説明

新規の過酸化物誘導体、その調製方法、ならびにざ瘡の治療または予防のためのヒト医薬品および化粧品へのその使用

本発明は、以下の一般式(I)の化合物の使用に関する。


本発明はまた、その調製方法およびその治療的適用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、潜在的な過敏効果および刺激効果を制御しながらも、また抗炎症活性成分を加えなくても、より良好な抗ざ瘡有効性を有する、新規の過酸化物誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ざ瘡には、全青年の90%が罹患しているが、20才位〜30才位の男女も罹患しており、またはざ瘡が成人期にかけても残り続ける場合がある。ざ瘡発症の過程は、W. J. Cunliffe、「New Approaches to Acne Treatment」、Martin Dunitz (London)刊、1989に記載されている。
【0003】
尋常性ざ瘡は、皮膚の最も目立つ領域、特に顔面、胸部、背部、ならびに時には首および上腕部に現れる、面皰(黒面皰)、丘疹、膿疱、嚢腫、結節、および多くの場合瘢痕を特徴とする毛包脂腺小胞(器官)の慢性障害である。
【0004】
毛包脂腺器官は、主として内在性ホルモン(主にアンドロゲン)の支配下にあり、そうしたホルモンは、青年期および思春期の間に通常よりも高濃度で血中に存在し、また皮脂の過剰な産生となって表れる。この状況は、皮膚の角質性の層(角質層)の角化の度合いがそれに伴って増大することにより悪化する場合がある。角質細胞は、増殖するにつれて、閉塞性の栓または面皰を形成することがあるが、これが、皮脂の産生の増加と相まって、グラム陽性嫌気性細菌のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)など、皮膚に常在する菌種が増殖する理想的な媒質の構成要素となる。
【0005】
露出した小胞は、皮膚の深層の損傷した細胞から発生する色素が沈着するために黒ずんだ色になると考えることができる。
【0006】
ざ瘡は、いくつかの段階を含む状態であり、その最も重篤な形態では、患者は入院し、皮膚瘢痕が長期間存在してかなり不快な結果となる。
【0007】
状態がその最も重篤な形態へと発展するのを効果的に予防し且つ罹患している人々の大多数が、望ましくない効果を伴わずに使用できる、改良されたざ瘡の治療が求められている。
【0008】
現在、多くの治療がざ瘡の治療に利用可能であるが、残念なことに、それぞれの治療は、克服が望ましいであろう限界を有する。
【0009】
おおかたの場合では、ざ瘡の治療は、選択された薬剤を含むクリーム剤、ゲル剤、乳剤、またはローション剤の形態の局所製剤を含むものである。
【0010】
そうした薬剤は、たとえば、ホルモンもしくはホルモン作動薬および拮抗薬(EPAI 0 563 813およびUS 5 439 923)、抗菌薬(US 4 446 145、GB 2 088 717、GB 2 090 135、GB 1 054 124およびUS 5 409 917)、またはサリチル酸(US 4 514 385、US 4 355 028、EPAI 0 052 705、FR-A 2 581 542およびFR-A 2 607 498)を含む。
【0011】
クリーム剤、ゲル剤、乳剤、またはローション剤を使用するざ瘡の局所治療に付随する問題は、適用の正確さが不十分であること、および目標の部位で用量が正確に制御されないことを含む。クリーム剤、ゲル剤、乳剤、またはローション剤を適用すると、病巣によって覆われている面積よりかなり広い表面積が曝露されることになり、そのため、正常で健康な皮膚が抗ざ瘡製剤に曝されるという影響がある。すなわち、たとえばサリチル酸は、特に高濃度で長期間曝露する場合では、正常な皮膚に対して刺激性である。
【0012】
経口経路による抗ざ瘡薬の投与は、ざ瘡の重篤な症例において一般的に行われる。これについては、Sykes N. I.およびWebster G.、「Acne, A Review of Optimum Treatment」、Drugs、48、59〜70 (1994)で概説されている。経口経路による抗ざ瘡活性化合物の投与に関して、数多くの副作用が記載されている。
【0013】
すなわち、たとえば、ビタミンA誘導体であるイソトレチノインは、催奇形性の関連リスクを示し、生殖可能年齢の女性にとってリスクとなり得る。
【0014】
ざ瘡の治療に適する抗生物質の経口投与は、腹部疝痛、黒毛舌(glossophytia)、咳、下痢、疲労、頬側刺激、および望ましくない他の症状などの副作用の出現を伴う場合がある。
【0015】
したがって、関連した状態および病態の治療のための医薬および化粧品が求められていることは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】EPAI 0 563 813
【特許文献2】US 5 439 923
【特許文献3】US 4 446 145
【特許文献4】GB 2 088 717
【特許文献5】GB 2 090 135
【特許文献6】GB 1 054 124
【特許文献7】US 5 409 917
【特許文献8】US 4 514 385
【特許文献9】US 4 355 028
【特許文献10】EPAI 0 052 705
【特許文献11】FR-A 2 581 542
【特許文献12】FR-A 2 607 498
【特許文献13】EP 121 968 2
【特許文献14】EP 0 108 821
【特許文献15】US 3 075 921
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】W. J. Cunliffe、「New Approaches to Acne Treatment」、Martin Dunitz (London)刊、1989
【非特許文献2】Sykes N. I.およびWebster G.、「Acne, A Review of Optimum Treatment」、Drugs、48、59〜70 (1994)
【非特許文献3】Evanochko, W. T.およびShevlin, P. B.、J. Org. Chem.、1979、44(24)、4426〜4430
【非特許文献4】Spantulescu, M. D.、Jain, R. P.、Derksen, D. J.およびVederas, J. C.、Org. Lett.、2003、5(16)、2963〜2965
【非特許文献5】Lima, S.、Kumar, S.、Gawandi, V.、Momany, C.およびPhillips, R. S.、J. Med. Chem.、2009、52 (2)、389〜396
【非特許文献6】Sessions, E. H.およびJacobi, P. A.、Org. Lett.、2006、8(18)、4125〜4128
【非特許文献7】Marsini, M. A.、Gowin, K. M.、Pettus, T. R. R.、Org. Lett.、2006、8(16)、3481〜3483
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
これに関連して、本発明は、潜在的な過敏効果および刺激効果を制御しながらも、また抗炎症活性成分を加えなくても、たとえば、過酸化ベンゾイルなどの先行技術の化合物より殺菌活性が良好である結果として生じる、より良好な抗ざ瘡有効性を有する、新規の過酸化物誘導体を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の対象は、以下の一般式(I):
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、
R1は、低級アルキル、高級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、高級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、アリールオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表し、
Aは、水素、または以下の式:
【0022】
【化2】

