前記陽極および前記陰極の間の少なくとも一層の有機薄膜層を含み、
前記有機薄膜層の少なくとも一層が、請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機光電素子用化合物を含む、有機光電素子。
【請求項13】
前記有機光電素子用化合物が、ホスト材料または電荷輸送材料である、請求項12に記載の有機光電素子。
【請求項14】
前記有機薄膜層が、発光層、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)、および正孔遮断層からなる群から選択される層である、請求項12に記載の有機光電素子。
【請求項15】
前記有機薄膜層の少なくとも一層が、前記化合物および還元性ドーパントを含む、請求項12に記載の有機光電素子。
【請求項16】
前記還元性ドーパントが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される、請求項15に記載の有機光電素子。
【請求項17】
請求項12に記載の有機光電素子を含む、表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2012−514325(P2012−514325A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543419(P2011−543419)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007521
【国際公開番号】WO2010/076991
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007521
【国際公開番号】WO2010/076991
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】
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