説明

新規な非結晶化メタクリレート、その製造方法およびその使用

本発明は、新規な非結晶化メタクリレート、およびその製造方法に関する。本発明はまた、本発明のメタクリレートを含んでなる感光性ポリマー組成物、およびホログラフィック媒体を製造するための感光性ポリマー組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な非結晶化メタクリレート、およびその製造方法に関する。本発明はまた、本発明のメタクリレートを含んでなる感光性ポリマー組成物、およびホログラフィック媒体を製造するための感光性ポリマー組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性ポリマーは、2つのコヒーレント光源の重ね合わせによって露光させると、一般に屈折率の領域を変えることによって感光性ポリマー材料に書込むことができる三次元構造体が感光性ポリマーにおいて生じる材料である。そのような構造体はホログラムと称され、回折光学素子として書込むこともできる。そのようなホログラムが発現する光学的機能は、特定の露光条件に依存する。
【0003】
WO 2008/125229 A1は、ポリウレタン系マトリックスポリマー、アクリレート系書込モノマーおよび光開始剤を含有する感光性ポリマー組成物を記載している。硬化した状態で、書込モノマーおよび光開始剤は、ポリウレタンマトリックス中に、空間的に等方的に分布して埋め込まれている。
【0004】
同特許公報に記載されているアクリレート書込モノマーの調製は、溶媒を除去するための最終蒸留工程を必ず必要とするので、複雑である。蒸留によりアクリレートの重合が起こり得るので、蒸留の必要性には問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2008/125229 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、容易に得ることができ、結晶化傾向を示さず、ポリウレタン網状構造に容易に溶解できるメタクリレートを提供することである。また、本発明のメタクリレートは、容易に重合することができ、対応する感光性ポリマー組成物におけるホログラムの書込みを可能にできなければならない。特に、本発明のメタクリレートの製造において、複雑な後処理が必要となってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、一般式(I)または(II):
【化1】

[式中、RおよびRは、互いに独立して、置換フェニル基、置換ナフチル基および/または未置換ナフチル基である]
で示されるメタクリレート、およびそれらの混合物によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、媒体の回折効率を測定するホログラフィック試験装置を示す。
【図2】図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従ったブラッグ曲線η(破線)、測定回折効率(黒丸)および透過出力(実線)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましくは、Rおよび/またはRは、6〜24個の炭素原子、0〜5個のイオウ原子、および0〜5個のハロゲン原子を含んでよい。
【0010】
好ましい態様によれば、Rおよび/またはRは、チオエーテル基、フェニル基および/またはハロゲン原子によって置換されていてよい。
【0011】
および/またはRが、ナフチル、3−メチルチオフェニル、2−ビフェニル、3−ビフェニルまたは4−ビフェニル、2−ブロモフェニルであることが特に好ましい。
【0012】
本発明はまた、本発明のメタクリレートの製造方法であって、芳香族酸R−COOHをグリシジルメタクリレートと反応させ、次いで、その生成物を芳香族イソシアネートR−NCOと反応させる方法に関する。
【0013】
本発明のメタクリレートの製造方法は、二段階合成で実施する。第一の反応において、酸R−COOHをグリシジルメタクリレートと反応させると、反応スキーム1に従って、2種のアルコールの混合物が生成する。
【化2】

【0014】
反応は、典型的には20〜180℃、好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃で実施する。グリシジルメタクリレートおよび触媒を最初に導入し、酸を少しずつ添加する。限られた溶解性の故に、酸の添加は、バッチの撹拌性によって決定する。反応の進行は、酸の溶解によって示される。反応過程は、エポキシド含量の変化に基づいてモニターされる。ここでは、検出方法として、H−NMR分光法が特に適している。
【0015】
反応時間は、数時間から数日の範囲であってよい。触媒は反応を効果的に促進する。様々な種類の物質を触媒として使用することができ、その例は、ブレンステッド酸、例えば、リン酸、亜リン酸、硫酸;ルイス酸、例えば、酢酸亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛、チタン(IV)メトキシド、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、ルイス塩基、例えば、2−メチルイミダゾール、ジメチルアミノピリジン、ボランピリジン錯体、トリス(ジメチルアミノ)ボラン、トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、塩化コリン、トリス(4−ジメチレンアミノフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、ジアザビシクロウンデカン(DABCO)および他のアミン、並びにアンモニウム塩またはホスホニウム塩、例えば、テトラエチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリドおよびテトラキス(ジメチルアミノ)シランである。典型的には0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%の触媒を使用する。トリフェニルホスフィンを使用することが好ましい。
【0016】
第二の反応段階において、アルコール混合物をモノイソシアネートR−NCOによりウレタン化すると、反応スキーム2に従って、メタクリレート混合物が生成する。
【化3】

