説明

新規な燃料電池、該燃料電池を用いた電力供給装置及び電子機器

【課題】簡便に燃料を供給でき、効率的な発電が可能な燃料電池を提供すること。
【解決手段】酵素を触媒として酸化還元反応が進行することにより起電する燃料電池であって、燃料の気化により形成される燃料気化層と、該燃料気化層から気化された燃料が供給される負極と、該負極とプロトン伝導可能な状態で接続する正極と、を少なくとも備える燃料電池を提供する。該燃料電池は、燃料を気化させた状態で電極に供給するため、電極内部まで気化した燃料が供給され、電極内部表面における反応が十分に進行し、効率的な発電による高出力化が実現できる。また、電極に酵素等を固定化する場合であっても、燃料を気化させた状態で電極に供給するため、液体燃料中への酵素等の溶出を防止することができ、酵素等の溶出による出力低下を防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関する。より詳しくは、酵素を触媒として酸化還元反応が進行することにより起電する燃料電池であって、簡便な燃料の供給より高出力化等を実現し得る燃料電池、該燃料電池を用いた電力供給装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、負極又は正極の少なくとも一方の電極上に、微生物や触媒として機能する酸化還元酵素を固定した燃料電池(以下、バイオ燃料電池という。)が、高容量でかつ安全性が高い次世代の燃料電池として注目されている。これは、生体内の生体代謝では、常温下において高効率のエネルギー変換が行われ、安全性の高い高効率の発電が実現できるため、また、基質特異性を有する酵素を利用することにより、例えばグルコース及びエタノールのように通常の工業触媒では反応が困難な燃料から、効率よく電子を取り出すことができるためである。
【0003】
例えば、微生物又は細胞の呼吸では、糖類、タンパク質、脂肪などから、解糖系及びトリカルボン酸回路を介して二酸化炭素を生成する過程において、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide、以下「NAD」と称する。)を還元し、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下「NADH」と称する。)のような電気エネルギーに変換する。
【0004】
また、光合成においては、光エネルギーを吸収することにより、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate、以下「NADP」と称する。)を還元し、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下「NADPH」と称する。)のような電気エネルギーに変換する。
【0005】
このように、生体代謝においては、糖類、脂肪、タンパク質等の栄養素や光エネルギーなどの化学エネルギーが電気エネルギーに変換されるため、これを利用した燃料電池が開発されている。
【0006】
上記の一例として、特許文献1には、微生物や細胞を利用した発電方法及び電池、並びにこれらに用いる電子メディエーターを固定化した電極が開示されている。また、特許文献2には、基板電極上に設けたポリジアルキルシロキサン膜中あるいは膜上に酸化還元酵素を固定化して成る酵素電極が、特許文献3には、NAD依存型デヒドロゲナーゼの作用によりアルコール類や糖類からNADHを生成させることを利用した燃料電池が開示されている。
【0007】
ここで、図9はバイオ燃料電池の反応スキームを示す図である。図9に示すグルコースを燃料とするバイオ燃料電池においては、負極でグルコース(Glucose)の酸化反応が進行し、正極で大気中の酸素(O)の還元反応が進行する。そして、負極では、グルコース(Glucose)、グルコース脱水素酵素(Glucose Dehydrogenase)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD;Nicotinamide Adenine Dinucleotide)、ジアホラーゼ(Diaphorase)、ミディエーター、電極(カーボン)の順に電子が受け渡される。
【0008】
このようなバイオ燃料電池における発電は、従来、水溶液の状態の燃料を電極内部へ供給することにより行われている。
【0009】
例えば、特許文献1では、アノード電極槽に10μMのグルコースを含む0.1Mりん酸緩衝液(pH7)を満たすことにより、燃料の供給を行っている(特許文献1明細書段落番号0040参照)。また、特許文献2では、ポリジメチルシロキサン膜被覆電極を、pH7、濃度0.1モル/リットルのリン酸緩衝液中に挿入することにより発電を行っている(特許文献2明細書段落番号0013参照)。また、特許文献3では、3mLの0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0、I.S.=0.3)にメタノール1M等を添加することにより発電を行っている(特許文献3明細書段落番号0066参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2000−133297号公報
