説明

新規な調節放出性医薬製剤シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤

活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の放出制御のための、製薬学的に許容されるキャリアも共に含む調節放出性医薬製剤を提供する。この製剤は好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する。本発明の医薬組成物はまた、健康なヒトのグループで試験すると好ましくは製剤の投与から少なくとも約1時間後に平均ピーク血漿中濃度(Cmax)をもたらす。本発明は、上記のような製剤組成物を調製する方法、ならびに上記のような製剤を用いる予防および/または治療方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の放出制御のための、製薬学的に許容されるキャリアも共に含む調節放出性医薬製剤に係わる。さらに、本発明の医薬組成物は治療および/または予防有効量の活性物質を投与するためのものである。前記製剤は好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する。また、本発明の医薬組成物は、健康なヒトのグループで試験すると好ましくは製剤の投与から少なくとも約1時間後に平均ピーク血漿中濃度(Cmax)をもたらす。本発明は、上記のような製剤組成物を調製する方法、ならびに上記のような製剤を用いる予防および/または治療方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)は、炎症部位および胃を含めた身体の様々な領域に通常存在する酵素である。胃のCOX−1酵素は、胃の内側が自然に粘液によって覆われ、保護されることを確実にする或る種の化学的メッセンジャー(プロスタグランジンと呼称される)を生成させる。アスピリンなどの一般的な抗炎症薬は、別の酵素COX−2(下記参照)の機能と共にCOX−1酵素の機能もブロックする。COX−1酵素がブロックされると炎症は軽減するが、粘液による胃内の保護被覆が減少し、このことは胃の不調、潰瘍、および胃腸からの出血を招きかねない。
【0003】
シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤は新たに開発された抗炎症薬で、COX−2酵素を選択的にブロックする。この酵素をブロックすると、関節炎炎症部に疼痛および腫脹を生じる化学的メッセンジャー(プロスタグランジン)の生成が妨げられる。COX−2阻害剤は新しい種類の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。この薬物はCOX−2酵素を選択的にブロックし、COX−1酵素はブロックしないので、従来のNSAIDとは異なる独自性を有する。その選択的作用は、胃を刺激せずに炎症を抑えるという利点をもたらす。この薬物は従来の抗炎症薬に比べて有利であり、なぜならその作用機序が胃に潰瘍や出血の危険を及ぼす恐れが無いからである。COX−2阻害剤には、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、イタコキシブ、デラコキシブ等が含まれる。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、関節炎、および腱炎や滑液包炎といった他の身体組織の炎症に対して通常処方される薬物である。NSAIDの例には、アスピリン、インドメタシン、ニメスリド、ケトロラク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ナブメトン等が含まれる。ニメスリドは関節リウマチによる疼痛炎症状態の治療に現在用いられている強力なNSAIDであり、解熱作用も有する。他のNSAIDと比較して、ニメスリドは治療係数が大きく、胃毒性が低く、かつ通常良好な忍容性を有する。ニメスリドはきわめて疎水性の物質であり、事実上水に不溶である(室温での水への溶解度が0.01mg/ml)。
【0004】
薬物レベルをより長期にわたって治療的血漿中濃度の下方レベルより高く維持することは、通常のように製剤化された製剤をより多量に投与することによって可能であるが、この方法では薬物の血漿中濃度が高くなることに起因して中毒作用が現われるかもしれない。これとは別に、薬物を所定の時間間隔で投与する方法が有り、この場合には薬物レベルの振動、いわゆる波状効果(peak and valley effect)が生じる。この方法は通常、前記効果が極端になる(波の山が大きいと中毒が起こり、谷が大きいと薬物が有効でなくなる)、患者の薬剤服用順守(コンプライアンス)が得られず、薬物療法が低効率または失敗に終わる、といった幾つかの潜在的問題点を伴う。
【0005】
上述の課題を克服するべく、薬物を長期間持続的に、もしくは制御下に放出すること、または薬物の一部を即時放出し、その後薬物を持続的に、もしくは制御下に放出することを目差して調節放出性組成物を製剤化し得る。特許文献1は、始めに所定量の治療薬を一気に放出し、その後実質的に一定の速度で長期間治療薬を放出する組成物を記載している。疼痛および/または炎症状態を有する患者には、大抵の場合NSAIDを毎日大量に投与する必要が有る。1日分の大量のNSAIDを一度に投与するためには、製剤からの放出が安全で、予測可能で、かつ確実でなければならない。また、製剤は、用量が一気に放出されたために血漿中濃度が突然望ましくない上昇を示すようなことのないように設計されるべきである。加えて、in vitro評価時に組成物から薬物が放出される速度および限度、また放出パターンも、組成物のin vivo性能と実質的に相関するべきである。
【0006】
特許文献2は、ニメスリドなどの治療上および/または予防上活性な物質と、製薬学的に許容される少なくとも1種の賦形剤とを含む経口投与用の迅速放出医薬組成物を記載しており、前記活性な物質は、溶出媒体として0.07N塩酸を用いるUSP XXIII装置2での溶出法に従って試験した場合に少なくとも50% w/wの活性物質が試験の最初の20分以内に溶出することを含めた諸特徴のうちの一つによって規定される。特許文献3は、即効性催眠薬またはその製薬学的に許容される塩と、微晶質セルロースであるペレット形成キャリアとの実質的に均質な混合物を含む医薬ペレットに係わり、前記催眠薬および前記ペレット形成キャリアの量はペレット重量の少なくとも90%に達し、前記ペレットの粒径は0.85〜2.0mmであり、また前記ペレットは米国薬局方XXIII、装置Iの下で、温度37℃、0.01N HCl媒体中で100r.p.m.で作動するバスケット装置において、試験開始から5分の時点で60%未満の催眠薬しかペレットから放出されないような溶出プロファイルを示す。
【0007】
特許文献4は、治療および/または予防有効量のNSAID投与用であるユニット製剤のマルチユニット型調節放出性経口医薬組成物を開示しており、前記ユニット製剤は少なくとも二つのNSAID含有部分、即ちNSAID迅速放出用の第1のマルチユニット型NSAID含有部分と、実質的に非水溶性であるが水に拡散し得、かつ実質的にpH非依存性である皮膜で被覆された多数の遅延放出性ユニットの形態である、NSAID徐放出用の第2のマルチユニット型NSAID含有部分とを含み、前記第1の部分は制酸薬もしくはアルカリ剤を含み、前記迅速放出とはin vitroでは、溶出媒体として0.07N HClを用い、溶出媒体900.0ml、50rpmで作動させるUSP XXIII<711>装置2において第1のNSAID含有部分に溶出試験を行なった場合試験の最初の20分以内に少なくとも50% w/wのNSAIDが放出されることであり、前記第2のマルチユニット型NSAID含有部分は、750mlの0.1N HClを含む溶出媒体を用いて1時間行ない、次いで蒸留水にリン酸三ナトリウム十二水和物および0.1N水酸化ナトリウムを加えた溶出媒体250mlを用いて行なう、50r.p.m.で作動するUSP XXIII<711>装置2での溶出試験の際0.5時間以内に約6%から30%の前記NSAIDを放出し、前記第2のNSAID含有部分の放出と前記第1のNSAID含有部分の放出とは無関係である。
【0008】
特許文献5は、約50%から約90%の少なくとも1種の生体作用薬、例えばニメスリド、約2%から約40%の少なくとも1種の崩壊剤、および重量に基づき約5%から約15%の少なくとも1種の球体化助剤を含む組成物から成り、30分未満の時間で100%水溶液を与える崩壊性マイクロスフェアを記載している。特許文献6はサブユニットを含む持続放出性経口製剤に係わり、前記サブユニットはオピオイド鎮痛薬および持続放出性材料を含み、サブユニットのin vitro溶出率は、米国薬局方(2003)<724>のUSP薬物放出試験で測定した場合約6時間以内に約10%未満、約24時間以内に少なくとも約60%となるか、約8時間以内に約10%未満、約24時間以内に少なくとも約60%となるか、約10時間以内に約10%未満、約24時間以内に少なくとも約60%となるか、または約12時間以内に約10%未満、約24時間以内に少なくとも約60%となり、この製剤は治療効果を約24時間持続させる。特許文献7は、低水溶性の選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬を治療有効量で含み、かつ製薬学的に許容される1種以上のポリマーを含む経口送達医薬組成物を記載しており、この組成物を標準溶出媒体に添加すると、添加から2時間後に約5%から約35%、8時間後に約10%から85%、18時間後に約30%から約90%の薬物が放出されるin vitro持続放出溶解プロファイルが得られる。
