説明

新規な複合体、それを含有する医薬及び癌の治療方法

【課題】微生物由来抗原タンパク質遺伝子を効率的に動物細胞に導入し、医薬品および癌の治療に資する方法を提供する。
【解決手段】微生物由来抗原タンパク質、例えば結核菌由来抗原タンパク質ESAT−6の、遺伝子をコードしたベクターと、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される遺伝子導入試薬を含有する複合体。および該複合体を用いる医薬と、癌の治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクター及び遺伝子導入試薬との複合体、それらを含有する医薬並びにそれらを用いる癌の治療方法に関する。
【技術背景】
【0002】
遺伝子治療は、遺伝子に欠損や異常があることによる遺伝子疾患の患者に、正常遺伝子を与えて病気を治す、根治的な治療法として期待され、試みられてきた。正式な手続きを踏み、治療目的として行われた初めての遺伝子治療は、1990年に、ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症の患者に対して行われた。治療に必要な遺伝子をコードしたDNAを目的の細胞に導入するためには、多くの場合、遺伝子導入システムが使用される、遺伝子導入システムには現在(1)ウイルス型遺伝子導入システムと(2)カチオン性ポリマー、あるいはカチオン性脂質などの非ウイルス遺伝子導入システムとがある。
【0003】
これまで行われてきた遺伝子治療臨床試験の多くはウイルス型遺伝子導入システムを利用したものである。(1)レトロウイルス(2)アデノウイルス(Ad)(3)アデノ随伴ウイルス(AAV)などが使用されてきた。
【0004】
一方、ウイルスの細胞溶解活性を利用して、腫瘍細胞のみを選択的に殺すように組み替えたウイルスが、癌遺伝子治療の新しい手法として開発された。これらは、腫瘍溶解性ウイルス、制限増殖型ウイルスなどと呼ばれ、腫瘍細胞中では増殖するが、正常細胞中での増殖活性が低いことから安全性の高い抗腫瘍ウイルス製剤として注目されている(非特許文献▲1▼)。
【0005】
腫瘍選択的に増殖するウイルスは、天然にもその存在が見出されているほか、例えばアデノウイルスのE1領域のプロモーターを腫瘍細胞でのみ選択的に発現するプロモーターで置換するなどして、遺伝子工学的にも得られる。腫瘍選択的プロモーターとしては、テロメラーゼプロモーター、ミドカインプロモーター、IAI3Bプロモーターなどが利用されてきた。
【0006】
一方、近年の多くの実験的、臨床的所見から、これらのウイルスの抗腫瘍活性は、ウイルスが本来持っているそれ自体の殺細胞作用によるものだけではなく、むしろ宿主の抗腫瘍免疫を惹起、活性化する効果が大きいことが主張されている。すなわち、腫瘍溶解性ウイルスを投与すると、宿主に抗腫瘍免疫が惹起され、その免疫効果によって腫瘍が効果的に退縮するという考え方である。これは、ウイルス治療を施した腫瘍から離れた部位の腫瘍の退縮や、治療後長期間継続する同種の腫瘍細胞の再移植に対する抵抗性などから支持される(非特許文献▲2▼)。
【0007】
ウイルスには動物細胞への感染性が強いものが使用される。しかし、多くの治療では複数回の投与が必要であり、投与を繰り返すことで抗ウイルス抗体ができ、感染、遺伝子導入は著しく阻害される。そのために、腫瘍溶解性アデノウイルスやp53遺伝子を組み込んだアデノウイルスを使用した治療システムが中国では認可され使用されているが、十分治癒効果は得られていない。しかしまた、非ウイルス型遺伝子導入システムは、本申請者らのわずかな例(非特許文献▲3▼)を除いては生体内での活性は極めて低く、治療効果を導くには至っていない。
【先行技術文献】
【0008】
【非特許文献】
【非特許文献】▲1▼Review,Oncolytic viral therapies,Eugene Lin,and John Nemunaitis,Cancer Gene Therapy(2004)11,643−664 ▲2▼The Case of Oncolytic Viruses Versus the Immune System:Waiting on the Judgment of Solomon,Robin J.Prestwich,Fiona Errington,Rosa M.Diaz,Hardev S.Pandha,Kevin J.Harrington,Alan A,Melcher,and Richard G.Vile,HUMAN GENE THERAPY 20:1119−1132(2009) ▲3▼DNA/polyethyleneimine/hyaluronic acid small complex particles and tumor suppression in mice,Tomoko Ito,Chieko Yoshihara,Katsuyuki Hamada,Yoshiyuki Koyama,Biomaterials 31(2010)2912−2918
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような状況下、本発明者らは、腫瘍溶解性ウイルスによる抗腫瘍免疫活性化のメカニズムを詳細に検討した結果、感染した腫瘍細胞、または腫瘍近傍の細胞における微生物抗原タンパクの発現が、抗腫瘍免疫の成立に関わっている可能性を見いだした。ウイルスに感染した腫瘍細胞は、その微生物特有のタンパク、あるいはその分解物を細胞膜表面に提示したり、分泌したりすることによって、これらの免疫応答を引き出すものと思われる。
【0010】
本発明者らは、このような微生物抗原タンパクの腫瘍細胞内での発現は、ウイルス感染のみではなく、DNAを用いた遺伝子導入によっても達成できることを考案した。さらに我々は、DNAを用いた遺伝子導入のためのツールとして、生体内で高発現するプラスミドDNAのシステムを固有技術として持っている(非特許文献▲3▼)。そこで、結核菌由来抗原タンパク質であるESAT−6やAg85Bの遺伝子をコードしたプラスミドを構築し、そのイオン複合体からなる遺伝子導入システムを調製し、担癌モデルマウスに腫瘍局所内投与してみた。すると、抗腫瘍効果が高いサイトカインであるGM−CSFの遺伝子をコードしたプラスミドを用いた比較例よりも、はるかに高い抗腫瘍効果が確認された。
また、前述の腫瘍溶解性ウイルスによる抗腫瘍効果の発現には、GM−CSFの同時投与が有効であることが知られている。そこで、ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体とGM−CSFの遺伝子をコードしたプラスミド複合体を混合して担癌モデルマウスに腫瘍局所内投与したところ、ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体単独よりもさらに高い抗腫瘍効果が認められた。あるいはまた、IL−2やIL−12などの免疫活性化サイトカインの遺伝子を導入したウイルスが高い抗腫瘍活性を持つことも報告されている。そこで、ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体とIL−2、IL−12などの遺伝子をコードしたプラスミド複合体を混合して担癌モデルマウスに腫瘍局所内投与したところ、ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体単独よりもさらに高い抗腫瘍効果が認められた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(1)微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体。
(2)微生物が結核菌であることを特徴とする上記(1)記載の複合体。
(3)結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする上記(2)記載の複合体。
(4)ベクターがプラスミドベクターであることを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか記載の複合体。
(5)遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される1以上の化合物からなることを特徴とする上記(1)〜(4)いずれか記載の複合体。
【0012】
(6)遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質と、アニオン性ポリマーからなることを特徴とする上記(5)記載の複合体。
(7)カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン又はポリ分技型エチレンイミン)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエイルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、プロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩から1つ以上選択される上記(5)又は(6)記載の複合体。
(8)カチオン性脂質が、DC−Chol(3β−(N−(N‘,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMR I(N−(1,2−ジミリスチルオキシプパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)及びDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド)およびそれらの異なる酸との塩から1つ以上選択される上記(5)又は(6)記載の複合体。
