説明

新規の有機−無機シリカ粒子、その製造方法及びこれを含むハードコーティング組成物

本発明は、新規の有機−無機シリカ粒子、その製造方法及びこれを含むハードコーティング組成物に関するもので、より詳細には、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(―OH)に開始剤を化学的に結合させた有機−無機シリカ粒子、その製造方法及びこれを含むハードコーティング組成物に関するものである。本発明に係る有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物は、耐磨耗性及び耐スクラッチ性などに優れたハードコーティングフィルムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐磨耗性、耐スクラッチ性などに優れたハードコーティングフィルムを製造できる新規の有機−無機シリカ粒子、その製造方法及びこれを含むハードコーティング組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の成形品の表面に表面保護シートを形成する方法としては、基材シートの一面にハードコーティング層が備えられ、その反対面に接着層が備えられた表面保護シートを成形金型内に挿入し、金型内の空間に樹脂を射出させた後、冷凍させて樹脂成形品を得ると同時に、その成形品の表面に表面保護シートを接着させるインサート成形法がある。一般に、前記表面保護シートのハードコーティング層を形成する樹脂としては、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が使用されている。
【0003】
しかし、ハードコーティング層として熱硬化性樹脂を用い、表面保護シートの製造時に加熱によって熱硬化性樹脂を架橋・硬化させる場合、一般に成形品表面の耐薬品性及び耐磨耗性が劣るという問題がある。一方、ハードコーティング層として活性エネルギー線硬化性樹脂を用い、表面保護シートの製造時に活性エネルギー線の照射によって活性エネルギー線硬化性樹脂を架橋・硬化させる場合、樹脂の架橋密度を高めることによって耐薬品性及び耐磨耗性を改良できる一方、接着時に成形品の曲面部に位置するハードコーティング層にクラックが発生するという問題がある。
【0004】
ハードコーティングフィルムを形成するための材料としてのポリエステル、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどのUV硬化型アクリル系ハードコーティング物質は、このような有機物自体のみを使用した場合、ハードコーティングフィルムとして持つべき十分な表面保護の特性を示すことができなかった。したがって、高硬度及び耐磨耗性を向上させるために、無機物であるコロイドシリカ粒子を含む多くの有―無機コーティング液をハードコーティングフィルムに使用してきた。
【0005】
しかし、シリカ表面が有機物やシランで改質化されたコロイドシリカ粒子の沈殿問題、ゲル発生による安定性の問題、硬化度、光学的透明度及び密着性などは、依然としてハードコーティングフィルムに要求される事項に及んでいないのが実情である。
【0006】
また、既存のインモールド(in-mold)デコレーションフィルム用ハードコーティング組成物は、射出加工の特性上、曲率成形において柔軟性が要求される一方、最終製品の表面は可能な限り高い膜強度を必要とする。ところが、このような互いに相反した物性を満足するためには、ハードコーティング膜の強度における損害を甘受しなければならないという短所があった。
【0007】
したがって、高い伸率を有しながらも優れたコーティング膜強度を有するハードコーティング組成物の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような従来技術の問題を解決するために、本発明は、外観に優れるとともに、耐磨耗性及び耐スクラッチ性などに優れたハードコーティングフィルムを製造できる新規の有機−無機シリカ粒子、その製造方法及びこれを含むハードコーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)に開始剤が化学的に結合された有機−無機シリカ粒子を提供する。
【0010】
また、本発明は、
1)シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)にアルコキシシラン系化合物をゾル−ゲル反応させてエポキシ基を導入する段階、及び
2)前記1)段階のシリカ粒子のエポキシ基に開始剤を反応させる段階、
を含む有機−無機シリカ粒子の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティングフィルムを提供する。
【0013】
また、本発明は、前記ハードコーティングフィルムを含む成形品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物は、従来のインモールドデコレーションフィルム用ハードコーティングフィルムに比べて、耐スクラッチ性及び耐磨耗性などに優れたハードコーティングフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1で製造されたアゾ(azo)−シリカのFT−IR分析を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る有機−無機シリカ粒子は、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)に開始剤が化学的に結合されたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子は、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)に開始剤が導入されることによって、前記有機−無機シリカ粒子をハードコーティング組成物に適用する場合は、前記ハードコーティング組成物のUV硬化又は熱硬化時、前記有機−無機シリカ粒子とバインダー樹脂とを化学的結合で連結することができる。そして、これによって、優れた耐スクラッチ性、接着力、耐磨耗性などを示すハードコーティングフィルムを製造することができる。また、有機−無機シリカ粒子を用いて硬度と柔軟性を自由に調和できるコーティングの特性を示すことができる。
