説明

新規の遷移金属化合物およびこれを用いたオレフィン重合用触媒

【課題】十分に高い重合活性を示すオレフィン重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン重合用固体触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物。該化合物及び活性化用助触媒成分を含むオレフィン重合用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の遷移金属化合物およびこれを用いたオレフィン重合用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン系重合体などオレフィン重合体は、種々の成形法により、フィルム、シート、ボトル等に成形され、食品包装材などの種々の用途に用いられている。なかでも、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン系重合体が、衝撃強度や引張強度等の機械的強度に優れることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライドからなるメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体が記載されている。また特許文献2には、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドからなるメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体が記載されている。
【0004】
さらに、特許文献3および非特許文献1には、インデニル環の特定部位を修飾した架橋ビスインデニル錯体からなるメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Organometallics 1992, Vol. 11, No. 6, 2115-2122
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−151210号公報
【特許文献2】特開2004−149761号公報
【特許文献3】特表2008−505932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法で重合されたオレフィン重合体は、成型加工性の点で未だ改善の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、成形加工性に優れるオレフィン重合体を製造し得るオレフィン重合用触媒、オレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討することにより本発明により上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、式(1)で表される遷移金属化合物に関する。


(式中、Mは周期律表の3族、4族、5族、ランタニド族またはアクチニド族から選択される遷移金属原子を表し、


を表し、
およびRは、同一または相異なり、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
およびRは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
〜Rは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、または
ヘテロ環式化合物残基を表し、
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRは、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
Aは、−[Z(R)(R10)]−基を表し、Zは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子または炭素原子を表し、RおよびR10は、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基を表す。
nは、1、2、3または4を表し、Z、RおよびR10が複数ある場合、それらは同一でも異なってもよい。
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいチオラート基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいカルボキシラート基を表し、
lは、1、2または3を表す。Xが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、隣接するX同士は、連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表し、mは、0、1、2、3または4を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。
lとmとの総和は、2、3、または4である。)
【0009】
また、本発明は一般式(2)で表される化合物に関する。

【0010】
さらに、本発明は一般式(1)の遷移金属化合物及び活性化用助触媒成分からなるオレフィン重合用触媒に関する。また、本発明は上記重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成形加工性に優れるオレフィン重合体が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
式(1)で表される遷移金属化合物について説明する。

(式中、Mは周期律表の3族、4族、5族、ランタニド族またはアクチニド族から選択される遷移金属原子を表し、


を表す。)
【0013】
式(1)において、Mで表される遷移金属原子とは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改定版1989)の3族、4族、5族、ランタニド族またはアクチニド族から選択される遷移金属原子であり、好ましくは、3族、4族またはランタニド族から選択される遷移金属原子であり、より好ましくは、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が挙げられる。
【0014】
およびRは、同一または相異なり、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
好ましくは、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基であり、
より好ましくは、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基である。
【0015】
およびRは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
好ましくは、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基であり、
より好ましくは、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基である。
【0016】
〜Rは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、
またはヘテロ環式化合物残基を表し、
好ましくは、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基であり、
より好ましくは、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基である。
【0017】
Aは、−[Z(R)(R10)]−基を表し、Zは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子または炭素原子、好ましくはケイ素原子または炭素原子を表す。RおよびR10は、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基を表し、
好ましくは、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基であり、
より好ましくは、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基である。
【0018】
nは、1、2、3または4を表し、Z、RおよびR10が複数ある場合、それらは同一でも異なってもよく、
好ましくは、nは、1または2である。
【0019】
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいチオラート基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいカルボキシラート基を表し、
好ましくは、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基であり、
より好ましくは、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基であり、
特に好ましくは、
塩素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基である。
【0020】
lは、1、2または3を表す。Xが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、隣接するX同士は、連結して環を形成してもよく、
好ましくは、lは、0、1、2である。
【0021】
Lは中性のルイス塩基を表し、mは、0、1、2、3または4を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。
【0022】
Lとしては、エーテル類、アミン類またはチオエーテル類などが挙げられ具体的には、テトロヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたはピリジンなどが挙げられる。
lとmとの総和は、2、3、または4であり、好ましくは2または4である。
【0023】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基である。
【0024】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基または、シクロオクチル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜8のシクロアルキル基であり、より好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0025】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基ペンタフルオロフェニル基、2−トリフルオロメタンフェニル基、3−トリフルオロメタンフェニル基、4−トリフルオロメタンフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−フルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、あるいは2,5−ジブロモフェニル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜10のアリール基であり、より好ましくは2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
【0026】
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリn−プロピル基、トリiso−プロピルシリル基、トリn−ブチルシリル基、トリiso−ブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられ、、好ましくは炭素原子数3〜6のハイドロカルビル基より好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基である。
【0027】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロプロポキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、パーフルオロドデシルオキシ基、パーフルオロペンタデシルオキシ基、パーフルオロエイコシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが挙げられ、、好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基である。
【0028】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基ペンタフルオロフェノキシ基、2−トリフルオロメチルフェノキシ基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−フルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2,3−ジブロモフェノキシ基、2,4−ジブロモフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモフェノキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、より好ましくは2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
【0029】
ヘテロ環式化合物残基としては、例えば、ピリジニル基、4,6−ジメチルピリジニル基、2,6−ジメチルピリジニル基、フラニル基、5−メチルフラニル基、2,5−ジメチルフラニル基、チオフェニル基、5−メチルチオフェニル基、2,5−ジメチルチオフェニル基などが挙げられ、より好ましくは4,6−ジメチルピリジニル基、2,6−ジメチルピリジニル基、5−メチルフラニル基、2,5−ジメチルフラニル基、5−メチルチオフェニル基または2,5−ジメチルチオフェニル基である。
【0030】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜6のアルケニル基より好ましくは、アリル基、ホモアリル基である。
【0031】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えばエチニル基、フェニルアセチル基、メチルアセチル基、エチルアセチル基、n−プロピルアセチル基、sec−プロピルアセチル基、tert−ブチルアセチル基、n−ブチルアセチル基またはiso−ブチルアセチル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜8のアルキニル基より好ましくはフェニルアセチル基またはtert−ブチルアセチル基である。
【0032】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等などが挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキル基、より好ましくは、ベンジル基である。
【0033】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキルオキシ基、より好ましくはベンジルオキシ基である。
【0034】
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基またはジフェニルアミノ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜14のハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基としては、より好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基またはジベンジルアミノ基である。
【0035】
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいチオラート基としては、例えば、チオフェノキシ基、2,3,4−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,6−トリメチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2−フルオロチオフェノキシ基、3−フルオロチオフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基ペンタフルオロチオフェノキシ基、2−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、3−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、4−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、2,3−ジフルオロチオフェノキシ基、2,4−フルオロチオフェノキシ基、2,5−ジフルオロチオフェノキシ基、2−クロロチオフェノキシ基、2,3−ジクロロチオフェノキシ基、2,4−ジクロロチオフェノキシ基、2,5−ジクロロチオフェノキシ基、2−ブロモチオフェノキシ基、3−ブロモチオフェノキシ基、4−ブロモチオフェノキシ基、2,3−ジブロモチオフェノキシ基、2,4−ジブロモチオフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモチオフェノキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜12のハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいチオラート基としては、より好ましくはチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基である。
【0036】
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいカルボキシラート基を表し、例えば、アセテート基、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタネート基、ヘキサノエート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基、が挙げられる。好ましくは炭素原子数2〜10ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいカルボキシラート基、より好ましくは、アセテート基、プロピオネート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基である。
【0037】
およびR、RおよびRは、それぞれ連結して、3〜10員環のハイドロカルビル環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。該環の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環またはシクロオクタン環などが挙げられ、より好ましくはシクロプロパン環、シクロペンタン環またはシクロヘキサン環である。
およびR、RおよびR、RおよびRは、それぞれ連結して、3〜10員環のハイドロカルビル環または3〜10員環の複素環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。該ハイドロカルビル環の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環またはナフタレン環など挙げられ、より好ましくはシクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環またはナフタレン環である。該複素環の具体例としては、フラン環、2,5−ジメチルフラン環、チオフェン環、2,5−ジメチルチオフェン環、ピリジン環などが挙げられ、より好ましくは、2,5−ジメチルフラン環、2,5−ジメチルチオフェン環、ピリジン環である。
【0038】
式(1)で表される化合物の具体例としては下記の化合物が挙げられる。





















【0039】



















【0040】


【0041】
また、これらの化合物のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に変更した化合物、そして、フェノキシ基をメチル基、エチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0042】
式(2)で表される化合物について説明する。





