説明

新規の6−ピリジルフェナントリジン

一定の式Iで示され、その式中、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R51及びHarが明細書中に示される意味を有する化合物は、新規の効果的なPDE4インヒビターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品組成物の製造のための医薬品工業で使用される新規の6−ピリジルフェナントリジンに関する。
【0002】
技術的背景
国際出願WO97/35854号は、PDE4インヒビターとして6−ピリジルフェナントリジンを記載している。国際出願WO2005/085225号は、PDE4インヒビターとしてヒドロキシ−6−ヘテロアリールフェナントリジンを記載している。
【0003】
発明の開示
ここで、今までに知られた6−ピリジルフェナントリジンとは6−ピリジル環で予想されない置換型の点で異なる、以下に詳細に説明する新規の6−フェニルフェナントリジンが、驚くべき特に有利な特性を有することが判明した。
【0004】
このように本発明は、式I
【化1】

[式中、
R1は、ヒドロキシル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、ヒドロキシル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基であり、
R3は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R31は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R3及びR31は、一緒になって、C1〜C4−アルキレン基であり、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であるか、又は
R5及びR51は、一緒になって、付加的な結合を表し、
Harは、R6及び/又はR7及び/又はR8によって置換されたピリジニルであり、その際、
R6は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、スルファニル、シアノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル、ヒドロキシル、オキソ、−A−N(R61)R62、ピリジル又は、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
Aは、結合又はC1〜C4−アルキレンであり、
R61は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R62は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R61及びR62は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、R611によって置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により酸素、窒素及び硫黄からなる群から無関係に選択される1〜3個の更なるヘテロ原子とを有する、3員ないし7員の飽和もしくは不飽和の単環式の複素環式の環基であり、その際、
R611は、C1〜C4−アルキルであり、
R7は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、スルファニル、ヒドロキシル、オキソ、アミノ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R8は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである]で示される化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩(但し、式中のHarが、ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキル、カルボキシル、トリフルオロメチル及びC1〜C4−アルコキシカルボニルから選択されるいずれか1つによって一置換されたピリジルである化合物は除く)に関する。
【0005】
1〜C4−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0006】
1〜C4−アルキレンは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン基である。これに関して挙げられる例は、メチレン(−CH2−)基、エチレン(−CH2−CH2−)基、トリメチレン(−CH2−CH2−CH2−)基及びテトラメチレン(−CH2−CH2−CH2−CH2−)基である。
【0007】
1〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0008】
2〜C4−アルコキシは、酸素原子の他に、2〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、有利にはエトキシ基である。
【0009】
1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシは、前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つによって置換されている前記のC2〜C4−アルコキシ基の1つを表す。挙げられる例は、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基及び2−イソプロポキシエトキシ基である。
【0010】
3〜C7−シクロアルコキシは、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及びシクロヘプチルオキシを表し、そのうちシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ及びシクロペンチルオキシが有利である。
【0011】
3〜C7−シクロアルキルメトキシは、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ及びシクロヘプチルメトキシを表し、そのうちシクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ及びシクロペンチルメトキシが有利である。
【0012】
完全に又は大部分がフッ素置換されたC1〜C4−アルコキシとしては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ペルフルオロエトキシ、1,2,2−トリフルオロエトキシ、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ及び、有利にはジフルオロメトキシ基が挙げられる。この関連での"大部分が"とは、C1〜C4−アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0013】
完全にもしくは部分的にフッ素置換されたC1〜C4−アルキルとしては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ペルフルオロエチル、1,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル及び、特に2,2−ジフルオロエチル基が挙げられる。
【0014】
1〜C2−アルキレンジオキシは、例えばメチレンジオキシ[−O−CH2−O−]基及びエチレンジオキシ[−O−CH2−CH2−O−]基を表す。
【0015】
窒素原子の他に、モノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノ基は前記のC1〜C4−アルキル基の1つ又は2つを含有する。ジ−C1〜C4−アルキルアミノが有利であり、かつ本願では特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はジイソプロピルアミノである。
【0016】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、臭素、塩素又はフッ素である。
【0017】
1〜C4−アルコキシカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC1〜C4−アルコキシ基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びイソプロポキシカルボニル基である。
【0018】
1〜C4−アルキルチオは、硫黄原子の他に前記のC1〜C4−アルキル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、ブチルチオ基、プロピルチオ基及び、有利にはエチルチオ及びメチルチオ基である。
【0019】
ピリジル又はピリジニルは、例えばピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル及びピリジン−4−イルである。
【0020】
本願で使用される用語"オキソ"は、炭素に二重結合した酸素原子を指し、該酸素原子はそれが結合される炭素原子と一緒にカルボニル基又はケト基(C=O)を形成する。オキソ基が(複素)芳香環の置換基であることは、=C(−H)−がその結合位置で−C(=O)−と交換されていることである。オキソ置換基を(複素)芳香環上に導入することにより(複素)芳香性が破壊されることは明らかである。
【0021】
Aが"結合"を意味する場合に、部分−N(R61)R62は、Har基に直接的に結合される。
【0022】
R3及びR31が一緒になってC1〜C4−アルキレンを意味する場合に、式Iの化合物中の1位及び4位はC1〜C4−アルキレン架橋によって互いに結合されており、その際、C1〜C4−アルキレンは直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基を表す。挙げられる例は、メチレン基[−CH2−]、エチレン基[−CH2−CH2−]、トリメチレン基[−CH2−CH2−CH2−]、1,2−ジメチル−エチレン基[−CH(CH3)−CH(CH3)−]及びイソプロピリデン基[−C(CH32−]である。
【0023】
Harは、三環式のフェナントリジン骨格に炭素環原子を介して結合されており、その際、全ての位置異性体が考慮される。
【0024】
