説明

新規の3−オキサ−10−アザ−フェナントレン

一定の式1で示され、その式中、R1、R2及びR3が明細書中に記載される意味を有する化合物は、新規の効果的なPDE4インヒビターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品組成物の製造のための医薬品工業で使用される新規の3−オキサ−10−アザ−フェナントレンに関する。本発明はまた、3−オキサ−10−アザ−フェナントレンの製造のために有用な中間体化合物である新規の3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン及び3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体並びに前記中間体化合物を製造するための方法に関する。
【0002】
公知の背景技術
国際出願WO98/21208号(=米国特許第6,008,215号)、WO98/40382号(=米国特許第6,143,759号)、WO99/57118号(=米国特許第6,306,869号)及びWO00/12501号は、6−フェニルベンゾナフチリジン及びそれらのN−オキシドをPDE3/4インヒビターとして記載している。国際特許出願WO00/42018号及びWO2004/019944号では、6−フェニルフェナントリジンが、PDE4インヒビターとして記載されている。
【0003】
発明の開示
ここで、以下により詳細に説明し、先行技術の化合物とは特に酸素原子によるN−R基の置換の点で異なる式1の化合物が意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。
【0004】
従って、本発明は、式1
【化1】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基であり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルキル、トリフルオロメチル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−(C1〜C4−アルキル)−ピペラジン−4−イル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である]で示される化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物に関する。
【0005】
1〜C4−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、プロピル、イソプロピル及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0006】
1〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0007】
3〜C7−シクロアルコキシは、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及びシクロヘプチルオキシを表し、そのうちシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ及びシクロペンチルオキシが有利である。
【0008】
3〜C7−シクロアルキルメトキシは、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ及びシクロヘプチルメトキシを表し、そのうちシクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ及びシクロペンチルメトキシが有利である。
【0009】
フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシとしては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ペルフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、1,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、特に2,2,2−トリフルオロエトキシ及び、有利にはジフルオロメトキシ基を挙げることができる。この関連での"大部分が"とは、C1〜C4−アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0010】
1〜C2−アルキレンジオキシは、例えばメチレンジオキシ[−O−CH2−O−]基又はエチレンジオキシ[−O−CH2−CH2−O−]基を表す。
【0011】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、フッ素、塩素又は臭素である。
【0012】
1〜C8−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、オクチルオキシ、ヘプチルオキシ、ヘキシルオキシ、ペンチルオキシ、メチルブトキシ、エチルプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、プロポキシ又は、有利にはイソプロポキシ、エトキシ又はメトキシ基である。
【0013】
1〜C7−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜7個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ヘプチル基、イソヘプチル(5−メチルヘキシル)基、ヘキシル基、イソヘキシル(4−メチルペンチル)基、ネオヘキシル(3,3−ジメチルブチル)基、ペンチル基、イソペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、エチル基又はメチル基である。
【0014】
3〜C7−シクロアルキルは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基を表す。
【0015】
3〜C7−シクロアルキルメチルは、前記のC3〜C7−シクロアルキル基の1つにより置換されているメチル基を表す。挙げられる例は、シクロアルキルメチル基、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル及びシクロペンチルメチルである。
【0016】
置換基R4及びR5は、フェニル基R3に対して任意の位置で結合されていてよい。R4及びR5がパラ位及び/又はメタ位で結合されている場合が好ましい。R4が水素を意味し、かつR5がメタ位又はパラ位で結合されている場合が最も好ましい。
【0017】
本発明による化合物の塩は、全ての酸付加塩及び全ての塩基との塩、特に全ての製剤学的に認容性の無機及び有機の酸付加塩及び全ての製剤学的に認容性の塩基との塩、殊に薬学で通常使用される全ての製剤学的に認容性の無機及び有機の酸付加塩及び全ての製剤学的に認容性の塩基との塩を含む。
【0018】
酸付加塩は、これらに制限されないが、塩酸塩、臭化水素塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、D−グルコン酸塩、安息香酸塩、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、酪酸塩、スルホサリチル酸塩、マレイン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩及びトリフルオロ酢酸塩を含む。これらのうち、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩及びフマル酸塩が好ましい。
【0019】
塩基との塩の例は、これらの制限されないが、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、チタン塩、アンモニウム塩、メグルミン塩及びグアニジニウム塩を含む。
【0020】
それらの塩は、水不溶性及び、特に水溶性の塩を含む。
【0021】
強調されるべき式1の化合物は、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−(C1〜C4−アルキル)−ピペラジン−4−イル、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0022】
式1の有利な化合物は、式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−メチル−ピペラジン−4−イル、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0023】
式1の特に有利な化合物は、式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル又はメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、C1〜C4−アルキルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−メチル−ピペラジン−4−イル又は4−モルホリニル基である、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0024】
本発明の一実施態様(実施態様A)は、式1で示され、その式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基であり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルキル、トリフルオロメチル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物を含む。
【0025】
強調されるべき実施態様Aの式1の化合物は、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0026】
実施態様Aの式1の有利な化合物は、、式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0027】
実施態様Aの式1の特に有利な化合物は、式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、C1〜C2−アルコキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、C1〜C4−アルキルである、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0028】
本発明の特定の一実施態様は、式1で示され、その式中、R1がエトキシであり、かつR2がメトキシである化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物を含む。
【0029】
本発明の更なる特定の一実施態様は、式1で示され、その式中、R1がエトキシであり、かつR2がメトキシであり、かつR3がパラ位でCOOH又はCOOCH3により置換されたフェニル基である化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物を含む。
【0030】
本発明の特定のもう一つの実施態様は、式1で示され、その式中、R1がエトキシであり、かつR2がメトキシであり、かつR3がパラ位でジイソプロピルアミノカルボニル又はジメチルアミノカルボニルにより置換されたフェニル基である化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物を含む。
【0031】
本発明の特定の更なるもう一つの実施態様は、式1で示され、その式中、R1がエトキシであり、かつR2がメトキシであり、かつR3がパラ位で1−メチル−ピペラジン−4−イルカルボニル又はモルホリン−4−イルカルボニルにより置換されたフェニル基である化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物を含む。
【0032】
本発明の化合物並びにそれらの水和物、溶媒和物、塩及びN−オキシドは、キラル化合物を含む。前記の化合物、水和物、溶媒和物、塩及びN−オキシド中に存在するキラル中心のそれぞれは、絶対配置R又は絶対配置S(カーン・インゴールド・プレログ則による)を有してよい。
【0033】
特に、式1の化合物は、4a位及び10a位にキラル中心を有するキラル化合物を含む。
【0034】
【化2】

【0035】
従って、本発明は、本発明による化合物、水和物、溶媒和物、塩及びN−オキシドの全ての考えられる純粋なジアステレオマー及び純粋なエナンチオマー及びそれらの任意の比率での全ての混合物、例えばラセミ体を含む。
【0036】
本発明による表現"純粋なエナンチオマー"とは、関連のエナンチオマーが、90%の最低のエナンチオマー過剰率(ee)、有利には95%ee、より有利には98%eeより大、特に有利には99.5%eeより大のエナンチオマー純度を有することを意味する。
【0037】
本発明の一態様は、式1の化合物並びにそれらの水和物、溶媒和物、塩及びN−オキシドであって、4a位及び10a位のキラル中心に対して、(4aR,10aR)、(4aS,10aS)、(4aR,10aS)及び(4aS,10aR)からなる群から選択される絶対配置を有するものである。
【0038】
式1で示され、式中、4a位及び10a位の水素原子が互いにシス位にある化合物並びにそれらの水和物、溶媒和物、塩及びN−オキシドが好ましい。純粋なシスエナンチオマー及びそれらの任意の混合比の混合物及び、例えばラセミ体が特に好ましい。本願において最も有利な化合物は、式1で示され、式中、4a位及び10a位に関して式(1*):
【化3】