【0023】
を表し、
R2は、低級アルコキシ、高級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリールオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表す]
の化合物である。
【0024】
本発明によれば、一般式(I)に対応する好ましい化合物は、以下の特徴を示すものである。すなわち、
R1は、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表し、
Aは、水素、または以下の型:
【0025】
【化3】

【0026】
の定義された基を表し、
R2は、低級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表す。
【0027】
さらに本発明によれば、一般式(I)に対応する特に好ましい化合物は、
R1が、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、またはシクロアルキルオキシを表し、
Aが、水素、または以下の型:
【0028】
【化4】

【0029】
の定義された基を表し、
R2が、低級アルコキシまたはシクロアルキルオキシを表すものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明によれば、用語「低級アルキル」とは、2〜4個の炭素原子を含む線状または分枝状の飽和炭化水素鎖を意味する。
【0031】
本発明によれば、用語「高級アルキル」とは、5〜10個の炭素原子を含む線状または分枝状の飽和炭化水素鎖を意味する。
【0032】
本発明によれば、用語「シクロアルキル」とは、3〜10個の炭素原子を含む、環式、二環式、または三環式の飽和炭化水素鎖を意味する。
【0033】
本発明によれば、用語「シクロアルキルアルキル」とは、シクロアルキルで置換されているアルキルを意味する。
【0034】
本発明によれば、用語「低級アルコキシ」とは、低級アルキルで置換されている酸素原子を意味する。
【0035】
本発明によれば、用語「高級アルコキシ」とは、高級アルキルで置換されている酸素原子を意味する。
【0036】
本発明によれば、用語「アリール」とは、置換されていないフェニルまたはナフチルを意味する。
【0037】
本発明によれば、用語「アリールオキシ」とは、アリールで置換されている酸素原子を意味する。
【0038】
本発明によれば、用語「シクロアルキルアルコキシ」とは、シクロアルキル(低級アルキル)で置換されている酸素原子を意味する。
【0039】
本発明によれば、用語「シクロアルコキシ」とは、シクロアルキルで置換されている酸素原子を意味する。
【0040】
本発明によれば、用語「モノまたは(もしくは)ジアルキルアミノ」とは、1個または2個の同一または異なる低級アルキルで置換されているアミノを意味する。
【0041】
本発明の範囲内に入る一般式(I)の化合物の中でも、特に以下のものを挙げることができる。
実施例1: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例2: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例3: ビス(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例4: ビス(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例5: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例6: ビス(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例7: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例8: ビス(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例9: (2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例10: (2-(イソブチリルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例11: (2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例12: [2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例13: [2-(アダメンテン-1-カルボニルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例14: (2-(フェノキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例15: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例16: (2-(プロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例17: (2-(ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例18: (2-(sec-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例19: (2-(イソブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例20: (2-(プロピオニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例21: (2-(ブチリルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例22: (2-(ペンタノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例23: [2-(3-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例24: [2-(2-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例25: (2-(シクロプロパンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例26: (2-(シクロブタンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例27: (2-(シクロペンタンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例28: (2-(ベンゾイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例29: (2-(ジメチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例30: (2-(ジエチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例31: (2-(メチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例32: (2-(エチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例33: (2-(イソプロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例34: (2-(プロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例35: [2-((イソプロピル)(メチル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例36: [2-((エチル)(イソプロピル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例37: (2-(ヘキサノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例38: (2-(ヘプタノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例39: (2-(オクタノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例40: (2-(ノナノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例41: [2-(2-エチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例42: [2-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例43: (2-(ペンチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例44: (2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例45: (2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例46: (2-(オクチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例47: [2-(1-エチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例48: [2-(2,2-ジメチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例49: ビス(2-(フェノキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例50: ビス(2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例51: ビス(2-(プロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例52: ビス(2-(ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例53: ビス[2-(3-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例54: ビス[2-(2-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例55: ビス(2-(ジメチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例56: ビス(2-(ジエチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例57: ビス(2-(メチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例58: ビス(2-(エチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例59: ビス(2-(イソプロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例60: ビス(2-プロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例61: ビス(2-((イソプロピル)(メチル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例62: ビス(2-((エチル)(イソプロピル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例63: ビス(2-(ペンチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例64: ビス(2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例65: ビス(2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例66: ビス(2-(オクチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例67: ビス[2-(1-エチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例68: ビス[2-(2,2-ジメチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例69: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例70: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例71: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例72: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例73: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例74: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例75: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例76: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例77: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例78: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例79: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例80: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例81: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例82: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例83: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例84: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例85: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例86: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例87: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例88: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例89: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例90: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例91: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例92: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例93: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例94: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例95: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例96: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例97: (2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
【0042】
式(I)の化合物の調製方法についての概要を以下に示す。これらのスキームにおいて、また後続の方法の説明において、置換基はすべて、別段指定しない限り、式(I)の化合物について定義したとおりである。
【0043】
式(I)において定義した基Aが水素である場合では、一般式(I)の化合物は、以下に示す反応スキーム1または反応スキーム2に従って調製する。
【0044】
【化5】

