新規の化合物、それを含有する医薬組成物、およびその使用方法
【課題】癌、減量、微生物感染等の治療に有用な化合物、及び該化合物を含む医薬組成物の提供。
【解決手段】式I[式中、R1=H、R2=−OH、−OR5、−OCH2C(O)R5、−OCH2C(O)NHR5、−OC(O)R5、−OC(O)OR5、−OC(O)NHNH−R5、または−OC(O)NR5R6であり、ここで、R5が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル等であり、R3およびR4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル等である。]で表される化合物、及び該化合物を含む医薬組成物。
【解決手段】式I[式中、R1=H、R2=−OH、−OR5、−OCH2C(O)R5、−OCH2C(O)NHR5、−OC(O)R5、−OC(O)OR5、−OC(O)NHNH−R5、または−OC(O)NR5R6であり、ここで、R5が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル等であり、R3およびR4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル等である。]で表される化合物、及び該化合物を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
脂肪酸合成酵素
脂肪酸は、細胞の生理機能における3つの主要な役割を有する。第一に、脂肪酸は生体膜の構成要素(building bocks)である。第二に、脂肪酸誘導体は、ホルモンおよび細胞内メッセンジャーとしての機能を果たす。第三に、本発明にとって特に重要であるが、脂肪酸は、中性脂肪としても知られるトリアシルグリセロールとして脂肪組織中に保存され得る燃料分子である。
【0002】
脂肪酸合成経路に関与する4つの主要な酵素があり、それらは脂肪酸合成酵素(FAS)、アルキニルCoAカルボキシラーゼ(ACC)、リンゴ酸酵素、およびクエン酸リアーゼである。主要な酵素、FASは、前駆体マロニル−CoAおよびアルキニル−CoAのNADPH依存性縮合を触媒し、脂肪酸を産生する。NADPHは、一般にFASの反応サイクルにおける2地点で基本的電子供与体としての機能を果たす還元剤である。他の3つの酵素(すなわち、ACC、リンゴ酵素、およびクエン酸リアーゼ)は、必須前駆体を産生する。他の酵素、例えば、NADPHを産生する酵素も脂肪酸合成に関与する。
【0003】
FASは酵素委員会(E.C.)番号2.3.1.85であり、脂肪酸合成酵素、脂肪酸リガーゼ、およびその系統名アシル−CoA:マロニール−CoA C−アシルトランスフェラーゼ(脱炭酸化、オキソアシルおよびエノイル還元およびチオエステル加水分解性)としても知られる。脂肪酸のFAS合成に関係する7つの明確な酵素−または触媒ドメイン−がある。すなわち、アルキニルトランスアシラーゼ、マロニルトランスアシラーゼ、ベータ−ケトアシル合成酵素(縮合酵素)、ベータ−ケトアシル還元酵素、ベータ−ヒドロキシアシルデヒドラーゼ、エノイル還元酵素、およびチオエステラーゼである。(ワキル(Wakil)、S.J.、Biochemistry、1989年(28)、pp.4523〜4530)。これらの酵素7つすべてはともにFASを形成する。
【0004】
脂肪酸のFAS触媒合成は同様に下等動物、例えば、細菌など、および高等動物、例えば、ミコバクテリア、酵母菌、およびヒトなどにおけるものであるが、いくつかの重要な違いがある。細菌においては、7つの酵素反応は、それぞれ関連のない7つの別個のポリペプチドによって行われる。これはII型FASとして分類されている。それにひきかえ、ミコバクテリア、酵母菌、およびヒトにおける酵素反応は、多機能ポリペプチドによって行われる。例えば、酵母菌は2つの別個のポリペプチドから成る錯体を有するが、ミコバクテリアおよびヒトにおいては、7つの反応すべてが単一のポリペプチドによって行われる。これらはI型FASとして分類されている。
【0005】
FAS阻害剤
さまざまな化合物が、脂肪酸合成酵素(FAS)を阻害することが証明されている。FAS阻害剤は、精製FASの酵素活性を阻害する化合物の能力によって確認され得る。FAS活性は、放射性標識化前駆体(すなわち、アルキニル−CoAまたはマロニル−CoA)の脂肪酸への取込みを測定することによって、またはNADPHの酸化を分光測光法で測定することによってアッセイされ得る。(ディルス(Dils)ら、Methods Enzymol.、35、pp.74〜83)。
【0006】
以下に記載されている表1は、一部のFAS阻害剤のリストである。
【0007】
【表1】
【0008】
脂肪酸合成経路における4つの酵素のうち、FASは、それは脂肪酸への経路内でのみ作用するが、他の3つの酵素は他の細胞機能にかかわるため、阻害のための好ましい標的である。したがって、他の3つの酵素の1つの阻害は、正常細胞に影響を与える可能性がより大きい。FASによって行われる7つの酵素ステップのうち、縮合酵素(すなわち、ベータ−ケトアシル合成酵素)およびエノイル還元酵素は、脂肪酸合成を削減または停止させる阻害剤の最も一般的な候補であり続けている。FAS錯体の縮合酵素は、構造および機能に関して十分に特徴づけられている。縮合酵素の活性部位は重要なシステインチオールを含有し、これは抗高脂試薬、例えば、阻害剤セルレニンなどの標的である
【0009】
縮合酵素の好ましい阻害剤としては、アルキル化剤、酸化剤、およびジスルフィド交換を受ける能力がある試薬を含む広範囲な化学化合物が挙げられる。酵素の結合ポケットは、長鎖、E,E,ジエン類を選好する。
【0010】
主に、側鎖ジエンを含有する試薬、およびチオラート陰イオンとの反応性を示す基は、縮合酵素の優れた阻害剤であるとみられる。下式のセルレニン[(2S,3R)−2,3−エポキシ−4−オキソ−7,10ドデカジエノイルアミド]がその例である。
【化1】
【0011】
セルレニンは、脂肪酸縮合酵素の縮合酵素の活性部位における重要なシステインチオール基に共有結合し、この重要な酵素ステップを不活性化する(フナバシ(Funabashi)ら、J.Biochem.、1989年(105)、pp.751〜755)。セルレニンは他の活性を有することが注目されているが、これらはヒト細胞の当該モデルではありえない微生物において生じ(例えば、菌類におけるコレステロール合成の阻害、オムラ(Omura)、Bacteriol.Rev.、1976年(40)、pp.681〜697、またはウイルスにおけるRNA合成の減少、ペレス(Perez)ら、FEBS、1991年(280)、pp.129〜133)、実質的に高い薬剤濃度で生じ(5mg/mlでのウイルスHIVプロテアーゼの阻害、メリング(Moelling)ら、FEBS、1990年(261)、pp.373〜377)、または内因性脂肪酸合成の阻害の直接的な結果であり得る(Bリンパ球およびマクロファージにおける抗原処理の阻害、ファロ(Falo)ら、J.Immunol.、1987年(139)、pp.3918〜3923)のいずれかである。一部のデータは、セルレニンがタンパク質のミリトイル化を特異的に阻害することがないことを示す(シモン(Simon)ら、J.Biol.Chem.、1992年(267)、pp.3922〜3931)。
【0012】
さらにいくつかのFAS阻害剤が、米国特許出願第08/096,908号および1994年1月24日出願のその一部継続出願において開示されているが、その開示は、参照により本明細書中に含まれる。脂肪酸合成酵素、クエン酸リアーゼ、CoAカルボキシラーゼ、リンゴ酸酵素の阻害が含まれる。
【0013】
トモダ(Tomoda)ら(トモダ(Tomoda)ら、Biochim.Biophys.Act、1987年(921)、pp.595〜598、オムラ(Omura)ら、J.Antibiotics、1986年(39)、pp.1211〜1218)は、トリアクシン(Triacsin)C(時にはWS−1228Aと呼ばれる)を記載しているが、これは放線菌(Streptmyces sp.)SK−1894の産物である自然発生のアシル−CoA合成酵素阻害剤である。トリアクシンCの化学構造は、1−ヒドロキシ−3−(E,E,E−2’,4’,7’−ウンデカトリエニリジン)トリアゼンである。トリアクシンCは、8.7μMでラット肝アシル−CoA合成酵素の50%阻害を誘発し、関連化合物、トリアクシンAは、長鎖脂肪酸との競合力がある機序によってアシルCoA−合成酵素を阻害する。アシル−CoA合成酵素の阻害は動物細胞に対して毒性である。トモダ(Tomoda)ら(トモダ(Tomoda)ら、J.Biol.Chem.、1991年(266)、pp.4214〜4219)は、トリアクシンCが、1.0μMでラジ(Raji)細胞における増殖阻害を誘発し、かつ、ベロ(Vero)細胞およびヒーラー(Hela)細胞の増殖を阻害することが証明されていることも開示している。トモダ(Tomoda)らは、アシル−CoA合成酵素が動物細胞において必須であり、この酵素の阻害が致死効果を有することをさらに開示している。
【0014】
米国特許第5,981,575号(その開示は、参照により本明細書中に含まれる)において、化合物のファミリー(ガンマ−置換−アルファ−メチレン−ベータ−カルボキシ−ガンマ−ブチロラクトン)が、脂肪酸合成を阻害し、腫瘍細胞の増殖を阻害し、かつ減量を誘導することが証明されている。同’575号特許に開示された化合物は、治療用に天然物のセルレニンに対していくつかの利点を有する。すなわち、[1]セルレニンの高度に反応性のエポキシド基を含有することがなく、[2]水溶液中で安定かつ可溶性であり、[3]二段階合成反応によって製造され、したがって容易に大量に製造され得るとともに、[4]生化学的および薬理学的分析のために高い特異的活性に容易にトリチウム化される。脂肪酸合成酵素阻害剤であるこの化合物のファミリーの合成は、’575号特許において記載されているが、FASを発現する腫瘍細胞を治療する手段としてのそれらの使用、かつ体重を減少させる手段としてのそれらの使用が記載されている。’575号特許は、体重を減少させる手段として脂肪細胞質量(脂肪細胞の数またはサイズ)を体系的に減少させる脂肪酸合成酵素阻害剤の使用も開示している。
【0015】
マウスおよびヒトにおける脂肪酸合成の主要部位は肝臓(ロンカリ(Roncari)、Can.J.Biochem.、1974年(52)、pp.221〜230;トリスカリ(Triscari)ら、Metabolism、(34)、pp.580〜587;バラカット(Barakat)ら、Metabolism、1991年(40)、pp.280〜285を参照)、授乳中の乳腺(トンプソン(Thompson)ら、Pediatr.Res.、1985年(19)、pp.139〜143を参照)、および脂肪組織(ゴールドリック(Goldrick)ら、Clin.Sci.Mol.Med.、1974年(46)、pp.469〜479)である。
【0016】
抗菌剤としての脂肪酸合成の阻害剤
セルレニンは、最初、セファロスポリウムカエルレセンス(Cephalosporium caerulens)の培養ブロスから潜在的な抗真菌性抗生物質として単離された。構造的にセルレニンは、(2R,3S)−エポキシ−4−オキソ−7,10−トランス,トランス−ドデカン酸アミドとして特徴づけられている。その作用機序は、脂肪酸の生合成に必要な縮合酵素であるベータ−ケトアシル−ACP合成酵素の、不可逆的結合による阻害であることが証明されている。セルレニンは、主にカンジダ(Candida)およびサッカロミセス属(Saccharomyces sp.)に対する抗真菌剤として分類されている。また、一部のインビトロ活性が、一部の細菌、放線菌、およびミコバクテリアに対して証明されているが、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する活性は確認されなかった。脂肪酸合成阻害剤、特にセルレニンの活性は、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)または他の感染性真核病原体、例えば、ニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)、ランブリア鞭毛虫(Giardia lamblia)、プラスモディウム属(Plasmodium sp.)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、トリパノソーマ属(Trypanosoma)、リーシュマニア属(Leishmania)、および住血吸虫属(Schistosoma)などの原虫に対して評価されていない。
【0017】
特に治療を受けやすい感染症は、感染動物の外部からアクセス可能な表面における病変を誘発する疾患である。外部からアクセス可能な表面としては、非侵襲性手段によって(皮膚を切断または穿刺することなく)達せられる皮膚表面そのものを含めて、鼻、口、胃腸、または尿生殖器表面、および肺胞嚢など肺表面を覆うなどの粘膜が挙げられる。かかりやすい疾患として挙げられるのは、(1)特に小胞子菌属(Microsporum)、白癬菌属(Trichophyton)、表皮菌属(Epidermophyton)、または粘膜カンジダ症(Mucocutaneous candidiasis)によって誘発される場合の皮膚真菌症または白癬、(2)特にアスペルギルス属(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、またはカンジダ(Candida)によって誘発される場合の真菌性角膜炎、(3)特にアカントアメーバ属(Acanthamoeba)によって誘発される場合のアメーバ性角膜炎、(4)特にランブリア鞭毛虫(Giardia lamblia)、エントアメーバ属(Entamoeba)、クリプトポリジウム(Cryptosporidium)微胞子虫(Microsporidium)、またはカンジダ(Candida)(免疫無防備状態動物において最も一般的)によって誘発される場合の胃腸疾患、(5)特にカンジダアルビカンス(Candida albicans)または膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)によって誘発される場合の尿生殖器感染、および(6)特にヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、またはニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)によって誘発される場合の肺疾患である。脂肪酸合成阻害剤による治療を受けやすい感染性微生物としては、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、特に多剤耐性菌株、およびトキソプラズマなどの原虫が挙げられる。
【0018】
脂肪酸合成を阻害する化合物は、微生物細胞の増殖を阻害するために使用され得る。しかし、患者に投与される化合物は、患者および標的微生物細胞の両方に対して等しく毒性であってはならない。したがって、標的微生物細胞のみに、またはこれに主として影響を与える阻害剤を選択することが有利である。
【0019】
その独自の内因性の合成脂肪酸に依存している真核微生物細胞は、I型FASを発現する。これは、FAS阻害剤が増殖抑制性であるということ、かつ外因性に添加された脂肪酸が正常は患者の細胞を保護し得るが、FAS阻害剤からのこれら微生物細胞を保護しえないということによって示されている。したがって、細胞によって脂肪酸の合成を防止する薬剤は、感染を治療するために使用され得る。真核生物においては、脂肪酸は、基質のアルキニルCoA、マロニルCoA、およびNADPHを用いてI型FASによって合成される。したがって、基質をこの経路へ供給し得る他の酵素はまた、脂肪酸合成の速度に影響し、内因性に合成脂肪酸に依存する微生物において重要であり得る。これら酵素のいずれかの発現または活性の阻害は、内因性に合成脂肪酸に依存する微生物細胞の増殖をもたらす。
【0020】
I型FASの産物は、種々の生物で異なる。例えば、出芽酵母菌(fungus S.cerevisiae)においては、産物は主に補酵素Aとエステル結合しているパルミテートおよびステアレートである。スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)においては、産物は炭素の長さが16〜24個である飽和脂肪酸CoAエステルである。これらの脂質はしばしばさらに加工され、種々の脂質成分に対する細胞の必要を満たす。
【0021】
ダウンストリームプロセッシングまたは脂肪酸の利用における重要なステップの阻害は、細胞が内因性脂肪酸に依存するか、または細胞外から供給される脂肪酸を利用するかどうかに関係なく、細胞機能を阻害することが予想され得るが、そこでこれらダウンストリームステップの阻害は、内因性脂肪酸に依存する微生物細胞に対して十分に選択性ではありえない。しかし、かかる微生物に対するI型脂肪酸合成阻害剤の投与により、ダウンストリーム脂肪酸プロセッシングおよび/または利用の阻害剤による阻害に対して、それらの微生物がより反応しやすくなることが発見されている。この共同作用のため、脂質生合成および/または利用におけるダウンストリームステップの1個もしくはそれ以上の阻害剤との脂肪酸合成阻害剤の併用投与は、内因性に合成脂肪酸に依存する微生物細胞に選択的に影響を与える。好ましい併用としては、FASの阻害剤とアルキニルCoAカルボキシラーゼ、またはFASとMASの阻害剤が挙げられる。
【0022】
ある哺乳動物がI型FASを発現する生物の細胞に感染していることが判定されている場合、またはFASが患者の生体液中に確認されている場合は、その哺乳動物または患者は、脂肪酸合成阻害剤によって治療され得る(特許第5,614,551号)。
【0023】
食欲を抑制し、減量を刺激する神経ペプチドYの阻害は、国際特許出願第PCT/US01/05316号に記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。しかし、その出願では、本出願において記載されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【0024】
減量を刺激するカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)の刺激は、米国特許出願第60/354,480号に記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。その出願でも本明細書で開示されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【0025】
癌細胞の増殖を阻害するFAS阻害剤の使用は、米国特許第5,759,837号において記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。その出願では、本出願において記載されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【0026】
癌細胞の増殖を阻害するFAS阻害剤の使用は、米国特許第5,759,837号において記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。その出願では、本出願において記載されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の概要
さまざまな治療的に有用な特性、例えば、FAS阻害、NPY阻害、CPT−1刺激、減量誘導能、抗癌および抗菌特性を有する新しいクラスの化合物が発見されている。
【0028】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって動物およびヒトにおける減量を誘導する方法を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物をヒトまたは動物に投与することによってCPT−1の活性を刺激する方法を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによってヒトまたは動物における神経ペプチドYの合成を阻害する方法を提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによってヒトまたは動物における脂肪酸合成酵素活性を阻害する方法を提供することである。
【0032】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって動物およびヒトにおける癌を治療する方法を提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって動物およびヒトにおける癌細胞の増殖を防止する方法を提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって侵襲性微生物細胞の増殖を阻害する方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面の簡単な説明
【図1】チオラクトマイシン(thiolactamycin)を調製するための合成スキームを示す。
【図2】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図3】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図4】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図5】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図6】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図7】本発明に従う化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図8】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図9】本発明に従う所定の化合物を調製するための2つの合成スキームを示す。
【図10】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図11】本発明に従う所定の化合物の減量に対するインビボ試験の結果を示す。
【図12】本発明に従う所定の化合物の抗癌活性に対するインビボ試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
本発明の化合物は、従来の手段によって調製され得る。多くの化合物の合成が実施例に記載されている。これらの化合物は、肥満、癌、または微生物に基づく感染の治療に有用であり得る。
【0037】
本発明の1つの実施形態は、以下の一般式:
【化2】
[式中:
R1=H
R2=−OH、−OR5、−OCH2C(O)R5、−OCH2C(O)NHR5、−OC(O)R5、−OC(O)OR5、−OC(O)NHNH−R5、または−OC(O)NR5R6であり、ここで、R5がH、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR5が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R3およびR4は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり;
但し、R2が−OH、−OCH3、または−OC(O)CF3であり、R3が−CH3である場合、R4は−CH2CH2OH、−CH2−(C6H5)、または−CH=CH−CH3ではなく、
さらに、R3が−CH2−(C6H5)である場合、R4は−CH3または−CH2CH3ではない]を有する化合物である。
【0038】
(適用可能である場合、上記化合物のケト互変異性型も式Iに含まれる。)
【0039】
好ましい実施形態においては、R5はC1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである。
【0040】
好ましい実施形態においては、R3は−Hまたは−CH3である。
【0041】
好ましい実施形態においては、R4はn−C6−C8アルキルである。
【0042】
本発明の別の実施形態は、式II
【化3】
[式中
R6=C2−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CHR10OR11、−CO(O)R10、−C(O)NR10R11、−CH2C(O)R10、または−CH2C(O)NHR10であり、ここでR10およびR11が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであるが、R6はジ−、トリ−、またはテトラ−アルキル置換フェニルではなく、
R7=−OH、−OR12、−OCH2C(O)R12、−OCH2C(O)NHR12、−OC(O)R12、−OC(O)OR12、−OC(O)NHNH−R12、または−OC(O)NR12R13であり、ここでR12およびR13が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR12およびR13が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R8およびR9は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R6がエチルである場合、R8およびR9が同じでないならば、R8またはR9はエチル、−CH2COOH、−CH2C(O)NH2、−CH2−(C6H5)ではないが、R6がエチルであってもR8およびR9が同じであり得、
R6がフェニルであり、R7が−OHである場合、R8およびR9は同時に−CH3および−プロフェニルではあり得ず、
R6がフェニルである場合、R8およびR9は同時に−CH3または−CH2−(C6H5)であり得ない]の化合物である。
【0043】
好ましい実施形態においては、R10はC1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである。
【0044】
好ましい実施形態においては、R8は−Hまたは−CH3である。
【0045】
好ましい実施形態においては、R9はn−C6−C8アルキルである。
【0046】
本発明の別の実施形態は、式III
【化4】
[式中
R14=−C(O)R18であり、ここでR18がH、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合によりハロゲン原子を含有し、
R15=−OH、−OR19、−OCH2C(O)R19、−OCH2C(O)NHR19、−OC(O)R19、−OC(O)OR19、−OC(O)NHNH−R19、または−OC(O)NR19R20であり、ここでR19およびR20が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR19およびR20が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R16およびR17は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R14が−C(O)CH3であり、R16およびR17が同一でない場合、R16またはR17のいずれもゲラニル、p−フルオロベンジル、シンナミル、ファルネシル、メチル、または−CH2−(C6H5)ではなく、
R14が−C(O)C6H5である場合、R16またはR17のいずれもメチルではない]の化合物を含んで成る。
【0047】
本発明の別の実施形態は、医薬希釈剤、ならびに式I、II、III、またはIV:
【化5】
[式中:
R21=H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CH2OR25、−C(O)R25、−CO(O)R25、−C(O)NR25R26、−CH2C(O)R25、または−CH2C(O)NHR25であり、ここでR25およびR26が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
R22=−OH、−OR27、−OCH2C(O)R27、−OCH2C(O)NHR27、−OC(O)R27、−OC(O)OR27、−OC(O)NHNH−R27、または−OC(O)NR27R28であり、ここでR27およびR28が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR27およびR28が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R23およびR24は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである]の化合物を含んで成る医薬組成物である。
【0048】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液または懸濁液、経口溶液または懸濁液、適量の化合物を含有する水中油および油中水乳剤、坐剤、および液中懸濁液または溶液などの単位剤形でヒトおよび他の動物に対する投与のために提示されうる。本明細書で用いられる用語「医薬希釈剤」および「医薬担体」は同じ意味を有する。経口投与のために、固体または液体の単位剤形が調製されうる。錠剤などの固体組成物を調製するために、化合物は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸カルシウム、でんぷん、乳糖、アカシア、メチルセルロース、および医薬希釈剤または担体など機能的に類似の材料など従来の成分と混合されうる。カプセル剤は、化合物を不活性医薬希釈剤と混合し、かつその混合物を適切なサイズの硬ゼラチンカプセル剤に充填することによって調製される。軟ゼラチンカプセル剤は、許容される植物油、軽流動パラフィン、または他の不活性油とともに化合物のスラリーの機械カプセル化によって調製される。
【0049】
液体単位剤形、またはシロップ剤、エリキシル剤、および懸濁液などの経口投与が調製されうる。これらの剤形は、糖、芳香性香料添加剤、防腐剤とともに水性賦形剤中に溶解し、シロップ剤を形成されうる。懸濁液は、アカシア、トラガカント、メチルセルロースなどの懸濁剤を用いて水性賦形剤で調製されうる。
【0050】
非経口投与のために、化合物および滅菌賦形剤を利用して液体単位剤形が調製されうる。溶液の調製においては、化合物は注射用に水中に溶解され、適切なガラス瓶またはアンプルに充填し密閉する前にろ過滅菌されうる。局所麻酔薬などの佐剤、防腐剤、および緩衝剤が賦形剤中に溶解されうる。組成物はガラス瓶に充填後に凍結され、水は真空下に除去されうる。次いで、凍結乾燥粉剤はガラス瓶中で計量され、使用前に再構成されうる。
【0051】
本発明の化合物に関して想定される臨床的治療項目として挙げられるのは、(1)ブドウ球菌(staphylococci)および腸球菌(enterococci)などの侵襲性微生物による感染、(2)その細胞が脂肪酸合成酵素を過剰発現する多くの組織において発生する癌、(3)過剰なカロリーの摂取による肥満である。投与量および治療期間は、さまざまな要因によって決まるが、それらに含まれるのは、(1)患者の年齢、体重、および臓器機能(例えば、肝および腎機能)、(2)治療される疾患過程の性質および程度、ならびに既存の重要な併存疾患、および服用される併用薬、および(3)投与経路、治療を達成するのに必要な投与の頻度および期間、および薬剤の治療指標などの薬剤関連パラメータである。一般に、投与量は、約1μg/ml〜10μg/mlの標的部位での有効濃度を達成することを目的に1ng/ml〜100ng/ml血清レベルを達成するように選択される。
【実施例】
【0052】
実施例
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、これによって限定されない。
【0053】
本発明による一連の化合物が、以下に記載されているように合成された。一部の化合物の生物学的活性は以下のようにプロファイルされた。化合物は以下について試験された。すなわち、(1)精製ヒトFASの阻害、(2)全細胞における脂肪酸合成活性の阻害、(3)クリスタルバイオレット(crystal violet)およびXTTアッセイを用いて、高レベルのFASおよび脂肪酸合成活性を有することが知られる培養MCF−7ヒト乳癌細胞に対する細胞毒性。次いで、低レベルの細胞毒性を有する選択化合物は、バルブ(Balb)/Cマウスにおける減量について試験された。また、有意な減量および低レベルの細胞毒性を示す群からの代表的化合物は、脂肪酸酸化、およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)活性、ならびにバルブ(Balb)/Cマウスにおけるノーザン分析による視床下部NPY発現に対するその効果について試験された。一部の化合物は、グラム陽性および/または陰性菌への活性についても試験された。
【0054】
化合物の化学合成
【化6】
【0055】
(2S,5R)−2−t−ブチル−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(1)1。ペンタン(24mL)中(S)−チオ乳酸1(4.0g、37.7mmol)の溶液に、トリメチルアルキニルアルデヒド(4.5mL、41.5mmol)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(48μL)を添加した。ディーン・スターク・トラップを使用する還流で、溶液を20時間、加熱した。冷却後、溶媒を取り出し、1および2のシス:トランス混合物(2.5:1)(6.4g、99%)を得た。再結晶化(ペンタン/Et2O(8:1)−78℃)により、純物質1[α]D24=−38(c0.4,CHCl3)を生じた。1H NMR(300MHz、CDCl3)シス異性体δ0.99(s,9H);1.53(d,J=7Hz,3H);3.94(q,J=7Hz,1H);5.17(s,1H)。(±)−チオ乳酸からラセミ体1も調製した。
【化7】
【0056】
一般手順A。(2S,5R)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−メチル−2ブテニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(3)。−78℃のTHF(8.0mL)中ジイソプロピルアミン(0.6mL、4.6mmol)の混合物に、n−BuLi(n−ヘキサン中3.3mL、1.4M)を添加し、得られる溶液を30分間、0℃で撹拌し、次いで、−78℃に冷却した。次いで、−78℃のTHF中の1(800mg、4.6mmol)を、カニューレにより段階的に添加し、得られる溶液を30分間、−78℃で撹拌した。次いで、−78℃のTHF(1.4mL)中トランス2−メチル−2ブテナール(0.4mL、4.6mmol)をカニューレを介して添加した。−78℃で1.5時間撹拌後、1N HCl(25mL)を添加し、溶液をEt2O(3×30mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン、rf=0.1)により、ジアステレオマーの1.6:1混合物として3(955mg、81%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ(主要なジアステレオマー)0.99(s,9H)、1.40(s,3H)、1.63(d,J=6.7Hz、3H)、1.69(m,3H)、4.36(s,1H)、5.25(s,1H)、5.60−5.65(m,1H);(少数のジアステレオマー)0.98(s,9H)、1.59(s,3H)、1.63(d,J=6.7Hz,3H)、1.72(m,3H)、4.25(s,1H)、5.07(s,1H)、560−5.64(m,1H)13C NMR(75MHz、CDCl3)δ(主要なジアステレオマー)12.5、13.2、24.3、24.8、60.7、81.8、87.9、126.3、133.8、178.8;IR(ATR)3466、1743cm−1。C13H22O3Sの分析計算値:C,60.4;H,8.58;実測値:C,60.4;H,8.60。
【化8】
【0057】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−オクテニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(4)。一般手順Aに従い、(±)1(800mg、4.59)および2−トランスオクテナール(0.58mL、5.1mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)後にジアステレオマーの1.2:1混合物として4(1.1g、81%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)主要なジアステレオマーδ0.85(t,J=7.2Hz,3H)、0.97(bs,9H)、1.18−1.35(m,6H)、1.56(s,3H)、2.00−2.08(m,2H)、2.38(d,J=5Hz,1H)、4.15−4.19(m,1H)、5.13(s,1H)、5.45−5.59(dd,J=7,14Hz,1H)、5.72−5.77(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.7、22.3、24.7、28.5、31.3、32.1、35.2、60.6、78.8、87.4、127.2、136.5、175.7。1H NMR(300MHz、CDCl3)少数のジアステレオマー1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7.2Hz,3H)、0.97(s,9H)、1.18−1.35(m,6H)、1.40(s,3H)、2.00−2.07(m,2H)、2.31(d,J=5Hz,1H)、4.25−4.30(m,1H)、5.27(s,1H)、5.45−5.59(dd,J=7,14Hz,1H)、5.79−5.83(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.7、22.3、23.9、24.828.5、31.2、32.1,35.3、61.1、78.3、87.8、127.2、137.2、177.0。IR(NaCl)2959、1765cm−1。C16H28O3Sの分析計算値:C,63.9;H,9.39;実測値:C,63.9;H,9.41。
【化9】
【0058】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−ヘキセニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン。(5)。一般手順Aに従い、(±)1(800mg、4.59)および2−トランスオクテナール(0.58mL、5.1mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)後にジアステレオマーの2.4:1混合物として5(813mg、65%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(t,J=7.3Hz,3H)、0.99(s,9H)、1.38−1.45(m,2H)、1.41(s,3H)、2.02(q,J=7Hz,2H)、4.26−4.31(m,1H)、5.27(s,1H)、5.45−5.63(m,1H)、5.74−5.83(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.6、21.6、24.1、24.9、35.2、37.2、61.2、78.5、87.9、12.3、137.3、179.1。IR(NaCl)2960、1765cm−1。C14H24O3Sの分析計算値:C,61.7;H,8.88;実測値:C,61.74;H,8.89。
【化10】