【0018】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子において、前記ヒドロキシ基(−OH)と開始剤との化学的結合は、エポキシ基を含むアルコキシシラン系化合物を連結基にして行うことができる。
【0019】
より具体的に、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)に開始剤を化学的に結合させる方法は、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)にエポキシ基を導入した後、前記エポキシ基に開始剤を反応させる方法で行うことができる。前記シリカ粒子のヒドロキシ基(−OH)とエポキシ基との間の結合は、エポキシ基を含むアルコキシシラン系化合物を加水分解し、シリカ粒子のヒドロキシ基(−OH)との縮合反応(ゾル−ゲル反応)を通して導入することができる。そして、シリカに導入されたエポキシと開始剤との間の結合は、塩基触媒下で開始剤のカルボキシ基(−COOH)とシリカ表面のエポキシ基の親核性置換反応を通して形成することができる。
【0020】
前記アルコキシシラン系化合物としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4―エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができるが、これに限定されることはない。
【0021】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子において、前記シリカ粒子は、特別に制限されるものではないが、有機溶媒に分散されたコロイドシリカゾルを用いることが望ましい。
【0022】
前記有機溶媒としては、ケトン類としてのメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを使用することができ、アルコール類としてのイソプロパノール、メタノールなどを使用することができる。
【0023】
前記コロイドシリカゾルの市販品としては、メチルエチルケトンシリカゾル(MEK―ST、日産化学工業株式会社製、粒子平均サイズは22nm、シリカ含量は30%)、シリカパウダー粒子(アエロジルTT600、アエロジル株式会社製、粒子平均サイズ40nm)、メチルイソブチルケトンシリカゾル(MIBK―ST、日産化学工業株式会社製、粒子平均サイズは22nm、シリカ含量は30%)、イソプロパノールシリカゾル(IPA―ST、日産化学工業株式会社製、粒子平均サイズは22nm、シリカ含量は30%)などを挙げることができる。
【0024】
また、コロイドシリカ粒子の平均粒径は、特別に制限されるものではないが、10〜100nmであることが望ましい。
【0025】
前記シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)は、シリカ粒子の表面に本質的に存在するヒドロキシ基(−OH)をそのまま用いることもでき、シリカ表面の金属塩(Naなど)を、ヒドロキシ基(−OH)を有するアンモニウム塩(タルク、N(CHH+CHCHOHなど)に置換することによって導入することもできる。
【0026】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子において、前記開始剤としては、光開始剤、熱開始剤などを挙げることができ、具体的な例としてはアゾ系化合物などがある。
【0027】
前記アゾ系化合物としては、アゾビスシアノペンタン酸、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]テトラハイドレートなどを挙げることができるが、これに限定されることはない。
【0028】
前記シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)にアゾ系化合物が導入された有機−無機シリカ粒子は、UV硬化又は熱硬化時にアゾグループが分解されてラジカルを形成することによって、光開始剤又は熱開始剤としての役割をするようになる。これは、バインダー樹脂として使用される高分子の反応基とシリカとを化学的に結合させることができ、結局、高分子をシリカ粒子にグラフトさせる役割をすることができる。
【0029】
また、前記シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)にアゾ系化合物が導入された有機−無機シリカ粒子を用いて高分子重合をする場合は、前記有機−無機シリカ粒子自体を開始剤として使用することによって、シリカ粒子の表面から重合を引き起こすこともある。
【0030】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子は、20nm〜20μmの粒径範囲を有することができる。
【0031】
また、本発明に係る有機−無機シリカ粒子において、シリカは50〜80重量%、アルコキシシラン系化合物は10〜20重量%、開始剤は10〜30重量%の含量範囲を有することができるが、これに限定されることはない。
【0032】