【0043】
式(2)で表される化合物の具体例としては下記の化合物が挙げられる。

【0044】




















【0045】

【0046】
式(1)で表される化合物は、一般式(3)および(4)で表される化合物を出発原料として下記の工程により製造することができる。

【0047】
以下各工程について詳しく説明する。
【0048】
[工程1]
式(3)で表される化合物は下記構造であり、R〜Rは上記のとおりである。

式(4)で表される化合物はAX’であり、Aは前記のとおりであり、X’はハロゲン原子、アセテート基、トリフルオロアセテート基、ベンゾエート基、CFSO基、CHSO基、4−MeCSO基およびPhSO基のようなアニオン性脱離基を表し、2個のX’は同一または相異なる。好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、4−MeCSO基またはPhSO基である。
式(3)で表される化合物を、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの塩基と、−100℃〜100℃の温度範囲で好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲で、5分〜24時間反応させたのち、式(4)で表される化合物を、−100℃〜150℃の温度範囲で好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲で、5分〜48時間反応させ、式(5)で表される化合物を製造することができる。
【0049】
本発明において使用される塩基は、通常過剰量で用いることが好ましく、式(3)で表される化合物に対する塩基のモル比が、好ましくは、1.00〜5.00であり、より好ましくは1.00〜2.00であり、特に好ましくは1.00〜1.20となるように使用する。
【0050】
式(4)で表される化合物の使用量は、式(3)で表される化合物量を基準にして通常1.0〜10.0当量であり、収率の点から1.0〜6.0当量が好ましく、1.0〜4.0当量が特に好ましい。
【0051】
本反応で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系が挙げられ、好ましくは、トルエン、ベンゼン、o―キシレン、m―キシレン、p―キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、トルエン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランである。
【0052】
溶媒の使用量は、式(3)で表される化合物の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜2.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜0.5mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0053】
本反応では圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0054】
反応終了後、式(5)で表される化合物を精製することが可能である。精製方法としては、例えば、反応溶液に対して塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液または塩化ナトリウム水溶液を加え、次に酢酸エチルまたはジエチルエーテルを加え、抽出操作を行い、過剰の塩基または塩を除去すること方法が挙げられる。得られた式(5)で表される化合物は、必要に応じて蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作を行って、純度を高めることができる。
【0055】
[工程2]
式(5)で表される化合物のAは前記のとおりであり、X’はハロゲン原子、アセテート基、トリフルオロアセテート基、ベンゾエート基、CFSO基、CHSO基、4−MeCSO基およびPhSO基のようなアニオン性脱離基を表し、2個のX’は同一または相異なる。好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、4−MeCSO基またはPhSO基である。
式(6)で表される化合物を、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの塩基と、−100℃〜100℃の温度範囲で好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲で、5分〜24時間反応させたのち、式(5)で表される化合物を、−100℃〜150℃の温度範囲で好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲で、5分〜48時間反応させ、式(2)で表される化合物を製造することができる。
【0056】
本発明において使用される塩基は、通常過剰量で用いることが好ましく、式(6)で表される化合物に対する塩基のモル比が、好ましくは、1.00〜5.00であり、より好ましくは1.00〜2.00であり、特に好ましくは1.00〜1.20となるように使用する。
【0057】
式(6)で表される化合物の使用量は、式(5)で表される化合物量を基準にして通常1.0〜5.0当量であり、収率の点から1.0〜2.0当量が好ましく、1.0〜1.5当量が特に好ましい。
【0058】
本反応で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系が挙げられ、好ましくは、トルエン、ベンゼン、o―キシレン、m―キシレン、p―キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、トルエン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランである。
【0059】
溶媒の使用量は、式(5)で表される化合物の濃度範囲が0.001〜4.0mol/L、より好ましくは0.01〜2.0mol/L、さらに好ましくは0.1〜0.8mol/Lとなるような範囲で用いることができる。
【0060】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0061】
本反応では圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0062】
反応終了後、式(2)で表される化合物を精製することが可能である。精製方法としては、例えば、反応溶液に対して塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液または塩化ナトリウム水溶液を加え、次に酢酸エチルまたはジエチルエーテルを加え、抽出操作を行い、過剰の塩基または塩を除去すること方法が挙げられる。得られた式(2)で表される化合物は、必要に応じて蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作を行って、純度を高めることができる。
【0063】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0064】
本反応では圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0065】
式(2)で表される化合物を合成する際、式(4)で表される化合物と式(6)で表される化合物を反応させた後に、式(3)で表される化合物を反応させてもよい。
【0066】
[工程3]
式(1)で表される遷移金属化合物は、特開2003−231693号、特許第3290218号、および特開2003−12682号のような文献を参考にして、製造することができる。
【0067】
例えば、
Xが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいチオラート基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいカルボキシラート基である場合、
式(2)で表される化合物を、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどの塩基好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、またはtert−ブチルリチウムの塩基と反応させることができる。
【0068】
本発明において、式(2)で表される化合物と塩基とを反応させる温度は、−100℃〜100℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。
【0069】
本発明において、式(2)で表される化合物と塩基とを反応させる時間は、5分間〜24時間であり、好ましくは10分間〜12時間、より好ましくは30分間〜3時間である。
【0070】
本発明において、式(2)で表される化合物と塩基とを反応させた化合物と式(7)で表される化合物とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。
【0071】
本発明において、式(2)で表される化合物と塩基とを反応させた化合物と式(7)で表される化合物とを反応させる時間は、5分間〜48時間であり、好ましくは10分間〜24時間である。
【0072】
本反応で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系が挙げられ、好ましくは、トルエン、ベンゼン、o―キシレン、m―キシレン、p―キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジエチルエーテルトルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、またはシクロヘキサンである。
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0073】
本反応では圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0074】
本発明において、式(2)で表される化合物と式(7)で表される化合物とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。
【0075】
本発明において、式(2)で表される化合物と式(7)で表される化合物とを反応させる時間は、5分間〜48時間であり、好ましくは10分間〜24時間である。
【0076】
本反応で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系が挙げられ、好ましくは、トルエン、ベンゼン、o―キシレン、m―キシレン、p―キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、トルエン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、またはシクロヘキサンである。
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素気流下、より好ましくは、窒素またはアルゴン気流下である。
【0077】
本反応において、イオン性添加物を任意に添加することができ、イオン性添加物としてはアンモニウムフッ化物、アンモニウム塩化物、アンモニウム臭化物、アンモニウムヨウ化物などが挙げられ、好ましくはアンモニウム塩化物であり、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド、テトラn−プロピルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロリドなどが挙げられ、より好ましくは、テトラn−ブチルアンモニウムクロリドである。
【0078】
イオン性添加物の使用量は、式(2)で表される化合物量を基準にして通常0.001〜1.0当量であり、収率の点から0.01〜0.5当量が好ましく、0.05〜0.2当量が特に好ましい。
【0079】
本反応では圧力の影響は無視できるため、大気圧下で反応を行うのが一般的である。
【0080】
本発明のオレフィン重合触媒の製造方法で用いられる活性化用助触媒成分は、重合触媒成分としての式(1)で表される遷移金属化合物を活性化させる化合物である限り特に制限されない。活性化用助触媒成分として有機アルミニウム化合物(以下「有機アルミニウム化合物A−1」と言う)、ホウ素化合物およびそれらの組合せを例示することができる。
【0081】
有機アルミニウム化合物A−1は公知の化合物であってもよく、好ましくは下式で表される化合物またはそれらの混合物である:
(1)E1a AlY13-aで表される化合物;
(2){−Al(E2 )−O−}bで表される環状のアルミノキサン;および
(3)E3 {−Al(E3)−O−}c AlE32 で表される線状のアルミノキサン;
式中、E1 、E2 、E3 は炭素数1〜8のハイドロカルビル基であり、全てのE 、全てのE2 及び全てのE は同じか異なり、Y1は水素原子又はハロゲン原子を表し、全てのY1は同じか異なり、aは0<a≦3の数、bは2以上の整数、cは1以上の整数をそれぞれ表す。
【0082】
上式 E1a AlY13-a で表される有機アルミニウム化合物A−1として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、およびトリヘキシルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムハクロライド、およびジヘキシルアルミニウムクロライドのようなジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、およびヘキシルアルミニウムジクロライドのようなアルキルアルミニウムジクロライド;ならびにジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、およびジヘキシルアルミニウムハイドライドのようなジアルキルアルミニウムハイドライドを例示することができる。中でも、好ましくはトリアルキルアルミニウムであり、より好ましくはトリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムである。
【0083】
上式におけるE2およびE3として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、およびネオペンチル基のようなアルキル基を例示することができる。中でも、好ましくはメチル基またはイソブチル基である。bは2以上の整数、好ましくは2〜40の整数であり、cは1以上の整数、好ましくは1〜40の整数である。
【0084】
上記のアルミノキサンの製造方法は特に制限されず、公知の方法であってもよい。製造方法とてし、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウム)を適当な有機溶剤(例えば、ベンゼンまたは脂肪族ハイドロカルビ)に溶かした溶液を水と接触させる方法や、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウム)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物)に接触させる方法を例示することができる。
上記のホウ素化合物として、以下の化合物を例示することができる:
(1)式BR131415で表されるホウ素化合物;
(2)式M1+ (BR13141516 で表されるホウ素化合物;および
(3)式(M−H)+ (BR13141516で表されるホウ素化合物;
式中、R13 〜R16 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じか異なり、好ましいくははハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、または1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基であり、M1+は無機または有機のカチオンであり、Mは中性ルイス塩基であり、(M−H)+ はブレンステッド酸である。
上式(1)で表される化合物として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、およびフェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボランを例示することができる。中でも、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0085】
上式(2)のM1+として、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンおよびトリフェニルメチルカチオンを例示することができる。式(2)の(BR13141516として、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4ートリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、およびテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートを例示することができる。式(2)の化合物として、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを例示することができる。中でも、最も好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0086】
上式(3)の(M−H)+として、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、およびトリアリールホスホニウムを例示することができ、(BR13141516として前述と同様のものを例示することができる。式(3)の化合物として、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを例示することができる。中でも、最も好ましくは、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0087】
活性化用助触媒成分は、好ましくは上記の環状のアルミノキサンおよび/または線状のアルミノキサン、またはE1a AlY13-aで表される有機アルミニウム化合物A−1とホウ素化合物との組合せである。
本発明に係る重合用触媒を、スラリー重合、気相重合およびバルク重合のような重合体粒子の形成を伴う重合に適用する場合、上記の活性化用助触媒成分として下記(I)または(II)の改質された粒子が好適に用いられる。
(I)下式[1]で表される化合物(a)と、下式[2]で表される化合物(b)と、下式[3]で表される化合物(c)と、粒子(d)とを接触させて得られる改質された粒子
1d [1]
17t-1TH [2]
18t-2TH2 [3]
式中、M は周期律表第1、2、12、14または15族の典型金属原子を表し、dはMの原子価を表し、L1 は水素原子、ハロゲン原子またはハイドロカルビル基を表し、L1 が複数存在する場合は、それらは互いに同じか異なり、R17 は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R17 が複数存在する場合はそれらは互いに同じか異なり、R18 はハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、Tはそれぞれ独立に周期律表の第15族または第16族の原子を表し、tはそれぞれの化合物のTの原子価を表す;
(II)アルミノキサン(e)と粒子(d)とを接触させて得られる改質された粒子。
上式[1]におけるMは、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)第1、2、12、14または15族の典型金属原子を表す。Mとして、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、カドミウム原子、水銀原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子、およびビスマス原子を例示することができる。中でも、特に好ましくは第12族の原子であり、最も好ましくは亜鉛原子である。
【0088】
上式[1]におけるdはM の原子価を表し、M が例えば亜鉛原子の場合、dは2である。
【0089】
上式[1]におけるL1 は水素原子、ハロゲン原子またはハイドロカルビル基を表し、L1 が複数存在する場合、それらは互いに同じか異なる。
上記のハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができる。該ハイドロカルビル基として、アルキル基、アリール基またはアラルキル基が好ましい。
【0090】
上記のアルキル基は、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましい。該アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を例示することができる。中でも、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソブチル基である。
これらのアルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子のようなハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基として、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、およびパーブロモエイコシル基を例示することができる。
【0091】
上記アルキル基はまた、メトキシ基およびエトキシ基のようなアルコキシ基、フェノキシ基のようなアリールオキシ基、またはベンジルオキシ基のようなアラルキルオキシ基で一部が置換されていてもよい。
【0092】
上記のアリール基は、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましい。該アリール基として、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を例示することができる。これらのアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子のようなハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基のようなアルコキシ基、フェノキシ基のようなアリールオキシ基、またはベンジルオキシ基のようなアラルキルオキシ基で一部が置換されていてもよい。
【0093】
上記のアラルキル基は、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましい。該アラルキル基として、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を例示することができる。中でも、好ましくはベンジル基である。該アラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子のようなハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基のようなアルコキシ基、フェノキシ基のようなアリールオキシ基、またはベンジルオキシ基のようなアラルキルオキシ基で一部が置換されていてもよい。
【0094】
上記のL1 は、好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基であり、さらに好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0095】
上式[2]および[3]におけるTはそれぞれ独立に、元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第15族または第16族の原子を表す。式[2]におけるTと式[3]におけるTとは同じか異なる。第15族原子として窒素原子およびリン原子を、第16族原子として酸素原子および硫黄原子を例示することができる。中でも、Tは好ましくは、それぞれ独立に窒素原子または酸素原子であり、特に好ましくは、Tは酸素原子である。式[2]および[3]におけるtはそれぞれのTの原子価を表し、Tが第15族原子の場合tは3であり、Tが第16族原子の場合tは2である。
上式[2]におけるR15 は、電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1 が複数存在する場合それらは互いに同じか異なる。電子吸引性の指標としてハメット則の置換基定数σ等が知られており、σが正である官能基が本発明における電子吸引性基である。
【0096】
電子吸引性基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基およびフェニル基を例示することができる。電子吸引性基を含有する基として、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基、シアノ化アリール基、ニトロ化アリール基、およびエステル基(例えば、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基)を例示することができる。
【0097】
上記のハロゲン化アルキル基として、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジヨードメチル基トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチル基、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基 、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル基 、および1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル基を例示することができる。
【0098】
上記のハロゲン化アリール基として、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ペンタクロロフェニルフェニル基、パークロロ−1−ナフチル基、パークロロ−2−ナフチル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、3,4−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、3,4,5−トリブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−ペンタブロモフェニルフェニル基、パーブロモ−1−ナフチル基、パーブロモ−2−ナフチル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、2,6−ジヨードフェニル基、3,4−ジヨードフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、2,4,6−トリヨードフェニル基、3,4,5−トリヨードフェニル基、2,3,5,6−テトラヨードフェニル基、ペンタヨードフェニル基、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリヨードメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラヨード−4−ペンタヨードフェニルフェニル基、パーヨード−1−ナフチル基、およびパーヨード−2−ナフチル基を例示することができる。
上記の(ハロゲン化アルキル)アリール基として、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、および3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基を例示することができる。
【0099】
上記のシアノ化アリール基として、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、および4−シアノフェニル基を例示することができる。
【0100】
上記のニトロ化アリール基として、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、および4−ニトロフェニル基を例示することができる。
【0101】
上記のエステル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ノルマルプロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、およびペンタフルオロフェノキシカルボニル基を例示することができる。
【0102】
