説明

新規のピロロジヒドロイソキノリン

本発明は、細胞性(過剰)増殖の効果的なインヒビター及び/又は癌細胞におけるアポトーシスのインデューサーである新規のピロロジヒドロイソキノリン誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物の製造のための医薬品工業で使用できる新規のピロロジヒドロイソキノリン誘導体に関する。
【0002】
公知の背景技術
癌化学療法は、アルキル化剤であるシクロホスファミド(Endoxan(登録商標))、腫瘍に選択的に活性化されたオキサザホスホリンプロドラッグで確立された。シクロホスファミドのようなアルキル化剤の標的はDNAであり、そして増殖の制御が不能でありかつ高い分裂指数を有する癌細胞を選択的に死滅させるという概念は非常に好結果をもたらすことが判明した。標準的な癌化学療法薬は、基本的な細胞プロセスと分子とを標的とすることによってプログラムされた細胞死("アポトーシス")の誘導により癌細胞を死滅させる。これらの基本的な細胞プロセスと分子には、RNA/DNA(アルキル化剤及びカルバミル化剤、プラチン類似体及びトポイソメラーゼインヒビター)、物質代謝(これらの種類の薬剤はアンチメタボライトと呼ばれ、例は葉酸、プリンとピリミジンのアンタゴニストである)並びに必須成分としてαβ−チューブリンヘテロダイマーを有する有糸分裂紡錘体装置(これらの薬剤は、安定化及び脱安定化をするチューブリンインヒビターに分類され、例はタキソール/パクリタキセル(登録商標)、ドセタキセル/タキソテレ(登録商標)及びビンカアルカロイドである)が含まれる。
【0003】
国際出願WO02/48144号、WO03/014115号、WO03/014116号、WO03/014117号及びWO03/051877号は、PDE10阻害活性を有するピロロジヒドロイソキノリン誘導体を開示している。米国特許US5965575号は、5HT1Bアンタゴニストとしてピロロジヒドロイソキノリン誘導体を開示している。国際出願WO2005/003130号は、細胞(過剰)増殖の効果的なインヒビター及び/又は癌細胞におけるアポトーシスのインデューサーであるピロロジヒドロイソキノリン誘導体に関する文献である。国際出願WO98/55118号は、窒素複素環式の芳香族誘導体を上皮組織の疾病の局所治療において用いる使用を記載している。
【0004】
発明の開示
ここで、以下に非常に詳細に記載されるピロロイソキノリン誘導体が、先行技術の化合物とは予想しない構造的特徴の点で異なり、かつ意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。
【0005】
より詳細には、このように例えば、予想外かつ予期しないことに、以下に非常に詳細に記載されるピロロジヒドロイソキノリン誘導体が、細胞増殖の強力かつ非常に効果的なインヒビター及び癌細胞におけるアポトーシスのインデューサーであることが判明した。従って、いまだ予期せぬことに、これらのピロロジヒドロイソキノリン誘導体は、アポトーシス、特に癌におけるアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖疾病及び/又は疾患を治療するのに有用となりうる。
【0006】
本願では、更により意想外な詳細において、以下により詳細に記載するピロロジヒドロイソキノリン誘導体が、その本来の特性がPDE10の阻害であるピロロジヒドロイソキノリンの一般的なクラスとは、関心が持たれる有用な特性、例えば上述の特性、すなわち、例えばアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患を治療するために特に関心が持たれる細胞(過剰)増殖の阻害及び癌細胞におけるアポトーシスの誘導の点で傑出していることが特に判明した。
【0007】
従って、本発明は、式I
【化1】

[式中、
R1は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、水素、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシであり、
R3は、水素又はC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R2及びR3は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成するか、又は
R2及びR3は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成するか、又は
R1及びR2は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成し、かつR3は、水素であるか、又は
R1及びR2は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成し、かつR3は、水素であり、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C6−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、フェニル、ナフチル、Har、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニル又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、ピロロイソキノリン骨格に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、単環式もしくは縮合二環式の5員ないし10員の部分的にもしくは完全に芳香族の複素環式の環基であり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシ、カルバモイル、テトラゾリル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル、アリール、アリールオキシ又は−N(H)S(O)2−N(R712)R713−であり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R712は、C1〜C4−アルキルであり、
R713は、C1〜C4−アルキルであるか、又は
R712及びR713は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、基Hetを形成し、その際、
Hetは、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル又はモルホリン−4−イルであり、
R72は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R74は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、モルホリノ、カルボキシル、ニトロ、フェニル、フェノキシ、フェニル−C1〜C4−アルキル、アリールスルホニル、C1〜C4−アルキルスルホニル又は−S(O)2−N(R712)R713であり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル又はフェニル−C1〜C4−アルキルである]で示される化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩に関する。
【0008】
1〜C4−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、プロピル、イソプロピル及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0009】
1〜C6−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ヘキシル基、イソヘキシル(4−メチルペンチル)基、ネオヘキシル(3,3−ジメチルブチル)基、ペンチル基、イソペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、エチル基又はメチル基である。
【0010】
1〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0011】
2〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に、2〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、有利にはエトキシ基である。
【0012】
3〜C7−シクロアルコキシは、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及びシクロヘプチルオキシを表し、そのうちシクロプロピルオキシ及びシクロペンチルオキシが強調されるべきである。
【0013】
3〜C7−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを表し、そのうちシクロプロピル及びシクロペンチルが強調されるべきである。
【0014】
3〜C7−シクロアルキルメトキシは、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ及びシクロヘプチルメトキシを表し、そのうちシクロプロピルメトキシ及びシクロペンチルメトキシが強調されるべきである。
【0015】
3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキルは、前記のC1〜C4−アルキル基の1つであって、それが前記のC3〜C7−シクロアルキル基の1つによって置換されている基を表す。挙げられる例は、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルエチル基及びシクロヘキシルメチル基である。
【0016】
完全にもしくは大部分がフッ素置換されたC1〜C4−アルコキシとしては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、ペルフルオロエトキシ基、1,2,2−トリフルオロエトキシ基、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、トリフルオロメトキシ基及び、有利にはジフルオロメトキシ基が挙げられる。この関連での"大部分が"とは、C1〜C4−アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0017】
1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシは、前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つによって置換されている前記のC2〜C4−アルコキシ基の1つを表す。挙げられる例は、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基及び2−イソプロポキシエトキシ基である。
【0018】
1〜C2−アルキレンジオキシは、例えばメチレンジオキシ[−O−CH2−O−]基及びエチレンジオキシ[−O−CH2−CH2−O−]基を表す。
【0019】
完全にもしくは大部分がフッ素置換されたC1〜C2−アルキレンジオキシ架橋としては、例えばジフルオロメチレンジオキシ[−O−CF2−O−]基が挙げられる。この関連での"大部分が"とは、C1〜C4−アルキレンジオキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0020】
フェニル−C1〜C4−アルキルは、フェニル基によって置換されている前記のC1〜C4−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、フェネチル基及びベンジル基である。
【0021】
1〜C4−アルコキシカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基である。
【0022】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、ヨウ素及び、特に臭素、塩素及びフッ素である。
【0023】
窒素原子の他に、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ基は前記のC1〜C4−アルキル基の1つ又は2つを含有する。ジ−C1〜C4−アルキルアミノが強調されるべきであり、かつ本願では特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ及びジイソプロピルアミノである。
【0024】
1〜C4−アルキルスルホニルは、スルホニル基であって、そこに前記のC1〜C4−アルキル基の1つが結合されている基である。一例はメタンスルホニル基(CH3SO2−)である。
【0025】
1〜C4−アルキルスルホニルアミノは、前記のC1〜C4−アルキルスルホニル基の1つにより置換されているアミノ基を表す。一例はメタンスルホニルアミノ基(CH3SO2NH−)である。
【0026】
他の基又は残基の一部を形成するものを含めて本願で呼称されるアリール基には、フェニル基又はR711で置換されたフェニル基が含まれる。
【0027】
アルコキシは、フェノキシ又はR711で置換されたフェノキシを表す。
【0028】
モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル基はカルボニル基の他に、前記のモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ基の1つを含有する。挙げられる例は、N−メチルアミノカルボニル基、N,N−ジメチルアミノカルボニル基、N−エチルアミノカルボニル基、N−プロピルアミノカルボニル基、N,N−ジエチルアミノカルボニル基及びN−イソプロピルアミノカルボニル基である。
【0029】
Harは、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個の、特に1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式もしくは縮合二環式の5員ないし10員の部分的にもしくは完全に芳香族の複素環式の環又は環系を指す。Har基は、環炭素原子を介して隣接するピロロイソキノリン骨格に結合されている。
【0030】
一実施態様(実施態様a)においては、Harは、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、単環式の5員の完全に芳香族のヘテロアリール基を指す。
【0031】
実施態様aによるHar基の例は、これらに制限されないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル又はオキサジアゾリルを含んでよい。
【0032】
もう一つの実施態様(実施態様b)においては、Harは、1又は2個の窒素原子を有する単環式の6員の完全に芳香族のヘテロアリール基を指す。
【0033】
実施態様bによるHar基の例は、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルを含んでよい。
【0034】
挙げるに値する実施態様aによるHar基は、ピリジニル、例えばピリジン−4−イルである。
【0035】
もう一つの実施態様(実施態様c)においては、Harは、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個の、特に1〜3個の、殊に1又は2個のヘテロ原子を有する、縮合二環式の9員又は10員の完全に芳香族のヘテロアリール基を指す。
【0036】
実施態様cによるHar基の例は、これらに制限されないが、実施態様a又はbで前記に例示して挙げたHar基のベンゾ縮合された類似体、例えばキナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キノリル、イソキノリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル又はベンゾイミダゾリル又はナフチリジニル、フタラジニル、イミダゾピリジニル、プリニル、プテリジニル又はイミダゾピリダジニルを含んでよい。
【0037】
実施態様cによるベンゼン環を有するHar基は、親分子基に、ヘテロ原子含有環又はベンゼン環の任意の環炭素原子を介して結合されていてよい。
【0038】
挙げるに値する実施態様bによるHar基は、インドリル、ベンゾチオフェニル又はキノリニル、例えばインドール−3−イル、ベンゾチオフェン−3−イル又はキノリン−4−イルである。
【0039】
もう一つの実施態様(実施態様d)においては、Harは、第一の構成成分と、該第一の構成成分に縮合された第二の構成成分とから成る二環式の部分的に芳香族の複素環式の基であって、前記第一の構成成分が、窒素、酸素及び硫黄から無関係に選択される1又は2個のヘテロ原子を有する5員又は6員の単環式の完全飽和の複素環式の環であり、かつ前記第二の構成成分が、ベンゼン環である基を指し、その際、前記のHar環系は、親分子基に、ベンゼン部の任意の環炭素原子を介して結合されている。
【0040】
実施態様dによるHar基の例は、これらに制限されないが、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル又はクロマニルを含んでよい。
【0041】
もう一つの実施態様(実施態様e)においては、Harは、実施態様a又はbによる任意の窒素含有のヘテロアリール環の安定なN−オキシド誘導体、特に任意のイミノ型の窒素(=N−)を有するヘテロアリール環の安定なN−オキシド誘導体を指す。
【0042】
実施態様dによるHar基の例は、これに制限されないが、N−オキシ−ピリジニルを含んでよい。
【0043】
特に挙げるに値する実施態様cによるHar基は、1N−オキシ−ピリジン−4−イルである。ナフチルは、ナフタレン−1−イル及びナフタレン−2−イルを含む。
【0044】
用語Harは、そのすべての可能な異性体形を含み、特にその位置異性体を含む。このように、例えばピリジニル又はピリジルは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル及びピリジン−4−イルを含む。
【0045】
本願に記載のように置換された成分は、特に記載がない限り任意の可能な位置で置換されていてよい。
【0046】
置換基R1、R2及び/又はR3は、特に記載がない限り、ピロロジヒドロイソキノリン環のベンゾ環部の任意の位置に結合されていてよい。