【0013】
(9)アニオン性ポリマーが、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルタマン硫酸又はそれらの誘導体、及びそれらの塩から1つ以上選択される上記(5)〜(8)いずれか記載の複合体。
(10)凍結乾燥処理を施した上記(1)〜(9)いずれか記載の複合体。
(11)微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する医薬。
(12)微生物が結核菌であることを特徴とする上記(11)記載の医薬。
(13)結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする上記(12)記載の医薬。
(14)ベクターがプラスミドベクターであることを特徴とする上記(11)〜(13)いずれか記載の医薬。
(15)遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される1以上の化合物からなることを特徴とする上記(11)〜(14)いずれか記載の医薬。
【0014】
(16)遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質と、アニオン性ポリマーからなることを特徴とする上記(15)記載の医薬。
(17)カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン又はポリ分枝型エチレンイミン)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエイルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、プロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩から1つ以上選択される上記(15)又は(16)記載の医薬。
(18)カチオン性脂質が、DC−Chol(3β−(N−(N‘,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMR I(N−(1,2−ジミリスチルオキシプパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)及びDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド)およびそれらの異なる酸との塩から1つ以上選択される上記(15)又は(16)記載の医薬。
【0015】
(19)アニオン性ポリマーが、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルタマン硫酸又はそれらの誘導体、及びそれらの塩から1つ以上選択される上記(15)〜(18)いずれか記載の医薬。
(20)凍結乾燥処理を施した上記(11)〜(19)いずれか記載の医薬。
(21)微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体及び免疫賦活性サイトカイン遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体を組み合わせた医薬。
(22)微生物が結核菌であることを特徴とする上記(21)記載の医薬。
(23)結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする上記(22)記載の医薬。
【0016】
(24)免疫賦活性サイトカインがインターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、GM−CSFから選ばれる1以上のサイトカインである上記(21)〜(23)いずれか記載の医薬。
(25)微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体を有効量投与することを特徴とする癌の治療方法。
(26)微生物が結核菌であることを特徴とする上記(25)記載の治療方法。
(27)結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする上記(26)記載の治療方法。
(28)ベクターがプラスミドベクターであることを特徴とする上記(25)〜(27)いずれか記載の治療方法。
【0017】
(29)遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される1以上の化合物からなることを特徴とする上記(25)〜28)いずれか記載の治療方法。
(30)遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質と、アニオン性ポリマーからなることを特徴とする上記(29)記載の治療方法。
(31)カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン又はポリ分枝型エチレンイミン)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエイルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、プロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩から1つ以上選択される上記(29)又は(30)記載の治療方法。
【0018】
(32)カチオン性脂質が、DC−Chol(3β−(N−(N‘,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMR I(N−(1,2−ジミリスチルオキンプパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)及びDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド)およびそれらの異なる酸との塩から1つ以上選択される上記(29)又は(80)記載の治療方法。
(33)アニオン性ポリマーが、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルタマン硫酸又はそれらの誘導体、及びそれらの塩から1つ以上選択される上記(29)〜(32)いずれか記載の治療方法。
(34)凍結乾燥処理を施した上記(25)〜(33)いずれか記載の治療方法。
【0019】
(35)微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体及び免疫賦活性サイトカイン遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体を組み合わせて有効量投与することを特徴とする癌の治療方法。
(36)微生物が結核菌であることを特徴とする上記(35)記載の治療方法。
(37)結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする上記(36)記載の治療方法。
【0020】
(38)免疫賦活性サイトカインがインターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、GM−CSFから選ばれる1以上のサイトカインである上記(35)〜(37)いずれか記載の治療方法。
(39)カチオン性ポリマーがポリエチレンイミンである(1)〜(7)、(9)〜(17)、(19)〜(31)、(33)〜(37)いずれか記載の複合体、医薬又は癌の治療方法。
(40)アニオン性ポリマーがコンドロイチン硫酸である上記(1)〜(39)いずれか記載の複合体、医薬又は癌の治療方法。
(41)アニオン性ポリマーがヒアルロン酸である上記(1)〜(39)いずれか記載の複合体、医薬又は癌の治療方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクター及び遺伝子導入試薬との複合体は、結核菌由来抗原タンパク質遺伝子を効率よく細胞に導入可能で長期保存安定性にも優れ、医薬分野、特に、癌の治療に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明において、微生物由来抗原タンパク質遺伝子とは、ESAT−6遺伝子、Ag85A遺伝子、Ag85B遺伝子、Ag85C遺伝子、CFP−10遺伝子、TB7.7遺伝子、MPT51遺伝子、HSP65遺伝子などの結核菌、緑膿菌、肺炎球菌、連鎖球菌などの細菌由来のものや、アデノウイルスのカプシド抗原であるヘキソン,ペントン,およびファイバーの遺伝子HIVのp24抗原遺伝子、狂犬病ウィルスGタンパク遺伝子、ウェストナイルウィルスのprMタンパクやEタンパク遺伝子、インフルエンザウィルスのM1タンパクやNPタンパク遺伝子などのウイルス由来のもの、更には、リケッチア、クラミジア、原虫などの微生物由来のものが挙げられ、その一部を欠失したものや、一部を置換したのもなど、当該タンパク質が有する抗原性機能を発揮するタンパク又はペプチドをコードする遺伝子を意味する。例えば、ESAT−6遺伝子とは、結核菌6kDa early secreted antigenic targetをコードする遺伝子を意味しAg85B遺伝子とは、30kDaのミコリルトランスフェラーゼ活性を持つ結核菌の分泌タンパク、抗原85Bの遺伝子を意味する。また、本発明においては、微生物由来抗原タンパク質遺伝子に、更に、例えば、GM−CSF、IL−2やIL−12などの免疫賦活性サイトカイン遺伝子を同時に用いてもよい。GM−CSF、IL−2やIL−12などのサイトカイン遺伝子とは、GM−CSF、IL−2やIL−12をコードする遺伝子のほか、その一部を欠失したものや、一部を置換したものなど、GM−CSF、IL−2やIL−12が有する機能を発揮するタンパク又はペプチドをコードする遺伝子を意味し、ヒトGM−CSF、IL−2、IL−12や犬猫等の動物用GM−CSF、IL−2、IL−12も、それぞれ意味する。
