新規な相変化磁性材料
本発明は、相変化材料成分及び強磁性材料成分を含む、情報記録用媒体において使用される相変化磁性複合材材料に関連し、この場合、前記材料は磁気効果及び相変化効果の両方を示し、光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス、制御デバイス、SOC(システムオンチップ)デバイス及び半導体のために使用可能である。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[001]
本発明は新規な材料(具体的には、新規な相変化磁性材料)及びその作製方法に関連する。本発明はまた、光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス(three level device)、制御デバイス、SOC(システムオンチップ)デバイス及び半導体におけるそのような材料の使用に関連する。
【0002】
[発明の背景]
[002]
この30年間にわたって、書換可能媒体のための材料が科学界及び産業界ではますます高まる注目を受けている。カルコゲニド薄膜材料が1968年に発見された以降、様々な材料が、電気的な書き込み及び消去が行われる不揮発メモリデバイス、認知半導体及び書換可能光ディスクをはじめとする多くの重要な適用において用途が見出される複合技術に発達している。
【0003】
[003]
近年の研究努力は、不揮発性の相変化ランダムアクセスメモリ、並びに大きな記憶容量及び速い読み取り・書き込み速度を有する書換可能ディスクの開発に集中している。現在広く使用されているそのような書換可能媒体には、書換可能コンパクトディスク(CD−RW)、書換可能デジタルビデオディスク(DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)、及び書換可能青色レーザー光ディスク(Blu−ray、HD−DVD)が含まれる。
【0004】
[004]
相変化媒体では、相変化材料が記録用媒体として利用される。この媒体は熱的に書き込まれ、光学的に読み取られる。データは、結晶相と非晶質相との間の材料の相変化を誘導することによって書き込まれ、また、消去される。レーザービームが、典型的には、媒体を加熱して相変化を引き起こすために使用される。それぞれの相には、光反射性の異なるレベルが伴い、すなわち、結晶相は反射性が高く、非晶質相は反射性が低いので、低反射性の痕跡及び高反射性の背景部分の両方を、コンピューター読み取り可能なデータビットを表すために材料上に形成することができる。
【0005】
[005]
光ディスク用の書換可能材料の使用が1971年に初めて報告され、この場合、記録用媒体はカルコゲニドの相変化複合材材料を含んでいた(Feinleib他、Appl.Phys.Lett.、第18巻(1971)、254頁)。それ以降、コンピューターのデータサイズにおける増大、並びにより大きい記憶容量及びより速い読み取り・書き込み速度の要求における対応する増大に応えて、書換可能媒体のための新しい材料を提供するために、多くの試みがなされている。
【0006】
[006]
例えば、米国特許第5,709,978号は、相変化成分(例えば、Sb−Te−Geなど)と、少なくとも1つのランタニド元素と、遷移金属とを記録用材料が含む両面光ディスクにおいて使用される相変化型の記録用薄膜を開示している。記録用薄膜が記録時及び消去時に流動及び分離しないように、高融点成分を記録用薄膜に析出させて相変化成分と共存させる。
【0007】
[007]
広く使用されている別のタイプの書換可能媒体が、光磁気(MO)媒体(これは、例えば、ミニディスクにおいて使用される)である。MO媒体は、磁気記憶デバイス及び光学記憶デバイスの両方の原理に基づいて作動し、書き込みは、熱処理後、磁気的に行われ、読み取りは光学的に行われる。典型的には、収束レーザービームを媒体の一方の側に当てて、MO材料をそのキュリー点又は補償温度に加熱し、したがって、MO媒体を磁場に対して感受性にする。その後、ディスクの反対側に配置された磁気ヘッドを作動させて、加熱された領域の磁気光学極性を変化させることによってデジタルデータをディスク上に記録する。
【0008】
[008]
米国特許第6,132,524号は、半導体磁気光学媒体の一例を開示している。この材料は、微細な磁性粒子が分散されている半導体(例えば、MsAs:GaAsなど)を含む。この材料は室温で磁気光学効果を示し、シグナル処理のために、また、光アイソレータ及び集積回路を製造するために使用することができる。
【0009】
[009]
2種類以上の材料成分を含む複合材、及び記録用媒体におけるその使用が、米国特許第5,709,978号に開示されている。そのような複合材の合成の実施において、複合材の材料成分を合わせて、1つの混合物から調製するか、又は1つの材料成分を他方の材料成分に析出させる。そのような複合材は磁気特性又は相変化特性のいずれかを個々には示すが、磁気特性及び相変化特性の両方を同時に示すことができない。
【0010】
[010]
光ディスク用材料に関するいくつかの研究が行われている。光学的書換可能ディスクにおける消去プロセスの研究において、Shi他は、光学的書換可能ディスクにおける相変化材料(Ge2Sb2Te5)の使用、及びそのようなディスクでのデータの消去に関連する動的な結晶化挙動を開示する(Jpn.J.Appl.Phys.、第42巻、Part 1、No.2B、841頁〜847頁、2003)。
【0011】
[011]
別の研究において、Sato他は、半導体デバイスのための、GaNに基づく強磁性の希釈磁性半導体を開示している(Jpn.J.Appl.Phys.、第40巻、Part 2、No.5B、L485頁〜L487頁、2001)。さらに別の研究において、Sun他(Appl.Phys.Lett.、第82巻、No.12、1902頁〜1904頁、2003)は、CuにスパッタリングされたFePt磁性薄膜の使用を開示している。
【0012】
[012]
行われてきたこれらの開発にもかかわらず、現在の材料における様々な制限が依然として存在する。例えば、書換可能光学媒体の容量及び記録速度は現在、記録用材料のレーザー回折限界及び結晶化速度によって制限される。したがって、新しい特徴を有する新しい材料を提供するために引き続き努力が必要である。
【0013】
[013]
したがって、新しい材料、例えば、改善された性能をもたらす新しい材料を提供することが本発明の目的の1つである。
【0014】
[発明の概要]
[014]
本発明の第1の態様によれば、相変化材料成分及び強磁性材料成分を含む相変化磁性複合材材料が提供される。この材料は、第1の磁気特性及び第1の相変化材料特性を伴う結晶相を有する。加えて、この材料は、第2の磁気特性及び第2の相変化材料特性を伴う非晶質相を有する。本発明の材料は、特異な電気特性、磁気特性、熱特性、結晶化特性及び光学特性を異なる相(例えば、完全に結晶性の状態、非晶質相及び部分的結晶相など)において有する。本発明の材料は磁気効果及び相変化効果の両方を示し、広範囲の様々な適用において使用することができる。本発明の材料を使用し得る適用の例には、光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス、制御デバイス、SOCデバイス及び半導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
[015]
本発明の別の態様によれば、本発明の相変化磁性材料を含む、情報を記録するための光学記録用媒体が提供される。本発明による材料は、異なる相状態(例えば、結晶性状態、非晶質状態及び部分的結晶性状態など)において、異なる電気特性、磁気特性及び光学特性を有する。本発明はさらに、様々なデバイス(例えば、固体メモリデバイス、半導体、論理デバイス、磁気ランダムアクセスメモリデバイス、人工ニューロンネットワーク及び相変化ランダムアクセスメモリデバイスなど)における相変化磁性材料の使用に関連する。
【0016】
[016]
本発明のこれらの態様及び他の態様は、下記の説明、図面及び非限定的な実施例を考慮してより完全に理解されよう。
【0017】
[詳細な説明]
[028]
本発明は、相変化材料及び磁性材料を、相変化効果並びに磁気効果の両方を示す均一な複合材材料を形成するために使用し得るという発見に基づく。本発明に関連して、材料が相変化を受けたときに、その材料がその物理的特性の変化を示す場合、その材料は相変化効果を示すと言われる。このような物理的特性の例には、抵抗率、異なる波長での吸収、光学定数、分散関係、誘電率、密度、熱伝導性、熱拡散係数、比熱、活性エネルギー、格子定数、結晶化温度、ガラス転移が含まれる。同様に、材料が磁場を受けている場合、その材料は磁気効果を示すと言われる。
【0018】
[029]
理論によって拘束されることを望まないが、本発明者らは現在、適切な成長条件下では、得られる相変化磁性材料の結晶構造が変化するように、相変化成分及び磁性成分を組み合わせることができ、相変化材料の原子の一部が結晶構造において磁性材料の原子によって置換され、その結果、特異な結晶構造を有する新しい単位格子が形成されると考えている。すなわち、磁性材料の原子が、相変化材料の結晶構造を乱すことなく、相変化材料の一部の原子の位置に取って代わるようにされる。このようにして、相変化磁性複合材材料は、相変化材料に関して類似する結晶構造に起因する相変化効果と、結晶構造に存在する磁性原子に起因する磁気効果との両方を示すことができる。
【0019】
[030]
本発明の材料によって提供される利点の1つは、材料のそれぞれの相が相変化特性及び磁気特性の特異な1組に結び付けられることである。このことは、例えば、材料が結晶相から非晶質相への相変化を受けるとき、材料がその相変化特性(例えば、光学的反射率、光学定数)及びその磁気特性(例えば、磁界強さ)の両方における対応する変化を示すことを意味する。二重の特性変化の利点を、広範囲の様々な適用のために、例えば、センシング適用、データ保存適用、論理的適用、認知適用、制御適用、SOC(システムオンチップ)適用及び半導体適用などのために利用することができる。例えば、記録適用については、この特性は、光学的反射率の変化、偏光、振動数及び磁気変化の両方の寄与からの読み出しシグナルを同じ時間及び同じ地点で検出することを可能にし、それにより、本発明の材料を利用する記録用媒体における記録密度及びデータ転送速度を増大させることができる。センシング適用では、この特性は、センシング測定を、電気的、熱的、光学的、磁気的、磁気光学的、熱電気的、電気光学的及びそれらの組合せについて非常に正確にすることができる。
【0020】
[031]
本発明の相変化磁性材料(以降、「PCM材料」として示される)によって示される相変化特性には、非晶質相における大きい電気抵抗率、低い熱伝導性及び低い光反射性の特性、並びに結晶相における低い電気抵抗率、大きい熱伝導性及び大きい光反射性の特性が含まれる。様々な物理的パラメーター(例えば、抵抗率、反射性、吸収、光学定数、屈折率及び吸収係数、誘電率、密度、熱伝導性、熱拡散係数、比熱及び活性エネルギーなど)は、非晶質状態における物理的パラメーターから結晶性状態における物理的パラメーターにまで及ぶ範囲において、部分的結晶性状態によって異なる。これらの特性は、知られている相変化材料によって示される特性と類似しており、したがって、相変化効果として現在知られている。
【0021】
[032]
材料によって示される磁気特性(これは以降、用語「磁気効果」と交換可能に使用される)には、非晶質(無秩序)相における常磁性特性、及び結晶性(秩序)相における磁気特性を有することが含まれる。磁気効果にはまた、磁気特性(例えば、飽和磁化Ms、保持磁界Hc、異方性磁界Hk、一軸異方性定数Ku、スクエアネス(squareness)、残留磁化Mr、飽和磁束密度(saturation induction)Bs、キュリー温度Tc及び補償温度など)の変化が含まれる。これらの特性は、磁性材料によって示される特性と類似しており、したがって、磁気効果として現在知られている。
【0022】
[033]
本発明の相変化磁性複合材材料は、2つの主要な成分、すなわち、相変化成分及び磁性成分を含む。
【0023】
[034]
相変化成分は任意のタイプの相変化材料を含む。相変化材料が、標準的室温(すなわち、25℃)を超える温度で、或いはより好ましくは、100℃を越える高い温度で、又は数百℃を越える高い温度で相変化を示すこと(すなわち、材料がそのような温度で融解し得ること)が一部の実施形態では好ましい。そのような高い温度は任意の好適な収束レーザービーム又は任意の電流もしくは加熱デバイスによってもたらされ得る。記録目的のためには、相変化材料は好ましくは、加熱され、続いて冷却されたとき、結晶相から非晶質相に変化し、結晶性形態を取り戻さない。このようにして、結晶性領域との組合せでの非晶質痕跡を、データを表すために使用することができる。標準的なレーザー装置によって提供され得る温度よりも高い温度で相変化が生じる相変化材料もまた使用することが可能である。そのような材料が使用される場合、そのような材料は、相変化を誘導するために、より大きい操作電力を必要とする。他方で、例えば、建物の熱的隔離のために使用されるパラフィンワックス及びポリイミド(例えば、ポリマー有機物質)などの相変化材料は、相変化温度が比較的低いために、本発明における使用には適していないと見なされる。
【0024】
[035]
1つの実施形態において、相変化材料は、周期表のIIIB族、IVB族、VB族及びVIB族のいずれかに由来する元素から選択される。一部の実施形態において、好ましい元素は、カルコゲン元素のTe、S、Po及びSe、並びに他の元素、例えば、P、As、Sb、Bi、Ge、Sn、Pb、Ga、In及びTiなどから選択され、しかし、これらに限定されない。
【0025】
[036]