【特許文献2】特開2001−208719号公報
【特許文献3】特開2004−71559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のバイオ燃料電池では、燃料を水溶液の状態で電極内部へ供給していたため、高濃度の燃料溶液が電極内部にまでスムーズに供給されず、燃料の供給効率を上げるために多孔質構造に工夫した電極を用いた場合であっても、電極内部の表面で十分に反応が進行せず、低出力になるといった問題があった。
【0012】
また、電極に固定化された酵素、微生物、補酵素、電子伝達メディエーター等が、燃料溶液中に溶出してしまうという現象も起こり、この現象による出力低下が引き起こされるという問題も生じていた。
【0013】
そこで、本発明では、簡便な燃料供給方法であるにも関わらず、高出力化等を実現し得る燃料電池を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、まず、酵素を触媒として酸化還元反応が進行することにより起電する燃料電池であって、
燃料の気化により形成される燃料気化層と、
該燃料気化層から気化された燃料が供給される負極と、
該負極とプロトン伝導可能な状態で接続する正極と、
を少なくとも備える燃料電池を提供する。
本発明に係る燃料電池には、更に、前記負極に接続され、燃料が透過可能な負極集電体と、前記正極に接続され、酸素が透過可能な正極集電体と、を備えていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池には、更に、前記燃料を液体の状態で保持する燃料貯蔵部を備えていてもよい。
本発明に係る燃料電池に備えられた前記負極及び前記正極の構成は特に限定されないが、前記負極の内部に、気化された燃料が透過可能な大気層を有し、また、前記正極の内部に、空気が透過可能な大気層を有するように形成することができる。
また、前記負極及び/又は前記正極に、多孔質構造を備えるように形成することもできる。
更に、前記負極及び/又は前記正極の表面に、プロトン伝導性を有する電解質層を積層させることも可能である。
前記負極及び/又は前記正極では酵素を触媒として酸化還元反応が進行するが、前記負極及び/又は前記正極に、前記酵素を固定化することも可能である。
この場合、前記酵素の固定化方法は特に限定されないが、例えば、前記電解質層に前記酵素を固定化する方法を挙げることができる。
前記負極及び/又は前記正極に固定化する前記酵素は特に限定されないが、例えば、酸化酵素を挙げることができる。
また、前記負極及び/又は前記正極には、電子伝達メディエーターを固定化することもできる。
前記負極に固定化された前記酵素には、酸化型補酵素を少なくとも含ませることもできる。
前記負極に固定化された前記酵素に酸化型補酵素を含ませる場合には、更に、補酵素酸化酵素を含ませることも可能である。
本発明では、次に、前記で説明した燃料電池を、少なくとも2以上直列的に接続した電力供給装置を提供する。
本発明では、更に、酵素を触媒として酸化還元反応が進行することにより起電する、一又は複数の燃料電池を用いる電子機器であって、
少なくとも一以上の前記燃料電池が、
燃料の気化により形成される燃料気化層と、
該燃料気化層から気化された燃料が供給される負極と、
該負極とプロトン伝導可能な状態で接続する正極と、
を少なくとも備えることを特徴とする電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る燃料電池は、燃料を気化させた状態で電極に供給するため、電極内部まで気化した燃料が効率よく供給され、電極内部表面における反応が十分に進行し、効率的な発電による高出力化が実現できる。
【0016】
また、電極に酵素等を固定化する場合であっても、燃料を気化させた状態で電極に供給するため、液体燃料中への酵素等の溶出を防止することができ、酵素等の溶出による出力低下を防止することが可能となり、電極上での反応効率を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0018】
<燃料電池>
図1は、本発明に係る燃料電池の一実施形態(第1実施形態)を示す断面摸式図である。本発明に係る燃料1は、大別すると、燃料気化層2と、負極3と、正極4と、を少なくとも備えている。負極3と正極4は、プロトン伝導可能な状態で接続している。以下、それぞれの構成、機能、効果等を説明する。
【0019】
(1)燃料気化層2
燃料気化層2は、燃料の気化により形成される。本実施形態では、燃料電池1に燃料貯蔵部5を付設して、該燃料貯蔵部5に燃料を貯蔵し、該燃料の気化により燃料気化層2を形成しているが、本発明に係る燃料電池1には燃料貯蔵部5は必須ではない。例えば、燃料電池1に、外部から直接、気化させた燃料を供給したり、燃料を貯蔵した取り外し可能な燃料カートリッジ等を取り付けて燃料を気化させたりして、燃料気化層2を形成することも可能である。
【0020】
燃料を気化させる方法は、特に限定されず、燃料の種類に応じて、自由に変更することが可能である。一例を挙げると、気温の変化や人工的な加温等の外部からの熱により気化させる方法、燃料電池1の内部から発生する熱を揮発熱として利用する方法などを挙げることができる。
