説明

新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物

【課題】 新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物及びそれを硬化重合した高い屈折率とアッベ数を有する光学材料を提供する。
【解決手段】(1)式で表される直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、中でも、眼鏡用プラスチックレンズの原料として好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は軽量かつ靱性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、特に、眼鏡レンズに要求される性能は、低比重に加えるに光学性能としては高屈折率と高アッベ数であり、物理的性能としては、高耐熱性、高強度である。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減し、高耐熱性、高強度は二次加工を容易にするとともに、安全性等の観点から重要である。従来技術における初期の代表的なプラスチック材料は、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボ−ネ−ト、該ビスアリルカ−ボネ−トとジアリルフタレ−ト、各種メタクリレ−ト類等の化合物を重合して得られるものであった。これらは、屈折率が1.5から1.55程度でありこのためレンズの肉厚が厚くなり、結果として軽量性が失われていた。このため、高屈折率を有する材料が望まれ、屈折率を1.6あるいはこれ以上とする種々の努力がこれまでになされてきた。既にクロル、ブロム原子を含むメタクリレート化合物の重合体、ブロム原子を含むヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物との反応により得られるウレタン構造を有する熱硬化型光学材料(特開昭58−164615号公報等)が提案されている。しかしながら、クロル、ブロム原子を含む化合物を用いた場合は比重が大となり、この場合も軽量性が損なわれる結果となった。このため、ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応により得られるチオウレタン構造を有する熱硬化型光学材料が特公平4−58489号、特開平5−148340号に提案されている。またこれらのチオウレタンの原料となる新規なポリチオール化合物も種々提案されている。すなわち、特開平5−148340号には一分子中に硫黄原子を4個有する分岐型ポリチオール化合物が、特開平2−270859号公報には一分子中に硫黄原子を5個有する分岐型ポリチオール化合物が、特開平6−192250号公報には分子中にジチアン環構造有するポリチオール化合物が提案されている。これらチオウレタン構造を有する光学材料により屈折率アッベ数の改良はある程度なされたがいまだ不十分であった。さらには、エポキシ樹脂またはエピスルフィド樹脂を2官能以上の化合物と重合しレンズを得る技術も、特開平1−98615号公報、特開平3−81320号公報、国際公開wo89/10575に提案されている。これら従来技術のエポキシ、エピスルフィド化合物を硬化重合して得られる光学材料の屈折率は十分ではなくまたアッベ数も低く、屈折率とアッベ数のバランスも不満足なものであった。いずれにしても、これら従来技術の含硫黄化合物等により、より薄い肉厚、軽量化の問題はある程度解決されたが、さらに高い屈折率が望ましいことは言うまでもない。一方、光学材料に要求されるもう一つの重要な性能として色収差が少ないことが挙げられる。色収差はアッベ数が高い程良好となるため高アッベ数材料が望まれる。すなわち、高屈折率と高アッベ数の同時実現も望まれている。しかしながら、一般に、アッベ数は屈折率の上昇に伴い低下する傾向を示し、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートおよび、ポリチオ−ル化合物とポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ、エピスルフィド化合物等に代表される従来技術の化合物を原料とするプラスチック材料では、屈折率1.5から1.55の場合アッベ数は約50から55が、屈折率1.60の場合40、屈折率1.66の場合30程度が限界であり、屈折率1.7を無理に実現しようとした場合、アッベ数は30程度以下となり実用に耐えるものではなかった。さらに、従来技術、特にチオウレタン材料等の場合、高屈折率発現のためには原料硫黄化合物の分子量が大となり、このため架橋密度が低下し、高アッベ数発現のためにはアルキル基含有量が増加し、このため原料化合物を構成する分子の剛直性が低下し、結果として耐熱性低下等の支障をきたしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、薄い肉厚および低い色収差を有する光学材料を可能とする新規な含硫黄化合物を見いだすことにある。従来技術により得られるエピスルフィド化合物、ポリチオール化合物とイソシアネート化合物による光学材料では、高屈折率化には限界があり、さらに、高屈折率化はアッベ数の低下をもたらすため、十分に高い屈折率とアッベ数のバランスが得られないことの二点にあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、(1)式で表される新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物により解決された。
【化3】


(ここに、mは1から6の整数を表し、nは0から4の整数を表す。XはSまたはOを表し、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で50%以上である。)
(1)式において、nは0から4の整数を表すが、好ましくは、0から3であり、より好ましくは、0から2である。mは1から6の整数を表すが、好ましくは2から4、より好ましくは2から3、最も好ましくは2である。XはSまたはOを表すが、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均でが50%以上であり、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、、特に好ましくは95〜100%である。最も好ましくは100%である。nが4を超える場合、重合硬化して得られる光学材料の耐熱性が低下し光学材料として使用に耐えなくなるからであり。また、nが4以下の場合であっても耐熱性的には小さいほうが有利であり、また小さすぎる場合材料の柔軟性が損なわれ脆くなるからである。mは4から6の場合、硫黄含有量が低下し高屈折率が達成されず、さらに材料の耐熱性が低下する。mが1の場合、化合物が熱的に幾分不安定となり本化合物の製造に際して、条件設定等十分な注意を要する。X中のSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で80%以下、特に50%未満の場合、硫黄含有量が低下し高屈折率が達成されず、化合物の反応性低下に伴い高温条件下での重合が必要となるため、材料に着色が生じる。本発明の化合物およびこれを重合硬化して得られる光学材料の性能は以上のように整数nとmおよびX中のSの割合により決定される、しかしながら、好ましい具体例等は、整数nとmを独立に上述の範囲にあてはめ決定されない。好ましい例としては、n=0およびn=1〜4の範囲でありかつm=1〜4の範囲である化合物が挙げられる。これらのなかでより好ましい例としては、n=0およびn=1〜4の範囲で、かつm=2〜4の範囲の化合物が挙げられる。これらのなかでさらに好ましい例としては、n=0およびn=1〜3の範囲で、かつm=2〜4の範囲の化合物が挙げられる。これらの中で特に好ましい例(n=0、n=1かつm=2〜4およびn=2かつm=2)を以下に実際に示す。