【特許文献1】国際特許出願公開第WO95/14460号
【特許文献2】米国特許第6,713,089号
【特許文献3】米国特許第6,638,535号
【特許文献4】米国特許第6,599,529号
【特許文献5】米国特許第6,086,920号
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0020613号
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0170303号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、予防および/または治療用のNSAIDを含む調節放出性経口医薬組成物であって、治療レベルの薬物を血漿中に長期間、薬物関連毒性を招かずに維持するのに望ましい仕方で薬物を放出し得る、容易かつ経済的に調製可能な組成物を開発する必要性は依然として存在する。
【0010】
活性物質を長期間、実質的に毒性を生じさせずに放出するための望ましいin vitroおよび/またはin vivo放出特性を見出して従来技術からの有意の進歩を証明するべく、本発明の発明者等は異なる添加剤および製剤方法を用いてシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAIDの放出速度を調節することにより、従来の製剤開発技術の欠点を改善するための幅広い研究および幾つかの実験を行なった。
【0011】
本発明は、活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、活性物質として、好ましくは水への溶解度が25℃の水1ml当たり少なくとも0.001mgである少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理された活性物質としてのニメスリドもしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含む調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、また健康なヒトのグループで試験すると該製剤の投与から少なくとも約1時間後、好ましくは2〜13時間以内、最も好ましくは2〜8時間以内に平均ピーク血漿中濃度(Cmax)をもたらす製剤を提供することを目的とする。
【0015】
本発明はまた、上記製剤を調製する方法であって、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を少なくとも1種の放出制御ポリマー、および場合によっては、製薬学的に許容される1種以上のキャリアで処理し、それを製剤化して所望の製剤とすることを含む方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、薬効量の活性成分としてのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を、それを必要とする対象に投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療に上記製剤を用いる方法の提供も目的とする。
【0017】
本発明は、薬効量の活性成分としてのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を、それを必要とする対象に投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療に用いられる医薬の製造への上記医薬組成物の使用を提供することも目的とする。
【発明の効果】
【0018】
一日1回、2回または3回投与用とされ、好ましくは一日1回投与用である本発明の調節放出性医薬組成物は、予防および/または治療レベルの活性物質を血漿中に長期間、実質的に薬物関連毒性を招かずに維持するのに望ましい仕方で薬物を放出し、また容易かつ経済的に調製可能でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤を提供する。
【0020】
一実施形態において本発明は、活性物質として、好ましくは水への溶解度が25℃の水1ml当たり少なくとも0.001mgである少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤を提供する。好ましくは、活性物質として用いられるNSAIDはニメスリドもしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体である。
【0021】
一実施形態において、本発明の組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水1000mlを温度約37±0.5℃に維持して溶出媒体として用い、かつUSP II型装置(パドル)を100rpmで作動させて試験した場合に約1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、約12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する。別の実施形態において、本発明の組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸2000mlを温度約37±0.5℃に維持して溶出媒体として用い、かつUSP II型装置(パドル)を75rpmで作動させて試験した場合に約1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、約12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する。さらに別の実施形態では本発明の組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液1000mlを温度約37±0.5℃に維持して溶出媒体として用い、かつUSP II型装置(パドル)を100rpmで作動させて試験した場合に約1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、約12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する。
【0022】
本発明の別の実施形態において、本発明の組成物は、pH7.4リン酸緩衝液(USPに準拠)、USP人工腸液、USP人工胃液、またはpH4.5酢酸緩衝液(USPに準拠)から選択したいずれかの溶出媒体1000mlを約37±0.5℃に維持して用い、かつUSP II型装置(パドル)を100rpmで作動させて試験した場合に約1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する。本明細書中に用いた「USP」という語は常に「米国薬局方」を意味する。
【0023】
本発明の別の実施形態において調節放出性組成物は、健康なヒトのグループで試験すると製剤の投与から少なくとも約1時間後、好ましくは約2〜13時間以内、最も好ましくは約2〜8時間以内に平均ピーク血漿中濃度(Cmax)をもたらす。健康なヒトにおけるin vivo試験は、絶食状態で行なっても摂食状態で行なってもよい。
【0024】
本発明の別の実施形態において、医薬製剤は複数の粒子を含み、その際各粒子はシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体、少なくとも1種の放出制御ポリマー、および場合によっては、製薬学的に許容される1種以上のキャリアを含む。
【0025】