【0017】
ウレタン化は、典型的には20〜180℃で、好ましくは40〜120℃で、特に好ましくは50〜100℃で実施する。場合により触媒と一緒に、第一段階の生成物としてのアルコールを最初に導入し、その後、イソシアネートを滴加する。
【0018】
NCO含量が1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満になったときを、反応の完了とする。NCO含量は、赤外分光法または滴定により測定することができる。
【0019】
当業者に知られている通常の方法によって、異性体混合物を分離することができる。このために、分取カラムクロマトグラフィーが適している。第一段階または第二段階の後に、分離することができる。
【0020】
また、イソシアネートを導入し、その後、アルコールを滴加することもできる。好ましい添加方法は、特定の場合には、出発物質の取扱性、従って、出発物質の粘度に影響される。
【0021】
反応スキーム2の反応に使用してよい触媒は、アミン、並びに金属であるスズ、亜鉛、鉄、ビスマス、モリブデン、コバルト、カルシウム、マグネシウムおよびジルコニウムの化合物である。オクタン酸スズ、オクタン酸亜鉛、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジメチルスズジカルボキシレート、アセチルアセトナート鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、10〜20個の炭素原子および任意にOH側基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、オクタン酸鉛、または第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチルモルホリンまたはN−エチルモルホリン、N,N’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N−ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−ヒドロキシプロピルイミダゾール、1−アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)、またはアルカノールアミン化合物、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N−エチル−ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノールまたはN−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えば、N,N’,N−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンが好ましい。
【0022】
本発明において特に好ましい触媒は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジメチルスズジカルボキシレート、アセチルアセトナート鉄(III)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンである。
【0023】
合成の際、望ましくない重合を回避するために、空気を通常流通させる。この工程の間、十分な量のフェノール、例えばp−メトキシフェノールまたはイオノールが存在することを確実にすべきであり、十分な量とは0.001〜0.1重量%である。しかしながら、後に詳細に記載する別のラジカル安定剤を使用することもできる。
【0024】
イソシアネートR−NCOはモノイソシアネートを包含し、Rは先に記載した意味を有してよい。異性体メチルチオフェニルイソシアネート、例えば、2−メチルチオフェニルイソシアネート、3−メチルチオフェニルイソシアネート、4−メチルチオフェニルイソシアネート、ビス(メチルチオ)フェニルイソシアネート、トリス(メチルチオ)フェニルイソシアネート、テトラ(メチルチオ)フェニルイソシアネートおよびペンタ(メチルチオ)フェニルイソシアネート、エチルチオフェニルイソシアネート、n−プロピルチオフェニルイソシアネート、イソプロピルチオフェニルイソシアネート、ブチルチオフェニルイソシアネート、フェニルチオフェニルイソシアネート、ビス(フェニルチオ)フェニルイソシアネート、ナフチルチオフェニルイソシアネート、ビフェニルイソシアネート、例えば、2−ビフェニルイソシアネート、3−ビフェニルイソシアネートおよび4−ビフェニルイソシアネート、トリフェニルイソシアネート、クロロフェニルイソシアネート、ジクロロフェニルイソシアネート、例えば、3,4−ジクロロフェニルイソシアネート、トリクロロフェニルイソシアネート、テトラクロロフェニルイソシアネートおよびペンタクロロフェニルイソシアネート、並びにそれらの混合物、ブロモフェニルイソシアネート、ジブロモフェニルイソシアネート、トリブロモフェニルイソシアネート、テトラブロモフェニルイソシアネートおよびペンタブロモフェニルイソシアネート、並びにそれらの混合物が特に適している。フェニルイソシアネートの混合置換化合物も可能であり、その例は、クロロブロモフェニルイソシアネート、ブロモ(メチルチオ)フェニルイソシアネート、メチルチオ(フェニル)フェニルイソシアネートおよび類似物である。
【0025】
置換または未置換ナフチルイソシアネートもまた適しており、その例は、ナフチルイソシアネート、フェニルナフチルイソシアネート、チオメチルナフチルイソシアネート、チオエチルナフチルイソシアネート、チオプロピルナフチルイソシアネート、ブロモナフチルイソシアネート、クロロナフチルイソシアネート、多置換ナフチルイソシアネート、および混合置換ナフチルイソシアネートである。
【0026】
異性体ビフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、異性体メチルチオフェニルイソシアネート、ブロモフェニルイソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソシアネートが好ましい。
【0027】
2−ビフェニルイソシアネート、3−ビフェニルイソシアネートおよび4−ビフェニルイソシアネート、3−メチルチオフェニルイソシアネートおよびナフチルイソシアネートが特に好ましい。
【0028】
適当な酸R−COOHは特に芳香族酸であり、置換安息香酸、置換ナフチル酸または未置換ナフチル酸であってよい。式R−COOHにおいて、Rは先に記載した意味を有してよい。
【0029】
フェニル安息香酸、例えば、2−フェニル安息香酸、3−フェニル安息香酸および4−フェニル安息香酸、並びに異性体ビス(フェニル)安息香酸およびトリス(フェニル)安息香酸、異性体ナフチル安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、テトラクロロ安息香酸、ペンタクロロ安息香酸、異性体ブロモ安息香酸、ジブロモ安息香酸、トリブロモ安息香酸、テトラブロモ安息香酸、ペンタブロモ安息香酸、メチルチオフェニル安息香酸、2−メチルチオフェニル安息香酸、3−メチルチオ安息香酸、4−メチルチオ安息香酸、ビス(メチルチオ)安息香酸、トリス(メチルチオ)安息香酸、テトラ(メチルチオ)安息香酸およびペンタ(メチルチオ)安息香酸、エチルチオ安息香酸、n−プロピルチオ安息香酸、イソプロピルチオ安息香酸、ブチルチオ安息香酸、フェニルチオ安息香酸、ビス(フェニルチオ)安息香酸、ナフチルチオ安息香酸を好ましくは使用してよい。
【0030】
2−フェニル安息香酸、3−フェニル安息香酸および4−フェニル安息香酸、異性体ナフトエ酸、異性体クロロ安息香酸、異性体ブロモ安息香酸、異性体メチルチオ安息香酸が特に好ましい。
【0031】
2−フェニル安息香酸、3−フェニル安息香酸および4−フェニル安息香酸、2−ブロモ安息香酸および1−ナフトエ酸がとりわけ好ましい。
【0032】
本発明はまた、マトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物であって、書込モノマーが本発明のメタクリレートを含んでなる感光性ポリマー組成物に関する。
【0033】
適当なマトリックスポリマーは非晶質熱可塑性物質、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、或いはメチルメタクリレート、メタクリル酸または他のアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートおよびアクリル酸のコポリマー;ポリ酢酸ビニルおよびその部分加水分解誘導体、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えばセルロースアセトブチレート、およびポリエチレンオキシドである。マトリックスポリマーは、特に好ましくは、ポリウレタンである。
【0034】
更に、機能性バインダーおよび架橋剤に基づくマトリックスポリマーも適している。このために、二成分のエポキシ系およびウレタン系を使用することができ、二成分ウレタン系が好ましい。ウレタン架橋を利用するためには、ポリイソシアネート架橋剤およびヒドロキシ官能性またはアミン官能性のバインダー(樹脂)が必要とされる。
