説明

新規の幹細胞組成物の調製法および使用法、ならびにこの組成物を含有するキット

本発明は、重要な治療的利点および実用的利点を有する新規の幹細胞組成物、ならびに患者における損傷および疾患の処置および予防のための、このような組成物を調製および使用する方法を提供する。本発明は、種々の動物(ヒトを含む)および組織から単離された幹細胞集団に適用され得る。特定の適用において、本発明は患者から単離されたコラーゲンベースの組織(例えば、脂肪組織)から幹細胞組成物を調製するために使用され、そしてこの幹細胞組成物は、引き続いて患者における実際の損傷部位または潜在的な損傷部位に提供される。本発明は、幹細胞組成物を備える関連するキットをさらに包含し、このキットは、保存および発送の間、非常に安定であり、かつ生存度と有効性を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、幹細胞ベースの治療の分野に関しており、より詳しくは、幹細胞を含有する組成物、および、損傷および疾患の処置および予防のための、幹細胞を含有する組成物の調製法および使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連する技術の説明)
幹細胞の、いろいろな細胞型に再生する特筆すべき能力、および成長する特筆すべき能力に起因して、幹細胞は、広範な種類の疾患および損傷、特に正常組織の破壊または損傷を伴うもの(例えば、脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、および多発性硬化症が挙げられる)の処置における、治療上の多大な可能性を有している。ごく最近まで、胚組織からのみ、多能性幹細胞が単離され得ると考えられていた。しかしながら、現在、多能性幹細胞が、様々な成体組織(骨髄、皮膚、脳、筋肉、および脂肪組織が挙げられる)に存在することが発見されている。そのような成体の幹細胞は、胎児性幹細胞より、容易に入手可能であること、および、成体の幹細胞の使用は、胎児性幹細胞と同様な倫理上の問題を生じないことから、この発見は、幹細胞ベースの治療への増大した関心を刺激した。
【0003】
幹細胞の治療上の使用における重大な限界の1つは、大抵の成体組織において、幹細胞は非常に少ない数しか存在しないことであり、それらの単離および精製は、単調かつ高価なプロセスである。患者に幹細胞を供与する前における、それらの幹細胞を調製する、一般的に行われる方法は、組織サンプルからの細胞の精製、他の細胞からの幹細胞の単離(例えば、幹細胞表面マーカーに特異的な抗体の使用)、および/または細胞の培養を伴う。その上、多くの手順がさらに、特定の細胞系統への分化を誘導する試薬で細胞を処理することを含む。幹細胞の精製、培養および分化のために使用される試薬は非常に高価であり、このことによって幹細胞ベースの治療の利用可能性を制限している。その上、幹細胞の調製および貯蔵に関わる手順は細胞死および機能の喪失という結果になり得、単離された有用な幹細胞の数を減らし、またこれらの幹細胞の使用の前における、貯蔵される能力、および輸送される能力を制限する。
【0004】
明らかに、治療上の使用および予防上の使用に適した幹細胞の集団を調製する、改良された方法(例えば、特に自家移植の使用のための、さらなる容易さ、および低減したコストをもって実行され得る、組織サンプルから多数の生存細胞を精製することができる方法)への当該分野における需要がある。その上、医療専門家により取得された患者の組織サンプルから精製された幹細胞を調製する方法、およびその患者に投与するために、その精製された細胞を医療専門家に提供する方法への関連した需要がある。本発明は、幹細胞の集団を調製する新規の方法、幹細胞を含有する新規の組成物、および患者に送達するための、幹細胞の調製および供与に関する合理化された手順を提供することにより、これらの需要に合致する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、幹細胞を調製する改良された方法、幹細胞集団を含有する、改良された組成物、その幹細胞の組成物を使用して損傷または疾患を処置および予防する改良された方法、ならびに幹細胞の組成物を含むキットを提供する。
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、患者に導入するための、幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する方法を含み、この方法は、この患者から脂肪組織を得る工程、この脂肪組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程、および他の組織成分から分離された細胞を精製する工程を包含する。
【0007】
関連する実施形態において、本発明は、動物に導入するための、精製された脂肪組織由来の幹細胞を含む組成物を調製する方法を提供し、この方法は、この動物の尾根部領域から脂肪組織を得る工程、この脂肪組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程、および他の組織成分から分離された細胞を精製する工程を包含する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、患者に導入するための、精製された幹細胞を含む組成物を提供する方法を含み、この方法は、患者から得られたコラーゲンベースの組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程、分離された細胞を精製する工程、および、この分離された細胞を容器中に配置し、それによって精製された幹細胞を含む組成物を提供する工程を包含する。特定の実施形態において、その容器は、シリンジ、バイアル、または凍結バイアルである。
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、患者に送達するための、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する方法を含み、この方法は、この患者からコラーゲンベースの組織を得る工程、このコラーゲンベースの組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程、および分離された細胞を精製する工程を包含し、ここで、この処理する工程は、このコラーゲンベースの組織を一連のスクリーンと接触させる工程を包含し、それによってコラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、精製された細胞集団を調製する。さらなる実施形態において、この処理する工程はまた、組織を、他の組織成分から細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程を包含する。
【0010】
さらに別の関連する実施形態において、本発明は、患者に提供するための、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する方法を提供し、この方法は、この患者からコラーゲンベースの組織を得る工程、およびこのコラーゲンベースの組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から単離する工程を包含し、ここで、この処理する工程は、この組織をこの組織が接着する表面と接触させる工程を包含し、それによってコラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、精製された細胞集団を調製する。さらなる実施形態において、この処理する工程はまた、この組織を細かく刻む工程、および/または組織を、他の組織成分から細胞の遊離を促進する酵素により処置する工程を包含する。1つの実施形態において、接触させる工程は、組織を接着性の表面の粒子と混合する工程を包含する。
【0011】
組織が接着する表面を含む特定の実施形態において、その表面は、Velcro、ポリスチレン、ガラス繊維、ガラスウール、セルロースまたはセラミックである。
【0012】
関連する実施形態において、本発明は、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む細胞集団を調製するのに適したデバイスを含み、このデバイスは、一連のメッシュスクリーンを備え、このメッシュスクリーンは、1つ以上のこのスクリーンがコラーゲンベースの組織サンプルと接触する間、互いに分離され得るように配列される。1つの実施形態において、このスクリーンは、脂肪組織サンプルを切断することが可能な端部を備える。別の実施形態において、このデバイスは、隣接するスクリーンの間に挿入され得る切断器具を備える。さらなる実施形態において、このデバイスは、さらに、このメッシュスクリーンを備える容器を含み、この容器は開口部を備え得、この開口部を通して脂肪組織サンプルがこの容器内に配置され得る。
【0013】
様々な実施形態において、本発明の方法は、さらに、調製された細胞を生理的に適合性である溶液中に懸濁する工程、および/または細胞を凍結する工程もしくは細胞を凍結乾燥する工程を包含する。
【0014】
他の実施形態において、この方法は、さらに、細胞および組成物を医師または獣医師に発送する工程を包含する。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、上記コラーゲンベースの組織は、脂肪組織または臍帯マトリクスである。
【0016】
特定の実施形態において、細胞集団を調製する方法、または幹細胞を含む組成物を調製する方法は、さらに、この精製された細胞を生理的に適合性である緩衝液中に懸濁する工程、この精製された細胞をシリンジ中に配置する工程、および/または凍結媒質中で凍結する工程を包含する。
【0017】
特定の実施形態において、細胞集団を調製する方法、または幹細胞を含む組成物を調製する方法は、他の精製された細胞から幹細胞を単離する工程を包含しない。
【0018】
関連する実施形態において、組織を処理する方法は、脂肪組織を細かく刻む工程、脂肪組織を、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程、脂肪組織を、超音波エネルギーに曝露する工程、および/または脂肪組織を、ペルフルオロカーボンで処理する工程を包含する。1つの実施形態において、酵素処理は、28℃未満の温度、および/または7.0未満のpHで実行される。
【0019】
本発明は、さらに、患者における損傷または疾患を処置する方法を含み、この方法は、本発明の方法に従って調製された、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、単離された細胞集団または組成物をこの患者に提供する工程を包含する。
【0020】
同様に、本発明は、患者における損傷を予防する方法を含み、この方法は、本発明の方法に従って調製された、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、単離された細胞集団または組成物をこの患者に提供する工程を包含する。
【0021】
特定の実施形態において、上記損傷または疾患は、筋骨格の損傷または疾患である。特定の実施形態において、上記損傷は、捻挫、挫傷、脱臼、打撲、裂傷、または骨折である。他の実施形態において、上記損傷または疾患は、虚血性の損傷もしくは疾患、または敗血性の損傷もしくは疾患である。さまざまな実施形態において、上記組織は、腱、靭帯、軟骨、または骨;蹄板;あるいは肺、血管、肝臓、神経、または心臓である。
【0022】
特定の実施形態において、単離された細胞集団または組成物は、損傷または疾患の部位に直接提供される。別の実施形態において、単離された細胞集団または組成物は、この患者の血流に提供される。1つの実施形態において、単離された細胞集団または組成物は、静脈内または動脈内の注入により提供される。
【0023】
関連する実施形態において、本発明に属する方法は、いろいろな異なる動物に対して実行される。それゆえ、さまざまな実施形態において、細胞集団は、任意の動物(患者およびドナーを含む)から単離された組織から調製され、細胞集団は、任意の動物由来の組織から調製された細胞を含み、そして処置の方法は、任意の動物に対して、実行される。それゆえ、特定の実施形態において、患者または動物は、ヒトあるいは非ヒト動物(ウマもしくはラクダ、イヌもしくはネコ、エキゾチック動物もしくは動物園の動物、有蹄哺乳類、鳥類、またはウシもしくはヤギ)である。さまざまな実施形態において、本発明は、重要な商業的価値を有する患者または動物(例えば、作業用動物もしくはスポーツ用動物、動物園の動物、家畜もしくは畜産の動物、酪農用動物、コンパニオン動物、および希少動物またはエキゾチック動物が挙げられる)に対して実行される。