好ましい一実施形態において、本発明のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤はNSAIDである。きわめて好ましい実施形態において、NSAIDはニメスリドもしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体である。別の実施形態において、本発明の製剤は少なくとも1種の他の活性成分を付加的に含む。現在、他の活性物質としては、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤と組み合わせて投与できるものであれば当該技術分野で公知のいずれの物質を用いてもよく、アセトアミノフェンなどの解熱薬、セチリジンや、ロラタジンや、フェキソフェナジンといった抗アレルギー薬、アルドステロン受容体アンタゴニスト、抗生物質、様々な酵素、抗ムスカリン薬、抗ウイルス薬、プロテインキナーゼ阻害剤、α2アドレナリンアゴニスト、ACE阻害剤、オピオイド鎮痛薬、ステロイド、ロイコトリエンB(LTB)受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンA(LTA)ヒドロラーゼ阻害剤、5−HTアゴニスト、HMG CoA阻害剤、Hアンタゴニスト、抗新生物薬、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、充血除去薬、利尿薬、鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬、誘導酸化窒素シンターゼ阻害剤、オピオイド、鎮痛薬、ヘリコバクター・ピロリ抑制薬、気管支拡張薬、スコポラミンやグルカゴンといった鎮痙薬、筋弛緩薬、プロトンポンプ阻害剤、イソプロスタン阻害剤、PDE4阻害剤、他のNSAID、選択的または優先的COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、ブロムヘキシンおよびプソイドエフェドリンなどの去痰薬、コデイン、クロルゾキサゾン、メフェナム酸およびトラマドールなどの鎮痛薬、鎮吐薬、ラセメチオニン、コンドロイチン、グルコサミン、メチルスルホニルメタン(MSM)といった尿酸性化薬、アスピリン、抗鬱薬、抗精神病薬、抗片頭痛薬など、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない活性物質などが有用であり得る。
【0026】
本発明の別の実施形態の製剤は活性物質の血漿中濃度を比較的急速に上昇させて、該製剤の経口投与から約0.2〜約6時間という早い段階で第1の平均ピーク血漿中濃度(Cmax1)とし、その後、製剤の経口投与から約7〜約20時間で第2の平均ピーク血漿中濃度(Cmax2)に至らせ、この製剤はシクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害の予防または治療に用いられる活性物質を、それを必要とする対象、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトへの投与後少なくとも約8時間、好ましくは少なくとも約12時間、さらに好ましくは少なくとも約16〜約24時間にわたり有効血漿中濃度で供給する。
【0027】
本発明の組成物はシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の調節放出を実現するための製剤技術を用いて、得られる製剤が好ましくは摂食状態において投与されて通常の即放性製剤と同等以上のバイオアベイラビリティを示すように調製される。本発明の製剤からのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の放出は製薬学的に許容されるキャリアを用いることによって制御され、この制御によって治療上有効な血漿中薬物濃度を長期間、望ましくない副作用を一切伴わずに達成することができ、その結果患者のコンプライアンスは向上する。一実施形態において、製剤組成物は好ましくはin vivo投与の際に崩壊して複数の粒子となり、実質的に胃内容物排出時間および/または速度、および/または胃の運動性に関係無く胃腸管(GIT)全体に分配され、このことはGIT内で薬物が高濃度となることを防止する。一実施形態において、製剤は活性成分としてニメスリドを、該製剤の少なくとも10重量%の量で含む。別の実施形態において、本発明の調節放出性製剤は徐放出型、持続放出型、時限放出型、周期放出型、延長放出型もしくは遅延放出型であるか、またはこれらを任意に組み合わせた放出形態を取る。好ましい一実施形態において、調節放出形態は即放形態と徐放形態とを組み合わせた形態である。
【0028】
本発明の組成物に用いるシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は、ロルノキシカム、ジクロフェナク、ニメスリド、イブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、ケトプロフェン、テノキシカム、フロスリド、イブプロフェン、インドメタシン、アセクロフェナク、インドメタシン、ナブメトン、アセメタシン、モルニフルメート、メロキシカム、フルルビプロフェン、チアプロフェン酸、プログルメタシン、メフェナム酸、フェンブフェン、エトドラク、トルフェナム酸、スリンダク、フェニルブタゾン、フェノプロフェン、トルメチン、アセチルサリチル酸、デキシブプロフェン、パラセタモール、およびその製薬学的に許容される塩、錯体および/またはプロドラッグ、ならびにこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされない。一実施形態において、本発明で用いる活性物質は、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、イタコキシブ、デラコキシブ等;これらの互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、プロドラッグ、またはその塩を含む群から選択されるが、この群に限定はされないCOX−II阻害剤である。一実施形態において、本発明で活性物質として用いるシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤はリポキシゲナーゼ阻害剤としても作用し、例えばリコフェロンなどである。活性物質は1種以上のNSAID、1種以上のCOX−II阻害剤、またはこれらの混合物である。本発明の一実施形態において、活性物質は微粉状である。
【0029】
本発明の放出制御ポリマーは、単独でかまたは組み合わせて用いられる、アルギネートやメタクリル酸ポリマーといったpH依存性ポリマー;カルボマーなどのpH非依存性ポリマー;可溶性または不溶性ポリマー;膨潤性ポリマー;親水性ポリマー;疎水性ポリマー;アルギン酸ナトリウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムといったイオン性ポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの非イオン性ポリマー;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、デキストリン、カンテン、カラギナン、ペクチン、ファーセレラン、デンプンおよびデンプン誘導体、ならびにこれらの混合物を含む群から選択される合成または天然多糖;セルロース系ポリマー、メタクリレートポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルギネート、ポリビニルピロリドン−ポリ酢酸ビニルポリマー(PVP−PVA)コポリマー、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース(低、中または高分子量)、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セルロース三酢酸エステル、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(アルキレン)、ポリ(酸化アルキレン)、ポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、およびポリウレタン、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされないポリマー材料を含む。別の実施形態において本発明の製剤は、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナンガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、トラガントガム、カンテン等、またはこれらの混合物を含む群から選択されるが、この群に限定はされないガムを付加的に含む。別の実施形態において本発明の製剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、双生イオン性界面活性剤、またはこれらの混合物を含む群から選択された少なくとも1種の界面活性剤を付加的に含む。さらに別の実施形態において、本発明の製剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、β−ヒドロキシ−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどを非限定的に含む群から選択されるシクロデキストリンなどの錯化剤を少なくとも1種、付加的に含む。
【0030】