現時点で好ましい実施形態において、相変化成分はカルコゲニド合金を含む。好適な二元カルコゲニド合金系、三元カルコゲニド合金系及び四元カルコゲニド合金系の例には、Ge−Te、Sb−Te、Ge−Sb、Sn−Te、Sb−Se、In−Se、Ge−Sb−Te、Pt−Ge−Te、In−Sb−Te、As−Sb−Te、As−Ge−Te、Se−Sb−Te、Sn−Te−Se、Ge−Te−Sn、Sb−Se−Bi、Ga−Te−Se、In−Se−Ti、Ge−Te−Ti、Ge−Te−Sn−O、Ge−Te−Sn−Au、Ge−Te−Sn−Pd、Ag−In−Sb−Te及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。現時点好ましい四元系には、Ge−Sb−Te−X及びIn−Sb−Te−X(式中、Xは遷移金属であり、例えば、Au、Pd、Ir、Ru、Re、Mo、Ta、Zr及びLaなどである)が含まれる。これらの現時点で好ましい合金系におけるそれぞれの元素は任意の好適な原子割合で存在させることができる。現時点で好ましい合金組成のいくつかの例には、例えば、Ge2Sb2Te5、GeSb2Te4、GeSb3Te4、GeSb4Te7、In3SbTe2、Ag5In5Sb60Te30、Sb2Te3、Sb70Te30、GeTe、GeSb、Sb2Se3、Sb2Te3−GeTeが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
[037]
本発明の相変化磁性材料に存在する第2の成分は強磁性成分である。用語「強磁性成分」は、外部磁場に対する大きい正の磁化率を有する材料を示す。典型的には、そのような材料は不対電子を有しており、そのスピンにより、正味の磁気モーメントが強磁性材料のそれぞれの原子において生じる。原子の電子スピンが、ドメインとして知られる微視的領域において整列させられる。これらのドメインにおいて、非常に多数の原子(典型的には約1012個〜1015個)が平行に整列させられ、その結果、ドメイン内部の磁力は強い。強磁性材料が非磁化状態にあるとき、ドメインはほぼランダムに組織化され、その部分についての正味の磁場は全体としてゼロである。強磁性材料が磁場の影響下に置かれるとき、ドメインが磁場により整列させられ、それにより、強い磁場を材料のその部分の内部にもたらす。
【0027】
[038]
1つの実施形態において、本発明において使用される強磁性成分は、鉄、ニッケル及びコバルトの元素から選択されるが、これらに限定されない。さらなる例には、少なくとも1つの強磁性成分(例えば、そのような鉄、ニッケル及びコバルトなど)を含む強磁性合金が含まれる。少なくとも1つの強磁性成分を含む強磁性合金の例には、ほんの少数の例を挙げると、FePt、CoPt、PdCo、TbFeCo、GdFeCo、CoCrPtB及びCoCrPtTaが含まれる。
【0028】
[039]
本発明の材料が従来の記録用媒体(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク及び磁気媒体システムなど)において使用されるとき、相変化成分及び磁性成分のそれぞれの割合が、得られた材料が、従来の相変化媒体、従来の磁気媒体、及び同様にまた、従来の光磁気媒体において望ましい特徴を有するか、又は従来の相変化媒体、従来の磁気媒体、及び同様にまた、従来の光磁気媒体において望ましい特性を示すように選択され、その結果、媒体は、読み取り及び記録のための標準的な装置の要件に従って機能することができる。この目的を達成するために、相変化磁性材料の成分は、複合材材料が、結晶性状態、非晶質状態及び部分的結晶性状態から選択される少なくとも1つの物理的状態を示すように選択することができる。相変化磁性材料の成分はまた、複合材材料が、異なる電気特性、磁気特性、熱特性、結晶化特性及び光学特性を前記少なくとも1つの物理的状態のそれぞれにおいて示すように選択することができる。
【0029】
[040]
相変化光学媒体における望ましい特徴には、結晶相及び非晶質相についての異なる屈折率(光学的コントラストのために)、低い融点(低レーザー出力のために)、大きい結晶化速度及び良好な非晶質安定性が含まれる。磁気媒体における望ましい特徴には、垂直磁気異方性(垂直磁気記録を容易にするために)、小さい結晶粒サイズ、大きい垂直保磁力、大きい垂直異方性、大きいスクエアネス、適切な飽和磁化が含まれる。光磁気媒体における望ましい特徴には、非晶質構造(系のノイズを低下させるための平坦な表面及びドメイン境界のために)、好適なキュリー温度(媒体安定性及び低レーザー出力のために)、キュリー温度の近くでの保磁力の急速な低下(鋭い記録閾値のために)、垂直磁気異方性、化学的安定性(繰り返される加熱・冷却のもとでの一定した材料特性のために)、及び室温での大きい保磁力(媒体安定性、偶発的データ喪失の防止のために)が含まれる。したがって、1つの実施形態において、材料の成分は、上記特性の少なくとも1つを達成するために選択される。
【0030】
[041]
1つの実施形態において、相変化成分及び強磁性成分は、得られた相変化材料が、第1の磁気特性及び第1の相変化特性を伴う結晶相と、第2の磁気特性及び第2の相変化特性を伴う非晶質相とを有するような割合で存在する。材料に存在するそれぞれの成分の割合は、第2の組の磁気特性及び相変化特性が認識可能であり、且つ、第1の組の特性から異なることを可能にし、それにより、これらの特性が、材料上の記録された情報を表すために使用されることを可能にしなければならない。
【0031】
[042]
一部の実施形態において、前記材料の抵抗率ρは一般に、非晶質状態では、1×10−3Ωcm<ρ<1×103Ωcmの範囲、又は0.1Ωcm<ρ<10Ωcmの範囲であり、結晶性状態では、1×10−4Ωcm<ρ<1×10−1Ωcmの範囲、又は1×10−7Ωcm<ρ<1×10−2Ωcmの範囲である。非晶質相と、結晶相との間における前記材料の抵抗率の差は、少なくとも約2〜106の大きさである。他の好ましい実施形態において、結晶相における材料の保磁力は少なくとも約1エルステッドであり、又は場合により、少なくとも約40エルステッドである。
【0032】
[043]
さらなる実施形態において、相変化磁性材料は、相変化材料成分と少なくとも実質的に類似する結晶構造を有する。この実施形態において、磁性材料の原子が、相変化材料の結晶構造を乱すことなく、相変化材料の一部の原子の位置に取って代わる。磁性元素又は磁性材料の原子が、特異な結晶構造を有する新しい単位格子を適切な成長条件のもとで形成するために相変化材料の一部の原子の位置に取って代わり、また、その置換は特定の範囲の置換であるので、これらの材料は相変化効果及び磁気効果の両方を示す。
【0033】
[044]
さらなる実施形態において、相変化磁性材料は下記の式(I)の組成を有する:
AxBy
(式中、
Aは強磁性成分を示し;
Bは相変化成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、1%≦x≦50%であり、
yはBの総原子パーセントを示し、50%≦y≦99%である)。
【0034】
[045]
現時点で好ましい1つの実施形態において、式(I)で定義されるような相変化磁性材料は、Co、Fe、Niの元素及び合金FePtのいずれかから選択される強磁性成分Aと、Sb、Te、GeTe、Sb2Te3、GeSb、Sb70Te30、InSbTe、Ag−In−Sb−Te及びGe−Sb−Teから選択される相変化成分Bとを有する。式(I)を有する複合材材料の化学式は、下記の単純化された化学式の1つから選択することができる:Fe(Sb2Te3)、Co(Sb2Te3)、Ni(Sb2Te3)、FeGeSb、CoGeSb、NiGeSb、Fe(Sb70Te30)、Co(Sb70Te30)、Ni(Sb70Te30)、FeInSbTe、CoInSbTe及びNiInSbTe。例示的な例には、Co6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5、Co3.6Ge20.8Sb30.5Te44.9、Co2.8Ge17.9Sb31.9Te47.1、Co6.1Ge14.3Sb33Te46.5、Co3.0Ge18.5Sb30.1Te48.2、Co5.0Ge16.9Sb31.6Te46.5、Co1.5Ge17.3Sb32.9Te48.3、Co5.4Ge17.2Sb30.5Te46.9、Co2.0Ge17.7Sb32.5Te47.8、Co5.8Ge17.1Sb32.3Te44.8、Co4.6Ge14.9Sb33.4Te47.1、Co10.1Ge14.4Sb34.6Te40.9、Co26.1Ge17.2Sb22.1Te34.6、Co5.6Ge15.8Sb33.6Te45、Fe20.2Ge21.5Sb16.9Te41.4、Fe9.2Ge16.3Sb27.4Te47.2、Fe4.7Ge18.5Sb28.1Te48.6、Fe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6、Fe11.1Ge16Sb25.9Te47.1、Fe1.0Ge15.7Sb35.2Te48.2、Fe7.2Ge14.7Sb32.9Te45.2、Fe28.2Pt32.4Ge30.0Te9.3、Fe4.1Pt4.2Ge64.5Te27.1、Fe2.1Pt5.5Ge63.9Te28.4、Fe1.1Pt2.7Ge64.3Te31.9、Fe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6、Fe5.0Pt6.8Ge59.6Te28.6、Fe1.1Pt1.1Ge50.4Te31.1、Fe4.8Pt4.6Ge58.2Te32.4、及びFe1.2Pt2.5Ge54.2Te41.9、Fe1.0Pt2.0Ge62.1Te34.9が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
[046]
さらなる実施形態において、相変化磁性材料は下記の式(II)の組成を有する:
AxByCz
(式中、
Aは強磁性成分を示し;
Bは相変化成分を示し;
Cはマンガン化合物成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、1%≦x≦40%であり、yはBの総原子パーセントを示し、40%≦y≦98%であり、zはCの総原子パーセントを示し、1%≦y≦20%である)。
【0036】
[047]
現時点で好ましい1つの実施形態において、式(II)で定義されるような相変化磁性材料は、Co、Fe、Niの元素及び合金FePtのいずれかから選択される強磁性成分Aと、Sb、Te、GeTe、Sb2Te3、GeSb、Sb70Te30、InSbTe、Ag−In−Sb−Te及びGe−Sb−Teから選択される相変化成分Bとを有する。第3の成分Cは、MnAs、MnGa、MnSb及びMnAlから選択される。式(II)を有する現時点で好ましい複合材材料の成分A及び成分Bは、現時点で好ましくは、下記の化合物の1つを形成するために組み合わせられる:Fe(Sb2Te3)、Co(Sb2Te3)、Ni(Sb2Te3)、FeGeSb、CoGeSb、NiGeSb、Fe(Sb70Te30)、Co(Sb70Te30)、Ni(Sb70Te30)、FeInSbTe、CoInSbTe及びNiInSbTe。例示的な例には、Co6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5、Co3.6Ge20.8Sb30.5Te44.9、Co2.8Ge17.9Sb31.9Te47.1、Co6.1Ge14.3Sb33Te46.5、CO3.0Ge18.5Sb30.1Te48.2、Co5.0Ge16.9Sb31.6Te46.5、Co1.5Ge17.3Sb32.9Te48.3、Co5.4Ge17.2Sb30.5Te46.9、Co2.0Ge17.7Sb32.5Te47.8、Co5.8Ge17.1Sb32.3Te44.8、Co4.6Ge14.9Sb33.4Te47.1、Co10.1Ge14.4Sb34.6Te40.9、Co26.1Ge17.2Sb22.1Te34.6、Co5.6Ge15.8Sb33.6Te45、Fe20.2Ge21.5Sb16.9Te41.4、Fe9.2Ge16.3Sb27.4Te47.2、Fe4.7Ge18.5Sb28.1Te48.6、Fe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6、Fe11.1Ge16Sb25.9Te47.1、Fe1.0Ge15.7Sb35.2Te48.2、Fe7.2Ge14.7Sb32.9Te45.2、Fe28.2Pt32.4Ge30.0Te9.3、Fe4.1Pt4.2Ge64.5Te27.1、Fe2.1Pt5.5Ge63.9Te28.4、Fe1.1Pt2.7Ge64.3Te31.9、Fe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6、Fe5.0Pt6.8Ge59.6Te28.6、Fe1.1Pt1.1Ge50.4Te31.1、Fe4.8Pt4.6Ge58.2Te32.4、Fe1.2Pt2.5Ge54.2Te41.9、及びFe1.0Pt2.0Ge62.1Te34.9が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
[048]
本発明の相変化磁性材料は、本発明の材料の光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク及び半導体を助ける当分野で知られている任意の好適なタイプの二次的材料との併用で使用され得ることが当業者によって理解される。二次的材料には、例えば、反射性を改善するための色素、湿気による分解を防止するための犠牲塗膜が含まれる。
【0038】
[049]
