説明

新規な脂肪族置換されているピラゾロピリジンおよびその使用

本発明は、新規な脂肪族置換のピラゾロピリジンに、その調製方法に、疾患の治療および/または予防のための、単独でのまたは併用でのその使用に、および疾患の治療および/または予防のための、特に心血管障害の治療および/または予防のための医薬を調製するためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な脂肪族置換のピラゾロピリジンに、その調製方法に、疾患の治療および/または予防のための、その単独でのまたは併用での使用に、および疾患の治療および/または予防のための、特に心血管障害の治療および/または予防のための医薬を調製するためのその使用に関する。
【0002】
哺乳動物細胞における最も重要な細胞伝達系の一つがサイクリックグアノシンモノホスフェート(cGMP)である。内皮細胞より放出され、ホルモンシグナルおよび機械的シグナルを伝達する一酸化窒素と一緒になって、cGMPはNO/cGMP系を形成する。グアニル酸シクラーゼはcGMPがグアノシントリホスフェート(GTP)より生合成されることを触媒する。今までに開示されているこのファミリーは、例えば、構造的特徴とリガンドの型の両方に従って、2つの群:ナトリウム利尿ペプチドにより刺激され得るグアニル酸シクラーゼ微粒子、およびNOにより刺激され得る可溶性グアニル酸シクラーゼに分類され得る。可溶性グアニル酸シクラーゼは2つのサブユニットからなり、極めて高い確実性でヘテロダイマー当たり1つのヘムを含有しており、それが調節部位の一部を形成する。後者は活性化機構にとって最も重要である。NOはヘムの鉄原子と結合し、かくして該酵素の活性を顕著に増加させ得る。反対に、ヘム不含の調製物はNOにより刺激され得ない。一酸化炭素(CO)もまた、ヘムの中心となる鉄原子と結合し得るが、COによる刺激はNOによる刺激には全く及ばない。
【0003】
cGMPの産生およびそれにより生じるホスホジエステラーゼ、イオンチャネルおよび蛋白キナーゼの制御を介して、グアニル酸シクラーゼは種々の生理学的プロセスにおいて、特に平滑筋細胞の弛緩および増殖において、血小板凝集および粘着において、および神経シグナル伝達において、ならびに上記したプロセスの損傷により惹起される障害において、極めて重要な役割を果たす。病態生理学的状態の下では、NO/cGMP系は抑制され、そのことが、例えば、高血圧、血小板活性化、細胞増殖の増加、内皮細胞機能不全、アテローム性動脈硬化症、狭心症、心不全、心筋梗塞、血栓症、卒中および性的機能不全をもたらす可能性がある。
【0004】
NOと関係なく、生体におけるcGMPシグナル化経路に影響を与えることを目的とする、かかる障害を治療する可能性のある一の方法は、その効能が高く、考えられる副作用が殆どないため、見込みのある解決手段である。
【0005】
その効果がNOを基礎とする、有機硝酸塩などの化合物は、これまで、専ら、可溶性グアニル酸シクラーゼの治療的刺激のために用いられるだけであった。NOは生物変換により産生され、ヘムの中心となる鉄原子に結合することで可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化する。その副作用に加えて、耐性の進行することがこの治療方法の極めて重要な欠点の一つである。
【0006】
可溶性グアニル酸シクラーゼを、直接的に、すなわち、NOを先に放出することなく、刺激する物質、例えば、最近では、3−(5’−ヒドロキシメチル−2’−フリル)−1−ベンジルインダゾール[YC-1, Wuら、Blood 84 (1994), 4226;Mulschら、Brit. J. Pharmacol. 120 (1997), 681]、脂肪酸[Goldbergら、J. Biol. Chem. 252 (1977), 1279]、ジフェニルインドニウムヘキサフルオロホスフェート[Pettiboneら、Eur. J. Pharmacol. 116 (1985), 307]、イソリクイリチジン[Yuら、Brit. J. Pharmacol. 114 (1995), 1587]および種々の置換ピラゾール誘導体(WO 98/16223)などの物質が記載されている。
【0007】
縮合ピラゾール誘導体が、とりわけ、WO 98/23619、WO 00/06568、WO 00/06569、WO 02/42299、WO 02/42300、WO 02/42301、WO 02/42302、WO 02/092596、WO 03/004503、WO 03/095451、WO 2007/124854、WO 2007/128454およびWO 2008/031513にて、適当なグアニル酸シクラーゼの刺激剤として記載されている。しかしながら、これら化合物のある物は、例えばその溶解性などの物理化学特性について、あるいは、例えば肝臓におけるその働き、その薬物動態学的作用、その用量/活性関係および/またはその代謝経路などのインビボにおける特性について、欠点を有することが判明した。
【0008】
さらには、WO 01/57024、WO 03/035005およびWO 2005/030121は、障害を治療するための種々の縮合ピラゾール誘導体を開示する。
【0009】
可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤として作用し、先行文献に記載の化合物と比べて、同じまたは改善された物理化学的、薬物動態学的および/または治療学的プロフィールを有する、新規な物質を提供することが本発明の目的である。
【0010】
本発明は、一般式(I):
【化1】