また、本発明に係る有機−無機シリカ粒子の製造方法は、1)シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)にアルコキシシラン系化合物をゾル−ゲル反応させてエポキシ基を導入する段階、及び2)前記1)段階のシリカ粒子のエポキシ基に開始剤を反応させる段階を含む。
【0033】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子の製造方法において、前記1)段階のアルコキシシラン系化合物としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができるが、これに限定されることはない。
【0034】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子の製造方法において、前記2)段階では、前記1)段階のシリカ粒子のエポキシ基と開始剤の酸基とを反応させることによってシリカ粒子の表面に開始剤を導入することができる。
【0035】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子の製造方法において、前記1)段階の反応は、25〜50℃の反応温度、18〜24時間の反応時間の条件で行うことができる。また、前記2)段階の反応は、α−ピコリン、ピリジンなどの塩基触媒下で、25〜50℃の反応温度、5〜8時間の反応時間の条件で行うことができる。
【0036】
本発明に係る有機−無機シリカ粒子の製造方法で製造される有機−無機シリカ粒子は、シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)に開始剤が化学的に結合されたことを特徴とする。
【0037】
また、本発明は、前記有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物を提供する。
【0038】
前記ハードコーティング組成物は、アクリレート系重合体、多官能性アクリレート系単量体、イソシアネート系化合物、開始剤及び溶媒からなる群より選ばれる1種以上をさらに含むことができる。
【0039】
前記アクリレート系重合体は、アクリロイル官能基が導入されたアクリレート系共重合体を用いることができ、前記ハードコーティング組成物内で本発明に係る有機−無機シリカ粒子と紫外線硬化反応又は熱硬化反応を行うことができる。
【0040】
前記アクリロイル官能基が導入されたアクリレート系共重合体は、アクリロイル官能基が導入されたものであれば特別に限定されない。例えば、前記アクリロイル官能基が導入されたアクリレート系共重合体は、エポキシ官能基を含むアクリレート系共重合体を製造した後、前記共重合体の一部のエポキシ官能基とアクリル酸モノマーとを反応させてアクリロイル官能基を付与する方法で製造することができる。前記エポキシ官能基を含むアクリレート系共重合体は、アクリレート系単量体とエポキシ基を有するアクリレート系単量体とを重合させて製造することができる。
【0041】
前記アクリレート系重合体は、前記ハードコーティング組成物100重量部に対して20〜50重量部で添加することが望ましい。
【0042】
前記多官能性アクリレート系単量体は、アクリレート官能基を2個以上含む単量体を意味するもので、その種類は特別に限定されなく、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを使用することができる。
【0043】
前記多官能性アクリレート系単量体は、前記ハードコーティング組成物100重量部に対して10〜40重量部で添加することが望ましい。
【0044】
前記イソシアネート系化合物としては、2個以上のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネート化合物を使用することができ、例えば、MDI(methylene diisocyanate)、HDI(hexamethylene diisocyanate)、IPDI(isophorone diisocyanate)などを使用することができる。
【0045】
前記イソシアネート系化合物は、前記アクリレート系重合体100重量部に対して0.1〜3重量部で添加することが望ましい。
【0046】
前記開始剤はUV開始剤であることが望ましい。前記UV開始剤としては、特別に限定されることなく、当技術分野で知られているものを使用することができる。例えば、イルガキュア(irgacure)184、イルガキュア819、イルガキュア907、ビキュア(vicure)30などを使用することができる。
【0047】
前記開始剤は、前記アクリレート系重合体100重量部に対して1〜5重量部で添加することが望ましい。
【0048】
前記溶媒は、当技術分野で知られているものを使用することができ、その種類は特別に限定されない。
【0049】
本発明に係るハードコーティング組成物は、当技術分野で知られたその他添加剤をさらに含むことができる。
【0050】
また、本発明は、前記有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティングフィルムを提供する。前記ハードコーティングフィルムの厚さは3〜7μmであることが望ましいが、これに限定されることはない。
【0051】
前記ハードコーティングフィルムは、インモールドデコレーションフィルム用であることがより望ましいが、これに限定されることはない。
【0052】
前記インモールドデコレーションコーティングフィルムは、射出金型内に挿入され、射出レジンと共に高温高圧で射出成形された後、射出レジンの上面に付着された状態となってデコレーションするものであって、多様な文様と色調の印刷が可能であるという長所を有する。
【0053】