これら微生物由来抗原タンパク質遺伝子と免疫賦活性サイトカイン遺伝子の両者を使用する場合、たとえば微生物由来抗原タンパク質遺伝子発現カセットと免疫賦活性サイトカイン遺伝子発現カセットをベクターにタンデムに挿入したものなどを使用することができる。また、微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたプラスミドと免疫賦活性サイトカイン遺伝子をコードしたプラスミドの両者を含む複合体、またはそれぞれの複合体を混合して用いてもよい。
【0023】
また、本発明において、ベクターとは、遺伝子組み換え技術で用いられる、組み換えDNAを増幅、維持、導入させる核酸分子を意味し、通常使用される、pCMV、pcDNA、pACT等のプラスミドベクター;コスミドベクター:PACベクター、YACベクター、BACベクター等の人工染色体ベクターなど、通常、当該分野で使用されるベクターを意味する。
さらに、本発明において、遺伝子導入試薬とは、通常使用されている、遺伝子を導入する目的で使用される試薬、たとえば、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質、アニオン性ポリマーなどを意味し、また、これらを組み合わせたものも意味する。
本発明の複合体中で遺伝子をコードしたベクター(以後、「核酸等」と記載する)は、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体とイオン結合による複合体を形成しており、アニオン性ポリマーを加えた場合は、アニオン性ポリマーはカチオン性ポリマー又はカチオン性脂質とイオン結合している。これらは、混合比、混合順序等によっては、主にアニオン性ポリマーで覆われた複合体を形成することができる。
【0024】
本発明の複合体に用いることができるカチオン性ポリマーとしては、正に荷電された分子量が1000〜300万程度の天然由来又は合成高分子であって、水中でDNAと複合体を形成できる官能基を1分子中に複数、好ましくは5個以上有する高分子を使用することができ、このような官能基としては、例えば置換されていてもよいアミノ基若しくはアンモニウム基又はその塩(これらの基は、例えば炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基などで単又は多置換されていてもよい)、イミノ基、イミダゾリル基、グアニジノ基などの有機アミノ基を挙げることができる。このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、正に荷電されたタンパク質やポリペプチド;正に荷電されたデンドリマー;正に荷電された合成ポリマー;及び正に荷電された多糖類誘導体、又はそれらのグラフト、あるいはブロック共重合体およびそれらの塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明の複合体にカチオン性ポリマーとして用いることができる正に荷電されたタンパク質、正に荷電されたポリペプチドの分子量は、好ましくは1000〜50万程度である。このようなタンパク質、ポリペプチドとしては、具体的にはプロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチンなどのタンパク質及びポリペプチドを例示することができ、また、正に荷重されたアミノ酸残基を含むポリアミノ酸もまた例示することができる。このような正に荷電されたアミノ酸残基を含むポリアミノ酸としては、具体的にはポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチンなどを例示することができる。これらのタンパク質、及びポリペプチドの塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩などを例示することができる。
カチオン性ポリマーとして用いることができる上記のような官能基を有する正に荷電されたデンドリマーとは、分岐した分子鎖の末端または内部に、置換されていてもよいアミノ基若しくはアンモニウム基又はその塩(これらの基は、例えば炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基などで単又は多置換されていてもよい)を有するデンドリマーであり、その分子量は、好ましくは1000〜50万程度である。デンドリマーとしては、具体的にはポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマーなどを例示することができる。また、デンドリマーの塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩などを例示することができる。
【0026】
カチオン性ポリマーとして用いることができる正に荷電された合成ポリマーは、上記のような、水中でDNAと複合体を形成できる官能基を1分子中に複数、好ましくは5個以上有する合成ポリマーであって、分子量が好ましくは1000〜300万である合成ポリマーである。合成ポリマーとしては具体的には、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン、又はポリ分岐型エチレンイミンを含む)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩などを例示することができる。合成ポリマーの一例であるポリエチレンイミンの分子量は、好ましくは1000〜50万程度であり、より好ましくは5000〜20万程度であり、もっとも好ましくは1万〜10万程度である。あるいは、より短いポリエチレンイミンを結合して得られるブロック共重合体である。また、ポリエチレンイミンの塩として、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩などを例示することができる。
【0027】
カチオン性ポリマーとして用いることができる正に荷電された多糖類誘導体は、水中でDNAと複合体を形成できる官能基を1分子中に複数、好ましくは5個以上有する、分子量が、好ましくは1000〜300万であり、より好ましくは5000〜50万である多糖類誘導体である。このような多糖類としては、具体的にはキトサン、上記のような官能基を導入したデキストラン誘導体などを例示することができる。これらのうちキトサンの分子量は、好ましくは1000〜50万程度であり、より好ましくは5000〜20万程度であり、もっとも好ましくは1万〜10万程度である。キトサンの塩としては、塩酸塩、酢酸塩などを例示することができる。また、デキストラン誘導体の分子量は、好ましくは3000〜100万である。このようなデキストラン誘導体としては、具体的にはジエチルアミノエチル−デキストランなどを例示することができる。
【0028】
上記のカチオン性ポリマーは、従来正に荷電していないものにアミノ基などの官能基を導入し、正に荷電するようにしたものでも良い。また、通常は正に荷電されていないものであっても、複合体形成時に正に荷電されるものであれば使用可能であり、また、必要により糖鎖、オリゴペプチド、抗体などで更に修飾されていてもよい。
【0029】
本発明の複合体に用いることができるカチオン性脂質(カチオン性コレステロール誘導体を含む)としては、DC−Chol(3β−(N−(N′,N′−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール)、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMRI(N−(1,2−ジミリスチルオキシプロパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、又はDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、およびそれらの異なる酸との塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
また、カチオン性脂質を含む集合体としては、上記カチオン性脂質(たとえばDOSPA)と、例えばDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、コレステロールなどの中性物質を混合したものを使用することができる。例えばカチオン性脂質を含む集合体としては、リポフェクタミン(上記DOSPAとDOPEの3:1w/w混合体リポソーム)、リポフェクチン(上記DOTMAとDOPEの1:1w/w混合体リポソーム)、またはこれらの混合物などを好ましく挙げることができる。また、ポドプラニン、ポドカリキシン、キタラン硫酸、ガングリオシド、ポドプラニン−CLEC−2受容体(C型レクテン様受容体,C−type lectin−like receptor−2)、MUC、あるいは腫瘍細胞特異的な各種糖タンパクに対する抗体等、あるいは抗体医薬である リツキシマブ(抗CD20抗体)、トラスツマブ(ハーセプチン)などの抗HER−2抗体、抗EGFR抗体、オムニターグなどを結合したカチオン性ポリマーを使用し、標的指向性を付与することができる。