に示される立体配置を有する化合物並びにそれらの水和物、溶媒和物、塩及びN−オキシドである。
【0039】
エナンチオマーは、公知のように、例えば相応のジアステレオ異性体化合物の調製及び分離によって、キラルクロマトグラフィー法を用いた分割法によって、又は立体選択的合成法によって分割できる。かかる分割法及び合成法は、例えばEP247971号及びDE4217401号で、ヘキサヒドロベンゾ[c][1,6]ナフチリジン誘導体ないしは4−アミノピペリジン誘導体について記載されている。式1のエナンチオマーは、ピペリジン誘導体の代わりに、相応のテトラヒドロピラン誘導体を用いて同様に製造することができる。
【0040】
有利には、製造方法の間に得られたエナンチオマーの任意の混合物(例えばラセミ体)は、3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン(例えば中間体B)の段階で光学活性分割剤を用いて既に分割される。好適な光学活性分割剤としては、例えば光学活性酸、例えばL−(−)−又はD(+)−酒石酸、(−)−カンファン酸、(+)−ショウノウ酸、D−(−)−又はL−(+)−シトラリンゴ酸、(+)−O,O′−ジベンゾイル−D−又は(−)−O,O′−ジベンゾイル−L−酒石酸、D−又はL−リンゴ酸又はR−又はS−メトキシフェニル−酢酸を挙げることができる。
【0041】
本発明による化合物は、例えば以下の反応式に示されるように製造できる。
【0042】
反応式1:第一の反応工程で、式4で示され、その式中、R1及びR2が前記の意味を有する化合物を、式3で示され、その式中、R3が前記の意味を有し、かつXが好適な離脱基、例えばハロゲン原子、有利には塩素原子である化合物と反応させる。ベンゾイル化は、例えばアインホルン法(Einhorn process)、ショッテン−バウマン(Schotten−Baumann)の変法又はJ.Chem.Soc.C,1971,1805−1808に記載されるように実施される。
【0043】
式3で示され、その式中、R3が前記の意味を有し、かつXが好適な離脱基、例えばハロゲン原子、有利には塩素原子である化合物は、公知であるか又は公知法に従って製造することができる。
【0044】
式1の化合物は、第一の反応段階において得られる式2の化合物の縮合環化によって得られる。
【0045】
縮合環化は、当業者に公知のようにして、例えばBischler−Napieralski(例えばJ.Chem.Soc.,1956,4280−4282)に従って又はBischler−Napieralski変法(例えばHeterocycles 2003,Vol60,No.12,2707−2715)に従って、好適な縮合剤、例えばポリリン酸、五塩化リン、三塩化リン、五酸化リン、塩化チオニル又はトリフルオロメタンスルホン酸無水物及び4−ジメチルアミノピリジンの存在下で、好適な不活性溶剤、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン又は環状炭化水素、例えばトルエン又はキシレン中で又は別の不活性溶剤、例えばアセトニトリル中で、有利には高められた温度で、特に使用される溶剤の沸点で実施される。
【0046】
前記の方法によって製造される式1の化合物は次いで、場合により、それらの塩に変換できるか、又は得られた式1の化合物の塩は次いで、場合により、遊離の化合物に変換できる。相応の方法は当業者に公知である。
【0047】
更に、式1の化合物は、場合により、例えば過酸化水素を用いてメタノール中で又はm−クロロペルオキシ安息香酸を用いてジクロロメタン中でそのN−オキシドに変換することができる。当業者は、その専門知識に基づいて、N−オキシド化のために特に必要とされる反応条件に精通している。
【0048】
更に、式1の化合物の1つの官能基を慣用の方法及び反応によって変換して、別の官能基を得ることができる。従って、所望であれば、好適な官能基を有する式1の化合物を変換して、更なる式1の化合物を得ることができる。例えば、式1で示され、その式中、R5がエステルを含む化合物を、酸性もしくはアルカリ性の鹸化によって変換して、相応のカルボン酸を得ることができ、又は好適なアミンと反応させることによって相応のアミドを得ることができる。
【0049】
反応式1:
【化4】

【0050】
反応式2では、式4及び式7の化合物の製造のための一般的な経路を示している。
【0051】
反応式2:
【化5】

【0052】
反応式2から理解できるように、式4及び式7の化合物が主要な中間体である。これらにより、テトラヒドロピラン環構造を導入して、式1の化合物を得ることが可能となる。
【0053】
従って、本発明の更なる一態様は、式4及び式7の新規の中間体化合物とそれらの製造方法を提供することである。
【0054】
従ってまた、本発明は、式4
【化6】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基である]で示される化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物に関する。
【0055】
式4で示される有利な化合物は、その式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、R2がメトキシ又はエトキシである、化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物である。
【0056】
式4の化合物に適当な塩は、有利には全ての酸付加塩である。これらの好適な塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸のような酸との水溶性及び水不溶性の酸付加塩である。
【0057】
更に、本発明は、式7
【化7】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基である]で示される化合物に関する。
【0058】
式7の有利な化合物は、式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、かつR2がメトキシ又はエトキシである化合物である。
【0059】
式4の化合物の製造方法は、
(a)式7
【化8】

で示されるテトラヒドロ−ピラノン誘導体を、光学的に純粋な1−フェニルエチルアミンで変換して、式6のイミン/エナミンを得ること、
【化9】

(b)得られた式6のイミン/エナミンを水素化して、式5
【化10】

で示される第二級アミンを得ること、
(c)1−フェニルエチル基を水素化により分離すること、
(d)場合により、製造方法で得られた式4の化合物を変換して、それらの塩を得ること、又は製造方法で得られた式4の化合物の塩を変換して、次いで遊離の化合物を得ること
(式4、5、6及び7の化合物において、R1及びR2は、前記の意味を有する)
を特徴とする。
【0060】
前段落で述べられた表現"光学的に純粋な1−フェニルエチルアミン"とは、R−(+)−1−フェニル−エチルアミン又はS(−)−1−フェニル−エチルアミンを意味し、反応工程(a)では、R−(+)−1−フェニル−エチルアミンを使用することが好ましい。R−(+)−1−フェニル−エチルアミン及びS(−)−1−フェニル−エチルアミンは、99%eeで市販されている。
【0061】
式7のテトラヒドロ−ピラノン誘導体の光学的に純粋な1−フェニルエチルアミンによる変換は、当業者に公知の縮合反応についての標準的な手順に従って、有利には、好適な触媒、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下に、水分離条件下で、好適な溶剤、例えばn−ヘキサン、ベンゼン又はトルエン中で、高められた温度で、有利には使用される溶剤の沸点で実施される。
【0062】
得られた式6のイミン/エナミンの水素化は、当業者に公知の標準的な方法に従って、有利にはラネーニッケル又は炭素上白金触媒の存在下で無水アルコール、例えばエタノール又はメタノールを溶剤として用いて、約100ミリバールの水素圧下で、かつ高められた温度、有利には40〜80℃の温度で実施される。
【0063】
炭素上白金触媒を使用する場合に、式7のテトラヒドロ−ピラノン誘導体の変換と式6の得られたイミン/エナミンの水素化とは、有利にはワンポット反応として実施される。
【0064】
1−フェニルエチル基の水素化による分離は、また当業者に公知の標準的な方法に従って、有利には1〜1.2当量の濃塩酸と炭素上パラジウム触媒の存在下に、アルコール、例えばメタノール又はエタノールを溶剤として用いて、0.1〜10バール、有利には0.1〜1バールの絶対水素圧と高められた温度、有利には40〜60℃の温度で実施される。
【0065】
本発明による製造方法により、式7)のテトラヒドロ−ピラノン誘導体の変換のためにR−(+)−1−フェニル−エチルアミンを使用する場合には、式4a及び式4b:
【化11】