上記のR15 は、好ましくはハロゲン化ハイドロカルビル基であり、より好ましくはハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、さらに好ましくはフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基 、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3.5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、またはペンタクロロフェニル基であり、特に好ましくはフルオロアルキル基またはフルオロアリール基であり、最も好ましくはトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。
【0103】
上記のR18 のハイドロカルビル基は、アルキル基、アリール基またはアラルキル基が好ましい。R18 としてL1 として例示したハイドロカルビル基を例示することができる。R18のハロゲン化ハイドロカルビル基として、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、および(ハロゲン化アルキル)アリール基を例示することができる。R16 として、R17 の電子吸引性基として例示したハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、および(ハロゲン化アルキル)アリール基を例示することができる。R18 は好ましくはハロゲン化ハイドロカルビル基であり、さらに好ましくはフッ素化ハイドロカルビル基である。
【0104】
上記の化合物(a)として、M が亜鉛原子の場合、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジノルマルブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛およびジノルマルヘキシル亜鉛のようなジアルキル亜鉛;ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、およびビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛のようなジアリール亜鉛;ジアリル亜鉛のようなジアルケニル亜鉛;ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛;塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化プロピル亜鉛、塩化ノルマルブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化ノルマルヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化プロピル亜鉛、臭化ノルマルブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化ノルマルヘキシル亜鉛、よう化メチル亜鉛、よう化エチル亜鉛、よう化プロピル亜鉛、よう化ノルマルブチル亜鉛、よう化イソブチル亜鉛、およびよう化ノルマルヘキシル亜鉛のようなハロゲン化アルキル亜鉛;ならびにふっ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛およびよう化亜鉛のようなハロゲン化亜鉛を例示することができる。
【0105】
化合物(a)は、好ましくはジアルキル亜鉛であり、さらに好ましくはジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジノルマルブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、またはジノルマルヘキシル亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0106】
上記化合物(b)のアミン類として、ジ(フルオロメチル)アミン、ジ(クロロメチル)アミン、ジ(ブロモメチル)アミン、ジ(ヨードメチル)アミン、ビス(ジフルオロメチル)アミン、ビス(ジクロロメチル)アミン、ビス(ジブロモメチル)アミン、ビス(ジヨードメチル)アミン、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(トリクロロメチル)アミン、ビス(トリブロモメチル)アミン、ビス(トリヨードメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリブロモエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリヨードエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル)アミン、ビス(2−フルオロフェニル)アミン、ビス(3−フルオロフェニル)アミン、ビス(4−フルオロフェニル)アミン、ビス(2−クロロフェニル)アミン、ビス(3−クロロフェニル)アミン、ビス(4−クロロフェニル)アミン、ビス(2−ブロモフェニル)アミン、ビス(3−ブロモフェニル)アミン、ビス(4−ブロモフェニル)アミン、ビス(2−ヨードフェニル)アミン、ビス(3−ヨードフェニル)アミン、ビス(4−ヨードフェニル)アミン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジクロロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジクロロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジブロモフェニル)アミン、ビス(3,5−ジブロモフェニル)アミン、ビス(2,6−ジヨードフェニル)アミン、ビス(3,5−ジヨードフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリヨードフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリクロロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリブロモフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリヨードフェニル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、ビス(ペンタクロロフェニル)アミン、ビス(ペンタブロモフェニル)アミン、ビス(ペンタヨードフェニル)アミン、ビス(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2−シアノフェニル)アミン、(3−シアノフェニル)アミン、ビス(4−シアノフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン、ビス(3−ニトロフェニル)アミン、およびビス(4−ニトロフェニル)アミンや、これらの窒素原子がリン原子に置換されたホスフィン化合物を例示することができる。該ホスフィン化合物は、上記のアミンをホスフィンに書き換えることによって表される化合物である。
【0107】
上記化合物(b)のアルコール類として、フルオロメタノール、クロロメタノール、ブロモメタノール、ヨードメタノール、ジフルオロメタノール、ジクロロメタノール、ジブロモメタノール、ジヨードメタノール、トリフルオロメタノール、トリクロロメタノール、トリブロモメタノール、トリヨードメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,2−トリブロモエタノール、2,2,2−トリヨードエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエタノール、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエタノール、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエタノール、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエタノール、および1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエタノールや、これら化合物の酸素原子が硫黄原子に置換されたチオール化合物を例示することができる。チオール化合物は、上記のメタノールをメタンチオールに、エタノールをエタンチオールに、プロパノールをプロパンチオールに書き換えることによって表される化合物である。
【0108】
化合物(b)のフェノール類として、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノール、パーフルオロ−1−ナフトール、パーフルオロ−2−ナフトール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,4−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、3,4,5−トリクロロフェノール、2,3,5,6−テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ペンタクロロフェニルフェノール、パークロロ−1−ナフトール、パークロロ−2−ナフトール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,6−ジブロモフェノール、3,4−ジブロモフェノール、3,5−ジブロモフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、3,4,5−トリブロモフェノール、2,3,5,6−テトラブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェノール、2,3,5,6−テトラブロモ−4−ペンタブロモフェニルフェノール、パーブロモ−1−ナフトール、パーブロモ−2−ナフトール、2−ヨードフェノール、3−ヨードフェノール、4−ヨードフェノール、2,4−ジヨードフェノール、2,6−ジヨードフェノール、3,4−ジヨードフェノール、3,5−ジヨードフェノール、2,4,6−トリヨードフェノール、3,4,5−トリヨードフェノール、2,3,5,6−テトラヨードフェノール、ペンタヨードフェノール、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリヨードメチルフェノール、2,3,5,6−テトラヨード−4−ペンタヨードフェニルフェノール、パーヨード−1−ナフトール、パーヨード−2−ナフトール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、および4−ニトロフェノールや、これらの酸素原子が硫黄原子に置換されたチオフェノール化合物を例示することができる。チオフェノール化合物は、上記化合物のフェノールをチオフェノールに書き換えることによって表される化合物である。
【0109】
化合物(b)は好ましくは、アミン類としては、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、またはビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、アルコール類としてはトリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、フェノール類としては2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、または3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェノールである。
【0110】
化合物(b)はより好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールであり、さらに好ましくは、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールである。
【0111】
上記の化合物(c)は好ましくは、水、硫化水素、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、ハロゲン化アルキルアミン、ハロゲン化アリールアミン、または(ハロゲン化アルキル)アリールアミンであり、さらに好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−エイコシルアミン、アリルアミン、シクロペンタジエニルアミン、アニリン、2−トリルアミン、3−トリルアミン、4−トリルアミン、2,3−キシリルアミン、2,4−キシリルアミン、2,5−キシリルアミン、2,6−キシリルアミン、3,4−キシリルアミン、3,5−キシリルアミン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,3,5−トリメチルアニリン、2,3,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、ペンタメチルアニリン、エチルアニリン、n−プロピルアニリン、イソプロピルアニリン、n−ブチルアニリン、sec−ブチルアニリン、tert−ブチルアニリン、n−ペンチルアニリン、ネオペンチルアニリン、n−ヘキシルアニリン、n−オクチルアニリン、n−デシルアニリン、n−ドデシルアニリン、n−テトラデシルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、(2−メチルフェニル)メチルアミン、(3−メチルフェニル)メチルアミン、(4−メチルフェニル)メチルアミン、(2,3−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,4−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,6−ジメチルフェニル)メチルアミン、(3,4−ジメチルフェニル)メチルアミン、(3,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルアミン、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(ペンタメチルフェニル)メチルアミン、(エチルフェニル)メチルアミン、(n−プロピルフェニル)メチルアミン、(イソプロピルフェニル)メチルアミン、(n−ブチルフェニル)メチルアミン、(sec−ブチルフェニル)メチルアミン、(tert−ブチルフェニル)メチルアミン、(n−ペンチルフェニル)メチルアミン、(ネオペンチルフェニル)メチルアミン、(n−ヘキシルフェニル)メチルアミン、(n−オクチルフェニル)メチルアミン、(n−デシルフェニル)メチルアミン、(n−テトラデシルフェニル)メチルアミン、ナフチルメチルアミン、アントラセニルメチルアミン、フルオロメチルアミン、クロロメチルアミン、ブロモメチルアミン、ヨードメチルアミン、ジフルオロメチルアミン、ジクロロメチルアミン、ジブロモメチルアミン、ジヨードメチルアミン、トリフルオロメチルアミン、トリクロロメチルアミン、トリブロモメチルアミン、トリヨードメチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、2,2,2−トリクロロエチルアミン、2,2,2−トリブロモエチルアミン、2,2,2−トリヨードエチルアミン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピルアミン、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピルアミン、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアミン、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチルアミン、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチルアミン、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチルアミン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン 、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチルアミン、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチルアミン、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2−ヨードアニリン、3−ヨードアニリン、4−ヨードアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、3,5−ジブロモアニリン、2,6−ジヨードアニリン、3,5−ジヨードアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、2,4,6−トリヨードアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリクロロアニリン、3,4,5−トリブロモアニリン、3,4,5−トリヨードアニリン、ペンタフルオロアニリン、ペンタクロロアニリン、ペンタブロモアニリン、ペンタヨードアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、または3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)アニリンである。
【0112】
化合物(c)はより好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−オクチルアミン、アニリン、2,6−キシリルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、トリフルオロメチルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリン、または3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、特に好ましくは、水、トリフルオロメチルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリン、または3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、もっとも好ましくは水またはペンタフルオロアニリンである。
【0113】
上記の粒子(d)は、一般に担体として用いられているものが好ましい。中でも、粒径の整った、多孔性の物質が好ましく、無機物質または有機ポリマーが好適であり、無機物質がより好適である。
【0114】
粒子(d)の粒径の体積基準の幾何標準偏差は、得られるポリマーの粒径分布の観点から、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.7以下である。
【0115】
上記の無機物質として、無機酸化物、マグネシウム化合物、粘土、粘土鉱物およびこれらの組合せを例示することができる。中でも、無機酸化物が好適である。
【0116】
無機酸化物として、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2、およびこれらの混合物(例えば、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、およびSiO2−TiO2−MgO)を例示することができる。中でも、SiO2および/またはAl23が好ましく、特にシリカが好ましい。無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、およびLi2Oのような、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩または酸化物を含有してもかまわない。
【0117】
上記のマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、およびフッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、およびオクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、およびメチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、および2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウムおよびジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ならびにラウリン酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩を例示することができる。中でも、好ましくはハロゲン化マグネシウムまたはアルコキシマグネシウムであり、さらに好ましくは塩化マグネシウムまたはブトキシマグネシウムである。
【0118】
上記の粘土または粘土鉱物として、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、およびハロイサイトを例示することができる。中でも、好ましくはスメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイトまたはサポナイトであり、さらに好ましくはモンモリロナイトまたはヘクトライトである。
上記の無機物質は、乾燥し実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥させたものが好ましい。加熱処理は通常、目視で水分を確認できない無機物質について温度100〜1,500℃で、好ましくは100〜1,000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。その加熱時間は特に限定されるものではないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。乾燥法として、加熱下に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)を一定の流速で流通させる方法、および加熱下に減圧する方法を例示することができる。
【0119】
無機物質の平均粒子径は、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは10〜100μmであり、細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gであり、比表面積は、好ましくは10〜1000m2/g、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0120】
粒子(d)の有機ポリマーとして、活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体が好ましい。
【0121】
上記の活性水素を有する官能基として、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、およびカルバゾリル基を例示することができる。中でも、好ましくは1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基であり、特に好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシ基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0122】
上記の非プロトン供与性のルイス塩基性官能基として、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、および置換スルホン酸基を例示することができる。中でも、好ましくは複素環基であり、さらに好ましくは酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基であり、特に好ましくはピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0123】
活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基の量は、好ましくは重合体単位グラム当りの官能基のモル量として0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0124】
上記の官能基を有する重合体の製造方法として、活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合する方法、該モノマーと重合性不飽和基を有する他のモノマーとを共重合する方法を例示することができる。該モノマーは、2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーと組合せることが好ましい。該活性水素を有する官能基または非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーとして、(1)活性水素を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマー、および(2)非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
【0125】
活性水素を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとして、ビニル基含有1級アミン、ビニル基含有2級アミン、ビニル基含有アミド化合物、およびビニル基含有ヒドロキシ化合物を例示することができる。具体例として、N−(1−エテニル)アミン、N−(2−プロペニル)アミン、N−(1−エテニル)−N−メチルアミン、N−(2−プロペニル)−N−メチルアミン、1−エテニルアミド、2−プロペニルアミド、N−メチル−(1−エテニル)アミド、N−メチル−(2−プロペニル)アミド、ビニルアルコール、2−プロペン−1−オール、および3−ブテン−1−オール例示することができる。非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとして、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、およびビニル(N−置換)インダゾールを例示することができる。
【0126】
上記の重合性不飽和基を有する他のモノマーとして、エチレン、α−オレフィン、および芳香族ビニル化合物を例示することができ、具体例として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、およびそれらの2以上の組合せを例示することができる。中でも、好ましくはエチレンまたはスチレンである。上記の2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーとして、ジビニルベンゼンを例示することができる。
【0127】
有機ポリマーの平均粒子径は好ましくは、5〜1000μm、より好ましくは10〜500μmであり、細孔容量は好ましくは、0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gであり、比表面積は好ましくは、10〜1000m2/g、より好ましくは50〜500m2/gである。
【0128】
有機ポリマーは、乾燥し実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥させたものが好ましい。加熱処理は通常、目視で水分を確認できない有機ポリマーについて温度30〜400℃で、好ましくは50〜200℃で、さらに好ましくは70〜150℃で実施される。その加熱時間は特に限定されるものではないが、好ましくは30分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。乾燥法として、加熱下に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)を一定の流速で流通させる方法、および加熱下に減圧する方法を例示することができる。
【0129】
化合物(a)と化合物(b)と化合物(c)と粒子(d)とを接触させる順序は特に限定されず、以下の順序を例示することができる:
1)(a)と(b)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる;
2)(a)と(b)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる;
3)(a)と(c)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる;
4)(a)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる;