(I)
【0011】
[式中、
AはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
DはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
EはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
GはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシである、
ただし、A、D、EおよびGのうち多くて2つはNであり、
は(C−C)−シクロアルキルであり、
ここで、(C−C)−シクロアルキルはフッ素および(C−C)−アルキルからなる群より相互に独立して選択される1または2種の置換基により置換されていてもよく、
はピロリニル、ジヒドロピラゾリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソキサゾリル、ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−チアジアゾリル、ジヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、1,3−オキサジニル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルまたはトリアジニルであり、
ここでピロリニル、ジヒドロピラゾリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソキサゾリル、ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−チアジアゾリル、ジヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、1,3−オキサジニル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルは、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRおよび−NR−SO−NRからなる群より相互に独立して選択される1ないし4種の置換基により置換されていてもよく、
ここで、
nは0または1の数であり、
pは0、1または2の数であり、
、RおよびRは、各々相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C10)−アリール、4−ないし8−員のヘテロシクリルまたは5−ないし10−員のヘテロアリールであり、
ここでR、RおよびRは、その一部において、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキルカルボニル、(C−C)−アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、オキソ、メルカプト、(C−C)−アルキルチオ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ホルミルアミノ、(C−C)−アルキルカルボニルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニルおよび4−ないし8−員のヘテロシクリルからなる群より相互に独立して選択される1ないし5種の置換基により置換されていてもよく、あるいは
およびRはそれらが結合する基と一緒になって4−ないし8−員のヘテロサイクルを形成するか、あるいは
およびRはそれらが結合する基と一緒になって4−ないし8−員のヘテロサイクルを形成する]
で示される化合物またはそのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩またはN−オキシドもしくは塩の溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明の化合物は、式(I)に含まれ、後記する化合物が既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合においても、式(I)の化合物ならびにその塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物、式(I)により包含されて以下に示される式の化合物ならびにその塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物、ならびに式(I)により包含されて以下に具体的に示される化合物ならびにその塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物を包含する。
【0013】
式(I)の化合物のN−オキシドならびにその塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物も同様に本発明の化合物である。
【0014】
本発明の化合物は、その構造に応じて、立体異性体の形態(エナンチオマー、ジアステレオマー)にて存在してもよい。したがって、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびその各々の混合物に関する。立体異性体として純粋な構成体は、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物より既知の方法にて単離され得る。
【0015】
本発明の化合物は互変異性体の形態にて存在することができ、本発明は互変異性体の形態のすべてを包含する。
【0016】
本発明の目的のための好ましい塩は、本発明の化合物の生理学的に許容される塩である。しかしながら、それ自体は医薬に用いるのに適しないが、例えば本発明の化合物を単離または精製するのに用いることができる塩も含まれる。
【0017】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を包含する。
【0018】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩はまた、例えば、好ましくは、アルカリ金属塩(例、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1ないし16個の炭素原子を有する有機アミン、例えば、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジンなどのアミンより誘導されるアンモニウム塩等の従来の塩基の塩を包含する。
【0019】
本発明の目的のために、溶媒和物は、溶媒分子が配位することで固体または液体状態の複合体を形成する本発明の化合物の形態をいう。水和物は配位が水との間で生じている溶媒和物の特定の形態である。本発明との関連で好ましい溶媒和物は水和物である。
【0020】
本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。「プロドラッグ」なる語は、それ自体が生物学的に活性または不活性であってもよいが、その体内での滞留時間の間に(例えば、代謝作用または加水分解により)本発明の化合物に変更される化合物をいう。
【0021】
本発明との関連で、置換基は特記しない限り次の意義を有する:
【0022】
本発明との関連で、アルキルは、各々、指摘される数の炭素を有する直鎖または分岐状アルキル基を示す。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、1−メチルプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチルおよび2−エチルブチル。
【0023】
本発明との関連で、シクロアルキルは、3ないし8個の炭素原子を有する単環式飽和アルキル基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル。
【0024】
本発明との関連で、アルケニルは、炭素数2−6の1または2個の二重結合を有する、直鎖または分岐状のアルケニル基をいう。好ましくは、炭素数2−4の1個の二重結合を有する直鎖または分岐状アルケニル基である。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:ビニル、アリル、イソプロペニルおよびn−ブタ−2−エン−1−イル。
【0025】
本発明との関連で、シクロアルケニルは、炭素数3ないし8の、1個の二重結合を有する単環式炭素環をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニル。
【0026】
本発明との関連で、アルキルカルボニルは、炭素数1ないし6または1ないし4のアルキル鎖を有する直鎖または分岐状アルキル基と、1−位に結合したカルボニル基を有する基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニルおよびtert−ブチルカルボニル。
【0027】
本発明との関連で、アルキルカルボニルオキシは、酸素原子を介して結合し、炭素数1ないし6または1ないし4のアルキル鎖を有する直鎖または分岐状アルキルカルボニル基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n−プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシおよびtert−ブチルカルボニルオキシ。
【0028】
本発明との関連で、アルコキシは、炭素数1ないし4の直鎖または分岐状アルコキシ基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、1−メチルプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシおよびtert−ブトキシ。
【0029】
本発明との関連で、アルキルチオは、炭素数1ないし6または1ないし4の直鎖または分岐状アルキルチオ基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオおよびn−ヘキシルチオ。
【0030】
本発明との関連で、アルコキシカルボニルは、炭素数1ないし6または1ないし4の直鎖または分岐状アルコキシ基およびその酸素で結合したカルボニル基を有する基をいう。アルコキシ基の炭素数が1ないし4の直鎖または分岐状アルコキシカルボニル基であることが好ましい。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル。
【0031】
本発明との関連で、モノアルキルアミノは、炭素数1ないし6の直鎖または分岐状アルキル置換基を有するアミノ基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびtert−ブチルアミノ。
【0032】
本発明との関連で、ジアルキルアミノは、各々が同一または異なる2種の炭素数1ないし6の直鎖または分岐状アルキル置換基を有するアミノ基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0033】
本発明との関連で、モノアルキルアミノカルボニルは、カルボニル基を介して結合し、炭素数1ないし6または1ないし4の直鎖または分岐状アルキル置換基を有するアミノ基をいう。炭素数1ないし4のアルキル基を有するモノアルキルアミノカルボニル基であることが好ましい。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニルおよびn−ヘキシルアミノカルボニル。
【0034】
本発明との関連で、ジアルキルアミノカルボニルは、カルボニル基を介して結合し、各々が同一または異なる2種の炭素数1ないし6または1ないし4の直鎖または分岐状アルキル置換基を有するアミノ基をいう。アルキル基の各々が1ないし4個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニル基であることが好ましい。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノカルボニル、N−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニル、N−n−ペンチル−N−メチルアミノカルボニルおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノカルボニル。
【0035】
本発明との関連で、アルキルカルボニルアミノは、炭素数1ないし6または1ないし4のアルキル鎖を有し、カルボニル基を介して窒素原子に結合する、直鎖または分岐状アルキルカルボニル置換基を有するアミノ基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、 n−ブチルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノおよびtert−ブチルカルボニルアミノ。
【0036】
本発明との関連で、アルコキシカルボニルアミノは、炭素数1ないし6または1ないし4のアルキル鎖を有し、カルボニル基を介して窒素原子に結合する、直鎖または分岐状アルコキシカルボニル置換基を有するアミノ基をいう。以下の基は、例として、または好ましい例として言及され得る:メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、 n−ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノおよびtert−ブトキシカルボニルアミノ。
【0037】
本発明との関連で、5−ないし10−員のヘテロアリールは、N、OおよびSからなる群より選択される3個までの同じまたは異なる環ヘテロ原子を含有して合計で5ないし10個の環原子を有し、環炭素原子または所望により環窒素原子を介して結合する、単環または所望により二環式芳香族ヘテロサイクル(ヘテロ芳香族)をいう。以下の基が例として言及され得る:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル。N、OおよびSからなる群より選択される3個までの環ヘテロ原子を有する、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニルなどの単環式5−または6−員のヘテロアリール基であることが好ましい。
【0038】
本発明との関連で、4−ないし8−員のヘテロサイクルは、N、O、S、SOおよびSOからなる群より選択される1個または2個の環ヘテロ原子を含有して合計で4ないし8個の環原子を有し、環炭素原子または所望により環窒素原子を介して結合する、単環式飽和ヘテロサイクルをいう。N、OおよびSからなる群より選択される1個または2個の環ヘテロ原子を有する5−ないし7−員のヘテロサイクルであることが好ましく、NおよびOからなる群より選択される1個または2個の環ヘテロ原子を有する5−または6−員のヘテロサイクルが特に好ましい。以下の基が例として言及されてもよい:アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チオラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニルおよびヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル。ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルであることが好ましい。
【0039】
本発明との関連で、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。塩素またはフッ素であることが好ましい。
【0040】
本発明の化合物中の基が置換されている場合、該基は、特に記載しない限り、1回または複数回置換されていてもよい。本発明との関連で、複数回起こるすべての基において、その意味は互いに独立したものである。1、2または3個の同一または異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換が特に好ましい。
【0041】
本発明との関連で、
AがCRまたはNであり、
ここで、
が水素であり、
DがCRまたはNであり、
ここで、
が水素であり、
EがCRまたはNであり、
ここで、
が水素であり、
GがCRまたはNであり、
ここで、
が水素であり、
ただし、基A、D、EおよびGのうち多くて2個はNであり、
がシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、
ここで、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルは、フッ素およびメチルからなる群より相互に独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよく、
が式:
【化2】