[式中、R1及びR2は前記の意味を有する]で示されるシス立体配置の3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン誘導体が得られる。式4a及び式4bで示されるシス立体配置の3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン誘導体は、新規であり、かつまた本発明の一部である。
【0066】
式4a及び式4bの化合物は、例えば光学活性分割剤、例えば光学活性酸、例えばL−(−)−又はD(+)−酒石酸、(−)−カンファン酸、(+)−ショウノウ酸、D−(−)−又はL−(+)−シトラリンゴ酸、(+)−O,O′−ジベンゾイル−D−又は(−)−O,O′−ジベンゾイル−L−酒石酸、D−又はL−リンゴ酸又はR−又はS−メトキシフェニル−酢酸を用いて分割することができる。
【0067】
式4a及び4bの好ましい3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン誘導体は、式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、かつR2がメトキシ又はエトキシであるものである。特に好ましいのは、式4aで示され、式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、かつR2がメトキシ又はエトキシである3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン誘導体である。
【0068】
式7の化合物の製造方法は、
(a)式11
【化12】

で示される化合物を、濃臭化水素酸と厳密に無水条件下で反応させ、
(b)式10
【化13】

で示される得られた1−ブロモ−1−(3,4−ジアルコキシフェニル)エタン誘導体を、ブロモ−リチウム交換反応に供し、そして次いでアクロレインを用いて変換して、式9
【化14】

で示される2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体を得て、
(c)式9の2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体を酸化させて、式8
【化15】

で示される相応の2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン誘導体を得て、
(d)式8の2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オンを、KOHによる二重マイケル付加を介して変換して、式7で示される3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体を得る
[式7、8、9、10及び11の化合物において、R1及びR2は、前記の意味を有する]
ことを特徴とする。
【0069】
臭化水素酸を用いた式11の化合物の変換は、厳密に無水条件下で実施される。有利には、高品質の氷酢酸中のHBr溶液を該変換のために使用する。
【0070】
ブロモ−リチウム交換反応は、標準条件下で、テトラヒドロフラン中t−BuLiを用いて−78℃で実施される。有利には蒸留したてのアクロレインを使用して変換させて、式9で示される2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体が得られる。
【0071】
式9で示される2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体の酸化は、標準的な酸化法を用いて、例えばSwern酸化を用いて又は酸化剤としてMnO2を用いて実施される。MnO2を酸化剤として使用する場合に、約20〜25当量の大過剰で使用される。
【0072】
式8で示される2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン誘導体を変換して、式7で示される3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体を得るには、有利には、2.0当量のKOHをCH2Cl2/H2O(1:2 容量/容量)混合物中に入れたものを用いて、20〜50℃の温度で、より有利には約35℃で実施される。
【0073】
前記の製造方法によって、式7で示され、その式中、R1及びR2が前記の意味を有するラセミ体の3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体が得られる。
【0074】
式7で示される3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体は、新規であり、かつまた本発明の一部である。式7で示される好ましい3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体は、式中、Rがメトキシ又はエトキシであり、かつR2がメトキシ又はエトキシであるものである。
【0075】
式11の化合物は、例えば反応式3に従って製造することができる:
反応式3:
【化16】

【0076】
第一の反応工程において、式13で示され、その式中、R1及びR2が前記の意味を有するジアルコキシベンゾアルデヒドから出発して、式12で示される2,2−ジブロモ−1−(3,4−ジアルコキシフェニル)エテン誘導体は、Borey−Fuchs法(例えばTetrahedron Letters 1972,36,3769−3772を参照)に従って製造される。引き続きの脱離工程において、式12で示される2,2−ジブロモ−1−(3,4−ジアルコキシフェニル)エテン誘導体を変換して、式11で示されるジアルコキシフェニルアセチレン誘導体が得られる。
【0077】
式11の化合物の製造のための追加的な実験的詳細は、実施例/出発材料の節に示される。
【0078】
また当業者には、複数の反応中心が出発材料又は中間物質に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。多くの実績のある保護基をどのように使用するかは、例えばT.W.Greene, Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に詳細に記載されている。
【0079】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば減圧下で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0080】
本発明による化合物の塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。酸又は塩基は、塩の調製において、一塩基性もしくは多塩基性の酸もしくは塩基のいずれであるかと、どの塩が所望されているかに依存して、等モルの定量比又はそれとは異なる比で使用することができる。
【0081】
塩は、塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまた塩に変換してもよい。前記のように、例えば本発明による化合物の工業的規模での製造の間に得ることができる製剤学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって製剤学的に認容性の塩に変換される。
【0082】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に、その製造が明示的に記載されていない式1の更なる化合物は、当業者に明らかなように類似に又は同様にして製造することができる。
【0083】
実施例において、hは、時間を表し、そしてRTは、室温を表し、PEは、石油エーテルを表し、EEは、酢酸エチルを表し、SiO2は、シリカゲルを表し、TLCは、薄層クロマトグラフィーを表し、かつTHFは、テトラヒドロフランを表す。実施例に挙げられる化合物並びにそれらの水和物、溶媒和物又は塩、塩の水和物又は溶媒和物、N−オキシド又はそのN−オキシドの塩、水和物又は溶媒和物は、本発明の有利な実施態様である。
【0084】
実施例
最終生成物
1. 4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9イル)−N,N−ジイソプロピル−ベンザミド
【化17】

【0085】
5ミリモルのN−[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−N′,N′−ジイソプロピル−テレフタルアミドを、25mlのアセトニトリル及び15ミリモルのオキシ三塩化リン中で4時間還流下に加熱沸騰させる。過剰のオキシ三塩化リン及び約20mlのアセトニトリルを留去した後に、残留物を、ジクロロメタンと炭酸水素ナトリウム飽和溶液との間で分ける。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮させる。固体の残留物を、SiO2上でのカラムクロマトグラフィー(ジイソプロピルエーテル/メタノール/トリエチルアミン 18/1/1 容量/容量/容量)によって精製し、主生成物フラクションを分離し、濃縮することで、帯灰色の固体フォーム状物として表題化合物が得られる。融点98〜102℃(非先鋭、約88℃でエナメル様の収縮が開始)
選択的に、12.5ミリモルのトリフルオロメタンスルホン酸無水物を、10mlのジクロロメタン中に溶解させた溶液を、20分間かけて、2.5ミリモルのN−[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−N′,N′−ジイソプロピル−テレフタルアミド及び7.5ミリモルの4−ジメチルアミノ−ピリジンを30mlのジクロロメタン中に溶かした冷却された(氷水浴)溶液に添加する。該溶液を一晩撹拌し、そして次いで10mlのメタノール、10mlのトリエチルアミン及び20mlのジクロロメタンの冷却された(氷水浴)混合物に添加し、そして該混合物を1時間撹拌する。減圧下で濃縮した後に、固体の残留物を、SiO2上でのカラムクロマトグラフィー(ジイソプロピルエーテル/メタノール/トリエチルアミン 18/1/1 容量/容量/容量)によって精製し、主生成物フラクションを分離し、濃縮することで、帯灰色の固体フォーム状物として表題化合物が得られる。融点98〜102℃(非先鋭、約88℃でエナメル様の収縮が開始)

【0086】
実施例1と同様にして、以下の表題化合物は、N−[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−N′,N′−イソプロピル−テレフタルアミドの代わりに、それぞれ適宜置換されたテレフタルアミドを反応相手として用いることで得られる。
【0087】
2. 4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)−安息香酸メチルエステル
【化18】

【0088】
N−[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−テレフタルアミド酸メチルエステルから、実施例1に記載されるようにして製造される。該固体を、ジイソプロピルエーテルと一緒に撹拌し、濾別し、そして減圧下で乾燥させることで、表題化合物が白色の粉末状固体として得られる。融点141〜143℃。
【0089】

【0090】
3. 4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)−安息香酸
【化19】

【0091】
7.6ミリモルの4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)−安息香酸メチルエステルを100mlのジオキサン中に溶かした溶液に、7.5mlの2モラーの水酸化ナトリウムを水中に溶かした溶液を添加し、そして該混合物を室温で15時間撹拌する。7.5mlの2モラーのHClを水中に溶かした溶液を添加し、そして該混合物を30分間撹拌する。減圧下に濃縮した後に、該固体残留物を、100mlのジクロロメタンで処理する。濾過後に、濾液を減圧下で濃縮することで、表題化合物が帯灰色の固体残留物として得られる。表題化合物を、ジエチルエーテルと一緒に撹拌し、濾別し、そして減圧下で乾燥させることで、表題化合物が白色の粉末状固体として得られる。融点203〜205℃。
【0092】