Het1は、R611によって置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により、酸素、窒素及び硫黄からなる群から無関係に選択される更なる1〜3個のヘテロ原子とを有する、安定な単環式の3員ないし7員の飽和又は不飽和(複素芳香族)の複素環基を表す。
【0025】
本発明による第一の側面(側面1)では、Het1は、環窒素原子上でR611によって置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される更なる1個のヘテロ原子とを有する、安定な単環式の3員ないし7員の完全飽和の複素環基を表す。
【0026】
本発明による第二の側面(側面2)では、Het1は、R61及びR62が結合される窒素原子と、場合により1〜3個の更なる窒素原子とを有する、安定な単環式の5員の不飽和(複素芳香族)の環基を表す。
【0027】
Het1は、側面1によれば、これらに制限されないが、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル又はホモピペラジニルを含んでよい。Het1は、また、側面2によれば、これらに制限されないが、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリルを含んでよい。
【0028】
本発明によるHet1についての更なる例としては、これらに制限されないが、前記の側面1によるHet1の例のR611で置換された誘導体、例えば4−N−(R611)−ピペラジニル又は4−N−(R611)−ホモピペラジニルを挙げることができる。
【0029】
例証すると、側面1による好適なHet基の例としては、例えば、これらに制限されないが、モルホリン−4−イル又はピペリジン−1−イルを挙げることができる。
【0030】
例証すると、側面2による好適なHet1基の例としては、例えば、これらに制限されないが、ピラゾール−1−イル又はイミダゾール−1−イルを挙げることができる。
【0031】
一般に、特に挙げられない限りは、本願に挙げられる複素環基は、その全ての可能な異性体形を指す。
【0032】
ピリジン環の2位又は4位でヒドロキシル基又はオキソ基によって置換されたピリジン化合物は、種々の互変異性形で、すなわちエノール形とケト形で存在してよく、これらは両者とも本発明によって、純粋形並びにその任意の混合物で考えられることと解されるべきである。
【0033】
本願に記載のように置換されていてよい成分は、特に記載がない限り任意の可能な位置で置換されていてよい。
【0034】
本願に挙げられる複素環基は、単独で又は他の基の部分として、所定の置換基によって、特に示されない限りは、任意の可能な位置で、例えば任意の置換可能な環炭素原子又は環窒素原子で置換されていてよい。
【0035】
特に示されない限りは、第4級化可能なイミノ型の環窒素原子(−N=)を有する環は、有利には、これらのイミノ型の環窒素原子上では、挙げられる置換基によって第4級化されていなくてよく、このことは、ケト/エノール互変異性による第4級化を回避できる本発明による化合物には適用できない。
【0036】
特に示されない限りは、本願に挙げられる原子価が満たされていない複素環の任意のヘテロ原子は、水素原子を有することで原子価が満たされると見なす。
【0037】
任意の置換基が任意の成分中に1回以上存在する場合には、各定義は無関係である。
【0038】
当業者に知られているように、窒素原子を有する化合物はN−オキシドを形成することができる。特に、イミン窒素、殊に複素環又は複素芳香族環のイミン窒素又はピリジン型の窒素(=N−)原子はN−オキシド化して、基=N+(O-)−を有するN−オキシドを形成することができる。このように、フェニルフェナントリジン骨格の5位にイミン窒素原子を有し、更に(置換基の意味に依っては)N−オキシド状態(=N+(O-)−)で存在するのに適した1個以上の窒素原子を有する本発明による化合物は、モノ−N−オキシド、ビス−N−オキシド又は多重N−オキシド又はその混合物を形成することが可能である(好適なN−オキシドの形成に適した窒素原子の数に依存する)。
【0039】
従って、本願で使用されるN−オキシドという用語は、全ての可能な、特に全ての安定なN−オキシド形、例えばモノ−N−オキシド、ビス−N−オキシド又は多重N−オキシド又は任意の混合比のその混合物を包含する。
【0040】
式Iの化合物の可能な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される無機酸及び有機酸との塩基の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。適当な塩は、一方では、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との水不溶性の、特に水溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用してよい。
【0041】
他方で塩基との塩も適当である。挙げられる塩基との塩の例は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)又はカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、ここでもまた塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0042】
本発明による化合物の工業的規模での製造においてプロセス生成物として、例えば最初に得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0043】
本発明による式Iの化合物及びその塩は、例えばこれらが結晶形で単離される場合に種々の溶剤量を有してよいことは当業者には知られている。従ってまた本発明は、式Iの化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式Iの化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物を包含する。
【0044】
更に、本発明は、純粋形並びに任意のその混合物における、本発明の化合物の全ての考えられる互変異性形を含む。この関連で、当業者は、エノール化可能なケト基が個々の化学的環境に依存してその互変異性エノール形で存在でき、その逆もあることも認識している。当業者に公知のように、ケト官能性及びエノール官能性は、平衡において相互に交換可能である。本発明は、前記の関連では、純粋形並びに任意の混合比でのその混合物における、本発明による化合物の安定なケト異性体と安定なエノール異性体の両者を含む。
【0045】
本発明によるより挙げるに値する式Iの化合物は、式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ、C3〜C5−シクロアルコキシ、C3〜C5−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ、C3〜C5−シクロアルコキシ、C3〜C5−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及び/又はR7及び/又はR8によって置換されたピリジルであり、その際、
R6は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、シアノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル又は−A−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61及びR62は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、一側面では、
Het1は、R611によって環窒素原子上で置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1個の更なるヘテロ原子とを有する、5員ないし7員の飽和の単環式の複素環式の環基、例えばピペリジン−1−イル又はモルホリン−4−イルであり、その際、
R611は、C1〜C2−アルキルであるか、又はもう一つの側面では、
Het1は、R61及びR62が結合される窒素原子と、場合により1〜3個の更なる窒素原子とを有する、5員の不飽和の単環式のヘテロアリール基、例えばイミダゾール−1−イル又はピラゾール−1−イルであり、
R7は、C1〜C4−アルコキシであり、
R8は、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシである化合物(但し、式中のHarが、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキル、カルボキシル及びC1〜C4−アルコキシカルボニルから選択されるいずれか1つによって一置換されたピリジルである化合物を除く)並びに塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0046】
本発明によるより挙げるに値する式Iの更なる化合物は、式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ、C3〜C5−シクロアルコキシ、C3〜C5−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ、C3〜C5−シクロアルコキシ、C3〜C5−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及び/又はR7及び/又はR8によって置換されたピリジルであり、その際、
R6は、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル、オキソ又は−A−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61は、C1〜C2−アルキルであり、
R62は、C1〜C2−アルキルであるか、又は
R61及びR62は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、一側面では、
Het1は、R611によって環窒素原子上で置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1個の更なるヘテロ原子とを有する、5員ないし7員の飽和の単環式の複素環式の環基、例えばピペリジン−1−イル又はモルホリン−4−イルであり、その際、
R611は、C1〜C2−アルキルであるか、又はもう一つの側面では、
Het1は、R61及びR62が結合される窒素原子と、場合により1〜3個の更なる窒素原子とを有する、5員の不飽和の単環式のヘテロアリール基、例えばイミダゾール−1−イル又はピラゾール−1−イルであり、