【0047】
Harは、本願に挙げたその置換基によって、任意の可能な位置で、例えば任意の置換可能な環炭素原子又は環窒素原子で置換されていてよい。
【0048】
イミノ型の環窒素原子(−N=)を有するHar環は、有利には、これらのイミノ型の環窒素原子上で前記の置換基によって置換(すなわち第4級化)されていなくてよい。
【0049】
任意の置換基が任意の成分中に1回以上存在する場合には、各定義は無関係である。
【0050】
式Iの化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される薬理学的に認容性の無機及び有機の酸及び塩基のそれが特に挙げられる。これらの好適なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水不溶性の酸付加塩、特に水溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0051】
他方で、置換によっては塩基との塩も適当である。塩基との塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0052】
本発明による式Iの化合物の工業的規模での製造の間に、例えばプロセス生成物として得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0053】
専門知識によれば、本発明の式Iの化合物並びにそれらの塩は、例えば結晶形で単離された場合に、種々の量の溶剤を含有してよい。従って本発明の範囲内では、式Iの化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式Iの化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物が包含される。
【0054】
置換に応じて、式Iの化合物は、単結合の周りの回転を妨げるため、例えばキラル中心及び/又はキラル軸を有するキラル化合物であってよい。キラル軸は、特に本発明による化合物中に存在してよく、その際、R7は単環式の環がピロロ[2.1−a]イソキノリン環系に結合される結合位置に対してオルト位で置換されている二環式の環又は単環式の環である。キラル中心は、例えばR4及びR41の意味に応じて、ピロロ[2,1−a]イソキノリン骨格の6位に位置することができる。従って本発明は、例えば全ての考えられる純粋なジアステレオマー及び純粋なエナンチオマー及び任意の混合比でのその混合物、例えばラセミ体並びにそれらの塩である。ジアステレオマー混合物は、標準的方法、例えばクロマトグラフィー法によって個々の異性体に分割できる。エナンチオマーは公知のように分割できる(例えばキラル相でのクロマトグラフィー又は分割によって)。
【0055】
従って、例えば、純粋な(6R)−エナンチオマー及び純粋な(6S)−エナンチオマー並びに任意の混合比でのそれらの混合物、例えばラセミ体並びにそれらの塩は、本発明の一部を成す。
【0056】
本発明の文脈では、過剰増殖及び類似の用語は、異常型/調節不全型の細胞増殖、つまり癌のような疾病の顕著な特徴を説明するために使用される。この過剰増殖は、各々の細胞における単細胞性又は多細胞性の/分子性の変化によってもたらされ、かつ生物全体に関しては、良性又は悪性の性質であってよい。細胞増殖の阻害及び類似の用語は、化合物の能力であってその化合物と接触した細胞の増殖を、その化合物と接触していない細胞と比較して遅延及び/又は死滅させる能力を示すために使用される。この細胞増殖の最も好ましい阻害は100%であり、これはつまり全ての細胞の増殖が停止する及び/又は細胞がプログラムされた細胞死/アポトーシスを受けることを意味する。幾つかの有利な実施態様では、接触される細胞は、新生細胞である。新生細胞は、異常型の細胞増殖を伴う細胞として定義される。良性の新生物は、細胞の増殖であって、それが進行性で転移性の腫瘍をインビボで形成できないこととして説明される。それに対して、悪性の新生物は、細胞が種々異なる細胞性及び生化学的な異常性を有し、例えば腫瘍転移を形成しうることとして説明される。悪性の新生細胞の後天的な機能的な異常性("癌の顕著な特徴"としても定義される)は、複製能力("過剰増殖")、増殖シグナル、抗増殖シグナルに対する感受性における自足、アポトーシスからの回避、持続的な血管形成及び組織侵襲及び転移である。
【0057】
アポトーシスの誘導及び類似の用語は、接触した細胞においてプログラムされた細胞死が引き起こされる化合物を特定するのに使用される。アポトーシスは、接触した細胞内での複雑な生化学的事象、例えばシステイン特異的プロテイナーゼ("カスパーゼ")の活性化及びクロマチンの断片化によって定義される。該化合物と接触した細胞におけるアポトーシスの誘導は、必ずしも細胞増殖の阻害と結びつかない。有利には、細胞増殖の阻害及び/又はアポトーシスの誘導は、異常型の細胞増殖(過剰増殖)を伴う細胞に特異的である。このように、異常型の細胞増殖を伴う細胞と比較すると、正常な増殖細胞又は停止細胞は、化合物の増殖阻害活性又はアポトーシス誘導活性に対して感受性が低いか又は更には非感受性である。最後に、細胞毒性とは、種々の機構、例えば細胞周期に依存して又は細胞周期に依存せずに、アポトーシス/プログラムされた細胞死の誘導によって細胞を死滅させる化合物を同定するために、より一般的な範囲で使用される。
【0058】
より挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、その式中、
R1は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、水素、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシであり、
R3は、水素又はC1〜C4−アルコキシであり、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C6−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、フェニル、ナフチル、Har、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニル又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、ピロロイソキノリン骨格に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、単環式もしくは縮合二環式の5員ないし10員の部分的にもしくは完全に芳香族の複素環式の環基であり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、カルバモイル又はアリールであり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R72は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R74は、C1〜C4−アルキルであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル又はフェニル−C1〜C4−アルキルである、化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩である。
【0059】
特に挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、その式中、
R1は、ニトロ、アミノ、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1は、C1〜C4−アルコキシ又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、ハロゲンであるか
のいずれかであり、
R3は、水素であり、その際、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されておらず、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C6−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、ナフチル、Har、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニル又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、
窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する単環式の5員のヘテロアリール基か、又は
1又は2個の窒素原子を有する単環式の6員のヘテロアリール基か、又は
窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリールか、又は
N−オキシ−ピリジル
のいずれかであり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、カルバモイル又はアリールであり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R72は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R74は、C1〜C4−アルキルであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル又はC3〜C7−シクロアルキルである、化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩である。
【0060】
より特に挙げるに値する本発明による化合物は、式Iで示され、その式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1は、C1〜C4−アルコキシ又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、フッ素又は塩素であるか
のいずれかであり、
R3は、水素であり、その際、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されておらず、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C4−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、ナフチル、Har又は、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニルであり、その際、
Harは、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリール基であり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ジ−C1〜C4−アルキルアミノ又はアリールであり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R72は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル又はC3〜C5−シクロアルキルである、化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩である。
【0061】
強調されるべき本発明による化合物は、式Iで示され、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ、C1〜C2−アルコキシ−C2〜C3−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C2−アルコキシであるか、又は
R1は、C1〜C2−アルコキシであり、かつ
R2は、フッ素又は塩素であるか
のいずれかであり、
R3は、水素であり、その際、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されておらず、
R4は、水素又はメチルであり、
R41は、水素又はメチルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、メチルであり、
R7は、
ナフチル、例えばナフタレン−1−イルか、又は
ジメチルアミノ−フェニル、例えば3−ジメチルアミノ−フェニルか、又は
4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルか、又は
2−フルオロ−3,4−ジメトキシ−フェニルか、又は
3,4,5−トリメトキシ−フェニルか、又は
1,1′−ビフェン−4−イルか、又は
Har
のいずれかであり、その際、
Harは、ベンゼン環と、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子とを有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリール、例えばインドリル、ベンゾチオフェニル又はキノリニル、例えばインドール−3−イル、ベンゾチオフェン−3−イル又はキノリン−4−イルであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル、特にC1〜C2−アルキル又はシクロプロピルである、化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩である。
【0062】
本発明による化合物の例としては、以下の式Ia
【化2】

[式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、3−ジメチルアミノ−フェニルである]で示される化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0063】
本発明による化合物の更なる例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、キノリン−4−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0064】
本発明による化合物の更なる例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、インドール−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0065】
本発明による化合物の更なる例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾフラン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0066】
本発明による化合物の更なる例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾチオフェン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0067】
本発明による化合物の更なる例としては、以下の式Ib
【化3】

[式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、3−ジメチルアミノ−フェニルである]で示される化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41、R7及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0068】
本発明による化合物の更なる例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、キノリン−4−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0069】
本発明による化合物の更なる例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、インドール−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0070】
本発明による化合物の更なる例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾフラン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0071】
本発明による化合物の更なる例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾチオフェン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第1表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0072】
本発明による化合物の他の例としては、以下の式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、3−ジメチルアミノ−フェニルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0073】
本発明による化合物の他の例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、キノリン−4−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0074】
本発明による化合物の他の例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、インドール−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0075】
本発明による化合物の他の例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾフラン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0076】
本発明による化合物の他の例としては、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾチオフェン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0077】
