説明

新規アクチビン受容体およびその使用

【課題】トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)ファミリーメンバーおよびTGF−β受容体、ならびに多様な障害の治療のため、TGF−βファミリーメンバーの活性を調節する方法を提供する。
【解決手段】アクチビンA、ミオスタチン、またはGDF−11に結合し、そしてその活性を阻害することが可能な、新規アクチビンIIB5受容体ポリペプチド。該受容体ポリペプチドを産生可能なポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞。筋萎縮、代謝および他の障害を治療するための組成物および方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、その全開示が信頼され、そして本明細書に援用される、米国仮出願第60/732,270号、2005年11月1日出願の優先権を請求する。
【0002】
発明の技術分野
本発明の技術分野は、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)ファミリーメンバーおよびTGF−β受容体、ならびに多様な障害の治療のため、TGF−βファミリーメンバーの活性を調節する方法に関する。
【0003】
発明の背景
タンパク質のトランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)ファミリーには、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、アクチビン、骨形成性タンパク質(BMP)、神経増殖因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、および増殖/分化因子(GDF)が含まれる。これらのファミリーメンバーは、細胞増殖、分化、および他の機能を含む、広範囲の生物学的プロセスの制御に関与する。アクチビンは、元来、濾胞刺激ホルモン合成の制御に関与する生殖腺ペプチドとして発見され、そして現在、FSH、GH、およびACTHなどの下垂体前葉ホルモンの分泌および発現、神経生存、視床下部オキシトシン分泌、赤血球生成、胎盤および性腺ステロイド合成、初期胚発生、ならびにいくつかの種類の腫瘍の増殖の調節を含む、いくつかの生物学的活性の制御に関与すると考えられている。アクチビンA、BおよびABは、それぞれβAおよびβBの2つのポリペプチド鎖のホモ二量体およびヘテロ二量体である(Valeら Nature 321,
776−779 (1986), Lingら, Nature 321, 779−782 (1986))。これらの2つのβ鎖はまた、関連するα鎖と二量体化して、それぞれ、インヒビンAおよびBを生じさせることも可能である(Masonら, Nature 318, 659−663 (1986))。インヒビンが、多くの組織、特に生殖機能と関連するものにおいて、正常な機能を維持するのに必要であることはよく立証されている。これらの組織において、インヒビンは、すべてではないが、多くのアクチビン活性に対抗する。
【0004】
ミオスタチンとも呼ばれる増殖/分化因子8(GDF−8)は、大部分、発生中の骨格筋組織細胞および成体骨格筋組織細胞で発現されるTGF−βファミリーメンバーである。ミオスタチンは、骨格筋増殖を負に制御する際に必須の役割を果たすようである(McPherronら, Nature(London)387, 83−90 (1997))。ミオスタチンのアンタゴナイズは、動物において、除脂肪(lean)筋量を増加させることが示されてきている(McFerronら、上記, Zimmersら, Science 296:1486 (2002))。
【0005】
タンパク質のTGF−βファミリーの別のメンバーは、関連する増殖/分化因子、GDF−11である。GDF−11は、ミオスタチンのアミノ酸配列のおよそ90%同一性を有する。GDF−11は、発生中の動物における軸パターン形成において役割を果たし(Ohら, Genes Dev 11:1812−26 (1997))、そしてまた、骨格筋発生および増殖においても役割を果たすようである。しかし、GDF−11の出生後の役割は現在理解されていない。
【0006】
膜貫通セリン/スレオニンキナーゼのファミリーが、アクチビンおよび他のTGF−βファミリーメンバーの受容体として作用することが知られている。これらの受容体は、協
調して作用して、リガンドに結合し、そしてシグナルを伝達する、I型およびII型受容体として知られる、2つの別個のサブファミリーに属する(Attisanoら, Mol Cell Biol 16 (3), 1066−1073 (1996))。大部分のTGF−βリガンドは、まずII型受容体に結合すると考えられ、そして次いで、このリガンド/II型受容体複合体がI型受容体を補充する(Mathews, LS, Endocr Rev 15:310−325 (1994); Massague, Nature Rev: Mol Cell Biol. 1, 169−178 (2000))。II型受容体キナーゼは、次いで、I型受容体キナーゼをリン酸化し、そして活性化し、I型受容体キナーゼが次に、Smadタンパク質をリン酸化する。アクチビンは、まず、アクチビンAに対するII型受容体ActRIIA、またはアクチビンBに対するActRIIBに結合する。この後、I型受容体、アクチビン様キナーゼ(ALK4)の補充、リン酸化、およびそれに続く活性化が起こる。活性化されると、ALK4は、アクチビンに関するシグナル伝達を生じる細胞質Smadタンパク質のサブセット(Smad2およびSmad3)に結合し、そしてこれをリン酸化する(Derynck, Rら Cell 95, 737−740 (1998))。
【0007】
ミオスタチンが、in vitroでアクチビンII型受容体ActRIIAおよびActRIIBに結合可能であることが、架橋研究によって決定された(Leeら PNAS USA 98:9306−11 (2001))。GDF−11がActRIIAおよびActRIIBの両方に結合する証拠もある(Ohら, Genes Dev 16:2749−54 (2002))。
【0008】
TGF−βタンパク質は、多様な疾患状態と関連することが知られ、そしてこれらのタンパク質をアンタゴナイズすると、疾患状態の療法的治療として有用でありうる。特に、いくつかのTGF−βタンパク質を同時にアンタゴナイズすると、特定の疾患を治療するのに特に有効でありうる。本発明は、問題の新規組成物、ならびに筋関連および他の障害の治療として、問題の組成物を用いる方法を提供する。
【0009】
発明の概要
本発明は、ヒト・アクチビン受容体IIB5(ActRIIB5と称する)ポリペプチドを含むタンパク質を提供する。1つの態様において、タンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。別の態様において、タンパク質は、配列番号2に少なくとも約80%以上の同一性を持つアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、ミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、前記ポリペプチドを含む。別の態様において、タンパク質は、配列番号2に少なくとも約80%以上の同一性を持つアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、ポリペプチドのC末端が配列番号3に示すアミノ酸配列からなり、そしてポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、前記ポリペプチドを含む。別の態様において、タンパク質は、配列番号2に少なくとも約80%以上の同一性を持つアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、ポリペプチドのC末端が配列番号3に少なくとも約80%以上の同一性を持つアミノ酸配列を有し、そしてポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、前記ポリペプチドを含む。1つの態様において、ポリペプチドは、ActRIIB5シグナル配列を欠く。別の態様において、タンパク質は、配列番号1に示す配列を有するポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドを含む。
【0010】
別の態様において、本発明のタンパク質は、1以上の異種ポリペプチドに融合したActRIIB5ポリペプチドを含む。1つの態様において、融合ActRIIB5ポリペプチドはシグナル配列を欠く。1つの態様において、ActRIIB5ポリペプチドは、1以上のリンカー配列を介して、異種ポリペプチドに融合している。別の態様において、異
種ポリペプチドはFcドメインを含む。別の態様において、Fcドメインは、少なくとも1つのリンカー配列によって、ActRIIB5ポリペプチドに連結されている。別の態様において、ActRIIB5ポリペプチドは、PEG分子などの非タンパク質キャリアー分子に付着している。
【0011】
別の側面において、本発明は、ActRIIB5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を提供する。1つの態様において、核酸分子は、(a)配列番号1に示す核酸配列またはその相補体を有するポリヌクレオチドを含む。別の態様において、核酸分子は、(b)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補体を含む。別の態様において、核酸分子は、(c)約42℃での約50%ホルムアミド、6X SSC中の少なくとも中程度のストリンジェンシーの条件、および約60℃、0.5X SSC、0.1%SDSの洗浄条件下で、(a)または(b)にハイブリダイズし、そしてコードされるポリペプチドが配列番号3に示すアミノ酸配列を有するC末端を含み、そして該ポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、ポリヌクレオチドを含む。別の態様において、核酸分子は、コードされるポリペプチドのC末端が配列番号3に少なくとも約80%以上の同一性を有し、そして該ポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、(c)のポリヌクレオチドを含む。別の態様において、核酸分子が、配列番号1に少なくとも約80%以上の同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
【0012】
別の態様において、本発明の核酸分子は、ActRIIB5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとインフレームである少なくとも1つの異種タンパク質をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。1つの態様において、核酸分子は、ActRIIB5ポリペプチドを少なくとも1つの異種タンパク質に付着させるリンカーペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含む。別の態様において、異種タンパク質はFcポリペプチドである。本発明は、上に示す核酸分子を含むベクター、ならびに上述の核酸分子を発現するよう遺伝子操作された宿主細胞、およびActRIIB5タンパク質を産生するための方法をさらに提供する。
【0013】
本発明は、本発明のタンパク質を含有する組成物をさらに提供する。1つの態様において、組成物は、薬学的に許容されうるキャリアーと混合されたタンパク質を含有する、薬学的組成物である。
【0014】
別の側面において、本発明は、TGF−βタンパク質、ミオスタチン、アクチビンまたはGDF−11活性をin vitroおよびin vivoで阻害する方法であって、該タンパク質をActRIIB5ポリペプチドと接触させる工程による、前記方法を提供する。別の側面において、本発明は、必要がある被験体において、除脂肪筋量および強度を増加させる方法、ならびに脂肪に対する除脂肪筋量の比を増加させる方法であって、該被験体に、ActRIIB5タンパク質を含有する組成物の有効量を投与する工程による、前記方法を提供する。この方法の1つの態様において、被験体は食用動物である。
【0015】
別の側面において、本発明は、筋萎縮(muscle−wasting)疾患に罹患した被験体において、こうした障害を治療するかまたは予防する方法であって、該被験体に、ActRIIB5タンパク質を含有する療法的組成物を投与する工程による、前記方法を提供する。筋萎縮疾患は、限定されるわけではないが、以下の状態:筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、うっ血性閉塞性肺疾患、慢性心不全、癌悪液質、化学薬品悪液質、HIV/AIDS、腎不全、尿毒症、関節リウマチ、年齢に関連するサルコペニア、臓器萎縮、手根管症候群、アンドロゲン枯渇、および長期間の絶対安静、脊椎傷害、脳卒中、骨折、加齢などの不動による筋萎縮を含み、そしてこうした状態から生じる。筋萎縮は
また、宇宙飛行による無重力、インスリン耐性、火傷、アンドロゲン枯渇、および他の障害による筋萎縮などの事象からも生じうる。別の側面において、本発明は、アクチビンAの発現に相関する疾患を治療する方法を提供する。1つの態様において、疾患は癌である。別の側面において、本発明は、代謝障害を治療する方法であって、代謝障害を治療する必要がある被験体に療法的組成物を投与する工程を含み、代謝障害が、糖尿病、肥満、損なわれたグルコース耐性、高血糖、アンドロゲン枯渇、代謝症候群、および骨減少から選択される、前記方法を提供する。別の側面において、本発明は、本発明のActRIIB5タンパク質をコードするベクターを、その必要がある被験体に投与する工程を含み、ベクターが被験体においてActRBII5ポリペプチドを発現可能である、遺伝子治療法を提供する。
【0016】
本発明は、TGF−βタンパク質、ミオスタチン、GDF−11またはアクチビンAを検出し、そして定量化する方法であって、ActRIIB5ポリペプチドとこれらのタンパク質を接触させ、そして該ポリペプチドを検出する工程による、前記方法をさらに提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、アクチビン受容体IIB5(ActRIIB5)と称される新規ヒト・アクチビン受容体を提供する。この受容体は、3つのTGF−βタンパク質、ミオスタチン(GDF−8)、アクチビンA、およびGDF−11に結合する能力、ならびにこれらのタンパク質の活性を阻害する能力によって特徴付けられる。
【0018】
本明細書において、用語「TGF−βファミリーメンバー」または「TGF−βタンパク質」は、アクチビン、ならびに増殖および分化因子(GDF)タンパク質を含む、トランスフォーミング増殖因子ファミリーの構造的に関連する増殖因子を指す(Kinglseyら Genes Dev. 8: 133−146 (1994), McPherronら Growth factors and cytokines in health and disease, Vol 1B, D. LeRoithおよびC.