R7は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R8は、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシである化合物(但し、式中のHarが、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキル、カルボキシル及びC1〜C4−アルコキシカルボニルから選択されるいずれか1つによって一置換されたピリジルである化合物を除く)及びエナンチオマー並びに塩、N−オキシド及びこれらの化合物及びエナンチオマーのN−オキシドの塩である。
【0047】
本発明による特に挙げるに値する式Iの化合物は、式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及び/又はR7及び/又はR8によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C4−アルコキシ又はC1〜C4−アルコキシカルボニルであり、
R7は、C1〜C4−アルコキシであり、
R8は、C1〜C4−アルコキシ又はハロゲンであるか、又は
Harは、R6によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピラゾール−1−イル又はイミダゾール−1−イルである化合物(但し、式中のHarが、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ及びC1〜C4−アルコキシカルボニルから選択されるいずれか1つによって一置換されたピリジルである化合物を除く)及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0048】
本発明による特に挙げるに値する式Iの化合物は、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C2−アルコキシ、C1〜C2−アルキルチオ又はA−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61は、C1〜C2−アルキルであり、
R62は、C1〜C2−アルキルであり、かつ
R7は、C1〜C2−アルコキシであり、例えば
2,6−ジメトキシピリジン−4−イル、2,6−ジメトキシピリジン−3−イル、4,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、4,6−ジエトキシ−ピリジン−3−イル、5,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル又は5−エトキシ−6−エトキシ−6−メトキシ−ピリジン−3−イルであるか、又は
Harは、R6によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C2−アルキルチオ又は−A−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61は、C1〜C2−アルキルであり、
R62は、C1〜C2−アルキルであり、例えば
2−メチルスルファニル−ピリジン−3−イルであるか、又は
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、オキソであり、かつ
R7は、C1〜C2−アルキルであり、例えば
1−メチル−1H−ピリジン−2−オン−5−イルであるか、又は
Harは、R6によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピラゾール−1−イル又はイミダゾール−1−イルであり、例えば
6−(モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル、6−(ピペリジン−1−イル)−ピリジン−3−イル、6−(ピラゾール−1−イル)−ピリジン−3−イル、6−(イミダゾール−1−イル)−ピリジン−3−イルである、化合物及びエナンチオマー並びに塩、N−オキシド並びにこれらの化合物及びエナンチオマーのN−オキシドの塩である。
【0049】
本発明によるより特に挙げるに値する式Iの化合物は、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピラゾール−1−イル又はイミダゾール−1−イルであり、例えば
6−(モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル、6−(ピペリジン−1−イル)−ピリジン−3−イル、6−(ピラゾール−1−イル)−ピリジン−3−イル又は6−(イミダゾール−1−イル)−ピリジン−3−イルであるか、又は
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C4−アルコキシであり、
R7は、C1〜C4−アルコキシであり、例えば
2,6−ジメトキシ−ピリジン−4−イル又は2,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イルであるか、又は
Harは、R6及びR7及びR8によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C4−アルコキシであり、
R7は、C1〜C4−アルコキシであり、
R8は、塩素であり、例えば
3−クロロ−2,6−ジメトキシ−ピリジン−4−イルである、化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0050】
本発明によるより特に挙げるに値する式Iの更なる化合物は、その式中、
R1は、メトキシ又はメトキシであり、
R2は、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、2,6−ジメトキシピリジン−4−イル、2,6−ジメトキシピリジン−3−イル、4,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、4,6−ジエトキシ−ピリジン−3−イル、5,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、5−エトキシ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル及び1−メチル−1H−ピリジン−2−オン−5−イルである、化合物及びエナンチオマー並びに塩、N−オキシド及びこれらの化合物及びエナンチオマーのN−オキシドの塩である。
【0051】
本発明によるより特に挙げるに値するなおも更なる式Iの化合物は、その式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、ハロゲン、例えば塩素又はC1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R7は、ハロゲン、例えば塩素又はC1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシである、化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0052】
本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、以下の実施態様の1つ又は可能であれば、それより多くにより包含される化合物である:
本発明の化合物の特定の一実施態様は、式Iで示され、その式中、R1及びR2が無関係にC1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシである化合物を含む。
【0053】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、R1及びR2が無関係にC1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、かつR3、R31、R4、R5及びR51が全て水素である化合物を含む。
【0054】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、R1及びR2の一方がメトキシであり、他方がメトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつR3、R31、R4、R5及びR51が水素である化合物を含む。
【0055】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、R1がエトキシ又は、特にメトキシであり、かつR2がメトキシ又は、特にエトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつR3、R31、R4、R5及びR51が水素である化合物を含む。
【0056】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、R1がメトキシであり、かつR2がエトキシであり、かつR3、R31、R4、R5及びR51が水素である化合物を含む。
【0057】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、R1がメトキシであり、かつR2がジフルオロメトキシであり、かつR3、R31、R4、R5及びR51が水素である化合物を含む。
【0058】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、HarがR6及び/又はR7及び/又はR8で置換されたピリジン−3−イルである化合物を含む。
【0059】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、Harが2,6−ジメトキシ−ピリジニル、6−(モルホリン−4−イル)−ピリジニル、6−(ピペリジン−1−イル)−ピリジニル、6−(ピラゾール−1−イル)−ピリジニル、6−(イミダゾール−1−イル)−ピリジニル又は3−クロロ−2,6−ジメトキシ−ピリジニルである化合物を含む。
【0060】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、Harが2,6−ジメトキシ−ピリジン−4−イル、2,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、6−(モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル、6−(ピペリジン−1−イル)−ピリジン−3−イル、6−(ピラゾール−1−イル)−ピリジン−3−イル、6−(イミダゾール−1−イル)−ピリジン−3−イル又は3−クロロ−2,6−ジメトキシ−ピリジン−4−イルである化合物を含む。