本発明による化合物の他の例としては、以下の式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、3−ジメチルアミノ−フェニルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41、R7及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0078】
本発明による化合物の他の例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、キノリン−4−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0079】
本発明による化合物の他の例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、インドール−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0080】
本発明による化合物の他の例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾフラン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0081】
本発明による化合物の他の例としては、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、かつ
R6は、メチルであり、
R7は、ベンゾチオフェン−3−イルである化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩を、以下に示される第2表におけるR1、R2、R3、R4、R41及びR8についての置換基の意味によって挙げることができる。
【0082】
第1表:
【表1】

【0083】
第2表:
【表2】

【0084】
本発明による化合物の例は、特にこれらに制限されないが、
1−[2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−プロパン−1−オン、
1−[2−(2−フルオロ−3,5−ジメチル−フェニル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−プロパン−1−オン、
1−(2−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル)−プロパン−1−オン、
1−[2−(1H−インドール−3−イル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−プロパン−1−オン、
1−(2−ビフェニル−4−イル−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル)−プロパン−1−オン、
1−シクロプロピル−1−[2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−メタノン
から選択される任意の化合物及びそれらの塩、立体異性体及びそれらの立体異性体の塩を含んでよい。
【0085】
本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、本発明の範囲内で、以下の特定の実施態様の1つ、又は可能であれば、それより多くの組合せにより包含される本発明による化合物を指す:
本発明による化合物の特定の一実施態様(実施態様1)は、式Iで示され、その式中、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されていない化合物を指す。
【0086】
【化4】

【0087】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様2)は、式Iで示され、その式中、
R1及びR2のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の7位又は10位に結合されておらず、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0088】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様3)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ塩素、2−メトキシ−エトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシであるか、又は
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ塩素、フッ素、ニトロ、メチル、アミノ又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシであるか
のいずれかであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0089】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様4)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ塩素、2−メトキシ−エトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシであるか、又は
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ塩素、フッ素又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシであるか
のいずれかであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0090】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様5)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0091】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様6)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0092】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様7)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつエトキシであり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0093】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様8)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつジフルオロメトキシであり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0094】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様9)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつジフルオロメトキシであり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0095】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様10)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、例えば2−メトキシエトキシであり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0096】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様11)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつハロゲン、例えばフッ素又は塩素であり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0097】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様12)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつハロゲン、例えばフッ素又は塩素であり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、水素である化合物を指す。
【0098】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様13)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の7位に結合されており、かつハロゲン、例えばフッ素又は塩素であり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシである化合物を指す。
【0099】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様14)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の7位に結合されており、かつメトキシであり、
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、かつ
R3は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシである化合物を指す。
【0100】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様15)は、式Iで示され、その式中、
R4は、水素であり、かつ
R41は、水素である化合物を指す。
【0101】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様16)は、式Iで示され、その式中、
R4は、水素又はメチルであり、かつ
R41は、メチルである化合物を指す。
【0102】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様17)は、式Iで示され、その式中、
R6は、メチルである化合物を指す。
【0103】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様18)は、式Iで示され、その式中、
R7は、Har又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、ベンゼン環と、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子とを有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリール、例えばキノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾフラニル又はベンゾチオフェニルである化合物を指す。
【0104】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様19)は、式Iで示され、その式中、
R7は、ナフチル、キノリニル、ベンゾチオフェニル又はインドリル、例えばナフタレン−1−イル、キノリン−4−イル、ベンゾチオフェン−3−イル又はインドール−3−イルである化合物を指す。
【0105】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様20)は、式Iで示され、その式中、
R7は、3−ジメチルアミノ−フェニル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル又は1,1′−ビフェン−4−イルである化合物を指す。
【0106】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様21)は、式Iで示され、その式中、
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0107】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様22)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0108】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様23)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ塩素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0109】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様24)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつフッ素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0110】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様25)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0111】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様26)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ2−メトキシエトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0112】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様27)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0113】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様28)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ塩素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0114】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様29)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつフッ素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0115】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様30)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0116】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様31)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ2−メトキシエトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、エチルカルボニルである化合物を指す。
【0117】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様32)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0118】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様33)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ塩素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0119】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様34)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつフッ素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0120】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様35)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0121】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様36)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ2−メトキシエトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0122】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様37)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0123】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様38)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ塩素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0124】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様39)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつフッ素であり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0125】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様40)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0126】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様41)は、式Iで示され、その式中、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ2−メトキシエトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R3、R4、R41、R5、R51は、全て水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R8は、シクロプロピルカルボニルである化合物を指す。