Bondy監修, JAI Press Inc., 米国コネチカット州グリーンウィッチ: pp 357−393)。ミオスタチンともまた称されるGDF−8は、現在、骨格筋組織の負の制御因子であることが知られる(McPherronら PNAS USA 94:12457−12461 (1997))。ミオスタチンは、ヒトに関してはGenBank寄託番号:AAB86694を有する、長さおよそ375アミノ酸の不活性プレプロタンパク質複合体として合成される。前駆体タンパク質は、4塩基性プロセシング部位でのタンパク質分解的切断によって活性化されて、N末端不活性プロドメインおよびおよそ109アミノ酸のC末端タンパク質を生じ、このC末端タンパク質が二量体化して、約25kDaのホモ二量体を形成する。このホモ二量体は、成熟した生物学的活性タンパク質である(Zimmersら, Science 296, 1486 (2002))。本明細書において、用語「プロドメイン」または「プロペプチド」は、切断されて活性C末端タンパク質を放出する、不活性N末端タンパク質を指す。本明細書において、用語「ミオスタチン」または「成熟ミオスタチン」は、単量体、二量体または他の型の、生物学的に活性である成熟C末端ポリペプチド、ならびにアレル変異体、スプライス変異体、ならびに融合ペプチドおよびポリペプチドを含む、生物学的活性断片または関連ポリペプチドを指す。成熟ミオスタチンは、ヒト、マウス、ニワトリ、ブタ、七面鳥、およびラットを含む多くの種間で100%配列同一性を有すると報告されている(Leeら, PNAS 98, 9306 (2001))。本明細書において、GDF−11は、SwissPro寄託番号O95390を有するBMPタンパク質、ならびにそのタンパク質の変異体および種相同体を指す。GDF−11は、アミノ酸レベルで、ミオスタチンにおよそ90%の同一性を有する。GDF−11は、軸骨格の前部/後部パターン形成の制御に関与する(McPherronら, Natr Genet 22 (93
): 260−264 (1999); Gamerら, Dev. Biol. 208 (1), 222−232 (1999))が、出生後の機能は未知である。アクチビンAは、ポリペプチド鎖βAのホモ二量体である。本明細書において、用語「アクチビンA」は、GenBank寄託番号NM_002192を有するアクチビン・タンパク質、ならびにそのタンパク質の変異体および種相同体を指す。
【0019】
アクチビン受容体
本明細書において、用語「アクチビンIIB型受容体」(ActRIIB)は、タンパク質に関して寄託番号NP_001097を有するヒト前駆体アクチビン受容体、あるいはこの受容体の任意の変異体または相同体を指す。ヒトActRIIB前駆体ポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号4および5に示す。64位のアルギニンがアラニンに置換されているActRIIBの変異を配列番号6に示す。配列番号5はR型と称され、そして配列番号6はA型と称される。ActRIIBの細胞外ドメイン(ActRIIB−ECD)は、配列番号5および6のアミノ酸1〜124に示される。この受容体のさらなるネズミ・アイソフォームは、muActRIIB1、muActRIIB2、muActRIIB3およびmuActRIIB4と同定されている。
【0020】
本発明は、アクチビン受容体IIB5(ActRIIB5)と称される新規ヒト・アクチビン受容体を提供する。この受容体は、配列番号3に示すC末端配列によって特徴付けられる。この受容体のcDNAは、実施例1に記載するように単離され、そしてエクソン4に対応する152ヌクレオチド塩基を欠くことが見出された。この受容体はさらに、ActRIIBのエクソン4にコードされる膜貫通領域を欠くとして特徴付けられる。この受容体はさらに、膜結合でなく、可溶性の分泌される受容体として特徴付けられる。この受容体はさらに、アクチビンA、ミオスタチン、またはGDF−11のいずれか1つに結合し、そしてその活性を阻害する能力を有するとして特徴付けられる。
【0021】
本発明は、ActIIB5受容体ポリペプチドを含む単離タンパク質を提供する。本明細書において、用語「単離された」は、内因性物質からある程度精製された核酸分子を指す。1つの態様において、タンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するActRIIB5ポリペプチド、ならびにこのポリペプチドの変異体および誘導体であって、配列番号2のポリペプチドの活性を保持するものを含む。1つの態様において、タンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列に、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約98%の同一性、または少なくとも約99%の同一性を有するポリペプチドであって、配列番号2のポリペプチドの活性を保持する、前記ポリペプチドを含む。別の態様において、タンパク質は、上述のActRIIB5ポリペプチドであって、配列番号3に示すアミノ酸配列を含むC末端を有し、そして配列番号2のポリペプチドの活性を保持する、前記ポリペプチドを含む。別の態様において、タンパク質は、上述のActRIIB5ポリペプチドであって、C末端が、配列番号3に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の同一性を有し、配列番号2のポリペプチドの活性を保持する、前記ポリペプチドを含む。1つの態様において、ActRIIB5ポリペプチドは、配列番号2のシグナル配列、例えば配列番号2のアミノ酸1〜17を欠く。
【0022】
本明細書において、用語「変異体」は、元来のアミノ酸配列内で、挿入されたか、欠失されたかまたは置換された1以上のアミノ酸を有するが、配列番号2に実質的に類似のままであり、そしてActRIIB5ポリペプチド配列番号2の活性を保持する配列を有する、ポリペプチドを指す。本明細書において、ポリペプチドの活性を保持するポリペプチドの断片が、用語「変異体」に含まれる。本発明の目的のため、「実質的に類似の」は、配列番号2に示すアミノ酸配列に、少なくとも約80%同一であるか、少なくとも約85
%同一であるか、少なくとも約90%同一であるか、少なくとも約95%同一であるか、少なくとも約98%同一であるか、少なくとも約99%同一であり、そして配列番号2のポリペプチドの生物学的活性を保持する。保存的置換であるアミノ酸置換は、生物学的活性に影響を及ぼす可能性が低く、本発明の目的のため、同一と見なされ、そしてこれには以下が含まれる:Serに対するAla、Ileに対するVal、Gluに対するAsp、Serに対するThr、Glyに対するAla、Thrに対するAla、Asnに対するSer、Valに対するAla、Glyに対するSer、Pheに対するTyr、Proに対するAla、Argに対するLys、Asnに対するAsp、Ileに対するLeu、Valに対するLeu、Gluに対するAla、Glyに対するAsp、およびこれらの逆(例えばNeurathら, The Proteins, Academic Press, ニューヨーク(1979)を参照されたい)。表現型的にサイレントであるアミノ酸交換に関するさらなる情報は、Bowieら, 1999, Science
247:1306−1310に見出されうる。アミノ酸置換には、非天然存在アミノ酸、D−アミノ酸、改変アミノ酸、またはペプチド擬似体の配列番号2中の置換もまた含まれる。アミノ酸置換にはまた、置換ポリペプチドが、配列番号2中のアミノ酸配列を有するポリペプチドの活性を保持する限り、中性極性に対する中性疎水性、塩基性に対する酸性、および他の種類の置換などの非保存的アミノ酸置換もまた含まれる。変異体には、哺乳動物細胞、大腸菌(E. coli)、酵母および他の組換え宿主細胞などの多様な細胞種における発現によるプロセシングから生じるC末端およびN末端に対する修飾がさらに含まれる。変異体にはさらに、配列番号2に示すポリペプチド配列の不活性化N−グリコシル化部位(単数または複数)、不活性化プロテアーゼ・プロセシング部位(単数または複数)、または保存的アミノ酸置換(単数または複数)を含むポリペプチド断片およびポリペプチドがさらに含まれる。
【0023】
関連するペプチドおよびポリペプチドの同一性および類似性は、既知の方法によって容易に計算可能である。こうした方法には、限定されるわけではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.監修, Oxford University Press, ニューヨーク(1988); Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.監修, Academic Press, ニューヨーク(1993); Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.監修, Humana Press, ニュージャージー(1994); Sequence Analysis in Molecular Biology, von
Heinje, G., Academic Press(1987); Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.監修, M. Stockton Press, ニューヨーク(1991);ならびにCarilloら, SIAM J. Applied Math.,
48:1073(1988)に記載されるものが含まれる。2つのポリペプチドの関連性または同一性パーセントを決定する方法を設計して、試験する配列間の最大マッチを得る。2つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータ・プログラム法には、限定されるわけではないが、GAP(Devereuxら, Nucl. Acid. Res., 12:387(1984);遺伝学コンピュータ・グループ、ウィスコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら, J. Mol. Biol., 215:403−410 (1990))を含む、GCGプログラム・パッケージが含まれる。BLASTXプログラムは、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)および他の供給源(BLASTマニュアル、Altschulら NCB/NLM/NIH Bethesda, MD 20894;Altschulら、上記(1990))から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムを用いて、同一性を決定することもまた、可能
である。
【0024】
本明細書において、用語、ActRIIB5ポリペプチドの「誘導体」は、グリコシル基、脂質、アセチル基などの共有または凝集コンジュゲート、あるいはC末端またはN末端融合タンパク質、PEG分子へのコンジュゲート化、および以下により詳細に記載される他の修飾を形成する、少なくとも1つのさらなる化学部分、または少なくとも1つのさらなるポリペプチドの付着を指す。