【0045】
一般式(III)の酸塩化物は、スキーム1に従って、カルボン酸(II)から、当業者に知られている方法(EP 121 968 2)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、トルエンやジクロロメタンなどの溶媒中での塩化チオニルおよびピリジンの使用を含む。
【0046】
一般式(II)のカルボン酸は、市販されているか、またはスキーム7および8に記載の方法に従って調製する。
【0047】
最終段階において、ジクロロメタンとクロロホルムなどの溶媒混合物中でピリジンを塩基として使用して、式(III)の塩化アシルと式(IV)の過酸を結合させることにより、一般式(V)の化合物を調製することができる(Evanochko, W. T.およびShevlin, P. B.、J. Org. Chem.、1979、44(24)、4426〜4430)。
【0048】
一般式(IV)の過酸は、過酸化ベンゾイルから、スキーム11に記載の方法に従って調製する。
【0049】
【化6】

【0050】
スキーム2に従って、たとえば、ジエチルエーテルとジクロロメタンなどの溶媒混合物中でN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドをカップリング剤として使用して、式(II)のカルボン酸と式(IV)の過酸を結合させることにより、一般式(V)の過酸化物を調製する(Spantulescu, M. D.、Jain, R. P.、Derksen, D. J.およびVederas, J. C.、Org. Lett.、2003、5(16)、2963〜2965)。
【0051】
一般式(II)のカルボン酸は、市販されているか、またはスキーム7および8に記載の方法に従って調製する。
【0052】
一般式(IV)の過酸は、過酸化ベンゾイルから、スキーム11に記載の方法に従って調製する。
【0053】
式(I)において定義した基Aが水素でなく、基R2が基R1と同一である場合では、一般式(I)の化合物は、以下に示す反応スキーム3または反応スキーム4に従って調製する。
【0054】
【化7】

【0055】
一般式(VII)の酸塩化物は、スキーム3に従って、カルボン酸(VI)から、当業者に知られている方法(EP 121 968 2)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、トルエンやジクロロメタンなどの溶媒中での塩化チオニルおよびピリジンの使用を含む。
【0056】
一般式(VI)のカルボン酸は、スキーム9および10に記載の方法に従って調製する。
【0057】
最終段階において、当業者に知られている方法(EP 0 108 821)から選択した方法によって、2つの式(VII)の塩化アシルを結合させることにより、一般式(VIII)の化合物を調製することができる。そうした方法は、たとえば、テトラヒドロフランなどの溶媒中での過酸化水素および炭酸水素ナトリウムの使用を含む。
【0058】
【化8】

【0059】
スキーム4に従って、たとえばジエチルエーテルとジクロロメタンなどの溶媒混合物中で、たとえば、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび過酸化水素を使用して、2つの式(VI)のカルボン酸を反応させることにより、一般式(VIII)の過酸化物を調製する(Spantulescu, M. D.、Jain, R. P.、Derksen, D. J.、Vederas, J. C.、Org. Lett.、2003、5(16)、2963〜2965)。
【0060】
一般式(VI)のカルボン酸は、市販されているか、またはスキーム9および10に記載の方法に従って調製する。
【0061】
式(I)において定義した基Aが水素でなく、基R2が基R1と異なる場合では、一般式(I)の化合物は、以下に示す反応スキーム5および反応スキーム6に従って調製する。
【0062】
【化9】

【0063】
一般式(III)の酸塩化物は、スキーム5に従って、カルボン酸(II)から、当業者に知られている方法(EP 121 968 2)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、トルエンやジクロロメタンなどの溶媒中での塩化チオニルおよびピリジンの使用を含む。
【0064】
一般式(II)のカルボン酸は、市販されているか、またはスキーム7および8に記載の方法に従って調製する。
【0065】
最終段階において、たとえばジクロロメタンとクロロホルムなどの溶媒混合物中でピリジンを塩基として使用して、式(III)の塩化アシルと式(IX)の過酸を結合させることにより、一般式(X)の化合物を調製することができる。
【0066】
一般式(IX)の過酸は、式(VIII)の過酸化物から出発し、スキーム12に記載の方法に従って調製する。
【0067】
【化10】

【0068】
スキーム6に従って、たとえばジエチルエーテルとジクロロメタンなどの溶媒混合物中で、たとえばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドをカップリング剤として使用して、式(II)のカルボン酸と式(IX)の過酸を結合させることにより、一般式(X)の過酸化物を調製する。
【0069】
一般式(II)のカルボン酸は、市販されているか、またはスキーム7および8に記載の方法に従って調製する。
【0070】
一般式(IX)の過酸は、定義された式(VIII)の過酸化物から出発し、スキーム12に記載の方法に従って調製する。
【0071】
式(II)のカルボン酸は、反応スキーム7または8に従って調製することができる。
【0072】
【化11】

【0073】
式(II)のカルボン酸は、スキーム7に従って、サリチル酸(XI)から、当業者に知られている方法(Lima, S.、Kumar, S.、Gawandi, V.、Momany, C.およびPhillips, R. S.、J. Med. Chem.、2009、52 (2)、389〜396、ならびにSessions, E. H.およびJacobi, P. A.、Org. Lett.、2006、8(18)、4125〜4128)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、トルエンやジクロロメタンなどの溶媒中での、式(XII)の酸塩化物、およびN,N-ジメチルアニリン、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基の使用を含む。
【0074】
式(XII)の酸塩化物は市販されている。
【0075】
【化12】