【0031】
本発明の複合体においては、カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン;プロタミン;HelΔ1;ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマーなどのデンドリマー;キトサン;2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体;2−トリメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体などを好ましく用いることができ、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、キトサンを特に好ましく用いることができる。また、カチオン性脂質若しくはそれを含む集合体としては、リポフェクタミン(上記DOSPAとDOPEの3:1w/w混合体リポソーム)を好ましくは用いることができる。
【0032】
本発明の複合体において使用するアニオン性ポリマーとしては、分子中にアニオン性基を含む、負に荷電された、分子量が500〜400万程度の天然由来又は合成高分子であって、水中でポリカチオンと複合体を形成できる官能基を1分子中に複数、好ましくは5個以上有する高分子を使用することができ、このような官能基としては、例えばカルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩を挙げることができる。このようなアニオン性ポリマーとしては、両イオン性ポリマーも含まれる。
【0033】
本発明の複合体においては、アニオン性ポリマーとしては、カルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基を有する多糖類又はその誘導体;負に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基を含むポリアミノ酸;カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体;カルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基を有する合成高分子;カルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基、並びに置換されていてもよいアミノ基若しくはアンモニウム基又はその塩(これらの基は、例えば炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基などで単又は多置換されていてもよい)を有する高分子;並びにそれらの組み合わせを用いることができる。
【0084】
本発明の複合体においてアニオン性ポリマーとして用いることができる上記のような官能基を有する多糖類又はその誘導体としては、好ましくはグリコサミノグリカンを用いることができる。このようなグリコサミノグリカンの分子量は、好ましくは1000〜400万、より好ましくは4000〜300万である。このようなグリコサミノグリカンとして、具体的には例えばヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルマタン硫酸などを例示することができる。なかでもコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸を好ましく用いることができる。コンドロイチン硫酸は、その塩又は負に荷電した誘導体としても用いることができる。その分子量は、1,000以上であればよいが、3,000以上が好ましく、7,000〜5万がより好ましい。コンドロイチン硫酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを例示することができる。また、コンドロイチン硫酸の誘導体としては、例えば、コンドロイチン硫酸にポリエチレングリコール、ペプチド、糖、タンパク質、ヨウ酸、抗体又はその一部などを導入することによって得られるものが挙げられ、スペルミン、スペルミジン等を導入し、プラスに荷電した部分を持つ両イオン性の誘導体も含まれる。ヒアルロン酸は、その塩又は負に荷電した誘導体としても用いることができる。その分子量は、5,000以上であればよいが、10,000以上が好ましく、10万〜300万がより好ましい。ヒアルロン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを例示することができる。また、ヒアルロン酸の誘導体としては、例えば、ヒアルロン酸にポリエチレングリコール、ペプチド、糖、タンパク質、ヨウ酸、抗体又はその一部などを導入することによって得られるものが挙げられ、スペルミン、スペルミジン等を導入し、プラスに荷電した部分を持つ両イオン性の誘導体も含まれる。
【0035】
本発明の複合体においてアニオン性ポリマーとして用いることができる、負に荷電した側鎖を有するアミノ酸残基を含むポリアミノ酸とは、カルボキシル基、−O−SOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩などの基を側鎖として有するアミノ酸残基を含む、好ましくは500〜100万の分子量を有するポリアミノ酸である。このようなポリアミノ酸としては、具体的にはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸などを例示することができる。
【0036】
本発明の複合体においてアニオン性ポリマーとして用いることができるカルボキシル側鎖を持つPEG誘導体とは、PEG1分子当たりカルボキシル側鎖を複数、好ましくは5個以上有する、500以上、好ましくは2000以上、より好ましくは4000〜40000の分子量を有するPEG誘導体である。カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体は、その塩又は負に荷電した誘導体としても用いることができる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを例示することができる。このようなPEG誘導体としては、具体的にはJ.Biomater.Sci.Polymer Edn.Vol.14,pp515−531(2003)などに記載されたPEG誘導体を例示することができる。
【0037】
本発明の複合体においてアニオン性ポリマーとして用いることができるカルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基を有する合成高分子とは、1分子当たり複数、好ましくは5個以上の、カルボキシル基、−O−SOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基を有する重合体又は共重合体であって、好ましくは500〜400万の分子量を有する重合体又は共重合体である。このような重合体又は共重合体としては、具体的には分子量1000〜300万のアクリル酸又はメタクリル酸の重合体又は共重合体、あるいはポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジンなどを例示することができる。
【0038】
本発明の複合体においてアニオン性ポリマーとして用いることができるカルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基、並びに置換されていてもよいアミノ基若しくはアンモニウム基又はその塩(これらの基は、例えば炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基などで単又は多置換されていてもよい)を有する高分子とは、1分子当たりカルボキシル基、−OSOH基、−SOH基、リン酸基、及びこれらの塩から選択される官能基を複数、好ましくは5個以上、並びに上記のように置換されていてもよいアミノ基若しくはアンモニウム基又はその塩を有する、500以上、好ましくは2000以上、より好ましくは4000〜40000の分子量を有する高分子である。このような高分子としては、好ましくは、カルボキシル側鎖とその当量以下の上記のアミノ基若しくはアンモニウム基又はその塩を持つPEG誘導体を挙げることができ、具体的にはMacromol.Biosci.Vol.2,pp251−256(2002)などに記載されている方法で調製することができるPEG誘導体を例示することができる。
【0039】
本発明の複合体において用いることができるアニオン性ポリマーは、従来負に荷電していないものにカルボキシル基などの官能基を導入し、負に荷電するようにしたものでも良い。通常は負に荷電されていないものであっても、複合体形成時に負に荷電されるものであれば使用可能であり、また必要により糖鎖、オリゴペプチド、抗体などで更に修飾されていてもよい。
【0040】
本発明の複合体においては、アニオン性ポリマーとしては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、ポリアクリル酸などのアニオン性ポリマー又はそれらの塩を好ましく用いることができ、ヒアルロン酸、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体又はそれらの塩などを特に好ましく用いることができる。