【0035】
ポリイソシアネート架橋剤の適当な化合物は、当業者に自体知られている、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のジイソシアネートおよびトリイソシアネートの全てであって、それらがホスゲン法によって得られたのかまたはホスゲンフリー法によって得られたのかは重要ではない。また、当業者に自体よく知られており、ウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートの高分子量二次生成物(オリゴイソシアネートおよびポリイソシアネート)を、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することもできる。
【0036】
モノマージイソシアネートまたはトリイソシアネートとして、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネートが適している。同様に、イソシアヌレート構造および/またはイミノオキサジアジントリオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの三量体も適当である。
【0037】
前記したジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートをヒドロキシ官能性化合物またはアミノ官能性化合物と過剰に反応させることによる自体よく知られている方法で得ることができるような、ウレタン構造、アロファネート構造またはビウレット構造を有するイソシアネート官能性プレポリマーの使用も可能である。低いモノマー含量を有する生成物を得るために、後に、未転化出発イソシアネートを除去してもよい。ポリウレタン化学から当業者に自体よく知られている触媒を使用することが、プレポリマー生成を促進するために有用であり得る。
【0038】
ウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージイソシアネートから誘導されたオリゴイソシアネートおよびポリイソシアネートを、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することが適している。
【0039】
イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有する脂肪族ジイソシアネートのオリゴイソシアネートおよびポリイソシアネートを、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することが特に好ましい。
【0040】
適当なヒドロキシ官能性またはアミン官能性のバインダー(樹脂)は、500〜13000g/mol、好ましくは700〜8500g/molの範囲の数平均分子量を有する、ジオールまたはポリオールおよび/またはジアミンまたはポリアミンである。
【0041】
このために好ましい樹脂は、1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.1の平均官能価を有する。
【0042】
前記したタイプのそのようなポリオールは、例えば、脂肪族、脂環式および/または芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸および/またはポリカルボン酸と、二官能性、三官能性および/または多官能性アルコールとに基づくポリエステルアルコール、並びにラクトン系ポリエステルアルコールである。
【0043】
好ましくは500〜4000g/mol、特に好ましくは650〜2500g/molの分子量を有する好ましいポリエステルアルコールは、例えば、アジピン酸と、ヘキサンジオール、ブタンジオールまたはネオペンチルグリコール或いは前記ジオールの混合物との反応生成物である。
【0044】
環式エーテルの重合により、またはアルキレンオキシドとスターター分子との反応により得ることができるポリエーテルポリオールも適している。
【0045】
500〜13000g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール、並びに500〜8000g/mol、好ましくは650〜3000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランを例として挙げることができる。
【0046】
好ましいポリエーテルポリオールは、少なくとも70%のポリプロピレン含量および1.9〜3.1の官能価を有するポリエチレン/ポリプロピレングリコールである。
【0047】
ポリエーテルポリオールとラクトンとの反応によって得ることができるポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールも適している。
【0048】
ポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールが好ましい。200〜2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランとε−カプロラクトンとに基づくポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールが特に好ましく、このポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールは、1000〜8000g/molの数平均分子量を有する。
【0049】
ジオールまたはラクトン変性ジオール或いはビスフェノール(例えばビスフェノールA)と、ホスゲンまたは炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネートまたはジメチルカーボネート)との反応によって得ることができるヒドロキシ末端ポリカーボネートも適している。
【0050】
例として、500〜8000g/molの数平均分子量を有する1,6−ヘキサンジオールのポリマーカーボネート、および1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクトンとの1〜0.1のモル比での反応生成物であるカーボネートを挙げることができる。好ましいカーボネートは、650〜3000g/molの数平均分子量を有し、1,6−ヘキサンジオールに基づく前記ポリカーボネートジオール、および/または1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクトンとの1〜0.33のモル比での反応生成物であるカーボネートである。
【0051】
ヒドロキシ末端ポリアミドアルコールおよびヒドロキシ末端ポリアクリレートジオール、例えばTegomer(登録商標) BD 1000(Tego GmbH(ドイツ国エッセン))を使用することもできる。
【0052】
少なくとも70%のポリプロピレン含量および1.9〜2.5の官能価を有するポリエチレン/ポリプロピレングリコール、並びに400〜1400g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランとε−カプロラクトンとに基づくポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールが特に好ましく、このポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールは、1500〜4000g/molの数平均分子量を有する。
【0053】
光開始剤は通常、化学線によって活性化されて、相応の重合性基の重合を開始することができる開始剤である。光開始剤は、それ自体既知の市販化合物であり、一分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤とに分類されている。更に、化学的性質に依存して、これらの開始剤は、ラジカル重合、アニオン重合(または)カチオン(または混合)重合に使用される。光開始剤は、好ましくは、アニオン染料、カチオン染料または中性染料、および共開始剤を含んでよい。
【0054】
