説明

新規な複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体およびそれを用いた電子注入材料、電子輸送材料および有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】低電圧で駆動し、高効率な素子に必要な新規複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体、それを用いた電子注入材料、電子輸送材料および有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】下記一般式(1)


(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を、Aは、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基およびピラジニル基等を、またR〜Rは水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数1〜6のアルキルアミノ基等を表し、nは1又は2である)で示される複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体およびそれを用いた電子注入材料、電子輸送材料および有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体およびそれを用いた電子注入材料、電子輸送材料および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(OEL)ディスプレイは、電荷注入型の発光素子であり高輝度、高コントラスト、高速応答などの特徴を有しており、軽くて薄いと言う長所を生かして液晶やプラズマと言ったディスプレイに代わる次世代ディスプレイとして注目されている。ここ10年あたりの技術進歩は目を見張るものがあり、すでに実用化レベルに達していると言っても過言ではない。
実用化レベルに達した要因としては、材料の進歩、周辺技術の進歩、そして光取りだし技術の進歩が挙げられる。
【0003】
材料の進歩として特筆すべき内容は、下記式
【化3】

に示されるトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)Ir(ppy)に代表されるリン光材料の使用である(非特許文献1)。また金属(無機材料)−有機材料界面、有機材料−有機材料界面の改良もデバイスの高効率化につながっている。
有機材料−有機材料の界面改良については、界面混合層を設けることにより有機層間の障壁を少なくすることで励起子同士の再結合がスムーズに行く様な工夫がなされている(非特許文献2)。
一方金属(無機材料)−有機材料界面の改良は、陽極界面はスズ−酸化インジウム電極(ITO)の上に下記式
【化4】

で示されるポリアニリン(PAn)(非特許文献3)や下記式

【化5】

で示されるポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)(非特許文献4)と言った導電性高分子材料の層をスピンコート法などで作成しホール輸送層に対してホールの注入障壁を下げている。真空蒸着法では下記式
【化6】

で示される銅フタロシアニン(CuPc)なども用いられている(特許文献1)。また陰極界面では、アルミ電極と電子輸送層の間に薄い電子注入層を設けることで陰極からの電子の注入障壁を下げている。
陰極界面の制御に関しては、素子の劣化にも十分関係しておりその問題点としては、有機薄膜が電気的にオーミックコンタクトしにくい点と物理的に付着力が弱いという点を含んでいる(非特許文献5)。
【0004】
陰極の電子注入障壁を下げる目的で現在フッ化リチウム(LiF)が用いられている(非特許文献6)。これはLiFを用いることで陰極界面の障壁が−1.0eV〜−0.8eV低くなり、この結果陰極から電子輸送層に対する電子の注入がより容易になっている。また同様の効果が期待できるものとして下記式
【化7】

で示される8−キノリノラトリチウム(Liq)なども用いられている(非特許文献7)。さらに効果が期待できるものとして下記式
【化8】

で示されるような有機化合物とアルカリ金属をドープしたバソクプロイン−金属セシウムドープ(Bphen:Cs)などが用いられる様になった(非特許文献)。
しかしこれらの材料も課題が残されており、例えばLiFでは均一な製膜が難しく縞状の薄膜が作成されること、無機化合物のため蒸着温度が一般に高く(800℃以上)場合によっては輻射熱で既に蒸着している有機層がダメージを受けること、またLiqの場合、Liqの電子移動度が低いため注入された電荷が十分に電子輸送材料に供給されないこと、さらにアルカリ金属ドープについてはセシウムのドープ量によって電子注入層の特性が大きく変化するなどの難点があった。
【0005】
【非特許文献1】M.A.Baldo,S.Lamansky,P.E.Burrows, M.E.Thompson,S.R.Forrest,Appl.Phys.Lett.75 4(1999)
【非特許文献2】H.Ishii,K.Sugiyama, D.Yoshimura,E.Ito,Y.Ouchi,K.Seki,IEEE J.Sel.Top.Quant.Electron.,4 24(1998)
【非特許文献3】Y.Yang,E.Westerweele,C.Zhang,P.Smith,A.J.Heeger,J.Appl.Phys.77 694(1995)
【非特許文献4】J.M.Bharathan,Y.Yang,Appl.Phys.Lett.72 2660(1998)
【非特許文献5】有機EL材料技術(2004)株式会社シーエムシー出版
【非特許文献6】L.S.Hung,C.W.Tang,M.G.Mason,Appl.Phys.Lett.,70 152(1997)
【非特許文献7】J.Endo,T.Matsumoto.J.Kido,Ext.Abstr.(9th Int.Workshop on Inorg.and Org.Electroliminescence),57(1998)
【非特許文献8】Y.Kishigami,Y.Kondo,K.Tsubaki.J.Kido,Polym.Preprints,Japan 49 3385(2000)
【特許文献1】米国特許第5061569号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、素子の低電圧駆動を可能にし、高効率な素子を提供するために必要な新規な複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体およびそれを用いた電子注入材料、電子輸送材料および有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、下記一般式(1)

【化9】

(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Aは、置換基を有することもあるピリジル基、置換基を有することもあるピリミジニル基、置換基を有することもあるピリダジニル基および置換基を有することもあるピラジニル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるが、これらの基が保有する置換基同士が環を形成していてもよい。またR〜Rは水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、nはMがアルカリ金属の場合は1であり、アルカリ土類金属の場合は2である)
で示される複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体に関する。
本発明の第2は、前記Aが
【化10】