[式中、
#はヘテロビサイクルとの結合点を示し、
KはCHまたはNであり、
JはCR12、NまたはN−Oであり、
ここで、
12はハロゲン、ニトロ、シアノ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRまたは-NR−SO−NRであり、
ここで
nは0または1であり、
pは0または2であり、
、RおよびRは、相互に各々独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5−ないし7−員のヘテロシクリルまたは5−または6−員のヘテロアリールであり、
ここで、R、RおよびRは、その一部において、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群より相互に独立して選択される1ないし3個の置換基により置換されていてもよく、または
およびRは、その結合する基と一緒になって、5−ないし7−員のヘテロサイクルを形成するか、または
およびRは、その結合する基と一緒になって、5−ないし7−員のヘテロサイクルを形成する]
で示される基である、式(I)の化合物あるいはそのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩またはN−オキシドもしくは塩の溶媒和物が好ましい。
【0042】
本発明との関連で、式(I):式中、
AがNであり、
DがCRであり、
ここでRが水素であり、
EがCRであり、
ここでRが水素であり、
GがCRであり、
ここでRが水素であり、
がシクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、
が式:
【化3】

[式中、
#はヘテロビシクリルとの結合点を示し、
KはNであり、
JはCR12またはNであり、
ここで、
12は水素、−R、−NR−(C=O)−R、−NR−C(=O)−ORまたはピリジルであり、
ここで、
nはは1の数であり、
は水素、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルであり、
ここで、(C−C)−アルキルは、その一部について、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群より選択される置換基により置換されていてもよく、
は(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、
ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、その一部について、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、メトキシおよびオキソからなる群より選択される置換基で置換されていてもよく、または
およびRは、その結合する基と一緒になって、5−ないし7−員のヘテロサイクルを形成する]
で示される基である、化合物、あるいはそのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、またはそのN−オキシドまたは塩の溶媒和物であることが、特に好ましい。
【0043】
個々の基の所定の組み合わせとは関係なく、個々の基の組み合わせまたは好ましい組み合わせにて付与される特定の基の定義はまた、他の組み合わせの基の定義と置き換えられる。
【0044】
上記した2またはそれ以上の好ましい範囲の組み合わせが特に好ましい。
【0045】
本発明の式(I)の化合物は、式(II):
【化4】

(II)
[式中、A、D、E、GおよびRは、各々、上記と同意義である]
で示される化合物を、不活性溶媒中、適当な塩基の存在下にて、式(III):
【化5】

(III)
[式中、Rは上記と同意義であり、X1はトシラート、メシラートまたはハロゲン、特に臭素などの適当な脱離基である]
で示される化合物と反応させ、得られた本発明の化合物を、要すれば、上記した、個々の置換基および基の意義の範囲内で文献に記載の一般的方法を用いて修飾し、
得られた本発明の化合物を、要すれば、適当な(i)溶媒、および/または(ii)酸または塩基を用いてその溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することで調製され得る。
【0046】
(II)+(III)→(I)とする工程のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油フラクションなどの炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンまたはクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、あるいはアセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)またはN−メチルピロリドン(NMP)などの他の溶媒である。また、上記した溶媒の混合液を用いることも可能である。ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。
【0047】
(II)+(III)→(I)とする工程のための適当な塩基は、一般的な無機または有機塩基である。これらは、好ましくは、例えば、リチウムヒドロキシド、ナトリウムヒドロキシドまたはカリウムヒドロキシなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシド、あるいはリチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドまたはカリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド、あるいはN,N−N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)などの有機アミンを包含する。炭酸セシウムおよび水素化ナトリウムを用いることが好ましい。
【0048】
ここで、塩基は、式(II)の化合物1モル当たり、1ないし5モルの量にて、好ましくは1ないし2.5モルの量にて使用される。反応は、一般に、−10℃ないし+100℃の、好ましくは+0℃ないし+30℃の範囲の温度で実施される。該反応は、常圧、高圧または減圧(例えば、0.5ないし5バール)で、適当な場合、マイクロ波にて実施される。該反応は、一般に、常圧にて実施される。
【0049】
式(II)の化合物は、文献より公知であるか、あるいは市販の、または文献[例えば、WO 03/095451およびWO 03/097063を参照のこと]に記載の化合物を用いて開始する文献に記載の既知の方法と同様にして調製され得る。
【0050】
式(III)の化合物は、市販されているか、文献より公知であるか、または文献に記載の方法と同様にして調製され得る。
【0051】
本発明の化合物の調製は、以下の合成スキームにより例示される方法にて説明され得る:
スキーム1
【化6】