ラジカル光重合のための(I型)系は、例えば、第3級アミンと組み合わせた芳香族ケトン化合物(例えばベンゾフェノン)、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記タイプの混合物である。適当な共開始剤(例えば、メルカプトベンゾキサゾールおよびα−ヒドロキシアルキルフェノン)を伴った、(II型)開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、種々に置換されたヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)もまた適している。EP−A 0223587に記載され、アリールホウ酸アンモニウムと1種以上の染料との混合物からなる光開始剤組成物を、光開始剤として使用することもできる。アリールホウ酸アンモニウムとして、例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボレート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム(sec−ブチル)トリフェニルボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジフェニルジフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、およびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートが適している。適当な染料は、例えば、ニューメチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、ピナシアノールクロリド、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、ビクトリアブルーR、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダロウレッド、ピロニンY、ベーシックレッド29、ピリリウムI、サフラニンO、シアニンおよびメチレンブルー、アズールA(Cunninghamら、RadTech '98 North America UV/EB Conference Proceedings, シカゴ、1998年4月19日〜22日)である。
【0055】
アニオン重合に使用される光開始剤は、概して(I型)系であり、第一系列遷移金属錯体から誘導される。本発明では、クロム塩、例えば、トランス−Cr(NH(NCS)−(Kutalら、Macromolecules 1991, 24, 6872)またはフェロセン化合物(Yamaguchiら、Macromolecules 2000, 33, 1152)が適している。アニオン重合の別の可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合できる、クリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンロイコニトリルのような染料の使用にある(Neckersら、Macromolecules 2000, 33, 7761)。しかしながら、発色団がポリマーに組み込まれるので、得られるポリマーは全体に着色される。
【0056】
カチオン重合に使用される光開始剤は、実質上、以下の3種類を包含する:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(本発明では、とりわけ、ヨードニウム塩、スルホニウム塩およびセレノニウム塩)および有機金属化合物。露光すると、水素供与体の存在下および不存在下、フェニルジアゾニウム塩は、重合を開始するカチオンを生じることができる。系全体の有効性は、ジアゾニウム化合物に使用された対イオンの性質によって決まる。ここでは、それほど反応性ではないが極めて高価なSbF、AsFまたはPFが適している。薄膜被覆への使用には、これらの化合物は概して適当ではない。なぜなら、露光後に遊離される窒素が、薄膜表面の品質を低下させる(ピンホール)からである(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering, 2001, 84, 139)。オニウム塩、特にスルホニウム塩およびヨードニウム塩が、極めて広範囲で使用され、多くの形態で市販されている。これら化合物の光化学は、長い間研究されてきた。ヨードニウム塩は励起後まず均等開裂し、それによってラジカルおよびラジカルアニオンを生じ、ラジカルおよびラジカルアニオンは、H引き抜きにより安定化され、プロトンを遊離し、次いでカチオン重合を開始する(Dektarら、J. Org. Chem. 1990, 55, 639; J. Org. Chem., 1991, 56, 1838)。このメカニズムは、ヨードニウム塩のラジカル光重合への使用も可能にする。ここでも、対イオンの選択が再び重要であり、SbF、AsFまたはPFが同様に好ましい。他の点では、この構造分類において、芳香族の置換基の選択は完全に自由であり、合成に適した出発構成単位の利用可能性によって実質的に決定される。スルホニウム塩は、ノリッシュII型反応に従って分解する化合物である(Crivelloら、Macromolecules, 2000, 33, 825)。スルホニウム塩の場合もまた、対イオンの選択が重要であり、この選択が実質的にポリマーの硬化速度に現れる。SbF塩を使用した場合に概して最良の結果が得られる。ヨードニウム塩およびスルホニウム塩の自己吸収が300nm未満で起こるので、これらの化合物は、近紫外線または短波長可視光での光重合に対して適当に増感させなければならない。これは、より高吸収性の芳香族、例えば、アントラセンおよびその誘導体(Guら、Am. Chem. Soc. Polymer Preprints, 2000, 41 (2), 1266)またはフェノチアジンまたはその誘導体(Huaら、Macromolecules 2001, 34, 2488-2494)を使用することによって達成される。
【0057】
これらの化合物の混合物を使用することが有利な場合もある。硬化に使用される線源に応じて、当業者に既知の方法で、光開始剤のタイプおよび濃度を適合させなければならない。詳細は、例えばP. K. T. Oldring編、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints, 第3巻、1991, SITA Technology, London, 第61〜328頁に記載されている。
【0058】
好ましい光開始剤は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートと、染料、例えば、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンとの混合物である。
【0059】
また、本発明の組成物には、ラジカル安定剤、触媒、可塑剤および他の添加剤を付随的に使用することもできる。
【0060】
例えば”Methoden der organic Chemie” (Houben-Weyl), 第4版、第XIV/1巻、第433頁など、Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1961に記載されているような、重合禁止剤および酸化防止剤が、ラジカル安定剤の例として適している。適当な物質の例は、フェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール、例えばベンズヒドロール、場合によりキノン、例えば2,5−ジ−tert−ブチルキノン、場合により芳香族アミン、例えばジイソプロピルアミンまたはフェノチアジンである。好ましいラジカル安定剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンおよびベンズヒドロールである。
【0061】
また、1種以上の触媒を使用してよい。これらの触媒は好ましくはウレタン生成を触媒する。これらの触媒は一般に、本発明のメタクリレートの製造方法における第二反応段階で使用される触媒と同じ触媒である(先の記載を参照)。
【0062】
別の助剤および添加剤として、例えば、溶媒、可塑剤、均展剤、湿潤剤、消泡剤、接着促進剤、ポリウレタン、熱可塑性ポリマー、オリゴマー、別の官能基(例えば、アセタール基、エポキシド基、オキセタン基、オキサゾリン基、ジオキソラン基および/または親水性基)を有する化合物、例えば塩および/またはポリエチレンオキシドが存在してよい。
【0063】
好ましく使用される溶媒は、本発明に必須の組成物と良好な適合性を有する易揮発性溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンである。
【0064】
使用される可塑剤は、好ましくは、良好な溶解特性、低い揮発性および高い沸点を有する液体である。適当な可塑剤は、ポリウレタン化学で知られている化合物、例えば、芳香族酸のエステル、例えば、フタル酸ジブチル、トリメリット酸トリイソノニルまたはジエチレングリコールジベンゾエート;フェノールのアルカンスルホン酸エステル;脂肪族酸のエステル、例えば、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、アセチルトリブチルシトレート、セバシン酸ジブチル、アジピン酸のポリエステル、またはアジピン酸ジブチル;酢酸エステル、例えばグリセリルトリアセテート;不飽和酸のエステル、例えばジ(2−エチルヘキシル)マレエート;リン酸のエステル、例えばトリブトキシエチルホスフェート;スルホンアミド、例えば、N−ブチルベンゼンスルホンアミド;鉱油、例えば、芳香油、ナフテン油およびパラフィン油;植物油、例えば、樟脳、エポキシ化大豆油または亜麻仁油、ひまし油、短鎖アルコールのエーテル、およびエーテル、例えば、ヘキサンジオールジブチルエーテルまたはトリエチレングリコールジメチルエーテルである。
【0065】
感光性ポリマー組成物は更に、可塑剤としてのウレタンを含有してよく、ウレタンは特に、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていてよい。ウレタンは好ましくは、一般式(5):
【化4】