相変化効果及び磁気効果の両方が材料において示されるために、相変化成分及び強磁性成分は、磁性材料の原子が、相変化材料の結晶構造における何らかの実質的な変化を生じさせることなく、相変化材料の原子に取って代わることを可能にする好適な比率に従って材料に存在し得る。多くの方法が、本発明の相変化磁性材料を合成するために好適である。均一な複合材材料が形成されることを可能にし、したがって、本明細書中において使用することができる方法の例には、レーザーアブレーション、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長、有機金属気相成長、スピンコーティング、分子線エピタキシー(MBE)、溶液ひきあげ法(top−seeded solution growth)、熱加圧、真空溶融及び従来の結晶成長が含まれる。
【0039】
[050]
1つの実施形態において、本発明の材料はレーザーアブレーション又はレーザー合成によって合成される。好ましくは、本発明の材料はレーザー合成により合成される。本発明に関連して、重なるプラズマ領域の内部において新しい材料を合成するための異なるターゲットの二重ビームレーザーアブレーションを伴う合成方法が用語「レーザー合成」に含まれる。レーザー合成は、回転架台に取り付けられる前駆体成分材料を加熱するために使用されるエキシマーレーザーからのレーザーパルスによって行われる。前駆体から放出されたプルーム(plume)が少なくとも部分的に重なるように架台を配置することによって、基板をこの重なる領域の内部に配置することができ、その結果、均一な薄膜を基板上に形成させることができる。この手法が、例えば、Song他(Appl.Phys.A.、第79巻、1349頁〜1352頁、2004)によって記載される。
【0040】
[051]
別の態様において、本発明は、相変化成分及び強磁性成分を含み、磁気効果及び相変化効果の両方を示す相変化磁性材料を含む、情報を記録するための光学記録用媒体に関連する。そのようなものとしての光ディスクの設計、及び光ディスクの製造方法が当業者には知られており、例えば、米国特許第6,469,977号に記載される。そのような光ディスクの実際の実行には、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray、HD−DVDが含まれる。ホログラフィー記録、近接場光学記録、多層光学記録及びマルチレベル記録によるディスクを含む様々な光ディスクの次世代製造物が、近年における集中した研究の対象となっている。本発明による相変化磁性材料の他の使用には、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、三レベルデバイス、制御デバイス及び半導体における使用が含まれる。
【0041】
[052]
実際の使用において、本発明の材料を含む記録層を有する情報記録用媒体には、相変化磁性材料が結晶相又は非晶質相のいずれかで提供される。記録処理時において、レーザーが、光ディスクに存在する記録用トラックの領域を、相変化磁性材料の融点又は結晶化温度を超えて選択的に加熱する。材料は融解され、続いて、層を急冷することによって「凍結」されるか、又は結晶化させられる。非晶質領域の反射率は、ROMタイプのディスクのピット及びランドから生じたシグナルと類似するシグナルを読み出し期間中に生じさせる結晶性領域の反射率とは大きく異なっている。光学的反射率における変化を、記録用媒体における保存されたデータを表すために使用することができる。新しい上書きシグナルを、記録用レーザービームのレーザー出力を調節することによって使用して、存在している記録されたシグナルを消去することによって記録することができる。上書き時において、トラックに沿った一部の非晶質領域が、収束レーザービームの使用により融点よりも低く徐冷することによって結晶相に戻され、材料は、再結晶化を行うために特定の保持時間にわたって、大まかには、融点と、結晶化温度との間の温度に局所的に加熱される。同様に、一部の結晶性領域が、上記で記載されたように、融点を超えて加熱し、その後、急冷することによって非晶質相に転換される。このプロセスは1枚のディスクについて数千回繰り返すことができる。書換可能光学媒体については、バックグラウンドが、場合により、好ましくは結晶性である。本発明の相変化磁性材料を使用する媒体はまた、1回だけ書き込まれるために作製することができる。媒体又はいわゆる「記録可能な媒体」を1回書き込みために、ディスクのバックグラウンドは結晶性又は非晶質のいずかが可能である。
【0042】
[053]
同時に、材料が非晶質状態及び結晶性状態の間で可逆的に変化させられるとき、本発明の材料の磁気特性は、構造的変化のために、それに対応して変化する。したがって、この構造的変化を、磁気特性における変化を伴う読み出しシグナルを測定することによって検出することができる。最後に、光学的反射率変化及び磁気的変化の両方の寄与からの読み出しシグナルが同じ時間及び同じ地点において検出される。記録密度及びデータ転送速度が増大する。従来の相変化媒体については、材料からの光学的反射率変化のみが検出され得るだけである。本発明の材料については、光学的反射率変化及び磁気的変化の両方を同じ時間及び同じ地点(場所)において検出することができる。記録密度及びデータ転送速度が増大する。
【0043】
[054]
材料の磁気特性を利用することにおいて、光磁気ディスクを読み取り、また、光磁気ディスクに書き込むために使用される従来の方法を実施することができる。例えば、読み取り時において、レーザーはビームをディスクに投射し、反射した光の偏光における変化が2進データとして解釈される。反射した光は、ディスクに保存された磁気データに従って変化する。光の偏光における変化が、磁場がディスクの表面に存在することにより生じる(Kerr効果)。偏光した光のビームが表面を照らすと、反射したビームの光偏光は、反射したビームが磁化表面から反射される場合にはわずかに変化する(典型的には1°未満)。磁化が逆向きにされると、偏光における変化(Kerr効果)も同様に逆になる。磁化された領域(ピット)は、通常の光では見ることができず、偏光した光でのみ見ることができる。磁化方向における変化には、0又は1の数字を関連させることができ、したがって、これにより、2進データの保存が可能になる。記録時において、光がより強くなり、したがって、光は材料を1つだけのスポットにおいてキュリー点又は補償温度にまで加熱することができる。このことは、ディスクの反対側に配置された電磁石が局所的な磁気的分極を変化させることを可能にし、この分極は、温度が低下するとき、保持される。材料の保磁力がより高い温度で低下するというこの事実は、熱補助による磁気的記録が比較的弱い磁場とともに行われることを可能にする。
【0044】
[055]
同時に、材料の光偏光が、磁化の逆転のために変化するとき、本発明による材料の構造が、非晶質状態と、結晶性状態との間において可逆的に変化し、この変化は検出することができ、また、反射率の変化が、構造的変化のために、読み出しシグナルから認められる。最後に、光偏光の変化及び光学的反射率の変化の両方の寄与からの組み合わさった読み出しシグナルが同じ時間及び同じ地点/場所において検出される。記録密度及びデータ転送速度が結果として増大する。従来の光磁気媒体については、磁気的逆転による光偏光の変化のみが検出され得るだけである。本発明の材料については、光偏光の変化及び光学的反射率の変化の両方が同じ時間及び同じ地点において検出される。記録密度及びデータ転送速度が結果的に増大する。
【0045】
[実施例1:レーザー合成]
(合成手順)
[056]
本発明者らのレーザー合成システムの概略図を下記の図7(a)に示す。合成をチャンバー8において行った。レーザー10からのKrFエキシマーレーザービームはスプリッター12により2つのビームに分けられ、2つの焦点レンズ(16、18)により、また、2つの反射鏡30により2つの回転しているターゲット14に収束させられた。2つの重なるプルームを基板20の上にそれぞれ作製した。それぞれのターゲットにおけるレーザーフルエンスは0.5J/cm2〜6J/cm2の間である。ターゲットをレーザービームに対して45°で取り付けた。ターゲットを2cm〜8cmの距離で向かい合わせにして、基板20を銀ペーストによって2インチのステンレススチール製ホルダー22に取り付けた。2つの鏡は、分けられたレーザーを集光用レンズに反射させるためである。2×10−6Torrのバックグラウンド圧力をターボ分子ポンプ(示されず)により達成した。成長温度は室温〜900℃の間であった。合成物を典型的には、10Hzの繰返し速度で12000パルスについて成長させた。レーザー合成の後、材料を室温に冷却した。
【0046】
[057]
本発明に関連して、重なるプラズマ領域の内部において新しい材料を合成するための異なるターゲットの二重ビームレーザーアブレーションを伴う合成方法は用語「レーザー合成」と呼ばれる。この方法では、材料合成のための様々な原子、分子、電子、イオン及びクラスターを含む成分が、レーザーアブレーションによって生じる高エネルギー蒸発物である。アブレーションのための短いレーザーパルスの使用は、化学量論をターゲットから基板への物質移動時において保つための一致アブレーションを達成する可能性がより大きく、これにより、新しい材料の組成が容易に制御される。気相化学種とのレーザーの相互作用は比較的弱いので、多くの種類の反応性ガスを材料合成のために入れることができる。この方法は、合成された要素及び組成物を、ターゲット、レーザーフルエンス及び投入ガス、並びに重なるプラズマ領域の内部における基板位置を変化させることによって調整することにおいて柔軟性がある。好ましい単結晶基板を、新しい材料の結晶成長をもたらすために選ぶことができる。この方法ではまた、新しい材料合成のための適切な環境を提供するために、基板を高い温度に加熱することができる。この方法は費用がかからず、簡便であり、また、迅速に新しい材料を合成することができる。
【0047】
[058]
上記の実験条件にしたがって、1つのターゲットを、Fe、Co、FePtから選択し、別のターゲットをGe2Sb2Te5及びGeTeから選択した。3群の相変化磁性材料を合成した。それらは、Co−Ge−Sb−Te系、Fe−Ge−Sb−Te系及びFe−Pt−Ge−Te系を含んでいた。製造された材料の組成をX線電子分光法(XPS)によって分析した。結晶構造をXRDによって分析した。磁気特性、電気特性及び光学特性をすべて調べた。
【0048】
[059]
図2a〜図2dに示されるように、従来の相変化材料(例えば、Ge2Sb2Te5及びGeTeなど)は抗磁性特性を示し、一方、本発明の相変化磁性材料は磁気特性を示す。比較において、図3a及び図3bに示されるように、結晶性状態における相変化磁性材料は、非晶質状態における相変化磁性材料よりも強い磁気特性を示す。このことは、相変化磁性材料の磁気特性が相変化磁性材料の状態変化とともに変化することを示している。
【0049】
[060]
図4は、本発明の1つの実施形態による相変化磁性材料についてパルスレーザーによって誘導された非晶質相及び結晶相の間におけるコントラスト変化を示す顕微鏡写真である。相変化磁性材料が、異なる光学特性を、非晶質相と、結晶相との間において有することが示され、このことは相変化材料に関して類似している。
【0050】
[061]
図5は、非晶質状態及び結晶性状態において従来の相変化材料及び本発明の1つの実施形態による相変化磁性材料の電気抵抗率を比較するデータの表を示す。相変化材料及び相変化磁性材料の両方が、電気特性における比較的大きい差を、非晶質状態と、結晶性状態との間において示すことが示される。このことは、相変化磁性材料が、従来の相変化材料に関して類似する電気特性を有することを意味する。
【0051】
[062]
まとめると、本発明の相変化磁性材料は、従来の相変化材料の特徴を示すだけでなく、磁性半導体材料の磁気特性及び特徴をも示す。
【0052】
[063]
図6aは、サンプルFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。図から認められるように、この材料は結晶性のピークを示し、したがって、このことから、300℃で合成されたFe−Ge−Sb−Te系についての結晶相の存在が確認された。ピーク位置の分析から、合成されたFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の結晶構造がGe2Sb2Te5の結晶構造に類似していることが認められた。
【0053】
[064]
第2のサンプルは、上記で記載された合成手順に従って合成されたFe−Pt−Ge−Te系を含んでいた。XPS分析では、合成物の組成がFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6であることが解明された。図6bはこのサンプルの結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。このXRDプロフィルから認められ得るように、この材料は結晶性のピークを示し、したがって、このことから、300℃で合成されたFe−Pt−Ge−Te系についての結晶相の存在が確認された。ピーク位置の分析から、合成されたFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6の結晶構造がGeTeの結晶構造に類似していることが認められた。
【0054】
[065]
図6a〜図6bに示される実験結果に基づいて、相変化磁性材料は、相変化材料と類似する結晶構造、又は相変化材料を合成するために使用された相変化材料成分と類似する結晶構造を有すると結論することができる。この特性についての1つの考えられる説明は、磁性材料の原子が、相変化材料の単位格子において、その結晶構造の乱れ/破壊を伴うことなく、相変化材料の原子に取って代わっていることである。したがって、この新しい材料は、相変化材料とのその類似した結晶構造に起因する相変化効果だけでなく、結晶構造における磁性原子の存在によって引き起こされる磁気効果もまた示す。
【0055】
[実施例2:スパッタリングによる合成]
(合成手順)
[066]
