説明

新規な結晶性医薬製品

実質的に三角形板状の形態であることを特徴とする、式(I)
【化1】


の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルココルチコイドの新規な晶癖およびその調製のための方法に関する。本発明はまた、特に炎症性およびアレルギー性疾患を治療するための結晶性生成物を含む医薬製剤およびその治療的使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
抗炎症性の性質を有するグルココルチコイドは知られており、喘息および鼻炎などの炎症性障害または疾患の治療に広く使用されている。例えば、米国特許第4,335,121号は、6α,9α-ジフルオロ-17α-(1-オキソプロポキシ)-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル(フルチカゾンプロピオネートの一般名で知られている)およびその誘導体を開示している。グルココルチコイドの使用は、一般的に、特に小児において、副作用の可能性に対する懸念により一部に限定されてきた。グルココルチコイドで恐れられる副作用は、視床下部・下垂体・副腎(HPA)軸の抑制、小児における骨成長および高齢者における骨密度への影響、眼合併症(白内障および緑内障)ならびに皮膚萎縮症を含む。ある種のグルココルチコイド化合物は、活性な代謝物の生成がそのような化合物の薬力学および薬物動態を理解困難にし得る複雑な代謝経路も有する。最近のステロイドは、当初に導入されたものよりも非常に安全ではあるが、薬力学および薬物動態的性質が予測可能な、副作用プロファイルが魅力のあるもので、治療計画の使い勝手がよい優れた抗炎症性を有する新規な分子の作成を研究する目的は、なおも存在する。
【0003】
国際特許出願公開WO02/12265は、これらの目的に実質的に合致する新規なグルココルチコイド化合物、すなわち6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルを開示している。
【0004】
吸入療法の分野において、治療用の分子を含む粒子には、一般に「吸入に適した」(1μmと10μmの間、特に1μmと5μmの間、特別には1μmと3μmの間の空気力学的粒子直径を示すと一般的に受け取られる用語である)粒子サイズが望まれる。
【0005】
吸入療法における所望の粒子サイズの直径は、従来粉砕または微粉化により調製される。これらのプロセスは、採用された詳細な条件に依存して、適当なサイズの粒子を有する画分を含む粒子分布を生じさせることができる。しかしながら、粉砕および微粉化プロセスに伴う多くの不利点があり、それには、所望の粒子サイズを有する画分は比較的小さいことがあること、所望のものよりも微細な粒子の顕著な画分が生ずることがあること(それは、例えばバイオアベイラビリティーに影響すれば有害であり得る)、および製品の損失が一般に相当なものになり得ること(例えば機械の被覆により)が含まれる。微粉化された製品のさらなる性質は、生じた粒子の表面が実質的に非晶質であり得ることである(すなわち、結晶性が極めて小さい)。このことは、非晶質領域がより安定な結晶状態に変換する傾向があるとき、望ましくないであろう。さらに微粉化または粉砕された製品は、結晶性の製品よりも水分を取り込み易い可能性がある。微粉化および粉砕プロセスは、それらが相対的にエネルギー集約的で、粉塵爆発の危険性を回避するために封じ込めおよび他の方策を必要とするという不利点に悩まされる。
【0006】
急速沈澱による所望サイズの結晶性粒子の形成は(例えば、貧溶媒による溶液の希釈による)、適当なサイズの粒子を生成することができる。製造される結晶の晶癖およびサイズの、そのようなプロセスによる制御は、流動特性、空気力学的特性、溶解速度およびバイオアベイラビリティーなどの薬学的および生物学的特性を調節し最適化する価値ある手段である。
【0007】
グルココルチコイド化合物6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルは、多くの異なった固体状形態で存在する。非溶媒和形態では、それは3つの結晶性多型の形態、形態1、2および3で存在し、これらの多型の形態は、WO03/066656に記載されたようなXRPDパターンを特徴とすることが見出されている。
【0008】
広く言って、形態は次のXRPDプロファイルで特徴づけられる。
形態1:約18.9度2θでのピーク。
形態2:約18.4および21.5度2θでのピーク。
形態3:約18.6および19.2度2θでのピーク。
【0009】
この化合物の結晶形の製造のための方法は、WO02/12265およびWO03/066656に記載されている。結晶性非溶媒和形態1多型は、化合物をメチル−イソブチル−ケトンまたは酢酸エチルに溶解して、イソオクタンまたはトルエンなどの貧溶媒を加えることにより製造することができる。あるいは、化合物をメチル−イソブチル−ケトンに溶解して、イソオクタン貧溶媒として加えることもできる。WO03/066656に記載されたこれらの方法は針状結晶を生成する。
【0010】
結晶性の非溶媒和形態1多型は、WO03/066656に記載された結晶性錯体から調製することもできる。ゲスト分子アセトンまたはプロパン-2-オールとの錯体の等方性または実質的に等方性の粒子(典型的には長形正方両錐結晶)を、例えば、約100〜110℃に加熱することによるゲスト分子の除去により非溶媒和形態1多型に変換することができる。非溶媒和形態1多型は、この方法により製造されたとき、等方性または実質的に等方性の粒子の形態で製造される。これらの結晶は、例えば、酢酸エチルおよびトルエンからの再結晶を含む上記の方法により調製された針状結晶よりも容易に微粉化される。
【0011】
等方性または実質的に等方性の粒子は、単結晶または結晶の凝塊であってよい。等方性粒子は、3軸の各々におよそ同じ寸法の測定値を有し、例えば、最大と最小の測定値の間の差は最小値の約50%以下であるような3軸寸法を有する。単結晶である粒子は、典型的には等方性である。結晶の凝塊である粒子は、典型的には実質的に等方性であり、その結果粒子は、最大と最小の測定値の間の差が最小の約100%以下、特に最小の50%以下である3軸の寸法を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、上記の方法を使用して製造された晶癖に対して改良された性質を示す晶癖の化合物6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルの非溶媒和形態1多型を製造することが望ましい。特に、良好な機械的強度、取扱いおよび空気力学的性質を示す晶癖のものを製造することが望ましい。さらに、微粉化の必要性を排除して、呼吸性または呼吸性に近い空気力学的サイズの結晶を直接製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、これまでに記載された結晶形に対して驚異的な優位性を有するグルココルチコイド化合物6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルの新規な晶癖を今回同定した。
【0014】
したがって、本発明の第1の態様により、粒子が実質的に三角形板状の形態であることを特徴とする、式(I)
【化1】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子(この後「本発明の結晶性粒子」)が提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様に従って、粒子が三角形板状の形態であることを特徴とする、式(I)
【化2】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子が提供される。
【0016】
式(I)の化合物の化学名は6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルである。
【0017】
式(I)の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子は、粒子が空間群P21のものであり、150Kで測定したとき、7.6、14.1、11.8Åのセル寸法を有することを特徴とする。空間群P21は90°の2軸角を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の粒子は、三角形板状晶癖、典型的には実質的に二等辺三角形晶癖を有する。典型的には、粒子は5面を有する。三角形である2面および長方形である3面である。典型的には、三角形の面の角度は、約80°、50°および50°である。本発明の粒子は、3つの測定軸の2つで直交する近似的に同じ寸法を有し、例えば、大きい方の寸法が小さい方の寸法の2倍以下、好ましくは小さい方の寸法より75%を超えて大きくはない。また、3番目の直交軸の測定値は2番目に小さい寸法のものの5分の1未満、例えば約10分の1である。例えば、約80°、50°および50°の角度で三角形の面を有する三角形板の場合、最大の寸法は次に大きい直交する寸法のものの約1.5倍である。本発明の粒子のサイズは、例えば0.1〜0.2μm×4〜5μm×4〜5μmである。