【0024】
特定の実施形態において、組織は、患者またはドナーの任意の様々な部位(例えば、尾根部領域)から得られる。他の実施形態において、組織はコラーゲンベースの組織である。
【0025】
さまざまな実施形態において、幹細胞を含む組成物および細胞集団は、さらに、1つ以上の追加の、細胞性の組織成分または非細胞性の組織成分を含む。1つの実施形態において、追加の細胞が、血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージ、および/または好塩基球である。別の実施形態において、追加の組織成分は、細胞外マトリクスポリペプチドもしくはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカイン、または増殖因子である。1つの実施形態において、細胞外マトリクスポリペプチドは、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニン、またはインテグリンである。
【0026】
さらなる実施形態において、本発明は、さらに、本発明における細胞集団または組成物を含有するキットを含む。1つの実施形態において、本発明は、動物における損傷または疾患の処置に有用なキットを提供し、このキットは:動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含有する組成物を含む容器、を含む。
【0027】
関連する実施形態において、本発明は、動物における損傷の予防に有用なキットを含み、このキットは:動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含有する組成物を含む容器、を含む。
【0028】
さらに別の関連する実施形態において、このキットは、2つ以上の容器を含み、各々が動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含有する組成物を含む。
【0029】
1つの実施形態において、キットは、筋骨格組織の損傷の処置または予防において有用である。
【0030】
キットの別の実施形態において、幹細胞集団は、生理学的に適合性である溶液中に存在する。さまざまな関連する実施形態において、容器は、シリンジ、バイアル、または凍結バイアルである。さらなる実施形態において、上記組成物は、凍結されるか、または凍結乾燥される。
【0031】
キットの特定の実施形態において、コラーゲンベースの組織は、処置されるべき動物から得られた。1つの実施形態において、コラーゲンベースの組織は、動物の尾根部領域から得られる脂肪組織である。他の実施形態において、その組織は、腱、靭帯、軟骨、または骨である。さらに別の実施形態において、その組織は、肺組織、血管、肝臓、神経、および心臓である。別の実施形態において、その組織は、蹄板である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、損傷および疾患の治療的処置および予防的処置に有用な幹細胞を調製する、新規の、かつ改良された方法を提供する。本発明は、このような方法に従って精製された幹細胞を含む、細胞集団および組成物をさらに包含する。本発明は、本発明の方法に従って精製された幹細胞集団が、先行する方法(典型的には、組織供給源に存在する他の細胞から幹細胞を単離する工程、および/またはこの単離された細胞を患者に投与する前に培養する工程または分化させる工程のうち、1つ以上のさらなる工程を包含する)を用いて精製された幹細胞に比べて、増大された効能および増大された安定性を有するという驚くべき発見に部分的に基づく。したがって、本発明は、先行する方法よりも単純でありかつ実施するのが便利な、幹細胞集団を調製する方法を提供する。さらに、本発明は、患者に投与するためのアプリケーター(例えば、シリンジ)中に供給され得る、使用に便利な幹細胞組成物の調製に関する方法を提供する。
【0033】
(A.幹細胞を精製する方法)
一般的に、本発明の基本的方法は、幹細胞を含む組織サンプルを処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離し、そしてこの分離された細胞を他の組織成分から精製する工程を包含する。特定の実施形態において、この方法は、他の精製された細胞から幹細胞を単離する工程、この精製された細胞を培養する工程またはこの精製された細胞を分化させる工程のうちの1つ以上を包含しない。他の実施形態において、本発明の方法は、1つ以上のこれらの工程をさらに包含する。
【0034】
本発明は、任意の組織供給源(脂肪組織、臍帯マトリクス、脳組織、血液、筋肉、骨髄、歯の組織および皮膚が挙げられるが、これらに限定されない)から幹細胞を単離するために使用され得る。1つの実施形態において、この組織は、例えば脂肪組織または臍帯マトリクスのようなコラーゲンベースの組織である。本発明の方法は、コラーゲンベースの組織を処理することに特に適しており、幹細胞の遊離を促進する。
【0035】
組織は、ヒトおよび他の動物から得られ得る。1つの実施形態において、この動物は哺乳動物である。特定の実施形態において、組織は重要な商業的価値または経済的価値を有する動物(例えば、ウマ、イヌ、ネコ、ラクダおよびウシ)から得られる。同様に、他の実施形態において、この組織は、例えば、ウマおよびイヌのような作業用またはスポーツ用の動物から得られる。他の実施形態において、組織はコンパニオン動物(例えば、イヌまたはネコ)から得られる。さらなる実施形態において、組織はエキゾチック(exotic)なイヌ科動物(オオカミ、ジャッカル、ディンゴなど)およびエキゾチックなネコ科動物(ヒョウ、ペーカン、ピューマ、ジャガランディ(jagarundi)、トラ、ライオン、チーターなど)から得られる。他の実施形態において、組織はエキゾチック動物または動物園の動物から得られ、有蹄類または蹄のある哺乳動物(例えば、ガゼル、スイギュウ、サイ、エランドなどが挙げられる)を含む蹄類(hoof stock)が挙げられるが、これに限定されない。別の実施形態において、組織サンプルは高い価値のエキゾチック種から得られ、この種としては、トリ(例えば、オウム、コンゴウインコなどが挙げられる)が挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態において、組織は大きなエキゾチック動物または動物園の動物から得られ、これらの動物としては、シマウマ、ライオン、トラ、ゾウ、サイ、カバ、クマおよびキリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
組織は、ヒトを含む、胎児あるいは幼若な動物または成体動物から得られ得る。さらに、組織は、上記精製された細胞が提供される患者から得られ得、また代替的には、組織はドナーおよび異なる患者に提供された精製された細胞から得られ得る。このように、本発明は、上記精製された細胞の自己由来の使用および同種異系の使用の両方を企図する。
【0037】
組織は、当該分野において利用可能な任意の手段によって患者またはドナーから単離され得る。特定の実施形態において、組織は、脂肪吸引、外科的除去、針およびシリンジを用いる回収、あるいは脂肪組織切除術によって単離される。種々のさらなる手順が、米国特許出願公開番号2003/0161816 A1および米国特許番号第6,020,196号および同第5,744,360号に記載される。さらに、組織は、単離される組織のタイプに依存して、動物の任意の適切な場所から単離され得る。例えば、脂肪組織は、尾根部、網または他の腹部の場所、皮下、胃、股関節部または大腿部が挙げられるが、これらに限定されない場所から単離され得る。本明細書中に使用される場合、尾根部領域は、正中面外側および頭蓋から動物の尾の身体内への挿入部までの、側腹および股関節部の部分の領域に向かって広がる一般的な範囲である。臍帯マトリクスは、代表的には臍帯内のマトリクスから単離され、そうでない場合はホウォートンゼリーといわれる。
【0038】
特定の目的は、外科的手順、特に動物(例えば、イヌおよびネコ)の卵巣切除および去勢に関する手順の間に得られた脂肪組織の使用である。卵巣切除および去勢を受けた若年のイヌおよびネコから回収された脂肪組織は、高レベルで幹細胞を産生する。このような細胞は、例えば、後にこの患者に戻すために細胞を「貯蔵する(banking)」ために使用され得るか、あるいは別の動物の同種異系処置において使用され得る。
【0039】
組織は、種々の異なる手段のいずれか、またはそれらの組み合わせによって、他の組織成分から細胞を遊離するように処理される。多くの実施形態において、組織は、例えば組織サンプルをより小さな断片へと切断するか、または細かく刻むことによって、物理学的に処理される。特定の実施形態において、組織は他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素調製物への曝露によって処理されるが、他の実施形態において、組織の処理は、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素への曝露を包含しない。1つの実施形態において、この酵素調製物は、コラゲナーゼ調製物であるか、またはコラゲナーゼを含む。関連する実施形態において、この酵素調製物は、1つ以上のトリプシン様酵素、ペプシン様酵素、クロストリパイン(clostripain)酵素および中性プロテアーゼ型酵素を含む。代表的には、本発明の方法は、以下の手順の1つ以上によって処理する工程を包含する;物理的な切断、酵素処理、超音波エネルギー処理およびペルフルオロカーボン処理。
【0040】
1つの実施形態において、組織を処理する工程は、この組織をより小さな断片へと物理的に切断する工程を包含する。切断する工程は、利用可能な任意の手段(例えば、鋏、メス、カミソリの刃、針および他の鋭い器具の使用が挙げられる)によって実施され得る。
【0041】
1つの実施形態において、サンプルの物理的な切断は一連のスクリーンを備えるデバイスを用いて実施される。組織サンプルは、一連のスクリーン(これらは、代表的には容器の中に保持される)上に置かれる。脂肪組織を受容するように一緒に並べられるスクリーンの数は、好ましくは、そのスクリーンの開口部内に組織サンプルの容量を含むのに十分である。1つの実施形態において、このスクリーンは鋭い端部を備え、この端部は組織サンプルを、それが一連のスクリーンに適用されるように切断する。別の実施形態において、このデバイスは1つ以上のスクリーンが、隣接するスクリーンから分離され得るように構成され、そして切断デバイス(例えば、ワイヤ、刃またはメス)が、このスクリーンの間を通され得るか、または挿入され得、組織をさらに処理および切断する。これらのスクリーンそれ自体は、任意の適切な材料(例えば、金属、セラミック、プラスチックまたはガラスが挙げられる)から構成され得る。種々の実施形態において、これらのスクリーンを保持する容器は開口部を備え、この開口部を通して組織サンプルがスクリーンに適用され得る。
【0042】
何ら特定の理論に束縛されることを希望するわけではないが、伝統的に鋏を使用して組織をスクリーンの開口部上に分散することによって、組織(例えば、脂肪組織)をより小さな粒子へと細かく刻むのに比べて、より均質な粒子の分布を有することが理解される。この方法はまた、より小さい粒子を作製するために組織を高い剪断力に供することを回避する。したがって、脂肪組織は、より均質な大きさの粒子へと分散された状態となり、この粒子は引き続く酵素的処理または同時に行う酵素的処理において一定の速度で酵素的に改変される。このような配置は、より早い細胞の遊離を促進し、それによって遊離された細胞と酵素溶液との間の接触時間を減少させる。さらに、本発明のデバイスおよびプロセスを使用すると、残りの組織マトリクスはスクリーン上に保持されるので、この遊離細胞を除去することもまた可能である。なおさらに、そしてこれまでの公知のデバイスとは対照的に、スクリーン上に残存する組織の量を視覚的に検査することにより、分離処理の程度を評価すること、および処理が完了される時点を決定することが可能である。結果として、このスクリーンデバイスおよびこのデバイスを利用する方法は、組織のより迅速な処理を可能にする。なぜなら、スクリーン上に残存する組織の量を観察することによって処理の程度を把握することができるので、酵素溶液の変動性は作業の前に決定される必要がないからである。
【0043】