【0093】
4. 1−[4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)−フェニル]−1−モルホリン−4−イル−メタノン
【化20】

【0094】
1ミリモルの4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)−安息香酸、5ミリモルのトリエチルアミン及び1.1ミリモルのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)を20mlのジクロロメタン中に入れた混合物を、室温で30分間撹拌する。1.1ミリモルのモルホリンを添加した後に、該懸濁液を室温で60分間撹拌する。該混合物を減圧下で濃縮し、そしてその固体の残留物を、SiO2上でのカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン 4/5/1 容量/容量/容量)によって精製し、主生成物フラクションを分離し、濃縮することで、表題化合物が帯灰色の固体フォーム状物として得られる。融点116〜120℃(非先鋭、約61℃でエナメル様の収縮が開始)

【0095】
5. 1−[4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)]−N,N−ジメチル−ベンザミド
【化21】

【0096】
実施例4と同様に製造することで、表題化合物は、モルホリンの代わりにジメチルアミンを反応相手として用いて固体のフォーム状物として得られる。融点99〜104℃(非先鋭、約52℃でエナメル様の収縮が開始)

【0097】
6. 1−[4−((4aR,10aR)−6−エトキシ−7−メトキシ−1,4,4a,10a−テトラヒドロ−2H−3−オキサ−10−アザ−フェナントレン−9−イル)−フェニル]−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
【化22】

【0098】
実施例4と同様に製造することで、表題化合物は、モルホリンの代わりに4−メチル−ピペラジンを反応相手として用いて固体のフォーム状物として得られる。融点110〜114℃(非先鋭、約54℃でエナメル様の収縮が開始)

【0099】
出発材料及び中間体
A1. N−[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−N′,N′−ジイソプロピル−テレフタルアミド
【化23】

【0100】
1当量の4−ジイソプロピルカルバモイル−ベンゾイルクロリド(N,N−ジイソプロピル−テレフタルアミド酸と塩化チオニルから製造される)をジクロロメタン中に溶かした溶液を、10分間にわたって室温で、1当量の(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミンをジクロロメタン及び1.1当量のトリエチルアミン中に溶かした溶液に滴加する。約2時間撹拌した後に、該混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で抽出し、そして有機相を、水で更に2回洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させる。濃縮後に残留する粘性の残留物を、SiO2上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 85/15 容量/容量)によって精製する。主生成物フラクションを真空中で濃縮することで、帯褐色の固体のフォーム状残留物が得られ、それを、更なる処理を行うことなく後続反応工程に使用する。
【0101】
A2. N−[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−テレフタルアミド酸メチルエステル
【化24】

【0102】
1ミリモルのテレフタルアミドモノメチルエステル、5ミリモルのエチルジイソプロピルアミン及び1.1ミリモルのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)を20mlのジクロロメタン中に入れた混合物を、室温で30分間撹拌する。1.1ミリモルの(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミンを添加した後に、該懸濁液を室温で一晩撹拌する。該混合物を減圧下で濃縮し、そしてその固体残留物を、SiO2上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 85/15 容量/容量)によって精製し、その主生成物フラクションを分離し、そして濃縮することで、表題化合物が帯灰色の固体残留物として得られる。融点166〜167.5℃。
【0103】

【0104】
B. (3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミン
【化25】

【0105】
50ミリモルの3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン、75ミリモルの(R)−1−フェニルエチルアミン、5ミリモルのp−トルエンスルホン酸一水和物及び1gの炭素上白金触媒(3%Pt)を400mlの無水メタノール中に入れた懸濁液を、60℃及び100ミリバールの水素圧で、更なるケトンがTLCによって検出され得なくなるまで水素化する。室温に冷却した後に、該懸濁液をtonsil層をつうじて濾過し、そして濾液を真空下で濃縮する。粘性の残留物を、ジクロロメタンと20%のクエン酸溶液との間で分ける。水相のpHを、水酸化ナトリウム希釈溶液で約6.0にまで中和し、そして水相をジクロロメタンで4回抽出する。合した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮させることで、[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−((R)−1−フェニル−エチル)−アミンが主要化合物として得られる。粘性の残留物は、更に精製せずに、原料としてそのまま後続工程に使用する。粘性の残留物を、1.2当量の37%塩酸及びメタノール中に溶解させ、そして炭素上パラジウム触媒を添加する。そのスラリーを、60℃及び100ミリバールの水素圧で、更なる[(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イル]−((R)−1−フェニル−エチル)−アミンがTLCによって検出されえなくなるまで水素化する。室温に冷却した後に、該懸濁液をtonsil層をつうじて濾過し、そして濾液を真空下で濃縮する。粘性の残留物を、シリカゲル又は酸化アルミニウムでのクロマトグラフィーによって精製する。主生成物フラクションを真空中で濃縮し、そして表題化合物が固体のフォーム状残留物として得られる。
【0106】
選択的に、3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オンを、DE4217401号においてシス−(−)−4−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−ピペリジンの製造について記載された方法を適用して変換することで、(3R,4R)−3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−イルアミンを得ることができる。
【0107】
3−アリール−テトラヒドロ−ピラン−4−オン[式(7)の化合物]の製造のための一般的な手順A
【化26】

【0108】
KOH(2当量)を、2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン誘導体(1当量)をCH2Cl2−H2O(1:2、容量/容量)中に溶かした溶液に添加する。該反応混合物を35℃で28時間撹拌し、そして次いで水に注入する。CH2Cl2で抽出した後に、合した有機層を水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、そして全ての揮発性物質を真空下で除去する。その残留物をSiO2上でクロマトグラフィーにかけることで、相応の3−(3,4−ジアルコキシフェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オンが得られる。
【0109】
C1. 3−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン
【化27】

【0110】
一般的な手順Aに従って、KOH(2当量)及び2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン(1当量)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2)の後に、表題化合物が得られる。
【0111】
C2. 3−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン
【化28】

【0112】
一般的な手順Aに従って、KOH(2当量)及び2−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン(1当量)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2)の後に、表題化合物が得られる。
【0113】
2−アリール−1,4−ペンタジエン−3−オン[式(8)の化合物]の製造のための一般的な手順B
【化29】

【0114】
MnO2(20〜25当量)を、2−アリール−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体(1当量)をCH2Cl2(12l/モル)中に溶かした溶液に少しずつ添加する。35〜60分間室温で撹拌した後に、該反応混合物をSiO2をつうじて濾過して、MnO2を分離し、それをEEで数回洗浄する。その濾液を濃縮し、そして残留物をSiO2上でクロマトグラフィーにかけることで、相応の2−アリール−1,4−ペンタジエン−3−オン誘導体が得られる。2−アリール−1,4−ペンタジエン−3−オン誘導体は、安定でなく、−15℃でさえも数日で分解する;有利には該誘導体を、更なる合成手順で複数時間内で変換させる。
【0115】
D1. 2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン
【化30】

【0116】
一般的な手順Bに従って、MnO2(1.63g、18.70ミリモル)及び2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール(200mg、0.85ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、PE/EE 2:1、Rf=0.40)の後に、表題化合物(110mg、0.50ミリモル)が黄色の油状物として得られる;C14163(232.27)。
【0117】

【0118】
D2. 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン
【化31】

【0119】
一般的な手順Bに従って、MnO2(1.81g、20.79ミリモル)及び2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール(220mg、0.99ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、PE/EE 2:1、Rf=0.40)の後に、表題化合物(122mg、0.56ミリモル、56%)が黄色の油状物として得られる;C14163(218.25)。
【0120】