【0076】
式(XV)のアルデヒドは、スキーム8に従って、サリチルアルデヒド(XIII)から、当業者に知られている方法(Lima, S.、Kumar, S.、Gawandi, V.、Momany, C.、Phillips, R. S.、J. Med. Chem.、2009、52 (2)、389〜396、ならびにSessions, E. H.およびJacobi, P. A.、Org. Lett.、2006、8(18)、4125〜4128)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、アセトンやジクロロメタンなどの溶媒中での、式(XII)の酸塩化物または式(XIV)の無水物、およびトリエチルアミンやピリジンなどの塩基の使用を含む。
【0077】
最終段階において、水とtert-ブタノールなどの溶媒混合物中にて、式(XV)のアルデヒドを過亜塩素酸ナトリウム(sodium perchlorite)で酸化させることにより、一般式(II)のカルボン酸を調製することができる(Marsini, M. A.、Gowin, K. M.、Pettus, T. R. R.、Org. Lett.、2006、8(16)、3481〜3483)。
【0078】
式(VI)のカルボン酸は、反応スキーム9または10に従って調製することができる。
【0079】
【化13】

【0080】
式(VI)のカルボン酸は、スキーム9に従って、サリチル酸(XI)から、当業者に知られている方法(Lima, S.、Kumar, S.、Gawandi, V.、Momany, C.、Phillips, R. S.、J. Med. Chem.、2009、52 (2)、389〜396、ならびにSessions, E. H.およびJacobi, P. A.、Org. Lett.、2006、8(18)、4125〜4128)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、トルエンやジクロロメタンなどの溶媒中での、式(XVI)の酸塩化物、およびN,N-ジメチルアニリン、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の使用を含む。
【0081】
式(XVI)の酸塩化物は市販されている。
【0082】
【化14】

【0083】
式(XVIII)のアルデヒドは、スキーム10に従って、サリチルアルデヒド(XIII)から、当業者に知られている方法(Lima, S.、Kumar, S.、Gawandi, V.、Momany, C.、Phillips, R. S.、J. Med. Chem.、2009、52 (2)、389〜396、ならびにSessions, E. H.およびJacobi, P. A.、Org. Lett.、2006、8(18)、4125〜4128)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、たとえば、アセトンやジクロロメタンなどの溶媒中での、式(XVI)の酸塩化物または式(XVII)の無水物、およびトリエチルアミンやピリジンなどの塩基の使用を含む。
【0084】
最終段階において、水とtert-ブタノールなどの溶媒混合物中にて、式(XVIII)のアルデヒドを過亜塩素酸ナトリウムで酸化させることにより、一般式(VI)のカルボン酸を調製することができる。
【0085】
式(IV)の過酸は、反応スキーム11に従って調製することができる。
【0086】
【化15】

【0087】
式(IV)の過酸は、スキーム11に従って、過酸化ジベンゾイル(XIX)から、当業者に知られている方法(US 3 075 921)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、メタノールとクロロホルムなどの溶媒混合物中での過酸化ジベンゾイル(XIX)およびナトリウムの使用を含む。
【0088】
式(IX)の過酸は、反応スキーム12に従って調製することができる。
【0089】
【化16】

【0090】
式(IX)の過酸は、スキーム12に従って、式(VIII)の過酸化物から、当業者に知られている方法(US 3 075 921)から選択した方法によって調製する。そうした方法は、メタノールとクロロホルムなどの溶媒混合物中での過酸化物(VIII)およびナトリウムの使用を含む。
【0091】
過酸化物に対するプロピオニバクテリウム・アクネスの感受性の研究
試験の基本方針:目的は、最小阻止濃度(MIC)の測定によって、過酸化物の抗菌活性を評価することである。MICは、すべての可視増殖を阻止することのできる生成物の最小濃度であると定義される。
【0092】
微生物の菌種および起源:
生成物に対する感受性の研究は、Collection de l'Institut Pasteur (CIP)のプロピオニバクテリウム・アクネス(P.アクネス): P.アクネスCIP53.117、ATCC6919に相当、起源:ざ瘡顔面病巣(1920)、供給元CRBIP, Institut Pasteur, Parisの菌種で実施する。
【0093】
生成物での試験:
無水エタノール/滅菌Tween 80/滅菌Wilkins-Chalgrenブロス混合物(5/10/85 v/v/v)に、生成物を1280mg/lで溶解させる。提示する希釈範囲は、液体培地での希釈方法についてCLSIが記載する方法を適合させたものである。希釈範囲は、2倍ずつの間隔で2.5mg/lから1280mg/lまでの10段階の濃度で構成される。
【0094】
P.アクネスの懸濁液をWilkins-Chalgrenブロス中に調製し、波長525nmで約0.4の光学密度に較正する。引き続いてそれをWilkins-Chalgrenブロスで1/10に希釈し、次いで試験ウェルに分注して、各試験ウェル中に約105〜106cfu/mlの最終懸濁液が得られるようにする。
【0095】
試験生成物の溶液を96ウェルマイクロプレートに分配し、嫌気的条件下において36℃±2℃で少なくとも72時間インキュベートする。肉眼で見ることのできる増殖がない最初のウェルをMICとみなす。
【0096】
【表1】