より具体的に、前記インモールドデコレーションコーティングフィルムは、離型コーティングされたPETフィルムに前記有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物を用いてハードコーティングをし、印刷、蒸着、洗浄などの過程を経た後、接着層をコーティングして製造することができる。
【0054】
また、本発明は、前記ハードコーティングフィルムを含む成形品を提供する。前記成形品は、本発明に係るハードコーティングフィルムを用いることを除いては、当技術分野で知られている一般的な技術を用いて製造することができる。
【0055】
前記成形品としては、自動車内装材、携帯電話ケース、ノート・パソコンケース、化粧品容器などを挙げることができるが、これに限定されることはない。
【0056】
以下、本発明の理解を促すために、好適な実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎなく、これによって本発明の内容が限定されることはない。
【実施例】
【0057】
〔実施例1〕
1)グリシドキシアルコキシシラン−シリカ製造(シリカ表面にゾル―ゲル反応を通してグリシドキシシラン導入)
シリカは、商業用に製造されたコロイドシリカゾルであるメチルエチルケトンシリカゾル(MEK−ST、日産化学工業株式会社製、粒子平均サイズは22nm、シリカ含量は30%)を使用した。前記MEK−ST20gをメチルエチルケトン(MEK)18gで薄めた後、453.6mgの水を添加し、α−ピコリンを塩基として使用してpH8〜9に合わせた。この溶液に1.98gのグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxy propyltrimethoxy silane、GPTMS)を入れ、50℃で24時間撹拌した。
【0058】
2)アゾ−シリカ製造(GPTMS−シリカにアゾ開始剤導入)
前記1)で製造された溶液に1.9gのアゾビスシアノペンタン酸(azo bis cyano pentanoic acid、ACPA、WAKO社)を入れ、50℃で5時間撹拌した。
【0059】
前記の製造されたアゾ−シリカは、製造された溶液を常温で真空乾燥した後、FT−IR分析を通して確認し、これを図1に示した。
【0060】
アゾ開始剤のカルボニル基(C=0)がシリカにグラフトされながらピークの移動が生じる。すなわち、酸形態のカルボニルがエステル形態のカルボニルに構造が変わり、アゾ−シリカが合成されたことを確認することができる。
【0061】
3)ハードコーティング液の製造
前記2)で製造した表面処理されたアゾ―シリカ0.5g、ポリアクリレートポリオール5g、HDT(Hexamethylene diisocyanate trimer)0.6gを添加してハードコーティング液組成物を製造した。
【0062】
4)ハードコーティングフィルム製造
PETフィルム上に3〜5μmの厚さで離型コーティングをした後、前記3)のハードコーティング液組成物を用いて3〜7μmの厚さでハードコーディングをし、40〜70mJの強さで1次UV硬化をした。その後、プライマー層を1〜3μmの厚さでコーティングした後、80℃で30秒間熱硬化した。その後、印刷層を1〜3μmの厚さでコーティングし、80℃で30秒間熱硬化した。その後、プライマー層を再び1〜3μmの厚さでコーティングし、80℃で30秒間熱硬化した。最後に、ホットメルト層を500nm〜2μmの厚さでコーティングした後、80℃で30秒間熱硬化してインモールドデコレーションフィルムを製造した。
【0063】
〔実施例2〕
前記実施例1で1.98gのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gammaglycidoxy propyl trimethoxy silane、GPTMS)の代わりにガンマグリシドキシプロピルジエトキシシラン(gamma−glycidoxy propyldiethoxy silane、GPDES)1.96gを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した。
【0064】
〔実施例3〕
前記実施例1で1.98gのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gammaglycidoxy propyl trimethoxy silane、GPTMS)の代わりに、ガンマグリシドキシプロピルトリエトキシシラン(gamma−glycidoxy propyltriethoxy silane、GPTES)1.96gを使用したこと以外は、実施例1と同一に実施した。
【0065】
〔比較例1〕
表面処理されていないシリカであるメチルエチルケトンシリカゾル(MEK−ST、日産化学工業株式会社製、粒子平均サイズは22nm、シリカ含量は30%)を使用したことを除いては、前記実施例1と同一にハードコーティング液を製造した後、インモールドデコレーションフィルムを製造した。
【0066】
〔実験例〕
前記実施例1〜3及び比較例1のインモールドデコレーションフィルムの鉛筆硬度を測定し、下記の表1に示した。
【0067】
【表1】

【0068】
前記表1の結果から、本発明に係る有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物は、従来のインモールドデコレーションフィルム用ハードコーティングフィルムに比べて耐スクラッチ性及び耐磨耗性などに優れたハードコーティングフィルムを提供できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)に開始剤が化学的に結合された有機−無機シリカ粒子。
【請求項2】