【化4】


これらの中で最も好ましいものは、次の具体例である。
【化5】


【0005】本発明の、新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は、式(3)で表される直鎖アルキルスルフィド構造を有するジメルカプト化合物、HS〔(CH2 )mS〕nH (3)
(ここで、mは1から6の整数を表し、nは1から4の整数を表す。)硫化水素(H2 S)さらには水硫化ソ−ダ(NaSH)または硫化ソ−ダ(Na2 S)とエピクロロヒドリンに代表されるエピハロヒドリンをアルカリ存在下で反応させて、式(4)で表される直鎖アルキルスルフィド型エポキシ化合物を得
【化6】


、ついで、該エポキシ化合物を、チオシアン酸塩、チオ尿素、トリフェニルホスフィンスルフィド、3−メチルベンゾチアゾール−2−チオン等のチア化剤と、好ましくはチオシアン酸塩、チオ尿素と反応させ製造される。式(4)で表されるエポキシ化合物の製法において、エピハロヒドリン化合物として好ましいものは、エピクロロヒドリンである。また、エピハロヒドリン化合物は量論的には式(3)のジメルカプト化合物、硫化水素、水硫化ソ−ダまたは硫化ソ−ダの2倍モルを使用するが、生成物の純度、反応速度、経済性等を重視するのであれば、これ以下でもこれ以上の量を使用してもかまわない。好ましくは2〜30倍モル使用し反応する。反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれでもかまわないが、溶媒を使用するときは、エピハロヒドリン、式(3)のジメルカプト化合物、ジメルカプト化合物の金属塩、硫化水素、水硫化ソ−ダあるいは硫化ソ−ダのいずれかが可溶のものを使用することが望ましい。具体例としては、水、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等があげられる。反応は量論以上の塩基の存在下において容易に進行する。すなわち、式(3)のジメルカプト化合物および硫化水素を使用する場合はこれらの化合物に対して2倍モルの、水硫化ソ−ダの場合は等モルの塩基存在下において進行可能である。硫化ソ−ダの場合は不存在下においても進行する。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の三級アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物等があげられるが、好ましいものは、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物であり、より好ましいものは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。反応温度は通常−10〜100℃で実施されるが、好ましくは−10〜60℃である。反応時間は上記の各種条件下で反応が完結する時間であればかまわないが、通常10時間以下が適当である。式(4)で表されるエポキシ化合物より式(1)のエピスルフィド化合物を製造する方法において、チア化剤としてチオシアン酸塩を使用する場合、好ましいチオシアン酸塩は、アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属の塩であり、より好ましいものは、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウムである。また、チオシアン酸塩は量論的には式(4)のエポキシ化合物の2倍モルを使用するが、生成物の純度、反応速度、経済性等を重視するのであれば、これ以下でもこれ以上の量を使用してもかまわない。好ましくは、2〜10倍モル使用し反応する。より好ましくは2〜5倍モル使用し反応する。反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれでもかまわないが、溶媒を使用するときは、チオシアン酸塩あるいはチオ尿素さらには式(4)のエポキシ化合物いずれかが可溶のものを使用することが望ましい。具体例としては、水、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等のアルコール類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のヒドロキシエ−テル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等があげられ、これらの併用使用、例えば、エ−テル類、ヒドロキシエ−テル類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類とアルコ−ル類の組合せ等は効果的である。また、反応液中に酸および酸無水物等を重合抑制剤として添加することは、反応成績を上げる面から有効な手段である。酸および酸無水物の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸、発煙硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、シュウ酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、無水硝酸、無水硫酸、酸化ホウ素、五酸化ヒ素、五酸化燐、無水クロム酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、シリカゲル、シリカアルミナ、塩化アルミニウム等があげられ、これらのいくつかを併用することも可能である。添加量は通常反応液総量に対して、0.001〜10wt%である。反応温度は通常0〜100℃で実施されるが、好ましくは20〜70℃である。反応時間は上記の各種条件下で反応が完結する時間であればかまわないが、通常20時間以下が適当である。反応生成物は酸性水溶液を用いた洗浄によって、得られる化合物の安定性を向上せしめることが可能である。酸性水溶液に用いる酸の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸等があげられる。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。これらの酸の水溶液は通常pH6以下で効果を現すが、より効果的にはpH3以下である。
【0006】以上とは別の製法として、式(4)のエポキシ化合物を対応する式(5)の不飽和化合物の有機過酸、アルキルヒドロペルオキサイド、過酸化水素等による酸化により製造し、これを上述の方法により式(1)のエピスルフィド化合物とする方法もあげられる。
CH2 =CHCH2 S〔(CH2 )mS〕nCH2 CH=CH2 (5)
(ここで、mは1から6の整数を表し、nは0から4の整数を表す。)
式(5)の不飽和化合物は、例えば式(3)のジメルカプト化合物と硫化水素、水硫化ソ−ダまたは硫化ソ−ダの塩化、臭化アリル等のハロゲン化アリル化合物を塩基の存在下縮合して製造可能である。さらに、別法としては式(6)に示されるジハロジメルカプト化合物より、脱ハロゲン化水素反応により製造することも有力な方法である。
XCH2 CHSHCH2 S〔(CH2 )mS〕nCH2 CHSHCH2 X(6)
(ここで、mは1から6の整数、nは0から4の整数、Xは塩素あるいは臭素原子を表す。)
式(6)のジハロジメルカプト化合物は、式(5)の不飽和化合物と塩化イオウ類から、容易に合成できることが知られている(例えば、F.Lautenschlaergerら,J.Org.Chem.,34,396(1969))。