【0021】
このように、本発明に係る燃料電池1では、気化させた燃料を供給することにより発電を行うため、液体の燃料を用いる場合に比べ、電極内部への燃料の浸透率を高くすることができ、ひいては、燃料電池1の高出力化を実現することができる。
【0022】
また、気化させた燃料を用いることで、電極への燃料供給及びその制御を簡便に行うことができる。また、燃料貯蔵部5のエネルギー密度を高めることができる。
【0023】
更に、液体燃料が電極に接触しないため、電極に酵素、微生物、補酵素、電子伝達メディエーター等を固定する場合であっても、これらが液体燃料中に溶出してしまうことを防止することができ、電極における反応効率が向上し、効率的な発電を行うことが可能となる。
【0024】
本発明に係る燃料電池1に供給し得る燃料の種類は、気化することが可能な燃料であれば特に限定されず、公知の燃料を自由に採用することが可能である。例えば、エタノール、メタノール、有機酸等を用いることができる。
【0025】
また、気化することが可能であって、人体が飲食又は接触可能な燃料、例えば、ジュース、スポーツ飲料、砂糖水、アルコール類などの飲料、化粧水などの化粧料等を用いれば、より安全性の高い燃料電池1とすることができる。また、日常生活において摂取する飲料や化粧料等を、本発明に係る燃料電池1の燃料として用いれば、安全性のみでなく、任意の場所で、任意の燃料を補給することが可能となるといったメリットも生じる。
【0026】
(2)負極3
本発明に係る燃料電池1の負極3では、前記燃料気化層から供給される気化された燃料(以下「気化燃料」と称する。)の酸化反応が進行することにより、電子が放出される。
【0027】
負極3に用いる材料は公知のあらゆる素材を用いることができ、外部と電気的に接続可能な素材であれば特に限定されず、例えば、Pt、Ag、Au、Ru、Rh、Os、Nb、Mo、In、Ir、Zn、Mn、Fe、Co、Ti、V、Cr、Pd、Re、Ta、W、Zr、Ge、Hfなどの金属、アルメル、真ちゅう、ジュラルミン、青銅、ニッケリン、白金ロジウム、ハイパーコ、パーマロイ、パーメンダー、洋銀、リン青銅などの合金類、ポリアセチレン類などの導電性高分子、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素材、HfB2、NbB、CrB2、B4Cなどのホウ化物、TiN、ZrNなどの窒化物、VSi2、NbSi2、MoSi2、TaSi2などのケイ化物、及びこれらの合材等を用いることができる。
【0028】
負極3には、必要に応じて酵素を固定しても良い。例えば、燃料としてアルコール類を含む燃料を用いる場合には、アルコール類を酸化分解する酸化酵素を固定するとよい。酸化酵素の一例としては、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドレダクターゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシパルベートレダクターゼ、グリセレートデヒドロゲナーゼ、フォルメートデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ガラクトースデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコネート5デヒドロゲナーゼ、グルコネート2デヒドロゲナーゼなどが挙げられる。
【0029】
また、負極3には、上記の酸化酵素に加え、酸化型補酵素および補酵素酸化酵素を固定してもよい。酸化型補酵素としては、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide、以下「NAD」と称する。)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate、以下「NADP」と称する。)フラビンアデニンジヌクレオチド(flavin adenine dinucleotide、以下「FAD」と称する。)、ピロロキノリンキノン(pyrrollo-quinoline quinone、以下「PQQ2+」と称する。)などが挙げられる。補酵素酸化酵素としては、例えば、ジアフォラーゼが挙げられる。
【0030】
負極3では、気化燃料の酸化分解に伴い、上記の酸化型補酵素が、それぞれの還元型であるNADH、NADPH、FADH、PQQHに還元され、逆に、補酵素酸化酵素により、還元型補酵素から酸化型補酵素へ戻されるという酸化還元反応が繰り返される。このとき、還元型補酵素から酸化型補酵素へ戻る際に2電子が発生する。
【0031】
更に、負極3には、上記の酸化酵素及び酸化型補酵素に加え、電子伝達メディエーターを固定してもよい。上記で発生した電子の電極への受け渡しをスムーズにするためである。電子伝達メディエーターとしては、例えば、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)、ビタミンK3、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ)、2、3−ジアミノ−1,4−ナフトキノン、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)などの金属錯体、ベンジルビオローゲンなどのビオローゲン化合物、キノン骨格を有する化合物、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物、ヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物などなどが挙げられる。
