説明

新規なTRPA1アンタゴニスト

本発明は、少なくとも1つのTRPファミリーメンバーを調節する組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、新規なTRPA1アンタゴニストおよび慢性炎症性および神経因性疼痛などの疼痛の治療におけるその使用に関する。1以上のTRPA1機能を調節することのできる化合物は、多くの態様において有用であり、それには、限定されるものではないが、カルシウムホメオスタシスの維持;ナトリウムホメオスタシスの維持;細胞内カルシウムレベルの調節;膜分極(膜電位)の調節;陽イオンレベルの調節;ならびに/あるいはカルシウムホメオスタシス、ナトリウムホメオスタシス、カルシウムまたはナトリウムのホメオスタシス異常、あるいは膜分極/過分極(低興奮性および過剰興奮性を含む)に関連する疾患、障害、または状態の治療または予防、ならびに/あるいはTRPA1の発現または機能の制御または誤制御(misregulation)に関連する疾患、障害、または状態の治療または予防が含まれる。本発明はさらに、TRPA1の機能にも、1以上のさらなるTRPチャネルの機能にも拮抗する方法および組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
TRPチャネルは、細胞のホメオスタシス(homeostatis)の調節に関与するチャネルの、大型で重要なクラスを構成する。これらチャネルは、一般に6つのグループ:TRPC(短い)、TRPV(バニロイド)、TRPM(長い、メラスタチン)、TRPP(ポリシスチン類)、TRPML(ムコリピン類)、およびTRPA(アンキリン)に分類される。TRPCファミリーは、配列相同性および機能の類似性に基づいて、4つのグループ、TRPC1、TRPC4、5、TRPC3、6、7およびTRPC2を有する。TRPVファミリーは、6つのメンバーを有し、それにはTRPV5およびTRPV6が含まれるが、それらは互いに、TRPV1、TRPV2、TRPV3、およびTRPV4とよりもさらに密接に関連している。TRPMファミリーは8つのメンバー、TRPMI(メラスタチンまたはLTRPCI)、TRPM3(KIAA16I6またはLTRPC3)、TRPM7(TRP−PLIK、ChaK(1)、LTRPC7)、TRPM6(ChaK2)、TRPM2(TRPC7またはLTRPC2)、TRPM8(Trp−p8またはCMRI)、TRPMS(MtrlまたはLTRPC5)、およびTRPM4(FLJ2004IまたはLTRPC4)を有する。TRPAファミリーの唯一の哺乳類メンバーは、TRPA1としても公知のANKTM1である。TRPA1は、TRPV3と最も密接に関連し、TRPV5およびTRPV6とよりもTRPV1およびTRPV2と密接に関連している。TRPMLファミリーには、TRPML1(ムコリピン1)、TRPML2(ムコリピン2)、およびTRPML3(ムコリピン3)が含まれる。TRPPファミリーは、6回膜貫通ドメインを有すると考えられているもの(TRPP2(PKD2)、TRPP3(PKD2L1)、TRPP5(PKD2L2))および11回膜貫通ドメインを有すると考えられているもの(TRPPI(PKDI、PC I)、PKD−REJおよびPKD−1 LI)の、2つのグループのチャネルを含む。
【0002】
TRPA1は、非選択性陽イオンチャネルであり、TRPAサブファミリーを定義する唯一の哺乳類メンバーである。カルシウムイオンに加えて、TRPA1チャネルは、その他の陽イオン、例えばナトリウムおよび亜鉛に浸透性である。よって、TRPA1チャネルは、陽イオンの流束を調節することにより膜電位を調節する。TRPA1などの非選択性陽イオンチャネルは、数ある中でもカルシウムイオン流束を調節するが、それらは電位依存性のカルシウムチャネルとは機構的に異なっている。電位依存性カルシウムチャネルは、一般に膜電位差の脱分極に応答して、細胞外媒質からカルシウムを流入させ、細胞内カルシウムレベルもしくは濃度を急速に増大させることができる。しかし、非選択性陽イオンチャネルは、一般にシグナル伝達依存性であり、長く持続し、生じるイオン濃度の急速な変化は小さい。これらの機構的な違いは、電位依存性チャネルと陽イオン透過性チャネルとの構造的な違いに付随して起こる。よって、たとえ多様なチャネルの多くが、様々な細胞種において多数の刺激に応答してイオン流束および膜電位を制御する働きをするとしても、異なるクラスのイオンチャネル間の構造的、機能的、および機構的相違点を認識することは重要である。
【0003】
TRPA1は、別の一過性受容器電位ファミリーメンバー、TRPV1を共発現するニューロンの特定の亜集団において、後根神経節、三叉神経節、および下神経節で、かつ、内耳の有毛細胞で高度に発現されることが示された(Corey DPら,Nature 2004,432(7018):723−730;Diogenes Aら,J Dent Res 2007,86(6):550−555;および Story GMら,Cell 2003,112(6):819−829参照)。最初に有害な冷活性化(noxious cold−activated)イオンチャネルとして特徴付けられた後、いくつかの報告により、TRPA1が多数の辛味性または刺激性化合物、例えば、その全てが動物およびヒトにおいて急性疼痛、痛覚過敏症、または神経性炎症を誘導し得る、桂皮アルデヒド、AITC、アクロレイン、アリシン、およびホルマリンなどにより活性化され得ることが示された。(McNamara CRら,Proc Natl Acad Sci USA 2007,104(33):13525−13530;Jordt SEら,Nature 2004,427(6971):260−265;Macpherson LJら,Curr Biol 2005,15(10):929−934;Macpherson LJら,Neurosci 2007,27(42):11412−1 1415;Namer Bら,Neuroreport 2005,16(9):955−959;および Ward Lら,Pain 1996,64(1):129−138参照)。その上、これらの化合物は、末梢適用の後に、一次求心性侵害受容器を活性化させ、脊髄後角感覚ニューロンの自発応答および刺激誘発応答を強化することが示されている。より最近には、組織傷害、炎症、および酸化的ストレスに応答して放出される、α、β−不飽和アルデヒド、4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)および求電子性炭素含有PGJ2代謝産物である15dPGJ2が、TRPA1の最初の内在性活性化物質であると報告された(Taylor−Clark TEら,Mol Pharmacol 2008,73(2):274−281;およびTrevisani Mら,Proc Natl Acad Sci USA 2007,104(33):13519−13524)。大多数のTRPA1活性化物質が、チャネルのN末端に求核性のシステイン残基をいくつか含むそれらの求電子性基の化学反応性によってチャネルをゲート開閉すること、およびTRPA1が、そのN末端のEF−ハンドカルシウム結合ドメインの関係する別の活性化様式によってゲート開閉され得ることも報告されている(Hinman Aら,Proc Natl Acad Sci USA 2006,103(51):19564−19568;Macpherson LJら,Nature 2007,445(7127):541−545参照)。また、TRPA1(Jordtら,(2004)Nature 427:260−265;Bautistaら,(2005)PNAS:102(34):12248−12252)、国際公開第2007073505号、米国特許出願公開第2007219222号、米国特許第5369094号、および米国特許出願公開第2007196866号も参照されたい。
【0004】
TRPV1およびTRPA1を含む、受容体の一過性受容器電位ファミリーの最近の発見および記述により、急性ホルマリンおよびCFA誘導性疼痛を含む、慢性および急性疼痛を治療するための、いくつかの可能性のある新しい治療標的がもたらされた。慢性炎症性および神経因性疼痛のための安全かつ効果的な治療は、多くの患者にとって必須の、未だ対処されていない医学的必要性のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007073505号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007219222号
【特許文献3】米国特許第5369094号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007196866号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Corey DPら,Nature 2004,432(7018):723−730
【非特許文献2】Diogenes Aら,J Dent Res 2007,86(6):550−555
【非特許文献3】Story GMら,Cell 2003,112(6):819−829
【非特許文献4】McNamara CRら,Proc Natl Acad Sci USA 2007,104(33):13525−13530
【非特許文献5】Jordt SEら,Nature 2004,427(6971):260−265
【非特許文献6】Macpherson LJら,Curr Biol 2005,15(10):929−934
【非特許文献7】Macpherson LJら,Neurosci 2007,27(42):11412−1 1415
【非特許文献8】Namer Bら,Neuroreport 2005,16(9):955−959
【非特許文献9】Ward Lら,Pain 1996,64(1):129−138
【非特許文献10】Taylor−Clark TEら,Mol Pharmacol 2008,73(2):274−281
【非特許文献11】Trevisani Mら,Proc Natl Acad Sci USA 2007,104(33):13519−13524
【非特許文献12】Hinman Aら,Proc Natl Acad Sci USA 2006,103(51):19564−19568
【非特許文献13】Macpherson LJら,Nature 2007,445(7127):541−545
【非特許文献14】Bautistaら,(2005)PNAS:102(34):12248−12252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、少なくとも1つのTRPファミリーメンバーを調節する組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、新規のTRPA1アンタゴニストならびに慢性炎症性および神経因性疼痛などの疼痛の治療におけるその使用に関する。TRPA1の機能に拮抗することにより、細胞においてカルシウムホメオスタシス、ナトリウムホメオスタシス、細胞内カルシウムレベル、膜分極(静止膜電位)、および/または陽イオンレベルを調節するための手段が得られる。1以上のTRPA1機能を調節することのできる化合物は、多くの態様において有用であり、それには、限定されるものではないが、カルシウムホメオスタシスの維持;ナトリウムホメオスタシスの維持;細胞内カルシウムレベルの調節;膜分極(膜電位)の調節;陽イオンレベルの調節;ならびに/あるいはカルシウムホメオスタシス、ナトリウムホメオスタシス、カルシウムまたはナトリウムのホメオスタシス異常、あるいは膜分極/過分極(低興奮性および過剰興奮性を含む)に関連する疾患、障害、または状態の治療または予防、ならびに/あるいはTRPA1の発現または機能の制御または誤制御(misregulation)に関連する疾患、障害、または状態の治療または予防が含まれる。本発明はさらに、TRPA1の機能にも1以上のさらなるTRPチャネルの機能にも拮抗する方法および組成物に関する。
【0008】
本発明は、TRPA1機能を調節する化合物、およびこれらの化合物を用いる方法を提供する。本発明のもう一つの態様は、有効量の、TRPA1機能を阻害する化合物を投与することを含む、細胞または動物においてTRPA1機能を調節する方法であり、該化合物は、TRPA1媒介性イオン流束を阻害する。本発明のもう一つの態様は、有効量の、TRPA1機能を阻害する化合物を細胞に投与することを含む、細胞においてTRPA1機能を調節する方法に関し、該化合物は、TRPA1に媒介されるカルシウム流入を阻害する。本発明のもう一つの態様は、被験体に治療上有効な量の、TRPA1機能を阻害する化合物を投与することを含む、被験体においてTRPA1機能に関連する疾患または状態を予防または治療する方法に関し、該化合物は、TRPA1に媒介されるカルシウム流入を阻害する。本発明のさらにもう一つの態様は、被験体に治療上有効な量の、TRPA1機能を阻害する化合物を投与することを含む、被験体においてTRPA1機能に関連する疾患または状態を予防または治療する方法に関し、該化合物は、TRPA1に媒介されるカルシウム流束を阻害する。カルシウム流入の阻害とは、化合物がそのカルシウム流入をインビトロかまたはインビボのいずれかのアッセイにおいて阻害する能力をさす。インビトロかまたはインビボのいずれかのアッセイにおけるカルシウム流束の阻害は、特定の化合物の特定の機能活性の代用として役立つ。
【0009】
本発明のこれらおよびその他の態様は、本明細書全体を精査すると理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式Iの化合物:
【0011】
【化1】

またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグに関し、式中、
Wは、CH、NC(O)R、NC(O)NR、NR、CHR、−O−を表し、
U、X、Y、およびZは、独立に、CH、または−O−を表し;
は、水素、またはC1−6アルキルを表し;
は、水素、またはC1−6アルキル、C(O)N(R、C(O)R、C(O)O(CH6−10アリール、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリールを表し;前記アルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりRの1〜3個の基で置換され;
およびRは、独立に、H、(CHOR、(CHOR、CH(OR、CHO(CHOR、CHF、(CHNR、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリール、(CHR3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、CF、CF、CHSi(C5−6アリール)、C(O)1−2、またはC1−6アルキルを表し;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりRの1〜3個の基で置換され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と組み合わされて、場合によりO、N、およびSから選択される1以上のさらなるヘテロ原子を含有し、場合によりRの1〜3個の基で置換されているC5−10ヘテロシクリルを形成することができ;
は、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、C(O)N(R、C(ROR、C(O)R、NO、CN、N(R、C(O)OR、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合により、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換され;かつ
nが、0〜4を表す。
【0012】
本発明のもう一つの態様は、Rが水素であり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0013】
本発明のもう一つの態様は、RがC1−6アルキルであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。本発明の下位実施形態は、Rがメチルである場合に実現される。
【0014】
本発明のもう一つの態様は、RおよびRが、独立に、H、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリール、(CHR3−10シクロアルキル、またはC1−6アルキルからなる群から選択される場合に実現され;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりRの1〜3個の基で置換され、その他の変数は、全て最初に記載される通りである。RおよびRのこの態様の下位実施形態は、RおよびRのうちの一方が、水素、またはCHであり、もう一方がそうでない場合に実現される。RおよびRのこの態様のさらなる下位実施形態は、RおよびRのうちの一方が、水素であり、もう一方が、C1−6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、インデネイル(indeneyl)、(CHRフェニル、(CHRインドリル、(CHRナフチル(napthyl)、ピペロニル、(CHRプリジル、(CHRイミダゾリル、(CHRピリミジニル、ピラノイル、(CHRキノリニル、(CHRイソキノリニルからなる群から選択され、全てが場合によりRの1〜3個の基で置換され、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。RおよびRのこの態様の下位実施形態は、C1−6アルキルが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、および同類のものからなる群から選択され、その全てが場合によりRの1〜3個の基で置換されている場合に実現される。
【0015】
本発明のもう一つの態様は、RおよびRは、それらが結合している窒素と組み合わされて、場合によりO、NおよびSから選択される1以上のさらなるヘテロ原子を含有するC5−10ヘテロシクリルを形成し、かつ、場合によりRの1〜3個の基で置換され、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。RおよびRのこの態様の下位実施形態は、それらが組み合わされてモルホリニルを形成する場合に実現される。
【0016】
本発明のもう一つの態様は、Rが、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF3、3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合により、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されている。Rのこの態様の下位実施形態は、それが、フッ素、塩素、メトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、OH、CN、CF、およびORからなる群から選択される場合に実現される。
【0017】
本発明のもう一つの態様は、Wが、CHRであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。本発明の下位実施形態は、RがHである場合に実現される。本発明の別の下位実施形態は、Rが(CH5−10ヘテロシクリル、C1−6アルコキシ、(CHOHおよびCHOSi(フェニル)からなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリル、アルコキシおよびフェニルは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、Wが、NRであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、Wが、−O−であり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0020】
本発明のもう一つの態様は、Wが、−NC(O)Rであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。本発明の下位実施形態は、Rが、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール、(CH3−10シクロアルキル、またはC1−6アルキルからなる群から選択される場合に実現され、前記アルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびシクロアルキルは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。本発明のさらに別の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、(CHフェニル、(CHインデニル、ピラノイル、および、ピペロニルからなる群から選択される場合に実現され、前記アルキル、フェニル、およびインデニルは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。
【0021】
本発明のもう一つの態様は、Wが、−NC(O)NRであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。本発明の下位実施形態は、RおよびRのうちの一方が、水素であり、もう一方が、(CH5−10ヘテロシクリル、(CH6−10アリール、(CH3−10シクロアルキル、またはC1−6アルキルからなる群から選択される場合に実現され、前記アルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびシクロアルキルは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。本発明のさらに別の下位実施形態は、RおよびRのうちの一方が、水素であり、もう一方が、C1−6アルキル、および(CHフェニルからなる群から選択される場合に実現され、前記アルキル、およびフェニルは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、W、U、Z、YおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、Wが、NC(O)Rであり、U、Z、YおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0024】
本発明のもう一つの態様は、Wが、NC(O)NRであり、U、Z、YおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0025】
本発明のもう一つの態様は、Wが、NRであり、U、Z、YおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0026】
本発明のもう一つの態様は、Yが、−O−であり、W、U、ZおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0027】
本発明のもう一つの態様は、Xが、−O−であり、W、U、ZおよびYが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0028】
本発明のもう一つの態様は、Zが、−O−であり、W、U、YおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0029】
本発明のもう一つの態様は、Wが、−O−であり、Z、U、YおよびXが、CHであり、その他の変数が全て最初に記載される通りである場合に実現される。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、構造式Ia:
【0031】
【化2】