[a)ナトリウム、NH、NHCl;b)CsCO、DMF]
【0052】
本発明の化合物は有益な薬理特性を有し、ヒトおよび動物の障害を予防または治療するために使用され得る。本発明の化合物はさらなる別の治療の可能性を提案し、薬効の範囲を広げる。
【0053】
本発明の化合物は、血管弛緩、血小板凝集の阻害および血圧降下をもたらし、また冠動脈流の増加ももたらす。これらの効果は可溶性グアニル酸シクラーゼの直接的刺激および細胞内cGMPの増加により媒介される。その上、本発明の化合物は、例えば、EDRF(内皮由来血管弛緩因子)、NOドナー、プロトポルフィリンIX、アラキドン酸またはフェニルヒドラジン誘導体などの、cGMP濃度を増加させる物質の作用を強化する。
【0054】
したがって、本発明の化合物は、心血管障害の治療のための、例えば、高血圧および心不全、安定および不安定狭心症、肺高血圧、末梢および心血管障害、不整脈の治療の、血栓塞栓性障害および心筋梗塞、卒中、一過性および虚血性発作、末梢血流障害などの虚血症等の心血管障害の治療の、血栓溶解療法、経皮経管的血管形成術(PTA)、経皮経管冠動脈血管形成術(PTCA)、バイパス術の後などの再狭窄の防止の、および動脈硬化症、喘息障害および、例えば前立腺肥大、勃起障害、女性の性機能不全および失禁などの泌尿生殖器の疾患、骨粗鬆症、緑内障および胃不全麻痺の治療のための医薬に用いることができる。
【0055】
本発明の化合物は、付加的に、微小循環障害、跛行、末梢および自律神経障害、糖尿病性微小血管障害、糖尿病性網膜症、四肢の糖尿病性潰瘍、壊疽、クレスト症候群、エリトマトーデス、爪真菌症、リウマチ障害の、一次または二次レイノー現象の処置に、および損傷の治癒を進めるのに用いることができる。
【0056】
本発明の化合物は、さらには、泌尿器系障害、例えば、良性前立腺症候群(BPS)、良性前立腺肥大(BPH)、良性前立腺肥大(BPE)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、下部尿路症候群(LUTS)、神経性膀胱過敏症(OAB)および(IC)を含む泌尿生殖器系の障害、例えば、混合型尿失禁、切迫性尿失禁、緊張性尿失禁、溢流性尿失禁(MUI、UUI、SUI、OUI)などの尿失禁(UI)、骨盤痛、男性および女性泌尿生殖器系の器官の良性および悪性障害、例えば、急性または慢性腎不全などの腎障害、腎移植拒絶反応などの免疫学的腎臓障害、糸球体腎炎、免疫複合体誘発性腎障害、糸球体症、腎炎、中毒性腎症および閉塞性尿路疾患などの障害の治療に適している。
【0057】
さらには、本発明の化合物は、呼吸窮迫症候群(ALI、ARDS)および急性閉塞性気道障害(COPD)などの急性および慢性肺疾患の治療に適し、また急性および慢性腎不全の治療にも適している。
【0058】
本発明に記載の化合物はまた、NO/cGMP系の障害により特徴付けられる中枢神経系疾患を制御するための活性成分を示す。該化合物は、中程度の認知障害、加齢関連の学習および記憶障害、加齢関連の記憶喪失、血管性認知症、頭蓋脳損傷、脳卒中、脳卒中後の認知症(後卒中認知症)、外傷後頭蓋脳損傷、一般集中力損傷、学習および記憶問題を抱える子供の集中力損傷、アルツハイマー病、レビー小体認知症、ピック症候群を含む前頭葉の変性に伴う認知症、パーキンソン病、進行性核麻痺、大脳皮質基底核変性に伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(amyolateral sclerosis)(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツヘルツ−ヤコブ認知症、HIV認知症、認知症またはコルサコフ精神病に伴う統合失調症などの病態/疾患/症候群に特に付随して生じる障害などの、理解、集中、学習または記憶の改善に特に適している。該化合物は、不安な状態、躁と鬱、CNS関連の性機能不全および睡眠障害などの中枢神経系の障害の治療、および食物、刺激物および中毒性物質を病的に摂取する障害の制御にも適している
不安、躁鬱、CNS関連の性的機能不全および睡眠障害などの中枢神経系障害の治療にも適している。
【0059】
本発明の化合物は、その上また、脳血流の制御にも適しており、かくして偏頭痛を制御する効果的な剤でもある。該化合物はまた、卒中、脳虚血および頭蓋脳外傷などの脳梗塞(脳卒中)の後遺症の予防および制御にも適している。本発明の化合物は、同様に、痛みの症状を制御するのにも用いることもできる。
【0060】
加えて、本発明の化合物は抗炎症作用を有しており、したがって抗炎症剤として用いることもできる。
【0061】
本発明はさらには、障害、特に上記した障害の治療および/または予防のための本発明の化合物の使用に関する。
【0062】
本発明はさらには、心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の治療および/または予防方法にて用いるための本発明の化合物に関する。
【0063】
本発明はさらには、障害、特に上記した障害の治療および/または予防用の医薬の製造における本発明の化合物の使用に関する。
【0064】
本発明はさらには、有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を用いることによる、障害、特に上記した障害の治療および/または予防方法に関する。
【0065】
本発明の化合物は、単独で、または必要ならば、他の活性成分と組み合わせて用いることができる。本発明はさらには少なくとも1種の本発明の化合物および1種または複数のさらなる活性成分を含む、特に上記した障害の治療および/または予防のための医薬に関する。組み合わせに適する好ましい活性成分を以下に例として言及する:
・例えば、ナトリウムニトロプルシド、ニトログリセリン、イソソルビド・モノニトレート、イソソルビド・ジニトレート、モルシドミンまたはSIN−1および吸入NOなどの有機硝酸塩およびNOドナー;
・例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのホスホジエステラーゼ(PDE)1、2および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤等のサイクリックグアノシンモノホスフェート(cGMP)の分解を阻害する化合物;
・例えば、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの抗血栓性活性を有する剤;
・血圧を降下させる活性成分、例えば、好ましくはカルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断剤、ベータ−受容体遮断剤、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの成分;および/または
・脂質代謝を修飾する活性成分、例えば、好ましくは甲状腺受容体アゴニスト、例えば、好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤などのコレステロール合成阻害剤の、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポ蛋白(a)アンタゴニストの群からの活性成分。
【0066】
抗血栓活性を有する剤は、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0067】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはアスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールなどの血小板凝集阻害剤と組み合わせて投与される。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはキシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンなどのトロンビン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0069】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはチロフィバンまたはアブシキシマブなどのGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0070】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはリバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン、フィデキサバン、ラザキサバン、フォンダパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX−9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428などのファクターXa阻害剤と組み合わせて投与される。
【0071】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0072】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはクマリンなどのビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0073】
血圧を降下させる剤は、好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断剤、ベータ−受容体遮断剤、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0074】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはニフェジピン、アムロジン、ベラパミルまたはジルチアゼムなどのカルシウムアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0075】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはピラゾシンなどのアルファ−1−受容体遮断剤と組み合わせて投与される。
【0076】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはプロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラゾロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールなどのベータ−受容体遮断剤と組み合わせて投与される。
【0077】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブルサタン(embursatan)などのアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0078】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはエナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、フォシノプリル、キナプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリルなどのACE阻害剤と組み合わせて投与される。
【0079】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはボセンタン、ダルセンタン、アンブリセンタンまたはシタクスセンタンなどのエンドセリンアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはアリスキレン、SPP600またはSPP800などのレニン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0081】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはスピロノラクトンまたはエプレレノンなどの鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0082】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはフロセミドなどの利尿剤と組み合わせて投与される。
【0083】
脂質代謝を修飾する剤は、好ましくは、CEPT阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤などのコレステロール合成阻害剤の、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、およびリポ蛋白(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0084】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはトルセトラピブ(CP−529 414)、JJT−705またはCETPワクチン(アバント)などのCETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0085】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはD−チロキシン、3,5,3’−トリヨードチロシン(T3)、CGS23425またはアキシチローム(axitirome)(CGS26214)などの甲状腺受容体アゴニストと組み合わせて投与される。
【0086】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンなどのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0087】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはBMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与される。
【0088】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはアバシミベ(avasimibe)、メリナミド、パクチミベ(pactimibe)、エフルシミベ(eflucimibe)またはSMP−797などのACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0089】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはインプリタピド、BMS−201038、R−103757またはJTT−130などのMTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0090】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのPPAR−ガンマアゴニストと組み合わせて投与される。
【0091】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはCW501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与される。
【0092】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはエゼチミブ、チクエシドまたはパマクエシドなどのコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0093】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはオルリスタットなどのリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0094】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはコレスチラミン、コレスチポール、コレソルバン、コレスタゲルまたはコレスチミドなどのポリマー胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0095】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはASBT(=IBAT)阻害剤、例えばAZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などの胆汁酸再吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0096】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはゲムカベンカルシウム(CI−1027)またはニコチン酸などのリポ蛋白(a)アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0097】
本発明は、さらには、一般には、1種または複数の不活性な非毒性の医薬上許容される賦形剤と一緒に、本発明の少なくとも1種の化合物を含む医薬に、および該医薬の上記した目的のための使用に関する。
【0098】
本発明の化合物は全身的および/または局所的に作用しうる。この目的のために、該化合物は、例えば、経口、非経口、肺、鼻、舌下、舌側、頬側、経直腸、皮膚、経皮、結膜、経耳的によるなどの、あるいはインプラントまたはステントなどの適当な方法にて投与され得る。
【0099】
本発明の化合物は、これらの投与経路に適する投与形態にて投与され得る。
【0100】
従来通りに機能し、本発明の化合物を迅速に、および/または修飾された方法にてデリバリーし、本発明の化合物を結晶形態、および/または非晶質形態、および/または溶解した形態、例えば、錠剤(被覆されていない、または例えば、不溶性または遅れて溶解し、本発明の化合物の放出を制御する腸溶性コーティング剤またはコーティング剤を有する、被覆された錠剤)、口中で速やかに分解する錠剤、またはフィルム/ウェハー、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒、ペレット、散剤、エマルジョン、懸濁液、エアロゾルまたは液剤などの形態にて含有する投与形態が経口投与に適している。
【0101】
非経口投与は、吸収工程を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内または脊椎内)、あるいは吸収工程を含んで(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)起こりうる。非経口投与に適する投与形態は、とりわけ、液剤、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥剤または滅菌散剤の形態の注射および注入用の製剤である。
【0102】
例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入剤、噴霧剤)、点鼻剤、液剤またはスプレー;舌側、舌下または頬側投与用錠剤、フィルム/ウェハーまたはカプセル、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル、水性懸濁液(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁液、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、泡沫剤、散布剤、インプラントまたはステントが他の投与経路に適する。
【0103】
経口または非経口投与、特に経口投与が好ましい。
【0104】
本発明の化合物は上記した投与形態に変換され得る。このことは、不活性な非毒性の医薬上適当な賦形剤と混合することで、自体公知の方法にて起こり得る。これらの賦形剤は、とりわけ、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシスルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例、例えばアスコルビン酸などの酸化防止剤)、着色剤(例、例えば酸化鉄などの無機顔料)およびマスキングフレーバーおよび/または臭気マスキング剤を包含する。
【0105】
一般に、効果的な結果を得るのに、体重1kgに付き約0.001ないし1mg、好ましくは約0.01ないし0.5mgの投与量にて非経口的に投与することが有利であることが分かっており、経口投与では該用量は体重1kgに付き約0.01ないし100mg、好ましくは約0.01ないし20mg、特に好ましくは0.1ないし10mgである。
【0106】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に体重、投与経路、活性成分に対する個々の応答、製剤の特性および投与を行う時間または間隔の関数として、上記した量を逸脱する必要があるかもしれない。かくして、ある場合には、上記した最低量より少なくて十分であるかもしれず、またある場合には上記した上限を越える必要があるかもしれない。多量を投与する場合には、これらの用量を一日にわたって複数の個々の用量に分割することが望ましい。
【0107】
以下の例示としての実施態様を用いて本発明を説明する。本発明はその実施例に限定されない。
【0108】
以下の試験および実施例における%データは、特記しない限り、重量%であり;部は重量部である。溶媒割合、希釈割合および液体/液体溶液の濃度データは、いずれの場合でも容量によるものである。
【0109】
A.実施例
略語:
aq. 水溶液
br.s ブロードシングレット(NMRにおける)
DCC N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq. 当量
ESI 電子噴射イオン化(MSにおける)
Et エチル
h 時間
HOAc 酢酸
HOBt 1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール・xH
HPLC 高圧、高性能液体クロマトグラフィ
いPr イソプロピル
LC/MS 質量分析を組み合わせた液体クロマトグラフィ
LDA リチウムジイソプロピルアミド
min 分
MS 質量分析
NMR 核磁気共鳴分光法
RT 室温
保持時間(HPLCにおける)
THF テトラヒドロフラン
UV 紫外分光法
v/v 容量割合(溶液の)
【0110】
LC/MSおよびHPLC法:
方法1(LC/MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水(1リットル)+50%ギ酸(0.5ml)、移動相B:アセトニトリル(1リットル)+50%ギ酸(0.5ml);勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm
【0111】
方法2(LC/MS):
MS装置型:Micromass ZQ;HPLC 装置型:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μHydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:1リットルの水+0.5mlの50%ギ酸、移動相B:1リットルのアセトニトリル+0.5mlの50%ギ酸;勾配:0.0分 90%A→2.5分 30%A→3.0分 5%A→4.5分 5%A;流速:0.0分 1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0112】
方法3(LC/MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ20 mm x 4 mm;移動相A:1リットルの水+0.5mlの50%ギ酸、移動相B:1リットルのアセトニトリル+0.5mlの50%ギ酸;勾配:0.0分 100%A→0.2分 100%A→2.9分 30%A→3.1分 10%A→5.5分 10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm
【0113】
方法4(分取HPLC):
カラム:Kromasil 100 C 18、5 μm、250 mm x 20 mm;移動相A:水中0.2%トリフルオロ酢酸、移動相B:アセトニトリル;A:B 60:40アイソクラチック;流速:25ml/分;注入容量 500μl、温度 30℃
【0114】
方法5(分取HPLC):
カラム:Grom-Sil 120 ODS-4HE、10 μm、250 mm x 30 mm;移動相A:水中0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル;流速:50ml/分;勾配:0−3分 10%B、3−27分 10%→95%B、27−34分 95%B、34−38分 10%B
【0115】
出発物質
実施例1A
メチル[4,6−ジアミノ−2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−5−イル]カルバマート
【化7】