【0127】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様42)は、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4及びR41は、前記に示した第1表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0128】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様43)は、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4及びR41は、前記に示した第1表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0129】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様44)は、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4及びR41は、前記に示した第2表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0130】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様45)は、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4及びR41は、前記に示した第2表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0131】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様46)は、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4、R41及びR8は、前記に示した第1表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0132】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様47)は、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4、R41及びR8は、前記に示した第1表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0133】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様48)は、式Iaで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4、R41及びR8は、前記に示した第2表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0134】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様49)は、式Ibで示され、その式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4、R41及びR8は、前記に示した第2表に示される意味のいずれかを有する化合物を指す。
【0135】
本発明は、前に定義した特定の実施態様の任意の又は全ての可能な組み合わせ及び部分集合をも含むと解されるべきである。
【0136】
本発明による化合物は、例えば公知のように、又は以下に記載され示されるように、又はWO02/48144号、WO03/014115号、WO03/014116号、WO03/014117号又はWO03/051877号(これらは参照をもって本願に開示されたものとする)に記載されるように、又は以下の実施例に例示されるように、又はそれと同様に又は類似に製造することができる。
【0137】
【化5】

【0138】
前記の反応式に示されるように、式VIIIで示され、その式中のR1、R2、R3、R4、R41、R5及びR51が前記の意味を有する化合物を、式VIIで示され、その式中のR8が前記の意味を有し、かつLが好適な離脱基、例えば塩素又はアシルオキシ基(例えばR8−CH2−C(O)−基)である化合物と反応させて、好適な有機塩基又は無機塩基の存在下に相応の式VIの化合物が得られる。
【0139】
選択的に、式VIの化合物はまた、式VIIIで示され、その式中のR1、R2、R3、R4、R41、R5及びR51が前記の意味を有する化合物及び式VIIで示され、その式中のR8が前記の意味を有し、かつLがヒドロキシルである化合物から、当業者に公知のアミド結合架橋試薬との反応によって得ることができる。当業者に公知のアミド結合架橋試薬の挙げられる例は、カルボジイミド(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド又は、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、アゾジカルボン酸誘導体(例えばジエチルアゾジカルボキシレート)、ウロニウム塩[例えばO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート又はO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]及びN,N’−カルボニルジイミダゾールである。本発明の範囲において、有利なアミド結合架橋試薬はウロニウム塩及び、有利にはカルボジイミド、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
【0140】
前記の反応は、当業者に公知の条件下に、又は以下の実施例に例示するような条件下に実施される。
【0141】
後続の工程に示されるように、式IVで示され、その式中のR1、R2、R3、R4、R41、R5、R51及びR8が前記の意味を有する化合物は、式VIの相応の化合物の縮合環化によって得ることができる。前記の環状縮合は、当業者に自体公知のように又は以下の実施例に例として記載されるように、Bischler−Napieralski(例えばJ.Chem.Soc.,1956,4280−4282に記載されるように)に従って適当な縮合剤又は脱水剤、例えばポリリン酸、五塩化リン、五酸化リン又はオキシ塩化リンの存在下に、適当な不活性溶剤、例えば塩素化炭化水素、例えばクロロホルム中で又は環状炭化水素、例えばトルエン又はキシレン中で、又は別の不活性溶剤、例えばアセトニトリル中で、又は更なる溶剤を使用せず、過剰の縮合剤を使用して、低減された温度で、又は室温で、又は高められた温度で、又は使用される溶剤又は縮合剤の沸点で実施される。
【0142】
式IVの化合物は、式IIで示され、その式中のR7が前記の意味を有する化合物及び式IIIで示され、その式中のR6がC1〜C6−アルキル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルによって置換されたC1〜C4−アルキルである化合物か、又は式Vで示され、その式中のR7が前記の意味を有し、かつR6がC1〜C6−アルキル又はC1〜C4−アルコキシカルボニルによって置換されたC1〜C4−アルキルである化合物のいずれかによって、場合によりワンポット合成において、かつ適宜無機塩基又は雪塩基(特に乾式アミン、例えばピペリジン)の存在下に相応の式Iの化合物に変換される。
【0143】
前記の変換は、当業者に公知のように、又は以下の実施例に記載のように、又はそれらと同様に又は類似に実施することができる。
【0144】
式VIII、VII、III及びIIの化合物は市販されているか、又は以下の実施例に記載されるように又は当業者に公知のようにその専門知識及び/又は文献から、又はそれと同様にもしくは類似に得ることができる。従って、例えば式VIIIの化合物は、相応のベンゾアルデヒド又はアセトフェノンから出発して、ニトロメタンを用いたヘンリー反応と、それに引き続くニトロ基と二重結合の還元とによって当業者に自体慣用のようにして(例えばLiAlH4を使用して、例えばZhurnal Organicheskoi Khimii,1989,25(7),1477−82又はJ.Org.Chem.2005,70(14),5519−27を参照)、又はJ.Med.Chem.1987,30(10),1914−1918に記載される順序と同様にして得ることができる。
【0145】
上述のベンゾアルデヒド及びアセトフェノンは、公知であるか、又は公知の手順と同様にして又は以下の実施例に記載されるようにして得ることができる。
【0146】
式Vの化合物は公知であるか、又は式IIの化合物と式IIIの化合物とを好適な有機塩基又は無機塩基の存在下に当業者に自体慣用のように反応させることによって得られる。
【0147】
得られた式Iの化合物は当業者に公知の方法によって更なる式Iの化合物に変換できる。殊に、例えば式Iで示され、
a)R61又はR71又はR74がエステル基である化合物から、相応の酸を、酸性加水分解又は、特にアルカリ性加水分解によって得ることができる。
b)R6がC1〜C4−アルコキシカルボニルによって置換されたC1〜C4−アルキルである化合物から、酸化及びエステル化によって得ることができ、例えばヒドロキシルによって置換された好適なC1〜C4−アルキルから得ることができ、それらはC1〜C4−アルキルから酸化によって又は塩素によって置換されたC1〜C4−アルキルからヒドロキシル化によって得ることができる(塩素によって置換されたC1〜C4−アルキルは、C1〜C4−アルキルから塩素化によって得ることができる)。
【0148】
a)又はb))で挙げられた方法は、適宜、当業者に公知の方法と同様に実施される。
【0149】
場合により式Iの化合物をその塩に変換できるか、又は場合により式Iの化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。相応の方法は、当業者に自体慣習的である。
【0150】
更に当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。多数の証明された保護基の使用のための詳細な記載は、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis"、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons,Inc.1999,3rd Ed)又は"Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)"、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers,2000)で述べられている。
【0151】
本発明による物質の単離及び精製は、自体公知の方法で、例えば真空中で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって行われる。
【0152】
塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、アルカリ性化又は酸性化によって遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまた塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0153】
適宜、本発明に挙げられる転化は、当業者に自体公知の方法と類似して又は同様にして実施することができる。
【0154】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、式Iの化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0155】
また本発明は、本発明による化合物の合成に有用な中間体と方法とに関する。
【0156】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更、誘導、対応及び適合は、本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき、付随する特許請求の範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱しなければなされてよい。
【0157】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に製造方法が明記されていない式Iの他の化合物は、同様に又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造することもできる。
【0158】
実施例において、m.p.は、融点を表し、hは、時間を表し、minは、分を表し、conc.は、濃縮を表し、satd.は、飽和を表し、MSは、質量スペクトルを表し、Mは、分子イオンを表し、他の略語は、当業者に自体慣用の意味を有する。
【0159】
特に記載がない限り、本願に明示された化合物の例がキラル中心を有する場合に、これらはラセミ混合物として概略的に記載するが、本発明をそれらに制限するものではない。従って、純粋なエナンチオマー及びそれらの塩も本発明の一部を成す。
【0160】
実施例で挙げられる式Iの化合物、特に最終化合物として挙げられる式Iの化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩は、本発明の好ましい対象である。
【0161】
実施例
最終生成物
1. 1−[2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−プロパン−1−オン
MeyerによってLiebigs Ann.Chem.1981,9,1534−1544に記載される手順と同様にして、1−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−イリデン)−ブタン−2−オン(化合物A1)と、ニトロエタン及び4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアルデヒドとを反応させて、表題化合物が得られる:
150mg(573マイクロモル)の1−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−イリデン)−ブタン−2−オン(化合物A1)と、172mg(1.14ミリモル)の4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアルデヒドと、82μl(1.14ミリモル)のニトロエタンと、28μl(286マイクロモル)のピリジンとを、2mlのエタノール及び2mlの2−プロパノールの混合物中に入れた混合物を、70℃で20時間撹拌する。溶剤を減圧下で除去する。残留物を、高温の2−プロパノールで洗浄する。130mgの表題化合物が、淡黄色の結晶として得られる。融点:188〜190℃。質量スペクトルは、分子ピークM+Hを420.0Daで示す。
【0162】
以下の実施例(実施例2〜5)は、実施例1と同様にして、1−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−イリデン)−ブタン−2−オン(化合物A1)を出発化合物として使用して製造することができる。使用される全てのアルデヒドは、市販されているか、又は公表された手順と同様にして製造することができる。ニトロプロパン又は4−ニトロ酪酸メチルエステルを、ニトロエタンの代わりに使用すれば、3−エチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン及び3−(8,9−ジメトキシ−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−3−イル)プロピオン酸メチルエステルのそれぞれを得ることができる。
【0163】
2. 1−[2−(2−フルオロ−3,4−ジメチル−フェニル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−プロパン−1−オン
融点:129〜132℃。質量スペクトルは、分子ピークM+Hを454.1Daで示す。
【0164】
3. 1−(2−ベンゾ[b]チオフェン−3−イル−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル)−プロパン−1−オン
融点:181〜183℃。質量スペクトルは、分子ピークM+Hを432.1Daで示す。
【0165】
4. 1−[2−(1H−インドール−3−イル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−プロパン−1−オン
融点:238〜240℃。質量スペクトルは、分子ピークM+Hを415.2Daで示す。
【0166】
5. 1−(2−ビフェニル−4−イル−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル)−プロパン−1−オン
融点:209〜211℃。質量スペクトルは、分子ピークM+Hを452.2Daで示す。
【0167】
6. 1−シクロプロピル−1−[2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−8,9−ジメトキシ−3−メチル−5,6−ジヒドロ−ピロロ[2,1−a]イソキノリン−1−イル]−メタノン