【0041】
また、アニオン性ポリマーとして、遺伝子導入の標的細胞に対して特異的接着能を有するものを用いることにより、標的細胞に対して特異的に遺伝子導入をすることが可能である。例えばアニオン性ポリマーとしてコンドロイチン硫酸を用いる場合、コンドロイチン硫酸と特異的に結合するCD44バリアントなどの細胞表面分子を有する細胞を標的とすることができる。アニオン性ポリマーとしてヒアルロン酸を用いる場合、ヒアルロン酸と特異的に結合するCD44などの細胞表面分子を有する細胞を標的とすることができる。また、RGDペプチドを導入したアニオン性ポリマーを用いることにより、多くの種類の腫瘍細胞を標的とすることができ、またガラクトース側鎖を導入したアニオン性ポリマーを用いることにより肝細胞又は肝由来の細胞を標的とすることができる。また、ポドプラニン、ポドカリキシン、キタラン硫酸、ガングリオシド、ポドプラニン−CLEC−2受容体(C型レクチン様受容体,C−type lectin−like receptor−2)、MUC、あるいは腫瘍細胞特異的な各種糖タンパクに対する抗体等、あるいは抗体医薬である リツキシマブ(抗CD20抗体)、トラスツマブ(ハーセプチン)などの抗HER−2抗体、抗EGFR抗体、オムニターグなどを結合したアニオン性ポリマーを使用し、標的指向性を付与することができる。
【0042】
本発明の複合体において、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体と、アニオン性ポリマーの組み合わせとしては、ポリエチレンイミンとヒアルロン酸;ポリエチレンイミンとコンドロイチン硫酸;ポリエチレンイミンとカルボキシル側鎖を持つPEG誘導体;DOSPAを含む集合体(例えばリポフェクタミン(DOSPAとDOPEの3:1w/w混合体リポソーム))とヒアルロン酸;DOSPAを含む集合体(例えばリポフェクタミン)とカルボキシル側鎖を持つPEG誘導体を好ましく挙げることができる。
【0043】
本発明の複合体において使用する核酸等と、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体の各荷電基のモル比(負電荷:正電荷比)は、標的細胞・核酸等・カチオン性ポリマー等の種類により異なるが、1:0.8〜1:100であるとよく、好ましくは1:1〜1:50であり、より好ましくは1:1.2〜1:30である。ここでいう核酸等と、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体の配合比とは、各荷電基のモル比であり、具体的には核酸、オリゴ核酸、又はその誘導体のリン酸アニオンによる負電荷:カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体の正電荷又は正に帯電できる官能基のモル比を指す。
【0044】
本発明の複合体において使用する核酸等と、アニオン性ポリマーの各荷電基のモル比(負電荷:負電荷比)は、標的細胞・核酸等・アニオン性ポリマーの種類により異なるが、1:0.2〜1:1000であるとよく、好ましくは1:0.2〜1:100であり、より好ましくは1:1〜1:60である。ここでいう核酸等と、アニオン性ポリマーの配合比とは、各荷電基のモル比であり、具体的には核酸、オリゴ核酸、又はその誘導体のリン酸アニオンによる負電荷:アニオン性ポリマーの負電荷又は負に帯電できる官能基のモル比を指す。
【0045】
例えばアニオン性ポリマーとしてコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を用いる場合、核酸等とコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸酸との配合比は、1:0.2〜1:1000であるとよく、好ましくは1:0.2〜1:100であり、より好ましくは1:1〜1:60である。
【0046】
特に、カチオン性ポリマーとしてポリエチレンイミンを、アニオン性ポリマーとしてコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を用いる場合、核酸等:ポリエチレンイミン:コンドロイチン硫酸(又はヒアルロン酸)配合比は、1:2〜60:1〜240、好ましくは1:4〜24:1〜160であり、より好ましくは1:5〜20:2〜60、特に好ましくは1:6〜14:2〜32である。
【0047】
特に、カチオン性脂質を含む集合体としてリポフェクタミン(DOSPAとDOPEの3:1w/w混合体リポソーム)を、アニオン性ポリマーとしてコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を用いる場合、核酸等:リポフェクタミン:コンドロイチン硫酸(又はヒアルロン酸)配合比は、1:1〜50:0.2〜240、好ましくは1:1.2〜48:0.2〜160であり、より好ましくは1:1.5〜30:0.5〜60、特に好ましくは1:1.8〜16:1〜32である。
【0048】
本発明の複合体に含まれる核酸等;カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体;及びアニオン性ポリマーの好ましい配合比は、上述のとおりであるが、核酸などを導入する細胞の数や種類により最適な条件は変動するため、配合比は、当業者が、用いる細胞、核酸等の種類に応じて、適宜決定することができる。
【0049】
本発明の複合体は、上述した核酸等;カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体;及び必要であればアニオン性ポリマーを、上述した配合比で、混合することによって複合体を形成させる工程、必要ならばこれに次いでこれを凍結乾燥する工程によって調製することができる。混合する順序としては、[1]核酸等;[2]カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体、[3]アニオン性ポリマーの順、又は、[1]核酸等;[2]アニオン性ポリマー、[3]カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体の順が好ましい。核酸等は、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体とイオン結合によって結合し、さらにカチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体が、アニオン性ポリマーともイオン結合した複合体が形成される。あるいは、各成分の配合組成によっては、このような複合体構造の外殻を主にアニオン性ポリマーが被覆し、負の表面電位を有する態様が形成される
【0050】
次いで、必要であれば得られた複合体を凍結乾燥する。凍結乾燥は、通常の凍結乾燥条件下で行うことができ、例えば減圧下(好ましくは、5〜100mmHg、より好ましくは10mmHg)、外気温−78℃〜60℃、好ましくは−30℃〜40℃で乾燥することによって行うことができる。乾燥に要する時間は、減圧度、溶媒の量によって異なり、通常は1時間〜2日間で完了する。
【0051】
このようにして調製した本発明の複合体は、ヒトや動物に対する各種の遺伝子治療、免疫治療、あるいは微生物由来抗原タンパク質遺伝子や免疫賦活性サイトカイン遺伝子を導入した実験動物や細胞の作成に利用することができる。凍結乾燥を施した場合には、使用前に本発明の複合体を水、生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液、培地液などの溶媒に懸濁又は溶解することにより再水和物としてから用いることができる。再水和に際しては、凍結乾燥体を、例えば核酸、又はその誘導体の100〜10000倍(重量比)の溶媒を用いて懸濁又は稀釈する。凍結乾燥前と異なる量、異なる種類の溶媒を用いることができるため、従来困難であった比較的高濃度の懸濁液や溶液(たとえば1ml中にDNAを1mg含む液)も容易に調製することができる。
【0052】
このようにして再水和した本発明の複合体は、細胞への核酸等の導入に際しては、具体的には、例えば、ウェル中、体外に取り出した標的細胞を、水和した本発明の複合体で処理することにより遺伝子を導入した後、該細胞を生体内に戻して、目的とする遺伝子を発現させるex vivo法(ワクチン療法)、あるいは、in vivo、in situ法などの直接的な遺伝子導入法など、生体細胞への核酸、又はその誘導体の導入に通常用いられる任意の方法を用いることができる。
また、本発明の複合体は、凍結乾燥後、再水和することなく、そのまま核酸等の導入を行う細胞と接触させたり、核酸等の導入を行う動物に皮下移殖する、核酸等の導入の標的である組織内、組織表面、または近傍に移殖するなどの手段によって投与することもできる。
【0053】
本発明の複合体の細胞への適用量は、上述した導入方法、疾患の種類などによって異なるが、例えば核酸、又はその誘導体の量にして、ex vivo法、in situ法では、直径1〜2cmのウェル当たりで0.2〜10μg/104〜7個・細胞、in vivo法では、投与部位によって大きく異なるが、腫瘍内への局所投与では例えば5〜1000μg/cm腫瘍、膀胱などの臓器への投与では例えば0.1μg〜100mg/臓器、全身投与では例えば0.1ng〜10mg/Kg体重とすることができる。
【0054】