前記ヒドロキシ基(−OH)と前記開始剤との化学的結合は、エポキシ基を含むアルコキシシラン系化合物を連結基にして行われる請求項1に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項3】
前記アルコキシシラン系化合物は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルジエトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項2に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項4】
前記有機−無機シリカ粒子内のシリカの含量は50〜80重量%、前記アルコキシシラン系化合物の含量は10〜20重量%、前記開始剤の含量は10〜30重量%である請求項2に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項5】
前記シリカ粒子は、有機溶媒に分散されたコロイドシリカゾルである請求項1に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項6】
前記開始剤はアゾ系化合物を含む請求項1に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項7】
前記アゾ系化合物は、アゾビスシアノペンタン酸、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド及び2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]テトラハイドレートからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項6に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項8】
前記有機−無機シリカ粒子の粒径範囲は20nm〜20μmである請求項1に記載の有機−無機シリカ粒子。
【請求項9】
1)シリカ粒子の表面のヒドロキシ基(−OH)にアルコキシシラン系化合物をゾル−ゲル反応させてエポキシ基を導入する段階、及び、
2)前記1)段階のシリカ粒子のエポキシ基に開始剤を反応させる段階を含む有機−無機シリカ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記1)段階のアルコキシシラン系化合物は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4―エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルジエトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項9に記載の有機−無機シリカ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記2)段階の開始剤はアゾ系化合物を含む請求項9に記載の有機−無機シリカ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記2)段階の反応は、前記1)段階のシリカ粒子のエポキシ基と前記開始剤の酸基との反応によって行われる請求項9に記載の有機−無機シリカ粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティング組成物。
【請求項14】
前記ハードコーティング組成物は、アクリレート系重合体、多官能性アクリレート系単量体、イソシアネート系化合物、開始剤及び溶媒からなる群より選ばれる1種以上をさらに含む請求項13に記載のハードコーティング組成物。
【請求項15】
前記アクリレート系重合体は、アクリロイル官能基が導入されたアクリレート系共重合体である請求項14に記載のハードコーティング組成物。
【請求項16】
前記多官能性アクリレート系単量体は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項14に記載のハードコーティング組成物。
【請求項17】
前記イソシアネート系化合物は、MDI(methylene diisocyanate)、HDI(hexamethylene diisocyanate)及びIPDI(isophorone diisocyanate)からなる群より選ばれる1種以上を含む請求項14に記載のハードコーティング組成物。
【請求項18】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の有機−無機シリカ粒子を含むハードコーティングフィルム。
【請求項19】
前記ハードコーティングフィルムの厚さは3〜7μmである請求項18に記載のハードコーティングフィルム。
【請求項20】
前記ハードコーティングフィルムはインモールドデコレーションフィルム用である請求項18に記載のハードコーティングフィルム。
【請求項21】
請求項18に記載のハードコーティングフィルムを含む成形品。

【図1】
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【公表番号】特表2013−504512(P2013−504512A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529655(P2012−529655)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/KR2010/005871
【国際公開番号】WO2011/037332
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】