本発明の組成物に用いる、製薬学的に許容されるキャリアは当業者に公知である一群の添加剤の中から非限定的に選択され、前記添加剤とは例えば、単独でかまたは組み合わせて用いられる、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、微晶質セルロース、キシリトール、フルクトース、スクロース、デキストロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウムといった稀釈剤;崩壊剤;結合剤;賦形剤;増量剤;有機酸類;着色剤;安定剤;防腐剤;滑沢剤;流動化剤;キレート剤;ビヒクル;増量剤;安定剤;防腐剤;親水性ポリマー;グリセリン、様々な等級のポリ酸化エチレン、トランスクトールおよびグリコフロールなどの溶解促進剤;張度調節剤;局所麻酔剤;pH調節剤;酸化防止剤;等張化剤;キレート剤;粘稠化剤;湿潤剤;乳化剤;酸;糖アルコール;還元糖;非還元糖などである。本発明で用いる崩壊剤には、単独でかまたは組み合わせて用いられるデンプンまたはその誘導体、一部予備糊化させたトウモロコシデンプン(Starch 1500(登録商標))、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム等が非限定的に含まれる。本発明で用いる滑沢剤には、単独でかまたは組み合わせて用いられるタルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、硬化植物油等が非限定的に含まれる。本発明での使用に好適なビヒクルは、N−メチルピロリドンのジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、ポリオキシエチレングリコール化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)ELとして市販)、ポリエチレングリコールでMW 200〜6000のもの、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ならびにヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660(Solutrol(登録商標)HS15として市販)などのグリコール誘導体を含む群から非限定的に選択できる。本発明の別の実施形態において、組成物はベンジルアルコールなどの抗菌防腐剤を好ましくは該組成物の2.0% v/vの濃度で付加的に含有してもよい。本発明の一実施形態において、組成物はパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、およびα−トコフェロールなどの公知の酸化防止剤を付加的に含有してもよい。
【0031】
本発明は、上記製剤を調製する方法であって、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を少なくとも1種の放出制御ポリマー、および場合によっては、製薬学的に許容される1種以上のキャリアで処理し、それを製剤化して所望の製剤とすることを含む方法の提供も目的とする。
【0032】
本発明の医薬製剤組成物は好ましくは、錠剤、カプセル剤といった経口製剤、パッチなどに製剤化される。一実施形態において、本発明の組成物は錠剤の形態を取る。錠剤は直接打錠、乾式圧縮(スラッグ法)、または顆粒化によって製造し得る。顆粒化は水性または非水性の方法で行なう。用いる非水性溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコールまたは塩化メチレンを含む群から選択される。一実施形態において本発明の組成物は、圧縮錠剤、すりこみ錠剤、押出またはフィルム流延製品等の形態を取る。
【0033】
本発明の別の実施形態では、薬効量の活性成分としてのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を、それを必要とする対象、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトに投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療に上記製剤を用いる方法が提供される。本発明のさらに別の実施形態では、薬効量の活性成分としてのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を、それを必要とする対象、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトに投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療に用いられる医薬の製造への上記医薬組成物の使用が提供される。
【0034】
本発明の別の実施形態では、薬効量のニメスリドを、それを必要とする対象、好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトに投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療への上記製剤の使用が提供される。本発明のさらに別の実施形態では、特に、変形性関節症;抜歯または歯科外科的処置;伏在静脈切除術または鼠径部ヘルニア手術;痔核切除術;急性筋骨格損傷;耳鼻咽喉障害;婦人科障害;癌性疼痛;アルツハイマー病;血栓性静脈炎;泌尿生殖器障害;滑液包炎または腱炎;関節リウマチによる朝のこわばり等に伴う疼痛および/または炎症の管理または治療への上記製剤の使用が提供される。鎮痛性でかつ抗炎症性である本発明の組成物は、哺乳動物、特にヒトの急性疼痛性状態、即ち術後外傷、癌に伴う疼痛、スポーツ外傷、片頭痛、神経系疼痛、ならびに坐骨神経痛および脊椎炎、関節炎などによる疼痛などの治療にきわめて有用である。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態では、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害、特に、疼痛および/または炎症であって変形性関節症、靱帯痛、滑液包炎、腱炎、腰痛、術後外傷、抜歯または歯科外科的処置;伏在静脈切除術または鼠径部ヘルニア手術;痔核切除術;急性筋骨格損傷;耳鼻咽喉障害;婦人科障害;癌性疼痛;アルツハイマー病;血栓性静脈炎;泌尿生殖器障害;滑液包炎または腱炎;関節リウマチによる朝のこわばり、特発性疼痛、筋筋膜疼痛、変形性関節症、神経障害性疼痛、繊維筋痛症、および関節リウマチや変形性関節症といった炎症疼痛状態に関連するものの管理、予防または治療への、NSAID、特にニメスリドなどのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を含む製剤組成物の使用が提供される。神経障害性疼痛には神経の損傷に付随するような疼痛が含まれ、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、切断後痛、モノニューロパシーおよび多発ニューロパシー、神経根障害、中枢痛、帯状疱疹、三叉神経痛、顎関節障害;癌性疼痛;慢性疼痛;急性疼痛;突出痛、交感神経介在性疼痛、レイノー病、CPS(慢性疼痛症候群);緊張性頭痛および片頭痛、断端痛、結節性多発性動脈炎、骨髄炎、神経傷害を伴う熱傷、AIDS関連疼痛症候群、ならびに全身性紅斑性狼瘡、全身性硬化症、多発性筋炎および皮膚筋炎などの結合組織障害、他の変性関節傷害などが含まれる。
【0036】
本発明の一実施形態において、活性物質としてニメスリドを含む製剤組成物は、少なくとも12人の健康なヒトのグループで試験した場合にニメスリドに関して約3〜24μg/ml、好ましくは約6〜12μg/mlの平均ピーク血漿中濃度(Cmax)をもたらす。別の実施形態において、製剤は約5〜約400mgのニメスリドと、少なくとも1種の放出制御ポリマーとを含み、この経口製剤は約2〜8時間の平均時間(Tmax)で約3〜24μg/mlの平均Cmaxをもたらし、また該製剤は、一日1回、2回または3回投与用として経口投与後少なくとも約8〜約24時間治療効果を発揮する。好ましい一実施形態において、本発明による製剤は一日1回投与用とされる。
【0037】
一実施形態において、活性物質としてニメスリドを含む本発明の製剤は、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水1000mlを温度約37±0.5℃に維持して溶出媒体として用い、かつUSP II型装置(パドル)を100rpmで作動させて試験した場合1時間後に約5%から約50%のニメスリド、6時間後に約40%から約85%のニメスリド、12時間後に約70%以上のニメスリドを放出してin vitro溶解させる。別の実施形態では、本発明の医薬製剤は上記条件下に少なくとも約0.5%から約15%の活性成分を、12時間より長い時間を掛けて上記溶出媒体中へin vitro放出する。
【0038】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物はin vivoで試験した場合約0.5〜30μg/mlのCmax(薬物のピーク血漿中濃度)および/または約1〜12時間のTmax(ピーク血漿中濃度到達時間)を示す。
【0039】
本発明の組成物は、経口固体製剤、分散液剤、経口懸濁剤、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、急速融解製剤、迅速崩壊製剤、粘膜付着製剤、胃内保持製剤、凍結乾燥製剤などから成る群から選択した製剤に製剤化することができる。
【0040】
溶出試験法
本発明による溶出試験法(I)は以下のパラメーターを有する。
溶出媒体: ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水
溶出媒体量: 1000ml
装置: パドル(USP II型)