の化合物またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグにより実現され、
式中、Raおよびnは、本明細書に記載される通りであり、Rは、H、(CHOR、CH(OR、およびCHSi(C5−6アリール)からなる群から選択される。式Iaの化合物の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されている。式Iaのこの態様のさらなる下位実施形態は、Rが、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、テトラゾリル、OH、CN、CF、およびOR、好ましくはフッ素、塩素、フェニル、テトラゾリル、メチル、メトキシ、OH、およびCNからなる群から選択される場合に実現される。式Iaの化合物の別の下位実施形態は、nが0〜3、好ましくは0〜2、0〜1または0である場合に実現される。式Iaの化合物のさらに別の下位実施形態は、Rが水素である場合に実現される。式Iaの化合物の別の下位実施形態は、Rがメチルである場合に実現される。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、構造式Ibの化合物:
【0033】
【化3】

またはその製薬上許容される塩、または、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグにより実現され、式中、Raおよびnは、本明細書に記載される通りである。式Ibの化合物の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されている。式IbおよびIb1のこの態様のさらなる下位実施形態は、Rが、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、テトラゾリル、OH、CN、CF、およびOR、好ましくはフッ素、塩素、フェニル、テトラゾリル、メチル、メトキシ、OH、およびCNからなる群から選択される場合に実現される。式Ibの化合物の別の下位実施形態は、nが、0〜3、好ましくは0〜2、0〜1、または0である場合に実現される。式Ibの化合物のさらに別の下位実施形態は、式IbのRが水素である場合に実現される。式Ibの化合物の別の下位実施形態は、Rがメチルである場合に実現される。
【0034】
本発明のさらに別の態様は、構造式Icの化合物:
【0035】
【化4】

またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグにより実現され、式中、Rは、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリール、(CHR3−10シクロアルキル、またはC1−6アルキルからなる群から選択され;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。式Icの化合物の下位実施形態は、Rが、場合によりRの1〜3個の基で置換されているメチル、エチル、プロピル、またはブチルである場合に実現される。式Icの化合物の別の下位実施形態は、Rが、全て、存在する場合は水素またはメチルである、式IcのRおよびRの1〜3個の基で場合により置換されている、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである場合に実現される。式Icの化合物の別の実施形態は、Rが、場合により置換されているピペロニル、インドリル、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル(pyrimidnly)、キノリニル、イソキノリニル、ピラノイル、またはナフチルであり、式IcのRが、存在する場合、水素またはメチルである場合に実現される。式Icの化合物に関して、場合により置換されているとは、Rの1〜3個の基で置換されていることを意味する。式Icの化合物の別の下位実施形態は、nが、0〜3、好ましくは0〜2、0〜1または0である場合に実現される。
【0036】
本発明のさらに別の態様は、構造式Idの化合物:
【0037】
【化5】

またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグにより実現され、式中、Rおよびnは、最初に本明細書に記載される通りであり、Rは、Rまたは−NRである。式Idの化合物の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択されるRである場合に実現され、前記シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。式Idの化合物のさらなる下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、(CHフェニル、ピラノイル、またはインデニルである場合に実現され、前記アルキル、フェニルおよびインデネイル(indeneyl)が、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。式Idの化合物の別の下位実施形態は、Rが−NRである場合に実現され、この際、RおよびRのうちの一方は、水素であり、もう一方は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択され、前記シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりRの1〜3個の基で置換されている。Rが−NRである場合、式Idの化合物のさらなる下位実施形態は、RおよびRのうちの一方が水素であり、もう一方が、C1−6アルキル、および(CHフェニルである場合に実現され、前記アルキル、およびフェニルは場合によりRの1〜3個の基で置換されている。式Idの化合物の別の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されている。式Idのこの態様のさらなる下位実施形態は、Rが、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、テトラゾリル、OH、CN、CF、およびOR、好ましくはフッ素、塩素、フェニル、テトラゾリル、メチル、メトキシ、OH、およびCNからなる群から選択される場合に実現される。式Idの化合物の別の下位実施形態は、nが、0〜3、好ましくは0〜2、0〜1または0である場合に実現される。式Idの化合物のさらに別の下位実施形態は、存在する場合、Rが水素である場合に実現される。
式Idの化合物の別の下位実施形態は、存在する場合、Rがメチルである場合に実現される。
【0038】
本発明のさらに別の態様は、構造式Ieの化合物:
【0039】
【化6】

またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグにより実現され、式中、Rおよびnは、本明細書に記載される通りであり、Wは、CHRまたは−O−であり、Yは、CHまたは−O−であり、Rは、H、(CHOR、CH(OR、およびCHSi(C5−6アリール)からなる群から選択される、但し、YとWの両方が同時に−O−ではない。式Ieの化合物の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCFまたはCNの1〜3個の基で置換されている。式Ieのこの態様のさらなる下位実施形態は、Rが、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、テトラゾリル、OH、CN、CF、およびOR、好ましくはフッ素、塩素、フェニル、テトラゾリル、メチル、メトキシ、OH、およびCNからなる群から選択される場合に実現される。式Ieの化合物の別の下位実施形態は、nが、0〜3、好ましくは0〜2、0〜1または0である場合に実現される。式Ieの化合物のさらに別の下位実施形態は、Rが水素である場合に実現される。式Ieの化合物の別の下位実施形態は、Rがメチルである場合に実現される。
【0040】
本発明のもう一つの態様は、構造式Ifの化合物:
【0041】
【化7】

またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグを用いて実現され、式中、Rおよびnは、本明細書に記載される通りであり、U、X、およびZは、独立に、CHまたは−O−から選択される、但し、U、X、およびZのうちの1つだけが常に−O−であり得る。式Ifの化合物の下位実施形態は、Rが、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択される場合に実現され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されている。式Ifのこの態様のさらなる下位実施形態は、Rが、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、テトラゾリル、OH、CN、CF、およびOR、好ましくはフッ素、塩素、フェニル、テトラゾリル、メチル、メトキシ、OH、およびCNからなる群から選択される場合に実現される。式Ifの化合物の別の下位実施形態は、nが、0〜3、好ましくは0〜2、0〜1または0である場合に実現される。式Ifの化合物のさらに別の下位実施形態は、Rが水素である場合に実現される。式Ifの化合物の別の下位実施形態は、Rがメチルである場合に実現される。
【0042】
本発明の化合物の例は、表AおよびBに見出される:
【0043】
【表1】












またはその製薬上許容される塩、あるいは該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、酸化的代謝産物またはプロドラッグ。
【0044】
【表2】





またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、酸化的代謝産物またはプロドラッグ。
【0045】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面を有することができ、ラセミ化合物、ラセミ混合物として、かつ、個々のジアステレオマーとして生じ、光学異性体を含む、全ての起こり得る異性体は本発明に含められる。(E.L.Eliel and S.H.Wilen Stereochemistry of Carbon Compounds(John Wiley and Sons,New York 1994)、特に1119〜1190頁参照)。
【0046】
一般式Iの化合物において、原子は、その天然の同位体存在度を提示することができる、または1以上の原子は、同じ原子番号を有するが、自然界において優勢に見出される原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する、特定の同位体を人工的に濃縮することができる。本発明は、一般式Iの化合物の全ての適した同位体変化を含むことが意図される。例えば、水素(H)の異なる同位体形態には、プロチウム(H)および重水素(H)が含まれる。プロチウムは、自然界に見出される優勢な水素同位体である。重水素を濃縮することは、特定の治療上の利点、例えばインビボ半減期の増加または必要用量の低下などをもたらすことができるか、または生体試料の特性決定の基準として有用な化合物を提供することができる。一般式I内の同位体濃縮した化合物は、過度の実験を行うことなく、当業者に周知の従来技法によるか、または本明細書のスキームおよび実施例に記載されるプロセスに類似するプロセスにより、適切な同位体濃縮された試薬および/または中間体を用いて調製することができる。
【0047】
任意の変数(例えばアリール、複素環、R1a、Rなど)が、任意の構成物において2回以上出現する場合、各々の出現でのその定義は、他の全ての出現で独立している。また、置換基/または変数の組合せは、かかる組合せが安定した化合物をもたらす場合に限り許容される。
【0048】
その上、本明細書に開示される化合物は、互変異性体として存在することができ、たとえただ1つの互変異性構造しか表されていないとしても、両方の互変異性型は、本発明の範囲に包含されることが意図される。例えば、以下での化合物Aに対するどんな特許請求も、互変異性構造B(逆の場合も同様)ならびにその混合物を含むと理解される。
【0049】
【化8】

