説明

新規な非ステロイド抗炎症物質、組成物、およびその使用方法

【課題】
炎症状態に対処するためのマクロライド/NSAIDハイブリッド化合物の提供。
【解決手段】
本発明は、(a)式I[式中、Mは、炎症細胞に蓄積する特性を保持するマクロライドに由来するマクロライドサブユニット(マクロライド部分)を表し、Dは抗炎症、鎮痛、および/または解熱活性(NSAID)を有する非ステロイド薬物由来の非ステロイド性サブユニット(非ステロイド性部分)を表し、LはMとDを共有結合的に連結する架橋基を表す]によって表される新規な化合物、(b)その薬理学的に許容される塩、プロドラッグ、および溶媒和物、(c)その調製方法および中間生成物、ならびに(d)ヒトおよび動物の炎症性疾患および症状を治療する際のその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年7月8日出願の米国特許仮出願第60/394,671号に対して優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般構造Iによって表される新規な抗炎症化合物、その薬物として許容される塩および溶媒和物、その調製方法および中間生成物、ならびにヒトおよび動物の炎症性疾患および症状の治療におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
異なる作用機序を有する非ステロイド抗炎症薬物は、特定の炎症メディエータに作用し、それによって治療効果をもたらす。作用機序の違いのみならず、阻害する特定の炎症メディエータの違いのために、ステロイド剤と非ステロイド剤は異なる抗炎症効果プロフィールを有し、したがってある種の薬物は、特定の症状用の薬物よりさらに適当であり得る。さらに、ほとんどの非ステロイド抗炎症剤は、完全には特異的ではなく、大用量でまたは長期間にわたって使用した場合、その使用には好ましくない副作用が伴う。多くの非ステロイド抗炎症薬物は、内在性COX-1酵素の阻害剤として作用することが知られており、この酵素は胃粘膜の完全性の維持に非常に重要である。したがって、しばしば、これらの薬物の使用は胃粘膜の損傷、さらには出血を引き起こす。(非特許文献1)。したがって、炎症性疾患の治療には、COX-2は選択的に阻害するがCOX-1は阻害しない薬剤が好ましい。さらに、(テオフィリンなど)いくつかの抗炎症化合物は、その使用を制限する治療係数が非常に狭いことが知られている。
【0004】
最近、慢性関節リウマチの治療にCOX-2を特異的に遮断する非ステロイド抗炎症薬セレコキシブを使用することがFDAによって認可されている(非特許文献2)。COX-2は、多くの癌および前癌病変でも発現し、選択的COX-2阻害剤を結腸直腸癌および他の癌の治療および予防に使用することができるという証拠は山のようにある(非特許文献3、非特許文献4)。
【0005】
マクロライド抗生物質などのマクロライドは、そのような分子を投与した対象の様々な細胞内、特に単核末梢血細胞などの食細胞、腹膜および肺胞マクロファージ、ならびに気管支肺胞上皮周辺の液体内に主に蓄積する(非特許文献5、非特許文献6)。さらに、いくつかのマクロライドの比較的弱い炎症効果が記載されている。たとえば、最近、エリスロマイシン誘導体(非特許文献7、特許文献1)やアジスロマイシン誘導体(特許文献2)の抗炎症効果が記載されている。マウスでのジモサン(zimosane)誘発腹膜炎(非特許文献8)やラットの気管でのエンドトキシン誘発好中球蓄積(非特許文献9)など、実験動物モデルのin vitroおよびin vivo研究からいくつかのマクロライドの抗炎症効果も知られている。インターロイキン8(IL-8)(非特許文献10)やインターロイキン5(IL-5)(特許文献3および特許文献4)などのサイトカインに対するマクロライドの調節効果はよく知られている。
【0006】
1975年、TNF-αは、in vitroおよびin vivoで腫瘍壊死を引き起こすエンドトキシン誘発血清因子として定義された(非特許文献11)。抗腫瘍活性の他に、TNF-αはホメオスタシスおよび病態生理学的症状において重要な他のいくつかの生物学的活性を有している。TNF-αの主要な供給源は、単球-マクロファージ、T-リンパ球、および肥満細胞である。
【0007】
抗TNF-α抗体(cA2)が、慢性関節リウマチ(RA)に罹患している患者の治療に有効であるという知見(非特許文献12)によって、RAに対して見込みのある強力な薬物として新規なTNF-α阻害剤を見つけることへの関心が増大した。慢性関節リウマチは、関節の不可逆的な病理変化を特徴とする自己免疫性慢性炎症疾患である。RAの他に、TNF-αアンタゴニストは、脊椎炎、骨関節炎、痛風、他の関節炎症状、敗血症、敗血症性ショック、毒素ショック症候群、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、糸球体腎炎、エリテマトーデス、強皮症、喘息、悪液質、慢性閉塞性肺疾患、鬱血性心不全、インスリン耐性、肺線維症、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、ウイルス感染症、AIDSなど、他のいくつかの病的症状や疾患にも適用可能である。
【0008】
TNF-αが生物学的に重要であることの証拠が、TNF-αまたはその受容体を不活化した遺伝子を有するマウスでのin vivo実験で得られた。そのような動物は、コラーゲン誘発関節炎(非特許文献13)およびエンドトキシン誘発ショック(非特許文献14)に対して耐性であった。TNF-αレベルが高い動物による実験では、慢性炎症性多発関節炎が顕れ(非特許文献15;非特許文献16)、この関節炎はTNF-α産生の阻害剤によって寛解した。通常、そのような炎症性症状および病理状態の治療には、非ステロイド抗炎症薬物の適用が含まれるが、重篤な場合には金塩、D-ペニシリンアミン、またはメトトレキサートを投与する。記載した薬物は、症候的に作用し病理過程を停止させない。慢性関節リウマチ療法の新たな手法が、テニダップ(tenidap)、レフルノミド、シクロスポリン、FK-506などの薬物、およびTNF-α活性を中和する生体分子を使用して確立されている。現在、エタネルセプト(エンブレル、Immunex/Wyeth)と称する可溶性TNF受容体、およびインフリキシマブ(レミケード、Centocor)と称するマウスとヒトのキメラモノクローナル抗体が市販されている。RA療法の他に、エタネルセプトおよびインフリキシマブは、クローン病の治療にも認可されている(非特許文献17)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 00/42055号
【特許文献2】EP 0283055号
【特許文献3】EP 0775489号
【特許文献4】EP 0771564号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Warner T.D.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1999年、96号、7563〜7568頁
【非特許文献2】Luongら、Ann.Pharmacother.、2000年、34号、743〜760頁
【非特許文献3】Taketo,M.M.、J.Natl.Cancer Inst.、1998年、90号、1609〜1620頁
【非特許文献4】Fournierら、J.Cell BioChem.Suppl.、2000年、34号、97〜102頁
【非特許文献5】Glaude R.P.ら、「Antimicrob.Agents Chemother.」、1989年、33号、277〜282頁
【非特許文献6】Olsen K.M.ら、「Antimicrob.Agents Chemother.」1996年、40号、2582〜2585頁
【非特許文献7】Labro M.T.J.Antimicrob.Chemother.、1998年、41号、37〜46頁
【非特許文献8】Mikasaら、J.Antimicrob.Chemother.、1992年、30号339〜348頁
【非特許文献9】J.Immunol.、1997年、159号、3395〜4005頁
【非特許文献10】Am.J.Respir.Crit.Care Med.、1997年、156号、266〜271頁
【非特許文献11】Carswell E.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1975年、72号、3666〜3670頁
【非特許文献12】Elliot M.ら、Lancet、1994年、344号、1105〜1110頁
【非特許文献13】Mori L.ら、J.Immunol.、1996年、157号、3178〜3182頁
【非特許文献14】Pfeffer K.ら、Cell、1993年、73号、457〜467頁
【非特許文献15】Georgopoulos S.ら、J.Inflamm.、1996年、46号、86〜97頁
【非特許文献16】Keffer J.ら、EMBO J.、1991年、10号、4025〜4031頁
【非特許文献17】Exp.Opin.Invest.Drugs、2000年、9号103頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主題を表す式Iによって表される新規な化合物、その薬理学的に許容される塩、水和物、プロドラッグ、およびそれらを含む薬物組成物はこれまで記載されていない。さらに、本発明の主題を表す化合物は、抗炎症物質としても、TNF-α阻害剤としても、COX-1/COX-2阻害剤としても、またはIL-1β阻害剤としても記載されていない。したがって、炎症状態に対処するためのこのようなマクロライド/NSAIDハイブリッド化合物の使用は記載も示唆もされていない。ヒトを含む哺乳動物対象で炎症状態を治療するための有効量のマクロライド/NSAIDハイブリッド化合物を含む薬物投与形態は記載も提案もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
式Iの化合物は、NSAID部分の抗炎症特性とマクロライド部分によって得られる蓄積特性とを併せ持つ点で、これまでの既知の化合物とは異なり、これらの部分は結合すると、炎症状態の罹患臓器または組織に(マクロライドが優先的に蓄積する免疫系細胞と共に)集まり、炎症の緩和を実質的により局在化しかつ/または強化する。構造Iによって表される新規な化合物のそのような作用は、多形核球細胞、好酸球などを含む食細胞や肺胞食細胞など、炎症プロフィール免疫細胞内に蓄積するマクロライドの特異的な薬物動態学的特性により、マクロライド部分Mから生じる。式Iの化合物は、薬物動態学的特性および/または安全特性が向上し、(さらに、よりCOX-2選択的阻害剤であるNSAIDのために)副作用が低くかつ/または穏和である。
【0013】
従来の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)は、COX-1およびCOX-2を様々な程度で阻害する。インドメタシンも非選択的COX阻害剤であるが、マクロライド部分に連結させた場合、インドメタシンはCOX-2選択的阻害剤となり、この阻害剤は親化合物の胃腸副作用を著しく低減するはずであり、これを除去することさえできる。COX-2のより選択的な阻害剤であるNSAIDでさえ、本発明によるマクロライドとのコンジュゲーションによる利益を得る。この理由は、少なくともNSAIDは、抗炎症効果を発揮することができる一方で、副作用をもたらすはずである、他の組織または生理過程に同時相互作用を及ぼす、炎症座位を標的付けられるようになるからである。本発明の主題である式Iによって表される化合物、このような化合物の異性体形、その薬理学的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、およびそれらを含む薬物組成物は、今までに記載されていないと考えられる。さらに、本発明の化合物のどれも、抗炎症物質として、または臓器もしくは組織での好酸球蓄積の阻害剤として記載されていない。
【0014】
本発明は、(a)式I:
【化1】

