説明

新規な芳香族第3級アミン類とその利用

【課題】常温以上の温度で、それ自体で、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、高いガラス転移温度、即ち、すぐれた耐熱性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送剤として好適に用いることができる新規な芳香族第3級アミン類を提供する。
【解決手段】下記、一般式(I)で表わされる化合物。


(X及びA1 からA4 はフェニレン基、ナフタレンジイル基及びアントラセンジイル基から選ばれる2価芳香族基を示し、R1 からR4 は水素原子、N−カルバゾリル基又はジアリールアミノ基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス電子材料として有用である新規な芳香族第3級アミン類とその正孔注入及び/又は輸送剤としての利用に関する。詳しくは、本発明は、常温以上の温度でアモルファス状態を保持することができるので、それ自体で薄膜化することができ、しかも、耐熱性と電気的安定性にすぐれるので、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送剤として好適に用いることができる新規で有用な芳香族第3級アミン類とその利用、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送剤としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を照射することによって導電性や電荷生成等を生じる所謂光・電子機能を有する有機電子材料のうち、殆どの低分子量有機化合物は、それ自体では、薄膜形成能をもたないので、薄膜を形成するためには、バインダー樹脂に分散させて(即ち、希釈した状態で)、基材上に塗布し、薄膜化することが必要である。従って、従来、低分子量有機化合物からなる有機電子材料は、マトリックスであるバインダー樹脂の影響を受けると共に、希釈されているので、その本来の特性を十分に発揮することができない。更に、従来の低分子量有機化合物からなる有機電子材料は、バインダーの助けを借りて、常温で比較的安定な膜を形成させることができても、ガラス転移温度が低いので、耐熱性に劣り、実用的なデバイスに用いることが困難である。そこで、近年、常温でアモルファス性を有し、それ自体で薄膜を形成することができるアモルファス電子材料の開発が進められている。
【0003】
他方、種々の電子デバイスのなかでも、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧駆動、高効率、高輝度を有し、また、自己発光型デバイスであることから、薄型化できるので、近年、バックライトや照明装置のほか、ディスプレイ装置として、その実用化が進められている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、代表的には、透明基板、例えば、ガラス基板上にITO膜(酸化インジウム−酸化スズ膜)のような透明電極からなる陽極が積層されており、この陽極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び金属電極からなる陰極がこの順序にて積層されてなるものであり、上記陽極と陰極は外部の電源に接続されている。場合によっては、正孔注入層と正孔輸送層が単層に形成されることもあり、また、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されることもある。このほかにも、種々の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔注入層は、陽極に密着していて、この陽極から正孔を正孔輸送層を経て発光層に輸送し、注入すると共に、電子をブロックし、他方、電子輸送層は、陰極に密着していて、この陰極から電子を発光層に輸送し、注入し、そこで、発光層において、陰極から注入された電子と陽極から発光層に注入された正孔とが再結合するときに発光が生じ、これが透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。このように、電極間に発光層を挟んで、正孔注入層と(正孔輸送層と)電子輸送層を積層することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光効率が向上することが知られている。
【0006】
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正孔注入層、正孔輸送層又は正孔注入輸送層に用いられる有機電子材料、即ち、正孔注入及び/又は輸送剤としては、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)や(例えば、特許文献2参照)、また、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ))ビフェニル(α−NPD)等の芳香族第3級アミン類が知られているが(例えば、特許文献3参照)、しかし、これらの芳香族第3級アミン類は、無機電子材料に比べれば、耐熱性と電気的安定性に劣っている問題がある。また、4,4’,4”−トリス(N−フェニル−(m−トリル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)も知られているが(特許文献4参照)、ガラス転移温度が低い。
【0007】
即ち、これまでに知られている上述したような芳香族第3級アミン類は、有機エレクトロルミネッセンス素子において、真空蒸着によって形成された薄膜が熱及び電気的に十分に安定でないので、素子の駆動時の発熱によって、上記薄膜の結晶化が促進され、膜質が変化し、かくして、素子の発光効率の低下、ダークスポットと呼ばれる非発光部の発生と増加、定電流駆動時の電圧の上昇等を招き、遂には、素子の破壊に至る。また、高いガラス転移温度を有する芳香族第3級アミン類も開発されているが、そのような芳香族第3級アミン類は分子量が高いので、真空蒸着に際して高い温度を必要とし、従って、自体の劣化や分解が促進される問題がある。
【特許文献1】特開平06−001972号公報