本明細書において、「アルキル」は、指定された数の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことが意図される;「アルコキシ」は、酸素橋を介して結合している、示された数の炭素原子のアルキル基を表す。「ハロゲン」または「ハロ」とは、本明細書において、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0050】
好ましくは、アルケニルは、C−Cアルケニルである。
【0051】
好ましくは、アルキニルは、C−Cアルキニルである。
【0052】
本明細書において、「シクロアルキル」は、指定された数の炭素原子を有する環状飽和脂肪族炭化水素基を含むことが意図される。好ましくは、シクロアルキルは、C−C10シクロアルキルである。かかるシクロアルキル要素の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0053】
本明細書において、「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、各々の環が最大7個の環員をもつ任意の安定した単環式または二環式炭素環を意味することが意図される。かかるアリール要素の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが挙げられる。
【0054】
本明細書において用いられるヘテロシクリル、複素環または複素環式という用語は、飽和かまたは不飽和であり、炭素原子と、N、O、およびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子からなり、かつ、上記定義の複素環のいずれかがベンゼン環に融合している任意の二環式基を含む、安定した5員〜7員の単環式または安定した8員〜11員の二環式複素環を表す。複素環は、安定した構造の作成をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で結合することができる。ヘテロシクリル、複素環または複素環式という用語には、ヘテロアリール部分が含まれる。かかる複素環式要素の例としては、限定されるものではないが、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル(benzotriazolyly)、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル(oxopiperdinyl)、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾロピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニル、およびトリアゾリルが挙げられる。かかる複素環式要素の実施形態としては、限定されるものではないが、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル(oxopiperdinyl)、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、2−ピリジノニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられる。
【0055】
好ましくは、複素環は、2−アゼピノニル、ベンズイミダゾリル、2−ジアザピノニル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、チエニルおよびトリアゾリルから選択される。
【0056】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が芳香族であり、1〜4個の炭素原子が、N、O、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられる、各々の環が最大7個の環員をもつ任意の安定した単環式または二環式炭素環を意味することが意図される。かかる複素環式要素の例としては、限定されるものではないが、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられる。
【0057】
本明細書において、特に定義されない限り、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アロイル、置換アリール、置換ヘテロアロイル、置換ヘテロアリール、置換アリールスルホニル、置換ヘテロアリール−スルホニルおよび置換複素環には、化合物の残りの部分との結合点に加えて、1〜3個の置換基を含有する部分が含まれる。好ましくは、かかる置換基は、限定されるものではないが、F、Cl、Br、CF、NH、N(C−Cアルキル)、NO、CN、(C−Cアルキル)O−、(アリール)O−、−OH、(C−Cアルキル)S(O)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、イソチアゾリルおよびC−C20アルキルが含まれる群から選択される。
【0058】
本明細書において、医薬品に関して「十分に低い発熱物質活性」とは、調製物を投与した被験体において有害作用(例えば、刺激、熱、炎症、下痢、呼吸困難、エンドトキシンショックなど)を引き起こす量の発熱物質を含まない調製物をさす。例えば、この用語は、例えば、リポ多糖(LPS)などのエンドトキシンを含まないかまたは実質的に含まない調製物を包含することを意味する。
【0059】
本明細書において「アンタゴニスト」および「阻害剤」は、生物活性を低下させるかまたは抑制する薬剤、例えば、TRPA1などのイオンチャネルの活性を抑制するための薬剤などをさすために同義的に使用される。TRPA1阻害剤には、本明細書において開示される構造および/または機能特性の任意の組合せを有する阻害剤が含まれる。
【0060】
本明細書において、例えば、TRPAIアンタゴニストの「有効量」は、阻害または治療の本方法に関して、望ましい投与計画の一部として適用された場合に望ましい臨床または機能結果をもたらす、調製物中のアンタゴニストの量をさす。理論に縛られるものではないが、本発明の方法で使用する有効量のTRPAIアンタゴニストには、TRPA1チャネルの1以上のインビトロまたはインビボでの機能を低下させるために効果的なTRPAIアンタゴニストの量が含まれる。例示的な機能としては、限定されるものではないが、膜分極(例えば、アンタゴニストは細胞の過分極を促進することができる)、イオン流束、細胞中のイオン濃度、外向き電流、および内向き電流が挙げられる。TRPA1機能に拮抗する化合物には、TRPA1のインビトロまたはインビボでの機能活性に拮抗する化合物が含まれる。特定の機能活性がインビトロアッセイでのみ容易に観察可能である場合、そのインビトロアッセイにおいて化合物がTRPA1機能を阻害する能力は、その化合物の活性の合理的な代理物として役立つ。特定の実施形態では、有効量は、TRPA1に媒介される電流を阻害するために十分な量および/またはTRPAIに媒介されるイオン流束を阻害するために十分な量である。
【0061】
本明細書において「予防する」は、当分野において認識されているものであり、局所再発などの状態(例えば、疼痛)、癌などの疾患、心不全などの複合性症状群(syndrome complex)または任意のその他の医学的状態に関して使用される場合は当技術分野で十分に理解されていて、それには、組成物を投与されない被験体と比較して、被験体における医学的状態の症状の頻度を低下させるか、またはその発症を遅らせる組成物の投与が含まれる。よって、癌の予防には、例えば、予防的処置を受けている患者の集団において未処置集団と比較して検出可能な癌性増殖の数を低下させること、および/または未処置の対照集団に対して処置集団において検出可能な癌性増殖の出現を、例えば、統計上および/または臨床上有意な量で遅延させることが含まれる。感染の予防には、例えば、未処置の対照集団に対して処置集団において感染の診断数を減少させること、および/または未処置の対照集団に対して処置集団において感染の症状の発症を遅延させることが含まれる。疼痛の予防には、例えば、未処置の対照集団に対して処置集団において被験体が経験する疼痛感覚の大きさを低下させることまたあるいは疼痛感覚を遅延させることが含まれる。
【0062】
本明細書において「プロドラッグ」は、生理的条件下で、本発明の治療活性薬剤に変換される化合物を包含することが意図される。プロドラッグを製造するための一般法は、生理的条件下で加水分解されて所望の分子を明らかにする、選択された部分を含めることである。その他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。
【0063】
医学で使用するためには、式Iの化合物の塩は、製薬上許容される塩となる。しかし、その他の塩は、本発明に従う化合物またはそれらの製薬上許容される塩の調製において有用であり得る。本発明の化合物が酸性である場合、適した「製薬上許容される塩」とは、無機塩基および有機塩基を含む製薬上許容される無毒の塩基から調製された塩をさす。無機塩基に由来する塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛および同類のものが挙げられる。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。製薬上許容される有機無毒塩基に由来する塩としては、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタインカフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミントリプロピルアミン、トロメタミンおよび同類のものの塩が挙げられる。
【0064】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸を含む、製薬上許容される無毒の酸から調製することができる。かかる酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸および同類のものが挙げられる。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0065】
上に記載される製薬上許容される塩およびその他の典型的な製薬上許容される塩の調製は、Bergら,「Pharmaceutical Salts」,J Pharm.Sci,1977:66:1−19によってより十分に説明されている。
【0066】
本発明はさらに、ヒト患者における投与のために、または獣医学使用のために処方された、有効量の少なくとも1種類の式Iの化合物またはその塩、あるいは該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、酸化的代謝産物またはプロドラッグ、および1以上の製薬上許容される担体を含む、医薬組成物に関する。特定の態様では、医薬組成物に含められる化合物は、それ自体活性であってもよいし、または、例えば、生理学的な周囲環境で活性化合物に変換され得るプロドラッグであってもよい。
【0067】
組成物は、限定されるものではないが、1以上の緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、沈殿防止剤、滑沢剤、吸着剤、界面活性剤、防腐剤および同類のものを含むことができる。組成物は、経口投与(例えば、水薬、ボーラス、錠剤、粉末、カプセル剤、マウススプレー、乳剤);非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、脊髄内、静脈内、硬膜外注射);局所適用(例えば、クリーム、軟膏、制御放出パッチ、スプレー);膣内、直腸内、経皮、眼、または鼻腔投与、あるいは吸入による投与のための固体、液体、ゲル、軟膏、または懸濁液として処方することができる。よって、本発明の一態様は、局所に投与されるTRPA1アンタゴニストである。本発明のもう一つの態様は、経口的に投与されるTRPA1アンタゴニストである。本発明のもう一つの態様は、非経口的に(parentally)投与されるTRPA1アンタゴニストである。
【0068】
本発明の化合物が、ヒトおよび動物に医薬品として投与される場合、それらは、それ自体で、または、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の有効成分を製薬上許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として投与され得る。
【0069】
選択された用量レベルは、用いる本発明の特定の化合物、またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与の時期、用いる特定の化合物の排出速度、処置の持続時間、用いる特定の化合物と組み合わせて使用するその他の薬物、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康状態および以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の要因を含む、多様な要因によって決まることになる。
【0070】
当技術分野の通常の技量を有する医師または獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、医薬組成物中に用いる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を実現するために必要なレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が実現されるまで薬用量を徐々に増加させることもあり得る。
【0071】
一般に、本発明の化合物の適した日用量は、治療効果を生じるために効果的な最小用量の化合物の量となる。そのような有効量は、一般に上に記載される要因によって決まる。一般に、患者に対する本発明の化合物の静脈内、脳室内および皮下用量は、1日あたり体重1キログラムあたり約0.0001〜約100mgの範囲となる。必要に応じて、活性化合物の効果的な日用量を、別々に投与される2、3、4、5、6またはそれ以上の下位用量として、一日を通じて適切な間隔で、場合により単位剤形で投与してよい。
【0072】
特定の実施形態では、医薬組成物は、TRPA1の活性化を伴う状態、またはTRPA1活性の低下が重篤度を低下させることのできる状態を治療または予防する際の使用のためのものであり得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、ヒト患者で用いるために、または獣医学的使用のために適した十分に低い発熱物質活性を有する。
【0073】
特定の態様では、本発明の化合物は、1以上の鎮痛薬と組み合わされ、それには、限定されるものではないが、オピオイド、グルココルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、ナフチルアルカノン、オキシカム、パラアミノフェノール誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸誘導体、サリチル酸塩、フェナム酸、フェナム酸誘導体、ピロゾール(pyrozoles)、およびピロゾール誘導体が含まれる。かかる鎮痛薬化合物の例としては、限定されるものではないが、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール(levorphamol)、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン、ペンタゾシン、エトドラック、インドメタシン、スリンダク(sulindae)、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、オキサプロジン、アスピリン、ジフルニサル、メクロフェナム酸;メフェナム酸(mefanamic acid)、プレドニゾロン、およびデキサメタゾンが挙げられる。好ましい鎮痛薬は、非ステロイド系抗炎症薬およびオピオイド(好ましくはモルヒネ)である。
【0074】
特定の態様では、本発明の化合物は、1以上の非ステロイド系抗炎症薬と組み合わされ、それには、限定されるものではないが、ピロキシカム、ジクロフェナク、エトドラック、インドメタシン、ケトロラク(ketoralac)、オキサプロジン、トルメチン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナム酸、スリンダク、アパゾン、フェニールブタゾン、アスピリン、セレコキシブおよびロフェコキシブが挙げられる。
【0075】
特定の態様では、本発明の化合物は、1以上の抗ウイルス薬と組み合わされ、それには、限定されるものではないが、アマンタジン、アシクロビル、シドホビル、デスシクロビル、デオキシアシクロビル、ファムシクロビル、ホスカメット、ガンシクロビル、ペンシクロビル、アジドウリジン、アンサマイシン(anasmycin)、アマンタジン、ブロモビニルデオキスジン(bromovinyldeoxusidine)、クロロビニル(chlorovinyldeoxusidine)、エイタルビン(eytarbine)、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン(dideoxycitidine)、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレオシド、エドクスジン(edoxuidine)、エンビロキシム、ファシタビン(facitabine)、ホスカメット、フィアルリジン、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ヒペリシン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオン酸塩、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタビルジン(stavirdine)、サルグラモスチム(sargramostin)、スラミン、トリコサンチン、トリブロモチミジン、トリクロロチミジン、ビダラビン、ジドビリジン(zidoviridine)、ザルシタビン3−アジド−3−デオキシチミジン、2’,3’−ジデオキシアデノシン(ddA)、2’,3’−ジデオキシグアノシン(ddG)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、2’,3’−ジデオキシチミジン(ddT)、2’3’−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)、2’デオキシ−3’−チア−シトシン(3TCまたはラミブジン(lamivudime))、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’,3’ジデオキシ−2’−フルオロイノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロチミジン、2’,3’−ジデオキシ−2’フルオロシトシン、2’3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロチミジン(Fd4T)、2’3’ジデオキシ−2’−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2’3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロ−イノシン(FddI)、および2’,3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロシトシン(F−ddC)、三ナトリウムホスホモノホルメート、トリフルオロチミジン、3’アジド−3’チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)、およびイドクスウリジンが挙げられる。
【0076】
特定の態様では、本発明の化合物は、1以上の抗菌薬と組み合わされ、それには、限定されるものではないが、塩酸アマンファジン(amanfadine hydrochloride)、硫酸アマンファジン(amanfadine sulfate)、アミカシン、硫酸アミカシン、アモグリコシド(amoglycosides)、アモキシシリン、アンピシリン、アンサマイシン(amsamycins)、バシトラシン、β−ラクタム、カンジシジン、カプレオマイシン、カルベニシリン、セファレキシン、セファロリジン、セファロチン、セファゾリン、セファピリン、セファラジン、セファログリシン、キロムフェニコルス(chilomphenicols)、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン(chloshexidine gluconate)、塩酸クロルヘキシジン、クロロキシン、クロルキナルドール、クロルテトラサイクリン、塩酸クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、サーキュリン、クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジヨードヒドロキシキン、ドキシサイクリン、エタンブトール、塩酸エタンブトール、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エルマイシンステアレート(erhmycin stearate)、ファメソール(famesol)、フロキサシリン、ゲンタマイシン、硫酸ゲンタマイシン、グラミシジン、グリセオフルビン(giseofulvin)、ハロプロジン、ハロキノール(haloquinol)、ヘキサクロロフェン、イミノサイクリン(iminocylcline)、ヨードクロロヒドロキシキン、カナマイシン、硫酸カナマイシン、リンコマイシン、リネオマイシン(lineomycin)、リネオマイシンヒドロクロリド(lineomycin hydrochoride)、マクロライド、メクロサイクリン、メタサイクリン、塩酸メタサイクリン、メテニン(methenine)、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、メチシリン、メトロニダゾール(metonidazole)、ミコナゾール、塩酸ミコナゾール、ミノサイクリン、塩酸ミノサイクリン、ムピロシン、ナフェシリン(nafeillin)、ネオマイシン、硫酸ネオマイシン、ネチミシン(netimicin)、硫酸ネチルマイシン、ニトロファラゾン(nitrofarazone)、ノルフロキサシン、ナイスタチン、オクトピロックス、オレアンドマイシン、オルセファロスポリン(orcephalosporins)、オキサシリン、オキシテアクリン(oxyteacline)、塩酸オキシテトラサイクリン、パラクロロメタキシレノール(parachlorometa xylenol)、パロモマイシン、硫酸パロモマイシン、ペニシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ペンタミジン、塩酸ペンタミジン、フェネチシリン、ポリミキシン、キノロン、硫酸ストレプトマイシン、テトラサイクリン、トブラマイシン、トルナフテート、トリクロサン、トリファムピン(trifampin)、リファマイシン、ロリテトラサイクリン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン(struptomycin)、スルホンアミド、テトラサイクリン、テトラサイクリン、トブラマイシン、硫酸トブラマイシン、トリクロカーボン(triclocarbon)、トリクロサン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、タイロシン、バンコマイシン、およびイロスリシン(yrothricin)が挙げられる。
【0077】
特定の態様では、本発明の化合物は、1以上の鎮咳薬、鬱血除去薬、または去痰薬と組み合わされる。
【0078】
特定の態様では、レチノイドと本TRPAI阻害剤を組み合わせることにより、式IのTRPA1阻害剤を用いて、レチノイドの疼痛および/または炎症作用を低減することができる。レチノイドには、限定されるものではないが、レチノイン酸(シスおよびトランスの両方)、レチノール、アダパレン、ビタミンAおよびタザロテンなどの化合物が含まれる。レチノイドは、ざ蒼、乾癬、酒さ、しわおよび皮膚癌および癌前駆体、例えば黒色腫および日光角化症などを治療する際に有用である。
【0079】
その他の態様では、式IのTRPAI阻害剤は、角質溶解薬と組み合わせることができ、それには、過酸化ベンゾイル、αヒドロキシ酸、フルーツ酸、グリコール酸、サリチル酸、アゼライン酸、トリクロロ酢酸、乳酸およびピロクトンが含まれる。
【0080】
また、式IのTRPAI阻害剤は、除毛剤(脱毛)、抗ざ瘡薬、抗湿疹薬および抗乾癬薬と組み合わせることができる。ざ瘡を治療する際に特に(particlarly)有用な化合物としては、アゼライン酸(抗ざ瘡特性をもつ脂肪族二酸)、アントラリン(抗真菌および抗乾癬特性をもつジフェノール化合物)、およびマソプロコール(抗酸化特性をもつテトラフェノール化合物であるノルジヒドログアイアレチン酸、日光角化症の治療においても有用)およびその類似体(例えば、アウストロバイリグナン6、オキソアウストロバイリグナン6、4’−O−メチル−7,7’−ジオキソアウストロバイリグナン6、マセリグナン、デメチルジヒドログアイアレチン酸、3,3’,4−トリヒドロキシ−4’−メトキシリグナン、サウルレニン、4−ヒドロキシ−3,3’,4’−トリメトキシリグナン、およびイソアンウリグナン)が挙げられる。抗湿疹薬には、ピメクロリムスおよびタクロリムスが含まれる。本発明での使用に適した抗乾癬性作用薬には、レチノイド(レチノイン酸の異性体および誘導体、ならびにレチノイン酸受容体に結合するその他の化合物、例えばレチノイン酸、アシトレチン、13−シス−レチノイン酸(イソトレチノイン)、9−シス−レチノイン酸、トコフェリル−レチノアート(レチノイン酸(トランス−もしくはシス−)のトコフェロールエステル)、エトレチナート、モトレチニド、1−(13−シス−レチノイルオキシ)−2−プロパノン、1−(13−シス−レチノイルオキシ)−3デカノイルオキシ−2−プロパノン、1,3−ビス−(13−シス−レチノイルオキシ)−2−プロパノン、2−(13−シスレチノイルオキシ)−アセトフェノン、13−シス−レチノイルオキシメチル−2,2−ジメチルプロパノエート、2(13−シス−レチノイルオキシ)−n−メチル−アセトアミド、1−(13−シス−レチノイルオキシ)−3−ヒドロキシ−2プロパノン、1−(13−シス−レチノイルオキシ)−2,3−ジオレオイルプロパノン、スクシンイミジル(succinimdyl)13−シスレチノアート、アダパレン、およびタザロテンを含む)、サリチル酸(モノアンモニウム塩)、アントラリン、6−アザウリジン、ビタミンD誘導体(限定されるものではないが、ロカルトロール(ロシェ・ラボラトリーズ)、EB1089(24a,26a,27a−トリホモ−22,24−ジエン−1a,25−(OH)2D3)、KH1060(20−エピ−22−オキサ−24a,26a,27a−トリホモ−1a,25−(OH)2−D3)、MC1288、GS1558、CB1093、1,25−(OH)2−16−エン−D3,1,25−(OH)2−16−エン−23−イン−D3、および25(OH)2−16−エン−23−イン−D3,22−オキサカルシトリオール;Ia−(OH)D5(イリノイ大学)、ZK161422およびZK157202(Institute of Medical Chemistry−Schering AG)、アルファカルシドール、カルシフェジオール、カルシポトリオール(カルシポトリエン)、マキサカルシトリオール(maxacalcitriol)、コレカルシフェロール、ドキセルカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、ファレカルシトリオール、レキサカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトール、セカルシフェロール、セオカルシトール、タカルシトール、カルシポトリエン、カルシトリオール、および米国特許第5,994,332号に開示されるその他の類似体を含む)、ピロガロール、およびタカルシトールが含まれる。
【0081】
また、式Iの化合物は、ビタミンA、アスコルビン酸(ビタミンC)、αトコフェロール(ビタミンE)、7−デヒドロコレステロール(ビタミンD)、ビタミンK、αリポ酸、脂溶性抗酸化剤、および同類のものを含む、ビタミンおよびその誘導体と組み合わせることができる。また、本TRPAI阻害剤は、皮膚保護薬、例えばアラントインおよびエスクリンと一緒に使用することもできる。
【0082】
本発明の2以上の化合物を組み合わせる場合、該2以上の化合物は同様の選択性プロフィールおよび機能活性を有してもよいし、それらは異なる選択性プロフィールおよび機能活性を有してもよい。例として、2以上の化合物は、両方とも、TRPV1、TRPV5、およびTRPV6よりもTRPA1の機能に拮抗するのに約10、100、または1000倍選択性であり得る(例えば、該2以上の化合物は同様の選択性プロフィールを有する)、さらにTRPA1の機能を同様のIC50(例えば、同様の機能活性)で阻害することができる。あるいは、2以上の化合物の一方は、TRPAIを選択的に阻害することができ、一方、2以上の化合物のもう一方は、TRPAIとTRPV1の両方を阻害する(例えば、該2以上の化合物は異なる選択性プロフィールを有する)。同様のまたは異なる特性を有する2以上の本発明の化合物の組合せの投与は、本発明に含められる。
【0083】
特定の態様では、式Iの化合物は、異なるチャネルの機能に拮抗する1以上のさらなる化合物と組み合わされる。例えば、式Iの化合物は、TRPV1、TPRM8、および/またはTRPV3に拮抗する1以上のさらなる化合物と組み合わせることができる。TRPV1またはTRPV3に拮抗するさらなる化合物は、その他のTRPチャネルと交差反応することができる。
【0084】
式Iの化合物をその他のTRP剤および/またはさらなる作用薬、例えば抗菌薬(例えば、ペニシリン、セファロスポリン)、抗ウイルス薬、および同類のものと組み合わせる場合、その組合せには、最初に投与した化合物の治療効果が、その後の治療を投与してもなお検出できるような方法での、活性化合物の同時投与、連続投与および個別投与が含まれる。
【0085】
本発明のTRPAIアンタゴニストは、多様な障害および状態の予防または治療の一部として使用することができ、それには、限定されるものではないが、急性および慢性疼痛、接触感受性、熱傷、炎症、線維筋痛症、糖尿病性神経障害、皮膚疾患または障害に関連する疼痛、例えば、乾癬および基底細胞癌および扁平上皮癌、湿疹、皮膚炎、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹)、片頭痛、失禁、発熱、のぼせ、変形性関節症、口腔粘膜炎、神経変性疾患または障害、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および、心的外傷またはその他の損傷(加齢を含む)により引き起こされるその他の脳障害、炎症性疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、神経炎症性疾患、多発性硬化症、および免疫系の障害)、癌性疼痛(例えば脂肪肉腫)またはその他の増殖性疾患、腎臓疾患および肝疾患、糖尿病などの代謝性疾患;膀胱炎、口腔内痛(例えば口内炎、アフタ性潰瘍、歯肉口内炎など)、膵臓痛、クローン病および過敏性腸症状群(IRS)に関連する疼痛、関節リウマチ、Grierson−Gopalan症状群(灼熱脚症状群としてよく知られている)、口腔灼熱症状群(BMS)、複合性局所疼痛症候群(CRPS;慢性局所疼痛症状群としてよく知られている)、および咳が含まれる、あるいはそれは患者の毛髪の喪失を促進するかまたは成長を阻害する脱毛剤として使用される。さらなる疾患および状態には、手術後疼痛、ヘルペス後神経痛(post herpetic neuraligia)、失禁;ならびに帯状疱疹が含まれる。
【0086】
電位依存性カルシウムチャネルの遮断薬は、最初に高血圧症を治療するために開発された薬物のクラスに属する。かかる遮断薬は、心臓および動脈の筋肉細胞へのカルシウムの移動を阻害する。カルシウムは収縮するためにこれらの筋肉に必要とされるので、かかる遮断薬は、心臓の収縮応答の力を低下させ、動脈の筋肉壁を弛緩させることにより、血圧を低下させる。TRPAIは電位依存性カルシウムチャネルではないが、それは、細胞および組織におけるその他のイオンのバランスだけでなくカルシウムホメオスタシスの制御においてなお役に立つ。従って、本発明のTRPAIアンタゴニストは、高血圧症を治療するために使用することができる。本化合物のさらなる使用には、血管の筋肉壁を弛緩させることにより全体または部分で寛解させることのできるその他の状態が含まれる。例示的な状態には、頭痛および片頭痛発作が含まれる。
【0087】
本発明のTRPA1アンタゴニストを用いて治療することのできるその他の例示的な疾患または状態は、本明細書全体にわたって詳述されている。よって、本発明は、本明細書に開示される疾患または状態のいずれかの症状の治療における、またはその症状を低減させるための、式Iの化合物の使用に関する。本発明はさらに、本明細書に記載される疾患または状態のいずれかの症状を治療または低下させる薬物または医薬品の製造における式I化合物の使用を企図する。特定の疾患または状態を治療する際に使用するための化合物は、特定の疾患または状態に適切な経路を介する投与のために処方され得る。
【0088】
TRPAIアンタゴニストは、単独で、またはその他の治療薬と組み合わせて投与することができる。例として、本発明のTRPAIアンタゴニストは、1以上の抗炎症薬、抗挫瘡薬、抗しわ剤、抗瘢痕剤、抗乾癬薬、抗増殖剤、抗真菌薬、抗ウイルス薬、消毒薬、抗片頭痛薬、角質溶解薬、または発毛抑制剤と組み合わせることができる。
【0089】
本発明のもう一つの態様は、TRPA1に媒介される電流および/またはTRPA1に媒介されるイオン流束を阻害するTRPA1アンタゴニストを投与することによる、TRPA1の活性化を伴う状態またはTRPAI活性の低下が重篤度を低下させることのできる状態を治療または予防するための方法に関する。
【0090】
本発明のもう一つの態様は、疼痛を治療または寛解させるために使用されるTRPA1阻害剤に関する。TRPA1阻害剤を用いて治療することのできる例示的なクラスの疼痛としては、限定されるものではないが、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、および神経因性疼痛が挙げられる。TRPA1阻害剤で治療することのできる疼痛は、慢性であっても急性であってもよい。よって、本発明の別の態様では、式IのTRPA1アンタゴニストは、急性疼痛、慢性疼痛、接触感受性、そう痒感受性、または熱傷の治療の一部として、例えば、術後疼痛、癌性疼痛、または神経因性疼痛の徴候および症状を予防、治療または軽減するために投与される。さらに本発明の別の態様では、式Iの化合物は、片頭痛の徴候および症状を予防、治療または軽減するために投与される。
【0091】
本発明のもう一つの態様では、式Iの化合物は、糖尿病性神経障害、炎症、乾癬、湿疹、皮膚炎、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹)、失禁、膀胱 失禁、発熱、のぼせ、膵炎、慢性局所疼痛症状群、ファブリー病、および咳からなる群から選択される障害または状態の徴候および症状を予防、治療または軽減するために投与される。本発明のもう一つの態様では、式Iの化合物は、変形性関節症の徴候および症状を予防、治療または軽減するために投与される。本発明のもう一つの態様では、式Iの化合物は、関節リウマチの徴候および症状を予防、治療または軽減するために投与される。本発明のもう一つの態様では、式Iの化合物は、口腔粘膜炎の徴候および症状を予防、治療または軽減するために投与される。本発明のもう一つの態様では、式Iの化合物は、患者の毛髪の喪失を促進するかまたは成長を阻害するために投与される。本発明のもう一つの態様では、式Iの化合物は、失禁の症状を治療または寛解させるために使用される。
【0092】
カルシウム制御が、細胞活性化、遺伝子発現、細胞輸送およびアポトーシス細胞死を含む多くの細胞プロセスにおいて果たす重要な役割のために、カルシウムホメオスタシス異常は、かかる細胞活動を伴う多くの疾患および障害に関与している。これらの疾患および障害としては、皮膚疾患および障害;神経および神経変性疾患および障害;様々な疾患、障害または状態に関連する発熱;失禁;炎症性腸疾患およびクローン病などの炎症性疾患および障害;慢性咳嗽、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患および障害;潰瘍および酸の逆流などの消化器疾患;肥満症および糖尿病を含む代謝性疾患および障害;肝臓および腎臓疾患および障害;癌を含む悪性腫瘍;加齢に関連する障害;ならびに疼痛および接触に対する感受性が挙げられる。
【0093】
治療することのできるさらなる疾患または状態としては、癲癇、認知、嘔吐、疼痛(例えば、片頭痛)、喘息、末梢血管疾患、高血圧症、免疫および炎症性状態、過敏性腸症状群、膀胱炎、鬱病、加齢関連変性性疾患、尿失禁、早漏症、嚢胞性線維症、糖尿病、避妊および不妊、および創傷治癒を含む、ATP関連疾患または障害が挙げられる(例えば、Forestaら(1992)J.Biol.Chem.257:19443−19447;Wangら(1990)Bioehirn.Biophys.Res.Commun.166:251−258;Bumstock and Williams,(2000)J.Pharmacol.Exp.Ther.295:862−869;およびBumstock,Pharmacol Rev(2006)58:58−86参照)。
【0094】
本発明のさらに別の態様では、TRPA1阻害剤は、非麻薬性であり、麻薬性の副作用はほとんどまたは全くない。よって、TRPA1阻害剤は、麻薬性鎮痛剤よりも少ない副作用で疼痛を治療するかまたは寛解させるために使用することができる。有効量のTRPV3阻害剤では実質的に見られない例示的な副作用としては、眼球突出(exopthalmos)、カタレプシー、腸運動性の崩壊、および身体の非損傷部位の感覚の抑制の1以上が挙げられる。
【0095】
本発明のその他の態様では、本明細書に開示される疾患または徴候のいずれかの治療において使用されるTRPA1阻害剤は、本明細書に開示される構造特性または機能特性の1以上を有する。本明細書に記載されるTRPA1阻害剤は、前述または以下の疾患または状態のいずれかに関連する疼痛の治療を含む、前述または以下の疾患または状態のいずれかの治療で使用することができる。治療方法で使用される場合、阻害剤は、意図する投与経路に基づいて選択および処方され得る。阻害剤は、根底にある疾患または状態を治療するために、または疾患または状態の症状を軽減するために使用され得る。例示的な症状としては、疾患または状態に関連する疼痛が挙げられる。
【0096】
本発明は、(i)TRPA1機能のアンタゴニスト;(ii)TRPA1機能の選択的アンタゴニストとTRPV1および/またはTRPV3機能の選択的アンタゴニストの組合せ;または(iii)TRPA1、TRPV1、およびTRPV3の2以上の機能を阻害する汎TRP阻害剤(pan−TRP inhibitor)の投与を含む、疼痛を治療するための方法を提供する。
【0097】
TRPVファミリーメンバーに加えて、その他のTRPチャネルが疼痛の感知および/または感覚に関与してきた。例えば、TRPMBを含む特定のTRPMチャネルが、疼痛の感知および/または感覚に関与している。従って、特定の実施形態では、本発明の方法には、(i)TRPA1選択的アンタゴニストおよび選択的TRPMBアンタゴニストの組合せ;(ii)選択的TRPA1アンタゴニスト、選択的TRPMBアンタゴニスト、ならびに1以上の選択的TRPVIおよび/またはTRPV3アンタゴニストの組合せ;(iii)TRPA1およびTRPM8の機能に拮抗する交差TRP阻害剤(cross−TRP inhibitor);または(iv)TRPA1、TRPM8、ならびに1以上のTRPV1およびTRPV3の機能に拮抗する汎阻害剤を投与することにより疼痛を治療することが含まれる。
【0098】
本発明のもう一つの態様では、TRPA1の活性化を伴うかまたはTRPA1活性の低下が重篤度を低下させることのできる状態を治療または予防するための薬物の製造におけるTRPA1阻害剤の使用が提供され、この際、TRPAI阻害剤は、式Iの化合物、またはその製薬上許容される塩、あるいは該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、酸化的代謝産物またはプロドラッグで表される。
【0099】
本発明の一部の態様では、化合物は、TRPA1に媒介される電流および/またはTRPA1に媒介されるイオン流束をインビトロで、例えば培養細胞中で阻害するために使用することができる。一部の実施形態では、化合物は、TRPA1に媒介される電流をインビボで阻害するために使用することができる。特定の実施形態では、化合物は、内向きおよび外向きの両方のTRPA1に媒介される電流を阻害する。特定の実施形態では、化合物は、TRPA1に媒介されるイオン流束をインビトロで、例えば培養細胞中で阻害する。特定のその他の実施形態では、化合物は、TRPA1に媒介される流入をインビボで阻害する。
【0100】
本発明は、前述または以下の特徴の任意の組合せ、ならびに、本明細書に記載されるTRPA1アンタゴニストの構造特性または機能特性の任意の組合せを有するTRPA1アンタゴニストの医薬組成物および使用を企図する。いずれのかかるアンタゴニストまたは調製物を、本明細書に記載されるいずれの疾患または状態の治療で用いてもよい。かかるアンタゴニストまたは調製物はいずれも、TRPA1の機能、例えばTRPA1に媒介される電流および/またはTRPA1に媒介されるイオン流束を阻害するために使用することができる。
【0101】
後に続く化学の説明および実施例で使用される略語は、次の通りである:
CHCl ジクロロメタン
Boc tert−ブトキシカルボニル
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
PMB 4−メトキシ−ベンジル
PMBBr 4−メトキシ−ベンジルブロミド
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
MeOH メタノール
PS−PPh3 ポリスチレントリフェニルホスフィン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
EtOAc 酢酸エチル
RT/ml 室温
AD アルツハイマー病
NMR 核磁気共鳴
DMSO ジメチルスルホキシド
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法が、以下のスキームおよび実施例に説明されている。出発物質および必要な中間体は、場合によっては市販されており、そうでなければ文献の手順に従って、または本明細書に説明されるように調製することができる。
【0102】
本発明の化合物は、本明細書のスキームおよび実施例に示される反応を、その他の標準的な操作、例えば文献で公知であるかまたは試験手順に例証されるようなエステル加水分解、保護基の切断などに加えて用いることにより調製される。本発明の化合物は、標準的な精製方法、例えば、順相クロマトグラフィー、HPLC、キラルHPLC、SFCおよび文献で公知であるかまたは試験手順に例証されるその他の方法などによって精製することができる。スキームに示される置換基の番号付けは、特許請求の範囲で使用される番号と必ずしも関連しておらず、多くの場合、明確にするために、本明細書上文の定義の下で複数の置換基が許容される化合物に単一の置換基を結合させて示される。本発明の化合物を生成するために使用される反応は、本明細書のスキームおよび実施例に示される反応を、その他の標準的な操作、例えば文献で公知であるかまたは試験手順に例証されるようなエステル加水分解、保護基の切断などに加えて用いることにより調製される。
【0103】
場合によっては、最終生成物を、例えば、置換基の操作によりさらに修飾することができる。これらの操作としては、限定されるものではないが、当業者に一般に公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化、および加水分解反応を挙げることができる。場合によっては、前述の反応スキームを実施する順序を変えて、反応を促進するか、または望まない反応生成物を回避してもよい。以下の実施例は、本発明がより十分に値理解されるように記載される。これらの実施例は、説明のためだけのものであり、決して本発明を制限すると解釈されるべきではない。
反応スキームの概要
一般的な反応スキームI
スキーム1
【0104】
【化9】