【0116】
ドライアイスの冷却浴を用いて、540mlのアンモニアを1リットルフラスコ中でコンデンスした。8.1g(352.6ミリモル)のナトリウムを約−50℃で少しずつ添加し、該混合物を−40℃で0.5時間攪拌した。ついで、36.0g(88.1ミリモル)のメチル{4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバマート(調製:WO 03/095451、実施例5を参照)を添加した。該混合物を同じ温度で5時間攪拌し、ついで、28.3g(528.9ミリモル)の塩化アンモニウムを加え、該混合物を−40℃でさらに0.5時間攪拌した。冷却浴を取り外し、該混合物を攪拌することなく一夜放置し、アンモニアを蒸発させた。750mlの水を該残渣に加えた。該混合物を0.5時間攪拌し、固体を吸引しながら濾過し、減圧下で乾燥させた。
【0117】
この粗生成物(34g)を200mlのメタノール、50mlのTHFおよび50mlの水の混合液に溶かした。該溶液をトリフルオロ酢酸を用いてpH2に調整し、HPLC(方法4)により少しずつ分離した。この操作により合計11.3gの出発物質を回収し、17.8g(理論上51%)の生成物含有のフラクション(純度76%(LC−MS))を得た。
【0118】
1gのこのフラクションを分取HPLC(方法5)で再び精製した。この操作により116mgの純度の高い生成物(理論上約8%)を得た。
【0119】
H−NMR(400MHz、DMSO−d):δ=14.8(br.s,1H)、13.3−12.5(br.s,2H)、8.91(d,J=8.1Hz,1H)、8.71(d,J=4.7Hz,1H)、8.34(s,1H)、7.46(dd,J=8.1,4.7Hz,1H)、3.66(s,3H)。
【0120】
LC−MS(方法3):R=2.11分;MS(ESIpos):m/z=301[M+H]
【0121】
具体例
実施例1
メチル[4,6−ジアミノ−2−(1−シクロヘキシルメチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−5−イル]カルバマート
【化8】