【0061】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、Harが2,6−ジメトキシピリジン−4−イル、2,6−ジメトキシピリジン−3−イル、4,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、4,6−ジエトキシ−ピリジン−3−イル、5,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、5−エトキシ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル又は1−メチル−1H−ピリジン−2−オン−5−イルである化合物を含む。
【0062】
本発明の化合物のもう一つの特定の実施態様は、式Iで示され、その式中、Harが、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、R6が、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシカルボニル又はカルボキシルであり、R7がC1〜C4−アルコキシである化合物を含む。
【0063】
本発明の化合物の特定のもう一つの実施態様は、式Iで示され、その式中、Harが、R6及びR7によって置換されたピリジニル、特にピリジン−3−イルであり、その際、R6がメトキシ又はエトキシであり、かつR7がメトキシ又はエトキシであり、例えばジメトキシピリジニル、ジエトキシピリジニル又は、メトキシ及びエトキシによって置換されたピリジニルである化合物を含む。
【0064】
本発明の化合物のもう一つの特定の実施態様は、式Iで示され、その式中、Harは、C1〜C4−アルコキシによって二置換されたピリジニル、例えば2,6−ジメトキシピリジニル(例えば2,6−ジメトキシピリジン−3−イル)である化合物を含む。
【0065】
式Iの化合物は、少なくとも4a位及び10b位にキラル中心を有し、かつ置換基R3、R31、R4、R5及びR51の意味によっては更なるキラル中心を1位、2位、3位及び4位に有するキラル化合物である。
【0066】
【化2】

【0067】
従って本発明は純粋形並びに任意の混合比での全ての考えられる立体異性体及びそれらの塩を含む。
【0068】
式Iの有利な化合物は、4a位及び10b位の水素原子が互いにシス位にある化合物である。純粋なシス−ジアステレオマー、純粋なシス−エナンチオマー及びその任意の混合比での混合物及び、例えばラセミ体が本願では特に有利である。
【0069】
本文中で特に有利な化合物は、式Iで示され、4a位及び10b位に関して、式I*
【化3】

に示されるのと同じ立体配置を有する化合物である。
【0070】
例えば式I*の化合物において、R3、R31、R4、R5及びR51が水素の意味を有する場合には、カーン、インゴールド及びプレログの規則に従う立体配置は4a位においてRであり、かつ10b位においてRである。
【0071】
エナンチオマーは、自体公知のように(例えば好適なジアステレオ異性化合物の調製及び分割によって)分割することができる。例えば、エナンチオマー分割は、式IVで示され、R1、R2、R3、R31、R4、R5及びR51が前記の意味を有する出発化合物の段階で実施してよい。
【0072】
【化4】

【0073】
エナンチオマーの分割は、例えば式IVで示されるラセミ化合物と光学活性酸、有利にはカルボン酸との塩形成を実施し、引き続き塩の分割及び該塩からの所望の化合物の遊離を行うことによって実施してよい。この関連で挙げることができる光学活性カルボン酸の例は、マンデル酸、酒石酸、O,O′−ジベンゾイル酒石酸、ショウノウ酸、キニン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、ショウノウスルホン酸、3−ブロモショウノウスルホン酸、α−メトキシフェニル酢酸、α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸及び2−フェニルプロピオン酸である。選択的に、式IVのエナンチオマー的に純粋な出発化合物は、不斉合成によって製造することもできる。エナンチオマー的に純粋な出発化合物並びに式Iのエナンチオマー的に純粋な化合物は、キラル分割カラム上でのクロマトグラフィー分割によって、キラル補助試薬による誘導体化、引き続きのジアステレオマー分割及びキラル補助基の除去によって、又は適当な溶剤からの(分別)結晶化によって得ることもできる。
【0074】
式Iで示され、その式中、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R51及びHarが前記の意味を有する化合物は、以下の実施例に例として示される手順に従って製造することができる。更なる詳細について、式Iの化合物に好適な合成経路を以下の反応式1に概略する。前記の反応式1の第一段階では、式IVで示され、その式中のR1、R2、R3、R31、R4、R5及びR51が前記の意味を有する化合物を、式IIIで示され、その式中のHarが前記の意味を有しかつXが好適な離脱基、有利には塩素原子を表す化合物と反応させて、式IIで示され、その式中のR1、R2、R3、R31、R4、R5、R51及びHarが前記の意味を有する化合物が得られる。
【0075】
選択的に、式IIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R51及びHarが前記の意味を有する化合物は、例えば式IVで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R4、R5及びR51が前記の意味を有する化合物と式IIIで示され、Harが前記の意味を有しかつXがヒドロキシルである化合物から、当業者に公知のアミド結合架橋試薬と反応させることによって製造することもできる。当業者に公知のアミド結合架橋試薬の挙げられる例は、カルボジイミド(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド又は、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、アゾジカルボン酸誘導体(例えばジエチルアゾジカルボキシレート)、ウロニウム塩[例えばO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート又はO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]及びN,N’−カルボニルジイミダゾールである。本発明の範囲において、有利なアミド結合架橋試薬はウロニウム塩及び、有利にはカルボジイミド、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
【0076】
反応式1:
【化5】

【0077】
式IIIの化合物は公知であるか、又は公知の方法に従って製造することができる。
【0078】
反応式1内の後続の工程に示されるように、式Iで示され、その式中のR1、R2、R3、R31、R4、R5、R51及びHarが前記の意味を有する化合物は、式IIの相応の化合物の縮合環化によって得ることができる。前記の環状縮合は、当業者に自体公知のように又は以下の実施例に例として記載されるように、Bischler−Napieralski(例えばJ.Chem.Soc.,1956,4280−4282に記載されるように)に従って適当な縮合剤、例えばポリリン酸、五塩化リン、五酸化リン又はオキシ塩化リンの存在下に、適当な不活性溶剤、例えば塩素化炭化水素、例えばクロロホルム中で又は環状炭化水素、例えばトルエン又はキシレン中で、又は別の不活性溶剤、例えばアセトニトリル中で、又は更なる溶剤を使用せず、過剰の縮合剤を使用して、低減された温度で、又は室温で、又は高められた温度で、又は使用される溶剤又は縮合剤の沸点で実施される。
【0079】
必要に応じて、前記の環状縮合反応は、1種以上の好適なルイス酸、例えば好適な金属ハロゲン化物(例えば塩化物)又はスルホン酸塩(例えばトリフレート)、例えば希土類金属塩、例えば無水三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素エーテレート、四塩化チタン又は、特に四塩化スズなどの存在下で実施できる。塩素含有縮合剤(例えば五塩化リン)の存在下での環化に並行して、Har部の求核置換又は求電子置換を行って、相応の塩素置換されたHar部を得ることができ、特に電子が豊富なHar基の場合に、例えばジメトキシピリジニル基、例えば2,6−ジメトキシピリジン−4−イル基又は2,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル基の場合には、求電子置換を行うことができる。
【0080】
式IVの出発化合物の純粋なエナンチオマーの製造は、例えば国際出願WO00/42020号に記載されるように、又は以下の実施例のように実施することができる。
【0081】
場合により、式Iの化合物を、当業者に公知の方法によって転化させて、更なる式Iの化合物にすることもできる。殊に例えば、式Iで示され、
a)R6及び/又はR7が塩素である化合物から、式Iの更なる化合物をN求核試薬、S求核試薬又はO求核試薬での求核置換反応を介して得ることができる;
b)R6がエステル基である化合物から、相応のカルボン酸を鹸化を介して得ることができる;
c)R6がシアノ基である化合物から、相応のエステル化合物をアルコール分解と、得られた中間体意味のエステルの加水分解とを介して得ることができる。
【0082】
a)、b)及びc)で挙げられた方法は便宜上、当業者に公知の方法と同様に実施される。
【0083】
更に、式Iの化合物は、場合により、例えば過酸化水素を用いてメタノール中で又はm−クロロペルオキシ安息香酸を用いてジクロロメタン中でそのN−オキシドに変換することができる。当業者は、その専門知識に基づいて、N−オキシド化のために特に必要とされる反応条件に精通している。
【0084】
更に当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。多数の証明された保護基の使用のための詳細な記載は、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis"、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons,Inc.1999,3rd Ed)又は"Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)"、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers,2000)で述べられている。