[式中、Mは、炎症細胞に蓄積する特性を有するマクロライドサブユニットを表し、Dは抗炎症、鎮痛、および/または解熱活性を有する非ステロイド抗炎症サブユニット(NSAID)を表し、Lは、MとDを共有結合的に連結する架橋基を表す]によって表される新規な「ハイブリッド」化合物、
(b)ヒトを含む哺乳動物において炎症に対処し、それによって炎症を含む疾患および症状を治療するのに有効な量の、1種または複数の前述の化合物を含む組成物、ならびに
(c)そのような疾患および症状を治療するためのこれらの化合物の使用方法を対象とする。
【0015】
本発明の化合物は、有利にも、治療効果を向上しかつ/または副作用プロフィールを改善する。
【0016】
本発明のハイブリッド化合物用に適当なマクロライドサブユニットは、それだけには限らないが、多員ラクトン環分子から選択することができ、その場合、「員」とは炭素原子または環中のヘテロ原子をさし、「多」は約10を超える数字であり、10〜約50が好ましく、12員、14員、15員、16員、17員、および18員ラクトン環マクロライドがより好ましい。14員および15員環マクロライドサブユニットが特に好ましく、アジスロマイシンおよびその誘導体、ならびにエリスロマイシンおよびその誘導体が最も好ましい。
【0017】
そこからマクロライドサブユニットを選択することができるより具体的で非制限的な分子の例は次の通りである:
(i)アザライド類、たとえば、エリスロマイシン、ジリトロマイシン(dirithromycin)、アジスロマイシン、9-ジヒドロ-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン(homoerythromycin)、HMR3004、HMR3647、HMR3787、ジョサマイシン、エリスロマイシルアミン(エリトロミシルアミン(erythromycylamine))、ABT773フルリトロマイシン(flurithromycin)、クラリスロマイシン、タイロシン、チルミコシン、オレアンドマイシン、デスミコシン(desmycosin)、CP-163505、ロキシスロマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、およびその誘導体、ケトライド類(たとえば、3-ケトン)、ラクタム(たとえば、8a-、または9a-ラクタム)、または1つもしくは複数の糖部分を欠く誘導体などを含むマクロライド抗生物質。
(ii)FK506、シクロスポリン、アンフォテリシン、ラパマイシンなどのマクロライド免疫抑制剤、
(iii)バフィロマイシン、コンカナマイシン(concanamycin)、ニスタチン、ナタマイシン、カンジシジン(candicidin)、フィリピン、エトルスコマイシン(etruscomycin)、トリコマイシンなど、宿主細胞阻害特性を有するマクロライド抗真菌薬。
【0018】
上記マクロライドの合成法は、市販されておらず、一般に、マクロライドの合成操作は当業者に知られており、またはDenis A.ら、Bioorg. & Med.Chem.Lett.、1999年、9号、3075〜3080頁、Agouridas C.ら、J.Med.Chem.1998年、41号、4080〜4100頁、およびEP-00680967号(1998)、Sun Or Y.ら、J.Med.Chem.2000年、43号、1045〜1049頁、US-05747467号(1998)、McFarland J.W.ら、J.Med.Chem.1997年、40号、1041〜1045頁、Denis A.ら、Bioorg. & Med.Chem.Lett.、1998年、8号、2427〜2432頁、WO-09951616(1999)号、Larteyら、J.Med.Chem.、1995年、38号、1793〜1798頁、EP0984019号、WO98/56801号に見出すことができ、本明細書に参照によりその全体を組み込む。
【0019】
別の適当なマクロライドも知られており、いくつかはBryskier,A.J.ら、「Macrolides,Chemistry,Pharmacology and Clinical Use」、Arnette Blackwell:Paris、1993年、485〜491頁に、14(R)-ヒドロキシクラリトロマイシン(hydroxyclarithromycin)、エリスロマイシン-11,12-カーボネート、トリ-O-アセチルオレアンドマイシン、スピラマイシン、ロイコマイシン、ミデカマイシン、ラサラマイシン(rasaramycin)(その全体を参照により本明細書に組み込む)、Ma,Z.ら、「Current Medicinal Chemisty-Anti-Infective Agents」、2002年、1号、15〜34頁に、ピクロマイシン(pikromycin)、ナルボマイシン(narbomycin)、HMR-3562、CP-654743、CP-605006、TE-802、TE-935、TE-943、TE-806,6,11-架橋ケトライド、CP-544372、FMA-199、A-179461(その全体も参照により本明細書に組み込む)、およびRomo,D.ら、J.Am.Chem.Soc.、1998年、120号、12237〜12254頁(その全体を参照により本明細書に組み込む)に開示されている。特に、14員および16員環マクロライドの構造および誘導体に関しては、Bryskierらの487〜491頁を、様々なケトライド誘導体および合成はMaらの特に全構造表および全反応式を参照されたい。これらマクロライドはすべて、NSAIDにコンジュゲートされた後は本発明の範囲内にある。前述の具体的に名前を挙げた、もしくは参照したマクロライド化合物は市販されており、またはその合成方法は知られている。
【0020】
マクロライドサブユニットは、炎症部位へ集まる免疫系細胞、特に食細胞内に蓄積する特性を有するマクロライドに由来することが重要である。先に定義したラクトン化合物の多くは、この特性を有することが知られている。たとえば、エリスロマイシンやその誘導体などの14員マクロライド、アジスロマイシンやその誘導体などの15員マクロライド、8a-、9a-ラクタムおよびその誘導体、チルミコシン、デスミコシン(desmycosin)などの16員マクロライド、スピラマイシン。
【0021】
特定のクラスの細胞内に蓄積するマクロライドの別の例は、Pascual A.ら、Clin.Microbiol.Infect.2001年、7号、65〜69頁に見出すことができる。(ヒト食細胞および非食細胞中のケトライドHMR3647の取込みと細胞内活性)、Hand W.L.ら、Int.J.Antimicrob.Agents、2001年、18号、419〜425頁。(ヒト多形核白血球におけるアジスロマイシンの蓄積および流出の特性と機序)、Amsden G.W.、Int.J.Antimicrob.Agents、2001年、18号、11〜15頁。(先進世代のマクロライド:組織標的抗生物質)、Johnson J.D.ら、J.Lab.Clin.Med.、1980年、95号、429〜439頁。(肺胞マクロファージによる抗生物質の取込み)、Wildfeuer A.ら、Antimicrob.Agents Chemother.、1996年、40号、75〜79頁。(様々な細胞によるアジスロマイシンの取込み、およびin vivo条件下でのその細胞内活性)、Scorneaux B.ら、Poult.Sci.、1998年、77号、1510〜1521頁。(ニワトリ食細胞中のチルミコシンの細胞内蓄積、細胞下分布、および流出)、Mtairag E.M.ら、J.Antimicrob.Chemother.、1994年、33号、523〜536頁。(in vitroでのヒト好中球によるジリトロマイシン(dirithromycin)およびエリトロミシルアミン(erythromycylamine)の取込みの究明)、Anderson R.ら、J.Antimicrob.Chemother.、1988年、22号、923〜933頁。(クラリスロマイシン(A-56268、TE-031)、新規なマクロライド抗菌剤の細胞取込みと細胞内食作用生物活性のin vitro評価)、Tasaka Y.ら、Jpn.J.Antibiot.、1988年、41号、836〜840頁。(肺胞マクロファージによるロキタマイシンの取込み)、Harf R.ら、J.Antimicrob.Chemother.、1988年、22号、135〜140頁。(肺胞マクロファージによるスピラマイシンの取込み)(その全体を参照により本明細書に組み込む)。
【0022】
さらに、炎症部位に集まる免疫系細胞、特に食細胞内蓄積特性の存在は、本発明の分野の当業者によってこの目的のためによく知られているアッセイの1つを使用し容易に確認することができる。たとえば、Olsen,K.M.ら、Anitmicrob.Agents & Chemother.、1996年、40号、2582〜2585頁による詳細な手順を使用することができる。簡単に言えば、試験対象となる細胞、たとえば、多形核白血球は、Ficoll-Hypaque遠心分離と、それに続く2%デキストラン沈殿によって健常な志願者の静脈血から得ることができる。赤血球を浸透圧溶解によって除去し、PMNはトリパンブルー排除によって評価する。あるいは、他の細胞画分を分離し同様に試験することができる。トリチウム化マクロライド化合物(たとえば、10μM)を2.5×106個の細胞と共に120分間(37℃、5%CO2、90%相対湿度)インキュベートし、続いてその細胞を化合物含有上清から遠心分離、たとえば、シリコン油-パラフィン層(86容量%:14容量%)によって除去する。化合物の量を、たとえば、シンチレーションカウンティングによって定量し、バックグラウンドより有意に高いスコアは、試験した細胞中にマクロライドが蓄積したことを示す。Bryskierら、「Macrolides,Chemistry,Pharmacology and Clinical Use」、Arnette Blackwell:Paris、1993年、375〜386頁、381頁、第2欄、3行目を参照のこと。あるいは、化合物を放射標識しないで、化合物の量をHPLCによって定量することができる。
【0023】
使用することができる他の検定方法は、Bryskier,A.J.ら、「Macrolides,Chemistry,Pharmacology and Clinical Use」、Arnette Blackwell:Paris、1993年、375〜386頁に開示されており、参照により組み込む。特に、380〜381頁の食作用性取込みの定量、381頁、383頁、385頁のマクロライドの取込みおよび局在化に関する特定の説明、ならびに382頁および383頁の表を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0024】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明は式Iによって表される化合物、その塩、および溶媒和物に関し、その場合Mは具体的には、14員または15員ラクトン環マクロライドサブユニットを表し、式IIによって表されるサブユニットが最も好ましい:
【0025】
【化2】

[式中、
(i)ZおよびWは、それぞれ独立に、
【化3】

であり、または結合であり、
{式中、
RtおよびRsは、それぞれ独立に、Hまたはアルキル(好ましくはメチルまたはH)であり、
RMは、OH、ORp、アルコキシ、または置換アルコキシ(SynもしくはAnti立体配置またはそれらの混合物)であり、
RNは、H、Rp、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、または-C(=X)-NRtRsであり、
Xは、OまたはSであるが、
ただしZおよびWは両方同時に
【化4】

【化5】

ではなく、または結合であってはならない}
(ii)UおよびYは、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、またはヒドロキシアルキル(好ましくはH、メチル、またはヒドロキシメチル)であり、
(iii)R1は、ヒドロキシORp、-O-S2、または=Oであり、
(iv)S1は、次式:
【化6】

{式中、
R8およびR9は、共に水素であり、または一緒になって結合を形成し、あるいはR9は水素であり、かつR8は-N(CH3)Ryであり、
(式中、RyはRp、Rz、または-C(O)Rzであってよく、その場合Rzは水素、シクロアルキル(好ましくはシクロヘキシル)、アルキル(好ましくはC1〜C7アルキル)、アルケニル(好ましくはC2〜C7-アルケニル)、アルキニル(好ましくはC2〜C7-アルキニル)アリール、またはヘテロアリールであり、あるいはC1〜C7アルキル、C2〜C7アルケニル、C2〜C7アルキニル、アリール、またはヘテロアリールによって置換されているアルキルであり得る。(Ryは、水素、メチル、またはエチルであることが好ましい))
R10は、水素、またはRpである}の無糖体環のC/5位の糖部分(たとえば、デソザミン(desozamine)基)であり、
(v)S2は、次式:
【化7】

(式中、R3'は、H、またはメチルであってよく、R11およびR12はそれぞれ独立に水素であり、R11はRpであってよいか、あるいはR11およびR12は一緒になって結合を形成する)の無糖体環(たとえば、クラジノシル(cladinosyl)基)のC/3位の糖部分であり、
(vi)R2は、H、ヒドロキシ、ORp基、アルコキシ(好ましくはC1〜C4アルコキシ、最も好ましくはメトキシ)、置換アルコキシであり、
(vii)Aは、Hまたはメチルであり、
(viii)Bは、メチルまたはエポキシであり、
(ix)Eは、Hまたはハロゲン(好ましくはフッ素)であり、
(x)R3は、ヒドロキシ、ORp基、アルコキシ(好ましくはC1〜C4アルコキシ、最も好ましくはメトキシ)、または置換アルコキシであるか、あるいはR3はR5と一緒になって「ブリッジ」を形成することができる基(たとえば、環状カーボネートまたは環状カルバメート)であるか、あるいはWまたはZが、
【化8】

である場合は、R3はWまたはZと一緒になって「ブリッジ」を形成することができる基(たとえば、環状カルバメート)であり、
(xi)R4は、C1〜C4アルキル(好ましくはメチル)であり、
(xii)R5は、H、ヒドロキシ、ORp基、C1〜C4アルコキシ、置換アルコキシ、またはR3と一緒になって橋を形成することができる基(たとえば、環状カーボネート、または環状カルバメート)であり、
(xiii)R6は、H、またはC1〜C4アルキル(好ましくはメチル、またはエチル)である]
その場合、サブユニットMは、その部位によって架橋基Lを介してサブユニットDに結合する結合部位を有し、結合部位は以下:
a.S1、S2に位置する任意の反応性ヒドロキシ基、N、もしくはエポキシ基、あるいはS2が(またはS2およびS1両方が)切断されている場合は無糖体酸素、
b.ZまたはWに位置する反応性>N-RN、-NRtRs、または=O基、
c.R1、R2、R3、およびR5のどれか1つに位置する反応性水酸基、
d.まず最初にヒドロキシ基または-NRtRs基に誘導体化し、次いでLのすべてまたは一部に結合することができる(例えば下記のように):
【化9】