[式中、nは1以上8以下であり、R、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であり、好ましくは基R、R、Rの少なくとも1つは少なくとも1個のフッ素原子で置換されており、特に好ましくはRは少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基である]
で示されてよい。
【0066】
1つのタイプの添加剤を複数種、同時に使用することが有利な場合もある。もちろん、色々なタイプの添加剤を複数種使用することが有利な場合もある。
【0067】
別の好ましい態様では、書込モノマーが多官能性書込モノマーを更に含んでなることが考えられ、多官能性書込モノマーは特に多官能性アクリレートであってよい。多官能性アクリレートは特に、一般式(IV):
【化5】

[式中、nは2以上4以下であり、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基である]
で示されてよい。
【0068】
別の不飽和化合物、例えば、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル単位含有化合物、並びにオレフィン性不飽和化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、オレフィン、例えば、1−オクテンおよび/または1−デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸を添加することもできる。アクリレートおよびメタクリレートが好ましい。
【0069】
一般に、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルは、それぞれアクリレートおよびメタクリレートと称される。使用できるアクリレートおよびメタクリレートの例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、p−クロロフェニルメタクリレート、p−ブロモフェニルアクリレート、p−ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルメタクリレート、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそれらのエトキシル化類似化合物、N−カルバゾリルアクリレートであるが、これらは使用できるアクリレートおよびメタクリレートの例示にすぎない。
【0070】
もちろん、別のウレタンアクリレートを使用することもできる。ウレタンアクリレートは、少なくとも1個のアクリル酸エステル基を有し、更に少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物を意味すると理解される。ヒドロキシ官能性アクリル酸エステルとイソシアネート官能性化合物との反応によって、そのような化合物が得られることが知られている。
【0071】
このために使用できるイソシアネートの例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートである。そのようなジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−メチルチオフェニルイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート、或いはウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するそれらの誘導体、およびそれらの混合物である。芳香族または芳香脂肪族のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートが好ましい。
【0072】
ウレタンアクリレートの調製に適したヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えば、Tone(登録商標) M100(Dow、ドイツ国シュヴァルバハ)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化された、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)のヒドロキシ官能性モノアクリレート、ジアクリレートまたはテトラアクリレートのような化合物、またはそれらの工業用混合物である。2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、アクリレート基および/またはメタクリレート基を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性不飽和化合物を単独でまたは前記モノマー化合物と組み合わせることも適している。ヒドロキシル基を有し、20〜300mgKOH/gのOH含量を有する自体既知のエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシル基を有し、20〜300mgKOH/gのOH含量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、または20〜300mgKOH/gのOH含量を有するアクリル化ポリアクリレート、およびそれらの互いの混合物、およびそれらとヒドロキシル基含有不飽和ポリエステルとの混合物、およびそれらとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、またはヒドロキシル基含有不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物を使用することもできる。
【0073】
特に、トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびm−メチルチオフェニルイソシアネートと、アルコール官能性アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができるウレタンアクリレートが好ましい。
【0074】
本発明はまた、ホログラムを形成するために可視領域および近紫外領域全体(300〜800nm)における光学的用途に適した露光方法によって処理することができるホログラフィック媒体を製造するための、本発明の感光性ポリマー組成物の使用に関する。可視ホログラムは、当業者に既知の方法によって書込むことができるホログラムの全てを包含する。それらは特に、インライン(ガボア)ホログラム、オフアクシスホログラム、全開口トランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム(レインボウホログラム)、デニシュークホログラム、オフアクシス反射型ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムを包含し、反射型ホログラム、デニシュークホログラムおよび透過型ホログラムが好ましい。本発明の感光性ポリマー組成物を用いて製造できるホログラムの可能な光学的機能は、レンズ、ミラー、偏向ミラー、フィルター、拡散スクリーン、回折素子、光導体、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクのような光学素子の光学的機能に相当してよい。これらの光学素子はしばしば、ホログラムの露光方法およびホログラムの次元に応じて、周波数選択性を示す。
【0075】
また、本発明の感光性ポリマー組成物によって、個人肖像写真、セキュリティードキュメントの生体認証表示、或いは一般に広告、セキュリティーラベル、商標保護、商標ブランド設定、ラベル、意匠要素、装飾、イラスト、回数券、イメージなどのための画像または画像構造の、および(とりわけ前記物質と組み合わせて)デジタルデータを表すことができる画像の、ホログラフィー像またはホログラフィック表示を作成することもできる。それらが照射される角度、照射に使用される光源(可動光源を含む)等に依存して、ホログラフィー像は三次元像の印象を与えることがあるが、画像シーケンス、短編映画または多くの様々な対象物を表すこともある。これらの様々な設計可能性の故に、ホログラム、特に体積ホログラムは、前記用途にとって魅力的な技術的解決法である。
【0076】
感光性ポリマー組成物は特に、フィルム状のホログラフィック媒体として使用することができる。支持体としての、可視スペクトル領域の光を透過(400〜780nmの波長範囲の85%超を透過)する材料または複合材料の層は、その片面または両面について被覆されており、場合により、被覆層は感光性ポリマー層に適用されている。
【0077】
支持体の好ましい材料または複合材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、三酢酸セルロース(CTA)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラールまたはポリジシクロペンタジエン或いはそれらの混合物に基づく。それらは特に好ましくは、PC、PETおよびCTAに基づく。複合材料は、ラミネートフィルムまたは共押出品であってよい。好ましい複合材料は、スキームA/B、A/B/AまたはA/B/Cの1つに基づく二層フィルムおよび三層フィルムである。PC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)が特に好ましい。
【0078】
上記プラスチック支持体に代えて、平面ガラス板を使用することもでき、平面ガラス板は特に、精密な画像化(例えばホログラフィックリソグラフィー)を伴った大面積露光に使用される(Ng, Willie W.; Hong, Chi-Shain; Yariv, Amnon. Holographic interference lithography for integrated optics. IEEE Transactions on Electron Devices (1978), ED-25(10), 1193-1200. ISSN:0018-9383)。
【0079】
支持体の材料または複合材料は、その片面または両面について、付着防止処理、帯電防止処理、撥水処理または親水化処理が施されていてよい。感光性ポリマー層に面する側において、前記変性は、支持体から破壊を伴わずに感光性ポリマー層を取り外せるという目的に役立つ。感光性ポリマー層に面していない支持体面の変性は、例えばロール貼合せ(特にロール−ツー−ロール法)における加工の際に必要とされる、特定の力学的要求を本発明の媒体が満たすことを確実にするのに役立つ。
【実施例】
【0080】
実施例を参照して、本発明を以下でより詳細に説明する。
【0081】
反射装置における二光束干渉によるホログラフィック媒体のホログラム特性DEおよびΔnの測定
次いで、このように製造することができたホログラフィック媒体を、図1の測定装置を用いて、以下のように、ホログラム特性について試験した。
【0082】
空間フィルター(SF)およびコリメーターレンズ(CL)を用いて、He−Neレーザー光(発光波長633nm)を平行均一光に変換した。虹彩絞り(I)によって、信号光と参照光の最終断面を確立した。虹彩絞りの開口径は0.4cmであった。偏光感受型ビームスプリッター(PBS)により、レーザー光は2つの均一偏光コヒーレント光に分けられた。λ/2プレートによって、参照光の出力を0.5mWに調節し、信号光の出力を0.65mWに調節した。試料を取り除いた状態で、半導体検出器(D)を用いて出力を測定した。参照光の入射角(α)は−21.8°、信号光の入射角(β)は41.8°であった。光方向に垂直な試料から出発して角度を測定した。従って、図1によれば、αは負号(−)を有し、βは正号(+)を有する。試料(媒体)の位置で、2つの重なった光の干渉場は、試料に入射する2つの光の角2等分線と垂直である明暗縞の回折格子を生じた(反射型ホログラム)。格子周期とも称される、媒体における縞間隔Λは、約225nmであった(媒体の屈折率は約1.504と考えられる)。
【0083】
図1は、媒体の回折効率(DE)を測定するホログラフィック試験装置を示す。図1は、λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器(HMT)の配置を示す:M=ミラー、S=シャッター、SF=空間フィルター、CL=コリメーターレンズ、λ/2=λ/2プレート、PBS=偏光感受型ビームスプリッター、D=検出器、I=虹彩絞り。α=−21.8°およびβ=41.8°は試料の外(媒体の外)で測定したコヒーレント光の入射角である。RD=ターンテーブルの基準方向。
【0084】
以下の方法で、媒体にホログラムを書込んだ。
・露光時間tの間、両方のシャッター(S)を開放する。
・その後、シャッター(S)を閉じた状態で、媒体を5分間おいて、まだ重合されていない書込モノマーを拡散させた。
【0085】
書込んだホログラムを、以下の方法で読み取った。信号光のシャッターは閉じたままにした。参照光のシャッターを開放した。参照光の虹彩絞りを1mm未満の直径まで閉じた。これにより、媒体の回転角(Ω)の全てにおいて、光が、先に書込んだホログラムに常に完全に存在することが確実となった。コンピューター制御の下、ターンテーブルは、0.05°の角度ステップ幅でΩ最小からΩ最大までの角度範囲をカバーした。Ωは、ターンテーブルの基準方向に垂直な試料から測定した。ホログラムの書込み中に参照光および信号光の入射角が等しくなったとき、即ちα=−31.8°、β=31.8°になったときを、ターンテーブルの基準方向とした。このときΩ書込は0°である。従って、α=−21.8°およびβ=41.8°については、Ω書込は10°である。以下は一般に、ホログラムの書込み中の干渉場にあてはまる。
【数1】