【0122】
330mg(1.1ミリモル)の実施例1Aの化合物および212mg(1.2ミリモル)のブロモメチルシクロヘキサンを最初に5mlのジメチルホルムアミドに加え、389mg(1.2ミリモル)の炭酸セシウムを添加し、得られた混合物を室温で一夜攪拌した。0.5mlの1N塩酸を加え、全溶液をHPLC(方法5)のより分離した。ロータリーエバポレーターに付した適当なフラクションは揮発性成分を含まず、その残渣を高真空下で乾燥させた。この操作により60mg(理論上19%)の標的化合物を得た。
【0123】
H−NMR(500MHz、DMSO−d):δ=9.03(d,1H)、8.55(d,1H)、8.04(s,1H)、7.28(dd,1H)、6.16(br.s,4H)、4.35(d,2H)、3.63(s,3H)、2.00(m,1H)、1.69−1.46(m,5H)、1.19−1.10(m,3H)、1.08−0.98(m,2H)。
【0124】
LC−MS(方法1):R=1.61分;MS(ESIpos):m/z=397[M+H]
【0125】
実施例2
メチル[4,6−ジアミノ−2−(1−シクロヘプチルメチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−5−イル]−カルバマート
【化9】

【0126】
300mg(1.0ミリモル)の実施例1Aの化合物および224mg(1.1ミリモル)のシクロヘプチルメチルメタンスルホナート(調製:J. Med. Chem. 2000, 43(26)、5017-5029を参照のこと)を最初に5mlのジメチルホルムアミドに加え、354mg(1.1ミリモル)の炭酸セシウムを添加し、得られた混合物を室温で一夜攪拌した。0.5mlの1N塩酸を加え、全溶液をHPLC(方法5)で分離した。適当なフラクションをロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。この操作により、2.8mg(理論上0.7%)の標的化合物を得た。
【0127】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=8.82(d,1H)、8.55(d,1H)、8.14(br.s,1H)、7.19(dd,1H)、6.0(br.S,1H)、5.35−5.05(br.s,3H)、4.44(d,2H)、3.79(s,3H)、2.42(m,1H)、1.69−1.21(m,12H)。
【0128】
LC−MS(方法1):R=1.80分;MS(ESIpos):m/z=411[M+H]
【0129】
実施例3
メチルN−[4,6−ジアミノ−2−(1−シクロヘキシルメチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−5−イル]−N−メチルカルバマート
【化10】