【0007】本発明の新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は、硬化触媒の存在下あるいは不存在下に、加熱重合し樹脂を製造することができる。好ましい方法は硬化触媒を使用する方法であり、硬化触媒はアミン類、ホスフィン類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸等が使用される。具体例としては、(1)エチルアミン、n−プロピルアミン、sec−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミスチリルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピルアミン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノノルボルネン、アミノメチルシクロヘキサン、アミノベンゼン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、ナフチルアミン、フルフリルアミン等の1級アミン;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、アミノエチルエタノールアミン、1,2−、1,3−あるいは1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−あるいは4−アミノピペリジン、2−あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、o−、m−、あるいはp−フェニレンジアミン、2,4−あるいは2,6−トリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、1,5−あるいは、2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジトリルスルホン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、1,4−ビス(アミノエチルピペラジン)、1,4−ビス(アミノプロピルピペラジン)、2,6−ジアミノピリジン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン等の1級ポリアミン;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2−、3−、4−ピコリン、2,4−、2,6−、3,5−ルペチジン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジナフチルアミン、ピロール、インドリン、インドール、モルホリン等の2級アミン;N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−iso−プロピルアミン、トリ−1,2−ジメチルプロピルアミン、トリ−3−メトキシプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−iso−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−ペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリ−ドデシルアミン、トリ−ラウリルアミン、トリ−シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N−メチルジヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−4−メチル−1,3,2−ジオキサボルナン等の3級アミン;テトラメチルエチレンジアミン、ピラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス((2−ヒドロキシ)プロピル)ピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ジエチルアミノエタノール、N,N,N−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、ヘプタメチルイソビグアニド等の3級ポリアミン;イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、、N−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、N−ウンデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−ベンジルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、3,3−ビス−(2−エチル−4−メチルイミダゾリル)メタン、アルキルイミダゾールとイソシアヌール酸の付加物、アルキルイミダゾールとホルムアルデヒドの縮合物等の各種イミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミジン類;以上に代表されるアミン系化合物。
(2)(1)のアミン類とハロゲン、鉱酸、ルイス酸、有機酸、ケイ酸、四フッ化ホウ酸等との4級アンモニウム塩。
(3)(1)のアミン類とボランおよび三フッ化ホウ素とのコンプレックス。
(4)トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−iso−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−シクロヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、クロロジフェニルホスフィン等のホスフィン類。
(5)塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、炭酸等の鉱酸類およびこれらの半エステル類。
(6)3フッ化ホウ素、3フッ化ホウ素のエ−テラ−ト等に代表されるルイス酸類。
(7)カルボン酸に代表される有機酸類およびこれらの半エステル類。
(8)ケイ酸、四フッ化ホウ酸等である。これらの中で硬化物の着色が少なく好ましいものは、1級モノアミン、2級モノアミン、3級モノアミン、3級ポリアミン、イミダゾ−ル類、アミジン類、4級アンモニウム塩、ホスフィン類である。より好ましいものは、エピスルフィド基と反応し得る基を1個以下有する、2級モノアミン、3級モノアミン、3級ポリアミン、イミダゾ−ル類、アミジン類、4級アンモニウム塩、ホスフィン類である。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。以上の硬化触媒は、ジエピスルフィド化合物1モルに対して通常0.0001モルから1.0モル使用するが、好ましくは、0.0001モルから0.5モル、より好ましくは、0.0001モルから0.1モル未満、最も好ましくは、0.0001モルから0.05モル使用する。硬化触媒の量がこれより多いと硬化物の屈折率、耐熱性が低下し、また着色する。これより少ないと十分に硬化せず耐熱性が不十分となる。
【0008】また、本発明の新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物はエピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物さらには、エピスルフィド基と反応可能でかつ単独重合も可能な官能基を1個有する化合物と硬化重合して光学材料を製造することもできる。これらのエピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物としては、エポキシ化合物、公知のエピスルフィド化合物、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、メルカプトカルボン酸、ポリメルカプタン、メルカプトアルコール、メルカプトフェノール、ポリフェノール、アミン類、アミド類等があげられる。一方、エピスルフィド基と反応可能な官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物としては、ビニル、芳香族ビニル、メタクリル、アクリル、アリル等の不飽和基を有するエポキシ化合物、エピスルフィド化合物、カルボン酸、カルボン酸無水物、メルカプトカルボン酸、メルカプタン類、フェノール類、アミン類、アミド類等があげられる。以下に、エピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物の具体例を示す。