【特許文献2】特開平07−090256号公報
【特許文献3】特開平05−234681号公報
【特許文献4】特開平01−224353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のアモルファス電子材料としての有機材料、特に、正孔注入及び/又は輸送剤における上述したような問題を解決して、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、高いガラス転移温度、即ち、すぐれた耐熱性を有し、正孔注入及び/又は輸送層として用いることによって、低電圧にて駆動することができて、高輝度、高効率、耐久性ある有機エレクトロルミネッセンス素子を与える芳香族第3級アミン類を提供することを目的とする。
【0009】
更に、本発明は、そのような芳香族第3級アミン類からなる正孔注入及び/又は輸送剤とそのような正孔注入及び/又は輸送剤からなる正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、X及びA1 からA4 はそれぞれ独立にフェニレン基、ナフタレンジイル基及びアントラセンジイル基から選ばれる2価芳香族基を示し、これらの2価芳香族基はそれぞれ独立に芳香環上に炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を置換基として有していてもよく、R1 からR4 はそれぞれ独立に水素原子又は一般式(II)、(III) 又は (IV)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R5 からR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される1価基を示す。但し、R1 からR4 がすべて水素原子であることはない。)
で表される芳香族第3級アミン類が提供される。
【0015】
更に、本発明によれば、上記芳香族第3級アミン類からなる正孔注入及び/又は輸送剤と、このような正孔注入及び/又は輸送剤を含む正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記一般式(I)で表される新規な芳香族第3級アミン類が提供される。このような芳香族第3級アミン類は、常温以上の温度においてアモルファス性にすぐれると共に、従来、知られている芳香族第3級アミン類に比べて、高いガラス転移温度を有し、耐熱性にすぐれており、従って、高いアモルファス性と耐熱性とを有する正孔注入及び/又は輸送剤として、有機エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いることができる。このように、本発明による芳香族第3級アミン類を正孔注入又は輸送剤として用いることによって、従来に比べて、低い電圧で駆動することができ、高い輝度を有し、しかも、耐久性にすぐれる有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による芳香族第3級アミン類は、一般式(I)
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、X及びA1 からA4 はそれぞれ独立にフェニレン基、ナフタレンジイル基及びアントラセンジイル基から選ばれる2価芳香族基を示し、これらの2価芳香族基はそれぞれ独立に芳香環上に炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を置換基として有していてもよく、R1 からR4 はそれぞれ独立に水素原子又は一般式(II)、(III) 又は (IV)
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、R5 からR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される1価基を示す。但し、R1 からR4 がすべて水素原子であることはない。)
で表される。
【0022】
上記一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、X及びA1 からA4 はそれぞれ独立にフェニレン基、ナフタレンジイル基及びアントラセンジイル基から選ばれる2価芳香族基を示す。上記フェニレン基は1,4−、1,3−又は1,2−フェニレン基のいずれであってもよいが、好ましくは、1,4−フェニレン基である。同様に、ナフタレンジイル基は、1,4−、1,2−、1,3−、1,5−,1,6−、1,7−又は1,8−ナフタレンジイル基のいずれであってもよいが、好ましくは、1,4−ナフタレンジイル基である。アントラセンジイル基も、同様に、1,2−、1,4−、9,10−等のように、どの炭素原子において2価基を形成していてもよいが、好ましくは、9,10−アントラセンジイル基である。
【0023】
なかでも、本発明による芳香族第3級アミン類は、上記一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、好ましくは、2価基Xは1,4−フェニレン基であり、A1 からA4 は1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基又は1,5−ナフタレンジイル基である。
【0024】
本発明によれば、上記2価芳香族基はそれぞれ独立に芳香環上に炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を置換基として有していてもよい。上記炭素原子数1〜6のアルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができ、アルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、上記炭素原子数1〜4のアルコキシル基の具体例として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブキトシ基等を挙げることができ、アルコキシル基におけるアルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0025】