反応スキームIは、市販のデカロンI−1で出発する、本発明の化合物の調製を説明する。この材料は、対応するTMSエノールエーテルI−2に変換することができる。中間体I−2は、mCPBAと反応した後、水性の後処理によってケトンアルコールI−3およびI−4を生成する。次に、1−3および1−4は、並行して、多様なアレイのアミンで還元的アミノ化を受けて、1−5および1−6を得ることができる。
【0105】
一般的な反応スキームII
【0106】
【化10】

反応スキームIIは、文献に従って調製されるアミノアルコールII−1で出発する、本発明の化合物の合成を表す(Jacobsen,E.;Levin,J.;Overman,L.J.Am.Chem,Soc.1988,110,4329)。II−1をスワーン酸化条件に付してケトンII−2を得、それをTHF中リチオ化エチルビニルエーテルで処理して、第三級(tertial)アルコールII−3を得た。エタノール中AgNOの処理に続いて、酸性加水分解により、オキソシクロヘキサピペリジン生成物II−4を生じる。様々なアニリンでの還元的アミノ化によりアミノピペリジンII−5を得、それを水素化して、ピペリジンII−6を得る。次に、II−6は、並行して、多様なアレイのアミンで還元的アミノ化を受けて、II−7を得ることができる。
【0107】
一般的な反応スキームIII
【0108】
【化11】

反応スキームIIIは、シクロヘキサノン(III−1およびIII−2)またはピラノン(III−3およびIII−4)で出発する、本発明の化合物の合成を表し、それは全て市販の出発物質から複数段階の合成を必要とする(それらの合成は、実施例の項に詳述される)。Wittig反応によるオレフィン化(Oleiination)によりジアルケンIII−5を得(W、X、Y、Zは、各々の個別の基質中の酸素を表す)、それは標準的な閉環オレフィンメタセシスを受けて、III−6をもたらす。次に、III−6をmCPBAで処理してエポキシドIII−7およびIII−8を得る。III−6およびIII−7は、並行して、AlMeの存在下で多様なアレイのアミンでエポキシド開環反応を受けて、それぞれIII−8およびIII−9を得ることができる。
【0109】
一般的な反応スキームIV
【0110】
【化12】