特定の実施形態において、組織の処理は、酵素的な処理を含む(例えば、実施例1に記載される)。代表的に、このような酵素的処理は、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する、1種以上の酵素に組織を曝露する工程を包含する。このような酵素の例としては、マトリクスメタロプロテアーゼ、クロストリパイン、トリプシン様酵素、ペプシン様酵素、中性プロテアーゼ型およびコラゲナーゼが挙げられる。適切なタンパク質分解性の酵素が、米国特許番号第5,079,160号;同第6,589,728号;同第5,422,261号;同第5,424,208号;および同第5,322,790号に記載される。1つの実施形態において、組織サンプルは、0.01mg/ml〜10.0mg/ml、0.05mg/ml〜10mg/ml、0.5mg/ml〜2.5mg/mlまたは0.75mg/ml〜2.0mg/mlの範囲の濃度で、他の組織成分から細胞を遊離するのに十分な時間に亘って、コラゲナーゼに曝露される。関連する実施形態において、コラゲナーゼのレベルは0.75mg/ml(0.075%)である。実際の使用レベルは、消化される特定の組織タイプについて当業者によって日常的に決定され得、そしてこの濃度は酵素の特定の供給源に依存して変動し得ることが、さらに理解される。特定の実施形態において、コラゲナーゼは、約0.75mg/mlまたは0.9mg/ml(Sigma−Aldrich、カタログ番号2674)で使用され、あるいは0.75mg/mlまたは2.0mg/ml(Serva NB4)で使用される。酵素的な処理は種々の異なる温度および継続時間で実施され得、これはある程度反比例的に相関することが一般的に理解されている。例えば、1つの実施形態において、コラゲナーゼ処理は37℃で、2〜5分間で複数回(各時点後に細胞を除去しながら)または3〜4時間の間ずっと実施される。1つの実施形態において、酵素を伴うインキュベーションは合計20〜60分間である。
【0044】
1つの実施形態において、組織サンプルを処理するために超音波が使用される。特定の実施形態において、処理される組織を含む、流体で満たされたチャンバにトランスデューサーが適用される。エネルギーが加えられ、組織の分離が生じる。関連する実施形態において、この手順は酵素的な処理とは別々にか、または酵素的な処理と組み合わせて実施される。超音波処理の条件は、細胞が著しく損傷されることなく、脂肪組織が影響を受けるように選択される。超音波エネルギーの使用は、脂肪吸引に関連するインビボ手順下での脂肪組織の分離を改善することが今までに示されており、そして脂肪組織のインビボでの分離についての適切な条件は、米国特許出願公開番号2002/0128592 A1に記載されており、この条件は本明細書中に記載されるインビトロでの使用にも適合され得る。
【0045】
別の実施形態において、組織サンプルの処理は、医学的に適合可能であるペルフルオロカーボン溶液での処理を包含する(例えば、実施例2に記載される)。代表的に、脂肪組織は、エマルジョンを生ずるのに十分な時間に亘って、ペルフルオロカーボン溶液と接触するように配置されるか、またはペルフルオロカーボンと混合される。次いで幹細胞を含む水性の層を残して、このペルフルオロカーボン溶液層は吸引される。この医学的に適合可能なペルフルオロカーボン組成物の使用は、ヒト被験体で実施されるインビボでの脂肪組織の除去を補助すると報告されており(例えば、米国特許番号第6,302,863号を参照のこと)、そしてそこに記載される方法およびペルフルオロカーボン溶液は、本発明のインビトロでの方法に適用され得る。
【0046】
種々の実施形態において、遊離された細胞は、組織サンプルの処理後または組織サンプルの処理と同時に、他の組織成分から精製される。本明細書において使用される場合細胞の精製とは、それらの通常の組織環境からの細胞の遊離を意味し、その細胞が他の組織成分の全てから精製または単離されることを示さない。特定の実施形態において、細胞の精製は、残りの組織物質(例えば、脂質)を含む特定の不溶性の組織成分から細胞を分離する工程を包含する。細胞は、当該分野で公知かつ利用可能な任意の手段(例えば、密度勾配、遠心法および濾過、あるいはそれらの組み合わせの使用が挙げられる)によって他の組織成分から分離される。細胞を精製する特定の方法の例は当該分野において公知であり、例えば、米国特許番号第6,777,231号に記載される。特定の実施形態において、1種以上の特定のタイプの細胞を除去するために、ネガティブ分離法が利用される。
【0047】
本発明の方法に従って調製された細胞は、直ちに使用され得るか、使用前まで保存される。特定の実施形態において、細胞は、組織サンプルが得られた場所または組織サンプルが患者に提供される場所とは異なる地理的な場所で、組織サンプルから単離される。このような場合、この精製された細胞は、典型的には、患者に投与されるために医師または獣医師に発送される前まで保存される。この細胞は約4℃で一時的に保存され得るか、あるいはこの細胞は長期保存のために液体窒素下で凍結され得る。長期保存のための細胞の凍結方法および解凍の種々の方法は、当該分野において公知であり、そして本発明に従って使用され得る。この方法は、実施例7で例示されるように、ウシ胎仔血清およびジメチルスルホキシド(DMSO)を含む培地で細胞を凍結することが挙げられる。
【0048】
特定の実施形態において、予め凍結されているか、または凍結されていない精製された細胞は、投与に適したビヒクル中に配置される。例えば精製された細胞は、患者への創傷部位での注入か、または静脈内投与による注入に適したシリンジ内に入れられ得る。
【0049】
特記すべきことに、精製された細胞集団は冷蔵下(例えば、12℃未満の温度で)で保存される場合、または保冷剤上で発送される場合に、長時間生存度を保持するということが、本発明によって発見された。この発見は特に驚くべきことであった。なぜなら、コラゲナーゼのような酵素的処理の使用は、膜構造の破壊に起因して細胞の生存度を減少させることが今まで示されていたからであり(Brundstedt,J.ら、Methods in Diabetes Research,V.1,Laboratory Methods,Larner,JおよびPohl,S.L.(編),Wiley−Interscience,New York,1985)、そして当該分野における従来の理解は、精製された幹細胞集団は、生存度を維持するための特別な工程(このような工程としては、タンパク質、栄養素、血清および種々の組成の組織培地を添加する工程が挙げられる)がなされない限り、実質的に生存度を損失することなく保存され得ないというものであった。
【0050】
従って、別の実施形態において、本発明は、損傷または疾患の処置および予防に有用な幹細胞を含む精製された細胞集団を提供する。この細胞集団は、患者に送達される前に12℃未満の温度で保存され得、そして冷蔵下または保冷剤の存在下で輸送され得る。このような幹細胞集団および組成物は、治療目的または予防目的のために精製された幹細胞を提供する手順において使用され得る。
【0051】
特定の実施形態において、このような細胞集団は本発明の方法に従って調製される。しかしながら、他の実施形態において、この細胞集団は当該分野における任意の他の手段によって単離され得、このような手段としては、酵素的な処理を利用する方法および酵素的な処理を利用しない方法が挙げられる。1つの実施形態において、この細胞集団および関連する方法は、細胞を血清または栄養緩衝液の存在下で、培養またはリンスする工程を包含し、この工程は血清成分に起因してコラゲナーゼの活性を阻害し得る。
【0052】
本発明はまた、この幹細胞集団が調製された場所以外の場所に冷蔵下または保冷剤上で輸送され得る幹細胞集団を提供する方法を包含する。このような手順の1つの実施形態において、組織サンプルは医師または獣医師によって患者から得られ、研究所に運ばれる。研究所において、このサンプルは幹細胞を含む精製された細胞集団を提供するために処理される。次いでこの精製された細胞集団またはその一部は、医師または獣医師に発送され、続いて患者に送達される。この精製された細胞は発送まで、例えば4℃または液体窒素下で保存され得る。1つの実施形態において、この精製された細胞集団は、細胞集団を患者に送達するのに適したビヒクル(例えば、シリンジ)中で移動または発送される。特定の実施形態において、これらの細胞は、低温(すなわち、12℃未満)で24時間または48時間に亘って、顕著な生存度の損失または5%未満、10%未満、20%未満または50%未満の生存度の損失なしで保存される。
【0053】
本発明は、医療サービスを提供する方法としてさらに工業的に適用され得る。従って、1つの実施形態において、本発明は精製された幹細胞を提供する方法を包含し、この方法は、医師または獣医師に患者から組織サンプルを得るためのキットを提供する工程、幹細胞を含む細胞集団を精製するために得られた組織サンプルを処理する工程、ならびに医師または獣医師に、患者に細胞集団を投与するのに適したデバイスにおいて、精製した細胞集団を発送する工程を包含する。これらの方法は、12℃未満または氷上での保存および発送後でさえ、高いパーセンテージの生存細胞を有する幹細胞集団を提供するので、このようなオフサイト処理を可能にする。もちろん、本方法は、本発明の範囲から逸することなく改変され得るということが理解される。例えば、1つの実施形態において、医師または獣医師は、通常手近な材料を用いて処理するための組織サンプルを得、そして研究所まで発送し得るので、本方法は組織サンプルを得るためのキットを提供する工程を包含しなくてもよい。さらに、この方法に従うと、細胞は患者に投与するのに適したデバイス中で発送される必要が無い。むしろ、細胞は容器(例えば、バイアル)中で発送され得、その後投与に適したデバイス内へと移され得る。
【0054】
1つの特定の実施形態において、獣医師によってウマから得られた脂肪組織のサンプルが、本発明の方法に従って処理され、そしてこの精製された幹細胞集団は、シリンジ内に入れられ、獣医師に保冷剤上で発送される。次いでこの精製された幹細胞集団は、その組織サンプルが得られたウマの損傷部位または潜在的な損傷部位に提供され得る。特定の実施形態において、この損傷(例えば、挫傷または骨折が挙げられる)の部位は、腱、靭帯、軟骨および骨である。
【0055】
(B.精製された幹細胞を含む、組成物およびキット)
本発明の方法は、損傷の処置および予防において明確な利点を有する、独自の組成を有する精製された細胞集団を生じる。本発明の方法に従って精製された細胞集団は、多能性の幹細胞(例えば、間葉系幹細胞または胚性幹細胞)を含む。しかしながら、本明細書中に使用される場合、用語「精製された」とは、幹細胞のみの存在を示すわけではない。むしろ、用語「精製された」とは、細胞がそれらの本来の組織環境から取り除かれ、通常の組織環境と比較して高濃度で存在するということを示す。したがって「精製された」細胞集団は、幹細胞に加えて細胞型をさらに含み得、そしてさらなる組織成分を含み得る。特定の実施形態において、精製された細胞集団は、組織の1グラムあたり少なくとも10,000個、20,000個、50,000個、100,000個、200,000個、500,000個、600,000個、700,000個、800,000個、900,000個、1×10個、2×10個、3×10個、5×10個、10×10個の細胞を含む。特定の実施形態において、少なくとも600,000個〜70×10個の細胞が、3〜50グラムの組織から単離される。関連する実施形態において、この精製された細胞は、最初にペレットにされたときの、それらの細胞が単離された組織での濃度よりも約40〜50倍高い濃度で存在する。
【0056】
特定の実施形態において、幹細胞は中胚葉起源の幹細胞である。代表的には、このような幹細胞は2つ以上の中胚葉または間葉の発生表現型を保持する。特に、このような細胞は中胚葉性組織(例えば、成熟脂肪組織、骨、種々の心臓組織、皮膚の結合組織、血管組織、筋組織、尿生殖組織、胸膜組織および腹膜組織、内臓、中胚葉性腺組織および間質組織)へと発達する能力を有する。他の実施形態において、幹細胞は神経性の外胚葉性組織へと発達する能力を有する。
【0057】
精製された細胞は、4℃または液体窒素下での保存の前後両方で、そして12℃未満の温度または氷上で発送された後に、高い度合いの生存度を示す。特定の実施形態において、標準のトリパンブルー色素排除法により決定される、組織サンプルの調製直後の生存細胞のパーセンテージは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%である。関連する実施形態において、標準のトリパンブルー色素排除法により決定される場合、生存細胞の割合は、4℃での24時間の保存後、または液体窒素下での2週間の保存後、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%である。別の実施形態において、標準のトリパンブルー色素排除法により決定される場合、生存細胞の割合は、24時間未満の冷蔵保存または氷冷梱包での発送の後の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%である。