【0019】
実質的に三角形のという用語は、三角形の1つまたは複数の角が切り取られている板を含む。
【0020】
本発明の粒子の晶癖は、図1から3および6を参照することにより見ることができる。
【0021】
図4に示したように、本発明の粒子のXRPDプロファイルは、結晶学的に純粋なとき、形態1の特徴である約18.9度2θでのピークを示す。
【0022】
本発明の粒子は、この後に記載する、本発明のさらなる態様を構成する方法により調製することができる。
【0023】
本発明の粒子を調製する方法は、式(I)の化合物を結晶化させることを含む。
【0024】
このように本発明により、粒子が三角形板状の形態である式(I)
【化3】

の化合物の結晶性非溶媒和形態1多型の調製方法であって、1v/v%と15v/v%の間のメチル−エチル−ケトン(MEK)を含むメチル−イソブチル−ケトン(MIBK)溶媒に式(I)の化合物を溶解するステップ、および貧溶媒としてヘプタンを添加することにより式(I)の化合物を非溶媒和形態1多型として生成するステップを含む方法が提供される。
【0025】
供給溶媒混合物MIBK/MEK中のMEKの割合は、溶媒混合物中の式(I)の化合物の溶解度を上げるためにできるだけ高くすべきであるが、その結果としてそのようにして製造された結晶性生成物がMEK溶媒和物の形態になるほど高くすべきではない。溶媒混合物中の式(I)の化合物の溶解度を上げることは、必要とされる溶媒の容量を減少させるので、方法上の利点を提供する。本発明者らは、5v/v%を超えるMEKを含む溶媒を選択する。
【0026】
方法は、8%と11%の間、特に約10v/v%のメチル−エチル−ケトン(MEK)を含むメチル−イソブチル−ケトン(MIBK)の溶媒に式(I)の化合物の溶解させることを含むことが好ましい。この範囲で方法は、MEK溶媒和物を形成する余計な危険性がなくて効率的である。また、晶析装置中における堆積の如何なる危険性も減少する。
【0027】
操作効率の理由で、方法は10℃と40℃の間で操作することが理想的である。
【0028】
本発明の方法で使用されるMIBK:MEK溶液を生成するために使用される、投入される式(I)の化合物は、好ましくは比較的純粋な、通常95%を超える純度、好ましくは97%を超える純度のものである。
【0029】
式(I)の化合物はWO02/12265に記載されているように、対応するチオン酸またはその塩のアルキル化により調製される。
【0030】
上記のMIBK/MEK溶媒とへプタン貧溶媒系は、特に高純度の結晶性生成物を生成し、異なる処理条件が使用されるときに、三角形板状以外の晶癖を有する式(I)の化合物の結晶性非溶媒和形態1多型を製造するために有用であり得る。したがって本発明のさらなる態様により、式(I)
【化4】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の調製方法であって、8v/v%と11v/v%の間のメチル−エチル−ケトン(MEK)を含むメチル−イソブチル−ケトン(MIBK)の溶媒混合物に式(I)の化合物を溶解するステップ、および貧溶媒としてヘプタンを添加することにより式(I)の化合物を非溶媒和形態1多型として生成するステップを含む方法が提供される。
【0031】
本発明の粒子は、連続プロセスで、例えば1つの容器(または複数の容器)中で、流動するMIBKおよびMEK中の式(I)の化合物の溶液と流動する貧溶媒としてのヘプタンとを混合することを含むプロセスを使用して、好ましく調製される。プロセスは超音波照射下に実施することが好ましい。
【0032】
溶液を超音波照射下に貧溶媒と混合させることが望ましく、それは、それが核化速度を増大させ、小粒子を生成する能力を強化するからである。
【0033】
流動室は攪拌機を備えることが望ましいであろう。
【0034】
結晶化は、好ましくは、連続式で、20分を超える、通常40から360分の範囲内の滞留時間で、組成9:1v/vのMIBK:MEKの殆んど飽和した溶液に対して実施する。
【0035】
滞留時間とは、選択された比のMEK/MIBKに溶解された薬品物質の溶液および対応する貧溶媒ヘプタンが供給されたときに、晶析装置(複数が使用されるならば、それらの全てが)が空から操作レベルまで満たされるのに要する時間のことである。
【0036】
バッチプロセスまたは連続プロセスにおいて、貧溶媒の溶液への添加速度が高過ぎると起こり得る過剰な過飽和の状況は、望ましくない結晶の伸長および凝塊をもたらし得るので、一般的に回避すべきである。
【0037】
20分未満の滞留時間が使用されるならば、これは過剰な過飽和で成長する結晶の望ましくない伸長を起こす傾向がある。滞留時間は60分を超える、例えば約80から160分であることが好ましい。
【0038】
本発明の粒子は、好ましくは、「多段晶析装置」、例えば図5に示したような一対の晶析装置を使用して、連続流動方式で調製される。多段晶析装置においては、第1連続流動室からの流出液は、第2(場合によりそれに続く)連続流動室に移され、その後最終流動室から流出する粒子が捕集される。第1晶析装置の後ろに付け加えられる各晶析装置には、ヘプタン貧溶媒が供給される。
【0039】
複数、例えば2つの晶析装置で順次操作することは有利であり、第1容器中で全ての過飽和を生じさせるよりもむしろ各晶析装置中で過飽和させることにより、堆積する傾向が減少する。
【0040】
個々の晶析装置を異なる温度で操作すること、例えば第1晶析装置を第2晶析装置よりも高温で操作することは好ましいことがある。例えば第1晶析装置を約30℃の温度で操作して第2晶析装置を約10℃の温度で操作することができる。
【0041】
晶析装置の各々へのヘプタン流量は、各容器中で起こる結晶化の量を制御して堆積の危険性を減少させるために過飽和を制限するように調節することができる。
【0042】
本明細書で述べる結晶化プロセスは、過飽和度が種結晶を入れた結晶化で達するよりも高いとき、種結晶を入れない結晶化の初期段階での堆積形成の危険性を減少させる目的で、本発明の粒子を種結晶にして結晶化を開始させることが得策である。
【0043】
数種類の操作開始方式を採用することができる:
最初に、定常状態操作の間に達するであろう溶媒組成(式(I)の化合物の寄与を除いて)と合わせた溶媒組成で晶析装置を充填してもよい。次に、式(I)の化合物の供給溶液およびヘプタン貧溶媒が晶析装置中に流入するにつれて、晶析装置中のこの溶媒混合物が徐々に置き換えられる。
【0044】
あるいは、実験のために選択した流量で供給流を開始して、晶析装置容器を空から満たすことにより、晶析装置を満たすことができる。
【0045】
あるいは、結晶化系の定常状態操作のために選択されるよりも高い流量で供給の流れを開始して、晶析装置が操作レベルまで満たされたら実験のために選択される流量に戻すことにより、晶析装置を空から満たすことができる。
【0046】
どの操作開始方式が選択されても、結晶化実験の操作開始段階の間に、晶析装置中の溶液に超音波ホーンが部分的に浸かったときに、超音波装置(使用されるならば)のスイッチを入れることができる。超音波照射の強度は、超音波照射の振幅、したがってパワーを調節することにより制御される。
【0047】
約20kHzの超音波周波数が一般的に適当である。19〜25kHzの範囲の周波数、特に20kHzが適当である。これより低い周波数は、それがヒトの耳に可聴な範囲に入り得るので一般的には避けるべきである。流動室の与えられた形状のために、ある周波数が相殺され易いことがある。通常この現象はプローブ周波数の中程度の同調により回避することができる。750mLの典型的な容積を有する晶析装置に対して、5〜500W、好ましくは10〜100Wの範囲例えば20Wと1〜80W/cm2の典型的パワー/プローブ面積比が適当であり得るが、パワー密度が増大すると音響ホーンの表面における腐食の危険性が増加する。通常高いパワーを使用するほど小さい粒子を得ることができる。低いパワー/プローブ面積比が好ましく、例えば2〜30W/cm2、特に2〜20W/cm2の範囲内である。超音波パワー入力は発振の振幅を変化させることにより制御される。より大きいまたはより小さい晶析装置容積に対して、超音波パワー強度は適切に調節されるであろう。通常1〜12μmのピーク-ピークのトランスデューサー振幅をホーン先端で5〜30μmピーク-ピーク振幅に増大させるために増幅ホーンを使用することができる。反対に、ホーン表面の腐食傾向を抑える低パワー密度を維持しながら追加の超音波パワーを供給するために負ゲインホーンを使用することができる。