【0059】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンテニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(6)。一般手順Aに従い、(±)1(800mg、4.59mmol)および2−メチル−2−ペンテニル(0.58mL、5.0mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)後にジアステレオマーの1.8:1混合物として6(884mg、71%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.93−0.99(m,12H)、1.40(s,3H)、1.68(s,3H)、2.01−2.06(m,2H)、4.33(d,J=6.9Hz,1H)、5.24(s,1H)、5.48−5.54(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ12.6、13.8、20.9、21.1、24.8、35.4、60.6、81.8、87.9、132.6、133.9、178.3。IR(NaCl)2961、1767cm−1。C14H24O3Sの分析計算値:C,61.7;H,8.88;実測値:C,61.6;H,8.90。
【化11】
【0060】
一般手順B。(2S,5R)−2−(t−ブチル)−5−(2−メチル−ブタ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(7)。0℃まで冷却したCl(CH2)2Cl(115mL)中3(3.23g、12.5mmol)の溶液にNEt3(4.2mL、30mmol)および塩化2,4−ジニトロベンジルスルフェニル(6.6g、28.2mmol)を添加した。溶液を、30分間、またはTLC(10%EtOAc/ヘキサン、rf=.55主要、rf=.48少数)がジアステレオマーのスルフェン酸エステルの完全な形成を示すまで、加温した。次いで、混合物を、90℃で、4時間、またはTLCによってスルフェン酸エステルの完全変換が示されるまで、還流した。0℃まで冷却した後、次いで、ペンタン(50mL)を添加し、この混合物をセライト(Celite)を介してろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン、rf=0.4)により、純物質7(2.3g、75%)を得た。[α]D24=+237(c1.0、CHCl3)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.98(s,9H)、1.72(s,3H)、1.86(s,3H)、5.06(d,J=10.7Hz,1H)、5.18(s,1H)、5.24(d,J=17.3Hz,1H)、5.70(s,1H)、6.24−6.33(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(300MHz、CDCl3)δ12.5、25.1、26.6、34.9、53.7、87.4、113.7、132.6、137.8、140.9、176.3。C13H20O2Sの分析計算値:C,64.9;H,8.38;実測値:C,63.8;H,8.28。
【化12】
【0061】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(オクタ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(8)。一般手順Bに従い、(±)4(306mg、1.00mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)後に8(212mg、75%、4:1トランス:シス)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)トランス異性体δ0.84−0.89(m,3H)、1.01(s,9H)、1.22−1.38(m,4H)、1.61(s,3H)、2.04−2.11(m,2H)、5.03(s,1H)、5.58(d,J=15Hz,1H)、5.64−5.78(m,1H)、0.96−6.05(m,1H)、6.19(dd,J=10.1,15.1Hz,1H)。13C NMR(75MHz、CDCl3)トランス異性体δ13.6、22.0、22.5、25.2、31.2、32.1、34.6、55.9、87.0、128.5、129.6、130.2、137.2、174.7。IR(NaCl)2959、1772cm−1。C16H26O2S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値282.1653、観測値、282.1681。
【化13】
【0062】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(ヘキサ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(9)。一般手順Bに従い、(±)5(690mg、2.53mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)後に9(461mg、72%、4:1トランス:シス)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.95−1.01(m,12H)、1.61(s,3H)、2.07−2.12(m,2H)、5.05(s,1H)、5.58(d,J=15Hz,1H)、5.81(d,J=6Hz,1H)、6.00−6.05(m,1H)、6.15−6.24(dd,J=10,15.2Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.3、24.8、25.3、25.7、34.5、56.1、87.2、127.4、129.4、130.0、138.9、175.1。IR(NaCl)2966、1771cm−1。C14H22O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値277.1232、観測値、277.1237。
【化14】
【0063】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(2−メチル−ペンタ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(10)。一般手順Bに従い、(±)6(500mg、2.51mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)後に10(342mg、73%、14:1トランス:シス)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.00(s,9H)、1.7(s,3H)、1.75(d,J=6.6Hz,3H)、1.85(s,3H)、5.18(s,1H)、5.57(s,1H)、5.75(dq,J=6.6,16Hz,1H)、5.97(d,J=16Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)d13.0、18.0、25.2、27.4、34.8、53.8、87.4、125.4、129.3、135.5、137.8、176.3。IR(NaCl)2961、1770cm−1。C14H22O2S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値254.1341、観測値、254.1309。
【化15】
【0064】
一般手順C。2−(R)−2,4−ジメチル−2−チオプロピオニル−ヘキサ−3,5−ジエン酸エチルエステル(12)。炭酸セシウム(332mg、1.0mmol)を、EtOH(3.9mL)中7(250mg、1.0mmol)の溶液に直接添加した。20分後、この混合物を、NH4Cl(塩)/1N HCl(15mL、3:1)の混合物に注ぎ、Et2O(3×20mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗11を得た。11にCH2Cl2(7.5mL)を添加し、溶液を0℃にまで冷却した。NEt3(0.14mL、1.0mmol)および塩化プロピオニル(.09mL、1.0mmol)を添加し、溶液を0℃で撹拌した。40分間後、NH4Cl(塩)(20mL)を添加し、この混合物をCH2Cl2(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン、rf=0.4)により、純物質12(261mg、72%)を得た。[α]D23=+4.2(c0.9、CHCl3)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.11(t,J=7.4Hz,3H)、1.23(t,J=7.0Hz,3H)、1.83(s,3H)、1.85(s,3H)、2.48(q,J=7.5Hz,2H)、4.18(q,J=6.9Hz,2H)、5.02(d,J=10.7Hz,1H)、5.18(d,J=17.3Hz,1H)、5.73(s,1H)、6.24−6.34(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(300MHz、CDCl3)δ9.43、12.9、13.9、26.1、36.5、55.2、61.9、113.1、131.4、138.2、141.4、172.1、198.9。IR(NaCl)2981、1735、1694cm−1。C13H20O3S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値256.1133;観測値256.1127。
【化16】
【0065】
(±)−2−チオアルキニル−2−メチル−デカ−3,5−ジエン酸エチルエステル(13)。一般手順Cに従い、8(200mg、0.71mmol)および塩化アルキニル(55μL、0.78mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に13(119mg、59%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.84−0.89(m,3H)、1.23(t,J=7.1Hz,3H)、1.28−1.38(m,4H)、1.71(s,3H)、2.01−2.08(m,2H)、2.23(s,3H)、4.18(q,J=7.1Hz,2H)、5.66−5.76(m,2H)、5.89−6.03(m,1H)、6.20(dd,J=10.3,15.3Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.8、13.9、22.2、22.8、29.9、31.2、32.3、56.1、61.9、128.4、129.2、132.2、137.1、171.6、194.6。IR(NaCl)2930、1737、1694cm−1。C15H24O3SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値307.1338、観測値307.1339。
【化17】
【0066】
(±)−2−チオアルキニル−2−メチル−オクタ−3,5−ジエン酸エチルエステル(14)。一般手順Cに従い、9(353mg、1.39mmol)および塩化アルキニル(98mL、1.39mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に14(142g、40%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.83(t,J=7.3Hz,3H)、1.24(t,J=7.1Hz,3H)、1.72(s,3H)、2.03−2.17(m,2H)、2.25(s,3H)、4.17(q,J=7.1Hz,2H)、5.72−5.81(m,2H)、5.95−6.04(dd,J=10,15Hz,1H)、6.18−6.27(dd,J=10,15Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.2、13.9、22.8、25.6、30.2、56.1、61.9、128.2、128.4、132.1、138.5、171.6、194.8。IR(NaCl)2929、1736、1693cm−1。C13H20O3SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値279.1025、観測値279.1032。
【化18】
【0067】
(±)−2−チオアルキニル−2,4−ジメチル−ヘプタ−3,5−ジエン酸エチルエステル(15)。一般手順Cに従い、10(369mg、1.46mmol)および塩化アルキニル(103μL、1.46mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に15(271g、77%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.26(t,J=7.1Hz,3H)、1.74(d,J=6.6Hz,3H)、1.81(s,3H)、1.85(s,3H)、2.25(s,3H)、4.17(q,J=7.1Hz,2H)、5.56(s,1H)、5.65−5.73(dq,J=6.6,16Hz,1H)、5.99(d,J=16Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.8、14.1、18.2、26.2、30.5、55.6、62.0、125.2、128.3、135.7、138.5、172.2、194.8。IR(NaCl)2926、1737、1694cm−1。C13H20O3S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値256.1133、観測値256.1118。
【化19】
【0068】
(±)−2−チオアルキニル−2,4−ジメチル−ヘキサ−3,5−ジエン酸エチルエステル(16)。一般手順Cに従い、(±)7(380mg、1.56mmol)および塩化アルキニル(110μL、1.56mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に16(230mg、61%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.25(t,J=7.1Hz,3H)、1.84(s,3H)、1.87(s,3H)、2.24(s,3H)、4.21(q,J=7.1Hz,2H)、5.03(d,J=10.6Hz,1H)、5.21(d,J=17.3Hz,1H)、5.74(s,1H)、6.26−6.35(dd,J=10.6,17.3Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ12.9、13.9、25.9、30.1、55.8、62.0、113.3、131.3、138.3、141.3、182.3、194.6。IR(NaCl)2982、1735、1692cm−1。
【化20】
【0069】
一般手順D。5−(R)−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−5−(2−メチル−ブタ−1,3−ジエニル)−5−H−チオフェン−2−オン(17)(チオラクトマイシン(thiolactamycin))。−78℃のTHF(18.5mL)中12(315mg、1.23mmol)にLiHMDS(3.1mL、3.1mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を−5℃まで緩徐に加温させた。次いで、溶液を、1N HCl(25mL)に注ぎ、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。この粗混合物をNaHCO3(塩、15mL)中に採取し、Et2O(3×10mL)で抽出した。次いで、1N HClで水層をpH3(pH紙)にまで酸性にし、Et2O(3×10mL)およびEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、純物質17を得た。(182mg、70%、96%ee)。ヘキサン/アセトン(3:1)からの再結晶化により、光学的に富化された17を得た。[α]D24=+174(c0.6,MeOH)、mp融点119.5〜121℃(lit[α]D24+176(c1.0,MeOH)、mp120℃)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.72(s,3H)、1.76(s,3H)、1.91(s,3H)、5.05(d,J=10.7Hz,1H)、5.23(d,J=17.3Hz,1H)、5.58(s,1H)、6.23−6.33(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(300MHz、CDCl3)δ7.60、12.0、29.8、55.3、110.6、113.9、129.1、140.3、140.7、179.2、196.7。IR(NaCl)3422、1607cm−1。C11H14O2Sの分析計算値:C,62.8;H,6.71;実測値:C,62.1、6.71。
【化21】
【0070】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクタ−1,5−ジエニル−5−H−チオフェン−2−オン(18)。一般手順Dに従い、13(62mg、0.22mmol)から、18(21mg、41%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト互変異性体)δ0.88(t,J=6.9Hz,3H)、1.19−1.41(m,4H)、1.75(s,3H)、2.03−2.19(m,2H)、3.22(d,J=21Hz,1H)、3.51(d,J=21Hz,1H)、5.67(d,J=15Hz,1H)、5.80(dt,J=7,17Hz,1H)、6.02(dd,J=10,15Hz,1H)、6.37(dd,J=10,15Hz,1H);1H NMR(300MHz、MeOD)エノール互変異性体δ0.97−1.03(m,3H)、1.36−1.53(m,3H)、1.87(s,3H)、2.15−2.22(m,2H)、5.78(d,J=15Hz,1H)、5.82−5.90(m,1H)、6.38(dd,J=10.3,15.4Hz,1H);13C NMR(75MHz、MeOD)エノール互変異性体δ14.4、23.3、25.2、32.6、33.4、60.9、102.1(m)、130.7、131.7、132.7、137.5、188.9、196.9。IR(NaCl)2927、1588cm−1;C13H18O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)計算値261.0911、観測値261.0912。
【化22】
【0071】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−ヘキサ−1,3−ジエニル−5−H−チオフェン−2−オン(19)。一般手順Dに従い、14(364mg、0.46mmol)から、19(180mg、60%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3、ケト:エノール互変異性体の2.3:1)ケト互変異性体:δ1.00(t,J=7.4Hz,3H);1.75(s,3H);2.09−2.16(m,2H);3.21(d,J=21Hz,1H)、3.52(d,J=21Hz,1H);5.70(d,J=15Hz,1H);5.86(dt,J=15Hz,6Hz,1H)、6.02(dd,J=10,15Hz,1H)、6.38(dd,J=15,10Hz,1H);1H NMR(300MHz,MeOD)エノール互変異性体δ1.09(t,J=7.4Hz,3H)、1.87(s,3H)、2.14−2.29(m,2H)、5.78(d,J=15Hz,1H)、5.78(dt,J=15,6.57Hz,1H)、6.09−6.18(m,1H)、6.38(dd,J=10.2,15Hz,1H);13C NMR(75MHz,MeOD)エノール互変異性体δ14.1、25.2、26.6、61.0、101(m)、129.7、131.7、132.7、138.9、188.9、197.1。IR(NaCl)2965、1592cm−1;C11H14O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値233.0607、観測値233.0626。
【化23】
【0072】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5(2−メチル−ペンタ−1,3−ジエニル)−5−H−チオフェン−2−オン(20)。一般手順Dに従い、15(226mg、0.9mmol)から、20(95mg、49%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト−互変異性体)δ1.75(s,3H)、1.77(d,J=3.2Hz,3H)、1.84(s,3H)、3.42(d,J=1.5Hz,2H)、5.43(d,J=21Hz,1H)、5.66(bs,1H)、5.78(dd,J=6,22Hz,1H)、6.04(d,J=15Hz,1H);1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ1.80−1.85(m,2H)、1.90(s,3H)、5.59(s,1H)、5.80−5.95(m,1H)、6.17(d,J=15Hz,1H);13C NMR(75MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ13.4、18.4、30.7、59.2、101.2(m)、126.2、128.4、136.9、140.6、190.2、197.6。IR(NaCl)2929、1593cm−1;C11H14O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値233.0607、観測値233.0597。
【化24】
【0073】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5(2−メチル−ブタ−1,3−ジエニル)−5−H−チオフェン−2−オン(21)。一般手順Dに従い、16(181mg、0.75mmol)から、21(66mg、45%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト互変異性体)δ1.78(s,3H)、1.86(s,3H)、3.43(d,J=5.6Hz,2H)、5.12(d,J=10.6Hz,1H)、5.27(d,J=17.3Hz,1H)、5.83(s,3H)、6.27−6.37(dd,J=10.6,17.3Hz,1H)。1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ1.79(s,3H)、1.84(s,3H)、5.04(d,J=10.7Hz,1H)、5.25(d,J=17.3Hz,1H)、5.66(s,1H)、6.36(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ12.6、30.4、59.0、102(m)、116.9、131.4、140.6、142.3、189.9、197.3。C10H12O2S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値196.0552、観測値196.0552。
【化25】
【0074】
(±)−5−ベンジル−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−H−チオフェン−2−オン(22)。一般手順Dに従い、31(1.4mg、5.0mmol)から、22(500mg、45%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.71(s,3H)、2.89(ab q,J=22Hz,2H)、3.17(ab q,J=14Hz,2H)、7.26(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)d26.2、46.6、48.5、67.9、127.7、128.6、130.6、134.9、195.3、207.3。
【化26】
【0075】
一般手順E。(±)−2−tert−ブチル−5−メチル−5−オクチル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン(23)。−78℃のTHF(9.7mL)中LiHMDS(6.2mL、6.20mmol、THF中1M)の混合物に、THF(9.6mL)中(±)−1(1.00g、5.75mmol)を、カニューレにより段階的に添加し、得られる溶液を30分間、−78℃で撹拌した。次いで、−78℃のTHF(4mL)中オクチルトリフラート(1.63g、6.20mmol)を、カニューレを介して添加した。−78℃で2時間撹拌後、1N HCl(10mL)を添加し、溶液をEt2O(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)により、分別可能なジアステレオマーの2:1−6:1混合物(1.33g、81%)として純物質23を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.5Hz,3H)、0.99(s,9H)、1.24−1.26(m,12H)、1.54(s,3H)、1.72−1.84(m,2H)、5.13(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、22.6、24.9、25.1、25.9、29.2、29.3、29.5、31.8、35.2、41.2、55.3、86.5、177.7;IR(NaCl)3443、2929、1829、1769cm−1。C16H30O2Sの分析計算値:C,67.0;H,10.6;実測値:C,66.3;H,10.5。C16H30O2S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値286.1967、観測値286.1969。
【化27】
【0076】
(±)−2−tert−ブチル−5−メチル−5−ヘキシル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン(24)。一般手順Eに従い、(±)−1(500mg、2.87mL)とヘキシルトリフラート(738mg、2.87mmol)から、分別可能なジアステレオマーの2:1−6:1混合物として24(557mg、75%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(t,J=6.5Hz,3H)、0.99(s,9H)、1.24−1.29(m,8H)、1.54(s,3H)、1.72−1.80(m,2H)、5.13(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、22.5、24.9、24.9、25.1、25.9、29.1、31.6、41.2、55.3、86.7、177.8;IR(NaCl)。C14H26O2Sの分析計算値:C,65.1;H,10.1;実測値:C,64.5;H,10.1。C14H26O2S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値258.1654、観測値286.1653。
【化28】
【0077】
一般手順F。(±)−2−アルキニルスルファニル−2−メチル−デカン酸エチルエステル(26)。EtOH(14.1mL)中23(650mg、2.27mmol)にNaOEt(2.1M)(2.16mL、4.54mmol)(EtOH(4.0mL)中Na金属(200mg、8.3mmol)から新たに調製した)を添加し、溶液を室温で撹拌させた。2時間後、溶液を、NH4Cl(塩)/1N HCl(25mL、3:1)に注ぎ、この混合物をEt2O(3×20mL)で抽出した。次いで、合わせた有機物をH2O(3×25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗25を得た。0℃のCH2Cl2(26mL)に溶解した25にNEt3(0.5mL、3.49mmol)および塩化アルキニル(0.3mL、3.49mmol)を添加した。0℃で40分間後、NH4Cl(塩)(30mL)を添加し、溶液をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)により純物質26(542mg、79%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(t,J=6.9Hz,3H)、;1.22−1.27(m,15H)、1.61(s,3H)、1.75−1.84(m,2H)、2.26(s,3H)、4.18(q,J=7.1Hz,2H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、14.1、22.6、23.4、24.4、29.1、29.2、29.6、30.3、31.8、38.3、55.8、61.5、173.1、195.8。IR(NaCl)3430、1868、1693、1644cm−1;C15H28O3Sの分析計算値:C,62.5;H,9.78;実測値:C,62.6;H9.83。
【化29】
【0078】
(±)−2−アルキニルスルファニル−2−メチル−オクタン酸エチルエステル(28)。一般手順Fに従い、24(940mg、3.63mmol)および塩化アルキニル(0.3mL、3.63mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に28(727mg、77%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)d0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.22−1.27(m,11H)、1.61(s,3H)、1.75−1.79(m,2H)、2.25(s,3H)、4.17(q,J=7Hz,2H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、14.1、22.4、23.4、24.4、29.3、30.3、31.5、38.4、55.7、61.5、173.0、194.7。IR(NaCl)3449、1736、1694cm−1。C13H24O3Sの分析計算値:C,59.9;H,9.29;実測値:C,60.6;H,9.44。
【化30】
【0079】
(±)−2−メチル2−プロピオニルスルファニル−デカン酸エチルエステル(30)。一般手順Fに従い、23(613mg、2.14mmol)および塩化プロピオニル(0.19mL、2.14mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に30(484mg、75%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.84(t,J=6.9Hz,3H)、1.10(t,J=7.5Hz,3H)、1.19−1.24(m,15H)、1.58(s,3H)、1.72−1.77(m,2H)、2.48(q,J=7.5Hz,2H)、4.17(q,J=7Hz,2H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ9.45、14.1、14.1、22.6、23.5、24.5、29.1、29.3、29.7、31.8、36.9、38.5、55.5、61.4、173.2、199.2。C16H30O3Sの分析計算値:C,63.5;H,10.0;実測値:C,63.7;H,10.0。
【化31】
【0080】
(±)−2−アルキニルスルファニル−2−メチル−3−フェニル−デカン酸エチルエステル(31)。一般手順Fに従い、5−ベンジル−2−tert−ブチル−5−メチル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン1(1.2g、4.7mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に31(954mg、76%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.19(t,J=7Hz,3H)、1.55(s,3H)、2.26(s,3H)、3.13(q,J=13Hz,2H)、4.13(q,J=7Hz,2H)、7.1(m,2H)、7.2(m,3H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、23.1、30.3、43.6、56.3、61.7、127.2、128.1、130.7、135.4、172.8、194.8。
【化32】
【0081】
一般手順G。(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(32)。−78℃のトルエン(27mL)中26(500mg、1.7mmol)にLiHMDS(4.3mL、4.3mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を−5℃まで緩徐に加温させた。次いで、溶液を、1N HCl(40mL)に注ぎ、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)により32(308mg、73%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト互変異性体)δ0.86(t,J=6Hz,3H)、1.19−1.24(m,10H)、1.48−1.53(m,2H)、1.65(s,3H)、1.77−1.85(m,1H)、1.94−2.01(m,1H)、3.36(s,2H);1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)0.87−0.89(m,3H)、1.29(m,10H)、3.29(s,3H)、1.81−1.87(m,2H);13C NMR(75MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ14.7、23.8、26.4、27.1、30.5、30.6、30.8、33.2、39.8、61.3、103.1(m)、189.8、197.8。IR(NaCl)3422、1593cm−1;C13H22O2Sの分析計算値:C,64.4;H,9.15;実測値:C,64.3;H,9.10。
【化33】
【0082】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−ヘキシル−5−H−チオフェン−2−オン(33)。一般手順Gに従い、28(715mg、2.75mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)後に33(402mg、69%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ(ケト互変異性体)0.86(t,J=7Hz,3H)、1.27(bs,8H)、1.68(s,3H)、1.94−2.26(m,2H)、3.35(s,2H)。1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ0.89(t,J=6.5Hz,3H)、1.21−1.36(m,7H)、1.46−1.54(m,1H)、1.64(s,3H)、1.80−1.90(m,2H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ14.6、23.8、26.3、27.1、30.5、32.9、39.8、61.3、103.5(m)、189.8、197.8。C11H18O2Sの分析計算値:C,61.6;H,8.47;実測値:C,61.7;H,8.67。
【化34】
【0083】
(±)−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(34)。一般手順Gに従い、30(469mg、1.55mmol)およびNaHMDS(3.87mL、3.87mmol、THF中1.0M)から、34(397mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(エノール互変異性体)δ0.86(t,J=6.8Hz,3H)、1.23(s,11H)、1.30−1.45(m,1H)、1.59(s,3H)、1.74(s,3H)、1.84−1.88(m,2H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ7.48、14.0、22.6、25.2、25.9、29.2、29.4、29.6、31.8、38.5、58.2、110.5、180.9、198.0。IR(NaCl)2927、1601cm−1。
【化35】
【0084】
一般手順H。(±)−4−メトキシ−5−メチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(35)。−40℃までに冷却したDMF(1.1mL)中32(70mg、0.27mmol)にNaH(14mg、0.35mmol、鉱油中60%)に添加し、溶液を加温させ、0℃で30分間、撹拌させた。次いで、硫酸ジメチル(50μl、0.55mmol)を直接添加し、混合物を加温させ、2.5時間、室温で撹拌させた。NH4Cl(塩)/1N HCl(3:1、10ml)を添加し、溶液をEt2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物をH2O(3×15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)により純物質35(59mg、80%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7Hz,3H);1.07−1.18(m,1H)、1.23(s,10H)、1.43−1.49(m,1H)、1.61(s,3H)、1.74−1.81(m,2H)、3.81(s,3H)、5.29(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、22.6、25.1、26.4、29.1、29.3、29.5、31.8、38.8、59.3、59.4、101.3、187.3、193.8。C14H24O2Sの分析計算値:C,65.6;H,9.50;実測値:C,65.8;H9.50。
【化36】
【0085】
(±)−4−メトキシ−5−メチル−5−ヘキシル−5−H−チオフェン−2−オン(36)。一般手順Hに従い、33(40.3mg、0.19mmol)および硫酸ジメチル(35μl、0.37mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に36(25mg、58%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.7Hz,3H)、1.08−1.13(m,1H)、1.24(s,6H)、1.35−1.39(m,1H)、1.61(s,3H)、1.75−1.82(m,2H)、3.81(s,3H)、5.30(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.4、29.2、31.5、38.9、59.4、59.4、101.3、187.3、193.8。
【化37】
【0086】