(式中、R〜Rは水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基、置換基を有することもあるピリジル基、置換基を有することもあるピリミジニル基、置換基を有することもあるピリダジニル基および置換基を有することもあるピラジニル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基もしくはRとR、RとR、RとRのいずれかが、またはすべてがそれぞれ環を形成してもよい。)
で示されるピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基およびピラジニル基である請求項1記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体に関する。
本発明の第3は、請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体よりなる電子注入材料に関する。
本発明の第4は、請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体よりなる電子輸送材料に関する。
本発明の第5は、請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第6は、請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体の中心金属Mを熱的に還元しうる金属を該複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体層の上から蒸着した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。ここで、熱的に還元しうる金属とは陰極に使用されている金属、例えばAlを挙げることができる
【0008】
本発明におけるR〜Rにおける炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチルなどを挙げることができる。
【0009】
本発明におけるR〜Rにおける炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルコキシ基は、−OHの水素を前記アルキル基で置換されたタイプのもの、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を持つアルキルアミノ基は、−NHの水素の1部または全部が前記アルキル基で置換されたタイプのものである。
【0010】
本発明の化合物は、下記の反応により製造する事ができる。
なお、式中、R〜R、M、nはすべて前記のとおりである。nはMがアルカリ金属の場合は1であり、アルカリ土類金属の場合は2である。またMが2価の金属の場合は明らかに錯体を形成しているが、Mが1価の金属の場合は、単なる塩を形成しているのか錯体を形成しているのかは、今1つ明らかではない。

【化11】


【化12】

【0011】
本発明化合物の具体例を以下に例示する。下記化合物では、Aがピリジル基の場合についてのみ示しているが、Aがピリジル基の代わりに、ピリミジニル基であっても、ピリダジニル基であっても、またピラジニル基であっても同様であるので、いちいち具体的に例示しないが、ピリジル基の部分をピリミジニル基、ピリダジニル基あるいはピラジニル基に置き換えて記載することは省略する。
また、金属についてもLiの場合については多数の例示化合物を挙げ、その他の金属の例示化合物は少ないが、Liの代わりにNa、K、Cs、Ca、Sr、Baを入れ替えて考えれば、多数の例示をしているに等しいと考えている。
ただし、本発明化合物を、電子注入材料や電子輸送材料として用いる場合には、Liが他の金属に較べてはるかに有効性が高い。
【0012】
【化13】

【0013】
【化14】

【0014】
【化15】

【0015】
【化16】

【0016】
【化17】

【0017】
【化18】

【0018】
【化19】

【0019】
【化20】

【0020】
【化21】

【0021】
【化22】

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【化23】

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【化24】

【0024】
【化25】

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【化26】

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【化27】

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【化28】

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【化29】

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【化30】

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【化31】

【0031】
【化32】

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【化33】

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【化34】

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【化35】

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【化36】

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【化37】

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【化38】

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【化39】

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【化40】

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【化41】

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【化42】

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【化43】

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【化44】

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【化45】

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【化46】

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【化47】

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【化48】

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【化49】

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【化50】

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【化51】

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【化52】

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【化53】

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【化54】

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【化55】

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【化56】

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【化57】

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【化58】

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【化59】

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【化60】

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【化61】

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【化62】

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【化63】

【0063】
【化64】

【0064】
【化65】

【0065】
【化66】

【0066】
【化67】

【0067】
【化68】

【0068】
【化69】

【0069】
【化70】

【0070】
【化71】

【0071】
本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体は高い電子注入性能を有する。従って電子注入材料として使用することができる。また電子輸送性能もあわせて持つため電子輸送材料として使用することも可能である。
【0072】
本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を有機エレクトロルミネッセンスに使用する場合、適当な発光材料と組み合わせて使用することができる。
【0073】
本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を電子注入層に用いる場合、本発明の化合物は電子注入材料として使用できる。また他の電子注入材料と組み合わせて使用することができる。
【0074】
本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を電子輸送層に用いる場合、本発明の化合物は電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することができる。
【0075】
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について説明する。本発明の有機EL素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を含有する。有機EL素子が一層の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有しそれに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送するのが目的で、本発明の化合物もしくは既存の正孔輸送材料もしくは電子輸送材料を含有していても良い。多層型の有機EL素子の構成例としては、例えば陽極(ITO)/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0076】
正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であっても良い。また正孔輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(正孔注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0077】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0078】
以下本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素に関して、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。
【0079】
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであれば良く、例えば、ガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
【0080】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0081】
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さい同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作成することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
【0082】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0083】
前記の正孔伝達物質としては、たとえば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(α−NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)などが挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでも良い。
正孔注入材料としては、下記化学式に示されるPEDOT−PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを挙げることができる。

【化72】

正孔輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASi、α−NPDなどを挙げることができる。
【化73】

【0084】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層については、本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を用いることができる。また従来の公知の材料についても特に制限はなく任意のものを選択して用いることができる。
【0085】
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Almq)等の蛍光材料や[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′]イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス{1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾラート−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz)、ビス[2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Irppy)などのリン光材料などを挙げることができる。
【0086】
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl. Phys. Lett.,65 3610 (1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要であり、この時使用されるホスト材料としては4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン−2,2′−ジ[4″−(N−カルバゾリル)フェニル]−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等が挙げられる。
【0087】
ゲスト材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。ゲスト材料としては、下記に示す従来公知のFIrpic、Irppy、FIr6等を挙げることができる。
【化74】