【0025】
本明細書において、用語「ActRIIB5ポリペプチド活性」または「ActRIIB5ポリペプチドの生物学的活性」は、限定されるわけではないが、以下の実施例に示されるものを含む、ActRIIB5ポリペプチドの1以上のin vitroまたはin
vivo活性を指す。ActRIIB5ポリペプチドの活性には、限定されるわけではないが、ミオスタチンまたはアクチビンAまたはGDF−11に結合する能力、ミオスタチンまたはアクチビンAまたはGDF−11の活性を減少させるかまたは中和する能力が含まれる。例えば、以下の実施例3に記載するpMARE C2C12細胞に基づくアッセイは、アクチビンA中和活性、ミオスタチン中和活性、およびGDF−11中和活性を測定する。in vivo活性には、限定されるわけではないが、以下の動物モデルにおいて立証されるような、体重を増加させ、除脂肪筋量を増加させ、そして脂肪量を減少させることが含まれる。生物学的活性には、特定の種類の腫瘍によって引き起こされる悪液質を減少させるかまたは予防し、そして特定の腫瘍細胞の転移を予防することがさらに含まれる。ActRIIB5ポリペプチド活性のさらなる議論を以下に提供する。
【0026】
本発明のタンパク質は、直接またはリンカー配列を通じてのいずれかで、ActRIIB5ポリペプチドに付着して、融合タンパク質を形成する、異種タンパク質をさらに含む。本明細書において、用語「融合タンパク質」は、組換えDNA技術を介して付着した異種ポリペプチドを有するタンパク質を指す。異種タンパク質には、限定されるわけではないが、例えば本明細書に援用されるWO 00/29581に記載されるような、ActRIIB5ポリペプチドのオリゴマー化および安定化を促進する、Fcポリペプチド、hisタグ、およびロイシンジッパー・ドメインが含まれる。本明細書において、用語「Fc」または「Fcポリペプチド」は、抗体のFcドメインを含有するポリペプチドを指す。「Fcドメイン」は、細胞上の抗体受容体に結合するのに関与する抗体の部分を指す。Fcドメインは、以下の1つ、2つまたはすべてを含有してもよい:定常重鎖1ドメイン(C1)、定常重鎖2ドメイン(C2)、定常重鎖3ドメイン(C3)、およびヒンジ領域。ヒトIgG1のFcドメインは、例えば、C2ドメイン、およびC3ドメイン、ならびにヒンジ領域を含有するが、C1ドメインを含有しない。二量体化を促進するヒンジ領域を含有する、こうしたポリペプチドの一部切除(truncated)型もまた含まれる。例えば、C.A. HasemannおよびJ. Donald Capra, Immnoglobins: Structure and Function, William E. Paul監修中を参照されたい。1つのFcは、IgG1およびIgG2などの任意の免疫グロブリンから生じうる完全ヒトFcである。しかし、部分的にヒトであるか、または非ヒト種から生じるFc分子もまた、本明細書に含まれる。Fc分子は、共有(すなわちジスルフィド結合)および非共有結合によって、二量体型または多量体型に連結されることも可能な単量体ポリペプチドを構成してもよい。天然Fc分子の単量体サブユニット間の分子間ジスルフィド結合数は、クラス(例えばIgG、IgA、IgE)またはサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)に応じて、1〜4の範囲である。用語「Fc」は、本明細書において、単量体、二量体、および多量体型を指すよう用いられる。本明細書において、用語「Fc変異体」は、天然Fc配列の修飾型を指す。Fc変異体は、例えば、残基を置換するかまたは欠失させるか、残基を挿入するか、あるいは部位を含有する部分を一部切除することによって構築可能である。挿入または置換される残基はまた、ペプチド擬似体またはD−アミ
ノ酸などの改変されたアミノ酸であってもよい。
【0027】
本発明のタンパク質は、場合によって、「リンカー」基をさらに含んでもよい。リンカーは、主に、ポリペプチドおよび第二の異種タンパク質または他の種類の融合体間、あるいは2以上のActRIIB5ポリペプチド間のスペーサーとして働く。1つの態様において、リンカーは、ペプチド結合によってともに連結されたアミノ酸、好ましくはペプチド結合によって連結された1〜20アミノ酸で構成され、アミノ酸は20の天然存在アミノ酸から選択される。これらのアミノ酸の1以上は、当業者に理解されるように、グリコシル化されることも可能である。1つの態様において、1〜20アミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリジンから選択される。好ましくは、リンカーは、大部分、立体的に妨害されない、グリシンおよびアラニンなどのアミノ酸で構成される。典型的なリンカーは、ポリグリシン(特に(Gly)、(Gly))、ポリ(Gly−Ala)、およびポリアラニンである。
【0028】
本発明のリンカーはまた、非ペプチドリンカーである。例えば、−NH−(CH)s−C(O)−、式中、s=2〜20、などのアルキルリンカーが使用可能である。これらのアルキルリンカーは、低次アルキル(例えばC〜C)、低次アシル、ハロゲン(例えばCl、Br)、CN、NH、フェニルなどの立体的に妨害しない基いずれかによってさらに置換されることも可能である。
【0029】
また、ActRIIBポリペプチドの分解を減少させ、そして/または半減期を増加させ、毒性を減少させ、免疫原性を減少させ、そして/または生物学的活性を増加させるなどの所望の特性を与える目的で、本発明のタンパク質を非タンパク質分子に付着させてもよい。典型的な分子には、限定されるわけではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリリジン、デキストランなどの直鎖ポリマー;脂質;コレステロール基(ステロイドなど);炭水化物、またはオリゴ糖分子が含まれる。
【0030】
別の側面において、本発明は、本発明のActRIIB5ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離核酸分子を提供する。本明細書において、用語「単離された」は、内因性物質からある程度精製された核酸分子を指す。1つの態様において、本発明の核酸分子は、配列番号2をコードするポリヌクレオチドを含む。1より多いコドンが同じアミノ酸をコードしうる、遺伝暗号の既知の縮重によって、DNA配列は配列番号1に示すものと異なり、そしてなお配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることも可能である。こうした変異体DNA配列は、産生中に生じるサイレント突然変異から生じることも可能であるし、または配列番号2の意図的な突然変異誘発の産物であってもよい。別の態様において、核酸分子は、配列番号2に少なくとも約80%の同一性、配列番号2に少なくとも約90%の同一性、配列番号2に少なくとも約95%の同一性、配列番号2に少なくとも約99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0031】
同一性パーセントは、視覚的検査および数学的計算によって決定可能である。あるいは、2つの核酸配列の同一性パーセントは、Devereuxら, Nucl. Acids Res., 12:387 (1984)によって記載され、そしてウィスコンシン大学遺伝学コンピュータグループ(UWGCG)から入手可能な、GAPコンピュータプログラム、バージョン6.0を用いて、配列情報を比較することによって、決定可能である。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメータには:(1)ヌクレオチドに関する比較マトリックス(同一に対し1および非同一に対し0の値を含む)、ならびにSchwartzおよびDayhoff監修, Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, pp.353−358 (1979)に記
載されるような、GribskovおよびBurgess, Nucl. Acids Res., 14:6745 (1986)の加重比較マトリックス;(2)各ギャップに対する3.0のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに0.10のペナルティ;ならびに(3)末端ギャップに対するペナルティなし、が含まれる。配列比較の当業者に用いられる他のプログラムもまた使用可能である。
【0032】
別の態様において、本発明の核酸分子は、配列番号1に示すポリヌクレオチド配列、または配列番号1の相補鎖を有するポリヌクレオチドを含む。別の態様において、本発明は、ストリンジェントなまたは中程度の条件下で、配列番号1のポリペプチドコード領域とハイブリダイズする核酸分子を提供し、ここで、コードされるポリペプチドは、配列番号3に示すようなC末端アミノ酸配列を含み、そしてコードされるポリペプチドは、ActRIIB5ポリペプチドの活性を維持する。
【0033】
別の態様において、本発明は、ストリンジェントなまたは中程度の条件下で、配列番号1のポリペプチドコード領域とハイブリダイズする核酸分子であって、コードされるポリペプチドは、配列番号3に示すアミノ酸配列に、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約98%の同一性、少なくとも約99%の同一性を有するC末端アミノ酸配列を含み、そしてコードされるポリペプチドは、ActRIIB5ポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する、前記核酸分子を提供する。
【0034】
本明細書において、中程度のストリンジェンシーの条件は、例えば、DNAの長さに基づき、一般の技術を有する当業者によって、容易に決定可能である。基本的な条件は、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版, Vol. 1, pp.1.101−104, Cold
Spring Harbor Laboratory Press (1989)に示され、そしてニトロセルロースフィルターに関し、5X SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液、約42℃での、約50%ホルムアミド、6X SSC(または約42℃での約50%ホルムアミド中の、スターク溶液(Stark’s solution)などの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件、および約60℃、0.5X SSC、0.1%SDSの洗浄条件の使用を含む。高ストリンジェンシーの条件もまた、例えばDNAの長さに基づき、当業者によって、容易に決定可能である。一般的に、ハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「非常にストリンジェントな条件」と定義されるこうした条件は、65〜68℃での0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、または42℃での0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミドである。他の条件には、およそ68℃、0.2X SSC、0.1%SDSでのハイブリダイズおよび洗浄が含まれる。当業者は、温度および洗浄溶液塩濃度は、配列の長さなどの要因にしたがって、必要に応じて調整可能であることを認識するであろう。Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989); Andersonら, Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach, 第4章(IRL Press Limited)を参照されたい。