【0009】エポキシ化合物の具体例としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルフォン、ビスフェノールエーテル、ビスフェノールスルフィド、ビスフェノールスルフィド、ハロゲン化ビスフェノルA、ノボラック樹脂等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるフェノール系エポキシ化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトール、1、3−および1、4−シクロヘキサンジオール、1、3−および1、4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノルA・エチレンオキサイド付加物、ビスフェノルA・プロピレンオキサイド付加物等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物;アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソ、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、ナジック酸、マレイン酸、コハク酸、フマール酸、トリメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の多価カルボン酸化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるグリシジルエステル系エポキシ化合物;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、1,2−、1,3−あるいは1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、m−、あるいはp−フェニレンジアミン、2,4−あるいは2,6−トリレンジアミン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、1,5−あるいは、2,6−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン等の一級ジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)−メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)−エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)−ブタン等の二級ジアミンとエピハロヒドリンの縮合により製造されるアミン系エポキシ化合物;3、4−エポキシシクロヘキシル−3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクリヘキサンジオキサイド、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−5、5−スピロ−3、4−エポキシシクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3、4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物;シクロペンタジエンエポキシド、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、ビニルシクロヘキセンエポキシド等の不飽和化合物のエポキシ化により製造されるエポキシ化合物;上述の多価アルコール、フェノール化合物とジイソシアネートおよびグリシドール等から製造されるウレタン系エポキシ化合物等を挙げることが出来る。
【0010】公知のエピスルフィド化合物の具体例としては、以上のエポキシ化合物のエポキシ基の一部あるいは全てをエピスルフィド化して得られるエピスルフィド化合物を挙げることが出来る。
【0011】多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、ポリフェノール、アミン類等の具体例としては上述のエポキシ化合物のところで説明したエピハロヒドリンと反応させる相手の原料として上述したものを挙げることが出来る。
【0012】ポリメルカプタンとしては、具体的には1,2−ジメルカプトエタン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−〔ビス(2−メルカプトエチルチオ)〕エタン等の直鎖状ジメルカプタン化合物;2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチルチオ)〕−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキスメルカプトメチルメタン等の分岐状脂肪族ポリメルカプタン化合物;エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(β−チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス、(β−チオプロピオネート)等の含エステル脂肪族ポリメルカプタン化合物;1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトメチルシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトメチルシクロヘキサン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトエチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1−チアン、2,5−ジメルカプトエチル−1−チアン等脂肪族環状ジメルカプタン化合物等をあげることができる。
【0013】また、以下にエピスルフィド基と反応可能な官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物の代表的具体例を示す。不飽和基を有するエポキシ化合物としては、ビニルフェニルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル等をあげることができる。不飽和基を有するエピスルフィド化合物としては上記の不飽和基を有するエポキシ化合物のエポキシ基をエピスルフィド化した化合物、例えば、ビニルフェニルチオグリシジルエーテル、ビニルベンジルチオグリシジルエーテル、チオグリシジルメタクリレート、チオグリシジルアクリレート、アリルチオグリシジルエーテル等をあげることができる。
【0014】不飽和基を有するカルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα、β−不飽和カルボン酸類をあげることができる。また、不飽和基を有するアミド類としては、以上のα、β−不飽和カルボン酸類のアミドをあげることができる。