【0058】
さらに、特定の実施形態において、この細胞集団はまた、例えば、以下の1種以上の他の細胞タイプを含む:赤血球、白血球、好中球、単球/マクロファージ、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、リンパ球および好塩基球。しかしながら、特定の実施形態において、この組成物および細胞集団はリンパ球(すなわちT細胞またはB細胞)を含まないか、または末梢血中に存在する量と比較して有意に減少されたパーセンテージのリンパ球を有する。特定の実施形態において、精製された細胞集団における細胞(リンパ球である)総数の割合は、元の組織サンプルにおける細胞(リンパ球である)総数の割合と比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または少なくとも100%減少される。関連する実施形態において、リンパ球は精製された細胞集団中に存在する全ての細胞の1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満または50%未満を示す。特定の実施形態において、この精製された細胞集団は、認識可能な数のリンパ球を含まない。本明細書中で使用される場合、認識可能な数のリンパ球とは、細胞集団の少なくとも5%がリンパ球であることをいう。本発明の方法は、他の精製された細胞から幹細胞を分離する工程を通常包含しないので、これらのさらなる細胞が元の精製された細胞集団中に存在し得る。あるいは、非幹細胞が患者への投与の前までの任意の時点で、精製された細胞集団に加えられ得る。
【0059】
さらなる実施形態において、この細胞集団はまた、非細胞性の組織成分を含む。このような非細胞性の成分は可溶性の因子であり得るか、あるいは不溶性の成分(例えば、脂質)であり得るか、あるいはその両方であり得る。このような非細胞性組織成分の例としては、細胞外マトリクスタンパク質、プロテオグリカン、分泌される因子、サイトカイン、増殖因子、分化誘導因子および分化阻害因子、あるいはそれらのフラグメントが挙げられる。1つの実施形態において、この細胞集団は、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンまたはそれらのフラグメントを含む。特定の実施形態において、この細胞集団はコラーゲンまたはそのフラグメントを含む。コラーゲンとしては、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲンおよびIV型コラーゲンが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらのさらなる非細胞成分は、しばしば元の単離された細胞集団中に存在する。しかしながら、特定の実施形態において、このような非細胞成分は、患者への投与の前までに、精製された細胞集団に加えられる。
【0060】
何ら特定の理論に束縛されることを希望するわけではないが、例えば、患者への投与の際の幹細胞の適切な分化を促進するさらなる因子を提供することによって、幹細胞に加えて組織成分が存在することは、他の組織成分を欠く幹細胞集団に対する治療的な利点を提供するということが理解される。さらに、特定の成分が内因性の創傷治癒予防的な特性を有し、ゆえに組織の修復および創傷の予防において幹細胞と協働することが理解される。
【0061】
特定の実施形態において、この精製された細胞集団は、患者への送達に適合された組成物および適切な組成物(すなわち、生理学的に適合可能な組成物)内に存在する。したがって、幹細胞集団の組成物は、しばしば1種以上の緩衝液(例えば、中性緩衝化食塩水またはリン酸緩衝化食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン)、抗酸化剤、静菌薬、キレート剤(例えば、EDTA)、グルタチオン、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、処方物をレシピエントの血液に対し等張、低張もしくはわずかに高張にする溶質、懸濁剤、増粘剤および/または保存剤をさらに含む。
【0062】
他の実施形態において、この精製された細胞集団は、凍結または保存に、適合または適切な組成物内(例えば、実施例7に記載される凍結媒質)に存在する。
【0063】
本発明の方法および組成物は、キットを使用して実施されるのに特に良く適合する。なぜなら、本発明の方法および組成物は幹細胞集団の保存および発送を可能にするからである。特定の実施形態において、キットは、患者に精製された幹細胞組成物を投与するのに適し、かつ投与されるべき幹細胞組成物の量を有するのに適したデバイスを備える。1つの実施形態において、動物における筋骨格組織の損傷の処置に有用なキットは、生理学的に適合可能な溶液中の、動物から得られた精製された脂肪組織由来の幹細胞を含む、組成物を包含するシリンジを備える。キットは、本明細書中に記載される任意の精製された幹細胞集団および組成物を備え得ることが理解される。したがって、本発明のキットは自己投与、同種異系投与または異種投与のために調製され得、幹細胞と一緒に精製されるか、または幹細胞の精製後に組成物に添加される、さらなる組織成分(細胞性の組織成分または非細胞性の組織成分)をさらに備え得る。
【0064】
(C.損傷を処置および予防する方法)
特定の実施形態において、精製された幹細胞およびそれを含む組成物は、患者における臨床的に明らかな損傷または疾患を処置するために使用される。他の実施形態において、精製された幹細胞およびそれを含む組成物は無症状の明らかではない損傷または疾患を予防するために予防的に使用される。さらに、特定の実施形態において、精製された幹細胞およびそれを含む組成物は、精製された幹細胞を単離した患者を処置するために自己的に使用される。他の実施形態においては、精製された幹細胞およびそれを含む組成物は幹細胞を精製したドナー以外の患者を処置するために同種異系的に使用される。1つの実施形態において、精製された幹細胞およびそれを含む組成物は同じ種の患者を処置するために使用され、別の実施形態において、それらは別の種の患者を処置するために(すなわち、異種的に)使用される。
【0065】
特定の実施形態において、精製された幹細胞および関連する組成物は、種々の異なる疾患を処置するために使用され、このような疾患としては、炎症性疾患、心臓血管の疾患、神経系の疾患、腫瘍、脱髄疾患、消化器系の疾患、内分泌系疾患、生殖系疾患、血液の疾患およびリンパの疾患、免疫の疾患、精神障害、筋骨格の疾患、神経筋の疾患、代謝疾患、皮膚および結合組織の疾患、泌尿器の疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
種々の実施形態において、精製された幹細胞および関連する組成物は、種々の異なる創傷を処置するために使用され、このような創傷としては、擦過傷、剥離、胸部創傷(blowing wound)、切創、火傷、打撲、刺創、外科的創傷および皮下の創傷が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
特定の実施形態において、精製された幹細胞および関連する組成物は、種々の損傷を処置または予防するために使用され、このような損傷としては、筋肉、結合組織(腱、靭帯および軟骨を含む)、骨、蹄板、肺の組織、血管、神経、肝臓、筋骨格組織または心臓の組織に対する損傷があげられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、この損傷は、スポーツ関連の損傷であり、このような損傷としては、打撲、筋炎、挫傷(筋肉および腱の挫傷を含む)、小裂傷、骨折(剥離骨折を含む)、脱臼、断裂、捻挫、圧力骨折、滑液包炎および関節軟骨の損傷が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
1つの実施形態において、この損傷は作業用動物に関連する損傷(例えば、腱または靭帯の損傷)であり、これらはしばしば競争様哺乳動物またはレース用の哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、イヌおよびラクダ)において観察される。1つの実施形態において、この損傷は、ウマまたはラクダにおいて、表層の指屈腱、提靭帯、深層の指屈腱の副靭帯、半月板、または十字靭帯のような他の靭帯の内に生じる。別の実施形態において、この損傷はイヌにおいて、アキレス腱、十字靭帯、半月板または指屈腱の内に生じる。患者がヒトである特定の実施形態において、この損傷は、アキレス腱、四頭腱、回旋筋腱板、上腕外上顆(炎)(lateral epichondylitis)または上腕内上顆(炎)(medial epichondylitis)、十字靭帯、椎間円板あるいは半月板の損傷である。したがって、関連する実施形態において、特定の損傷の例としては、腱炎、腱障害(tendinopathy)、靭帯炎、屈腱炎、骨折および捻挫が挙げられる。
【0069】
細胞集団および関連する組成物は、種々の異なる手段によって患者に提供され得る。特定の実施形態において、細胞集団および関連する組成物は局所的に(例えば、実際の損傷部位または潜在的な損傷部位に)提供される。1つの実施形態において、細胞集団および関連する組成物は、可能性のある損傷または疾患の部位あるいは実際の損傷または疾患の部位に、組成物を注入するためのシリンジを使用して提供される。他の実施形態において、それらは全身的に提供される。1つの実施形態において、細胞集団および関連する組成物は、静脈内または動脈内の血流に投与される。投与の特定の経路は、処置または予防される疾患または損傷の、場所および性質に大部分が依存する。したがって、本発明は、本発明の細胞集団または組成物を、任意の公知であり、かつ利用可能な方法または経路によって提供する工程を包含し、このような経路としては、経口投与、非経口投与、静脈内投与、動脈内投与、鼻内投与および筋内投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
特定の実施形態において、処置方法は、ウマの尾根部領域から得られた脂肪組織サンプルから単離され、本発明の方法にしたがって調製された幹細胞を含む組成物を、同じウマの実際の損傷部位または潜在的な損傷部位(例えば、腱または靭帯)に注入する工程を包含する。
【0071】
種々の処置レジメンにおける、本明細書中に記載される細胞集団および組成物を使用するための、適切な投薬レジメンおよび処置レジメンの開発(例えば、経口、非経口、静脈内、鼻内および筋内の、投与および処方が挙げられる)も同様に、処置または予防されるべき疾患または損傷、ならびに投与の経路によって大部分が実施される。適切な投薬レジメンおよび処置レジメンの決定は、当該分野において一般的に知られている情報に基づいて達成され得る。
【0072】
処置は、単一の処置または複数の処置を含み得る。特に、予防的な目的のために、特定の実施形態において、本発明の精製された細胞集団が、損傷を引き起こす可能性のある圧力に先立って投与される(例えば、動物のレース(例えばイヌのレースまたはウマのレース))ことが企図される。
【0073】
本明細書中に参照される、および/または出願データシート中に列挙される全ての上記米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許文献は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
(酵素分解を用いた脂肪組織由来幹細胞の調製)
4匹のウマから得られた脂肪組織由来の幹細胞を、以下の手順に従って調製し、そして精製した細胞の数および生存度を測定した。
a.処理チューブ(50ml コニカル)にラベルをつける。各コニカルの重量を測定し、そのラベルに記録する。
b.ペトリ皿から蓋の内側表面に脂肪サンプルを移す。水気を切る。
c.予め重量を測ったコニカルチューブに脂肪サンプルを入れる。
d.脂肪サンプルおよびチューブの重量を記録する。
e.このコニカルに、30〜40mlの滅菌PBSを加えて蓋をし、穏やかに数回、反転させる。
f.滅菌鉗子を用いて、脂肪を残したまま、液体を慎重に取り除く。
g.滅菌ペトリ皿の底部に脂肪を移し、鋏と鉗子とを用いて刻む。
h.滅菌スクープを用いて、元々の50mlコニカルに刻んだサンプルをもどす。
i.15mlの滅菌PBSでペトリ皿をリンスして、残留するあらゆる脂肪粒子を取り除き、液体/粒子をこのコニカルに注ぐ。
j.PBSの残量が約5mlになるまで、PBSをチューブから慎重に吸引する。