スパッタリング法を、本発明による材料を合成するために用いることができる。Leybold Vacuumによって供給され、図7(b)に概略的に例示される本発明者らのスパッタリングシステムにおいて、2つのDCスパッタリングカソード及び2つのRFスパッタリングカソードを設置し、4つのターゲット(そのうちの2つには、DC01及びDC02と標識し、残りには、RF02及びRF01と標識する)は互いに物理的に離れている。カソードの位置は図7(b)においてターゲットの下側である。回転する基板が水冷の回転台の上に置かれており、基板ホルダーをターゲットから50mm上方に設置した。プレシャッター48(これは開閉を制御することができる)が、ターゲットと基板ホルダーとの間にある。基板、ターゲット及びシャッターを真空チャンバー内に設置する。アルゴンガス50を低圧でチャンバー内に導入し、スパッタリングガスとして使用する。ガスプラズマを、電源を使用して当て、ガスをイオン化させる。イオンはターゲット表面に向かって加速され、ターゲット表面に衝突し、ターゲット原子がターゲットから離脱し、基板表面に堆積する。本発明による材料の薄い薄膜が、目標となるターゲットの下に基板をしばらく置き、コンピューター60によって制御されるプログラムされた時間の期間中、シャッターを開くことによって基板上に製造される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】[017] 本発明の1つの実施形態による相変化磁性材料の合成を示す概略図である。
【図2a】[018] 従来の相変化材料(Ge2Sb2Te5)の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。図から認められ得るように、この材料は抗磁気特性を示す。
【図2b】[019] 相変化材料、すなわち、本発明の1つの実施形態によるFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。38エルステッドの保磁力値Hoがゼロの磁化で認められる。
【図2c】[020] GeTeの相変化材料の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。
【図2d】[021] 本発明によるFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6の相変化磁性材料の磁気特性を示す。[022] 図2(a〜d)に示されるように、従来の相変化材料は抗磁気特性を示し、一方で、本発明による相変化磁性材料は磁気特性を示す。
【図3a】[023] 非晶質状態におけるCo6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。
【図3b】結晶性状態におけるCo6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。
【図4】[024] レーザーパルスによって誘導されたときの非晶質相及び結晶相における本発明による材料の顕微鏡写真である。この写真は、この相変化磁性材料が、相変化材料と同様な、非晶質相及び結晶相における異なる光学特性を有することを示す。実験ではまた、結晶と、非晶質との間において、結晶性割合xが0<x<1の範囲にあることを意味する部分的な結晶性状態が存在することが示された。
【図5】[025] 従来の相変化材料及び本発明の相変化磁性材料の電気抵抗率を非晶質状態及び結晶性状態において比較するデータの表である。データから、本発明による相変化磁性材料が、相変化材料と類似する電気特性を有することが示される。
【図6a】[026] 相変化磁性材料であるFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。
【図6b】相変化磁性材料であるFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6の結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。
【図7a】[027] 本発明の相変化磁性材料を合成するために使用することができるレーザーアブレーションシステムの概略図を示す。
【図7b】本発明の相変化磁性材料を合成するために使用することができるスパッタリングシステムの概略図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[001]
本発明は新規な材料(具体的には、新規な相変化磁性材料)及びその作製方法に関連する。本発明はまた、光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス(three level device)、制御デバイス、SOC(システムオンチップ)デバイス及び半導体におけるそのような材料の使用に関連する。
【0002】
[発明の背景]
[002]
この30年間にわたって、書換可能媒体のための材料が科学界及び産業界ではますます高まる注目を受けている。カルコゲニド薄膜材料が1968年に発見された以降、様々な材料が、電気的な書き込み及び消去が行われる不揮発メモリデバイス、認知半導体及び書換可能光ディスクをはじめとする多くの重要な適用において用途が見出される複合技術に発達している。
【0003】
[003]
近年の研究努力は、不揮発性の相変化ランダムアクセスメモリ、並びに大きな記憶容量及び速い読み取り・書き込み速度を有する書換可能ディスクの開発に集中している。現在広く使用されているそのような書換可能媒体には、書換可能コンパクトディスク(CD−RW)、書換可能デジタルビデオディスク(DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)、及び書換可能青色レーザー光ディスク(Blu−ray、HD−DVD)が含まれる。
【0004】
[004]
相変化媒体では、相変化材料が記録用媒体として利用される。この媒体は熱的に書き込まれ、光学的に読み取られる。データは、結晶相と非晶質相との間の材料の相変化を誘導することによって書き込まれ、また、消去される。レーザービームが、典型的には、媒体を加熱して相変化を引き起こすために使用される。それぞれの相には、光反射性の異なるレベルが伴い、すなわち、結晶相は反射性が高く、非晶質相は反射性が低いので、低反射性の痕跡及び高反射性の背景部分の両方を、コンピューター読み取り可能なデータビットを表すために材料上に形成することができる。
【0005】
[005]
光ディスク用の書換可能材料の使用が1971年に初めて報告され、この場合、記録用媒体はカルコゲニドの相変化複合材材料を含んでいた(Feinleib他、Appl.Phys.Lett.、第18巻(1971)、254頁)。それ以降、コンピューターのデータサイズにおける増大、並びにより大きい記憶容量及びより速い読み取り・書き込み速度の要求における対応する増大に応えて、書換可能媒体のための新しい材料を提供するために、多くの試みがなされている。
【0006】
[006]
例えば、米国特許第5,709,978号は、相変化成分(例えば、Sb−Te−Geなど)と、少なくとも1つのランタニド元素と、遷移金属とを記録用材料が含む両面光ディスクにおいて使用される相変化型の記録用薄膜を開示している。記録用薄膜が記録時及び消去時に流動及び分離しないように、高融点成分を記録用薄膜に析出させて相変化成分と共存させる。
【0007】
[007]
広く使用されている別のタイプの書換可能媒体が、光磁気(MO)媒体(これは、例えば、ミニディスクにおいて使用される)である。MO媒体は、磁気記憶デバイス及び光学記憶デバイスの両方の原理に基づいて作動し、書き込みは、熱処理後、磁気的に行われ、読み取りは光学的に行われる。典型的には、収束レーザービームを媒体の一方の側に当てて、MO材料をそのキュリー点又は補償温度に加熱し、したがって、MO媒体を磁場に対して感受性にする。その後、ディスクの反対側に配置された磁気ヘッドを作動させて、加熱された領域の磁気光学極性を変化させることによってデジタルデータをディスク上に記録する。
【0008】
[008]
米国特許第6,132,524号は、半導体磁気光学媒体の一例を開示している。この材料は、微細な磁性粒子が分散されている半導体(例えば、MsAs:GaAsなど)を含む。この材料は室温で磁気光学効果を示し、シグナル処理のために、また、光アイソレータ及び集積回路を製造するために使用することができる。
【0009】
[009]
2種類以上の材料成分を含む複合材、及び記録用媒体におけるその使用が、米国特許第5,709,978号に開示されている。そのような複合材の合成の実施において、複合材の材料成分を合わせて、1つの混合物から調製するか、又は1つの材料成分を他方の材料成分に析出させる。そのような複合材は磁気特性又は相変化特性のいずれかを個々には示すが、磁気特性及び相変化特性の両方を同時に示すことができない。
【0010】
[010]
光ディスク用材料に関するいくつかの研究が行われている。光学的書換可能ディスクにおける消去プロセスの研究において、Shi他は、光学的書換可能ディスクにおける相変化材料(Ge2Sb2Te5)の使用、及びそのようなディスクでのデータの消去に関連する動的な結晶化挙動を開示する(Jpn.J.Appl.Phys.、第42巻、Part 1、No.2B、841頁〜847頁、2003)。
【0011】
[011]
別の研究において、Sato他は、半導体デバイスのための、GaNに基づく強磁性の希釈磁性半導体を開示している(Jpn.J.Appl.Phys.、第40巻、Part 2、No.5B、L485頁〜L487頁、2001)。さらに別の研究において、Sun他(Appl.Phys.Lett.、第82巻、No.12、1902頁〜1904頁、2003)は、CuにスパッタリングされたFePt磁性薄膜の使用を開示している。
【0012】
[012]
行われてきたこれらの開発にもかかわらず、現在の材料における様々な制限が依然として存在する。例えば、書換可能光学媒体の容量及び記録速度は現在、記録用材料のレーザー回折限界及び結晶化速度によって制限される。したがって、新しい特徴を有する新しい材料を提供するために引き続き努力が必要である。
【0013】
[013]
したがって、新しい材料、例えば、改善された性能をもたらす新しい材料を提供することが本発明の目的の1つである。
【0014】
[発明の概要]
[014]
本発明の第1の態様によれば、相変化材料成分及び強磁性材料成分を含む相変化磁性複合材材料が提供される。この材料は、第1の磁気特性及び第1の相変化材料特性を伴う結晶相を有する。加えて、この材料は、第2の磁気特性及び第2の相変化材料特性を伴う非晶質相を有する。本発明の材料は、特異な電気特性、磁気特性、熱特性、結晶化特性及び光学特性を異なる相(例えば、完全に結晶性の状態、非晶質相及び部分的結晶相など)において有する。本発明の材料は磁気効果及び相変化効果の両方を示し、広範囲の様々な適用において使用することができる。本発明の材料を使用し得る適用の例には、光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス、制御デバイス、SOCデバイス及び半導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
[015]
本発明の別の態様によれば、本発明の相変化磁性材料を含む、情報を記録するための光学記録用媒体が提供される。本発明による材料は、異なる相状態(例えば、結晶性状態、非晶質状態及び部分的結晶性状態など)において、異なる電気特性、磁気特性及び光学特性を有する。本発明はさらに、様々なデバイス(例えば、固体メモリデバイス、半導体、論理デバイス、磁気ランダムアクセスメモリデバイス、人工ニューロンネットワーク及び相変化ランダムアクセスメモリデバイスなど)における相変化磁性材料の使用に関連する。
【0016】
[016]
本発明のこれらの態様及び他の態様は、下記の説明、図面及び非限定的な実施例を考慮してより完全に理解されよう。
【0017】
[詳細な説明]
[028]
本発明は、相変化材料及び磁性材料を、相変化効果並びに磁気効果の両方を示す均一な複合材材料を形成するために使用し得るという発見に基づく。本発明に関連して、材料が相変化を受けたときに、その材料がその物理的特性の変化を示す場合、その材料は相変化効果を示すと言われる。このような物理的特性の例には、抵抗率、異なる波長での吸収、光学定数、分散関係、誘電率、密度、熱伝導性、熱拡散係数、比熱、活性エネルギー、格子定数、結晶化温度、ガラス転移が含まれる。同様に、材料が磁場を受けている場合、その材料は磁気効果を示すと言われる。
【0018】
[029]
理論によって拘束されることを望まないが、本発明者らは現在、適切な成長条件下では、得られる相変化磁性材料の結晶構造が変化するように、相変化成分及び磁性成分を組み合わせることができ、相変化材料の原子の一部が結晶構造において磁性材料の原子によって置換され、その結果、特異な結晶構造を有する新しい単位格子が形成されると考えている。すなわち、磁性材料の原子が、相変化材料の結晶構造を乱すことなく、相変化材料の一部の原子の位置に取って代わるようにされる。このようにして、相変化磁性複合材材料は、相変化材料に関して類似する結晶構造に起因する相変化効果と、結晶構造に存在する磁性原子に起因する磁気効果との両方を示すことができる。
【0019】
[030]