MeyerによってLiebigs Ann.Chem.1981,9,1534−1544に記載される手順と同様にして、1−シクロプロピル−2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−イリデン)−エタノン(化合物A2)と、ニトロエタン及び4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアルデヒドとを反応させて、表題化合物が得られる:融点:分解。質量スペクトルは、分子ピークM+Hを432.0Daで示す。
【0168】
出発化合物
A1. 1−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−イリデン)−ブタン−2−オン
700mg(2.50ミリモル)の3−オキソ−ペンタン酸[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−アミド(化合物B1)を12mlのトルエン中に溶かした溶液を、加熱還流させ、そして2.48g817.5ミリモル)のP25を一回で添加する。15分にわたり加熱還流させた後に、該溶液を室温に冷却する。氷を添加する。室温にまで加温した後に、炭酸カリウムを、溶液がアルカリ性になるまで添加する。該混合物を酢酸エチルで抽出し、そして有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させる。カラムクロマトグラフィーを行った後に、150mgの表題化合物が、淡黄色の固体として得られる。
【0169】
A2. 1−シクロプロピル−2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−イリデン)−エタノン
表題化合物は、Bischler−Napieralski反応(例えばBer.1893,26,1903)によって、3−シクロプロピル−N−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−3−オキソ−プロピオンアミド(化合物B2)を出発材料として使用して、又は化合物A1について記載したのと同様にして得ることができる。
【0170】
B1. 3−オキソ−ペンタン酸[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−アミド
2.68ml(15.9ミリモル9の2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチルアミン(化合物C1)を10mlのトルエン中に0℃で溶かした溶液に、9.95ml(19.9ミリモル)のAlMe3(トルエン中2M溶液)を添加する。氷浴を取り除き、そして該溶液を室温に加温させる。1ml(7.96ミリモル)の3−オキソ−ペンタン酸メチルエステルを10mlのトルエン中に溶かした溶液を、前記反応混合物に添加する。該溶液を、80℃で20時間加熱する。室温に冷却した後に、水酸化ナトリウムの水溶液を、pHが塩基性になるまで添加する。該混合物を酢酸エチルで抽出し、そして有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶剤を減圧下で除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製する。700mgの表題化合物が無色の油状物として得られる。
【0171】
B2. 3−シクロプロピル−N−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−3−オキソ−プロピオンアミド
表題化合物は、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチルアミン(化合物C1)と3−シクロプロピル−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステルとの反応によって化合物B1と同様にして製造することができる。
【0172】
C1. 2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチルアミン
該表題化合物は、市販されている。
【0173】
更なる化合物の製造のための好適な出発化合物は、市販されているか、又は化合物C2〜C4の合成において以下に記載されるようにして又はそれと同様にもしくは類似に製造することができるか、又は公表された手順と同様にして得ることができる、例えば置換された2−フェニルエチルアミンは、相応のベンゾアルデヒドから出発して、標準的手順(またShepard et al.,J.Org.Chem.1952,17,568を参照)によって製造することができる。
【0174】
C2. 2−[4−メトキシ−3−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル)−エチルアミン
2−[4−メトキシ−3−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル)−エチルアミンは、4−メトキシ−3−ヒドロキシベンゾアルデヒドと2−ブロモメチルエチルエーテルとのアルキル化(Ashton他著のJ.Med.Chem.1994,37,1696−1703による手順と同様)に引き続き、Shepard他によってJ.Org.Chem.1952,17,568に記載される順序によって製造することができる。
【0175】
MS(M+H)=226.0
C3. 2−[4−(1,1−ジフルオロメトキシ)−3−メトキシフェニル]−エチルアミン
2−[4−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−3−メトキシ−フェニル]−エチルアミンは、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾアルデヒドとクロロジフルオロメタンとの、Amschler他によって公表された手順(WO97/28131号)ジフルオロメチル化に引き続き、Shepard他によってJ.Org.Chem.1952,17,568に記載される順序によって製造することができる。
【0176】
MS(M+H)=217.6
C4. 2−[3−(1,1−ジフルオロメトキシ)−4−メトキシフェニル]−エチルアミン
2−[3−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−4−メトキシ−フェニル]−エチルアミンは、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾアルデヒドとクロロジフルオロメタンとの、Amschler他によって公表された手順(WO97/28131号)ジフルオロメチル化に引き続き、Shepard他によってJ.Org.Chem.1952,17,568に記載される順序によって製造することができる。
【0177】
MS(M+H)=217.7
C5. (RS)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル−エチルアミン
表題化合物は、相応のアセトフェノン誘導体から出発して、標準的な手順によって、例えばShepard他によってJ.Org.Chem.1952,17,568に又はJ.Med.Chem.1987,30(10)、1914−1918に記載される順序と同様にして製造することができる。
【0178】
産業上利用性
本発明による化合物は、産業上利用を可能にする有用な多岐に亘る薬理学的特性を有する。
【0179】
従って本発明による化合物は、ヒト医学及び獣医学における疾病の治療又は予防のための治療剤として使用できる。
【0180】
このように例えば、より実施態様的な詳細において、本発明による化合物は、強力であり、かつ細胞性の(過剰)増殖の非常に効果的なインヒビター及び/又は癌細胞におけるアポトーシスのインデューサーである。従って、これらの化合物は、アポトーシス、特に癌におけるアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患を治療するのに有用であると考えられる。
【0181】
更に、これらの化合物は、良性又は悪性の新生物の治療において有用でありうる。"新生物"は、異常細胞増殖及び/又は異常細胞生存及び/又は分化の妨害を示す細胞によって定義される。"良性の新生物"は、細胞の増殖であって、それが進行性で転移性の腫瘍をインビボで形成できないこととして説明される。反対に、"悪性の新生物"は、多細胞性かつ生化学的な異常性を有する細胞が、全身性疾病をもたらしうる、例えば離れた器官に腫瘍転移をもたらすこととして説明される。
【0182】
種々の疾病は、際限ない複製能力及び異常な細胞増殖("過剰増殖")並びにアポトーシスからの回避によって引き起こされる。これらの疾病は、例えば前立腺("BPH")又は結腸上皮の発育不全のような良性の発育不全、乾癬、腎炎又は変形性関節症を含む。最も重要には、これらの疾病は、通常は癌として説明され、かつ別の器官又は組織に最終的に転移する腫瘍細胞によって特徴付けられる悪性新生物を含む。悪性の新生物は充実性及び血液学的腫瘍を含む。充実性腫瘍は、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺(例えば甲状腺及び副腎皮質)、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の腫瘍、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎臓、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の腫瘍によって例示される。悪性新生物は、網膜芽腫及びウィルムス腫瘍によって例示される遺伝性癌を含む。更に、悪性新生物は、前記の器官における一次腫瘍と別の器官における相応の二次腫瘍("腫瘍転移")を含む。血液学的腫瘍は、白血病及びリンパ腫の進行性形及び無痛性形、すなわち非ホジキン病、慢性及び急性の骨髄性白血病(CML/AML)、急性のリンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫によって例示される。また骨髄異形成症候群、形質細胞新生物、経産婦腫瘍性症状、未知の原発部位の癌並びにAIDS関連悪性疾患が含まれる。
【0183】
癌疾患並びに悪性新生物は、離れた器官に転移を形成することを必ずしも必要としないことに留意すべきである。一定の腫瘍は、その一次器官にそれらの攻撃的な増殖特性を通じて破壊的な作用を発揮する。これらは、組織及び器官の構造の破壊をもたらし、最終的に器官に割り当てられた機能の不全を引き起こすことがある。
【0184】
腫瘍細胞増殖は、通常の細胞挙動と器官機能をもたらすことがある。例えば新生血管の形成は血管新生として記載される過程であり、これは腫瘍又は腫瘍転移によって誘発される。本発明による化合物は、良性の細胞増殖又は腫瘍細胞増殖によって引き起こされる病態生理学的な関連過程、例えば制限されないが、血管内皮細胞の非生理学的増殖による血管新生の治療のために産業上利用可能である。
【0185】
標準的な癌療法の屡々起こる不具合について、薬剤耐性が特に重要である。この薬剤耐性は、種々の細胞性及び分子性の機構、例えば薬剤流出ポンプの過剰発現又は細胞標的タンパク質内の突然変異によって引き起こされる。本発明による化合物の産業上利用可能性は、患者の第一選択薬試験に制限されるものではない。規定の癌化学療法剤又は標的特異的抗癌剤(第二選択薬試験又は第三選択薬試験)に対する耐性を有する患者は、本発明による化合物での治療のために改めることができる。
【0186】
更に、本発明による化合物は、細胞周期特異的であることが見出され、例えば該化合物は、特に細胞周期のS期("DNA合成")を能動的に通過する連続的に増殖する細胞においてアポトーシスを誘導するが、停止した非分裂細胞においては誘導しない。
【0187】
従って、本発明の化合物は、抗増殖的療法において極めて効果的であり、かつそれらの増殖状態の如何を問わず細胞を標的とする標準的な化学療法薬(例えばシスプラチン、ドキソルビシン)と比較してより高い治療指数を有することが予想される。
【0188】
本発明のもう一つの側面では、本発明による化合物は関心が持たれる特性を示し、該特性のため該化合物はT細胞関連疾病の治療において、免疫系の抑制のために、再狭窄の治療のため、かつ/又は適宜、血管新生の調節のために有用である。
【0189】
更に、本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、そのPDE10阻害能とは無関係に又は相関無くして、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、特に癌に打ち勝つ効力である。
【0190】
本発明による化合物は、前記のような良性及び悪性の挙動の疾病、例えば良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のために産業上利用可能である。
【0191】
本願に挙げられる特性、機能及び有用性の関連において、本発明による化合物は、それらと関連する有用かつ所望の効果、例えば低い毒性、優れた一般的な生物学的利用能(例えば良好な腸内吸収)、優れた治療ウィンドウ、重篤な副作用の不在及び/又はそれらの治療的かつ製剤的な適性に関連する更なる有用な効果の点で卓越していることが見込まれる。
【0192】
更に本発明は、アポトーシスの誘発に反応を示す(過剰)増殖性疾病及び/又は疾患に罹患するヒトを含む哺乳動物を治療するための方法において、それを必要とする前記哺乳動物に薬理学的に有効かつ治療学的に有効かつ認容性の量の本発明による化合物1種以上を投与することを含む方法を含む。
【0193】
更に本発明は、良性又は悪性の腫瘍疾患、例えば癌の治療においてアポトーシス及び/又は異常型の細胞増殖を調節するのに有用な方法において、かかる治療を必要とする被験体に、本発明による化合物の1種以上の薬理学的に有効かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0194】
更に本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のために使用される医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0195】
更に本発明は、本発明による化合物を、良性又は悪性挙動の(過剰)増殖疾病及び/又は哺乳動物におけるアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新生物、例えば癌の治療、予防又は改善において使用できる医薬品組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0196】
更に本発明は、異常な細胞増殖の停止及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患の治療、予防又は改善に使用できる医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0197】
更に本発明は、本発明による化合物を、良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0198】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する医薬品組成物に関する。
【0199】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を組み合わせることでなる医薬組成物に関する。
【0200】
更に本発明は、本発明による化合物と、製剤学的に認容性の賦形剤、担体及び/又は希釈剤とを含有する、良性又は悪性の新生物、特に癌、例えば前記の癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のための組合せ物に関する。
【0201】
更に本発明は、例えば過剰増殖性疾病、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患の治療、予防又は改善のための、本発明による化合物1種以上の治療学的に有効かつ認容性の量を必須とし、それと一緒に通常の製剤学的に認容性のビヒクル、希釈剤及び/又は賦形剤からなる組成物に関する。
【0202】
更に本発明は、良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性疾患及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば前記の疾患、特に癌の治療、予防又は改善における使用のための、本発明による化合物に関する。
【0203】
更に本発明は、抗増殖活性及び/又はアポトーシス誘発活性を有する本発明による化合物に関する。
【0204】
更に本発明は、抗増殖活性を有する本発明による医薬組成物に関する。
【0205】
更に本発明は、アポトーシス誘導活性を有する本発明による医薬組成物に関する。
【0206】
更に本発明は、前記の病気の治療又は予防のための医薬製品の製造における、1種以上の本発明による化合物を単独の有効成分として含有し、かつ製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する医薬品組成物の使用に関する。
【0207】
更に、本発明は、包装材料と、前記包装材料内に含まれる医薬品とを含む製品であって、該医薬品が、細胞性(過剰)増殖の阻害及び/又はアポトーシス誘導の阻害、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾患及び/又は疾病の改善に治療学的に有効であり、かつ該包装材料が、前記医薬品がアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾患及び/又は疾病を治療か、予防か又は改善するのに有用であることを指示するラベル又は添付文書を内包し、かつ前記医薬品が、1種以上の本発明による化合物を含有する製品に関する。包装材料、ラベル及び添付文書は、その他の点で、関連の利用性を有する医薬品のための標準的な包装材料、ラベル及び添付文書として一般に考慮されるものに対応又は類似している。
【0208】
本発明による医薬組成物は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬品組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0209】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤、ビヒクル、賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントに精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0210】