【0121】
2−アリール−1,4−ペンタジエン−3−オール[式(9)の化合物]の製造のための一般的手順C
【化32】

【0122】
式10のブロモスチレン誘導体(1当量)を、t−BuLi(2.5当量)をTHF(2l/モル)中に溶かした溶液に−78℃で滴加し、そして該反応混合物を−78℃で1.5時間撹拌する。蒸留したばかりのアクロレイン(3当量)を滴加する。−78℃で更に1.5時間撹拌した後に、該反応混合物を室温にまで加温させて、そしてNH4Clの水溶液(7l/モル)で洗浄する。層を分離し、そして水層をCH2Cl2(7l/モル)で抽出する。合した有機層を、水(5l/モル)で洗浄し、そして乾燥させる(MgSO4)。全ての揮発性物質を除去した後に、残留物をSiO2上でクロマトグラフィーにかけることで、相応の2−アリール−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体が得られる。
【0123】
E1. 2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール
【化33】

【0124】
一般的な手順Cに従って、1−ブロモ−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテン(1.40g、5.44ミリモル)、t−BuLi(8.00ml、13.60ミリモル)及びアクロレイン(914mg、16.32ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー[SiO2、PE/EEグラジエント 5:1〜2:1、Rf(PE/EE=2:1)=0.31]の後に、表題化合物(1.10g、4.69ミリモル)が無色の油状物として得られる。
【0125】

【0126】
2−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オールは、+4℃で十分に長期の安定性を示す。
【0127】
E2. 2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール
【化34】

【0128】
一般的な手順Cに従って、1−ブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)エテン(1.00g、4.11ミリモル)、t−BuLi(6.05ml、10.28ミリモル)及びアクロレイン(691mg、12.33ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、PE/EE=2:1、Rf=0.25)の後に、表題化合物(382mg、1.74ミリモル、42%)が黄色の油状物として得られる;C13163(220.26)。
【0129】

【0130】
2−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オールは、+4℃で十分に長期の安定性を示す。
【0131】
ブロモスチレン[式(10)の化合物]の製造のための一般的な手順D
【化35】

【0132】
HBr(酢酸中33%、1当量)を、式11のフェニルアセチレン誘導体(1当量)にN2雰囲気下で滴加する。15分間撹拌した後に、水(5l/モル)を、該反応混合物に添加し、そして層を分離する。水層を、CH2Cl2(10l/モル)で抽出する。合した有機層を、NaHCO3の飽和水溶液(4l/モル)で洗浄し、そして乾燥させる(MgSO4)。全ての揮発性物質を真空下で除去した後に、残留物をSiO2上でクロマトグラフィーにかけることで、相応のブロモスチレン誘導体が得られる。
【0133】
F1. 1−ブロモ−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテン
【化36】

【0134】
一般的な手順Dに従って、HBr(酢酸中33%、1.22ml、0.51g、6.25ミリモル)及び3−エトキシ−4−メトキシフェニルアセチレン(1.10g、6.25ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2 PE/EE 5:1、Rf=0.35)の後に、表題化合物(1.53g、5.83ミリモル)が褐色の油状物として得られる;C1113BrO2(257.13)。
【0135】

【0136】
1−ブロモ−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテンは、周囲温度で長期の安定性を示さないが、−15℃で数日間貯蔵できる。
【0137】
F2. 1−ブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)エテン
【化37】

【0138】
一般的な手順Dに従って、HBr(酢酸中33%、1.11ml、0.50g、6.17ミリモル)及び3,4−ジメトキシフェニルアセチレン(1.00g、6.17ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2 PE/EE 5:1、Rf=0.41)の後に、表題化合物(1.30g、5.35ミリモル)が褐色の油状物として得られる;C1113BrO2(243.10)。
【0139】

【0140】
1−ブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)エテンは、周囲温度で長期の安定性を示さないが、−15℃で数日間貯蔵できる。
【0141】
アリールアセチレン[式(11)の化合物]の製造のための一般的な手順E
【化38】

【0142】
式12の1−アリール−2,2−ジブロモエテン誘導体(1当量)を、無水THF(6.5dm3モル-1)中に溶解させ、そしてその溶液をN2雰囲気下で−78℃に冷却する。n−BuLi(2.2当量)を、前記の撹拌された溶液に0.5時間かけて添加する。−78℃で1時間撹拌を継続し、その時間後に、冷却浴を取り除き、そして該反応混合物を室温で1.5時間撹拌する。該反応を、飽和水性NH4Cl(12l/モル)で停止させ、そしてCH2Cl2(14l/モル)で抽出する。合した有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、そして蒸発させる。残留物をSiO2上でクロマトグラフィーにかけることで、相応のアリールアセチレン誘導体が得られる。
【0143】
G1. 3−エトキシ−4−メトキシフェニルアセチレン
【化39】

【0144】
一般的な手順Eに従って、2,2−ジブロモ−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテン(5.00g、14.88ミリモル)及びn−BuLi(20.46ml、32.74ミリモル)を変換させ、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、PE/EE=5:1、Rf=0.31)の後に、表題化合物(2.60g、14.76ミリモル、99%)が無色の固体として得られる。融点95〜96℃。
【0145】

【0146】
G2. 3,4−ジメトキシフェニルアセチレン
【化40】

【0147】
一般的な手順Eに従って、2,2−ジブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)エテン(4.00g、12.40ミリモル)及びn−BuLi(17.11ml、27.28ミリモル)を変換させ、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、PE/EE=1:1、Rf=0.51)の後に、表題化合物(1.70g、10.48ミリモル、85%)が無色の固体として得られる。融点71〜72℃。
【0148】

【0149】
1−アリール−2,2−ジブロモエテン[式(12)の化合物]の製造のための一般的な手順F
【化41】

【0150】
四臭化炭素(1当量)を無水CH2Cl2(2.5l/モル)中に溶かしよく撹拌した溶液に0℃で、トリフェニルホスフィン(2当量)を添加し、そして次いで式13のベンゾアルデヒド誘導体(1当量)を添加する。得られた溶液を10〜15分間撹拌し、水(2.5l/モル)で洗浄し、そして乾燥させる(MgSO4)。全ての揮発性物質を真空下で除去した後に、残留物をSiO2上でクロマトグラフィーすることで、相応の1−アリール−2,2−ジブロモエテン誘導体が得られる。
【0151】
H1. 2,2−ジブロモ−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテン
【化42】

【0152】
一般的な手順Fに従って、四臭化炭素(3.70g、11.10ミリモル)、トリフェニルホスフィン(5.82g、22.20ミリモル)及び3−エトキシ−4−メトキシベンゾアルデヒド(2.00g、11.10ミリモル)を変換して、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、CH2Cl2、Rf=0.55)の後に、表題化合物(3.37g、10.03ミリモル)が淡黄色の固体として得られる。融点41〜42℃。
【0153】

【0154】
H2. 2,2−ジブロモ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)エテン
【化43】

【0155】
一般的な手順Fに従って、四臭化炭素(4.00g、12.05ミリモル)、トリフェニルホスフィン(6.30g、24.10ミリモル)及び3,4−ジメトキシベンゾアルデヒド(2.00g、12.05ミリモル)を変換させて、後処理及びクロマトグラフィー(SiO2、CH2Cl2、Rf=0.48)の後に、表題化合物(3.76g、11.68ミリモル、97%)が黄色の油状物として得られる。
【0156】

【0157】
3−エトキシ−4−メトキシフェニルアセチレンへの代替経路:
G1. 3−エトキシ−4−メトキシフェニルアセチレン
【化44】

【0158】
3−エトキシ−4−メトキシアセトフェノン(2.60g、13.4ミリモル)をTHF(7ml)中に溶かした溶液を、LDA(7.05ml、1.51g、14.07ミリモル)をTHF(10ml)中に入れたものに、N2雰囲気下で−78℃においてゆっくりと添加し、そして該反応混合物を−78℃で1時間撹拌する。次いで、ジエチルクロロホスフェート(2.51g、14.07ミリモル)を添加し、そして該反応混合物を室温にまで加温する(3時間)。再び−78℃にまで冷却した後に、LDA(15.1ml、3.23g、30.15ミリモル)を30分間かけて滴加し、そして該反応混合物を室温にまで加温する(3時間)。0℃で水を添加(10ml)し、そして該反応混合物を0℃で20分間撹拌する。相分離を行い、水層をCH2Cl2(3×50ml)で抽出する。合した抽出物を1NのHCl(40ml)で洗浄し、水(3×100ml)で洗浄し、そして乾燥させる(MgSO4)。溶剤を真空下で除去し、そして残留物をSiO2上でのクロマトグラフィー(PE/EE=5:1、Rf=0.31)にかけることで、表題化合物が無色の固体として得られる(1.33g、7.60ミリモル、56%)。融点95〜96℃。
【0159】