パドル速度: 100rpm
溶出媒体温度: 37℃±0.5℃
【0041】
一実施形態において、活性物質としてニメスリドを含む、後出の実施例1に記載された組成物の溶出プロファイルは次のとおりである。
通し番号 時間(時間数) 溶出プロファイル
(薬物放出%)
1 0.25 23.79
2 0.5 27.66
3 1 31.85
4 2 41.03
5 4 58.16
6 6 70.93
7 8 87.89
8 10 94.32
9 12 97.56
【0042】
本発明の溶出試験法(II)は以下のパラメーターを有する。
溶出媒体: ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液
溶出媒体量: 1000ml
装置: パドル(USP II型)
パドル速度: 100rpm
溶出媒体温度: 37℃±0.5℃
【0043】
一実施形態において、活性物質としてニメスリドを含む、後出の実施例6に記載された組成物の溶出プロファイルは次のとおりである。
通し番号 時間(時間数) 溶出プロファイル
(薬物放出%)
1 0.25 21.20
2 0.5 26.27
3 1 30.24
4 2 38.71
5 4 57.97
6 6 74.02
7 8 87.40
8 10 95.59
9 12 97.46
【0044】
本発明の溶出試験法(III)は以下のパラメーターを有する。
溶出媒体: ラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸
溶出媒体量: 1000ml
装置: パドル(USP II型)
パドル速度: 75rpm
溶出媒体温度: 37℃±0.5℃
【0045】
一実施形態において、活性物質としてナプロキセンを含む、後出の実施例4に記載された組成物の溶出プロファイルは次のとおりである。
通し番号 時間(時間数) 溶出プロファイル
(薬物放出%)
1 0.25 0.00
2 0.5 0.00
3 1 15.11
4 2 28.71
5 4 37.85
6 6 44.32
7 8 56.11
8 10 65.50
9 12 77.67
【0046】
ニメスリドに関してin vitro溶出試験を行なう方法を以下に詳述する。活性成分の諸特性およびin vitro試験で用いる特定の薬物放出(溶出)媒体に合わせて特定の必要な変更を加えれば、他のシクロオキシゲナーゼ阻害剤に関しても同様の溶出法を用いることができる。また、溶出法は用いる溶出媒体の組成および量、ならびに溶出試験用装置の種類および速度に応じて変更してもよい。
【0047】
溶出法(1):
UV検出器を用いるHPLCによって薬物放出を測定、解析した。溶出試験に用いた試薬にはラウリル硫酸ナトリウムAR、メタノールARおよび蒸留水が含まれる。溶出媒体は、20gのラウリル硫酸ナトリウムを十分量の精製水に溶解させ、これを蒸留水で1000ml量とすることにより調製した。
【0048】
溶出手順: 温度、回転、および連続稼働時間(run time)を37℃±0.5℃、100rpm、ならびに1時間、4時間および12時間にそれぞれプログラムすることによって溶出装置を準備する。溶出装置の6個の容器の各々に1000mlの溶出媒体即ち2.0% w/vラウリル硫酸ナトリウムを入れる。装置を組み立て、溶出媒体を37℃±0.5℃で平衡に保ち、温度計を除去する。6個の容器の各々に一回投与量を入れる。パドルを100rpmで12時間回転させる。6個の容器の各々から所望の時間間隔でアリコート(各10ml)を取り出し、その都度等量の新鮮な溶出媒体を補充し、その後「試験調製物」の項に記した操作を行なう。
【0049】
標準調製物: 約80.0mgのニメスリドWS(常用標準)を計量し、正確に100ml容のメスフラスコに移す。メタノールを用いてニメスリドを溶解させ、かつ液量をフラスコ容量まで増やす。得られた溶液5.0mlを100ml容のメスフラスコに移す。溶出媒体を用いて液量をフラスコ容量まで増やし、その後混合する。
【0050】
試験調製物: 0.45μmメンブランフィルター(Millipore HVLPタイプ)に通して、取り出した各溶出試料を濾過し、その際濾液の最初の5.0mlは廃棄する。2.0mlの濾液を10ml容のメスフラスコに移す。溶出媒体で標線まで増量した後混合する。
【0051】
手順: 個々の試験調製物(一回注入)を0.45μmメンブランフィルターで濾過した後クロマトグラフに注入する。クロマトグラムを記録し、標準調製物および試験調製物両方のニメスリドピークのピーク応答を面積に関して比較する。異なる時間間隔で取得した当該試験調製物中に存在する放出されたニメスリドの、公称値に対する比率(%)で表わされる量を下記式を用いて算出する。
1時間後:= AT1/A×W/100×5/100×1000/C×10/2×P/100×100
4時間後:= AT4/A×W/100×5/100×1000/C×10/2×P/100×100+CR
12時間後:= Ab12/Ab×W/100×5/100×1000/C×10/2×P/100×100+CR12
上記式中、
Ab= 1時間後の試験調製物の、ニメスリドに起因するピークの面積。
Ab= 4時間後の試験調製物の、ニメスリドに起因するピークの面積。
Ab12= 12時間後の試験調製物の、ニメスリドに起因するピークの面積。
= 標準調製物の、ニメスリドに起因するピークの平均面積。
= 計測した常用標準ニメスリドの重量(mg)。
P= 常用標準ニメスリドの濃度(potency)(% w/w)。
C= 一回投与量に含まれるニメスリドの公称値(即ち200mg)。
CR12= %で表わされる、4時間後および12時間後の放出ニメスリド量の補正値で、下記のように計算される。
CR=(1時間後の放出%)/1000×10
CR12=(CR+1時間後の放出%)/1000×10
【0052】
溶出法(II):
UV検出器を用いるHPLCによって薬物放出を測定、解析した。溶出試験に用いた試薬にはARグレードのラウリル硫酸ナトリウム、ARグレードの水酸化ナトリウム、ARグレードのリン酸カリウム、および蒸留水が含まれる。
【0053】
溶出媒体(SLS 2%含有のリン酸溶液、pH7.0)の調製: 1.605gの水酸化ナトリウムを十分量の水に溶解させて1000mlの水酸化ナトリウム溶液を作製した。5.444gのオルトリン酸二水素カリウムリン酸塩を十分量の水に溶解させて1000mlのリン酸カリウム溶液を作製した。120mlの水酸化ナトリウム溶液、250mlのリン酸カリウム溶液および20.0gのラウリル硫酸ナトリウムを十分量の水に加えて1000mlの混合物を作製した。
【0054】
溶出手順(補充法): 温度、回転、および試料抽出間隔を37℃、100rpm、ならびに1時間、4時間および12時間にそれぞれプログラムすることによって溶出装置を準備した。溶出装置の6個の容器の各々に1000mLの溶出媒体を入れた。装置を組み立て、溶出媒体を37℃±0.5℃で平衡に保った。6個の容器の各々に一回投与量を入れ、速度100rpmでのパドルの回転を開始し、12時間継続した。1時間、4時間および12時間の間隔でアリコート(各10mL)を取り出し、その際1時間および4時間経過時点では続いて等量の新鮮な溶出媒体を6個の容器の各々に補充し、その後、試験調製物の項に記した操作を行なった。
【0055】
標準調製物: 約80.0mgの常用標準ニメスリドを正確に計量して100mL容のメスフラスコに移した。メタノールを用いてニメスリドを溶解させ、かつ液量をフラスコ容量まで増やした。得られた溶液5mLを100mL容のメスフラスコに移し、溶出媒体で液量をフラスコ容量まで増やし、混合した。
【0056】
試験調製物: 取り出した各溶出試料を0.45μmメンブランフィルター(Millipore HVLPタイプ)で濾過し、その際濾液の最初の5mLは廃棄した。2mLの濾液を10mL容のメスフラスコに移し、溶出媒体で液量をフラスコ容量まで増やし、混合した。
【0057】
手順: 個々の試験調製物(一回注入)を0.45μmメンブランフィルター(Millipore HVLPタイプ)で濾過した後クロマトグラフに注入した。クロマトグラムを記録し、試験調製物のニメスリドピークのピーク応答を面積に関して比較した。異なる累積的時間間隔で取得した各試験調製物中に存在した、放出されたニメスリドの、公称値に対する%で表わされる量を下記式を用いて算出した。
1時間後= AT1/A×W/100×5/100×1000/C×10/2×P/100×100
4時間後= (AT4/A×W/100×5/100×1000/C×10/2×P/100×100)+CR
12時間後= (AT12/A×W/100×5/100×1000/C×10/2×P/100×100)+CR12
上記式中、
T1= 1時間後の試験調製物の、ニメスリドに起因するピークの面積。
T4= 4時間後の試験調製物の、ニメスリドに起因するピークの面積。
T12= 12時間後の試験調製物の、ニメスリドに起因するピークの面積。
= 標準調製物の、ニメスリドに起因するピークの平均面積。
= 計測した常用標準ニメスリドの重量(mg)。
P= 常用標準ニメスリドの濃度(% w/w)。
C= 錠剤1錠に含まれるニメスリドの公称値(即ち200mg)。
CR8,12= %で表わされる、4時間後および12時間後の放出ニメスリド量の補正値で、下記のように計算される。