【0048】
複数の晶析装置が使用される場合には、超音波は各晶析装置に配備されることが好ましい。
【0049】
液体溶媒中の物質の溶液および前記物質に対する液体貧溶媒は、流動室の導入口との流体接続に適合させた第1および第2貯蔵器中に含まれることが好ましい。貯蔵器の内容物を導入口を通して流動室に、独立に制御された流量で送るための手段は1つまたは複数のポンプを備えることが望ましい。ポンプは各貯蔵器に設けられることが好ましいであろう。種々のポンプが利用可能であり、本発明による装置に適し得る。例えば、ポンプはギアポンプまたは蠕動ポンプであってよい。
【0050】
貯蔵器の内容物は、物質の性質、物質の溶媒、貧溶媒および超音波照射源の出力および周波数によって選択され最適化される流量の範囲で流動室に送られる。貧溶媒と比較しての溶媒への物質の溶解度は1つの特別な変数である。溶媒中の物質の濃度が高いほど、溶媒溶液に比較して貧溶媒の流量を低くすることができる。通常貧溶媒の流量は溶媒溶液の流量を超えて、貧溶媒の溶媒に対する流量比は典型的には1:1から5:1であろう。例えば、2:1の比が特に適当である。この比は晶析装置への流れの合計に関係し、各容器中で結晶化する量を均衡させるようにヘプタン流を分割することが望ましい。第1晶析装置へ供給されるヘプタン貧溶媒の比率は第2晶析装置への比率未満であるべきで、通常第1晶析装置への容積流量はMEK/MIBK中の薬剤物質溶液の流量未満であろう。ヘプタンの残量は第2晶析装置へ流入する。
【0051】
通常、溶媒溶液の流量は、0.1から100ml/分、実験室規模では特に0.25から4ml/分、または試作設備規模では50から100ml/分の範囲内であろう。貧溶媒の典型的な流量は、0.2から200ml/分、実験室規模では特に0.5から8ml/分、または試作設備規模では100から200ml/分の範囲内であろう。
【0052】
導入口および導出口の直径は、規模と流量に依存して、例えば0.5〜10mm、通常1〜5mmの範囲内であってよい。
【0053】
導入口からの流速は0.0002から10m/s、例えば、0.001から5m/s、好ましくは0.002から2m/sの範囲内であってよい。
【0054】
本来、全ての晶析装置は、器壁が成長中の結晶を含む過飽和溶液と接触しているので、堆積を受け易い。連続結晶化プロセスにおいて、堆積形成速度は、しばしば、清掃サイクル間の操作期間を決定する制限要因になる。堆積を抑えるのに役立ち得る多くの方策がある。
【0055】
・中程度の過飽和レベルでの操作
・全ての過飽和が1つの容器中に生ずる単一段階プロセスよりも多段階での操作
・大きい結晶表面面積での操作が操作中の過飽和を減少させる。
【0056】
・粒子が過飽和溶液全体にわたって確実に懸濁されるための良好な混合の提供
・過飽和がどこで発生するかに関係なく、それを晶析装置全体にわたって均一に分布させる
【0057】
これらの手法の全てはこの連続結晶化のプロセス設計に組み込むことができる。しかしながら、それでも連続結晶化の長期操作の間に、堆積に直面することがある。本発明者らにより現在までに実施された実験継続期間は、条件の適当な選択により、この問題をよく制御することができることを示している(例えば、300時間操作後の生成物堆積は僅か1〜2%)。
【0058】
WO00/38811に記載されたものとは異なった、本明細書に記載した方法の特徴は、沈澱が、供給ストリームの混合に際して瞬間的にではなく、過飽和が生ずるにつれてもっと徐々に起こるということである。超音波の存在は、生成物粒子サイズを調節するために核化速度を操作することを可能にする。この連続プロセスにおいては、粒子サイズは滞留時間によっても強く影響される。
【0059】
流動室は種々の在来の材料から製作することができるが、これらは物質、溶媒および貧溶媒と非反応性であって、超音波場の存在により影響されないように選択されることが好ましいであろう。流動室は、ベンチ規模調製、工業的試作規模調製、または工業的製造規模に適したサイズのいずれのサイズであってもよい。工業的製造規模の生産は、複数の試作規模の系の使用により達成することができる。物質処理能力は、物質、濃度および流量の関数である。しかしながら、例示の目的で、ある種の物質の例示的処理能力は実施例で示すようなものであろう。
【0060】
本発明による方法および装置は、5〜25μmの範囲内、より特別には10μm未満例えば約5μmの最長エッジを有する三角形板状の形態の結晶性粒子の製造に、特に有用である。
【0061】
生成物粒子サイズは、プロセスパラメーター、特に滞留時間および超音波のパワーを調節することにより制御することができる。滞留時間は長いほど小さい粒子に有利で、超音波のパワーも高いほど小さい粒子に有利である。
【0062】
導入口は、新しく導入された原料が容器中の大部分の原料と優先的に混合され、短絡的循環が避けられて、供給液が導出口を通してすぐに失われることのないように付けられるべきである。粒子サイズは溶液濃度および貧溶媒比によっても制御することができる。
【0063】
本発明の方法による小粒子の生成のためには、溶媒および貧溶媒の溶解特性間の差ができるだけ大きいことが好ましい。生産効率の理由で(特に、液体の処理量を減少させるために)、できるだけ高い溶媒中の物質濃度を使用することが好ましい。そうであっても、溶液は安定でなければならず、連続流動室へ送り出す前に結晶化し易くてはならない。この限度を考慮して、溶媒中の物質を高温で使用することが好ましいであろう。溶液のための貯蔵器は、温度制御に役立つ容器ジャケットを備えることもできる。貧溶媒を冷却することも好ましいであろう。
【0064】
温度制御を改善し、ライン中での溶解物質の早過ぎる沈澱を防止するために、液体配管ならびに付随するポンプおよびバルブ等に沿って加熱することが一般的に望ましいであろう。特に溶解した物質が溶解度限界に近いときには、加熱または冷却した溶媒または貧溶媒を適当な区間に通して送液することにより、ポンプおよび配管を予め満たすことが好ましいであろう。流動室も純粋な溶媒または貧溶媒で予め満たすことが好ましいであろう。溶液温度の制御を維持することは、貧溶媒と混合される前に流動室の導入口で物質が結晶化する可能性を防止する。
【0065】
複数の、例えば上記一対の晶析装置は、先行技術で知られている連続流動室晶析装置に対して特別の優位性を有し、特にそれにより、溶液から所望の物質の最大の結晶化を得る企てで、特に超音波の高振幅および高い貧溶媒比などの大胆な結晶化条件が使用されるときに、従来の流動室内で起こり得る、流動室の内表面例えば器壁、攪拌機(使用する場合)および超音波プローブヘッド(使用する場合)上への沈着による結晶性生成物の損失が回避される。一対の晶析装置は、それ自体、本発明の粒子以外の結晶性粒子の製造のためにも有用であり得る。
【0066】
このように、本発明のさらなる態様により、物質の結晶性粒子を調製するために適合させた装置が提供され、それは
(i)液体溶媒中に溶解した前記物質を入れるために適合させた第1貯蔵器、
(ii)液体溶媒と混合し得る前記物質に対する液体貧溶媒を入れるために適合させた第2貯蔵器、
(iii)第1および第2導入口、導出口および1つまたは複数の超音波照射源を有する第1混合室、
(iv)第1混合室を出る液体が第2混合室に流入するように第1混合室の導出口との液体接続のために適合させた第1導入口、貧溶媒貯蔵器との液体接続のために適合させた第2導入口、導出口および1つまたは複数の超音波照射源を有する第2混合室、
(v)第1貯蔵器の内容物を第1導入部を通して第1混合室に送るための手段、および第2貯蔵器の内容物を第2導入部を通して第1および第2混合室に送るための手段、および
(vi)第2混合室の導出部から吐出された液体に懸濁された粒子を捕集する手段
を備える。
【0067】
両方の晶析装置から超音波を省略することは、結晶収量の減少をもたらすので(ある場合には結晶が製造されないこともある)、望ましくない。第2晶析装置から超音波を省略すると、結晶の望ましくない凝塊を生ずることがある。
【0068】
第1および第2貯蔵器の内容物は、独立の制御された流量で混合室に送れることが好ましい。
【0069】
第2流動室から吐出される液体に懸濁された粒子は、多くの在来の粒子捕捉技法、例えば濾過、遠心分離、凍結乾燥または噴霧乾燥などの1つにより捕集することができる。
【0070】
濾過の手段に関して、当業者には広範囲の適当なフィルターが知られている。フィルターの例には、焼結物(例えばガラス焼結物)、繊維フィルター(例えば紙およびニトロセルロース繊維フィルター)および膜フィルターが挙げられる。