(±)−4−メトキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(37)。一般手順Hに従い、34(40mg、0.16mmol)、KH(27mg、0.20mmol、鉱油中30%)および硫酸ジメチル(30μl、0.31mmol)から、37(30mg、71%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.06−1.09(m,1H)、1.24(s,10H)、1.41−1.48(m,1H)、1.55(s,3H)、1.71−1.79(m,2H)、1.98(s,3H)、4.09(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ9.59、14.1、22.6、25.2、26.5、29.2、29.4、29.6、31.8、38.9、58.7、59.8、111.3、180.2、195.7。IR(NaCl)2927、1676、1631、1582cm−1;C15H26O2Sの分析計算値:C,66.6;H,9.69;実測値:C,66.5;H,9.67。
【化38】
【0087】
(±)−5−ベンジル−4−メトキシ−5−メチル−5−H−チオフェン−2−オン(38)。一般手順Hに従い、22(50mg、0.23mmol)および硫酸ジメチル(44μl、0.45mmol)から、38(38mg、74%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.65(s,3H)、3.1(q,J=7Hz,2H)、3.84(s,3H)、5.19(s,1H)、7.21(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ26.5、45.0、59.3、59.9、101.9、127.2、128.0、130.4、135.9、186.5、192.9。
【化39】
【0088】
(±)−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(39)。一般手順Hに従い、32(39mg、0.16mmol)およびブロモ酢酸エチル(36μl、0.32mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に39(39mg、73%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6Hz,3H)、1.24(s,11H)、1.29(t,J=7Hz,3H)、1.47−1.48(m,1H)、1.68(s,3H)、1.85−1.88(m,2H)、4.25(q,J=7Hz,2H)、4.54(s,2H)、5.20(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、14.1、22.6、25.1、26.4、29.2、29.3、29.5、31.8、38.8、59.7、61.9、67.9、102.3、166.2、185.3、193.4。IR(NaCl)2928、1762、1682、1612cm−1;C17H28O4Sの分析計算値:C,62.2;H,8.59;実測値:C,62.2;H,8.67。
【化40】
【0089】
(±)−5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(40)。一般手順Hに従い、33(20mg、0.09mmol)およびブロモ酢酸エチル(20μl、0.2mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に40(18mg、67%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)d0.86(t,J=6.8Hz,3H)、1.24−1.27(m,1H)、1.32(t,J=7Hz,3H)、1.47−1.48(m,1H)、1.68(s,3H)、1.84−1.88(m,2H);4.25(q,J=7Hz,2H)、4.54(s,2H)、5.21(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、14.1、22.5、25.1、26.4、29.2、31.6、38.9、59.7、61.9、68.0、102.3、166.2、185.3、193.3。IR(NaCl)2932、1762、1682、1612cm−1;C15H24O4Sの分析計算値:C,59.9;H,8.05;実測値:C,59.9;H,8.08。
【化41】
【0090】
(±)−4−(4−クロロ−ブトキシ)−5−メチル−5−オキシル−5H−チオフェン−2−オン(41)。一般手順Hに従い、32(47mg、0.18mmol)および3−ヨード−1−クロロブタン(40μl、0.36mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に41(46mg、85%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.07−1.27(m,1H)、1.24(s,10H)、1.48−1.51(m,1H)、1.62(s,3H)、1.75−1.82(m,2H)、1.89−1.98(m,4H)、3.59(t,J=5.9Hz,2H)、3.95−3.98(m,2H)、5.28(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.0、29.0、29.2、29.3、29.5、29.7、31.8、44.1、59.6、71.7、101.6、186.1、193.8。C17H29ClO2Sの分析計算値:C,61.3;H,8.78;実測値:C,61.9;H,9.01。
【化42】
【0091】
(±)−4−(4−クロロ−ブトキシ)−5−メチル−5−ヘキシル−5H−チオフェン−2−オン(42)。一般手順Hに従い、33(36mg、0.17mmol)および3−ヨード−1−クロロブタン(40μl、0.34mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に42(32mg、75%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=5.1Hz,3H)、1.09−1.14(m,1H)、1.25(s,6H)、1.44−1.53(m,1H)、1.63(s,3H)、1.77−1.85(m,2H)、1.90−2.00(m,4H)、3.59(t,J=4.5Hz,2H)、3.95−3.99(m,2H)、5.28(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ13.7、22.3、25.1、26.1、26.4、29.1、29.1、31.5、39.0、43.9、59.5、71.6、101.5、185.9、192.9。IR(NaCl)2927、1683、1607cm−1;C15H25ClO2Sの分析計算値:C,59.3;H,8.27;実測値:C,59.3;H,8.39。
【化43】
【0092】
(±)−4−アリルオキシ−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(43)。一般手順Hに従い、32(31mg、0.12mmol)および臭化アリル(21μl、0.25mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)を使用して分別および精製し得る43および44の3:1混合物(26mg、74%)を得た。O−アルキル化生成物43。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.3Hz,3H)、1.12−1.17(m,1H)、1.24(s,10H)、1.45−1.49(m,1H)、1.64(s,3H)、1.77−1.84(m,2H)、4.47(d,J=5.6Hz,2H)、5.29(s,1H)、5.31(d,J=11Hz,1H)、5.90−5.99(ddd,J=5.6,11,17Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.5、29.2、29.3、29.5、31.8、59.7、72.8、102.0、119.5、130.8、185.8、193.8。IR(NaCl)3441、1681、1609cm−1。C16H26O2Sの分析計算値:C,68.0;H,9.20;実測値:C,68.1;H,9.34。
【0093】
(44)C−アルキル化生成物1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.5Hz,3H)、1.25(m,12H)、1.54(s,3H)、1.79−1.84(m,2H)、2.43−2.47(m,2H)、5.05−5.11(m,2H)、5.57−5.69(1H)。
【化44】
【0094】
(±)−4−アリルオキシ−5−メチル−5−ヘキシル−5H−チオフェン−2−オン(45)。一般手順Hに従い、33(270mg、1.3mmol)および臭化アリル(0.2ml、2.52mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)を使用して分別および精製し得る45および46の2.3:1混合物(205mg、58%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(45)(O−アルキル化)δ0.84(t,J=7Hz,3H)、1.09−1.17(m,1H)、1.23(s,6H)、1.40−1.51(m,1H)、1.62(s,3H)、1.73−1.83(m,2H)、4.46(d,J=5.6Hz,2H)、5.33(d,J=10Hz,1H)、5.38(d,J=17Hz,1H)、5.28(s,1H)、5.87−5.98(ddd,J=5.6,10,17Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.5、29.2、31.6、38.9、59.7、72.8、101.9、119.6、130.7、185.8、193.9。C14H22O2Sの分析計算値:C,66.10;H,8.72;実測値:C,66.04;H,8.72。
【0095】
(46)(C−アルキル化)1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.24(bs,8H)、1.54(s,3H)、1.81−1.84(m,2H)、2.42−2.48(m,2H)、5.05−5.10(m,2H)、5.56−5.67(m,1H)。
【化45】
【0096】
(±)−4−アリルオキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(47)。一般手順Hに従い、34(70mg、0.27mmol)および臭化アリル(47μL、0.55mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)を使用して分別および精製し得る47および48の2.3:1混合物(C−アルキル化データ示さず)(67mg、82%)を得た。
【0097】
(47)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.06−1.48(m,12H)、1.58(s,3H)、1.71−1.82(m,2H)、1.94(s,3H)、4.80−4.82(m,2H)、5.28−5.46(m,2H)、5.89−5.03(m,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ9.65、14.0、22.6、25.2、26.6、29.2、29.3、29.6、31.8、39.2、57.5、72.5、118.2、119.5、132.6、179.4、193.8。IR(NaCl)2855、1676、1628、1580cm−1。
【0098】
(48)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.16−1.47(m,15H)、1.57(s,3H)、1.74−1.96(m,2H)、2.42−2.46(m,2H)、5.04−5.10(m,2H)、5.53−5.67(m,1H)。
【化46】
【0099】
(±)−5−メチル−5−4−プロパ−2−イニルオキシ−5H−チオフェン−2−オン(49)。一般手順Hに従い、33(45mg、0.21mmol)および臭化プロパギル(37μl、0.21mmol)から、49(21mg、40%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.11−1.20(m,1H)、1.24(s,6H)、1.41−1.49(m,1H)、1.63(s,3H)、1.76−1.86(m,2H)、2.59(t,J=2.5Hz,1H)、4.62(d,J=3.7Hz,1H)、4.63(d,J=3.7Hz,1H)、5.43(s,1H)。
【化47】
【0100】
(±)−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(50)。一般手順Hに従い、32(60mg、0.25mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(73μl、0.49mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に50(62mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.24(s,12H)、1.49(s,9H)、1.68(s,3H)、1.83−1.86(m,2H)、4.43(s,2H)、5.19(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.2、26.3、28.1、29.2、29.3、29.5、31.8、38.9、59.7、68.5、83.4、102.1、165.2、185.5、193.4。C19H32O4Sの分析計算値:C,64.0;H,9.05;実測値:C,64.1;H,9.08。
【化48】
【0101】
(±)−5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(51)。一般手順Hに従い、33(169mg、0.79mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(0.23mL、1.58mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に51(206mg、80%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.8Hz,3H)、1.21(s,8H)、1.47(s,9H)、1.64(s,3H)、1.78−1.83(m,2H)、4.41(s,2H)、5.15(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.3、28.0、29.1、31.5、38.9、59.6、68.4、83.4、102.1、165.2、185.5、193.4。
【化49】
【0102】
(±)−5−フェニル−5−メチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(52)。一般手順Hに従い、22(150mg、0.68mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(0.20mL、1.36mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に52(159mg、74%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.49(s,9H)、1.69(s,3H)、3.17(m,2H)、4.44(q,J=8.8Hz,2H)、5.13(s,1H)、7.24(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ25.8、28.1、45.0、60.1、68.4、83.6、102.6、127.2、128.1、130.5、135.9、165.3、184.9、192.8。
【化50】
【0103】
一般手順I。(±)−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(53)。CH2Cl2(1.4mL)に溶解した50(65mg、0.18mmol)にトリフルオロ酢酸(TFA)(0.7mL)を添加し、溶液を室温で4時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、粗材料をクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH2CO2H/ヘキサン)に供して、純物質53(48mg、89%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.24(s,11H)、1.47−1.48(m,1H)、1.68(s,3H)、1.84−1.88(m,2H)、4.62(m,2H)、5.31(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.1、29.2、29.3、29.5、31.8、38.9、60.1、67.7、102.4、169.8、185.8、195.4。IR(NaCl)3442、1645cm−1;C15H24O4Sの分析計算値:C,59.9;H,8.05;実測値:C,60.0;H,8.09。
【化51】
【0104】
(±)−5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(54)。一般手順Iに従い、51(177mg、0.54mmol)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(2.61mL)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)後に54(144mg、98%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.8Hz,3H)、1.24(s,7H)、1.44−1.47(m,1H)、1.68(s,3H)、1.84−1.91(m,2H)、4.62(s,2H)、5.33(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.1、29.2、31.6、38.9、60.3、67.7、102.4、169.8、185.9、196.1。
【化52】
【0105】
(±)−5−フェニル−5−メチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(55)。一般手順Iに従い、52(117mg、0.35mmol)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(1.4mL)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)後に55(68mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、MeOD)δ1.63(s,3H)、3.11(dd,J=6.8Hz,2H)、4.59(s,2H)、5.21(s,1H)、7.1(m,5H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ26.7、45.7、61.9、67.1、103.9、128.3、129.1、131.8、137.5、169.3、187.3、195.8。
【化53】
【0106】
(±)−N−アリル−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(41)。CH2Cl2(1.1mL)中53(64mg、0.21mmol)の冷却した溶液(0℃)に1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(49mg、0.25mmol)、DMAP(3mg、0.02mmol)、およびアリルアミン(18μL、0.25mmol)を添加し、混合物を室温まで加温させ、12時間撹拌させた。溶液を、1N HCl/(塩)(1:3)の溶液に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗56を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)により純物質56(50mg、66%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.12−1.22(m,1H)、1.24(s,10H)、1.41−1.51(m,1H)、1.68(s,3H)、1.82−1.87(m,2H)、3.98(app t,J=6Hz,2H)、4.50(s,2H)、5.20(d,J=17.3Hz,1H)、5.35(s,1H)、5.80−5.90(ddd,J=6,10,17Hz,1H)、6.19(bs,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、22.6、25.3、26.5、29.2、29.4、29.5、31.8、39.1、41.6、59.3、70.3、117.2、133.2、165.3、183.9、192.8。C18H29NO3Sの分析計算値:C,63.7;H,8.61;実測値:C,63.4;H8.67。
【化54】
【0107】
一般手順J。(±)−(5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アルキニル−メチルグリシン酸塩(57)。CH3CN(0.86mL)中54(42.4mg、0.15mmol)の溶液に、トリス(2−オキソ−3−オキサゾリニル)ホスフィンオキシド3(91mg、0.20mmol)、グリシン酸メチル塩酸塩(19.7mg、0.16mmol)およびNEt3(43μL、0.31mmol)を添加し、溶液を室温で20分間撹拌させた。混合液をNH4Cl(塩)/1N HCl(10mL)に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートし、クロマトグラフィー(40〜50%EtOAc/ヘキサン)に供して、純物質57(43mg、80%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.8Hz,3H);1.23−1.26(m,7H)、1.49−1.55(m,1H)、1.65(s,3H)、1.65(s,3H)、1.84−1.90(m,2H)、3.79(s,3H)、4.11(d,J=5Hz,1H)、4.12(d,J=5Hz,1H)、4.47(s,2H)、5.36(s,1H)、6.76(bs,1H)。
【化55】
【0108】
(±)−(5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アルキニルグリシン酸塩(58)。THF/H2O(0.5mL、3:1)に溶解し、0℃にまで冷却した57(22mg、0.06mmol)にLiOH(3mg、0.07mmol)を添加し、この溶液を45分間撹拌させた。次いで、混合物をHCl(10mL、1N)の溶液に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗58を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)により、純物質58(19mg、86%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.7Hz,3H);1.25(m,7H)、1.48−1.52(m,2H)、1.68(s,3H)、2.08−2.10(m,2H)、4.05(s,2H)、4.56(s,2H)、5.41(s,1H)。
【化56】
【0109】
(±)N−(4−ブロモブチル)−(5メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(59)。一般手順Jに従い、54(61mg、0.22mmol)および1−アミノプロパノール臭化水素酸塩(50mg、0.23mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)後に59(65mg、74%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.12−1.15(m,1H)、1.23−1.28(s,6H)、1.46−1.53(m,1H)、1.69(s,3H)、1.82−1.88(m,2H)、2.14(quint.J=6Hz,2H)、3.42(m,2H)、3.54(q,J=6.3Hz,2H)、4.43(s,2H)、5.35(s,1H)6.45(bs,1H)。
【化57】
【0110】
(±)N−アリル−(5−フェニル−5−メチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(60)。一般手順Jに従い、55(72mg、0.26mmol)およびアリルアミン(21μL、0.28mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(勾配10〜50%EtOAc/ヘキサン)後に60(39mg、47%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.73(s,3H)、3.17(s,2H)、3.93(m,2H)、4.41(s,2H)、5.22(m,2H)、5.24(s,1H)、5.80(m,1H)、5.83(s,1H)、7.24(m,5H)。13C NMR(75MHz、CDCl3)δ26.0、41.6、45.4、59.7、70.3、103.9、117.1、127.5、128.3、130.2、133.2、135.6、165.3、183.4、192.0。
【化58】
【0111】
一般手順K。(±)−4−炭酸エチルエステル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(61)。−78℃に冷却したTHF(1.8mL)中32(95mg、0.39mmol)の溶液に、LiHMDS(0.58mL、0.58mmol、THF中1M)を添加し、溶液を30分間、−78℃で撹拌させた。次いで、クロロギ酸エチル(60μL、0.62mmol)を添加し、混合物を氷浴に移し、次いで、緩徐に室温にまで加温した。室温で1時間後、混合物をHCl(1N)/NH4Cl(塩)(10mL)の溶液に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートし、クロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)に供して、純物質61(111mg、91%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.9Hz,3H)、1.12−1.17(m,11H)、1.38(t,J=7Hz,3H)、1.42−1.50(m,1H)、1.67(s,3H)、1.82(d,J=9Hz,1H)、1.85(d,J=9Hz,1H)、4.33(q,J=7Hz,2H)、6.38(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、14.0、22.6、25.2、25.8、29.1、29.2、20.4、31.8、38.4、60.1、66.0、112.8、150.2、175.6、193.9。IR(NaCl)2928、1782、1690、1625cm−1。C16H26O4Sの分析計算値:C,61.1;H,8.33;実測値:C,61.5;H8.32。
【化59】
【0112】
(±)−4−炭酸メチルエステル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(62)。一般手順Kに従い、32(73mg、0.30mmol)およびクロロギ酸メチル(37μL、0.48mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に62(63mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7Hz,3H)、1.15−1.21(m,1H)、1.22(s,10H)、1.41−1.51(m,1H)、1.66(s,3H)、1.81(d,J=9Hz,1H)、1.83(d,J=9Hz,1H)、3.92(s,3H)、6.39(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.2、25.9、29.2、29.3、29.4、31.8、38.4、56.2、60.2、112.9、150.9、175.5、194.1。IR(NaCl)3382、1626、1560、1542cm−1。C15H24O4Sの分析計算値:C,59.9;H,8.05;実測値:C,60.3;H8.10。
【化60】
【0113】
(±)−4−炭酸アリルエステル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(63)。一般手順Kに従い、32(51.5mg、0.21mmol)およびクロロギ酸アリル(33μL、0.32mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に63(46.3mg、67%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7,3Hz,3H)、1.16−1.23(bs,10H)、1.41−1.51(m,2H)、1.67(s,3H)、1.81−1.87(m,2H)、4.74(app dt,J=6Hz,2H)、5.37(app dq,J=10.3,1.02Hz,1H)、5.44(app dq,J=15.9,1.02Hz,1H)、5.99−6.0(m,1H)、6.39(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.6、25.2、25.8、29.1、29.2、29.4、31.8、38.4、60.1、70.2、112.9、120.6、130.23、150.0、175.5、193.7。IR(NaCl)2927、1782、1691、1606cm−1。C17H26O4Sの分析計算値:C,62.5;H,8.03;実測値:C,62.6;H8.07。
【化61】
【0114】
(±)−4−プロピオニル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(64)。一般手順Kに従い、32(40mg、0.17mmol)および塩化プロピオニル(20μL、0.22mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に64(23.1mg、47%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7Hz,3H)、1.12−1.25(m,13H)、1.42−1.49(m,2H)、1.64(s,3H)、1.78−1.84(m,2H)、2.57(q,J=7.5Hz,2H)、6.39(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ8.71、14.0、22.6、25.1、25.927.9、29.1、29.3、29.5、31.8、38.6、60.4、113.8、169.1、177.0、179.9。IR(NaCl)2928、1787、1688cm−1。C16H26O3Sの分析計算値:C,64.3;H,8.78;実測値:C,64.3;H8.89。
【化62】
【0115】
(±)−4−炭酸エチルエステル−5−フェニル−5−メチル−5H−チオフェン−2−オン(65)。一般手順Kに従い、22(50mg、0.23mmol)およびクロロギ酸(35μL、0.36mmol)から、65(67mg、88%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.31(t,J=7Hz,3H)、1.69(s,3H)、3.15(s,2H)、4.36(q,J=7Hz,2H)、6.33(s,1H)、7.18−1.27(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、25.3、44.6、60.6、113.2、127.4、128.2、130.3、135.4、150.1、175.1、193.3。
【化63】
【0116】
4−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシエチル)−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン。(66、67)。ヘキサンに溶解した32(247mg、1.02mmol)にトリエチルアミン(0.23mL、1.68mmol)およびトリメチルシリルクロライド(0.21mL、1.64mmol)を添加し、溶液を室温で4時間撹拌させた。混合物をセライト上でろ過し、エバポレートして、5−メチル−5−オクチル−4−トリメチルシラニルオキシ−5−H−チオフェン−2−オンを得た。−78℃のCH2Cl2(1.95mL)中TiCl4(0.7mL、0.7mmol)の溶液に、アセトアルデヒド(54μL、0.97mmol)を添加し、溶液を5分間、−78℃で撹拌させた。次いで、CH2Cl2(0.4mL)に溶解した5−メチル−5−オクチル−4−トリメチルシラニルオキシ−5−H−チオフェン−2−オンを、TiCl4/アセトアルデヒド溶液にカニューレ注入すると、明るい橙色を呈した。この混合物を加温させ、20分間、0℃で撹拌させた。混合物をNH4Cl(塩)(15mL)に注ぎ、CH2Cl2(3×15mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)により純物質66(34mg)および67(24mg)(50%)を得た。(66)1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.05−1.08(m,1H)、1.24(bs,11H)、1.49(d,J=6.5Hz,3H,回転異性体)1.55(d,J=5.2Hz,3H,回転異性体)、1.62(s,1H)、1.78−1.82(m,2H)、4.68(q,J=6.5Hz,1H,回転異性体)、5.04(q,J=5.2Hz,1H,回転異性体)。C16H28O3SNa+(M+CH2+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値323.1660、観測値323.1660。
【0117】
(67)1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.9Hz,3H)、1.24(bs,12H)、1.47(d,J=6.6Hz,3H,回転異性体)、1.54(d,J=5.4Hz,3H,回転異性体)、1.59(s,3H)、1.76−1.82(m,2H)、4.65(q,J=6.3Hz,1H)、5.06(q,J=5.4Hz,1H)。C16H28O3SNa+(M+CH2+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値323.1660、観測値323.1660。
【化64】
【0118】
一般手順L。3−アルキニル−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン。(68)。0℃のCH2Cl2(1.9mL)中32(94mg、0.38mmol)にNEt3(58μL、0.42mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(19mg、0.15mmol)および無水酢酸(43μL、0.47mmol)を添加した。次いで、0℃で15分間撹拌した溶液を加温し、室温で2〜14時間か、またはTLCが反応の終了を示すまで撹拌した。混合物をNH4Cl(塩)/HCl(3:1、8mL)に注ぎ、CH2Cl2(3×10mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗68を得た。フラッシュクロマトグラフィー30%EtOAc/2%AcOH/ヘキサン(rf=0.44)により純物質68(83mg、78%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.84(m,3H)、1.22(bs,10H)、1.48(m,2H)、1.65(s,3H)、1.77−1.92(m,2H)、2.55(s,3H)。13C NMR(75MHz,CDCl3)δ13.9、22.6、23.8、25.1、26.3、29.1、29.2、29.5、31.7、39.4、59.7、109.7、190.5、195.5、204.9。C15H24O3S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値284.1441、観測値284.1414。
【化65】
【0119】
4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−3−(2,2,2−トリフルオロ−アルキニル)−5H−チオフェン−2−オン。(69)。一般手順Lに従い、32(90mg、0.37mmol)、トリフルオロ無水酢酸(114μL、0.81mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(18mg、0.15mmol)およびNEt3(108μL、0.77mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(40%ヘキサン/10%THF/2%AcOH/EtOAc)後に69(107mg、86%)を得た。1H NMR(300MHz、MeOD)d0.85(t,J=6.9Hz,3H)、1.09(m,1H)、1.21(bs,11H)、1.38(s,3H)、1.51−1.60(m,1H)、1.65−1.71(m,1H)。C15H21F3O3S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値338.1158、観測値338.1171。
【化66】
【0120】
4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル(70)。一般手順Lに従い、32(91mg、0.37mmol)、クロロギ酸メチル(63μL、0.81mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(23mg、0.18mmol)およびNEt3(108μL、0.77mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/2%AcOH/ヘキサン−10%THF/2%AcOH/EtOAc)後に70(66mg、59%、回収した出発材料に基づき79%)を得た。1H NMR(300MHz、MeOD)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.20(bs,12H)、1.35(s,3H)、1.55(m,1H)、1.71−1.75(m,1H)3.59(s,3H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ13.3、21.8、24.4、27.0、28.5、28.6、29.0、30.2、31.0、50.4、58.3、124.6、168.1、187.7、196.7。C15H24O4S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値300.1389、観測値300.1375。
【化67】
【0121】