【0097】
TPAによって誘発した耳浮腫における、過酸化物の単回局所投与後の抗炎症活性の評価
試験の基本方針:目的は、TPA局所適用後のマウスの耳の厚さを測定することにより、過酸化物の抗炎症活性を評価することである。抗炎症活性は、TAPによって誘発した耳浮腫の抑制百分率であると定義する。
【0098】
研究の目標は、新たな過酸化物の抗炎症効果を、BPO (過酸化ベンゾイル)と比較して立証することであった。
【0099】
生成物での試験:
0.01%でアセトンに溶解させたTPA 20μlの単回局所適用により、浮腫を誘発した。次いで、TPA溶液に溶解させた被験化合物の単回局所適用により、浮腫を誘発した。
【0100】
評価方法:
耳の厚さを、6時間の時点で測定した。
【0101】
結果は、TPA適用によって誘発した浮腫に対する抑制に基づく百分率にして示す。
【0102】
過酸化ベンゾイル(BPo)を基準過酸化物として2回試験した。
【0103】
【表2】

【0104】
結論:
この研究の目的は、TPAによって誘発した耳浮腫マウスモデルにおける、新たな過酸化物の単回局所適用後の抗炎症効果を立証することであった。
【0105】
実施例1は、1%、2.5%、および5%で、用量依存的な抗炎症効果を示した。5%での活性は、BPO 5%によって生じた活性より著しく優れていた。
【0106】
実施例3は、強力な用量依存的抗炎症効果を示した。
【0107】
実施例5は、5%で著しい抗炎症効果を示した。
【0108】
実施例6は、強力な用量依存的抗炎症効果を示した。
【0109】
5%のBPOと比較して、実施例5および実施例6は、より強力な抗炎症効果を示した。
【実施例1】
【0110】
(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
1-1: 2-(エトキシカルボニルオキシ)安息香酸
60g(434mmol)のサリチル酸および111mlのN,N-ジメチルアニリンを360mlのトルエンに溶解させる。媒質を0℃に冷却し、次いで41.5ml(434mmol)のクロロギ酸エチルを滴加する。周囲温度で2時間撹拌した後、混合物を1N塩酸水溶液、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をジクロロメタンに溶かし、ヘプタンから沈殿させる。固体を濾別し、次いで乾燥させる。38gの2-(エトキシカルボニルオキシ)安息香酸が白色固体の形で収率42%で得られる。
【0111】
1-2: 2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイルクロリド
5.9g(28mmol)の2-(エトキシカルボニルオキシ)安息香酸を30mlのトルエンに、数滴のピリジンと共に溶解させる。2.15ml(29mmol)の塩化チオニルを滴加し、混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで濃縮乾燥する。残渣をペンタンから沈殿させる。固体を濾別し、次いで乾燥させる。5.2gの2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイルクロリドが白色固体の形で収率80%で得られる。
【0112】
1-3:ベンゼンカルボペルオキソ酸
19g(78mmol)の過酸化物ジベンゾイルを-5℃で125mlのクロロホルムに溶解させる。窒素流中で50mlのメタノールに溶解させた2.2g(94mmol)のナトリウムを滴加する。-5℃で30分間撹拌した後、氷冷水を加え、媒質を2N塩酸水溶液で酸性化する。ジクロロメタンでの抽出を行い、次いで有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。9gのベンゼンカルボペルオキソ酸が白色固体の形で収率83%で得られる。
【0113】
1-4: 2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
8.6g(67mmol)の2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイルクロリド(実施例1.2で得たもの)および10.2g(44mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸を43mlのクロロホルムに溶解させる。混合物を-18℃に冷却し、次いで2.2ml(38mmol)のピリジンを含有する5mlのジクロロメタンを滴加する。-18℃で2時間撹拌した後、水を加え、混合物をジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、次いで濃縮する。残渣を、ペンタン/ジクロロメタン5/5混合物を溶離液とするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。11gの(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドがベージュ色の固体の形で収率75%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.32 (t, J=7.1 Hz, 3H); 4.29 (q, J=7.2 Hz, 2H); 7.22 (dd, J= 1 Hz, J=7 Hz, 1H); 7.34 (td, J=1 Hz, J=8 Hz, 1H); 7.45 (t, J=8 Hz, 2H); 7.60 (m, 2H); 8.00 (m, 3H)。
【実施例2】
【0114】
(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
2-1: 2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒド
150mlのテトラヒドロフラン中に20.9g(95.7mmol)の二炭酸ジ(tert-ブチル)を含有する溶液に、窒素流中で、350mg(2.8mmol)のN,N-ジメチルアミノピリジンおよび8.1ml(46.9mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。10ml(93.8mmol)のサリチルアルデヒドを滴加する。周囲温度で2時間撹拌した後、媒質を1N塩酸水溶液で処理し、次いでヘプタン/酢酸エチル1/1混合物で抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。21.5gの2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒドが黄色油状物の形で定量的収率で得られる。
【0115】
2-2: 2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)安息香酸
21.5g(93.8mmol)の2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒドおよび80ml (750mmol)の2-メチル-2-ブテンを250mlのtert-ブタノールに希釈する。75mlの水中に28.1g(234mmol)のリン酸水素ナトリウムおよび29.7g(328mmol)の亜塩素酸ナトリウムを含有する溶液を反応媒質に滴加し、これを周囲温度で2時間撹拌する。混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタンに溶解させる。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。得られる白色固体を0℃でヘプタンから沈殿させる。沈殿を濾別し、次いでヘプタンですすぎ、乾燥させる。15.8gの2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)安息香酸が白色粉末の形で収率70%で得られる。
【0116】
2-3: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
3g(13mmol)の2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)安息香酸および1.8g(13mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸(実施例1-3に記載のとおりに調製)をジエチルエーテル/ジクロロメタン6/4混合物に溶解させる。溶液を0℃に冷却し、次いで50mlのジエチルエーテルに溶解させた2.6g(13mmol)のN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドを滴加する。0℃で3時間撹拌した後、反応媒質を濾過し、次いで濃縮乾燥する。残渣を、ペンタン/ジクロロメタン4/6混合物を溶離液とするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。2.2gの(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドが白色固体の形で収率49%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.57 (s, 9H); 7.29 (dd, J=0.9 Hz, J=8 Hz, 1H); 7.40 (td, J=1 Hz, J=7.7 Hz, 1H); 7.52 (t, J=7.5 Hz, 2H); 7.68 (t, J=7.6 Hz, 2H); 8.07 (dd, J=1.3 Hz, J=7.4 Hz, 3H)。
【実施例3】
【0117】
ビス(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
3-1:ビス(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