生体に直接投与するin vivo法としては、本発明の複合体、または水和させた本発明の凍結乾燥体水和物を、静脈、皮下又は筋肉、腹腔、腫瘍内、腫瘍近傍などへ注射し;鼻腔、口腔、肺などから吸入させ;膀胱内、直腸内に直接注入し;病変部組織ないし近傍の血管内に直接投与し;あるいは、ゲル状物、スポンジなどの多孔体、不織布などに担持させて留置するなど、遺伝子治療技術の如何なる方法も用いることができる。
また、本発明の凍結乾燥体水和物を再水和することなく用いる際においても、上記の量の凍結乾燥体を、上述したようなex vivo法、in situ法、またはin vivo法により、用いることができる。
【0055】
本発明の複合体においては、通常の核酸等と、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体との複合体が持つ正の荷電を、アニオン性ポリマーが中和すると共に、その中和作用が、生体、細胞への投与後においても保持されていることによって、複合体と、血清タンパク質、血球細胞、細胞外マトリックスなどとによる凝集等の相互作用が阻止され、また、核酸、オリゴ核酸、又はその誘導体等の酵素分解が阻止されるため、核酸が細胞に効率的に取り込まれ、その発現効率も高い。
上記より、本発明の複合体は、核酸、又はその誘導体の導入用製剤又は試薬として、あるいは核酸、又はその誘導体の導入用キットとして使用することができる。
【0056】
本発明に使用するプラスミドまたはその誘導体の免疫賦活性サイトカイン遺伝子は、対象とする動物種によって、ヒトサイトカイン、ネコサイトカイン、イヌサイトカインなどから、効果のあるものを自由に選ぶことが出来る。
【0057】
本発明に使用するプラスミドまたはその誘導体のプロモーターは、対象とする動物種、細胞種によって、サイトメガウイルス由来プロモーター、RSV(Rous Sarcoma virus,ラウス肉腫ウイルス)由来プロモーター、SV40(simian virus40(シミアンウイルス))由来プロモーター、Elongation Factor laプロモーター等の癌選択性プロモーターなどから、自由に選ぶことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】 ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体の腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果(縦軸:腫瘍体積mm、横軸:薬剤投与開始後の日数を示す。以下、図2〜6も同様)
【0059】
【図2】 ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体にマウスGM−CSFの遺伝子をコードしたプラスミド複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
【0060】
【図3】 ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体にマウスIL−2の遺伝子をコードしたプラスミド複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
【0061】
【図4】 ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体にマウスIL−12の遺伝子をコードしたプラスミド複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
【0062】
【図5】 Ag85Bの遺伝子をコードしたプラスミド複合体の腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
【0063】
【図6】 ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド複合体にAg85Bの遺伝子をコードしたプラスミド複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
【実施例】
本発明を、実施例により更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0064】
ESAT−6の遺伝子をコードしたプラスミド(pDNA−ESAT−6)/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体の腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
pDNA−ESAT−6、PEI、CSからなる三成分の複合体をマウスのメラノーマ細胞由来のB16を皮下に移植したマウスに腫瘍局所内投与し、腫瘍増大抑制効果を確認した。
【0065】
CSは、生化学工業株式会社製のサメ由来のものを用いた。PBSはRoman Industries社製のPhosphate Buffered Salts(Tablet)を蒸留したイオン交換水に溶解したものを用いた。PEIは、Polyscience社製の直鎖状PEI、Polyethylenimine“Max”(Mw=40000)を用いた。これらは以降の実施例でも同様である。
[操作手順]
[1]pDNA−ESAT−6は、タカラバイオ株式会社に合成を依頼した。発現ベクターにはインビトロジェン株式会社のpcDNA3.1(+)を用いた。
【0066】
[2]細胞培養ボトルにB16細胞をまき、10%FBSと25Uのペニシリンと25μgのストレプトマイシンを含むMEM培地を用いてインキュベートし、移植用細胞を準備した。
[3]移植する直前に培養した培地を取り除き、トリプシン溶液を加え、細胞を剥離した。
[4]5週令の雄のC57BL/6Jマウスの腹部の皮下に、20x10個のB16メラノーマ細胞を移植した。
【0067】
[5]導入する数日前に以下の方法でプラスミド複合体を調製した。
pDNA−ESAT−6(100μg)を含む7.4mMリン酸緩衝液(pH7.4)4820μlに、594μgのCSを含む水溶液119μlを加え、続いてPEI293.5μgを含む水溶液59μlを加えて攪拌後、20分室温で放置した。その後、10%デキストラン溶液を50μl加え、さらに10分放置後、マイナス80℃またはマイナス30℃で凍結した。その後、凍結乾燥して、本発明の複合体を調製した。
[6][4]で作成した担癌マウスモデルの腫瘍サイズが長径3mm以上になったところで、[5]で調製した凍結乾燥体に純水250μlを加え、十分に溶解、分散させたものを、腫瘍組織内に投与した。
[7]一日に一度腫瘍のサイズを測定した。
【0068】
[結果]
結果を図1に示す。ここで、図中の腫瘍サイズは、(4/3)x短径x短径x長径x(1/8)x3.14として計算したものである。
何も投与していないコントロール群では急激な腫瘍の増大が見られたのに対して、pDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体を腫瘍局所内投与したマウスでは明確な腫瘍増大抑制が見られた。
【実施例2】
【0069】
pDNA−ESAT−6複合体にマウスGM−CSFの遺伝子をコードしたプラスミド(pDNA−GM−CSF)複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果。
pDNA−GM−CSF/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体を実施例1と同様に作成し、実施例1で作成したpDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体と混合して凍結乾燥した。再水和後、マウスのメラノーマ細胞由来のB16を皮下に移植したマウスに腫瘍局所内投与し、腫瘍増大抑制効果を確認した。
【0070】
[操作手順]
[1]実施例1と同様に担癌モデルマウス、pDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体、およびそのpDNA−GM−CSF/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体との混合物の凍結乾燥体を用意した。
[2]担癌マウスモデルの腫瘍サイズが長径3mm以上になったところで、上記2種類の凍結乾燥体に純水250μlを加え、十分に溶解、分散させたものを混合し、腫瘍組織内に投与した。混合比は、pDNA−ESAT−6複合体:pDNA−GM−CSF複合体=4:1(重量比)とした。一回の投与量はプラスミドの合計が100μgとなるようにした。
[3]1日に1度腫瘍のサイズを測定した。
【0071】
[結果]
結果を図2に示す。ここで、図中の腫瘍サイズは、(413)x短径x短径x長径x(1/8)x3.14として計算したものを示した。
pDNA−ESAT−6複合体のみ、あるいは、pDNA−GM−CSF複合体のみを投与した群に比べ、両者を混合して腫瘍組織内投与したマウスの方が腫瘍の増大抑制効果が大きく、相乗効果が認められた。
【実施例3】
【0072】
pDNA−ESAT−6複合体にマウスマウスIL−2の遺伝子をコードしたプラスミド(pDNA−IL−2)複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果。
pDNA−IL−2/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体を実施例1と同様に作成し、実施例1で作成したpDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体と混合して凍結乾燥した。再水和後、マウスのメラノーマ細胞由来のB16を皮下に移植したマウスに腫瘍局所内投与し、腫瘍増大抑制効果を確認した。