任意の他の基、
の1つまたは複数の基である。
【0026】
1つまたは複数のRp基は、式IIのマクロライドサブユニット中にそれぞれ独立に存在することができ、その場合Rpは、以下から選択することができる保護基を表す:アルキル(好ましくはメチル)、アルカノイル(好ましくはアセチル)、アルコキシカルボニル(好ましくはメトキシカルボニルまたはtert-ブトキシカルボニル)、アリールメトキシカルボニル(好ましくはベンジルオキシカルボニル)、アロイル(好ましくはベンゾイル)、アリールアルキル(好ましくはベンジル)、アルキルシリル(好ましくはトリメチルシリル)、またはアルキルシリルアルコキシアルキル(好ましくはトリメチルシリルエトキシメチル)基。アミノ保護基は、従来技術によって除去することができる。すなわち、たとえば、アルカノイル、アルコキシカルボニル、またはアロイルのようなアシル基は、加溶媒分解、たとえば、酸性条件または塩基性条件下での加水分解によって除去することができる。アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル)は、炭素担持パラジウムなどの触媒の存在下で水素添加によって切断することができる。
【0027】
Lは、式IVによって表される架橋基にするように選択することができる。
【化10】

[式中、
X1は、-CH2-、-OC(=O)-、-C(=O)、NO-、-OC(=O)NH-、または-C(=O)NH-から選択され、
X2は、-NH-、-CH2-、-NHC(=O)-、-OC(=O)-、-C(=O)、または-Oから選択され、
Qは、-NH-もしくは-CH2-であるか、または存在せず、
その場合、-CH2-基または-NH-基それぞれは、C1〜C7-アルキル、C2〜C7-アルケニル、C2〜C7-アルキニル、C(O)Rx、C(O)ORx、C(O)NHRx(式中、Rxは、C1〜C7-アルキル、アリール、またはヘテロアリールでよい)によって場合によっては置換されていてよく、
符号mおよびnは、それぞれ独立に0〜4の整数であるが、ただしQ=NHである場合はnはゼロであってはならない]。
【0028】
架橋基のこの定義は、式IIのNSAIDおよびマクロライドのハイブリッドに好ましいのみならず、式I内のどんなコンジュゲートにも好ましい。当技術分野で周知のように、架橋基が必要なスペーサを提供し、式Iの1つのサブユニットとその他を結合するために役立つ限り他の架橋基も使用することができる。たとえば、その全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第6,297,260号、特にその請求項1およびNSAIDの具体的なリストを参照のこと。
【0029】
式Iでは、Dは、非ステロイド抗炎症サブユニット、すなわち、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)部分を表す。適当なNSAIDには、それだけには限らないが、プロスタグランジンおよびある種のオータコイド阻害剤の生合成を担う酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害するものが含まれ、シクロオキシゲナーゼ(それだけには限らないがシクロオキシゲナーゼ-1および-2を含む)の様々なアイソザイム阻害剤、ならびに非ステロイド抗炎症薬(NSAID)に関係付けられるシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの阻害剤として、市販のNSAIDであるアセクロフェナク(aceclofenac)、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチル-サリチル-2-アミノ-4-ピコリン酸、5-アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アミノプロフェン(aminoprofen)、アンフェナク、アンピロン(ampyrone)、アンピロキシカム、アニレリジン(anileridine)、ベンダザック、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベルモプロフェン(bermoprofen)、α-ビサボロール、ブロンフェナク(bromfenac)、5-ブロモサリチル酸酢酸塩、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブクロキス酸(bucloxic acid)、ブチブフェン(butibufen)、カルプロフェン(carprofen)、セレコキシブ、クロモグリク酸(chromoglycate)、シンメタシン(cinmetacin)、クリンダナク(clindanac)、クロピラク(clopirac)、ナトリウムジクロフェナク、ジフルニサル、ジタゾール(ditazol)、ドロキシカム(droxicam)、エンフェンアミド酸(enfenamic acid)、エトドラク、エトフェンアミド酸(etofenamate)、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンドサール(fendosal)、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール(fepradinol)、フルフェナク(flufenac)、フルフェンアミド酸(flufenamic acid)、フルニキシン(flunixin)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、グルタメタシン(glutametacin)、サリチル酸グリコール、イブフェナク(ibufenac)、イブプロフェン、イブプロキサム(ibuproxam)、インドメタシン、インドプロフェン(indoprofen)、イソフェゾラク(isofezolac)、イソキセパク(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン、ケトロラック、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム(meloxicam)、メサラミン、メチアジン酸(metiazinic acid)、モフェゾラク(mofezolac)、モンテルカスト、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、オルサラジン(olsalazine)、オキサセプロール(oxaceprol)、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルアセタモール(paracetamol)、パルサルミド(parsalmide)、ペリソキサール(perisoxal)、フェニル-アセチル-サリシラート、フェニルブタゾン、フェニルサリチラート(phenylsalicylate)、ピラゾラク(pyrazolac)、ピロキシカム、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロチジン酸(protizinic acid)、レセルベラトール(reserveratol)、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミド(salicylamide)、サリチルアミド(salicylamide)-O-アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン(salicin)、サリチルアミド(salicylamide)、サルサラート(salsalate)、スリンダク、スプロフェン(suprofen)、スキシブタゾン(suxibutazone)、タモキシフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、チアルアミド(tiaramide)、チクロプリジン(ticlopridine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェンアミド酸(tolfenamic acid)、トルメチン、トロペシン(tropesin)、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ゾメピラク(zomepirac)、トモキシプロール(tomoxiprol)、ザフィルルカスト(zafirlukast)、シクロスポリンなどが含まれる。別のNSAID属および具体的なNSAID化合物は、参照によりすべて組み込む米国特許第6,297,260号に開示されており(特に、その請求項1の一般式、およびその中に含まれるNSAIDの具体的なリストの記載ならびに請求項3、ならびにチアズリデン(thiazulidene)NSAIDが国際特許出願WO01/87890に開示され、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0030】
NSAIDは、アセチルサリチル酸、インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ケトプロフェン、スリンダク、エトドラク、ケトロラック、スプロフェン(suprofen)、フルニキシン(flunixin)、ナトリウムジクロフェナク、およびトルメチンが好ましい。
【0031】
本明細書に含まれる式中の太字結合は、紙面より上に上がっている結合を示し、縞(ダッシュ)で記した結合は紙面より下にある結合を示し、破線は紙面より下でも上でもよい結合を示す。平行な実線と破線は、単一結合また二重結合を示す。本明細書のどこかに明記していない限り、以下の用語は以下に帰する意味を有する。
【0032】
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子の直鎖状または分枝状の飽和一価炭化水素基を意味し、1〜6個の炭素原子がより好ましい。好ましい直鎖または分枝鎖アルキルには、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルが含まれる。メチルが最も好ましい。アルキル基は、以下を含む1〜5個までの置換基で置換することができる:ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくはメトキシまたはエトキシ)、アシル、アシルアミノシアノ、アミノ、N-(C1〜C4)アルキルアミノ(好ましくはN-メチルアミノまたはN-エチルアミノ)、N、N-ジ(C1〜C4アルキル)アミノ(好ましくはジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、アリール(好ましくはフェニル)、またはヘテロアリール、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールオキシアリール、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル置換アルキル、カルボキシル-シクロアルキル、カルボキシル置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル置換ヘテロアリール、カルボキシル複素環式、カルボキシル置換複素環式、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、およびオキシカルボニルアミノ。そのような置換アルキル基は、本定義の「アルキル」に含まれる。本定義のアルキルは、アルコキシなどのアルキル部分を有する他の基にも当てはまる。
【0033】
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重炭素-炭素結合を有する、2〜10個の直鎖状または分枝状一価炭化水素基を意味し、2〜6個の炭素原子が好ましい。アルケニル基は、アルキル基と同じ基で置換することができ、場合によっては置換されているそのようなアルケニル基は用語「アルケニル」に含まれる。エテニル、プロペニル、ブテニル、およびシクロヘキセニルが好ましい。
【0034】
「アルキニル」は、2〜10個の、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個の、好ましくは3個以下でよい三重炭素-炭素結合を含む、直鎖または分枝鎖直鎖状または分枝状一価炭化水素基を意味する。アルキニル基は、アルキル基と同じ基で置換することができ、かつ置換基は本定義のアルキニルに含まれる。エチニル、プロピニル、およびブチニル基が好ましい。
【0035】
「シクロアルキル」は、場合によってはアリール基またはヘテロアリール基に縮合させた単一環を有する炭素原子3〜8個を有する環状基を意味する。シクロアルキル基は、以下の「アリール」で明示する通りに置換することができ、置換シクロアルキル基は本定義の「シクロアルキル」に含まれる。シクロアルキルとしては、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好ましい。
【0036】
「アリール」は、フェニルなどの単一環またはナフチルなどの多数の縮合環を有する6〜14個の炭素原子を有する不飽和芳香族炭素環基を意味する。
アリールは、場合によっては、さらに、脂肪族またはアリール基に縮合させることができ、あるいは1つまたは複数の、ハロゲン(フッ素、塩素および/または臭素)、ヒドロキシ、C1〜C7アルキル、C1〜C7アルコキシもしくはアリールオキシ、C1〜C7アルキルチオもしくはアリールチオ、アルキルスルホニル、シアノ、第1級もしくは第1級でないアミノなどの置換基で置換することができる。
【0037】
「ヘテロアリール」は、2〜10個の炭素原子、および1〜4個のO、S、もしくはNなどのヘテロ原子を有する単環式または2環式芳香族炭化水素環を意味する。ヘテロアリール環は、別のヘテロアリール、アリール、または脂肪族環状基に場合によっては縮合させてよい。この型の例には、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、インドール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、ピロール、ピラゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピラジン、トリアジンがあり、フラン、ピロール、ピリジン、およびインドールが好ましい。この用語は、上のアリールについて具体的に述べた置換基と同じ置換基で置換されている基を含む。
【0038】
「複素環式」は、単一環または多数環、1〜10個の炭素原子、および窒素、硫黄、もしくは酸素から選択した1〜4個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和基を意味し、その場合縮合環系中の1個または複数の他の環はアリールまたはヘテロアリールであってよい。複素環基は、アルキル基について具体的に述べた通り置換することができ、したがって置換複素環基は本定義に含まれる。
【0039】
本発明は、本発明の化合物の薬物として許容される塩も含む。本発明の化合物の薬物として適切な塩は、無機酸(たとえば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、硫酸)との、または有機酸(たとえば、酒石酸、酢酸、メタン-スルホン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、コハク酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸)との塩を含む。
【0040】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳動物対象に投与すると式(I)による活性親薬物をin vivoで放出する化合物も含む。式Iの化合物のプロドラッグは、修飾がin vivoで切断されて親化合物を放出することができるように、式Iの化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製する。プロドラッグは、式Iの化合物のヒドロキシ基、アミノ基、またはカルボキシ基がin vivoで切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシル基、アミノ基、またはカルボキシ基を再生することができるどんな基にも結合した式Iの化合物を含む。プロドラッグの例には、それだけには限らないが、式Iの化合物のエステル(たとえば、アセテート、ホルメート、およびベンゾエート誘導体)、あるいは生理学的pHがもたらされることによって、または酵素作用によって活性親薬物に転換されるどんな他の誘導体も含まれる。
【0041】
本発明は、式Iの化合物またはその塩の溶媒和物(好ましくは水和物)も含む。
【0042】
式Iの化合物は、1個または複数のキラル中心を有し、個々の置換基の性質に応じて化合物は幾何異性体を含んでもよい。空間でのその原子配置が異なる異性体を「立体異性体」と称する。互いの鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオ異性体」と称し、互いに重ねることができない鏡像を「鏡像異性体」と称する。化合物が不斉中心を持つとき、1対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けることができ、CahnおよびPrelogのRおよびSの順位則、または分子が偏光平面を回転する方式によって記載されており、右旋性または左旋性として(すなわち、それぞれ(+)または(-)異性体として)名付けられている。キラル化合物は、別個の鏡像異性体または鏡像異性体混合物として存在し得る。鏡像異性体を等比で含む混合物を「ラセミ混合物」と称する。本発明は、式Iの化合物の個々の異性体すべてを含む。明細書および特許請求の範囲の特定の化合物の説明または名称は、個々の鏡像異性体およびその混合物、ラセミ異性体ないし他の異性体を含むものとする。立体異性体の立体化学および分解能の定量方法は当技術分野でよく知られている。
【0043】
本発明は、syn-anti型立体異性体およびオキシム、または同様の基が存在するときに生じるそれらの混合物も包含する。オキシムの末端二重結合原子の1個に結合するCahn Ingold Prelogの最優先基をオキシムのヒドロキシル基と比較する。オキシムヒドロキシルがC=N二重結合を通過する基準平面と同じ側に存在する場合、最優先基として立体異性体をZ(zusammen=一緒)すなわちSynと名付け、他方の立体異性体をE(entgegen=反対)すなわちAntiと名付ける。
【0044】
「薬物として許容される賦形剤」は、一般に、安全で、非毒性で、生物学的にも、または他の面でも望ましくないものではない、薬物組成物の調製に有用な賦形剤を意味し、動物使用およびヒト用薬物の使用に許容される賦形剤を含む。本出願に使用される「薬物として許容される賦形剤」には、1種および1種を超えるそのような賦形剤が含まれる。
【0045】
病状、障害、もしくは症状の「治療(treating)」または「治療(treatment)」は以下を含む:
(1)哺乳動物で重くなる病状、障害、もしくは症状の臨床症状の発症を予防しまたは遅延することであり、この哺乳動物は病状、障害、もしくは症状に罹患しているか、または罹患しやすいが、まだ病状、障害、もしくは症状の臨床または臨床下症状を経験したり示していない、
(2)病状、障害、もしくは症状を阻止すること、すなわち、疾患の発症をまたはその少なくとも1種の臨床または臨床下症状を停止しまたは軽減すること、あるいは
(3)疾患を軽減すること、すなわち、病状、障害、もしくは症状のまたはその臨床または臨床下症状の少なくとも1種の後退を引き起こすこと。
【0046】
治療すべき対象への利益は、静的に著しく、または少なくとも患者もしくは内科医が認知できる。
【0047】
「治療有効量」は、病状、障害、もしくは症状を治療するために哺乳動物に投与した場合、化合物の量がそのような治療を達成するのに十分であることを意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患、およびその重症度、ならびに治療対象となる哺乳動物の年齢、体重、身体状態、および応答性に応じて変化する。
【0048】
急性炎症の4つの従来症状は、赤くなること、発熱である。腫脹、患部の疼痛、および罹患臓器の機能損失。
【0049】
特定の状態に伴うの炎症症状および徴候には以下が含まれる:
・慢性関節リウマチ - 関与する関節の疼痛、腫脹、温み、および圧痛;全身的な朝のこわばり、
・インスリン依存性糖尿病 - 膵島炎;この状態は、網膜症、神経障害、腎症;冠動脈疾患、末梢血管疾患、および脳血管疾患を含む炎症成分を伴う様々な合併症をもたらし得る、
・自己免疫甲状腺炎 - 衰弱、便秘、浅速呼吸、顔や手足のむくみ、末梢の浮腫、徐脈、
・多発性硬化症 - 痙縮、かすみ目、眩暈、四肢筋力低下、知覚異常、
・ブドウ膜網膜炎 - 夜盲症、周辺視野欠損、
・エリテマトーデス - 関節痛、発疹、光過敏、発熱、筋痛、手足のむくみ、検尿異常(血尿、尿円柱、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知障害、血栓症、心外膜炎、
・強皮症 - 白蝋病;手、腕、脚、および顔の腫脹;皮膚肥厚、指および膝の疼痛、腫脹およびこわばり、胃腸障害、拘束性肺疾患、心外膜炎、腎不全、
・リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、敗血性関節炎、および多発関節炎 - 発熱、疼痛、腫脹、圧痛などの炎症成分を伴う他の関節炎状態、
・髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS痴呆脳炎 - 羞明、認知障害、記憶喪失などの他の炎症性脳疾患
・網膜炎 - 視力低下などの他の眼炎症、
・湿疹、他の皮膚炎(たとえば、アトピー性、接触)、乾癬、UV照射(日光および同様のUV源)により誘発された熱傷 - 紅斑、疼痛、鱗屑、腫脹、圧痛などの炎症性皮膚疾患、
・クローン病、潰瘍性大腸炎 - 疼痛、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎などの炎症性腸疾患、
・喘息 - 浅速呼吸、喘鳴、
・脳梗塞 - 感覚喪失、運動性喪失、認知喪失続く大脳損傷などの急性外傷に伴うアレルギー性鼻炎 - くしゃみ、そう痒、鼻水状態など、他のアレルギー疾患
・心筋の虚血による心臓組織損傷 - 疼痛、浅速呼吸、
・成人型呼吸窮迫症候群 - 浅速呼吸、過換気、低酸素負荷、肺浸潤で生じた損傷など肺損傷、
・敗血症、敗血症性ショック、毒素ショック症候群 - 発熱、呼吸不全、頻脈、低血圧症、白血球増多症などの感染に伴う炎症、
・腎炎(たとえば、糸球体腎炎)-乏尿、検尿異常;虫垂炎 - 発熱、疼痛、圧痛、白血球増多症などの特定の臓器または組織に関連付けられる他の炎症性症状、
痛風 - 関与する関節の疼痛、圧痛、腫脹および紅斑、高い血清尿酸および/または尿尿酸、
胆嚢炎 - 腹部疼痛および圧痛、発熱、嘔気、白血球増多症、
慢性閉塞性肺疾患 - 浅速呼吸、喘鳴、
鬱血性心不全 - 浅速呼吸、ラ音、末梢浮腫、
II型糖尿病 - 心血管疾患、眼疾患、腎臓疾患、および末梢血管性疾患を含む末端器官合併症、
肺線維症 - 過換気、浅速呼吸、低酸素負荷、
アテローム性動脈硬化症などの血管疾患および再狭窄 - 疼痛、感覚喪失、徐脈、機能喪失、
および移植拒絶 - 疼痛、圧痛、発熱を招く同種異系免疫(alloimmunity)。
【0050】
臨床下症状には、それだけには限らないが、その出現によって臨床症状の兆候が進行し得る炎症の出現の診断マーカーが含まれる。臨床下症状の一クラスは、炎症誘発リンパ系細胞が臓器もしくは組織に浸潤もしくは蓄積すること、または臓器もしくは組織に特異的な病原体もしくは抗原を認識する活性化炎症誘発リンパ系細胞が局所的にまたは周辺に存在することなどの免疫症状である。リンパ系細胞の活性化は、当技術分野で知られている技術によって測定することができる。
【0051】
宿主中の特定の部位に治療有効量の活性成分を「送達すること」は、特定の部位に治療に有効な活性成分血中濃度をもたらすことを意味する。これは、たとえば、活性成分を宿主に局所的にまたは全身的に投与することによって実現することができる。
【0052】
式IIによって表される化合物は、以下であることが好ましい。
ZおよびWは、一緒になって、-N(RN)C(O)-、-C(O)N(RN)-、>C-NRsRt、-C(O)-、C=N-RM、-CH2NRN-、または-NRNCH2-であり、最も好ましくは-NCH3CH2-、-NHCH2-、-CH2NH-、-C(O)NH、-NHCO-であり、
RS、Rtは、メチルまたはHであり、
RMは、OHまたはメトキシであり、
Xは、Oであり、
RNは、H、メチル、または-C(=X)-NRtRsであり、
Aは、Hまたはメチルであり、
U、YはH、F、メチル、またはヒドロキシメチルであり、
R1は、ヒドロキシ、-O-S2、または=Oであり、
R2は、H、ヒドロキシ、またはメトキシであり、
R3は、OH、メトキシ、またはWもしくはZと共に環状カルバメート橋を形成する基であり、
R4は、メチルであり、
R5は、H、OH、メトキシ、またはR3と共に環状カーボネート橋もしくは環状カルバメート橋を形成する基であり、
結合は、Zの窒素によりN/9aまたはN/8a位置で、またはR12の炭素またはR11の酸素によりS2糖のC/4"位で行われる。
R6は、H、メチル、またはエチルであり、
R8は、H、N(CH3)2、NH(CH3)、またはN(CH3)CH2CH3であり、
R9は、Hであり、
結合部位は、C/3位、またはS1糖のC/3'位もしくはC/11位のアミノ基で、またはWまたはZで、またはS2糖のC/4"位であることが好ましい。
【0053】
Mが式IIのものであり、(i)ZがNCH3であり、WがCH2であり、R2がヒドロキシであるか、あるいは(ii)ZがNHであり、Wが=COであり、R2がメトキシである、式I内の化合物も好ましい。(この段落に記載した化合物は、直前の節の前述した残りの選択を満たしても満たさなくてもよいが、満たすことが好ましい)
【0054】
本発明の別の態様は、式Iによって表される化合物の調製方法に関する。一般に、式Iの化合物は、以下のようにして得ることができる:まず最初に鎖Lの一端をマクロライドサブユニットMに結合し、次いで鎖の他端を非ステロイドサブユニットDと結合する。または、まず最初に鎖Lの一端を非ステロイド性抗炎症サブユニットDに、次いで鎖の他端をマクロライドサブユニットMに結合する。または最後に、鎖の一部分をマクロライドサブユニットMに結合し、一方、鎖の他の部分を非ステロイドサブユニットDに結合し、次いで鎖部分の両端を化学的に結合して鎖Lを形成する。
【0055】
式Iの化合物の調製に使用した中間生成物の保護化誘導体の使用が望ましいこともあり得ることは当業者よって理解されよう。官能基の保護および脱保護は、当技術分野で周知の方法によって実施することができる。ヒドロキシル基またはアミノ基は、どんなヒドロキシル保護基またはアミノ保護基によっても、たとえば、Green T.W.、Wuts P.G.M.「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons、米国ニューヨーク州、1999年に記載されている通り保護することができる。アミノ保護基は、従来技術によって除去することができる。たとえば、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、およびアロイル基などのアシル基は、加溶媒分解、たとえば、酸性条件または塩基性条件下で加水分解することにより除去することができる。アリールメトキシカルボニル基(たとえば、ベンジルオキシカルボニル)は、炭素担持パラジウムなどの触媒の存在下での水素添加により切断することができる。
【0056】
より詳細には、式I内の化合物は、以下の方法によって調製することができる。
a)X2が-NH-である式Iの化合物は、次式Vによって表される非ステロイド抗炎症サブユニットを反応させるステップによって形成することができる。
【化11】