【0032】
(3)正極4
本発明に係る燃料電池1の正極4では、負極3で放出され、後述する負極集電体31、および正極集電体41を通して送り込まれる電子と、外部から供給される酸素を用いて還元反応が進行する。
【0033】
正極4に用いる材料も公知のあらゆる素材を用いることができ、外部と電気的に接続可能な素材であれば特に限定されず、例えば、Pt、Ag、Au、Ru、Rh、Os、Nb、Mo、In、Ir、Zn、Mn、Fe、Co、Ti、V、Cr、Pd、Re、Ta、W、Zr、Ge、Hfなどの金属、アルメル、真ちゅう、ジュラルミン、青銅、ニッケリン、白金ロジウム、ハイパーコ、パーマロイ、パーメンダー、洋銀、リン青銅などの合金類、ポリアセチレン類などの導電性高分子、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素材、HfB2、NbB、CrB2、B4Cなどのホウ化物、TiN、ZrNなどの窒化物、VSi2、NbSi2、MoSi2、TaSi2などのケイ化物、及びこれらの合材等を用いることができる。
【0034】
正極4には、必要に応じて酵素を固定しても良い。正極4に固定し得る酵素としては、酸素を反応基質とするオキシダーゼ活性を有する酵素であれば、その種類は特に限定されず、必要に応じて自由に選択することが可能である。例えば、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ等を用いることができる。
【0035】
また、正極4には、上記の酵素に加え、電子伝達メディエーターを固定してもよい。負極3で発生し、負極集電体31および正極集電体41を通して送り込まれる電子の受け取りをスムーズにするためである。正極4に固定し得る電子伝達メディエーターの種類は特に限定されず、必要に応じて自由に選択することができる。例えば、ABTS(2,2'-azinobis(3-ethylbenzoline-6-sulfonate))、K3[Fe(CN)6]等を用いることが可能である。
【0036】
(5)プロトン伝導体6
以上説明した負極3及び正極4は、プロトン伝導可能な状態で接続する。接続方法は特に限定されないが、例えば、図1の実施形態に示すように、燃料電池1内に、負極3と正極4が、プロトン伝導体6を介して対向するように配設することで、負極3と正極4とをプロトン伝導可能な状態で接続することが可能である。
【0037】
プロトン伝導体6に用いる材料は、電子伝導性がなく、且つ、Hの輸送が可能な電解質であれば特に限定されず、公知のあらゆる材料を用いることができ、例えば、緩衝物質を含む電解質を用いることができる。緩衝物質としては、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)やリン酸二水素カリウム(KHPO)などが生成するリン酸二水素イオン(HPO)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(HCO)、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、イミダゾール誘導体(ヒスチジン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボン酸エチル、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、イミダゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、イミダゾール−1−イル−酢酸、2−アセチルベンズイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、N−アセチルイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、N−(3−アミノプロピル) イミダゾール、5−アミノ−2−(トリフルオロメチル) ベンズイミダゾール、4−アザベンズイミダゾール、4−アザ−2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール)などのイミダゾール環を含む化合物などを挙げることができる。
【0038】
(6)負極集電体31、正極集電体41
負極集電体31及び正極集電体41は、それぞれ外部回路に接続され、負極3で放出された電子を、負極集電体31から外部回路を通じて正極集電体41へ移動させ、正極4へ送り込む役割を担う。
【0039】