【0071】
捕集する間に望ましくない粒子間「架橋」が起こるのを減少させるために、本発明者らは、濾過ケーキを物質に対する貧溶媒で徹底的に洗浄することにより、溶解するために使用した如何なる残存溶媒も除去し去ることが好ましいことを見出した。貧溶媒は結晶化プロセスで使用されたのと同じ貧溶媒であることが望ましいであろう。
【0072】
あるいは、第2流動室から出る結晶性粒子のスラリーは、場合により最初にクロスフロー濾過装置を通すことにより濃縮、それから噴霧乾燥または凍結乾燥技法を使用して単離することができる。
【0073】
上記の本発明の粒子は、濾過により単離されて、それから母液中の化学的不純物を除去するために、MIBK、MEKおよびヘプタンの混合物(好ましくは、生成物がその中で結晶化される母液の組成と合わされた組成の)で、次に乾燥中に粒子が一緒なって顆粒化する危険を減少させる目的でMEKおよびMIBKを除去するためにヘプタンで洗浄されることが好ましい。この洗浄プロセスは、生成した溶媒で濡れた材料が乾燥されたときに、式(I)の化合物の非溶媒和形態1多型の自由に流動する個々の結晶を優先的に供給する。
【0074】
本発明のさらなる態様により、上記のプロセスにより得ることができる実質的に三角形板状または三角形板状の形態にある式(I)の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子が提供される。
【0075】
本発明のさらなる態様により、上記のプロセスにより得られたとき、乾燥すると個々の1次粒子として自由に流動し容易に分散される、式(I)の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の集団が提供される。
【0076】
本発明のさらなる態様により、上記のプロセスにより得ることができる実質的に三角形板状または三角形板状の形態にある式(I)の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の集団が提供される。
【0077】
本発明のさらなる態様により、上記のプロセスにより得られた実質的に三角形板状または三角形板状の形態にある式(I)の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の集団が提供される。
【0078】
本発明の粒子およびその組成物は、例えば、グルココルチコイド受容体に結合してその受容体を通して応答を誘起する能力により示される、可能性として有益な、抗炎症性または抗アレルギー性の、長期間作用する、特に局所投与での効果を有する。したがって、本発明の粒子およびその組成物は、炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療において、特に1日1回療法において有用である。
【0079】
本発明の粒子およびその組成物が効用を有する病状の例には、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、心因性掻痒および過敏反応などの皮膚疾患;喘息(アレルゲン誘発喘息性反応を含む)、鼻炎(枯草熱を含む)、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患および線維症などの鼻、咽喉、または肺の炎症状態;潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸状態;およびリウマチ様関節炎などの自己免疫疾患が挙げられる。
【0080】
本発明の粒子は、結膜および結膜炎の治療においても使用することができる。
【0081】
本発明の粒子は、呼吸管の炎症性疾患、例えば喘息、COPDおよび鼻炎、特に喘息および鼻炎の治療において最も有用であると期待される。
【0082】
本明細書における治療への言及は、確立された状態の治療と同様に予防に拡張されるということは、当業者により理解されるであろう。
【0083】
上記のように、本発明の粒子は、ヒト医薬または獣医薬において、特に抗炎症および抗アレルギー剤として有用である。
【0084】
したがって、本発明のさらなる態様として、炎症性および/またはアレルギー性状態にある患者の治療における、とりわけ1日1回治療のためのヒト医薬または獣医薬において使用するための本発明の粒子が提供される。
【0085】
本発明の他の態様により、炎症性および/またはアレルギー性状態にある患者の治療における、とりわけ1日1回治療のための医薬を製造するための本発明の粒子の使用が提供される。
【0086】
さらなるまたは別の態様において、前記のヒトまたは動物の患者に有効量の本発明の粒子を投与すること、とりわけ1日1回投与することを含む、炎症性および/またはアレルギー性状態にあるヒトまたは動物の患者の治療方法が提供される。
【0087】
本発明の粒子は、投与のために任意の便利な方法で製剤化することができ、したがって、本発明は、その範囲内に本発明の粒子を、所望であれば、1つまたは複数の生理学的に許容し得る希釈剤または担体との混合物中に一緒に含む医薬組成物も含む。1日1回投与のための医薬組成物は特に興味あるものである。
【0088】
本発明の粒子は、例えば、鼻内、経口、バッカル、舌下、非経口、局所または直腸内投与、特に局所投与のために製剤化することができる。
【0089】
本明細書で使用する局所投与は、ガス注入および吸入による投与を含む。局所投与のための種々のタイプの製剤には、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、泡沫剤、経皮パッチによる送達のための製剤、散剤、スプレー剤、エアロゾル剤、吸入器もしくはガス注入器で使用するためのカプセル剤もしくはカートリッジ剤または滴下剤(例えば、点眼薬もしくは点鼻薬)、噴霧のための溶液剤/懸濁液剤、坐薬、腟坐薬、停留浣腸および咀嚼できるもしくは飲込める錠剤もしくはペレット剤(例えばアフタ性潰瘍の治療のため)またはリポソームもしくはマイクロカプセル化製剤が含まれる。
【0090】
肺への局所投与に有利な組成物には、乾燥粉末組成物およびスプレー組成物が含まれる。
【0091】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、例えば、吸入器またはガス注入器で使用するための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジで提供される。製剤は、通常、吸入のための本発明の粒子とラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤(担体物質)との散剤混合物を含んでいる。ラクトースの使用が好ましい。ラクトースなどの賦形剤が使用されるとき、通常、賦形剤の粒子サイズは本発明の粒子よりももっと大きいであろう。賦形剤がラクトースであるとき、それは通常粉砕されたラクトースとして存在し、その中でラクトース粒子の85%以下が60〜90μmの質量メディアン直径(MMD)および15%以上が15μm未満のMMDを有するであろう。各カプセル剤またはカートリッジ剤は、通常、医薬組成物中に本発明の粒子の20μg〜10mgの間を、場合により他の治療的有効成分との組合せで含むことができる。あるいは、医薬組成物は賦形剤なしで提供されてもよい。製剤を包装することは、単位用量または複数回用量の送達のために適当であり得る。複数回用量の送達の場合には、製剤は予め計量しておくことができ(例えばディスカスにおけるように。英国特許第2242134号を参照されたい。またはディスクヘラーにおけるように。英国特許第2178965号、第2129691号および第2169265号を参照されたい)、または使用時に計量することができる(タービュヘイラーにおけるように。欧州特許第069715号を参照されたい)。単位用量デバイスの例はRotahalerである(英国特許第2064336号を参照されたい)。ディスカス吸入デバイスは、複数の容器の境界を定める、長さ方向に沿って一定の間隔を置いた複数の凹部を有する基剤シートおよびそれに気密にしかし可剥性にシールされた蓋シートから形成された細長いストリップを含み、各容器は本発明の医薬組成物を、好ましくはラクトースとの配合で含む吸入可能な製剤その中に含む。好ましくは、ストリップはロールに巻けるように十分可撓性である。蓋シートおよび基剤シートは、好ましくは互いにシールされていない引き出し用末端部分を有し、前記の引き出し用末端部分の少なくとも1つは巻き取り手段に付着して構成されているであろう。また、好ましくは、基剤シートと蓋シートの間の気密なシールはそれらの幅全体にわたって伸びている。蓋シートは、好ましくは、前記基剤シートの第1末端から縦方向に基剤シートから剥離することができる。
【0092】
