説明

新規なVip3トキシン及び使用方法

広範囲の鱗翅類の害虫に対して高度に活性である新規なVip3トキシンが、開示されている。Vip3トキシンをコードしているDNAを使用して種々の原核生物及び真核生物を形質転換してVip3トキシンを発現できる。これらの組み換え生物を使用して種々の環境で鱗翅類昆虫を防除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バチラスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の新規なVip3トキシン、前記トキシンを発現する核酸配列、並びに前記トキシンの製造方法及び前記トキシン及び対応する核酸配列を使用して昆虫を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物害虫は、世界の重要な農作物の損失の主要因である。昆虫を含む非哺乳動物害虫の侵襲により、米国だけでも、毎年約80億ドルが失われている。農作物の損失の他に、害虫は、野菜栽培者及び果物栽培者、装飾花の生産者並びに家庭園芸者にとってもやっかいである。
【0003】
害虫は、主に化学農薬を集中して散布することにより防除される。これらの化学農薬は、昆虫の成長の阻害、昆虫の摂食若しくは繁殖の防止又は死亡を生じるように作用する。このように、良好な昆虫防除がなされるが、これらの農薬は、他の有益な昆虫にも影響することがある。さらに、化学農薬を幅広く使用することにより生じる別の問題に、耐昆虫性変種が出現することがある。これは、種々の抵抗性の管理をおこなうことにより部分的に軽減されてきたが、別の害虫防除剤がますます必要とされてきている。殺虫トキシン様δ−エンドトキシンを発現するBacillus thuringiensis株等の生物学的殺虫防除剤も、作物に散布して満足のいく結果が得られ、化学農薬の代替品又はコンプリメントを提供している。これらのδ−エンドトキシンの一部をコードする遺伝子が単離され、異種の宿主での発現により経済的に重要な害虫を駆除するための別のツールが提供されることが分かった。特に、Bacillus thuringiensisδ−エンドトキシン等のトランスジェニック植物中での殺虫トキシンの発現により、選択された害虫に対して効率的に防御され、このようなトキシンを発現するトランスジェニック植物が商業化され、農業従事者は化学的昆虫防除剤の散布を減らすことができた。
【0004】
現在では、他の非エンドトキシン遺伝子及びそれらがコードするタンパク質が同定されている。米国特許第5,877,012号、第6,107,279号、第6,137,033号及び第6,291,156号並びにEstruch等(1996,Proc.Natl.Acad.Sci.93:5389−5394)及びYu等(1997,Appl.Envion.Microbiol.63:532−536)(これらは、引用することにより本明細書の内容とする)は、Vip3と称される新しい種類の殺虫タンパク質を記載している。Vip3遺伝子は、約88kDaタンパク質をコードしている。このタンパク質は、Bacillusにより、成長の栄養生長期の間に産生され、分泌される(植物性殺虫タンパク質、VIP)。このVip3Aタンパク質は、広範囲の鱗翅類害虫に対して殺虫活性がある。これらの害虫として、タマナヤガ(BCW、Agrotis ipsilon)、ヨトウガ(FAW、Spodoptera frugiperda)、タバコガ(TBW、Heliothis verescens)及びオオタバコガ(CEW、Helicoverpa zea)があげられるが、これらには限定されない。より最近では、Vip3Aタンパク質を発現する植物は、半翅目の害虫により生じる食害に対して耐性があることが判明した。すなわち、Vip3Aタンパク質は、独特の殺虫活性スペクトルを示す。他にWO98/18932、WO98/33991、WO98/00546及びWO99/57282でも、Vip3に属するタンパク質の相同体が同定されている。
【0005】
害虫を防除するために化学剤及び生物剤を継続して使用すると、昆虫がこのような防除対策に対する耐性を発現する可能性が増す。また、各防除剤では、数種の特定の害虫しか防除できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、農業従事者にとって経済的に有益であり、且つ環境に優しい、新規で且つ有効な害虫防除剤を見出すことが、依然として必要とされている。特に必要としている防除剤は、広範囲の経済的に重要な害虫を標的とする防除剤、既存の昆虫防除剤に対して耐性であるか、耐性となることがある種類の昆虫を効率的に防除する防除剤、及び現在の防除剤と比較して効力の増加したものである。さらに、散布による環境への負荷が最小限である防除剤が、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、米国特許第5,877,012号、第6,107,279号及び第6,137,033号、Estruch等(1996)、Yu等(1997)並びにWO98/18932、WO99/33991、WO99/5782及びWO98/00546に開示されているのとは異なる新しい遺伝子及びトキシンを提供することによる新規な害虫防除剤の必要性を満たすことができる。
【0008】
本発明によれば、植物害虫を防除する組成物及び方法が提供される。特に、発現により経済的に重要な害虫、特に植物に寄生する害虫に対して毒性を有する殺虫性トキシンを生じる、Bacillus thuringiensisから単離した新規なvip3核酸配列及びそれに実質的に同一の配列が提供される。さらに、本発明は、害虫の生存、成長及び繁殖能力を阻害したり、作物に対する昆虫関連被害又は損失を抑制することができる、核酸配列の発現により得られる新規な殺虫性トキシン、及びこれらの殺虫性トキシンを含有する組成物及び製剤に関する。また、本発明は、核酸配列を、例えば、殺虫活性が高まったハイブリッドトキシンの製造、又はDNAシャフリング等の組み換え操作に使用する方法に関する。さらに、本発明は、トキシンの製造方法、例えば、昆虫を防除するために微生物において前記核酸配列を使用する方法、昆虫被害からの保護能を付与するためにトランスジェニック植物に使用する方法、並びに上記殺虫性トキシン並びに上記殺虫性トキシンを含む組成物及び製剤を使用して、例えば、上記殺虫性トキシン又は組成物若しくは製剤を昆虫汚染している領域に散布するか、昆虫汚染されやすい領域又は植物を予防的に処理して害虫に対する保護能を付与する方法に関する。
【0009】
本発明のヌクレオチド配列は、殺虫活性範囲を広げたり、特定の害虫に対する特定の活性を増加することを含むがこれらには限定されない種々の目的のためにヌクレオチド配列を変更するのに一般的に当該技術分野において公知の方法を用いて構築できる。ランダム断片化によるDNAシャッフリング並びに遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRリアセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を構築する。
【0010】
本明細書に記載する新規な殺虫性トキシンは、昆虫に対して高い活性を有する。殺虫性トキシンにより、多数の経済的に重要な害虫、例えば、前記鱗翅類Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Diatraea grandiosella(サウスウエスタンコーンボーラー)、Diatraea saccharalis(サトウキビボーラー)、Helicoverpa punctigera(野生型アオムシ)及びHelicoverpa armigera(オオタバコガ)を防除できる。殺虫性トキシンは、単独又は他の昆虫防除方法と組み合わせて使用して環境への影響を最小限としながら最大の害虫防除効率を得ることができる。
【0011】
本発明の一態様によれば、昆虫に対して活性であるトキシンをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子において、前記ヌクレオチド配列が:(a)7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するか、(b)(a)のヌクレオチド配列と同義であるか、(c)(a)又は(b)のヌクレオチド配列の連続した20塩基対ヌクレオチド部分に配列が同一である連続した20塩基対ヌクレオチド部分を含むか、(d)配列番号:1と配列が少なくとも93%同一であるか、(e)配列番号:2と配列が少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列をコードしている、核酸分子が提供される。
【0012】
この態様の一実施態様によれば、 前記単離された核酸分子が、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するヌクレオチド配列を含む。
【0013】
この態様の別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するヌクレオチド配列と同義であるヌクレオチド配列を有する。
【0014】
さらに別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、配列番号:1又は配列番号:3に記載されている前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド1981−2367の連続した20塩基対のヌクレオチド部分と配列同一である連続した20塩基対ヌクレオチド部分を有する。
【0015】
別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも75%が同一であるヌクレオチド配列を含む。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む。さらにより好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも99%が同一であるヌクレオチド配列を含む。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1又は配列番号:3のヌクレオチド1981−2367を含む。
【0016】
別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、配列番号:1と配列が少なくとも93%が同一であるヌクレオチド配列を含む。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1と配列が少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1と配列が少なくとも99%が同一であるヌクレオチド配列を含む。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:10、配列番号:31又は配列番号:33からなる群から選択されたヌクレオチド配列のヌクレオチド1−2367を含む。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも75%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも85%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。さらにより好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2のアミノ酸661−788を含むトキシンをコードしている。
【0018】
別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2又は配列番号:12に記載されている前記アミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。
【0019】
一実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、受託番号B−30556のNRRLと命名されているC1674及び受託番号B−30557のNRRLと命名されているC536からなる群から選択されたBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)分離株に含まれている。
【0020】
別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、受託番号B−30553のNRRLと命名されているpNOV3910、受託番号B−30552のNRRLと命名されているpNOV3911、受託番号B−30555のNRRLと命名されているpNOV3906、受託番号B−30554のNRRLと命名されているpNOV3905及び受託番号B−30551のNRRLと命名されているpNOV3912からなる群から選択された大腸菌(E.coli)クローンに含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、鱗翅類昆虫に対して活性であるトキシンをコードしている。好ましくは、この実施態様によれば、前記トキシンは、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)に対して活性を有している。
【0022】
また、本発明によれば、前記本発明の核酸分子に作動可能に連結した異種のプロモーター配列を含むキメラ遺伝子が提供される。さらに、本発明によれば、このようなキメラ遺伝子を含む組み換えベクターが提供される。さらに、本発明によれば、このようなキメラ遺伝子を含むトランスジェニック宿主細胞が提供される。本発明のこの態様によるトランスジェニック宿主細胞は、動物細胞、動物ウイルス、植物ウイルス、細菌性細胞、酵母細胞又は植物細胞でよく、好ましくは植物細胞である。さらに、本発明によれば、このような植物細胞を含むトランスジェニック植物が提供される。本発明のこの態様によるトランスジェニック植物は、モロコシ、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ属作物、綿、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、アブラナ又はトウモロコシ、好ましくはトウモロコシ及び綿でよい。さらにまた、本発明によれば、モロコシ、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ属作物、綿、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、アブラナ及びトウモロコシからなるトランスジェニック植物からなる群から選択された種子が提供される。特に好ましい態様によれば、上記種子は、トランスジェニックトウモロコシ植物又はトランスジェニック綿植物由来のものである。
【0023】
また、本発明によれば、第二殺虫成分をコードする第二核酸配列又は第二の核酸配列群を含んでなるトランスジェニック植物が提供される。特に好ましい第二の核酸配列は、δ−エンドトキシンをコードするもの、別の植物性殺虫性タンパク質トキシンをコードするもの又は非タンパク質性殺虫性成分の産生の経路をコードするものである。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の核酸分子の発現により産生されるトキシンが提供される。
【0025】
好ましい実施態様によれば、トキシンは、配列番号:1、配列番号:3及び配列番号:10からなる群から選択されたヌクレオチド配列のヌクレオチド1−2367を含む核酸分子の発現により産生される。
【0026】
別の実施態様によれば、本発明のトキシンは、鱗翅類昆虫、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)に対して活性である。
【0027】
一実施態様によれば、本発明のトキシンは、受託番号B−30556のNRRLと命名されているC1674及び受託番号B−30557のNRRLと命名されているC536からなる群から選択されたBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)分離株により産生されたものである。
【0028】
別の実施態様によれば、前記トキシンが、受託番号B−30553のNRRLと命名されているpNOV3910、受託番号B−30552のNRRLと命名されているpNOV3911、受託番号B−30555のNRRLと命名されているpNOV3906、受託番号B−30554のNRRLと命名されているpNOV3905及び受託番号B−30551のNRRLと命名されているpNOV3912からなる群から選択された大腸菌(E.coli)クローンにより産生されたものである。
【0029】
一実施態様によれば、本発明のトキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも75%が同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、前記トキシンは、 配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも85%が同一であるアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む。さらにより好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む。最も好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2のアミノ酸661−788を含む。
【0030】
別の実施態様によれば、本発明のトキシンは、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む。最も好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2、配列番号:11又は配列番号:32に記載されている前記アミノ酸配列を含む。
【0031】
また、本発明によれば、昆虫を防除するのに効果的な量の本発明によるトキシンを含む組成物が提供される。
【0032】
本発明の別の態様によれば、昆虫に対して活性であるトキシンを産生する方法において、(a)キメラ遺伝子を含むトランスジェニック宿主細胞を得る工程であって、キメラ遺伝子自体が、本発明の核酸分子に動作可能に連結した異種のプロモーター配列を含む工程と、(b)昆虫に対して活性である少なくとも一種のトキシンを生じるトランスジェニック細胞において前記核酸分子を発現する工程とを含む方法が提供される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の核酸分子をトランスジェニック植物に導入することを含む耐昆虫性トランスジェニック植物の産生方法において、前記核酸分子が、昆虫を防除するのに効果的な量が前記トランスジェニック植物において発現できるものである方法が提供される。一実施態様によれば、前記昆虫が、鱗翅類昆虫であり、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択された鱗翅類昆虫である。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、前記昆虫に対して、本発明のトキシンの有効量を供給することを含む、昆虫防除方法が提供される。一実施態様によれば、前記昆虫が、鱗翅類昆虫、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択された鱗翅類昆虫である。好ましくは、前記トキシンを、前記昆虫に経口的に供給する。一つの好ましい実施態様によれば、前記トキシンを、本発明のトキシンを発現する核酸配列を含むトランスジェニック植物を介して経口的に供給する。
【0035】
また、本発明によれば、昆虫に対して活性であるハイブリッドトキシンにおいて、前記ハイブリッドトキシンが、本発明によるヌクレオチド配列を含む核酸配列によりコードされているハイブリッドトキシンが提供される。
【0036】
一実施態様によれば、本発明のハイブリッドトキシンは、鱗翅類昆虫、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモスに対して活性である。
【0037】
別の実施態様によれば、前記ハイブリッドトキシンは、NRRL受託番号B−30551と命名されたE.coliクローンpNOV3912に含まれる約2.4kbDNAフラグメントによりコードされている。好ましい実施態様によれば、前記ハイブリッドトキシンは、配列番号:10に記載されているヌクレオチド配列によりコードされている。