また、上記一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、R1 からR4 はそれぞれ独立に水素原子又は上記一般式(II)、(III) 又は (IV) で表される1価基、詳しくは、上記一般式(II)で表されるN−カルバゾリル基であるか、又は一般式 (III) 又は (IV) で表されるジアリールアミノ基であるが、R1 からR4 がすべて同時に水素原子であることはない。
【0026】
上記一般式(II)、(III) 又は (IV) で表される1価基において、芳香環上の置換基であるR5 からR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基であり、上記炭素原子数1〜6のアルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができ、アルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、上記炭素原子数1〜4のアルコキシル基の具体例として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブキトシ基等を挙げることができ、アルコキシル基におけるアルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0027】
上記一般式(II)、(III) 又は (IV) で表される1価基において、各芳香環上の置換基であるR5 からR10は、それぞれその芳香環上で許される範囲で複数であってもよく、また、上記1価基において、芳香環がナフチル基であるときは、その芳香環上の置換基であるR8 からR10はいずれの芳香環上にあってもよい。
【0028】
特に、本発明においては、R1 からR4 のいずれかが前記N−カルバゾリル基又はジアリールアミノ基であるときは、これらの基を置換基として有する2価芳香族基A1 からA4 は、1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0029】
従って、本発明による好ましい芳香族第3級アミン類として、式(1)
【0030】
【化5】

【0031】
で表される1,4−ビス(N−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ)ベンゼン、式(2)
【0032】
【化6】

【0033】
で表されるN,N,N’−トリス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノ)ベンゼン、式(3)
【0034】
【化7】

【0035】
で表されるN−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−ジアミノ)ベンゼン、式(4)
【0036】
【化8】

【0037】
で表されるN,N,N’−トリス−(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノ)ベンゼン等を挙げることができる。
【0038】
本発明によるこのような芳香族第3級アミンのうち、上記式(1)から(3)で表されるように、1価基として、N−カルバゾリル基を有するものは、例えば、N−(4−ヨードフェニル)カルバゾールと目的とする芳香族第3級アミンの構造に対応する適宜のフェニレンジアミン誘導体とを反応させることによって得ることができる。また、式(4)で表されるように、1価基として、ジアリールアミノ基を有するものも、同様に、例えば、4−ヨード−N,N−ジアリールアミノベンゼンと目的とする芳香族第3級アミンの構造に対応する適宜のフェニレンジアミン誘導体を反応させることによって得ることができる。
【0039】
例えば、前記式(1)で表される芳香族第3級アミン類を例にとれば、下記スキームに示すように、カルバゾール(5)にメシチレンのような不活性溶媒中、炭酸カリウムのような塩基と銅粉の存在下にp−ジヨードベンゼン(6)を反応させて、N−(4−ヨードフェニル)カルバゾール(7)を得、次いで、このN−(4−ヨードフェニル)カルバゾール(7)に不活性溶媒中、炭酸カリウムのような塩基と銅粉の存在下にN,N’−ジ(2−ナフチル)−1,4−フェニレンジアミン(8)を反応させることによって得ることができる。
【0040】
【化9】

【0041】
同様に、前記式(4)で表される芳香族第3級アミン類を例にとれば、前記スキームに示した反応工程において、カルバゾールに代えて、下記スキームに示すように、2−ナフチルフェニルアミン(9)にメシチレンのような不活性溶媒中、炭酸カリウムのような塩基と銅粉の存在下にp−ジヨードベンゼン(6)を反応させて、4−ヨード−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ベンゼン(10)を得、次いで、これに不活性溶媒中、炭酸カリウムのような塩基と銅粉の存在下に4−アミノジフェニルアミン(11)を反応させることによって得ることができる。
【0042】
【化10】

【0043】
本発明による芳香族第3級アミン類は、その比較的小さい分子量を考慮すれば、非常に高いガラス転移温度を有すると共に、非常に高い結晶化温度を有しており、従って、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、すぐれた耐熱性を有し、従って、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、これを正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を陽極と正孔輸送層との間に設けることによって、又はこれを正孔輸送剤として用いてなる正孔輸送層を正孔注入層と発光層との間に設けることによって、又はこれを正孔注入輸送剤として用いてなる正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に設けることによって、低電圧にて駆動することができる耐久性にすぐれる高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。しかし、本発明による芳香族第3級アミン類は、バインダー樹脂を用いて、薄膜からなる正孔注入及び/又は輸送層としてもよいことは勿論である。