【0035】
本発明の核酸分子には、一本鎖および二本鎖型両方のDNA、ならびにそのRNA相補体が含まれる。DNAには、例えばcDNA、ゲノムDNA、合成DNA、PCRによって増幅されたDNA、およびそれらの組み合わせが含まれる。例えば、配列番号1のcDNA、または適切なその断片をプローブとして用いることによるなど、慣用技術によって、ゲノムDNAを単離してもよい。ActRIIB5ポリペプチドをコードするゲノムD
NAは、いくつかの種に関して入手可能であるゲノムライブラリーから得られる。合成DNAは、重複するオリゴヌクレオチド断片を化学合成した後、断片を組み立てて、コード領域および隣接配列の一部またはすべてを再構成することから入手可能である。RNAは、T7プロモーターおよびRNAポリメラーゼを用いるベクターなど、mRNAの高レベルの合成を指示する原核発現ベクターから得られうる。ActRIIB5を発現する多様な組織から単離したmRNAから調製したライブラリーから、cDNAが得られる。本発明のDNA分子には、全長遺伝子、ならびにそのポリヌクレオチドおよび断片が含まれる。全長遺伝子にはまた、N末端シグナル配列をコードする配列も含まれてもよい。
【0036】
本発明はまた、ActRIIB5ポリヌクレオチドを産生し、そして同定する方法も提供する。周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用して、所望のタンパク質断片をコードするDNA配列を単離し、そして増幅してもよい。DNA断片の所望の末端を定義するオリゴヌクレオチドを、5’および3’プライマーとして使用する。オリゴヌクレオチドは、発現ベクター内への増幅DNA断片の挿入を容易にするため、制限エンドヌクレアーゼの認識部位をさらに含有してもよい。PCR技術は、Saikiら, Science, 239:487 (1988); Wuら, Recombinant DNA
Methodology, eds., Academic Press, Inc., San Diego, pp. 189−196 (1989);およびInnisら., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, eds., Academic Press, Inc. (1990)に記載される。
【0037】
本発明の別の側面において、核酸配列を含有する発現ベクターもまた提供し、そしてこうしたベクターで形質転換された宿主細胞、およびActRIIB5ポリペプチドを産生する方法もまた提供する。用語「発現ベクター」は、ポリヌクレオチド配列からポリペプチドを発現するためのプラスミド、ファージ、ウイルスまたはベクターを指す。ActRII5ポリペプチドを発現するためのベクターは、ベクター増殖およびクローニングされた挿入物の発現のために必要な最小限の配列を含有する。発現ベクターは、(1)遺伝子発現において制御する役割を有する、単数または複数の遺伝子要素、例えばプロモーターまたはエンハンサー、(2)mRNAに転写し、そしてタンパク質に翻訳しようとする、ActRIIB5ポリペプチドをコードする配列、ならびに(3)適切な転写開始および終結配列の組み立てを含む、転写単位を含む。これらの配列には、選択マーカーがさらに含まれてもよい。宿主細胞における発現に適したベクターは、容易に入手可能であり、そして標準的組換えDNA技術を用いて、ベクター内に核酸分子を挿入する。こうしたベクターには、特定の組織で機能するプロモーター、およびターゲットとされるヒトまたは動物細胞におけるActRIIB5の発現のためのウイルスベクターが含まれてもよい。ActRIIB5の発現に適したいくつかの典型的な発現ベクターには、限定されるわけではないが、ActRIIB5ポリヌクレオチドを含有する、pDSRa(本明細書に援用されるWO 90/14363に記載される)およびその誘導体、ならびにActRII5ポリヌクレオチドを含有するpDC323またはpDC324ベクター(Bianchiら, Biotech and Bioengineering, Vol 84(4):439−444 (2003)に記載される)が含まれ、さらに、当該技術分野に知られるかまたは以下に記載する、さらなる適切なベクターが本発明によって提供される。
【0038】
本出願は、ActRIIB5ポリペプチドおよびタンパク質を作製する方法をさらに提供する。多様な他の発現/宿主系を利用してもよい。これらの系には、限定されるわけではないが、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)でトランスフェ
クションされたか、または細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは動物細胞系が含まれる。組換えタンパク質産生に有用な哺乳動物細胞には、限定されるわけではないが、VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、COS細胞(COS−7など)、W138、BHK、HepG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562および293細胞が含まれる。グリコシル化などの翻訳後修飾およびポリペプチドプロセシングが活性に重要な場合は、哺乳動物宿主細胞が好ましい可能性もある。哺乳動物発現は、増殖培地から回収可能な分泌または可溶性ポリペプチドの産生を可能にする。
【0039】
適切な宿主−ベクター系を用いて、産生を可能にする条件下で、本発明の核酸分子を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することによって、ActRIIB5タンパク質およびポリペプチドを組換え的に産生する。形質転換細胞を、長期の高収率タンパク質産生のために用いてもよい。こうした細胞を、選択可能マーカーならびに所望の発現カセットを含有するベクターで形質転換したら、細胞を濃縮培地中で1〜2日間増殖させ、その後、選択培地にスイッチしてもよい。選択可能マーカーは、導入された配列を成功裡に発現する細胞の増殖および回収を可能にするよう設計される。使用する細胞株に適した組織培養技術を用いて、安定形質転換細胞の耐性の塊を増殖させてもよい。組換えタンパク質発現の概説は、Methods of Enzymology, v. 185, Goeddell, D.V.監修, Academic Press (1990)に見られる。
【0040】
原核系を用いた発現におけるなどのいくつかの場合、発現された本発明のポリペプチドは、生物学的に活性になるために、「再フォールディング」され、そして酸化されて適切な三次構造およびジスルフィド連結を生じることを必要としうる。当該技術分野に周知のいくつかの方法を用いて、再フォールディングを達成してもよい。こうした方法には、例えば、可溶化されたポリペプチドを、カオトロピック剤の存在下で、通常は約7を超えるpHに曝露することが含まれる。カオトロープの選択は、封入体可溶化に用いる選択と類似であるが、カオトロープは、典型的には、より低濃度で用いられる。典型的なカオトロピック剤はグアニジンおよび尿素である。大部分の場合、再フォールディング/酸化溶液はまた、還元剤に加えて、その酸化型も、特定の比で含有し、システイン架橋の形成のため、ジスルフィド・シャフリングが起こることを可能にする、特定の酸化還元電位を生じるであろう。いくつかの一般的に用いられる酸化還元対には、システイン/シスタミン、グルタチオン/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオスレイトールDTT/ジチアンDTT、および2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−bMEが含まれる。多くの場合、共溶媒を用いて、再フォールディングの効率を増加させてもよい。一般的に用いられる共溶媒には、グリセロール、多様な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンが含まれる。
【0041】
慣用技術にしたがって、溶液中または固体支持体上で、本発明のタンパク質およびポリペプチドを合成することも可能である。多様な自動化合成装置が商業的に入手可能であり、そして既知のプロトコルにしたがって使用可能である。例えば、StewartおよびYoung(上記); Tamら, J Am Chem Soc, 105:6442
(1983); Merrifield, Science 232:341−347
(1986); BaranyおよびMerrifield, The Peptides, GrossおよびMeienhofer監修, Academic Press, New York, 1−284; Baranyら, Int J Pep Protein Res, 30:705を参照されたい。
【0042】
本発明のタンパク質およびポリペプチドを精製することが必要である。タンパク質精製技術は当業者に周知である。これらの技術は、1つのレベルで、タンパク質性分画および
非タンパク質性分画の粗分画(crude fractionation)を伴う。他のタンパク質から、ペプチド、ポリペプチドを分離したら、クロマトグラフィー技術および電気泳動技術を用いて、目的のペプチドまたはポリペプチドをさらに精製して、部分的精製または完全精製(または均質になるまでの精製)を達成してもよい。本発明のポリペプチドの調製に特に適した分析法は、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;等電点電気泳動である。ペプチドを精製する特に効率的な方法は、迅速タンパク質液体クロマトグラフィーまたは同等のHPLCである。用語「単離ポリペプチド」または「精製ポリペプチド」は、本明細書において、他の構成要素から単離可能な組成物を指すよう意図され、ここでポリペプチドは、天然に得られうる状態に比較して、いずれかの度合いに精製されている。したがって、精製ポリペプチドはまた、天然に生じうる環境から遊離したポリペプチドも指す。一般的に、「精製された」は、多様な他の構成要素を除去する分画に供され、そしてその発現される生物学的活性を実質的に保持する、ポリペプチド組成物を指すであろう。用語「実質的に精製された」を用いる場合、この指定は、ポリペプチドまたはペプチドが組成物の主要な構成要素を形成し、例えば組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%またはそれより多くを構成する、ペプチドまたはポリペプチド組成物を指すであろう。