θは媒体外の実験系における半角であり、ホログラムの書込み中は以下があてはまる。
【数2】

従って、この場合、θは−31.8°である。接近したそれぞれの回転角Ωで、相応の検出器Dを用いて、ゼロ次透過された光の出力を測定し、検出器Dを用いて、一次回折された光の出力を測定した。接近したそれぞれの角度Ωで、下記式の商として回折効率を得た。
【数3】

は回折光の検出器での出力であり、Pは透過光の検出器での出力である。
【0086】
前記方法によって、ブラッグ曲線(これは、回折効率ηを、書込んだホログラムの回転角Ωの関数として示す)を測定し、コンピューターに保存した。また、ゼロ次透過強度を、回転角Ωに対してプロットし、コンピューターに保存した。
【0087】
ホログラムの最大回折効率(DE=η最大)、即ちピーク値をΩ再生で測定した。この最大値を測定するために、場合により、回折光の検出器の位置を変える必要があった。
【0088】
次に、測定したブラッグ曲線と透過強度の角度変化とから、結合波理論(H. Kogelnik, The Bell System Technical Journal, 第48巻、1969年11月、第9号、第2909頁〜第2947頁参照)を用いて、感光性ポリマー層の屈折率コントラストΔnおよび厚さdを決定した。光重合の結果生じる厚さの収縮の故に、ホログラムストリップ間隔Λ’およびストリップ配向(傾き)が、干渉縞ストリップ間隔Λおよびその配向から逸脱し得ることに留意しなければならない。従って、α’または最大回折効率が得られるターンテーブルの対応角度Ω再生もまた、αまたは対応するΩ書込からそれぞれ逸脱するであろう。その結果、ブラッグ条件は変わる。この変化は、評価方法において考慮されなければならない。評価方法を以下に記載する:書込ホログラムに関連し、干渉縞に関連しない幾何学的量の全てを、破線により示す量として表す。
【0089】
Kogelnikによれば、反射型ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)について、以下の式があてはまる。
【数4】

ここで、
【数5】

である。
【0090】
ホログラムを読み取る(「再生」する)とき、先の記載と同様に、以下があてはまる:
【数6】

【0091】
ブラッグ条件下では、「位相のずれ」DPは0である。従って、以下の式があてはまる。
【数7】

【0092】
なお未知の角度β’は、厚さ収縮しか生じないと仮定した、ホログラムの書込み中のブラッグ条件と、ホログラムの書込み中の干渉場のブラッグ条件との比較から決定することができる。このとき、以下の式があてはまる。
【数8】

νは回折格子厚さであり、ξは離調パラメータであり、Ψ’は書込んだ屈折率格子の配向(傾き)である。α’およびβ’は、ホログラムの書込み中の干渉場の角度αおよびβに相当するが、媒体において測定され、(厚さ収縮後)ホログラムの回折格子に適用することができる。nは、感光性ポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。λは、真空でのレーザー光の波長である。
【0093】
ξ=0に対する最大回折効率(DE=η最大)は以下である:
【数9】