【0044】
このように、本発明による芳香族第3級アミン類は、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入層を形成するための正孔注入剤として用いることができ、従って、同じ機能を有する正孔輸送層を形成するための正孔輸送剤としても用いることができる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層と正孔輸送層を単層に形成するときは、正孔注入輸送剤として用いることもできる。即ち、本発明による芳香族第3級アミン類は、正孔注入及び/又は輸送剤として用いることができ、また、このような正孔注入及び/又は輸送剤はそれぞれ、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送層を形成するために用いることができる。更に、本発明による芳香族第3級アミン類は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層におけるホスト剤としても用いることができる。
【0045】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい一例を図1に示すように、例えば、ガラスのような透明基板1上にITOからなる透明な陽極2が密着して積層、支持されており、この陽極上に正孔注入層3aと正孔輸送層3bと発光層4と金属又はその化合物からなる陰極5がこの順序で積層されてなるものである。上記陽極と陰極は外部の電源6に接続されている。従って、このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、陽極から正孔注入層と正孔輸送層を経て発光層に正孔が容易に注入されるので、低電圧で素子を駆動することができる。発光層には上記陰極から電子が注入され、そこで、この発光層において、上記陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが再結合して発光を生じ、この発光層における発光が上記透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
【0046】
更に、本発明においては、場合によっては、前述したように、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されてもよく、また、余分な正孔が陰極側に抜け出るのを防止するために、ブロッキング層を設けてもよい。このように、本発明において、有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構造は、特に、限定されるものではない。
【0047】
即ち、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記正孔注入及び/又は輸送層が前述した芳香族第3級アミン類からなる正孔注入及び/又は輸送剤を含む点に特徴を有する。本発明による芳香族第3級アミン類は、それ自体でアモルファス膜を形成することができるので、例えば、真空蒸着装置を用いて、前記透明電極上に蒸着して、正孔注入層を形成することができる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。また、適宜に形成した正孔注入層上に蒸着して、正孔輸送層を形成することができ、この場合も、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。勿論、透明電極上に本発明による芳香族第3級アミン類からなる単層の正孔注入及び/又は輸送層を形成することができる。
【0048】
しかし、本発明によれば、この芳香族第3級アミン類を、必要に応じて適宜のバインダー樹脂と共に、適宜の有機溶媒に溶解させ、これを適宜の手段、例えば、スピンコート法によって、陽極上にコーティングし、乾燥して、正孔注入及び/又は輸送層を形成することもできる。この場合においても、その膜厚は上述したと同じである。
【0049】
このようにして本発明による芳香族第3級アミン類から形成した正孔注入層の上に、常法に従って、例えば、α−NPD等の正孔輸送剤からなる正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。同様に、適宜に形成した正孔注入層上に本発明による芳香族第3級アミン類から正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【0050】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子においては、本発明による芳香族第3級アミン類からなる上記正孔注入及び/又は輸送層以外の層、即ち、透明基板、本発明による正孔注入及び/又は輸送層と組合わせる通常の正孔注入及び/又は輸送層、陽極、発光層、電子輸送層及び電極は、従来より知られているものが適宜に用いられる。陽極としては、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)からなる透明電極が好ましく用いられ、陰極には、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀等の単体金属やこれらの合金、例えば、Al−Mg合金、Ag−Mg合金、フッ化リチウム等が用いられ、透明基板としては、通常、ガラス基板が用いられる。
【0051】
例えば、通常の正孔輸送剤としては、従来より知られている低分子量有機化合物、例えば、前述したようなα−NPDやTPDが用いられ、また、通常の正孔注入剤としては、例えば、次式(12)
【0052】
【化11】

【0053】
で表される4,4’,4”−トリス(N−フェニル−N−(m−トリル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)等が用いられる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
【0054】