5)(a)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる;
6)(a)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる;
7)(b)と(c)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる;
8)(b)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる;
9)(b)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる;
10)(b)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる;
11)(c)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる;および
12)(c)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
中でも、好ましくは順序1)、2)、11)または12)である。
【0130】
該接触は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。接触の温度は通常−100〜300℃、好ましくは−80〜200℃であり、時間は通常1分間〜200時間、好ましくは10分間〜100時間である。接触は溶媒を用いて又は用いないで行われる。
【0131】
該溶媒として通常、上記の順序1)〜12)中の各接触工程(例えば順序(1)の場合、(a)と(b)との接触工程、その接触物と(c)との接触工程、およびその接触物と(d)との接触工程)において、化合物(a)〜(c)や粒子(d)や接触物と反応しない溶媒が用いられる。
【0132】
該溶媒として、脂肪族ハイドロカルビル溶媒および芳香族ハイドロカルビル溶媒のような非極性溶媒、ならびにハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、および硫黄化合物のような極性溶媒を例示することができる。具体例としてブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、およびシクロヘキサンのような脂肪族ハイドロカルビル溶媒;ベンゼン、トルエンおよびキシレンのような芳香族ハイドロカルビル溶媒;ジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、およびo−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化物溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、およびテトラヒドロピランのようなエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびグリセリンのようなアルコール系溶媒;フェノールおよびp−クレゾールのようなフェノール系溶媒;アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチル−2−ピロリドンのようなカルボニル系溶媒;ヘキサメチルリン酸トリアミドおよびリン酸トリエチルのようなリン酸誘導体;アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、およびベンゾニトリルのようなニトリル系溶媒;ニトロメタンおよびニトロベンゼンのようなニトロ化合物;ピリジン、ピペリジンおよびモルホリンのようなアミン系溶媒;ならびにジメチルスルホキシドおよびスルホランのような硫黄化合物を例示することができる。
【0133】
上記の順序1)、3)および()の場合、(a)と(b)と(c)との接触物、すなわち粒子(d)との接触に用いられる接触物を製造するための溶媒は、好ましくは脂肪族ハイドロカルビル溶媒、芳香族ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系溶媒である。
他方、該接触物と粒子(d)とを接触させる際の溶媒は極性溶媒が好ましい。溶媒の極性を表す指標として、ETN値(C.Reichardt,“Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistry”, 2nd ed., VCH Verlag (1988).)が知られており、極性溶媒として0.8≧ETN≧0.1を満足する溶媒が特に好ましい。該極性溶媒として、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、およびスルホランを例示することができ。中でも、好ましくはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールであり、特に好ましくはジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノールまたはシクロヘキサノールであり、最も好ましくはテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールである。
【0134】
また、接触物と粒子(d)とを接触させる際の溶媒は、極性溶媒とハイドロカルビル溶媒との混合溶媒であってもよい。該ハイドロカルビル溶媒として、上記の脂肪族ハイドロカルビル溶媒および芳香族ハイドロカルビル溶媒を例示することができる。極性溶媒とハイドロカルビル溶媒との混合溶媒として、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘキサン/1−プロパノール混合溶媒、ヘキサン/2−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/1−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/2−プロパノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トルエン/1−プロパノール混合溶媒、トルエン/2−プロパノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒、キシレン/1−プロパノール混合溶媒、およびキシレン/2−プロパノール混合溶媒を例示することができる。中でも、好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒であり、さらに好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒またはトルエン/エタノール混合溶媒であり、最も好ましくはトルエンの好ましくは50〜90体積%、さらに好ましくは70〜85体積%と、エタノールの好ましくは10〜50体積%、さらに好ましくは15〜30体積%との混合溶媒である(両者の合計を100体積%とする)。
【0135】
上記の順序1)、3)および7)の全ての接触工程において、ハイドロカルビル溶媒のみを用いてもよい。この場合、(a)と(b)と(c)との接触物の生成時点から、該接触物と粒子(d)とを接触させる時点までの時間間隔は短い方が好ましい。該時間間隔は、好ましくは0〜5時間、さらに好ましくは0〜3時間、最も好ましくは0〜1時間である。接触物と粒子(d)とを接触させる際の温度は、通常−100℃〜40℃、好ましくは−20℃〜200℃、最も好ましくは−10℃〜10℃である。
【0136】
上記の順序 2)、5)、6)および8)〜12)は、非極性溶媒および極性溶媒のいずれも使用することができる。中でも、非極性溶媒が好ましい。なぜなら、(a)と(c)との接触物や、(a)および(b)の接触物と(c)との接触物は一般に、非極性溶媒に対して溶解性が低いので、粒子(d)の表面に析出し易いからである。つまり、粒子(d)の表面に該接触物を固定化させたいところ、極性溶媒を使うと、該接触物は極性溶媒に対して溶解性が高いので、粒子(d)の表面に固定化し難いからである。
【0137】
上記の化合物(a)、(b)および(c)の使用量は特に制限されないが、化合物(a)1モルあたりの化合物(b)の使用量をyモル、化合物(c)の使用量をzモルとすると、yおよびzが下式(X)を実質的に満足することが好ましい:
|d−y−2z|<1 (X)
式中、dはM1 の原子価を表す。
yは好ましくは0.01〜1.99、より好ましくは0.10〜1.80、さらに好ましくは0.20〜1.50、最も好ましくは0.30〜1.00である。zは、d、yおよび上式(X)によって決定される。
【0138】
上記の「式(X)を実質的に満足する」とは、この式が完全には満足されなくても、式(X)が満足されるように各化合物を使用しようと意図することを意味する。なぜなら、式(X)を完全に満足するように各化合物を使用したとしても、該使用量は微妙に変動してしまうことがあり、また通常は、未反応で残存する化合物の量を考慮して使用量を適宜増減させるからである。
【0139】
粒子(d)は、改質された粒子(I)1グラムが、化合物(a)に由来する典型金属原子を0.1mmol以上、好ましくは0.5〜20mmol含む量で使用される。
上記の順序(1)〜(12)で得られる最終の接触物(反応生成物)は、反応をより進行させるために、加熱されることが好ましい。該加熱の態様として、より高温で加熱するために、接触で用いた溶媒を、より沸点の高い溶媒で置換する方法を例示することができる。
【0140】
得られた改質された粒子(I)中に含まれる未反応の化合物(a)〜(c)や未反応の粒子(d)を除去するために、改質された粒子(I)を、接触時と同じまたは異なる溶媒で洗浄することが好ましい。
【0141】
洗浄された改質された粒子(I)は減圧下、25℃以上で1時間〜24時間好ましくは40℃〜200℃で1時間〜24時間、より好ましくは60℃〜200℃で1時間〜24時間、さらに好ましくは60℃〜160℃で2時間〜18時間、最も好ましくは80℃〜160℃で4時間〜18時間乾燥するのが好ましい。
(II)アルミノキサンと粒子(d)とを接触させて得られる改質された粒子
該アルミノキサンは、好ましくは下式で表されるアルミノキサンである:
{−Al(E2)−O−}bなる環状のアルミノキサン
3{−Al(E3)−O−}cAlE32なる線状のアルミノキサン
式中、E2およびE3はそれぞれハイドロカルビル基、好ましくは炭素数1〜8のハイドロカルビル基、より好ましくアルキル基であり、全てのE2および全てのE3は同じか異なり;Yは水素原子またはハロゲン原子を表し、全てのYは同じか異なり;aは0<a≦3を満足する数を表し;bは2以上の整数、好ましくは2〜40の整数を表し;cは1以上の整数、好ましくは1〜40の整数を表す。
【0142】
上記E2およびE3として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、およびネオペンチル基のようなアルキル基を例示することができる。なかでも、好ましくはメチル基またはイソブチル基である。
【0143】
上記のアルミノキサンは公知のアルミノキサンでもよく、その製造方法として、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウム)の有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンまたは脂肪族ハイドロカルビル)の溶液と水とを接触させる方法や、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウム)と、結晶水を含む金属塩(例えば、硫酸銅水和物)とを接触させてる方法を例示すねことができる。これらの方法で得られたアルミノキサンは通常、環状のアルミノキサンと線状のアルミノキサンとの混合物であると考えられている。
【0144】
アルミノキサンと粒子(d)とを接触させる方法は特に制限されないる該方法として、粒子(d)を分散させた溶媒中にアルミノキサンを添加する方法を例示することができる。該溶媒として、既述の溶媒を例示することができ、アルミノキサンと反応しない溶媒が好ましく、アルミノキサンを溶解させる溶媒がより好ましい。溶媒は、好ましくはベンゼンや、トルエン、およびキシレンのような芳香族ハイドロカルビル溶媒、またはヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル溶媒であり、更に好ましくはトルエンまたはキシレンである。
【0145】
アルミノキサンと粒子(d)とを接触させる温度や時間は特に限定されず、温度は通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜150℃、更に好ましくは−20℃〜120℃である。特に接触の初期は、反応による発熱を抑えるために低温で接触させるのが好ましい。アルミノキサンおよび粒子(d)の使用量は特に制限されない。アルミノキサンは、使用されるアルミノキサン中のアルミニウム原子換算で、粒子(d)の単位グラム当たり、通常0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜20mmol、更に好ましくは1〜10mmolである。
【0146】
本発明の重合触媒の製造方法において、遷移金属化合物と活性化用助触媒成分とを接触させる方法は特に限定されない。接触の方法として、両者の混合物を重合槽に供給する方法や、両者を別々に重合槽に供給する方法を例示することができる。これらの方法において、活性化用助触媒成分の一部分と遷移金属化合物とを重合槽に供給し、次いで残り部分を供給してもよい。接触は、溶媒を使用せず又は使用して行われる。
【0147】
遷移金属化合物と活性化用助触媒成分とを接触させる温度は特に限定されず、通常−100℃から150℃、好ましくは−50℃から100℃、より好ましくは−10℃から80℃、特に好ましくは0℃から50℃の範囲である。遷移金属化合物と活性化用助触媒成分とを接触させる時間は特に限定されないが、通常0〜24時間、好ましくは0から6時間、より好ましくは0から3時間、特に好ましくは、0から1時間の範囲である。
【0148】
上記の有機アルミニウム化合物A−1は、遷移金属化合物1モルあたり0.1〜10,000モル、好ましくは5〜2,000モル使用される。上記のホウ素化合物は、遷移金属化合物1モルあたり0.01〜100モル、好ましくは0.5〜10モル使用される。
【0149】
溶媒を使用する場合、遷移金属化合物の濃度は、通常0.0001〜1000ミリモル/リットル、より好ましくは、0.05〜200ミリモル/リットル、さらに好ましくは、0.01〜50ミリモル/リットルであり、有機アルミニウム化合物A−1の濃度は、アルミニウム原子換算で、通常0.01〜5000ミリモル/リットル、より好ましくは0.1〜2500ミリモル/リットル、さらに好ましくは、0.1〜2000ミリモル/リットルであり、ホウ素化合物の濃度は、通常0.001〜500ミリモル/リットル、より好ましくは0.01〜250ミリモル/リットル、さらに好ましくは、0.05〜100ミリモル/リットルである。
【0150】
本発明のオレフィン重合体の製造方法における重合方法は特に限定されない。重合方法として、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル、ベンゼンおよびトルエンのような芳香族ハイドロカルビル、またはメチレンジクロライドのようなハロゲン化ハイドロカルビルを溶媒として用いる溶媒重合またはスラリー重合、ならびにガス状のモノマー中での気相重合を例示することができ、連続重合または回分式重合行われる。
【0151】
重合温度は、通常−50℃〜200℃、特に好ましくは−20℃〜100℃、重合圧力は常圧〜6MPaが好ましい。重合時間は、一般に目的とするポリマーの種類や反応装置により適宜決定され、通常1分間〜20時間である。重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0152】
上記の改質された粒子(I)または(II)は、以下の有機アルミニウム化合物(以下「有機アルミニウム化合物A−2」と言う)と併用することが好ましい。本発明における好ましいオレフィン重合用触媒は、上式(1)で表される遷移金属化合物なる触媒成分と、改質された粒子(I)または(II)なる活性化用助触媒成分と、有機アルミニウム化合物A−2とを接触させて得られる重合用触媒である。
該有機アルミニウム化合物A−2は公知の化合物でもよく、好ましくは下式[7]で表される化合物である:
17cAlY23-c [7]
式中、R17 はハイドロカルビル基を表し、全てのR17 は同一か異なり、Y2は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基を表し、全てのY2は同一か異なり、cは0<c≦3を満足する数を表す。
該R17は、好ましくは炭素原子数1〜24のハイドロカルビル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜24のアルキル基である。R17としてメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、およびノルマルオクチル基を例示することができる。中でも、好ましくはエチル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルヘキシル基またはノルマルオクチル基である。
【0153】
上記のY2のハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができ、好ましくは塩素原子である。
【0154】
上記のY2のアルコキシ基は、炭素原子数1〜24のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、およびn−イコソキシ基を例示することができる。中でも、好ましくはメトキシ基、エトキシ基またはt−ブトキシ基である。
【0155】
上記のY2のアリールオキシ基は、好ましくは炭素原子数6〜24のアリールオキシ基である。該アリールオキシ基として、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を例示することができる。
【0156】
上記のY2のアラルキルオキシ基は、好ましくは炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基である。該アラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を例示することができる。中でも、好ましくはベンジルオキシ基である。
【0157】
上式[7]で表される有機アルミニウム化合物A−2として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、およびトリノルマルオクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジノルマルプロピルアルミニウムクロライド、ジノルマルブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、およびジノルマルヘキシルアルミニウムクロライドのようなジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ノルマルプロピルアルミニウムジクロライド、ノルマルブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、およびノルマルヘキシルアルミニウムジクロライドのようなアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジノルマルプロピルアルミニウムハイドライド、ジノルマルブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、およびジノルマルヘキシルアルミニウムハイドライドのようなジアルキルアルミニウムハイドライド;トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、およびトリ(t−ブトキシ)アルミニウムのようなトリアルコキシアルミニウム;メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、およびメチル(ジ−t−ブトキシ)アルミニウムのようなアルキル(ジアルコキシ)アルミニウム;ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、およびジメチル(t−ブトキシ)アルミニウムのようなジアルキル(アルコキシ)アルミニウム;トリフェノキシアルミニウム、トリス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびトリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムのようなトリアリールオキシアルミニウム;メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびメチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムのようなアルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム;ならびにジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムのようなジアルキル(アリールオキシ)アルミニウムや、これらの化合物の2以上の組み合わせを例示することができる。中でも、好ましくはトリアルキルアルミニウムであり、さらに好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウムまたはトリノルマルオクチルアルミニウムであり、特に好ましくはトリイソブチルアルミニウムまたはトリノルマルオクチルアルミニウムである。
【0158】
上記の式(1)で表される遷移金属化合物の使用量は、改質された粒子(I)または(II)1gあたり、通常1×10-6〜1×10-3mol、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。
【0159】
上記の有機アルミニウム化合物A−2の使用量は、使用される有機アルミニウム化合物A−2中のアルミニウム原子のモル換算で、使用される遷移金属化合物中の遷移金属原子1モルあたり、好ましくは0.01〜10,000モル、より好ましくは0.1〜5,000モル、最も好ましくは1〜2,000でモルある。
【0160】
本発明の重合用触媒の製造方法において、遷移金属化合物、改質された粒子および有機アルミニウム化合物の重合反応装置への供給方法として、(1)これら成分の接触物を重合反応装置へ供給する方法、(2)これら成分を別々に重合反応装置へ供給する方法、(3)これら成分の任意の2成分の接触物と、残りの成分とを別々に重合反応装置へ供給する方法、を例示することができる。
【0161】
これら成分は、固体状態で、または水分や酸素のような触媒成分を失活させる成分を十分に取り除いたハイドロカルビル溶媒を用いた溶液状態、懸濁状態もしくはスラリー状態で供給される。溶液、懸濁液およびスラリー中の遷移金属化合物の濃度は、該化合物中の遷移金属原子換算で通常0.0001〜1000ミリモル/リットル、好ましくは0.01〜50ミリモル/リットルであり、改質された粒子の濃度は、通常0.01〜1000g/リットル、好ましくは0.1〜500g/リットルであり、有機アルミニウム化合物の濃度は、該化合物中のAl原子換算で通常0.0001〜100モル/リットル、好ましくは0.01〜10モル/リットルである。
【0162】
式(1)で表される遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物A−1および/またはホウ素化合物とを接触させてなる重合用触媒の製造方法において、または該遷移金属化合物と、改質された粒子と、有機アルミニウム化合物A−2とを接触させてなる重合用触媒の製造方法において、特開2005−126628に記載された活性水素を有する化合物、または特開2005−126627に記載された電子供与性化合物を更に接触させてもよい。活性水素を有する化合物や電子供与性化合物は、好ましくは3級アミンまたは2級アミン、より好ましくはトリエチルアミンおよびトリノルマルオクチルアミンのような3級アミンである。上記後者の重合用触媒の製造方法におい、活性水素を有する化合物または電子供与性化合物の下限使用量は、有機アルミニウム化合物A−2のアルミニウム原子の1モルあたり、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、上限使用量は、重合活性を高める観点から、好ましくは30mol%以下、より好ましくは20mol%以下である。
【0163】
本発明のオレフィン重合体の製造方法として、ガス状モノマー中での気相重合、ならびに溶媒を使用する溶液重合およびスラリー重合を例示することができる。該溶媒として、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような脂肪族ハイドロカルビル溶媒;ベンゼンおよびトルエンのような芳香族ハイドロカルビル溶媒;ならびにメチレンクロライドのようなハロゲン化ハイドロカルビル溶媒を例示することができる。バルク重合においては、重合されるオレフィンを溶媒として用いることができる。重合は回分式重合または連続式重合であり、反応条件の異なる2段階以上に分けて重合を行っても良い。
【0164】
上記スラリー重合は、公知の重合方法および重合条件を採ることができる。好ましくいスラリー重合方法として、モノマー(およびコモノマー)や稀釈剤のような供給物を必要に応じて連続的に添加し、かつ、生成ポリマーを連続的または少なくとも周期的に取出す連続式反応器を例示することができる。該反応器として、ループ反応器や、構造および条件の異なる複数の攪拌反応器を直列、並列またはこれらの組合せに配置した反応器を例示することができる。稀釈剤として、パラフィン、シクロパラフィンおよび芳香族ハイドロカルビルのような不活性稀釈剤(媒質)を例示することができる。
【0165】
重合反応器または反応帯域の温度は、通常約0℃〜約150℃、好ましくは30℃〜100℃である。重合時間は、目的とするオレフィン重合体の種類や反応装置により適宜決定され、一般に1分間〜20時間である。重合圧力は通常約0.1MPa〜約10MPa、好ましくは0.5MPa〜5MPaである。触媒を懸濁状態に保持し、媒質および少なくとも一部のモノマーおよびコモノマーを液相に維持した状態でモノマーおよびコモノマーを接触させるような圧力を採るこができる。従って、媒質、温度、および圧力は、重合体が固体粒子として生成され、その形態で回収されるように選択すればよい。
【0166】
重合体の分子量は、反応帯域の温度の調節や水素の導入のような、公知の手段によって制御することができる。
【0167】
各触媒成分やモノマー(およびコモノマー)は、公知の任意の方法によって、任意の順序で反応器または反応帯域に添加できる。添加の方法として、各触媒成分やノマー(およびコモノマー)を反応帯域に同時に添加する方法、逐次に添加する方法を例示することができる。各触媒成分は、モノマー(およびコモノマー)と接触させる前に、不活性雰囲気中において予備接触してもよい。
【0168】
気相重合は公知の重合方法および重合条件に従って行うことができる。反応装置として流動層型反応槽を例示することができ、好ましくは拡大部を有する流動層型反応槽である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。各成分を重合槽に供給する方法として、窒素やアルゴンのような不活性ガス、水素またはエチレンを用いて、水分のない状態で供給する方法、溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法を例示することができる。各触媒成分は個別に供給してもよいし、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0169】
重合温度は、重合体が溶融する温度未満、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは30℃〜100℃である。最終製品の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加しても構わない。重合に際して、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0170】
本発明においては、このような重合(本重合)の実施前に、以下に述べる予備重合を行ってもかまわない。
【0171】
予備重合は、式(1)で表される遷移金属化合物と、改質された粒子と、有機アルミニウム化合物A−2との存在下、少量のオレフィンをスラリー重合するのが好ましい。スラリー重合の溶媒として、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、およびトルエンのような不活性ハイドロカルビルを例示することができる。該溶媒の一部または全部を、液状のオレフィンに換えてもよい。
【0172】
予備重合時の有機アルミニウム化合物A−2の使用量は、遷移金属化合物1モル当たり、0.5〜700モル、好ましくは0.8〜500、特に好ましくは1〜200モルである。