反応スキームIVは、文献に従って調製されるヘキサヒドロクロメンIV−1で出発する、本発明の化合物の合成を表す(Yeh,P.M.;Lee,Y−C;Young,T−C.Synthesis 2006,21,3621)。IV−1を、mCPBAで処理してエポキシドIV−2およびIV−3を得る。次に、IV−2およびIV−3は、並行して、AlMeの存在下で多様なアレイのアミンでエポキシド開環反応を受けて、それぞれIV−4およびIV−5を得ることができる。
【0111】
一般的な反応スキームV
【0112】
【化13】

反応スキームVは、市販のピラン−5−カルバルデヒドV−1で出発する、本発明の化合物の調製を説明する。この材料は、Wittig反応を介して対応するオレフィンV−2に変換させることができる。V−2とアクロレインとの間のディールズ・アルダー反応によりアルデヒドV−3を得、それを水素化ホウ素ナトリウムで還元し、アルコールがそのtert−ブチルジフェニルシリルエーテルV−4として保護されるのを確実にする。V−4を、mCPBAで処理してエポキシドV−5を得、次にそれを、並行して、AlMeの存在下で多様なアレイのアミンでエポキシド開環反応を受けて、V−6を得る。シリル保護基を除去するTBAF処理により、アルコールV−7を得、次にそれを、並行して、多様なアレイのアルキル化試薬を用いるアルキル化により変換して、V−8を得る。
【発明を実施するための形態】
【0113】
提供される実施例は、本発明のさらなる理解の助けとなるように意図されている。用いる特定の材料、種および条件は、本発明のさらなる例証を意図し、その合理的な範囲の制限を意図するものではない。次の表に示される、化合物を合成する際に使用される試薬は、市販のものかまたは当業者に容易に調製されるものである。
【実施例1】
【0114】
(4R,4aR,8aR)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール
スキームI
【0115】
【化14】

トリメチル(2,3,4,4a,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン−1−イルオキシ)シラン(1−2)
室温のDMF(6.569ml)中、デカロン(2500mg、16.42mmol)およびトリエチルアミン(5.49ml、39.4mmol)を、TMS−C1(2.52ml、19.71mmol)に添加し、反応混合物を130℃に加熱し、3日間攪拌した。混合物を冷却し、エーテル(50mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水層をジエチルエーテルで抽出した。合した有機画分をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を無色の液体として得た。
(4aR,8aR)−8a−ヒドロキシオクタヒドロナフタレン−1(2H)−オン(1−3)および(4aR,8aS)−8a−ヒドロキシオクタヒドロナフタレン−1(2H)−オン(1−4)
ジクロロメタン(18.700ml)中、トリメチル(2,3,4,4a,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン−1−イルオキシ)シラン(1310mg、5.84mmol)を、mCPBA(1209mg、7.00mmol)に少量ずつ0℃にて添加した。次に、反応混合物を室温まで温まらせ、1時間攪拌した。混合物を冷却し、飽和NaSO水溶液でクエンチした。次に、混合物をCHCl(50mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した(飽和、20mL)。水層をジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合した有機画分をブライン(飽和、20mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物1−3および標題化合物1−4を無色の液体として得た。H−NMR(500MHz,CDCI)1−3:δ3.02(m,1H)、2.22(m,1H)、2.03(m,1H)、1.38−1.80(m,12H)、1.22(m,1H);1−4:δ3.76(bs,1H)、2.58(m,1H)、2.45(m,1H)、2.10(m,1H)、1.90−2.02(m,3H)、1.45−1.85(m,8H)、1.30(m,1H);
(4R,4aR,8aR)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール(1−5)
DCE中2% CHCOOH(20mL)中、(4aR,8aR)−8a−ヒドロキシオクタヒドロナフタレン−1(2H)−オン(0.339g、2.015mmol)およびアニリン(0.552mL、6.05mmol)の混合物を、室温にて1時間攪拌した。次に、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.37g、6.45mmol)を添加し、混合物を数時間攪拌した。次に、混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.12−7.18(m,2H)、6.60−6.69(m,3H)、1.96−2.04(m,1H)、1.73−1.81(m,1H)、1.64−1.70(m,2H)、1.18−1.60(m,12H).HRMS(ES)m/z M+H calc’d:246.1852,found:246.1850.
【0116】
【表3】



【実施例2】
【0117】
(4R,4aS,8aR)−1−エチル−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール
実施例スキーム2
【0118】
【化15】

{ベンジル[(1R)−2−オキソシクロヘキシル]アミノ}アセトニトリル(2−2)
−78℃のCHCl(12.300ml)中、塩化オキサリル(1.842ml、3.68mmol)に、DMSO(0.523ml、7.37mmol)を添加した。反応混合物を10分間攪拌した後、2mlのCH2Cl2中の{ベンジル[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ}アセトニトリル(2−1)(300mg、1.228mmol)を添加した。反応混合物を−78℃にて1時間攪拌した後、トリエチルアミン(2.054ml、14.73mmol)を添加した。反応混合物を−78℃にて30分間攪拌した後、0℃まで徐々に温めた。さらに30分後、H2Oで反応をクエンチした。反応混合物を炭酸カリウム水溶液(飽和、20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。合した有機画分をブライン(飽和、30mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過した。有機相を濃縮し、残渣を無水THFで希釈し、0.25uMフィルターで濾過し、濃縮して標題化合物を得た。LRMS m/z(M+H)calc’d:243.1、実測値:243.3。
【0119】
{ベンジル[(1R,2R)−2−(1−エトキシエテニル)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ}アセトニトリル(2−3)
−78℃のTHF(9ml)中、{ベンジル[(1R)−2−オキソシクロヘキシル]アミノ}アセトニトリル(298mg、1.230mmol)に、THF中のエチルビニルエーテルリチウム(7.38ml、3.69mmol)を、カニューレを介して25分にわたって滴下した。反応混合物をさらに40分間−78℃にて攪拌した後、湿潤THF(THF/水 10/1、10ml)を添加した。反応物を室温まで温まらせた。混合物を冷却し、炭酸カリウム水溶液(飽和、10mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合した有機画分をブライン(飽和、30mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて標題化合物を得た。この粗生成物を、さらなる精製を行わずに次の段階で直接使用した。
(4aR,8aR)−1−ベンジル−4,4−ジエトキシオクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール(2−4)
室温のエタノール(27.00ml)中、硝酸銀(125mg、0.735mmol)に、10mlの無水エタノール中の{ベンジル[(1R,2R)−2−(1−エトキシエテニル)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ}アセトニトリル(220mg、0.700mmol)を添加した。反応混合物をさらに1時間攪拌した。さらに125mgの硝酸銀を添加し、反応物を一晩攪拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濃縮した。残渣を、CHCl/MeOH/NH(水溶液)で溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(乾燥充填)により精製して標題化合物を得た。H−NMR(500MHz,CDC1)2−4:δ7.20−7.36(m,5H)、4.07(d,1H)、3.74(dt,1H)、3.62(dt,1H)、3.52(dt,1H)、3.41(dt,1H)、3.28(bs,1H)、3.06(d,1H)、2.61(m,1H)、2.00−2.14(m,2H)、1.88−1.98(m,2H)、1.70−1.80(m,2H)、1.54−1.62(m,2H)、1.22−1.44(m,2H)、1.18(t,6H).LRMS m/z(M+H)Calcd:334.5,found:334.5
(4R,4aS,8aR)−1−ベンジル−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール(2−5)
室温のトルエン(12.000ml)中、(4aR,8aR)−1−ベンジル−4,4−ジエトキシオクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール(200mg、0.600mmol)に、水(0.162ml、9.00mmol)、それに続いてショウノウスルホン酸(153mg、0.660mmol)を添加した。反応混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を炭酸カリウム水溶液(飽和、30mL)で希釈した。水層を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合した有機画分をブライン(飽和、30mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。DCE中4% CHCOOH(10mL)中、(4aR,8aS)−1−ベンジル−4a−ヒドロキシオクタヒドロキノリン−4(1H)−オン(0.500g、1.93mmol)およびアニリン(0.528mL、5.78mmol)の混合物を80℃にて4時間攪拌した。次に、反応物を室温まで冷却し、次にNaBH(0.438g、11.6mmol)を添加し、それに続いてEtOH(10mL)を添加した。次に、混合物を室温にて一晩攪拌した。次に、混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチした。次にそれを2M NaCOで塩基性化し、EtOAcで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ7.29−7.35(m,4H)、7.23−7.30(m,1H)、7.17(t,2H,J=8.3Hz)、6.76−6.84(m,3H)、4.10(d,1H,J−8.0Hz)、3.96(d,1H,J−13.2Hz)、3.03(d,1H,J=13.2Hz)、2.97(s,1H)、2.86(t,1H,J=7.8Hz)、2.37(d,1H,J=6.8Hz)、1.41−2.24(m,10H).HRMS(ES)m/z M+H calc’d:337.2274,found:337.2275
(4aR,8aS)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール(2−6)
MeOH(5mL)中、(4aS,8aS)−1−ベンジル−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール(0.280g、0.832mmol)の混合物に、NHCOOH(0.840g、13.3mmol)および10% Pd/C(0.280g)を添加した。得られる混合物を60℃で数時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、シリンジフィルターで濾過し、EtOHで洗浄し、濃縮して標題化合物を得た。LRMS M+H calc’d:247.34、実測値247.34
1−[(4aS,8aS−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル]−3−メチルブタン−1−オン(2−7)
1:1 CHCl:飽和NaHCO水溶液(3mL)中、(4aR,8aS)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール(20mg、0.081mmol)の混合物に、3−メチルブタノイルクロリド(0.049g、0.406mmol)を添加した。混合物を室温にて1時間攪拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液およびCHClで希釈し、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDC1)δ7.22−7.40(m,5H)、4.38(d,1H,J=10.4Hz)、3.96(d,1H,J=10.2Hz)、3.35(t,1H,J=9.4Hz)、2.62−2.85(m,2H)、1.15−2.40(m,12H)、0.81−0.99(m,6H).HRMS(ES)m/z M+H calc’d:331.2380,found:331.2379
【0120】
【表4】


【実施例3】
【0121】
(4R,4aS,8aS)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール
実施例スキーム3
【0122】
【化16】

2−(ブト−3−エン−1−イルオキシ)シクロヘキサノール(3−2)
0℃に冷却した3−ブテン−1−オール(17.4mL、204mmol)中、シクロヘキセンオキシド(3−1)(10.0g、102mmol)の混合物に、FeCl(1.65g、10.2mol)を添加した。混合物を氷浴から取り出し、室温にて1時間攪拌した。反応を水でクエンチし、エーテルで抽出した。合した有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ5.77−5.88(m,1H)、5.00−5.15(m,2H)、3.69−3.76(m,1H)、3.39−3.44(m,2H)、2.98−3.05(m,1H)、2.74(s,1H)、2.30−2.39(m,2H)、1.94−2.11(m,3H)、1.61−1.79(m,3H)、1.06−1.37(m,2H).
2−(ブト−3−エン−1−イルオキシ)シクロヘキサノン(3−3)
CHCl(160mL)中、PCC(26.6g、123mmol)の懸濁液に、CHCl(10mL)中、2−(ブト−3−エン−1−イルオキシ)シクロヘキサノール(7g、41mmol)を添加した。反応物を室温にて一晩攪拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、CHClで洗浄した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ5.75−5.90(m,1H)、4.95−5.15(m,2H)、3.78(dd,1H,J=5.37Hz,9.76Hz)、3.65−3.70(m,1H)、3.39−3.45(m,1H)、1.05−2.58(m,10H).
1−(ブト−3−エン−1−イルオキシ)−2−メチリデンシクロヘキサン(3−4)
室温のTHF(125mL)中、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(22.30g、62.4mmol)の混合物に、ナトリウムヘキサメチルジシリルアジド(THF中2M、31.2mL、62.4mmol)を滴下した。混合物を60℃まで1時間加熱した。次に、2−(ブト−3−エン−1−イルオキシ)シクロヘキサノン(7.0g、41.6mmol)を添加し、混合物を60℃にて3時間攪拌した。反応物を室温まで冷却し、飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOで抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ5.78−5.90(m,1H)、5.00−5.13(m,2H)、4.82(s,1H)、4.78(s,1H)、3.74(dd,1H,J=3.9Hz,6.3Hz)、3.35−3.49(m,2H)、1.12−2.38(m,10H).
3,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン(3−5)
DCE(313mL)中、1−(ブト−3−エン−1−イルオキシ)−2−メチリデンシクロヘキサン(5.21g、31.3mmol)の混合物を、3回N/ポンプで脱気した。次に、Zhan−1b(1.15g、1.57mmol)を添加し、反応物を再び脱気した。反応物を室温にて2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ5.48(d,1H,J=2.7Hz)、3.90−3.96(m,2H)、3.50−3.60(m,1H)、2.18−234(m,2H)、2.02−2.08(m,1H)、1.84−1.99(m,2H)、1.76−1.83(m,1H)、1.66−1.74(m,1H)、1.15−1.43(m,3H).
(1aS,8aS)ヘキサヒドロ−1aH,4aH−オキシレノ[d]クロメン(3−6)
0℃のCHCl(75mL)中、3,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン(3.27g、23.66mmol)の混合物に、MCPBA(約77%、6.53g、28.4mmol)を添加した。混合物を室温まで温め、1時間攪拌した。混合物を飽和NaSO水溶液でクエンチした。次に、混合物をCHClと飽和NaHCO水溶液に分液した。CHClで抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ3.85(dd,1H,J=7.8Hz,11.7Hz)、3.54(dd,1H,J−4.6Hz,11.7Hz)、3.31−3.38(m,1H)、3.19(d,1H,J=5.13Hz)、2.15−2.24(m,1H)、1.75−1.97(m,4H)、1.52−1.72(m,3H)、1.37−1.49(m,1H)、1.30−1.38(m,1H).
(4R,4aS,8aS)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール(3−7)
0℃のCHCl(3mL)中、4−フルオロアニリン(0.173g、1.56mmol)の混合物 に、トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、0.778mL)を滴下した。混合物を室温まで温め、30分間攪拌した。次に、CHCl(2mL)中、トランスヘキサヒドロ−1aH,4aH−オキシレノ[d]クロメン(0.200g、1.30mmol)を添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。反応物を0℃まで冷却し、50% NaOH(1mL)で、その後、水(1mL)で処理した。反応混合物をCHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ6.90(t,2H,J=8.8Hz)、6.60(dd,2H,J=4.2Hz,8.8Hz)、3.88(dd,IH,J=5.4Hz,12.0Hz)、3.68−3.74(m,IH)、3.47(dd,IH,J=4.8Hz,11.5Hz)、3.40(t,IH,J=3.2Hz)、2.30−2.40(m,IH)、1.69−1.78(m,2H)、1.54−1.68(m,5H)、1.45−1.48(m,IH)、1.20−1.30(m,1H)、HRMS(ES)m/z M+H calc’d:266.1551 found:266.1556
【0123】
【表5】


【実施例4】
【0124】
(4R,4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール
実施例スキーム4
【0125】
【化17】