【0160】
I. 3−エトキシ−4−メトキシアセトフェノン
【化45】

【0161】
3−ヒドロキシ−4−メトキシアセトフェノン(4.00g、24.1ミリモル)及びK2CO3(4.77g、48.1ミリモル)をDMF(20ml)中に入れた懸濁液を、100℃で30分間加熱し、そして次いで室温に冷却する。臭化エチル(5.25g、48.14ミリモル)をゆっくりと滴加し、そして該反応混合物を100℃で6時間加熱する。溶剤を除去した後に、残留物を水(40ml)中に溶解させ、そしてCH2Cl2(3×50ml)で抽出する。合した抽出物を乾燥させ(MgSO4)、そして濃縮する。粗生成物を2−プロパノール(25ml)から再結晶させることで、表題化合物が細い針状物(3.97g、20.44ミリモル)として得られる。融点63〜64℃。
【0162】

【0163】
K. 3−ヒドロキシ−4−メトキシアセトフェノン
【化46】

【0164】
3,4−ジメトキシ−アセトフェノン(15g、83ミリモル)を濃H2SO4(75ml)中に溶かした溶液を、65℃で46時間撹拌する。室温に冷却した後に、該反応混合物を氷(300g)に注入し、そして1時間撹拌する。その沈殿物を濾別し、水で洗浄し、そしてNaOH(1モル/l、190ml、0.19モル)中に再溶解させる。該混合物を、CH2Cl2(80ml)で抽出する。水性NaOH層を、濃HCl(30ml)で酸性化し、1.5時間(氷冷)撹拌し、そして濾別することで、沈殿した3−ヒドロキシ−4−メトキシアセトフェノンが淡褐色の固体(8.291g、49.89ミリモル)として得られる。融点72〜74℃。
【0165】

【0166】
明細書と特許請求の範囲をとおした本発明による化合物の番号付けと名称は、MDL情報システムGmbH社のプログラムAutonom2000によって作製された。以下の表に、Autonom2000によって作製された番号付け及び名称とACD/名、ScienceServe Elsevier MDL(IUPAC準拠)によって作製された番号付け及び名称との一致リストを示している。
【0167】
【表1】