【0088】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが他の電子輸送材料と併用しても構わない。
【0089】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で陰極と有機層の間に導電体から構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される導電体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属有機錯体から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムなどが挙げられる。アルカリ金属有機錯体としては、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム、8−ヒドロキシキノリノラトセシウムなどが挙げられる。
また本発明化合物を電子注入層として使用する場合は、上記の電子注入材料と併用することもできる。電子注入層の膜厚は0.1〜100nm、好ましくは0.1〜50nm、とくに好ましくは0.5〜10nmである。
【0090】
正孔輸送層、発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式製膜法〔溶媒塗布法(例えばスピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)〕を使用することができる。本発明の新規な複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体は、乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)が好ましい。電子輸送層の製膜については、湿式製膜法で行うと下層が溶出する恐れがあるため乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)に限定される。素子の作成については上記の製膜法を併用しても構わない。
【0091】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着条件は特に限定されるものではない。通常10−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着原温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0092】
正孔輸送層、発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
【0093】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nm、好ましくは5〜1000nm、とくに好ましくは10〜100nmになるようにする。
【0094】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等の接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等がある。
【0095】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として通常1.5〜20V程度印加すると発光が観察される。また本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示装置、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【0096】
図83〜96に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0097】
図83は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。図83は、基板1上に陽極2、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する発光材料は、それ自体が正孔輸送性、電子輸送性および発光性の機能を単一で有している場合や、それぞれの機能を有する化合物を混合して使用する場合に有用である。
【0098】
図84は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図84は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0099】
図85は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図85は、基板1上に陽極2、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は正孔輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0100】
図86は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図86は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0101】
図87は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図87は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、正孔注入層7を設けることにより、陽極2と正孔輸送層5の密着性を高めたり、陽極からの正孔の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0102】
図88は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図88は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0103】
図89は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図89は、基板1上に陽極2、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2から正孔の注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0104】
図90〜96は素子の中に正孔ブロック層を挿入したものの断面図である。正孔ブロック層は、陽極から注入された正孔、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。正孔ブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。
【0105】
図90〜96で、正孔輸送層5、正孔注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、正孔ブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
【0106】
図90〜96は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0107】
本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体は、Liq等の従来の電子注入材料に比べ電子注入能が非常に大きい。本発明の化合物は、3.0nm〜5.0nmと薄い膜状で積層してもLiFと同程度の注入特性を示した。また本発明の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を、金属−有機界面にてAlqとドープしたところ本発明の化合物と1:1の比率のものが最も効果が高く、初期特性100cd/mで5.1V低電圧化した。
よって本発明の化合物は、素子にかかる電圧を低電圧化させ高効率化させるために必要なものであり工業的に極めて重要なものである。
【実施例】
【0108】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0109】
実施例1
2−ピリジルフェノール(略称PP)〔中間体〕の合成
【化75】

4つ口フラスコに2−ブロモピリジンとo−ヒドロキシフェニルホウ酸をトルエン/エタノール=2:1の混合溶媒に溶解させ、2M(mol/l)の炭酸カリウム水溶液を加え、窒素バブリングを1時間行なった。その後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム〔Pd(PPh〕を加え、窒素気流下還流温度で8時間反応させた。反応終了後、トルエンで抽出した後、イオン交換水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターにより溶媒を除去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム:ヘキサン=1:1)により精製を行ない、黄色の粘体を得た。粘体の状態で減圧乾燥を行ない、冷却して、黄色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトル、MassスペクトルとIRスペクトルにて行なった。
実施例1の反応条件、収量および収率を表1に示す。
【表1】

このもののH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)(全領域)を図1に、Massスペクトルを図2に、IRスペクトルを図3に示す。また真空TGA(Thermogravimetric Analyzer=熱量測定装置)の結果を図4に示す。
真空TGAは、ロータリーポンプ(R.P)で所定の真空度まで排圧し真空条件下で熱量を測定する装置であり、化合物の純度や分解温度を調べる装置である。
【0110】
実施例2、3、4および5
2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)(実施例2)、2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトナトリウム(NaPP)(実施例3)、2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトカリウム(KPP)(実施例4)及び2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトセシウム(CsPP)(実施例5)の合成
【化76】

水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)、乳鉢ですりつぶした水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)と水酸化セシウム(CsOH)をそれぞれメタノール(MeOH)に溶解させ、そこに2−ピリジルフェノール(2−pyridylphenol)をメタノールに溶解させたものをゆっくり滴下し、0.5時間室温で撹拌し、反応終了後、いずれも沈殿物は生成していなかったので、エバポレーターで溶媒を除去した後、減圧乾燥することにより、LiPP、NaPP、KPP、CsPPのそれぞれ黄色の固体を得た。
表2に実施例2(LiPP)、実施例3(NaPP)、実施例4(KPP)、実施例5(CsPP)の反応条件、収量および収率を示す。

【表2】

LiPP、NaPP、KPP、CsPPのH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)をそれぞれ図5、6、7、8に示す。またLiPP、NaPP、KPPの真空TGAの結果を図9,10、11に示す。またLiPPの薄膜(50nm)における紫外−可視吸収曲線とフォトルミネッセンス曲線を図12と図13に示す。
【0111】
実施例6、7および8
ビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕カルシウム〔Ca(PP)〕(実施例6)、ビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕ストロンチウム〔Sr(PP)〕(実施例7)及びビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕バリウム〔Ba(PP)〕(実施例8)の合成
【化77】

水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕、水酸化ストロンチウム八水和物〔Sr(OH)・8HO〕、水酸化バリウム八水和物〔Ba(OH)・8HO〕をそれぞれメタノールに溶解させ、そこに2−ピリジルフェノールのメタノール溶液をゆっくり滴下し、室温で0.5時間撹拌させた。反応が進むにつれ沈殿物が生成したので、反応後吸引ろ過によりろ別し、ろ紙上の残渣を減圧乾燥することでCa(PP)、Sr(PP)、Ba(PP)おのおのの白色の固体を得た。
表3に実施例6〔Ca(PP)〕、実施例7〔Sr(PP)〕、実施例8〔Ba(PP)〕の反応条件、収量および収率を示す。
【表3】

Ca(PP)、Sr(PP)、Cs(PP)H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)をそれぞれ図14、図15、および図16に示す。またCa(PP)、Sr(PP)、Cs(PP)の真空TGAの結果を図17、図18および図19に示す。
【0112】
実施例9
2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(略称Bpp)〔中間体〕の合成
(1)2−(2′−ピリジル)−6−ブロモピリジン(略称Bbp)の合成
【化78】