5.2g(23mmol)の2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイルクロリド(実施例1-2に記載のとおりに調製)を、窒素流中で、2.4g(23mmol)の炭酸水素ナトリウムと共に、26mlのテトラヒドロフランに溶解させる。混合物を-15℃に冷却し、次いで0.7ml(12.4mmol)の50%過酸化水素水を滴加する。0℃で4時間撹拌した後、媒質に氷冷水を加え、次いでジエチルエーテルで抽出を行う。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥する。残渣を、シクロヘキサン/ジクロロメタン3/7混合物を溶離液とするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製する。2.1gのビス(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシドが白色固体の形で収率45%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.32 (t, J=7.1 Hz, 6H); 4.28 (q, J=7.2 Hz, 4H); 7.24 (dd, J=1 Hz, J=8 Hz, 2H); 7.33 (td, J=1 Hz, J= 7.7 Hz, 2H); 7.61 (td, J=1.7 Hz, J=7.6Hz, 2H); 7.98 (dd, J= 1.7 Hz, J=7.8 Hz, 2H)。
【実施例4】
【0118】
ビス(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
4-1:ビス(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
3.5g(17mmol)のN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドを-18℃で40mlのジエチルエーテルに溶解させる。2.4ml(42mmol)の過酸化水素水を加え、30mlのジクロロメタンに溶解させた4g(17mmol)の2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)安息香酸(実施例2-2に記載のとおりに調製)も加える。-18℃で5時間撹拌した後、50mlのジエチルエーテルを加え、反応媒質を濾過し、次いで濃縮し、得られる固体を、ジエチルエーテル/ペンタン2/8混合物から沈殿させ、濾別し、次いで乾燥させる。2.2gのビス(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシドが白色固体の形で収率28%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.57 (s, 18H); 7.31 (d, J=1 Hz, J=8.2 Hz, 2H); 7.39 (td, J=1.1 Hz, J=8 Hz, 2H); 7.68 (td, J= 1.7 Hz, J=7.6 Hz, 2H); 8.04 (dd, J= 1.6 Hz, J=7.8 Hz, 2H)。
【実施例5】
【0119】
(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
5-1: 2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒド
150mlのテトラヒドロフラン中に15g(120mmol)のサリチルアルデヒドを含有する溶液に、26ml(190mmol)のトリエチルアミン、次いでクロロギ酸イソプロピルのトルエン中1M溶液185ml (190mmol)を、0℃で滴加する。混合物を0℃で2時間、次いで周囲温度で18時間撹拌する。水を加え、反応媒質を酢酸エチルで抽出する。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。27gの2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒドが黄色油状物の形で定量的収率で得られる。
【0120】
5-2: 2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)安息香酸
実施例2-2と似たようにして、15g(72mmol)の2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒドから、9gの2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)安息香酸が、白色固体の形で収率56%で得られる。
【0121】
5-3: 2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイルクロリド
5g(22mmol)の2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)安息香酸を、数滴のピリジンと共に50mlのジクロロメタンに溶解させる。1.95ml(27mmol)の塩化チオニルを滴加し、混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで濃縮乾燥する。5.7gの2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイルクロリドが定量的収率で得られる。
【0122】
5-4: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
実施例1-4と似たようにして、5.4g(22mmol)の2-(クロロカルボニル)フェニルイソプロピルカーボネートと4.6g(33mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸(実施例1-3に記載のとおりに調製)から、3.7gの(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドが、白色固体の形で収率49%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.40 (d, J=6.2 Hz, 6H); 5.03 (q, J=6.2 Hz, 1H); 7.32 (d, J=8.2 Hz, 1H); 7.41 (t, J=7.7Hz, 1H); 7.53 (m, 2H); 7.70 (m, 2H); 8.08 (m, 3H)。
【実施例6】
【0123】
ビス(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
6-1:ビス(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例4-1と似たようにして、3.6g(16mmol)の2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)安息香酸から、1.48gのビス(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシドが、白色固体の形で収率41%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.40 (d, J=6.2 Hz, 12H); 5.03 (q, J=6.2 Hz, 2H); 7.23 (dd, J=8.2 Hz, J=1 Hz, 2H); 7.32 (td, J=7.6 Hz, J=1 Hz, 2H); 7.59 (td, J=7.6 Hz, J=1.7 Hz, 2H); 7.96 (dd, J=7.8 Hz, J=1.7 Hz, 2H)。
【実施例7】
【0124】
(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
7-1: 2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒド
50mlのテトラヒドロフラン中に5g(41mmol)のサリチルアルデヒドを含有する溶液に、6.3ml(45mmol)のトリエチルアミン、次いで7.4g (45mmol)のクロロギ酸シクロヘキシルを0℃で滴加する。周囲温度で2時間撹拌した後、媒質を水で処理し、次いでヘプタン/酢酸エチル1/1混合物で抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。10.3gの2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンズアルデヒドが黄色油状物の形で定量的収率で得られる。
【0125】
7-2: 2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)安息香酸
実施例2-2と似たようにして、10.3g(41mmol)のシクロヘキシル2-ホルミルフェニルカーボネートから、8.5gの2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)安息香酸が、白色固体の形で収率78%で得られる。
【0126】
7-3: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
実施例2-3と似たようにして、4.2g(16mmol)の2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)安息香酸から、4gの(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドが、橙色油状物の形で収率65%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.30 (m, 3H); 1.55 (m, 3H); 1.77 (m, 2H); 1.98 (m, 2H); 4.79 (m, 1H); 7.29 (m, 1H); 7.40 (t, J=8 Hz, 1H); 7.53 (m, 2H); 7.66 (m, 2H)、8.07 (m, 3H)。
【実施例8】
【0127】
ビス(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