k.コニカルに存在する脂肪の容量を測定することにより、必要な量のコラゲナーゼ溶液を調製する。処理される脂肪の1.1倍の体積に等しい、十分な容量のコラゲナーゼを作製する。コラゲナーゼストックは、PBS中0.075%(すなわち、100mlあたり75mg)である。このコラゲナーゼストック溶液を、0.22μm滅菌フィルタを用いて濾過滅菌する。コラゲナーゼストック溶液を37℃の水浴に入れる。
l.40〜45mlの印まで滅菌PBSを十分に加え、次いで蓋をする。
m.数回、反転することにより混合する。
n.存在する水層を、5ml容量を残して吸引する。
o.水層のデブリ/血液が比較的きれいになるまで、2l〜2n工程を繰り返す(例えば、2回または3回。サンプルがどのくらいの血液が混じっている(bloodly)かに依存する)。
p.最後の吸引後、コラゲナーゼ酵素溶液(37℃に温めた)を加える。ウェルを混合する。刻んだ脂肪サンプルの総容量(脂肪および残りのPBS)に等しいコラゲナーゼストック溶液を加える。
q.脂肪の分解速度に依存して、20〜60分間、37℃水浴中で攪拌しながらチューブをインキュベートする。
r.チューブを乾燥させ、チューブの外側に70%イソプロピルアルコールを噴霧する。
s.酵素中和溶液(必要に応じて、FCSを含むDMEMの添加に基づく)を加える。
t.400×gで5分間、チューブを遠心分離し、バケットローター(4℃に設定)で振蘯させる。
u.上清を吸引/除去し、脂肪層を除去する。
v.チューブの底を指で穏やかに「はじくこと(flicking)」により、ペレットを再懸濁する。
w.10mlのPBSを加え、反転させて穏やかに混合する。
x.組織フィルター(例えば、70μm)を通して、再懸濁した細胞をラベルをつけた50mlコニカルチューブに注ぎ、あらゆる組織マトリクスおよびデブリを除去する。この懸濁液をコニカルに注いだ後、約20mlの滅菌PBSを用いて組織フィルタを穏やかにリンスし、(フィルタユニット自体の裏面も含めて)このコニカルにリンス液(rinsate)を回収する。
y.400×gで5分間、このチューブを遠心分離し、バケットローターで振蘯させる。
z.上清を吸引/除去する。
aa.小容量の培地に細胞ペレットを再懸濁する。
bb.適切にラベルを付けた0.5mlプラスチックチューブに各サンプル50μlを移し、細胞を計数し、生存度を測定する。
【0075】
細胞計数および生存度の測定を、以下の手順に従って行った。
a.工程bbのチューブに、50μlの0.4%トリパンブルー色素排除培地を加える。
b.穏やかに混合し、1〜2分間、静置する。
c.血球計の1つのチャンバにサンプルを充填する。1〜2分間、放置する。
d.細胞計数および生存度測定を、4つの大きなグリッド領域に含まれる少なくとも100個の細胞(しかし、500個未満の細胞)を計数することにより実施する。
e.細胞数および生存度の算出を行う。
【0076】
これらの実験の結果を表1に示す。この表は、各サンプル由来の脂肪組織1gあたりで単離された細胞数および細胞のパーセント生存度を提供する。
【0077】
【表1】

これらの実験は、本発明の手順が、組織1gあたり、著しく多数の生存細胞を提供し、それゆえ、治療的処置および予防的処置のための幹細胞の調製に極めて有用であることを実証する。
【0078】
(実施例2)
(組織から幹細胞を遊離させるためにペルフルオロカーボンを用いる、脂肪組織由来の幹細胞の調製)
脂肪組織由来の幹細胞を調製するための以下の手順は、脂肪組織からの幹細胞の遊離を補助するためのペルフルオロカーボンでの処理を追加して、実施例1の手順を採用する。
a.処理チューブ(50ml コニカル)にラベルをつける。各コニカルの重量を測定し、そのラベルに記録する。
b.ペトリ皿から蓋の内側表面に脂肪サンプルを移す。水気を切る。
c.予め重量を測ったコニカルチューブに脂肪サンプルを入れる。
d.脂肪サンプルおよびチューブの重量を記録する。
e.このコニカルに、30〜40mlの滅菌PBS(この手順を通してpH6.9で使用する)を加えて蓋をし、穏やかに数回、反転させる。
f.滅菌鉗子を用いて、脂肪を残したまま、液体を慎重に取り除く。
g.滅菌ペトリ皿の底部に脂肪を移し、鋏と鉗子とを用いて刻む。
h.滅菌スクープを用いて、元々の50mlコニカルに刻んだサンプルをもどす。
i.15mlの滅菌PBSでペトリ皿をリンスして、残留するあらゆる脂肪粒子を取り除き、液体/粒子をこのコニカルに注ぐ。
J.PBSの残量が約5mlになるまで、PBSをチューブから慎重に吸引する。
k.PBSを含め、脂肪サンプルの容量に等しい量のペルフルオロカーボン溶液を加える。このペルフルオロカーボン溶液と脂肪組織を接触させるために振盪する。この手順では「ローター」プラットホームの使用が補助となる。完了したら、水層を除去せずにPFC層を吸引する。
l.コニカルに存在する脂肪の容量を測定することにより、必要な量のコラゲナーゼ溶液を調製する。処理される脂肪の1.1倍の体積に等しい、十分な容量のコラゲナーゼを作製する。コラゲナーゼストックは、PBS中0.075%(すなわち、100mlあたり75mg)である。このコラゲナーゼストック溶液を、0.22μm滅菌フィルタを用いて濾過滅菌する。コラゲナーゼストック溶液を28℃の水浴に入れる。
m.40〜45mlの印まで滅菌PBSを十分に加え、次いで蓋をする。
n.数回、反転することにより混合する。
o.存在する水層を、5ml容量を残して吸引する。
p.水層のデブリ/血液が比較的きれいになるまで、2l〜2n工程を繰り返す(例えば、2回または3回。サンプルがどのくらいの血液が混じっている(bloodly)かに依存する)。
q.最後の吸引後、コラゲナーゼ酵素溶液(37℃に温めた)を加える。ウェルを混合する。刻んだ脂肪サンプルの総容量(脂肪および残りのPBS)に等しいコラゲナーゼストック溶液を加える。
r.脂肪の分解速度に依存して、20〜60分間、37℃水浴中で攪拌しながらチューブをインキュベートする。
s.チューブを乾燥させ、チューブの外側に70%イソプロピルアルコールを噴霧する。
t.酵素中和溶液(必要に応じて、FCSを含むDMEMの添加に基づく)を加える。
u.400×gで5分間、チューブを遠心分離し、バケットローター(4℃に設定)で振蘯させる。
v.上清を吸引/除去し、脂肪層を除去する。
w.チューブの底を指で穏やかに「はじくこと」により、ペレットを再懸濁する。
x.10mlのPBSを加え、反転させて穏やかに混合する。
y.組織フィルタ(70μm)を通して、再懸濁した細胞をラベルをつけた50mlコニカルチューブに注ぎ、あらゆる組織マトリクスおよびデブリを除去する。この懸濁液をコニカルチューブに注いだ後、約20mlの滅菌PBSを用いて組織フィルタを穏やかにリンスし、(フィルタユニット自体の裏面も含めて)このコニカルにリンス液を回収する。
z.400×gで5分間、このチューブを遠心分離し、バケットローターで振蘯させる。
aa.上清を吸引/除去する。
bb.小容量の培地に細胞ペレットを再懸濁する。
cc.適切にラベルを付けた0.5mlプラスチックチューブに各サンプル50μlを移し、細胞を計数し、生存度を測定する。
【0079】
(実施例3)
(ウマの尾根部領域から得られた脂肪組織由来幹細胞の単離)
幹細胞の単離のために脂肪組織サンプルを回収するためのウマにおける最適な場所は、容易には明らかではない。なぜなら、脂肪は、ウマにおける多数の部位に堆積するからである。身体状態スコアリングのシステム(Ott EA. Chairman Subcommittee on horse nutrition:Nutritional Requirement of Horses.第5編、National Academy Press,Washington DC(1989))は、ウマにおける多数の場所における脂肪の蓄積を記載する。
【0080】
尾根部領域が脂肪組織の回収のために好ましい場所であるか否かを決定するために、多数の脂肪組織サンプルを、痩せたウマおよび太ったウマの両方から得て、実施例1に記載されるように処理した。具体的には、サンプルを、4匹のウマ患者の尾根部領域および1匹のウマ患者の頚部から得た。処理したサンプルを分析し、幹細胞の生存度および数を決定した。その結果は表2に提供される。生存な幹細胞の存在を示す接着細胞を、培養された選択サンプルに対して観察した。
【0081】
【表2】

これらの実験の結果は、尾根部領域が、ウマから脂肪組織を得るために好ましい場所であることを証明する。尾根部領域に由来する脂肪組織は、頚部由来の脂肪組織と比較して、細胞数の増加を提供した。尾根部領域はまた、他の場所と比較してさらなる利点も提供する。この利点としては、接近が非常に容易であることおよび転ばせる(chute)または仕切り内に入れる(stanchion)際の安全性、全身麻酔が不要であること、重要な神経または管がこの領域に位置しないこと、ならびに回収に十分な量で脂肪が入手可能であることおよび体表に近いことが挙げられる。さらに、尾根部領域は、脂肪が他の線維性組織とは別々に位置するわずかな領域の1つであるという、驚くべき発見がなされた。
【0082】
(実施例4)
イヌおよびネコを含む小動物は、脂肪組織を得るための多数の潜在的な解剖学的部位を有する。幹細胞を、実施例1に記載された手順に従って、動物における種々の解剖学的部位から得られた脂肪組織から単離した。そして、単離した細胞の量およびその生存度を決定した。その結果を、表3に示す。
【0083】
【表3】

これらの結果は、生存幹細胞が、小動物における種々の異なる場所から単離され得ることを実証する。加えて、これらはさらに、本発明の手順が、驚くべき相当な数の生存細胞をもたらすこと、およびそれゆえ、患者の治療的処置および予防的処置のための幹細胞の調製に特によく適していることを実証する。なぜなら、多数の生存細胞が、比較的小さな組織サンプルから単離され得るからである。
【0084】
(実施例5)
(組織処理のためのモジュールを用いる脂肪組織由来幹細胞の調製)
標準的な方法(例えば、脂肪組織切除、脂肪吸引または他の適切な手順)によって患者から得られた脂肪組織を、モジュール内で一連のスクリーンと接触させて、このスクリーンのメッシュ内に押しつける。一旦この脂肪組織をスクリーン全体に分散すると、個々のスクリーンをそれらの隣接するスクリーンからわずかに離し、このスクリーンの間に間隙を作る。このスクリーンを互いに平行な様式で移動させるか、または、薄い刃を隣接するスクリーンの間に通して、各スクリーンの開口部内に保持される別々に分散した脂肪組織を得る。
【0085】
このスクリーンのセットを個々に処理するか、または「遮断する(block)」配置で維持する。いずれの場合においても、酵素溶液を容器に加える。この容器には、このスクリーンを配置し、接着性の脂肪組織と接触するようにする。このスクリーンから遊離された遊離細胞を回収し、残りの組織マトリクスをスクリーン上に残す。
【0086】
(実施例6)
(接着材料を用いる幹細胞の単離)
脂肪組織が接着する小さな接着材料(例えば、パッキングピーナッツ(packing peanuts)またはVelcro小片)を使用して、以下の手順に従って、幹細胞を脂肪組織から単離した。処理されるサンプル中にこれらの接着材料のいずれかが含めた場合の効果を、以下に記載するように、濾過速度への影響をモニタリングすることによって測定した。
a.パッキングピーナッツを、野菜刻み器および鋏で「ぶつ切り(chopped)」にして、それらの名目上の大きさを直径で約1mm〜10mmの間に減少させた。
b.このぶつ切りにしたピーナッツをビーカー内に入れ、水を加えた。寸法の範囲内であるように考えられるピーナッツおよび浮いているピーナッツだけを回収した。
c.Velcroを小片に切断し、約2〜4mm幅、元のVelcro細片の幅の長さのVelcroの断片を実質的に作製した。これらの断片を、それらが浮くかどうか判断するために水中に入れた。
d.ぶつ切りにしたピーナッツ(約1g)を、Corning 115mL濾過システムの一番上に入れ、100mLの水を加えた。減圧にし、100mLを濾過するのにかかる時間を測定した。コントロールとして、100mLの水の濾過時間を単独で測定した。
e.新しい濾過デバイスにおいて、細かくしたVelcro(約1g)の存在下での100mLの水の濾過時間を測定した。
f.20gの脂肪を、実施例1に記載されるように細かく刻んだ。この細かく刻まれた組織を、新しいCorning 115mL濾過デバイスに入れた。100mLの水を加え、脂肪粒子を分散させた。減圧にし、濾過時間を測定した。
g.20gの脂肪を、実施例1に記載されるように細かく刻んだ。この細かく刻まれた組織を、ぶつ切りにしたピーナッツと混合し、そして新しいCorning 115mL濾過デバイスに入れた。100mLの水を加え、粒子を分散させた。減圧にし、100mLの水の濾過時間を測定した。