【0043】
本開示の観点から、ポリペプチドの精製の度合いを定量化する多様な方法が当業者に知られるであろう。これらには、例えば、活性分画の特異的結合活性を測定するか、またはSDS/PAGE分析によって、分画内のペプチドまたはポリペプチドの量を評価することが含まれる。ポリペプチド分画の純度を評価するのに好ましい方法は、分画の結合活性を計算し、これを最初の抽出物の結合活性に比較して、そしてこうして本明細書において「倍精製数」によって評価される、精製の度合いを計算することである。結合活性の量を表すのに用いられる実際の単位は、もちろん、精製を追跡するために選択された特定のアッセイ技術に応じるであろうし、そしてポリペプチドまたはペプチドが検出可能な結合活性を示すかどうかに応じるであろう。
【0044】
精製に使用するのに適した多様な技術が、当業者に周知であろう。これらには、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体(免疫沈降)等を用いた沈殿、または熱変性、その後の遠心分離;アフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテイン−A−Sepharose)、イオン交換、ゲルろ過、逆相、ヒドロキシルアパタイトおよびアフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー工程;等電点電気泳動;ゲル電気泳動;ならびにこれらの技術の組み合わせが含まれる。当該技術分野に一般的に知られるように、多様な精製工程を行う順序を変化させることも可能であるし、または特定の工程を省略し、そしてなお、実質的に精製されたポリペプチドの適切な調製法を生じることも可能であると考えられる。
【0045】
抗体
本発明には、本発明のActRIIB5受容体ポリペプチドに特異的に結合する抗体がさらに含まれる。本明細書において、用語「特異的に結合する」は、ActRIIB5ポリペプチドに対して10−1以上の結合親和性(Ka)を有する抗体を指す。本明細書において、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体(例えばAntibodies: A
Laboratory Manual, HarlowおよびLane(監修), Cold Spring Harbor Press, (1988)を参照されたい)、およびモノクローナル抗体(例えば、米国特許第RE 32,011号、第4,902,614号、第4,543,439号、および第4,411,993号、ならびにMonoclonal Antibodies: A New Dimension in Biological Analysis, Plenum Press, Kennett, McKearnおよびBechtol(監修)(1980)を参照されたい)を含む
、損なわれていない(intact)抗体を指す。本明細書において、用語「抗体」はまた、F(ab)、F(ab’)、F(ab’)、Fv、Fc、および一本鎖抗体などの抗体断片も指し、これらは、組換えDNA技術によって、あるいは損なわれていない抗体の酵素的または化学的切断によって、産生される。用語「抗体」はまた、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的ハイブリッド抗体である、二重特異性抗体または二重官能性抗体も指す。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む、多様な方法によって産生可能である(Songsivilaiら, Clin. Exp. Immunol. 79:315−321 (1990), Kostelnyら, J. Immunol. 148:1547−1553 (1992)を参照されたい)。本明細書において、用語「抗体」はまた、キメラ抗体、すなわち1以上の非ヒト可変抗体免疫グロブリン・ドメインまたはその断片にカップリングしたヒト定常抗体免疫グロブリン・ドメインを有する抗体も指す(例えば、米国特許第5,595,898号および米国特許第5,693,493号を参照されたい)。抗体はまた、「ヒト化」抗体(例えば米国特許第4,816,567号およびWO 94/10322を参照されたい)、ミニボディ(WO 94/09817)、マキシボディ、およびトランスジェニック動物によって産生された抗体も指し、ここで、ヒト抗体産生遺伝子の一部を含有するが、内因性抗体の産生が欠損しているトランスジェニック動物は、ヒト抗体を産生可能である(例えば、Mendezら, Nature Genetics 15:146−156 (1997)、および米国特許第6,300,129号を参照されたい)。用語「抗体」にはまた、多量体抗体、またはヘテロ二量体抗体などのタンパク質のより高次の複合体、および抗イディオタイプ抗体も含まれる。「抗体」にはまた、抗イディオタイプ抗体も含まれる。ActRIIB5に対する抗体を用いて、例えば、in
vitroおよびin vivoでActRIIB5を同定し、そして定量化することも可能である。
【0046】
薬学的組成物
本発明のActRIIB5ポリペプチドおよびタンパク質を含有する薬学的組成物もまた提供する。こうした組成物は、薬学的に許容されうる材料、および生理学的に許容されうる配合材料と混合された、療法的または予防的に有効な量のポリペプチドを含む。薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、モル浸透圧濃度、粘性、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、分解または放出速度、吸着または浸透を修飾するか、維持するか、または保存するための配合物材料を含有してもよい。適切な配合物材料には、限定されるわけではないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸、重炭酸、Tris−HCl、クエン酸、リン酸または他の有機酸など);充填剤(マンニトールまたはグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど);増量剤;単糖;二糖および他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤、フレーバー剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック類、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル(tyloxapal)など);安定性増進剤(スクロースまたはソルビトール);等張性増進剤(ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトー
ル・ソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的佐剤が含まれる(Remington’s Pharmaceutical Sciences
第18版, A.R. Gennaro監修, Mack Publishing Company, 1990)。
【0047】
例えば意図される投与経路、送達形式および所望の投薬量に応じて、当業者が、最適な薬学的組成物を決定するであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記を参照されたい。こうした組成物は、ポリペプチドの物理的状態、安定性、in vivo放出速度およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼすことも可能である。例えば、安定な組成物は、注射用水、非経口投与用の生理学的生理食塩水溶液であってもよい。
【0048】
薬学的組成物中の主なビヒクルまたはキャリアーは、性質が水性または非水性のいずれであってもよい。例えば、適切なビヒクルまたはキャリアーは、注射用水、生理学的生理食塩水溶液または人工的脳脊髄液であってもよく、非経口投与のための組成物において一般的な、他の材料を補充してもよい。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水が、さらなる典型的なビヒクルである。他の典型的な薬学的組成物は、pH約7.0〜8.5のTris緩衝液、またはpH約4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、これらは、ソルビトールまたはその適切な代用物をさらに含んでもよい。本発明の1つの態様において、所望の度合いの純度を有する選択した組成物と、場合による配合剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記)を混合して、凍結乾燥ケーク型または水性溶液型にすることによって、組成物を、保管用に調製してもよい。さらに、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて、凍結乾燥物として、療法組成物を配合してもよい。
【0049】
配合物を多様な方法で、例えば吸入療法によって、経口的に、または注射によって送達してもよい。非経口投与を意図する場合、本発明で使用するための療法組成物は、薬学的に許容されうるビヒクル中、所望のポリペプチドを含む、発熱物質不含の非経口的に許容されうる水性溶液の形であってもよい。非経口注射に特に適したビヒクルは、無菌再蒸留水であり、この中で、ポリペプチドを、適切に保存された無菌等張溶液として配合する。さらに別の調製は、製品の制御放出または持続放出を提供する、注射可能微小球体、生体侵食可能粒子、ポリマー性化合物(ポリ乳酸、ポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームなどの剤と、所望の分子の配合を伴ってもよく、次いでデポ注射を介してこの製品を送達してもよい。ヒアルロン酸もまた使用可能であり、そしてヒアルロン酸は、循環中に存在する期間の持続を促進する効果を有することも可能である。所望の分子を導入するための他の適切な手段には、移植可能薬剤送達デバイスが含まれる。
【0050】
別の側面において、注射可能投与に適した薬学的配合物を、水性溶液中、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的に緩衝された生理食塩水などの生理学的に適合しうる緩衝液中に配合してもよい。水性注射懸濁物は、懸濁物の粘性を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有してもよい。さらに、適切な油性注射懸濁物として、活性化合物の懸濁物を調製してもよい。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、あるいはオレイン酸エチル、トリグリセリド、またはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。非脂質ポリカチオン性アミノポリマーもまた、送達のために使用可能である。場合によって、懸濁物はまた、適切な安定化剤、または化合物の溶解度を増加させる剤も含有して、そして非常に濃縮された溶液の調製を可能にしてもよい。別の態様において、薬学的組成物を吸入のために配合してもよい。また、吸入溶液を、エアロゾル送達用の噴霧剤を用いて配合してもよい。さらに別の態様において、溶液を噴霧してもよい。肺投与は、化学的に修飾されたタンパク質の肺送達を記載する、PCT出願第PCT/US94/00187