【0168】
【表2】

【0169】
産業上利用性
本発明による化合物は、工業的利用を可能にする有用な薬理学的特性を有する。選択的環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(特にタイプ4)として、これらは一方で気管支治療薬(拡張拡張を原因とするが、その呼吸数又は呼吸力の増大作用をも原因とする気道障害の治療のため)として、そしてその血管拡張作用のため勃起不全の解除のために適しているが、他方では、特に疾患、特に例えば気道(喘息予防)、皮膚、腸管、眼、CNS及び関節の炎症状態の治療のために適当であり、これらはメディエーター、例えばヒスタミン、PAF(血小板活性因子)、アラキドン酸代謝物、例えばロイコトリエン及びプロスタグランジン、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン、α−インターフェロン、β−インターフェロン及びγ−インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)又は酸素フリーラジカル及びプロテアーゼによって媒介される。本願明細書では、本発明による化合物は低い毒性、良好な腸内吸収(高い生物学的利用能)、広い治療範囲及び重篤な副作用の不在によって特徴付けられる。
【0170】
それらのPDE阻害特性のため、本発明による化合物はヒト医学及び獣医学において療法剤として使用でき、その際、これらは、例えば以下の疾患の治療及び予防のために使用できる:種々の原因(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、COPD)による急性および慢性の(特に炎症性およびアレルギー誘発性)気道障害、皮膚病(特に増殖性、炎症性およびアレルギー性)、例えば乾癬(尋常性)、中毒性湿疹およびアレルギー接触性湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、肛門性器領域の痒み症、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、ろ胞性および広範囲の膿皮症、内因性および外因性座瘡、酒土性座瘡および他の増殖性、炎症性およびアレルギー性の皮膚疾患、TNFおよびロイコトリエンの過剰放出に基づく障害、例えば関節性の障害(リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症および他の関節の症状)、免疫系の障害(AIDS、多発性硬化症)、移植片対宿主反応、移植拒否反応、ショック症状(敗血症性ショック、エンドトキシンショック、グラム陰性菌性敗血症、トキシックショック症候群およびARDS(成人呼吸窮迫症候群))、ならびに胃腸領域における全身性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)、上部気道(咽頭、鼻)領域および隣接領域(副鼻腔、目)でのアレルギー性および/または慢性の免疫不全性反応に基づく疾患、例えばアレルギー性鼻炎/アレルギー性副鼻腔炎、慢性鼻炎/慢性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎および鼻ポリープ、さらにはPDEインヒビターによって治療することができる心臓疾患、例えば心不全、またはPDEインヒビターの組織弛緩作用から治療することができる疾患、例えば、勃起機能不全または腎臓結石に関連する腎臓および尿管の疝痛。更に、本発明の化合物は、尿崩症、I型及びII型の糖尿病、白血病、骨粗鬆症及び大脳の代謝抑制に関連する症状、たとえば大脳老化、老年性痴呆(アルツハイマー氏病)、パーキンソン氏病又は多発拘束性痴呆に関連する記憶障害の治療に有用であり、また中枢神経系の障害、たとえば、鬱病又は動脈硬化性痴呆の治療に有用である。
【0171】
更に本発明は、疾病、特に先に例示した疾病の治療及び/又は予防で使用するための本発明による化合物、製剤学的に認容性の水和物、溶媒和物、塩又はN−オキシドに関する。
【0172】
更に、本発明は、特に先に例示した疾病の治療及び/又は予防のための、本発明による化合物、製剤学的に認容性の水和物、溶媒和物、塩又はN−オキシド1種以上と製剤学的に認容性の助剤及び/又は賦形剤1種以上とを含有する医薬組成物に関する。
【0173】
また本発明は、本発明による化合物、製剤学的に認容性の水和物、溶媒和物、塩又はN−オキシドを、PDE4(PDE3/4)阻害が有効な疾病の治療及び/又は予防のための医薬組成物、特に先に例示した疾病の1種以上の治療及び/又は予防のための医薬組成物の製造において用いる使用に関する。
【0174】
更に本発明は、ヒトを含む哺乳動物であって前記の疾病を患い又は前記の疾病に感受性の哺乳動物において、PDE4(又はPDE3/4)阻害が有効な疾病1種以上の治療及び/又は予防のための方法であって、特に前記の疾病が先に例示した疾病の1種以上である方法に関する。該方法は、かかる治療及び/又は予防を必要とする哺乳動物に、本発明による化合物、水和物、溶媒和物、塩又はN−オキシド1種以上の治療学的又は予防的に有効な量を投与することを特徴とする。
【0175】
該医薬組成物は、本発明による化合物、薬理学的に認容性の水和物、溶媒和物、塩又はN−オキシド(以下に"有効化合物"と呼称する)1種以上を、0.1〜99.9質量%、有利には5〜95質量%、より有利には20〜80質量%の全量で含有してよい。
【0176】
製剤学的に認容性の助剤及び賦形剤として、医薬組成物の製造に適していると知られた任意の助剤及び賦形剤を使用することができる。その例は、これらに制限されないが、溶剤、分散剤、乳化剤、溶解剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、酸化防止剤、保存剤、安定剤、担体(cartrier)、充填剤、結合剤、増粘剤、錯形成剤、崩壊剤、緩衝剤、透過促進剤、ポリマー、滑沢剤、被覆剤、噴射剤、浸透圧調整剤、界面活性剤、着色剤、フレーバー、甘味料及び色素を含む。特に、所望の配合及び所望の投与様式に適した型の助剤及び賦形剤が使用される。
【0177】
医薬組成物は、例えば錠剤、被覆錠剤(糖剤)、丸剤、カシェ剤、カプセル剤(カプレット剤)、顆粒剤、粉剤、坐剤、液剤(例えば滅菌溶液)、エマルジョン剤、懸濁液剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、油剤、ゲル剤、スプレー剤及びパッチ剤(例えば経皮治療系)に"製剤"することができる。付加的に、医薬組成物は、例えばリポソームデリバリーシステム及び、有効化合物とポリマー(例えば可溶性又は生分解性ポリマー)と組み合わせた系として製造することができる。
【0178】
有効化合物1種以上及び助剤及び/又は賦形剤1種以上を含有する医薬組成物は、当業者に公知のようにして、例えば溶解、混合、造粒、糖剤製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、閉じ込め又は凍結乾燥の方法によって製造することができる。
【0179】
選択される製剤は、とりわけ医薬組成物の投与形路に依存する。本発明の医薬組成物は、任意の好適な経路によって、例えば経口、舌下、頬内、静脈内、筋内、皮下、皮内、局所、経皮、鼻内、眼内、腹腔内、胸骨内、歯冠内、経尿道、直腸内又は膣内の投与によって、吸入又は吹込によって投与することができる。経口投与が好ましい。
【0180】
特に、経口投与のためには、錠剤、被覆錠剤(糖剤)、丸剤、カシェ剤、カプセル剤(カプレット剤)、顆粒剤、液剤、エマルジョン剤及び懸濁液剤が、例えば適している。特に、前記の製剤は、例えば腸溶形、速放形、遅延放出形又は徐放形であるように適合させることができる。前記の剤形は、例えば錠剤の被覆によって、異なる条件(例えばpH条件)下に崩壊する層により分離された幾つかのコンパートメントに錠剤を分けることによって、又は有効化合物と生分解性ポリマーとを組み合わせることによって得ることができる。
【0181】
吸入による投与は、有利にはエーロゾルを用いることによってなされる。エーロゾルは、液体−気体分散物、固体−気体分散物又は液体/固体混合物−気体分散物である。
【0182】
エーロゾルは、エーロゾル生成装置、例えば乾燥粉末吸入器(DPI)、加圧式定量噴霧式吸入器(PMDI)及びネブライザーを用いることによって生成させることができる。投与されるべき有効化合物の種類に応じて、エーロゾル生成装置は、有効化合物を、粉末、溶液又は分散液の形で含有してよい。粉末は、例えば以下の助剤:担体、安定剤及び充填剤の1種以上を含有してよい。溶液は、溶剤の他に、例えば以下の助剤:噴射剤、溶解剤(助溶剤)、界面活性剤、安定剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、保存剤及びフレーバーの1種以上を含有してよい。分散液は、分散剤の他に、たとえば以下の助剤:噴射剤、界面活性剤、安定剤、緩衝剤、保存剤及びフレーバーの1種以上を含有してよい。担体の例は、これらに制限されないが、糖類、例えばラクトース及びグルコースを含む。噴射剤の例は、これらに制限されないが、フルオロハイドロカーボン、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンを含む。
【0183】
エーロゾル粒子(固体、液体又は固体/液体粒子)の粒径は、有利には100μm未満、より有利にはその粒径は、0.5〜10μmの範囲、特に2〜6μmの範囲にある(D50値、レーザ回折により測定される)。
【0184】
吸入投与に使用できる特定のエーロゾル生成装置は、これらに制限されないが、Cyclohaler(登録商標)、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、Autohaler(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、Novolizer(登録商標)、Easyhaler(登録商標)、Aerolizer(登録商標)、Jethaler(登録商標)、Diskus(登録商標)、Ultrahaler(登録商標)及びMystic(登録商標)の型の吸入器を含む。エーロゾル生成装置は、吸入効率の改善のために、スペーサ又はエキスパンダ、例えばAerochamber(登録商標)、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標)及びRondo(登録商標)と組み合わせることができる。
【0185】
局所投与の場合に、好適な医薬製剤は、例えば軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル剤、粉剤、液剤、エマルジョン剤、懸濁液剤、油剤、スプレー剤及びパッチ剤(例えば経皮治療系)である。
【0186】
非経口の投与様式、例えば静脈内、筋内、皮下、皮内、腹腔内及び胸骨内の投与のためには、有利には液剤(例えば滅菌溶液、等張溶液)が使用される。これらは、有利には、注射又は点滴の技術によって投与される。
【0187】
経鼻投与の場合に、例えば小滴形で適用されるスプレー剤及び液剤が好ましい製剤である。
【0188】
眼内投与のためには、小滴形で適用される液剤、ゲル剤及び軟膏剤が例示される製剤である。
【0189】
一般に、本発明による医薬組成物は、有効化合物の用量がPDEインヒビターに慣用の範囲であるように適用することができる。吸入による投与のための用量は慣用に1日あたり0.1〜3mgである。全身治療(経口又は静脈内)の場合の慣用の用量は1日あたり1キログラムにつき0.01〜10mg、有利には1日あたり1キログラムにつき0.03〜3mgである。これに関して、用量は、使用される特定の化合物、治療される種、治療される被験体の年齢、体重、全体的な健康、投与の様式及び時間、排泄速度、治療されるべき疾病の重度及び薬剤の組み合わせに依存することを留意すべきである。医薬組成物は、1日当たり単一投与で又は複数のサブドーズで、例えば1日あたり2〜4回投与で投与することができる。
【0190】
生物学的調査
セカンドメッセンジャーのサイクリックAMP(cAMP)は炎症細胞及び免疫応答を担う細胞の阻害に関してよく知られている。PDE4補酵素は免疫疾患の開始及び伝播に関連する細胞において広範に発現され(H Tenor and C Schudt,in "Phosphodiestarase Inhibitors",21−40,"The Handbook of Immunopharmacology",Academic Press,1996)、かつその阻害は細胞内cAMP濃度の増大をもたらし、従って細胞活性の阻害をもたらす(JE Souness et al.,Immunopharmacology 47:127−162,2000)。
【0191】
種々の動物モデルにおけるインビボでのPDE4インヒビターの抗炎症能力が記載されている(MM Teixeira,TiPS 18:164−170,1997)。細胞レベルでの(インビボ)PDE4阻害の調査のために、多くの種々の前炎症反応を測定できる。例は好中性(C Schudt et al.,Arch Pharmacol 344:682−690,1991)又は好酸性(A Hatzelmann et al.,Brit J Pharmacol 114:821−831,1995)の顆粒球のスーパーオキシド産生であり、これはルミノールで増強される化学発光として、又は単球、マクロファージ又は樹状細胞における腫瘍壊死因子αの合成として測定できる(Gantner et al.,Brit J Pharmacol 121:221−231,1997,and Pulmonary Pharmacol Therap 12:377−386,1999)。更にPDE4インヒビターの免疫調節能力はサイトカイン合成又は増殖のようなT細胞応答の阻害から明らかである(DM Essayan,Biochem Pharmacol 57:965−973,1999)。前記の前炎症メディエーターの分泌を阻害する物質はPDE4を阻害する物質である。従って本発明による化合物によるPDE4阻害は炎症プロセス抑制の主要な指標である。
【0192】
PDE4活性の阻害の測定方法
PDE4B2(GB番号M97515)はM.Conti教授(スタンフォード大学、米国)の寄贈である。元のプラスミド(pCMV5)からプライマーRb9(5′−GCCAGCGTGCAAATAATGAAGG−3′)及びRb10(5′−AGAGGGGGATTATGTATCCAC−3′)を用いるPCRを介して増幅させ、そしてpCR−Bacベクター(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)中にクローニングした。
【0193】
組み換えバキュウロウイルスをSF9昆虫細胞で相同組み換えによって作成した。発現プラスミドを標準的プロトコール(ファーミンジェン、ハンブルク)を使用してBac−N−Blue(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)又はBaculo−Gold DNA(ファーミンジェン、ハンブルク)と一緒に同時トランスフェクションさせた。野生型のウイルス不含の組み換えウイルス上清をプラークアッセイ法を用いて選択した。次いで、高力価のウイルス上清を3回増幅することによって製造した。PDE4B2を、血清不含のSF900培地(ライフテクノロジーズ、ペイズリー、UK)中で1〜10のMOI(感染多重度)で2×106細胞/mlで感染させることによってSF21細胞中に発現させた。該細胞を28℃で48〜72時間培養し、次いでこれらの細胞を1000g及び4℃で5〜10分間かけてペレット化した。
【0194】
SF21昆虫細胞を約107細胞/mlの濃度で氷冷(4℃)均質化バッファー(20mMのTris、pH8.2、以下のものを含有する:140mMのNaCl、3.8mMのKCl、1mMのEGTA、1mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、2mMのベンズアミジン、0.4mMのPefablock、10μMのロイペプチン、10μMのペプスタチンA、5μMのトリプシンインヒビター)中で再懸濁させ、そして超音波により破砕させた。均質物を次いで1000×gで10分間遠心分離し、そして上清を引き続きの使用まで−80℃で貯蔵した(以下参照)。タンパク質含量をブラッドフォード法(BioRad、ミュンヘン)によってスタンダードとしてBSAを用いて測定した。
【0195】
PDE4B2活性を前記化合物によって、アマシャムバイオサイエンス(手順説明書"phosphodiesterase[3H] cAMP SPA enzyme assay,code TRKQ 7090"を参照のこと)によって提供された改変されたSPA(シンチレーション近接アッセイ)試験において、96ウェルのマイクロタイタープレート(MTP)中で実施して阻害した。試験容量は100μlであり、これは20mMのTrisバッファー(pH7.4)、0.1mgのBSA(ウシ血清アルブミン)/ml、5mMのMg2+、0.5μMのcAMP(約50000cpmの[3H]cAMPを含む)、1μMのそれぞれのDMSO中希釈物及び効率的な組み換えPDE(1000×g上清、上記参照)を含有し、10〜20%のcAMPが前記の試験条件下に変換されることを保証した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度(1%v/v)は実質的に調査されるPDEの活性に影響を及ぼさない。37℃で5分間プレインキュベートした後に、基質(cAMP)を添加することによって反応を開始させ、そしてアッセイ物を更に15分間インキュベートし、次いでSPAビーズ(50μl)を添加することによって反応を停止させた。製造元の説明に従って、SPAビーズを事前に水中に再懸濁させるが、次いで水中で1:3(v/v)に希釈し、希釈された溶液も3mMのIBMXを含有し、それによりPDE活性の完全な停止を保証した。該ビーズが沈殿した後に(>30分)、MTPの分析を市販のルミネッセンス検出装置において行う。化合物のPDE活性の阻害についての相応のIC50値を濃度−作用曲線から非線形回帰によって測定する。
【0196】
本発明による化合物について測定された阻害値は以下の第1表からわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0197】
第1表
PDE4活性の阻害[−logIC50(モル/l)として測定した]
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基であり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルキル、トリフルオロメチル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−(C1〜C4−アルキル)−ピペラジン−4−イル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である]で示される化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくはそれらの塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式1で示され、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−(C1〜C4−アルキル)−ピペラジン−4−イル基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、請求項1記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項3】
式1で示され、その式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル又はC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−メチル−ピペラジン−4−イル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、請求項1記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項4】
式1で示され、その式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル又はメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、C1〜C4−アルキルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−メチル−ピペラジン−4−イル基又は4−モルホリニル基である、請求項1記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項5】
式1で示され、その式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基であり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜C4−アルキル、トリフルオロメチル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、ヒドロキシル、C1〜C8−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ又はC3〜C7−シクロアルキルメトキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、水素、C1〜C7−アルキル、C3〜C7−シクロアルキル又はC3〜C7−シクロアルキルメチルであるか、又はR71及びR72は、一緒になって、両者が結合される窒素原子を含んで、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、1−ヘキサヒドロアゼピニル基又は4−モルホリニル基である、請求項1記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項6】
式1で示され、その式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ又はエトキシであり、
R3は、R4及びR5により置換されたフェニル基であり、その際、
R4は、水素であり、
R5は、CO−R6又はCO−R7であり、その際、
R6は、C1〜C2−アルコキシであり、かつ
R7は、N(R71)R72であり、その際、R71及びR72は、互いに無関係に、C1〜C4−アルキルである、請求項1記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項7】
式1で示され、その式中、4a位及び10a位の水素原子が互いにシス位にある、請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項8】
式1で示され、その式中、4a位及び10a位に関して、式(1*):
【化2】