CR=(1時間後の放出%)/1000×10
CR12=CR+[(4時間後の放出%)/1000×10]
【0058】
溶出法(III):
UV/VIS分光光度計Perkin Elmer Lambda 20または同等装置を用いるUV分光法によって薬物放出を測定、解析した。溶出試験に用いた試薬には濃塩酸AR、メタノールAR、ラウリル硫酸ナトリウムAR、および蒸留水が含まれる。溶出媒体は、2000ml容のメスフラスコ内で0.17mlの濃塩酸を十分量の蒸留水で稀釈し、これに20gのラウリル硫酸ナトリウムを添加し、その後蒸留水で液量をフラスコ容量まで増やすことにより調製した。
【0059】
溶出手順: 温度、回転、および連続稼働時間を37℃±0.5℃、75rpm、および12時間にそれぞれプログラムすることによって溶出装置を準備する。溶出装置の6個の容器の各々に2000mlの溶出媒体を入れる。装置を組み立て、溶出媒体を37℃±0.5℃で平衡に保つ。6個の容器の各々に一回投与量を入れる。パドルを75rpmで12時間回転させる。6個の容器の各々から所望の時間間隔でアリコート(各10ml)を取り出し、その都度等量の新鮮な溶出媒体を補充し、その後「試験調製物」の項に記した操作を行なう。
【0060】
標準調製物: 約100mgのニメスリドWS(常用標準)を計量し、正確に100ml容のメスフラスコに移す。メタノールを用いてニメスリドを溶解させ、かつ液量をフラスコ容量まで増やす。得られた溶液2.0mlを100ml容のメスフラスコに移し、18mlのメタノールを添加する。溶出媒体で液量をフラスコ容量まで増やした後混合する。
【0061】
試験調製物: 0.45μmメンブランフィルターに通して、取り出した各溶出試料を濾過し、その際濾液の最初の数mlは廃棄する。1時間後および4時間後に取り出した試料の場合は、5.0mlの濾液を10ml容のメスフラスコに移し、2.0mlのメタノールを添加する。12時間後に取り出した試料の場合は、5.0mlの濾液を25ml容のメスフラスコに移し、5.0mlのメタノールを添加する。溶出媒体で標線まで増量する。
【0062】
手順: 約298nmでの測定を行なうUV/VIS分光光度計を用いて、標準調製物、および異なる時間間隔で取得した試験調製物それぞれの吸光度を測定し、その際ブランクとしてメタノールおよび溶出媒体(20:80)を用いる。異なる時間間隔で取得した当該試験調製物中に存在する放出されたニメスリドの、公称値に対するパーセンテージで表わされる量を下記式を用いて算出する。
1時間後:= Ab/Ab×W/100×2/100×2000/C×10/5×P/100×100
12時間後:= Ab/Ab×W/100×2/100×2000/C×25/5×P/100×2000/1980×100
上記式中、
Ab= 試験調製物の吸光度。
Ab= 標準調製物の吸光度。
= 計測したニメスリドWSの重量(mg)。
P= ニメスリドWSの濃度(% w/w)。
C= 一回投与量に含まれるニメスリドの公称値(即ち200mg)。
【0063】
様々な製法パラメーターが本発明のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤製剤組成物の溶出速度に及ぼす影響を評価した。本発明の発明者等による研究は、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤溶出速度は採用される製法に依存すると考えられることを示唆した。特に、上記製剤組成物の製造では圧縮力などの重要なパラメーターを制御することが必要であると判定された。
【0064】
in vivo試験法
健康なヒトのグループにおいて本発明のニメスリド製剤に対し、Aulin(登録商標)錠剤(CSC PHARMACEUTICALS HANDELS GmbH)とのバイオアベイラビリティ比較試験(in vivo)を行なった。試験の目的は、200mgのニメスリドを含有する調節放出性製剤(「T−1」と呼称)を薬物動態学的に比較評価することであった。無作為、オープンラベル、平衡、二処理、二期、二系列、繰り返し投与、交叉式(cross over design)に設計した相対的バイオアベイラビリティ試験を用い、摂食前および摂食後の複数の健康な自発的被験者においてニメスリド調節放出錠剤(試験組成物、即ち実施例1に示す「T−1」)を、ニメスリドを通常のように放出する錠剤(「基準」もしくはR−1と呼称する即放性錠剤Aulin(登録商標)2×100mgで、ゼロ時点(0 hours)に服用させた)との比較で評価した。この試験は12人の健康な自発的被験者において実施するべく設計し、被験者の年齢は22〜31歳、体重は70.1±8kgで、平均BMI(ボディーマス指数)は16.9±1.9であった。重たい朝食を摂取させた後、および絶食させた後に製剤を与えることによって二通りの試験、即ち摂食時試験と空腹時試験とを行なった。自発的被験者には試験前24時間および試験期間中のカフェイン摂取を控えさせた。試験は2期間行なった。いずれの期間でも7日間投与を行なった。毎日「ゼロ時点」に1錠の試験製剤、または毎日「ゼロ時点」に2錠の基準製剤を240mlの水と共に経口投与し、この投与は動物性食品も含む高脂肪の標準的朝食を残さず摂取させた後30分以内に行なった。試験の間中、留置カニューレ/清浄静脈穿刺を介してバイアル内に血液試料を採取することにより薬物解析を行ない、その際投与前血液試料(1×5ml)を7日間毎日投与前1時間以内に採取した。ニメスリド錠剤投与の0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、6.0、9.0、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、16.0、18.0、20.0、および24.0時間後に投与後試料(1×5ml)を採取した。血液試料は、抗凝血薬であるナトリウムEDTAの入った試料採取管内に採取した。血液から血漿を遠心分離によって得、HPLCを用いて試料をニメスリド濃度に関して解析した。様々な薬物動態学的パラメーター(pΚ)、即ちCmax(薬物のピーク血漿中濃度)、Tmax(ピーク血漿中濃度に到達するまでの時間)、AUC0−t(ゼロ時点から濃度測定可能な最終時点である時点tに至る「血漿中濃度対時間」曲線の下側の面積)、AUC0−∞(ゼロ時点から、無限時間後の時点である時点∞に至る「血漿中濃度対時間」曲線の下側の面積)、およびt1/2(血漿からの消失による半減期)について評価を行なった。WinNonlin(登録商標)ソフトウェア(バージョン5.0)を用い、統計学的、および薬物動態学的に解析した。下記表1(摂食時試験)および表2(空腹時試験)に統計学的および薬物動態学的パラメーターを示す。
【0065】
[表1]
表1: 摂食状態における「基準」(R−1)と試験組成物(T−1)との薬物動態学的パラメーター比較
pΚパラメーター ニメスリド組成物
(WinNolin バージョン5.0) R−1 T−1
max(hrs) 2.7692 5.7308
max(μg/ml) 11.5392 7.4854
AUCLast0−24(μg/ml/hr) 88.0119 71.9113
AUC0−∞(μg/ml/hr) 89.0707 72.9913
【0066】
[表2]
表2: 絶食状態における「基準」(R−1)と試験組成物(T−1)との薬物動態学的パラメーター比較
pΚパラメーター ニメスリド組成物
(WinNolin バージョン5.0) R−1 T−1
max(hrs) 2.817 3.633
max(μg/ml) 8.634 3.650
AUC0−24(μg/ml/hr) 65.160 31.243
AUC0−∞(μg/ml/hr) 66.570 32.220
【0067】
上述の試験は、試験製剤(T−1)即ち本発明のニメスリド調節放出組成物が空腹時試験でも摂食時試験でも、「即放性」組成物である基準製剤と比較して遅いTmaxをもたらすことを示した。しかし、上記両試験で試験製剤に関して得られたCmaxおよびAUC値は、本発明の組成物が望ましい血漿中ニメスリド濃度を長期間実現することを示唆した。試験において評価項目とした薬物動態学的パラメーターはその総てが、試験製剤においても基準製剤においても空腹時試験より摂食時試験の方で高い値を示したが、このことは、調節放出性(MR)製剤および即放性(IR)製剤のいずれの場合も胃内に食物が存在すると血漿中ニメスリド濃度が上昇するかもしれないことを示唆している。
【0068】
本発明の実施形態を、幾つかの医薬組成物例を記載した以下の実施例によって具体的に示す。これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0069】
ニメスリド調節放出錠剤
A) 即時放出層
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. 微粉状ニメスリド 50.00
2. ラクトース 87.03
3. クロスカルメロースナトリウム 3.75
4. コロイド状二酸化ケイ素 3.00
5. トウモロコシデンプン 19.55
6. ポビドン(K−30) 3.00
7. ドクセートナトリウム 3.40
8. 酸化鉄(III)(赤) 0.47
9. 精製水 q.s.