【0015】また、エピスルフィド基と反応可能でかつ単独重合も可能な官能基を1個有する化合物の好ましい具体例としてはエポキシ基あるいはエピスルフィド基を1個有する化合物をあげることができる。より具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のモノエポキシ化合物類、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等のモノカルボン酸のグリシジルエステル類、メチルグリシジルエ−テル、エチルグリシジルエ−テル、プロピルグリシジルエ−テル、ブチルグリシジルエ−テル等のグリシジリエ−テル類あるいはエチレンスルフィド、プロピレンスルフィド等のモノエピスルフィド化合物、上述のモノカルボン酸とチオグリシド−ル(1,2−エピチオ−3−ヒドロキシプロパン)から誘導される構造を有するチオグリシジルエステル類、メチルチオグリシジルエ−テル(1,2−エピチオプロピルオキシメタン)、エチルチオグリシジルエ−テル、プロピルチオグリシジルエ−テル、ブチルチオグリシジルエ−テル等のチオグリシジルエ−テル類をあげることができる。これらの中で、より好ましいものはエピスルフィド基を1個有する化合物である。
【0016】本発明のジエピスルフィド化合物のエピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物およびエピスルフィド基と反応可能かつ単独重合可能な官能基を1個有する化合物とは、硬化重合触媒の存在下、硬化重合し製造することができる。硬化触媒は、前述のアミン類、ホスフィン類、酸類等が使用される。具体例としては、前述のものがここでも使用される。
【0017】さらに、不飽和基を有する化合物を使用する際には、重合促進剤として、ラジカル重合開始剤を使用する事は好ましい方法である。ラジカル重合開始剤とは、加熱あるいは紫外線や電子線によってラジカルを生成するものであれば良く、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、ter−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ter−ブチルパーオキシネオデカノエート、ter−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、ter−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−ter−ブチルパーオキサイド等のパーオキサイド類;クメンヒドロパーオキサイド、ter−ブチルヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル2、2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2、2’−アゾビス(2、4、4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物等の公知の熱重合触媒、ベンゾフェノン、ベンゾインベンゾインメチルエーテル等の公知の光重合触媒が挙げられる。これらのなかで好ましいものは、パーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、アゾ系化合物であり、より好ましいものは、パーオキサイド類、アゾ系化合物であり、最も好ましいものは、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル、2、2’−アゾビス(2−メチルプロパン)2、2’−アゾビス、(2、4、4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物である。またこれらは、全て混合使用することができる。ラジカル重合開始剤の配合量は、組成物の成分や硬化方法によって変化するので一慨には決められないが、通常は組成物総量に対して0.01wt%〜5.0wt%、好ましくは0.1wt%〜2.0wt%の範囲である。
【0018】また、本発明の新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物を重合硬化して光学材料を得るに際して、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。また公知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化材料の型からの離型性を向上せしめることも可能である。ここに言う内部離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、アルキル第4級アンモニウム塩、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物等があげられる。
【0019】本発明の新規な直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物を重合硬化して光学材料を得るに際して、原料となる、エピスルフィド化合物、さらには所望に応じて前述の硬化触媒、不飽和基を有するエピスルフィド基と反応可能な例えばグリシジルメタクリレート、チオグリシジルメタクリレ−ト(グリシジルメタクリレ−トのエポキシ基をエピスルフィド化したもの)等を併用する場合、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合可能な単量体、さらには離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤混合後、次の様にして重合硬化してレンズ等の光学材料とされる。即ち、混合後の原料をガラスや金属製の型に注入し、加熱によって重合硬化反応を進めた後、型から外し製造される。硬化時間は0.1〜100時間、通常1〜48時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。また、硬化終了後、材料を50から150℃の温度で10分から5時間程度アニール処理を行う事は、本発明の光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じてハードコート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。本発明の硬化樹脂光学材料の製造方法は、さらに詳しく述べるならば以下の通りである。前述の様に、主原料および副原料を混合後、型に注入硬化して製造されるが、主原料であるジエピスルフィド化合物と所望により使用されるエピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物およびエピスルフィド基と反応可能かつ単独重合可能な官能基を1個有する化合物、さらには所望に応じて使用される、硬化触媒、ラジカル重合開始剤、さらには離型剤、安定剤等は、全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、各原料を段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であればよいが、過剰の温度、時間は各原料、添加剤間の好ましくない反応が起こり、さらには粘度の上昇を来たし注型操作を困難にする等適当ではない。混合温度は−10℃から100℃程度の範囲で行われるべきであり、好ましい温度範囲は−10℃から50℃、さらにに好ましいのは、−5℃から30℃である。混合時間は、1分から5時間、好ましくは5分から2時間、さらに好ましくは5分から30分、最も好ましいのは5分から15分程度である。各原料、添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下に脱ガス操作を行う事は、後の注型重合硬化中の気泡発生を防止する点からは好ましい方法である。この時の減圧度は0.1mmHgから700mmHg程度で行うが、好ましいのは10mmHgから300mmHgである。さらに、型に注入に際して、ミクロフィルター等で不純物等を濾過し除去することは本発明の光学材料の品質をさらに高める上からも好ましい。
【0020】