イソプロピル−カルバミン酸2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルエステル(71)。ヘキサンに溶解した32(46mg、0.19mmol)にトリエチルアミン(43μL、0.31mmol)およびトリメチルシリルクロライド(36μL、0.29mmol)を添加し、溶液を室温で4時間、撹拌させた。混合物をセライト上でろ過し、エバポレートし、CH2Cl2(0.4mL)に再溶解した5−メチル−5−オクチル−4−トリメチルシラニルオキシ−5−H−チオフェン−2−オンを得た。この混合物に、イソプロピルイソシアネート(19.2mL、0.19mmol)を添加し、溶液を室温で2時間撹拌させた。NH4Cl(塩)(5mL)を添加し、混合物をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗71を得た。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%AcOH/ヘキサン)により純物質71(35mg、60%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7.0Hz,3H)、1.14−1.24(m,17H)、1.45(m,1H)、1.63(s,3H)、1.76−1.79(m,2H)、3.81−3.88(m,1H)、5.16(d,J=7Hz,1H)、6.33(m,1H)。13C NMR(75MHz,CDCl3)δ13.9、20.4、22.5、22.8、25.1、25.9、29.1、29.3、29.5、31.8、38.7、44.0、60.2、111.6、149.7、176.2、194.5。
【化68】
【0122】
一般手順M。(±)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸−N’−(2−フロイック)−ヒドラジド(72)。CH2Cl2(1.61mL)中53(100mg、0.33mmol)の冷却した溶液(0℃)に1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(128mg、0.43mmol)、DMAP(6.0mg、0.05mmol)、および2−フロイックヒドラジド(54mg、0.43mmol)を添加した。次いで、0℃で30分間撹拌したこの混合物を室温にまで加温させ、12時間撹拌させた。溶液をNH4Cl(10mL、塩)に注ぎ、CH2Cl2(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗72を得た。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)により純物質72(91mg、68%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.84(t,J=6.6Hz,3H)、1.21(m,11H)、1.43−1.47(m,1H)、1.66(s,3H)、1.81−1.86(m,2H)、4.64(s,2H)、5.42(s,1H)、6.47(dd,J=1.6,3.6Hz,1H)、7.16(d,J=4Hz,1H)、7.45(m,1H)、9.32(d,J=4Hz,1H)、9.44(d,J=4Hz,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.0、22.6、25.3、26.0、29.2、29.3、29.5、31.7、38.8、59.7、69.1、103.0、112.3、116.5、145.1、145.4、156.4、164.2、184.8、193.9。
【化69】
【0123】
(±)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸−N’−アセチルヒドラジド(73)。一般手順Mに従い、53(100mg、0.33mmol)および酢酸ヒドラジド(acetic hydrazide)(26.8mg、0.36mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(2%AcOH/EtOAc)後に73(70.4mg、60%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7.2Hz,3H)、1.23(m,11H)、1.48−1.52(m,1H)、1.67(s,3H)、1.84−1.86(m,2H)、2.07(s,3H)、4.64(s,2H)、5.42(s,1H)。13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.1、20.6、22.6、25.2、26.0、29.2、29.3、29.5、31.8、38.8、59.8、68.9、102.9、163.1、168.1、184.9、194.2。
【化70】
【0124】
(±)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸−N’−(4−クロロ−フェニル)−ヒドラジド(74)一般手順Mに従い、53(100mg、0.33mmol)および4−クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(76.8mg、0.43mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)後に74(74mg、53%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6Hz,3H)、1.24(m,11H)、1.46−1.54(m,1H)、1.71(s,3H)、1.82−1.90(m,2H)、4.57(s,2H)、4.57(s,2H)、5.39(s,1H)、6.75(d,J=8.8Hz,2H)、7.18(d,J=8.8Hz,2H)、7.38(s,1H)、8.09(s,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.3、26.1、29.2、29.3、29.5、31.8、38.8、59.7、69.7、103.2、114.7、126.4、145.8、129.2、165.9、184.3、193.5。IR(NaCl)2957、1695、1658、1609cm−1。
【化71】
【0125】
(±)−N−アリル−N−メチル−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(75)。一般手順Mに従い、53(83mg、0.28mmol)およびN−メチル,N−アリルアミン(allyalmine)(29μL、0.30mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘキサン)後に75(51mg、52%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.83(t,J=6.9Hz,3H)、1.22(m,11H)、1.43−1.47(m,1H)、1.67(s,3H)、1.82−1.86(m,2H)、回転異性体1:2.91(s,3H)、回転異性体2:2.95(s,3H)、回転異性体1:3.84(d,J=4.8Hz,2H)、回転異性体2:3.98(d,J=6Hz,2H)、回転異性体1:4.62(s,2H)、回転異性体2:4.65(s,2H)、5.12−5.28(m,2H)、回転異性体1:5.18(s,1H)、回転異性体2:5.25(s,1H)、5.65−5.81(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.2、29.1、29.3、29.4、31.7、33.4(回転異性体2:33.9)、38.8、50.2(回転異性体2:51.0)、59.7、69.0(回転異性体2:69.3)、102.3、117.4(回転異性体2:118.2)、131.6(回転異性体2:131.8)、164.5(回転異性体2:164.9)、185.5(回転異性体2:185.6)、193.4。
【化72】
【0126】
(±)−4−ベンジルオキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(76)。一般手順Hに従い、32(50mg、0.21mmol)および臭化ベンジル(37mL、0.31mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に76(49mg、75%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.24(m,11H)、1.41−1.48(m,1H)、1.66(s,3H)、1.79−1.86(m,2H)、4.98(s,2H)、5.39(s,1H)、7.31−7.42(m,5H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.0、26.4、29.1、29.3、29.4、31.8、38.8、59.7、74.0、102.2、127.6、128.8、134.3、185.8、194.1。IR(NaCl)2928、1681、1610cm−1。
【0127】
参考文献:
1.ストレービーン(Strijtveen)、B.;ケロッグ(Kellogg)、R.M.Tetrahedron.1987年(43)pp.5039〜5054。
2.ササキ(Sasaki)、H;オオイシ(Oishi)、H.;ハヤシ(Hayashi)、T.;マツウラ(Matsuura)、I.;アンドウ(Ando)K.;サワダ(Sawada)、M.、J.Antibiotics 1982年
3.クニエダ(Kunieda)、T.、ナガマツ(Nagamatsu)、T.、ヒグチ(Higuchi)、T.、ヒロベ(Hirobe)、M.、Tetrahedron Lett.、1988年(29)、pp.2203〜2206。
【0128】
生物学的および生化学的方法
ZR−75−1ヒト乳癌細胞からのFASの精製。
アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た培養ZR−75−1ヒト乳癌細胞からヒトFASを精製した。リン(Linn)ら、1981年、およびクハージャ(Kuhajda)ら、1994年から改造された手順では、低張性溶解、連続的ポリエチレングリコール(PEG)沈殿、および陰イオン交換クロマトグラフィーが利用される。ZR−75−1細胞は、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するRPMI培地中5%CO2により37℃に培養される。
【0129】
融合細胞の10個のT150フラスコを1.5ml溶解緩衝液(20mMトリス(Tris)−HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、0.1%Igepal CA−630)で溶解し、氷上で20ストロークのダンス(dounce)ホモジナイズを行った。溶解物をJA−20ローター(ベックマン(Beckman))において20,000rpmで30分間4℃に遠心分離し、上清を溶解緩衝液で42mlにする。溶解緩衝液中50%PEG8000の溶液をゆっくり上清に添加し、最終濃度を7.5%にする。60分間4℃に振動後、溶液をJA−20ローター(ベックマン(Beckman))において15,000rpmで30分間4℃に遠心分離する。次いで、固体PEG8000を上清に添加し、最終濃度を15%にする。振動および遠心分離を上記の通り反復後、沈殿物を一夜4℃に10mlのバッファーA(20mM K2HPO4、pH7.4)中に再懸濁する。0.45μMろ過後、タンパク質溶液をモノ(Mono)Q5/5陰イオン交換カラム(ファルマシア(Pharmacia))に注ぐ。カラムを15分間、1ml/分でバッファーAで洗浄し、結合材料を線形60mlグラディエントで60分間にわたり1M KClに溶離する。FAS(MW〜270kD)は通常、0.25M KClで3つの0.5ml画分で溶離し、クマシーG250染料(バイオ−ラド(Bio−Rad))による4〜15%SDS−PAGEを用いて確認される。FASタンパク質濃度は、基準としてBSAを用いる製品仕様に従いクマシープラスタンパク質アッセイ試薬(ピアス(Pierce))を用いて測定される。この手順により、クマシー染色ゲルによって判定される通りFASの実質的に純粋な調製液(>95%)が得られる。
【0130】
FAS酵素活性の測定および化合物のIC50の判定
FAS活性は、NADPAのマロニル−CoA依存酸化を96ウェルプレート中OD340で分光測光法でモニタリングすることによって測定される(ディルス(Dils)らとアルスラニアン(Arslanian)ら、1975年)。各ウェルは2μg精製FAS、100mM K2HPO4、pH6.5、1mMジチオスレイトール(シグマ(Sigma))、および187.5μM β−NADPH(シグマ(Sigma))を含有する。阻害剤の原液を2、1、および0.5mg/mlでDMSO中で調製し、1μlの原液がウェル毎に添加されると最終濃度は20、10、および5μg/mlになる。各実験のために、セルレニン(シグマ(Sigma))を陽性対照として、すべて2重にしてDMSO対照、阻害剤、およびブランク(非FAS酵素)とともに実行する。
【0131】
アッセイは、モレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器で行われる。FAS、緩衝液、阻害剤、および対照を含有するプレートを37℃に加熱した分光測光器に配置する。動的プロトコルを用いることによって、ウェルを100μlの100mM K2HPO4、pH6.5を含有する2重のウェル上でブランクにし、プレートを10秒間隔で5分間、OD340で読み、NADPHのマロニル−CoA非依存酸化を測定する。プレートを分光測光器から除去し、マロニル−CoA(67.4μM、ウェル当りの最終濃度)およびアルキニル−CoA(61.8μM、ウェル当りの最終濃度)をブランクを除く各ウェルに添加する。プレートを上記の通り動的プロトコルで再び読み、マロニル−CoA依存NADPH酸化を測定する。マロニル−CoA依存および非−マロニル−CoA依存NADPH酸化のΔOD340間の差は、特異的FAS活性である。FAS調製液の純度のため、非−マロニル−CoA依存NADPH酸化はごくわずかである。
【0132】
FASに対する化合物のIC50は、試験した各阻害剤の濃度に対するΔOD340をプロットし、線形回帰を行い、かつ最良適合、r2値、および95%信頼区間を計算することによって判定される。FASの50%阻害をもたらす化合物の濃度が、IC50である。ΔOD340対時間のグラフは、各化合物の濃度についてソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))によってプロットされる。線形回帰、最良適合、r2、および95%信頼区間の計算は、プリズムバージョン3.0(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software))を用いて計算される。
【0133】
クリスタルバイオレット細胞増殖アッセイ
クリスタルバイオレットアッセイでは、細胞増殖は測定されるが細胞毒性は測定されない。このアッセイでは、その後の可溶化および分光測光器でのOD490の測定とともに96ウェルプレートにおける固定細胞のクリスタルバイオレット染色が使用される。OD490は、測定される単位時間当たりの細胞増殖に対応する。細胞は、関係化合物または賦形剤対照で処理され、各化合物のIC50が計算される。
【0134】
癌細胞に対する特定の化合物の細胞毒性を測定するには、アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た5×104のMCF−7ヒト乳癌細胞を10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するDMEM培地中の24ウェルプレートの各ウェル毎に塗布する。37℃および5%CO2に一夜培養後、DMSO中に溶解された被試験化合物を以下の濃度、すなわち3重で50、40、30、20、および10μg/mlで1μl量のウェルに添加する。追加の濃度は、必要に応じて試験される。1μlのDMSOを賦形剤対照として3重のウェルに添加する。C75は、陽性対照として3重で10、および5μg/mlで実行される。
【0135】
72時間のインキュベーション後、細胞を各ウェルにおいてクリスタルバイオレット染料(25%メタノール中0.5%)0.5mlで染色する。10分後、ウェルを洗浄し、風乾し、次いで10%ドデシル硫酸ナトリウム0.5mlで2時間攪拌しながら可溶化する。各ウェルから96ウェルプレートへ100μl移した後、プレートをモレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器によりOD490で読む。平均OD490値はソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))を用いて計算され、IC50値はプリズムバージョン3.02(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software)、サンディエゴ)を用いて線形回帰分析によって判定される。
【0136】
XTT細胞毒性アッセイ
XTTアッセイは、[51Cr]放出細胞毒性アッセイの非放射性代替物である。XTTは、代謝的に活性な生存細胞によってのみホルマザン染料に還元されるテトラゾリウム塩である。XTTの還元は、OD490−OD650として分光測光器で測定される。
【0137】
癌細胞に対する特定の化合物の細胞毒性を測定するには、アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た9×103のMCF−7ヒト乳癌細胞を10%ウシ胎仔血清、インシュリン、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するDMEM培地中の96ウェルプレートの各ウェル毎に塗布する。37℃および5%CO2に一夜培養後、DMSO中に溶解された被試験化合物を以下の濃度、すなわち3重で80、40、20、10、5、2.5、1.25、および0.625μg/mlで1μl量のウェルに添加する。追加の濃度は、必要に応じて試験される。1μlのDMSOを賦形剤対照として3重のウェルに添加する。C75は、陽性対照として3重で40、20、10、15、12.5、10、および5μg/mlで実行される。
【0138】
72時間のインキュベーション後、細胞をメーカーの指示(細胞増殖キットII(XTT)ロシュ(Roche))の通りXTT試薬で4時間インキュベートする。プレートをモレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器によりOD490およびOD650で読む。細胞を有さないXTT試薬を含有する3つのウェルがプレートブランクとして使用される。XTTデータは、OD490−OD650として報告されている。平均および平均標準誤差は、ソフトマックス(SOFTmax)Proソフトウェア(モレキュラーダイナミックス社(Molecular Dynamics))を用いて計算される。
【0139】
化合物のIC50は、対照と比べOD490−OD650の50%削減をもたらす薬剤の濃度として定義される。OD490−OD650は、各化合物濃度についてソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))によって計算される。IC50は、線形回帰によって、FAS活性は対照対薬剤濃度の割合としてプロットすることによって計算される。線形回帰、最良適合、r2、および95%信頼区間の計算は、プリズムバージョン3.0(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software))を用いて計算される。
【0140】
総脂質への[14C]酢酸取込みの測定および化合物のIC50の判定
このアッセイでは、総脂質への[14C]酢酸取込みが測定され、これはインビトロでの脂肪酸合成経路活性の尺度である。これを利用してインビトロでの脂肪酸合成の阻害が測定される。
【0141】
MCF−7ヒト乳癌細胞を上記の通り培養し、24ウェルプレートのウェル毎に5×104細胞で塗布する。一夜インキュベーション後、DMSO中に溶解された被試験化合物を3重で5、10、および20μg/mlで添加し、必要に応じてより低い濃度で試験する。DMSOは賦形剤対照用に3重のウェルに添加される。C75は3重で5および10μg/mlで陽性対照として実行される。4時間のインキュベーション後、[14C]酢酸(10μl量)0.25μCiを各ウェルに添加する。
【0142】
2時間の追加のインキュベーション後、培地をウェルから吸引し、クロロホルム:メタノール(2:1)800μlおよび4mM MgCl2 700μlを各ウェルに添加する。各ウェルの内容物を1.5mlエッペンドルフチューブに移し、高速エッペンドルフ微量高速遠心機5415Dにおいて2分間全速で回転させる。水性(上部)層の除去後、追加のクロロホルム:メタノール(2:1)700μlおよび4mM MgCl2 500μlを各ウェルに添加し、次いで上記の通り1分間、遠心分離する。水性層はパスツールピペットで除去され、廃棄される。追加のクロロホルム:メタノール(2:1)400μlおよび4mM MgCl2 200μlを各チューブに添加し、次いで遠心分離し、水性層は廃棄される。下部(有機)層は、シンチレーションガラス瓶の中へ移され、40℃でN2ガス下に乾燥される。乾燥したら、シンチラント(APB#NBC5104)3mlを添加し、ガラス瓶を14Cについてカウントする。ベックマンシンチレーションカウンタにより、3重の平均cpm値が計算される。
【0143】
化合物のIC50は、対照と比べ脂質への[14C]酢酸取込みの50%削減をもたらす薬剤の濃度として定義される。これは、試験される各阻害剤の濃度に対する平均cpmをプロットし、線形回帰を行い、線形回帰、最良適合、r2値、および95%信頼区間を計算することによって判定される。平均cpm値は、各化合物の濃度についてベックマンシンチレーションカウンタ(モデルLS6500)によって計算される。線形回帰、最良適合、r2、および95%信頼区間の計算は、プリズムバージョン3.0(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software))を用いて計算される。
【0144】
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)アッセイ
CPT−1は、マロニル−CoAによって阻害されるアシル−CoAからアシル−カルニチンへの長鎖脂肪酸のATP依存転移を触媒する。CPT−1は活性のためにミトコンドリア膜を必要とするため、酵素活性は膜透過細胞またはミトコンドリアにおいて測定される。このアッセイでは膜透過細胞を使用し、[メチル−14C]L−カルニチンの有機的に可溶性のアシル−カルニチン誘導体への転移を測定する。
【0145】
MCF−7細胞を対照、薬剤、およびマロニル−CoAの3重で24ウェルプレートにおいて106細胞で10%ウシ胎仔血清を有するDMEM中に塗布する。アッセイを開始する2時間前に、薬剤はDMSO中10mg/mlで原液から作られた指示濃度で添加され、賦形剤対照は薬剤を有さないDMSOで構成される。マロニル−CoAは無傷細胞に入ることができないため、アッセイバッファーにおいてのみ、薬剤で前インキュベートされていない細胞に添加される。一夜37℃でのインキュベーション後、培地を除去し、50mMイミダゾール、70mM KCl、80mMショ糖、1mM EGTA、2mM MgCl2、1mM DTT、1mM KCN、1mM ATP、0.1%脂肪酸フリーウシ血清アルブミン、70μMパルミトイル−CoA、0.25μCi[メチル−14C]L−カルニチン、薬剤を有する40μgジギトニン、DMSO賦形剤対照、または20μMマロニル−CoAで構成されるアッセイバッファー700μlと交換する。アッセイバッファー中の薬剤およびDMSOの濃度は、2時間の前インキュベーションで用いられるものと同一である。6分間、37℃でのインキュベーション後、冷えた4M過塩素酸500μlの添加によって反応を停止する。次いで、細胞を回収し、13,000xgで5分間、遠心分離する。沈殿物を氷のように冷えた2mM過塩素酸500μlで洗浄し、再び遠心分離する。結果として生じる沈殿物を800μlのdH2O中に再懸濁し、ブタノール150μlで抽出する。ブタノール相は、液体シンチレーションによってカウントされ、これはアシルカルニチン誘導体を表す。
【0146】
新規のFAS阻害剤の減量スクリーン
バルブ/Cマウス(ジャクソン研究所(Jackson Labs))が初期減量スクリーニング用に利用される。動物は温度および12時間 日/夜周期室に収容され、マウス飼料および水を自由に与えられる。マウス3匹を1実験当り3重の賦形剤対照で試験される各化合物用に利用する。実験のために、マウスを個別に試験される各化合物用に3匹ケージに収容する。化合物を10mg/mlで、DMSO中に希釈し、マウスに対し約100μlのDMSO中60mg/kgまたは賦形剤のみを腹腔内注射する。マウスを毎日観察し、体重を量り、平均体重および標準誤差をエクセル(マイクロソフト)で計算する。実験は、処置動物がその処置前体重に達するまで継続する。
【0147】
選択化合物は、代謝ゲージに収容された動物において試験する。動物の投与は、単一の代謝ケージへの動物3匹によるスクリーニング実験と同一である。動物の体重、水および飼料消費量、かつ尿および糞便の生成量を毎日測定する。化合物21および44の試験の結果を図10に示す。
【0148】
抗菌特性
微量液体希釈アッセイを用いて化合物の抗菌活性を評価する。化合物は2倍連続希釈で試験され、可視増殖を阻害する濃度(対照の10%でOD600)はMICと定義される。試験された微生物としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC#29213)、エンテロコッカスフェーカリス(Enterococcus faecalis)(ATCC#29212)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC#27853)、および大腸菌(Escherichia coli)(ATCC#25922)が挙げられる。アッセイは、2つの増殖培地、ミューラーヒントンブロスおよびトリプチケースソイ(Trypticase Soy)ブロスにおいて行われる。
【0149】
血液(トリプチケースソイ(Tsoy)/5%ヒツジ血液)寒天プレートを、10%グリセロール含有トリプチケースソイブロス中に維持された凍結ストックから接種し、一夜37℃にインキュベートする。濁度が0.5マクファーランド(McFarland)標準の濁度に匹敵するようにコロニーを滅菌ブロス中に懸濁する。接種材料を滅菌ブロス(ミューラーヒントンまたはトリプチケースソイ)中で1:10に希釈し、195μlを96ウェルプレートのウェルごとに分注する。DMSO中に溶解した被試験化合物を以下の濃度、すなわち2重で25、12.5、6.25、3.125、1.56、および0.78μg/mlで5μl量のウェルに添加する。追加の濃度は、必要に応じて試験される。5μlのDMSOを賦形剤対照として2重のウェルに添加する。陽性対照化合物、バンコマイシン(腸球菌(E.faecalis)および黄色ブドウ球菌(S.aureus))およびトブラマイシン(大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa))の連続希釈が各実行に含まれる。
【0150】
24時間の37℃でのインキュベーション後、プレートをモレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器によりOD600で読む。平均OD600値はソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))を用いて計算され、MIC値はプリズムバージョン3.02(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software)、サンディエゴ)を用いて線形回帰分析によって判定される。MICは、賦形剤対照測定値の10%に相当するOD600測定値を生じるのに必要な化合物の濃度と定義される。
【0151】
抗腫瘍活性のインビボ試験
この実験の結果を図11に示す。nu/nu雌マウス(ハーラン(Harlan))におけるヒト結腸癌細胞系、HCT−116の皮下側腹異種移植片を用いて、化合物36のインビボでの抗腫瘍効果を試験した。全動物実験は所内動物実験委員会のガイドラインを順守した。107HCT−116細胞(約0.1ml充填細胞)を10%FBSを補充したDMEM中培養物から胸腺欠損マウス10匹へ異種移植した。投与は、測定可能な腫瘍が接種後約4日で発現した場合に開始した。化合物36(10mg/kg)を20μl DMSOの中へ希釈し、腹腔内(i.p.)投与した。動物5匹には、図11内の矢印によって指示された日にJMM−II−265をi.p.投与し、5匹にはDMSO対照を投与した。腫瘍は指示された日に測定された。エラーバーは平均標準誤差を表す。
【0152】
生物学的試験の結果
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
【表6】
【0158】
【表7】
【0159】
【表8】
【0160】
【表9】
【0161】
【表10】
【0162】
【表11】
【0163】
【表12】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
脂肪酸合成酵素
脂肪酸は、細胞の生理機能における3つの主要な役割を有する。第一に、脂肪酸は生体膜の構成要素(building bocks)である。第二に、脂肪酸誘導体は、ホルモンおよび細胞内メッセンジャーとしての機能を果たす。第三に、本発明にとって特に重要であるが、脂肪酸は、中性脂肪としても知られるトリアシルグリセロールとして脂肪組織中に保存され得る燃料分子である。
【0002】
脂肪酸合成経路に関与する4つの主要な酵素があり、それらは脂肪酸合成酵素(FAS)、アルキニルCoAカルボキシラーゼ(ACC)、リンゴ酸酵素、およびクエン酸リアーゼである。主要な酵素、FASは、前駆体マロニル−CoAおよびアルキニル−CoAのNADPH依存性縮合を触媒し、脂肪酸を産生する。NADPHは、一般にFASの反応サイクルにおける2地点で基本的電子供与体としての機能を果たす還元剤である。他の3つの酵素(すなわち、ACC、リンゴ酵素、およびクエン酸リアーゼ)は、必須前駆体を産生する。他の酵素、例えば、NADPHを産生する酵素も脂肪酸合成に関与する。
【0003】
FASは酵素委員会(E.C.)番号2.3.1.85であり、脂肪酸合成酵素、脂肪酸リガーゼ、およびその系統名アシル−CoA:マロニール−CoA C−アシルトランスフェラーゼ(脱炭酸化、オキソアシルおよびエノイル還元およびチオエステル加水分解性)としても知られる。脂肪酸のFAS合成に関係する7つの明確な酵素−または触媒ドメイン−がある。すなわち、アルキニルトランスアシラーゼ、マロニルトランスアシラーゼ、ベータ−ケトアシル合成酵素(縮合酵素)、ベータ−ケトアシル還元酵素、ベータ−ヒドロキシアシルデヒドラーゼ、エノイル還元酵素、およびチオエステラーゼである。(ワキル(Wakil)、S.J.、Biochemistry、1989年(28)、pp.4523〜4530)。これらの酵素7つすべてはともにFASを形成する。
【0004】
脂肪酸のFAS触媒合成は同様に下等動物、例えば、細菌など、および高等動物、例えば、ミコバクテリア、酵母菌、およびヒトなどにおけるものであるが、いくつかの重要な違いがある。細菌においては、7つの酵素反応は、それぞれ関連のない7つの別個のポリペプチドによって行われる。これはII型FASとして分類されている。それにひきかえ、ミコバクテリア、酵母菌、およびヒトにおける酵素反応は、多機能ポリペプチドによって行われる。例えば、酵母菌は2つの別個のポリペプチドから成る錯体を有するが、ミコバクテリアおよびヒトにおいては、7つの反応すべてが単一のポリペプチドによって行われる。これらはI型FASとして分類されている。
【0005】
FAS阻害剤
さまざまな化合物が、脂肪酸合成酵素(FAS)を阻害することが証明されている。FAS阻害剤は、精製FASの酵素活性を阻害する化合物の能力によって確認され得る。FAS活性は、放射性標識化前駆体(すなわち、アルキニル−CoAまたはマロニル−CoA)の脂肪酸への取込みを測定することによって、またはNADPHの酸化を分光測光法で測定することによってアッセイされ得る。(ディルス(Dils)ら、Methods Enzymol.、35、pp.74〜83)。
【0006】
以下に記載されている表1は、一部のFAS阻害剤のリストである。
【0007】
【表1】
【0008】
脂肪酸合成経路における4つの酵素のうち、FASは、それは脂肪酸への経路内でのみ作用するが、他の3つの酵素は他の細胞機能にかかわるため、阻害のための好ましい標的である。したがって、他の3つの酵素の1つの阻害は、正常細胞に影響を与える可能性がより大きい。FASによって行われる7つの酵素ステップのうち、縮合酵素(すなわち、ベータ−ケトアシル合成酵素)およびエノイル還元酵素は、脂肪酸合成を削減または停止させる阻害剤の最も一般的な候補であり続けている。FAS錯体の縮合酵素は、構造および機能に関して十分に特徴づけられている。縮合酵素の活性部位は重要なシステインチオールを含有し、これは抗高脂試薬、例えば、阻害剤セルレニンなどの標的である
【0009】
縮合酵素の好ましい阻害剤としては、アルキル化剤、酸化剤、およびジスルフィド交換を受ける能力がある試薬を含む広範囲な化学化合物が挙げられる。酵素の結合ポケットは、長鎖、E,E,ジエン類を選好する。
【0010】
主に、側鎖ジエンを含有する試薬、およびチオラート陰イオンとの反応性を示す基は、縮合酵素の優れた阻害剤であるとみられる。下式のセルレニン[(2S,3R)−2,3−エポキシ−4−オキソ−7,10ドデカジエノイルアミド]がその例である。
【化1】
【0011】
セルレニンは、脂肪酸縮合酵素の縮合酵素の活性部位における重要なシステインチオール基に共有結合し、この重要な酵素ステップを不活性化する(フナバシ(Funabashi)ら、J.Biochem.、1989年(105)、pp.751〜755)。セルレニンは他の活性を有することが注目されているが、これらはヒト細胞の当該モデルではありえない微生物において生じ(例えば、菌類におけるコレステロール合成の阻害、オムラ(Omura)、Bacteriol.Rev.、1976年(40)、pp.681〜697、またはウイルスにおけるRNA合成の減少、ペレス(Perez)ら、FEBS、1991年(280)、pp.129〜133)、実質的に高い薬剤濃度で生じ(5mg/mlでのウイルスHIVプロテアーゼの阻害、メリング(Moelling)ら、FEBS、1990年(261)、pp.373〜377)、または内因性脂肪酸合成の阻害の直接的な結果であり得る(Bリンパ球およびマクロファージにおける抗原処理の阻害、ファロ(Falo)ら、J.Immunol.、1987年(139)、pp.3918〜3923)のいずれかである。一部のデータは、セルレニンがタンパク質のミリトイル化を特異的に阻害することがないことを示す(シモン(Simon)ら、J.Biol.Chem.、1992年(267)、pp.3922〜3931)。
【0012】
さらにいくつかのFAS阻害剤が、米国特許出願第08/096,908号および1994年1月24日出願のその一部継続出願において開示されているが、その開示は、参照により本明細書中に含まれる。脂肪酸合成酵素、クエン酸リアーゼ、CoAカルボキシラーゼ、リンゴ酸酵素の阻害が含まれる。
【0013】
トモダ(Tomoda)ら(トモダ(Tomoda)ら、Biochim.Biophys.Act、1987年(921)、pp.595〜598、オムラ(Omura)ら、J.Antibiotics、1986年(39)、pp.1211〜1218)は、トリアクシン(Triacsin)C(時にはWS−1228Aと呼ばれる)を記載しているが、これは放線菌(Streptmyces sp.)SK−1894の産物である自然発生のアシル−CoA合成酵素阻害剤である。トリアクシンCの化学構造は、1−ヒドロキシ−3−(E,E,E−2’,4’,7’−ウンデカトリエニリジン)トリアゼンである。トリアクシンCは、8.7μMでラット肝アシル−CoA合成酵素の50%阻害を誘発し、関連化合物、トリアクシンAは、長鎖脂肪酸との競合力がある機序によってアシルCoA−合成酵素を阻害する。アシル−CoA合成酵素の阻害は動物細胞に対して毒性である。トモダ(Tomoda)ら(トモダ(Tomoda)ら、J.Biol.Chem.、1991年(266)、pp.4214〜4219)は、トリアクシンCが、1.0μMでラジ(Raji)細胞における増殖阻害を誘発し、かつ、ベロ(Vero)細胞およびヒーラー(Hela)細胞の増殖を阻害することが証明されていることも開示している。トモダ(Tomoda)らは、アシル−CoA合成酵素が動物細胞において必須であり、この酵素の阻害が致死効果を有することをさらに開示している。
【0014】
米国特許第5,981,575号(その開示は、参照により本明細書中に含まれる)において、化合物のファミリー(ガンマ−置換−アルファ−メチレン−ベータ−カルボキシ−ガンマ−ブチロラクトン)が、脂肪酸合成を阻害し、腫瘍細胞の増殖を阻害し、かつ減量を誘導することが証明されている。同’575号特許に開示された化合物は、治療用に天然物のセルレニンに対していくつかの利点を有する。すなわち、[1]セルレニンの高度に反応性のエポキシド基を含有することがなく、[2]水溶液中で安定かつ可溶性であり、[3]二段階合成反応によって製造され、したがって容易に大量に製造され得るとともに、[4]生化学的および薬理学的分析のために高い特異的活性に容易にトリチウム化される。脂肪酸合成酵素阻害剤であるこの化合物のファミリーの合成は、’575号特許において記載されているが、FASを発現する腫瘍細胞を治療する手段としてのそれらの使用、かつ体重を減少させる手段としてのそれらの使用が記載されている。’575号特許は、体重を減少させる手段として脂肪細胞質量(脂肪細胞の数またはサイズ)を体系的に減少させる脂肪酸合成酵素阻害剤の使用も開示している。
【0015】
マウスおよびヒトにおける脂肪酸合成の主要部位は肝臓(ロンカリ(Roncari)、Can.J.Biochem.、1974年(52)、pp.221〜230;トリスカリ(Triscari)ら、Metabolism、(34)、pp.580〜587;バラカット(Barakat)ら、Metabolism、1991年(40)、pp.280〜285を参照)、授乳中の乳腺(トンプソン(Thompson)ら、Pediatr.Res.、1985年(19)、pp.139〜143を参照)、および脂肪組織(ゴールドリック(Goldrick)ら、Clin.Sci.Mol.Med.、1974年(46)、pp.469〜479)である。
【0016】
抗菌剤としての脂肪酸合成の阻害剤
セルレニンは、最初、セファロスポリウムカエルレセンス(Cephalosporium caerulens)の培養ブロスから潜在的な抗真菌性抗生物質として単離された。構造的にセルレニンは、(2R,3S)−エポキシ−4−オキソ−7,10−トランス,トランス−ドデカン酸アミドとして特徴づけられている。その作用機序は、脂肪酸の生合成に必要な縮合酵素であるベータ−ケトアシル−ACP合成酵素の、不可逆的結合による阻害であることが証明されている。セルレニンは、主にカンジダ(Candida)およびサッカロミセス属(Saccharomyces sp.)に対する抗真菌剤として分類されている。また、一部のインビトロ活性が、一部の細菌、放線菌、およびミコバクテリアに対して証明されているが、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する活性は確認されなかった。脂肪酸合成阻害剤、特にセルレニンの活性は、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)または他の感染性真核病原体、例えば、ニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)、ランブリア鞭毛虫(Giardia lamblia)、プラスモディウム属(Plasmodium sp.)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、トリパノソーマ属(Trypanosoma)、リーシュマニア属(Leishmania)、および住血吸虫属(Schistosoma)などの原虫に対して評価されていない。