[式中、L1は、脱離基(ヒドロキシなど)を表し、マクロライドサブユニットの遊離アミノ基は次式VIaによって表される]
【化12】

【0057】
反応は、一般に、ハロゲン化物、混合無水物、特に[-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド(EDC)やベンゾトリアゾールなどの]カルボジイミドなど、非ステロイド抗炎症サブユニットのカルボン酸基を活性化する能力を有する酸誘導体を用いて実施する。反応は、有機塩基(たとえば、トリエチルアミン)などの塩基の存在下、室温で窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で進行する。反応は、終了するまでに数時間から数日間かかるかもしれない。
【0058】
式Vによって表される非ステロイド抗炎症サブユニットは市販されている。非ステロイド系抗炎症サブユニットDには、-C(O)L1基(遊離カルボン酸基など)を含めてもよく、または当技術分野で周知の方法によって誘導体化してもよい。
【0059】
【化13】

【0060】
反応式Iによれば、ヒドロキシル基を含むNSAID化合物はまた、ピリジンの存在下で無水コハク酸を作用させ、続いてそのように生成した中間生成物と、塩化メチレン中のトリエチルアミン、4-ピローロピリジン(pyrrolopyridine)とを反応させることによって誘導体化し、遊離カルボン酸基を有するNSAIDを生成することができる(Huang C.M.ら、Chem. & Biol.、2000年、7号、453〜461頁、Hess S.ら、Bioorg. & Med.Chem.、2001年、9号、1279〜1291頁)そのように生成したNSAID誘導体は、式VIaなどのリンカーのマクロライド化合物に、または直接マクロライドに結合することができる。
【0061】
【化14】

【0062】
反応式IIによれば、アミノ基を含むNSAID化合物はまた、N,N-ジメチルホルムアミド中で水素化ナトリウムおよびtert-ブチルヨード酢酸を作用させて、(NSAIDのブトキシカルボニル誘導体を生成し、次いでこのNSAIDを塩化メチレン中で(トリフルオル酢酸と反応させて、遊離カルボン酸基を含むNSAIDを生成することにより誘導体化することができる(Hess S.ら、Bioorg. & Med.Chem.、2001年、9号、1279〜1291頁)。そのように生成したNSAID誘導体は、式VIaなどのリンカーマクロライド化合物にまたは直接マクロライドに結合することができる。
【0063】
【化15】