【0173】
予備重合されるオレフィンの量は、改質された粒子1g当たり、通常0.01〜1000g、好ましくは0.05〜500g、特に好ましくは0.1〜200gである。
【0174】
予備重合のスラリー濃度は、好ましくは0.1〜50g−改質された粒子/リットル−溶媒、特に好ましくは0.5〜20g−改質された粒子/リットル−溶媒である。予備重合温度は、−20℃〜100℃が好ましく、0℃〜80℃が特に好ましい。予備重合の気相部のオレフィンの分圧は、0.001MPa〜2MPaが好ましく、0.01MPa〜1MPaが特に好ましいものの、予備重合の圧力および温度において液状であるオレフィンについてはこの限りではない。予備重合時間は特に制限されず、通常2分間から15時間が好適である。
【0175】
予備重合を実施する際、遷移金属化合物、改質された粒子、有機アルミニウム化合物A−2、およびオレフィンを供給する方法として、遷移金属化合物と改質された粒子と任意に有機アルミニウム化合物A−2とを接触させた後にオレフィンを供給する方法;遷移金属化合物と改質された粒子とオレフィンとを接触させた後に有機アルミニウム化合物A−2を供給する方法;オレフィンの存在下に有機アルミニウム化合物A−2と遷移金属化合物とを接触させた後に改質された粒子を供給する方法を例示することができる。改質された粒子と有機アルミニウム化合物A−2とを接触させる際には、オレフィンが予め存在している方が好ましい。
【0176】
オレフィンの供給方法として、重合槽内が所定の圧力になるように保持しながら順次オレフィンを供給する方法;所定のオレフィン量を最初にすべて供給する方法を例示することができる。得られる重合体の分子量を調節するために水素のような連鎖移動剤を添加してもよい。
【0177】
上記の予備重合で得られたものが、触媒成分または触媒として使用される。予備重合された触媒成分は、遷移金属化合物と、改質された粒子と、有機アルミニウム化合物A−2とを接触させて得られる一次触媒の存在下に、オレフィンを予備重合して得られる予備重合済触媒成分である。本発明に係るオレフィン重合用触媒は、該予備重合済触媒成分と有機アルミニウム化合物A−1とを接触させて得られる。
【0178】
本発明のオレフィン重合体の製造方法で使用されるオレフィンとして、炭素原子数2〜20のオレフィン;ジオレフィン;環状オレフィン;アルケニル芳香族ハイドロカルビル;極性モノマー;およびこれらの2以上の組合せを例示することができる。
オレフィンとして、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンのようなオレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエンのようなジオレフィン;ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセンのような環状オレフィン;スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレンのようなアルケニルベンゼン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、ジビニルベンゼンのようなビスアルケニルベンゼン、1−ビニルナフタレンのようなアルケニルナフタレンのようなアルケニル芳香族ハイドロカルビル;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸のようなα,β−不飽和カルボン酸、およびそのナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムのような金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルのようなα,β−不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルのような不飽和カルボン酸グリシジルエステルのような極性モノマーを例示することができる。
【0179】
本発明のオレフィン重合体の製造方法で製造される重合体は単独重合体または共重合体であり、共重合体として、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセ共重合体ン、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体を例示することができる。中でも、好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、ポリエチレン結晶構造を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体が特に好ましい。該α−オレフィンは、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンのような炭素原子数3〜8のα−オレフィンである。
【実施例】
【0180】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における各種触媒成分の使用量や、エチレン/水素混合ガスの水素濃度などの重合条件は、得られるオレフィン重合体を適度な強度と密度を必要とするフィルムに使用する場合を想定して該オレフィン重合体の密度が近い値となるように調節して重合を行った。また、実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0181】
(1)密度(単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0182】
(2)長鎖分岐数(NLCB、単位:1/1000C)
カーボン核磁気共鳴法によって、次の測定条件により、カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定し、下記算出方法より求めた。
得られる重合体の長鎖分岐数は、重合体の成型加工性に影響を与え、長鎖分岐数が大きいほど成型加工性に優れることを示す。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−d4
=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
測定基準:トリメチルシラン
窓関数 :負の指数関数
<算出方法>
5〜50ppmに観測されるすべてのピークの総和を1000として、38.22〜38.27ppm付近にピークトップを有するピークのピーク面積を求めた。当該ピークのピーク面積は、高磁場側で隣接するピークとの谷のケミカルシフトから、低磁場側で隣接するピークとの谷のケミカルシフトまでの範囲でのシグナルの面積とした。なお、本条件によるエチレン−α−オレフィン共重合体の測定では、炭素原子数5の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークのピークトップの位置は、38.21ppmであった。
【0183】
(参考例1)
1. 1-ブロモ-2- (5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルベンズ-f-インデニル)エタンの合成
窒素置換した1000 mL三口フラスコに5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-1H-ベンズ-f-インデン 23.0 g (純度100%, 102 mmol)とテトラヒドロフラン 600 mLを仕込み、氷浴により冷却した後、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液67.1 mL (1.59 M, 107 mmol)を滴下した。溶液の色は無色から黄色に変化した。この溶液を室温まで徐々に昇温し、さらに1時間撹拌することで、リチウム(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-1H-ベンズ-f-インデニド)のテトラヒドロフラン溶液を調整した。別途、窒素置換した2000 mL三口フラスコにジブロモエタン 35.5 mL (406 mmol)とテトラヒドロフラン 200 mLを仕込み、-78℃まで冷却した。ここに、先に調整したリチウム(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-1H-ベンズ-f-インデニド)のテトラヒドロフラン溶液を徐々に滴下した。溶液の色は薄い橙色に変化した。滴下終了後、反応溶液を室温まで昇温した後、さらに2時間撹拌した。この溶液を水浴により冷却しながら、蒸留水200 mLを滴下した。有機層を分離した後、水層を酢酸エチルで抽出した。分離した有機層と抽出液をあわせ、飽和食塩水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。減圧下、揮発成分を留去して、黄色油状物を1-ブロモ-2- (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデン-1-イル)エタンと1-ブロモ-2- (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデン-3-イル)エタンの混合物(94:6)として得た。収量29.9 g (純度 89%, 80 mmol,収率79%)。
1-ブロモ-2- (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデン-1-イル)エタン1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.35 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 6.79 (dd, 1H, J = 5.6, 2.0), 6.43 (dd, 1H, J = 5.6, 2.0), 3.66 (t, 1H), 3.50 (t, 2H, J = 8.0), 2.42-2.33 (m, 1H), 2.13-2.04 (m, 1H), 1.74(s,4H), 1.31 (s, 12H).
1-ブロモ-2- (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデン-3-イル)エタン1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 6.24 (s, 1H) 3.63 (m, 2H), 3.31 (s, 2H), 3.12 (t, 2H, J = 8.6).
微量成分のためその他のピークの帰属は不可であった。
【0184】
(実施例1)
(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルベンズ-f-インデニル)(インデニル)エタンの合成
窒素置換した1000 mL三口フラスコにインデン 12.5 g (純度98%, 108 mmol)と テトラヒドロフラン 324 mLを仕込み、氷浴により冷却した後、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液67.7 mL (1.59 M, 108 mmol)を滴下した。溶液の色は無色から黄色に変化した。この溶液を室温まで徐々に昇温し、さらに1時間撹拌することで、リチウム インデニドのテトラヒドロフラン溶液を調整した。別途、窒素置換した1000 mL三口フラスコに1-ブロモ-2- (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデン-1-イル)エタンと1-ブロモ-2- (5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデン-3-イル)エタンの混合物(94:6) 29.9 g(純度89%, 80 mmol)とテトラヒドロフラン 108 mLを仕込み、-78℃まで冷却した。ここに、先に調整したリチウム インデニドのテトラヒドロフラン溶液を徐々に滴下した。溶液の色は赤色に変化した。滴下終了後、反応溶液を室温まで昇温した後、さらに終夜撹拌した。この溶液を水浴により冷却しながら、蒸留水200 mLを滴下した。有機層を分離した後、水層を酢酸エチルで抽出した。分離した有機層と抽出液をあわせ、飽和食塩水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。減圧下、揮発成分を留去して、黄色油状物を得た。収量 21.6 g(純度 72%, 42 mmol,収率72%)。
【0185】
窒素置換した500 mL三口フラスコに先ほどの黄色油状物 21.6 g (純度72%, 42 mmol)と テトラヒドロフラン 274 mLを仕込み、氷浴により冷却した後、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液88.5 mL (1.59 M, 141 mmol)を滴下した。溶液の色は無色から黄色に変化した。この溶液を室温まで徐々に昇温し、さらに1時間撹拌した。この溶液を水浴により冷却しながら、蒸留水137 mLを滴下した。有機層を分離した後、水層を酢酸エチルで抽出した。分離した有機層と抽出液をあわせ、飽和食塩水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。減圧下、揮発成分を留去して、得られた黄色油状物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/塩化メチレン v/v = 9/1)により生成し、エタノール/塩化メチレンより再結晶することで淡黄色の固体として(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルベンズ-f-インデン-3-イル)(インデン-3-イル)エタンを得た。収量 9.1 g(純度 >98%, 24 mmol,収率57%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.49-7.20 (m, 4H), 7.44 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 6.33 (s, 1H), 6.23 (s, 1H), 3.37 (s, 2H), 3.31 (s, 2H), 2.94 (s, 4H), 1.71 (s, 4H), 1.32 (s, 12H). GCMS m/z: 368 (M+).
【0186】
(実施例2)
エチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)の合成
窒素気流下100mL四つシュレンクに、(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルベンズ-f-インデン-3-イル)(インデン-3-イル)エタン(1.5g, 4.07mmol)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(1.20g,4.48mmol)、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド(0.11g,0.41mmol)、トルエン(25ml)を入れた。この溶液を室温にて10分間撹拌した。反応液を100℃まで昇温した後、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、トルエンを減圧留去し、赤色固体を得た。その赤色固体にヘキサン(5ml)を加え、その反応液を60℃まで昇温した後、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、セライトを使用し、トルエン/ヘキサン(v/v=1/2)混合溶媒により濾過・洗浄を行い、不溶成分であるテトラn−ブチルアンモニウムクロライドを除去した。その濾液の溶媒を減圧留去し、ヘキサン(5ml)を加え、60℃まで昇温した後1時間撹拌し、室温まで冷却すると、赤色析出晶が析出した。結晶を少量のヘキサンで洗浄し、濾取して乾燥し、赤色析出晶(0.45g,0.92mmol,収率23%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.67 (d, 1H, J = 7.8), 7.66 (s, 1H), 7.44 (d, 1H, J = 8.6), 7.40 (s, 1H), 7.05 (t, 1H, J = 7.6), 6.79 (t, 1H, J = 7.6), 6.40 (d, 1H, J = 3.1), 6.22 (d, 1H, J = 3.1), 5.99 (dd, 2H, J = 3.1, 6.3), 3.64-3.70 (m, 2H), 3.41-3.49 (m, 2H), 2.45 (s, 6H), 2.43 (s, 6H), 1.63-1.74 (m, 4H), 1.45 (s, 3H), 1.44 (s, 3H), 1.39 (s, 3H), 1.21 (s, 3H).
【0187】
(実施例3)
エチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
窒素気流下100mL四つシュレンクに、(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルベンズ-f-インデン-3-イル)(インデン-3-イル)エタン(1.0g, 2.72mmol)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(0.87g,3.26mmol)、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド(0.08g,0.27mmol)、ヘキサン(23ml)を入れた。この溶液を室温にて10分間撹拌した。反応液を昇温し還流下1時間撹拌した。室温まで冷却した後、セライトを使用し、ヘキサンにより濾過・洗浄を行い、不溶成分であるテトラn−ブチルアンモニウムクロライドを除去した。その濾液の溶媒を減圧留去し、赤色固体(1.45g)を得た。
窒素気流下100mL四つシュレンクに、得られた赤色固体を(1.0g),トルエン(10ml)を入れた。その溶液にクロロトリメチルシラン(0.94ml, 7.35mmol)を加え、室温下1時間撹拌した。セライトを使用し、トルエンにより濾過・洗浄を行い、その濾液の溶媒を減圧留去し、赤褐色固体を得た。その固体をヘキサンにより洗浄し、その後乾燥し無色固体(0.86g,1.63mmol, 収率89%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ7.66 (d, 1H, J = 8.6), 7.57 (s, 1H), 7.47 (d, 1H, J = 8.6), 7.45 (s, 1H), 7.31 (m, 1H), 7.17 (m, 1H), 6.51 (d, 1H, J = 3.3), 6.43 (d, 1H, J = 3.3), 6.10 (m, 2H), 3.75 (m, 4H), 1.73 (m, 4H), 1.41 (s, 3H), 1.38 (s, 3H), 1.37 (s, 3H), 1.31 (s, 3H).
【0188】
(実施例4)
エチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドの合成
窒素気流下100mL四つシュレンクに、エチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムビス(ジメチルアミド)(0.44g, 0.80mmol)、トルエン(7ml)を入れた。この溶液を室温にて10分間撹拌した。その溶液を100℃まで昇温し、その溶液にフェノール(0.15g, 1.60mmol)を溶解させたトルエン溶液(3ml)を1.0ml/分の速度で加えた。その反応溶液を100℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、トルエンを減圧留去し、黄色固体を得た。その黄色固体にヘキサン(5ml)を加え、その反応液を60℃まで昇温した後、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、ヘキサン(10ml)及びジエチルエーテル(15ml)により濾過・洗浄を行い、黄色固体(0.30g,0.47mmol, 収率59%)を濾趣し乾燥した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.17 (d, 1H, J = 7.9), 7.83 (s, 1H), 7.21-7.26 (m, 2H), 7.06-7.17 (m, 5H), 6.97 (m, 1H), 6.70-6.76 (m, 2H), 6.33 (d, 2H, J = 7.8), 6.27 (d, 2H, J = 7.8), 6.24 (d, 1H, J = 3.3), 6.14 (d, 21H, J = 3.3), 6.03 (d, 1H, J = 3.3), 5.95 (d, 1H, J = 3.3), 3.84-3.94 (m, 2H), 3.72-3.81 (m, 2H), 1.65-1.71 (m, 2H), 1.56 (s, 3H), 1.41 (s, 3H), 1.19-1.38 (m, 2H), 1.16 (s, 3H), 0.81 (s, 3H).
【0189】
(実施例5)
エチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドの合成
窒素気流下100mL四つシュレンクに、フェノール(0.16g, 1.71mmol)、トルエン(5ml)を入れた。その溶液を5℃まで冷却し、n−ブチルリチウム溶液(1.65M)(1.04ml, 1.71mmol)を加え30分間攪拌した。その反応溶液に、エチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド(0.41g, 0.78mmol)を溶解させたトルエン溶液(5ml)を1.0ml/分の速度で加えた。反応液を昇温し還流下3時間撹拌した。室温まで冷却した後、セライトを使用し、トルエンにより濾過・洗浄を行い、不溶成分であるリチウムクロライドを除去した。その濾液のトルエンを減圧留去し、黄色固体を得た。その黄色固体にヘキサン(5ml)を加え、ヘキサン(10ml)及びジエチルエーテル(15ml)により濾過・洗浄を行い、黄色固体(0.28g,0.44mmol, 収率56%)を濾趣し乾燥した。
【0190】
(参考例2)
改質された粒子(C)の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)1.73kgとヘキサン1.02kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.78kgとトルエン1.44kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、22℃に冷却し、H2O0.11kgを反応器の温度を22℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、22℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。
撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄した。その後、乾燥して改質された粒子(C)を得た。
【0191】
(参考例3)
改質された粒子(D)の調製
窒素置換した攪拌機付きの50リットルの反応器に、固体状担体として窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)9.68kgを入れた。トルエンを100リットル加えた後、2℃に冷却した。これにメチルアルモキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製)(2.9M)26.3リットルを一時間かけて滴下した。5℃にて30分間攪拌した後、90分間かけて95℃まで加熱し、4時間攪拌した。その後40℃へ冷却した後、40分間静置し、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた。洗浄操作として、これに、トルエン100リットルを加え、10分間攪拌した後、攪拌を停止して静置し固体成分を沈降させ、同様に上層のスラリー部分を取り除いた。以上の洗浄操作を計3回繰り返した。さらに、トルエン100リットルを加え、攪拌を行った後、攪拌を止めると同時にろ過した。この操作をもう1回繰り返した後、ヘキサン110リットルを加え、同様の方法にてろ過した。この操作をもう一度繰り返した。その後、窒素流通下70℃で7時間乾燥して改質された粒子(D)12.6kgを得た。元素分析の結果、Al=4.4mmol/gであった。
【0192】
(実施例6)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.14%、1−ブテン=3.61mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、遷移金属化合物として、濃度を2μmol/mlに調整したエチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて、固体触媒成分として上記参考例2で得られた改質された粒子(C)5.2mgと電子供与性化合物として、濃度を0.1mmol/mlに調整したトリエチルアミンのトルエン溶液(0.9ml)を合わせて投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.26mol%)をフィードしながら70℃で、3時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体175gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は3.5×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.922g/cm、NLCB=0.24であった。
【0193】
(比較例1)
水素をその分圧で0.035MPaになるように加えたこと、遷移金属化合物をラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、改質された粒子(C)の量を5.1mgに変更したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.56mol%としたこと以外は、実施例6と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=1.89mol%、1−ブテン=3.31mol%であった。
重合の結果、オレフィン重合体 120gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は2.4×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体はNLCB=0.19であった。
【0194】
(比較例2)
遷移金属化合物をエチレンビス(5,6-ジメチルインデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したことと、1−ブテンを93g使用したこと、重合溶媒としてブタンを657g使用したこと、改質された粒子(C)の量を6.0mgに変更したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.26mol%としたこと以外は、実施例6と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.93mol%、1−ブテン=4.58mol%であった。
重合の結果、オレフィン重合体 178gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は3.6×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.918g/cm、NLCB=0.08であった。
【0195】
(比較例3)
遷移金属化合物をエチレン(1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、1−ブテンを65g使用したこと、重合溶媒としてブタンを685g使用したこと、改質された粒子(C)の量を5.4mgに変更したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.24mol%としたこと以外は、実施例6と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.98mol%、1−ブテン=4.42mol%であった。
重合の結果、オレフィン重合体 134gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は2.7×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.921g/cm、NLCB=0.09であった。