【発明の効果】本発明のジエピルフィド化合物を重合硬化して得られる硬化樹脂光学材料より、従来技術の化合物を原料とする限り困難であった十分に高い屈折率と、良好な屈折率とアッベ数のバランスを有する樹脂光学材料が可能となった。すなわち本発明の新規な化合物により樹脂光学材料の軽量化、薄肉化および色収差の低減化が格段に進歩することとなった。これにより眼鏡等のレンズ用途として好ましい材料が製造可能となった。また、本発明の新規な樹脂硬化材料は、耐熱性、強度にも優れ各種用途に使用できる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られた重合物の性能測定は以下の測定法で行った。
屈折率、アッベ数:アッベ屈折計を用い、25℃で測定した。
比重:電子比重計を用いて25℃で測定し、常法により補正した。
耐熱性:ビカット軟化点が120℃以上のものを○、120℃未満80℃以上のものを△、80℃未満のものを×とした。
強度:オートグラフを用いた3点曲げ試験測定において、歪みが0.1以上のものを○、0.1未満0.05以上のものを△、0.05未満のものを×とした。
【0022】実施例1(n=1、m=2)
1,2−ジメルカプトエタン1.0mol(94.2g)とエピクロルヒドリン2.0mol(185.0g)を液温を10℃まで冷却し、水酸化ナトリウム10mmol(0.4g)を水4mlに溶かした水溶液を加え、この温度で1時間攪拌した。その後、液温を40−45℃前後に保ちながら2時間攪拌した。室温に戻し、水酸化ナトリウム2mol(80.0g)を水80mlに溶かした水溶液を、液温を40−45℃前後に保ちながら滴下しその後、液温を40−45℃前後に保ちながら3時間攪拌した。反応混合物に水200mlを加え、トルエン300mlで抽出し、トルエン層を水200mlで3回洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、無色透明液体の1,2−ビス(グリシジルチオ)エタンを202.0g(理論量の99%)で得た。ついで、ここで得られた、1,2−ビス(グリシジルチオ)エタン0.3mol(79.9g)とエタノール40mlをチオシアン酸カリウム87.5g(0.9mol)を水60mlに溶解させた水溶液に加え、1時間かけて液温を45℃まで上昇させ、この温度で5時間反応させた。反応混合物に水500mlを加え、トルエン500mlで抽出し、トルエン層を水500mlで3回洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、白色固体の1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン(式(1)のm=2,n=1)を78.1g(理論量の88%)得た。
元素分析値: (分析値) (計算値)
C 40.19% 40.30% H 6.05% 5.95% S 53.79% 53.64% マススペクトル(EI):M+238(理論分子量238)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
1 H−NMR: 2.2ppm(1,10位の炭素に付いた水素)
2.6ppm(1,10位の炭素に付いた水素)
2.7ppm(2,9位の炭素に付いた水素)
2.9ppm(5,6位の炭素に付いた水素)
3.0ppm(3,8位の炭素に付いた水素)
3.1ppm(3,8位の炭素に付いた水素)
13C−NMR:25.7ppm(1,10位の炭素)
32.5ppm(2,9位の炭素)
34.0ppm(5,6位の炭素)
38.4ppm(1,10位の炭素)
さらに、本化合物100重量部にトリブチルアミンを1重量部配合し、これを厚さ2mmに調節した2枚のガラス板からなるモウルド中に注入し、80℃で5時間重合硬化し光学材料を得た得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0023】実施例2(n=1、m=2)
攪拌機、滴下ロ−ト、温度計、窒素導入管を装着したフラスコに、1,2−ジメルカプトエタン1.0mol(94.2g)、水酸化ナトリウム10mmol(0.4g)を水4mlに溶かした水溶液、メタノ−ル100mlを仕込み、ここにエピクロルヒドリン2.0ml(185.0g)を1時間かけて滴下した。滴下中、反応温度を0〜10℃に保った。滴下終了後さらに1時間反応を続けた。この後、水360mlに溶解したカセイソ−ダ6.0ml(240g)を1時間かけて滴下した。滴下中、反応温度を0〜10℃に保った。滴下終了後さらに3時間反応を続けた。その後、トルエン抽出、水洗後、溶媒を留去し、無色透明液体の1,2−ビス(グリシジルチオ)エタンを202.2g(理論量の99%)得た。ついで、攪拌機、温度計、窒素導入管を装着したフラスコに上記の1,2−ビス(グリシジルチオ)エタン0.3mol(79.9g)とチオ尿素1.25mol(95.3g)と無水酢酸0.03mol(2.96g)さらに溶媒としてトルエン250mlおよびメタノ−ル250mlを仕込み、30℃で9時間反応した。反応後トルエンで抽出し、1%硫酸水溶液で洗浄、水洗後過剰の溶媒を留去したところ、、白色固体の1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン(式(1)のm=2,n=1)を82.0g(理論量の93%)得た。
元素分析値: (分析値) (計算値)
C 40.19% 40.30% H 6.05% 5.95% S 53.79% 53.64% マススペクトル(EI):M+238(理論分子量238)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
1 H−NMR: 2.2ppm(1,10位の炭素に付いた水素)
2.6ppm(1,10位の炭素に付いた水素)
2.7ppm(2,9位の炭素に付いた水素)
2.9ppm(5,6位の炭素に付いた水素)
3.0ppm(3,8位の炭素に付いた水素)
3.1ppm(3,8位の炭素に付いた水素)
13C−NMR:25.7ppm(1,10位の炭素)
32.5ppm(2,9位の炭素)
34.0ppm(5,6位の炭素)
38.4ppm(1,10位の炭素)
さらに、本化合物100重量部にトリブチルアミンを1重量部配合し、これを厚さ2mmに調節した2枚のガラス板からなるモウルド中に注入し、80℃で5時間重合硬化し光学材料を得た。得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0024】実施例3(n=1、m=4)
実施例1において1,2−ジメルカプトエタンの代わりに1,4−ジメルカプトブタンを使用する以外は実施例1を繰り返し、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン(式(1)のm=4,n=1)を総収率85%で得た。
元素分析値: (分析値) (計算値)
C 44.89% 45.07% H 6.99% 6.81% S 48.00% 48.13% マススペクトル(EI):M+266(理論分子量266)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
1 H−NMR: 1.9ppm(6,7位の炭素に付いた水素)
2.2ppm(1,12位の炭素に付いた水素)
2.6ppm(1,12位の炭素に付いた水素)
2.7ppm(2,11位の炭素に付いた水素)
2.8ppm(5,8位の炭素に付いた水素)
3.0ppm(3,10位の炭素に付いた水素)
3.1ppm(3,10の炭素に付いた水素)
13C−NMR:25.7ppm(1,12位の炭素)
30.5ppm(6,7位の炭素)
31.3ppm(5,8位の炭素)
32.5ppm(2,11位の炭素)
39.1ppm(3,10位の炭素)
重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を表−1に示した。
【0025】実施例4(n=2、m=2)
実施例1において1,2−ジメルカプトエタンの代わりにジメルカプトジエチルスルフィドを使用する以外は実施例1を繰り返し、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィド(式(1)のm=2,n=2)を総収率88%で得た。