【0038】
また、本発明によれば、殺虫的に有効な量の本発明によるハイブリッドトキシンを含む組成物が提供される。
【0039】
本発明の別の態様によれば、昆虫に対して活性であるハイブリッドトキシンを産生する方法において、(a)キメラ遺伝子を含むトランスジェニック宿主細胞を得る工程であって、キメラ遺伝子自体が、本発明の核酸分子に動作可能に連結した異種のプロモーター配列を含む工程と、(b)昆虫に対して活性である少なくとも一種のハイブリッドトキシンを生じるトランスジェニック細胞において前記核酸分子を発現する工程とを含む方法が提供される。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の核酸分子を植物に導入することを含む耐昆虫性トランスジェニック植物の産生方法において、前記核酸分子がハイブリッドトキシンをコードし、且つ前記ハイブリッドトキシンが昆虫を防除するのに効果的な量が前記トランスジェニック植物において発現できるものである方法が提供される。一実施態様によれば、前記昆虫が、鱗翅類昆虫であり、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択された鱗翅類昆虫である。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、前記昆虫に対して、本発明のハイブリッドトキシンの有効量を供給することを含む、昆虫防除方法が提供される。一実施態様によれば、前記昆虫が、鱗翅類昆虫、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択された鱗翅類昆虫である。好ましくは、前記ハイブリッドトキシンを、前記昆虫に経口的に供給する。一つの好ましい実施態様によれば、前記ハイブリッドトキシンを、本発明のハイブリッドトキシンを発現する核酸配列を含むトランスジェニック植物を介して経口的に供給する。
【0042】
また、本発明によれば、Vip3トキシンのカルボキシ末端領域が、アミノからカルボキシ方向において、異なるVip3トキシンのアミノ末端領域に接合して含む、昆虫に対して活性なハイブリッドトキシンにおいて、前記カルボキシ末端領域が、配列番号:2のアミノ酸661−788と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含み、且つ前記アミノ末端領域が、配列番号:5のアミノ酸1−660と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が同一であるハイブリッドトキシンも提供される。好ましい実施態様によれば、前記カルボキシ末端領域は、配列番号:2のアミノ酸661−788を含み、前記アミノ末端領域は、配列番号:5のアミノ酸1−660を含む。最も好ましい実施態様によれば、前記ハイブリッドトキシンは、配列番号:11のアミノ酸1−788を含む。
【0043】
本発明のこの態様によれば、ハイブリッドトキシンは、好ましくは鱗翅類昆虫、より好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択された鱗翅類昆虫に対して活性である。
【0044】
また、この態様のハイブリッドトキシンをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子も、本発明のこの態様に含まれる。
【0045】
さらに、本発明によれば、昆虫を防除する方法において、本発明のハイブリッドトキシンを含むトランスジェニック植物が、第二の殺虫成分をコードする第二の核酸配列又は第二核酸配列群をさらに含むものである方法が提供される。特に好ましい第二核酸配列は、δ−エンドトキシンをコードするもの、別の植物性殺虫タンパク質トキシンをコードするもの、又は非タンパク質性殺虫成分の産生用経路をコードしているものである。
【0046】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明による核酸分子を突然変異させる方法において、前記核酸分子が所望サイズの二本鎖ランダムフラグメントの集団に開裂されたものであり、(a)前記二本鎖ランダムフラグメントの集団に、一つ以上の一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの各々が二本鎖鋳型ポリヌクレオチドと同一の領域及び異種構造の領域を含むオリゴヌクレオチドを添加する工程と、(b)得られた二本鎖ランダムフラグメントとオリゴヌクレオチドとの混合物を変性して一本鎖フラグメントを得る工程と、(c)得られた一本鎖フラグメントの集団を、同一領域で一本鎖フラグメントのアニーリングを生じる条件下でポリメラーゼとともにインキュベーションしてアニールドフラグメント対を形成する工程であって、前記同一領域が前記対の一員が他の複製を引き起こし、それにより突然変異した二本鎖ポリヌクレオチドを形成するのに十分な量である工程と、(d)前記第二工程と第三工程とを少なくともさらに2サイクル反復する工程であって、前記第二工程のさらなるサイクルにおいて得られた混合物が、第三工程の前のサイクルで得た突然変異させた二本鎖ポリヌクレオチドを含み、且つ前記さらなるサイクルがさらなる突然変異させた二本鎖ポリヌクレオチドを形成する工程とを含む方法が提供される。
【0047】
本発明の他の態様及び利点が、本発明の以下の説明及び非限定的実施例を見れば当業者には明らかとなろう。
【0048】
配列番号における配列の簡単な説明
配列番号:1は、天然vip3Cヌクレオチド配列である。
配列番号:2は、配列番号:1によりコードされているアミノ酸配列である。
配列番号:3は、トウモロコシ最適化vip3Cヌクレオチド配列である。
配列番号:4は、天然vip3A(a)ヌクレオチド配列である。
配列番号:5は、配列番号:5によりコードされているアミノ酸配列である。
配列番号:6は、天然vip3Bヌクレオチド配列である。
配列番号:7は、配列番号:7によりコードされているアミノ酸配列である。
配列番号:8は、天然vip3Zヌクレオチド配列である。
配列番号:9は、配列番号:9によりコードされているアミノ酸配列である。
配列番号:10は、ハイブリッドvip3A−Cヌクレオチド配列である。
配列番号:11は、配列番号:11によりコードされているアミノ酸配列である。
配列番号:12−29は、本発明を実施するのに有用なプライマー配列である。
配列番号:30は、ベクターpNOV2149のヌクレオチド配列である。
配列番号:31は、vip3C−12168ヌクレオチド配列である。
配列番号:32は、配列番号:32によりコードされているアミノ酸配列である。
配列番号:33は、トウモロコシ最適化vip3C−12168ヌクレオチド配列である。
【0049】
寄託
以下の物質を、特許手続上微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項の下、Agricultural Research Service,Patent Culture Collection(NRRL),1815 North University Street,Peoria,Illiois 61604に寄託した。寄託した物質の入手性についての全ての制限は、特許許可により確定的に取り除かれる。
【0050】
【表1】

【0051】
定義
本発明のトキシンの「活性」は、トキシンが経口的に活性な昆虫防除剤として機能するか、毒性効果を有するか、昆虫の摂食を中断させるか若しくは妨げることができることを意味する。この場合、昆虫の死を生じても、生じなくてもよい。本発明のトキシンを昆虫に供給すると、典型的には昆虫の死を生じるか、又はトキシンが得られるソースを昆虫が食べない。
【0052】
「と関連された/作動可能に連結された」は、物理的又は機能的に関連した2種の核酸配列を意味する。例えば、プロモーター又は調節DNA配列は、2つの配列が作動可能に連結されている場合、又は調節DNA配列がコード又は構造DNA配列の発現レベルに影響するように位置している場合には、RNA又はタンパク質をコードするDNA配列「と関連している」という。
【0053】
「キメラ遺伝子」は、プロモーター又は調節核酸配列がmRNAをコードする核酸配列又はタンパク質として発現される核酸配列と作動可能に連結されているか、又はそれと関連しており、その結果該レギュレータ核酸配列が関連された核酸配列の転写又は発現を調節することのできる、組換え核酸配列である。キメラ遺伝子のレギュレータ核酸配列は、通常天然にみられる関連した核酸配列には作動可能には連結していない。
【0054】
「コード配列」は、RNAに転写される核酸配列、例えばmRNA、rRNA、tRNA、snRNA、センスRNA又はアンチセンスRNAである。好ましくは、RNAは次に生物中で翻訳されタンパク質を産生する。
【0055】
昆虫を「防除する」とは、毒性効果により、害虫が生存、成長、摂食及び/又は繁殖する能力を阻害したり、作物における昆虫関連被害又は損失を制限することを意味する。昆虫を「防除する」ことは、昆虫を死亡させることを意味しても、しなくてもよいが、好ましくは昆虫を死亡させることを意味する。
【0056】
に対応する:本発明に関連して、「に対応する」又は「に対応している」とは、異なるVip3遺伝子又はタンパク質の核酸コード配列又はアミノ酸配列が互いに整列しているとき、一定の列挙された位置「に対応する」核酸又はアミノ酸は、これらの位置と整列するが、必ずしも特定のVip3の各核酸コード配列又はアミノ酸配列に対してこれらの正確な数値位置にはないことを意味する。同様に、特定のVip3(例えば、Vip3Z)のコード又はアミノ酸配列が基準Vip3(例えば、Vip3C)のコード又はアミノ酸配列と整列しているとき、Vip3C配列の一定の列挙された位置「に対応する」Vip3Z配列における核酸又はアミノ酸は、Vip3C配列のこれらの位置と整列するが、Vip3Zタンパク質の各核酸コード配列又はアミノ酸配列のこれらの正確な数値位置に必ずしもないものである。
【0057】
トキシンを「供給する」とは、トキシンが昆虫と接触状態となって毒性効果及び昆虫の防除を生じることを意味する。トキシンは、数多くの認められている方法で、例えば、昆虫による摂取によるか、又はトランスジェニック植物の発現、配合したタンパク質組成物(単一又は複数)、噴霧可能タンパク質組成物(単一又は複数)、ベートマトリックス又はいずれかの他の当該技術分野において認められているトキシン供給系を介して昆虫と接触させることにより経口的に供給できる。
【0058】
「有効な昆虫防除量」とは、毒性効果により、害虫が生存、成長、摂食及び/又は繁殖する能力を阻害したり、作物における昆虫関連被害又は損失を制限するトキシンの濃度を意味する。「有効な昆虫防除量」は、昆虫を死亡させることを意味しても、しなくてもよいが、好ましくは昆虫を死亡させることを意味する。
【0059】
本明細書で使用される「発現カセット」は、終結シグナルに作動可能に連結された意図するヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む、適当な宿主細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を導くことができる核酸配列を意味する。また、発現カセットは、典型的にはヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列を含む。意図するヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラでよい。このことは、その成分の少なくとも一つは、その他の成分の少なくとも一つに対して異種であることを意味する。また、発現カセットは、天然であるが、異種の発現に有用な組み換え型で得られたものでもよい。しかしながら、典型的には、発現カセットは、宿主に対して異種である。すなわち、発現カセットの特定の核酸配列は、宿主細胞において天然には存在せず、形質転換により宿主細胞又は宿主細胞の原種に導入しなければならない。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、構成プロモーターの制御下、又は宿主細胞がある種の特定の外部刺激に暴露されるときのみ転写を開始する誘導性プロモーターの制御下であることができる。植物等の多細胞生物の場合においては、プロモーターは、特定の組織か、器官か、発現の段階に特異的であることもできる。
【0060】
「遺伝子」は、ゲノム内に位置し、且つ上記したコード核酸配列の他に、コード部の発現の制御、すなわち、転写及び翻訳をおこなう他の主として調節核酸配列を含む規定された領域である。また、遺伝子は、他の5’及び3’未翻訳配列及び終結配列を含んでいてもよい。存在できるさらなる要素は、例えば、イントロンである。
【0061】
「意図する遺伝子」は、植物に移入したとき、植物に、所望の特性、例えば、抗生物質抵抗性、ウイルス抵抗性、昆虫抵抗性、病害抵抗性、又は他の害虫ヘの抵抗性、除草剤耐性、改善された栄養価、工業プロセスで改善された性能又は変更された繁殖能を付与する遺伝子を意味する。また、「意図する遺伝子」は、植物における商業的に価値のある酵素又は代謝物質の産生のために植物に移入されるものであってもよい。
【0062】
「異種の」核酸配列は、それが導入される宿主細胞とは天然には関連していない核酸配列であり、例えば、天然核酸配列の非天然多重コピーなどがある。
【0063】
「相同的」核酸配列は、それが導入される宿主細胞と天然に関連している核酸配列である。
【0064】
「相同的組換え」は、相同核酸分子間での核酸フラグメントの相互交換である。
【0065】
本明細書で使用される「ハイブリッドトキシン」は、一つのトキシンのアミノ酸領域又はフラグメントを異なるトキシン由来のアミノ酸領域又はフラグメントと接合して含む人工により作製した殺虫性トキシンである。例えば、配列番号:2のアミノ酸661−788由来のVip3CのC末端領域を配列番号:4のアミノ酸1−660由来のVip3AのN末端領域と接合して配列番号:11に記載のアミノ酸配列を有するハイブリッドトキシンを得られるが、これには限定されない。
【0066】
「殺虫性」は、昆虫を、好ましくはそれらを死亡させることにより防除できる毒性の生物学的活性として定義される。
【0067】
核酸配列が基準核酸配列によりコードされるポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしているとき、この核酸配列は、基準核酸配列「と同義」である。
【0068】
「単離された」核酸分子又は単離されたタンパク質又はトキシンは、人工的に、その天然環境から離れて存在し、したがって、天然物ではない核酸分子又はタンパク質又はトキシンである。単離された核酸分子又はタンパク質又はトキシンは、純粋な形態で存在してもよいし、又は例えば、組み換え宿主細胞又はトランスジェニック植物等の非天然環境に存在してもよい。
【0069】
未変性は:非形質転換細胞のゲノムに存在する遺伝子を意味する。
【0070】
天然:用語「天然」とは、ヒトにより人工的に産生されるものとは異なる、天然に見出すことができる物体を説明するのに用いられる。例えば、自然源から単離することができ、且つ実験室においてヒトにより意図的に修飾されていない、生物(ウイルスを含む)中に存在するタンパク質又はヌクレオチド配列は、天然物である。
【0071】
「核酸分子」又は「核酸配列」は、いずれかのソースから単離できる一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAの線状セグメントである。本発明との関連において、核酸分子は、好ましくはDNAのセグメントである。
【0072】
「植物」は、いずれかの発達段階にあるいずれかの植物、特に種子植物である。
【0073】
「植物細胞」は、植物の構造的及び生理学的単位であり、プロトプラスト及び細胞壁を含む。植物細胞は、単離された単一細胞又は培養細胞の形態でもよいし、又は高度に組織化された単位、例えば、植物組織、植物器官又は植物全体の一部分であってもよい。
【0074】
「植物細胞培養」は、植物単位の培養、例えば、種々の発達段階の、プロトプラスト、細胞培養細胞、植物組織の細胞、花粉、花粉管、胚珠、胚のう、接合子及び胚を意味する。
【0075】
「植物材料」は、植物の、葉、茎、根、花又は花部分、果実、花粉、卵細胞、接合子、種子、挿し木、細胞若しくは組織培養物又は任意の他の植物の部分又は産物である。
【0076】
「植物器官」は、植物の明瞭且つ可視的に構造化され且つ分化した部分、例えば、根、茎、葉、花芽、又は胚である。
【0077】
本明細書で使用される「植物組織」とは、構造又は機能単位に組織化された植物細胞群を意味する。インプランタ又は培養における植物のいずれの組織も含まれる。この用語には、植物全体、植物器官、植物種子、組織培養並びに構造単位及び/又は機能単位に組織化された植物細胞群などが含まれるが、これらには限定されない。この用語を、上記したものか、又はこの定義に含まれる他のいずれかの特定な種類の植物組織と関連するか、又は不存在下で使用しても、いずれの他の植物組織を排除するものではない。
【0078】
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼIIの結合部位を含むコード領域の上流の非翻訳DNA配列であり、DNAの転写を開始する。また、このプロモーター領域は、遺伝子発現のレギュレータとしての役割を果たす他の要素を含んでいてもよい。
【0079】
「プロトプラスト」は、細胞壁がないか、又は細胞壁の一部のみを有する単離された植物細胞である。
【0080】
「調節要素」は、ヌクレオチド配列の発現の制御に関与する配列を意味する。調節要素は、意図するヌクレオチド配列及び終結シグナルに作動可能に連結されたプロモーターを含む。これらはまた、典型的にはヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要とする配列を含む。
【0081】
「シャッフルした」核酸は、本明細書に記載のいずれかのシャッフリング操作等のシャッフリング操作により得られた核酸である。シャッフルした核酸は、2種以上の核酸(又は文字列)を、例えば、人工的及び必要に応じて反復的に組み換える(物理的又は実質的に)ことにより得られる。一般的に、一つ以上のスクリーニング工程を、シャッフリングプロセスに使用して意図する核酸を同定する。このスクリーニング工程は、いずれかの組み換え工程の前に実施してもよいし、又は後で実施してもよい。ある(全てではない)シャッフリング実施態様によれば、選択に先立ち複数回の組み換えを実施してスクリーニングすべきプールの多様性を増加するのが望ましい。組み換え及び選択の全体のプロセスを、必要に応じて繰り返し反復する。状況に応じて、シャッフリングは、組み換え及び選択の全プロセスを意味してもよいし、又は単に全プロセスの組み換え部分を意味してもよい。
【0082】
実質的に同一:2つの核酸又はタンパク質配列の関連における表現「実質的に同一な」とは、以下の配列比較アルゴリズムの一つを用いて測定するか、目視検査により最大一致について比較及び整列したときに、ヌクレオチド又はアミノ酸残基が少なくとも60%、好ましくは80%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも99%が同一である2つ以上の配列又はサブ配列を意味する。好ましくは、長さが少なくとも約50残基である配列の領域、より好ましくは少なくとも約100残基の領域にわたって実質的に同一であり、最も好ましくは少なくとも約150残基にわたって配列が実質的に同一である。とりわけ好ましい実施態様によれば、配列が、コード領域の全長にわたって実質的に同一である。さらに、実質的に同一な核酸又はタンパク質配列は、実質的に同じ機能を果たす。
【0083】
配列を比較する際、典型的には一つの配列が試験配列を比較する基準配列としての役割を果たす。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列と基準配列をコンピュータに入力し、サブ配列座標を必要に応じて指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次に、配列比較アルゴリズムにより、指定したプログラムパラメータに基づいて基準配列に対する試験配列(単一又は複数)についての配列の同一%を計算する。
【0084】