で示される立体配置を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項9】
式4の化合物の製造方法において、
(a)式7
【化3】

で示されるテトラヒドロ−ピラノン誘導体を、光学的に純粋な1−フェニルエチルアミンで変換して、式6のイミン/エナミンを得ること、
【化4】

(b)得られた式6のイミン/エナミンを水素化して、式5
【化5】

で示される第二級アミンを得ること、
(c)1−フェニルエチル基を水素化により分離すること、
(d)場合により、工程(a)ないし(c)で得られた式4の化合物を変換して、それらの塩を得ること、又は工程(a)ないし(c)で得られた式4の化合物の塩を変換して、次いで遊離の化合物を得ること
(式4、5、6及び7の化合物において、R1及びR2は、請求項1から4までのいずれかに示される意味を有する)
を特徴とする方法。
【請求項10】
式4
【化6】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基である]で示される化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物。
【請求項11】
式4で示され、その式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、R2がメトキシ又はエトキシである、請求項10記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物。
【請求項12】
式4a又は式4b
【化7】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基である]で示される化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物。
【請求項13】
式4a又は式4bで示され、その式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、R2がメトキシ又はエトキシである、請求項12記載の化合物又はそれらの水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物。
【請求項14】
式7の化合物の製造方法において、
(a)式11
【化8】

で示される化合物を、濃臭化水素酸と厳密に無水条件下で反応させ、
(b)式10
【化9】

で示される得られた1−ブロモ−1−(3,4−ジアルコキシフェニル)エタン誘導体を、ブロモ−リチウム交換反応に供し、そして次いでアクロレインを用いて変換して、式9
【化10】

で示される2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体を得て、
(c)式9の2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オール誘導体を酸化させて、式8
【化11】

で示される相応の2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オン誘導体を得て、
(d)式8の2−(3,4−ジアルコキシフェニル)−1,4−ペンタジエン−3−オンを、KOHによる二重マイケル付加を介して変換して、式7で示される3−(3,4−ジアルコキシ−フェニル)−テトラヒドロ−ピラン−4−オン誘導体を得る
[式7、8、9、10及び11の化合物において、R1及びR2は、請求項1から4までのいずれかに示される意味を有する]
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
式7
【化12】

[式中、
R1は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであり、かつ
R2は、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、フッ素により完全にもしくは大部分が置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基である]で示される化合物。
【請求項16】
式7で示され、その式中、R1がメトキシ又はエトキシであり、かつR2がメトキシ又はエトキシである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
疾病の治療及び/又は予防において使用するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の式1の化合物又はそれらの製剤学的に認容性の水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらのN−オキシドの塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項18】
請求項1から8までのいずれか1項記載の式1の化合物又はそれらの製剤学的に認容性の水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらのN−オキシドの塩、水和物もしくは溶媒和物1種以上と一緒に、医薬品助剤及び/又は賦形剤1種以上を含有する医薬組成物。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項記載の式1の化合物又はそれらの製剤学的に認容性の水和物、溶媒和物もしくは塩又はそれらの塩の水和物もしくは溶媒和物又はそれらのN−オキシド又はそれらのN−オキシドの塩、水和物もしくは溶媒和物を、呼吸器疾患及び/又は皮膚病の治療及び/又は予防用の医薬組成物の製造において用いる使用。

【公表番号】特表2008−512366(P2008−512366A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529363(P2007−529363)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054364
【国際公開番号】WO2006/027344
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】