5号にさらに記載される。
【0051】
特定の配合物を経口投与してもよいこともまた意図される。本発明の1つの態様において、この方式で投与される分子を、錠剤およびカプセルなどの固形投薬型の調剤(compounding)に通例用いられるキャリアーを伴いまたは伴わずに配合することも可能である。例えば、生物学的利用能が最大であり、そして全身に到達する前の(pre−systemic)分解が最小である、胃腸管の箇所で、配合物の活性部分が放出されるように、カプセルを設計してもよい。さらなる剤を含ませて、療法分子の吸収を促進してもよい。希釈剤、フレーバー剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた、使用可能である。経口投与に適した投薬型で、当該技術分野に周知の薬学的に許容されうるキャリアーを用いて、経口投与用の薬学的組成物を配合してもよい。こうしたキャリアーは、薬学的組成物を、患者が摂取するための、錠剤、ピル、ドラジェー、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物等として配合するのを可能にする。
【0052】
活性化合物と固体賦形剤を合わせ、そして生じた顆粒混合物を(場合によって粉砕した後)プロセシングして、錠剤またはドラジェー・コアを得ることを通じて、経口使用のための薬学的調製物を得てもよい。所望の場合、適切な補助剤を添加することも可能である。適切な賦形剤には、炭水化物またはタンパク質増量剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトールを含む糖;コーン、コムギ、イネ、ジャガイモ、または他の植物由来のデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントを含むゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が含まれる。所望の場合、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、およびアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を添加してもよい。アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物もまた含有可能な、濃縮糖溶液などの、適切なコーティングと組み合わせて、ドラジェー・コアを用いてもよい。製品を同定するため、または活性化合物の量、すなわち投薬量を特徴付けるため、染料または色素を錠剤またはドラジェー・コーティングに添加してもよい。
【0053】
経口で使用可能な薬学的調製物にはまた、ゼラチン製の押し込み型カプセル、ならびにゼラチン製の軟密閉カプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどのコーティングが含まれる。押し込み型カプセルは、増量剤または結合剤、例えばラクトースまたはデンプン、潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および場合によって安定化剤と混合された活性成分を含有してもよい。軟カプセルにおいて、安定化剤を伴い、または伴わず、活性化合物を適切な液体、例えば脂肪油、液体、または液体ポリエチレングリコール中に、溶解するかまたは懸濁してもよい。
【0054】
さらなる薬学的組成物が当業者には明らかであり、こうした組成物には、持続または制御送達配合物中にポリペプチドを伴う配合物が含まれる。多様な他の持続または制御送達手段、例えばリポソーム・キャリアー、生体内分解性微小粒子または多孔ビーズおよびデポ注射を配合するための技術もまた、当業者に知られる。例えば、薬学的組成物の送達用の多孔ポリマー性微小粒子の制御放出を記載する、PCT/US93/00829を参照されたい。持続放出調製物のさらなる例には、成形物品の形の半透性ポリマーマトリックス、例えばフィルム、または微小カプセルが含まれる。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(U.S. 3,773,919、EP 58,481)、L−グルタミン酸およびガンマ・エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら, Biopolymers, 22:547−556 (1983))、ポ
リ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら, J. Biomed. Mater. Res., 15:167−277 (1981); Langerら, Chem. Tech., 12:98−105 (1982))、エチレン酢酸ビニル(Langerら、上記)、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が含まれることも可能である。持続放出組成物にはまた、当該技術分野に知られるいくつかの方法のいずれかによって調製可能なリポソームも含まれる。例えばEppsteinら, PNAS(USA), 82:3688 (1985); EP
36,676; EP 88,046; EP 143,949を参照されたい。
【0055】
in vivo投与に用いようとする薬学的組成物は、典型的には無菌でなければならない。これは、無菌ろ過膜を通じたろ過によって達成可能である。組成物を凍結乾燥する場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥および再構成前にまたはその後のいずれかに行うことも可能である。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥型で、または溶液中で保存することも可能である。さらに、非経口組成物は、一般的に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば静脈内溶液バッグ、または皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアル中に入れられる。
【0056】
薬学的組成物を配合したら、溶液、懸濁物、ゲル、エマルジョン、固体、あるいは脱水または凍結乾燥粉末として、無菌バイアル中で保存することも可能である。こうした配合物は、すぐに使える型で、または投与前に再構成を要する型(例えば凍結乾燥型)のいずれで保存してもよい。
【0057】
特定の態様において、本発明は、単回用量投与単位を生じるキットに関する。該キットは、各々、乾燥タンパク質を有する第一の容器および水性配合物を有する第二の容器の両方を含有してもよい。本発明の範囲内にやはり含まれるのは、単一チャンバーおよび多チャンバーのあらかじめ充填されたシリンジ(例えば液体シリンジおよびリオシリンジ(lyosyringes))を含有するキットである。
【0058】
療法的に使用しようとする薬学的組成物の有効量は、例えば療法状況および目的に応じるであろう。したがって、当業者は、治療に適した投薬レベルが、部分的に、送達される分子、該ポリペプチドが用いられる徴候、投与経路、ならびに患者のサイズ(体重、体表面または臓器サイズ)および状態(年齢および全身の健康状態)に応じて、多様であろうことを認識するであろう。したがって、臨床医は、最適な療法効果を得るため、投薬量を用量設定し、そして投与経路を修正してもよい。典型的な投薬量は、上述の要因に応じて、約0.1mg/kg〜最大約100mg/kg以上の範囲であることも可能である。ポリペプチド組成物は、好ましくは、静脈内注射または投与可能である。特定の配合物の半減期およびクリアランス速度に応じて、長期作用薬学的組成物を、3〜4日ごと、毎週、または1週おきに投与してもよい。投薬頻度は、用いる配合物中のポリペプチドの薬力学的パラメーターに応じるであろう。典型的には、投薬型が所望の効果を達成するにいたるまで、組成物を投与する。したがって、組成物を単一用量として、またはある期間に渡る多数の用量として(同じまたは異なる濃度/投薬量で)、あるいは連続注入として、投与してもよい。適切な投薬型のさらなる改良が日常的に行われる。適切な用量−反応データを用いることを通じて、適切な投薬型を確かめることも可能である。
【0059】
薬学的組成物の投与経路は、既知の方法にしたがい、例えば経口であるか、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋内、眼内、動脈内、門脈内、病巣内経路、髄内、鞘内、心室内、経皮、皮下、または腹腔内による注射を通じて;ならびに鼻内、腸内、局所、舌下、尿道、膣、または直腸手段であるか、持続放出系によるか、あるいは移植装置による。所望の場合、ボーラス注射によって、または注入によって連続して、あるいは移植デバイスによって、組成物を投与してもよい。あるいはまたはさらに、所望の分子が吸収さ
れているかまたは被包されている、膜、スポンジ、または別の適切な材料の移植を介して、組成物を局所投与してもよい。移植デバイスを用いる場合、デバイスを適切な組織または臓器いずれかに移植することも可能であり、そして所望の分子の送達は、分散、時限放出ボーラス、または連続投与を介することも可能である。
【0060】
いくつかの場合、本明細書記載のものなどの、ポリペプチドを発現させ、そして分泌させる方法を用いて、遺伝子操作されている特定の細胞を移植することによって、本発明のActRIIB5ポリペプチドを送達してもよい。こうした細胞は、動物またはヒト細胞であってもよいし、そして自己、異種(heterologousまたはxenogeneic)であってもよい。場合によって、細胞を不死化してもよい。免疫学的応答の可能性を減少させるため、細胞を被包して、周囲組織への浸潤を回避してもよい。被包材料は、典型的には、生体適合性の半浸透性ポリマー封入体(enclosures)または膜であって、タンパク質産物(単数または複数)の放出を可能にするが、患者免疫系による、または周囲組織由来の他の有害な因子による、細胞の破壊を防止するものである。
【0061】
ActRIIB5をコードする核酸分子、あるいはActRIIB5の変異体または誘導体を被験体内に直接導入する、in vivoのActRIIB5遺伝子治療もまた想定される。例えば、ActRIIB5をコードする核酸配列を、アデノ随伴ウイルスベクターなどの適切な送達ベクターを伴うまたは伴わない核酸構築物の局所注射を介して、ターゲット細胞内に導入する。別のウイルスベクターには、限定されるわけではないが、レトロウイルス、アデノウイルス、単純疱疹ウイルスおよびパピローマウイルスベクターが含まれる。所望の核酸構築物または所望の核酸配列を含有する他の適切な送達ベクターの局所注射、リポソーム仲介導入、直接注射(裸のDNA)、または微粒子銃(遺伝子銃)によって、ウイルスベクターの物理的導入をin vivoで達成してもよい。