8-1:ビス(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例4-1と似たようにして、4g(15.1mmol)の2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)安息香酸(実施例7-2に記載のとおりに調製)から、2.4gのビス(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシドが、白色固体の形で収率60%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.25 (m, 6H); 1.49 (m, 6H); 1.53 (m, 4H); 1.90 (m, 4H); 4.67 (m, 2H); 7.23 (dd, J=1Hz, J=8.2 Hz, 2H); 7.32 (td, J=1 Hz, J=7.7 Hz, 2H); 7.59 (td, J= 1.7 Hz, J=7.7 Hz, 2H); 7.97 (dd, J=1.7Hz, J=7.8 Hz, 2H)。
【実施例9】
【0128】
(2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
9-1: 2-(2,2-ジメチルプロピオニルオキシ)安息香酸
10g(72.4mmol)のサリチル酸および6.1ml(76mmol)のピリジンを、-5℃で100mlのアセトンに加える。9.3ml(76mmol)の塩化2,2-ジメチルプロピオニルを加え、周囲温度で2時間撹拌した後、水を加え、混合物をジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をヘプタンから0℃で沈殿させ、次いで濾別する。16.9gの2-(2,2-ジメチルプロピオニルオキシ)安息香酸が白色粉末の形で収率95%で得られる。
【0129】
9-2: 2-(クロロカルボニル)フェニル2,2-ジメチルプロパノエート
6g(27mmol)の2-(2,2-ジメチルプロピオニルオキシ)安息香酸を、数滴のピリジンと共に60mlのジクロロメタンに溶解させる。2.4ml(32mmol)の塩化チオニルを滴加し、混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次いで濃縮乾燥する。6.8gの2-(クロロカルボニル)フェニル2,2-ジメチルプロパノエートが定量的収率で得られる。
【0130】
9-3: (2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
実施例1-4と似たようにして、4.1g(17mmol)の2-(クロロカルボニル)フェニル2,2-ジメチルプロパノエートと3.5g(26mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸(実施例1-3に記載のとおりに調製)から、1.5gの(2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドが、橙色油状物の形で収率25%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.40 (s, 9H); 7.20 (d, J=6 Hz, 1H); 7.37 Hz (t, J=7.5 Hz, 1H); 7.53 (t, J= 7.5 Hz, 2H); 7.66 (m, 2H); 8.05 (m, 3H)。
【実施例10】
【0131】
(2-(イソブチリルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
10-1: 2-(イソブチリルオキシ)安息香酸
実施例9-1と似たようにして、10g(72.4mmol)のサリチル酸、6.1ml(76mmol)のピリジン、および8ml(76mmol)の塩化イソブチリルから、13.4gの2-(イソブチリルオキシ)安息香酸が、白色粉末の形で収率88%で得られる。
【0132】
10-2: 2-(クロロカルボニル)フェニルイソブチレート
実施例9-2と似たようにして、5g (24mmol)の2-(イソブチリルオキシ)安息香酸から、5gの2-(クロロカルボニル)フェニルイソブチレートが、無色の油状物の形で収率92%で得られる。
【0133】
10-3: (2-(イソブチリルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
実施例1-4と似たようにして、5g(22mmol)の2-(クロロカルボニル)フェニルイソブチレートと6g(44mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸(実施例1-3に記載のとおりに調製)から、1.9gの(2-(イソブチリルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドが、橙色油状物の形で収率26%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.28 (d, J= 6Hz, 6H); 7.11 (d, J=9Hz, 1H); 7.31 Hz (t, J=9Hz, 1H); 7.44 (t, J=7.5Hz, 2H); 7.59 (m, 2H); 8.00 (m, 3H)。
【実施例11】
【0134】
(2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
11-1: 2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸
実施例9-1と似たようにして、10g(72.4mmol)のサリチル酸、6.1ml(76mmol)のピリジン、および10.2ml(76mmol)の塩化シクロヘキシルアセチルから、16.6gの2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸が、白色粉末の形で収率92%で得られる。
【0135】
11-2: 2-(クロロカルボニル)フェニルシクロヘキサンカルボキシレート
実施例9-2と似たようにして、6g(24mmol)の2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸から、5.9gの2-(クロロカルボニル)フェニルシクロヘキサンカルボキシレートが、無色の油状物の形で収率91%で得られる。
【0136】
11-3: (2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシド
実施例1-4と似たようにして、5.9g(22mmol)の2-(クロロカルボニル)フェニルシクロヘキサンカルボキシレートと4.5g(33mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸(実施例1-3に記載のとおりに調製)から、3gの(2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)ベンゾイル)ベンゾイルペルオキシドが、白色粉末の形で収率36%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ = 1.31 (m, 3H); 1.57 (m, 3H); 1.83 (m, 2H); 2.12 (m, 2H); 2.68 (m, 1H); 7.20 (dd, J=1Hz, J= 8 Hz, 1H); 7.39 (td, J=1 Hz, J= 7.7 Hz, 1H); 7.54 (m, 2H); 7.68 (m, 2H); 8.09 (m, 3H)。
【実施例12】
【0137】
[2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)ベンゾイル]ベンゾイルペルオキシド
12-1: 2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)安息香酸
実施例9-1と似たようにして、9.3g(67.3mmol)のサリチル酸、5.7ml(76mmol)のピリジン、および15g(76mmol)の塩化1-アダマンタンカルボニルから、17.2gの2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)安息香酸が、白色粉末の形で収率81%で得られる。
【0138】
12-2: 2-(クロロカルボニル)フェニル(アダマンタン-1-イル)アセテート
実施例9-2と似たようにして、5g(16mmol)の2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)安息香酸から、5.8gの2-(クロロカルボニル)フェニル(アダマンタン-1-イル)アセテートが、白色固体の形で定量的収率で得られる。
【0139】
12-3: [2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)ベンゾイル]ベンゾイルペルオキシド
実施例1-4と似たようにして、6.36g(19mmol)の2-(クロロカルボニル)フェニル(アダマンタン-1-イル)アセテートと4g(29mmol)のベンゼンカルボペルオキソ酸(実施例1-3に記載のとおりに調製)から、1.9gの[2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)ベンゾイル]ベンゾイルペルオキシドが、白色粉末の形で収率22%で得られる。
1H NMR/CDCl3: δ= 1.76 (m, 12H); 2.01 (l, 3H); 2.43 (s, 2H); 7.22 (dd, J= 1 Hz, J= 8 Hz, 1H); 7.39 (td, J= 1 Hz, J= 7.7 Hz, 1H); 7.55 (m, 2H); 7.68 (m, 2H); 8.06 (m, 3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I):
【化1】