本発明の材料によって提供される利点の1つは、材料のそれぞれの相が相変化特性及び磁気特性の特異な1組に結び付けられることである。このことは、例えば、材料が結晶相から非晶質相への相変化を受けるとき、材料がその相変化特性(例えば、光学的反射率、光学定数)及びその磁気特性(例えば、磁界強さ)の両方における対応する変化を示すことを意味する。二重の特性変化の利点を、広範囲の様々な適用のために、例えば、センシング適用、データ保存適用、論理的適用、認知適用、制御適用、SOC(システムオンチップ)適用及び半導体適用などのために利用することができる。例えば、記録適用については、この特性は、光学的反射率の変化、偏光、振動数及び磁気変化の両方の寄与からの読み出しシグナルを同じ時間及び同じ地点で検出することを可能にし、それにより、本発明の材料を利用する記録用媒体における記録密度及びデータ転送速度を増大させることができる。センシング適用では、この特性は、センシング測定を、電気的、熱的、光学的、磁気的、磁気光学的、熱電気的、電気光学的及びそれらの組合せについて非常に正確にすることができる。
【0020】
[031]
本発明の相変化磁性材料(以降、「PCM材料」として示される)によって示される相変化特性には、非晶質相における大きい電気抵抗率、低い熱伝導性及び低い光反射性の特性、並びに結晶相における低い電気抵抗率、大きい熱伝導性及び大きい光反射性の特性が含まれる。様々な物理的パラメーター(例えば、抵抗率、反射性、吸収、光学定数、屈折率及び吸収係数、誘電率、密度、熱伝導性、熱拡散係数、比熱及び活性エネルギーなど)は、非晶質状態における物理的パラメーターから結晶性状態における物理的パラメーターにまで及ぶ範囲において、部分的結晶性状態によって異なる。これらの特性は、知られている相変化材料によって示される特性と類似しており、したがって、相変化効果として現在知られている。
【0021】
[032]
材料によって示される磁気特性(これは以降、用語「磁気効果」と交換可能に使用される)には、非晶質(無秩序)相における常磁性特性、及び結晶性(秩序)相における磁気特性を有することが含まれる。磁気効果にはまた、磁気特性(例えば、飽和磁化Ms、保持磁界Hc、異方性磁界Hk、一軸異方性定数Ku、スクエアネス(squareness)、残留磁化Mr、飽和磁束密度(saturation induction)Bs、キュリー温度Tc及び補償温度など)の変化が含まれる。これらの特性は、磁性材料によって示される特性と類似しており、したがって、磁気効果として現在知られている。
【0022】
[033]
本発明の相変化磁性複合材材料は、2つの主要な成分、すなわち、相変化成分及び磁性成分を含む。
【0023】
[034]
相変化成分は任意のタイプの相変化材料を含む。相変化材料が、標準的室温(すなわち、25℃)を超える温度で、或いはより好ましくは、100℃を越える高い温度で、又は数百℃を越える高い温度で相変化を示すこと(すなわち、材料がそのような温度で融解し得ること)が一部の実施形態では好ましい。そのような高い温度は任意の好適な収束レーザービーム又は任意の電流もしくは加熱デバイスによってもたらされ得る。記録目的のためには、相変化材料は好ましくは、加熱され、続いて冷却されたとき、結晶相から非晶質相に変化し、結晶性形態を取り戻さない。このようにして、結晶性領域との組合せでの非晶質痕跡を、データを表すために使用することができる。標準的なレーザー装置によって提供され得る温度よりも高い温度で相変化が生じる相変化材料もまた使用することが可能である。そのような材料が使用される場合、そのような材料は、相変化を誘導するために、より大きい操作電力を必要とする。他方で、例えば、建物の熱的隔離のために使用されるパラフィンワックス及びポリイミド(例えば、ポリマー有機物質)などの相変化材料は、相変化温度が比較的低いために、本発明における使用には適していないと見なされる。
【0024】
[035]
1つの実施形態において、相変化材料は、周期表のIIIB族、IVB族、VB族及びVIB族のいずれかに由来する元素から選択される。一部の実施形態において、好ましい元素は、カルコゲン元素のTe、S、Po及びSe、並びに他の元素、例えば、P、As、Sb、Bi、Ge、Sn、Pb、Ga、In及びTiなどから選択され、しかし、これらに限定されない。
【0025】
[036]
現時点で好ましい実施形態において、相変化成分はカルコゲニド合金を含む。好適な二元カルコゲニド合金系、三元カルコゲニド合金系及び四元カルコゲニド合金系の例には、Ge−Te、Sb−Te、Ge−Sb、Sn−Te、Sb−Se、In−Se、Ge−Sb−Te、Pt−Ge−Te、In−Sb−Te、As−Sb−Te、As−Ge−Te、Se−Sb−Te、Sn−Te−Se、Ge−Te−Sn、Sb−Se−Bi、Ga−Te−Se、In−Se−Ti、Ge−Te−Ti、Ge−Te−Sn−O、Ge−Te−Sn−Au、Ge−Te−Sn−Pd、Ag−In−Sb−Te及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。現時点好ましい四元系には、Ge−Sb−Te−X及びIn−Sb−Te−X(式中、Xは遷移金属であり、例えば、Au、Pd、Ir、Ru、Re、Mo、Ta、Zr及びLaなどである)が含まれる。これらの現時点で好ましい合金系におけるそれぞれの元素は任意の好適な原子割合で存在させることができる。現時点で好ましい合金組成のいくつかの例には、例えば、Ge2Sb2Te5、GeSb2Te4、GeSb3Te4、GeSb4Te7、In3SbTe2、Ag5In5Sb60Te30、Sb2Te3、Sb70Te30、GeTe、GeSb、Sb2Se3、Sb2Te3−GeTeが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
[037]
本発明の相変化磁性材料に存在する第2の成分は強磁性成分である。用語「強磁性成分」は、外部磁場に対する大きい正の磁化率を有する材料を示す。典型的には、そのような材料は不対電子を有しており、そのスピンにより、正味の磁気モーメントが強磁性材料のそれぞれの原子において生じる。原子の電子スピンが、ドメインとして知られる微視的領域において整列させられる。これらのドメインにおいて、非常に多数の原子(典型的には約1012個〜1015個)が平行に整列させられ、その結果、ドメイン内部の磁力は強い。強磁性材料が非磁化状態にあるとき、ドメインはほぼランダムに組織化され、その部分についての正味の磁場は全体としてゼロである。強磁性材料が磁場の影響下に置かれるとき、ドメインが磁場により整列させられ、それにより、強い磁場を材料のその部分の内部にもたらす。
【0027】
[038]
1つの実施形態において、本発明において使用される強磁性成分は、鉄、ニッケル及びコバルトの元素から選択されるが、これらに限定されない。さらなる例には、少なくとも1つの強磁性成分(例えば、そのような鉄、ニッケル及びコバルトなど)を含む強磁性合金が含まれる。少なくとも1つの強磁性成分を含む強磁性合金の例には、ほんの少数の例を挙げると、FePt、CoPt、PdCo、TbFeCo、GdFeCo、CoCrPtB及びCoCrPtTaが含まれる。
【0028】
[039]
本発明の材料が従来の記録用媒体(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク及び磁気媒体システムなど)において使用されるとき、相変化成分及び磁性成分のそれぞれの割合が、得られた材料が、従来の相変化媒体、従来の磁気媒体、及び同様にまた、従来の光磁気媒体において望ましい特徴を有するか、又は従来の相変化媒体、従来の磁気媒体、及び同様にまた、従来の光磁気媒体において望ましい特性を示すように選択され、その結果、媒体は、読み取り及び記録のための標準的な装置の要件に従って機能することができる。この目的を達成するために、相変化磁性材料の成分は、複合材材料が、結晶性状態、非晶質状態及び部分的結晶性状態から選択される少なくとも1つの物理的状態を示すように選択することができる。相変化磁性材料の成分はまた、複合材材料が、異なる電気特性、磁気特性、熱特性、結晶化特性及び光学特性を前記少なくとも1つの物理的状態のそれぞれにおいて示すように選択することができる。
【0029】
[040]
相変化光学媒体における望ましい特徴には、結晶相及び非晶質相についての異なる屈折率(光学的コントラストのために)、低い融点(低レーザー出力のために)、大きい結晶化速度及び良好な非晶質安定性が含まれる。磁気媒体における望ましい特徴には、垂直磁気異方性(垂直磁気記録を容易にするために)、小さい結晶粒サイズ、大きい垂直保磁力、大きい垂直異方性、大きいスクエアネス、適切な飽和磁化が含まれる。光磁気媒体における望ましい特徴には、非晶質構造(系のノイズを低下させるための平坦な表面及びドメイン境界のために)、好適なキュリー温度(媒体安定性及び低レーザー出力のために)、キュリー温度の近くでの保磁力の急速な低下(鋭い記録閾値のために)、垂直磁気異方性、化学的安定性(繰り返される加熱・冷却のもとでの一定した材料特性のために)、及び室温での大きい保磁力(媒体安定性、偶発的データ喪失の防止のために)が含まれる。したがって、1つの実施形態において、材料の成分は、上記特性の少なくとも1つを達成するために選択される。
【0030】
[041]
1つの実施形態において、相変化成分及び強磁性成分は、得られた相変化材料が、第1の磁気特性及び第1の相変化特性を伴う結晶相と、第2の磁気特性及び第2の相変化特性を伴う非晶質相とを有するような割合で存在する。材料に存在するそれぞれの成分の割合は、第2の組の磁気特性及び相変化特性が認識可能であり、且つ、第1の組の特性から異なることを可能にし、それにより、これらの特性が、材料上の記録された情報を表すために使用されることを可能にしなければならない。
【0031】
[042]
一部の実施形態において、前記材料の抵抗率ρは一般に、非晶質状態では、1×10−3Ωcm<ρ<1×103Ωcmの範囲、又は0.1Ωcm<ρ<10Ωcmの範囲であり、結晶性状態では、1×10−4Ωcm<ρ<1×10−1Ωcmの範囲、又は1×10−7Ωcm<ρ<1×10−2Ωcmの範囲である。非晶質相と、結晶相との間における前記材料の抵抗率の差は、少なくとも約2〜106の大きさである。他の好ましい実施形態において、結晶相における材料の保磁力は少なくとも約1エルステッドであり、又は場合により、少なくとも約40エルステッドである。
【0032】
[043]
さらなる実施形態において、相変化磁性材料は、相変化材料成分と少なくとも実質的に類似する結晶構造を有する。この実施形態において、磁性材料の原子が、相変化材料の結晶構造を乱すことなく、相変化材料の一部の原子の位置に取って代わる。磁性元素又は磁性材料の原子が、特異な結晶構造を有する新しい単位格子を適切な成長条件のもとで形成するために相変化材料の一部の原子の位置に取って代わり、また、その置換は特定の範囲の置換であるので、これらの材料は相変化効果及び磁気効果の両方を示す。
【0033】
[044]
さらなる実施形態において、相変化磁性材料は下記の式(I)の組成を有する:
AxBy
(式中、
Aは強磁性成分を示し;
Bは相変化成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、1%≦x≦50%であり、
yはBの総原子パーセントを示し、50%≦y≦99%である)。
【0034】
[045]
現時点で好ましい1つの実施形態において、式(I)で定義されるような相変化磁性材料は、Co、Fe、Niの元素及び合金FePtのいずれかから選択される強磁性成分Aと、Sb、Te、GeTe、Sb2Te3、GeSb、Sb70Te30、InSbTe、Ag−In−Sb−Te及びGe−Sb−Teから選択される相変化成分Bとを有する。式(I)を有する複合材材料の化学式は、下記の単純化された化学式の1つから選択することができる:Fe(Sb2Te3)、Co(Sb2Te3)、Ni(Sb2Te3)、FeGeSb、CoGeSb、NiGeSb、Fe(Sb70Te30)、Co(Sb70Te30)、Ni(Sb70Te30)、FeInSbTe、CoInSbTe及びNiInSbTe。例示的な例には、Co6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5、Co3.6Ge20.8Sb30.5Te44.9、Co2.8Ge17.9Sb31.9Te47.1、Co6.1Ge14.3Sb33Te46.5、Co3.0Ge18.5Sb30.1Te48.2、Co5.0Ge16.9Sb31.6Te46.5、Co1.5Ge17.3Sb32.9Te48.3、Co5.4Ge17.2Sb30.5Te46.9、Co2.0Ge17.7Sb32.5Te47.8、Co5.8Ge17.1Sb32.3Te44.8、Co4.6Ge14.9Sb33.4Te47.1、Co10.1Ge14.4Sb34.6Te40.9、Co26.1Ge17.2Sb22.1Te34.6、Co5.6Ge15.8Sb33.6Te45、Fe20.2Ge21.5Sb16.9Te41.4、Fe9.2Ge16.3Sb27.4Te47.2、Fe4.7Ge18.5Sb28.1Te48.6、Fe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6、Fe11.1Ge16Sb25.9Te47.1、Fe1.0Ge15.7Sb35.2Te48.2、Fe7.2Ge14.7Sb32.9Te45.2、Fe28.2Pt32.4Ge30.0Te9.3、Fe4.1Pt4.2Ge64.5Te27.1、Fe2.1Pt5.5Ge63.9Te28.4、Fe1.1Pt2.7Ge64.3Te31.9、Fe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6、Fe5.0Pt6.8Ge59.6Te28.6、Fe1.1Pt1.1Ge50.4Te31.1、Fe4.8Pt4.6Ge58.2Te32.4、及びFe1.2Pt2.5Ge54.2Te41.9、Fe1.0Pt2.0Ge62.1Te34.9が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
[046]
さらなる実施形態において、相変化磁性材料は下記の式(II)の組成を有する:
AxByCz
(式中、
Aは強磁性成分を示し;
Bは相変化成分を示し;