【0130】
24mg(61マイクロモル)の実施例1の化合物を最初に1mlのジメチルホルムアミドに加え、約2.7mg(70マイクロモル)の水素化ナトリウム(鉱油中60%)を添加した。得られた混合物を室温で10分間攪拌し、ついで6μl(9μモル)のヨードメタンを添加し、反応物を一夜攪拌した。0.5mlの1N 塩酸を加え、全溶液をHPLC(方法5)で分離した。適当なフラクションをロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。この操作により、8mg(理論上32%)の標的化合物を得た。
【0131】
H−NMR(500MHz、CDCl):δ=8.88(dd,1H)、8.55(dd,1H)、7.20(dd,1H)、4.84(brs,4H)、 4.49(d,2H)、3.70(brs,3H)、3.20(s,3H)、2.20(m,1H)、1.69−1.60(m,3H)、1.56−1.51(m,2H)、1.22−1.03(m,5H)。
【0132】
LC−MS(方法2):R=1.62分;MS(ESIpos):m/z=411[M+H]
【0133】
実施例4
2−[1−(シクロヘキシルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−アミン
【化11】

【0134】
200mg(0.691ミリモル)の2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)−5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−アミン(調製:WO 03/097063、実施例35Aを参照)を5mlのDMFに溶かし、248mg(0.760ミリモル)の炭酸セシウムおよび136mg(0.760ミリモル)のシクロヘキシルメチルブロミドを添加した。該混合物を室温で一夜攪拌した。水を加え、該混合物をジクロロメタンで3回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を分取HPLC(方法5)で分画した。生成物含有のフラクションを合し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。この操作により、29mg(理論上11%)の標的化合物を得た。
【0135】
H−NMR(500MHz、CDCl):δ=1.08−1.25(m,5H)、1.56−1.71(m,5H)、2.20−2.28(m,1H)、4.51(d,2H)、5.33(sbr,2H)、7.25(dd,1H)、7.46(d,2H)、8.40(s,1H)、8.59(d,1H)、8.77(sbr,2H)、8.94(d,1H)。
【0136】
LC−MS(方法1):R=1.84分;MS(ESIpos):m/z=386[M+H]
【0137】
実施例5
2−[1−(シクロヘプチルメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]−5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−アミン
【化12】

【0138】
200mg(0.691ミリモル)の2−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル)−5−(ピリジン−4−イル)ピリミジン−4−アミン(調製:WO 03/097063、実施例35Aを参照)を4mlのDMFに溶かし、451mg(1.383ミリモル)の炭酸セシウムおよび288mg(1.383ミリモル)のシクロヘプチルメチルメタンスルホネート(調製:WO 96/05193、147頁を参照)を添加した。該混合物を室温で一夜攪拌した。水を加え、該混合物をジクロロメタンで3回抽出した。合した有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を分取HPLC(方法5)で分画した。生成物含有のフラクションを合し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を高真空下で乾燥させた。この操作により45mg(理論上16%)の標的化合物を得た。
【0139】
H−NMR(500MHz、DMSO−d):δ=1.21−1.66(m,12H)、2.24−2.34(m,1H)、4.40(d,2H)、7.17(sbr,2H)、7.36(dd,1H)、7.56(d,2H)、8.29(s,1H)、8.61(dd,1H)、8.68(d,2H)、9.01(dd,1H)。
【0140】
LC−MS(方法1):R=1.97分;MS(ESIpos):m/z=400[M+H]
【0141】
B.薬理学的活性の評価
本発明の化合物の薬理学的作用は以下のアッセイにて示されうる:
【0142】
B−1.インビトロにおける血管弛緩作用
頚部に衝撃を与えることでウサギを失神させ、放血させる。大動脈を摘出し、付着組織を取り除き、幅1.5mmの環に分ける。該環を、個々に、37℃であり、カルボゲンで通気されており、以下の組成(各々、mM):NaCl:119;KCl:4.8;CaCl・2HO:1;MgSO・7HO:1.4;KHPO:1.2;NaHCO:25;グルコース:10を有する、クレブス−ヘンゼライト溶液を入れた5mlのオルガンバス中、初期の張力の下に置く。収縮力をStatham UC2細胞で検出し、A/Dコンバーター(DAS-1802 HC、Keithley Instruments、Munich)を介して増幅し、デジタル化して、並行してチャートレコーダー上に記録する。バスに漸増濃度のフェニレフリンを累積的に添加することで収縮作用を誘発する。制御サイクルを数回行った後、試験されるべき物質をいずれの場合でも漸増量を各々追加して添加し、達成される収縮の大きさを一つ手前で達せられる収縮の大きさと比較する。対照値を50%下げるのに必要な濃度(IC50値)をこれより計算する。標準的なアプリケーション容量は5μlであり、バス溶液中のDMSOの割合は0.1%に相当する。
【0143】
本発明の化合物の代表的なIC50値を以下の表に示す:
【表1】