本実施形態では、負極集電体31を気化燃料が透過可能に形成し、正極集電体41を酸素が透過可能に形成し、負極集電体31と正極集電体41で負極3及び正極4を挟み込むように配設しているが、これに限定されない。例えば、負極集電体31(正極集電体41)を、負極3(正極4)とプロトン伝導体6との間に配設したり、負極集電体31(正極集電体41)を、負極3(正極4)の内部を貫通させたりすることも可能である。
【0040】
負極集電体31および正極集電体41に用いる材料も公知のあらゆる素材を用いることができ、外部と電気的に接続可能な素材であれば特に限定されず、例えば、Pt、Ag、Au、Ru、Rh、Os、Nb、Mo、In、Ir、Zn、Mn、Fe、Co、Ti、V、Cr、Pd、Re、Ta、W、Zr、Ge、Hfなどの金属、アルメル、真ちゅう、ジュラルミン、青銅、ニッケリン、白金ロジウム、ハイパーコ、パーマロイ、パーメンダー、洋銀、リン青銅などの合金類、ポリアセチレン類などの導電性高分子、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素材、HfB2、NbB、CrB2、B4Cなどのホウ化物、TiN、ZrNなどの窒化物、VSi2、NbSi2、MoSi2、TaSi2などのケイ化物、及びこれらの合材等を用いることができる。
【0041】
図2は、本発明に係る燃料電池1の図1とは異なる実施形態(第2実施形態)を示す断面摸式図である。
【0042】
本実施形態に係る燃料電池1では、負極3及び正極4の内部に大気層32及び42(以下「負極大気層32」、「正極大気層42」と称する。)を有する。このように、負極3及び正極4の内部に負極大気層32及び正極大気層42を備えることで、図2中矢印Fで示すように、負極3では、気化燃料を負極3の内部まで浸透させることができ、図2中矢印Oで示すように、正極4では、反応に必要な酸素を正極4の内部まで浸透させることができる。
【0043】
このような負極大気層32及び正極大気層42は、例えば、負極3および正極4に、多孔質構造を備える伝導体材料を用いることにより、形成することが可能である。多孔質構造の孔径は特に限定されず、自由に設計することができるが、例えば、9nm以上1mm以下、好ましくは、1μm以上1mm以下、より好ましくは1μm以上600μm以下である。
【0044】
また、本実施形態に係る燃料電池1では、負極3および正極4の表面に、プロトン伝導性を有する電解質層33、43(以下「負極電解質層33」、「正極電解質層43」と称する。)を積層している。
【0045】
負極電解質層33および正極電解質層43は、負極3での反応により発生したHを、負極電解質層33からプロトン伝導体6を通じて正極電解質層43、そして正極4へと輸送する役割を担っている。また、正極4での反応により生成された水が、正極電解質層43からプロトン伝導体6を通じて負極電解質層33、そして負極3へと戻り、負極3での反応に必要な水分として働く。このように、本発明に係る燃料電池1では、正極4での水分制御も簡便に行うことが可能である。
【0046】
負極電解質層33および正極電解質層43に用いる電解質は、電子伝導性がなく、且つ、Hの輸送が可能な電解質であれば特に限定されず、公知の電解質を自由に採用することができる。一例としては、緩衝物質として、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)やリン酸二水素カリウム(KHPO)などが生成するリン酸二水素イオン(HPO)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(HCO)、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、イミダゾール誘導体(ヒスチジン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール−2−カルボン酸エチル、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、イミダゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、イミダゾール−1−イル−酢酸、2−アセチルベンズイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、N−アセチルイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、N−(3−アミノプロピル) イミダゾール、5−アミノ−2−(トリフルオロメチル) ベンズイミダゾール、4−アザベンズイミダゾール、4−アザ−2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール)などのイミダゾール環を含む化合物などを含む電解質を挙げることができる。
【0047】
本実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、負極3及び正極4に酵素、微生物、補酵素、電子伝達メディエーター等を必要に応じて固定化することができる。その場合の固定方法は特に限定されないが、例えば、前記負極電解質層33および前記正極電解質層43に、酵素、微生物、補酵素、電子伝達メディエーター等を固定化する方法を採用することも可能である。
【0048】