Cはマンガン化合物成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、1%≦x≦40%であり、yはBの総原子パーセントを示し、40%≦y≦98%であり、zはCの総原子パーセントを示し、1%≦y≦20%である)。
【0036】
[047]
現時点で好ましい1つの実施形態において、式(II)で定義されるような相変化磁性材料は、Co、Fe、Niの元素及び合金FePtのいずれかから選択される強磁性成分Aと、Sb、Te、GeTe、Sb2Te3、GeSb、Sb70Te30、InSbTe、Ag−In−Sb−Te及びGe−Sb−Teから選択される相変化成分Bとを有する。第3の成分Cは、MnAs、MnGa、MnSb及びMnAlから選択される。式(II)を有する現時点で好ましい複合材材料の成分A及び成分Bは、現時点で好ましくは、下記の化合物の1つを形成するために組み合わせられる:Fe(Sb2Te3)、Co(Sb2Te3)、Ni(Sb2Te3)、FeGeSb、CoGeSb、NiGeSb、Fe(Sb70Te30)、Co(Sb70Te30)、Ni(Sb70Te30)、FeInSbTe、CoInSbTe及びNiInSbTe。例示的な例には、Co6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5、Co3.6Ge20.8Sb30.5Te44.9、Co2.8Ge17.9Sb31.9Te47.1、Co6.1Ge14.3Sb33Te46.5、CO3.0Ge18.5Sb30.1Te48.2、Co5.0Ge16.9Sb31.6Te46.5、Co1.5Ge17.3Sb32.9Te48.3、Co5.4Ge17.2Sb30.5Te46.9、Co2.0Ge17.7Sb32.5Te47.8、Co5.8Ge17.1Sb32.3Te44.8、Co4.6Ge14.9Sb33.4Te47.1、Co10.1Ge14.4Sb34.6Te40.9、Co26.1Ge17.2Sb22.1Te34.6、Co5.6Ge15.8Sb33.6Te45、Fe20.2Ge21.5Sb16.9Te41.4、Fe9.2Ge16.3Sb27.4Te47.2、Fe4.7Ge18.5Sb28.1Te48.6、Fe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6、Fe11.1Ge16Sb25.9Te47.1、Fe1.0Ge15.7Sb35.2Te48.2、Fe7.2Ge14.7Sb32.9Te45.2、Fe28.2Pt32.4Ge30.0Te9.3、Fe4.1Pt4.2Ge64.5Te27.1、Fe2.1Pt5.5Ge63.9Te28.4、Fe1.1Pt2.7Ge64.3Te31.9、Fe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6、Fe5.0Pt6.8Ge59.6Te28.6、Fe1.1Pt1.1Ge50.4Te31.1、Fe4.8Pt4.6Ge58.2Te32.4、Fe1.2Pt2.5Ge54.2Te41.9、及びFe1.0Pt2.0Ge62.1Te34.9が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
[048]
本発明の相変化磁性材料は、本発明の材料の光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク及び半導体を助ける当分野で知られている任意の好適なタイプの二次的材料との併用で使用され得ることが当業者によって理解される。二次的材料には、例えば、反射性を改善するための色素、湿気による分解を防止するための犠牲塗膜が含まれる。
【0038】
[049]
相変化効果及び磁気効果の両方が材料において示されるために、相変化成分及び強磁性成分は、磁性材料の原子が、相変化材料の結晶構造における何らかの実質的な変化を生じさせることなく、相変化材料の原子に取って代わることを可能にする好適な比率に従って材料に存在し得る。多くの方法が、本発明の相変化磁性材料を合成するために好適である。均一な複合材材料が形成されることを可能にし、したがって、本明細書中において使用することができる方法の例には、レーザーアブレーション、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長、有機金属気相成長、スピンコーティング、分子線エピタキシー(MBE)、溶液ひきあげ法(top−seeded solution growth)、熱加圧、真空溶融及び従来の結晶成長が含まれる。
【0039】
[050]
1つの実施形態において、本発明の材料はレーザーアブレーション又はレーザー合成によって合成される。好ましくは、本発明の材料はレーザー合成により合成される。本発明に関連して、重なるプラズマ領域の内部において新しい材料を合成するための異なるターゲットの二重ビームレーザーアブレーションを伴う合成方法が用語「レーザー合成」に含まれる。レーザー合成は、回転架台に取り付けられる前駆体成分材料を加熱するために使用されるエキシマーレーザーからのレーザーパルスによって行われる。前駆体から放出されたプルーム(plume)が少なくとも部分的に重なるように架台を配置することによって、基板をこの重なる領域の内部に配置することができ、その結果、均一な薄膜を基板上に形成させることができる。この手法が、例えば、Song他(Appl.Phys.A.、第79巻、1349頁〜1352頁、2004)によって記載される。
【0040】
[051]
別の態様において、本発明は、相変化成分及び強磁性成分を含み、磁気効果及び相変化効果の両方を示す相変化磁性材料を含む、情報を記録するための光学記録用媒体に関連する。そのようなものとしての光ディスクの設計、及び光ディスクの製造方法が当業者には知られており、例えば、米国特許第6,469,977号に記載される。そのような光ディスクの実際の実行には、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray、HD−DVDが含まれる。ホログラフィー記録、近接場光学記録、多層光学記録及びマルチレベル記録によるディスクを含む様々な光ディスクの次世代製造物が、近年における集中した研究の対象となっている。本発明による相変化磁性材料の他の使用には、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、三レベルデバイス、制御デバイス及び半導体における使用が含まれる。
【0041】
[052]
実際の使用において、本発明の材料を含む記録層を有する情報記録用媒体には、相変化磁性材料が結晶相又は非晶質相のいずれかで提供される。記録処理時において、レーザーが、光ディスクに存在する記録用トラックの領域を、相変化磁性材料の融点又は結晶化温度を超えて選択的に加熱する。材料は融解され、続いて、層を急冷することによって「凍結」されるか、又は結晶化させられる。非晶質領域の反射率は、ROMタイプのディスクのピット及びランドから生じたシグナルと類似するシグナルを読み出し期間中に生じさせる結晶性領域の反射率とは大きく異なっている。光学的反射率における変化を、記録用媒体における保存されたデータを表すために使用することができる。新しい上書きシグナルを、記録用レーザービームのレーザー出力を調節することによって使用して、存在している記録されたシグナルを消去することによって記録することができる。上書き時において、トラックに沿った一部の非晶質領域が、収束レーザービームの使用により融点よりも低く徐冷することによって結晶相に戻され、材料は、再結晶化を行うために特定の保持時間にわたって、大まかには、融点と、結晶化温度との間の温度に局所的に加熱される。同様に、一部の結晶性領域が、上記で記載されたように、融点を超えて加熱し、その後、急冷することによって非晶質相に転換される。このプロセスは1枚のディスクについて数千回繰り返すことができる。書換可能光学媒体については、バックグラウンドが、場合により、好ましくは結晶性である。本発明の相変化磁性材料を使用する媒体はまた、1回だけ書き込まれるために作製することができる。媒体又はいわゆる「記録可能な媒体」を1回書き込みために、ディスクのバックグラウンドは結晶性又は非晶質のいずかが可能である。
【0042】
[053]
同時に、材料が非晶質状態及び結晶性状態の間で可逆的に変化させられるとき、本発明の材料の磁気特性は、構造的変化のために、それに対応して変化する。したがって、この構造的変化を、磁気特性における変化を伴う読み出しシグナルを測定することによって検出することができる。最後に、光学的反射率変化及び磁気的変化の両方の寄与からの読み出しシグナルが同じ時間及び同じ地点において検出される。記録密度及びデータ転送速度が増大する。従来の相変化媒体については、材料からの光学的反射率変化のみが検出され得るだけである。本発明の材料については、光学的反射率変化及び磁気的変化の両方を同じ時間及び同じ地点(場所)において検出することができる。記録密度及びデータ転送速度が増大する。
【0043】
[054]
材料の磁気特性を利用することにおいて、光磁気ディスクを読み取り、また、光磁気ディスクに書き込むために使用される従来の方法を実施することができる。例えば、読み取り時において、レーザーはビームをディスクに投射し、反射した光の偏光における変化が2進データとして解釈される。反射した光は、ディスクに保存された磁気データに従って変化する。光の偏光における変化が、磁場がディスクの表面に存在することにより生じる(Kerr効果)。偏光した光のビームが表面を照らすと、反射したビームの光偏光は、反射したビームが磁化表面から反射される場合にはわずかに変化する(典型的には1°未満)。磁化が逆向きにされると、偏光における変化(Kerr効果)も同様に逆になる。磁化された領域(ピット)は、通常の光では見ることができず、偏光した光でのみ見ることができる。磁化方向における変化には、0又は1の数字を関連させることができ、したがって、これにより、2進データの保存が可能になる。記録時において、光がより強くなり、したがって、光は材料を1つだけのスポットにおいてキュリー点又は補償温度にまで加熱することができる。このことは、ディスクの反対側に配置された電磁石が局所的な磁気的分極を変化させることを可能にし、この分極は、温度が低下するとき、保持される。材料の保磁力がより高い温度で低下するというこの事実は、熱補助による磁気的記録が比較的弱い磁場とともに行われることを可能にする。
【0044】
[055]
同時に、材料の光偏光が、磁化の逆転のために変化するとき、本発明による材料の構造が、非晶質状態と、結晶性状態との間において可逆的に変化し、この変化は検出することができ、また、反射率の変化が、構造的変化のために、読み出しシグナルから認められる。最後に、光偏光の変化及び光学的反射率の変化の両方の寄与からの組み合わさった読み出しシグナルが同じ時間及び同じ地点/場所において検出される。記録密度及びデータ転送速度が結果として増大する。従来の光磁気媒体については、磁気的逆転による光偏光の変化のみが検出され得るだけである。本発明の材料については、光偏光の変化及び光学的反射率の変化の両方が同じ時間及び同じ地点において検出される。記録密度及びデータ転送速度が結果的に増大する。
【0045】
[実施例1:レーザー合成]
(合成手順)
[056]
本発明者らのレーザー合成システムの概略図を下記の図7(a)に示す。合成をチャンバー8において行った。レーザー10からのKrFエキシマーレーザービームはスプリッター12により2つのビームに分けられ、2つの焦点レンズ(16、18)により、また、2つの反射鏡30により2つの回転しているターゲット14に収束させられた。2つの重なるプルームを基板20の上にそれぞれ作製した。それぞれのターゲットにおけるレーザーフルエンスは0.5J/cm2〜6J/cm2の間である。ターゲットをレーザービームに対して45°で取り付けた。ターゲットを2cm〜8cmの距離で向かい合わせにして、基板20を銀ペーストによって2インチのステンレススチール製ホルダー22に取り付けた。2つの鏡は、分けられたレーザーを集光用レンズに反射させるためである。2×10−6Torrのバックグラウンド圧力をターボ分子ポンプ(示されず)により達成した。成長温度は室温〜900℃の間であった。合成物を典型的には、10Hzの繰返し速度で12000パルスについて成長させた。レーザー合成の後、材料を室温に冷却した。
【0046】
[057]
本発明に関連して、重なるプラズマ領域の内部において新しい材料を合成するための異なるターゲットの二重ビームレーザーアブレーションを伴う合成方法は用語「レーザー合成」と呼ばれる。この方法では、材料合成のための様々な原子、分子、電子、イオン及びクラスターを含む成分が、レーザーアブレーションによって生じる高エネルギー蒸発物である。アブレーションのための短いレーザーパルスの使用は、化学量論をターゲットから基板への物質移動時において保つための一致アブレーションを達成する可能性がより大きく、これにより、新しい材料の組成が容易に制御される。気相化学種とのレーザーの相互作用は比較的弱いので、多くの種類の反応性ガスを材料合成のために入れることができる。この方法は、合成された要素及び組成物を、ターゲット、レーザーフルエンス及び投入ガス、並びに重なるプラズマ領域の内部における基板位置を変化させることによって調整することにおいて柔軟性がある。好ましい単結晶基板を、新しい材料の結晶成長をもたらすために選ぶことができる。この方法ではまた、新しい材料合成のための適切な環境を提供するために、基板を高い温度に加熱することができる。この方法は費用がかからず、簡便であり、また、迅速に新しい材料を合成することができる。
【0047】
[058]
上記の実験条件にしたがって、1つのターゲットを、Fe、Co、FePtから選択し、別のターゲットをGe2Sb2Te5及びGeTeから選択した。3群の相変化磁性材料を合成した。それらは、Co−Ge−Sb−Te系、Fe−Ge−Sb−Te系及びFe−Pt−Ge−Te系を含んでいた。製造された材料の組成をX線電子分光法(XPS)によって分析した。結晶構造をXRDによって分析した。磁気特性、電気特性及び光学特性をすべて調べた。