【0017】
特に治療を受けやすい感染症は、感染動物の外部からアクセス可能な表面における病変を誘発する疾患である。外部からアクセス可能な表面としては、非侵襲性手段によって(皮膚を切断または穿刺することなく)達せられる皮膚表面そのものを含めて、鼻、口、胃腸、または尿生殖器表面、および肺胞嚢など肺表面を覆うなどの粘膜が挙げられる。かかりやすい疾患として挙げられるのは、(1)特に小胞子菌属(Microsporum)、白癬菌属(Trichophyton)、表皮菌属(Epidermophyton)、または粘膜カンジダ症(Mucocutaneous candidiasis)によって誘発される場合の皮膚真菌症または白癬、(2)特にアスペルギルス属(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、またはカンジダ(Candida)によって誘発される場合の真菌性角膜炎、(3)特にアカントアメーバ属(Acanthamoeba)によって誘発される場合のアメーバ性角膜炎、(4)特にランブリア鞭毛虫(Giardia lamblia)、エントアメーバ属(Entamoeba)、クリプトポリジウム(Cryptosporidium)微胞子虫(Microsporidium)、またはカンジダ(Candida)(免疫無防備状態動物において最も一般的)によって誘発される場合の胃腸疾患、(5)特にカンジダアルビカンス(Candida albicans)または膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)によって誘発される場合の尿生殖器感染、および(6)特にヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、またはニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)によって誘発される場合の肺疾患である。脂肪酸合成阻害剤による治療を受けやすい感染性微生物としては、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、特に多剤耐性菌株、およびトキソプラズマなどの原虫が挙げられる。
【0018】
脂肪酸合成を阻害する化合物は、微生物細胞の増殖を阻害するために使用され得る。しかし、患者に投与される化合物は、患者および標的微生物細胞の両方に対して等しく毒性であってはならない。したがって、標的微生物細胞のみに、またはこれに主として影響を与える阻害剤を選択することが有利である。
【0019】
その独自の内因性の合成脂肪酸に依存している真核微生物細胞は、I型FASを発現する。これは、FAS阻害剤が増殖抑制性であるということ、かつ外因性に添加された脂肪酸が正常は患者の細胞を保護し得るが、FAS阻害剤からのこれら微生物細胞を保護しえないということによって示されている。したがって、細胞によって脂肪酸の合成を防止する薬剤は、感染を治療するために使用され得る。真核生物においては、脂肪酸は、基質のアルキニルCoA、マロニルCoA、およびNADPHを用いてI型FASによって合成される。したがって、基質をこの経路へ供給し得る他の酵素はまた、脂肪酸合成の速度に影響し、内因性に合成脂肪酸に依存する微生物において重要であり得る。これら酵素のいずれかの発現または活性の阻害は、内因性に合成脂肪酸に依存する微生物細胞の増殖をもたらす。
【0020】
I型FASの産物は、種々の生物で異なる。例えば、出芽酵母菌(fungus S.cerevisiae)においては、産物は主に補酵素Aとエステル結合しているパルミテートおよびステアレートである。スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)においては、産物は炭素の長さが16〜24個である飽和脂肪酸CoAエステルである。これらの脂質はしばしばさらに加工され、種々の脂質成分に対する細胞の必要を満たす。
【0021】
ダウンストリームプロセッシングまたは脂肪酸の利用における重要なステップの阻害は、細胞が内因性脂肪酸に依存するか、または細胞外から供給される脂肪酸を利用するかどうかに関係なく、細胞機能を阻害することが予想され得るが、そこでこれらダウンストリームステップの阻害は、内因性脂肪酸に依存する微生物細胞に対して十分に選択性ではありえない。しかし、かかる微生物に対するI型脂肪酸合成阻害剤の投与により、ダウンストリーム脂肪酸プロセッシングおよび/または利用の阻害剤による阻害に対して、それらの微生物がより反応しやすくなることが発見されている。この共同作用のため、脂質生合成および/または利用におけるダウンストリームステップの1個もしくはそれ以上の阻害剤との脂肪酸合成阻害剤の併用投与は、内因性に合成脂肪酸に依存する微生物細胞に選択的に影響を与える。好ましい併用としては、FASの阻害剤とアルキニルCoAカルボキシラーゼ、またはFASとMASの阻害剤が挙げられる。
【0022】
ある哺乳動物がI型FASを発現する生物の細胞に感染していることが判定されている場合、またはFASが患者の生体液中に確認されている場合は、その哺乳動物または患者は、脂肪酸合成阻害剤によって治療され得る(特許第5,614,551号)。
【0023】
食欲を抑制し、減量を刺激する神経ペプチドYの阻害は、国際特許出願第PCT/US01/05316号に記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。しかし、その出願では、本出願において記載されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【0024】
減量を刺激するカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)の刺激は、米国特許出願第60/354,480号に記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。その出願でも本明細書で開示されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【0025】
癌細胞の増殖を阻害するFAS阻害剤の使用は、米国特許第5,759,837号において記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。その出願では、本出願において記載されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【0026】
癌細胞の増殖を阻害するFAS阻害剤の使用は、米国特許第5,759,837号において記載されており、その開示は参照により本明細書に含まれる。その出願では、本出願において記載されている化合物のいずれも記載または開示されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0027】
発明の概要
さまざまな治療的に有用な特性、例えば、FAS阻害、NPY阻害、CPT−1刺激、減量誘導能、抗癌および抗菌特性を有する新しいクラスの化合物が発見されている。
【0028】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって動物およびヒトにおける減量を誘導する方法を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物をヒトまたは動物に投与することによってCPT−1の活性を刺激する方法を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによってヒトまたは動物における神経ペプチドYの合成を阻害する方法を提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによってヒトまたは動物における脂肪酸合成酵素活性を阻害する方法を提供することである。
【0032】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって動物およびヒトにおける癌を治療する方法を提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって動物およびヒトにおける癌細胞の増殖を防止する方法を提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、医薬希釈剤、および式I、II、III、またはIVの化合物を含んで成る医薬組成物を投与することによって侵襲性微生物細胞の増殖を阻害する方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面の簡単な説明
【図1】チオラクトマイシン(thiolactamycin)を調製するための合成スキームを示す。
【図2】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図3】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図4】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図5】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図6】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図7】本発明に従う化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図8】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図9】本発明に従う所定の化合物を調製するための2つの合成スキームを示す。
【図10】本発明に従う所定の化合物を調製するための合成スキームを示す。
【図11】本発明に従う所定の化合物の減量に対するインビボ試験の結果を示す。
【図12】本発明に従う所定の化合物の抗癌活性に対するインビボ試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
本発明の化合物は、従来の手段によって調製され得る。多くの化合物の合成が実施例に記載されている。これらの化合物は、肥満、癌、または微生物に基づく感染の治療に有用であり得る。
【0037】
本発明の1つの実施形態は、以下の一般式:
【化2】
[式中:
R1=H
R2=−OH、−OR5、−OCH2C(O)R5、−OCH2C(O)NHR5、−OC(O)R5、−OC(O)OR5、−OC(O)NHNH−R5、または−OC(O)NR5R6であり、ここで、R5がH、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR5が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R3およびR4は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり;
但し、R2が−OH、−OCH3、または−OC(O)CF3であり、R3が−CH3である場合、R4は−CH2CH2OH、−CH2−(C6H5)、または−CH=CH−CH3ではなく、
さらに、R3が−CH2−(C6H5)である場合、R4は−CH3または−CH2CH3ではない]を有する化合物である。
【0038】
(適用可能である場合、上記化合物のケト互変異性型も式Iに含まれる。)
【0039】
好ましい実施形態においては、R5はC1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである。
【0040】
好ましい実施形態においては、R3は−Hまたは−CH3である。
【0041】
好ましい実施形態においては、R4はn−C6−C8アルキルである。
【0042】
本発明の別の実施形態は、式II
【化3】
[式中
R6=C2−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CHR10OR11、−CO(O)R10、−C(O)NR10R11、−CH2C(O)R10、または−CH2C(O)NHR10であり、ここでR10およびR11が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであるが、R6はジ−、トリ−、またはテトラ−アルキル置換フェニルではなく、
R7=−OH、−OR12、−OCH2C(O)R12、−OCH2C(O)NHR12、−OC(O)R12、−OC(O)OR12、−OC(O)NHNH−R12、または−OC(O)NR12R13であり、ここでR12およびR13が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR12およびR13が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R8およびR9は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R6がエチルである場合、R8およびR9が同じでないならば、R8またはR9はエチル、−CH2COOH、−CH2C(O)NH2、−CH2−(C6H5)ではないが、R6がエチルであってもR8およびR9が同じであり得、
R6がフェニルであり、R7が−OHである場合、R8およびR9は同時に−CH3および−プロフェニルではあり得ず、
R6がフェニルである場合、R8およびR9は同時に−CH3または−CH2−(C6H5)であり得ない]の化合物である。
【0043】
好ましい実施形態においては、R10はC1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである。
【0044】
好ましい実施形態においては、R8は−Hまたは−CH3である。
【0045】
好ましい実施形態においては、R9はn−C6−C8アルキルである。
【0046】
本発明の別の実施形態は、式III
【化4】
[式中
R14=−C(O)R18であり、ここでR18がH、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合によりハロゲン原子を含有し、
R15=−OH、−OR19、−OCH2C(O)R19、−OCH2C(O)NHR19、−OC(O)R19、−OC(O)OR19、−OC(O)NHNH−R19、または−OC(O)NR19R20であり、ここでR19およびR20が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR19およびR20が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R16およびR17は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R14が−C(O)CH3であり、R16およびR17が同一でない場合、R16またはR17のいずれもゲラニル、p−フルオロベンジル、シンナミル、ファルネシル、メチル、または−CH2−(C6H5)ではなく、
R14が−C(O)C6H5である場合、R16またはR17のいずれもメチルではない]の化合物を含んで成る。
【0047】
本発明の別の実施形態は、医薬希釈剤、ならびに式I、II、III、またはIV:
【化5】
[式中:
R21=H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CH2OR25、−C(O)R25、−CO(O)R25、−C(O)NR25R26、−CH2C(O)R25、または−CH2C(O)NHR25であり、ここでR25およびR26が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
R22=−OH、−OR27、−OCH2C(O)R27、−OCH2C(O)NHR27、−OC(O)R27、−OC(O)OR27、−OC(O)NHNH−R27、または−OC(O)NR27R28であり、ここでR27およびR28が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR27およびR28が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R23およびR24は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである]の化合物を含んで成る医薬組成物である。
【0048】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液または懸濁液、経口溶液または懸濁液、適量の化合物を含有する水中油および油中水乳剤、坐剤、および液中懸濁液または溶液などの単位剤形でヒトおよび他の動物に対する投与のために提示されうる。本明細書で用いられる用語「医薬希釈剤」および「医薬担体」は同じ意味を有する。経口投与のために、固体または液体の単位剤形が調製されうる。錠剤などの固体組成物を調製するために、化合物は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸カルシウム、でんぷん、乳糖、アカシア、メチルセルロース、および医薬希釈剤または担体など機能的に類似の材料など従来の成分と混合されうる。カプセル剤は、化合物を不活性医薬希釈剤と混合し、かつその混合物を適切なサイズの硬ゼラチンカプセル剤に充填することによって調製される。軟ゼラチンカプセル剤は、許容される植物油、軽流動パラフィン、または他の不活性油とともに化合物のスラリーの機械カプセル化によって調製される。
【0049】
液体単位剤形、またはシロップ剤、エリキシル剤、および懸濁液などの経口投与が調製されうる。これらの剤形は、糖、芳香性香料添加剤、防腐剤とともに水性賦形剤中に溶解し、シロップ剤を形成されうる。懸濁液は、アカシア、トラガカント、メチルセルロースなどの懸濁剤を用いて水性賦形剤で調製されうる。
【0050】
非経口投与のために、化合物および滅菌賦形剤を利用して液体単位剤形が調製されうる。溶液の調製においては、化合物は注射用に水中に溶解され、適切なガラス瓶またはアンプルに充填し密閉する前にろ過滅菌されうる。局所麻酔薬などの佐剤、防腐剤、および緩衝剤が賦形剤中に溶解されうる。組成物はガラス瓶に充填後に凍結され、水は真空下に除去されうる。次いで、凍結乾燥粉剤はガラス瓶中で計量され、使用前に再構成されうる。
【0051】
本発明の化合物に関して想定される臨床的治療項目として挙げられるのは、(1)ブドウ球菌(staphylococci)および腸球菌(enterococci)などの侵襲性微生物による感染、(2)その細胞が脂肪酸合成酵素を過剰発現する多くの組織において発生する癌、(3)過剰なカロリーの摂取による肥満である。投与量および治療期間は、さまざまな要因によって決まるが、それらに含まれるのは、(1)患者の年齢、体重、および臓器機能(例えば、肝および腎機能)、(2)治療される疾患過程の性質および程度、ならびに既存の重要な併存疾患、および服用される併用薬、および(3)投与経路、治療を達成するのに必要な投与の頻度および期間、および薬剤の治療指標などの薬剤関連パラメータである。一般に、投与量は、約1μg/ml〜10μg/mlの標的部位での有効濃度を達成することを目的に1ng/ml〜100ng/ml血清レベルを達成するように選択される。
【実施例】
【0052】
実施例
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、これによって限定されない。
【0053】
本発明による一連の化合物が、以下に記載されているように合成された。一部の化合物の生物学的活性は以下のようにプロファイルされた。化合物は以下について試験された。すなわち、(1)精製ヒトFASの阻害、(2)全細胞における脂肪酸合成活性の阻害、(3)クリスタルバイオレット(crystal violet)およびXTTアッセイを用いて、高レベルのFASおよび脂肪酸合成活性を有することが知られる培養MCF−7ヒト乳癌細胞に対する細胞毒性。次いで、低レベルの細胞毒性を有する選択化合物は、バルブ(Balb)/Cマウスにおける減量について試験された。また、有意な減量および低レベルの細胞毒性を示す群からの代表的化合物は、脂肪酸酸化、およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)活性、ならびにバルブ(Balb)/Cマウスにおけるノーザン分析による視床下部NPY発現に対するその効果について試験された。一部の化合物は、グラム陽性および/または陰性菌への活性についても試験された。
【0054】
化合物の化学合成
【化6】
【0055】
(2S,5R)−2−t−ブチル−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(1)1。ペンタン(24mL)中(S)−チオ乳酸1(4.0g、37.7mmol)の溶液に、トリメチルアルキニルアルデヒド(4.5mL、41.5mmol)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(48μL)を添加した。ディーン・スターク・トラップを使用する還流で、溶液を20時間、加熱した。冷却後、溶媒を取り出し、1および2のシス:トランス混合物(2.5:1)(6.4g、99%)を得た。再結晶化(ペンタン/Et2O(8:1)−78℃)により、純物質1[α]D24=−38(c0.4,CHCl3)を生じた。1H NMR(300MHz、CDCl3)シス異性体δ0.99(s,9H);1.53(d,J=7Hz,3H);3.94(q,J=7Hz,1H);5.17(s,1H)。(±)−チオ乳酸からラセミ体1も調製した。
【化7】
【0056】
一般手順A。(2S,5R)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−メチル−2ブテニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(3)。−78℃のTHF(8.0mL)中ジイソプロピルアミン(0.6mL、4.6mmol)の混合物に、n−BuLi(n−ヘキサン中3.3mL、1.4M)を添加し、得られる溶液を30分間、0℃で撹拌し、次いで、−78℃に冷却した。次いで、−78℃のTHF中の1(800mg、4.6mmol)を、カニューレにより段階的に添加し、得られる溶液を30分間、−78℃で撹拌した。次いで、−78℃のTHF(1.4mL)中トランス2−メチル−2ブテナール(0.4mL、4.6mmol)をカニューレを介して添加した。−78℃で1.5時間撹拌後、1N HCl(25mL)を添加し、溶液をEt2O(3×30mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン、rf=0.1)により、ジアステレオマーの1.6:1混合物として3(955mg、81%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ(主要なジアステレオマー)0.99(s,9H)、1.40(s,3H)、1.63(d,J=6.7Hz、3H)、1.69(m,3H)、4.36(s,1H)、5.25(s,1H)、5.60−5.65(m,1H);(少数のジアステレオマー)0.98(s,9H)、1.59(s,3H)、1.63(d,J=6.7Hz,3H)、1.72(m,3H)、4.25(s,1H)、5.07(s,1H)、560−5.64(m,1H)13C NMR(75MHz、CDCl3)δ(主要なジアステレオマー)12.5、13.2、24.3、24.8、60.7、81.8、87.9、126.3、133.8、178.8;IR(ATR)3466、1743cm−1。C13H22O3Sの分析計算値:C,60.4;H,8.58;実測値:C,60.4;H,8.60。
【化8】
【0057】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−オクテニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(4)。一般手順Aに従い、(±)1(800mg、4.59)および2−トランスオクテナール(0.58mL、5.1mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)後にジアステレオマーの1.2:1混合物として4(1.1g、81%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)主要なジアステレオマーδ0.85(t,J=7.2Hz,3H)、0.97(bs,9H)、1.18−1.35(m,6H)、1.56(s,3H)、2.00−2.08(m,2H)、2.38(d,J=5Hz,1H)、4.15−4.19(m,1H)、5.13(s,1H)、5.45−5.59(dd,J=7,14Hz,1H)、5.72−5.77(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.7、22.3、24.7、28.5、31.3、32.1、35.2、60.6、78.8、87.4、127.2、136.5、175.7。1H NMR(300MHz、CDCl3)少数のジアステレオマー1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7.2Hz,3H)、0.97(s,9H)、1.18−1.35(m,6H)、1.40(s,3H)、2.00−2.07(m,2H)、2.31(d,J=5Hz,1H)、4.25−4.30(m,1H)、5.27(s,1H)、5.45−5.59(dd,J=7,14Hz,1H)、5.79−5.83(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.7、22.3、23.9、24.828.5、31.2、32.1,35.3、61.1、78.3、87.8、127.2、137.2、177.0。IR(NaCl)2959、1765cm−1。C16H28O3Sの分析計算値:C,63.9;H,9.39;実測値:C,63.9;H,9.41。
【化9】
【0058】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−ヘキセニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン。(5)。一般手順Aに従い、(±)1(800mg、4.59)および2−トランスオクテナール(0.58mL、5.1mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)後にジアステレオマーの2.4:1混合物として5(813mg、65%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(t,J=7.3Hz,3H)、0.99(s,9H)、1.38−1.45(m,2H)、1.41(s,3H)、2.02(q,J=7Hz,2H)、4.26−4.31(m,1H)、5.27(s,1H)、5.45−5.63(m,1H)、5.74−5.83(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.6、21.6、24.1、24.9、35.2、37.2、61.2、78.5、87.9、12.3、137.3、179.1。IR(NaCl)2960、1765cm−1。C14H24O3Sの分析計算値:C,61.7;H,8.88;実測値:C,61.74;H,8.89。
【化10】
【0059】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンテニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(6)。一般手順Aに従い、(±)1(800mg、4.59mmol)および2−メチル−2−ペンテニル(0.58mL、5.0mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)後にジアステレオマーの1.8:1混合物として6(884mg、71%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.93−0.99(m,12H)、1.40(s,3H)、1.68(s,3H)、2.01−2.06(m,2H)、4.33(d,J=6.9Hz,1H)、5.24(s,1H)、5.48−5.54(m,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ12.6、13.8、20.9、21.1、24.8、35.4、60.6、81.8、87.9、132.6、133.9、178.3。IR(NaCl)2961、1767cm−1。C14H24O3Sの分析計算値:C,61.7;H,8.88;実測値:C,61.6;H,8.90。
【化11】
【0060】
一般手順B。(2S,5R)−2−(t−ブチル)−5−(2−メチル−ブタ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(7)。0℃まで冷却したCl(CH2)2Cl(115mL)中3(3.23g、12.5mmol)の溶液にNEt3(4.2mL、30mmol)および塩化2,4−ジニトロベンジルスルフェニル(6.6g、28.2mmol)を添加した。溶液を、30分間、またはTLC(10%EtOAc/ヘキサン、rf=.55主要、rf=.48少数)がジアステレオマーのスルフェン酸エステルの完全な形成を示すまで、加温した。次いで、混合物を、90℃で、4時間、またはTLCによってスルフェン酸エステルの完全変換が示されるまで、還流した。0℃まで冷却した後、次いで、ペンタン(50mL)を添加し、この混合物をセライト(Celite)を介してろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン、rf=0.4)により、純物質7(2.3g、75%)を得た。[α]D24=+237(c1.0、CHCl3)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.98(s,9H)、1.72(s,3H)、1.86(s,3H)、5.06(d,J=10.7Hz,1H)、5.18(s,1H)、5.24(d,J=17.3Hz,1H)、5.70(s,1H)、6.24−6.33(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(300MHz、CDCl3)δ12.5、25.1、26.6、34.9、53.7、87.4、113.7、132.6、137.8、140.9、176.3。C13H20O2Sの分析計算値:C,64.9;H,8.38;実測値:C,63.8;H,8.28。
【化12】
【0061】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(オクタ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(8)。一般手順Bに従い、(±)4(306mg、1.00mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)後に8(212mg、75%、4:1トランス:シス)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)トランス異性体δ0.84−0.89(m,3H)、1.01(s,9H)、1.22−1.38(m,4H)、1.61(s,3H)、2.04−2.11(m,2H)、5.03(s,1H)、5.58(d,J=15Hz,1H)、5.64−5.78(m,1H)、0.96−6.05(m,1H)、6.19(dd,J=10.1,15.1Hz,1H)。13C NMR(75MHz、CDCl3)トランス異性体δ13.6、22.0、22.5、25.2、31.2、32.1、34.6、55.9、87.0、128.5、129.6、130.2、137.2、174.7。IR(NaCl)2959、1772cm−1。C16H26O2S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値282.1653、観測値、282.1681。
【化13】
【0062】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(ヘキサ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(9)。一般手順Bに従い、(±)5(690mg、2.53mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)後に9(461mg、72%、4:1トランス:シス)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.95−1.01(m,12H)、1.61(s,3H)、2.07−2.12(m,2H)、5.05(s,1H)、5.58(d,J=15Hz,1H)、5.81(d,J=6Hz,1H)、6.00−6.05(m,1H)、6.15−6.24(dd,J=10,15.2Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.3、24.8、25.3、25.7、34.5、56.1、87.2、127.4、129.4、130.0、138.9、175.1。IR(NaCl)2966、1771cm−1。C14H22O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値277.1232、観測値、277.1237。
【化14】
【0063】
(±)−2−(t−ブチル)−5−(2−メチル−ペンタ−1,3−ジエニル)−5−メチル−1,3−オキサチオラン−4−オン(10)。一般手順Bに従い、(±)6(500mg、2.51mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)後に10(342mg、73%、14:1トランス:シス)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.00(s,9H)、1.7(s,3H)、1.75(d,J=6.6Hz,3H)、1.85(s,3H)、5.18(s,1H)、5.57(s,1H)、5.75(dq,J=6.6,16Hz,1H)、5.97(d,J=16Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)d13.0、18.0、25.2、27.4、34.8、53.8、87.4、125.4、129.3、135.5、137.8、176.3。IR(NaCl)2961、1770cm−1。C14H22O2S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値254.1341、観測値、254.1309。
【化15】
【0064】
一般手順C。2−(R)−2,4−ジメチル−2−チオプロピオニル−ヘキサ−3,5−ジエン酸エチルエステル(12)。炭酸セシウム(332mg、1.0mmol)を、EtOH(3.9mL)中7(250mg、1.0mmol)の溶液に直接添加した。20分後、この混合物を、NH4Cl(塩)/1N HCl(15mL、3:1)の混合物に注ぎ、Et2O(3×20mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗11を得た。11にCH2Cl2(7.5mL)を添加し、溶液を0℃にまで冷却した。NEt3(0.14mL、1.0mmol)および塩化プロピオニル(.09mL、1.0mmol)を添加し、溶液を0℃で撹拌した。40分間後、NH4Cl(塩)(20mL)を添加し、この混合物をCH2Cl2(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン、rf=0.4)により、純物質12(261mg、72%)を得た。[α]D23=+4.2(c0.9、CHCl3)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.11(t,J=7.4Hz,3H)、1.23(t,J=7.0Hz,3H)、1.83(s,3H)、1.85(s,3H)、2.48(q,J=7.5Hz,2H)、4.18(q,J=6.9Hz,2H)、5.02(d,J=10.7Hz,1H)、5.18(d,J=17.3Hz,1H)、5.73(s,1H)、6.24−6.34(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(300MHz、CDCl3)δ9.43、12.9、13.9、26.1、36.5、55.2、61.9、113.1、131.4、138.2、141.4、172.1、198.9。IR(NaCl)2981、1735、1694cm−1。C13H20O3S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値256.1133;観測値256.1127。
【化16】
【0065】
(±)−2−チオアルキニル−2−メチル−デカ−3,5−ジエン酸エチルエステル(13)。一般手順Cに従い、8(200mg、0.71mmol)および塩化アルキニル(55μL、0.78mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に13(119mg、59%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.84−0.89(m,3H)、1.23(t,J=7.1Hz,3H)、1.28−1.38(m,4H)、1.71(s,3H)、2.01−2.08(m,2H)、2.23(s,3H)、4.18(q,J=7.1Hz,2H)、5.66−5.76(m,2H)、5.89−6.03(m,1H)、6.20(dd,J=10.3,15.3Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.8、13.9、22.2、22.8、29.9、31.2、32.3、56.1、61.9、128.4、129.2、132.2、137.1、171.6、194.6。IR(NaCl)2930、1737、1694cm−1。C15H24O3SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値307.1338、観測値307.1339。
【化17】
【0066】
(±)−2−チオアルキニル−2−メチル−オクタ−3,5−ジエン酸エチルエステル(14)。一般手順Cに従い、9(353mg、1.39mmol)および塩化アルキニル(98mL、1.39mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に14(142g、40%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.83(t,J=7.3Hz,3H)、1.24(t,J=7.1Hz,3H)、1.72(s,3H)、2.03−2.17(m,2H)、2.25(s,3H)、4.17(q,J=7.1Hz,2H)、5.72−5.81(m,2H)、5.95−6.04(dd,J=10,15Hz,1H)、6.18−6.27(dd,J=10,15Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.2、13.9、22.8、25.6、30.2、56.1、61.9、128.2、128.4、132.1、138.5、171.6、194.8。IR(NaCl)2929、1736、1693cm−1。C13H20O3SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値279.1025、観測値279.1032。