h.20gの脂肪を、標準的なプロトコルで細かく刻んだ。細かくしたVelcro小片を脂肪と混合し、そして新しいCorning 115mL濾過システムに入れた。100mLの水を加え、粒子を分散させた。減圧にし、100mLの水の濾過時間を測定した。
【0087】
Velcro小片の大半および細かく刻んだパッキングピーナッツ小片の全てが、水に浮いた。フィルタシステムにおける100mLの水の濾過時間を、同じ濾過ユニットにおけるVelcro小片またはパッキングピーナッツ小片のいずれかの存在下での100mLの水の濾過にかかる時間と合わせて記録した。最終的な濾過評価を、フィルタに直接加えた脂肪組織、あるいはVelcro小片またはパッキングピーナッツ小片と混合した後にフィルタに加えた脂肪組織で決定した。混合工程を延長が必要とされることなく、Velcroおよびパッキングピーナッツの両方で、脂肪は非常に良くコーティングされ、そして、ほとんど全ての細かく刻まれた脂肪が、Velcro小片またはパッキングピーナッツ小片と接触したようであった。最初の濾過結果を表4に示す。
【0088】
【表4】

さらなる濾過研究を、Nalgene社製の0.2μmフィルタシステムを使用して実施した。先の評価は、Corningフィルタシステムを用いて行った。約1gのVelcro小片およびポリスチレンパッキングピーナッツ小片を、条件ごとに試験される3つのフィルタユニットのそれぞれに使用した。何ら因子が存在しない脂肪をコントロールとして使用した。フィルタシステムにおける100mLの水の濾過時間を、Velcro/脂肪混合物またはパッキングピーナッツ小片/脂肪混合物のいずれかの非存在下(コントロール)または存在下で評価した。フィルタシステムにおける100mLの水の濾過時間を、Velcro/脂肪混合物またはパッキングピーナッツ小片/脂肪混合物のいずれかの非存在下(コントロール)または存在下で評価した。100mLの水の濾過時間を各フィルタについて決定し、その後、試験条件を同じフィルタにおいて評価した。約20gの脂肪を条件ごとに使用した。この結果を下の表5に示す。
【0089】
【表5】

上に示した結果は、脂肪を伴うVelcro小片またはパッキングピーナッツ小片のいずれかの存在が、濾過時間の実質的な改善をもたらしたことを明確に実証する。未処理脂肪の濾過は、水単独の濾過に比べて約2倍の長さの時間がかかり、脂肪の添加により27秒から53秒に増加する。しかしながら、Velcro小片またはパッキングピーナッツ小片と混合した脂肪の濾過は、水単独の濾過に比べて約1.5倍の長さの時間がかかっただけであった。これらの結果は、脂肪の接着材料への結合が、接着材料/脂肪の凝集物の生成をもたらし、これがさらなる処理を促進することを示す。
【0090】
Velcro小片と脂肪組織との相互作用についてなされた観察およびこの2つを一緒に混合することから生じた改良された濾過の観察に基づき、実施例1の組織処理手順においてVelcro小片の存在を含めたことに関する影響の実験的評価を、以下に記載されるように実施した。
【0091】
水で洗浄して乾燥させた約1gのVelcro小片を、約10.5gの脂肪組織と混合した。Velcro小片を欠くコントロールを、10.9gの脂肪組織で実施した。この試験物質を、実施例1のプロトコルに本質的に従って処理した。細胞計数および生存度のアッセイを、処理の終わりに実施し、その結果を表6に示す。
【0092】
【表6】

これらの結果は、組織処理の間に小さな接着材料を含ませることが、匹敵する生存度での細胞収量の増加をもたらすことを示す。したがって、組織処理の間に小さな接着材料の添加することは、幹細胞を調製するための顕著に優れた方法を提供する。なぜなら、同数の細胞を得るために必要とする組織がより少ないという実質的な利点を提供するからである。
【0093】
(実施例7)
(精製された幹細胞を凍結する方法)
精製された細胞集団を、以下の手順に従って、液体窒素下での保存のために調製する。
a.凍結培質を、使用される凍結バイアルの総数を決定することにより、調製する。これは一般的に、利用可能な細胞数を、300万で割る工程を包含する。各凍結バイアルは、1.0mlの凍結培質/細胞を受容するので、凍結バイアルの総数に1.25を掛け、作製する凍結培質の量を決定する。適切な数の凍結バイアルを、−10℃で一晩保管されていたCryo−Safe内に入れる。
b.組織培養フード内で作業をしながら、凍結培質におけるDMSOの最終量が10%、かつ凍結培質におけるウシ胎仔血清の最終量が90%となるように、適量のDMSOおよびウシ胎仔血清をピペッティングする。よく混合する。
c.この凍結培質を、無菌のDMSOに適合性の0.2μmフィルタを通し、滅菌50mlコニカルチューブに入れる処理をする。このチューブを少なくとも45分間冷蔵庫に置く。
d.単離された細胞調製物を、400×gで10分間遠心分離する。注意深く上清を流し出し、そしてそのチューブをはじいて細胞ペレットを流動化させる。
e.各凍結バイアルに対して1mlを得るために、円錐チューブに、十分な凍結培質を加える。これは、この凍結培質を、懸濁物を回旋させて確実に混合しながら、30〜60秒間にわたってゆっくりと加えることにより達成される。
f.細胞が完全に再懸濁されることを保証するために、細胞を、凍結培地と共に穏やかにピペッティングする。
g.1.0mlのこの細胞懸濁液を、各凍結バイアル内へ入れる。蓋をし、直ちにそのバイアルをMr.Frostyへ移す。
h.このMr.Frostyを、直ちに−80℃の冷凍庫の底の棚に入れる。凍結バイアル保存ケーンを、その冷凍庫内に入れる。
i.−80℃冷凍庫での最低4時間(20時間は超えない)の保存後、凍結バイアルをケーン内に入れ、直ちにこのケーンを液体窒素保存タンクに移す。
【0094】
液体窒素下で凍結された細胞を、以下のように解凍する。
a.解凍培質を、適量の自己血清とIscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM)とを組み合わせることにより作製し、凍結バイアルの含有量(通常1.0ml)の最低1:10の希釈を可能にする。この容量に、1.5mlを加えて、作製されるべき解凍培質の最終的な容量を決定する。好ましくは、この比は、1:15である。最終的な解凍培質は、容量で20%が自己血清であり、80%がIMDMである。洗浄のために使用される量の解凍培質を、滅菌50mlコニカルチューブに移す。両方の解凍培質のチューブを、最低30分間、冷蔵庫内に入れる。
b.凍結バイアルを、液体窒素保存タンクから取り出し、直ちに37℃のウォーターバスに、接触させて配置する。このバイアルのネジ山は、水面より下に浸してはならない。
c.約2.5分後、バイアルを、細胞が解凍されているかどうかを決定するために試験する。バイアルの過剰な加熱は、避けるべきである。
d.細胞が解凍したと思われたら直ちに、バイアルの外側を70%イソプロピルアルコールで洗浄し、−10℃で一晩保存されたCryo−Safeに入れる。
e.バイアルの内容物を、滅菌ピペットを使用して、洗浄用の解凍培質を含む50mlコニカルに移す。そしてその懸濁液を、穏やかに混合する。
f.細胞懸濁液を、400×gで6分間遠心分離する。
g.上清を穏やかに流し出し、そしてチューブをはじいて細胞ペレットを流動化させる。
h.1.0mlの解凍培質を加え、細胞を再懸濁する。細胞をピペット内で上下に非常にゆっくりとピペッティングし、細胞を混合する。その細胞を、Cryo−Safe内に保存された凍結バイアルへ移す。
i.細胞懸濁液の30μlアリコートを、生存度および細胞数の測定のために、採取するべきである。
j.40μlの滅菌チカルシリンストック溶液(25mg/ml)を加え、穏やかに混合する。
k.滅菌1mlシリンジに取り付けられた18ゲージの針を使用して、懸濁液をシリンジ中に吸引する。そのシリンジの外筒を穏やかに叩くことにより、あらゆる閉じ込められた泡を取り除く。
l.針を取り出し、滅菌シリンジ先端部の蓋を、そのシリンジの端に配置する。
m.シリンジを冷蔵庫に入れる。
【0095】
細胞の包装を、医師または獣医師への発送のために以下のように調製する。
a.識別情報を含むラベルを、シリンジに取り付ける。
b.シリンジを発泡ラップで包み、そのシリンジの上下に氷枕を置いて発送箱に入れる。
c.その箱のあらゆる残りの空間を梱包材料で満たし、蓋を入れ、その箱に封をする。
【0096】
この手順に従って凍結および解凍された細胞の生存度は、65%より大きい。これは、これらの手順が、精製された幹細胞を首尾よく保存するために使用され得ることを示す。
【0097】
(実施例8)
(細胞のシリンジ保存の検証)
実施例1に記載されたコラーゲンベースの処理プロトコルにより得られた細胞の生存度をさらに試験し、患者へ戻すために、細胞をシリンジ中に入れることおよび担当獣医師にそのシリンジを発送することの影響を測定した。各細胞調製物の生存度を、0日目に測定した。次いで各細胞調製物のアリコートを、シリンジ中に入れ、これを凍結された保冷剤を含む包装内に入れ、生存度を測定する(1日目)前に20〜24時間室温で放置した。細胞調製物の部分集合に対して、コントロールのアリコートを、1日目の生存度決定のために、プラスチックチューブ内で冷蔵庫で保存した。「ND」は、生存度が決定されなかったことを示す。これらの研究の結果は、表7に提供される。
【0098】
【表7】

驚くべきことに、これらの結果は、保冷剤上のシリンジにおいて保存された場合、幹細胞調製物がほとんどまたは全く生存度の低下を示さないことを示し、これにより、幹細胞集団は、患者への投与のために、異なる場所へ(例えば、シリンジ中で)調製および発送され得ることを実証する。
【0099】
(実施例9)
(腱修復のための脂肪由来多能性幹細胞)
実施例1に提供されるような、本発明の方法に従って調製された幹細胞の臨床的効果を実証するために、二重盲検の、偽薬をコントロールに用いる研究を、4匹の細胞治療処置されたウマおよび4匹の偽薬処置されたコントロールのウマを使用して実施した。自然の腱炎を模倣するためにコラゲナーゼを用いて病変を作り、病変を誘発してから10日後に自己細胞移植を行った。各動物の尾根部領域由来の脂肪組織を、コラゲナーゼベースの処理プロトコルで処理した。4匹のウマに対して、細胞調製物を病変に注入し、コントロールに対して、生理食塩水を注入した。毎週超音波を実施した。治療後6週間でウマを屠殺し、創傷部位を試験した。
【0100】
これらの実験の結果は、コントロールと比べて、幹細胞調製物で処置された損傷(処置)において、統計学的に有意な改善を実証した。具体的には、炎症性細胞浸潤は、処置された動物においては観察されず、一方、軽度から中程度の炎症性浸潤が、コントロールにおいて観察され、これにより細胞調製物の抗炎症性効果を実証した。この処置された損傷は、均質なコラーゲン線維産生を伴う構造における有意な改善、およびコラーゲンの正常な架橋を示す、偏光下で観察されるひだにおける有意な改善を示した。さらに、この処置された損傷は、細胞処置群において統計学的に有意な改善を示した。これは、腱炎の改善された治癒における全体的な利益を実証している。同様に、この処置された損傷は、改善されたコラーゲン線維の直線性、より正常な腱の形状およびまばらな腱組織密度、出血および膨張の減少、より正常な新しい管の数、開始時の病変サイズ(基本線)のパーセントとしてコントロールと比較した処置された細胞における病変サイズの減少を実証した。開始時は同等の(またはより高い)値であったにもかかわらず、細胞処置されたウマにおける病変は、コントロールと比較してほとんどの研究に対してより低い度合いを有した。そして、改善された直線の線維パターンが見られた。
【0101】
本発明の特定の実施形態が、例示目的のために本明細書中に記載されるが、前述から、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが認識される。従って、本発明は、添付された特許請求の範囲に限定される以外には、限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に導入するための、幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する方法であって、該方法は:
(a)該患者から脂肪組織を得る工程;
(b)該脂肪組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程;および
(c)他の組織成分から分離された該細胞を精製する工程;
を包含し、ここで、該方法が、他の精製された細胞から幹細胞を単離する工程を包含せず、それによって脂肪組織由来の幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する、方法。
【請求項2】