【0048】
[059]
図2a〜図2dに示されるように、従来の相変化材料(例えば、Ge2Sb2Te5及びGeTeなど)は抗磁性特性を示し、一方、本発明の相変化磁性材料は磁気特性を示す。比較において、図3a及び図3bに示されるように、結晶性状態における相変化磁性材料は、非晶質状態における相変化磁性材料よりも強い磁気特性を示す。このことは、相変化磁性材料の磁気特性が相変化磁性材料の状態変化とともに変化することを示している。
【0049】
[060]
図4は、本発明の1つの実施形態による相変化磁性材料についてパルスレーザーによって誘導された非晶質相及び結晶相の間におけるコントラスト変化を示す顕微鏡写真である。相変化磁性材料が、異なる光学特性を、非晶質相と、結晶相との間において有することが示され、このことは相変化材料に関して類似している。
【0050】
[061]
図5は、非晶質状態及び結晶性状態において従来の相変化材料及び本発明の1つの実施形態による相変化磁性材料の電気抵抗率を比較するデータの表を示す。相変化材料及び相変化磁性材料の両方が、電気特性における比較的大きい差を、非晶質状態と、結晶性状態との間において示すことが示される。このことは、相変化磁性材料が、従来の相変化材料に関して類似する電気特性を有することを意味する。
【0051】
[062]
まとめると、本発明の相変化磁性材料は、従来の相変化材料の特徴を示すだけでなく、磁性半導体材料の磁気特性及び特徴をも示す。
【0052】
[063]
図6aは、サンプルFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。図から認められるように、この材料は結晶性のピークを示し、したがって、このことから、300℃で合成されたFe−Ge−Sb−Te系についての結晶相の存在が確認された。ピーク位置の分析から、合成されたFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の結晶構造がGe2Sb2Te5の結晶構造に類似していることが認められた。
【0053】
[064]
第2のサンプルは、上記で記載された合成手順に従って合成されたFe−Pt−Ge−Te系を含んでいた。XPS分析では、合成物の組成がFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6であることが解明された。図6bはこのサンプルの結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。このXRDプロフィルから認められ得るように、この材料は結晶性のピークを示し、したがって、このことから、300℃で合成されたFe−Pt−Ge−Te系についての結晶相の存在が確認された。ピーク位置の分析から、合成されたFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6の結晶構造がGeTeの結晶構造に類似していることが認められた。
【0054】
[065]
図6a〜図6bに示される実験結果に基づいて、相変化磁性材料は、相変化材料と類似する結晶構造、又は相変化材料を合成するために使用された相変化材料成分と類似する結晶構造を有すると結論することができる。この特性についての1つの考えられる説明は、磁性材料の原子が、相変化材料の単位格子において、その結晶構造の乱れ/破壊を伴うことなく、相変化材料の原子に取って代わっていることである。したがって、この新しい材料は、相変化材料とのその類似した結晶構造に起因する相変化効果だけでなく、結晶構造における磁性原子の存在によって引き起こされる磁気効果もまた示す。
【0055】
[実施例2:スパッタリングによる合成]
(合成手順)
[066]
スパッタリング法を、本発明による材料を合成するために用いることができる。Leybold Vacuumによって供給され、図7(b)に概略的に例示される本発明者らのスパッタリングシステムにおいて、2つのDCスパッタリングカソード及び2つのRFスパッタリングカソードを設置し、4つのターゲット(そのうちの2つには、DC01及びDC02と標識し、残りには、RF02及びRF01と標識する)は互いに物理的に離れている。カソードの位置は図7(b)においてターゲットの下側である。回転する基板が水冷の回転台の上に置かれており、基板ホルダーをターゲットから50mm上方に設置した。プレシャッター48(これは開閉を制御することができる)が、ターゲットと基板ホルダーとの間にある。基板、ターゲット及びシャッターを真空チャンバー内に設置する。アルゴンガス50を低圧でチャンバー内に導入し、スパッタリングガスとして使用する。ガスプラズマを、電源を使用して当て、ガスをイオン化させる。イオンはターゲット表面に向かって加速され、ターゲット表面に衝突し、ターゲット原子がターゲットから離脱し、基板表面に堆積する。本発明による材料の薄い薄膜が、目標となるターゲットの下に基板をしばらく置き、コンピューター60によって制御されるプログラムされた時間の期間中、シャッターを開くことによって基板上に製造される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】[017] 本発明の1つの実施形態による相変化磁性材料の合成を示す概略図である。
【図2a】[018] 従来の相変化材料(Ge2Sb2Te5)の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。図から認められ得るように、この材料は抗磁気特性を示す。
【図2b】[019] 相変化材料、すなわち、本発明の1つの実施形態によるFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。38エルステッドの保磁力値Hoがゼロの磁化で認められる。
【図2c】[020] GeTeの相変化材料の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。
【図2d】[021] 本発明によるFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6の相変化磁性材料の磁気特性を示す。[022] 図2(a〜d)に示されるように、従来の相変化材料は抗磁気特性を示し、一方で、本発明による相変化磁性材料は磁気特性を示す。
【図3a】[023] 非晶質状態におけるCo6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。
【図3b】結晶性状態におけるCo6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5の磁気特性を特徴づけるグラフデータを示す。
【図4】[024] レーザーパルスによって誘導されたときの非晶質相及び結晶相における本発明による材料の顕微鏡写真である。この写真は、この相変化磁性材料が、相変化材料と同様な、非晶質相及び結晶相における異なる光学特性を有することを示す。実験ではまた、結晶と、非晶質との間において、結晶性割合xが0<x<1の範囲にあることを意味する部分的な結晶性状態が存在することが示された。
【図5】[025] 従来の相変化材料及び本発明の相変化磁性材料の電気抵抗率を非晶質状態及び結晶性状態において比較するデータの表である。データから、本発明による相変化磁性材料が、相変化材料と類似する電気特性を有することが示される。
【図6a】[026] 相変化磁性材料であるFe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6の結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。
【図6b】相変化磁性材料であるFe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6の結晶構造を特徴づけるXRDプロフィルを示す。
【図7a】[027] 本発明の相変化磁性材料を合成するために使用することができるレーザーアブレーションシステムの概略図を示す。
【図7b】本発明の相変化磁性材料を合成するために使用することができるスパッタリングシステムの概略図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気効果及び相変化効果の両方を示す相変化磁性複合材材料であって、
相変化材料成分及び強磁性材料成分を含み、
第1の磁気特性及び第1の相変化特性を伴う結晶相と、
第2の磁気特性及び第2の相変化特性を伴う非晶質相と、
を有する相変化磁性複合材材料。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の相変化特性はそれぞれが、電気抵抗率、熱伝導率、光反射率、屈折率、吸収係数、誘電率及び熱拡散係数から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項1に記載の相変化磁性材料。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の磁気特性はそれぞれが、飽和磁化、保持磁界、異方性磁界、一軸異方性、スクエアネス、残留磁化、飽和磁束密度、キュリー温度及び補償温度から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項1又は2に記載の相変化磁性材料。
【請求項4】
結晶性状態、非晶質状態及び部分的結晶性状態から選択される少なくとも1つの物理的状態を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの物理的状態のそれぞれにおいて、異なる電気特性、磁気特性、熱特性、結晶化特性及び光学特性を示す、請求項4に記載の相変化磁性材料。
【請求項6】
結晶性状態における前記材料が少なくとも約1エルステッドの保磁力を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項7】
前記材料の抵抗率ρが非晶質状態で1×10−3Ωcm<ρ<1×103Ωcmの範囲であり、結晶性状態で1×10−4Ωcm<ρ<1×10−1Ωcmの範囲であり、非晶質状態と結晶性状態との間の前記材料の抵抗率の差が2〜106の大きさである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項8】
前記相変化材料成分が、周期表のIIIB族、IVB族、VB族又はVIB族から選択される少なくとも一つの元素を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項9】
前記相変化材料成分が、Te、S、Se、Po、P、As、Sb、Bi、Ge、Sn、Pb、Ga、In及びTiからなる群から選択される一つの元素である、請求項8に記載の相変化磁性材料。
【請求項10】
前記相変化成分がカルコゲニド合金を含む、請求項8又は9に記載の相変化磁性材料。
【請求項11】
前記カルコゲニド合金が、下記の系:Ge−Te、Sb−Te、Sn−Te、Sb−Se、In−Se、Ge−Sb−Te、Pt−Ge−Te、In−Sb−Te、As−Sb−Te、As−Ge−Te、Se−Sb−Te、Sn−Te−Se、Ge−Te−Sn、Sb−Se−Bi、Ga−Te−Se、In−Se−Ti、Ge−Te−Ti、Ge−Te−Sn−O、Ge−Te−Sn−Au、Ge−Te−Sn−Pd、Ge−Sb−Te−Se、Ag−In−Sb−Te及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の相変化磁性材料。
【請求項12】
前記カルコゲニド合金が、Ge2Sb2Te5、GeSb2Te4、GeSb3Te4、GeSb4Te7、In3SbTe2、Ag5In5Sb60Te30、Sb2Se3、Sb2Te3、Sb70Te30、GeTe、GeSb及びSb2Te3−GeTeからなる群から選択される式を有する一つの系を含む、請求項11に記載の相変化磁性材料。
【請求項13】
前記強磁性材料成分が、Fe、Co、Ni、FePt、CoPt、PdCo、TbFeCo、GdFeCo、CoCrPtB、CoCrPtTaからなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項14】
下記の式(I)の組成:
AxBy
(式中、
Aは強磁性材料成分を示し;
Bは相変化材料成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、ただし、1%≦x≦50%であり;
yはBの総原子パーセントを示し、ただし、50%≦y≦99%である)
を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項15】
下記の式(II)の組成:
AxByCz
(式中、
Aは強磁性成分を示し;
Bは相変化成分を示し;
Cはマンガン化合物成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、ただし、1%≦x≦40%であり;
yはBの総原子パーセントを示し、ただし、40%≦y≦98%であり;
zはCの総原子パーセントを示し、ただし、1%≦y≦20%である)
を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項16】
Aが、Co、Fe、Ni及びFe−Ptからなる群から選択され、
Bが、Ge−Sb−Te、Ge−Te、GeSb、InSbTe、Sb70Te30、Sb2Te3、Sb、Te及びAg−In−Sb−Teからなる群から選択される、
請求項14又は15に記載の相変化磁性材料。
【請求項17】