本発明による化合物、医薬組成物又は組合せ物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口及び静脈内の送達が好ましい。
【0211】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬組成物の形で適用できる。該医薬組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0212】
本発明による医薬組成物は自体公知の方法によって製造される。本発明の化合物(=有効化合物)の投与は、細胞(過剰)増殖のインヒビター又はアポトーシスのインデューサーについて慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。全身療法(経口)の場合の慣用の用量は、0.03〜60mg/kg/日であり、(静脈内で)0.03〜60mg/kg/時間であってよい。もう一つの実施態様においては、全身療法の場合の慣用の用量は、経口で0.3〜30mg/kg/日であり、静脈内で0.3〜30mg/kg/時間である。
【0213】
その都度必要とされる最適な投与計画及び投薬期間、特に有効化合物の用量及び投与様式の選択は、当業者によってその専門知識に基づいて決定することができる。
【0214】
更に、本発明の化合物は、特に本願に記載される疾病の組合せ療法において特に有用となりうる関心が持たれる驚くべき特性を示す。
【0215】
このように、例えば本発明による化合物は、本願に挙げられる疾病、特に癌の療法で有用となりうる他の有効薬剤と相乗作用しうる。
【0216】
治療されるべき又は予防されるべき特定の疾病によっては、その疾病を治療又は予防するのに通常投与される付加的な治療的活性剤を場合により同時投与してよい。本願で使用される場合に、特定の疾病を治療又は予防するのに通常投与される付加的な治療的活性剤は、治療される疾病に好適であるとして知られている。
【0217】
例えば、本発明による化合物を、前記の疾病の治療に使用される1種以上の標準的な療法剤と組み合わせてもよい。特定の一実施態様においては、本発明による化合物を、1種以上の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば以下に記載される1種以上の化学療法薬及び/又は標的特異的な抗癌剤と組み合わせることができる。
【0218】
組み合わせ療法で頻繁に使用される公知の化学療法的抗癌剤の例は、これらに制限されないが、(i)アルキル化剤/カルバミル化剤、例えばシクロホスファミド(エンドキサン(登録商標))、イフォスファミド(ホロキサン(登録商標))、チオテパ(チオテパレダーレ(登録商標))、メルファラン(アルケラン(登録商標))又はクロロエチルニトロソウレア(BCNU);(ii)白金誘導体、例えばシスプラチン(プラチネックス(登録商標)BMS)、オキサリプラチン又はカルボプラチン(カルボプラット(登録商標)BMS);(iii)有糸分裂インヒビター/チューブリンインヒビター、例えばビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン)、タキサン類、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテレ(登録商標))及び類似体並びにその新規の製剤及びコンジュゲート、エポチロン、例えばエポチロンB(パツピロン(登録商標))、アザエポチロン(イクサベピロン(登録商標))又はZK−EPO、全合成エポチロンB類似体;(iv)トポイソメラーゼインヒビター、例えばアントラサイクリン類(例えばドキソルビシン/アドリブラスチン(登録商標))、エピポドフィロトキシン類(例えばエトポシド/エトポフォス(登録商標))及びカンプトテシン及びカンプトテシン類似体(例えばイリノテカン/カンプトサール(登録商標)又はテポテカン/ハイカムチン(登録商標));(v)ピリミジンアンタゴニスト、例えば5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(キセロダ(登録商標))、アラビノシルシトシン/シタラビン(アレキサン(登録商標))又はゲムシタビン(ゲムザール(登録商標));(vi)プリンアンタゴニスト、例えば6−メルカプトプリン(プリネトール(登録商標))、6−チオグアニン又はフルダラビン(フルダラ(登録商標))及び最後に(vii)葉酸アンタゴニスト、例えばメトトレキセート(ファルミトレキセート(登録商標))又はペメトレキセド(アリムタ(登録商標))を含む。
【0219】
実験的及び標準的癌療法で使用される標的特異的抗癌剤クラスの例は、これらに制限されないが、(i)キナーゼインヒビター、例えばイマチニブ(グリベック(登録商標))、ZD−1839/ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、Bay43−9006(ソラフェニブ)、SU11248/スニチニブ(ステント(登録商標))又はOSI−774/エルロチニブ(タルセバ(登録商標));(ii)プロテアソームインヒビター、例えばPS−341/ボルテゾニブ(ベルカデ(登録商標));(iii)ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えばSAHA、PXD101、MS275、MGCD0103、デプシペプチド/FK228、NVP−LBH589、LAQ−824、バルプロン酸(VPA)及び酪酸塩;(iv)ヒートショックタンパク質90インヒビター、例えば17−アリルアミノゲルダナマイシン(17−AAG);(v)血管標的剤(VAT)、例えばコンブレタスタチンA4リン酸又はAVE8062/AC7700及び抗脈管形成剤、例えばVEGF抗体、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))又はKDRチロシンキナーゼインヒビター、例えばPTK787/ZK222584(バタラニブ);(vi)モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ(ヘルセプチン(登録商標))又はリツキシマブ(マブテラ/リツキサン(登録商標))又はアレムツツマブ(Campath(登録商標))又はトシツマブ(ベキサール(登録商標))又はC225/セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))又はアバシン(前記参照)並びに突然変異体及びモノクローナル抗体のコンジュゲート、例えばゲムツツマブ オゾガマイシン(ミロタルグ(登録商標))又はイブリツモマブ チウキセタン(ゼバリン(登録商標))及び抗体フラグメント;(vii)オリゴヌクレオチド系治療薬、例えばG−3139/オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標));(viii)Toll様レセプター/TLR9アゴニスト、例えばプロムン(登録商標);(ix)プロテアーゼインヒビター(x)ホルモン療法剤、例えば抗エストロゲン類(例えばタモキシフェン又はラロキシフェン)、抗アンドロゲン類(例えばフルタミド又はカソデックス)、LHRH類似体(例えばロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン)及びアロマターゼインヒビターを含む。
【0220】
組合せ療法のために使用できる他の公知の標的特異的な抗癌剤は、ブレオマイシン、レチノイド類、例えばオールトランスレチノイン酸(ATRA)、DNAメチルトランスフェラーゼインヒビター、例えば2−デオキシシチジン誘導体デシタビン(ドカゲン(登録商標))及び5−アザシチジン、アラノシン、サイトカイン、例えばインターロイキン−2、インターフェロン、例えばインターフェロンα2又はインターフェロン−γ、デス受容体アゴニスト、例えばTRAIL、DR4/5アゴニスト抗体、FasLアゴニスト及びTNF−Rアゴニストを含む。
【0221】
本発明による組合せ療法で有用といえる抗癌剤の例としては、これらに制限されないが、以下の任意の薬剤
5FU、アクチノマイシンD、アバレリックス、アブシキシマブ、アクラルビシン、アダパレン、アレムツズマブ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミプリローズ、アムルビシン、アナステロゾール、アンシタビン、アルテミシニン、アザチオプリン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベバシツマブ、ベキサール、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブロクスリジン、ブスルファン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カルボクオン、カルムスチン、セトロレリックス、クロラムブシル、クロロメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロミフェン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デスロレリン、デキシラゾキサン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロスタノロン、エデルフォシン、エフロルニチン、エミテフール、エピルビシン、エピチオスタノール、エプタプラチン、エルビツックス、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、フロクスリジン、フルシトシン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォルメスタン、フォスカルネット、フォスフェストロール、フォテムスチン、フルベストラント、ゲフィチニブ、ジェナセンス、ゲムシタビン、グリベック、ゴセレリン、グスペリムス、ヘルセプチン、イダルビシン、イドクスリジン、イフォスファミド、イマチニブ、イムプロスルファン、インフリキシマブ、イリノテカン、イキサベピロン、ランレオチド、レトロゾール、ロイプロレリン、ロバプラチン、ロムスチン、ルプロリド、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、メツレデパ、ミボプラチン、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマイシン、ミトキサントロン、ミゾリビン、モテキサフィン、マイロターグ、ナルトグラスチム、ネバズマブ、ネダプラチン、ニルタミド、ニムスチン、オクトレオチド、オルメロキシフェン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パリビズマブ、パツピロン、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペンテトレオチド、ペントスタチン、ペルフォスファミド、ピポスルファン、ピラルビシン、プリカマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロパゲルマニウム、塩化プロスピジウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ランピルナーゼ、ラスブリカーゼ、ラゾキサン、リツキシマブ、リファンピシン、リトロスルファン、ロムルチド、ルボキシスタウリン、サルグラモスチム、サトラプラチン、シロリムス、ソブゾキサン、ソラフェニブ、スピロムスチン、ストレプトゾシン、スニチニブ、タモキシフェン、タソネルミン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオテパ、チマルファシン、チアミプリン、トポテカン、トレミフェン、トレイル、トラスツズマブ、トレオスルファン、トリアジクオン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロフォスファミド、ウレデパ、バルルビシン、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボロゾール及びゼバリンが挙げられる。
【0222】
本発明による化合物の組み合わせ相手として本願に上述した抗癌剤は、その製剤学的に認容性の誘導体、例えばその製剤学的に認容性の塩を含むことを意図する。
【0223】
更に、本発明による化合物は、環状ヌクレオチド代謝と干渉する剤、例えばホスホジエステラーゼインヒビター、プロテインキナーゼA又はプロテインキナーゼGのアゴニスト又はアンタゴニスト、環状AMPによって活性化される交換タンパク質(Epac)又はcAMP−GEFのアクチベーター又はインヒビター又はグアニル酸シクラーゼ又はアデニル酸シクラーゼのアクチベーター又はインヒビターと組み合わせてよい。
【0224】
当業者は、その専門知識に基づいて、同時投与される付加的な治療剤の種類、全日用量及び投与形を認識している。前記の全日用量は広い範囲で変更できる。
【0225】
本発明の実施において、本発明による化合物は、組合せ療法において、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして(例えば組合せ単位投与形として、別々の単位投与形として、隣接した不連続な単位投与形として、固定組合せ物又は非固定組合せ物として、小分けキットとして又は混合物として)、1種以上の標準的な療法剤、特に当該技術分野で知られる抗癌剤(化学療法薬及び/又は標的特異的な抗癌剤)、例えば前記のいずれかと一緒に投与してよい。
【0226】
この文脈で、更に、本発明は、本発明による化合物少なくとも1種である第一の有効成分と、当該技術分野で公知の少なくとも1種の抗癌剤、例えば本願で前記の抗癌剤1種以上である第二の有効成分とを含有し、療法において、例えば本願で述べた疾病のいずれかの療法において、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして使用するための組合せ物に関する。
【0227】
本発明による用語"組合せ物"は、固定組合せ物、非固定組合せ物又は小分けキットとして存在してよい。
【0228】
"固定組合せ物"は、前記の第一の有効成分と第二の有効成分とが1つの単位用量で又は単一物で一緒に存在する組合せ物として定義される。"固定組合せ物"の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、例えば一製剤中に同時の投与のために混合物で存在する医薬組成物である。"固定組合せ物"のもう一つの例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、混合されることなく1つの単位で存在する医薬品組合せ物である。
【0229】
"小分けキット"は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが1単位より多くで存在する組合せ物として定義される。"小分けキット"の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが別々に存在する組合せ物である。小分けキットの成分は、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして投与してよい。
【0230】
更に本発明は、少なくとも1種の本発明による化合物である第一の有効成分と、少なくとも1種の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1種以上である第二の有効成分、及び場合により製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する、療法において別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして使用するための医薬品組成物に関する。
【0231】
更に、本発明は、a)本発明による少なくとも1種の化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤との配合物及びb)少なくとも1種の当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の1種以上の抗癌剤と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤との配合物を含有する組合せ製品に関する。
【0232】
更に本発明は、本発明による化合物である第一の有効成分と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の調剤;当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1つある第二の有効成分と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の調剤を含有する、療法において同時に、併用して、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するための小分けキットに関する。場合により、前記キットは、療法において、例えばアポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば癌、より厳密には前記の癌疾患のいずれかを治療するのに使用するための説明書を含む。
【0233】
更に本発明は、本発明による少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の当該技術分野で知られる抗癌剤とを含有する、同時に、併用して、連続的に又は別々に投与するための組合せ調剤に関する。
【0234】
この関連で、本発明は更に、抗増殖特性及び/又はアポトーシス誘導特性を有する本発明による組合せ物、組成物、製剤、調剤又はキットに関する。
【0235】
加えて更に、本発明は、患者において、組合せ療法で、(過剰)増殖疾病及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患を治療する方法において、それを必要とする患者に、本願に記載される組合せ物、組成物、製剤、調剤又はキットを投与することを含む方法に関する。
【0236】