【0073】
[操作手順]
[1]実施例1と同様に担癌モデルマウス、pDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体、およびそのpDNA−IL−2/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体との混合物の凍結乾燥体を用意した。
[2]担癌マウスモデルの腫瘍サイズが長径3mm以上になったところで、上記2種類の凍結乾燥体に純水250μlを加え、十分に溶解、分散させたものを混合し、腫瘍組織内に投与した。混合比は、pDNA−ESAT−6複合体:pDNA−IL−2複合体=2:3(重量比)とした。一回の投与量はプラスミドの合計が100μgとなるようにした。
[3]1日に1度腫瘍のサイズを測定した。
【0074】
[結果]
結果を図3に示す。ここで、図中の腫瘍サイズは、(4/3)x短径x短径x長径x(1/8)x3.14として計算したものを示した。
pDNA−ESAT−6複合体のみ、あるいは、pDNA−IL−2複合体のみを投与した群に比べ、両者を混合して腫瘍組織内投与したマウスの方が腫瘍の増大抑制効果が大きく、相乗効果が認められた。
【実施例4】
【0075】
pDNA−ESAT−6複合体にマウスマウスIL−12の遺伝子をコードしたプラスミド(pDNA−IL−12)複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果。
pDNA−IL−12/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体を実施例1と同様に作成し、実施例1で作成したpDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体と混合して凍結乾燥した。再水和後、マウスのメラノーマ細胞由来のB16を皮下に移植したマウスに腫瘍局所内投与し、腫瘍増大抑制効果を確認した。
【0076】
[操作手順]
[1]実施例1と同様に担癌モデルマウス、pDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体、およびそのpDNA−IL−12/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体との混合物の凍結乾燥体を用意した。
[2]担癌マウスモデルの腫瘍サイズが長径3mm以上になったところで、上記2種類の凍結乾燥体に純水250μlを加え、十分に溶解、分散させたものを混合し、腫瘍組織内に投与した。混合比は、pDNA−ESAT−6複合体:pDNA−IL−12複合体=3:2(重量比)とした。一回の投与量はプラスミドの合計が100μgとなるようにした。
[3]1日に1度腫瘍のサイズを測定した。
【0077】
[結果]
結果を図4に示す。ここで、図中の腫瘍サイズは、(4/3)x短径x短径x長径x(1/8)x3.14として計算したものを示した。
pDNA−ESAT−6複合体のみ、あるいは、pDNA−IL−12複合体のみを投与した群に比べ、両者を混合して腫瘍組織内投与したマウスの方が腫瘍の増大抑制効果が大きく、相乗効果が認められた。
【実施例5】
【0078】
Ag85Bの遺伝子をコードしたプラスミド(pDNA−Ag85B)/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体の腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果
pDNA−Ag85B、PEI、CSからなる三成分の複合体をマウスのメラノーマ細胞由来のB16を皮下に移植したマウスに腫瘍局所内投与し、腫瘍増大抑制効果を確認した。
【0079】
[操作手順]
[1]pDNA−Ag85Bは、タカラバイオ株式会社に合成を依頼した。発現ベクターにはインビトロジェン株式会社のpcDNA3.1(+)を用いた。
[2]実施例1と同様に担癌モデルマウス、pDNA−Ag85B/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体の凍結乾燥体を用意した。
[2]担癌マウスモデルの腫瘍サイズが長径3mm以上になったところで、上記2種類の凍結乾燥体に純水250μlを加え、十分に溶解、分散させたものを混合し、腫瘍組織内に投与した。
[3]1日に1度腫瘍のサイズを測定した。
【0080】
[結果]
結果を図5に示す。ここで、図中の腫瘍サイズは、(413)x短径x短径x長径x(1/8)x3.14として計算したものである。
何も投与していないコントロール群では急激な腫瘍の増大が見られたのに対して、pDNA−Ag85B/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体を腫瘍局所内投与したマウスでは明確な腫瘍増大抑制が見られた。
【実施例6】
【0081】
pDNA−Ag85B複合体とマウスマウスpDNA−ESAT−6複合体を併用した腫瘍局所内注射による皮下移植B16細胞に対する治癒効果。
pDNA−Ag85B/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体を実施例5と同様に作成し、実施例1で作成したpDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体と混合して凍結乾燥した。再水和後、マウスのメラノーマ細胞由来のB16を皮下に移植したマウスに腫瘍局所内投与し、腫瘍増大抑制効果を確認した。
【0082】
[操作手順]
[1]実施例1と同様に担癌モデルマウス、pDNA−ESAT−6/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体、pDNA−Ag85B/ポリエチレンイミン(PEI)/コンドロイチン硫酸(CS)複合体、およびそれらの混合物の凍結乾燥体を用意した。
[2]担癌マウスモデルの腫瘍サイズが長径3mm以上になったところで、上記2種類の凍結乾燥体に純水250μlを加え、十分に溶解、分散させたものを混合し、腫瘍組織内に投与した。混合比は、pDNA−ESAT−6複合体:pDNA−Ag85B複合体=1:1(重量比)とした。一回の投与量はプラスミドの合計が100μgとなるようにした。
[3]1日に1度腫瘍のサイズを測定した。
【0083】
[結果]
結果を図6に示す。ここで、図中の腫瘍サイズは、(4/3)x短径x短径x長径x(1/8)x3.14として計算したものを示した。
pDNA−ESAT−6複合体のみ、あるいは、pDNA−Ag85B複合体のみを投与した群に比べ、両者を混合して腫瘍組織内投与したマウスの方が腫瘍の増大抑制効果が大きく、相乗効果が認められた。
【産業上の利用可能性】
本発明は、微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクター及び遺伝子導入試薬との複合体、それらを含有する医薬並びにそれらを用いる癌の治療方法に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体。
【請求項2】
微生物が結核菌であることを特徴とする請求項1記載の複合体。
【請求項3】
結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする請求項2記載の複合体。
【請求項4】
ベクターがプラスミドベクターであることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項記載の複合体。
【請求項5】
遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される1以上の化合物からなることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項記載の複合体。
【請求項6】
遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質と、アニオン性ポリマーからなることを特徴とする請求項5記載の複合体。
【請求項7】
カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン又はポリ分枝型エチレンイミン)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエイルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、プロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩から1つ以上選択される請求項5又は6記載の複合体。
【請求項8】
カチオン性脂質が、DC−Chol(3β−(N−(N‘,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMR I(N−(1,2−ジミリスチルオキシプパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)及びDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド)およびそれらの異なる酸との塩から1つ以上選択される請求項5又は6記載の複合体。
【請求項9】
アニオン性ポリマーが、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルタマン硫酸又はそれらの誘導体、及びそれらの塩から1つ以上選択される請求項5〜8いずれかの項記載の複合体。