有機発光層には、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )が用いられ、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。また、有機エレクトロルミネッセンス素子が電子輸送層を含むときは、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
【実施例】
【0055】
以下に参考例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0056】
実施例1
(N−(4−ヨードフェニル)カルバゾールの製造)
p−ジヨードベンゼン35.0g、カルバゾール11.0g、炭酸カリウム100.9g及び銅粉5.0gを反応溶媒メシチレン200mLと共に500mL容量の四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、還流温度で8時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮した。得られた濃縮液をトルエン/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取した。その画分を濃縮して得られた固体を減圧下、120℃で8時間乾燥させて、純度99.5%以上のN−(4−ヨードフェニル)カルバゾール18.0g(収率74.1%)を得た。
【0057】
(1,4−ビス(N−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ) ベンゼン(1)の製造)
N−(4−ヨードフェニル)カルバゾール14.1g、N,N’−ジ(2−ナフチル)−1,4−フェニレンジアミン5.5g、炭酸カリウム94.0g及び銅粉7.5gを反応溶媒メシチレン100mLに加え、窒素気流下、攪拌しながら、還流温度で2日間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮して、茶色の粘稠な液体を得た。この液体を変性アルコール中へ滴下して、目的物と未反応の原料とを分離した。目的物を濾過し、これをトルエン/ヘキサン混合溶媒中に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取した。この画分を濃縮し、得られた濃縮物をトルエンから再結晶した後、昇華精製して、純度99.9%の1,4−ビス(N−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ) ベンゼンを収率28.3%にて得た。
【0058】
元素分析値(C79504 として、重量%):
C H N
計算値 88.33 5.02 6.65
測定値 88.23 5.08 6.69
【0059】
質量分析(M(m/e):842
赤外線吸収スペクトル:
KBr錠剤法にて測定した。図2に示す。
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSCチャートを図3に示すように、ガラス転移温度(Tg)が147.4℃であり、結晶化温度(Tc)が218.1℃であって、耐熱性にすぐれると共に、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。
熱重量測定/示差熱測定(TG/DTA):
測定結果を図4に示すように、分解温度は507.7℃であって、熱安定性にすぐれることが示される。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図5に示すように、酸化電位は0.365V(vs Ag/Ag+ )であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
【0060】
実施例2
(N,N,N’−トリス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノベンゼン(2)の製造)
N−(4−ヨードフェニル) カルバゾール18.5g、4−アミノジフェニルアミン2.0g、炭酸カリウム20.0g及び銅粉5.0gを反応溶媒メシチレン70mLに加え、窒素気流下、攪拌しながら、還流温度で3日間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮した。得られた固体を少量のトルエンに溶解させ、変性アルコール中に滴下して、目的物を未反応の原料と中間体とから分離した。目的物を濾過し、これをトルエン/ヘキサン混合溶媒中に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取し、この画分を濃縮して、黄色固体を得た。この固体をトルエンから再結晶した後、昇華精製して、純度99.7%のN,N,N’−トリス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノベンゼン1.74g(収率17.6%)を得た。
質量分析(M(m/e):907
【0061】
実施例3
(N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミンの製造)
N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン100.0g、ヨードベンゼン78.4g、炭酸カリウム265.5g及び銅粉77gを反応溶媒メシチレン250mLと共に2L容量の四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下に160℃で10時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮した。得られた濃縮液にエタノールを加え、しばらく攪拌して、析出物を濾別した。得られた濾液を濃縮して、粘稠な液体を得た。これをトルエン/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取した。この画分を濃縮して得られた粘稠な液体にヘキサンを加え、しばらく攪拌して、析出物を濾取して、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン37.5gを白色固体として得た。収率は29%であった。
【0062】
(N−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−ジアミノベンゼン(3)の製造)