4つ口フラスコに2−ブロモピリジン(2−bromopyridine)を、脱水したジエチルエーテル(Diethylether)に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃以下に冷却した後、n−BuLi(1.58M)を加えて40分反応させ、乾燥したZnClのN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン液を加え、室温に戻しながら2時間反応させた。その後、100mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた2,6−ジブロモピリジン(2,6−dibromopyridine)溶液とPdCl(PPhを加えて48℃で16時間反応させた。反応終了後、沈殿物を吸引ろ過で取り除き、ろ過物をトルエン100mlで洗い、ろ液中のジエチルエーテルとテトラヒドロフランをエバポレーターにより除去した。その後、残ったトルエン溶液をHClaq(1.5M)で抽出し、HCl溶液をNaHCOで中和した。その後、トルエンで抽出し、イオン交換水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターにより溶媒を除去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:ヘキサン:酢エチ=3:1)により精製を行ない、白色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトルにて行なった。
Bbpの反応条件、収量および収率を表4に示す。
【表4】

BbpのH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図20に示す。
(2)2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(略称Bpp)の合成
【化79】

4つ口フラスコに2−(2′−ピリジル)−6−ブロモピリジン(Bbp)とo−ヒドロキシフェニルホウ酸をトルエン/エタノール=2:1の混合溶媒に溶解させ、2M(mol/l)の炭酸カリウム水溶液を加え、窒素バブリングを1時間行なった。その後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを加え、窒素気流下還流温度で8時間反応させた。反応終了後、トルエンで抽出した後、イオン交換水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターにより溶媒を除去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:クロロホルム:酢酸エチル=9:1)により精製を行ない、黄色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトル、MassスペクトルとIRスペクトルにて行なった。
Bppの反応条件、収量および収率を表5に示す。

【表5】

BppのH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図21に、Massスペクトルを図22にそれぞれ示す。
【0113】
実施例10および11
2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(略称Libpp)(実施例10)および2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトナトリウム(略称Nabpp)(実施例11)の合成
【化80】

水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)、水酸化ナトリウム(NaOH)を各々、MeOHに溶解させ、そこに2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(Bpp)〔2−(2,2′−bipyridyl)phenol〕のメタノール溶液をゆっくり滴下し、室温で0.5時間撹拌した。各々、沈殿物は生成していなかったので、エバポレーターで溶媒を除去した後、減圧乾燥することでそれぞれの黄色の固体(リチウム、ナトリウム)を得た。
LibppおよびNabppの反応条件、収量および収率を表6に示す。
【表6】

LibppのIRスペクトルを図23に示し、LibppおよびNabppのH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図24および図25に示す。またLibppの薄膜(50nm)における紫外−可視吸収曲線とフォトルミネッセンス曲線を図26と図27に示す。
【0114】
実施例12および13
ビス〔2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラト〕ストロンチウム〔略称Sr(bpp)〕(実施例12)およびビス〔2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラト〕バリウム〔略称Ba(bpp)〕(実施例13)の合成
【化81】

水酸化ストロンチウム八水和物〔Sr(OH)・8HO〕、水酸化バリウム八水和物〔Ba(OH)・8HO〕を各々、メタノール(MeOH)に溶解させ、そこに2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(Bpp)をメタノールに溶解させたものをゆっくり滴下し、室温で0.5時間撹拌させた。各々、沈殿物は生成していなかったので、エバポレーターで溶媒を除去した後、減圧乾燥することでそれぞれSr(bpp)、Ba(bpp)の黄色の固体を得た。
Sr(bpp)、Ba(bpp)の反応条件、収量および収率を表7に示す。
【表7】

Sr(bpp)とBa(bpp)のそれぞれのH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図28および図29に示す。
【0115】
実施例14
2−(2′−ヒドロキシフェニル)イソキノリン(略称iqp)〔中間体〕の合成

【化82】

4つ口フラスコに1−クロロイソキノリンとo−ヒドロキシフェニルホウ酸をトルエン/エタノール=2:1の混合溶媒に溶解させ、2M(mol/l)の炭酸カリウム水溶液を加え、窒素バブリングを1時間行なった。その後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを加え、窒素気流下還流温度で8時間反応させた。反応終了後、トルエンで抽出した後、イオン交換水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターにより溶媒を除去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法(展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製を行ない、黄色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトルとMassスペクトルとIRスペクトルにて行なった。
iqpの反応条件、収量および収率を表8に示す。
【表8】

iqpのH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図30に、Massスペクトルを図31に、IRスペクトルを図32にそれぞれ示す。
【0116】
実施例15、16および17
2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称Liiqp)(実施例15)、2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトナトリウム(略称Naiqp)(実施例16)および2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトカリウム(略称Kiqp)(実施例17)の合成

【化83】

水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、を各々、メタノールに溶解させ、そこに1−(2−ヒドロキシフェニル)イソキノリンのテトラヒドロフラン溶液をゆっくり滴下し、室温で0.5時間撹拌した。各々、沈殿物は生成していなかったので、エバポレーターで溶媒を除去すると粘体が得られた。その後、ヘキサンにて洗浄することでそれぞれの黄色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトルにて行なった。
Liiqp、NaiqpおよびKiqpの反応条件、収量および収率を表9に示す。
【表9】

Liiqp、NaiqpおよびKiqpのH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図33、34および35に示す。またLiiqpの薄膜(50nm)における紫外−可視吸収曲線とフォトルミネッセンス曲線を図36と図37に示す。
【0117】
実施例18、19および20
ビス〔2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラト〕カルシウム〔略称Ca(iqp)〕(実施例18)、ビス〔2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラト〕ストロンチウム〔略称Sr(iqp)〕(実施例19)およびビス〔2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラト〕バリウム〔略称Ba(iqp)〕(実施例20)の合成