図3は、本発明に係る燃料電池1の図1及び図2とは異なる実施形態(第3実施形態)を示す断面摸式図である。
【0049】
本実施形態に係る燃料電池1では、前記負極電解質層33および前記正極電解質層43、並びにプロトン伝導体6を共通の電解質で形成することにより、負極3及び正極4は、プロトン伝導可能な状態で接続している。
【0050】
電解質の例及び酵素、微生物、補酵素、電子伝達メディエーター等の固定化については、前記第2形態と同様である。
【0051】
<電力供給装置>
図4は、本発明に係る電力供給装置7の一実施形態(第1実施形態)を示す断面摸式図である。
【0052】
本発明に係る電力供給装置7は、前述した燃料電池1を、少なくとも2以上直列的に接続して構成する。従来のバイオ燃料電池は、他の電池に比べて出力が小さいため、複数のバイオ燃料電池を直列に接続することで高出力化を行うことが必要である。しかし、高出力化のためにバイオ燃料電池を直列接続する場合、複数のバイオ燃料電池に対し、各々燃料を供給する必要があり、燃料供給が煩雑で、発電までに時間を要してしまうという問題があった。
【0053】
しかし、本発明に係る電力供給装置7では、気化させた燃料を供給することにより発電を行うため、2以上の燃料電池1の負極3に同時に燃料供給することが可能であり、簡便に燃料を供給できるにも関わらず、高出力化が実現できる。
【0054】
また、従来のバイオ燃料電池の燃料は、液体燃料を用いているため、本発明に係る電力供給装置7の用に、バイオ燃料電池を直列接続した場合に、2以上の負極に燃料を供給するためには、図4中符号2の燃料気化層に該当する部分を、液体燃料で満たす必要があった。この場合、液体燃料が持つ電解質としての性質により、2以上の負極間を、燃料を通してイオンが移動してしまい、発電を行うことができない。そこで、発電を行うためには、液体燃料を供給後、2以上の負極間をイオン的に遮断する手段が必要であった。
【0055】
しかし、本発明に係る電力供給装置7では、気化させた燃料を供給することにより、液体燃料と負極3とが接触しないため、2以上の負極3をイオン的に遮断したまま、2以上の負極3に同時に燃料供給を行うことが可能である。
【0056】
本実施形態に係る電力供給装置7では、燃料電池1を2つ直列接続しているが、2以上の燃料電池1を直列接続していれば、その数は特に限定されない。必要な電力量に合わせて、燃料電池1の数は自由に設計変更することが可能である。
【0057】
燃料電池1の接続方法は、直列的な接続であれば特に限定されない。例えば、図4に示すように、一方の燃料電池1の負極伝導体31と、他方の燃料電池1の正極伝導体41を接続させることにより、2以上の燃料電池1を直列的に接続することができる。
【0058】
図5は、本発明に係る電力供給装置7の図4とは異なる実施形態(第2実施形態)を示す断面摸式図である。
【0059】
本実施形態に係る電力供給装置7は、燃料貯蔵部5を密閉可能とする蓋部51に燃料電池1を直列的に接続した状態で配設している。そして、燃料電池1の負極3を、蓋部51の内側方向に向かって配設している。なお、本実施形態に係る電力供給装置7では、蓋部51の側壁に燃料電池1を設けているが、各負極3が気化燃料に接触可能であれば、燃料電池1の配置箇所は特に限定されない。蓋部51の側壁のみならず、蓋部51の上面に配設することも自由である。
【0060】
燃料貯蔵部5に液体の状態で保持された燃料を気化させ、気化された燃料が負極3に供給され、負極3において気化燃料の酸化反応が進行することにより、電子が放出される。そして、負極3から放出された電子が、負極集電体31および正極集電体41を通して、正極4に送り込まれる。
【0061】
正極4では、負極3から負極集電体31および正極集電体41を通して送り込まれる電子と、外部から供給される酸素を用いて還元反応が進行する。そのため、蓋部51の正極4側は、空気を透過し得る構造にする必要がある。例えば、本実施形態のように、空気口511を設けることで、正極4へ酸素を供給し得る構造とすることができる。その他、蓋部51の正極4側を、空気を透過し得る膜やフィルム等で形成することにより、正極4への酸素の供給を行うことも可能である。
【0062】
本実施形態に係る電力供給装置7では、燃料貯蔵部5の蓋部51内に、電子制御部512を備えている。電子制御部512は、前記燃料電池1で発生させた電気エネルギーを外部へ供給する際、電気エネルギー供給を制御する役割を担う。具体的には、電子制御部512内に昇圧回路などを設け、燃料電池1で発生する電気エネルギーの電圧を、電力の供給先となる外部装置(電子機器等)の仕様にあわせた電圧に調整する。
【0063】
<電子機器>
本発明に係る燃料電池1は、燃料の供給が簡便であるにも関わらず、効率的に大きな出力電流及び電圧を得ることができるため、公知のあらゆる電子機器に好適に用いることができる。
【0064】
該電子機器は、本発明に係る燃料電池1を少なくとも一又は複数使用できるものであれば、構造、機能等は特に限定されず、電気的に作動する機器を全て含有する。例えば、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピューター、ゲーム機器、車載機器、家庭電気製品、工業製品等の電子機器、自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船等の移動体、検査機器、ペースメーカー用の電源、バイオセンサーを含む生体内機器の電源等の医療機器、生ごみを分解し電気エネルギーを発電させるシステム等の発電システムおよびコジェネレーションシステム、等を挙げることができる。