【化18】
【0067】
(±)−2−チオアルキニル−2,4−ジメチル−ヘプタ−3,5−ジエン酸エチルエステル(15)。一般手順Cに従い、10(369mg、1.46mmol)および塩化アルキニル(103μL、1.46mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に15(271g、77%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.26(t,J=7.1Hz,3H)、1.74(d,J=6.6Hz,3H)、1.81(s,3H)、1.85(s,3H)、2.25(s,3H)、4.17(q,J=7.1Hz,2H)、5.56(s,1H)、5.65−5.73(dq,J=6.6,16Hz,1H)、5.99(d,J=16Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.8、14.1、18.2、26.2、30.5、55.6、62.0、125.2、128.3、135.7、138.5、172.2、194.8。IR(NaCl)2926、1737、1694cm−1。C13H20O3S(M+)のHRMS(EI)m/z計算値256.1133、観測値256.1118。
【化19】
【0068】
(±)−2−チオアルキニル−2,4−ジメチル−ヘキサ−3,5−ジエン酸エチルエステル(16)。一般手順Cに従い、(±)7(380mg、1.56mmol)および塩化アルキニル(110μL、1.56mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に16(230mg、61%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.25(t,J=7.1Hz,3H)、1.84(s,3H)、1.87(s,3H)、2.24(s,3H)、4.21(q,J=7.1Hz,2H)、5.03(d,J=10.6Hz,1H)、5.21(d,J=17.3Hz,1H)、5.74(s,1H)、6.26−6.35(dd,J=10.6,17.3Hz,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ12.9、13.9、25.9、30.1、55.8、62.0、113.3、131.3、138.3、141.3、182.3、194.6。IR(NaCl)2982、1735、1692cm−1。
【化20】
【0069】
一般手順D。5−(R)−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−5−(2−メチル−ブタ−1,3−ジエニル)−5−H−チオフェン−2−オン(17)(チオラクトマイシン(thiolactamycin))。−78℃のTHF(18.5mL)中12(315mg、1.23mmol)にLiHMDS(3.1mL、3.1mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を−5℃まで緩徐に加温させた。次いで、溶液を、1N HCl(25mL)に注ぎ、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。この粗混合物をNaHCO3(塩、15mL)中に採取し、Et2O(3×10mL)で抽出した。次いで、1N HClで水層をpH3(pH紙)にまで酸性にし、Et2O(3×10mL)およびEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、純物質17を得た。(182mg、70%、96%ee)。ヘキサン/アセトン(3:1)からの再結晶化により、光学的に富化された17を得た。[α]D24=+174(c0.6,MeOH)、mp融点119.5〜121℃(lit[α]D24+176(c1.0,MeOH)、mp120℃)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.72(s,3H)、1.76(s,3H)、1.91(s,3H)、5.05(d,J=10.7Hz,1H)、5.23(d,J=17.3Hz,1H)、5.58(s,1H)、6.23−6.33(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(300MHz、CDCl3)δ7.60、12.0、29.8、55.3、110.6、113.9、129.1、140.3、140.7、179.2、196.7。IR(NaCl)3422、1607cm−1。C11H14O2Sの分析計算値:C,62.8;H,6.71;実測値:C,62.1、6.71。
【化21】
【0070】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクタ−1,5−ジエニル−5−H−チオフェン−2−オン(18)。一般手順Dに従い、13(62mg、0.22mmol)から、18(21mg、41%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト互変異性体)δ0.88(t,J=6.9Hz,3H)、1.19−1.41(m,4H)、1.75(s,3H)、2.03−2.19(m,2H)、3.22(d,J=21Hz,1H)、3.51(d,J=21Hz,1H)、5.67(d,J=15Hz,1H)、5.80(dt,J=7,17Hz,1H)、6.02(dd,J=10,15Hz,1H)、6.37(dd,J=10,15Hz,1H);1H NMR(300MHz、MeOD)エノール互変異性体δ0.97−1.03(m,3H)、1.36−1.53(m,3H)、1.87(s,3H)、2.15−2.22(m,2H)、5.78(d,J=15Hz,1H)、5.82−5.90(m,1H)、6.38(dd,J=10.3,15.4Hz,1H);13C NMR(75MHz、MeOD)エノール互変異性体δ14.4、23.3、25.2、32.6、33.4、60.9、102.1(m)、130.7、131.7、132.7、137.5、188.9、196.9。IR(NaCl)2927、1588cm−1;C13H18O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)計算値261.0911、観測値261.0912。
【化22】
【0071】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−ヘキサ−1,3−ジエニル−5−H−チオフェン−2−オン(19)。一般手順Dに従い、14(364mg、0.46mmol)から、19(180mg、60%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3、ケト:エノール互変異性体の2.3:1)ケト互変異性体:δ1.00(t,J=7.4Hz,3H);1.75(s,3H);2.09−2.16(m,2H);3.21(d,J=21Hz,1H)、3.52(d,J=21Hz,1H);5.70(d,J=15Hz,1H);5.86(dt,J=15Hz,6Hz,1H)、6.02(dd,J=10,15Hz,1H)、6.38(dd,J=15,10Hz,1H);1H NMR(300MHz,MeOD)エノール互変異性体δ1.09(t,J=7.4Hz,3H)、1.87(s,3H)、2.14−2.29(m,2H)、5.78(d,J=15Hz,1H)、5.78(dt,J=15,6.57Hz,1H)、6.09−6.18(m,1H)、6.38(dd,J=10.2,15Hz,1H);13C NMR(75MHz,MeOD)エノール互変異性体δ14.1、25.2、26.6、61.0、101(m)、129.7、131.7、132.7、138.9、188.9、197.1。IR(NaCl)2965、1592cm−1;C11H14O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値233.0607、観測値233.0626。
【化23】
【0072】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5(2−メチル−ペンタ−1,3−ジエニル)−5−H−チオフェン−2−オン(20)。一般手順Dに従い、15(226mg、0.9mmol)から、20(95mg、49%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト−互変異性体)δ1.75(s,3H)、1.77(d,J=3.2Hz,3H)、1.84(s,3H)、3.42(d,J=1.5Hz,2H)、5.43(d,J=21Hz,1H)、5.66(bs,1H)、5.78(dd,J=6,22Hz,1H)、6.04(d,J=15Hz,1H);1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ1.80−1.85(m,2H)、1.90(s,3H)、5.59(s,1H)、5.80−5.95(m,1H)、6.17(d,J=15Hz,1H);13C NMR(75MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ13.4、18.4、30.7、59.2、101.2(m)、126.2、128.4、136.9、140.6、190.2、197.6。IR(NaCl)2929、1593cm−1;C11H14O2SNa+(M+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値233.0607、観測値233.0597。
【化24】
【0073】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5(2−メチル−ブタ−1,3−ジエニル)−5−H−チオフェン−2−オン(21)。一般手順Dに従い、16(181mg、0.75mmol)から、21(66mg、45%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト互変異性体)δ1.78(s,3H)、1.86(s,3H)、3.43(d,J=5.6Hz,2H)、5.12(d,J=10.6Hz,1H)、5.27(d,J=17.3Hz,1H)、5.83(s,3H)、6.27−6.37(dd,J=10.6,17.3Hz,1H)。1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ1.79(s,3H)、1.84(s,3H)、5.04(d,J=10.7Hz,1H)、5.25(d,J=17.3Hz,1H)、5.66(s,1H)、6.36(dd,J=10.7,17.3Hz,1H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ12.6、30.4、59.0、102(m)、116.9、131.4、140.6、142.3、189.9、197.3。C10H12O2S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値196.0552、観測値196.0552。
【化25】
【0074】
(±)−5−ベンジル−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−H−チオフェン−2−オン(22)。一般手順Dに従い、31(1.4mg、5.0mmol)から、22(500mg、45%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.71(s,3H)、2.89(ab q,J=22Hz,2H)、3.17(ab q,J=14Hz,2H)、7.26(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)d26.2、46.6、48.5、67.9、127.7、128.6、130.6、134.9、195.3、207.3。
【化26】
【0075】
一般手順E。(±)−2−tert−ブチル−5−メチル−5−オクチル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン(23)。−78℃のTHF(9.7mL)中LiHMDS(6.2mL、6.20mmol、THF中1M)の混合物に、THF(9.6mL)中(±)−1(1.00g、5.75mmol)を、カニューレにより段階的に添加し、得られる溶液を30分間、−78℃で撹拌した。次いで、−78℃のTHF(4mL)中オクチルトリフラート(1.63g、6.20mmol)を、カニューレを介して添加した。−78℃で2時間撹拌後、1N HCl(10mL)を添加し、溶液をEt2O(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(2%EtOAc/ヘキサン)により、分別可能なジアステレオマーの2:1−6:1混合物(1.33g、81%)として純物質23を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.5Hz,3H)、0.99(s,9H)、1.24−1.26(m,12H)、1.54(s,3H)、1.72−1.84(m,2H)、5.13(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、22.6、24.9、25.1、25.9、29.2、29.3、29.5、31.8、35.2、41.2、55.3、86.5、177.7;IR(NaCl)3443、2929、1829、1769cm−1。C16H30O2Sの分析計算値:C,67.0;H,10.6;実測値:C,66.3;H,10.5。C16H30O2S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値286.1967、観測値286.1969。
【化27】
【0076】
(±)−2−tert−ブチル−5−メチル−5−ヘキシル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン(24)。一般手順Eに従い、(±)−1(500mg、2.87mL)とヘキシルトリフラート(738mg、2.87mmol)から、分別可能なジアステレオマーの2:1−6:1混合物として24(557mg、75%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(t,J=6.5Hz,3H)、0.99(s,9H)、1.24−1.29(m,8H)、1.54(s,3H)、1.72−1.80(m,2H)、5.13(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、22.5、24.9、24.9、25.1、25.9、29.1、31.6、41.2、55.3、86.7、177.8;IR(NaCl)。C14H26O2Sの分析計算値:C,65.1;H,10.1;実測値:C,64.5;H,10.1。C14H26O2S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値258.1654、観測値286.1653。
【化28】
【0077】
一般手順F。(±)−2−アルキニルスルファニル−2−メチル−デカン酸エチルエステル(26)。EtOH(14.1mL)中23(650mg、2.27mmol)にNaOEt(2.1M)(2.16mL、4.54mmol)(EtOH(4.0mL)中Na金属(200mg、8.3mmol)から新たに調製した)を添加し、溶液を室温で撹拌させた。2時間後、溶液を、NH4Cl(塩)/1N HCl(25mL、3:1)に注ぎ、この混合物をEt2O(3×20mL)で抽出した。次いで、合わせた有機物をH2O(3×25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗25を得た。0℃のCH2Cl2(26mL)に溶解した25にNEt3(0.5mL、3.49mmol)および塩化アルキニル(0.3mL、3.49mmol)を添加した。0℃で40分間後、NH4Cl(塩)(30mL)を添加し、溶液をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)により純物質26(542mg、79%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.87(t,J=6.9Hz,3H)、;1.22−1.27(m,15H)、1.61(s,3H)、1.75−1.84(m,2H)、2.26(s,3H)、4.18(q,J=7.1Hz,2H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、14.1、22.6、23.4、24.4、29.1、29.2、29.6、30.3、31.8、38.3、55.8、61.5、173.1、195.8。IR(NaCl)3430、1868、1693、1644cm−1;C15H28O3Sの分析計算値:C,62.5;H,9.78;実測値:C,62.6;H9.83。
【化29】
【0078】
(±)−2−アルキニルスルファニル−2−メチル−オクタン酸エチルエステル(28)。一般手順Fに従い、24(940mg、3.63mmol)および塩化アルキニル(0.3mL、3.63mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に28(727mg、77%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)d0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.22−1.27(m,11H)、1.61(s,3H)、1.75−1.79(m,2H)、2.25(s,3H)、4.17(q,J=7Hz,2H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ13.9、14.1、22.4、23.4、24.4、29.3、30.3、31.5、38.4、55.7、61.5、173.0、194.7。IR(NaCl)3449、1736、1694cm−1。C13H24O3Sの分析計算値:C,59.9;H,9.29;実測値:C,60.6;H,9.44。
【化30】
【0079】
(±)−2−メチル2−プロピオニルスルファニル−デカン酸エチルエステル(30)。一般手順Fに従い、23(613mg、2.14mmol)および塩化プロピオニル(0.19mL、2.14mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に30(484mg、75%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.84(t,J=6.9Hz,3H)、1.10(t,J=7.5Hz,3H)、1.19−1.24(m,15H)、1.58(s,3H)、1.72−1.77(m,2H)、2.48(q,J=7.5Hz,2H)、4.17(q,J=7Hz,2H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ9.45、14.1、14.1、22.6、23.5、24.5、29.1、29.3、29.7、31.8、36.9、38.5、55.5、61.4、173.2、199.2。C16H30O3Sの分析計算値:C,63.5;H,10.0;実測値:C,63.7;H,10.0。
【化31】
【0080】
(±)−2−アルキニルスルファニル−2−メチル−3−フェニル−デカン酸エチルエステル(31)。一般手順Fに従い、5−ベンジル−2−tert−ブチル−5−メチル−[1,3]−オキサチオラン−4−オン1(1.2g、4.7mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)後に31(954mg、76%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.19(t,J=7Hz,3H)、1.55(s,3H)、2.26(s,3H)、3.13(q,J=13Hz,2H)、4.13(q,J=7Hz,2H)、7.1(m,2H)、7.2(m,3H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、23.1、30.3、43.6、56.3、61.7、127.2、128.1、130.7、135.4、172.8、194.8。
【化32】
【0081】
一般手順G。(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(32)。−78℃のトルエン(27mL)中26(500mg、1.7mmol)にLiHMDS(4.3mL、4.3mmol、THF中1.0M)を添加し、溶液を−5℃まで緩徐に加温させた。次いで、溶液を、1N HCl(40mL)に注ぎ、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)により32(308mg、73%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(ケト互変異性体)δ0.86(t,J=6Hz,3H)、1.19−1.24(m,10H)、1.48−1.53(m,2H)、1.65(s,3H)、1.77−1.85(m,1H)、1.94−2.01(m,1H)、3.36(s,2H);1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)0.87−0.89(m,3H)、1.29(m,10H)、3.29(s,3H)、1.81−1.87(m,2H);13C NMR(75MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ14.7、23.8、26.4、27.1、30.5、30.6、30.8、33.2、39.8、61.3、103.1(m)、189.8、197.8。IR(NaCl)3422、1593cm−1;C13H22O2Sの分析計算値:C,64.4;H,9.15;実測値:C,64.3;H,9.10。
【化33】
【0082】
(±)−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−ヘキシル−5−H−チオフェン−2−オン(33)。一般手順Gに従い、28(715mg、2.75mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)後に33(402mg、69%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ(ケト互変異性体)0.86(t,J=7Hz,3H)、1.27(bs,8H)、1.68(s,3H)、1.94−2.26(m,2H)、3.35(s,2H)。1H NMR(300MHz,MeOD)(エノール互変異性体)δ0.89(t,J=6.5Hz,3H)、1.21−1.36(m,7H)、1.46−1.54(m,1H)、1.64(s,3H)、1.80−1.90(m,2H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ14.6、23.8、26.3、27.1、30.5、32.9、39.8、61.3、103.5(m)、189.8、197.8。C11H18O2Sの分析計算値:C,61.6;H,8.47;実測値:C,61.7;H,8.67。
【化34】
【0083】
(±)−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(34)。一般手順Gに従い、30(469mg、1.55mmol)およびNaHMDS(3.87mL、3.87mmol、THF中1.0M)から、34(397mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(エノール互変異性体)δ0.86(t,J=6.8Hz,3H)、1.23(s,11H)、1.30−1.45(m,1H)、1.59(s,3H)、1.74(s,3H)、1.84−1.88(m,2H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ7.48、14.0、22.6、25.2、25.9、29.2、29.4、29.6、31.8、38.5、58.2、110.5、180.9、198.0。IR(NaCl)2927、1601cm−1。
【化35】
【0084】
一般手順H。(±)−4−メトキシ−5−メチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(35)。−40℃までに冷却したDMF(1.1mL)中32(70mg、0.27mmol)にNaH(14mg、0.35mmol、鉱油中60%)に添加し、溶液を加温させ、0℃で30分間、撹拌させた。次いで、硫酸ジメチル(50μl、0.55mmol)を直接添加し、混合物を加温させ、2.5時間、室温で撹拌させた。NH4Cl(塩)/1N HCl(3:1、10ml)を添加し、溶液をEt2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物をH2O(3×15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)により純物質35(59mg、80%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7Hz,3H);1.07−1.18(m,1H)、1.23(s,10H)、1.43−1.49(m,1H)、1.61(s,3H)、1.74−1.81(m,2H)、3.81(s,3H)、5.29(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、22.6、25.1、26.4、29.1、29.3、29.5、31.8、38.8、59.3、59.4、101.3、187.3、193.8。C14H24O2Sの分析計算値:C,65.6;H,9.50;実測値:C,65.8;H9.50。
【化36】
【0085】
(±)−4−メトキシ−5−メチル−5−ヘキシル−5−H−チオフェン−2−オン(36)。一般手順Hに従い、33(40.3mg、0.19mmol)および硫酸ジメチル(35μl、0.37mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に36(25mg、58%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.7Hz,3H)、1.08−1.13(m,1H)、1.24(s,6H)、1.35−1.39(m,1H)、1.61(s,3H)、1.75−1.82(m,2H)、3.81(s,3H)、5.30(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.4、29.2、31.5、38.9、59.4、59.4、101.3、187.3、193.8。
【化37】
【0086】
(±)−4−メトキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(37)。一般手順Hに従い、34(40mg、0.16mmol)、KH(27mg、0.20mmol、鉱油中30%)および硫酸ジメチル(30μl、0.31mmol)から、37(30mg、71%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.06−1.09(m,1H)、1.24(s,10H)、1.41−1.48(m,1H)、1.55(s,3H)、1.71−1.79(m,2H)、1.98(s,3H)、4.09(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ9.59、14.1、22.6、25.2、26.5、29.2、29.4、29.6、31.8、38.9、58.7、59.8、111.3、180.2、195.7。IR(NaCl)2927、1676、1631、1582cm−1;C15H26O2Sの分析計算値:C,66.6;H,9.69;実測値:C,66.5;H,9.67。
【化38】
【0087】
(±)−5−ベンジル−4−メトキシ−5−メチル−5−H−チオフェン−2−オン(38)。一般手順Hに従い、22(50mg、0.23mmol)および硫酸ジメチル(44μl、0.45mmol)から、38(38mg、74%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.65(s,3H)、3.1(q,J=7Hz,2H)、3.84(s,3H)、5.19(s,1H)、7.21(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ26.5、45.0、59.3、59.9、101.9、127.2、128.0、130.4、135.9、186.5、192.9。
【化39】
【0088】
(±)−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(39)。一般手順Hに従い、32(39mg、0.16mmol)およびブロモ酢酸エチル(36μl、0.32mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に39(39mg、73%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6Hz,3H)、1.24(s,11H)、1.29(t,J=7Hz,3H)、1.47−1.48(m,1H)、1.68(s,3H)、1.85−1.88(m,2H)、4.25(q,J=7Hz,2H)、4.54(s,2H)、5.20(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、14.1、22.6、25.1、26.4、29.2、29.3、29.5、31.8、38.8、59.7、61.9、67.9、102.3、166.2、185.3、193.4。IR(NaCl)2928、1762、1682、1612cm−1;C17H28O4Sの分析計算値:C,62.2;H,8.59;実測値:C,62.2;H,8.67。
【化40】
【0089】
(±)−5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(40)。一般手順Hに従い、33(20mg、0.09mmol)およびブロモ酢酸エチル(20μl、0.2mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に40(18mg、67%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)d0.86(t,J=6.8Hz,3H)、1.24−1.27(m,1H)、1.32(t,J=7Hz,3H)、1.47−1.48(m,1H)、1.68(s,3H)、1.84−1.88(m,2H);4.25(q,J=7Hz,2H)、4.54(s,2H)、5.21(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、14.1、22.5、25.1、26.4、29.2、31.6、38.9、59.7、61.9、68.0、102.3、166.2、185.3、193.3。IR(NaCl)2932、1762、1682、1612cm−1;C15H24O4Sの分析計算値:C,59.9;H,8.05;実測値:C,59.9;H,8.08。
【化41】
【0090】
(±)−4−(4−クロロ−ブトキシ)−5−メチル−5−オキシル−5H−チオフェン−2−オン(41)。一般手順Hに従い、32(47mg、0.18mmol)および3−ヨード−1−クロロブタン(40μl、0.36mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に41(46mg、85%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.07−1.27(m,1H)、1.24(s,10H)、1.48−1.51(m,1H)、1.62(s,3H)、1.75−1.82(m,2H)、1.89−1.98(m,4H)、3.59(t,J=5.9Hz,2H)、3.95−3.98(m,2H)、5.28(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.0、29.0、29.2、29.3、29.5、29.7、31.8、44.1、59.6、71.7、101.6、186.1、193.8。C17H29ClO2Sの分析計算値:C,61.3;H,8.78;実測値:C,61.9;H,9.01。
【化42】
【0091】
(±)−4−(4−クロロ−ブトキシ)−5−メチル−5−ヘキシル−5H−チオフェン−2−オン(42)。一般手順Hに従い、33(36mg、0.17mmol)および3−ヨード−1−クロロブタン(40μl、0.34mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に42(32mg、75%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=5.1Hz,3H)、1.09−1.14(m,1H)、1.25(s,6H)、1.44−1.53(m,1H)、1.63(s,3H)、1.77−1.85(m,2H)、1.90−2.00(m,4H)、3.59(t,J=4.5Hz,2H)、3.95−3.99(m,2H)、5.28(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ13.7、22.3、25.1、26.1、26.4、29.1、29.1、31.5、39.0、43.9、59.5、71.6、101.5、185.9、192.9。IR(NaCl)2927、1683、1607cm−1;C15H25ClO2Sの分析計算値:C,59.3;H,8.27;実測値:C,59.3;H,8.39。
【化43】
【0092】
(±)−4−アリルオキシ−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(43)。一般手順Hに従い、32(31mg、0.12mmol)および臭化アリル(21μl、0.25mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)を使用して分別および精製し得る43および44の3:1混合物(26mg、74%)を得た。O−アルキル化生成物43。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.3Hz,3H)、1.12−1.17(m,1H)、1.24(s,10H)、1.45−1.49(m,1H)、1.64(s,3H)、1.77−1.84(m,2H)、4.47(d,J=5.6Hz,2H)、5.29(s,1H)、5.31(d,J=11Hz,1H)、5.90−5.99(ddd,J=5.6,11,17Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.5、29.2、29.3、29.5、31.8、59.7、72.8、102.0、119.5、130.8、185.8、193.8。IR(NaCl)3441、1681、1609cm−1。C16H26O2Sの分析計算値:C,68.0;H,9.20;実測値:C,68.1;H,9.34。
【0093】
(44)C−アルキル化生成物1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.5Hz,3H)、1.25(m,12H)、1.54(s,3H)、1.79−1.84(m,2H)、2.43−2.47(m,2H)、5.05−5.11(m,2H)、5.57−5.69(1H)。
【化44】
【0094】
(±)−4−アリルオキシ−5−メチル−5−ヘキシル−5H−チオフェン−2−オン(45)。一般手順Hに従い、33(270mg、1.3mmol)および臭化アリル(0.2ml、2.52mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)を使用して分別および精製し得る45および46の2.3:1混合物(205mg、58%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)(45)(O−アルキル化)δ0.84(t,J=7Hz,3H)、1.09−1.17(m,1H)、1.23(s,6H)、1.40−1.51(m,1H)、1.62(s,3H)、1.73−1.83(m,2H)、4.46(d,J=5.6Hz,2H)、5.33(d,J=10Hz,1H)、5.38(d,J=17Hz,1H)、5.28(s,1H)、5.87−5.98(ddd,J=5.6,10,17Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.5、29.2、31.6、38.9、59.7、72.8、101.9、119.6、130.7、185.8、193.9。C14H22O2Sの分析計算値:C,66.10;H,8.72;実測値:C,66.04;H,8.72。
【0095】
(46)(C−アルキル化)1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.24(bs,8H)、1.54(s,3H)、1.81−1.84(m,2H)、2.42−2.48(m,2H)、5.05−5.10(m,2H)、5.56−5.67(m,1H)。
【化45】
【0096】
(±)−4−アリルオキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(47)。一般手順Hに従い、34(70mg、0.27mmol)および臭化アリル(47μL、0.55mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)を使用して分別および精製し得る47および48の2.3:1混合物(C−アルキル化データ示さず)(67mg、82%)を得た。
【0097】
(47)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.06−1.48(m,12H)、1.58(s,3H)、1.71−1.82(m,2H)、1.94(s,3H)、4.80−4.82(m,2H)、5.28−5.46(m,2H)、5.89−5.03(m,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ9.65、14.0、22.6、25.2、26.6、29.2、29.3、29.6、31.8、39.2、57.5、72.5、118.2、119.5、132.6、179.4、193.8。IR(NaCl)2855、1676、1628、1580cm−1。
【0098】
(48)。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.16−1.47(m,15H)、1.57(s,3H)、1.74−1.96(m,2H)、2.42−2.46(m,2H)、5.04−5.10(m,2H)、5.53−5.67(m,1H)。
【化46】
【0099】
(±)−5−メチル−5−4−プロパ−2−イニルオキシ−5H−チオフェン−2−オン(49)。一般手順Hに従い、33(45mg、0.21mmol)および臭化プロパギル(37μl、0.21mmol)から、49(21mg、40%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.11−1.20(m,1H)、1.24(s,6H)、1.41−1.49(m,1H)、1.63(s,3H)、1.76−1.86(m,2H)、2.59(t,J=2.5Hz,1H)、4.62(d,J=3.7Hz,1H)、4.63(d,J=3.7Hz,1H)、5.43(s,1H)。
【化47】
【0100】