比較のための最適な配列の配置は、例えば、Smith及びWaterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局部相同性アルゴリズムによるか、Needleman及びWunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによるか、Pearson及びLipman,Proc.Nat‘l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似法についてのサーチによるか、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)のコンピュータ化の実施によるか、目視検査(一般的には前記Ausubel等参照)によりおこなうことができる。
【0085】
配列同一%及び配列類似%を求めるために好適であるアルゴリズムの一例として、Altschul等,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)に記載されるBLASTアルゴリズムがあげられる。BLAST分析を実施するソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって公に使用できる。このアルゴリズムでは、最初にデータベース配列において同じ長さのワードと整列させたときにある種の正の値のしきい値スコアTと一致するか、又は満足する、クエリー配列において長さWの短いワードを同定することにより高スコア配列対(HSP)を同定する。Tは、近傍ワードスコアしきい値と称される(Altschul等、1990)。これらの最初の近傍ワードのヒットは、それらを含むもっと長いHSPを見つけるためのサーチを開始するための種としての役割を果たす。次に、ワードのヒットを、累積アラインメントスコアが増加する限りは、各配列に沿って両方向に延長する。累積スコアを、ヌクレオチド配列については、パラメータM(一対の一致残基についてのリウオードスコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基についてのペナルティースコア;常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列については、スコアマトリックスを使用して累積スコアを計算する。各方向におけるワードヒットの延長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下したときか、累積スコアが一つ以上の負のスコア残基アラインメントの蓄積のためにゼロ以下となったときか、どちらかの配列の末端に到達したときに停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)では、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、100のカットオフ、M=5、N=−4、及び両方の鎖の比較が使用される。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムでは、デフォルトとして、3のワード長(W)、10の期待値(E)、及びBLOSUM62スコアマトリックスが使用される(Henikoff及びHenikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)参照)。
【0086】
配列の同一%を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムでも、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する(例えば、Karlin及びAltschul,Proc.Nat‘l.Acad.Sci.USA 90:5873−5787(1993)参照)。BLASTアルゴリズムによって得られる類似性の一つの尺度は、最小合計確率(P(N))であって、これにより、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間の一致が偶然生じる確率の目安が得られる。例えば、試験核酸配列と基準核酸配列との比較における最小合計確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満の場合には、試験核酸配列は、基準配列に類似していると考えられる。
【0087】
2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の目安として、2つの分子がストリンジェント条件下で互いにハイブリダイゼーションすることがある。表現「に特異的にハイブリダイゼーションする」とは、配列が複雑な混合物(例えば、総細胞)DNA又はRNAに存在するとき、ストリンジェント条件下での特定のヌクレオチド配列にのみ分子が結合、二重らせん形成又はハイブリダイゼーションすることを意味する。「実質的に結合する」とは、プローブ核酸と標的核酸との間の相補的ハイブリダイゼーションを意味し、小さなミスマッチを含み、このミスマッチはハイブリダイゼーション培地のストリンジェンシーを減少させることにより対応でき、標的核酸配列の所望の検出をすることができる。
【0088】
サザン及びノーザンハイブリダイゼーション等の核酸ハイブリダイゼーション実験の関連においての「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」及び「ストリンジェントハイブリダイゼーション洗浄条件」とは、配列依存性であり、異なる環境パラメータの下で異なる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイゼーションする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針が、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2(生化学及び分子生物学における実験法−核酸プローブとのハイブリダイゼーション パートI チャプター2) 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays(ハイブリダイゼーションの原理の概略及び核酸プローブアッセイの方法)」 Elsevier,ニューヨークに記載されている。一般的に、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション及び洗浄条件の場合、定義されたイオン強度及びpHでの特異的配列について熱融点(Tm)よりも約5℃低いように選択される。典型的には、「ストリンジェント条件」下では、プローブは、標的サブ配列にハイブリダイゼーションするが、他の配列にはハイブリダイゼーションしない。
【0089】
mは、標的配列の50%が完全に一致したプローブにハイブリダイゼーションする温度(定義されたイオン強度及びpH下)である。特定のプローブについて、Tmに等しいように極めてストリンジェントな条件を選択する。サザン又はノーザンブロットにおいてフィルター上に100個を超える相補的残基を有する相補的核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントハイブリダイゼーション条件の一例として、42℃で、ヘパリン1mgを含有する50%ホルムアミドであり、ハイブリダイゼーションを一晩実施する。高ストリンジェント洗浄条件の一例として、0.15M NaCl、72℃、約15分があげられる。ストリンジェント洗浄条件の一例として、0.2xSSC洗浄、65℃、15分間があげられる(SSC緩衝液の説明については、前記Sambrook参照)。多くの場合、高ストリンジェンシー洗浄の前に、低ストリンジェンシー洗浄を実施してバックグランドプローブシグナルを除去する。例えば、100個を超えるヌクレオチドの二本鎖についての中ストリンジェンシー洗浄の一例として、1xSSC、45℃、15分間があげられる。例えば、100個を超えるヌクレオチドの二本鎖についての低ストリンジェンシー洗浄の一例として、4〜6xSSC、40℃、15分間があげられる。短いプローブ(例えば、約10〜50個のヌクレオチド)の場合、ストリンジェント条件は、典型的にはpH7.0〜8.3で約1.0M Naイオンより低い塩濃度、典型的には約0.01〜1.0M Naイオン濃度(又は他の塩)を含み、温度は、典型的には少なくとも約30℃である。また、ホルムアミド等の不安定化剤を添加してストリンジェント条件とすることもできる。一般的に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおいて、無関係なプローブについて観察されるよりも2倍(又はそれ以上)の信号対雑音比は、特異的ハイブリダイゼーションが検出されたことを示す。ストリンジェント条件下で互いにハイブリダイゼーションしない核酸は、それらがコードするタンパク質が実質的に同一である場合には、まだ実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーを、遺伝子コードにより可能である最大コドン縮重を用いて作製するときに生じる。
【0090】
以下に、本発明の基準ヌクレオチド配列に実質的に同一である相同ヌクレオチド配列をクローニングするのに使用できる一連のハイブリダイゼーション/洗浄条件の例を示す:基準ヌクレオチド配列は、好ましくはこの基準ヌクレオチド配列と、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリダイゼーションし、50℃で2xSSC、0.1%SDSにより洗浄、より望ましくは7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリダイゼーションし、50℃で1xSSC、0.1%SDSにより洗浄、さらにより望ましくは7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリダイゼーションし、50℃で0.5xSSC、0.1%SDSにより洗浄、好ましくは7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリダイゼーションし、50℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄、より好ましくは7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄する。
【0091】
2つの核酸配列又はタンパク質が実質的に同一であることのさらなる目安は、第一の核酸によりコードされているタンパク質が、第二核酸によりコードされているタンパク質と、免疫学的に交差反応するか、又は特異的に結合することである。したがって、タンパク質は、例えば、2つのタンパク質が保存的置換分のみ異なる場合、典型的には第二タンパク質と実質的に同一である。
【0092】
「合成」とは、自然配列に存在しない構造特性を含むヌクレオチド配列を意味する。例えば、双子葉及び/又は単子葉植物遺伝子のG+C含量及び正常なコドン分布により似ている人工配列は、合成であると言われる。
【0093】
「形質転換」は、異種の核酸を宿主細胞又は生物に導入するためのプロセスである。特に、「形質転換」は、意図する生物のゲノムにDNA分子を安定的に組み込むことを意味する。
【0094】
「形質転換された/トランスジェニック/組換え体」は、異種核酸分子が導入された宿主生物、例えば、バクテリア又は植物を意味する。核酸分子は、宿主のゲノムに安定的に組みこむことができるか、又は核酸分子は染色体外分子として存在することもできる。このような染色体外分子は、自己複製できる。形質転換細胞、組織又は植物は、形質転換プロセスの最終産物のみならず、そのトランスジェニック後代をも含むと理解される。「非形質転換」、「非トランスジェニック」又は「非組換え体」宿主は、異種の核酸分子を含有しない野生型生物、例えば、バクテリア又は植物を意味する。
【0095】
「Vip3クラスのタンパク質」は、Vip3A(a)、Vip3A(b)、Vip3A(c)、Vip3B、Vip3C(a)、Vip3C(b)、Vip3Z及びそれらの相同体を含む。「相同体」は、全体を通じて、表示タンパク質又はポリペプチドが、Vip3クラスのタンパク質の他のメンバーと規定された関係を有することを意味するのに使用される。この規定された関係には、1)Vip3クラスのタンパク質の別のメンバーと配列レベルで少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%が同一であるとともに、殺虫活性も保持しているタンパク質、2)Vip3クラスのタンパク質の別のメンバーを免疫学的に認識する抗体と交差反応するタンパク質、3)Vip3クラスのタンパク質の別のメンバーに対する受容体と交差反応し、且つプログラムされた細胞死を誘発する能力を保持するタンパク質、及び4)Vip3クラスのタンパク質の別のメンバーの毒性コア領域と、配列レベルで、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%が同一であるとともに、殺虫活性も保持するタンパク質などがあるが、これらには限定されない。他のVip3相同体が、WO98/18932、WO98/33991、WO98/00546及びWO99/57282に開示されている。
【0096】
ヌクレオチドは、以下の標準的な略字によりそれらの塩基により示される:アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)及びグアニン(G)。同様に、アミノ酸は、以下の標準的な略字により示される:アラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、トレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)及びバリン(Val;V)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0097】
本発明は、発現により新規なトキシンを生じる核酸配列、及び害虫を防除するためのトキシンの製造及び使用に関する。核酸配列は、Bacillusグラム陽性胞子形成微生物由来のものである。特に、殺虫剤として有用な新規なVip3タンパク質が提供される。
【0098】
本発明の目的にあう害虫には、例えば、鞘翅目、双翅目、膜翅目、鱗翅目、食毛目、同翅目、半翅目、バッタ目、総翅目、革翅目、シロアリ目、シラミ目、ノミ目及び毛翅目、特に鱗翅目から選択されたものが含まれる。
【0099】
表1〜7に、主要な作物と関連した害虫をまとめて示す。このような害虫は、本発明の範囲内に含まれる。
【0100】
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0101】
本発明の核酸配列の発現により、鱗翅類昆虫、例えば、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)(これらには限定されない)を制御するのに使用できるトキシンが得られる。
【0102】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、(a)7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するか、(b)(a)のヌクレオチド配列と同義であるか、(c)(a)又は(b)のヌクレオチド配列の連続した20塩基対ヌクレオチド部分に配列が同一である連続した20塩基対ヌクレオチド部分を含むか、(d)配列番号:1と配列が少なくとも93%が同一であるか、(e)配列番号:2と配列が少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子であって、その発現により昆虫制御活性を生じる単離された核酸分子を含む。異種の宿主において発現したとき、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:10及び配列番号:31の核酸分子により、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)に対して昆虫防除活性が得られ、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:10及び配列番号:31に記載されているヌクレオチド配列がこのような昆虫防除活性には十分であることが分かる。
【0103】
一実施態様によれば、本発明には、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも75%が同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子が含まれる。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む。さらにより好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも99%が同一であるヌクレオチド配列を含む。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1又は配列番号:3のヌクレオチド1981−2367を含む。
【0104】
別の実施態様によれば、本発明には、配列番号:1と配列が少なくとも93%が同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子が含まれる。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1と配列が少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1と配列が少なくとも99%が同一であるヌクレオチド配列を含む。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:10、配列番号:31及び配列番号:33からなる群から選択されたヌクレオチド配列のヌクレオチド1−2367を含む。
【0105】
別の実施態様によれば、本発明には、受託番号B−30556のNRRLと命名されているC1674及び受託番号B−30557のNRRLと命名されているC536からなる群から選択されたBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)分離株に含まれている核酸分子が含まれる。好ましい実施態様によれば、本発明には、受託番号B−30553のNRRLと命名されているpNOV3910、受託番号B−30552のNRRLと命名されているpNOV3911、受託番号B−30555のNRRLと命名されているpNOV3906、受託番号B−30554のNRRLと命名されているpNOV3905及び受託番号B−30551のNRRLと命名されているpNOV3912からなる群から選択された大腸菌(E.coli)クローンに含まれている核酸分子であって、発現により殺虫性トキシンを生じる核酸分子が含まれる。
【0106】
また、本発明には、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも75%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている単離された核酸分子が含まれる。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも85%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。さらにより好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸661−788を含むトキシンをコードしている。
【0107】
別の実施態様によれば、前記単離された核酸分子は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と91%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と95%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。より好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と99%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。最も好ましくは、前記単離された核酸分子は、配列番号:2、配列番号:11又は配列番号:32に記載されている前記アミノ酸配列を含むトキシンをコードしている。
【0108】