10. ステアリン酸マグネシウム 0.80
11. クロスカルメロースナトリウム 7.25
12. コロイド状二酸化ケイ素 2.50
13. ポビドン(K−30) 1.25
【0070】
手順
i) 成分1〜5を混合し、30号篩に掛けた。この混合物に成分8を溶解させた。
ii) 成分6および7を成分9に溶解させて均質な溶液を得た。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化し、その後乾燥して16号篩に掛けた。
iv) 成分10、11、12および13を混合した。
v) 工程(iii)の顆粒を工程(iv)の材料で滑沢にした。
【0071】
B) 徐放出層
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. 微粉状ニメスリド 150.00
2. ラクトース 69.75
3. ヒドロキシプロピルメチルセルロース(K4 MCR) 52.50
4. ドクセートナトリウム 3.00
5. ポビドン(K−30) 3.00
6. コロイド状二酸化ケイ素 1.50
7. ステアリン酸マグネシウム 1.50
8. コロイド状二酸化ケイ素 1.50
9. ステアリン酸マグネシウム 1.50
10. ポビドン(K−30) 3.00
11. 精製水 q.s.
【0072】
手順:
i) 成分1および2を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分3を工程(i)の材料に溶解させた。
iii) 成分4および5を成分11に溶解させて均質な溶液を得た。
iv) 工程(ii)の材料を工程(iii)の材料と合わせて顆粒化し、その後顆粒を乾燥した。
v) 成分6および7を一緒に篩に掛け、工程(iv)の乾燥顆粒と混合した。
vi) 成分8、9および10をブレンドした。
vii) 工程(v)の材料を工程(vi)で得られた材料で滑沢にした。
【0073】
(A)の工程(v)で得られた材料と(B)の工程(vii)で得られた材料とを混合し、圧縮して錠剤とした。
【実施例2】
【0074】
ニメスリド調節放出カプセル剤
A) 即時放出部分
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. ニメスリド 50.0
2. マンニトール 80.0
3. デンプングリコール酸ナトリウム 5.0
4. コロイド状二酸化ケイ素 3.0
5. コーンスターチ 10.0
6. ポビドン(K−30) 3.0
7. ポリソルベート80 1.0
8. 精製水 製造過程で消失
9. ステアリン酸マグネシウム 1.0
10. クロスカルメロースナトリウム 8.0
【0075】
手順
i) 成分1〜5を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分6および7を成分8に溶解させて均質な溶液を得た。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化し、その後乾燥して16号篩に掛けた。
iv) 成分9および10を40号篩に掛けた。
v) 工程(iv)の材料を工程(iii)の材料と混合した。
【0076】
B) 持続放出部分
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. ニメスリド 150.0
2. ラクトース一水和物 40.0
3. メタクリレートポリマー 60.0
4. ドクセートナトリウム 3.0
5. ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.5
6. 精製水 製造過程で消失
7. コロイド状二酸化ケイ素 3.5
8. ステアリン酸マグネシウム 2.0
【0077】
手順
i) 成分1〜3を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分4および5を成分6に溶解させて均質な分散液を得た。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化し、その後乾燥して24号篩に掛けた。
iv) 成分7および8を40号篩に掛けた。
v) 工程(iv)の材料を工程(iii)の材料と混合した。
【0078】
(A)の工程(v)で得られた材料と(B)の工程(v)で得られた材料とを混合して硬ゼラチンカプセルに充填した。
【実施例3】
【0079】
カプセルに充填されるニメスリド調節放出ミニ錠剤
A) 即時放出部分
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. ニメスリド 50.0
2. マンニトール 6.5
3. デンプングリコール酸ナトリウム 6.0
4. コーンスターチ 5.0
5. ポリソルベート80 1.0
6. ステアリン酸マグネシウム 1.5
【0080】
手順
i) 成分1〜5を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分6を40号篩に掛けた。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と混合し、圧縮してミニ錠剤とした。
【0081】
B) 遅延放出部分
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. ニメスリド 50.0
2. ラクトース一水和物 6.5
3. ドクセートナトリウム 2.0
4. ポビドン(K−30) 3.0
5. コロイド状二酸化ケイ素 3.0
6. ステアリン酸マグネシウム 3.0
7. メタクリレートポリマー 5.5
8. クエン酸トリエチル 1.5
9. イソプロピルアルコール 製造過程で消失
10. 塩化メチレン 製造過程で消失
【0082】
手順
i) 成分1〜5を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分6を40号篩に掛けた。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と混合し、圧縮してミニ錠剤とした。
iv) 成分7および8を9と10との混合物中に分散させ、混合した。
v) 工程(iii)のミニ錠剤を工程(iv)の材料で被覆した。
【0083】
C) 持続放出部分
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. ニメスリド 100.00
2. ラクトース一水和物 10.0
3. カルボキシメチルセルロースナトリウム 7.5
4. ドクセートナトリウム 3.00
5. ポビドン(K−30) 3.00
6. 精製水 製造過程で消失
7. コロイド状二酸化ケイ素 3.00
8. ステアリン酸マグネシウム 3.00
【0084】
手順
i) 成分1〜3を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分4および5を成分6に溶解させて均質な分散液を得た。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化し、その後乾燥して18号篩に掛けた。
iv) 成分7および8を40号篩に掛けた。
v) 工程(iv)の材料を工程(iii)の材料と混合し、圧縮してミニ錠剤とした。
【0085】
(A)の工程(iii)並びに(B)および(C)の工程(v)で得られたミニ錠剤を硬ゼラチンカプセルに充填した。
【実施例4】
【0086】
ナプロキセン調節放出錠剤
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. ナプロキセン 500.0
2. ラクトース一水和物 100.0
3. クロスカルメロースナトリウム 4.0
4. コーンスターチ 20.0
5. ポビドン(K−30) 3.0
6. ヒドロキシプロピルセルロース 3.5
7. ラウリル硫酸ナトリウム 4.5
8. 精製水 製造過程で消失
9. ステアリン酸マグネシウム 1.5
【0087】
手順
i) 成分1〜4を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分5、6および7を成分8に溶解させて均質な溶液を得た。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化し、その後乾燥して24号篩に掛けた。
iv) 成分9を40号篩に掛けた。
v) 工程(iv)の材料を工程(iii)の材料と混合し、圧縮して錠剤とした。
【実施例5】
【0088】
セレコキシブ調節放出錠剤
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. セレコキシブ 100.0
2. 微晶質セルロース 58.5
3. デンプングリコール酸ナトリウム 3.0
4. ヒドロキシプロピルメチルセルロース 52.5
5. イソプロピルアルコール 製造過程で消失
6. クロスカルメロースナトリウム 3.0
7. コロイド状二酸化ケイ素 3.0
8. ステアリン酸マグネシウム 3.0
【0089】
手順
i) 成分1〜3を混合し、30号篩に掛けた。
ii) 成分4を成分5に溶解させて均質な分散液を得た。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化し、その後乾燥して24号篩に掛けた。
iv) 成分6、7および8を40号篩に掛け、混合した。
v) 工程(iv)の材料を工程(iii)の材料と混合し、圧縮して錠剤とした。
【実施例6】
【0090】
ニメスリド持続放出錠剤
通し番号 成分名 量/錠(mg)
1. 微粉状ニメスリド 200.0
2. ラクトース 120.0
3. ヒドロキシプロピルメチルセルロースKGMCR 50.0
4. カルボキシメチルセルロースナトリウム 52.5
5. Cremophor RH40 4.0
6. ポリビニルピロリドン 8.0
7. ステアリン酸マグネシウム 3.0
8. コロイド状二酸化ケイ素 4.0
9. イソプロピルアルコール 製造過程で消失
【0091】
手順
i) 成分1〜4を混合し、40号篩に掛けた。
ii) 成分6を9に溶解させ、混合物を5と共に溶解させた。
iii) 工程(i)の材料を工程(ii)の材料と合わせて顆粒化した。顆粒を16号篩に通し、乾燥し、その後22号篩で再び篩い分けした。
iv) 工程(iii)の顆粒を7および8で滑沢にした。
v) 工程(iv)の材料を圧縮して錠剤とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(I)に従ってか、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有のpH7.0リン酸緩衝液を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(II)に従ってか、またはラウリル硫酸ナトリウム1.0%含有の0.001N塩酸を溶出媒体として用いる、本明細書に記載の溶出法(III)に従って試験した場合に1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出し、12時間後に約75%以上のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤。