1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−6−カルボン酸メチル(4−2)
ベンゼン(45mL)中、メチル−2−オキソシクロヘキサンカルボンキシレート(4−1)(7.0g、44.8mmol)、エチレングリコール(3.00mL、53.8mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.853g、4.48mmol)の混合物を一晩加熱還流した。次に、反応物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ3.86−3.99(m,4H)、3.69(s,3H)、2.69(dd,1H,J=4.9Hz,9.0Hz)、1.82−1.97(m,3H)、1.58−1.73(m,3H)、1.45−1.53(m,1H)、1.26−1.37(m,1H).
1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−6−イルメタノール(4−3)
0℃のTHF(45mL)中、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−6−カルボン酸メチル(3.00g、15.0mmol)の混合物に、LiAlH(THF中2M(9.00mL、18.0mmol)を滴下した。次に、混合物を室温まで温まらせ、一晩攪拌した。次に、混合物を0℃まで冷却し、1.36mLのHOを非常にゆっくりと添加した。0.682mLの15%NaOH、その後に3.41mLのHOを添加することにより反応混合物を塩基性化した。得られる混合物をセライトパッドで濾過し、EtOで洗浄し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ3.95−4.05(m,4H)、3.71−3.79(m,1H)、3.52−3.59(m,1H)、2.81(dd,1H,J−3.9Hz,7.1Hz)、1.78−1.91(m,2H)、1.61−1.73(m,3H)、1.41−1.53(m,2H)、1.24−1.40(m,2H).
2−[(プロプ−2−エン−1−イルオキシ)メチル]シクロヘキサノン(4−4)
0℃の無水THF(45mL)中、NaH(1.14g、60%油分散体、28.6mmol)の混合物に、無水THF(5mL)中、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−6−イルメタノール(2.46g、14.3mmol)を添加した。混合物を室温まで温まらせ、1時間攪拌した。次に、混合物を0℃まで冷却し、臭化アリル(2.10mL、24.28mmol)を一度に添加した。次に、混合物を室温まで温まらせ、1時間攪拌した。次に、混合物を60℃まで一晩加熱した。それを0℃まで冷却し、50mLの10%HCl水溶液でクエンチした。この混合物を室温にて1時間攪拌した。得られる混合物を0℃まで冷却し、固体NaCOで注意深く中和した後、EtOで抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ5.86−5.95(m,1H)、5.28(d 1H,J=1.7Hz)、5.25(d,1H,J=1.5Hz)、5.17(d,1H,J=10.5Hz)、3.94−4.03(m,2H)、3.79(dd,1H,J=5.1Hz,9.8Hz)、3.38(dd,1H,J−7.33Hz,9.53Hz)、2.56−2.65(m,1H)、2.26−2.43(m,3H)、2.02−2.10(m,1H)、1.85−1.93(m,1H)、1.61−1.74(m,2H)、1.39−1.49(m,1H).
3,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン(4−5)
室温のTHF(31mL)中、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(3.75g、10.51mmol)の混合物に、ナトリウムヘキサメチルジシリルアジド(THF中2M、5.25mL、10.51mmol)を滴下した。混合物を60℃まで1時間加熱した。次に、THF(4mL+すすぎ2mL)中、2−[(プロプ−2−エン−1−イルオキシ)メチル]シクロヘキサノン(0.884g、5.25mmol)を添加し、混合物を60℃にて3時間攪拌した。次に、反応物を室温まで冷却し、飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOで抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0126】
DCE(6.5mL)中、(2−メチリデンシクロヘキシル)メチルプロプ−2−エン−1−イルエーテル(0.104g、0.626mmol)の混合物を、3回N/ポンプで脱気し、次にZhan−1b(0.023g、0.031mmol)を添加し、反応物を再び脱気した。混合物を室温にて2時間攪拌した。それを濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(chromatogtraphy)により精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ5.39(t,1H,J=2.4Hz)、4.04−4.10(m,2H)、3.92(dd,1H,J=5.7Hz,11.2Hz)、3.24(dd,1H,J−8.2Hz,11.2Hz)、2.15−2.27(m,2H)、1.92−2.02(m,1H)、1.74−1.83(m,2H)、1.64−1.72(m,1H)、1.18−1.45(m,2H)、0.93−1.06(m,1H)
オクタヒドロオキシレノ[d]イソクロメン(4−6)
0℃のCH2Cl2(10mL)中、3,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン(0.410g、2.97mmol)の混合物に、MCPBA(約77%、1.24g、445mmol)を添加した。混合物を室温にて3時間攪拌した。それを飽和亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物をCHClおよび飽和NaHCO水溶液で希釈した後、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
(4R,4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール(4−7)
0℃のCH2Cl2(6mL)中、4−フルオロアニリン(0.721g、6.48mmol)の混合物に、トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、3.24mL)を滴下した。混合物を室温まで30分間温めた。次に、CHCl(2mL+すすぎ0.5mL)中、シスおよびトランスオクタヒドロオキシレノ[d]イソクロメン(0.200g、1.30mmol)の両方の混合物を添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。反応物を0℃まで冷却し、50%NaOH(1mL)で、次に水(1mL)で処理した。混合物をさらに多くの水で希釈し、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ6.94(t,2H,J=8.6Hz)、6.78(dd,2H,J−4.2Hz,8.8Hz)、4.14(dd,1H,J=1.5Hz,12.0Hz)、3.64(d,1H,J−11.5Hz)、3.56(dd,1H,J−4.6Hz,11.0)、3.48(t1H,J=11.5Hz)、3.10(s,1H)、1.17−2.00(m,9H).HRMS(ES)m/z M+H calc’d:266.1551 found:266.1554
【0127】
【表6】

【実施例5】
【0128】
(4aS,8R,8aR)−8−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン−8a(3H)−オール
実施例スキーム5
【0129】
【化18】

4−(ペント−4−エン−1−イル)ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−オン(5−2)
シクロヘキシルアミン(3.43ml、30.0mmol)を、ベンゼン(20mL)中、ピラン−3−オン(3000mg、30.0mmol)に添加した。反応混合物を室温にて30分間攪拌した後、ディーン・スターク・トラップで2時間還流した。次に、ベンゼンを留去し、残渣をTHF(2mL)に溶解し、0℃のTHF(容積:30.000ml)中、BuLi(13.18ml、33.0mmol)に添加した。反応混合物を0℃にて1時間攪拌した後、5−ブロモ−1−ペンテン(5582mg、37.5mmol)を添加した。反応混合物を0℃にて2時間攪拌した。混合物を冷却し、水でクエンチした。反応混合物をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。合した有機画分を、水およびブライン(飽和、100mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下(400mmhg)で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ5.74−5.86(m,1H)、4.92−5.06(m,2H)、3.90−4.06(m,3H)、3.77−3.85(m,1H)、2.41−2.49(m,1H)、2.16−2.24(m,1H)、2.01−2.12(m 2H)、1.72−1.97(m,2H)、1.31−1.49(m,3H).
3−メチリデン−4−(ペント−4−エン−1−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン(5−3)
NaHMDS(5.35ml、10.70mmol)を、室温のTHF(53.500ml)中、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(3822mg、10.70mmol)に添加した。反応物を室温にて1時間攪拌した後、THF(2mL)中、4−(ペント−4−エン−1−イル)ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−オン(900mg、5.35mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温にて2時間攪拌した。混合物を冷却し、NHCl水溶液でクエンチした。反応混合物をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。合した有機画分を、水およびブライン(飽和、100mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下(400mmhg)で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
H NM(500MHz,CDCI)δ5.75−5.89(m1H)、4.92−5.06(m,2H)、4.86(s,1H)、4.77(t,1H,J−1.5Hz)、4.12(d,1H,J−12.1Hz)、3.86−3.96(m,2H)、3.57−3.65(m,1H)、2.15−2.24(m,1H)、2.00−2.12(m,2H)、1.81−1.91(m,1H)、1.64−1.76(m,1H)、1.21−1.52(m,4H).
3,4,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン(5−4)
3−メチリデン−4−(ペント−4−エン−1−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン(1320mg、7.94mmol)を、CHCl(159.00ml)に室温で添加した。反応物を3回脱気した。Zhan−1b(58.3mg、0.079mmol)を0℃で添加した。反応混合物を再び脱気した後、室温にて1時間攪拌した。混合物を減圧下(280mmhg)で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ5.54(d,1H,J−2.2Hz)、4.06(d,1H,J−12.2Hz)、3.97(dd,1H,J=4.4Hz,11.2Hz)、3.84−3.91(m,1H)、3.46−3.53(m,1H)、2.21(bs,1H)、1.92−2.19(m,2H)、1.80−1.89(m,1H)、1.68−1.86(m,2H)、1.36−1.48(m,2H)、1.16−1.26(m,1H).
(1aS,5aS)−ヘキサヒドロ−4H−オキシレノ[i]イソクロメン(5−5)
0℃のCHCl(10mL)中、3,4,4a,5,6,7−ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン(0.410g、2.97mmol)の混合物に、MCPBA(約77%、1.24g、445mmol)を添加した。混合物を室温にて3時間攪拌した。それを飽和亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物をCHClおよび飽和NaHCO水溶液で希釈した後、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ4.03−4.10(m,1H)、3.86(d,1H,J=12.0Hz)、3.54−3.62(m,1H)、3.34(d,1H,J=12.0Hz)、3.03(d,1H,J−4.4Hz)、1.70−1.98(m,3H)、1.52−1.65(m,3H)、1.17−1.34(m,3H).
(4aS,8R,8aR)−8−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン−8a(3H)−オール(5−6)
0℃のCHCl(6mL)中、4−フルオロアニリン(0.721g、6.48mmol)の混合物に、トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、3.24mL)を滴下した。混合物を温め、室温にて30分間攪拌した。次に、CHCl(2mL+すすぎ0.5mL)中、(1aS,5aS)−ヘキサヒドロ−4H−オキシレノ[i]イソクロメン(0.200g、1.30mmol)を添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。反応物を0℃まで冷却し、50%NaOH(1mL)で、次に水(1mL)で処理した。混合物をさらに多くの水で希釈し、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ6.84−6.90(m,2H)、6.51−6.57(m2H)、3.90−3.97(m,1H)、3.50−3.64(m,3H)、3.35−3.45(m,2H)、2.61(s,1H)、1.95−2.04(m,1H)、1.32−1.75(m,8H).HRMS(ES)m/z M+H calc’d:266.1551,found:266.1548.
【0130】
【表7】

【実施例6】
【0131】
(4aR,5R,8aS)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール
実施例スキーム6
【0132】
【化19】

3−(プロプ−2−エン−1−イル)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(6−2)
DMSO(35mL)中、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(6−1)(5.17g、51.7mmol)、プロプ−2−エン−1−オール(1.00g、17.2mmol)、アリルパラジウムクロリドダイマー(0.157g、0.430mmol)、キサントホス(0.498g、0.861mmol)、およびDL−プロリン(0.595g、5.17mmol)の混合物を脱気し(2×ポンプ/N2)、70℃まで一晩加熱した。混合物を室温まで冷却し、水とEtOに分液した。EtOで抽出した。合した有機物を1:1 ブライン:水で洗浄し、乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、および濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ5.70−5.80(m,1H)、5.01−5.09(m,2H)、4.13−4.22(m,2H)、3.72−3.79(m,1H)、3.43(t,1H,J−11.2Hz)、2.52−2.66(m,3H)、2.39−2.47(m,1H)、1.99−2.07(m1H).
1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イルアセトアルデヒド(6−3)
トルエン(30mL)中、3−(プロプ−2−エン−1−イル)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(1.00g、7.13mmol)、エチレングリコール(0.597mL、10.70mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.136g、0.713mmol)の混合物を、120℃まで一晩攪拌した。次に、反応物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、次の段階で使用した。室温のTHF(15mL)および水(5mL)中、6−(プロプ−2−エン−1−イル)−1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカン(0.840g、4.56mmol)および四酸化オスミウム(T−BuOH中2.5重量%、0.551mL、0.046mmol)の混合物に、過ヨウ素酸ナトリウム(2.15g、1.19mmol)を5分間にわたって少量ずつ添加した。混合物を室温にて2時間攪拌した。次に、反応物を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物をEtOで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ9.71(s,1H)、3.81−3.99(m,6H)、3.64−3.70(m,1H)、3.47(dd,1H,J−8.6Hz,11.5Hz)、2.49−2.57(m,2H)、2.18−2.26(m,1H)、1.65−1.82(m,2H).
4−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)ブタン−1−オール(6−4)
下、0℃の無水THF(20mL)中、メチル(ジエトキシホスホリル)酢酸塩(0.938g、4.46mmol)の混合物に、NaHMDS(THF中2M(1.98mL、3.96mmol)を添加した。混合物を30分間0℃で攪拌した。次に、無水THF(5mL)中、1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イルアセトアルデヒド(0.554g、2.98mmol)を添加し、混合物を室温まで温まらせ、1.5時間攪拌した。それを飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し、次の段階で使用した。
【0133】
THF(9mL)中、メチル(2E)−4−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)ブト−2−エノアート(0.747g、3.08mmol)の混合物に、無水LiCl(0.261g、6.71mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.233g、6.17mmol)を添加した。次に、EtOH(12mL)をゆっくりと添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。それを0℃まで冷却し、10% クエン酸水溶液でクエンチした。次に、有機層を濃縮し、混合物を水およびCH2Cl2で希釈した。CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ3.91−4.05(m,4H)、3.77−3.90(m,2H)、3.60−3.70(m,3H)、3.44(dd,1H,J=8.8Hz,11.0Hz)、1.14−1.82(m,9H).
6−(ペント−4−エン−1−イル)−1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカン(6−5)
−78℃のCHCl(4mL)中、塩化オキサリル(CHCl中2M、1.17mL、2.34mmol)の混合物に、CHCl(1mL)中、DMSO(0.221mL、3.12mmol)の混合物を滴下した。混合物を10分間攪拌した。次に、CHCl(3mL+すすぎ1mL)中、3−(4−ヒドロキシブチル)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(0.337g、1.56mmol)を添加した。混合物をさらに15分間攪拌し、TEA(1.1mL、7.79mmol)を添加した。反応物を−78℃でさらに10分間攪拌した。得られる混合物を室温まで温め、30分間攪拌した。それを水および飽和NaHCO水溶液でクエンチした。CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し、次の段階で使用した。
【0134】
下、室温のTHF(10mL)中、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.920g、2.58mmol)の混合物に、NaHMDS(THF中2M、1.30mL、2.58mmol)を添加した。混合物を室温にて1時間攪拌した。次に、4−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)ブタナール(0.276g、1.29mmol)を添加し、反応物を室温にて1時間攪拌した。それを飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ5.75−5.86(m,1H)、4.91−5.03(m,2H)、3.91−4.05(m,4H)、3.78−3.90(m,2H)、3.62−3.71(m,1H)、3.43(dd,1H,J=9.0Hz,11.2Hz)、1.98−2.12(m,2H)、1.11−1.81(m,7H)
3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン(6−6)
THF(3mL)中、6−(ペント−4−エン−1−イル)−1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカン(0.242g、1.14mmol)の混合物に、10% HCl(3mL)を添加し、室温にて1時間攪拌した。それを水で希釈し、エーテルで3回抽出した。合した有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を直接次の段階で使用した。
【0135】
下、室温のTHF(8mL)中、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.849g、2.38mmol)の混合物に、NaHMDS(THF中2M、1.19mL、2.38mmol)を添加した。混合物を室温にて1時間攪拌した。次に、THF(2mL+すすぎ1mL)中、3−(ペント−4−エン−1−イル)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(0.200g、1.19mmol)を添加し、反応物を室温にて1時間攪拌した。それを飽和NHCl水溶液でクエンチし、エーテルで抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0136】
CHCl(20mL)中、4−メチリデン−3−(ペント−4−エン−1−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン(0.198g、1.19mmol)の混合物を、脱気した(3×N/ポンプ)。Zhan−Ib(0.044g、0.060mmol)を添加し、反応物を再び脱気し、室温にて1時間攪拌した。得られる混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ5.47(s,1H)、3.90−4.10(m,2H)、3.26−3.35(m,1H)、2.94(t,1H,J−11.0Hz)、2.24−2.40(m,2H)、1.74−2.07(m,3H)、1.65−1.76(m,2H)、1.38−1.49(m,1H)、0.96−1.07(m,1H).
オクタヒドロオキシレノ[e]イソクロメン(6−7)
0℃のCH2Cl2(6mL)中、3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン(0.120g、0.868mmol)の混合物に、MCPBA(約77%、0.300g、1.30mmol)を添加した。混合物を室温にて1時間攪拌した。それを飽和亜硫酸ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物をCHClおよび飽和NaHCO水溶液で希釈した後、CHClで抽出した。合した有機物を乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。
(4aR,5R,8aS)−5−(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール(6−8)
0℃のCH2Cl2(1mL)中、4−フルオロアニリン(0.119g、1.07mmol)の混合物に、トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、0.535mL)を滴下した。混合物を室温まで温め、30分間攪拌した。次に、CH2Cl2(1mL)中、シスおよびトランスオクタヒドロオキシレノ[e]イソクロメン(0.033g、0.214mmol)の混合物を添加し、混合物を室温にて一晩攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、50%NaOH(1mL)で、次に水(1mL)で処理した。それをさらに多くの水で希釈し、CHClで3回抽出した。合した有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ6.92(t,2H,J=8.8Hz)、6.71(dd,2H,J−4.2Hz,8.8Hz)、3.81−3.87(m,1H)、3.61(dd,1H,J=4.6Hz,11.2Hz)、3.50(t,1H,J=11.0Hz)、3.32(s,1H)、2.15−2.26(m,1H)、1.89−2.07(m,2H)、1.59−1.69(m,2H)、1.45−1.58(m,1H)、1.20−1.37(m,4H).HRMS(ES)m/z M+H calc’d:266.1551 found:266.1549
【0137】
【表8】