N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン17.0g、N−(4−ヨードフェニル) カルバゾール18.5g、炭酸カリウム15g及び銅粉5gを反応溶媒メシチレン150mLと共に四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら、還流温度で20時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮して、粘稠な液体を得た。この液体をトルエン/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取した。この画分を濃縮し、再結晶して、純度98%のN−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−ジアミノベンゼン14.5gを得た。
質量分析(M(m/e):576
【0063】
実施例4
(4−ヨード−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ) ベンゼンの製造)
p−ジヨードベンゼン33.0g、2−ナフチルフェニルアミン2.0g、炭酸カリウム100.0g及び銅粉5.0gを反応溶媒メシチレン100mLと共に500mL容量の四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下に攪拌しながら、還流温度で5時間反応させた。反応了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮した。得られた濃縮液をトルエン/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取し、この画分を濃縮して固体を得た。この固体を減圧下、120℃で8時間乾燥させて、純度99.5%以上の4−ヨード−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ) ベンゼン20.8g(収率49.4%)を得た。
【0064】
(N,N,N’−トリス(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ) フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノベンゼン(4)の製造)
4−ヨード−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ) ベンゼン20.0g、4−アミノジフェニルアミン2.0g、炭酸カリウム20.0g及び銅粉5.0gを反応溶媒メシチレン70mLに加え、窒素気流下、攪拌しながら、還流温度で2日間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンを用いて抽出し、この抽出液を濃縮した。得られた固体を少量のトルエンに溶解させ、これを変性アルコール中に滴下して、目的物を未反応の原料と中間体とから分離した。目的物を濾別し、これをトルエン/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を含む画分を分取し、これを濃縮した後、トルエンから再結晶して、純度99%のN.N,N’−トリス−(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ) フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノベンゼン3.6gを得た。
質量分析(M(m/e):1063
【0065】
実施例5
厚み600nmのITO透明電極(陽極)上に前記1,4−ビス(N−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ) ベンゼン(1)を真空蒸着して正孔注入層(膜厚50nm)を積層形成し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を同様に真空蒸着法によって積層し、その上に発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )層(膜厚60nm)を真空蒸着法によって積層し、更に、その上に陰極としてフッ化リチウム(5nm)とアルミニウム(200nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0066】
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、電圧−輝度特性を図6に示し、初期の輝度を1としたときの輝度の経時変化、即ち、輝度寿命特性を図7に示す。また、上記有機エレクトロルミネッセンス素子について、輝度300cd/m2 点灯時の駆動電圧と初期輝度300cd/m2、電流値固定としたときの輝度寿命をそれぞれ表1に示す。
【0067】
実施例6
実施例5において、ITO透明電極上に4,4’,4”−トリス(N−フェニル−N−(m−トリル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)を真空蒸着して正孔注入層(膜厚50nm)を積層形成し、その上に前記1,4−ビス(N−(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ) ベンゼン(1)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を同様に真空蒸着法によって積層した以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。因に、m−MTDATAは分子量が789であり、ガラス転移温度は75℃である。
【0068】
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、電圧−輝度特性を図6に示し、初期の輝度を1としたときの輝度の経時変化、即ち、輝度寿命特性を図7に示す。また、上記有機エレクトロルミネッセンス素子について、輝度300cd/m2 点灯時の駆動電圧と初期輝度300cd/m2、電流値固定としたときの輝度寿命をそれぞれ表1に示す。
【0069】
実施例7