【請求項2】
活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、健康なヒトのグループで試験すると該製剤の投与から少なくとも約1時間後に平均ピーク血漿中濃度(Cmax)をもたらす製剤。
【請求項3】
請求項1および2の両方に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項4】
前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の水への溶解度が25℃において少なくとも0.001mg/mlである請求項1に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項5】
平均ピーク血漿中濃度(Cmax)が製剤投与後約2〜13時間以内に得られる請求項2に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項6】
in vivoで試験した場合に組成物が約0.5〜30μg/mlの平均Cmax(ピーク血漿中濃度)および/または約1〜12時間の平均Tmax(ピーク血漿中濃度到達時間)を示す請求項1または2に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項7】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤がロルノキシカム、ジクロフェナク、ニメスリド、イブプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、ケトプロフェン、テノキシカム、フロスリド、イブプロフェン、インドメタシン、アセクロフェナク、インドメタシン、ナブメトン、アセメタシン、モルニフルメート、メロキシカム、フルルビプロフェン、チアプロフェン酸、プログルメタシン、メフェナム酸、フェンブフェン、エトドラク、トルフェナム酸、スリンダク、フェニルブタゾン、フェノプロフェン、トルメチン、アセチルサリチル酸、デキシブプロフェン、パラセタモール、およびその製薬学的に許容される塩、錯体および/またはプロドラッグ、ならびにこれらの混合物を含む群から選択される請求項1に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項8】
前記活性物質がセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、イタコキシブ、デラコキシブ、これらの互変異性形態、類似体、異性体、多形体、溶媒和物、プロドラッグ、またはその塩を含む群から選択されるCOX−II阻害剤である請求項1に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項9】
前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤がNSAIDである請求項1に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項10】
前記NSAIDがニメスリドもしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体である請求項9に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項11】
本発明で活性物質として用いられる前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤がリポキシゲナーゼ阻害剤としても作用する請求項1に記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項12】
約5〜約400mgのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤と、少なくとも1種の放出制御ポリマーとを含み、約2〜8時間の平均時間(Tmax)で約3〜24μg/mlの平均Cmaxをもたらし、経口投与後少なくとも約8〜約24時間治療効果を発揮する請求項1に記載の新規な調節放出性医薬製剤。
【請求項13】
活性物質としてニメスリドを含む新規な調節放出性医薬製剤であって、ラウリル硫酸ナトリウム2.0%含有の蒸留水1000mlを温度約37±0.5℃に維持して溶出媒体として用い、かつUSP II型装置(パドル)を100rpmで作動させて試験した場合1時間後に約5%から約50%のニメスリド、6時間後に約40%から約85%のニメスリド、12時間後に約70%以上のニメスリドを放出してin vitro溶解させる製剤。
【請求項14】
活性物質として少なくとも1種のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を含み、前記シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤は少なくとも1種の放出制御ポリマーで処理されている調節放出性医薬製剤であって、pH7.4リン酸緩衝液USP、USP人工腸液、USP人工胃液、またはpH4.5酢酸緩衝液USPから選択したいずれかの溶出媒体1000mlを約37±0.5℃に維持して用い、かつUSP II型装置(パドル)を100rpmで作動させて試験した場合約1時間で約60%以下のシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤を放出する製剤。
【請求項15】
一日1回、2回または3回投与用とされる前記製剤が、予防および/または治療レベルの活性物質を血漿中に長期間、実質的に薬物関連毒性を招かずに維持するのに望ましい仕方で薬物を放出する請求項1から3、または12から14のいずれかに記載の新規な調節放出性医薬製剤。
【請求項16】
一日1回投与用である請求項15に記載の新規な調節放出性医薬製剤。
【請求項17】
少なくとも1種の他の活性成分をも含む請求項1から16のいずれかに記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項18】
前記調節放出性製剤が徐放出型、持続放出型、時限放出型、周期放出型、延長放出型、または遅延放出型である請求項1から17のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項19】
調節放出形態が即放形態と徐放形態とを組み合わせた形態である請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記活性物質が微粉状である請求項1から19のいずれかに記載の製剤。
【請求項21】
製薬学的に許容される1種以上のキャリアを含む請求項1から20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項22】
前記製薬学的に許容されるキャリアがpH依存性ポリマー、pH非依存性ポリマー、膨潤性ポリマー、親水性ポリマー、疎水性ポリマーおよび/または1種以上の他の疎水性材料、イオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、合成または天然多糖類、およびこれらの混合物を含む群から選択されたポリマー材料を含む請求項1から21のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項23】
ガム、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種の錯化剤、抗菌防腐剤および/または酸化防止剤のうちの一つ以上を付加的に含む請求項1から22のいずれかに記載の製剤。
【請求項24】
経口固体製剤、分散液剤、経口懸濁剤、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、急速融解製剤、迅速崩壊製剤、粘膜付着製剤、胃内保持製剤、凍結乾燥製剤などを含む群から選択された製剤に製剤化される請求項1から23のいずれかに記載の調節放出性医薬製剤。
【請求項25】
錠剤またはカプセル剤の形態である請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
請求項1から3、または12から14のいずれかに記載の製剤を調製する方法であって、シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を少なくとも1種の放出制御ポリマー、および場合によっては、製薬学的に許容される1種以上のキャリアで処理し、それを製剤化して所望の製剤とすることを含む方法。
【請求項27】
薬効量の活性成分としてのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を、それを必要とする対象に投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療に請求項1から3、または12から14のいずれかに記載の製剤を用いる方法。
【請求項28】
術後外傷、癌に伴う疼痛、スポーツ外傷、片頭痛、神経系疼痛、ならびに坐骨神経痛および脊椎炎または関節炎による疼痛などの急性疼痛性状態の治療に適用される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
薬効量の活性成分としてのシクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、好ましくはNSAID、さらに好ましくはニメスリド、もしくはその製薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、またはその誘導体を、それを必要とする対象に投与することを含む、シクロオキシゲナーゼ酵素が介在する障害および/またはシクロオキシゲナーゼ阻害剤が適用される障害の治療に用いられる医薬の製造への請求項1から3、または12から14のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項30】
実質的に本明細書に記載され、かつ実施例によって具体的に示された医薬組成物、in vivoおよびin vitro試験法。

【公表番号】特表2009−501785(P2009−501785A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522177(P2008−522177)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000258
【国際公開番号】WO2007/010559
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500445631)パナセア バイオテック リミテッド (29)
【Fターム(参考)】