[式中、
R1は、低級アルキル、高級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、高級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリール、アリールオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表し、
Aは、水素、または以下の式:
【化2】

を表し、
R2は、低級アルコキシ、高級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アリールオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表す]
の化合物。
【請求項2】
a. R1が、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表し、
b. Aが、水素、または以下の型:
【化3】

の定義された基を表し、
c. R2が、低級アルコキシ、シクロアルキルオキシ、またはモノもしくはジアルキルアミノを表す
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
a. R1が、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、またはシクロアルキルオキシを表し、
b. Aが、水素、または以下の型:
【化4】

の定義された基を表し、
c. R2が、低級アルコキシまたはシクロアルキルオキシを表す
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の化合物:
実施例1: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例2: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例3: ビス(2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例4: ビス(2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例5: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例6: ビス(2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例7: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例8: ビス(2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例9: (2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例10: (2-(イソブチリルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例11: (2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例12: [2-(2-(アダマンタン-1-イル)アセトキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例13: [2-(アダメンテン-1-カルボニルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例14: (2-(フェノキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例15: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例16: (2-(プロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例17: (2-(ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例18: (2-(sec-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例19: (2-(イソブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例20: (2-(プロピオニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例21: (2-(ブチリルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例22: (2-(ペンタノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例23: [2-(3-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例24: [2-(2-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例25: (2-(シクロプロパンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例26: (2-(シクロブタンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例27: (2-(シクロペンタンカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例28: (2-(ベンゾイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例29: (2-(ジメチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例30: (2-(ジエチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例31: (2-(メチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例32: (2-(エチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例33: (2-(イソプロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例34: (2-(プロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例35: [2-((イソプロピル)(メチル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例36: [2-((エチル)(イソプロピル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例37: (2-(ヘキサノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例38: (2-(ヘプタノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例39: (2-(オクタノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例40: (2-(ノナノイルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例41: [2-(2-エチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例42: [2-(3,3-ジメチルブチリルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例43: (2-(ペンチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例44: (2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例45: (2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例46: (2-(オクチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)過酸化ベンゾイル
実施例47: [2-(1-エチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例48: [2-(2,2-ジメチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]過酸化ベンゾイル
実施例49: ビス(2-(フェノキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例50: ビス(2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例51: ビス(2-(プロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例52: ビス(2-(ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例53: ビス[2-(3-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例54: ビス[2-(2-メチルブチリルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例55: ビス(2-(ジメチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例56: ビス(2-(ジエチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例57: ビス(2-(メチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例58: ビス(2-(エチルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例59: ビス(2-(イソプロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例60: ビス(2-プロピルカルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例61: ビス(2-((イソプロピル)(メチル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例62: ビス(2-((エチル)(イソプロピル)カルバモイルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例63: ビス(2-(ペンチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例64: ビス(2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例65: ビス(2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例66: ビス(2-(オクチルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)ペルオキシド
実施例67: ビス[2-(1-エチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例68: ビス[2-(2,2-ジメチルプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル]ペルオキシド
実施例69: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例70: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例71: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例72: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例73: (2-(メトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例74: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例75: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例76: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例77: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例78: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例79: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例80: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例81: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例82: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例83: (2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例84: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例85: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例86: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例87: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例88: (2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例89: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例90: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブチリルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例91: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例92: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(メチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例93: (2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(ジメチルカルバモイルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例94: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(イソプロポキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例95: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例96: (2-(エトキシカルボニルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
実施例97: (2-(tert-ブチリルオキシ)ベンゾイル)2-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)過酸化ベンゾイル
からなるリストから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
医薬品としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
プロピオニバクテリウム・アクネスの存在に関連した病態または障害の治療における、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
ざ瘡性皮膚障害の出現に関与する病原微生物、特にP.アクネスの増殖を阻止することを特徴とする、化粧品組成物に混和するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−513580(P2013−513580A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542568(P2012−542568)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069418
【国際公開番号】WO2011/070170
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】