【実施例7】
【0138】
(4aS,5R,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール
反応スキーム7
【0139】
【化20】

エチル3−(6−オキソシクロヘキサ−1−エン−1−イル)プロパノアート(7−2)
化合物7−2および化合物7−3を、参照文献に従って製造した(Yeh,M−C;Lee,Y−C,Young,T−C,Synthesis,2006,21,3621−3624)。1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEU)100mL中、5mLのシクロヘキサ−2−エン−1−オンの溶液に、7.4mLのアクリル酸エチル、それに続いて4mLの2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン(DBU)を添加した。反応物を封管中で一晩185℃まで加熱した後、室温まで冷却し、水に添加した。得られる混合物をEtOで抽出し、粗抽出物をNaSOで乾燥させた後、濾過し、濃縮し、シリカ(ヘキサン中0〜60% EtO)で精製して、標題化合物を得た。
【0140】
3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン(7−3)
48mLのジイソブチルアルミニウムヒドリド(シクロヘキサン中1.0M)の溶液を、−78℃まで冷却し、48mLのTHF中、2.335gのエチル3−(6−オキソシクロヘキサ−1−エン−1−イル)プロパノアートの溶液を添加した。反応物を0℃まで温め、1時間攪拌した後、室温まで温め、さらに1時間攪拌した。この時点で反応が終了していなかったので、10mLのさらなるジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液を反応に添加し、室温にて2時間攪拌した。次に、反応物を−78℃に冷却した後、25mLの6M HClを滴下した。添加が完了した後、反応物を室温まで戻らせ、一晩攪拌した。反応物を200mLのEtOで希釈した後、水で2回、次にブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させた後、濾過し、濃縮し、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。
(1aS,4aS,8aS)−ヘキサヒドロ−1aH,6H−オキシレノ[e]クロメン(7−4)および(1aS,4aR,8aS)−ヘキサヒドロ−1aH,6H−オキシレノ[e]クロメン(7−5)
431mgの3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメンを12.5mLのCHClに溶解し、次いで700mgのメタ−クロロペルオキシ安息香酸(純度77%)を添加し、数時間攪拌した。TLCは、2つの生成物を示した。過剰な酸化剤を飽和亜硫酸ナトリウムでクエンチし、水で希釈し、次いでCHClで抽出し、抽出物をNaSOで乾燥させた。濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルで精製して、ここの標題化合物を得た。化合物7−4:
H MR(500MHz,CDC1)δ=1.26−1.31(m,1H)、1.42−1.46(m,1H)、1.49−1.58(m,2H)、1.65−1.72(m,1H)、1.76−1.88(m,3H)、1.95−2.03(m,2H)3.05(d,J=4.9Hz,1H)、3.49(td,J=11.5Hz,J=2.9Hz,1H)、3.72−3.74(m,1H)、3.97−4.01(m,1H)ppm.(7−5)H NMR(500MHz,CDC1)δ=1.21−1.31(m,1H)、1.34−1.39(m,1H)、1.47−1.69(m,4H)、1.77−1.88(m,2H)、2.01−2.13(m,2H)、3.07(d,J=3.9Hz,1H)、3.60−3.66(m,2H)、4.05−4.09(m,1H)ppm
(4aS,5R,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール(7−6)
55uLの4−フルオロアニリンを、1.3mLのCHClに溶解し、次いで0℃まで冷却し、0.21mLのAlMe(トルエン中2.0M)を添加した。室温まで温め、30分間攪拌した後、1.0mLのCHCl中、50mgの(1aS,4aR,8aS)−ヘキサヒドロ−1aH,6H−オキシレノ[e]クロメン(7−5)を添加した。室温にて2時間攪拌した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液を反応物に滴下し、さらなるガスの発生が認められなくなるまで、ガスの発生が止まると次の滴を加えた。混合物を水で希釈した後、CHClで抽出した。抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した後、シリカ(ヘキサン中0〜40% EtOAc)で精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI3)δ=1.42−1.69(m,7H)、1.90−2.09(m,3H)、2.47(s,1H)、3.38−3.48(m,3H)、3.53(s,broad,1H)、3.92−3.95(m,1H)、6.54−6.59(m,2H)、6.84−7.26(m,2H)ppm.HRMS(ES)m/z M+H calc’d:266.1551;found 266.1551
【0141】
【表9】


【実施例8】
【0142】
(4aR,5R,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(メトキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a−(5H)−オール
【0143】
【化21】

5−エテニル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(8−2)
120mLのTHF中、21.0gのメチルトリフェニルホスホニウムブロミドの溶液を0℃まで冷却し、30mLのリチウムジイソプロピルアミド(THF中2.0M)を添加し、0℃にて1時間攪拌した。次に、5mLのTHF中、5.09gの3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−5−カルバルデヒドを、シリンジを介して反応混合物にゆっくりと添加し、反応物を室温まで温め、一晩攪拌した。反応物を水に添加し、石油エーテルで抽出し、NaSOで乾燥させた。その後フリーザーで数時間冷却することにより、トリフェニルホスフィンオキシドの多くを溶液から晶出させ、乾燥剤およびホスフィン副生成物を濾過により除去した。溶液を真空濃縮し、残りの粗混合物を減圧下で蒸留して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ=1.89−1.94(m,2H)、2.15(t,J=6.3Hz,2H)、3.99(t,J=5.1Hz,2H)、4.77(d,J−10.7Hz,1H)、4.90(d,J=17.3Hz,1H)、6.24(dd,J=17.3Hz,J=10.7Hz,1H)、6.57(s,1H)ppm
(8R,8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−8−カルバルデヒド(8−3)
2.613gの5−エテニル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランおよび8.9mLのアクロレイン(純度90%)の混合物を、39mLのCHClに溶解し、室温にて一晩攪拌した。反応物を水に添加し、CHClで抽出した。粗抽出物を濾過し、ロータリーエバポレーター(rotovap)を用いて濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ=1.64−1.98(m,5H)、2.04−2.16(m,1H)、2.23−2.29(m,1H)、2.34−2.38(m,1H)、2.60−2.64(m,1H)、3.55−3.61(m,1H)、3.99−4.04(m,1H)、4.21(d,J=5.6Hz,1H)、5.55(s,1H)、9.88(s,1H)ppm
(8S,8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−8−イルメタノール(8−4)
202mgの(8R,8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−8−カルバルデヒドを、8mLのMeOHに溶解し、溶液を0℃まで冷却し、52mgの水素化ホウ素ナトリウムをゆっくりと添加した。反応物を数時間攪拌し、徐々に室温まで温めた。ロータリーエバポレーターを用いてメタノールを除去し、残渣をCHClで希釈し、飽和NHClを添加した。混合物を分離し、水性部分をCHClで抽出した。粗抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDC1)δ=1.46−1.80(m,4H)、1.84−2.10(m,3H)、2.13−2.38(m,2H)、2.78−2.86(m,1H)、3.52−3.62(m,1H)、3.66−3.76(m,1H)、3.76−3.87(m,1H)、3.94−3.47(m,2H)、5.52(s,1H)ppm
tert−ブチル[(8S,8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−8−イルメトキシ]ジフェニルシラン(8−5)
360mg(8S,8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−8−イルメタノールの溶液に、2.2mLのDMFを添加し、次いで224mgのイミダゾール、それに続いて0.66mLのtert−ブチル(クロロ)ジフェニルシランを添加した。反応物を室温にて一晩攪拌した後、水に添加し、ジエチルエーテルで抽出した。粗抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ=1.05(s,9H)、1.37−1.46(m,1H)、1.54−1.58(m,1H)、1.63−1.73(m,2H)、1.86−2.09(m,3H)、2.16−2.24(m,1H)、2.25−2.31(m,1H)、3.53(m,1H)、3.60(dd,J=9.8Hz,J2=7.7Hz,1H)3.80(d,J=5.1Hz,1H)、3.90(dd,J=10.0Hz,J2=7.4Hz,1H)、3.94−3.98(m,1H)、4.49−5.52(m,1H)、7.35−7.42(m,6H)、7.67−7.72(m,4H)ppm
tert−ブチル[(1aR,4S,4aR,8aR)−ヘキサヒドロ−1aH,6H−オキシレノ[e]クロメン−4−イルメトキシ]ジフェニルシラン(8−6)
424mgのtert−ブチル[(8S,8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−8−イルメトキシ]ジフェニルシランを、10mLのCHClに溶解した後、264mgのメタ−クロロペルオキシ安息香酸を添加し、室温にて一晩攪拌した。過剰な酸化剤を飽和亜硫酸ナトリウムでクエンチし、水で希釈した後、CHClで抽出し、抽出物をNaSOで乾燥させた。濾過し、濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ=1.05(s,9H)、1.16−1.22(m,1H)、1.24−1.34(m,1H)、1.42−1.46(m,1H)、1.76−1.91(m,2H)、1.99−2.11(m,2H)、3.04(d,J=5.1Hz)、3.38−3.48(m,2H)、3.68(t,J=9.0Hz)、3.87(d,J−2.9Hz)、3.94−3.98(m,1H)、7.35−7.43(m,6H)、7.64−7.69(m,4H)ppm
(4aR,5R,8S,8aR)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール(8−7)
114uLの1を、2.4mLのCHClに溶解した後、0.59mLのトリメチルアルミニウム(トルエン中2.0M)を添加した。45分間攪拌し、その後0.50mLのCHCl中、100mgのtert−ブチル[(1aS,4aR,8aS)−ヘキサヒドロ−1aH,6H−オキシレノ[e]クロメン−4−イルメトキシ]ジフェニルシランを添加した。反応物を室温にて攪拌した後、飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液を反応物に滴下し、さらなるガスの発生が認められなくなるまで、ガスの発生が止まると次の滴を加えた。混合物を水で希釈した後、CHClで抽出した。抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCI)δ=1.05(s,9H)、1.26−1.33(m,3H)、1.56−1.65(m,2H)、1.71−1.76(m,1H)、1.78−1.86(m,1H)、2.11−2.16(m,1H)、2.21−2.28(m,1H)、2.32−2.42(m,1H)、3.40−3.48(m,2H)、3.52−3.57(m,2H)、3.76(t,J=9.0Hz,1H)、4.07(dd,J=11.5Hz,J=5.4Hz,1H)、4.58(d,J=11.5Hz)、6.48−6.52(m,2H)、6.84−6.88(m,2H)、7.36−7.44(m,6H)、7.68−7.71(m,4H)ppm
(4aR,5R,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール(8−8)
68mgの(4aS,5R,85,8aR)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オールを、4mLのテトラブチルアンモニウムフルオリド溶液(THF中2.0M)に溶解し、室温にて一晩攪拌した。ロータリーエバポレーター(rotovap)を用いて過剰な溶媒を除去した後、残渣をCHClで希釈し、水に添加し、CHClで抽出した。粗抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ=1.32−1.39(m,1H)、1.55−1.90(m,5H)、2.06−2.16(m,2H)、2.24−2.28(m,1H)、234−2.46(m,1H).3.46(s,1H)、3.49−3.56(m,2H)、3.68−3.75(m,IH)、3.77−3.82(m,IH)、4.12(dd,J=11.4Hz,J=6.0Hz,IH)、4.64(d,J=11.2Hz)、6.50−6.56(m,2H)、6.85−6.90(m,2H)ppm
(4aR,5R,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(メトキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール(8−9)
95mgの(4aS,5R,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オールを、2.1mLのTHFに溶解した後、39mgのNaHを添加した。反応物を室温にて1.5時間攪拌した後、さらに1mLのTHFで希釈した後、50uLのヨードメタンを添加した。反応物を室温にて一晩攪拌した後、飽和NHClを添加した。混合物を水で希釈し、CHClで抽出した。粗抽出物をNaSOで乾燥させた後、濾過し、濃縮した後、シリカゲルで精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDC1)δ=1.34−1.40(m,2H)、1.54−1.62(m,2H)、1.72−1.77(m,1H)、1.78−1.87(m,1H)、2.10−2.16(m,1H)、2.22−2.30(m,1H)、2.32−2.42(m,1H)、3.29(dd,J=9.3Hz,J=6.6Hz,1H)、3.31−3.33(m,1H)、3.44−3.50(m,2H)、3.53(bd,j=11.2Hz)、4.09(dd,J=11.6Hz,J=6.5Hz,1H)、4.58(d,J=11.2Hz)ppm.HRMS(ES)m/z M+H calc’d:310.1813;found 310.1811
【0144】
【表10】