【0196】
(実施例7)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.80mol%、1−ブテン=4.07mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、遷移金属化合物として、濃度を2μmol/mlに調整したエチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて、改質された粒子(D)を5.2mgと電子供与性化合物として、濃度を0.1mmol/mlに調整したトリエチルアミンのトルエン溶液(0.9ml)を合わせて投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.24mol%)をフィードしながら70℃で、2時間重合を行った。
重合の結果、オレフィン重合体 8.8gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.8×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.931g/cm、NLCB=0.09であった。
【0197】
(比較例4)
遷移金属化合物をラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、改質された粒子(D)の量を5.2mgに変更したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.25mol%としたこと以外は、実施例7と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.94mol%、1−ブテン=3.55mol%であった
その結果、オレフィン重合体 36gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は7.3×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.921g/cm、NLCB=0.07であった。
【0198】
(比較例5)
遷移金属化合物をエチレンビス(5,6-ジメチルインデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したことと、1−ブテンを93g使用したこと、重合溶媒としてブタンを657g使用したことと、改質された粒子(D)の量を5.9mgに変更したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.26mol%としたこと以外は、実施例7と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.81mol%、1−ブテン=5.47mol%であった。
その結果、オレフィン重合体 51gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.01×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.919g/cm、NLCB=0.05であった。
【0199】
(比較例6)
遷移金属化合物をエチレン(1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、1−ブテンを65g使用したこと、重合溶媒としてブタンを685g使用したことと、改質された粒子(D)の量を5.3mgに変更したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.27mol%としたこと以外は、実施例7と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.81mol%、1−ブテン=4.39mol%であった。
その結果、オレフィン重合体 12gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は2.40×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は、密度=0.918g/cmであった。NLCBは測定の結果検出できなかった。