前記精製された細胞集団が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記精製された細胞集団が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記精製された細胞を、生理的に適合性である緩衝液中に懸濁する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記精製された細胞を、シリンジ中に入れる工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記単離された細胞を、凍結媒質中で凍結する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記処理する工程が、以下:
(a)前記脂肪組織を細かく刻む工程;
(b)該脂肪組織を、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程;
(c)該脂肪組織を、超音波エネルギーに曝露する工程;および
(d)該脂肪組織を、ペルフルオロカーボンで処理する工程
からなる群から選択される1つ以上の手順をさらに包含する、方法。
【請求項9】
前記酵素処理が、28℃未満の温度で実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酵素処理が、7.0未満のpHで実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記患者がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記患者が非ヒト動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記動物がウマまたはラクダである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記動物がイヌまたはネコである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記動物がエキゾチック動物または動物園の動物である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記動物が有蹄哺乳動物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記動物が鳥類である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記動物が家畜または農場の動物である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記動物がウシまたはヤギである、請求項18に記載の動物。
【請求項20】
前記脂肪組織が、前記動物の尾根部領域から得られる、請求項12、13、16または18に記載の方法。
【請求項21】
動物に導入するための、精製された脂肪組織由来の幹細胞を含む組成物を調製する方法であって、該方法は:
(a)該動物の尾根部領域から脂肪組織を得る工程;
(b)該脂肪組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程;および
(c)他の組織成分から分離された該細胞を精製する工程;
を包含し、それによって精製された脂肪組織由来の幹細胞を含む組成物を調製する、方法。
【請求項22】
前記組成物が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分離された細胞を、生理的に適合性である緩衝液中に懸濁する工程をさらに包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記精製された細胞を、シリンジ中に入れる工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記単離された細胞を、凍結媒質中で凍結する工程をさらに包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記患者がウマおよびラクダからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
請求項21に記載の方法であって、前記処理する工程が、以下:
(a)前記脂肪組織を細かく刻む工程;
(b)該脂肪組織を、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程;
(c)該脂肪組織を、超音波エネルギーに曝露する工程;および
(d)該脂肪組織を、ペルフルオロカーボンで処理する工程
からなる群から選択される1つ以上の手順をさらに包含する、方法。
【請求項30】
前記酵素処理が、28℃未満の温度で実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記酵素処理が、7.0未満のpHで実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
患者に導入するための、精製された幹細胞を含む組成物を提供する方法であって、該方法は:
(a)患者から得られたコラーゲンベースの組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程;
(b)該分離された細胞を精製する工程;および
(c)該分離された細胞を容器中に入れ、それによって精製された幹細胞を含む組成物を提供する工程
を包含する方法。
【請求項33】
前記分離された細胞を、生理的に適合性である溶液中に懸濁する工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物を、医師または獣医師に発送する工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記容器がシリンジである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記分離された細胞を、凍結または凍結乾燥する工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記コラーゲンベースの組織が、脂肪組織または臍帯マトリクスである、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、他の精製された細胞から幹細胞を単離する工程を包含しない、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記精製された細胞集団が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記精製された細胞集団が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項32に記載の方法であって、前記処理する工程が、以下:
(a)前記組織を細かく刻む工程;
(b)該組織を、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程;
(c)該組織を、超音波エネルギーに曝露する工程;および
(d)該組織を、ペルフルオロカーボンで処理する工程
からなる群から選択される1つ以上の手順をさらに包含する、方法。
【請求項43】
前記酵素処理が、28℃未満の温度で実施される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記酵素処理が、7.0未満のpHで実施される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記患者がヒトである、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記患者が非ヒト動物である、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記コラーゲンベースの組織が、前記動物の尾根部領域から得られる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
動物における損傷または疾患の処置に有用なキットであって、該キットは:
動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含む組成物を含む容器
を備える、キット。
【請求項49】
前記損傷が筋骨格組織の損傷である、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
前記幹細胞集団が、生理学的に適合性である溶液中に存在する、請求項48に記載のキット。
【請求項51】
前記容器がシリンジである、請求項48に記載のキット。
【請求項52】
前記容器が凍結バイアルである、請求項48に記載のキット。
【請求項53】
前記組成物が凍結される、請求項48に記載のキット。
【請求項54】
前記組成物が凍結乾燥される、請求項48に記載のキット。
【請求項55】
前記コラーゲンベースの組織が、処置されるべき動物から得られた、請求項48に記載のキット。
【請求項56】
前記組成物が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項57】
前記組成物が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項58】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項57に記載のキット。
【請求項59】
前記コラーゲンベースの組織が、前記動物の尾根部領域から得られる脂肪組織である、請求項48に記載のキット。
【請求項60】
前記組織が、腱、靭帯、軟骨および骨からなる群より選択される、請求項48に記載のキット。
【請求項61】
前記組織が、肺組織、血管、肝臓、神経および心臓からなる群より選択される、請求項48に記載のキット。
【請求項62】
前記組織が蹄板である、請求項48に記載のキット。
【請求項63】
前記キットが2つ以上の容器を備え、各々が動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含む組成物を含む、請求項48に記載のキット。
【請求項64】
動物における損傷の予防に有用なキットであって、該キットは、
動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含む組成物を含む容器
を備える、キット。
【請求項65】
前記損傷が筋骨格組織の損傷である、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
前記幹細胞集団が、生理学的に適合性である溶液中に存在する、請求項64に記載のキット。
【請求項67】
前記容器がシリンジである、請求項64に記載のキット。
【請求項68】
前記容器が凍結バイアルである、請求項64に記載のキット。
【請求項69】
前記組成物が凍結される、請求項64に記載のキット。
【請求項70】
前記組成物が凍結乾燥される、請求項64に記載のキット。
【請求項71】
前記コラーゲンベースの組織が、処置されるべき動物から得られた、請求項64に記載のキット。
【請求項72】
前記組成物が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項64に記載のキット。
【請求項73】
前記組成物が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項64に記載のキット。
【請求項74】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項73に記載のキット。
【請求項75】
前記コラーゲンベースの組織が、前記動物の尾根部領域から得られる脂肪組織である、請求項64に記載のキット。
【請求項76】
前記組織が、腱、靭帯、軟骨および骨からなる群より選択される、請求項64に記載のキット。
【請求項77】
前記組織が、肺組織、血管、肝臓、神経および心臓からなる群より選択される、請求項64に記載のキット。
【請求項78】
前記組織が蹄板である、請求項64に記載のキット。
【請求項79】
前記キットが2つ以上の容器を備え、各々が動物から得られたコラーゲンベースの組織から精製された、幹細胞集団を含む組成物を含む、請求項64に記載のキット。
【請求項80】
患者に送達するための、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する方法であって、該方法は、
(a)該患者からコラーゲンベースの組織を得る工程;
(b)該コラーゲンベースの組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から分離する工程;および
(c)該分離された細胞を精製する工程;