実施例5において、ITO透明電極上にN,N,N’−トリス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノベンゼン(2)を真空蒸着して正孔注入層(膜厚50nm)を積層形成し、その上にα−NPDからなる正孔輸送層(膜厚10nm)を同様に真空蒸着法によって積層した以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0070】
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、電圧−輝度特性を図6に示し、初期の輝度を1としたときの輝度の経時変化、即ち、輝度寿命特性を図7に示す。また、上記有機エレクトロルミネッセンス素子について、輝度300cd/m2 点灯時の駆動電圧と初期輝度300cd/m2、電流値固定としたときの輝度寿命をそれぞれ表1に示す。
【0071】
実施例8
実施例5において、ITO透明電極上にm−MTDATAを真空蒸着して正孔注入層(膜厚50nm)を積層形成し、その上に前記N,N,N’−トリス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)−N’−フェニル−1,4−ジアミノベンゼン(2)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を同様に真空蒸着法によって積層した以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0072】
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、電圧−輝度特性を図6に示し、初期の輝度を1としたときの輝度の経時変化、即ち、輝度寿命特性を図7に示す。また、上記有機エレクトロルミネッセンス素子について、輝度300cd/m2 点灯時の駆動電圧と初期輝度300cd/m2、電流値固定としたときの輝度寿命をそれぞれ表1に示す。
【0073】
比較例1
実施例5において、正孔注入剤として、4,4’,4”−トリス(N−フェニル−N−(m−トリル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。因に、m−MTDATAは分子量が789であり、ガラス転移温度は75℃である。
【0074】
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、電圧−輝度特性を図6に示す。また、初期の輝度を1としたときの輝度の経時変化、即ち、輝度寿命特性を図7に示す。輝度寿命特性を図7に示す。この有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、輝度300cd/m2 点灯時の電圧は5.06Vであり、また、初期輝度300cd/m2、電流値固定としたときの輝度寿命は2300時間であった。
【0075】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明による1,4−ビス〔N−(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ〕ベンゼンの赤外線吸収スペクトルである。
【図3】本発明による1,4−ビス〔N−(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ〕ベンゼンのDSCチャートである。
【図4】本発明による1,4−ビス〔N−(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ)ベンゼンのTG/DTAチャートである。
【図5】本発明による1,4−ビス〔N−(4−(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−(2−ナフチル)アミノ〕ベンゼンのCVチャートである。
【図6】本発明による有機エレクトロルミネッセンスの電圧−輝度特性を比較例による有機エレクトロルミネッセンスの電圧−輝度特性と共に示すグラフである。
【図7】本発明による有機エレクトロルミネッセンスの輝度寿命特性を比較例による有機エレクトロルミネッセンスの輝度寿命特性と共に示すグラフである。
【符号の説明】
【0077】
1…透明基板
2…陽極
3a…正孔注入層
3b…正孔輸送層
4…発光層
5…陰極
6…電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、X及びA1 からA4 はそれぞれ独立にフェニレン基、ナフタレンジイル基及びアントラセンジイル基から選ばれる2価芳香族基を示し、これらの2価芳香族基はそれぞれ独立に芳香環上に炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を置換基として有していてもよく、R1 からR4 はそれぞれ独立に水素原子又は一般式(II)、(III) 又は (IV)
【化2】

(式中、R5 からR10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される1価基を示す。但し、R1 からR4 がすべて水素原子であることはない。)
で表される芳香族第3級アミン類。
【請求項2】
一般式(I)において、2価芳香族基Xが1,4−フェニレン基である請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の芳香族第3級アミン類からなる正孔注入及び/又は輸送剤。
【請求項4】
請求項3に記載の正孔注入及び/又は輸送剤を含む正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
請求項1又は2記載の芳香族第3級アミン類を含有してなる有機エレクトロルミネッセンス素子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−182401(P2007−182401A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1915(P2006−1915)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】