nd:検出できなかった。
【0200】
(実施例8)
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを94g、重合溶媒としてブタンを656g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.85%、1−ブテン=6.59mol%であった。これに、共触媒成分として濃度を1.2mol/lに調整したPMAO(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.75mlを投入した。次に、遷移金属化合物として、濃度を2μmol/mlに調整したエチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.25mlを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.25mol%)をフィードしながら70℃で、2時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体168gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は3.4×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.920g/cm、NLCB=0.13であった。
【0201】
(比較例7)
遷移金属化合物として、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、1−ブテンを110g使用したこと、重合溶媒としてブタンを640g使用したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.24mol%としたこと以外は、実施例8と同様にして重合を行った。ガスクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.91mol%、1−ブテン=7.31mol%であった。
その結果、オレフィン重合体 143gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は2.85×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.912g/cm、NLCB=0.10であった。
【0202】
(比較例8)
遷移金属化合物として、エチレンビス(5,6-ジメチルインデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、1−ブテンを160g使用したこと、重合溶媒としてブタンを590g使用したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.24mol%としたこと以外は、実施例8と同様にして重合を行った。スクロマトグラフィー分析による重合開始前の系内のガス組成は、水素=0.74mol%、1−ブテン=12.2mol%であった。
その結果、オレフィン重合体 53gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.06×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.918g/cmであった。NLCBは測定の結果検出できなかった。
【0203】
(比較例9)
遷移金属化合物として、エチレン(1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドに変更したこと、1−ブテンを112g使用したこと、重合溶媒としてブタンを638g使用したこと、およびエチレン/水素の混合ガスの水素濃度を0.24mol%としたこと以外は、実施例8と同様にして重合を行った。
その結果、オレフィン重合体 33gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は6.64×10g/molZrであった。また、得られたオレフィン重合体は密度=0.925g/cmであった。NLCBは測定の結果検出できなかった。