加えて更に、本発明は、患者において、(過剰)増殖疾病及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患を治療する方法において、組合せ療法において、別々に、同時に、併用して、連続的に又は時間的にずらして、本発明による化合物及び製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する製剤学的に有効かつ治療学的に有効かつ認容性の量の医薬組成物及び製剤学的に有効かつ治療学的に有効かつ認容性の量の1種以上の当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1種以上をそれを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【0237】
更に加えて、本発明は、患者において、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば良性又は悪性の新生物、例えば癌、特に本願に挙げられる癌疾病のいずれかを治療、予防又は改善するための方法において、それを必要とする患者に、本発明による化合物である第一の有効化合物の量と、第二の有効化合物の量とを、別々に、同時に、併用して、連続的に又は時間的にずらして投与することを含み、前記の少なくとも1種の第二の有効化合物が、標準的な治療剤、特に少なくとも1種の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば本願に挙げられる1種以上の前記の化学療法剤及び標的特異的抗癌剤であり、その際、第一の有効化合物の量と第二の有効化合物の量が治療効果をもたらす方法に関する。
【0238】
なおも更に加えて、本発明は、患者において、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば良性又は悪性の新生物、例えば癌、特に本願に挙げられる癌疾病のいずれかを治療、予防又は改善するための方法において、本発明による組合せ物を投与することを含む方法に関する。
【0239】
加えて更に、本発明は、過剰増殖疾病、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘発に反応を示す疾患、特に前記の疾病、例えば良性又は悪性の新生物を治療、予防又は改善するための医薬製品、例えば市販パッケージ又は医薬品の製造における、本発明による組成物、組合せ物、製剤、調剤又はキットの使用に関する。
【0240】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物を含有し、それと一緒に、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば前記の任意のものと同時に、併用して、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0241】
更に本発明は、唯一の有効成分としての1種以上の本発明による化合物を必須とし、それと一緒に、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば前記の任意のものと同時に、併用して、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0242】
更に本発明は、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば前記の任意のものを含有し、それと一緒に、1種以上の本発明による化合物と同時に、併用して、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0243】
本発明による組合せ療法の文脈で挙げられた組成物、組合せ物、調剤、製剤、キット又はパッケージは、また本発明による化合物1種以上及び/又は当業者に公知の挙げられる抗癌剤1種以上も含む。
【0244】
本発明による組合せ物又は小分けキットの第一の有効成分と第二の有効成分は、組合せ療法において、同時に、併用して、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するために後に一緒にされる別々の製剤(すなわち互いに独立している)として提供することができ、又は組合せ療法において、同時に、連続的に、併用して、別々に又は時間的にずらして使用するための組合せパッケージの別々のコンポーネントとして一緒に包装され一緒に存在することができる。
【0245】
本発明による組合せ物又は小分けキットの第一の有効成分と第二の有効成分の医薬製剤の型は同様であってよい、すなわち両方の成分は、別々の錠剤又はカプセル剤で製剤されているか、又は前記の医薬製剤の型は異なってよい、すなわち異なる投与形に適合せることができる、例えば一方の有効成分を錠剤又はカプセル剤として製剤し、もう一方を、例えば静脈内投与用に製剤する。
【0246】
本発明による組合せ物、組成物又はキットの第一の有効成分と第二の有効成分の量は、一緒になって、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、特に本願に挙げられる疾病の1つ、悪性又は良性の新生物、特に癌、例えば本願に挙げられる癌疾病のいずれかの治療、予防又は改善のために治療学的に有効な量を含む。
【0247】
更に、本発明による化合物は癌の術前又は術後の治療に使用することができる。
【0248】
更に加えて、本発明による化合物は放射線療法と組み合わせて使用することができる。
【0249】
本発明による組合せ物は、本発明による化合物と他の有効な抗癌剤との両者を固定組合せで含有する組成物(固定単位投与形)又は2種以上の有効成分を不連続な別々の投与形として含有する医薬品パッケージ(非固定組合せ物)を指すことができる。2種以上の有効成分を含有する医薬品パックの場合に、有効成分は、有利にはコンプライアンスの改善に適したブリスターカード中に入れられる。
【0250】
各ブリスターカードは、有利には一日の治療に摂取されるべき医薬品を含有する。それらの薬品が一日の異なる時点で摂取される場合には、これらの薬剤は、一日のなかでそれらが摂取される時間の種々の範囲に応じてブリスターカードの種々の区画に割り付けてよい。一日の特定の時点で一緒に摂取されるべき医薬品のためのブリスター空隙は一日の時間のそれぞれの範囲で調節される。一日の種々の時間は、もちろんまた明瞭に見えるようにブリスターに付けられる。またもちろん、例えば医薬品を摂取すべき期間を指示する、例えばそれらの時間を述べることも可能である。
【0251】
一日の区画は、ブリスターカードの1本の線に相当することがあり、そしてその際、一日の時間はこの列の時間的順序で確認される。
【0252】
一日の特定の時間で一緒に摂取せねばならない医薬品は、有利には距離を離さず、それらが容易にブリスターから押し出せ、そしてブリスターからその投与形を取り出すのを忘れないという趣旨で、ブリスターカードに適切な時間で一緒に配置される。
【0253】
生物学的調査
本願に記載される化合物の抗増殖活性/細胞毒性は、NCI−H460非小細胞性癌細胞でアラマーブルー細胞生存度アッセイ(O'Brien et al. Eur J Biochem 267, 5421-5426, 2000に記載される)を用いて試験できる。化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に20mMの溶液として溶解させ、引き続き片対数段階で希釈する。DMSO希釈物を更に1:10で、10%の仔ウシ血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に希釈して、試験における最終濃度の10倍だけの最終濃度にする。NCI−H460細胞を96ウェル平底プレート中に、1ウェルあたり4000細胞の密度で、ウェルあたり180μlの用量で播種する。播種24時間後に、DMEM培地中の化合物希釈物それぞれ20μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物希釈物を四重反復試験として試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを1%のDMSOを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で72時間、5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中でインキュベートする。細胞の生存度を測定するために、20μlのアラマーブルー(バイオソース社)を添加し、そして544nmの吸光及び590nmの発光で蛍光を測定する。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの発光値を100%の生存度に設定し、未処理の細胞の発光率を未処理の細胞の値について設定する。生存度は%値として表現する。
【0254】
高増殖活性/細胞毒性についての化合物の相応のIC50値を濃度−効果曲線から決定する。
【0255】
前記のアッセイで測定された抗増殖性/細胞毒性についての代表的なIC50値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0256】
表A
高増殖活性/細胞毒性
【表3】

【0257】
アポトーシスの誘発は、細胞死検出ELISA(ロシュ・バイオケミカルズ社、マンハイム、ドイツ)を用いて測定できる。NCI−H460細胞を96ウェル平底プレート中に、1ウェルあたり10000細胞の密度で、ウェルあたり50μlの用量で播種する。播種24時間後に、DMEM培地中の化合物希釈物それぞれ50μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物の希釈物は少なくとも三重反復試験で試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを1%のDMSOを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で24時間、5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中でインキュベートする。アポトーシスの誘発についてのポジティブコントロールとして、細胞を50μMのシスプラチン(Gry Pharmaceuticals,Kirchzarten,ドイツ)で処理する。次いで培地を除去し、細胞を200μlの溶解バッファー中で溶解させる。製造元によって記載されるように遠心分離した後に、10μlの細胞溶解物をプロトコールに記載されるように処理する。アポトーシスの程度は以下のように計算する:50μMのシスプラチンで処理された細胞からの溶解物で得られた405nmでの吸光度を100cpu(シスプラチン単位)として設定し、一方で405nmでの吸光度0.0を0.0cpuとして設定した。アポトーシスの程度は、50μMのシスプラチンで処理された細胞から得られた溶解物で達成された100cpuの値に対するcpuとして表現される。
【0258】
治療用途に使用できる、インビトロで有用な化合物組合せ物を評価するために、改良型のアラマーブルー細胞生存度アッセイ(O’Brien他著のEur J Biochem 267,5421−5426,2000に記載される)を適用する。その目的のために、本願に記載された化合物と他の薬理学的に有効な化合物とを組み合わせたものの抗増殖性/毒性の作用を、NCI−H460型の非小細胞肺癌細胞に対してアッセイする。それぞれの化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に20mMの溶液として溶解させ、引き続き片対数段階で希釈する。DMSO希釈物を更に1:20で、10%の仔ウシ血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に希釈して、試験における最終濃度の10倍だけの最終濃度にする。NCI−H460細胞を96ウェル平底プレート中に、1ウェルあたり4000細胞の密度で、ウェルあたり160μlの用量で播種する。播種24時間後に、DMEM培地中の2種の化合物希釈物それぞれ20μlを96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物希釈物を三重反復試験として試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを1%のDMSOを含有する200μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で72時間、5%の二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中でインキュベートする。細胞の生存度を測定するために、20μlのアラマーブルー(バイオソース社)を添加し、そして544nmの吸光及び590nmの発光で蛍光を測定する。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの発光値を100%の生存度に設定し、処理された細胞の発光値を未処理の細胞の値について設定する。生存度は%値として表現する。
【0259】
一実施態様では、本発明による化合物は、固定濃度の他の薬理学的に有効な化合物と組み合わされる。その特定の下位実施態様においては、これらの固定濃度の他の薬理学的に有効な化合物は、それ自身では抗増殖作用又は細胞毒性作用を有さない。
【0260】
化合物の組合せ物の相乗作用又は拮抗作用は、濃度−作用曲線から、単独化合物による治療と化合物の組合せ物による治療とについて、曲線形状の比較及びIC50値の比較によって測定することができる。
【0261】
環状ヌクレオチドの類似物である幾つかの化合物は、本発明による化合物と相乗作用を示す。例えばRP−8−CPT−cAMP(Biolog Life Science Institute(ドイツ・ブレーメン在)、参考文献:Weisskopf他著のScience 265,1878−1882(1994))は、プロテインキナーゼ(タイプI及びタイプII)のPDE耐性インヒビターであるが、それは本願に記載される化合物と高い相乗作用を示す。2種の他の環状ヌクレオチド類似物、つまり8−(4−クロロフェニルチオ)−2′−O−メチルアデノシン−3′,5′−環状一リン酸(8−pCPT−2′−O−Me−cAMP)及び8−(4−メトキシフェニルチオ)−2′−O−メチルアデノシン−3′,5′−環状一リン酸(8−pMeOPT−2′−O−Me−cAMP)は、EPAC(環状AMPによって活性化される交換タンパク質)として又はcAMP−GEFアゴニスト(Biolog Life Science Institute(ドイツ・ブレーメン在);参考文献:Enserink,J.M.他著のNature Cell Biol.,4,901−906(2002);Kang,G.他著のJ.Biol.Chem.,278,8279−8285(2003);Christensen他著のJ.Biol.Chem.,278,35394−35402(2003))として説明されていたが、これらは同様の相乗特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、水素、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシであり、
R3は、水素又はC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R2及びR3は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成するか、又は
R2及びR3は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成するか、又は
R1及びR2は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成し、かつR3は、水素であるか、又は
R1及びR2は、ベンゾ環部に互いにオルト位で結合されて一緒になって、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルキレンジオキシ架橋を形成し、かつR3は、水素であり、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C6−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、フェニル、ナフチル、Har、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニル又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、ピロロイソキノリン骨格に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、単環式もしくは縮合二環式の5員ないし10員の部分的にもしくは完全に芳香族の複素環式の環基であり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノカルボニル、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシ、カルバモイル、テトラゾリル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル、アリール、アリールオキシ又は−N(H)S(O)2−N(R712)R713であり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R712は、C1〜C4−アルキルであり、
R713は、C1〜C4−アルキルであるか、又は
R712及びR713は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、基Hetを形成し、その際、
Hetは、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル又はモルホリン−4−イルであり、
R72は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R74は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、トリフルオロメチル、C1〜C4−アルコキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、モルホリノ、カルボキシル、ニトロ、フェニル、フェノキシ、フェニル−C1〜C4−アルキル、アリールスルホニル、C1〜C4−アルキルスルホニル又は−S(O)2−N(R712)R713であり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル又はフェニル−C1〜C4−アルキルである]で示される化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項2】