元素分析値: (分析値) (計算値)
C 40.08% 40.23% H 6.22% 6.08% S 53.55% 53.70% マススペクトル(EI):M+298(理論分子量298)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
1 H−NMR:2.2ppm(1,13位の炭素に付いた水素)
2.6ppm(1,13位の炭素に付いた水素)
2.7ppm(2,12位の炭素に付いた水素)
2.8−2.9ppm(5,6,8,9位の炭素に付いた水素)
3.0ppm(3,11位の炭素に付いた水素)
3.1ppm(3,11の炭素に付いた水素)
13C−NMR:25.7ppm(1,13位の炭素)
32.4ppm(2,12位の炭素)
32.5ppm(6,8位の炭素)
34.0ppm(5,9位の炭素)
38.4ppm(3,11位の炭素)
重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0026】実施例5(n=0)
完全に密閉された反応装置中に硫化水素1.0mol(34.1g)とエピクロルヒドリン1.0mol(92.5g)を入れ、液温を10℃まで冷却し、水酸化ナトリウム水溶液5mmol(0.2g)を水4mlに溶かした水溶液を加え、この温度で1時間攪拌した。その後、液温を40−45℃前後に保ちながら2時間攪拌した。液温を再び、10℃まで冷却し、エピクロルヒドリン1.0mol(92.5g)と水酸化ナトリウム5mmol(0.2g)を水4mlに溶かした水溶液を追加し、10℃で1時間、40−45℃で2時間攪拌した。室温に戻し、水酸化ナトリウム80.0g(2mol)を水80mlに溶かした水溶液を、液温を40−45℃前後に保ちながら滴下しその後、液温を40−45℃前後に保ちながら3時間攪拌した。反応終了後実施例1と同様に処理し、92.2g(理論量63%)得た。ついで、これも実施例1と同様に、チオシアン酸カリウムと反応させ、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(式(1)のn=0)を収率80%で得た。
元素分析値: (分析値) (計算値)
C 40.25% 40.41% H 5.81% 5.65% S 53.77% 53.94% マススペクトル(EI):M+178(理論分子量178)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
1 H−NMR: 2.3ppm(1,7位の炭素に付いた水素)
2.6ppm(1,7位の炭素に付いた水素)
2.7ppm(2,6位の炭素に付いた水素)
3.0−3.1ppm(3,5位の炭素に付いた水素)
13C−NMR:25.6ppm(1,7位の炭素)
33.8ppm(2,6位の炭素)
38.6ppm(3,5位の炭素)
重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0027】実施例6実施例1において1,2−ジメルカプトエタンの代わりに1,6−ジメルカプトヘキサンを使用する以外は実施例1を繰り返し、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサンを総収率72%で得た。
元素分析値: (分析値) (計算値)
C 48.72% 48.93% H 7.77% 7.53% S 43.30% 43.54% マススペクトル(EI):M+294(理論分子量294)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
1 H−NMR:1.6ppm(7,8位の炭素に付いた水素)
1.8ppm(6,9位の炭素に付いた水素)
2.2ppm(1,14位の炭素に付いた水素)
2.6ppm(1,14位の炭素に付いた水素)
2.7ppm(2,13位の炭素に付いた水素)
2.8ppm(5,10の炭素に付いた水素)
3.0ppm(3,12の炭素に付いた水素)
3.1ppm(3,12の炭素に付いた水素)
13C−NMR:25.7ppm(1,14位の炭素)
27.8ppm(7,8位の炭素)
31.6ppm(6,9位の炭素)
32.0ppm(5,10位の炭素)
32.4ppm(2,13位の炭素) 39.0ppm(3,12位の炭素) 重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0028】比較例1実施例1において1,2−ジメルカプトエタンの代わりに1,2−ジヒドロキシエタン(エチレングリコール)を使用する以外は実施例1を繰り返し、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタンを総収率58%で得た。重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0029】比較例2実施例2において1,4−ジメルカプトブタンの代わりに1,4−ジヒドロキシブタン(1,4−ブタンジオール)を使用する以外は実施例2を繰り返し、1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ブタンを総収率66%で得た。重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を表1に示した。
【0030】比較例3実施例3においてジメルカプトジエチルスルフィドの代わりにジヒドロキシジエチルエーテル(ジエチレングリコール)を使用する以外は実施例3を繰り返し、ビス(β−エピチオプロピルオキシエチル)エーテルを総収率68%で得た。重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を表1に示した。
【0031】比較例4実施例1において、1,2−ビス(グリシジルチオ)エタン1モルに対してチオシアン酸カリウムを0.8モル使用する以外は実施例1を繰り返した。得られた生成物は、NMRスペクトルより式(1)のn=1,m=2であり、X中のSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で30%であった。重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0032】
【表1】


【0033】さらに、以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、得られた重合物の物性測定は、以下の測定法で行った。
屈折率(nd)、アッベ数(νD ):25℃でアッベ屈折計を用いた。
比重:電子比重計を用いて25℃で測定し、常法により補正した。
色調;分光色彩計によりb値を測定した。
耐熱性:ビカット軟化点測定により針が0.1mm侵入した温度を軟化点とした。
曲げ強度:オートグラフを用いた3点曲げ試験測定により実施した。
【0034】実施例8撹拌機、滴下ロ−ト、温度計、窒素導入管を装着したフラスコにエピクロロヒドリン2kg(11.6mol)を仕込み、ここにメタノール1Lに溶解した70%水硫化ソーダ390g(2.5mol)を1時間かけて滴下した。滴下中、反応温度を10〜15℃に保った。滴下終了後さらに1時間反応を続けた。この後、水1リットルに溶解したカセイソーダ400g(10.0mol)を1時間かけて滴下した。滴下中、反応温度を10〜15℃に保った。滴下終了後ジクロロメタン抽出、水洗後溶媒と過剰のエピクロロヒドリンを留去し、さらに減圧蒸留により62〜64℃/0.25mmHgの留分のグリシジルスルフィド521g(収率73%)を得た。次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管を装着したフラスコに上記の留分365.5g(2.5mol)とチオ尿素952.6g(12.5mol)と無水酢酸29.6g(0.3mol)、さらに溶媒としてトルエン2.5Lおよびメタノ−ル2.5Lを仕込み、30℃で9時間反応した。反応後トルエンで抽出し、1%硫酸水溶液で洗浄、水洗後過剰の溶媒を留去したところ無色透明のビス(β−エピチオプロピル)スルフィド401.1g(収率90%)を得た。本化合物100重量部を10mmHgの減圧下十分に脱気を行った。さらに、触媒としてピペリジンを1重量部配合後均一液とした。ついでモールドに注入後、オーブン中で80℃、20時間重合硬化し平板状試験片を製造した。得られた試験片の物性を表−2に示した。屈折率、アッベ数ともに従来技術では、達成されなかった高い値を示し、さらに耐熱性、強度も十分に優れ、さらにb値も低く黄色度の低いものであった。