【0064】
あるいは、アミノ基を含むNSAID化合物は、反応式IIIにしたがって、ジメチルホルムアミド中でジメチルアミノピリジン、N,N'-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、無水コハク酸を作用させることによって誘導体化し、遊離カルボン酸基を含むNSAIDを生成することができる(Pandori M.W.ら、Chem. & Biol.、2002年、9号、567〜573頁)。そのように生成したNSAID誘導体は、式VIaなどのリンカーマクロライド化合物に、または直接マクロライドに結合させることができる。
【0065】
構造VIaの出発マクロライドサブユニットの調製は、PCT/HR02/00001号に記載されており、付録1として付記されたその全体を参照により本明細書に組み込む。Bright、米国特許第4,474,768号およびBright,G.M.ら、J.Antibiot.、1988年、41号、1029〜1047頁も参照のこと。それぞれ、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0066】
たとえば、Lが-K-NH-(式中、Kはマクロライドに結合した架橋分子Lの部分である)である場合、式Iの化合物はマクロライド環上の>NH基を>N-K-NH2基に誘導体化し、誘導体化したマクロライドを式V(L1は、反応式IVによる脱離基である)によって表される非ステロイド抗炎症サブユニットと反応させることによって形成することができる。
【0067】
【化16】

【0068】
マクロライドのNH基が、次反応式IVによるマクロライドの糖の環S1(すなわちデソザミン(desozamine)糖)の3'位置で結合する場合:
【0069】
【化17】

【0070】
または次反応式VIによる糖の環S2の4"位で結合する場合:
【0071】
【化18】

【0072】
この方法を実施することもできる。
反応体マクロライドサブユニットは、ヒドロキシ置換基を有する対応するマクロライドをクラジノース(cladinose)糖上の4"位で酸化することによって4"位でa=O置換基を得、4"位の
【化19】

をエポキシ基
【化20】

に転換し、エポキシ基を1種または複数の適切な反応体によって切断し、反応体マクロライドサブユニット(M-CH2-NH-K-NH2)を得ることによって形成することができる。
【0073】
b)式I(式中、X2が-OC(O)-であるによって表される化合物は、式Vによって表される非ステロイド抗炎症サブユニットと、式VIb:
【化21】

によって表されるマクロライドサブユニットの遊離ヒドロキシル基を反応させるステップによって形成することができる。一般に、反応は、ハロゲン化物(二塩化エチレン(EDC)、混合無水物、特にカルボジイミドなど、非ステロイド性抗炎症サブユニットのカルボン酸基を活性化する能力を有する酸誘導体を用いて実施する。典型的には、反応は室温で窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で実施する。反応は、終了するまでに数時間から数日間かかることがある。
【0074】
構造VIbの出発マクロライドサブユニットは、既知の化合物であり、または参照により本明細書に組み込むCosta A.M.ら、Tetrahedron Letters、2000年、41号、3371〜3375頁に記載されているものなど、類似化合物用に記載された手順により得ることができる。
【0075】
たとえば、結合Lが-K-O-である場合、式Iの化合物は、次反応式VIIにしたがって、(1)マクロライド上の>NH基を>N-K-OH基に誘導体化すること、および(2)誘導体化したマクロライドを非ステロイド系抗炎症サブユニットD上の遊離カルボン酸基と反応させることによって形成することができる。
【0076】
【化22】

【0077】
結合基-K-OHは、以下のようにマクロライドサブユニットの第1級または第2級窒素原子に結合させることができる。マクロライドサブユニットをCH2=CH(CH2)mC(O)O-アルキル(たとえばメチルアクリレート)などのアルケノイル誘導体と反応させる。次いで、エステル基(すなわち、-C(O)O-アルキル)を無水有機溶媒中で水素化金属などによって(たとえば、LiAlH4)還元して、結合基-K-OHを有するマクロライドサブユニット(すなわち、M-K-OH)を得る。典型的には、還元は低温で好ましくは0℃以下で実施する。
【0078】
NH基がマクロライドの糖環の3'位で結合している場合(マクロライド5位の糖など)、この方法も実施することができる。
【0079】
c)式I(式中、X1は-OC(O)-であり、Qは-CH2-またはNHであり、X2は-NH-である)によって表される化合物は、式:
【化23】

(式中、4"はクラジノース(cladinose)糖などの糖S2上の4位である)によって表されるマクロライドサブユニットと、式:
【化24】

によって表される、遊離アミノ基を有する誘導体化非ステロイド抗炎症サブユニットを、アセトニトリルなどの溶媒中で反応させ、
【化25】

を得ることによって調製することができる。
【0080】
誘導体化非ステロイド抗炎症サブユニット(すなわち、D-C(O)-NH-K-NH2)は、(結合基-K-NH2を有する)適切なアミンと非ステロイド抗炎症薬のカルボン酸基を反応させることによって形成することができる。
【0081】
d)式I(式中、X1は-OC(O)NH-であり、X2は-NH-である)によって表される化合物は、以下に示すように、マクロライドサブユニットと遊離アミノ基を有する誘導体化非ステロイド抗炎症サブユニットを反応させることによって調製することができる。
【0082】
【化26】

【0083】
e)式I(式中、X1は-OC(O)NH-であり、X2は-NH-である)によって表される化合物は、以下に示すように、マクロライドサブユニットと、遊離カルボン酸基を有する非ステロイド抗炎症サブユニット反応させることによって調製することもできる。
【0084】
【化27】

【0085】
f)式Iの化合物は、以下に示すように、(Brなどの)脱離基L2を有するマクロライドサブユニットと、非ステロイド系抗炎症薬を反応させることによって調製することができる。
【0086】
【化28】

【0087】
出発マクロライドサブユニットは、マクロライド環の3位で結合している糖基を切断し、次いでマクロライドと式L2-L-L1(式中、L2は脱離基である)の試薬を反応させることによって調製することができる。
【0088】
g)式Iの化合物は、以下に示すように脱離基L2(Brなどの)を有するマクロライドサブユニットと非ステロイド系抗炎症薬を反応させることによって調製することができる。
【0089】
【化29】

【0090】
h)式Iの化合物は、以下に示すように、(Brなどの)脱離基L2を有するマクロライドサブユニットと非ステロイド系抗炎症薬を反応させることによって調製することができる。
【0091】
【化30】

【0092】
従来、16員環マクロライドは、その無糖体の置換パターンに基づいてサブファミリに分類される。このファミリの主原型は、ロイコマイシン、スピラマイシン、およびタイロシンによって表すことができる。
【0093】
タイロシンは16員マクロライドの代表であり、このマクロライドは5-ヒドロキシル基に結合したニ糖類の他に、2個の二重結合を有する高度に置換された無糖体(タイロノライド(tylonolide))、および第3糖置換基(β-D-マイシノース(mycinose))ベータ-D-マイコシン(mycosine)を含む。ニ糖類由来のマイカロース(mycarose)の加水分解によってデスミカロシル(desmycarosyl)-タイロシン(デスミコシン(desmycosin))が得られた。
【0094】
潜在的なデスミコシンの修飾部位:
【化31】

【0095】
たとえば、16員環マクロライドハイブリッドは、C-20アルデヒド基の還元的アミノ化によって調製することができるはずである。
【0096】
【化32】

【0097】
この反応は、8a-アザ-ホモデスミコシンならびに(ジおよびテトラヒドロ誘導体などの)その誘導体のような17員アザライドにも使用できるはずである。
【0098】
【化33】