【化84】

水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕、水酸化ストロンチウム八水和物〔Sr(OH)・8HO〕、水酸化バリウム八水和物〔Ba(OH)・8HO〕を各々、メタノールに溶解させ、そこに1−(2−ヒドロキシフェニル)イソキノリンのテトラヒドロフラン溶液をゆっくり滴下し、室温で0.5時間撹拌した。Caの系では、沈殿物は生成していなかったので、エバポレーターで溶媒を除去した後、減圧乾燥することで黄色の固体を得た。また、Sr、Baの系では、沈殿物が生成したので吸引ろ過によりろ別し、ろ物を減圧乾燥することで白色の固体を得た。同定はH−NMRスペクトルにて行なった。
Ca(iqp)、Sr(iqp)およびBa(iqp)の反応条件、収量および収率を表10に示す。
【表10】

Ca(iqp)、Sr(iqp)およびBa(iqp)H−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を図38、39および40に示す。
【0118】
実施例21
実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)、実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)および実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(Liiqp)の電気化学特性と熱特性を求めた。電気化学特性の結果を表11、熱特性の結果を表12にそれぞれ示す。
【表11】

Ip:イオン化ポテンシャル
Eg:エネルギーギャップ、
Ea:エネルギーアフィニティ(電子親和力)
エネルギーギャップ(Eg)については、蒸着機で作成した薄膜を紫外−可視吸光度計で薄膜の吸収曲線を測定する。その薄膜の短波長側の立ち上がりのところに接線を引き、求まった交点の波長W(nm)を次の式に代入し目的の値を求める。それによって得た値がEgになる。
Eg=1240÷W
例えば接線を引いて求めた値W(nm)が470nmだったとしたらこの時のEgの値は
Eg=1240÷470=2.63(eV)
と言うことになる。
IP(イオン化ポテンシャル)はイオン化ポテンシャル測定装置(例えば理研計器AC−3)を使用して測定し、測定するサンプルがイオン化を開始したところの電圧(eV)の値を読む。
Ea(電子親和力)は、IpからEgを引いた値である。

【表12】

TGAの分解開始温度と融点と思われる温度が近いため、DSCによる融点測定で、300℃までしか温度をかけられないため、融点、ガラス転移点ともに観測されなかった。また、ここでの融点はTGAのDTAの変化より求めた。
【0119】
実施例22、23,24、25、26及び比較例1、2
実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)を電子注入材料として電子注入層に用いた素子を作成し、膜厚を0.5nm、1.0nm、2.0nm、3.0nmと5.0nmと変化させ素子特性の変化を調べた。比較のため電子注入層にフッ化リチウム(LiF)および8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)をそれぞれ電子注入材料として電子注入層にもちいた素子も比較例1および2として作成した。なお8−ヒドロキシキノリノラトリチウムの構造を以下に示す。
【化85】