【0062】
ActRIIB5組成物の使用
本発明は、ActRIIB5タンパク質とミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11を接触させることによって、これらのタンパク質の量または活性をin vivoおよびin vitroで減少させるかまたは中和するための方法および組成物を提供する。以下の実施例は、ActRIIB5タンパク質が、ミオスタチン、アクチビンA、およびGDF−11に対して高い親和性を有し、そしてミオスタチン、アクチビンAおよびGDF−11の生物学的活性を減少させそして阻害することが可能であることを立証する。実施例は、ActRIIB5が、実施例3においてIC50値によって立証されるように、ActRIIB−ECDに比較してより高い活性を有し、そして動物における生物学的反応が、実施例5および6に立証されるように、ActRIIB−ECD動物と比較して、ActRIIB5動物で優れていることを立証する。
【0063】
1つの側面において、本発明は、ミオスタチン関連および/またはアクチビンA関連障害の治療が必要な被験体において、こうした治療を行うための方法および試薬であって、該被験体にActRIIB5組成物の有効投薬量を投与する工程によるものを提供する。本明細書において、用語「被験体」は、ヒトを含む哺乳動物などの任意の動物を指す。
【0064】
別の側面において、本発明は、以下に列挙する筋萎縮、代謝、およびアクチビンA関連障害の治療のための薬学的組成物の調製における、ActRIIBタンパク質の使用を提供する。別の側面において、本発明は、以下に列挙する筋萎縮、代謝、およびアクチビンA関連障害の治療のための薬学的組成物の調製における、ActRIIB核酸およびベクターの使用を提供する。
【0065】
本発明の組成物は、以下の実施例に示すように、動物モデルにおける、体重の割合としての除脂肪筋量を増加させ、そして体重の割合としての脂肪量を減少させることが示され
た。
【0066】
ActRIIB5組成物によって治療可能な障害には、限定されるわけではないが、筋萎縮の多様な型とともに、糖尿病および関連障害などの代謝障害、ならびに骨粗鬆症などの骨変性疾患が含まれる。筋萎縮障害には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、進行性筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、デジェリン・ランドゥジー型筋ジストロフィー、エルブ筋ジストロフィー、および小児神経軸索筋ジストロフィーなどのジストロフィーが含まれる。さらなる筋萎縮障害は、筋萎縮性側索硬化症、うっ血性閉塞性肺疾患、癌、AIDS、腎不全、臓器萎縮、アンドロゲン枯渇、および関節リウマチなどの慢性疾患から生じる。
【0067】
ミオスタチンの過剰発現は、悪液質、重度の筋および脂肪萎縮症候群に寄与しうる。1例において、ミオスタチン免疫応答性タンパク質の血清および筋内濃度は、AIDS関連筋萎縮を示すヒトで増加していることが見出され、そして脂肪不含量に逆に関連した(Gonzalez−Cadavidら, PNAS USA 95:14938−14943 (1998))。ミオスタチンレベルはまた、火傷傷害に反応して増加し、異化筋肉効果を生じることもまた示されている(Langら, FASEB J 15, 1807−1809 (2001))。筋萎縮を生じるさらなる状態は、車椅子中の拘束などの身体障害による不動、脳卒中、疾病、脊椎傷害、骨折または外傷による長期間の絶対安静、および微小重力環境(宇宙飛行)での筋萎縮症から生じうる。例えば、血漿ミオスタチン免疫応答性タンパク質は、長期間の絶対安静後に増加することが見出された(Zachwiejaら, J Gravit Physiol. 6(2):11 (1999))。スペースシャトル飛行中、微小重力環境に曝露されたラットの筋肉は、曝露されていないラットの筋肉と比較して、増加した量のミオスタチンを発現することもまた見出された(Lalaniら, J. Endocrin 167(3):417−28 (2000))。
【0068】
さらに、筋に対する脂肪の比の年齢に関連する増加、および年齢に関連する筋萎縮症は、ミオスタチンに関連するようである。例えば、平均血清ミオスタチン免疫応答性タンパク質は、若年(19〜35歳)、中年(36〜75歳)、および老年(76〜92歳)の男性および女性群において、年齢とともに増加し、一方、平均筋量および脂肪不含量は、これらの群において、年齢とともに下降した(Yarasheskiら, J Nutr
Aging 6(5):343−8 (2002))。さらに、現在、ミオスタチンは、心筋において低レベルで発現され、そして梗塞後に心筋細胞で発現が上方制御されることが見出されている(Sharmaら, J Cell Physiol. 180(1):1−9 (1999))。したがって、心筋においてミオスタチンレベルが減少すると、梗塞後、心筋の回復が改善される可能性もある。
【0069】
ミオスタチンはまた、2型糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、高血糖、および肥満を含む代謝障害にも影響を及ぼすようである。例えば、ミオスタチンが欠如すると、2つのマウスモデルの肥満および糖尿病表現型が改善されることが示されている(Yenら、上記)。以下の実施例において、AAV−ActRIIB5ベクターを投与すると、動物、特に肥満動物モデルにおいて、脂肪に対する筋の比が増加することが示されている。したがって、本発明の組成物を投与することによって、脂肪組成を減少させると、動物において、糖尿病、肥満、および高血糖状態が改善されるであろう。さらに、以下の実施例および図4Bは、ActRIIB5を含有する組成物が、肥満個体における食料摂取を減少させうることを立証する。
【0070】
さらに、ミオスタチンレベルを減少させることによって、筋量を増加させると、骨強度が改善され、そして骨粗鬆症および他の変性骨疾患を減少させることも可能である。例え
ば、ミオスタチン欠損マウスが、マウス上腕骨のミネラル含量および密度の増加、ならびに筋が付着する領域の、骨梁部および皮質骨両方のミネラル含量の増加、ならびに筋量の増加を示すことが見出された(Hamrickら、 Calcif Tissue Int 71(1):63−8 (2002))。さらに、本発明のActIIBR組成物を用いて、前立腺癌治療に用いられるアンドロゲン枯渇療法などのアンドロゲン枯渇の影響を治療してもよい。
【0071】
本発明はまた、動物にActRIIB5タンパク質の有効投薬量を投与することによって、食用動物における筋量を増加させるための方法および組成物も提供する。成熟C末端ミオスタチン・ポリペプチドは、試験したすべての種で同一であるため、ActRIIB5タンパク質は、ウシ、ニワトリ、七面鳥、およびブタを含む、農業的に重要な種のいずれにおいても、筋量を増加させ、そして脂肪を減少させるのに有効であると期待されるであろう。
【0072】
本発明のActRIIB5タンパク質および組成物はまた、アクチビンAの活性をアンタゴナイズする。アクチビンAは、特定の種類の癌、特に性腺腫瘍、例えば卵巣癌で発現され、そして重度の悪液質を引き起こすことが知られる(Cipranoら Endocrinol 141 (7):2319−27 (2000), Shouら, Endocrinol 138 (ll):5000−5 (1997); Coerverら, Mol Endocrinol 10(5):534−43 (1996); Itoら British J Cancer 82(8):1415−20 (2000), Lambert−Messerlianら, Gynecologic Oncology 74 91):93−7 (1999))。以下の実施例4は、動物モデルにおけるアクチビンAの発現が、重度の悪液質を生じることを示す。実施例5および6に示すように、動物におけるActRIIB5/Fcの発現は、悪液質に対抗する。ミオスタチンの過剰発現もまた、上述のように、悪液質に寄与すると考えられる。したがって、該組成物を用いて、アクチビンA過剰発現、ならびにミオスタチン過剰発現に関連する状態、例えば特定の癌および特定の性腺型腫瘍の治療に由来する悪液質を治療することも可能である。
【0073】
本発明の組成物を、単独で、または他の療法剤と組み合わせて用いて、療法効果を増進させるか、または潜在的な副作用を減少させることも可能である。これらの特性には、活性増加、可溶性増加、分解減少、半減期増加、毒性減少、および免疫原性減少が含まれる。したがって、本発明の結合剤は、広範な治療措置に有用である。さらに、本発明の化合物の親水性および疎水性の特性はよくバランスがとれており、それによってin vitroおよび特にin vivoでの使用両方に対して有用性が増進する。具体的には、本発明の化合物は、体における吸収および生物学的利用能を可能にする、水性媒体中の適切な度合いの可溶性を有する一方、化合物が、特定の筋肉塊などの推定上の作用部位へと細胞膜を横断するのを可能にする、脂質中のある度合いの可溶性もまた有する。
【0074】
さらに、本発明のActRIIB5タンパク質およびポリペプチドは、いくつかのアッセイにおいて、ミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11を検出し、そして定量化するのに有用である。一般的に、本発明のActRIIB5ポリペプチドは、例えばAsai監修, Methods in Cell Biology中, 37, Antibodies in Cell Biology, Academic Press,
Inc., ニューヨーク (1993)に記載されるのと類似の多様なアッセイにおいて、ミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合し、そしてこれを固定する捕捉剤として有用である。ある方式でポリペプチドを標識するか、またはミオスタチンを検出しそして定量化するのを可能にするように標識された抗体などの第三の分子と反応させることも可能である。例えば、ポリペプチドまたは第三の分子をビオチンなどの検出
可能部分で修飾することも可能であり、これが次いで、酵素標識ストレプトアビジン、または他のタンパク質などの第四の分子に結合されることも可能である(Akerstrom, J Immunol 135:2589 (1985); Chaubert, Mod Pathol 10:585 (1997))。
【0075】
本発明を記載してきたが、以下の実施例は、例示のために提供し、そして限定のためではない。
実施例1:cDNAの単離および細胞における発現