式Iで示され、その式中、
R1は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、水素、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシであり、
R3は、水素又はC1〜C4−アルコキシであり、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C6−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、フェニル、ナフチル、Har、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニル又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、ピロロイソキノリン骨格に環炭素原子を介して結合されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、単環式もしくは縮合二環式の5員ないし10員の部分的にもしくは完全に芳香族の複素環式の環基であり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、カルバモイル又はアリールであり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R72は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R74は、C1〜C4−アルキルであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル、C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル又はフェニル−C1〜C4−アルキルである、請求項1記載の化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項3】
式Iで示され、その式中、
R1は、ニトロ、アミノ、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1は、C1〜C4−アルコキシ又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、ハロゲンであるか
のいずれかであり、
R3は、水素であり、その際、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されておらず、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C6−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、ナフチル、Har、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニル又はR74で置換されたHarであり、その際、
Harは、
窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子を有する単環式の5員のヘテロアリール基か、又は
1又は2個の窒素原子を有する単環式の6員のヘテロアリール基か、又は
窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリールか、又は
N−オキシ−ピリジル
のいずれかであり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ、カルバモイル又はアリールであり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R72は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R74は、C1〜C4−アルキルであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル又はC3〜C7−シクロアルキルである、請求項1記載の化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項4】
式Iで示され、その式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1は、C1〜C4−アルコキシ又はC1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、フッ素又は塩素であるか
のいずれかであり、
R3は、水素であり、その際、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されておらず、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R41は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、C1〜C4−アルキル又はR61によって置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
R61は、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、
R7は、ナフチル、Har又は、R71及び/又はR72及び/又はR73で置換されたフェニルであり、その際、
Harは、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリール基であり、
R71は、ヒドロキシル、ハロゲン、ジ−C1〜C4−アルキルアミノ又はアリールであり、その際、
アリールは、フェニル又はR711で置換されたフェニルであり、その際、
R711は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ニトロ又はシアノであり、
R72は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R73は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル又はC3〜C5−シクロアルキルである、請求項1記載の化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項5】
式Iで示され、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ、C1〜C2−アルコキシ−C2〜C3−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C2−アルコキシであるか、又は
R1は、C1〜C2−アルコキシであり、かつ
R2は、フッ素又は塩素であるか
のいずれかであり、
R3は、水素であり、その際、
R1、R2及びR3のいずれも、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の10位に結合されておらず、
R4は、水素又はメチルであり、
R41は、水素又はメチルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であり、
R6は、メチルであり、
R7は、
ナフチルか、又は
ジメチルアミノ−フェニルか、又は
4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルか、又は
2−フルオロ−3,4−ジメトキシ−フェニルか、又は
3,4,5−トリメトキシ−フェニルか、又は
1,1′−ビフェン−4−イルか、又は
Har
のいずれかであり、その際、
Harは、ベンゼン環と、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子とを有する縮合二環式の9員又は10員のヘテロアリールであり、
R8は、−C(O)−R9であり、その際、
R9は、C1〜C4−アルキル又はシクロプロピルである、請求項1記載の化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物であって、式Ia又は式Ib
【化2】

のいずれかで示され、それらの式中、
R5及びR51は、両者とも水素であり、
R6は、メチルであり、かつ
R1、R2、R3、R4、R41及びR8は、以下に示される意味のいずれかを有する:
【表1】

【表2】

化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の式Iの化合物であって、
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつ塩素、2−メトキシ−エトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシであるか、又は
R1は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の9位に結合されており、かつ塩素、フッ素又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2は、ピロロ[2,1−a]イソキノリン環の8位に結合されており、かつC1〜C2−アルコキシであるか
のいずれかであり、かつ
R3は、水素であり、
R4は、水素又はメチルであり、
R41は、水素又はメチルであり、
R5は、水素であり、かつ
R51は、水素であり、
R6は、メチルであり、
R7は、ナフチル、キノリニル、ベンゾチオフェニル又はインドリル、又は3−ジメチルアミノ−フェニル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル又は1,1′−ビフェン−4−イルであり、かつ
R8は、エチルカルボニル又はシクロプロピルカルボニルである
ことの1つ以上を有する化合物及び立体異性体並びにこれらの化合物及び立体異性体の塩。
【請求項8】
療法において、例えば哺乳動物における良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌の治療、予防又は改善において使用するための、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物を、哺乳動物における良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌の治療のための医薬組成物の製造において用いる使用。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項記載の1種以上の化合物と一緒に慣用の医薬品賦形剤及び/又はビヒクルを含有する医薬組成物。
【請求項11】
患者において、良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌を治療するための方法において、その患者に、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物の治療学的に有効な量を投与することを含む方法。
【請求項12】
請求項1から7までのいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物である第一の有効成分と、化学療法的抗癌剤、標的特異的抗癌剤及び環状ヌクレオチド代謝と干渉する剤からなる群から選択される少なくとも1種の抗癌剤である第二の有効成分とを有する組合せ物であって、療法、例えば良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば良性又は悪性の新形成、例えば癌の療法において、別々に、連続的に、同時に、併用して又は時間的にずらして使用するための組合せ物。
【請求項13】
患者において、アポトーシスの誘導に反応を示す過剰増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば良性又は悪性の新生物、例えば癌を治療、予防又は改善するための方法において、それを必要とする前記患者に、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物である第一の有効化合物の量と、少なくとも1種の第二の有効化合物の量とを、別々に、同時に、併用して、連続的又は時間的にずらして投与することを含み、その際、前記第二の有効化合物が、化学療法的抗癌剤、標的特異的抗癌剤及び環状ヌクレオチド代謝と干渉する剤からなる群から選択される抗癌剤であり、第一の有効化合物の量と第二の有効化合物の量が、治療効果をもたらす方法。
【請求項14】
請求項12又は13記載の組合せ物又は方法であって、前記化学療法的抗癌剤が、(i)アルキル化剤/カルバミル化剤、例えばシクロホスファミド、イフォスファミド、チオテパ、メルファラン及びクロロエチルニトロソウレア;(ii)白金誘導体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン;(iii)有糸分裂阻害剤/チューブリン阻害剤、例えばビンカアルカロイド類、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン又はビノレルビン、タキサン類、例えばパクリタキセル、ドセタキセル及び類似体並びにその製剤及びコンジュゲート、及びエポチロン類、例えばエポチロンB、アザエポチロン又はZK−EPO;トポイソメラーゼインヒビター、例えばアントラサイクリン類、例えばドキソルビシン、エピポドフィロトキシン類、例えばエトポシド及びカンプトテシン及びカンプトテシン類似体、例えばイリノテカン又はテポテカン;(v)ピリミジンアンタゴニスト、例えば5−フルオロウラシル、カペシタビン、アラビノシルシトシン/シタラビン及びゲムシタビン;(vi)プリンアンタゴニスト、例えば6−メルカプトプリン、6−チオグアニン及びフルダラビン;及び最後に(vii)葉酸アンタゴニスト、例えばメトトレキセート及びペメトレキセドから選択される組合せ物又は方法。
【請求項15】
請求項12、13又は14に記載の組合せ物又は方法であって、前記の標的特異的抗癌剤が、(i)キナーゼインヒビター、例えばイマチニブ、ZD−1839/ゲフィチニブ、BAY43−9006/ソラフェニブ、SU11248/スニチニブ及びOSI−774/エルロチニブ;(ii)プロテアソームインヒビター、例えばPS−341/ボルテゾニブ;(iii)ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えばSAHA、PXD101、MS275、MGCD0103、デプシペプチド/FK228、NVP−LBH589、NVP−LAQ−824、バルプロン酸(VPA)及び酪酸塩;(iv)ヒートショックタンパク質90インヒビター、例えば17−アリルアミノゲルダナマイシン(17−AAG);(v)血管標的剤(VAT)、例えばコンブレタスタチンA4リン酸又はAVE8062/AC7700及び抗脈管形成剤、例えばVEGF抗体、例えばベバシズマブ及びKDRチロシンキナーゼインヒビター、例えばPTK787/ZK222584(バタラニブ);(vi)モノクローナル抗体、例えばトラスツズマブ、リツキシマブ、アレムツツマブ、トシツマブ、セツキシマブ及びベバシツマブ並びに突然変異体及びモノクローナル抗体のコンジュゲート、例えばゲムツツマブ オゾガマイシン又はイブリツモマブ チウキセタン及び抗体フラグメント;(vii)オリゴヌクレオチド系治療薬、例えばG−3139/オブリメルセン;(viii)Toll様レセプター/TLR9アゴニスト、例えばプロムン(登録商標);(ix)プロテアーゼインヒビター(x)ホルモン療法剤、例えば抗エストロゲン類、例えばタモキシフェン又はラロキシフェン、抗アンドロゲン類、例えばフルタミド又はカソデックス、LHRH類似体、例えばロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン及びアロマターゼインヒビター;ブレオマイシン、レチノイド類、例えばオールトランスレチノイン酸(ATRA);DNAメチルトランスフェラーゼインヒビター、例えば2−デオキシシチジン誘導体デシタビン及び5−アザシチジン;アラノシン;サイトカイン、例えばインターロイキン−2;インターフェロン、例えばインターフェロンα2及びインターフェロン−γ;及びデス受容体アゴニスト、例えばTRAIL、DR4/5アゴニスト抗体、FasLアゴニスト及びTNF−Rアゴニストから選択される組合せ物又は方法。
【請求項16】
請求項12、13、14又は15のいずれか1項に記載の組合せ物又は方法であって、前記環状ヌクレオチド代謝と干渉する剤が、ホスホジエステラーゼインヒビター、プロテインキナーゼAもしくはプロテインキナーゼGのアゴニストもしくはアンタゴニスト、環状AMPによって活性化される交換タンパク質(Epac)もしくはcAMP−GEFのアクチベーターもしくはインヒビター及びグアニル酸シクラーゼもしくはアデニル酸シクラーゼのアクチベーターもしくはインヒビターから選択される組合せ物又は方法。
【請求項17】
請求項8、9、11から13のいずれか1項に記載の使用、方法又は組合せ物であって、前記の癌が、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の癌、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎臓、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の癌;遺伝性癌、網膜芽腫及びウィルムス腫瘍;白血病、リンパ腫、非ホジキン病、慢性及び急性の骨髄性白血病、急性のリンパ芽球性白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫;骨髄異形成症候群、形質細胞新生物、経産婦腫瘍性症状、未知の原発部位の癌並びにAIDS関連悪性疾患からなる群から選択される使用、方法又は組合せ物。

【公表番号】特表2008−526817(P2008−526817A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549914(P2007−549914)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050165
【国際公開番号】WO2006/075012
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】