本発明をある特定の実施形態を参照して記載および説明したが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、手順およびプロトコールの様々な適合、変更、修正、置き換え、削除、または追加を行うことができることを理解するであろう。例えば、本明細書上文に示される特定の薬用量以外の有効量は、上に示される本発明の化合物で徴候のいずれかを治療されている哺乳動物の応答性の変化の結果として、適用することができる。同様に、観察される具体的な薬理学的応答は、選択される特定の活性化合物または製薬担体が存在するかどうか、ならびに製剤の種類および用いる投与様式に従って、かつそれらに応じて、変動する可能性があり、かかる予期される結果の変動または相違は、本発明の目的および実施に一致していると考えられる。そのため、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、かかる特許請求の範囲は、合理的である程度に広く解釈されることが意図される。
生物学的実施例
ハイスループットカルシウムイメージングアッセイ
このアッセイは、TRPA1チャネルを安定して発現している細胞において、チャネルの活性化の後に細胞内Ca2+濃度の変化を検出することに依存するものであった。TRPA1チャネルの活性化は、Ca2+流入の後に起こった。Ca2+の上昇は、細胞に積み込まれた蛍光Ca2+指標を用いることにより定量した。Ca2+の上昇を阻害した化合物を、さらなる試験を必要とする「ヒット」と見なした。
【0145】
HEK293 Flpln細胞株(Invitrogen)は、製造業者の指針により配列番号1に表されるアミノ酸配列を含むヒトTRPA1タンパク質をコードする構築物で安定的に形質移入された。得られる細胞株を、製造業者に推奨される、TRPA1チャネルを安定して発現する細胞の選択を促進する100ug/mLハイグロマイシンBを添加した成長培地で維持した。コンフルエントまで増殖した後、384ウェルのBlack/Clear Microtestプレート(Falcon)でハイグロマイシンを添加した推奨される増殖培地に細胞を24,000細胞/ウェルの密度でプレーティングし、20〜24時間増殖させて、約90%コンフルエントな細胞単層をもたらした。次に、細胞にCa2+色素Fluo−4AM(Invitrogen)を含有するアッセイバッファーを加えて終濃度を4uMとし、60分間室温にて暗所でインキュベートした。アッセイバッファーは、138mM NaCl、5.33mM KCl、1.26mM CaCl2、0.49mM MgCl2、0.41mM MgSO4、5.56mM D−グルコース、0.44mM KH2PO4、0.34mM Na2HPO4、20mM HEPES、2.5mM プロベネシド、および4% TR−40;pH7.8からなった。染料を添加して1時間後、Fluo−4AM染料の励起を許容するFLIPR TETRA(Molecular Devices)を用いて細胞をアッセイし、それに続いて製造業者の指針に従って発光スペクトルを記録した。各々の試薬の添加の前に合計5回のベースライン読み取りを得、その後、195秒間、3秒に1回の速度で、その後10秒に1回さらに420秒間の読み取りを得た。アッセイの間、試薬を添加し、FLIPR TETRAピペッターによる各々の添加の後に混合した。桂皮アルデヒドのEC60濃度はスクリーニングアッセイの前に決定し、これからは活性化濃度として使用した。スクリーニングアッセイのために、ベースライン読み取りを行い、それに続いて終濃度の6倍の化合物原液10uLを添加し、その後既に記載したように615秒の読み取り時間が続いた。ベースライン読み取りに続いて、10uLの6倍終濃度桂皮アルデヒドを各々のウェルに添加し、終濃度が10uMの化合物、および、平均して、(その実験の間に誘導されるEC60に応じて)12uMの桂皮アルデヒドを実現した。桂皮アルデヒドの添加に続いて、既に記載したように読み取りを615秒間行った。陰性対照は、化合物ビヒクル、その後桂皮アルデヒドに曝露したHEK293 Flpln TRPA1細胞からなった。陽性対照は、桂皮アルデヒドに対する応答を完全に遮断することのできる参照アンタゴニストの濃縮物に曝露したHEK293 Flpln TRPA1細胞からなった。「ヒット」は、陰性および陽性対照と比較して、桂皮アルデヒドの存在下で蛍光応答を阻害する化合物とされた。完全な抑制に達した、「ヒット」と定義された化合物のIC50値を決定した。この細胞に基づく蛍光アッセイを用いて、次の濃度の化合物の存在下での、チャネルを通るCa2+流入を決定した:10uM、3.33uM、1.11uM、0.37uM、0.12uM、0.041uM、0.014uM、0.0046uM、0.0015uM、および0.00051uM。極めて強力な「ヒット」も、1000nM、333.33nM、111.11nM、37.04nM、12.35nM、4.12nM、1.37nM、0.46nM、0.15nM、および0.05nMで調査した。
【0146】
[配列番号1]
ヒトTRPA1−NM_007332.1
【0147】
【化21】


本発明のTRPA1アンタゴニストは、ヒトTRPA1の阻害に対するIC50値が、100マイクロモル以下、場合によっては50マイクロモル以下、場合によっては20マイクロモル以下、場合によっては10マイクロモル以下、場合によっては5マイクロモル以下、場合によっては2マイクロモル以下、場合によっては1マイクロモル以下、場合によっては500ナノモル以下、場合によっては250ナノモル以下、場合によっては200ナノモル以下、場合によっては100ナノモル以下、および場合によっては20ナノモル以下であることが見出された。特定の実施形態では、本発明のTRPA1アンタゴニストは、内向きおよび外向きのTRPA1に媒介される電流の一方または両方を、100マイクロモル以下、場合によっては50マイクロモル以下、場合によっては20マイクロモル以下、場合によっては10マイクロモル以下、場合によっては5マイクロモル以下、場合によっては2マイクロモル以下、場合によっては1マイクロモル以下、場合によっては500ナノモル以下、場合によっては200ナノモル以下、および場合によっては100ナノモル以下、場合によっては50ナノモル以下、場合によっては20ナノモル以下のIC50で阻害する。特定の実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、5マイクロモル以下で、さらにより好ましくは1マイクロモル以下で投与された場合に、少なくとも95%のTRPA1に媒介される電流またはTRPA1に媒介されるイオン流束を阻害する。
【0148】
理想的には、本特許請求されるTRPA1阻害剤は、その濃度で、患者においてQT間隔の延長を引き起こさず、患者において体温調節も変えることのない、TRPA1阻害に対するIC50を有する。
【0149】
特定の実施形態では、本医薬組成物は、有効量のいずれかの式Iの化合物を含み、この際、化合物は、10マイクロモル以下のIC50でTRPA1(例えば、TRPA1に媒介される電流および/またはTRPA1に媒介されるイオン流束)を阻害する。例えば、下の表Cにおいて、ナノモルのIC50値が見出される。
【0150】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物
【化1】

またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ:
(式中、
Wは、CH、NC(O)R、NC(O)NR、NR、CHR、−O−を表し、
U、X、Y、およびZは、独立に、CH、または−O−を表し;
は、水素、またはC1−6アルキルを表し;
は、水素、またはC1−6アルキル、C(O)N(R、C(O)R、C(O)O(CH6−10アリール、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリールを表し;前記アルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、Rの1〜3個の基で置換されていてもよく;
およびRは、独立に、H、(CHOR、(CHOR、CH(OR;CHO(CHOR、CHF、(CHNR、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリール、(CHR3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、CF、CHF、CHOSi(C5−6アリール)、C(O)1−2、またはC1−6アルキルを表し;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、Rの1〜3個の基で置換されていてもよく;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と組み合わされて、O、N、およびSから選択される1以上のさらなるヘテロ原子を含有してもよく、かつ、Rの1〜3個の基で置換されていてもよいC5−10ヘテロシクリルを形成することができ;
は、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、C(O)N(R、C(ROR、C(O)R、NO、CN、N(R、C(O)OR、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されていてもよく;かつ
nは、0〜4を表す)。
【請求項2】
が、水素であり、RおよびRの一方が、水素、またはCHであり、もう一方が、H、(CHR5−10ヘテロシクリル、(CHR6−10アリール、(CHR3−10シクロアルキル、またはC1−6アルキルからなる群から選択され;前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールが、Rの1〜3個の基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Wが、CHR、−O−、または−NC(O)Rであり、U、Z、YおよびXが、CHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、−O−であり、W、U、ZおよびXが、CHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Wが、CHRである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Wが、CH、または−O−である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
構造式Ia:
【化2】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ、
(式中、Rは、H、(CHOR、CH(OR、およびCHSi(C5−6アリール)からなる群から選択され、Rは、C1−6アルキル、ハロゲン、CN、OR、(CHCF、C3−6シクロアルキル、(CH5−10ヘテロシクリル、または(CH6−10アリールからなる群から選択され、前記ヘテロシクリルおよびアリールは、C1−6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、(CHCF、またはCNの1〜3個の基で置換されていてもよく、Rは、存在する場合、水素である)。
【請求項8】
構造式Ib:
【化3】

で表される、請求項7に記載の化合物またはその製薬上許容される塩、または、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ、
(式中、Raおよびnは、本明細書に記載される通りである)。
【請求項9】
構造式Id:
【化4】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ、
(式中、R、RおよびRおよびnは、当初記載される通りであり、Rは、Rまたは−NRであり、Rは、存在する場合、水素である)。
【請求項10】
構造式Ie:
【化5】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ、
(式中、R、Rおよびnは、当初記載される通りであり、Wは、CHR、または−O−であり、Yは、CHまたは−O−であり、Rは、H、(CHOR、CH(OR、およびCHOSi(C5−6アリール)からなる群から選択され(但し、YとWの両方が同時に−O−ではない)、Rは、存在する場合、水素である)。
【請求項11】
構造式If:
【化6】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ、
(式中、Rおよびnは、本明細書に記載される通りであり、U、X、およびZは、独立に、CHまたは−O−から選択される(但し、U、X、およびZのうちの1つだけが常に−O−であり得る))。
【請求項12】
(4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル[(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル]メタノン、
(4aS,8aS)−N−(4−フルオロフェニル)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−カルボキサミド、
(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)−N−(プロパン−2−イル)オクタヒドロキノリン−1(2H)−カルボキサミド、
[(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル](フェニル)メタノン、
[(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル](テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メタノン、
(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−N−フェニル−1−(3,3,3−トリフルオロプロパノイル)デカヒドロキノリン−4−アミニウムトリフルオロアセテート、
1−[(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル]−3−メチルブタン−1−オン、
1−[(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル]ペンタン−1−オン、
1−[(4aS,8aS)−4a−ヒドロキシ−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル]エタノン、
(4aS,8aS)−1−ベンジル−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロキノリン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(シクロプロピルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(プロパン−2−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[((2,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,3,5−トリフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,3,4−トリフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3,5−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,6−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,5−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−{[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−{[3−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−{[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(1H−インドール−7−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ビフェニル−4−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ビフェニル−3−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
3−{[(4aR,8aR)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}−1H−インドール−2−カルボン酸エチル、
(4aR,8aR)−4−(1H−インドール−4−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(キノリン−8−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(イソキノリン−5−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(キノリン−5−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(イソキノリン−1−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(キノリン−2−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(キノリン−6−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(キノリン−3−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(イソキノリン−3−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ナフタレン−2−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ナフタレン−1−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ビフェニル−2−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aS,8aR)−4−(モルホリン−4−イル)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−{[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−{[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール
(4S,4aS,8aR)−4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール
(1R,4aR,8aS)−8a−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)デカヒドロナフタレン−1−アミニウム、
(1S,4aR,8aS)−8a−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)デカヒドロナフタレン−1−アミニウム、
(1R,4aR,8aS)−N−ベンジル−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−アミニウム、
(1S,4aR,8aS)−N−ベンジル−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−アミニウム、
(4aS,8aR)−4−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aS,8aR)−4−(ピリジン−3−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(3−クロロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−[(3−クロロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aS,8aR)−4−[(2−クロロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aS,8aR)−4−[(2−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−[(2−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
4−{[(1R,4aR,8aS)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
4−{[(1S,4aR,8aS)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
3−{[(1R,4aR,8aS)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
3−{[(1S,4aR,8aS)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
(4R,4aS,8aR)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aS,8aR)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,5−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2−メチルプロピル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(1H−インドール−5−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ピリジン−4−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4S,4aR,8aR)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4R,4aR,8aR)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(シクロペンチルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−{[(1S,2R)−2−ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(ピリミジン−5−イルメチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2−メチルシクロヘキシル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2−メトキシエチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3S,5S,7S)−トリシクロ[3.3.1.13.7]デカ−1−イルアミノ]オクタヒドロ−ナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(モルホリン−4−イル)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−{[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ}オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2−フェニルエチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(1−フェニルエチル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ベンジルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(ピリジン−3−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3−クロロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3−クロロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(4−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,8aR)−4−[(2−メトキシフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
4−{[(4aR,8aR)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
3−{[(4aR,8aR)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
2−{[(4aR,8aR)−8a−ヒドロキシデカヒドロナフタレン−1−イル]アミノ}ベンゾニトリル、
4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、
(4aR,5S,8aR)−8−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aS,5R,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aS,5R,8aR)−5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aS,5R,8aR)−5−(フェニルアミノ)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S,8aR)−5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S,8aR)−5−(フェニルアミノ)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5R,8aR)−8−(ジメトキシメチル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aS,5R,8aS)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S,8aS)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S,8aR)−N−(4−フルオロフェニル)−4a−メトキシ−8−(メトキシメチル)−N−メチルオクタヒドロ−2H−クロメン−5−アミン、
(4aR,5S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]−8−(メトキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−8−(メトキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−4a−メトキシ−8−(メトキシメチル)−N−フェニルオクタヒドロ−2H−クロメン−5−アミン、
(4aR,5S)−8−(メトキシメチル)−5−(フェニルアミノ)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−N−(4−フルオロフェニル)−4a−メトキシ−8−(メトキシメチル)オクタヒドロ−2H−クロメン−5−アミン、
(4aR,5S)−5−[(4−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]−8−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−8−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−8−(ヒドロキシメチル)−5−(フェニルアミノ)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(メトキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−(フェニルアミノ)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S)−8−({[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}メチル)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4R,4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4aR,5R,8aS)−5−(フェニルアミノ)オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4aR,5R,8aS)−5−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4aR,5R,8aS)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4R,4a,8aR)−4−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4R,4aR,8aR)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4R,4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロ−4aH−イソクロメン−4a−オール、
(4R,4aS,8aS)−4−[(4−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4R,4aS,8aS)−4−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4R,4aS,8aS)−4−(フェニルアミノ)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4R,4aS,8aS)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4S,4aR,8aS)−4−(4−フルオロベンジル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aS,8R,8aR)−8−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン−8a(3H)−オール、
(4aS,8R,8aR)−8−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン−8a(3H)−オール、
(4aS,8S,8aS)−8−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン−8a(3H)−オール、
(4aS,8S,8aS)−8−[(3,4−ジフルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−1H−イソクロメン−8a(3H)−オール、
エチル({(4aR,5S,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−4a−ヒドロキシオクタ−ヒドロ−2H−クロメン−8−イル}メチル)カルバミン酸ベンジル、
(4aR,5S,8S,8aR)−8−[(エチルアミノ)メチル]−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aS,5R,8S,8aR)−8−[(ジエチルアミノ)メチル]−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
N−エチル−N−({(4aS,5R,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−4a−ヒドロキシ−オクタヒドロ−2H−クロメン−8−イル}メチル)−2−メチルプロパンアミド、
1−エチル−1−({(4aS,5R,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−4a−ヒドロキシ−オクタヒドロ−2H−クロメン−8−イル}メチル)−3,3−ジメチルウレア、
(4aR,5S,8S,8aR)−8−[(ベンジルオキシ)メチル]−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
(4aR,5S,8S,8aR)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−[(2−メトキシエトキシ)メチル]−ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、
である化合物、またはその製薬上許容される塩、または、該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体、またはプロドラッグ。
【請求項13】
(4aR,8aR)−4−[(4−フルオロフェニル)アミノ]オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オールまたはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
(4R,4aR,8aR)−4−(フェニルアミノ)オクタヒドロナフタレン−4a(2H)−オール、またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグである、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
(4aR,5S,8aS)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグである、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
(4aR,5S)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−8−(メトキシメチル)ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグである、請求項12に記載の化合物。
【請求項17】
(4aS,5R,8aS)−5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]ヘキサヒドロ−2H−クロメン−4a(5H)−オール、またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグである、請求項12に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
式Iの化合物またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグを投与することを含む、TRPA1の活性化を伴うかまたはTRPA1活性の低下が重篤度を低下させることのできる状態を、治療または予防するための方法。
【請求項20】
慢性または急性の疼痛または接触に対する感受性を、それを必要とする哺乳類患者において治療、予防または軽減するための、前記患者に治療上有効な量、または予防的に効果的な量の、請求項1の化合物またはその製薬上許容される塩、または該化合物もしくはその塩の溶媒和物、水和物、立体異性体、鏡像異性体またはプロドラッグを投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
疼痛が、術後疼痛、癌性疼痛、神経因性疼痛または顎関節痛である、請求項20に記載の方法。


【公表番号】特表2013−507364(P2013−507364A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533207(P2012−533207)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/050493
【国際公開番号】WO2011/043954
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】