また、本発明には、本発明の核酸配列を含む組み換えベクターも含まれる。このようなベクターにおいては、核酸配列は、好ましくはヌクレオチド配列を発現できるトランスジェニック宿主細胞におけるヌクレオチド配列の発現のための調節要素を含む発現カセットに含まれる。このような調節要素は、通常プロモーターと終止シグナルを含み、好ましくは、本発明の核酸配列によりコードされているポリペプチドの効率的な翻訳を可能にする要素も含む。この核酸配列を含むベクターは、通常特に宿主細胞において、好ましくは染色体外分子として複製でき、したがって、宿主細胞において本発明の核酸配列を増幅するのに使用される。一実施態様によれば、このようなベクターのための宿主細胞は、微生物、例えば、細菌、特に大腸菌(E.coli)である。別の実施態様によれば、このような組み換えベクターのための宿主細胞は、内生植物又は着生植物である。このようなベクターのための好ましい宿主細胞は、真核細胞、例えば、酵母細胞、植物細胞又は昆虫細胞である。トウモロコシ細胞又は綿等の植物細胞は、最も好ましい宿主細胞である。別の好ましい実施態様によれば、このようなベクターは、ウイルスベクターであり、特定の宿主細胞、例えば、昆虫細胞又は植物細胞中でヌクレオチド配列の複製をするために使用される。また、組み換えベクターは、本発明のヌクレオチド配列をトランスジェニック宿主細胞に形質転換することにより、ヌクレオチド配列を安定的にこのようなトランスジェニック宿主細胞のDNAに組み込むことにも使用される。一つのこのようなトランスジェニック宿主細胞は、原核細胞である。好ましい実施態様によれば、このようなトランスジェニック宿主細胞は、真核細胞、例えば、酵素細胞、昆虫細胞又は植物細胞である。最も好ましい実施態様によれば、トランスジェニック宿主細胞は、植物細胞、例えば、トウモロコシ細胞又は綿細胞である。
【0109】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の核酸分子の発現により産生されるトキシンが提供される。
【0110】
好ましい実施態様によれば、本発明の殺虫トキシンは、本発明のヌクレオチド配列によりコードされているポリペプチドを含む。さらに好ましい実施態様によれば、このトキシンは、受託番号B−30556のNRRLと命名されているC1674及び受託番号B−30557のNRRLと命名されているC536からなる群から選択されたBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)分離株により産生されたものである。
【0111】
別の実施態様によれば、前記トキシンが、受託番号B−30553のNRRLと命名されているpNOV3910、受託番号B−30552のNRRLと命名されているpNOV3911、受託番号B−30555のNRRLと命名されているpNOV3906、受託番号B−30554のNRRLと命名されているpNOV3905及び受託番号B−30551のNRRLと命名されているpNOV3912からなる群から選択された大腸菌(E.coli)クローンにより産生されたものである。好ましい実施態様によれば、トキシンは、配列番号:1のヌクレオチド1−2367又は配列番号:3のヌクレオチド1−2367又は配列番号:10のヌクレオチド1−2367又は配列番号:31のヌクレオチド1−2367を含む核酸分子の発現により産生される。
【0112】
本発明は、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも75%が同一であるアミノ酸配列を含むトキシンを包含する。好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも85%が同一であるアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む。さらにより好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む。最も好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2のアミノ酸661−788を含む。
【0113】
別の好ましい実施態様によれば、本発明のトキシンは、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む。最も好ましくは、前記トキシンは、配列番号:2、配列番号:11又は配列番号:32に記載されている前記アミノ酸配列を含む。
【0114】
本発明のトキシンは、バイオアッセイにおける害虫に対して試験したとき、昆虫防除活性を示す。別の好ましい実施態様によれば、本発明のトキシンは、鱗翅類昆虫、好ましくはOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)に対して活性である。本発明の殺虫トキシンの昆虫防除特性を、さらに例6、8、9及び13に示す。
【0115】
また、本発明には、昆虫に対して活性であるハイブリッドトキシンにおいて、(a)7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するか、(b)(a)のヌクレオチド配列と同義であるか、(c)(a)又は(b)のヌクレオチド配列の連続した20塩基対ヌクレオチド部分に配列が同一である連続した20塩基対ヌクレオチド部分を含み、前記核酸分子の発現により昆虫防除活性を生じるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされているハイブリッドトキシンが含まれる。好ましい実施態様によれば、ハイブリッドトキシンは、発現により殺虫性ハイブリッドトキシンを生じる、NRRL受託番号B−30551と命名されたE.coli株DH5αに付着したpNOV3912に含まれる約2.4kbDNAフラグメントによりコードされている。ここで、配列番号:10に記載されているヌクレオチド配列によりコードされているハイブリッドトキシンが具体的に例示される。異種宿主で発現したとき、配列番号:10の核酸分子により、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)に対する昆虫防除活性が得られる。例示された本発明のハイブリッドトキシンの昆虫防除特性を、さらに例9に示す。
【0116】
また、本発明には、Vip3トキシンのカルボキシ末端領域が、アミノからカルボキシ方向において、異なるVip3トキシンのアミノ末端領域に接合して含む、昆虫に対して活性なハイブリッドトキシンにおいて、前記カルボキシ末端領域が、配列番号:2のアミノ酸661−788と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含み、且つ前記アミノ末端領域が、配列番号:5のアミノ酸1−660と少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が同一であるハイブリッドトキシンも含まれる。好ましい実施態様によれば、前記カルボキシ末端領域は、配列番号:2のアミノ酸661−788を含み、前記アミノ末端領域は、配列番号:65のアミノ酸1−660を含む。より好ましい実施態様によれば、前記ハイブリッドトキシンは、配列番号:11のアミノ酸1−788を含む。
【0117】
さらなる実施態様によれば、本発明のヌクレオチド配列は、生体外組み換え又はDNAシャッフリングとして知られている手法でランダム突然変異を組み込むことにより修飾できる。この手法は、Stemmer等,Nature 370:389−391(1994)及び米国特許第5,605,793号(引用することにより本明細書の内容とする)に記載されている。ヌクレオチド配列の数百万の突然変異コピーが、本発明の最初のヌクレオチド配列に基づいて産生され、改善された性質、例えば、増加した殺虫活性、増加した安定性、又は標的害虫の異なる特異性又は範囲を有する変異体が回復される。この方法では、本発明のヌクレオチド配列を含む鋳型二本鎖ポリヌクレオチド由来の突然変異させた二本鎖ポリヌクレオチドを形成するが、前記鋳型二本鎖ポリヌクレオチドが所望のサイズの二本鎖ランダムフラグメントに開裂されており、且つ得られた二本鎖ランダムフラグメントの集団に、一つ以上の一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの各々が二本鎖鋳型ポリヌクレオチドと同一の領域及び異種構造の領域を含むオリゴヌクレオチドを添加する工程と、得られた二本鎖ランダムフラグメントとオリゴヌクレオチドとの混合物を変性して一本鎖フラグメントを得る工程と、得られた一本鎖フラグメントの集団を、同一領域で一本鎖フラグメントのアニーリングを生じる条件下でポリメラーゼとともにインキュベーションしてアニールドフラグメント対を形成する工程であって、前記同一領域が前記対の一員が他の複製を引き起こし、それにより突然変異した二本鎖ポリヌクレオチドを形成するのに十分な量である工程と、前記第二工程と第三工程とを少なくともさらに2サイクル反復する工程であって、前記第二工程のさらなるサイクルにおいて得られた混合物が、第三工程の前のサイクルで得た突然変異させた二本鎖ポリヌクレオチドを含み、且つ前記さらなるサイクルがさらなる突然変異させた二本鎖ポリヌクレオチドを形成する工程が含まれる。好ましい実施態様によれば、二本鎖ランダムフラグメントの集団における二本鎖ランダムフラグメントの単一種の濃度は、総DNAの1重量%未満である。さらに好ましい実施態様によれば、鋳型二本鎖ポリヌクレオチドは、少なくとも約100種のポリヌクレオチドを含む。別の好ましい実施態様によれば、二本鎖ランダムフラグメントのサイズは、約5bp〜5kbである。さらに好ましい実施態様によれば、この方法の第四の工程は、第二工程と第三工程を少なくとも10サイクル反復することを含む。
【0118】
非相同の微生物宿主におけるヌクレオチド配列の発現
生理学的昆虫防除剤として、ヌクレオチド配列を発現することができる非相同の宿主細胞におけるヌクレオチド配列の発現により、殺虫トキシンを産生する。第一実施態様によれば、本発明のヌクレオチド配列の修飾を含むB.thuringiensis細胞を、作製する。このような修正には、存在する調節要素の突然変異又は欠失が含まれ、したがって、ヌクレオチド配列の変化した発現、又はヌクレオチド配列の発現を制御する新しい調節要素の組み込みを生じる。別の実施態様によれば、ヌクレオチド配列の一つ以上の追加のコピーを、染色体に挿入するか、又はヌクレオチド配列を含む染色体外で複製している分子を導入することにより、Bacillus thuringiensis細胞に付加する。
【0119】
別の実施態様によれば、本発明のヌクレオチド配列の少なくとも一つを、プロモーター及び終結シグナルを含む適当な発現カセットに挿入する。ヌクレオチド配列の発現は構成的であるか、又は転写を開始するための種々の種類の刺激に応答する誘導性プロモーターを使用する。好ましい実施態様によれば、トキシンが発現される細胞は、ウイルス、バクテリア又は真菌等の微生物である。好ましい実施態様によれば、バキュロウイルス等のウイルスは、そのゲノムに本発明のヌクレオチド配列を含み、ウイルス複製及びヌクレオチド配列の発現に好適である適当な真核細胞の感染後に対応する殺虫トキシンを大量に発現する。このように産生した殺虫トキシンを、殺虫剤として使用する。別の方法として、ヌクレオチド配列を含むように構成したバキュロウイルスを使用して、殺虫トキシンの発現によるか、又はウイルス感染と殺虫トキシンの発現との組合せにより、生体内で昆虫を感染させ、それらを死亡させる。
【0120】
また、細菌細胞は、本発明のヌクレオチド配列の発現用宿主でもよい。好ましい実施態様によれば、植物組織内、いわゆる内生植物で生存及び複製できる非病原性共生細菌、又は葉圏又は根圏、いわゆる着生植物をコロニー化できる非病原性共生細菌を使用する。このような細菌には、Agrobacterium(アグロバクテリウム属)、Alcaligenes(アルカリゲネス属)、Azospirillum(アゾスピリラム属)、Azotobacter(アゾトバクター属)、Bacillus(バチルス属)、Clavibacter(クラビバクター属)、Enterobacter(エンテロバクター属)、Erwinia(エルウィニア属)、Flavobacter(フラボバクター属)、Klebsiella(クレブシエラ属)、Pseudomonas(シュードモナス属)、Rhizobium(リゾビウム属)、Serratia(セラシア属)、Streptomyces(ストレプトミセス属)及びXanthomonas(キサントモナス属)の細菌などがある。Trichoderma(トリコデルマ属)及びGliocladium(グリオクラディウム属)等の共生真菌も、同じ目的で本発明のヌクレオチド配列の発現に可能な宿主である。
【0121】
これらの遺伝子操作法は、種々の入手可能な宿主に特異的であり、当該技術分野において公知である。例えば、発現ベクターpKK223−3及びpKK223−2を使用して、E.coli中、非相同遺伝子を、tac又はtrcプロモーターの後ろの転写又は翻訳融合において発現することができる。複数のORFをコードするオペロンの発現については、最も簡単な方法は、オペロンを転写融合においてpKK223−3等のベクターに挿入して、非相同遺伝子の同起源のリボソーム結合部位を使用できるようにすることである。Bacillus等のグラム陽性種における過剰発現の方法も、当該技術分野において公知であり、本発明に関連して使用できる(Quax等、Industrial Microorganisms:Basic and Applied Molecular Genetics(工業用微生物:分子遺伝学の基礎と応用),編者Baltz等、American Society for Microbiology,Washington(1993))。過剰発現のための代替系は、例えば、酵母ベクターに依存し、Pichia(ピキア)、Saccharomyces(サッカロミセス)及びKluyveromyces(クリュイベロミセス)の使用などがある(Sreekrishna,Industrial microorganisms:basic and applied molecular genetics(工業用微生物:分子遺伝学の基礎と応用)),編者Baltz,Hegeman,及びSkatrud,American Society for Microbiology,Washington(1993);Dequin及びBarre,BiotechnologyL2(バイオテクノロジーL2):173−177(1994);van den Berg等,Biotechnology 8(バイオテクノロジー8):135−139(1990))。
【0122】
植物の形質転換
特に好ましい実施態様では、本発明の殺虫性トキシンの少なくとも一つは、高等生物、例えば、植物中で発現される。この場合、有効な量のトキシンを発現するトランスジェニック植物は、害虫からそれら自体を保護する。昆虫がそのようなトランスジェニック植物の摂食を始めるとき、発現されたトキシンも摂取する。これにより、昆虫が植物組織に食い込むことが抑制されるか、又はこの昆虫を損傷させたり、死亡させたりすることができる。本発明のヌクレオチド配列を、発現カセットに挿入し、次に好ましくは前記植物のゲノムに安定的に組み込む。別の好ましい実施態様によれば、ヌクレオチド配列を、非病原性自己複製ウイルスに含ませる。本発明により形質転換される植物は、単子葉植物又は双子葉植物であることができ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、カンショ、インゲンマメ、エンドウマメ、チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロコッリー、ターニップ、ラディシュ、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ペッパー、セルリー、スカッシュ、パンプキン、アサ、ズッキーニ、リンゴ、ナシ、マルメロ、メロン、スモモ、サクランボ、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴ、バナナ、ダイズ、トマト、ソルガム、サトウキビ、テンサイ、ヒマワリ、ナタネ、クローバー、タバコ、ニンジン、ワタ、アルファルファ、イネ、ジャガイモ、ナス、キュウリ、アラビドプシス、及び樹木植物、例えば、針葉樹及び落葉樹などがあるが、これらには限定されない。
【0123】
所望のヌクレオチド配列が特定の植物種に形質転換されると、その種で増殖するか、又は従来の育種法を用いて特に商業的な変種を含む同じ種の他の変種に移すことができる。
【0124】
本発明のヌクレオチド配列は、トランスジェニック植物で発現して、トランスジェニック植物において対応のトキシンの生合成を生じることが好ましい。このように、昆虫に対する抵抗が高まったトランスジェニック植物が生成される。トランスジェニック植物におけるこれらの発現では、本発明のヌクレオチド配列は、修飾及び最適化を必要とする。多くの場合、微生物由来の遺伝子は、修飾なしに高レベルで植物中で発現することができるけれども、トランスジェニック植物中での低レベル発現は、植物に好ましくないコドンを有する微生物性ヌクレオチド配列から生じることがある。全ての生物は、コドンの使用について特異的な優先性を有することは当該技術分野においては公知であり、本発明で記載されるヌクレオチド配列のコドンを、それによりコードされているアミノ酸を維持しながら植物の優先性と一致するように変更できる。さらに、植物での高レベル発現は、GC含量が少なくとも約35%、好ましくは約45%超、より好ましくは約50%超、最も好ましくは約60%超であるコード配列から最もよく実現される。低GC含量を有する微生物性ヌクレオチド配列は、メッセージを不安定にするATTTAモチーフ、及び不適切なポリアデニル化を生じることのあるAATAAAモチーフが存在するため、植物での発現は悪い。好ましい遺伝子配列は、単子葉及び双子葉植物種の両方で十分に発現するけれども、優先性が異なることが示されているので、単子葉又は双子葉植物の特異的なコドンの優先性及びGC含量の優先性のために配列を修飾することができる(Murray等、Nucl. Acids Res.17:477−498(1989))。さらに、ヌクレオチド配列を、メッセージの切断を生じることがある非正統的スプライス部位の存在についてスクリーニングをする。上記で説明したもの等のヌクレオチド配列内ですることを必要とする全ての変更を、公開特許出願EP0385962(Monsanto)、EP0359472(Lubrizol)及びWO93/07278(Ciba−Geigy)に記載されている方法を用いた部位指向突然変異、PCR及び合成遺伝子構築の周知の方法を用いておこなう。
【0125】
本発明の一つの実施態様によれば、合成遺伝子を、米国特許第5,625,136号(引用することにより本明細書の内容とする)に開示されている方法により作製する。この方法では、トウモロコシに好ましいコドン、すなわち、トウモロコシにおいてアミノ酸を最も高い頻度でコードする単一コドンが使用される。特定のアミノ酸についてのトウモロコシに好ましいコドンは、例えば、トウモロコシ由来の公知の遺伝子配列から得ることができる。トウモロコシ植物由来の28個の遺伝子についてのトウモロコシコドンの利用について、Murray等,Nucleic Acids Research17:477−498(1989)(ここに開示されていることは、引用することにより本明細書の内容とする)に記載されている。トウモロコシ最適化コドンを用いて作製した本発明の具体的に例示される合成配列が、配列番号:3及び配列番号:33に記載されている。
【0126】
このように、ヌクレオチド配列を、いずれかの植物での発現について最適化できる。遺伝子配列の全て又はいずれかの部分を、最適化又は合成できることがわかる。すなわち、合成又は部分的に最適化される配列も、使用できる。
【0127】
翻訳を効率的に開始するために、開始メチオニンに隣接する配列の修飾が必要なことがある。例えば、これらは、植物において効果的であることが知られている配列を含ませることにより修飾できる。Joshiは、植物に好適なコンセンサス配列を示唆し(NAR15: 6643−6653(1987))、Clonetechはさらなるコンセンサス翻訳イニシエーターを示唆している(1993/1994カタログ210ページ)。これらのコンセンサスは、本発明のヌクレオチド配列とともに使用するのに好適である。これらの配列は、ATGまで及びATG(一方第2アミノ酸は非修飾のまま)、又は代替的にATGの次のGTCまで及びGTCを含む(トランスジーンの第2アミノ酸を修飾する可能性がある)ヌクレオチド配列を含む構築物に組み込む。
【0128】