【0099】
16員環マクロライド誘導体化の他の可能性は、エポキシ化反応による二重結合の形質転換、および(ジアミンなどの)適切な反応体によってエポキシ基を切断し反応体マクロライドサブユニット(M-CH2-NH-K-NH2)得ることである。
【0100】
9位のケトンは、塩酸ヒドロキシルアミンにより修飾して、オキシムを得、次いでアミンに還元して得ることもできる。
【0101】
本発明の別の態様は、望ましくない炎症性免疫応答によって特徴付けられ、または関連付けられる炎症性疾患、障害、もしくは症状、特にTNF-αおよびIL-1の過剰な分泌によって誘発され、または関連付けられる疾患および症状すべての治療に式Iの化合物を使用することに関する。
【0102】
本発明の化合物の治療有効量は、当技術分野で周知の方法によって決定することができる。本発明の化合物は、対応する非ステロイド抗炎症薬単独よりも所望の部位により効率よく送達されるので、モル比で非ステロイド抗炎症薬の量よりも少ない量の化合物を投与することができ、それでも同じ治療効果を得ることができる。さらに、この化合物の投与は、対応する非ステロイド抗炎症薬の場合よりも副作用が少ないので、NSAID量を増大させることができる。したがって、下表は手引きとして役立つにすぎない。化合物、その薬物として許容されるその塩、その溶媒和物、またはそのプロドラッグの治療有効量の閾値は、一般に、モル比で、非ステロイド抗炎症薬の治療有効量以下である。化合物、薬物としてのその塩、その溶媒和物、またはそのプロドラッグの広範なおよび好ましい有効量を下表に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
したがって、たとえば、インドメタシンの好ましい用量範囲は50〜200mg/日であり、これは1日当たり140〜560μmolの範囲に相当する。同じモル基準範囲である、本発明のハイブリッド化合物の140〜560molが、好ましい用量範囲の決定の出発点である。このやり方の精密化は、当技術分野の技術の十分に範囲内である。
【0105】
さらに、本発明は、本発明の化合物の有効量および薬物として許容される担体や希釈剤などの賦形剤を含む薬物組成物に関する。
【0106】
本発明の薬物組成物の調製には、成分の混合、造粒、打錠、および溶解を含めることができる。化学的担体は固形または液形でよい。固体担体は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸であってよいがそれだけには限らない。液体担体は、シロップ、オリーブ油、ヒマワリ種子油、大豆油などの油、水、または生理食塩水でよいがそれだけには限らない。同様に、担体には、モノステアリン酸グリセリンやジステアリン酸グリセリルなどの活性成分の持続放出用成分を含めてもよい。数種の形の薬物組成物を調製することができる。固体担体を使用する場合、こうした形には、経口投与することができる錠剤、カプレット剤、固体ゼリー状カプセル剤、粉剤、または粒剤を含めてもよいがそれだけには限らない。固体担体の量は、様々であってよいが、主として25mg〜1gの範囲である。液体担体を使用する場合は、製剤はシロップ、乳濁液、ソフトゼリー状カプセル剤、または滅菌注入可能液体、または非水性液体懸濁液の形であってよい。
【0107】
本発明の化合物は、局所的にまたは全身的、たとえば、経口的、非経口的、経皮的、粘膜的に、たとえば、口腔内、鼻内、直腸内、および膣内に投与することができる。「非経口」は、静脈内、筋肉内、または皮下経路を意味する。本発明の化合物の対応調製物は、それだけではないがTNF-αおよびIL-1βを含む炎症性サイトカインまたは他の炎症メディエータの産生が関与する、異常または望ましくない(過剰な、未調節の、または異常調節の)炎症性免疫応答によって生じた、またはそれらに関連するいくつかの障害(疾患および他の病理炎症性症状)の予防および治療(予防、遅延、阻害、または軽減)に使用することができる。それらの疾患には、慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、自己免疫甲状腺炎、多発性硬化症、ブドウ膜網膜炎、エリテマトーデス、強皮症などの自己免疫障害;リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、敗血性関節炎、多発関節炎などの炎症成分を含む他の関節炎状態;髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS痴呆脳炎などの他の炎症性脳疾患、網膜炎などの他の炎症性眼炎;湿疹、他の皮膚炎(たとえば、アトピー性、接触性)、乾癬、UV照射(日光および同様のUV源)により誘発された熱傷などの炎症性皮膚疾患;クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;喘息;アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー疾患;脳梗塞の後で起こる大脳損傷、心筋虚血による心臓組織損傷、成人型呼吸窮迫症候群で生じるものなど肺損傷などの急性外傷に伴う症状;敗血症、敗血症性ショック、毒素ショック症候群などの感染随伴炎症、腎炎(たとえば、糸球体腎炎)、虫垂炎、痛風、胆嚢炎、慢性閉塞性肺疾患、鬱血性心不全、II型糖尿病、肺線維症、アテローム性動脈硬化症や再狭窄血管疾患などの特定の臓器または組織が関連する他の炎症性症状;および移植拒絶をもたらす同種異系免疫が含まれる。
【0108】
本発明の化合物の効力は、炎症または抗炎症効果を評価するためのどんな方法によっても評価することができる。限定するものではないが、微小気泡の注入と併用したコントラスト超音波の使用、活性化した免疫系細胞の(TNF-α、IL-1、IFN-γなどの)炎症性サイトカイン測定と観察(浮腫の減少、紅斑の減少、そう痒感または焦熱感の減少、体温の低下、罹患臓器の機能改善)、および以下に提供した方法のどれかを含め、この目的のための周知の方法がたくさんある。
【0109】
本発明の化合物の治療効果を以下のものなどのin vitroおよびin vivo実験で定量した。
【0110】
in vitroでのヒト末梢血単核細胞中のTNF-αおよびIL-1β分泌の定量
末梢血単核細胞(PMBC)は、ヘパリン処理した全血から、Ficoll-Hypaque(Amersham-Pharmacia)でPMBCを分離した後調製した。TNF-α濃度の定量には、3.5〜5×104個の細胞を総容量200μlで、18時間〜24時間の期間、マイクロタイター平底プレート(96ウェル、Falcon)上で、10%の熱不活化ヒトAB血清(Croatian Centre for Transfusion Medicine、クロアチア共和国ザグレブ)、100単位/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシンおよび20mMヘペス(Invitrogen Life Technologies)を補充したRPMI1640培地で培養した。細胞を37℃で5%CO2および湿度90%の雰囲気中で培養した。負の対照の細胞を培地(NC)のみで培養する一方、正の対照中のTNF-αの分泌は、1μg/mLのリポ多糖(LPS、大腸菌血清型0111:B4、SIGMA)(PC)を添加することよって刺激し、試験した物質がTNF-α分泌に与える作用を、LPS(TS)で刺激した細胞培養に試験物質を添加後試験した。細胞上清のTNF-α濃度は、メーカーの(R & D SYSTEMS)提案にしたがってELISAによって定量した。試験の感度は、<3pg/mL TNF-αであった。IL-1β濃度の定量は、1×105個の細胞/ウェルおよび0.1ng/mlのLPSを使用しただけで、TNF-αの定量用に記載されている通りに実施した。IL-1β濃度は、ELISA(R & D SYSTEMS)によって定量した。TNF-αまたはIL-1βの産生の%阻害を以下の方程式によって算出した。
%阻害=[1-(TS-NC)/(PC-NC)]×100
【0111】
IC-50値をTNF-αの産生の50%が阻害された物質の濃度として定義した。IC-50が20μM以下の濃度を示す化合物を活性とみなした。IC-50は、Graph Pad Prismソフトウェアを使用し算出した。
【0112】
RAW264.7細胞によるTNF-α分泌の定量
10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM培地(Invitrogen Life Technologies)で、37℃、5%CO2および湿度90%の雰囲気中で細胞を増殖した。20000個の細胞/ウェルを96穴プレート(Falcon)にプレートした。負の対照の細胞を培地(NC)のみで培養する一方で、正の対照中のTNF-αの分泌は、500pg/mLリポ多糖(LPS、大腸菌血清型0111:B4、SIGMA)(PC)の添加によって刺激し、試験した物質がTNF-α分泌に与える作用を、LPS(TS)で刺激した細胞培養に試験物質を添加後試験した。細胞上清のTNF-α濃度は、メーカーの(R & D SYSTEMS、Biosource)提案にしたがってELISAによって定量した。TNF-αの産生の%阻害を以下の方程式によって算出した。
%阻害=[1-(TS-NC)/(PC-NC)]×100
【0113】
IC-50値をTNF-αの産生の50%が阻害された物質の濃度として定義した。IC-50が10μM以下の濃度を示す化合物を活性とみなした。
【0114】
ヒトプロスタグランジン-H合成酵素-1(hPGH-1)およびヒトプロスタグランジン-H合成酵素-2(hPGH-2)の阻害検定
hPGH-1およびhPGH-2をコードする遺伝子をPCRにより白金pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen Life Technologies)を使用しヒト胎盤cDNAライブラリ(Stratagene)から増幅した。hPGH-1に使用したプライマー配列は:5'
ATATAAGCTTGCGCCATGAGCCGGAGTCTTC3'および5'
ATATGGATCCTCAGAGCTCTGTGGATGGTCGC3'、hPGH-2 5'には
ATATAAGCTTGCTGCGATGCTCGCCCGC3'および5'
ATATGGATCCCTACAGTTCAGTTCAGTCGAACGTTC3'である。PCR産生物をpcDNA3.1Hygro(+)プラスミド(Invitrogen Life Technologies)のHindIIIおよびBamHI制限部位中にクローン化し、配列を配列決定によって確認した。
【0115】
トランスフェクションをCOS-7細胞(ATCC)で実施し、細胞を24穴プレート(Falcon)にて、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM培地(Invitrogen Life Tecnologies)で、37度、5%CO2および湿度90%の雰囲気中で増殖して完全コンフルエントに至らせた。メーカーの指示にしたがって、1μgのプラスミドDNA(PGH-1またはPGH-2遺伝子を含むpcDNA Hygro3.1(+)、または負の対照試料用にpcDNA Hygro3.1(+))と1.5μlのリポフェクトアミン2000(Invitrogen Life Technologies)を混合した。トランスフェクションから24〜48時間後、DMEM中の試験化合物を培地を除去せずに細胞に加え、40分後、アラキドン酸(Sigma)を加えて最終濃度20μMにした。上清除去から30分後、PGE-2検定キット(Cayman)を用いてメーカー使用説明書に従ってPGE-2を測定した。負の対照ではPGE-2の産生は検出されなかった。
【0116】
%阻害を以下の方程式によって算出した。
%阻害=(1-試料のPGE-2濃度/正の対照のPGE-2濃度)×100
【0117】
マウスでのLPS誘発TNF-α過剰分泌のin vivoモデル
前述の方法(Badger A.M.ら、J.of Pharmac.and Env.Therap.279号、1996年、1453〜1461頁)にしたがってマウスでTNF-αの分泌を誘発した。試験では、8〜12週齢の雄BALB/cマウスを6〜10頭の群で使用した。動物は、溶媒のみ(負および正の対照で)または物質の溶液を用いて経口投与(p.o.)処理した後30分後に、LPS(大腸菌血清型油0111:B4、Sigma)を25μg/頭の用量で腹腔内投与(i.p.)処理した。2時間後に動物をRoumpun(Bayer)およびKetanest(Park-Davis)のi.p.注射によって安楽死させた。各動物から血液試料を「vacutaner」チューブ(Becton Dickinson)に採取し、メーカーの提案にしたがって血漿を分離した。血漿のTNF-α濃度は、メーカーにより処方された方法にしたがってELISA(Biosource、R & D SYSTEMS)によって定量した。試験の感度は<3pg/mL TNF-αであった。TNF-αの産生の%阻害を以下の方程式によって算出した。
%阻害=[1-(TS-NC)/(PC-NC)]×100
【0118】
10mg/kg用量でTNF-α産生の30%以上の阻害を示す化合物を活性とみなした。
【0119】
前述の試験の4種に関して定性的に発現した代表的な結果を以下に記載し、化合物の3種を以下に例示する。
【0120】
【表2】

【0121】
鎮痛活性についての苦悶試験
この試験では、通常酢酸である刺激薬をマウス腹腔に注射することにより疼痛を誘発した。動物は、試験の名となった特有の苦悶により応答する(Collier H.O.J.ら、「Pharmac.Chemother」、1968年、32号、295〜310頁、Fukawa K.ら、J.Pharmacol.Meth.、1980年、4号、251〜259頁、Schweizer A.ら、Agents Actions、1988年、23号、29〜31頁)。この試験は、化合物の鎮痛活性の定量に適当である。方法:雄BALB-/cマウス(Charles River、イタリア)8〜12週齢を使用した。メチルセルロースを対照群に経口投与し、30分後に酢酸を濃度0.6%で腹腔内投与する一方、試験群には標準物質(アセチルサリチル酸)または試験物質を含むメチルセルロースを経口投与し、30分後に0.6%酢酸(容量0.1mL/10g)を腹腔内投与した。マウスを個別にガラス製漏斗下に置き、各動物の苦悶回数を20分間記録した。苦悶の%阻害を方程式によって算出した。
%阻害=(対照群の苦悶回数の平均値-試験群の苦悶回数)/対照群の苦悶回数×100。
【0122】
アセチルサリチル酸と同じまたは高い鎮痛活性を示す化合物を活性とみなした。
【0123】
マウスでのLPS誘発ショックのin vivoモデル
8〜12週齢の雄BALB/cマウス(Charles River、イタリア)を使用した。セラチエマルセセンス(Serratie marcessans)(Sigma、L-6136)から単離したLPSを滅菌食塩水に希釈した。1回目のLPS注射を4μg/マウスの用量で皮内に投与した。18〜24時間後にLPSを200μg/マウスの用量で静脈内投与した。対照群には、上記の方式で2回のLPS注射を行った。試験群には各LPS投与1.5時間前にこの物質を経口投与した。24時間後の生存を観察した。
【0124】
30mg/kgの用量で40%以上の生存をもたらした化合物を活性とみなした。
【0125】
実施例1〜12の化合物は、少なくとも2回の調査試験での活性を示す。しかし、これらの結果は、化合物の生体活性を例示するにすぎず決して本発明を制限しない。
【0126】
実施例の調製方法
前駆体
非ステロイド抗炎症サブユニット
【表3】

【表4】

【表5】

【0127】
化合物D2は、S-(+)-イブプロフェンであり、キラル中心を含む化合物の残部はラセミ混合物であった。化合物D1はインドメタシンであり、D3はフルルビプロフェン(flurbiprofen)、D4はナプロキセン、D5はケトプロフェン、D6はアセチルサリチル酸、D7はスリンダク、D8はエトドラク、D9はケトロラック、D10はスプロフェン(suprofen)、D11はフルニキシン(flunixin)、D12はジクロフェナクナトリウム、およびD13はトルメチンナトリウムである。
【0128】
マクロライドサブユニット
【化34】