作成した素子構成は以下の通りである。
比較例1
Ref 1(○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
比較例2
Ref 2(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liq(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例22
Device 7(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiPP(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例23
Device 8(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiPP(1.0nm)/Al(100nm)]
実施例24
Device 9(+):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiPP(2.0nm)/Al(100nm)]
実施例25
Device 10(△):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiPP(3.0nm)/Al(100nm)]
実施例26
Device 11(●):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiPP(5.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図41に、
電流密度−電圧特性は図42に、
輝度−電圧特性は図43に、
それぞれ示す。
LiPPの最適膜厚は1.0nmであり、リファレンスとしたLiqと同程度の特性を示し、またLiFよりも良い特性を示した。
【0120】
実施例27、28,29、30、31及び比較例3、4
実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)を電子注入材料として電子注入層に用いた素子を作成し、膜厚を0.5nm、2.0nm、3.0nm、5.0nmと7.0nmと変化させ素子特性の変化を調べた。比較のため電子注入材料としてフッ化リチウム(LiF)および8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)をそれぞれ電子注入層にもちいた素子も比較例3および4として作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例3
Ref 1(○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
比較例4
Ref 2(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liq(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例27
Device 12(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Libpp(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例28
Device 13(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Libpp(2.0nm)/Al(100nm)]
実施例29
Device 14(+):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Libpp(3.0nm)/Al(100nm)]
実施例30
Device 15(△):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Libpp(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例31
Device 16(●):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Libpp(7.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図44に、
電流密度−電圧特性は図45に、
輝度−電圧特性は図46に、
それぞれ示す。
Libppの最適膜厚は3.0nmであり、リファレンスとしたLiqと同程度の特性を示し、またLiFよりも良い特性を示した。
【0121】
実施例32、33、34、35及び比較例5、6
実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(Liiqp)を電子注入層に用いた素子を作成し、膜厚を0.5nm、2.0nm、3.0nm、5.0nmと変化させ素子特性の変化を調べた。比較のため電子注入層にフッ化リチウム(LiF)および8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)をそれぞれ電子注入材料として電子注入層にもちいた素子も比較例5および6として作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例5
Ref 1(○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
比較例6
Ref 2(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liq(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例32
Device 17(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liiqp(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例33
Device 18(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liiqp(2.0nm)/Al(100nm)]
実施例34
Device 19(+):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liiqp(3.0nm)/Al(100nm)]
実施例35
Device 20(△):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liiqp(5.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図47に、
電流密度−電圧特性は図48に、
輝度−電圧特性は図49に、
それぞれ示す。
Liiqpの最適膜厚は3.0nmであり、リファレンスとしたLiqと同程度の特性を示し、またLiFよりも良い特性を示した。
【0122】
実施例36、37、38及び比較例7、8
実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)、実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)および実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(Liiqp)のそれぞれを電子注入材料として電子注入層に使用するに当り、その最適な膜厚における素子を作成し、電子の注入効率の測定した。比較のため電子注入層にフッ化リチウム(Liiqp)および8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)をそれぞれ電子注入材料として電子注入層にもちいた素子も比較例7および8として作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例7
Ref1(○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
比較例8
Ref2(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liq(0.5nm)/Al(100nm)]
実施例36
Device 8(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiPP(1.0nm)/Al(100nm)]
実施例37
Device 14(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Libpp(3.0nm)/Al(100nm)]
実施例38
Device 19(+):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Liiqp(3.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図50に、
電流密度−電圧特性は図51に、
輝度−電圧特性は図52に、
それぞれ示す。
どの錯体においても、LiFよりも特性が向上している。また、LiF、Liq、LiPPにおいて、0.5nm、1.0nmの極薄膜において最大値をとり、Libpp、Liiqpにおいては3.0nmの薄膜で最大値をとった。これは、各々の分子の大きさが異なることから、同じ膜厚でも、膜中に存在するLiの量が変化するため、特性に影響を与えたのではないかと考えられる。
【0123】
実施例39、40、41及び比較例9
実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)とAlqでAlq:LiPP=1:3、1:1、3:1の比率でそれぞれ共蒸着した素子を作成し電子注入材料としての電子の注入特性の比較を行った。比較のためLiFを電子注入材料として電子注入層に用いた素子を作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例9
Ref(○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
実施例39
Device 27(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:LiPP(1:3)(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例40
Device 28(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:LiPP(1:1)(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例41
Device 29(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:LiPP(3:1)(5.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図53に、
電流密度−電圧特性は図54に、
輝度−電圧特性は図55に、
それぞれ示す。
最適ドープ比はAlq:LiPP=1:1の時であった。Refよりも若干低電圧駆動している。しかし、Alq:LiPP=1:3では高電圧駆動した。Alq:LiPP=1:3の素子においては、LiPPの割合が多いため、還元された過剰のLiがAlqの分解を引き起こすために、高電圧駆動したのではないかと考えられる。
【0124】
実施例42、43、44及び比較例10
実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)とAlqでAlq:Libpp=1:3、1:1、3:1の比率でそれぞれ共蒸着した素子を作成し電子の注入特性の比較を行った。比較のためLiFを電子注入層に用いた素子を作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例10
Ref (○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
実施例42
Device 30(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:Libpp(1:3)(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例43
Device 31(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:Libpp(1:1)(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例44
Device 32(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:Libpp(3:1)(5.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図56に、
電流密度−電圧特性は図57に、
輝度−電圧特性は図58に、
それぞれ示す。
最適ドープ比はAlq:Libpp=1:1の時でありRefよりも若干低電圧駆動している。しかし、Alq:Libpp=3:1、Alq:Libpp=1:3では高電圧駆動した。これは、Alq:Libpp=3:1においては還元されるLiの濃度が少ないため、未反応のAlqが電流の注入を阻害し、またAlq:Libpp=1:3では還元された過剰のLiがAlqの分解を引き起こすために、高電圧駆動したのではないかと考えられる。
【0125】
実施例45、46、47及び比較例11
実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(Liiqp)とAlqでAlq:Liiqp=1:3、1:1、3:1の比率でそれぞれ共蒸着した素子を作成し電子注入材料としての注入特性の比較を行った。比較のためLiFを電子注入材料として電子注入層に用いた素子を作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例11
Ref (○):[ITO/NPD(50nm)/Alq(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
実施例45
Device 33(□):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:Liiqp(1:3)(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例46
Device 34(◇):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:Liiqp(1:1)(5.0nm)/Al(100nm)]
実施例47
Device 35(×):[ITO/NPD(50nm)/Alq(65nm)/Alq:Liiqp(3:1)(5.0nm)/Al(100nm)]
これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図59に、
電流密度−電圧特性は図60に、
輝度−電圧特性は図61に、
それぞれ示す。
最適ドープ比はAlq:Liiqp=1:1の時でありRefよりも若干低電圧駆動している。しかし、Alq:Liiqp=3:1、Alq:Liiqp=1:3では高電圧駆動した。これは、Alq:Liiqp=3:1においては還元されるLiの濃度が少ないため、未反応のAlqが電流の注入を阻害し、またAlq:Liiqp=1:3では還元された過剰のLiがAlqの分解を引き起こすために、高電圧駆動したのではないかと考えられる。Li化合物ドープの系において、Li化合物:Alq=1:1の時が最適ドープ比であった。
【0126】
実施例48
実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)を電子輸送材料兼発光材料として電子輸送発光層に用いた素子を作成し素子特性を調べた。
作成した素子構成は以下の通りである。
実施例48
Device 36:[ITO/NPD(50nm)/LiPP(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
この素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図62に、
電流密度−電圧特性は図63に、
輝度−電圧特性は図64に、
電力効率−電圧特性は図65に、
電流効率−電圧特性は図66に
それぞれ示す。
またこの素子のEL特性を表13に示す。
【表13】

【0127】
実施例49
実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)を電子輸送材料兼発光材料として電子輸送発光層に用いた素子を作成し素子特性を調べた。
作成した素子構成は以下の通りである。
Device 37:[ITO/NPD(50nm)/Libpp(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
この素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図67に、
電流密度−電圧特性は図68に、
輝度−電圧特性は図69に、
電力効率−電圧特性は図70に、
電流効率−電圧特性は図71に
それぞれ示す。
またこの素子のEL特性を表14に示す。

【表14】

【0128】
実施例50
実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(Liiqp)を電子輸送材料兼発光材料として電子輸送発光層に用いた素子を作成し素子特性を調べた。
作成した素子構成は以下の通りである。
Device 38:[ITO/NPD(50nm)/Liiqp(70nm)/LiF(1.0nm)/Al(100nm)]
この素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図72に、
電流密度−電圧特性は図73に、
輝度−電圧特性は図74に、
電力効率−電圧特性は図75に、
電流効率−電圧特性は図76に、
それぞれ示す。
またこの素子のEL特性を表15に示す。
【表15】