を包含し、ここで、該処理する工程が、該コラーゲンベースの組織を一連のスクリーンと接触させる工程を包含し、それによってコラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、精製された細胞集団を調製する、方法。
【請求項81】
前記処理する工程が、前記組織を、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程をさらに包含する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記精製された細胞集団が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記精製された細胞集団が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記精製された細胞を、生理的に適合性である緩衝液中に懸濁する工程をさらに包含する、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記精製された細胞を、シリンジ中に入れる工程をさらに包含する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記単離された細胞を、凍結媒質中で凍結する工程をさらに包含する、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
請求項80に記載の方法であって、前記処理する工程が、以下:
(b)前記組織を、超音波エネルギーに曝露する工程;および
(b)該組織を、ペルフルオロカーボンで処理する工程
からなる群から選択される1つ以上の手順をさらに包含する、方法。
【請求項89】
前記酵素処理が、28℃未満の温度で実施される、請求項81に記載の方法。
【請求項90】
前記酵素処理が、7.0未満のpHで実施される、請求項81に記載の方法。
【請求項91】
前記患者がヒトである、請求項80に記載の方法。
【請求項92】
前記患者が非ヒト動物である、請求項80に記載の方法。
【請求項93】
前記患者がウマまたはラクダである、請求項80に記載の方法。
【請求項94】
前記患者がイヌまたはネコである、請求項80に記載の方法。
【請求項95】
前記組織が、前記動物の尾根部領域から得られる、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
患者に提供するための、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む精製された細胞集団を調製する方法であって、該方法は:
(a)該患者からコラーゲンベースの組織を得る工程;および
(b)該コラーゲンベースの組織を処理し、その中の細胞を他の組織成分から単離する工程
を包含し、ここで、該処理する工程が、該組織を該組織が接着する表面と接触させる工程を包含し、それによってコラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、精製された細胞集団を調製する、方法。
【請求項97】
前記接触させる工程が、前記組織を前記接着表面の粒子と混合する工程を包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記処理する工程が、前記組織を細かく刻む工程をさらに包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記処理する工程が、前記組織を、他の組織成分からの細胞の遊離を促進する酵素で処理する工程をさらに包含する、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記表面が、Velcro、ポリスチレン、ガラス繊維、ガラスウール、セルロースおよびセラミックからなる群より選択される、請求項96に記載の方法。
【請求項101】
前記精製された細胞集団が、赤血球、白血球、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、好中球、単球/マクロファージおよび好塩基球からなる群より選択される、1種以上の細胞をさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項102】
前記精製された細胞集団が、細胞外マトリクスポリペプチドまたはそのフラグメント、プロテオグリカン、サイトカインおよび増殖因子からなる群より選択される、1種以上の組織成分をさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項103】
前記細胞外マトリクスポリペプチドが、コラーゲン、トロンボスポンジン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、サイトタクチン、ラミニンおよびインテグリンからなる群より選択される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記精製された細胞を、生理的に適合性である緩衝液中に懸濁する工程をさらに包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項105】
前記精製された細胞を、シリンジ中に入れる工程をさらに包含する、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記単離された細胞を、凍結媒質中で凍結する工程をさらに包含する、請求項96に記載の方法。
【請求項107】
前記酵素処理が、28℃未満の温度で実施される、請求項99に記載の方法。
【請求項108】
前記酵素処理が、7.0未満のpHで実施される、請求項99に記載の方法。
【請求項109】
前記患者がヒトである、請求項96に記載の方法。
【請求項110】
前記患者が非ヒト動物である、請求項96に記載の方法。
【請求項111】
前記動物がウマまたはラクダである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記動物がイヌまたはネコである、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記脂肪組織が、前記動物の尾根部領域から得られる、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む細胞集団を調製するのに適したデバイスであって、該デバイスは、一連のメッシュスクリーンを備え、該メッシュスクリーンは、1つ以上の該スクリーンがコラーゲンベースの組織サンプルと接触する間、互いに分離され得るように配列される、デバイス。
【請求項115】
前記スクリーンが、脂肪組織サンプルを切断することが可能な端部を備える、請求項114に記載のデバイス。
【請求項116】
隣接するスクリーンの間に挿入され得る切断器具をさらに備える、請求項114に記載のデバイス。
【請求項117】
前記メッシュスクリーンを含む容器をさらに備える、請求項114に記載のデバイス。
【請求項118】
前記容器が開口部を備え、該開口部を通してコラーゲンベースの組織サンプルが該容器内に配置され得る、請求項117に記載のデバイス。
【請求項119】
患者における損傷または疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項1、21、32、80または96のいずれか1項に記載の方法に従って調製された、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、単離された細胞集団または組成物を該患者に提供する工程を包含する、方法。
【請求項120】
前記損傷または疾患が、筋骨格の損傷または疾患である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記単離された細胞集団または組成物が、損傷または疾患の部位に直接提供される、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
前記単離された細胞集団または組成物が、注入によって提供される、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記単離された細胞集団または組成物が、前記患者の血流に提供される、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
前記単離された細胞集団または組成物が、静脈内または動脈内に提供される、請求項119に記載の方法。
【請求項125】
前記組織が、腱、靭帯、軟骨および骨からなる群より選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項126】
前記組織が蹄板である、請求項119に記載の方法。
【請求項127】
前記組織が、肺、血管、肝臓、神経および心臓からなる群より選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項128】
前記損傷が、捻挫、挫傷、脱臼、打撲、裂傷および骨折からなる群より選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項129】
前記損傷または疾患が、虚血性の損傷または疾患である、請求項119に記載の方法。
【請求項130】
前記損傷または疾患が、敗血性の損傷または疾患である、請求項119に記載の方法。
【請求項131】
前記患者がヒトである、請求項119に記載の方法。
【請求項132】
前記患者が非ヒト動物である、請求項119に記載の方法。
【請求項133】
前記動物がウマまたはラクダである、請求項119に記載の方法。
【請求項134】
前記動物がイヌまたはネコである、請求項119に記載の方法。
【請求項135】
患者における損傷を予防する方法であって、該方法は、請求項1、21、32、80または96のいずれか1項に記載の方法に従って調製された、コラーゲンベースの組織由来の幹細胞を含む、単離された細胞集団または組成物を該患者に提供する工程を包含する、方法。
【請求項136】
前記損傷が筋骨格の損傷である、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記単離された細胞集団または組成物が、潜在性の損傷部位に直接提供される、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
前記単離された細胞集団または組成物が、注入によって提供される、請求項135に記載の方法。
【請求項139】
前記単離された細胞集団または組成物が、前記患者の血流に提供される、請求項135に記載の方法。
【請求項140】
前記単離された細胞集団または組成物が、静脈内または動脈内に提供される、請求項135に記載の方法。
【請求項141】
前記組織が、腱、靭帯、軟骨および骨からなる群より選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項142】
前記組織が蹄板である、請求項135に記載の方法。
【請求項143】
前記組織が、肺、血管、肝臓、神経および心臓からなる群より選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項144】
前記損傷が、捻挫、挫傷、脱臼、打撲、裂傷および骨折からなる群より選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項145】
前記損傷または疾患が、虚血性の損傷または疾患である、請求項135に記載の方法。
【請求項146】
前記損傷または疾患が、敗血性の損傷または疾患である、請求項135に記載の方法。
【請求項147】
前記患者がヒトである、請求項135に記載の方法。
【請求項148】
前記患者が非ヒト動物である、請求項135に記載の方法。
【請求項149】
前記動物がウマまたはラクダである、請求項135に記載の方法。
【請求項150】
前記動物がイヌまたはネコである、請求項135に記載の方法。

【公表番号】特表2007−508018(P2007−508018A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534374(P2006−534374)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033220
【国際公開番号】WO2005/035742
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506116980)べト−ステム インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】