(±)−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(50)。一般手順Hに従い、32(60mg、0.25mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(73μl、0.49mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に50(62mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.24(s,12H)、1.49(s,9H)、1.68(s,3H)、1.83−1.86(m,2H)、4.43(s,2H)、5.19(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.2、26.3、28.1、29.2、29.3、29.5、31.8、38.9、59.7、68.5、83.4、102.1、165.2、185.5、193.4。C19H32O4Sの分析計算値:C,64.0;H,9.05;実測値:C,64.1;H,9.08。
【化48】
【0101】
(±)−5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(51)。一般手順Hに従い、33(169mg、0.79mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(0.23mL、1.58mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に51(206mg、80%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.8Hz,3H)、1.21(s,8H)、1.47(s,9H)、1.64(s,3H)、1.78−1.83(m,2H)、4.41(s,2H)、5.15(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.3、28.0、29.1、31.5、38.9、59.6、68.4、83.4、102.1、165.2、185.5、193.4。
【化49】
【0102】
(±)−5−フェニル−5−メチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(52)。一般手順Hに従い、22(150mg、0.68mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(0.20mL、1.36mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に52(159mg、74%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.49(s,9H)、1.69(s,3H)、3.17(m,2H)、4.44(q,J=8.8Hz,2H)、5.13(s,1H)、7.24(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ25.8、28.1、45.0、60.1、68.4、83.6、102.6、127.2、128.1、130.5、135.9、165.3、184.9、192.8。
【化50】
【0103】
一般手順I。(±)−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(53)。CH2Cl2(1.4mL)に溶解した50(65mg、0.18mmol)にトリフルオロ酢酸(TFA)(0.7mL)を添加し、溶液を室温で4時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、粗材料をクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH2CO2H/ヘキサン)に供して、純物質53(48mg、89%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.24(s,11H)、1.47−1.48(m,1H)、1.68(s,3H)、1.84−1.88(m,2H)、4.62(m,2H)、5.31(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.1、29.2、29.3、29.5、31.8、38.9、60.1、67.7、102.4、169.8、185.8、195.4。IR(NaCl)3442、1645cm−1;C15H24O4Sの分析計算値:C,59.9;H,8.05;実測値:C,60.0;H,8.09。
【化51】
【0104】
(±)−5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(54)。一般手順Iに従い、51(177mg、0.54mmol)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(2.61mL)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)後に54(144mg、98%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.8Hz,3H)、1.24(s,7H)、1.44−1.47(m,1H)、1.68(s,3H)、1.84−1.91(m,2H)、4.62(s,2H)、5.33(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.1、26.1、29.2、31.6、38.9、60.3、67.7、102.4、169.8、185.9、196.1。
【化52】
【0105】
(±)−5−フェニル−5−メチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸(55)。一般手順Iに従い、52(117mg、0.35mmol)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(1.4mL)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)後に55(68mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、MeOD)δ1.63(s,3H)、3.11(dd,J=6.8Hz,2H)、4.59(s,2H)、5.21(s,1H)、7.1(m,5H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ26.7、45.7、61.9、67.1、103.9、128.3、129.1、131.8、137.5、169.3、187.3、195.8。
【化53】
【0106】
(±)−N−アリル−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(41)。CH2Cl2(1.1mL)中53(64mg、0.21mmol)の冷却した溶液(0℃)に1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(49mg、0.25mmol)、DMAP(3mg、0.02mmol)、およびアリルアミン(18μL、0.25mmol)を添加し、混合物を室温まで加温させ、12時間撹拌させた。溶液を、1N HCl/(塩)(1:3)の溶液に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗56を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)により純物質56(50mg、66%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=7Hz,3H)、1.12−1.22(m,1H)、1.24(s,10H)、1.41−1.51(m,1H)、1.68(s,3H)、1.82−1.87(m,2H)、3.98(app t,J=6Hz,2H)、4.50(s,2H)、5.20(d,J=17.3Hz,1H)、5.35(s,1H)、5.80−5.90(ddd,J=6,10,17Hz,1H)、6.19(bs,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、22.6、25.3、26.5、29.2、29.4、29.5、31.8、39.1、41.6、59.3、70.3、117.2、133.2、165.3、183.9、192.8。C18H29NO3Sの分析計算値:C,63.7;H,8.61;実測値:C,63.4;H8.67。
【化54】
【0107】
一般手順J。(±)−(5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アルキニル−メチルグリシン酸塩(57)。CH3CN(0.86mL)中54(42.4mg、0.15mmol)の溶液に、トリス(2−オキソ−3−オキサゾリニル)ホスフィンオキシド3(91mg、0.20mmol)、グリシン酸メチル塩酸塩(19.7mg、0.16mmol)およびNEt3(43μL、0.31mmol)を添加し、溶液を室温で20分間撹拌させた。混合液をNH4Cl(塩)/1N HCl(10mL)に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートし、クロマトグラフィー(40〜50%EtOAc/ヘキサン)に供して、純物質57(43mg、80%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.8Hz,3H);1.23−1.26(m,7H)、1.49−1.55(m,1H)、1.65(s,3H)、1.65(s,3H)、1.84−1.90(m,2H)、3.79(s,3H)、4.11(d,J=5Hz,1H)、4.12(d,J=5Hz,1H)、4.47(s,2H)、5.36(s,1H)、6.76(bs,1H)。
【化55】
【0108】
(±)−(5−メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アルキニルグリシン酸塩(58)。THF/H2O(0.5mL、3:1)に溶解し、0℃にまで冷却した57(22mg、0.06mmol)にLiOH(3mg、0.07mmol)を添加し、この溶液を45分間撹拌させた。次いで、混合物をHCl(10mL、1N)の溶液に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗58を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/2%CH3CO2H/ヘキサン)により、純物質58(19mg、86%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.7Hz,3H);1.25(m,7H)、1.48−1.52(m,2H)、1.68(s,3H)、2.08−2.10(m,2H)、4.05(s,2H)、4.56(s,2H)、5.41(s,1H)。
【化56】
【0109】
(±)N−(4−ブロモブチル)−(5メチル−5−ヘキシル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(59)。一般手順Jに従い、54(61mg、0.22mmol)および1−アミノプロパノール臭化水素酸塩(50mg、0.23mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)後に59(65mg、74%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.12−1.15(m,1H)、1.23−1.28(s,6H)、1.46−1.53(m,1H)、1.69(s,3H)、1.82−1.88(m,2H)、2.14(quint.J=6Hz,2H)、3.42(m,2H)、3.54(q,J=6.3Hz,2H)、4.43(s,2H)、5.35(s,1H)6.45(bs,1H)。
【化57】
【0110】
(±)N−アリル−(5−フェニル−5−メチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(60)。一般手順Jに従い、55(72mg、0.26mmol)およびアリルアミン(21μL、0.28mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(勾配10〜50%EtOAc/ヘキサン)後に60(39mg、47%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.73(s,3H)、3.17(s,2H)、3.93(m,2H)、4.41(s,2H)、5.22(m,2H)、5.24(s,1H)、5.80(m,1H)、5.83(s,1H)、7.24(m,5H)。13C NMR(75MHz、CDCl3)δ26.0、41.6、45.4、59.7、70.3、103.9、117.1、127.5、128.3、130.2、133.2、135.6、165.3、183.4、192.0。
【化58】
【0111】
一般手順K。(±)−4−炭酸エチルエステル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(61)。−78℃に冷却したTHF(1.8mL)中32(95mg、0.39mmol)の溶液に、LiHMDS(0.58mL、0.58mmol、THF中1M)を添加し、溶液を30分間、−78℃で撹拌させた。次いで、クロロギ酸エチル(60μL、0.62mmol)を添加し、混合物を氷浴に移し、次いで、緩徐に室温にまで加温した。室温で1時間後、混合物をHCl(1N)/NH4Cl(塩)(10mL)の溶液に注ぎ、Et2O(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートし、クロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)に供して、純物質61(111mg、91%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.9Hz,3H)、1.12−1.17(m,11H)、1.38(t,J=7Hz,3H)、1.42−1.50(m,1H)、1.67(s,3H)、1.82(d,J=9Hz,1H)、1.85(d,J=9Hz,1H)、4.33(q,J=7Hz,2H)、6.38(s,1H);13C NMR(75MHz、CDCl3)δ14.0、14.0、22.6、25.2、25.8、29.1、29.2、20.4、31.8、38.4、60.1、66.0、112.8、150.2、175.6、193.9。IR(NaCl)2928、1782、1690、1625cm−1。C16H26O4Sの分析計算値:C,61.1;H,8.33;実測値:C,61.5;H8.32。
【化59】
【0112】
(±)−4−炭酸メチルエステル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(62)。一般手順Kに従い、32(73mg、0.30mmol)およびクロロギ酸メチル(37μL、0.48mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)後に62(63mg、70%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7Hz,3H)、1.15−1.21(m,1H)、1.22(s,10H)、1.41−1.51(m,1H)、1.66(s,3H)、1.81(d,J=9Hz,1H)、1.83(d,J=9Hz,1H)、3.92(s,3H)、6.39(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.2、25.9、29.2、29.3、29.4、31.8、38.4、56.2、60.2、112.9、150.9、175.5、194.1。IR(NaCl)3382、1626、1560、1542cm−1。C15H24O4Sの分析計算値:C,59.9;H,8.05;実測値:C,60.3;H8.10。
【化60】
【0113】
(±)−4−炭酸アリルエステル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(63)。一般手順Kに従い、32(51.5mg、0.21mmol)およびクロロギ酸アリル(33μL、0.32mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に63(46.3mg、67%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7,3Hz,3H)、1.16−1.23(bs,10H)、1.41−1.51(m,2H)、1.67(s,3H)、1.81−1.87(m,2H)、4.74(app dt,J=6Hz,2H)、5.37(app dq,J=10.3,1.02Hz,1H)、5.44(app dq,J=15.9,1.02Hz,1H)、5.99−6.0(m,1H)、6.39(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.0、22.6、25.2、25.8、29.1、29.2、29.4、31.8、38.4、60.1、70.2、112.9、120.6、130.23、150.0、175.5、193.7。IR(NaCl)2927、1782、1691、1606cm−1。C17H26O4Sの分析計算値:C,62.5;H,8.03;実測値:C,62.6;H8.07。
【化61】
【0114】
(±)−4−プロピオニル−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン(64)。一般手順Kに従い、32(40mg、0.17mmol)および塩化プロピオニル(20μL、0.22mmol)から、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に64(23.1mg、47%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7Hz,3H)、1.12−1.25(m,13H)、1.42−1.49(m,2H)、1.64(s,3H)、1.78−1.84(m,2H)、2.57(q,J=7.5Hz,2H)、6.39(s,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ8.71、14.0、22.6、25.1、25.927.9、29.1、29.3、29.5、31.8、38.6、60.4、113.8、169.1、177.0、179.9。IR(NaCl)2928、1787、1688cm−1。C16H26O3Sの分析計算値:C,64.3;H,8.78;実測値:C,64.3;H8.89。
【化62】
【0115】
(±)−4−炭酸エチルエステル−5−フェニル−5−メチル−5H−チオフェン−2−オン(65)。一般手順Kに従い、22(50mg、0.23mmol)およびクロロギ酸(35μL、0.36mmol)から、65(67mg、88%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ1.31(t,J=7Hz,3H)、1.69(s,3H)、3.15(s,2H)、4.36(q,J=7Hz,2H)、6.33(s,1H)、7.18−1.27(m,5H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ14.1、25.3、44.6、60.6、113.2、127.4、128.2、130.3、135.4、150.1、175.1、193.3。
【化63】
【0116】
4−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシエチル)−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン。(66、67)。ヘキサンに溶解した32(247mg、1.02mmol)にトリエチルアミン(0.23mL、1.68mmol)およびトリメチルシリルクロライド(0.21mL、1.64mmol)を添加し、溶液を室温で4時間撹拌させた。混合物をセライト上でろ過し、エバポレートして、5−メチル−5−オクチル−4−トリメチルシラニルオキシ−5−H−チオフェン−2−オンを得た。−78℃のCH2Cl2(1.95mL)中TiCl4(0.7mL、0.7mmol)の溶液に、アセトアルデヒド(54μL、0.97mmol)を添加し、溶液を5分間、−78℃で撹拌させた。次いで、CH2Cl2(0.4mL)に溶解した5−メチル−5−オクチル−4−トリメチルシラニルオキシ−5−H−チオフェン−2−オンを、TiCl4/アセトアルデヒド溶液にカニューレ注入すると、明るい橙色を呈した。この混合物を加温させ、20分間、0℃で撹拌させた。混合物をNH4Cl(塩)(15mL)に注ぎ、CH2Cl2(3×15mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートした。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)により純物質66(34mg)および67(24mg)(50%)を得た。(66)1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.05−1.08(m,1H)、1.24(bs,11H)、1.49(d,J=6.5Hz,3H,回転異性体)1.55(d,J=5.2Hz,3H,回転異性体)、1.62(s,1H)、1.78−1.82(m,2H)、4.68(q,J=6.5Hz,1H,回転異性体)、5.04(q,J=5.2Hz,1H,回転異性体)。C16H28O3SNa+(M+CH2+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値323.1660、観測値323.1660。
【0117】
(67)1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=6.9Hz,3H)、1.24(bs,12H)、1.47(d,J=6.6Hz,3H,回転異性体)、1.54(d,J=5.4Hz,3H,回転異性体)、1.59(s,3H)、1.76−1.82(m,2H)、4.65(q,J=6.3Hz,1H)、5.06(q,J=5.4Hz,1H)。C16H28O3SNa+(M+CH2+Na+)のHRMS(ES)m/z計算値323.1660、観測値323.1660。
【化64】
【0118】
一般手順L。3−アルキニル−4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−5H−チオフェン−2−オン。(68)。0℃のCH2Cl2(1.9mL)中32(94mg、0.38mmol)にNEt3(58μL、0.42mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(19mg、0.15mmol)および無水酢酸(43μL、0.47mmol)を添加した。次いで、0℃で15分間撹拌した溶液を加温し、室温で2〜14時間か、またはTLCが反応の終了を示すまで撹拌した。混合物をNH4Cl(塩)/HCl(3:1、8mL)に注ぎ、CH2Cl2(3×10mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗68を得た。フラッシュクロマトグラフィー30%EtOAc/2%AcOH/ヘキサン(rf=0.44)により純物質68(83mg、78%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.84(m,3H)、1.22(bs,10H)、1.48(m,2H)、1.65(s,3H)、1.77−1.92(m,2H)、2.55(s,3H)。13C NMR(75MHz,CDCl3)δ13.9、22.6、23.8、25.1、26.3、29.1、29.2、29.5、31.7、39.4、59.7、109.7、190.5、195.5、204.9。C15H24O3S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値284.1441、観測値284.1414。
【化65】
【0119】
4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−3−(2,2,2−トリフルオロ−アルキニル)−5H−チオフェン−2−オン。(69)。一般手順Lに従い、32(90mg、0.37mmol)、トリフルオロ無水酢酸(114μL、0.81mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(18mg、0.15mmol)およびNEt3(108μL、0.77mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(40%ヘキサン/10%THF/2%AcOH/EtOAc)後に69(107mg、86%)を得た。1H NMR(300MHz、MeOD)d0.85(t,J=6.9Hz,3H)、1.09(m,1H)、1.21(bs,11H)、1.38(s,3H)、1.51−1.60(m,1H)、1.65−1.71(m,1H)。C15H21F3O3S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値338.1158、観測値338.1171。
【化66】
【0120】
4−ヒドロキシ−5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル(70)。一般手順Lに従い、32(91mg、0.37mmol)、クロロギ酸メチル(63μL、0.81mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(23mg、0.18mmol)およびNEt3(108μL、0.77mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/2%AcOH/ヘキサン−10%THF/2%AcOH/EtOAc)後に70(66mg、59%、回収した出発材料に基づき79%)を得た。1H NMR(300MHz、MeOD)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.20(bs,12H)、1.35(s,3H)、1.55(m,1H)、1.71−1.75(m,1H)3.59(s,3H);13C NMR(75MHz,MeOD)δ13.3、21.8、24.4、27.0、28.5、28.6、29.0、30.2、31.0、50.4、58.3、124.6、168.1、187.7、196.7。C15H24O4S+(M+)のHRMS(EI)m/z計算値300.1389、観測値300.1375。
【化67】
【0121】
イソプロピル−カルバミン酸2−メチル−2−オクチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−イルエステル(71)。ヘキサンに溶解した32(46mg、0.19mmol)にトリエチルアミン(43μL、0.31mmol)およびトリメチルシリルクロライド(36μL、0.29mmol)を添加し、溶液を室温で4時間、撹拌させた。混合物をセライト上でろ過し、エバポレートし、CH2Cl2(0.4mL)に再溶解した5−メチル−5−オクチル−4−トリメチルシラニルオキシ−5−H−チオフェン−2−オンを得た。この混合物に、イソプロピルイソシアネート(19.2mL、0.19mmol)を添加し、溶液を室温で2時間撹拌させた。NH4Cl(塩)(5mL)を添加し、混合物をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。有機物を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗71を得た。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/2%AcOH/ヘキサン)により純物質71(35mg、60%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7.0Hz,3H)、1.14−1.24(m,17H)、1.45(m,1H)、1.63(s,3H)、1.76−1.79(m,2H)、3.81−3.88(m,1H)、5.16(d,J=7Hz,1H)、6.33(m,1H)。13C NMR(75MHz,CDCl3)δ13.9、20.4、22.5、22.8、25.1、25.9、29.1、29.3、29.5、31.8、38.7、44.0、60.2、111.6、149.7、176.2、194.5。
【化68】
【0122】
一般手順M。(±)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸−N’−(2−フロイック)−ヒドラジド(72)。CH2Cl2(1.61mL)中53(100mg、0.33mmol)の冷却した溶液(0℃)に1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(128mg、0.43mmol)、DMAP(6.0mg、0.05mmol)、および2−フロイックヒドラジド(54mg、0.43mmol)を添加した。次いで、0℃で30分間撹拌したこの混合物を室温にまで加温させ、12時間撹拌させた。溶液をNH4Cl(10mL、塩)に注ぎ、CH2Cl2(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥(MgSO4)し、ろ過し、エバポレートして、粗72を得た。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)により純物質72(91mg、68%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.84(t,J=6.6Hz,3H)、1.21(m,11H)、1.43−1.47(m,1H)、1.66(s,3H)、1.81−1.86(m,2H)、4.64(s,2H)、5.42(s,1H)、6.47(dd,J=1.6,3.6Hz,1H)、7.16(d,J=4Hz,1H)、7.45(m,1H)、9.32(d,J=4Hz,1H)、9.44(d,J=4Hz,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.0、22.6、25.3、26.0、29.2、29.3、29.5、31.7、38.8、59.7、69.1、103.0、112.3、116.5、145.1、145.4、156.4、164.2、184.8、193.9。
【化69】
【0123】
(±)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸−N’−アセチルヒドラジド(73)。一般手順Mに従い、53(100mg、0.33mmol)および酢酸ヒドラジド(acetic hydrazide)(26.8mg、0.36mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(2%AcOH/EtOAc)後に73(70.4mg、60%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ0.85(t,J=7.2Hz,3H)、1.23(m,11H)、1.48−1.52(m,1H)、1.67(s,3H)、1.84−1.86(m,2H)、2.07(s,3H)、4.64(s,2H)、5.42(s,1H)。13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.1、20.6、22.6、25.2、26.0、29.2、29.3、29.5、31.8、38.8、59.8、68.9、102.9、163.1、168.1、184.9、194.2。
【化70】
【0124】
(±)−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−酢酸−N’−(4−クロロ−フェニル)−ヒドラジド(74)一般手順Mに従い、53(100mg、0.33mmol)および4−クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(76.8mg、0.43mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)後に74(74mg、53%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6Hz,3H)、1.24(m,11H)、1.46−1.54(m,1H)、1.71(s,3H)、1.82−1.90(m,2H)、4.57(s,2H)、4.57(s,2H)、5.39(s,1H)、6.75(d,J=8.8Hz,2H)、7.18(d,J=8.8Hz,2H)、7.38(s,1H)、8.09(s,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.3、26.1、29.2、29.3、29.5、31.8、38.8、59.7、69.7、103.2、114.7、126.4、145.8、129.2、165.9、184.3、193.5。IR(NaCl)2957、1695、1658、1609cm−1。
【化71】
【0125】
(±)−N−アリル−N−メチル−(5−メチル−5−オクチル−2−オキソ−チオフェン−4−イルオキシ)−アセトアミド(75)。一般手順Mに従い、53(83mg、0.28mmol)およびN−メチル,N−アリルアミン(allyalmine)(29μL、0.30mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘキサン)後に75(51mg、52%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.83(t,J=6.9Hz,3H)、1.22(m,11H)、1.43−1.47(m,1H)、1.67(s,3H)、1.82−1.86(m,2H)、回転異性体1:2.91(s,3H)、回転異性体2:2.95(s,3H)、回転異性体1:3.84(d,J=4.8Hz,2H)、回転異性体2:3.98(d,J=6Hz,2H)、回転異性体1:4.62(s,2H)、回転異性体2:4.65(s,2H)、5.12−5.28(m,2H)、回転異性体1:5.18(s,1H)、回転異性体2:5.25(s,1H)、5.65−5.81(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.0、22.5、25.1、26.2、29.1、29.3、29.4、31.7、33.4(回転異性体2:33.9)、38.8、50.2(回転異性体2:51.0)、59.7、69.0(回転異性体2:69.3)、102.3、117.4(回転異性体2:118.2)、131.6(回転異性体2:131.8)、164.5(回転異性体2:164.9)、185.5(回転異性体2:185.6)、193.4。
【化72】
【0126】
(±)−4−ベンジルオキシ−3,5−ジメチル−5−オクチル−5−H−チオフェン−2−オン(76)。一般手順Hに従い、32(50mg、0.21mmol)および臭化ベンジル(37mL、0.31mmol)に対し、フラッシュクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)後に76(49mg、75%)を得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.86(t,J=6.9Hz,3H)、1.24(m,11H)、1.41−1.48(m,1H)、1.66(s,3H)、1.79−1.86(m,2H)、4.98(s,2H)、5.39(s,1H)、7.31−7.42(m,5H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ14.1、22.6、25.0、26.4、29.1、29.3、29.4、31.8、38.8、59.7、74.0、102.2、127.6、128.8、134.3、185.8、194.1。IR(NaCl)2928、1681、1610cm−1。
【0127】
参考文献:
1.ストレービーン(Strijtveen)、B.;ケロッグ(Kellogg)、R.M.Tetrahedron.1987年(43)pp.5039〜5054。
2.ササキ(Sasaki)、H;オオイシ(Oishi)、H.;ハヤシ(Hayashi)、T.;マツウラ(Matsuura)、I.;アンドウ(Ando)K.;サワダ(Sawada)、M.、J.Antibiotics 1982年
3.クニエダ(Kunieda)、T.、ナガマツ(Nagamatsu)、T.、ヒグチ(Higuchi)、T.、ヒロベ(Hirobe)、M.、Tetrahedron Lett.、1988年(29)、pp.2203〜2206。
【0128】
生物学的および生化学的方法
ZR−75−1ヒト乳癌細胞からのFASの精製。
アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た培養ZR−75−1ヒト乳癌細胞からヒトFASを精製した。リン(Linn)ら、1981年、およびクハージャ(Kuhajda)ら、1994年から改造された手順では、低張性溶解、連続的ポリエチレングリコール(PEG)沈殿、および陰イオン交換クロマトグラフィーが利用される。ZR−75−1細胞は、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するRPMI培地中5%CO2により37℃に培養される。
【0129】
融合細胞の10個のT150フラスコを1.5ml溶解緩衝液(20mMトリス(Tris)−HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、0.1%Igepal CA−630)で溶解し、氷上で20ストロークのダンス(dounce)ホモジナイズを行った。溶解物をJA−20ローター(ベックマン(Beckman))において20,000rpmで30分間4℃に遠心分離し、上清を溶解緩衝液で42mlにする。溶解緩衝液中50%PEG8000の溶液をゆっくり上清に添加し、最終濃度を7.5%にする。60分間4℃に振動後、溶液をJA−20ローター(ベックマン(Beckman))において15,000rpmで30分間4℃に遠心分離する。次いで、固体PEG8000を上清に添加し、最終濃度を15%にする。振動および遠心分離を上記の通り反復後、沈殿物を一夜4℃に10mlのバッファーA(20mM K2HPO4、pH7.4)中に再懸濁する。0.45μMろ過後、タンパク質溶液をモノ(Mono)Q5/5陰イオン交換カラム(ファルマシア(Pharmacia))に注ぐ。カラムを15分間、1ml/分でバッファーAで洗浄し、結合材料を線形60mlグラディエントで60分間にわたり1M KClに溶離する。FAS(MW〜270kD)は通常、0.25M KClで3つの0.5ml画分で溶離し、クマシーG250染料(バイオ−ラド(Bio−Rad))による4〜15%SDS−PAGEを用いて確認される。FASタンパク質濃度は、基準としてBSAを用いる製品仕様に従いクマシープラスタンパク質アッセイ試薬(ピアス(Pierce))を用いて測定される。この手順により、クマシー染色ゲルによって判定される通りFASの実質的に純粋な調製液(>95%)が得られる。
【0130】
FAS酵素活性の測定および化合物のIC50の判定