【0129】
実施例51、52、53および比較例12、13、14
実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(LiPP)、実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)および実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(Liiqp)を用い、電子オンリーデバイス(Electron only device)を作製し、電子の入りやすさを測定した。電子オンリーデバイスとは、有機エレクトロルミネッセンス素子から正孔輸送(ホール輸送)層を除去した素子である。ITOからの正孔(ホール)の出入りを完全に止めるために、ITOの上に正孔(ホール)ブロック層を1層設けているのが特徴である。比較のため電子注入層を設けない素子、LiFを電子注入層に用いた素子、Liqを電子注入層に用いた素子を作成した。
作成した素子構成は以下の通りである。
比較例12
Ref 1(●):[ITO/BCP(10nm)(ホールブロック層)/Alq(100nm)(電子輸送層)/Al(30nm)]
比較例13
Ref 2(■):[ITO/BCP(10nm)/ Alq (100nm)/LiF(0.5nm)/Al(30nm)]
比較例14
Ref3(○):[ITO/BCP(10nm)/Liq(100nm)/Al(30nm)]
実施例51
Device 39 (□):[ITO/BCP(10nm)/Lipp(100nm)/Al(30nm)]
実施例52
Device 40 (△):[ITO/BCP(10nm)/Libpp(100nm)/Al(30nm)]
実施例53
Device 41 (▽):[ITO/BCP(10nm)/Liiqp(100nm)/Al(30nm)]
これらの素子の
電流密度−電圧特性は図77に示す。
【0130】
実施例54、55、56、および比較例15
実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(Libpp)をエトキシエタノールに溶かし溶液とし、Libppを電子注入材料として用いた電子注入層を、スピンコートにより発光層上に成膜した。
素子の作成は、UVオゾン洗浄したITOガラス基板上にPEDOT:PSSをスピンコートで成膜し、真空オーブンで120℃15分乾燥させた後常温まで戻した。次にMEH−PPV(7g/L:ジクロロエタン)をスピンコートで成膜し、真空オーブンで80℃30分乾燥させた後常温まで戻した。なお用いたMEH−PPVの構造を以下に示す。
【化86】

MEH−PPV{ポリ〔2−メトキシ−5−(2′−エチルヘキシロキシ)〕フェニレンビニレン}
MEH−PPVを成膜−乾燥後、その上に本発明のLibpp溶液のスピンコートを行った。用いたLibpp溶液は、Libpp(Mw254.21)を21.4mgを10gのエトキシエタノールに溶解させたものを使用した。そしてLibpp層の膜厚を変化させるために、スピンコーターの回転数を変えたものを3枚作成した。
すなわち溶液を塗布後、
スピンコーター2000rpmで10秒間処理したもの
スピンコーター1500rpmで10秒間処理したもの
スピンコーター1000rpmで10秒間処理したもの
を作成した。スピンコート直後にガラスチャンバーに作成した基板を仕込み、Alを8.0×10−4Pa下で5.0Å/sの速度で100nm蒸着した。比較のためLibpp層を設けない素子も作成した(比較例15)。
作成した素子構成は詳細は以下の通りである。
比較例15
Device 42(○):ITO/PEDOT:PSS(60nm)/MEH−PPV(60nm)/Al(100nm)
実施例54
Device 43(●):ITO/PEDOT:PSS(60nm)/MEH−PPV(60nm)/Libpp(2000rpm)/Al(100nm)
実施例55
Device 44(黒三角):ITO/PEDOT:PSS(60nm)/MEH−PPV(60nm)/Libpp(1500rpm)/Al(100nm)
実施例56
Device 45(■):ITO/PEDOT:PSS(60nm)/MEH−PPV(60nm)/Libpp(1000rpm)/Al(100nm)
この素子のEL特性を表16に示す。
【表16】