加圧されておらず、乾燥粉末として口腔を通して肺に局所投与されるように適合させた医薬製剤(特に、賦形剤を含まず、またはラクトースもしくはデンプン、特に最も多くの場合はラクトースなどの希釈剤もしくは担体と共に製剤化されているもの)は特別に興味あるものである。
【0093】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物は、例えば、水性の溶液もしくは懸濁液として、または計量された用量の吸入器などの加圧充填物から適当な液化噴射剤を使用して送達されるエアロゾルとして製剤化することができる。吸入に適したエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液のいずれかであってよく、一般に、他の治療的有効成分を場合により配合した本発明の粒子と、フルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物、特に特にヒドロフルオロアルカン、とりわけ1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはそれらの混合物などの適当な噴射剤とを含む。エアロゾル組成物は、場合によっては界面活性剤、例えばオレイン酸またはレシチンなど、および共溶媒例えばエタノールなど当該技術において周知の追加の製剤化賦形剤を場合により含むことができる。1つの例になる製剤は、賦形剤を含まず、本発明の粒子(場合によりさらなる有効成分と一緒にして)および1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択された噴射剤から本質的になる(例えば、からなる)。他の製剤例は、本発明の粒子と1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択された噴射剤と例えばオリゴ乳酸またはその誘導体などの国際特許出願公開WO94/21229に記載された、噴射剤に可溶な懸濁剤とを含む。好ましい噴射剤は1,1,2,2-テトラフルオロエタンである。加圧された製剤は、一般に、バルブ(例えば計量バルブ)で閉じて、吸口を備えたアクチュエーター中に装着された缶(例えばアルミニウム缶)中に保持されるであろう。
【0094】
鼻に局所投与するための製剤(例えば鼻炎の治療のため)は、加圧されたエアロゾル製剤および加圧ポンプにより鼻に投与される水性製剤を含む。加圧されていなくて鼻腔に局所投与されるように適合させた製剤は、特に興味あるものである。その製剤は、好ましくは、この目的のために希釈剤または担体として水を含む。肺または鼻への投与のための水性製剤は、緩衝剤、張度修正剤(tonicity modifying agent)等など在来の賦形剤を含むことができる。水性製剤は噴霧化により鼻に投与することもできる。
【0095】
他の提供可能なものには次のものが含まれる:
軟膏、クリーム剤およびゲル剤は、例えば、適当な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加した水性もしくは油性基剤を用いて製剤化することができる。したがって、そのような基剤は、例えば、水および/または液体パラフィンもしくはピーナツ油もしくはヒマシ油などの植物油などの油、またはポリエチレングリコールなどの溶媒を含むことができる。基剤の性質によって使用することができる増粘剤およびゲル化剤には、軟質パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜ろう、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはモノステアリン酸グリセリルおよび/または非イオン性乳化剤が含まれる。
【0096】
ローション剤は水性または油性基剤を用いて製剤化され、一般に、1種または複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤または増粘剤も含むであろう。
【0097】
外用のための粉末は、任意の適当な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトースまたはデンプンを用いて形成することができる。滴剤は水性または非水性基剤を用いて製剤化することができ、1種または複数の分散剤、可溶化剤、懸濁剤または防腐剤も含む。
【0098】
適切であれば、本発明の製剤は適当な緩衝剤の添加により緩衝することができる。
【0099】
本発明の医薬組成物中の本発明の粒子の比率は、調製される製剤の詳細なタイプに依存するが、一般的に重量で0.001から10%の範囲内である。しかしながら、通常、大部分のタイプの製剤については、使用される比率は0.005から1%および好ましくは0.01から0.5%の範囲内であることが有利であろう。しかし、吸入またはガス注入のための散剤においては、使用される比率は通常0.1から5%の範囲内であろう。
【0100】
エアロゾル製剤は、好ましくは、各計量された用量すなわちエアロゾルの「ひと吹き」が、本発明の粒子の1μg〜2000μg、例えば20μg〜2000μg、好ましくは約20μg〜500μgを、場合により他の治療的有効成分と配合して含むように構成される。投与は、毎日1回または毎日数回、例えば、2、3、4または8回であってよく、各回例えば1、2または3用量を与える。本発明の医薬組成物は、毎日1回または2回送達されることが好ましい。エアロゾルでの1日の用量合計は、通常、10μg〜10mg、例えば、100μg〜10mg、好ましくは、200μg〜2000μgの範囲内であろう。
【0101】
局所用製剤は、患部の1日当り1回または複数回適用で投与され、皮膚領域には、閉鎖包帯が都合よく使用できる。連続または長期の送達は、粘着性貯留系により達成することができる。
【0102】
内部投与のためには、本発明の粒子を、例えば、従来の手法で、経口、非経口または直腸投与のために製剤化することができる。経口投与のための製剤には、シロップ剤、エリキシル剤、散剤、顆粒剤、錠剤およびカプセル剤が含まれ、それらは通常、適宜、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、防腐剤、緩衝塩、着香剤、着色剤および/または甘味剤など在来の賦形剤を適宜含む。しかしながら、用量単位形態は下記のように選択される。
【0103】
内部投与の好ましい形態は、用量単位形態すなわち錠剤およびカプセル剤である。そのような用量単位形態は0.1mgから20mg好ましくは2.5から10mgの本発明の粒子を含む。
【0104】
一般的に、全身性副腎皮質性療法が指示された場合には、本発明の粒子は内部投与により与えられる。
【0105】
一般に、内部投与のための製剤は、関与する製剤のタイプに依存して0.05〜10%の本発明の粒子を含むことができる。1日の用量は、治療される条件および所望の治療期間に依存して、0.1mgから60mg例えば5〜30mgで変化してよい。
【0106】
徐放性または腸溶性被覆製剤は特に炎症性腸疾患の治療のために有益であり得る。
【0107】
式(I)の化合物は長期間作用するので、好ましくは、本発明の医薬組成物は1日1回送達され、用量は、化合物が呼吸器疾患(例えば喘息またはCOPD、特に喘息)の治療に24時間以上治療効果を有するように選択されるであろう。
【0108】
本発明の医薬組成物は、他の治療的に有効な薬剤、例えば、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗ヒスタミン剤または抗アレルギー剤と組み合わせて使用することもできる。したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の粒子を、他の治療的に有効な薬剤、例えば、β2アドレナリン受容体アゴニスト、抗ヒスタミン剤または抗アレルギー剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0109】
β2アドレナリン受容体アゴニストの例には、サルメテロール(例えば、ラセミ体またはR-エナンチオマーもしくはS-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーとして)、サルブタモール(例えば、ラセミ体またはR-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーとして)、ホルモテロール(例えば、ラセミ体またはR,R-エナンチオマーなどの単一ジアステレオマーとして)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレロブテロール、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩、例えば、サルメテロールのキシナホ酸(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸)塩、サルブタモールの硫酸塩もしくは遊離塩基またはホルモテロールのフマル酸塩が挙げられる。長期間作用するβ2アドレナリン受容体アゴニストが好ましく、例えば、約12時間以上有効な気管拡張を提供する化合物が好ましい。