本発明の新規なvip3トキシン遺伝子は、上記したようにそれらの自然の配列として又は最適化合成配列として、構成的、誘導性、一時的に調整される、発生的に調整される、化学的に調整される、組織優先及び組織特異的プロモーターなどの植物での発現のための種々のプロモーターに作動可能に融合して組み換えDNA分子、すなわち、キメラ遺伝子を調製できる。プロモーターの選択は、一時的且つ空間的な発現要件に依存するとともに、標的種によっても異なる。したがって、本発明のヌクレオチド配列は、葉、茎若しくは幹、穂、花序(例えば、穂状花序、円錐花序、穂軸など)、根、及び/又は苗で発現することが好ましい。しかしながら、数多くの場合、複数の害虫に対する保護が求められ、したがって、複数の組織における発現が望ましい。双子葉植物由来の数多くのプロモーターが、単子葉植物において作動可能であり、又は単子葉植物由来の数多くのプロモーターが双子葉植物において作動可能でることが判明したが、理想的には、双子葉植物のプロモーターは、双子葉植物で発現するものを選択し、単子葉植物のプロモーターは単子葉植物で発現するものを選択する。しかしながら、選択されたプロモーターの起源には制限がなく、これらが、所望の細胞におけるヌクレオチド配列の発現を駆動するさいに作動可能であることで十分である。
【0129】
好ましい構成的プロモーターには、CaMV35S及び19Sプロモーター(Fraley等、米国特許第5,352,605号;1994年10月4日発行)などがある。さらに好ましいプロモーターは、ほとんどの細胞型で発現する数種のアクチン遺伝子のいずれか一つから得られる。McElroy等(Mol.Gen.Genet.231:150−160(1991))に記載されているプロモーター発現カセットは、新規なトキシン遺伝子の発現について容易に修飾でき、特に単子葉植物の宿主に使用するのに好適である。
【0130】
さらに別の好ましい構成的プロモーターは、数多くの細胞型において蓄積することが知られている別の遺伝子産物であるユビキチンから得られる。ユビキチンプロモーターは、トランスジェニック植物に使用されるいくかつの種、例えば、ヒマワリ(Binet等,1991.Plant Science(植物科学)79:87−94)、トウモロコシ(Christensen等,1989.Plant Molec.Biol.12:619−632)及びアラビドプシス(Norris等,1993.Plant.Molec.Biol.21:895−906)からクローニングした。トウモロコシユビキチンプロモーターは、トランスジェニック単子葉植物系で得られた。その配列及び単子葉植物形質転換用のベクターが、特許公開EP0342926に開示されている。ユビキチンプロモーターは、トランスジェニック植物、とりわけ単子葉植物における新規なトキシン遺伝子の発現に好適である。
【0131】
植物、とりわけトウモロコシにおける本発明の新規なトキシン遺伝子の発現に有用な組織特異的又は組織優先プロモーターは、根、髄、葉又は花粉において発現を誘導するものである。このようなプロモーターは、WO93/07278(引用することにより、その全体が本明細書の内容とする)に開示されている。本発明に有用な他の組織特異的プロモーターには、米国特許第6,040,504号に開示されている綿ルビスコプロモーター、米国特許第5,604,121号に開示されているコメスクロースシンターゼプロモーター、及びWO01/73087に開示されているセストラムイエローリーフカーリングウイルスプロモーターなどがある。これらの全ては、引用することにより本明細書の内容とする。植物で新規なトキシン遺伝子の発現を誘導するのに有用な化学的に誘導可能プロモーターが、米国特許第5,614,395号に開示されている(引用することにより、その全体を本明細書の内容とする)。
【0132】
また、本発明のヌクレオチド配列は、化学的に調節されるプロモーターの調節下で発現できる。これにより、作物を誘発化学物質で処理するときだけ、Vip3トキシンを合成できる。遺伝子発現の化学誘発に好ましい技術が、公開出願EP0332104(Ciba−Geigy)及び米国特許第5,614,395号に詳細に記載されている。化学的誘発に好ましいプロモーターは、タバコPR−1aプロモーターである。
【0133】
プロモーターの好ましい種類は、傷誘発可能なものである。傷部位及び病原体感染の部位でも発現する非常に数多くのプロモーターが、すでに記載されている。理想的には、このようなプロモーターは、感染部位で局部的でのみ活性でなければならず、このように、殺虫トキシンを合成して侵入する害虫を死亡させる必要のある細胞にのみ殺虫トキシンを蓄積するものである。この種の好ましいプロモーターには、Stanford等,Mol.Gen.Genet.215:200−208(1989)、Xu等,Plant Molec.Biol.22:573−588(1993)、Logemann等,Plant Cell 1:151−158(1989)、Rohrmeier及びLehle,Plant Molec.Biol.22:783−792(1993)、Firek等,Plant Molec.Biol.22:129−142(1993)及びWarner等,Plant J.3:191−201(1993)によって記載されるものなどがある。
【0134】
好ましい組織特異的発現パターンには、緑色組織特異的、根特異的、茎特異的及び花特異的なものが含まれる。緑色組織において発現するのに好適なプロモーターに、光合成に関与する遺伝子を調節する数多くのもの、単子葉植物と双子葉植物の両方からクローニングされた多くのものなどがある。好ましいプロモーターは、ホスホエノールカルボキシラーゼ遺伝子由来のトウモロコシPEPCプロモーターである(Hudspeth及びGrula,Plant Molec.Biol.12:579−589(1989))。根特異的発現に好ましいプロモーターは、de Framond(FEBS290:103−106(1991);EP0452269(Ciba−Geigy)に記載されているものである。好ましい茎特異的プロモーターは、米国特許第5,625,136号(Ciba−Geigy)に記載されており、トウモロコシtrpA遺伝子の発現を駆動するものである。
【0135】
さらに好ましい実施態様は、傷誘導的又は病原体感染誘導的にヌクレオチド配列を発現するトランスジェニック植物である。
【0136】
好適なプロモーターの選択の他に、植物での殺虫性トキシンの発現のための構築には、適当な転写ターミネーターを非相同ヌクレオチド配列の下流に結合する必要がある。このようなターミネーターのいくつかは、当該技術分野において入手可能であり、知られている(例えば、CaMV由来のtml、rbcS由来のE9)。植物中で機能するのが知られているいずれの入手可能なターミネーターも、本発明に関連して使用できる。
【0137】
非常に数多くの他の配列を、本発明に記載されている発現カセットに組み込むことができる。これらには、イントロン配列(例えば、Adh1及びbronze1由来のもの)及びウイルスリーダー配列(例えば、TMV、MCMV及びAMV由来)等の発現を高めることが判明した配列などがある。
【0138】
本発明のヌクレオチド配列の発現を、植物における種々の細胞局在化に対して標的とすることが好ましいことがある。場合によっては、サイトゾルにおける局在化が望ましいことがあるのに対して、他の場合には、ある種の細胞より小さい細胞小器官における局在化が好ましいことがある。トランス遺伝子コード酵素の細胞より小さい局在化は、当該技術分野において周知の方法を用いておこなわれる。典型的には、公知の細胞小器官標的遺伝子産物由来の標的ペプチドをコードしているDNAを操作し、ヌクレオチド配列の上流で融合させる。数多くのこのような標的配列は、葉緑体について公知であり、非相同構築物におけるこれらの機能は明らかとなっている。また、本発明のヌクレオチド配列の発現も、宿主細胞の小胞体又は液胞を標的としている。このための方法は、当該技術分野において周知である。
【0139】
植物の形質転換に有効な非常に多くの形質転換ベクターは、植物形質転換分野の当業者には公知であり、本発明の核酸分子を、いずれかのこのようなベクターとともに使用できる。ベクターの選択は、好ましい形質転換法及び形質転換用標的植物種に依存する。ある種の標的種の場合、異なる抗生物質又は除草剤選択マーカーが好ましい。形質転換において通常使用される選択マーカーには、カナマイシン及び関連抗生物質に対する耐性を付与するnptII遺伝子(Messing及びVierra,1982.Gene 19:259−268;及びBevan等,1983.Nature 304:184−187)、除草剤ホスフィノトリシンに対する耐性を付与するbar遺伝子(White等,1990,Nucl.Acids Res 18:1062及びSpencer等,1990.Theor.Appl.Genet 79:625−631)、抗生ハイグロマイシンに対する耐性を付与するhph遺伝子(Blochinger及びDiggelmann,Mol Cell Biol 4:2929−2931)、メタトレキサートに対する耐性を付与するdhfr遺伝子(Bourouis等,1983.EMBO J.2(7):1099−1104)、グリホサートに対する耐性を付与するEPSPS遺伝子(米国特許第4,940,935号及び第5,188,642号)、並びにマンノースを代謝する能力を付与するマンノース−6−ホスフェートイソメラーゼ遺伝子(米国特許第5,767,378号及び第5,994,629号)などがある。しかしながら、選択可能なマーカーの選択は、本発明にとっては決定的には重要ではない。
【0140】
別の好ましい実施態様によれば、本発明のヌクレオチド配列を、色素体ゲノムに直接形質転換する。色素体形質転換の主要な利点は、色素体が一般的に実質的な修飾なしに細菌遺伝子を発現でき、且つ色素体が単一のプロモーターの制御下で複数のオープンリーディングフレームを発現できることである。色素体形質転換技術は、米国特許第5,451,513号、第5,545,817号及び第5,545,818号、PCT出願番号WO95/16783中に、並びにMcBride等(1994)Proc.Nati.Acad.Sci.USA 91,7301−7305に広範にわたって記載されている。葉緑体形質転換の基本的な方法には、選択可能なマーカーに隣接するクローニング色素体DNAの領域を意図する遺伝子とともに、好適な標的組織に、例えば、微粒子銃又はプロトプラスト形質転換(例えば、塩化カルシウム又はPEG介在形質転換)を用いて導入することがある。ターゲッティング配列と称される1〜1.5kbフランキング領域により、色素体ゲノムとの相同性組み換えが容易になり、したがって、プラストムの特異的領域の置き換え又は修飾ができる。最初に、スペクチノマイシン及び/又はストレプトマイシンに対する抵抗性を付与する葉緑体16SrRNA及びrps12遺伝子の点突然変異を、形質転換の選択マーカーとして利用する(Svab,Z.,Hajdukiewicz,P.及びMaliga,P.(1990)Proc.Nati.Acad.Sci.USA 87,8526−8530;Staub,J.M.及びMaliga,P.(1992)Plant Cell 4,39−45)。これにより、標的葉の100回の衝撃に対して約1回の頻度で安定な同種形成形質転換物を生じた。これらのマーカー間にクローニング部位が存在することにより、外来遺伝子の導入のための色素体標的ベクターが形成された(Staub,J.M.及びMaliga,P.(1993)EMBO J.12,601−606)。劣性rRNA又はr−タンパク質抗生物質抵抗性遺伝子を、優性選択可能マーカーであるスペクチノマイシン解毒化酵素アミノグリコシド−3’−アデニルトランスフェラーゼをコードする細菌性aadA遺伝子と置き換えることにより、形質転換率が実質的に増加する(Svab,Z.及びMaliga,P.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,913−917)。以前に、このマーカーを使用して緑藻Clamydomonas reinhardtii(単細胞緑藻クラミドモナス)の色素体ゲノムの高形質転換率を得るのに成功している(Goldschmidt−Clermont,M.(1991)Nucl.Acids Res.19:4083−4089)。色素体形質転換に有用な他の選択マーカーは、当該技術分野において公知であり、本発明の範囲内に含まれる。典型的には、形質転換後に約15〜20個の細胞分裂周期が、同種色素状態に到達するのに必要とされる。遺伝子が相同性組み換えにより各植物細胞に存在する円形色素体ゲノムの数千のコピーの全てに挿入される色素体発現では、核発現遺伝子に対する非常に数多くのコピー数の利点を利用して、総可溶植物タンパク質の10%を容易に超えることができる発現レベルを可能にしている。好ましい実施態様によれば、本発明のヌクレオチド配列を、色素体標的ベクターに挿入し、所望の植物宿主の色素体ゲノムに形質転換する。本発明のヌクレオチド配列を含む色素体ゲノムについて同種形成性の植物が得られ、優先的にヌクレオチド配列の高発現を可能とすることができる。
【0141】
昆虫防除成分の組み合わせ
本発明の殺虫トキシンは、Bt δ−エンドトキシン又は他の殺虫成分と組み合わせて使用して害虫標的範囲を増加することができる。さらに、本発明の殺虫トキシンを、Bt δ−エンドトキシン又は顕著な特徴がある他の殺虫成分と組み合わせて使用することにより、昆虫耐性の防止及び/又は管理に特定の用途が得られる。
【0142】
Bacillus thuringiensis由来の種々の殺虫結晶タンパク質が、それらの活性スペクトル及び配列の類似性に基づいて分類された。Hofte及びWhiteley,Microbiol.Rev.53:242−255(1989)に記載されている分類では、公知の殺虫結晶タンパク質を4種に大別されている。一般的に、主要な種類は、活性スペクトルにより、鱗翅目に対して活性なCry1タンパク質、鱗翅目及び双翅目の両方に対して活性なCry2タンパク質、鞘翅目に対して活性なCry3タンパク質及び双翅目に対して活性なCry4タンパク質に分けられる。
【0143】
各主要な種類の中で、δ−エンドトキシンが、配列の類似によって分類される。Cry1タンパク質は、典型的には130〜140kDaプロトキシンタンパク質として産生される。これらのプロトキシンタンパク質は、タンパク質分解により開裂されて約60〜70kDaである活性トキシンを産生する。δ−エンドトキシンの活性部は、全長分子のNH2末端部にある。上記Hofte及びWhiteleyは、公知のCry1タンパク質を6つのグループ1Aa、1Ab、1Ac、1B、1C及び1Dに分類した。そのとき以来、Cry1Ea、Cry1Fa、Cry9A、Cry9C及びCry9Bとして分類されたタンパク質だけでなく他のものも、特徴付けられた。
【0144】
Bacillus thuringiensis由来の個々のδ−エンドトキシンの殺虫活性のスペクトルは、まったく狭く、一定のδ−エンドトキシンは数種の昆虫に対してのみ活性である。特異性は、活性トキシンタンパク質を産生するのに関与する種々の工程の効率と、昆虫の消化管における上皮細胞と相互作用する続いての能力の結果である。一つの好ましい実施態様によれば、トランスジェニック植物における本発明の核酸分子の発現は、一つ以上のBt δ−エンドトキシンの発現を伴う。特に好ましいBt δ−エンドトキシンは、米国特許第5,625,136号(引用することにより本明細書の内容とする)に開示されているものである。
【0145】
Bacillus thuringiensis由来の数多くのδ−エンドトキシンタンパク質は、実際にプロトキシンとして発現されることが周知である。これらのプロトキシンは、昆虫の消化管のアルカリ性環境に可溶化され、プロテアーゼによるタンパク質分解により毒性コアフラグメントに転化される(Hofte及びWhiteley,Microbiol.Rev.53:242−255(1989))。Cry1クラスのδ−エンドトキシンタンパク質について、毒性コアフラグメントが、プロトキシンのN末端半分に局在化する。新規なトキシンタンパク質の全長プロトキシン形態又はトランケート毒性コアフラグメントをコードしている遺伝子を、植物形質転換ベクターに使用して宿主植物に殺虫性を付与することができることは本発明の範囲内である。
【0146】
他の殺虫成分には、プロテアーゼインヒビター(セリンとシステイン型の両方)、レクチン、α−アミラーゼ、ペルオキシダーゼ及びコレステロールオキシダーゼなどがある。他のVip遺伝子、例えば、米国特許第5,849,870号(引用することにより本明細書の内容とする)に開示されているvip1A(a)及びvip2A(a)も、本発明に有用である。
【0147】
同じトランスジェニック植物における複数の殺虫成分の共発現は、必要な全ての遺伝子を含有及び発現するための植物を遺伝学的に構築することによりおこなうことができる。別方法では、植物、ペアレント1を、本発明の遺伝子の発現について遺伝学的に構築できる。第二植物、ペアレント2を、補足的昆虫防除成分の発現について遺伝学的に構築できる。ペアレント1とペアレント2とを交差することにより、ペアレント1とペアレント2に導入した全ての遺伝子を発現する後代植物を得る。
【0148】
さらに、本発明は、開示された核酸分子の変異体を含む。天然の変異体配列は、周知の分子生物学手法、例えば、以下で概略述べるPCR及びハイブリダイゼーション法を使用することにより、同定及び/又は単離できる。
【0149】
変異体vip3ヌクレオチド配列は、合成的に誘導したヌクレオチド配列、例えば、部位特異的突然変異を使用することによるか、又はドメイン交換全体であるがまだ殺虫活性を示すものを使用することにより生成したものなどがある。突然変異及びヌクレオチド配列を変更する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkel等(1987)Methods in Enzymol.154:367−382;米国特許第4,873,192号;Walker及びGaastra編(1983)Techniques in Molecular Biology(分子生物学における手法)(MacMillan Publishing社、ニューヨーク)及びこれらで引用されている文献参照。一般的に、本発明のヌクレオチド配列は、そのそれぞれの基準vip3ヌクレオチド配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、最大98%以上が同一であり、殺虫活性を有する。
【0150】
また、変異体vip3ヌクレオチド配列も、DNAシャッフリング等の突然誘発及び組み換え法から得られた配列を含む。このような方法では、本発明の一つ以上の異なるvip3配列、例えば、限定なしに、vip3C(a)、vip3C(b)、vip3A−C及びvip3C−12168を、いっしょにか、又は他のvip3又は関連する配列、例えば、限定なしに、vip3A(配列番号:4)、vip3B(配列番号:6)及びvip3Z(配列番号:8)と組み換えして、所望の性質を有するVip3トキシンをコードする新しいvip3核酸分子を生成することができる。この方法において、組み換えvip3ポリヌクレオチドのライブラリーが、実質的な配列の同一性を有し、且つ生体外又は生体内で相同的に組み換えることができる配列領域を有する配列関連vip3ポリヌクレオチドの集団から生成される。このようなDNAシャッフリングのための方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Stemmer(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747−10751;Stemmer(1994)Nature 370:389−391;Crameri等(1997)Nature Biotech.15:436−438;Moore等(1997)J.Mol.Biol.272:336−347;Zhang等(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4504−4509;Crameri等(1998)Nature 391:288−291;国際特許出願WO99/57128並びに米国特許第5,605,793号、第5,837,458号及び第6,335,179号参照。
【0151】
ここで開示されている突然変異法は、高スループットスクリーニング法と組み合わせて宿主細胞においてクローニングされ、突然変異されたVip3ポリペプチドの殺虫活性を検出することができる。活性Vip3ポリペプチド(例えば、抗体により分泌及び検出されたもの;又は昆虫バイオアッセイにおいて殺虫性であるもの)をコードする突然変異されたDNA分子は、宿主細胞から回収され、標準法を用いて迅速に配列決定できる。これらの方法により、意図するVip3ポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性が迅速に決定でき、未知の構造のポリペプチドに適用できる。
【0152】