これらの素子の
エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルは図78に、
電流密度−電圧は図79に、
輝度−電圧は図80に、
視感効率−電圧は図81に、
電流効率−電圧特性は図82に
それぞれ示す。
図78から、Libppを発光層上にスピンコートした素子においてELスペクトルの変化が無いことからLibppが化学的に影響を及ぼしていない事がわかる。
素子特性においては、Device43(実施例54)(2000rpmで処理したもの)が、電流注入や輝度、効率において最も特性が良好で、Libppの回転数を下げていくほど特性が低下し、Device45(実施例56)(1000rpmで処理したもの)においてはDevice42(比較例15)を下回る結果となり、膜厚が薄すぎることがわかった。
Device42(比較例15)はホール過剰の素子であるため、Libppのスピンコート処理によって電流注入が大きく改善され、輝度、効率も上昇していることからLibppによって電子の注入が促されたと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】実施例1の2−ピリジルフェノール(略称PP)のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)(全領域)を示す。
【図2】実施例1の2−ピリジルフェノール(略称PP)のMassスペクトルを示す。
【図3】実施例1の2−ピリジルフェノール(略称PP)のIRスペクトルを示す。
【図4】実施例1の2−ピリジルフェノール(略称PP)の真空TGAの結果を示す。
【図5】実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称LiPP)のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図6】実施例3の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトナトリウム(略称NaPP)のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図7】実施例4の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトカリウム(略称KPP)のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図8】実施例5の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトセシウム(略称CsPP)(実施例5)のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図9】実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称LiPP)真空TGAの結果を示す。
【図10】実施例3の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトナトリウム(略称NaPP)の真空TGAの結果を示す。
【図11】実施例4の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトカリウム(略称KPP)の真空TGAの結果を示す。
【図12】実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称LiPP)の薄膜(50nm)における紫外−可視吸収曲線を示す。
【図13】実施例2の2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称LiPP)の薄膜(50nm)におけるフォトルミネッセンス曲線を示す。
【図14】実施例6のビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕カルシウム〔略称Ca(PP)〕のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図15】実施例7のビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕ストロンチウム〔略称Sr(PP)〕のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図16】実施例8のビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕バリウム〔略称Ba(PP)〕のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図17】実施例6のビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕カルシウム〔略称Ca(PP)〕の真空TGAの結果を示す。
【図18】実施例7のビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕ストロンチウム〔略称Sr(PP)〕の真空TGAの結果を示す。
【図19】実施例8のビス〔2−(2−ピリジル)ヒドロキシフェノラト〕バリウム〔略称Ba(PP)〕の真空TGAの結果を示す。
【図20】実施例9の2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(略称Bpp)のH−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図21】実施例9の2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(略称Bpp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図22】実施例9の2−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノール(略称Bpp)のMassスペクトルを示す。
【図23】実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(略称Libpp)のIRスペクトルを示す。
【図24】実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム(略称Libpp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図25】実施例11の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトナトリウム(略称Nabpp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図26】実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム((略称Libpp)の薄膜(50nm)における紫外−可視吸収曲線を示す。
【図27】実施例10の2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラトリチウム((略称Libpp)の薄膜(50nm)におけるフォトルミネッセンス曲線を示す。
【図28】実施例12のビス〔2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラト〕ストロンチウム(略称Sr(bpp))のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図29】実施例13のビス〔2−ヒドロキシ−(2,2′)−ビピリジニル−6−イル−フェノラト〕バリウム(略称Ba(bpp))のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図30】実施例14の2−(2′−ヒドロキシフェニル)イソキノリン(略称iqp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図31】実施例14の2−(2′−ヒドロキシフェニル)イソキノリン(略称iqp)のMassスペクトルを示す。
【図32】実施例14の2−(2′−ヒドロキシフェニル)イソキノリン(略称iqp)のIRスペクトルを示す。
【図33】実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称Liiqp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図34】実施例16の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトナトリウム(略称Naiqp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図35】実施例17の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトカリウム(略称Kiqp)のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図36】実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称Liiqp)の薄膜(50nm)における紫外−可視吸収曲線を示す。
【図37】実施例15の2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラトリチウム(略称Liiqp)の薄膜(50nm)におけるフォトルミネッセンス曲線を示す。
【図38】実施例18のビス〔2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラト〕カルシウム(略称Ca(iqp))のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図39】実施例19のビス〔2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラト〕ストロンチウム(略称Sr(iqp))のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図40】実施例20のビス〔2−(1−イソキノリル)ヒドロキシフェノラト〕バリウム〔略称Ba(iqp)〕のH−NMRスペクトル(重ジメチルスルホン溶媒中、内部標準テトラメチルシラン使用、400MHz)を示す。
【図41】実施例22〜26及び比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図42】実施例22〜26及び比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図43】実施例22〜26及び比較例1、2の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図44】実施例27〜31及び比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図45】実施例27〜31及び比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図46】実施例27〜31及び比較例3、4の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図47】実施例32〜35及び比較例5、6の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図48】実施例32〜35及び比較例5、6の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図49】実施例32〜35及び比較例5、6の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図50】実施例36〜38及び比較例7、8の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図51】実施例36〜38及び比較例7、8の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図52】実施例36〜38及び比較例7、8の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図53】実施例39〜41及び比較例9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図54】実施例39〜41及び比較例9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図55】実施例39〜41及び比較例9の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図56】実施例42〜44及び比較例10の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図57】実施例42〜44及び比較例10の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図58】実施例42〜44及び比較例10の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図59】実施例45〜47及び比較例11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図60】実施例45〜47及び比較例11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図61】実施例45〜47及び比較例11の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図62】実施例48の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図63】実施例48の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図64】実施例48の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図65】実施例48の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電力効率−電圧特性を示す。
【図66】実施例48の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図67】実施例49の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図68】実施例49の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図69】実施例49の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図70】実施例49の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電力効率−電圧特性を示す。
【図71】実施例49の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図72】実施例50の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図73】実施例50の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図74】実施例50の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧特性を示す。
【図75】実施例50の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電力効率−電圧特性を示す。
【図76】実施例50の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図77】実施例51〜53および比較例12〜14の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧特性を示す。
【図78】実施例54〜56、および比較例15の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)のエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを示す。
【図79】実施例54〜56、および比較例15の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流密度−電圧を示す。
【図80】実施例54〜56、および比較例15の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の輝度−電圧を示す。
【図81】実施例54〜56、および比較例15の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の視感効率−電圧を示す。
【図82】実施例54〜56、および比較例15の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の電流効率−電圧特性を示す。
【図83】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図84】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図85】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図86】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図87】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図88】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図89】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図90】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図91】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図92】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図93】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図94】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図95】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図96】本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0132】
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔輸送層(ホール輸送層)
6 電子輸送層
7 正孔注入層(ホール注入層)
8 電子注入層
9 正孔ブロック層(ホールブロック層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Aは、置換基を有することもあるピリジル基、置換基を有することもあるピリミジニル基、置換基を有することもあるピリダジニル基および置換基を有することもあるピラジニル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるが、これらの基が保有する置換基同士が環を形成していてもよい。またR〜Rは水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、nはMがアルカリ金属の場合は1であり、アルカリ土類金属の場合は2である)
で示される複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体。
【請求項2】
前記Aが
【化2】

(式中、R〜Rは水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキルアミノ基、置換基を有することもあるピリジル基、置換基を有することもあるピリミジニル基、置換基を有することもあるピリダジニル基および置換基を有することもあるピラジニル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基もしくはRとR、RとR、RとRのいずれかが、またはすべてがそれぞれ環を形成してもよい。)
で示されるピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基およびピラジニル基である請求項1記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体。
【請求項3】
請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体よりなる電子注入材料。
【請求項4】
請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体よりなる電子輸送材料。
【請求項5】
請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
請求項1または2記載の複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体の中心金属Mを熱的に還元しうる金属を該複素環含有ヒドロキシフェニル金属誘導体層の上から蒸着した有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図23】
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【図26】
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【図27】
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【図36】
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【図37】
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【図42】
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【図43】
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【図45】
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【図46】
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【図48】
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【図49】
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【図51】
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【図52】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図60】
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【図61】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図44】
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【図47】
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【図50】
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【図53】
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【図59】
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【図62】
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【図67】
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【図72】
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【図77】
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【図78】
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【公開番号】特開2008−195623(P2008−195623A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29695(P2007−29695)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】