FAS活性は、NADPAのマロニル−CoA依存酸化を96ウェルプレート中OD340で分光測光法でモニタリングすることによって測定される(ディルス(Dils)らとアルスラニアン(Arslanian)ら、1975年)。各ウェルは2μg精製FAS、100mM K2HPO4、pH6.5、1mMジチオスレイトール(シグマ(Sigma))、および187.5μM β−NADPH(シグマ(Sigma))を含有する。阻害剤の原液を2、1、および0.5mg/mlでDMSO中で調製し、1μlの原液がウェル毎に添加されると最終濃度は20、10、および5μg/mlになる。各実験のために、セルレニン(シグマ(Sigma))を陽性対照として、すべて2重にしてDMSO対照、阻害剤、およびブランク(非FAS酵素)とともに実行する。
【0131】
アッセイは、モレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器で行われる。FAS、緩衝液、阻害剤、および対照を含有するプレートを37℃に加熱した分光測光器に配置する。動的プロトコルを用いることによって、ウェルを100μlの100mM K2HPO4、pH6.5を含有する2重のウェル上でブランクにし、プレートを10秒間隔で5分間、OD340で読み、NADPHのマロニル−CoA非依存酸化を測定する。プレートを分光測光器から除去し、マロニル−CoA(67.4μM、ウェル当りの最終濃度)およびアルキニル−CoA(61.8μM、ウェル当りの最終濃度)をブランクを除く各ウェルに添加する。プレートを上記の通り動的プロトコルで再び読み、マロニル−CoA依存NADPH酸化を測定する。マロニル−CoA依存および非−マロニル−CoA依存NADPH酸化のΔOD340間の差は、特異的FAS活性である。FAS調製液の純度のため、非−マロニル−CoA依存NADPH酸化はごくわずかである。
【0132】
FASに対する化合物のIC50は、試験した各阻害剤の濃度に対するΔOD340をプロットし、線形回帰を行い、かつ最良適合、r2値、および95%信頼区間を計算することによって判定される。FASの50%阻害をもたらす化合物の濃度が、IC50である。ΔOD340対時間のグラフは、各化合物の濃度についてソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))によってプロットされる。線形回帰、最良適合、r2、および95%信頼区間の計算は、プリズムバージョン3.0(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software))を用いて計算される。
【0133】
クリスタルバイオレット細胞増殖アッセイ
クリスタルバイオレットアッセイでは、細胞増殖は測定されるが細胞毒性は測定されない。このアッセイでは、その後の可溶化および分光測光器でのOD490の測定とともに96ウェルプレートにおける固定細胞のクリスタルバイオレット染色が使用される。OD490は、測定される単位時間当たりの細胞増殖に対応する。細胞は、関係化合物または賦形剤対照で処理され、各化合物のIC50が計算される。
【0134】
癌細胞に対する特定の化合物の細胞毒性を測定するには、アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た5×104のMCF−7ヒト乳癌細胞を10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するDMEM培地中の24ウェルプレートの各ウェル毎に塗布する。37℃および5%CO2に一夜培養後、DMSO中に溶解された被試験化合物を以下の濃度、すなわち3重で50、40、30、20、および10μg/mlで1μl量のウェルに添加する。追加の濃度は、必要に応じて試験される。1μlのDMSOを賦形剤対照として3重のウェルに添加する。C75は、陽性対照として3重で10、および5μg/mlで実行される。
【0135】
72時間のインキュベーション後、細胞を各ウェルにおいてクリスタルバイオレット染料(25%メタノール中0.5%)0.5mlで染色する。10分後、ウェルを洗浄し、風乾し、次いで10%ドデシル硫酸ナトリウム0.5mlで2時間攪拌しながら可溶化する。各ウェルから96ウェルプレートへ100μl移した後、プレートをモレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器によりOD490で読む。平均OD490値はソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))を用いて計算され、IC50値はプリズムバージョン3.02(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software)、サンディエゴ)を用いて線形回帰分析によって判定される。
【0136】
XTT細胞毒性アッセイ
XTTアッセイは、[51Cr]放出細胞毒性アッセイの非放射性代替物である。XTTは、代謝的に活性な生存細胞によってのみホルマザン染料に還元されるテトラゾリウム塩である。XTTの還元は、OD490−OD650として分光測光器で測定される。
【0137】
癌細胞に対する特定の化合物の細胞毒性を測定するには、アメリカンタイプカルチャーコレクションから得た9×103のMCF−7ヒト乳癌細胞を10%ウシ胎仔血清、インシュリン、ペニシリン、およびストレプトマイシンを有するDMEM培地中の96ウェルプレートの各ウェル毎に塗布する。37℃および5%CO2に一夜培養後、DMSO中に溶解された被試験化合物を以下の濃度、すなわち3重で80、40、20、10、5、2.5、1.25、および0.625μg/mlで1μl量のウェルに添加する。追加の濃度は、必要に応じて試験される。1μlのDMSOを賦形剤対照として3重のウェルに添加する。C75は、陽性対照として3重で40、20、10、15、12.5、10、および5μg/mlで実行される。
【0138】
72時間のインキュベーション後、細胞をメーカーの指示(細胞増殖キットII(XTT)ロシュ(Roche))の通りXTT試薬で4時間インキュベートする。プレートをモレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器によりOD490およびOD650で読む。細胞を有さないXTT試薬を含有する3つのウェルがプレートブランクとして使用される。XTTデータは、OD490−OD650として報告されている。平均および平均標準誤差は、ソフトマックス(SOFTmax)Proソフトウェア(モレキュラーダイナミックス社(Molecular Dynamics))を用いて計算される。
【0139】
化合物のIC50は、対照と比べOD490−OD650の50%削減をもたらす薬剤の濃度として定義される。OD490−OD650は、各化合物濃度についてソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))によって計算される。IC50は、線形回帰によって、FAS活性は対照対薬剤濃度の割合としてプロットすることによって計算される。線形回帰、最良適合、r2、および95%信頼区間の計算は、プリズムバージョン3.0(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software))を用いて計算される。
【0140】
総脂質への[14C]酢酸取込みの測定および化合物のIC50の判定
このアッセイでは、総脂質への[14C]酢酸取込みが測定され、これはインビトロでの脂肪酸合成経路活性の尺度である。これを利用してインビトロでの脂肪酸合成の阻害が測定される。
【0141】
MCF−7ヒト乳癌細胞を上記の通り培養し、24ウェルプレートのウェル毎に5×104細胞で塗布する。一夜インキュベーション後、DMSO中に溶解された被試験化合物を3重で5、10、および20μg/mlで添加し、必要に応じてより低い濃度で試験する。DMSOは賦形剤対照用に3重のウェルに添加される。C75は3重で5および10μg/mlで陽性対照として実行される。4時間のインキュベーション後、[14C]酢酸(10μl量)0.25μCiを各ウェルに添加する。
【0142】
2時間の追加のインキュベーション後、培地をウェルから吸引し、クロロホルム:メタノール(2:1)800μlおよび4mM MgCl2 700μlを各ウェルに添加する。各ウェルの内容物を1.5mlエッペンドルフチューブに移し、高速エッペンドルフ微量高速遠心機5415Dにおいて2分間全速で回転させる。水性(上部)層の除去後、追加のクロロホルム:メタノール(2:1)700μlおよび4mM MgCl2 500μlを各ウェルに添加し、次いで上記の通り1分間、遠心分離する。水性層はパスツールピペットで除去され、廃棄される。追加のクロロホルム:メタノール(2:1)400μlおよび4mM MgCl2 200μlを各チューブに添加し、次いで遠心分離し、水性層は廃棄される。下部(有機)層は、シンチレーションガラス瓶の中へ移され、40℃でN2ガス下に乾燥される。乾燥したら、シンチラント(APB#NBC5104)3mlを添加し、ガラス瓶を14Cについてカウントする。ベックマンシンチレーションカウンタにより、3重の平均cpm値が計算される。
【0143】
化合物のIC50は、対照と比べ脂質への[14C]酢酸取込みの50%削減をもたらす薬剤の濃度として定義される。これは、試験される各阻害剤の濃度に対する平均cpmをプロットし、線形回帰を行い、線形回帰、最良適合、r2値、および95%信頼区間を計算することによって判定される。平均cpm値は、各化合物の濃度についてベックマンシンチレーションカウンタ(モデルLS6500)によって計算される。線形回帰、最良適合、r2、および95%信頼区間の計算は、プリズムバージョン3.0(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software))を用いて計算される。
【0144】
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ−1(CPT−1)アッセイ
CPT−1は、マロニル−CoAによって阻害されるアシル−CoAからアシル−カルニチンへの長鎖脂肪酸のATP依存転移を触媒する。CPT−1は活性のためにミトコンドリア膜を必要とするため、酵素活性は膜透過細胞またはミトコンドリアにおいて測定される。このアッセイでは膜透過細胞を使用し、[メチル−14C]L−カルニチンの有機的に可溶性のアシル−カルニチン誘導体への転移を測定する。
【0145】
MCF−7細胞を対照、薬剤、およびマロニル−CoAの3重で24ウェルプレートにおいて106細胞で10%ウシ胎仔血清を有するDMEM中に塗布する。アッセイを開始する2時間前に、薬剤はDMSO中10mg/mlで原液から作られた指示濃度で添加され、賦形剤対照は薬剤を有さないDMSOで構成される。マロニル−CoAは無傷細胞に入ることができないため、アッセイバッファーにおいてのみ、薬剤で前インキュベートされていない細胞に添加される。一夜37℃でのインキュベーション後、培地を除去し、50mMイミダゾール、70mM KCl、80mMショ糖、1mM EGTA、2mM MgCl2、1mM DTT、1mM KCN、1mM ATP、0.1%脂肪酸フリーウシ血清アルブミン、70μMパルミトイル−CoA、0.25μCi[メチル−14C]L−カルニチン、薬剤を有する40μgジギトニン、DMSO賦形剤対照、または20μMマロニル−CoAで構成されるアッセイバッファー700μlと交換する。アッセイバッファー中の薬剤およびDMSOの濃度は、2時間の前インキュベーションで用いられるものと同一である。6分間、37℃でのインキュベーション後、冷えた4M過塩素酸500μlの添加によって反応を停止する。次いで、細胞を回収し、13,000xgで5分間、遠心分離する。沈殿物を氷のように冷えた2mM過塩素酸500μlで洗浄し、再び遠心分離する。結果として生じる沈殿物を800μlのdH2O中に再懸濁し、ブタノール150μlで抽出する。ブタノール相は、液体シンチレーションによってカウントされ、これはアシルカルニチン誘導体を表す。
【0146】
新規のFAS阻害剤の減量スクリーン
バルブ/Cマウス(ジャクソン研究所(Jackson Labs))が初期減量スクリーニング用に利用される。動物は温度および12時間 日/夜周期室に収容され、マウス飼料および水を自由に与えられる。マウス3匹を1実験当り3重の賦形剤対照で試験される各化合物用に利用する。実験のために、マウスを個別に試験される各化合物用に3匹ケージに収容する。化合物を10mg/mlで、DMSO中に希釈し、マウスに対し約100μlのDMSO中60mg/kgまたは賦形剤のみを腹腔内注射する。マウスを毎日観察し、体重を量り、平均体重および標準誤差をエクセル(マイクロソフト)で計算する。実験は、処置動物がその処置前体重に達するまで継続する。
【0147】
選択化合物は、代謝ゲージに収容された動物において試験する。動物の投与は、単一の代謝ケージへの動物3匹によるスクリーニング実験と同一である。動物の体重、水および飼料消費量、かつ尿および糞便の生成量を毎日測定する。化合物21および44の試験の結果を図10に示す。
【0148】
抗菌特性
微量液体希釈アッセイを用いて化合物の抗菌活性を評価する。化合物は2倍連続希釈で試験され、可視増殖を阻害する濃度(対照の10%でOD600)はMICと定義される。試験された微生物としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC#29213)、エンテロコッカスフェーカリス(Enterococcus faecalis)(ATCC#29212)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC#27853)、および大腸菌(Escherichia coli)(ATCC#25922)が挙げられる。アッセイは、2つの増殖培地、ミューラーヒントンブロスおよびトリプチケースソイ(Trypticase Soy)ブロスにおいて行われる。
【0149】
血液(トリプチケースソイ(Tsoy)/5%ヒツジ血液)寒天プレートを、10%グリセロール含有トリプチケースソイブロス中に維持された凍結ストックから接種し、一夜37℃にインキュベートする。濁度が0.5マクファーランド(McFarland)標準の濁度に匹敵するようにコロニーを滅菌ブロス中に懸濁する。接種材料を滅菌ブロス(ミューラーヒントンまたはトリプチケースソイ)中で1:10に希釈し、195μlを96ウェルプレートのウェルごとに分注する。DMSO中に溶解した被試験化合物を以下の濃度、すなわち2重で25、12.5、6.25、3.125、1.56、および0.78μg/mlで5μl量のウェルに添加する。追加の濃度は、必要に応じて試験される。5μlのDMSOを賦形剤対照として2重のウェルに添加する。陽性対照化合物、バンコマイシン(腸球菌(E.faecalis)および黄色ブドウ球菌(S.aureus))およびトブラマイシン(大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa))の連続希釈が各実行に含まれる。
【0150】
24時間の37℃でのインキュベーション後、プレートをモレキュラーデバイス社スペクトラマックスプラス分光測光器によりOD600で読む。平均OD600値はソフトマックス(SOFTmax)PROソフトウェア(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices))を用いて計算され、MIC値はプリズムバージョン3.02(グラフパッドソフトウェア(Graph Pad Software)、サンディエゴ)を用いて線形回帰分析によって判定される。MICは、賦形剤対照測定値の10%に相当するOD600測定値を生じるのに必要な化合物の濃度と定義される。
【0151】
抗腫瘍活性のインビボ試験
この実験の結果を図11に示す。nu/nu雌マウス(ハーラン(Harlan))におけるヒト結腸癌細胞系、HCT−116の皮下側腹異種移植片を用いて、化合物36のインビボでの抗腫瘍効果を試験した。全動物実験は所内動物実験委員会のガイドラインを順守した。107HCT−116細胞(約0.1ml充填細胞)を10%FBSを補充したDMEM中培養物から胸腺欠損マウス10匹へ異種移植した。投与は、測定可能な腫瘍が接種後約4日で発現した場合に開始した。化合物36(10mg/kg)を20μl DMSOの中へ希釈し、腹腔内(i.p.)投与した。動物5匹には、図11内の矢印によって指示された日にJMM−II−265をi.p.投与し、5匹にはDMSO対照を投与した。腫瘍は指示された日に測定された。エラーバーは平均標準誤差を表す。
【0152】
生物学的試験の結果
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
【表6】
【0158】
【表7】
【0159】
【表8】
【0160】
【表9】
【0161】
【表10】
【0162】
【表11】
【0163】
【表12】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
[式中
R1=H
R2=−OH、−OR5、−OCH2C(O)R5、−OCH2C(O)NHR5、−OC(O)R5、−OC(O)OR5、−OC(O)NHNH−R5、または−OC(O)NR5R6であり、ここで、R5がH、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR5が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R3およびR4は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり;
但し、R2が−OH、−OCH3、または−OC(O)CF3であり、R3が−CH3である場合、R4は−CH2CH2OH、−CH2−(C6H5)、または−CH=CH−CH3ではなく、
さらに、R3が−CH2−(C6H5)である場合、R4は−CH3または−CH2CH3ではない]の化合物。
【請求項2】
R5がH、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R5がH、またはC1−C10アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R3およびR4が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R3およびR4が相互に独立して、H、またはC1−C10アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R3が−Hまたは−CH3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R4が−nC6−C8アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が
【化2】
【化3】
よりなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式II:
【化4】
[式中
R6=C2−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CHR10OR11、−CO(O)R10、−C(O)NR10R11、−CH2C(O)R10、または−CH2C(O)NHR10であり、ここでR10およびR11が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合によりハロゲン原子を含有するが、R6はジ−、トリ−、またはテトラ−アルキル置換フェニルではなく、
R7=−OH、−OR12、−OCH2C(O)R12、−OCH2C(O)NHR12、−OC(O)R12、−OC(O)OR12、OC(O)NHNH−Rまたは−OC(O)NR12R13であり、ここでR12およびR13が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR12およびR13が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R8およびR9は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R6がエチルである場合、R8およびR9が同じでないならば、R8またはR9はエチル、−CH2COOH、−CH2C(O)NH2、−CH2−(C6H5)ではないが、R6がエチルであってもR8およびR9が同じであり得、
R6がフェニルであり、R7が−OHである場合、R8およびR9は同時に−CH3および−プロフェニルではあり得ず、
R6がフェニルである場合、R8およびR9は同時に−CH3または−CH2−(C6H5)であり得ない]の化合物。
【請求項10】
R10がC1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R8が−Hまたは−CH3である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
R9が−nC6−C8アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が
【化5】
よりなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
式III:
【化6】
[式中
R14=−C(O)R18であり、ここでR18がH、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合によりハロゲン原子を含有し、
R15=−OH、−OR19、−OCH2C(O)R19、−OCH2C(O)NHR19、−OC(O)R19、−OC(O)OR19、−OC(O)NHNH−R19、または−OC(O)NR19R20であり、ここでR19およびR20が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR19およびR20が相互に場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R16およびR17は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R14が−C(O)CH3であり、R16およびR17が同一でない場合、R16またはR17のいずれもゲラニル、p−フルオロベンジル、シンナミル、ファルネシル、メチル、または−CH2−(C6H5)ではなく、
R14が−C(O)C6H5である場合、R16またはR17のいずれもメチルではない]の化合物。
【請求項15】
前記化合物が
【化7】
よりなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
医薬希釈剤と、
式IV:
【化8】
[式中
R21=H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CH2OR25、−C(O)R25、−CO(O)R25、−C(O)NR25R26、−CH2C(O)R25、または−CH2C(O)NHR25であり、ここでR25およびR26が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子を含有し、
R22=−OH、−OR27、−OCH2C(O)R27、−OCH2C(O)NHR27、−OC(O)R27、−OC(O)OR27、OC(O)NHNH−R27、または−OC(O)NR27R28であり、ここでR27およびR28が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR27およびR28が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R23およびR24は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである]の化合物と、
を含む医薬組成物。
【請求項17】
前記化合物が
【化9】
【化10】
よりなる群から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬希釈物および式Iの化合物を含む医薬組成物。
【請求項19】
医薬希釈物および式IIの化合物を含む医薬組成物。
【請求項20】
医薬希釈物および式IIIの化合物を含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において減量を誘導する方法。
【請求項22】
前記被験体がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記被験体が動物である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物が:
【化11】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記医薬組成物が:
【化12】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において癌を処置する方法。
【請求項27】
前記被験体がヒトである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被験体が動物である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物が:
【化13】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬組成物が:
【化14】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体においてCPT−1の活性を刺激する方法。
【請求項32】
前記被験体がヒトである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記被験体が動物である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が:
【化15】
よりなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が:
【化16】
よりなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において神経ペプチドYの活性を阻害する方法。
【請求項37】
前記被験体がヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記被験体が動物である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において脂肪酸合成酵素活性を阻害する方法。
【請求項40】
前記被験体がヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項41】
前記被験体が動物である、請求項16に記載の方法。
【請求項42】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において侵襲性微生物細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項43】
前記被験体がヒトである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記被験体が動物である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が:
【化17】
よりなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が:
【化18】
よりなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項1】
式:
【化1】
[式中
R1=H
R2=−OH、−OR5、−OCH2C(O)R5、−OCH2C(O)NHR5、−OC(O)R5、−OC(O)OR5、−OC(O)NHNH−R5、または−OC(O)NR5R6であり、ここで、R5がH、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR5が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R3およびR4は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり;
但し、R2が−OH、−OCH3、または−OC(O)CF3であり、R3が−CH3である場合、R4は−CH2CH2OH、−CH2−(C6H5)、または−CH=CH−CH3ではなく、
さらに、R3が−CH2−(C6H5)である場合、R4は−CH3または−CH2CH3ではない]の化合物。
【請求項2】
R5がH、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R5がH、またはC1−C10アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R3およびR4が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R3およびR4が相互に独立して、H、またはC1−C10アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R3が−Hまたは−CH3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R4が−nC6−C8アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が
【化2】
【化3】
よりなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式II:
【化4】
[式中
R6=C2−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CHR10OR11、−CO(O)R10、−C(O)NR10R11、−CH2C(O)R10、または−CH2C(O)NHR10であり、ここでR10およびR11が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合によりハロゲン原子を含有するが、R6はジ−、トリ−、またはテトラ−アルキル置換フェニルではなく、
R7=−OH、−OR12、−OCH2C(O)R12、−OCH2C(O)NHR12、−OC(O)R12、−OC(O)OR12、OC(O)NHNH−Rまたは−OC(O)NR12R13であり、ここでR12およびR13が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR12およびR13が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R8およびR9は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R6がエチルである場合、R8およびR9が同じでないならば、R8またはR9はエチル、−CH2COOH、−CH2C(O)NH2、−CH2−(C6H5)ではないが、R6がエチルであってもR8およびR9が同じであり得、
R6がフェニルであり、R7が−OHである場合、R8およびR9は同時に−CH3および−プロフェニルではあり得ず、
R6がフェニルである場合、R8およびR9は同時に−CH3または−CH2−(C6H5)であり得ない]の化合物。
【請求項10】
R10がC1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R8が−Hまたは−CH3である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
R9が−nC6−C8アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が
【化5】
よりなる群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
式III:
【化6】
[式中
R14=−C(O)R18であり、ここでR18がH、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合によりハロゲン原子を含有し、
R15=−OH、−OR19、−OCH2C(O)R19、−OCH2C(O)NHR19、−OC(O)R19、−OC(O)OR19、−OC(O)NHNH−R19、または−OC(O)NR19R20であり、ここでR19およびR20が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR19およびR20が相互に場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R16およびR17は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、
但し、
R14が−C(O)CH3であり、R16およびR17が同一でない場合、R16またはR17のいずれもゲラニル、p−フルオロベンジル、シンナミル、ファルネシル、メチル、または−CH2−(C6H5)ではなく、
R14が−C(O)C6H5である場合、R16またはR17のいずれもメチルではない]の化合物。
【請求項15】
前記化合物が
【化7】
よりなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
医薬希釈剤と、
式IV:
【化8】
[式中
R21=H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール、−CH2OR25、−C(O)R25、−CO(O)R25、−C(O)NR25R26、−CH2C(O)R25、または−CH2C(O)NHR25であり、ここでR25およびR26が相互に独立して、H、C1−C10アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、場合により1個もしくはそれ以上のハロゲン原子を含有し、
R22=−OH、−OR27、−OCH2C(O)R27、−OCH2C(O)NHR27、−OC(O)R27、−OC(O)OR27、OC(O)NHNH−R27、または−OC(O)NR27R28であり、ここでR27およびR28が相互に独立して、H、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールであり、ここでR27およびR28が場合によりハロゲン原子を含有してもよく;
R23およびR24は同じであるかもしくは相互に異なり、C1−C20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリールである]の化合物と、
を含む医薬組成物。
【請求項17】
前記化合物が
【化9】
【化10】
よりなる群から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬希釈物および式Iの化合物を含む医薬組成物。
【請求項19】
医薬希釈物および式IIの化合物を含む医薬組成物。
【請求項20】
医薬希釈物および式IIIの化合物を含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において減量を誘導する方法。
【請求項22】
前記被験体がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記被験体が動物である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物が:
【化11】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記医薬組成物が:
【化12】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において癌を処置する方法。
【請求項27】
前記被験体がヒトである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被験体が動物である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物が:
【化13】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬組成物が:
【化14】
よりなる群から選択される化合物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体においてCPT−1の活性を刺激する方法。
【請求項32】
前記被験体がヒトである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記被験体が動物である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が:
【化15】
よりなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が:
【化16】
よりなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において神経ペプチドYの活性を阻害する方法。
【請求項37】
前記被験体がヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記被験体が動物である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において脂肪酸合成酵素活性を阻害する方法。
【請求項40】
前記被験体がヒトである、請求項16に記載の方法。
【請求項41】
前記被験体が動物である、請求項16に記載の方法。
【請求項42】
請求項16に記載の医薬組成物の有効量を、動物またはヒト被験体に投与することを含む、前記被験体において侵襲性微生物細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項43】
前記被験体がヒトである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記被験体が動物である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が:
【化17】
よりなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が:
【化18】
よりなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−37881(P2011−37881A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228956(P2010−228956)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2004−520132(P2004−520132)の分割
【原出願日】平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願人】(505003207)ファスゲン,インク. (2)
【出願人】(505005016)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228956(P2010−228956)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2004−520132(P2004−520132)の分割
【原出願日】平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願人】(505003207)ファスゲン,インク. (2)
【出願人】(505005016)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ (4)
【Fターム(参考)】
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