【0129】
【表6】

【0130】
名称M1〜M6は、式IIAのマクロライドサブユニットに相当し、その場合変数R1〜R13は表に明示した通りである。
【実施例】
【0131】
(実施例1)
化合物1:(式1;M=M1、L=L1、D=D1)
インドメタシン(D1)(200mg、0.56mmole)を含む無水DMF(3ml)溶液に、アルゴン下、1,1-カルボニルジイミダゾールを加えた(DMF5ml中に187mg、1.15mmol)。反応混合物を-5℃で24時間攪拌し、次いで化合物ML1を加えた(DMF3ml中に443mg、0.56mmole)。反応混合物を100℃で48時間加熱し、蒸発させ、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。化合物1が56mg得られた。MS(m/z):1133[MH]+。IR(KBr)cm-1:3449、2972、2936、1731、1686、1622、1564、1546、1512、1478、1460、1374、1323、1263、1225、1168、1089、1057、1013、958、925、834、804、756、732。
【0132】
(実施例2)
化合物2:(式I;M=M1、L=L1、D=D2)
S-(+)-イブプロフェン(D2)(115mg、0.56mmole)を含む無水DMF(3ml)溶液に、アルゴン下、1,1-カルボニルジイミダゾールを加えた(DMF5ml中に187mg、1.15mmol)。反応混合物を-5℃で24時間攪拌し、次いで化合物ML1を加えた(DMF3ml中に443mg、0.56mmole)。反応混合物を100℃で48時間加熱し、蒸発させ、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。化合物2が43mg得られた。MS(m/z):981.7[MH]+。IR(KBr)cm-1:3483、2971、2937、2873、2787、1733、1655、1638、1561、1511、1459、1421、1379、1332、1248、1167、1109、1055、1013、1000、958、900、836、803、756、728、640。
【0133】
(実施例3)
化合物3:(式I;M=M1、L=L1、D=D3)
フルルビプロフェン(flurbiprofen)(D3)(137mg、0.56mmole)を含む無水DMF(3ml)の溶液に、アルゴン下、1,1-カルボニルジイミダゾールを加えた(DMF5ml中に187mg、1.15mmol)。反応混合物を-5℃で24時間攪拌し、次いで化合物ML1を加えた(DMF3ml中に443mg、0.56mmole)。反応混合物を100℃で48時間加熱し、蒸発させ、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。化合物3が46mg得られた。MS(m/z):1119.5[MH]+。IR(KBr)cm-1:3452、2973、2937、2879、2829、2777、1734、1688、1659、1625、1582、1565、1546、1512、1461、1420、1379、1329、1267、1171、1109、1054、1013、999、959、899、834、801、767、726、699、640。
【0134】
(実施例4)
化合物4:(式I;M=M1、L=L2、D=D1)
インドメタシン(D1)(104mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。化合物4が127mg得られた。MS(m/z):1131.8[MH]+。IR(KBr)cm-1:3451、2971、2936、2829、1722、1675、1659、1542、1595、1563、1546、1529、1478、1461、1374、1323、1260、1227、1168、1110、1089、1054、1013、957、927、899、834、806、755。
【0135】
(実施例5)
化合物5:(式1;M=M1、L=L2、D=D2)
(S)-(+)-イブプロフェン(D2)(60mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで蒸発させた。シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製すると化合物5が239mg得られた。MS(m/z):981.0[MH]+。IR(KBr)cm-1:3433、2971、2936、2872、1720、1686、1655、1561、1545、1511、1460、1378、1264、1167、1109、1054、1013、1000、958、902、835、642。
【0136】
(実施例6)
化合物6:(式I;M=M1、L=L2、D=D3)
フルルビプロフェン(flurbiprofen)(D3)(70mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで蒸発させた。CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で溶出するシリカゲルカラムでの精製によって化合物6が160mg得られた。MS(m/z):1018.9[MH]+。IR(KBr)cm-1:3448、2973、2937、2881、2834、2782、1720、1655、1625、1581、1560、1544、1484、1458、1419、1378、1267、1167、1109、1053、1012、958、900、835、767、726、699、641。
【0137】
(実施例7)
化合物7:(式1;M=M1、L=L2、D=D4)
ナプロキセン(D4)(67mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し減圧下濃縮した。CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で溶出するシリカゲルカラムでの精製によって化合物7が162mg得られた。MS(m/z):1004.9[MH]+。IR(KBr)cm-1:3433、2972、2937、2876、2829、2788、1719、1655、1607、1560、1542、1508、1459、1377、1265、1230、1167、1109、1053、1013、1000、958、928、895、853、809、755、640。
【0138】
(実施例8)
化合物8:(式I;M=M1L=L2、D=D5)
ケトプロフェン(D5)(74mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し減圧下濃縮した。CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で溶出するシリカゲルカラムでの精製によって化合物8が114mg得られた。MS(m/z):1028.9[MH]+。IR(KBr)cm-1:3450、3062、2972、2937、2876、2834、2788、1722、1658、1598、1580、1544、1458、1378、1319、1284、1168、1109、1081、1053、1013、1000、957、902、834、755、723、705、643。
【0139】
(実施例9)
化合物9:(式I;M=M1、L=L2、D=D6)
アセチルサリチル酸(D6)(52mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し減圧下濃縮した。CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で溶出するシリカゲルカラムでの精製によって化合物9が127mg得られた。MS(m/z):955[MH]+。
【0140】
(実施例10)
化合物10:(式I;M=M2、L=L2、D=D1)
化合物4(120mg、0.1mmole)を0.5MのHCl 3mLに溶解した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、ジクロロメタンを反応混合物に加え層を分離した。水層をpH10に調整しCH2Cl2で抽出した。混合した有機抽出物を飽和NaHCO3で洗い、MgSO4で乾燥し、減圧下蒸発させた。シリカゲルカラム(溶離剤:EtOAc:TEA=96:4)で精製すると化合物10が32mg得られた。MS(m/z):973.8[MH]+。
【0141】
(実施例11)
化合物11:(式I;M=M2、L=L2、D=D2)
化合物5(120mg、0.1mmole)を0.5MのHCl 3mLに溶解した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、ジクロロメタンを反応混合物に加え層を分離した。水層をpH10に調整しCH2Cl2で抽出した。混合した有機抽出物を飽和NaHCO3で洗い、MgSO4で乾燥し減圧下蒸発させた。シリカゲルカラム(溶離剤:EtOAc:TEA=96:4)で精製すると化合物11が28mg得られた。MS(m/z):822.1[MH]+。IR(KBr)cm-1:3450、2971、2873、1710、1656、1544、1511、1459、1380、1350、1262、1173、1111、1073、1050、978、957、934、898、803、755、634。
【0142】
(実施例12)
化合物12:(式I;M=M2、L=L2、D=D5)
化合物8(150mg、0.15mmole)を0.5MのHCl 5mLに溶解した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、ジクロロメタンを反応混合物に加え層を分離した。水層をpH10に調整しCH2Cl2で抽出した。混合した有機抽出物を飽和NaHCO3で洗い、MgSO4で乾燥し減圧下蒸発させた。シリカゲルカラム(溶離剤:EtOAc:TEA=96:4)で精製すると化合物12が42mg得られた。MS(m/z):870.1[MH]+。IR(KBr)cm-1:3439、3067、2972、2936、2876、1721、1657、1598、1580、1544、1458、1378、1349、1319、1283、1173、1136、1111、1074、1050、1000、956、904、863、723、705、643。
【0143】
(実施例13)
化合物13:(式I;M=M3、L=L2、D=D1)
化合物4(68mg、0.06mmole)を10mlのメタノールに溶解した。38mg(0.28mmole)のNaOACx3H2Oおよび15mg(0.06mmole)のI2を加えた。反応混合物を500Wハロゲン電球で2時間照射した。次いで、0.1MのNa2S2O3を2〜3滴加えた。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をエチル-アセタートに溶解し水および飽和NaHCO3溶液で洗った。有機層を無水Na2SO4で乾燥し蒸発させた。生成物を溶媒系CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1のシリカゲルカラムで精製した。32mgの量の化合物13を単離した。MS(m/z):1117.9[MH]+。
【0144】
(実施例14)
化合物14:(式1;M=M4、L=L2、D=D1)
化合物13(100mg、0.09mmole)を3mlのメタノールに溶解した。その溶液に、127μlのN,N-ジイソプロピルエチルアミンおよび45μlのエチルヨウ化物を加えた。反応混合物を50℃の温度で20時間攪拌した。続いて、これを30mlのエチル-アセタートで希釈し、30mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および30mlの水で洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧によって蒸発させた。得られた混合物をシリカゲルカラム、溶出剤CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で精製した。48mgの量の化合物14が得られた。MS(m/z):1145.7[MH]+。
【0145】
(実施例15)
化合物15:(式I;M=M5、L=L3、D=D1)
10mlの無水ジクロルメタンに84mgのインドメタシンD1(0.2mmole)を不活性雰囲気下で溶解した。続いて、0.25mlのトリエチルアミン、53mgのヒドロキシベンゾトリアゾール、200mgのマクロライドML6(0.2mmole)、および157mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリドを溶液に加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた混合物をシリカゲルカラム、溶出剤CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で精製した。130mgの化合物15が得られた。MS(m/z):1188.6[MH]+。
【0146】
(実施例16)
化合物16:(式1;M=M6、L=L4、D=D1)
10mlの無水ジクロルメタンに、43mgのインドメタシンD1(0.1mmole)を不活性雰囲気下で溶解した。続いて、0.12mlのトリエチルアミン、32mgのヒドロキシベンゾトリアゾール、103mgのマクロライドML7(0.1mmole)、および82mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリドを溶液に加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた混合物をシリカゲルカラム、溶出剤CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1で精製した。80mgの化合物16が得られた。MS(m/z):1203.1[MH]+;MS(m/z):981.0[MH]+。IR(KBr)cm-1:3424、2972、2936、2833、1734、1678、1595、1562、1544、1526、1477、1459、1374、1324、1258、1225、1179、1108、1090、1073、1039、1015、959、926、902、836、798、755、693、666、642。
【0147】
(実施例17)
化合物17:(式I;M=M1、L=L2、D=D7)
スリンダク(D7)(103mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。262mgの化合物17が得られた。MS(m/z):1130.3[MH]+。
【0148】
(実施例18)
化合物18:(式I;M=M1、L=L2、D=D8)
エトドラク(D8)(83mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。78mgの化合物18が得られた。MS(m/z):1061.4[MH]+。
【0149】
(実施例19)
化合物19:(式I;M=M1、L=L2、D=D9)
ケトロラック(D9)(74mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。110mgの化合物19が得られた。MS(m/z):1029.5[MH]+。IR(KBr)cm-1:3448、2972、2936、2876、1719、1655、1624、1572、1561、1544、1492、1465、1430、1400、1379、1342、1272、1167、1109、1052、1013、1000、958、894、835、797、758、724、699、670。
【0150】
(実施例20)
化合物20:(式1;M=M1、L=L2、D=D10)
スプロフェン(suprofen)(D10)(75mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。128mgの化合物20が得られた。MS(m/z):1034.4[MH]+。IR(KBr)cm-1:3448、3082、2972、2937、2877、2833、2789、1719、1655、1638、1606、1560、1542、1517、1458、1415、1378、1355、1289、1167、1109、1053、1013、1000、958、901、886、860、845、806、753、724、665、640。
【0151】
(実施例21)
化合物21:(式I;M=M1、L=L2、D=D11)
フルニキシン(flunixin)(D11)(86mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。76mgの化合物21が得られた。MS(m/z):1070.4[MH]+。IR(KBr)cm-1:3451、2973、2938、2881、1722、1642、1593、1524、1462、1379、1321、1321、1278、1259、1168、1121、1081、1053、1020、958、899、835、795、772、721、666、640。
【0152】
(実施例22)
化合物22:(式1:M=M1、L=L2、D=D12)
ジクロフェナクナトリウム(D12)(92mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。140mgの化合物22を得た。MS(m/z):1069.1[MH]+。IR(KBr)cm-1:3426、3073、2972、2937、2876、2829、2788、1722、1658、1578、1562、1546、1511、1454、1378、1301、1281、1167、1110、1053、1013、999、958、898、836、750、668。
【0153】
(実施例23)
化合物23:(式I:M=M1、L=L2、D=D13)
トルメチンナトリウム(D13)(80mg、0.29mmole)を含む無水CH2Cl2(5ml)の溶液に、アルゴン下、0.380mL(2.73mmole)のトリエチルアミン、80mg(0.59mmole)の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、230mg(0.29mmole)のML2、および235mg(1.23mmole)の1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミドヒドロクロリドを加えた。反応混合物をアルゴン流中、室温で24時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発させて低容量にし、シリカゲルカラム(溶離剤:CHCl3:MeOH:NH4OH=6:1:0.1)で精製した。183mgの化合物23が得られた。MS(m/z):1031.3[MH]+。IR(KBr)cm-1:3448、2972、2937、2876、1774、1719、1655、1624、1601、1561、1545、1509、1477、1458、1376、1265、1180、1167、1110、1076、1053、1012、1000、957、883、834、794、751、669、639、620。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

[式中、
Mは、マクロライドサブユニットを表し、
Dは、非ステロイド性サブユニットを表し、
Lは、MおよびDのそれぞれが共有結合しているリンカー分子である]、
その薬物として許容される塩および溶媒和物、ならびにその個々のジアステレオ異性体。
【請求項2】
Mが、式IIの基を表す化合物であって、
【化2】

[式中、
(i)ZおよびWは、それぞれ独立に、>C=O、>CH、>CH−NR、>N−R、もしくは>C=N−R、または結合であり、
{式中、
およびRは、それぞれ独立に、水素またはアルキルであり、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、またはORであり、
は、水素、R、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、または−C(X)−NRであり、(式中、Xは、=Oまたは=Sである)
ただし、ZおよびWは、両方同時に>C=O、>CH、>CH−NR、>N−R、もしくは>C=N−R、または結合であってはならない}、
(ii)UおよびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、アルキル、またはヒドロキシアルキルであり、
(iii)Rは、ヒドロキシ基、OR基、−O−S基、または=Oであり、
(iv)Sは、次式:
【化3】

{式中、
およびRは、共に水素であるか、または一緒になって結合を形成するか、あるいは、Rは水素であり、かつRは−N(CH)R(式中、RはR、R、または−C(O)Rであり、その場合Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール、あるいはC〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、アリール、またはヘテロアリールで置換したアルキルである)であり、
10は、水素またはRである}の糖部分であり、
(v)Sは、次式:
【化4】