Co6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5、Co3.6Ge20.8Sb30.5Te44.9、Co2.8Ge17.9Sb31.9Te47.1、Co6.1Ge14.3Sb33Te46.5、Co3.0Ge18.5Sb30.1Te48.2、Co5.0Ge16.9Sb31.6Te46.5、Co1.5Ge17.3Sb32.9Te48.3、Co5.4Ge17.2Sb30.5Te46.9、Co2.0Ge17.7Sb32.5Te47.8、Co5.8Ge17.1Sb32.3Te44.8、Co4.6Ge14.9Sb33.4Te47.1、Co10.1Ge14.4Sb34.6Te40.9、Co26.1Ge17.2Sb22.1Te34.6、Co5.6Ge15.8Sb33.6Te45、Fe20.2Ge21.5Sb16.9Te41.4、Fe9.2Ge16.3Sb27.4Te47.2、Fe4.7Ge18.5Sb28.1Te48.6、Fe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6、Fe11.1Ge16Sb25.9Te47.1、Fe1.0Ge15.7Sb35.2Te48.2、Fe7.2Ge14.7Sb32.9Te45.2、Fe28.2Pt32.4Ge30.0Te9.3、Fe4.1Pt4.2Ge64.5Te27.1、Fe2.1Pt5.5Ge63.9.Te28.4、Fe1.1Pt2.7Ge64.3Te31.9、Fe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6、Fe5.0Pt6.8Ge59.6Te28.6、Fe1.1Pt1.1Ge50.4Te31.1、Fe4.8Pt4.6Ge58.2Te32.4、Fe1.2Pt2.5Ge54.2Te41.9、及びFe1.0Pt2.0Ge62.1Te34.9からなる群から選択される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項18】
材料の類似する結晶構造が前記相変化材料成分に少なくとも実質的に類似する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項19】
前記材料の結晶構造の単位格子が相変化材料成分の少なくとも1個の原子及び磁性材料成分の少なくとも1個の原子を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項20】
レーザーアブレーション、レーザー合成、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長、有機金属気相成長、スピンコーティング、分子線エピタキシー、溶液ひきあげ法、熱加圧、真空溶融及び結晶成長から選択される方法によって合成される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項21】
光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、人工ニューロンネットワーク、認知デバイス、三レベルデバイス、制御デバイス、SOCデバイス及び半導体から選択されるデバイスにおける、請求項1〜20のいずれか一項に記載の相変化磁性材料の使用。
【請求項22】
光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス、制御デバイス、SOCデバイス及び半導体において使用される相変化磁性複合材材料であって、
相変化材料成分及び強磁性材料成分を含み、
磁気効果及び相変化効果の両方を示す、相変化磁性複合材材料。
【請求項23】
相変化材料成分及び強磁性材料成分を含み、
前記相変化磁性複合材材料が、
第1の磁気特性及び第1の相変化特性を伴う結晶相と、
第2の磁気特性及び第2の相変化特性を伴う非晶質相と、
を有する、情報記録用光学記録用媒体。
【請求項1】
磁気効果及び相変化効果の両方を示す相変化磁性複合材材料であって、
相変化材料成分及び強磁性材料成分を含み、
第1の磁気特性及び第1の相変化特性を伴う結晶相と、
第2の磁気特性及び第2の相変化特性を伴う非晶質相と、
を有する相変化磁性複合材材料。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の相変化特性はそれぞれが、電気抵抗率、熱伝導率、光反射率、屈折率、吸収係数、誘電率及び熱拡散係数から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項1に記載の相変化磁性材料。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の磁気特性はそれぞれが、飽和磁化、保持磁界、異方性磁界、一軸異方性、スクエアネス、残留磁化、飽和磁束密度、キュリー温度及び補償温度から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項1又は2に記載の相変化磁性材料。
【請求項4】
結晶性状態、非晶質状態及び部分的結晶性状態から選択される少なくとも1つの物理的状態を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの物理的状態のそれぞれにおいて、異なる電気特性、磁気特性、熱特性、結晶化特性及び光学特性を示す、請求項4に記載の相変化磁性材料。
【請求項6】
結晶性状態における前記材料が少なくとも約1エルステッドの保磁力を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項7】
前記材料の抵抗率ρが非晶質状態で1×10−3Ωcm<ρ<1×103Ωcmの範囲であり、結晶性状態で1×10−4Ωcm<ρ<1×10−1Ωcmの範囲であり、非晶質状態と結晶性状態との間の前記材料の抵抗率の差が2〜106の大きさである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項8】
前記相変化材料成分が、周期表のIIIB族、IVB族、VB族又はVIB族から選択される少なくとも一つの元素を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項9】
前記相変化材料成分が、Te、S、Se、Po、P、As、Sb、Bi、Ge、Sn、Pb、Ga、In及びTiからなる群から選択される一つの元素である、請求項8に記載の相変化磁性材料。
【請求項10】
前記相変化成分がカルコゲニド合金を含む、請求項8又は9に記載の相変化磁性材料。
【請求項11】
前記カルコゲニド合金が、下記の系:Ge−Te、Sb−Te、Sn−Te、Sb−Se、In−Se、Ge−Sb−Te、Pt−Ge−Te、In−Sb−Te、As−Sb−Te、As−Ge−Te、Se−Sb−Te、Sn−Te−Se、Ge−Te−Sn、Sb−Se−Bi、Ga−Te−Se、In−Se−Ti、Ge−Te−Ti、Ge−Te−Sn−O、Ge−Te−Sn−Au、Ge−Te−Sn−Pd、Ge−Sb−Te−Se、Ag−In−Sb−Te及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の相変化磁性材料。
【請求項12】
前記カルコゲニド合金が、Ge2Sb2Te5、GeSb2Te4、GeSb3Te4、GeSb4Te7、In3SbTe2、Ag5In5Sb60Te30、Sb2Se3、Sb2Te3、Sb70Te30、GeTe、GeSb及びSb2Te3−GeTeからなる群から選択される式を有する一つの系を含む、請求項11に記載の相変化磁性材料。
【請求項13】
前記強磁性材料成分が、Fe、Co、Ni、FePt、CoPt、PdCo、TbFeCo、GdFeCo、CoCrPtB、CoCrPtTaからなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項14】
下記の式(I)の組成:
AxBy
(式中、
Aは強磁性材料成分を示し;
Bは相変化材料成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、ただし、1%≦x≦50%であり;
yはBの総原子パーセントを示し、ただし、50%≦y≦99%である)
を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項15】
下記の式(II)の組成:
AxByCz
(式中、
Aは強磁性成分を示し;
Bは相変化成分を示し;
Cはマンガン化合物成分を示し;
xはAの総原子パーセントを示し、ただし、1%≦x≦40%であり;
yはBの総原子パーセントを示し、ただし、40%≦y≦98%であり;
zはCの総原子パーセントを示し、ただし、1%≦y≦20%である)
を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項16】
Aが、Co、Fe、Ni及びFe−Ptからなる群から選択され、
Bが、Ge−Sb−Te、Ge−Te、GeSb、InSbTe、Sb70Te30、Sb2Te3、Sb、Te及びAg−In−Sb−Teからなる群から選択される、
請求項14又は15に記載の相変化磁性材料。
【請求項17】
Co6.3Ge31.1Sb27.1Te35.5、Co3.6Ge20.8Sb30.5Te44.9、Co2.8Ge17.9Sb31.9Te47.1、Co6.1Ge14.3Sb33Te46.5、Co3.0Ge18.5Sb30.1Te48.2、Co5.0Ge16.9Sb31.6Te46.5、Co1.5Ge17.3Sb32.9Te48.3、Co5.4Ge17.2Sb30.5Te46.9、Co2.0Ge17.7Sb32.5Te47.8、Co5.8Ge17.1Sb32.3Te44.8、Co4.6Ge14.9Sb33.4Te47.1、Co10.1Ge14.4Sb34.6Te40.9、Co26.1Ge17.2Sb22.1Te34.6、Co5.6Ge15.8Sb33.6Te45、Fe20.2Ge21.5Sb16.9Te41.4、Fe9.2Ge16.3Sb27.4Te47.2、Fe4.7Ge18.5Sb28.1Te48.6、Fe4.4Ge14.8Sb34.2Te46.6、Fe11.1Ge16Sb25.9Te47.1、Fe1.0Ge15.7Sb35.2Te48.2、Fe7.2Ge14.7Sb32.9Te45.2、Fe28.2Pt32.4Ge30.0Te9.3、Fe4.1Pt4.2Ge64.5Te27.1、Fe2.1Pt5.5Ge63.9.Te28.4、Fe1.1Pt2.7Ge64.3Te31.9、Fe4.6Pt7.3Ge59.5Te28.6、Fe5.0Pt6.8Ge59.6Te28.6、Fe1.1Pt1.1Ge50.4Te31.1、Fe4.8Pt4.6Ge58.2Te32.4、Fe1.2Pt2.5Ge54.2Te41.9、及びFe1.0Pt2.0Ge62.1Te34.9からなる群から選択される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項18】
材料の類似する結晶構造が前記相変化材料成分に少なくとも実質的に類似する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項19】
前記材料の結晶構造の単位格子が相変化材料成分の少なくとも1個の原子及び磁性材料成分の少なくとも1個の原子を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項20】
レーザーアブレーション、レーザー合成、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長、有機金属気相成長、スピンコーティング、分子線エピタキシー、溶液ひきあげ法、熱加圧、真空溶融及び結晶成長から選択される方法によって合成される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の相変化磁性材料。
【請求項21】
光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、人工ニューロンネットワーク、認知デバイス、三レベルデバイス、制御デバイス、SOCデバイス及び半導体から選択されるデバイスにおける、請求項1〜20のいずれか一項に記載の相変化磁性材料の使用。
【請求項22】
光学媒体、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)デバイス、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、固体メモリデバイス、センサーデバイス、論理デバイス、認知デバイス、人工ニューロンネットワーク、三レベルデバイス、制御デバイス、SOCデバイス及び半導体において使用される相変化磁性複合材材料であって、
相変化材料成分及び強磁性材料成分を含み、
磁気効果及び相変化効果の両方を示す、相変化磁性複合材材料。
【請求項23】
相変化材料成分及び強磁性材料成分を含み、
前記相変化磁性複合材材料が、
第1の磁気特性及び第1の相変化特性を伴う結晶相と、
第2の磁気特性及び第2の相変化特性を伴う非晶質相と、
を有する、情報記録用光学記録用媒体。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【公表番号】特表2009−514195(P2009−514195A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536551(P2008−536551)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/SG2005/000357
【国際公開番号】WO2007/046769
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/SG2005/000357
【国際公開番号】WO2007/046769
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]