nd:検出できなかった。
【0204】

(実施例15)
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン150mL、モノマーとしてプロピレン20gを仕込み、反応器を60℃まで昇温した。昇温後、トリイソブチルアルミニウム(0.425 mmol/mL、トルエン溶液)1.18 mL(0.50 mmol)を投入し、続いて濃度を0.50μmol/mlに調整した実施例5で合成されたエチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.20mlを投入した。さらに続いてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1.0μmol/mL、トルエン溶液)0.30mL(0.3μmol)を投入して重合を開始した。温度を60℃に保ちながら、25分間重合を行った。
重合の結果1.5gのポリプロピレンが得られた。重合活性3.6×10 g/mol/h、融点=137.8℃、M=27,500、M/M=2.0、アイソタクチック・ペンタッド分率[mmmm]=81.4%であった。
【0205】
(実施例16)
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてヘキサン150mL、モノマーとしてプロピレン20gを仕込み、反応器を60℃まで昇温した。昇温後、トリイソブチルアルミニウム(0.337 mmol/mL、ヘキサン溶液)1.48 mL(0.50 mmol)を投入し、続いて濃度を0.50μmol/mlに調整した実施例5で合成されたエチレン(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロベンズ-f-インデニル)(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.20mlを投入した。さらに続いてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1.0μmol/mL、ヘキサン溶液)0.30mL(0.3μmol)を投入して重合を開始した。温度を60℃に保ちながら、40分間重合を行った。
重合の結果3.8gのポリプロピレンが得られた。重合活性5.7×10 g/mol/h、融点=132.9℃、M=26,700、M/M=2.1、アイソタクチック・ペンタッド分率[mmmm]=81.7%であった。

上記のアイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm])とは、A.Zambelliらによって「Macromolecules」、Vol.6、925(1973)に発表されている、13C−NMRを使用する方法で測定される結晶性ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、10mmΦの試験管中で約200mgの重合体を3mLのオルトジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料を13C−NMRスペクトルで測定した。核磁気共鳴装置(ブルカー社製AVANCE600)を使用し、以下の条件で測定された値である。NMR吸収ピークの帰属に関しては、F.A.Boveyらの「Macromolecules」、Vol.8、687(1975)に従った。
測定温度:130℃;
パルス繰り返し時間:4秒;
パルス幅:45°;
積算回数:700回;
化学シフト値基準:テトラメチルシラン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される遷移金属化合物。


(式中、Mは周期律表の3族、4族、5族、ランタニド族またはアクチニド族から選択される遷移金属原子を表し、


およびRは、同一または相異なり、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
およびRは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
〜Rは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、または
ヘテロ環式化合物残基を表し、
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRは、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
Aは、−[Z(R)(R10)]−基を表し、Zは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子または炭素原子を表し、RおよびR10は、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基を表す。
nは、1、2、3または4を表し、Z、RおよびR10が複数ある場合、それらは同一でも異なってもよい。
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいチオラート基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいカルボキシラート基を表し、
lは、1、2または3を表す。Xが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよく、隣接するX同士は、連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表し、mは、0、1、2、3または4を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。
lとmとの総和は、2、3、または4である。)
【請求項2】
Aは、−[Z(R)(R10)]−基を表し、nは1、2、3または4であり、Zはケイ素原子または炭素原子であり、Zが複数ある場合は同一でも異なってもよく、RおよびR10は前記のとおりである請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項3】
Aが−CHCH−基である請求項1または2に記載の遷移金属化合物。
【請求項4】

(R〜Rは前記のとおりである。)
【請求項5】
Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基を表し、
隣接するX同士は、連結して環を形成してもよい、請求項1〜4のいずれかに記載の遷移金属化合物。
【請求項6】
Xがハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基である請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属化合物。
【請求項7】
Mがチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である請求項1〜6のいずれかに記載の遷移金属化合物。
【請求項8】
一般式(2)で表される化合物。





およびRは、同一または相異なり、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
およびRは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し、
〜Rは、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいアミノ基、または
ヘテロ環式化合物残基を表し、
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRは、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
Aは、−[Z(R)(R10)]−基を表し、Zは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子または炭素原子を表し、RおよびR10は、同一または相異なり、水素原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基もしくはハロゲン化ハイドロカルビル基を置換基として有していてもよいシリル基を表す。
nは、1、2、3または4を表し、Z、RおよびR10が複数ある場合、それらは同一でも異なってもよい。
【請求項9】
Aは、−[Z(R)(R10)]−基を表し、nは1、2、3、または4であり、Zはケイ素原子または炭素原子であり、Zが複数ある場合は同一でも異なってもよく、RおよびR10は前記のとおりである請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Aが−CHCH−基である請求項8または9に記載の化合物。
【請求項11】

請求項8〜10のいずれかに記載の化合物(R〜Rは前記のとおりである。)。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載する化合物及び活性化用助触媒成分を含むオレフィン重合用触媒。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載する化合物及び活性化用助触媒成分を含むエチレン−α−オレフィン重合用触媒。
【請求項14】
請求項12に記載の重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の重合用触媒を用いるエチレン−α−オレフィン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2012−31397(P2012−31397A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142623(P2011−142623)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】