【0110】
他のβ2アドレナリン受容体アゴニストにはWO02/066422、WO02/070490、WO02/076933、WO03/024439、WO03/072539、WO03/091204、WO04/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO01/42193およびWO03/042160に記載されたものが含まれる。
【0111】
特別のβ2アドレナリン受容体アゴニストには
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;および
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン;
およびそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0112】
β2アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば1-または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-または4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸および4-フェニル安息香酸から選択された薬学的に許容される酸と共に形成された塩の形態であってよい。
【0113】
式(I)の化合物は長期間作用するので、好ましくは、本発明の粒子および長期間作用するβ2アドレナリン受容体アゴニストを含む医薬組成物は、1日に1回送達され、各々の用量は、医薬組成物が呼吸器疾患の治療において(例えば喘息またはCOPD、特に喘息) 24時間以上治療効果を有するように選択されるであろう。
【0114】
抗ヒスタミン剤の例には、メタピリレンまたはロラタジンが挙げられる。
【0115】
他の適当な組合せは、例えば、他の抗炎症剤例えばNSAIDs(例えばナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルナトリウム、PDE4抑制剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、iNOS抑制剤、トリプターゼおよびエラスターゼ抑制剤、β-2インテグリンアンタゴニストならびにアデノシン2aアゴニスト)または抗感染症剤(例えば抗生物質および抗ウイルス剤)を含む。
【0116】
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)抑制剤例えばシロミラストまたはその塩と組み合わせた本発明の粒子の使用も特に興味あるものである。
【0117】
上記で言及した組合せは、医薬製剤の形態で使用するために提供されることが好適であり、したがって、生理学的に許容される希釈剤または担体と配合した、上記で規定した組合せを含む医薬製剤は本発明のさらなる態様を表す。
【0118】
上記の他の治療的有効成分と組み合わせた本発明の粒子は、任意の便利な方法で投与のために製剤化することができ、したがって、本発明はその範囲内に、他の治療的有効成分と一緒に組合せ、所望であれば1つまたは複数の生理学的の許容される希釈剤または担体と混合した本発明の粒子を含む医薬組成物も含む。呼吸管の疾患のために投与する好ましい経路は、通常、吸入による投与であろう。
さらに、成分を混合することを含む上記の医薬組成物の調製方法が提供される。
【0119】
治療剤の組合せは、任意の形態であってよく、例えば、組合せは、個々の治療剤の別々の粒子および場合により賦形剤を含む単回用量を含むことができ、あるいは、複数の治療剤が、例えば共沈澱により、場合により賦形剤材料を含めて形成された個々の多成分粒子に形成されてもよい。
【0120】
そのような組合せの個々の化合物は、別々の医薬組成物で順次に、ならびに組み合わせた医薬製剤で同時に、のいずれかで投与することができる。知られた治療剤の適切な用量は当業者により容易に理解されるであろう。
【0121】
本発明の粒子の利点には、粒子が改良された機械的強度、操作性および空気力学的性質を有し、機械的にサイズを減少させること(例えば微粉化)を必要とせずに、すぐに使用できる空気力学的サイズで生成され得るということを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0122】
次の非限定的実施例により本発明を例示する。
【実施例】
【0123】
一般事項
図に示したXRPD分析はPANalytical X'Pert Pro粉末回折計で実施した。パターンは次の取得条件を使用して記録した: 管陽極:Cu、開始角:2.0、終了角:40.0、ステップ幅:0.0167、ステップ毎の時間:31.75秒。XRPDプロファイルは常温で収集した。
【0124】
走査電子顕微鏡(SEM)測定を、Hitachi S-4700フィールドエミッション走査電子顕微鏡シリアル番号9323-06を使用して実施した。2次電子撮像のためには2.5kVの加速電圧を使用し、装置での倍率は通常7000×〜10000×の範囲内とした。
【0125】
実施例1:一対の晶析装置の説明および操作
晶析装置の説明:
図5に示したように、実験室の晶析装置系は2つの供給液容器を備え、両方ともサーキュレーター(Julabo)に直列に連結されている。容量約60mLの第1晶析装置はサーキュレーター(Huber)に連結され、容量約250mLの第2晶析装置はサーキュレーター(Julabo)に接続されている。
【0126】
晶析装置には、改良した加熱ポンプヘッドを付けた蠕動ポンプ(Watson-Marlow)を使用して供給液容器から供給する。供給ラインは外管で覆われおり、それを通して熱い液体が送られる。
【0127】
第1晶析装置は貯蔵器からポンプ(Encynova)により送液されるへプタンも供給される。同じ貯蔵器からへプタンを汲み出す、同様な第2晶析装置への供給設備がある。晶析装置中のレベルは、晶析装置1から晶析装置2へおよび晶析装置2から生成物受入れ装置へと通じるオーバーフロー導出口により制御される。
【0128】
操作:
図5に示した設備項目を組み立てて晶析系を形成した。晶析系のジャケットを付けた構成部分の温度制御を提供するサーキュレーターは所望の温度に調節され、系は熱的平衡に達せられた。供給液容器は高温、典型的には90℃に保たれた。第1晶析装置は典型的には30℃で操作され、第2晶析装置は典型的には10℃で操作される。
【0129】
n-へプタンはへプタン供給槽に充填された。その量は、式(I)の化合物の溶液の貧溶媒に対する比、選択された晶析容器の容積および意図する実験期間(典型的には滞留時間の10倍である)を考慮して十分な貧溶媒を供給するように選択された。実験中に貧溶媒をさらに追加して、実験期間が貧溶媒を供給容器の容積により制限されることを回避することは可能である。
【0130】
式(I)の化合物の溶液は、90容積%のMIBKと10容積%のMEKを含む溶媒混合物中に式(I)の化合物の試料を溶解することにより調製した。溶媒の量は、先に記載したMIBK/MEK溶媒混合物の14mL中に式(I)の化合物1gの濃度の溶液を調製するように選択された。式(I)の化合物の溶解を達成するために、通常の大気圧に保ったときには、混合物を混合物の沸点未満の温度に加熱することが必要であった。必要とされるこの組成物の溶液の量は、選択された晶析装置の容積および意図する結晶化の時間により決定され、例えば10時間に対してそれは150mLであった。プロセスが操作されているときに供給液をさらに調製して、供給液容器の容積により実験期間が制限されることを回避することは可能である。溶液は、静置中に結晶化できないように高温でジャケット付き供給液容器に保持した。
【0131】
第1および第2両晶析装置に供給する、供給溶液ポンプおよび貧溶媒ポンプの送液速度を設定した。ポンプは送液されるべき溶液で最初に満たした。次に計量シリンダーに適当期間送液することによりポンプを較正することができた。式(I)の化合物の溶液および貧溶媒の第1晶析装置の容器への供給を開始することにより実験を開始した。
【0132】
幾つかの操作開始方式を採用することができる:
晶析装置は、定常操作中に達成されるであろう溶媒組成(式(I)の化合物の寄与は排除して)に合わせた溶媒組成で最初に充填することができる。それから、式(I)の化合物の溶液およびへプタン貧溶媒が晶析装置に流入するのに従って、晶析装置容器中の溶媒混合物は徐々に置き換えられる。