DNAシャッフリング法を用いて生成される組み換えvip3遺伝子のライブラリーをスクリーニングして、害虫から植物を保護するのに使用するのに改善された性質を示すものを同定する。DNAシャッフリングが、改善されたvip3害虫耐性遺伝子を得るのに有用である性質には、標的害虫に対する増加した効力、増加した標的害虫範囲、害虫による耐性の発現に対する感受性の減少、発現レベルの増加、プロテアーゼ分解に対する耐性の増加、環境条件における安定性の増加、及び宿主植物に対する毒性の減少などが含まれる。適当なスクリーニング法を使用することにより、同時又は順次に、複数の性質について最適化されるvip3遺伝子を得ることができる。
【0153】
DNAシャッフリングは、標的害虫に対する効力が増加したトキシンをコードするvip3害虫耐性遺伝子を得るのに有用である。シャッフリングが完了したら、シャッフリングしたvip3遺伝子の得られたライブラリーをスクリーニングして殺虫活性が増加したものを同定する。このスクリーニングを実施する一つの方法は、例えば、E.coli又はBacillus thuringiensisの結晶マイナス株等の選ばれた宿主細胞において遺伝子を発現させるのに好適である発現ベクターに、シャッフリングしたvip3遺伝子のタンパク質コード領域をクローニングすることである。当業者には、これらの2つの発現系のどちらかを用いた場合の利点及び欠点が分かるであろう。例えば、Bacillus thuringiensisは、分泌したVip3タンパク質を産生するのにより望ましい。必要に応じて、クローンを、例えば、免疫学的検定により予備スクリーニングして正しいサイズのVip3タンパク質を産生するものを同定することができる。予備スクリーニングにおいて陽性であるものを、次に機能的スクリーニング試験に附して所望の増加した活性を有するトキシンをコードするシャッフリングしたvip3遺伝子を同定する。
【0154】
昆虫アッセイ全体を使用して、毒性を測定できる。これらのアッセイでは、シャッフリングされたvip3遺伝子から発現されたVip3トキシンを、昆虫の餌、例えば、人工餌又は植物組織上におき、標的昆虫により消費させる。標的昆虫に対して成長阻害又は死亡を生じさせるこれらのクローンを、さらなるバイオアッセイで試験して効力を測定できる。増加した効力を有するトキシンをコードするシャッフリングしたvip3遺伝子は、減少したEC50(昆虫の増殖を50%減少させるのに必要なトキシンの濃度)及び/又はLC50(50%の死亡率を生じさせるのに必要なトキシンの濃度)を有するものとして同定できる。
【0155】
生体外アッセイも、シャッフリングしたvip3遺伝子ライブラリーをスクリーニングするのに使用できる。このようなアッセイは、典型的には培養した昆虫細胞を使用する。これらの培養した昆虫細胞は、Vip3トキシンの受容体を、天然又は非相同性遺伝子の発現の結果として発現するVip3トキシン及び/又は細胞に感受性がある。他の生体外アッセイ、例えば、細胞の死亡を検出するのに有用な細胞、染料及び標識における形態的変化の検出、又は細胞によるATPaseの放出の検出を使用できる。Vip3の毒性について培養した昆虫細胞を用いた好適な生体外アッセイの一例として、Sf9(Spodoptera frugiperda(ヨトウガ))細胞があげられる。Sf9は、Vip3トキシンに対して非常に感受性がある。Vip3トキシンをSf9細胞と混合するとき、細胞膜は、小分子に対する透過性が非常に高くなる。トリパンブルー等の染料を細胞懸濁液に添加すると、Vip3トキシンにより殺された細胞は、青色に染色される。したがって、Vip3トキシンの細胞毒性を、画像解析により求めることができる。
【0156】
追加の生体外アッセイには、Vip3トキシンの受容体を使用することが含まれる。一つのこのような受容体は、米国特許第6,291,156号(引用することにより本明細書の内容とする)に開示されている。Vip3受容体タンパク質は、受容面、例えば、96ウェルプレート又はニトロセルロース膜(これらには限定されない)上に固定され、シャッフリングされたvip3遺伝子を含むクローンに暴露できる。したがって、機能トキシンをコードするシャッフリングしたvip3遺伝子は、Vip3受容体に対する結合親和力に基づいて同定できる。さらに、Vip3受容体をコードする遺伝子を、当該技術分野において公知の方法を用いて非Vip3感受性細胞系、例えば、Schneider2(S2)Drosophila細胞系に形質転換できる(例えば、Clem及びMiller,1194,Mol.Cel.Biol.14:5212−522参照)。次に、形質転換されたS2細胞を、シャッフリングしたvip3遺伝子を含むクローンに暴露できる。したがって、機能トキシンをコードするシャッフリングしたvip3遺伝子を、細胞死の誘発に基づいて同定できる。
【実施例】
【0157】
本発明を、以下の詳細な実施例によりさらに説明する。これらの実施例は、例示の目的でのみ提供し、特記のない限りは限定することを意図しない。ここで使用されている標準的な組み換えDNA及び分子クローニング法は、当該技術分野において周知であり、Ausubel(編者)、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコール),John Wiley and Sons社(1994);J.Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験マニュアル)、第3版、Cold Spring Harbor,NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001);及びT.J.Silhavy,M.L.Berman及びL.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions(遺伝子融合を用いた実験),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1984)により記載されている。
【0158】
例1:Vip3相同タンパク質を含むBt分離株の同定
3組のPCRプライマー(配列がvip3A遺伝子(配列番号:5)に基づく)を、PCR反応に使用してBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)(Bt)分離株由来の可能な相同vip3遺伝子のフラグメントをPCR反応で増幅した。使用したこれらの3つのプライマーセットは、以下の通りであった:
1F:5’−ATGAACAAGAATAATACTAAATTAAGCACAAGAGCC−3’(配列番号:12)
1R:5’−CTCAACATAGAGGTAATTTTAGGTAGATATACCCG−3’(配列番号:13)
p3:5’−GATGATGGGGTGTATATGCCGTTAG−3’(配列番号:14)
p4:5’−AATAAATTGTGAAATTCCTCCGTCC−3’(配列番号:15)
4F:5’−AGTCAAAATGGAGATCAAGGTTGGGGAGATAAC−3’(配列番号:16)
4R:5’−TTACTTAATAGAGAGATCGTGGAAATGTACAATA−3’(配列番号:17)
【0159】
Bt分離株がvip3A遺伝子(配列番号:4)に同一の遺伝子を含む場合、3種のPCR生成物が期待された。プライマーセット1F/1R、p3/p4及び4F/4Rにより生成されるPCR生成物のサイズは、それぞれ377bp、344bp及び419bpであった。vip3Aと多少配列が異なるvip3遺伝子を含んでいてもよいことを示した一種のみ又は二種のPCR生成物を産生した分離株を、さらに配列分析に附した。
【0160】
例2:Vip3相同配列を確認するためのPCR生成物のクローニング及び配列決定
一種又は二種のPCR生成物を産生するものとして例1で同定されたBt分離株を、プライマーセット1F/1R(配列番号:12/配列番号:13)だけでなく以下の2つのプライマーを用いて再びPCRに附した:
p5:5’−AATGGAGATGAAGCTTGGGGAGAT−3’(配列番号:18)
p6:5’−CGTGGAAATGTACAATAGGACCACC−3’(配列番号:19)
【0161】
次に、PCR生成物を、pCR2.1−Topo(Invitrogen)ベクターにクローニングし、標準技術の方法を用いて配列決定した。
【0162】
3種のBt分離株を、vip3Aと配列が顕著に異なるvip3Cと命名された相同vip3遺伝子を含むものとして同定した。これらのBt分離株を、C536、C1674及びAB727と命名した。
【0163】
例3:全長vip3C遺伝子をクローニングするPCR
vip3C遺伝子の3’端を、鋳型としてBt株C536又はC1674から単離した総プラスミドDNAを用いるPCRにより得た。以下のプライマーを使用した:
Vip3CF4:5’−GTTTAGAAGATTTTCAAACCATTAC−3’(配列番号:20)
T7:5’−TTAATACGACTCACTATAGGG−3’(配列番号:21)
【0164】
プライマーT7は、vip3C遺伝子に対して3’であるフランキングヌクレオチド配列を認識する非遺伝子特異的プライマーである。
【0165】
PCR生成物を、標準的な方法を用いてクローニングし且つ配列決定した。最終的な全長vip3C遺伝子を、vip3Cの3’端及び5’端に位置した2つのプライマーを用いてPCRにより得た:
Vip3Cc:5’−TTTATTTAATAGAAACGTTTTCAAATGATATATG−3’(配列番号:22)
Vip3Cn:5’−CACCATGAACAAGAATAATACTAAATTAAGCACAAGAG−3’(配列番号:23)
【0166】
2つの全長vip3C遺伝子を得た。Bt分離株C536由来のvip3C遺伝子をvip3C(a)と命名し、C1674から単離したvip3C遺伝子をvip3C(b)と命名した。Vip3C(a)とvip3C(b)とは、2213位の一つのヌクレオチドで異なり(配列番号:1参照)、vip3C(a)は2213位にヌクレオチド「a」を含み、それにより配列番号:2の738位にアミノ酸Gluをコードしており、且つvip3C(b)は2213位にヌクレオチド「g」を含むことにより、配列番号:2の738位にGlyをコードしている。
【0167】
vip3C(a)遺伝子及びvip3C(b)遺伝子を、各々pET101/D−Topo発現ベクターにクローニングし、pNOV3911及びpNOV3910と命名し、E.coli DH5α細胞で寄託し、それぞれ、受託番号NRRL B−30552及びNRRL B−30553が付与された。
【0168】
例4:全長vip3Z遺伝子をクローニングするコスミッド
100mM Tris pH8、10mM EDTAに再懸濁した新しく生育させた細胞を、2mg/mlリゾチームで、37℃、30分間処理することにより、総DNAをAB727から単離した。プロテイナーゼKを、1%SDS、50mM EDTA、1M尿素に、100μg/mlの最終濃度となるように添加し、55℃でインキュベーションした。等容積のフェノール‐クロロホルム‐イソアミルアルコールを、添加した。試料を、5分間穏やかに混合し、3Kで遠心分離した。これを、2回反復した。次に、水相を、0.7容積のイソプロパノールと混合し、遠心分離した。DNAペレットを、70%エタノールで3回洗浄し、0.5X TEに穏やかに再懸濁した。DNA12μgを、DNA1μg当たり0.3単位のSau3Aで、容積100μl、37℃で処理した。試料を、2分間隔で10分間採取した。次に、1/10容の10X TEを添加し、試料を65℃で30分間加熱して酵素を不活性化した。試料を電気泳動に附して、どの画分が40kbの範囲にあるかを求め、この試料を、ライゲーションに使用した。
【0169】
SuperCosコスミドベクター(Stratagene,La Jolla,CA)を、BamHIクローニング部位を利用して供給業者により記載された方法で調製した。調製したSuperCos100ng/mlを、予めSau3Aにより消化したAB727 DNAで、2:1の比、容積5μl、6℃で一晩ライゲーションした。ライゲーション混合物を、供給業者により記載されたGigapack XL III(Stratagene)を用いてパッケージングした。パッケージングしたファージを、供給業者により記載されたXL−1MR E.coli細胞(Stratagene)に感染させた。コスミッドライブラリーを、50μg/mlカナマイシンを用いてL−アガー上にプレーティングし、37℃で16時間インキュベーションした。200個のコロニーを採取し、成長させて、vip3Z遺伝子の存在についてスクリーニングした。
【0170】
200個のコスミッドクローンを、プライマーVip3ZA:5’−GGCATTTATGGATTTGCCACTGGTATC−3’(配列番号:28)及びプライマーVip3ZB:5’−TCCTTTGATACGCAGGTGTAATTTCAG−3’(配列番号:29)を用いたPCRにより、vip3Z遺伝子の存在についてスクリーニングした。
【0171】
5gと命名された1個のコスミッドクローンが、Vip3Zタンパク質(配列番号:9)をコードしているvip3Z遺伝子(配列番号:8)を含むことが明らかとなった。
【0172】
例5:トウモロコシ最適化vip3C遺伝子の構築
トウモロコシ最適化vip3C遺伝子を、米国特許第5,625,136号(引用することにより本明細書の内容とする)に開示されている手順で作製した。この手順において、トウモロコシが好ましいコドン、すなわち、トウモロコシにおいてそのアミノ酸を最も頻度高くコードする単一コドンを、使用する。特定のアミノ酸についてトウモロコシの好ましいコドンは、トウモロコシから得た公知の遺伝子配列に由来する。トウモロコシ植物由来の28個遺伝子のためのトウモロコシコドンの使用が、Murray等(1989、Nucleic Acids Res.17:477−498)に記載されている。
【0173】
配列番号:2に示したアミノ酸配列をコードする合成vip3C(a)遺伝子及びvip3C(b)遺伝子を作製した。配列番号:3の2213位及び2214位での合成vip3C(a)遺伝子は、配列番号:2の738位にアミノ酸Gluをコードしているそれぞれヌクレオチド「a」及び「g」を含み、合成vip3C(b)遺伝子は、配列番号:2の738位にアミノ酸Glyをコードしているそれぞれヌクレオチド「g」及び「a」を含む。合成vip3C(a)遺伝子及びvip3C(b)遺伝子を、別々にpET101/D−Topo発現ベクターにクローニングし、得られたベクターをpNOV3905と命名し、E.coli BL21細胞で寄託し、受託番号NRRL B−30554が付与され、そしてpNOV3906と命名し、E.coli BL21細胞で寄託し、受託番号NRRL B−30555が付与された。
【0174】
例6:Vip3Cタンパク質のバイオアッセイ
黒色ヨトウムシの餌(BioServ,Frenchtown,NJ)を、50mmペトリ皿に注いだ。この餌を、冷し、pNOV3905、pNOV3906、pNOV3910又はpNOV3911を含むE.coli細胞の懸濁液200μlを、餌表面上にピペットでのせた。この溶液を、細菌ループで均一に広げて、懸濁液が餌の表面全体を被覆するようにした。この表面を、完全に乾燥させた。下の表にあげた鱗翅類種の第一齢幼虫を、細かいチップブラシで餌の上においた。各種を、別個に試験した。幼虫の死亡率だけでなく、給餌及び成長阻害の発生を、餌の幼虫の蔓延の3日後と5日後に記録した。発現ベクターなしでE.coli細胞を含む試料は、陰性対照として作用した。また、Vip3Aタンパク質も、比較目的又はこの例について、同じバイオアッセイで試験することができ、Vip3Cデータを、Vip3Aの公知の活性スペクトルと比較した。
【0175】
結果を、表8に示す。プレートを昆虫で感染させてから5日後に、殺虫活性を観察した。データから、Vip3C(a)(pNOV3911及びpNOV3905由来)及びVip3C(b)(pNOV3910及び3906由来)が、Vip3Aトキシンよりも広い活性スペクトルを有することが明らかである。また、試験から、Vip3Cトキシンが、環境的に有益な昆虫Danaus plexippus(オオカバマダラ)に対して活性でないことも分かった。
【0176】
【表9】

【0177】
例7.vip3C遺伝子を含むトランスジェニックトウモロコシ植物の構築
トウモロコシ最適化vip3C(配列番号:3)を、トウモロコシ植物への形質転換について選択した。vip3C(a)配列を含む発現カセットを、Agrobacterium介在トウモロコシ形質転換に好適なベクターに移した。この例について、発現カセットは、vip3C(a)遺伝子の他に、当該技術分野において公知のトウモロコシユビキチンプロモーターとnosターミネーターだけでなく、トランスジェニック系(Negrotto等(2000)Plant Cell Reports(植物細胞レポート)19:798−803)の選択のためのホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)遺伝子を含んでいた。得られたベクターを、pNOV2149(配列番号:30)と命名した。
【0178】
未成熟トウモロコシエンブリオの形質転換を、実質的にNegrotto等、2000、Plant Cell Reports(植物細胞レポート)19:798−803に記載のようにして実施した。この例について、全ての媒体成分は、上記Negrotto等に記載した通りであった。しかしながら、当該技術分野において公知の種々の媒体成分を、置き換えることができる。
【0179】
植物形質転換プラスミドを含有するAgrobacterium株LBA4404(pSB1)を、YEP(酵母エキス(5g/L)、ペプトン(10g/L)、NaCl(5g/L)、15g/l寒天、pH6.8)固体培地上で、28℃で2〜4日間成長させた。約0.8X109個のAgrobacteriumを、100μM As(Negrotto等,(2000)Plant Cell Rep 19:798−803)を補充したLS−inf培地に懸濁した。バクテリアを、この培地で30〜60分間予備誘発させた。
【0180】
A188トウモロコシゲノタイプ由来の未成熟エンブリオを、8〜12日齢イヤーから切除して液体LS−inf+100μM Asに入れた。エンブリオを、新鮮な感染培地で一回ゆすいだ。次に、Agrobacterium溶液を添加し、エンブリオを、30秒間渦巻きを生じさせ、細菌とともに5分間沈降させた。次に、エンブリオを、LSA培地に移し、暗所で2〜3日間培養した。続いて、一つのペトリプレート当たり20〜25のエンブリオを、セフォタキシム(250mg/l)及び硝酸銀(1.6mg/l)を補充したLSDc培地に移し、暗所において28℃で10日間培養した。
【0181】
胚形成カルスを産生する未成熟エンブリオを、LSD1M0.5S培地に移した。培養を、この培地上で6週間選択し、継代培養工程を3週間した。生存カルスを、マンノースを補充したReg1培地に移した。照明中の培養(16時間照明/8時間暗所)に続いて、緑色組織を、成長調整剤なしのReg2培地に移し、1〜2週間インキュベーションした。胚を、Reg3培地を含有するMagenta GA−7ボックス(Magenta社、Chicago,Ill)に移し、照明中で成長させた。2〜3週間後、植物を、PCRによりRMI遺伝子及びvip3C(a)遺伝子の存在について試験した。PCRアッセイから得た正の植物を、温室に移し、鱗翅類害虫に対する耐性について試験した。
【0182】
例8:トランスジェニックトウモロコシ植物の分析
植物を、Magenta GA−7ボックスから土壌に移植されているときに、サンプリングした。サンプリングは、2枚の小さな葉を切断(長さ約2〜4cm)することと、切断葉を各々小さなペトリ皿に入れることからなる。負の対照は、同じ実験からか、又はファイトトロンにおいて成長されていた非トランスジェニック植物(試験植物と類似したサイズ)から得たvip3C(a)遺伝子についてPCRネガティブであるトランスジェニック植物である。
【0183】
10匹の一齢幼虫を各葉片上に配置することにより、各植物からの葉試料に、ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)又はヨトウガ(Spodoptera frugiperda)を接種した。次に、ペトリ皿をしっかりとシールした。
【0184】
ポスト接種の3〜4日に、データを集めた。幼虫の死亡率を、葉の可視損傷の評点とともに計算した。摂食損傷を高、中、低又は無として評価し、それぞれ数値3、2、1又は0を附した。
【0185】
表9に示す結果から、vip3C(a)遺伝子を含み且つVip3C(a)タンパク質を発現するトランスジェニックトウモロコシ植物が、ヨーロッパアワノメイガ(ECB)及びヨトウガ(FAW)に対して殺虫性であることが分かる。