【0035】実施例9ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド100重量部を10mmHgの減圧下に十分脱気を行った。さらに触媒としてトリエチルアミンを0.2重量部配合後均一液とした。ついでモ−ルドに注入後、オ−ブン中で40℃から100℃まで10時間かけて昇温し重合硬化した。得られた平板状試験片の物性を表−2に示した。
【0036】実施例10ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド100重量部に触媒としてN,N−ジエチルエタノ−ルアミン0.58重量部配合後均一液とした。さらに、10mmHgの減圧下に脱気を行った。ついでモールドに注入後、オーブン中で40℃から80℃まで10時間かけて昇温し重合硬化した。得られた試験片の物性を表−2に示した。
【0037】実施例11ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド100重量部に触媒としてトリフェニルフォスフィンを0.1重量部配合後均一液とした。さらに、10mmHgの減圧下に脱気を行った。ついでモールドに注入後、オーブン中で80℃、15時間重合硬化し平板状試験片を製造した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0038】実施例12オ−ブン中で80℃、10時間重合硬化する以外は、実施例11を繰り返した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0039】実施例13オ−ブン中で80℃、5時間重合硬化する以外は、実施例11を繰り返した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0040】実施例14オ−ブン中で80℃、2時間重合硬化する以外は、実施例11を繰り返した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0041】実施例15ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド100重量部に触媒として水添4,4, −ジアミノジフェニルメタンを5重量部配合後均一液とした。さらに10mmHgの減圧下十分に脱気を行った。ついでモ−ルドに注入後、オ−ブン中で80℃、15時間重合硬化し平板状試験片を製造した。得られた試験片の物性を表−2に示した。
【0042】実施例16触媒として水添4,4, −ジアミノジフェニルメタンを10重量部配合する以外は実施例15を繰り返した。得られた試験片の物性を表−2に示した。
【0043】実施例17触媒として水添4,4, −ジアミノジフェニルメタンを15重量部配合する以外は実施例15を繰り返した。得られた試験片の物性を表−2に示した。
【0044】実施例18ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド100重量部に触媒としてトリフェニルフォスフィンを0.1重量部、抗酸化剤として2、6−ジ−ter−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−ter−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部を配合後、室温で撹拌し均一液とした。さらに10mmHgの減圧下十分に脱気を行った。ついでレンズ用モールドに注入し、オーブン中で80℃、15時間重合硬化しレンズを製造した。重合物は、モールドより容易に離型し、また重合中に剥がれることもなく、レンズを得る事ができた。得られたレンズは従来にない優れた光学特性、物理特性を有するのみならず、色調は無色(b値=0.65)であり、さらに表面状態は良好であり、脈理、面変形もほとんど認められなかった。新規なレンズ材料として十分使用可能と判断された。また、得られたレンズの物性を表2に示した。
【0045】比較例5ビス(β−エポキシプロピル)エーテルを使用し実施例8を繰り返した、重合硬化が不十分で試験片を得ることが出来なかった。
【0046】比較例6ビス(β−エポキシプロピル)スルフィドを使用し実施例8を繰り返した、試験片は得られたものの、耐熱性は室温程度の黄色軟質材料であった。屈折率、アッベ数を表2に示した。
【0047】比較例71、2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタンを使用し実施例8を繰り返した。得られた試験片の物性を表1に示した。
【0048】比較例82,2−ビス{4−(β−エピチオプロピルオキシ)}フェニルプロパンを使用し実施例8を繰り返した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0049】比較例92,2−ビス{4−(β−エピチオプロピルオキシ)}フェニルプロパン75重量部と1−メルカプト−4−ヒドロキシベンゼン25重量部を使用し実施例8を繰り返した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0050】比較例101,8−ジメルカプト−4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン48重量部とメタキシリレンジイソシアネート52重量部の混合物に硬化触媒としてジブチルスズクロライドを混合物100重量部に対して0.1重量部配合後均一液とし、さらに10mmHgの減圧下十分に脱気を行った。ついでモールドに注入後、オーブン中で80℃、20時間重合硬化し平板状試験片を製造した。得られた試験片の物性を表2に示した。
【0051】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)式で表される直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物。
【化1】


(ここに、mは1から6の整数を表し、nは0から4の整数を表す。XはSまたはOを表し、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で50%以上である。)
【請求項2】 (2)式で表されるビス(エピチオプロピル)スルフィド化合物
【化2】


(ここに、mは1から6の整数を表し、nは0から4の整数をあらわす。)
【請求項3】 請求項1記載の直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物を重合硬化して得られる樹脂。
【請求項4】 請求項1記載の直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物を重合硬化して得られる光学材料。
【請求項5】 請求項1記載の直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物を重合硬化して樹脂光学材料を得る方法。
【請求項6】 請求項1記載の直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物を硬化触媒の存在下、重合硬化して樹脂光学材料を得る方法。
【請求項7】 請求項2記載のビス(エピチオプロピル)スルフィド化合物を重合硬化して得られる光学材料。