【0085】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば減圧下で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0086】
塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまたアルカリ性化又は酸性化によって塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0087】
場合により本発明による化合物をその塩に変換できるか、又は場合により本発明による化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。
【0088】
適宜、本発明に挙げられる転化は、当業者に自体公知の方法と類似して又は同様にして実施することができる。
【0089】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、式Iの化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0090】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更、誘導、対応及び適合はこの分野で知られる知識及び/又は、特に本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき、付随する特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなくなされてよい。
【0091】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に製造方法が明記されていない他の式Iの化合物は、同様又は類似に又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造できる。
【0092】
以下の実施例に挙げられる式Iの任意の又は全ての化合物並びにそれらの塩、N−オキシド及びそのN−オキシドの塩は、本発明の有利な対象である。
【0093】
実施例において、m.p.は融点を表し、hは時間を表し、min.は分を表し、Rfは、薄層クロマトグラフィーにおける保持時間を表し、s.p.は、焼結点を表し、EFは実験式を表し、MWは分子量を表し、MSは質量スペクトルを表し、Mは分子イオンを表し、fnd.は実測値を表し、calc.は計算値を表し、他の略語は、当業者に自体慣用の意味を有する。
【0094】
実施例
最終生成物:
1. (4aR,10bR)−6−(2,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル)−8,9−ジメトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
粗製のN−[(1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロヘキシル]−2,6−ジメトキシ−ニコチンアミド(化合物A1)を、15mlのジクロロメタン中に溶解させ、そして8.48gの五塩化リンを添加する。16時間撹拌し、かつ後処理(水酸化ナトリウム/水)した後に、残留物をクロマトグラフィーにより精製することで、0.747gの表題化合物が得られる。
MS:計算値:C222624(382.46) 実測値:[M+H]383.3
【0095】
2. (4aR,10bR)−6−(2,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
化合物A2から出発して、表題化合物は、実施例1に記載されるのと同様にして得ることができる。
MS:計算値:C232824(396.49) 実測値:[M+H]397.3
【0096】
3. (4aR,10bR)−6−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−8,9−ジメトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
化合物A3から出発して、表題化合物は、実施例1に記載されるのと同様にして得ることができる。
【0097】
実施例1と同様の手順を用いるが、好適な出発材料(該材料は、当業者に慣用の方法又は本願に記載される方法又はそれらと同様にもしくは類似に製造することができる)を選択して、以下の化合物を製造することができる:
(4aR,10bR)−6−(4,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
(4aR,10bR)−6−(4,6−ジエトキシ−ピリジン−3−イル)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
(4aR,10bR)−6−(5,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
(4aR,10bR)−6−(5−エトキシ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
(4aR,10bR)−6−(5−エトキシ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン
5−((4aR,10bR)−9−エトキシ−8−メトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−フェナントリジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピリジン−2−オン
【0098】
出発化合物:
A1. N−[(1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロヘキシル]−2,6−ジメトキシ−ニコチンアミド
2.00gの(1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミン(化合物B1)、2346mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及び1868mgの2,6−ジメトキシニコチン酸を、4mlのジクロロメタン中に溶解させる。4mgのp−ジメチルアミノピリジンを添加し、そして該反応混合物を16時間撹拌する。後処理(水と飽和NaHCO3で連続的に洗浄する)した後に、残留物をクロマトグラフィーにより精製することで、4.07gの表題化合物が得られ、それは後続工程のために更なる精製を行わずに使用される。
計算値:C222825(400.48) 実測値MH+:401.1
【0099】
以下に挙げられる又は以下の化合物と同様にもしくは類似に得ることができる好適なアミンと好適なピリジン−カルボン酸とから出発して、本発明の以下の更なる化合物を化合物A1に従って得ることができる。
【0100】
A2. N−[(1R,2R)−2−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−シクロヘキシル]−2,6−ジメトキシ−ニコチンアミド
計算値:C233025(414.51)
A3. 3,5−ジクロロ−N−[(1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロヘキシル]−イソニコチンアミド
B1. (1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−シクロヘキシルアミン
(1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−シクロヘキシルアミンと(1S,2S)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−シクロヘキシルアミンとの12.0gのラセミ混合物及び6.2gの(−)−マンデル酸を420mlのジオキサン及び60mlのテトラヒドロフラン中に溶解させ、そして該溶液を室温で一晩撹拌する。固体を吸引濾過し、乾燥させ、100mlの炭酸水素ナトリウム飽和溶液で処理し、そして酢酸エチルで抽出する。有機相を水で硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、そして減圧下に濃縮させる。4.8gの表題化合物(融点80〜81.5℃)が得られる。
比旋光度:[α]20D=−58.5℃(c=1、エタノール)
【0101】
以下の化合物及び更なる関連の出発化合物は、化合物B1について記載したのと同様にして得ることができる。
【0102】
B2. (1R,2R)−2−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミン
C1. (1R,2R)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミンと(1S,2S)−2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミンとのラセミ混合物
1,2−ジメトキシ−4−((1R,2R)−2−ニトロシクロヘキシル)ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2S)−2−ニトロシクロヘキシル)ベンゼンとのラセミ混合物125g及び120gの亜鉛粉末又は顆粒を1300mlのエタノール中に懸濁する。220mlの酢酸を沸点加熱して滴加する。沈殿物を吸引濾過により分離し、そしてエタノールで洗浄し、かつ濾液を減圧下に濃縮する。残留物を塩酸中に取り、そしてトルエンで抽出する。水相を50%濃度の水酸化ナトリウム溶液を用いてアルカリ性にし、沈殿物を吸引濾過により分離し、そして濾液をトルエンで抽出する。有機相を水で硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、そして濃縮させる。98gの表題化合物が結晶油として得られる。
【0103】
選択的に:
1,2−ジメトキシ−4−((1R,2R)−2−ニトロシクロヘキシル)ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2S)−2−ニトロシクロヘキシル)ベンゼンとのラセミ混合物8.5gを400mlのメタノール中に溶解させ、そして室温で7mlのヒドラジン水和物及び2.5gのラネーニッケルにより少しずつ8時間にわたり処理する。室温で一晩撹拌した後に、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮させ、そして残留物をシリカゲル上でトルエン/酢酸エチル/トリエチルアミンの混合物(4/2/0.5)を用いてクロマトグラフィーを行う。表題化合物が油状物として得られる。
【0104】
D1. 1,2−ジメトキシ−4−((1R,2R)−2−ニトロシクロヘキシル)ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2S)−2−ニトロシクロヘキシル)ベンゼンとのラセミ混合物
1,2−ジメトキシ−4−((1R,2R)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)]ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2S)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)]ベンゼンとのラセミ混合物8.4gを450mlのメタノール中に溶解させ、そして2mlの濃塩酸で処理し、かつ10%濃度のPd/C500mgを添加して水素化させる。該反応混合物を濾過し、そして濾液を濃縮させる。融点:84〜86.5℃。
【0105】
E1. 1,2−ジメトキシ−4−((1R,2R)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2S)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼンとのラセミ混合物
1,2−ジメトキシ−4−((1R,2R)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)]ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2S)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)]ベンゼンとのラセミ混合物10.0g及び20.0gの水酸化カリウムを150mlのメタノール及び35mlのジメチルホルムアミド中に溶解させる。60mlのエタノール中の17.5mlの濃硫酸の溶液を次いで、初期温度が4℃を超過しないように滴加する。1時間撹拌した後に、該混合物を1lの氷水に添加し、沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、そして乾燥させ、粗生成物をエタノール中で再結晶させる。8.6gの表題化合物(融点82.5〜84℃)が得られる。
【0106】
F1. 1,2−ジメトキシ−4−((1R,2S)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼンと1,2−ジメトキシ−4−((1S,2R)−2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼンとのラセミ混合物
50.0gの3,4−ジメトキシ−ω−ニトロスチレン(化合物G1)及び1.0g(9.1ミリモル)のヒドロキノンを200mlの無水トルエン中に懸濁させ、そして−70℃で55.0g(1.02モル)の液状1,3−ブタジエンで処理する。該混合物を160℃で6日間オートクレーブ中で撹拌し、次いで冷却する。幾らかの溶剤を回転蒸発器上で除去し、そして得られた沈殿物を吸引濾過し、そしてエタノール中で再結晶させる。
融点:113.5〜115.5℃。
【0107】
G1. 3,4−ジメトキシ−ω−ニトロスチレン
207.0gの3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、100.0gの酢酸アンモニウム及び125mlのニトロメタンを1.0lの氷酢酸中で3〜4時間にわたり沸騰するまで加熱する。氷浴中で冷却した後に、沈殿物を吸引濾過し、氷酢酸及び石油エーテルですすぎ、そして乾燥させる。
融点:140〜141℃。収量:179.0g。
【0108】
当該技術分野で知られる又は当該技術分野で知られる化合物と同様に又は当該技術分野で知られる手順に従って(例えばWO95/01338号に記載されるように又はそれと類似又は同様のようにして)得ることができる出発化合物から出発して、以下の化合物は、実施例G1と同様の手法に従って得られる:
G2. 3−エトキシ−4−メトキシ−ω−ニトロスチレン
G3. 4−(1,1−ジフルオロメトキシ)−3−メトキシ−ω−ニトロスチレン
G4. 3−(1,1−ジフルオロメトキシ)−4−メトキシ−ω−ニトロスチレン
【0109】
産業上利用性
本発明による化合物は、工業的利用を可能にする有用な薬理学的特性を有する。選択的環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(特にタイプ4)として、これらは一方で気管支治療薬(拡張拡張を原因とするが、その呼吸数又は呼吸力の増大作用をも原因とする気道障害の治療のため)として、そしてその血管拡張作用のため勃起不全の解除のために適しているが、他方では、特に疾患、特に例えば気道(喘息予防)、皮膚、腸管、眼、CNS及び関節の炎症状態の治療のために適当であり、これらはメディエーター、例えばヒスタミン、PAF(血小板活性因子)、アラキドン酸代謝物、例えばロイコトリエン及びプロスタグランジン、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン、α−インターフェロン、β−インターフェロン及びγ−インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)又は酸素フリーラジカル及びプロテアーゼによって媒介される。本願明細書では、本発明による化合物は低い毒性、良好な腸内吸収(高い生物学的利用能)、広い治療範囲及び重篤な副作用の不在によって特徴付けられる。
【0110】
それらのPDE阻害特性のため、本発明による化合物はヒト医学及び獣医学において療法剤として使用でき、その際、これらは、例えば以下の疾患の治療及び予防のために使用できる:種々の原因(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、COPD)による急性および慢性の(特に炎症性およびアレルギー誘発性)気道障害、皮膚病(特に増殖性、炎症性およびアレルギー性)、例えば乾癬(尋常性)、中毒性湿疹およびアレルギー接触性湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、肛門性器領域の痒み症、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、ろ胞性および広範囲の膿皮症、内因性および外因性座瘡、酒土性座瘡および他の増殖性、炎症性およびアレルギー性の皮膚疾患、TNFおよびロイコトリエンの過剰放出に基づく障害、例えば関節性の障害(リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症および他の関節の症状)、免疫系の障害(AIDS、多発性硬化症)、移植片対宿主反応、移植拒否反応、ショック症状(敗血症性ショック、エンドトキシンショック、グラム陰性菌性敗血症、トキシックショック症候群およびARDS(成人呼吸窮迫症候群))、ならびに胃腸領域における全身性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)、上部気道(咽頭、鼻)領域および隣接領域(副鼻腔、目)でのアレルギー性および/または慢性の免疫不全性反応に基づく疾患、例えばアレルギー性鼻炎/アレルギー性副鼻腔炎、慢性鼻炎/慢性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎および鼻ポリープ、さらにはPDEインヒビターによって治療することができる心臓疾患、例えば心不全、またはPDEインヒビターの組織弛緩作用から治療することができる疾患、例えば、勃起機能不全または腎臓結石に関連する腎臓および尿管の疝痛。更に、本発明の化合物は、尿崩症、及び大脳の代謝抑制に関連する症状、例えば大脳老化、老年性痴呆(アルツハイマー氏病)、パーキンソン氏病又は多発拘束性痴呆に関連する記憶障害の治療に有用であり、また中枢神経系の障害、例えば、鬱病又は動脈硬化性痴呆の治療並びに認知強化のために有用である。また更に、本発明の化合物は、真性糖尿病、白血病、骨粗鬆症の治療に有用である。
【0111】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。本方法は、薬理学的に有効な、かつ治療学的に効果的かつ認容される量の本発明による1種以上の化合物を病気の哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0112】
更に本発明は病気、特に前記の病気の治療及び/又は予防における使用のための本発明による化合物に関する。
【0113】
また本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のために使用される医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0114】
また本発明は、ホスホジエステラーゼによって媒介される疾患、特にPDE4に媒介される疾患、例えば本願明細書に記載されるか、又は当業者に周知の疾患を治療するための医薬品組成物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0115】
本発明はまた、本発明による化合物の、PDE4阻害活性を有する医薬品組成物の製造のための使用に関する。
【0116】
更に本発明は、前記の病気の治療及び/又は予防のための、1種以上の本発明による化合物を含有する医薬品組成物に関する。
【0117】
なおも更に、本発明は、本発明による1種以上の化合物及び製剤学的に認容性の助剤及び/又は賦形剤を含有する組成物に関する。
【0118】
なおも更に、本発明は、本発明による1種以上の化合物及び製剤学的に認容性の担体を含有する組成物に関する。前記の組成物は、療法において、例えば前記の疾病の1種以上の治療、予防又は回復のために使用することができる。
【0119】
またなおも更に本発明は、PDE、特にPDE4阻害活性を有する本発明による医薬品組成物に関する。
【0120】