【0186】
【表10】

【0187】
例9:ハイブリッドVip3トキシン
Vip3Cは、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)及びPlutella xyloxtella(コナガ)に対して毒性を有するのに対して、相同Vip3トキシン、例えば、Vip3A(a)、Vip3A(b)及びVip3A(c)は毒性を有していない。Vip3CとVip3Aは、特に配列番号:2のアミノ酸661〜アミノ酸788の領域におけるそれぞれのアミノ酸配列のC末端領域が主に異なる。Vip3CのC末端領域がヨーロッパアワノメイガ及びコナガに対する活性に関与するVip3Cトキシンの部分であることを示すために、Vip3CのC末端領域、配列番号:2のアミノ酸番号661〜アミノ酸番号788を含むハイブリッドトキシンを、アミノからカルボキシ方向に、配列番号:5のアミノ酸番号1〜アミノ酸番号660であるVip3AのN末端領域と接合した。このハイブリッドトキシンを、Vip3A−Cと命名した。
【0188】
Vip3A−Cハイブリッドトキシンをコードする核酸分子を、以下のプライマーを用いたPCRの2つの工程を用いて構築した:
Vip3A−N:5’−CACCATGAACAAGAATAATACTAAATTAAGCACAAGAG−3’(配列番号:24)
Vip3A2050:5’−TAAAGTTATCTCCCCAAGCTTCATCTCCA−3’(配列番号:25)
Vip3C−C1:5’−AATGGAGATGAAGCTTGGGGAGAT−3’(配列番号:26)
Vip3C−C2:5’−TTTATTTAATAGAAACGTTTTCAAATGATATATG−3’(配列番号:27)
【0189】
第一PCR工程において、プライマーVip3A−N(配列番号:24)及びVip3A2050(配列番号:25)を使用してN末端領域をコードするvip3A遺伝子の5’端の約2.0kbフラグメントを生成し、プライマーVip3C−C1(配列番号:26)及びVip3C−C2(配列番号:27)を使用してC末端領域をコードするvip3C遺伝子の3’端の約0.4kbフラグメントを生成した。第二PCR工程において、これらの2つの断片をプライマーVip3A−N(配列番号:24)及びVip3C−C2(配列番号:27)のための鋳型として組み合わせてvip3A−Cと命名した約2.4kbハイブリッドvip3A−vip3C遺伝子を生成した。
【0190】
配列番号:10に記載されている配列のハイブリッドvip3A−vip3C(b)遺伝子を作製した。ハイブリッドvip3A−C遺伝子をpET101D(Novagen)にクローニングし、得られたベクターを、pNOV3912と命名され、発現用E.coli DH5αに形質転換した。このE.coliクローン(NRRL B−30551)を、表10に示した昆虫種に対して試験した。Vip3Cタンパク質を、比較対照として使用した。データを、公知のVip3Aの活性スペクトルと比較した。
【0191】
表10に示す結果から、Vip3CのC末端領域、配列番号:2のアミノ酸番号661〜アミノ酸番号788は、ハイブリッドトキシンに対してヨーロッパアワノメイガ及びコナガ活性を付与するのに十分であることが確認できる。
【0192】
【表11】

【0193】
例10.DNAシャッフリングによるvip3遺伝子の生体外組み換え
本発明のvip3遺伝子の一つ(配列番号:1、3又は11)を、PCRにより増幅する。得られたDNAフラグメントを、Stemmer等、PNAS 91:10747−10751(1994)に実質的に記載されているDNaseI処理により消化し、PCRプライマーを、反応混合物から除去する。PCR反応を、プライマーなしで実施し、その後、プライマーを用いてPCR反応をする。これらの両方とも、Stemmer等(1994)に記載のように実施する。得られたDNAフラグメントを、pTRC99a(Pharmacia,Cat no:27−5007−01)にクローニングし、Biorad Gene Pulserを用いたエレクトロポレーション及び製造条件によりE.coli株SASX38に形質転換した。形質転換したバクテリアを、培地で一晩成長させ、殺虫性活性についてスクリーニングする。
【0194】
同様の反応において、ここに記載のvip3遺伝子の一つを含むPCR増幅DNAフラグメント(配列番号:1、3、5、7、9若しくは11又はその突然変異)、及びここに記載のvip3遺伝子の少なくとも一つの他のものを含むPCR増幅DNAフラグメント(又はその突然変異)を、生体外で組み換え、改善された殺虫性を有する変異体を、以下に記載のように回収する。
【0195】
シャッフリングvip3遺伝子ライブラリーの多様性を増加するために、vip3遺伝子(単一又は複数)(一次遺伝子と称される)を、合成オリゴヌクレオチドシャッフリングを用いてシャッフリングする。多様性の少なくとも一つの領域に相当する複数(例えば、2、5、10、20、50、75若しくは100又はそれ以上)のオリゴヌクレオチドを、合成する。これらのオリゴヌクレオチドを、直接シャッフリングするか、一つ以上の核酸群を用いて組み換えをすることができる。
【0196】
オリゴヌクレオチド配列を、二次遺伝子と称される他のvip3遺伝子からとることができる。二次遺伝子は、一次遺伝子にある程度の相同性を有する。オリゴヌクレオチド合成について、二次遺伝子の部分を選択するのにいくつかの方法がある。例えば、二次遺伝子の部分を、ランダムに選択できる。DNAシャッフリングプロセスは、これらのオリゴヌクレオチドを選択して、シャッフリングした遺伝子に組み込むことができる。
【0197】
選択された部分は、合成するのに好適である限りはいずれの長さでもよい。また、オリゴヌクレオチドを、一次遺伝子と二次遺伝子との間の相同性に基づいて設計することもできる。シャッフリング中のDNAフラグメントの間で生じなければならない交差には、一定度合いの相同性が必要である。同時に、シャッフリング遺伝子ライブラリーの多様性のためには、不均一性が大きいことが望ましい。さらに、二次遺伝子の特定の部分を、タンパク質配列における知識及び機能関係に基づいてオリゴヌクレオチド合成について選択できる。
【0198】
本発明では、Vip3のC末端領域の一部分が、Vip3トキシンの活性のスペクトルに関与していることを開示した。殺虫スペクトルを、DNAシャッフリング技術を用いた本発明により修飾するとき、二次遺伝子のヌクレオチド配列のC末端領域を、オリゴヌクレオチドシャッフリング法に使用されるオリゴヌクレオチドを合成するための標的領域として選択できる。
【0199】
Vip3タンパク質の殺虫活性は、少なくとも一部分がN末端領域に依存しているので、二次遺伝子のN末端領域が、増加した殺虫活性のためのオリゴヌクレオチドシャッフリングについて選択できる。
【0200】
一つの態様によれば、一次vip3C(a)遺伝子及びvip3C(b)遺伝子を、二次vip3A遺伝子配列に基づいて合成されるいくつかのオリゴヌクレオチドとシャッフリングする。Vip3C(a)及びvip3C(b)は、高度に相同性であるが、vip3Aは、実質的にこれらの遺伝子とは異なる。したがって、vip3Aをvip3C(a)及びvip3C(b)とともにシャッフリングして得られたシャッフリングした組み換え核酸の多様性を増加することが望ましい。vip3C(a)及びvip3C(b)の対応する部分とは実質的に異なるvip3A配列の一部を、選択し、これらの部分をカバーする一連の50量体オリゴヌクレオチドを合成する。これらのオリゴヌクレオチドを、vip3C(a)及びvip3C(b)とシャッフリングする。次に、一定数のクローンを、シャッフリングした遺伝子ライブラリーから選択し、制限マッピングにより多様性について調べる。多様性は、vip3C(a)及びvip3C(b)のみのシャッフリングから通常予測される以上のものであることが意図される。
【0201】
例11.殺虫活性についての高スループットスクリーン
E.coli又はBacillus thuringiensisにおけるシャッフリングしたvip3遺伝子ライブラリーを、殺虫活性についてスクリーニングする。コロニーを、Q−bot(Beckman)で採取し、標準96ウエルフォーマットで成長培地に入れ、一晩成長させる。次に、各クローンを、96ウエルフォーマットで昆虫の餌の表面上に層状にし、表面を乾燥させる。必要に応じて、形質転換した細胞のプールを、各ウエルに添加して初回のスクリーニングで試験するクローン数を増加させる。例えば、1ウエル当たり100クローンで、10,000ウエルを用いてスクリーニングすることにより、106個のクローンのスクリーンが得られる。
【0202】
標的昆虫、例えば、Heliothis virescens(タバコガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)又はSpodoptera frugiperda(ヨトウガ)のいくかつの新生幼虫を、各ウエルに添加する。このプレートを、ウエルに幼虫を保持する通気性膜で覆う。5日後、ウエルを、消費された餌の量及び/又は昆虫死亡率について評価する。餌がほとんど消費されず及び/又は高昆虫死亡率が観察されるウエルにおけるクローンを選択して、さらに分析する。いくつかのクローンは、標的昆虫に対して増加した活性を有する。
【0203】
例12:全長vip3C遺伝子をクローニングするコスミッド
100mM Tris pH8、10mM EDTAに再懸濁した新しく生育させた細胞を、2mg/mlリゾチームで、37℃、30分間処理することにより、総DNAをC1674(NRRL B−30556)から単離した。プロテイナーゼKを、1%SDS、50mM EDTA、1M尿素に、100μg/mlの最終濃度となるように添加し、55℃でインキュベーションした。等容積のフェノール‐クロロホルム‐イソアミルアルコールを、添加した。試料を、5分間穏やかに混合し、3Kで遠心分離した。これを、2回反復した。次に、水相を、0.7容積のイソプロパノールと混合し、遠心分離した。DNAペレットを、70%エタノールで3回洗浄し、0.5X TEに穏やかに再懸濁した。DNA12μgを、DNA1μg当たり0.3単位のSau3Aで、容積100μl、37℃で処理した。試料を、2分間隔で10分間採取した。次に、1/10容の10X TEを添加し、試料を65℃で30分間加熱して酵素を不活性化した。試料を電気泳動に附して、どの画分が40kbの範囲にあるかを求め、この試料を、ライゲーションに使用した。
【0204】
SuperCosコスミドベクター(Stratagene,La Jolla,CA)を、BamHIクローニング部位を利用して供給業者により記載された方法で調製した。調製したSuperCos100ng/mlを、予めSau3Aにより消化したC1674DNAで、2:1の比、容積5μl、6℃で一晩ライゲーションした。ライゲーション混合物を、供給業者により記載されたGigapack XL III(Stratagene)を用いてパッケージングした。パッケージングしたファージを、供給業者により記載されたXL−1MR E.coli細胞(Stratagene)に感染させた。コスミッドライブラリーを、50μg/mlカナマイシンを用いてL−アガー上にプレーティングし、37℃で16時間インキュベーションした。200個のコロニーを採取し、成長させて、vip3C遺伝子の存在についてスクリーニングした。
【0205】
200個のコスミッドクローンを、vip3C特異的プライマーを用いたPCRによりvip3C遺伝子の存在についてスクリーニングした。
【0206】
2つのコスミッドクローンが、vip3Cコード配列を含むことが判明した。数回の配列決定後、配列が、配列番号:31に記載の配列であることが確認された。このvip3Cコード配列を、vip3C−12168と命名した。この配列は、Vip3C−12168タンパク質(配列番号:32)をコードしている。
【0207】
例13:Vip3C−12168のバイオアッセイ
vip3C−12168コード配列を含む発現ベクター(pTrcHis;Invitrogen)を含むE.coli細胞を、例6に記載のプロトコールを用いて生物活性について試験した。試験した昆虫種は、ヨーロッパアワノメイガ(ECB)、ヨトウガ(FAW)、タマナヤガ(BCW)、タバコガ(TBW)及びオオタバコガ(CEW)であった。幼虫死亡率並びに摂食及び成長阻害の発生を、餌の幼虫の蔓延の7日後に記録した。空発現ベクター(pTrcHis)を有するE.coli細胞を含む試料は、負対照として役割を果たした。また、δ−エンドトキシンCry1Abを発現するE.coli細胞及びVip3Aタンパク質を発現するE.coli細胞も、同様のバイオアッセイで試験して活性スペクトルを比較した。
【0208】
結果を、表11に示す。データから、Vip3C−12168がCry1AbとVip3Aの組み合わせと同様の活性スペクトルを有することが明らかである。
【0209】
【表12】

【0210】
例14:トウモロコシ最適化Vip3C−12168
トウモロコシ最適化vip3C−12168コード配列を、例5に記載の手順に準じて設計した。トウモロコシ最適化vip3C−12168コード配列のヌクレオチド配列を、配列番号:33に示す。
【0211】
本明細書で述べた全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示す。全ての刊行物及び特許出願は、引用することにより、各個々の刊行物又は特許出願が具体的及び個々に引用することにより本明細書の内容とすることが示されると同程度に本発明の内容とされる。
【0212】
本明細書に記載の実施例及び実施態様は、説明の目的のみで記載されており、それに照らした種々の修正又は変更は、当業者には明らかであり、本出願の精神及び範囲並びに添付の請求の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫に対して活性であるトキシンをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子において、前記ヌクレオチド配列が:
(a)7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するか、
(b)(a)のヌクレオチド配列と同義であるか、
(c)配列番号:1と配列が少なくとも93%同一であるか、
(d)配列番号:2と配列が少なくとも91%同一であるアミノ酸配列をコードしている、
核酸分子。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列が、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有する、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
前記ヌクレオチド配列が、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するヌクレオチド配列と同義である、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項4】
配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも75%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項5】
配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項7】
配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と配列が少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項8】
配列番号:1又は配列番号:3のヌクレオチド1981−2367を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項9】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:1と配列が少なくとも93%同一である、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項10】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:1と配列が少なくとも95%同一である、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項11】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:1と配列が少なくとも99%同一である、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項12】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:11、配列番号:32又は配列番号:34に記載されている前記ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項13】
配列番号:1の前記ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項14】
配列番号:3の前記ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項15】
配列番号:11の前記ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項16】
配列番号:32の前記ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項17】
配列番号:34の前記ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項18】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:2と少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項19】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:2と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項20】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:2と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項21】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:2、配列番号:12又は配列番号:33に記載されている前記アミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項22】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項23】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:12に記載されている前記アミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項24】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号:33に記載されている前記アミノ酸配列をコードしている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項25】
受託番号B−30556のNRRLと命名されているC1674及び受託番号B−30557のNRRLと命名されているC536からなる群から選択されたBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)分離株に含まれている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項26】
受託番号B−30553のNRRLと命名されているpNOV3910、受託番号B−30552のNRRLと命名されているpNOV3911、受託番号B−30555のNRRLと命名されているpNOV3906、受託番号B−30554のNRRLと命名されているpNOV3905及び受託番号B−30551のNRRLと命名されているpNOV3912からなる群から選択された大腸菌(E.coli)クローンに含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項27】