【0094】
回折効率、理論ブラッグ曲線および透過強度の測定データを、角度離調とも称される中心回転角:
【数10】

に対してプロットし、図2に示す。
【0095】
DEはわかっているので、Kogelnikによる理論ブラッグ曲線の形状は、感光性ポリマー層厚さd’のみによって決まる。次いで、DEの測定値と理論値とが常に一致するように、与えられた厚さd’に対し、DEを介してΔnを補正する。そして、理論ブラッグ曲線の第一二次極小の角度位置が透過強度の第一二次極大の角度位置と一致し、加えて、理論ブラッグ曲線と透過強度の半値全幅(FWHM)が一致するまで、d’を調整する。
【0096】
反射型ホログラムの方向はΩスキャンによる再生時に回転するが、回折光の検出器は測定可能な角度範囲でしか検出できないので、幅広のホログラム(小さいd’)のブラッグ曲線は、適当に検出器の位置を調節しても、Ωスキャンで完全には記録されず、中心領域しか記録されない。従って、層厚さd’を調整するために、ブラッグ曲線に相補的である透過強度の形状を付加的に使用する。
【0097】
図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従ったブラッグ曲線ηのプロット(破線)、測定回折効率のプロット(黒丸)、および透過出力(実線)を示す。図2は、角度離調ΔΩに対してプロットした測定透過出力P(実線、右側のy軸)、(検出器の測定可能範囲で)角度離調ΔΩに対してプロットした測定回折効率(黒丸、左側のy軸)、およびKogelnik理論に適合させたもの(破線、左側のy軸)を示す。
【0098】
ホログラムの書込み中にDEが飽和値に達する、入射レーザー光の平均エネルギー線量を測定するため、1つの組成物について、この手順を、様々な媒体で、様々な露光時間tに対して、場合により数回繰り返した。平均エネルギー線量Eは、角度αおよびβに調整された2つの部分光(P=0.50mWの参照光およびP=0.63mWの信号光)の出力、露光時間tおよび虹彩絞り直径(0.4cm)から、下記式に従って得られる。
【数11】

【0099】
使用される角度αおよびβで、媒体において同じ出力密度が達成されるように、部分光の出力を調節した。
【0100】
本発明のメタクリレートの製造
実施例1.1〜1.3:表1に従った一般的な製造方法
撹拌機および還流冷却器を備えた三ッ口フラスコに、まず、グリシジルメタクリレート、トリフェニルホスフィンおよびイオノール(2,5−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を導入し、空気をゆっくりと流通させた。70℃に加熱した。酸を添加し、バッチがエポキシドを実質的に含まなくなったことをH−NMRスペクトルの結果が示すまで(存在すれば、エポキシドはH−NMR(400MHz、CDCl3)で固有共鳴を示す:δ=2.6(dd)、2.8(dd)、3.2(m))、記載した条件で撹拌を継続した。
【0101】
実施例2.1〜2.3:表2に従った一般的な製造方法
撹拌機および還流冷却器を備えた三ッ口フラスコに、60℃で、まず、表2に示した実施例の生成物およびジラウリン酸ジブチルスズを導入し、空気をゆっくりと流通させた。25分以内にm−メチルチオフェニルイソシアネートを滴加し、発熱反応が起こった。記載した反応条件に従って撹拌し、生成物を得た。
【0102】
実施例3.1〜3.3:表3に従った一般的な製造方法
撹拌機および還流冷却器を備えた三ッ口フラスコに、60℃で、まず、表3に示した実施例の生成物およびジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)を導入し、空気をゆっくりと流通させた。25分以内にナフチルイソシアネートを滴加し、発熱反応が起こった。記載した反応条件に従って撹拌し、生成物を得た。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
ポリオールの調製
実施例4.0
1L容のフラスコに、まず、18gのオクタン酸亜鉛、374.8gのε−カプロラクトン、および374.8gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/molOH、例えばTerathane(登録商標) 1000、BASF SE(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン)の製品)を導入し、120℃に加熱し、固形分が99.5重量%以上になるまでこの温度で保った(固形分とは、未被覆オーブンカバー内で物質1gを125℃で1時間貯蔵し、重量測定結果:
【数12】

に従って計算することにより得られる、不揮発性成分の割合である)。次いで冷却し、ワックス状固体として生成物を得た。
【0107】
ホログラフィック媒体の製造
実施例5.1〜5.6
5.927gの上記のように調製したポリオール成分(実施例4.0)を、60℃で、2.50gの実施例2.1の生成物、0.10gのCGI-909(テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート、[1147315-11-4]、Ciba Inc.(スイス国バーゼル)によって製造された実験生成物)、0.015gの20μmガラスビーズ(Whitehouse Scientific Ltd(英国CH3 7PBチェスター市ワバートン))、0.010gのニューメチレンブルー、および0.35gのN−エチルピロリドンと混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、1.098gのDesmodur(登録商標) XP 2410(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の実験生成物、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品)を添加し、(Speedmixerを用いて)再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、第2のガラス板で覆った。15kgの重さを数時間(通常一晩)かけて、PU組成物を硬化させた。寸法安定性のあるガラスのサンドイッチ構造物(クーポン)を得た。マトリックスの出発粘度および硬化速度が異なる種々の組成物は、同じ感光性ポリマー層厚さd’を常にはもたらさないので、d’は、書込んだホログラムの特性に基づいて、試料ごとに独立して測定した。
【0108】
媒体5.2〜5.6も、表2および3に記載の実施例から同様に製造した。
【0109】
【表4】