更に、本発明は、包装材料及びその包装材料中に包含される医薬品からなる製品であって、該医薬品は4型の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE4)の作用に拮抗するため、PDE4に媒介される疾患の症状の改善のために治療学的に有効であり、かつ該包装材料は、該医薬品がPDE4に媒介される疾患の予防又は治療のために有用である旨を示すラベル又は添付文書を含み、かつ前記の医薬品が本発明による式Iの少なくとも1種の化合物を含有する製品に関する。包装材料、ラベル及び添付文書は、その他の点で、関連の利用性を有する医薬品のための標準的な包装材料、ラベル及び添付文書として一般に考慮されるものに対応又は類似している。
【0121】
該医薬品は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0122】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤、賦形剤、担体、ビヒクル、希釈剤又はアジュバントに精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0123】
本発明による医薬組成物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口送達が有利である。
【0124】
呼吸管の疾患の治療のために、本発明による化合物を、有利には吸入によってエーロゾルの形で投与する;固体、液体又は混合組成のエーロゾル粒子は有利には0.5〜10μm、有利には2〜6μmの直径を有する。
【0125】
エーロゾルの発生は、例えば圧力駆動のジェット噴霧器又は超音波噴霧器、有利には噴射剤駆動の計量供給エーロゾルによるか、又は吸入カプセルからの微粉化有効化合物の噴射剤不使用の投与によって実施できる。
【0126】
使用される吸入系に依存して、有効化合物の他に該投与形は付加的に所望の助剤、例えば噴射剤(例えば定量噴霧式エーロゾルの場合にFrigen)、界面活性剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、フレーバー又は増量剤(例えば粉末吸入器の場合にラクトース)又は、適宜更なる有効化合物を含有する。
【0127】
吸入の目的のために、多くの装置を利用でき、それを用いて最適な粒度を有するエーロゾルを発生させ、かつ患者にできる限り正しい吸入技術を使用して投与できる。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)及び洋ナシ型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))並びに計量供給エーロゾルのための、特に粉末吸入器の場合に吹き付け噴霧(puffer spray)を放出する自動装置(Autohaler(登録商標))を使用する他に、種々の技術的解決策(例えばDiskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又はEP0505321号に記載される吸入器)が利用でき、それを用いて有効化合物の最適な投与を達成できる。
【0128】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬組成物の形で適用する。該医薬組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0129】
本発明による医薬組成物は自体公知の方法によって製造される。有効化合物の投与は、PDEインヒビターについて慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。吸入による投与のための用量は慣用に1日あたり0.01〜3mgである。全身治療(経口又は静脈内)の場合の慣用の用量は1日あたり0.003〜3mg/kgである。別の実施態様では、吸入による投与のための用量は1日あたり0.1〜3mgであり、かつ全身治療(経口又は静脈内)の場合の用量は1日あたり0.03〜3mg/kgである。
【0130】
生物学的調査
セカンドメッセンジャーのサイクリックAMP(cAMP)は炎症細胞及び免疫応答を担う細胞の阻害に関してよく知られている。PDE4補酵素は免疫疾患の開始及び伝播に関連する細胞において広範に発現され(H Tenor and C Schudt,in "Phosphodiestarase Inhibitors",21−40,"The Handbook of Immunopharmacology",Academic Press,1996)、かつその阻害は細胞内cAMP濃度の増大をもたらし、従って細胞活性の阻害をもたらす(JE Souness et al.,Immunopharmacology 47:127−162,2000)。
【0131】
種々の動物モデルにおけるインビボでのPDE4インヒビターの抗炎症能力が記載されている(MM Teixeira,TiPS 18:164−170,1997)。細胞レベルでの(インビボ)PDE4阻害の調査のために、多くの種々の前炎症反応を測定できる。例は好中性(C Schudt et al.,Arch Pharmacol 344:682−690,1991)又は好酸性(A Hatzelmann et al.,Brit J Pharmacol 114:821−831,1995)の顆粒球のスーパーオキシド産生であり、これはルミノールで増強される化学発光として、又は単球、マクロファージ又は樹状細胞における腫瘍壊死因子αの合成として測定できる(Gantner et al.,Brit J Pharmacol 121:221−231,1997,and Pulmonary Pharmacol Therap 12:377−386,1999)。更にPDE4インヒビターの免疫調節能力はサイトカイン合成又は増殖のようなT細胞応答の阻害から明らかである(DM Essayan,Biochem Pharmacol 57:965−973,1999)。前記の前炎症メディエーターの分泌を阻害する物質はPDE4を阻害する物質である。従って本発明による化合物によるPDE4阻害は炎症プロセス抑制の主要な指標である。
【0132】
PDE4活性の阻害の測定方法
PDE4B2(GB番号M97515)はM.Conti教授(スタンフォード大学、米国)の寄贈である。元のプラスミド(pCMV5)からプライマーRb9(5′−GCCAGCGTGCAAATAATGAAGG−3′)及びRb10(5′−AGAGGGGGATTATGTATCCAC−3′)を用いるPCRを介して増幅させ、そしてpCR−Bacベクター(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)中にクローニングした。
【0133】
組み換えバキュウロウイルスをSF9昆虫細胞で相同組み換えによって作成した。発現プラスミドを標準的プロトコール(ファーミンジェン、ハンブルク)を使用してBac−N−Blue(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)又はBaculo−Gold DNA(ファーミンジェン、ハンブルク)と一緒に同時トランスフェクションさせた。野生型のウイルス不含の組み換えウイルス上清をプラークアッセイ法を用いて選択した。次いで、高力価のウイルス上清を3回増幅することによって製造した。PDEを、血清不含のSF900培地(ライフテクノロジーズ、ペイズリー、UK)中で1〜10のMOI(感染多重度)で2×106細胞/mlで感染させることによってSF21細胞中に発現させた。該細胞を28℃で48〜72時間培養し、次いでこれらの細胞を1000g及び4℃で5〜10分間かけてペレット化した。
【0134】
SF21昆虫細胞を約107細胞/mlの濃度で氷冷(4℃)均質化バッファー(20mMのTris、pH8.2、以下のものを含有する:140mMのNaCl、3.8mMのKCl、1mMのEGTA、1mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、2mMのベンズアミジン、0.4mMのPefablock、10μMのロイペプチン、10μMのペプスタチンA、5μMのトリプシンインヒビター)中で再懸濁させ、そして超音波により破砕させた。均質物を次いで1000×gで10分間遠心分離し、そして上清を引き続きの使用まで−80℃で貯蔵した(以下参照)。タンパク質含量をブラッドフォード法(BioRad、ミュンヘン)によってスタンダードとしてBSAを用いて測定した。
【0135】
PDE4B2活性を前記化合物によって、アマシャムバイオサイエンス(手順説明書"phosphodiesterase [3H] cAMP SPA enzyme assay, code TRKQ 7090"を参照のこと)によって提供された改変されたSPA(シンチレーション近接アッセイ)試験において、96ウェルのマイクロタイタープレート(MTP)中で実施して阻害する。試験容量は100μlであり、これは20mMのTrisバッファー(pH7.4)、0.1mgのBSA(ウシ血清アルブミン)/ml、5mMのMg2+、0.5μMのcAMP(約50000cpmの[3H]cAMPを含む)、1μMのそれぞれのDMSO中希釈物及び効率的な組み換えPDE(1000×g上清、上記参照)を含有し、10〜20%のcAMPが前記の試験条件下に変換されることを保証した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度(1%v/v)は実質的に調査されるPDEの活性に影響を及ぼさない。37℃で5分間プレインキュベートした後に、基質(cAMP)を添加することによって反応を開始させ、そしてアッセイ物を更に15分間インキュベートし、次いでSPAビーズ(50μl)を添加することによって反応を停止させた。製造元の説明に従って、SPAビーズを事前に水中に再懸濁させるが、次いで水中で1:3(v/v)に希釈し、希釈された溶液も3mMのIBMXを含有し、それによりPDE活性の完全な停止を保証した。該ビーズが沈殿した後に(>30分)、MTPの分析を市販のルミネッセンス検出装置において行う。化合物のPDE活性の阻害についての相応のIC50値を濃度−作用曲線から非線形回帰によって測定する。
【0136】
本発明による化合物について測定された代表的な阻害値は以下の表Aのとおりであり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0137】
表A
PDE4活性の阻害
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1は、ヒドロキシル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであり、