【0133】
別の方法として、この実施例の場合には、晶析装置は、実験のために選択された速度で供給流を開始して、晶析装置容器を空から満たすことにより充填した。
【0134】
あるいは、結晶化系の定常状態操作のために選択されるよりも高い流量で供給の流れを開始して、晶析装置容器が操作レベルまで満たされたら実験のために選択された流量に戻すことにより、晶析装置を空から充填することができる。超音波ホーンの先端が浸漬したら超音波発生器(Sonic Systems P100)の電源を入れ、チップ直径9mmのチタン正相増幅音響ホーンを使用して、パワーレベルを選択された振幅およびパワー、例えば振幅5μm、パワー16Wに調節した。
生成物の結晶は、適当な容器中で母液中に回収して単離した。
【0135】
具体的実施例1:
供給溶液は、MIBK 1800mLおよびMEK 200mLの混合物に100gの式(I)の化合物を溶解することによりバッチで調製した。これを加熱により溶解させてから、毎分約3.6mLの速度で2段階晶析装置系の第1段階に必要に応じて供給した。n-へプタンも毎分1.06mLで、約750mlの有効容積を有する第1晶析装置に供給した。n-へプタンの第2供給液は約830mlの有効容積を有する第2晶析装置に毎分7.37mLの速度で加えた。実験の開始にあたって、晶析装置を、予想される操作の定常状態の代表的なスラリーで充填した。第1晶析装置に対して、充填液は29.1gの式(I)の化合物、553mLの9:1のMIBKとMEK溶媒混合物および167mLのへプタンを含むものであった。この混合物は懸濁液として調製され、実験の開始時に第1晶析装置に充填された。この晶析装置は、Sonic Systems 500W超音波発生器を20Wおよび20,000kHzで使用して超音波照射下に30℃で操作した。第2晶析装置は、先の実験からの生成物スラリーを充填し、これは、式(I)の化合物2.2%、MIBK 29.9%、MEK 3.3%およびn-へプタン64.6%を含むと見積もられた。この晶析装置は、Sonic Systems 500W超音波発生器を20Wおよび20,000kHzで使用して超音波照射下に10℃で操作した。この系は38時間25分間操作した。生成物試料1Aは実験終了時に採取された第1晶析装置からの生成物のスラリーの試料であった。生成物試料1Bは実験終了時に採取された第2晶析装置からの生成物のスラリーの試料であった。生成物試料1Cは、操作の25時間後実験終了までに収集した生成物である。
【0136】
仕込み合計:
式(I)の化合物 459.2g アッセイ96.9%
MIBK 6135g
MEK 689.4g
n-へプタン 13293g
結果:
理論収率 90%
純度 98.8%(試料1B)
【0137】
具体的実施例2:
供給溶液は、MIBK 1800mLおよびMEK 200mLの混合物に100gの式(I)の化合物を溶解することによりバッチで調製した。これを加熱により溶解させてから、毎分5.4mLの初速度で初めの30時間、次に毎分3.6mLに低下させた速度で実験の残りの時間、2段階晶析装置系の第1段階に必要に応じて供給した。実験の最初の30時間には、n-へプタンも第1晶析装置に毎分1.59mLで供給し、n-へプタンの第2供給液を第2晶析装置に毎分11.06mLの速度で加えた。実験の残りの時間は、n-へプタンを第1晶析装置に毎分1.06mLの速度で供給し、第2晶析装置へのn-へプタンの供給速度は毎分7.37mLであった。第1晶析装置は30℃で、最初Sonic Systems 500W超音波発生器を50Wおよび20,000kHzで使用して超音波照射下に、次に50時間目から実験終了まで15Wおよび20,000kHzで超音波照射下に操作した。第2晶析装置は10℃で、Sonic Systems 500W超音波発生器を50Wおよび20,000kHzで使用して超音波照射下に操作した。
【0138】
実験の開始時に、晶析装置は、先の実施例による対応する第1および第2晶析装置の生成物スラリー(具体的実施例1の試料1Aおよび1B)で充填した。系は91時間操作させた。生成物試料2Aは28時間と44時間の間の製造を表し、試料2Bは44時間から67時間までの製造を表す。
【0139】
仕込み合計:
式(I)の化合物 1000g アッセイ96.9%
MIBK 14250g
MEK 1583g
n-へプタン 34953g

理論収率 92%
純度 98.5%
【0140】
連続的に結晶化させた本発明の6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル粒子の単離
材料を濾過してケーキの2倍の容積の9:1:20v/v MIBK:MEK:n-へプタンで、続いてケーキの2倍の容積のn-へプタンで洗浄した。次に試料をn-へプタンに再懸濁させて再濾過した。そのようにしたケーキをその場で乾燥させた。図3に示したように2つの異なる倍率の像は、生成物が容易に分散され、特徴的な三角形板状様の晶癖を有することを例示する。
【0141】
実施例A: 本発明の6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル粒子を含む乾燥粉末組成物
乾燥粉末製剤は次のようにして調製した。
本発明に従って粒子として調製した6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルを0.8%w/w、および粉砕したラクトース(平均粒子直径が60〜90μmの範囲で、粒子の15%以下が15μm未満のMMDを有する)の99.2%w/wを含むブレンドを調製した。
【0142】
上の組成物は2.5リットルのボウルQMM Micromixer中600rpmで10分間混合した。14個のブリスターを有し、各ブリスターが13mgの上記の粉末製剤で充填された、可剥性ブリスターストリップを調製した。
【0143】
下の表1に示したように、この生成物のAnderson Cascade衝突分析を、初期と30℃および相対湿度65%で1ヶ月保存後とに実施した。
【表1】

【0144】
表1に示したデータは、試験した条件下で、初期および安定性における適当な呼吸性用量が実現されており、相当する微粉化薬剤製品に匹敵することを示す。
【0145】
高せん断混合プロセスに対する生成物結晶の構造安定性を測定するために、上記と同様であるが試料1Cによるブレンドの試料を顕微鏡スライドの上に分散させた。水を加えてラクトースを溶解し、薬剤物質をその後に残し、混合前の薬剤物質と比較できるようにした。混合前後の材料の光学顕微鏡写真(図6に示した)は、粒子サイズおよび形状における変化が小さいことを明らかにし、粒子は混合プロセスに対して実際構造安定性がよいことを示唆する。
【0146】
実施例B: 本発明の6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル粒子および長期間作用するβ2-アドレナリン受容体アゴニストを含む乾燥粉末組成物
乾燥粉末製剤は次のように調製することができる。
本発明の方法により調製された6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、MMD 約3μm: 0.10mg
長期間作用するβ2-アドレナリン受容体アゴニスト(MMD 3μmに微粉化): 0.02mg
粉砕ラクトース(粒子の85%以下が60〜90μmのMMDを有し、粒子の15%以上が15μm未満のMMDを有する): 12.5mg
【0147】
先に説明した、各々が製剤で充填された60個のブリスターを含む可剥性ブリスターストリップを調製することができる。
【0148】
実施例C: 本発明の6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル粒子を含むエアロゾル製剤
アルミニウム缶に次のような製剤:
本発明の方法により調製された6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、MMD約3μm: 250μg
1,1,1,2-テトラフルオロエタン 50μlになるまで
【0149】
(1回作動当りの量)
を120回作動に適当な合計量で充填することができ、缶には1回作動当り50μlを小出しするように合わせた計量バルブを装着することができる。
【0150】
実施例D: 本発明の6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル粒子および長期間作用するβ2-アドレナリン受容体アゴニストを含むエアロゾル製剤
アルミニウム缶に次のような製剤:
本発明の方法により調製された6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、MMD約3μm: 250μg