【請求項10】
凍結乾燥処理を施した請求項1〜9いずれかの項記載の複合体。
【請求項11】
微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する医薬。
【請求項12】
微生物が結核菌であることを特徴とする請求項11記載の医薬。
【請求項13】
結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする請求項12記載の医薬。
【請求項14】
ベクターがプラスミドベクターであることを特徴とする請求項11〜13いずれかの項記載の医薬。
【請求項15】
遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される1以上の化合物からなることを特徴とする請求項11〜14いずれかの項記載の医薬。
【請求項16】
遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質と、アニオン性ポリマーからなることを特徴とする請求項15記載の医薬。
【請求項17】
カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン又はポリ分枝型エチレンイミン)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエイルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、プロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩から1つ以上選択される請求項15又は16記載の医薬。
【請求項18】
カチオン性脂質が、DC−Chol(3β−(N−(N‘,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMR I(N−(1,2−ジミリスチルオキシプパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)及びDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド)およびそれらの異なる酸との塩から1つ以上選択される請求項15又は16記載の医薬。
【請求項19】
アニオン性ポリマーが、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルタマン硫酸又はそれらの誘導体、及びそれらの塩から1つ以上選択される請求項15〜18いずれかの項記載の医薬。
【請求項20】
凍結乾燥処理を施した請求項11〜19いずれかの項記載の医薬。
【請求項21】
微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体及び免疫賦活性サイトカイン遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体を組み合わせた医薬。
【請求項22】
微生物が結核菌であることを特徴とする請求項21項記載の医薬。
【請求項23】
結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする請求項22記載の医薬。
【請求項24】
免疫賦活性サイトカインがインターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、GM−CSFから選ばれる1以上のサイトカインである請求項21〜23いずれかの項記載の医薬。
【請求項25】
微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体を有効量投与することを特徴とする癌の治療方法。
【請求項26】
微生物が結核菌であることを特徴とする請求項25記載の治療方法。
【請求項27】
結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする請求項26記載の治療方法。
【請求項28】
ベクターがプラスミドベクターであることを特徴とする請求項25〜27いずれかの項記載の治療方法。
【請求項29】
遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー、カチオン性脂質及びアニオン性ポリマーから選択される1以上の化合物からなることを特徴とする請求項25〜28いずれかの項記載の治療方法。
【請求項30】
遺伝子導入試薬が、カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質と、アニオン性ポリマーからなることを特徴とする請求項29記載の治療方法。
【請求項31】
カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン(直鎖状ポリエチレンイミン又はポリ分枝型エチレンイミン)、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートの重合体又は共重合体、2−トリメチルアミノエイルメタクリレートの重合体又は共重合体、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリリジンデンドリマー、プロタミン、ヒストン、HelΔ1、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリビニルイミダゾール、側鎖にエチレンジアミン構造を有する高分子及びそれらの共重合体、またはそれらの塩から1つ以上選択される請求項29又は30記載の治療方法。
【請求項32】
カチオン性脂質が、DC−Chol(3β−(N−(N‘,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール、DDAB(N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド)、DMR I(N−(1,2−ジミリスチルオキシプパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DODAC(N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド)、DOGS(ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン)、DOSPA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート)、DOTAP(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)及びDOTMA(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド)およびそれらの異なる酸との塩から1つ以上選択される請求項29又は30記載の治療方法。
【請求項33】
アニオン性ポリマーが、カルボキシル側鎖を持つPEG誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアルコールの硫酸エステル体、サクシニミジル化ポリ−L−リジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、デルタマン硫酸又はそれらの誘導体、及びそれらの塩から1つ以上選択される請求項29〜32いずれかの項記載の治療方法。
【請求項34】
凍結乾燥処理を施した請求項25〜33いずれかの項記載の治療方法。
【請求項35】
微生物由来抗原タンパク質遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体及び免疫賦活性サイトカイン遺伝子をコードしたベクターと遺伝子導入試薬を含有する複合体を組み合わせて有効量投与することを特徴とする癌の治療方法。
【請求項36】
微生物が結核菌であることを特徴とする請求項35記載の治療方法。
【請求項37】
結核菌由来抗原タンパク質がESAT−6(結核菌6kDa early secreted antigenic target)及び/又はAg85Bであることを特徴とする請求項36記載の治療方法。
【請求項38】
免疫賦活性サイトカインがインターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、GM−CSFから選ばれる1以上のサイトカインである請求項35〜37記載の治療方法。
【請求項39】
カチオン性ポリマーがポリエチレンイミンである請求項1〜7、9〜17、19〜31、33〜38いずれかの項記載の複合体、医薬又は癌の治療方法。
【請求項40】
アニオン性ポリマーがコンドロイチン硫酸である請求項1〜39いずれかの項記載の複合体、医薬又は癌の治療方法。
【請求項41】
アニオン性ポリマーがヒアルロン酸である請求項1〜39いずれかの項記載の複合体、医薬又は癌の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46596(P2013−46596A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201136(P2011−201136)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(508363225)株式会社アルファ・ナノ・メディカ (4)
【Fターム(参考)】