【実施例1】
【0065】
実施例1では、本発明に係る燃料電池を作製し、実際に発電を行った。
【0066】
<燃料電池の作製>
まず、以下の要領で燃料電池に用いる負極を作製した。最初に各種溶液(1)から(6)を調整した。緩衝溶液としては、100mMリン酸二水素ナトリウム(NaHPO)緩衝溶液(I.S.=0.3、pH=7.0)を用いた。
【0067】
(1)ANQアセトン溶液
2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)(合成品)を10〜50mg秤量し、アセトン溶液1mlに溶解させ、ANQアセトン溶液(1)とした。
【0068】
(2)DI酵素緩衝溶液
ジアフォラーゼ(DI)(EC1.6.99.−、ユニチカ製、B1D111)を5〜10mg秤量し、緩衝溶液1.0mlに溶解させ、DI酵素緩衝溶液(2)とした。
【0069】
(3)NADH緩衝溶液
還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)(シグマアルドリッチ製、N−8129)を30.0〜60.0mg秤量し、緩衝溶液0.1mlに溶解させ、NADH緩衝溶液(3)とした。
【0070】
(4)ADH酵素緩衝溶液
アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)を10〜15mg秤量し、緩衝溶液1.0mlに溶解させ、ADH酵素緩衝溶液(4)とした。
【0071】
(5)PLL水溶液
ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(PLL)(Wako製、164−16961)を適量秤量し、1〜2wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PLL水溶液(5)とした。
【0072】
(6)PAAcNa水溶液
ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)(アルドリッチ製、041−00595)を適量秤量し、0.01〜0.1wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PAAcNa水溶液(6)とした。
【0073】
以上のようにして作製した各種の溶液を、それぞれマイクロシリンジを用いて多孔質カーボン(東海カーボン製、)上に、(1)から(6)の順に表1に示す量塗布した後、適宜乾燥を行い、酵素/電子メディエーター固定化電極(負極3)を作製した。
【0074】
【表1】

【0075】
次に、以下の要領で燃料電池に用いる正極4を作製した。多孔質カーボンとして市販のカーボンフェルト(TORAY製 BO050)を用い、ヘキサシアノ鉄酸イオン(100mM)を80μL、ポリ−L−リシン(1wt%)を80μL、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)溶液を80μL(50mg/mL)、順に染み込ませた後、適宜乾燥を行い、酵素/電子メディエーター固定化電極(正極4)を作製した。
【0076】
以上のようにして作製した正極4と負極3との間に、プロトン伝導体6としてセロハンを挟み、図6に示すように、上部より、正極4、プロトン伝導体6(セロハン)、負極3となるように配置し、燃料電池1を組み立てた。なお、図示しないが、正極集電体41および負極集電体31はステンレス鋼により形成した。
【0077】
<測定>
負極3側から、1Mリン酸溶液を400μL添加し、負極3、プロトン伝導体6(セロハン)、正極4がリン酸溶液で浸っている状態にした。そして、図6のように、参照電極(Ag|AgCl)をリン酸溶液で浸ったセロハンに接するように配置し、電位測定を行った。
【0078】
図6に示すように、負極3の下部に、エタノール溶液が入った容器5を置き、負極3電位とセル電圧を電圧計により測定した。しばらく経つと、図7に示すように、負極3の電位が減少し、セル電圧も0.69Vとなった。このことから、エタノール蒸気が燃料として負極3内に供給され、酵素固定化電極上でエタノールの酵素による酸化反応が進行していることが確認できた。
【0079】
続いて、セル電圧を0.4Vとし、時間とともに出力値を測定した(クロノアンぺロメトリー法)。その結果を、図8に示す。5分後の出力値は、17.61μW/cmであった。
【0080】
実施例1では、本発明に係る燃料電池1(蒸気エタノール燃料)による発電が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る燃料電池は、従来のバイオ燃料電池に比べ、燃料供給が簡便であるにも関わらず、効率的に大きな出力電流及び電圧を得ることができる。そのため、あらゆる電子機器の動力源として実現することが可能である。
【0082】