【0110】
実施例6.0:フッ素化可塑剤[ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−(2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイル)ビスカルバメート]の調製
還流冷却器および撹拌機を備えた三ッ口丸底フラスコに、まず、0.02gのDesmorapid Z(ジラウリン酸ジブチルスズ)および3.60gの2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート(TMDI)を導入し、70℃に加熱した。次いで、11.39gの1H,1H,7H−パーフルオロヘプタン−1−オールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満になるまで混合物を70℃で維持した。続いて冷却した。無色油状物として生成物を得た。
【0111】
実施例7.1:フッ素化可塑剤の使用
実施例5.1〜5.6の手順と同様に、3.792gの実施例4.0のポリオール、2.500gの実施例3.3の生成物、2.500gの実施例6.0のフッ素化可塑剤、0.1gのCGI-909(テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート)、0.015gの20μmガラスビーズ、0.01gのニューメチレンブルー、および0.345gのN−エチルピロリドンを混合し、透明な溶液を得た。次いで、30℃に冷却し、0.702gのDesmodur(登録商標) XP 2410を添加し、再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28を添加し、(Speedmixerを用いて)再び短時間混合した。以下のホログラム特性を得た:Dn=0.0244/露光時間4秒/エネルギー線量18.1mJ/cm/算出層厚さ12.0μm。
【0112】
実施例7.2:フッ素化可塑剤の使用
実施例7.1の手順と同様に、3.370gの実施例4.0のポリオール、4.000gの実施例3.3の生成物、1.500gの実施例6.0のフッ素化可塑剤、および0.624gのDesmodur(登録商標) XP 2410を使用した。それ以外の成分は、同じ量で使用した。以下のホログラム特性を得た:Dn=0.0265/露光時間2秒/エネルギー線量9.11mJ/cm/算出層厚さ18.0μm。
【0113】
実施例8.1:本発明ではない書込モノマーの調製−ホスホロチオイルトリス(オキシベンゼン−4,1−ジイルカルバモイルオキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート
500mL容の丸底フラスコに、まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジラウリン酸ジブチルスズ(Desmorapid Z、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)、およびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートの27%濃度酢酸エチル溶液(Desmodur(登録商標) RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の製品)の213.07gを導入し、60℃に加熱した。次いで、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで混合物を60℃で維持した。続いて冷却し、酢酸エチルを真空下で完全に除去した。半結晶性固体として、生成物を得た。
【0114】
実施例8.2:別の書込モノマーの使用
実施例7.1の手順と同様に、5.901gの実施例4.0のポリオール、1.500gの実施例3.2の本発明の書込モノマー、1.000gの実施例8.1の本発明ではない書込モノマー、および1.093gのDesmodur(登録商標) XP 2410を使用した。それ以外の成分は、同じ量で使用した。以下のホログラム特性を得た:Dn=0.0061/露光時間4秒/エネルギー線量18.22mJ/cm/算出層厚さ25.0μm。
【0115】
実施例8.3:別の可塑剤の使用
実施例7.1の手順と同様に、4.636gの実施例4.0のポリオール、2.500gの実施例3.2の本発明の書込モノマー、1.500gの実施例6.0の可塑剤、および0.859gのDesmodur(登録商標) XP 2410を使用した。それ以外の成分は、同じ量で使用した。以下のホログラム特性を得た:Dn=0.0060/露光時間4秒/エネルギー線量18.22mJ/cm/算出層厚さ15.0μm。
【0116】
実施例8.4:別の書込モノマーおよびフッ素化可塑剤の使用
実施例7.1の手順と同様に、4.636gの実施例4.0のポリオール、1.500gの実施例3.2の本発明の書込モノマー、1.000gの実施例8.1の本発明ではない書込モノマー、1.500gの実施例6.0の可塑剤、および0.859gのDesmodur(登録商標) XP 2410を使用した。それ以外の成分は、同じ量で使用した。以下のホログラム特性を得た:Dn=0.0026/露光時間8秒/エネルギー線量36.45mJ/cm/算出層厚さ17.0μm。
【0117】
表4並びに実施例7.1、7.2および8.2〜8.4に示されているように、本発明のホログラフィック媒体は、良好なホログラム特性を有する。屈折率変動は0.0026〜0.0265であった。また、本発明のメタクリレートの製造(実施例1.1〜3.3)は、容易に実施することができ、特に蒸留工程を必要とはしなかった。
【符号の説明】
【0118】
M ミラー
S シャッター
SF 空間フィルター
CL コリメーターレンズ
λ/2 λ/2プレート
PBS 偏光感受型ビームスプリッター
D 検出器
I 虹彩絞り
α −21.8°
β 41.8°

【特許請求の範囲】
【請求項1】
およびRが、互いに独立して、置換フェニル基、置換ナフチル基および/または未置換ナフチル基であることを特徴とする、一般式(I)または(II):
【化1】

で示されるメタクリレート、或いはそれらの混合物。
【請求項2】
および/またはRが、6〜24個の炭素原子、0〜5個のイオウ原子、および0〜5個のハロゲン原子を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のメタクリレート。
【請求項3】
および/またはRが、チオエーテル基、フェニル基および/またはハロゲン原子によって置換されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のメタクリレート。
【請求項4】
および/またはRが、ナフチル、3−メチルチオフェニル、2−ビフェニル、3−ビフェニルまたは4−ビフェニル、2−ブロモフェニルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のメタクリレート。
【請求項5】
芳香族酸R−COOHをグリシジルメタクリレートと反応させ、次いで、その生成物を芳香族イソシアネートR−NCOと反応させることを特徴とする、請求項1に記載のメタクリレートの製造方法。
【請求項6】
マトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物であって、書込モノマーが請求項1〜4のいずれかに記載のメタクリレートを含んでなることを特徴とする、感光性ポリマー組成物。
【請求項7】
マトリックスポリマーがポリウレタンであることを特徴とする、請求項6に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項8】
光開始剤が、アニオン染料、カチオン染料または中性染料、および共開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項6または7に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項9】
感光性ポリマー組成物が可塑剤としてのウレタンを更に含有し、ウレタンが特に少なくとも1個のフッ素原子で置換されていてよいことを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項10】
ウレタンが、一般式(III):
【化2】

[式中、nは1以上8以下であり、R、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であり、好ましくは基R、R、Rの少なくとも1つは少なくとも1個のフッ素原子で置換されており、特に好ましくはRは少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基である]
で示されることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項11】
書込モノマーが多官能性書込モノマーを更に含んでなり、多官能性書込モノマーが特に多官能性アクリレートであってよいことを特徴とする、請求項5〜10のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項12】
多官能性アクリレートが、一般式(IV):
【化3】

[式中、nは2以上4以下であり、R、Rは、水素、および/または互いに独立して未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換されていてもよい直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基である]
で示されることを特徴とする、請求項11に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項13】
ホログラフィック媒体を製造するための、特に、インラインホログラム、オフアクシスホログラム、全開口トランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム、デニシュークホログラム、オフアクシス反射型ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムを製造するための、請求項6〜12のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510116(P2013−510116A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537370(P2012−537370)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066633
【国際公開番号】WO2011/054818
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】