長期間作用するβ2-アドレナリン受容体アゴニスト(MMD 3μmに微粉化): 25μg
1,1,1,2-テトラフルオロエタン 50μlになるまで
【0151】
(1回作動当りの量)
を120回作動に適当な合計量で充填することができ、缶には1回作動当り50μlを小出しするように合わせた計量バルブを装着することができる。
【0152】
実施例E: 本発明の6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル粒子を含む鼻腔投与製剤
鼻腔内送達のための製剤は、次にように調製することができる。
本発明の方法により調製された6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、MMD約3μm: 10mg
ポリソルベート20 0.8mg
モノラウリン酸ソルビタン 0.09mg
リン酸二水素ナトリウム二水和物 94mg
無水リン酸水素二ナトリウム 17.5mg
塩化ナトリウム 48mg
脱塩水 10mlになるまで
【0153】
製剤は、計量された用量を複数回送達できるスプレーポンプ中に収めることができる(Valois)。
【0154】
本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、文脈上必要がない限り、「含む(comprise)」という用語ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、規定された完全体または完全体の段階もしくはグループを含むことを意味し、如何なる他の完全体または完全体の段階もしくはグループまたは段階の排除も意味しないと理解される。
本出願中に記載された特許および特許出願は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】実施例1により製造された本発明の粒子(試料1C)の電子顕微鏡写真を示す図である。
【図2】実施例1により製造された本発明の粒子(試料1A)の光学顕微鏡写真を示す図である。像の左上隅に示したバーは20μmの尺度を示す。
【図3】実施例1により製造された本発明の粒子の集団(試料1B)の光学顕微鏡写真を示す図である。各像の左上隅に示したバーは20μmの尺度を示す。したがって、上の像の倍率は下の像の倍率の約2.5倍大きい。
【図4】本発明の粒子の代表的試料のXRPDパターン(上の線)を、先に得られた非溶媒和6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルの形態1の基準試料(下の線)と比較して示す図である。両方の場合とも常温(例えば約295K)で測定した。
【図5】本発明の粒子の製造に使用する一対の晶析装置の模式的形態を示す図である。
【図6】高せん断混合(試料1Cによる)に対する構造安定性試験の前後の比較を示す図である(光学顕微鏡写真)。上下の像の左上隅に示したバーはそれぞれ20μmおよび10μmの尺度を示す。したがって、2つの像の倍率はおよそ同じである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に三角形板状の形態であることを特徴とする、式(I)
【化1】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子。
【請求項2】
三角形板状の形態であることを特徴とする、式(I)
【化2】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子。
【請求項3】
三角形面の角度が約80°、50°および50°である、請求項1または請求項2に記載の結晶性粒子。
【請求項4】
サイズが0.1〜0.2μm×4〜5μm×4〜5μmの、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性粒子。
【請求項5】
生理学的に許容し得る希釈剤または担体と一緒に請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性粒子を含む医薬組成物。
【請求項6】
希釈剤または担体が粒子状ラクトースである、乾燥粉末形態の請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
炎症性および/またはアレルギー性の状態を有するヒトまたは動物対象の治療方法であって、前記ヒトまたは動物対象に請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性粒子の有効量を投与することを含む方法。
【請求項8】
他の治療的に有効な薬剤と組み合わせて請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性粒子を含む医薬組成物。
【請求項9】
他の治療的に有効な成分が長期間作用するβ2-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
実質的に三角形板状の形態である式(I)
【化3】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の調製方法であって、1v/v%と15v/v%の間のメチル−エチル−ケトン(MEK)を含むメチル−イソブチル−ケトン(MIBK)溶媒に式(I)の化合物を溶解するステップ、および貧溶媒としてヘプタンを添加することにより式(I)の化合物を非溶媒和形態1多型として生成するステップを含む方法。
【請求項11】
三角形板状の形態である式(I)
【化4】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の調製方法であって、1v/v%と15v/v%の間のメチル−エチル−ケトン(MEK)を含むメチル−イソブチル−ケトン(MIBK)溶媒に式(I)の化合物を溶解するステップ、および貧溶媒としてヘプタンを添加することにより式(I)の化合物を非溶媒和形態1多型として生成するステップを含む方法。
【請求項12】
溶媒が5v/v%と15v/v%の間のMEKを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
溶媒がMIBKおよびMEKを9:1v/vの比で含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
粒子が超音波照射下に連続プロセスで調製される、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項14の方法により得ることができる式(I)
【化5】

の化合物の非溶媒和形態1多型の結晶性粒子の集団。
【請求項16】
炎症性および/またはアレルギー性の状態を有する患者の治療においてヒト医薬または獣医薬中で使用するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性粒子。
【請求項17】
炎症性および/またはアレルギー性の状態を有する患者の治療のための医薬を製造するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性粒子の使用。
【請求項18】
1日に1回の治療のための、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
物質の結晶性粒子を調製するために適合させた装置であって、
(i)液体溶媒に溶解させた前記物質を入れるために適合させた第1貯蔵器、
(ii)前記液体溶媒と混合し得る前記物質に対する液体貧溶媒を入れるために適合させた第2貯蔵器、
(iii)第1および第2導入部と導出部と超音波照射源とを有する第1混合室、
(iv)第1混合室を出る液体が第2混合室に流入するように第1混合室の導出部との流体接続のために適合させた第1導入部、貧溶媒貯蔵器との流体接続のために適合させた第2導入部、導出部および超音波照射源を有する第2混合室、
(v)第1貯蔵器の内容物を第1導入部を通して第1混合室に送るための手段、および第2貯蔵器の内容物を第2導入部を通して第1および第2混合室に送るための手段、および
(vi)第2混合室の導出部から吐出された液体に懸濁された粒子を捕集する手段
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−534638(P2008−534638A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504697(P2008−504697)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003197
【国際公開番号】WO2006/108572
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】