{式中、
3’は、水素またはメチルであり、
11は、水素であり、RまたはO−R11は、R12およびC/4''炭素原子と共に>C=Oまたはエポキシ基を形成する基であり、
12は、水素、あるいはO−R11基およびC/4''炭素原子と共に>C=Oまたはエポキシ基を形成する基である}の糖部分であり、
(vi)Rは、水素、ヒドロキシ、OR、またはアルコキシであり、
(vii)Aは、水素またはメチルであり、
(viii)Bは、メチルまたはエポキシであり、
(ix)Eは、水素またはハロゲンであり、
(x)Rは、ヒドロキシ、OR、アルコキシであるか、あるいはRはRおよびC/11およびC/12炭素原子と共に環状カーボネートまたは環状カルバメートを形成する基であり、あるいはWまたはZが>N−Rである場合、RはWまたはZと共に環状カルバメートを形成し、
(xi)Rは、C〜Cアルキルであり、
(xii)Rは、水素、ヒドロキシ、OR、C〜Cアルコキシであり、あるいはRおよびC/11、およびC/12炭素原子と共に環状カーボネートまたは環状カルバメートを形成する基であり、
(xiii)Rは、水素またはC〜Cアルキルである]であり、
Mは、それにより架橋基Lを介してDと結合する結合部位を有し、
ただし前記結合部位は以下:
a)S、Sに位置する任意の反応性ヒドロキシ基、窒素基、もしくはエポキシ基、あるいはSまたは/およびSが切断されている場合は無糖体酸素、
b)ZまたはWに位置する反応性>N−R、−NR、または=O基、
c)R、R、R、およびRのどれか1つに位置する反応性水酸基、
d)最初にヒドロキシ基または−NR基に誘導体化することができる他の任意の基、
の1つまたは複数にあり、かつRが、ヒドロキシルまたはアミノ保護基である
、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Lが、次式IVの基を表す化合物であって、
−(CH)−Q−(CH)−X IV
式中、
は、−CH−、−C(O)−、OC(O)−、N−O−、−OC(O)NH−、または−C(O)NH−から選択され、
は、−NH−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−C(O)−、−O、または−CH−であり、
Qは、−NH−もしくは−CH−であるか、または存在せず、
その場合、−CH−基または−NH−基はそれぞれ、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C(O)R、C(O)OR、C(O)NHR(式中、Rは、C〜C−アルキル、アリール、またはヘテロアリールでよい)によって場合によっては置換されていてよく、
符号mおよびnは、それぞれ独立に0〜4の整数であり、ただしQがNHである場合はnはゼロであってはならない、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Dが、以下:
アセクロフェナク(aceclofenac)、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセチルサリチル酸、アセチル−サリチル−2−アミノ−4−ピコリン−酸、5−アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック、アミノプロフェン、アンフェナク、アンピロン(ampyrone)、アンピロキシカム、アニレリジン(anileridine)、ベンダザック、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベルモプロフェン(bermoprofen)、α−ビサボロール、ブロンフェナク(bromfenac)、5−ブロモサリチル酸酢酸塩、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブクロキス酸(bucloxic acid)、ブチブフェン(butibufen)、カルプロフェン(carprofen)、セレキソシブ(celexocib)、クロモグリク酸(chromoglycate)、シンメタシン(cinmetacin)、クリンダナク(clindanac)、クロピラク(clopirac)、ナトリウムジクロフェナク、ジフルニサル、ジタゾール(ditazol)、ドロキシカム(droxicam)、エンフェンアミド酸(enfenamic acid)、エトドラク、エトフェンアミド酸(etofenamate)、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンドサール(fendosal)、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラジノール(fepradinol)、フルフェナク(flufenac)、フルフェンアミド酸(flufenamic acid)、フルニキシン(flunixin)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、グルタメタシン(glutametacin)、サリチル酸グリコール、イブフェナク(ibufenac)、イブプロフェン、イブプロキサム(ibuproxam)、インドメタシン、インドプロフェン(indoprofen)、イソフェゾラク(isofezolac)、イソキセパク(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン、ケトロラック、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム(meloxicam)、メサラミン、メチアジン酸(metiazinic acid)、モフェゾラク(mofezolac)、モンテルカスト、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、オルサラジン(olsalazine)、オキサセプロール(oxaceprol)、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、パルアセタモール(paracetamol)、パルサルミド(parsalmide)、ペリソキサール(perisoxal)、フェニル−アセチル−サリシラート、フェニルブタゾン、フェニルサリチラート(phenylsalicylate)、ピラゾラク(pyrazolac)、ピロキシカム、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロチジン酸(protizinic acid)、レセルベラトール(reserveratol)、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミド(salicylamide)、サリチルアミド−O−アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン(salicin)、サリチルアミド(salicylamide)、サルサラート(salsalate)、スリンダク、スプロフェン(suprofen)、スキシブタゾン(suxibutazone)、タモキシフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、チアルアミド(tiaramide)、チクロプリジン(ticlopridine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェンアミド酸(tolfenamic acid)、トルメチン、トロペシン(tropesin)、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ゾメピラク(zomepirac)、トモキシプロール(tomoxiprol)、ザフィルルカスト(zafirlukast)、およびシクロスポリン
から選択されるNSAIDに由来する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
ZおよびWが、一緒になって−N(CH)−CH−、−NH−CH−、−CH−NH−、−C(O)−NH−、または−NH−C(O)−であり、
AおよびBが、メチルであり、
Eが、水素であり、
が、ヒドロキシまたはメトキシであり、
が、デソサミン(desosamine)糖を表し、その場合Rは水素、メチル、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、またはC〜Cジアルキルアミノから選択され、
およびR10は、水素であり、
が、ヒドロキシまたはO−S基であり、その場合Sは、クラジノース(cladinose)糖を表し、
その場合、
11は水素であり、またはO−R11は、R12およびC/4''炭素原子と共に>C=Oまたはエポキシ基を形成する基であり、R12は、水素、あるいはO−R11基およびC/4''炭素原子と共に>C=Oまたはエポキシ基を形成する基であり、
13はメチルであり、
Uが、水素であり、
Yが、メチルであり、
が、ヒドロキシ、メチル、またはエチルであり、
が、水素、ヒドロキシ、メトキシ、あるいはR、C/11、およびC/12炭素原子と共に環状カーボネートまたはカルバメート橋を形成する基であり、
が、ヒドロキシ、またはWもしくはZと共に環状カルバメート橋を形成する基であり、あるいはRはR、C/11、およびC/12炭素原子と共に環状カーボネートまたはカルバメート橋を形成する基であり、
が、メチルであり、
ただし、結合はN/9a位のZの窒素、または両方ともS糖のC/4''位にあるR12の炭素もしくはR11の酸素を介してのものである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、−CH−または−OC(O)−であり、
が、−NHC(O)−であり、
Qが−NH−または存在しない、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
Dが、S−(+)−イブプロフェン、インドメタシン、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ナプロキセン、ケトプロフェン、アセチルサリチル酸、スリンダク、エトドラク、ケトロラック、スプロフェン(suprofen)、フルニキシン(flunixin)、ジクロフェナクナトリウム、およびトルメチンナトリウムから選択されるNSAIDに由来する、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
次式によって特徴付けられる化合物1。
【化5】

【請求項9】
次式によって特徴付けられる化合物2。
【化6】

【請求項10】
次式によって特徴付けられる化合物3。
【化7】

【請求項11】
次式によって特徴付けられる化合物4。
【化8】

【請求項12】
次式によって特徴付けられる化合物5。
【化9】

【請求項13】
次式によって特徴付けられる化合物6。
【化10】

【請求項14】
次式によって特徴付けられる化合物7。
【化11】

【請求項15】
次式によって特徴付けられる化合物8。
【化12】

【請求項16】
次式によって特徴付けられる化合物9。
【化13】

【請求項17】
次式によって特徴付けられる化合物10。
【化14】

【請求項18】
次式によって特徴付けられる化合物11。
【化15】

【請求項19】
次式によって特徴付けられる化合物12。
【化16】

【請求項20】
次式によって特徴付けられる化合物13。
【化17】

【請求項21】
次式によって特徴付けられる化合物14。
【化18】

【請求項22】
次式によって特徴付けられる化合物15。
【化19】

【請求項23】
次式によって特徴付けられる化合物16。
【化20】

【請求項24】
次式によって特徴付けられる化合物17。
【化21】

【請求項25】
次式によって特徴付けられる化合物18。
【化22】

【請求項26】
次式によって特徴付けられる化合物19。
【化23】

【請求項27】
次式によって特徴付けられる化合物20。
【化24】

【請求項28】
次式によって特徴付けられる化合物21。
【化25】

【請求項29】
次式によって特徴付けられる化合物22。
【化26】

【請求項30】
次式によって特徴付けられる化合物23。
【化27】

【請求項31】
式Iの化合物の調製方法であって、
【化28】

a)Xが−NHC(O)−である式Iの化合物に関しては、式Vの化合物:
【化29】

(式中、Lは脱離基を表す)と、式VIa:
【化30】

によって表されるマクロライドの遊離アミノ基を反応させるステップを含み、
b)Xが−OC(O)−である式Iの化合物に関しては、式Vの化合物と、式VIb:
【化31】

によって表されるマクロライドの遊離ヒドロキシル基を反応させるステップを含み、
c)Xが−OC(O)−であり、Qが−NH−であり、かつXが−NHC(O)−である式Iの化合物に関しては、
次式:
【化32】

によって表されるマクロライドと、
次式:
【化33】

によって表される化合物の遊離アミノ基を反応させるステップを含み、
d)Xが−OC(O)NH−であり、Xが−NHC(O)−である式Iの化合物に関しては、
次式:
【化34】

によって表されるマクロライドと、
次式:
【化35】

によって表される化合物の遊離アミノ基を反応させるステップを含み、
e)Xが−CH−であり、Qが−NH−であり、かつXが−NHC(O)−である式Iの化合物に関しては、
次式:
【化36】

によって表されるマクロライドと、
式Vの化合物を反応させるステップを含み、
f)式Iの化合物に関しては、脱離基Lを有する、式VIIf、式VIIg、または式VIIh:
【化37】

によって表されるマクロライドと、非ステロイド抗炎症サブユニットの遊離カルボン酸を反応させるステップを含む調製方法。
【請求項32】
請求項1から30に記載の化合物、および薬物として許容される塩またはその溶媒和物、ならびに薬物として許容される希釈剤または担体を含む薬物組成物。
【請求項33】
望ましくない炎症性免疫応答によって特徴付けられるか、または関連付けられる、特にTNF−αおよびIL−1の過剰な分泌によって誘発されるか、または関連付けられる疾患および症状すべての炎症性疾患、障害、および症状の治療を目的とした薬物を製造するための請求項1から30に記載の化合物の使用。
【請求項34】
対象に治療有効量の、式Iによって表される化合物、またはその薬物として許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、それを必要とする対象の炎症組織への白血球の浸潤に関連付けられる炎症性症状、および免疫もしくはアナフィラキシー性障害の治療を目的とした薬物を製造するための式Iによって表される化合物、またはその薬物として許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項35】
炎症性症状および免疫障害が、喘息、成人型呼吸窮迫症候群、気管支炎、および嚢胞性線維症からなる群から選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記炎症性症状および免疫障害が、肺、関節、眼、腸、皮膚、および心臓の炎症性症状あるいは免疫障害からなる群から選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
前記炎症性症状および免疫障害が、喘息、成人型呼吸窮迫症候群、気管支炎、嚢胞性線維症、慢性関節リウマチ、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、通風性関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性腸状態、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位直腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、冠血管梗塞損傷、慢性炎症、エンドトキシンショック、および平滑筋増殖疾患からなる群から選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項38】
罹患臓器または組織へ治療有効量の式Iによって表される化合物またはその薬物として許容される塩もしくは溶媒和物を送達するステップを含む、前記臓器または組織の炎症の緩和を目的とした薬物を製造するための式Iによって表される化合物、またはその薬物として許容される塩もしくは溶媒和物の使用。

【公開番号】特開2011−6474(P2011−6474A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−211027(P2010−211027)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【分割の表示】特願2004−519020(P2004−519020)の分割
【原出願日】平成15年7月7日(2003.7.7)
【出願人】(506261316)グラクソスミスクライン・イストラジヴァッキ・センタル・ザグレブ・ドルズバ・ゼー・オメイェノ・オドゴヴォルノスティオ (25)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE ISTRAZIVACKI CENTAR ZAGREB D.O.O.
【Fターム(参考)】