受託番号B−30553のNRRLと命名されているE.coliクローンpNOV3910に含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項28】
受託番号B−30552のNRRLと命名されているE.coliクローンpNOV3911に含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項29】
受託番号B−30555のNRRLと命名されているE.coliクローンpNOV3906に含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項30】
受託番号B−30554のNRRLと命名されているE.coliクローンpNOV3905に含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項31】
受託番号B−30551のNRRLと命名されているE.coliクローンpNOV3912に含まれている約2.4kbDNAフラグメントを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項32】
前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸681−788と少なくとも75%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項33】
前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸681−788と少なくとも85%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項34】
前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸681−788と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項35】
前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸681−788と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項36】
前記トキシンが、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸681−788を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項37】
前記トキシンが、鱗翅類昆虫に対して活性である、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項38】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項37に記載の単離された核酸分子。
【請求項39】
請求項1の核酸分子と作動可能に連結した異種のプロモーター配列を含むキメラ遺伝子。
【請求項40】
請求項39のキメラ遺伝子を含む組み換えベクター。
【請求項41】
請求項39のキメラ遺伝子を含むトランスジェニック宿主細胞。
【請求項42】
細菌性細胞である、請求項41に記載のトランスジェニック宿主細胞。
【請求項43】
植物細胞である、請求項41に記載のトランスジェニック宿主細胞。
【請求項44】
請求項43のトランスジェニック植物細胞を含むトランスジェニック植物。
【請求項45】
前記植物が、モロコシ、コムギ、ヒマワリ、トマト、アブラナ属作物、綿、イネ、ダイズ、テンサイ、サトウキビ、タバコ、オオムギ、アブラナ及びトウモロコシからなる群から選択されたものである、請求項44に記載のトランスジェニック植物。
【請求項46】
前記植物が、トウモロコシ植物である、請求項45に記載のトランスジェニック植物。
【請求項47】
請求項44のトランスジェニック植物から得たトランスジェニック種子。
【請求項48】
請求項46のトウモロコシ植物から得たトランスジェニック種子。
【請求項49】
昆虫に対して活性である単離されたトキシンにおいて、前記トキシンが、
a)配列番号:2のアミノ酸661−788と少なくとも75%が同一であるか、
b)配列番号:2と少なくとも91%が同一であるか、
c)7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたか、
d)前記(c)のヌクレオチド配列と同義であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたか、
e)配列番号:1と配列が少なくとも93%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生された、
アミノ酸配列を含む、単離されたトキシン。
【請求項50】
前記トキシンは、配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも75%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項51】
配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも85%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項52】
配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項53】
配列番号:2の前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項54】
配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列のアミノ酸661−788を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項55】
配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも91%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項56】
配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項57】
配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも97%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項58】
配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列と少なくとも99%が同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項59】
配列番号:2、配列番号:12又は配列番号:33に記載されている前記アミノ酸配列を含む、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項60】
配列番号:2に記載されている前記アミノ酸配列を含む、請求項59に記載の単離されたトキシン。
【請求項61】
配列番号:12に記載されている前記アミノ酸配列を含む、請求項59に記載の単離されたトキシン。
【請求項62】
配列番号:33に記載されている前記アミノ酸配列を含む、請求項59に記載の単離されたトキシン。
【請求項63】
前記トキシンが、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項64】
前記トキシンが、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で配列番号:1のヌクレオチド1981−2367にハイブリダイゼーションし、65℃で0.1xSSC、0.1%SDSにより洗浄したコンプリメントを有するヌクレオチド配列と同義であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項65】
前記トキシンは、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と少なくとも75%が同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項66】
前記トキシンは、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と少なくとも85%が同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項67】
前記トキシンは、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と少なくとも95%が同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項68】
前記トキシンは、配列番号:1のヌクレオチド1981−2367と少なくとも99%が同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項69】
前記トキシンは、配列番号:1又は配列番号:3のヌクレオチド1981−2367を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項70】
前記トキシンは、配列番号:1と配列が少なくとも93%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項71】
前記トキシンは、配列番号:1と配列が少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項72】
前記トキシンは、配列番号:1と配列が少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項73】
前記トキシンが、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:11、配列番号:32又は配列番号:34に記載されている前記ヌクレオチド配列を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項74】
前記トキシンが、配列番号:1を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項73に記載の単離されたトキシン。
【請求項75】
前記トキシンが、配列番号:3を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項73に記載の単離されたトキシン。
【請求項76】
前記トキシンが、配列番号:11を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項73に記載の単離されたトキシン。
【請求項77】
前記トキシンが、配列番号:32を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項73に記載の単離されたトキシン。
【請求項78】
前記トキシンが、配列番号:34を含む核酸分子の発現により産生されたものである、請求項73に記載の単離されたトキシン。
【請求項79】
前記トキシンが、鱗翅類昆虫に対して活性を有している、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項80】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項79に記載の単離されたトキシン。
【請求項81】
前記トキシンが、受託番号B−30556のNRRLと命名されているC1674及び受託番号B−30557のNRRLと命名されているC536からなる群から選択されたBacillus thuringiensis(バチルスチューリンゲンシス)株により産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項82】
前記トキシンが、受託番号B−30556のNRRLと命名されているBacillus thuringiensis株C1674により産生されたものである、請求項81に記載の単離されたトキシン。
【請求項83】
前記トキシンが、受託番号B−30557のNRRLと命名されているBacillus thuringiensis株C536により産生されたものである、請求項81に記載の単離されたトキシン。
【請求項84】
前記トキシンが、受託番号B−30553のNRRLと命名されているpNOV3910、受託番号B−30552のNRRLと命名されているpNOV3911、受託番号B−30555のNRRLと命名されているpNOV3906、受託番号B−30554のNRRLと命名されているpNOV3905及び受託番号B−30551のNRRLと命名されているpNOV3912からなる群から選択された大腸菌(E.coli)クローンにより産生されたものである、請求項49に記載の単離されたトキシン。
【請求項85】
前記トキシンが、受託番号B−30553のNRRLと命名されている前記E.coliクローンにより産生されたものである、請求項84に記載の単離されたトキシン。
【請求項86】
前記トキシンが、受託番号B−30552のNRRLと命名されている前記E.coli株により産生されたものである、請求項84に記載の単離されたトキシン。
【請求項87】
前記トキシンが、受託番号B−30555のNRRLと命名されている前記E.coliクローンにより産生されたものである、請求項84に記載の単離されたトキシン。
【請求項88】
前記トキシンが、受託番号B−30554のNRRLと命名されている前記E.coliクローンにより産生されたものである、請求項84に記載の単離されたトキシン。
【請求項89】
前記トキシンが、受託番号B−30551のNRRLと命名されている前記E.coliクローンにより産生されたものである、請求項84に記載の単離されたトキシン。
【請求項90】
昆虫防除に有効な量の請求項49に記載のトキシンを含む組成物。
【請求項91】
(a)請求項41に記載のトランスジェニック宿主細胞を得る工程と、
(b)前記トランスジェニック宿主細胞を、前記トキシンが産生できる条件下で培養する工程と、
(c)前記トキシンを回収する工程と、
を含む、昆虫に対して活性であるトキシンを産生する方法。
【請求項92】
請求項1に記載の前記核酸分子を植物細胞に導入する工程と、前記植物細胞から形質転換した植物を再生する工程とを含み、前記形質転換植物が耐昆虫性のものである、耐昆虫性トランスジェニック植物の産生方法。
【請求項93】
前記昆虫が、鱗翅類昆虫である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記昆虫に対して、請求項49に記載のトキシンの有効量を供給することを含む、昆虫防除方法。
【請求項96】
前記昆虫が、鱗翅類昆虫である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記トキシンを、前記昆虫に経口的に供給する、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
請求項1に記載の前記核酸分子をトウモロコシ細胞に導入する工程と、安定的に形質転換されたトウモロコシ植物を再生させる工程とを含み、前記形質転換トウモロコシ植物が、少なくとも一種の害虫からトウモロコシ植物を保護するのに十分な量の殺虫トキシンを産生する、少なくとも一種の害虫からトウモロコシ植物を保護する方法。
【請求項100】
ハイブリッドトキシンが、請求項1に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされている、昆虫に対して活性なハイブリッドトキシン。
【請求項101】
前記昆虫が、鱗翅類昆虫である、請求項100に記載のハイブリッドトキシン。
【請求項102】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項101に記載のハイブリッドトキシン。
【請求項103】
前記ハイブリッドトキシンが、配列番号:10に記載されている前記ヌクレオチド配列によりコードされている、請求項100に記載のハイブリッドトキシン。
【請求項104】
殺虫に有効な量の請求項100に記載の前記ハイブリッドトキシンを含む組成物。
【請求項105】
(a)請求項41に記載のトランスジェニック宿主細胞を得る工程と、
(b)前記トランスジェニック宿主細胞を前記ハイブリッドトキシンが産生できる条件下で培養する工程と、
(c)前記ハイブリッドトキシンを回収する工程と、
を含む、昆虫に対して活性なハイブリッドトキシンを産生する方法。
【請求項106】
請求項1に記載の前記核酸分子を植物細胞に導入する工程と、前記植物細胞から形質転換した植物を再生する工程とを含み、前記形質転換植物がハイブリッドトキシンを産生し且つ耐昆虫性である、耐昆虫性トランスジェニック植物の産生方法。
【請求項107】
前記昆虫が、鱗翅類昆虫である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記昆虫に対して、有効量の請求項100に記載のハイブリッドトキシンを供給することを含む、昆虫防除方法。
【請求項110】
前記昆虫が、鱗翅類昆虫である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記ハイブリッドトキシンを、前記昆虫に経口的に供給する、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
Vip3トキシンのカルボキシ末端領域を、アミノからカルボキシ方向において、異なるVip3トキシンのアミノ末端領域に接合して含む、昆虫に対して活性なハイブリッドトキシンにおいて、前記カルボキシ末端領域が、配列番号:2のアミノ酸661−788と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含み、且つ前記アミノ末端領域が配列番号:6のアミノ酸1−660と少なくとも85%同一である、ハイブリッドトキシン。
【請求項114】
前記カルボキシ末端領域が配列番号:2のアミノ酸661−788を含み、且つ前記アミノ末端領域が配列番号:6のアミノ酸1−660を含む、請求項113に記載のハイブリッドトキシン。
【請求項115】
前記ハイブリッドトキシンが、配列番号:12のアミノ酸1−788を含む、請求項113に記載のハイブリッドトキシン。
【請求項116】
前記昆虫に対して、有効量の請求項113に記載のハイブリッドトキシンを供給することを含む、昆虫防除方法。
【請求項117】
前記昆虫が、鱗翅類昆虫である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記鱗翅類昆虫が、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)、Agrotis ipsilon(タマナヤガ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Heliothis virescens(タバコガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Cochyles hospes(ホソハマキガ)及びHomoeosoma electellum(ヒマワリヘッドモス)からなる群から選択されたものである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
請求項113に記載の前記ハイブリッドトキシンをコードしているヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
【請求項120】
a)配列番号:8を含むか、又は
b)配列番号:9に記載の前記アミノ酸配列をコードする、
ヌクレオチド配列を含む、単離されたvip3核酸分子。

【公表番号】特表2006−500908(P2006−500908A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−573942(P2003−573942)
【出願日】平成15年2月20日(2003.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/004735
【国際公開番号】WO2003/075655
【国際公開日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】