R2は、ヒドロキシル、C1〜C4−アルコキシ、C3〜C7−シクロアルコキシ、C3〜C7−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4−アルコキシであるか、又は
R1及びR2は、一緒になって、C1〜C2−アルキレンジオキシ基であり、
R3は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R31は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R3及びR31は、一緒になって、C1〜C4−アルキレン基であり、
R4は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R5は、水素であり、
R51は、水素であるか、又は
R5及びR51は、一緒になって、付加的な結合を表し、
Harは、R6及び/又はR7及び/又はR8によって置換されたピリジニルであり、その際、
R6は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、スルファニル、シアノ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル、ヒドロキシル、オキソ、−A−N(R61)R62、ピリジル又は、完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4−アルキルであり、その際、
Aは、結合又はC1〜C4−アルキレンであり、
R61は、水素又はC1〜C4−アルキルであり、
R62は、水素又はC1〜C4−アルキルであるか、又は
R61及びR62は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、
Het1は、R611によって置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により酸素、窒素及び硫黄からなる群から無関係に選択される1〜3個の更なるヘテロ原子とを有する、3員ないし7員の飽和もしくは不飽和の単環式の複素環式の環基であり、その際、
R611は、C1〜C4−アルキルであり、
R7は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C2〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、スルファニル、ヒドロキシル、オキソ、アミノ又はモノ−もしくはジ−C1〜C4−アルキルアミノであり、
R8は、ハロゲン、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシである]で示される化合物(但し、式中のHarが、ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキル、カルボキシル、トリフルオロメチル及びC1〜C4−アルコキシカルボニルから選択されるいずれか1つによって一置換されたピリジルである化合物は除く)及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項2】
式Iで示され、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ、C3〜C5−シクロアルコキシ、C3〜C5−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ、C3〜C5−シクロアルコキシ、C3〜C5−シクロアルキルメトキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及び/又はR7及び/又はR8によって置換されたピリジルであり、その際、
R6は、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、C1〜C4−アルコキシカルボニル、カルボキシル、オキソ又は−A−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61は、C1〜C2−アルキルであり、
R62は、C1〜C2−アルキルであるか、又は
R61及びR62は、一緒になって、それらが結合される窒素原子を含んで、複素環式の環Het1を形成し、その際、一側面では、
Het1は、R611によって環窒素原子上で置換されていてよく、かつR61及びR62が結合される窒素原子と、場合により酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1個の更なるヘテロ原子とを有する、5員ないし7員の飽和の単環式の複素環式の環基であり、その際、
R611は、C1〜C2−アルキルであるか、又はもう一つの側面では、
Het1は、R61及びR62が結合される窒素原子と、場合により1〜3個の更なる窒素原子とを有する、5員の不飽和の単環式のヘテロアリール基であり、
R7は、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシであり、
R8は、ハロゲン又はC1〜C4−アルコキシである、請求項1記載の化合物(但し、式中のHarが、ハロゲン、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキル、カルボキシル及びC1〜C4−アルコキシカルボニルから選択されるいずれか1つによって一置換されたピリジルである化合物を除く)及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項3】
式Iで示され、その式中、
R1は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R2は、C1〜C2−アルコキシ又は、完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C2−アルコキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C2−アルコキシ、C1〜C2−アルキルチオ又はA−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61は、C1〜C2−アルキルであり、
R62は、C1〜C2−アルキルであり、かつ
R7は、C1〜C2−アルコキシであるか、又は
Harは、R6によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、C1〜C2−アルキルチオ又は−A−N(R61)R62であり、その際、
Aは、結合であり、
R61は、C1〜C2−アルキルであり、
R62は、C1〜C2−アルキルであるか、又は
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、オキソであり、かつ
R7は、C1〜C2−アルキルであるか、又は
Harは、R6によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピラゾール−1−イル又はイミダゾール−1−イルである、請求項1記載の化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項4】
式Iで示され、その式中、
R1は、メトキシ又はメトキシであり、
R2は、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、2,6−ジメトキシピリジン−4−イル、2,6−ジメトキシピリジン−3−イル、4,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、4,6−ジエトキシ−ピリジン−3−イル、5,6−ジメトキシ−ピリジン−3−イル、5−エトキシ−6−メトキシ−ピリジン−3−イル及び1−メチル−1H−ピリジン−2−オン−5−イルである、請求項1記載の化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項5】
式Iで示され、その式中、
R1は、メトキシ又はエトキシであり、
R2は、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、
R3、R31、R4、R5及びR51は、水素であり、
Harは、R6及びR7によって置換されており、かつピリジニルであり、その際、
R6は、ハロゲン、例えば塩素又はC1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシであり、
R7は、ハロゲン、例えば塩素又はC1〜C4−アルコキシ、例えばメトキシである、請求項1記載の化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項6】
式Iで示され、4a位及び10b位に関して式I*
【化2】

に示される立体配置を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物及び塩、N−オキシド並びにこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項7】
疾病の治療又は予防において使用するための、請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項記載の1種以上の化合物と一緒に医薬品助剤及び/又は賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物を、呼吸器疾患の治療用の医薬組成物を製造するために用いる使用。
【請求項10】
患者における病気の治療方法において、該患者に治療学的有効量の請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項11】
患者における気道疾患の治療方法において、該患者に治療学的有効量の請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物を投与すること含む方法。

【公表番号】特表2008−528556(P2008−528556A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552659(P2007−552659)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050557
【国際公開番号】WO2006/082185
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】