また、日常生活において摂取する飲料や化粧料等を燃料として用いれば、任意の場所で必要に応じて燃料を供給することができる。従って、災害時などの電力供給がストップした場合の電力源として貢献できる。
【0083】
更に、燃料として人体が飲食又は接触可能な燃料を用いれば、燃料漏れ等を懸念せず、自由な構造に設計することができる。そのため、本発明に係る燃料電池を用いた電子機器には、エンターテイメント性を付加したり、視覚的美的効果を付加したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る燃料電池1の一実施形態(第1実施形態)を示す断面摸式図である。
【図2】本発明に係る燃料電池1の図1とは異なる実施形態(第2実施形態)を示す断面摸式図である。
【図3】本発明に係る燃料電池の図1及び図2とは異なる実施形態(第3実施形態)を示す断面摸式図である。
【図4】本発明に係る電力供給装置7の一実施形態(第1実施形態)を示す断面摸式図である。
【図5】本発明に係る電力供給装置7の図4とは異なる実施形態(第2実施形態)を示す断面摸式図である。
【図6】実施例1で用いた本発明に係る燃料電池の断面摸式図である。
【図7】実施例1において、負極電位とセル電圧の経時的変化を示す図面代用グラフである。
【図8】実施例1において、セル電圧を0.4Vとした場合の出力値の経時的変化を示す図面代用グラフである。
【図9】バイオ燃料電池の反応スキームを示す概念図である。
【符号の説明】
【0085】
1 燃料電池
2 燃料気化層
3 負極
4 正極
5 燃料貯蔵部
6 プロトン伝導体
31 負極集電体
41 正極集電体
32 負極大気層
42 正極大気層
33 負極電解質層
43 正極電解質層
7 電力供給装置
51 蓋部
511 空気口
512 電子制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素を触媒として酸化還元反応が進行することにより起電する燃料電池であって、
燃料の気化により形成される燃料気化層と、
該燃料気化層から気化された燃料が供給される負極と、
該負極とプロトン伝導可能な状態で接続する正極と、
を少なくとも備える燃料電池。
【請求項2】
前記負極に接続され、燃料が透過可能な負極集電体と、
前記正極に接続され、酸素が透過可能な正極集電体と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記燃料を液体の状態で保持する燃料貯蔵部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池。
【請求項4】
前記負極の内部には、気化された燃料が透過可能な大気層を有し、
前記正極の内部には、空気が透過可能な大気層を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記負極及び/又は前記正極は、多孔質構造を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記負極及び/又は前記正極の表面には、プロトン伝導性を有する電解質層が積層されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記負極及び/又は前記正極には、酵素が固定化されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記電解質層に前記酵素が固定化されていることを特徴とする請求項7記載の燃料電池。
【請求項9】
前記負極及び/又は前記正極に固定化された前記酵素は、酸化酵素を少なくとも含むことを特徴とする請求項7又は8記載の燃料電池。
【請求項10】
前記負極及び/又は前記正極には、電子伝達メディエーターが固定化されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記負極に固定化された前記酵素は、酸化型補酵素を少なくとも含むことを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項12】
前記負極に固定化された前記酵素は、補酵素酸化酵素を含むことを特徴とする請求項11記載の燃料電池。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の燃料電池が、少なくとも2以上直列的に接続された電力供給装置。
【請求項14】
酵素を触媒として酸化還元反応が進行することにより起電する、一又は複数の燃料電池を用いる電子機器であって、
少なくとも一以上の前記燃料電池が、
燃料の気化により形成される燃料気化層と、
該燃料気化層から気化された燃料が供給される負極と、
該負極とプロトン伝導可能な状態で接続する正極と、
を少なくとも備えることを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−140824(P2009−140824A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317488(P2007−317488)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】