【0144】
B−2.組換えグアニル酸シクラーゼレポータ細胞系に対する作用
本発明の化合物の細胞活性を、F. Wunderら、Anal. Biochem. 339、104-112(2005)に記載されるように、組換えグアニル酸シクラーゼレポータ細胞系を用いて測定する。
【0145】
C.医薬組成物の具体例
本発明の化合物は以下の方法にて医薬組成物に変換され得る:
【0146】
錠剤:
組成:
100mgの本発明の化合物、50mgのラクトース(一水和物)、50mgのトウモロコシ澱粉(天然)、10mgのポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF、Ludwigshafen、Germany)および2mgのステアリン酸マグネシウム
錠剤重量:212mg;径:8mm;曲率半径:12mm
【0147】
製造:
本発明の化合物、ラクトース、および澱粉の混合物を水中5%PVP溶液(m/m)で顆粒にする。該顆粒を乾燥させてステアリン酸マグネシウムと一緒に5分間混合する。この混合物を通常の打錠機で圧縮する(錠剤のフォーマットについては上記を参照のこと)。圧縮についてのガイドラインとなる圧縮力は15kNである。
【0148】
経口投与され得る懸濁液:
組成:
1000mgの本発明の化合物、1000mgのエタノール(96%)、400mgの(ロジゲル(Rodigel)(登録商標)(FMC、Pennsylvania、USAからのキサンタンガム))および99gの水
10mlの経口用懸濁液は本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
【0149】
製造:
ロジゲルをエタノールに懸濁させ、本発明の化合物を該懸濁液に加える。水を攪拌しながら添加する。ロジゲルが完全に膨張するまで、該混合物を約6時間攪拌する。
【0150】
経口投与され得る溶液:
組成:
500mgの本発明の化合物、2.5gのポリソルベートおよび97gのポリエチレングリコール400
20gの経口用溶液は本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
【0151】
製造:
本発明の化合物をポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に攪拌しながら懸濁させる。本発明の化合物が完全に溶解するまで攪拌工程を続ける。
【0152】
静脈内用溶液:
本発明の化合物を生理学的に許容される溶媒(例えば、生理食塩水、5%グルコール溶液および/または30%PEG400溶液)中にて飽和溶解度より低い濃度で溶かす。該溶液を濾過により滅菌処置に付し、滅菌性のピロゲン不含の注射容器に充填して用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
AはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
DはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
EはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
GはCRまたはNであり、
ここで、Rは水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシである、
ただし、A、D、EおよびGのうち多くて2つはNであり、
は(C−C)−シクロアルキルであり、
ここで、(C−C)−シクロアルキルはフッ素および(C−C)−アルキルからなる群より相互に独立して選択される1または2種の置換基により置換されていてもよく、
はピロリニル、ジヒドロピラゾリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソキサゾリル、ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−チアジアゾリル、ジヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、1,3−オキサジニル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルまたはトリアジニルであり、
ここでピロリニル、ジヒドロピラゾリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソキサゾリル、ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−チアジアゾリル、ジヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、1,3−オキサジニル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルは、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRおよび−NR−SO−NRからなる群より相互に独立して選択される1ないし4種の置換基により置換されていてもよく、
ここで、
nは0または1の数であり、
pは0、1または2の数であり、
、RおよびRは、各々相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C10)−アリール、4−ないし8−員のヘテロシクリルまたは5−ないし10−員のヘテロアリールであり、
ここでR、RおよびRは、その一部において、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキルカルボニル、(C−C)−アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、オキソ、メルカプト、(C−C)−アルキルチオ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、ホルミルアミノ、(C−C)−アルキルカルボニルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニルおよび4−ないし8−員のヘテロシクリルからなる群より相互に独立して選択される1ないし5種の置換基により置換されていてもよく、あるいは
およびRはそれらが結合する基と一緒になって4−ないし8−員のヘテロサイクルを形成するか、あるいは
およびRはそれらが結合する基と一緒になって4−ないし8−員のヘテロサイクルを形成する]
で示される化合物またはそのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩またはN−オキシドもしくはその塩の溶媒和物。
【請求項2】
式(I)で示される化合物であって、ここで
AがCRまたはNであり、
ここで、Rが水素であり、
DがCRまたはNであり、
ここで、Rが水素であり、
EがCRまたはNであり、
ここで、Rが水素であり、
GがCRまたはNであり、
ここで、Rが水素であり、
ただし、基A、D、EおよびGのうち多くて2個はNであり、
がシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、
ここで、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルは、フッ素およびメチルからなる群より相互に独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよく、
が式:
【化2】

[式中、
#はヘテロビサイクルとの結合点を示し、
KはCHまたはNであり、
JはCR12、NまたはN−Oであり、
ここで、
12はハロゲン、ニトロ、シアノ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRまたは−NR−SO−NRであり、
ここで
nは0または1であり、
pは0または2であり、
、RおよびRは、相互に各々独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5−ないし7−員のヘテロシクリルまたは5−または6−員のヘテロアリールであり、
ここで、R、RおよびRは、その一部において、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群より相互に独立して選択される1ないし3個の置換基により置換されていてもよく、または
およびRは、その結合する基と一緒になって、5−ないし7−員のヘテロサイクルを形成するか、または
およびRは、その結合する基と一緒になって、5−ないし7−員のヘテロサイクルを形成する]
で示される基である、化合物あるいはそのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩またはN−オキシドもしくはその塩の溶媒和物。
【請求項3】
式(I)で示される化合物であって、ここで
AがNであり、
DがCRであり、
ここでRが水素であり、
EがCRであり、
ここでRが水素であり、
GがCRであり、
ここでRが水素であり、
がシクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、
が式:
【化3】

[式中、
#はヘテロビシクリルとの結合点を示し、
KはNであり、
JはCR12またはNであり、
ここで、
12は水素、−R、−NR−(C=O)−R、−NR−C(=O)−ORまたはピリジルであり、
ここで、
nは1の数であり、
は水素、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルであり、
ここで、(C−C)−アルキルは、その一部において、フッ素、トリフルオロメチル、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群より選択される置換基により置換されていてもよく、
は(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、
ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、その一部において、フッ素、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、メトキシおよびオキソからなる群より選択される置換基で置換されていてもよく、または
およびRは、その結合する基と一緒になって、5−ないし7−員のヘテロサイクルを形成する]
で示される基である、化合物、あるいはそのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、またはそのN−オキシドもしくは塩の溶媒和物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物の製法であって、
式(II):
【化4】

(II)
[式中、A、D、E、GおよびRは、各々、請求項1ないし3のいずれかに記載の基と同意義である]
で示される化合物を、不活性溶媒中、適当な塩基の存在下にて、式(III):
【化5】

(III)
[式中、Rは請求項1ないし3のいずれかに記載の基と同意義であり、Xはトシラート、メシラートまたはハロゲン、特に臭素などの適当な脱離基である]
で示される化合物と反応させ、
得られた式(I)の化合物を、要すれば、上記した、個々の置換基および基の意義の範囲内で文献に記載の一般的方法を用いて修飾し、
得られた式(I)の化合物を、要すれば、適当な(i)溶媒、および/または(ii)塩基または酸でその溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを含む、方法。
【請求項5】
疾患の治療および/または予防のための請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害およびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防用の医薬にて用いるための、請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害およびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防用の医薬を調製するための、請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、不活性かつ非毒性の医薬的に適当な賦形剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、有機硝酸塩、NOドナー、cGMP−PDE阻害剤、抗血栓性活性を有する剤、血圧を降下させる剤、および脂質代謝を修飾する剤からなる群より選択される、さらなる活性成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項10】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害およびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防用の請求項8または9に記載の医薬。
【請求項11】
ヒトおよび動物における心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害およびアテローム性動脈硬化症の治療および/または予防方法であって、有効量の少なくとも請求項1ないし3のいずれかに記載の式(I)の化合物、または請求項8ないし10のいずれかに記載の医薬を投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2012−512207(P2012−512207A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541161(P2011−541161)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008741
【国際公開番号】WO2010/078900
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】