以下のプロトコルにしたがって、ヒト精巣起源のcDNAライブラリー(Clontech, Inc.)から新規ヒト・アクチビンIIB型受容体のcDNAを単離した。ヒト・アクチビンIIB受容体(配列番号4)のN末端およびC末端用のプライマーを生成し、そしてヒトcDNAライブラリー由来のテンプレートに対してこれらのプライマーを用いて、PCRを行った。GC−RICH PCR系(Roche、カタログ番号2140306)を用いてPCTを行った。N末端およびC末端PCR産物をPvuII/EcoRIで消化し、そしてpcDNA3.1−HisAベクター(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)内にサブクローニングして、全長クローンを作製した。いくつかのPCR産物を配列決定した後、ヒト精巣cDNAライブラリー由来のcDNAクローンを新規N末端スプライス変異体受容体と同定した。この受容体のポリヌクレオチド配列を、ヒト・アクチビンIIB5型受容体(ActRIIB5)と称した。この受容体のcDNAクローンは、野生型ヒト・アクチビンIIB型受容体遺伝子中の全エクソン−4に対応する152ヌクレオチド塩基を欠いた。スプライス変異体中のエクソン−4の一部切除は、膜貫通領域に渡るアミノ酸配列の欠失、ならびに早期翻訳終結につながるフレームシフトを生じた。スプライス変異体受容体のアミノ酸配列は、野生型ヒト・アクチビンIIB型受容体のエクソン1、2および3にコードされる細胞外ドメインの大部分、ならびにフレームシフトから生じる36アミノ酸のさらなるテール領域を含有する。アミノ酸配列を配列番号2に示す。C末端配列を配列番号3に示す。膜貫通領域が欠けているため、ActRIIB5は、アクチビンIIB型受容体の可溶性型をコードする。細胞中のActRBII5 cDNAのトランスフェクションは、膜結合型でなく、分泌型の受容体タンパク質の発現につながった。
【0076】
実施例2:ActRIIB5の発現
ActRIIB5をコードするcDNAを、哺乳動物pDC323またはpDC324ベクター(Bianchiら, Biotech and Bioengineering, Vol 84(4):439−444 (2003))内にクローニングし、そして293T細胞株で発現させた。Fc融合体を生成するため、ActRIIB5をコードするポリヌクレオチド(配列番号1)を、pDSRaベクター(本明細書に援用されるWO/9014363に記載される)内の、ヒトIgG1 Fcをコードするポリヌクレオチドに隣接する(Gly)リンカー配列をコードするポリヌクレオチドに隣接してクローニングした。ActRIIB−ECDをコードするポリヌクレオチド(配列番号5のアミノ酸1〜124)を、pDSRaベクター内の、ヒトIgG1 Fcをコードするポリヌクレオチドに隣接してクローニングした(リンカーなし)。これらの構築物を、安定したCHO細胞株内にトランスフェクションした。発現された可溶性受容体−Fc融合体を、以下に記載する比較in vitro試験に用いた。
【0077】
以下の実施例4に記載するin vivo動物実験のため、上述のように生成したPCR産物を、NheI/SalIで消化し、そしてAAV−Fcベクター内の同じ部位にサブクローニングした。AAV−Fcベクターは、in vivoでの発現のため、動物内にActRIIB5遺伝子を導入することを可能にする。
【0078】
実施例3:in vitro活性
HuActRIIB5/FcおよびHuActRIIB−ECD/Fcを上述のように生成した。以下に記載するように、細胞に基づく活性アッセイを用いて、ActRIIB5受容体が、アクチビンIIB受容体への3つのリガンド、ミオスタチン、アクチビンA、およびGDF−11の各々の結合を阻害する能力を試験した。
【0079】
C2C12細胞に基づくミオスタチン活性アッセイ
C2C12筋芽細胞(ATCC番号:CRL−1772)をpMARE−luc構築物でトランスフェクションすることによって、ミオスタチン/アクチビン/GDF−11応答性受容体細胞株を生成した。ミオスタチン/アクチビン応答要素(Dennlerら,
EMBO 17:3091−3100 (1998))に相当するCAGA配列の12の反復を、TATAボックスの上流で、pLuc−MCSレポーターベクター(Stratageneカタログ番号219087)内にクローニングすることによって、pMARE−luc構築物を作製した。筋芽細胞C2C12細胞は、天然に、その細胞表面上に、ミオスタチン/アクチビン/GDF−11受容体、アクチビン受容体IIBを発現する。ミオスタチン/アクチビンA/GDF−11が細胞受容体に結合すると、Smad経路が活性化され、そしてリン酸化されたSmadが応答要素に結合し(Macias−Silvaら, Cell 87:1215 (1996))、ルシフェラーゼ遺伝子の発現を生じる。次いで、製造者のプロトコルにしたがって、商業的ルシフェラーゼレポーターアッセイキット(カタログ番号E4550、Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用い、ルシフェラーゼ活性を測定する。pMARE−lucでトランスフェクションされている安定C2C12細胞株(C2C12/pMAREクローン#44)を用い、以下の方法にしたがって、活性を測定した。レポーター細胞(C2C12/pMAREクローン#44)を96ウェル培養に蒔いた。4nMミオスタチン、20nMアクチビン、および4nM GDF−11で固定した濃度で、各種類の可溶性受容体の希釈を用いて、スクリーニングを行った。ミオスタチン、アクチビンおよびGDF−11を、各々、いくつかの濃度の可溶性受容体とプレインキュベーションした。処理した培養物において、ルシフェラーゼ活性を測定することによって、ミオスタチン/アクチビン/GDF−11活性を測定した。以下の表1に示すように、各可溶性受容体に関して、IC50値を決定した。
【0080】
【表1】

【0081】
上記表は、可溶性受容体が、その受容体を通じてミオスタチンシグナル伝達を遮断可能
であるが、また、アクチビンAおよびGDF−11シグナル伝達も遮断可能であることを示す。
【0082】
BIAcore(登録商標)アッセイ
製造者の使用説明書にしたがって、BIAcore(登録商標)アッセイ系を用いて、2つの可溶性受容体ActRIIB−ECD/FcおよびActRIIB5/Fcの各々の存在下および非存在下で、CM5チップ(Biacore, Inc.、ニュージャージー州ピスカタウェイ)上で、固定ヒトActRIIB−ECD/Fc(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を用いて、遮断アッセイを行った。
【0083】
溶液中の受容体の非存在下で、100%ミオスタチン結合シグナルを決定した。多様な濃度の可溶性受容体を試料緩衝液中で希釈し、そして受容体表面上に注入する前に、4nMミオスタチンとインキュベーションした。遊離ミオスタチン分子のみがチップに結合可能であるため、受容体濃度の増加に伴う結合反応の減少は、溶液中のミオスタチンへの受容体の結合を示した。可溶性受容体濃度に対して結合シグナルをプロットすると、ActRIIB−ECD/FcおよびActRIIB5/Fcは、それぞれ、およそ18nMおよび7nMのEC50を有すると計算された。2つの受容体間の比較を図1に示す。
【0084】
実施例4:C57Bl/6マウスにおけるアクチビンA過剰発現
出生後動物におけるアクチビンの出生後の役割を研究するため、AAV仲介遺伝子導入を用いて、マウスにおいてアクチビンAを過剰発現させた。年齢がマッチした若い成体(5週齢)雌C57Bl/6マウス(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)を2つの体重均衡群(n=6/群)に分けて、続いて、門脈を介して、これらに、1X1013pfu/マウスのAAV−アクチビンAまたはAAV−空ベクター(対照)のいずれかを注射した。体重および体組成に対する効果を分析した。AAV−アクチビンA形質導入群は、AAV−空ベクターで形質導入された対照マウスに比較して、体重の劇的な減少を示した。AAV注射後、2週間以内に、アクチビンA形質導入群は、非常に悪液質性となり、平均体重は空ベクター形質導入対照群のものの約1/2しかなかった。剖検によって、AAV−アクチビンA投与が、除脂肪体重、骨格筋量および脂肪量のおよそ60%の劇的な枯渇を生じたことが明らかになった。さらに、アクチビン形質導入マウスはまた、肝臓および心臓などの有意に減少した臓器重量によって示されるように、臓器の重度の萎縮も示した。
【0085】
減少した量のAAV−アクチビンAウイルス(1X1012pfu/マウス)を用いたさらなる実験を行った。結果は、アクチビン形質導入から生じる体重および除脂肪体重の減少を示したが、効果は、より高い用量(1X1013pfu/マウス)のAAV−アクチビンAを用いた最初の実験に比較した際、より劇的ではなかった。これは、アクチビンAの出生後悪液質効果が、用量依存性であることを立証する。
【0086】
実施例5:C57Bl/6マウスにおけるAAV−ActRIIB5の同化作用
年齢がマッチした(5週齢)C57Bl/6雄マウスを、5つの群(群あたりn=10)に分けた。以下のようなAAVウイルス粒子をパッケージングし、そして注射前に用量設定した:AAV−空、AAV−アクチビンA、AAV−ActRIIB5/Fc、AAV−ActRIIB−ECD/Fc、およびAAV−ProMyo/Fc、ここで、AAV−ProMyoはミオスタチンのプロペプチドを表す。1x1012pfu/マウスの減少した量のウイルス粒子を注射した、AAV−アクチビンAを例外として、上記AAVウイルスの各々に、8x1012pfu/マウスを注射した(n=10/群)。門脈を介して、ウイルス粒子を注射した。1日おきに体重を測定した。結果を図2に示す。AAV−ActRIIB5/Fc群およびAAV−ActRIIB−ECD/Fc群は、AAV−ベクター対照群に比較して増加した体重、ならびにAAV−ProMyo/Fc群に比
較して増加した体重を発展させた。2つの可溶性受容体群を比較すると、AAV−ActRIIB5/Fc群は、最大量の体重獲得増加を示した。対照的に、AAV−ベクター対照群は、AAV−ベクター対照群に比較して、体重の劇的な減少を示した。
【0087】
ウイルス注射の7週間後、個々の群の体重変化を、対照群(AAV−空ベクター群)のものの割合としてプロットした。AAV−ActRIIB5/Fc群は、ActRIIB−ECD/Fc群の、対照を超える21%の体重増加と比較して、およそ25%の最高の平均体重増加を示す。AAV−ActRIIB5/Fc群およびAAV−ActRIIB−ECD/Fc群は、およそ16%のProMyo/Fc群によって誘発されるものより高い体重増加を示した。対照的に、AAV−アクチビン群は、19%の体重の有意な低下を有した。これらの変化の比較を図3に示す。
【0088】
ウイルス注射1ヵ月後、10匹のマウスの各群において、生存マウスの体組成を測定することによって、核磁気共鳴(NMR)を用いて、除脂肪体重を測定した。同時に、各群のマウスの体脂肪含量を測定した。EchoMRI 2003(Echo Medical Systems、テキサス州ヒューストン)を用いて、生存マウスに対して測定を行った。EchoMRI 2004は、体全体の組成分析装置であり、NMR技術を用いて生存動物における脂肪および除脂肪組織の量を測定する。10匹のマウス各群に関して、体重の割合としての除脂肪量および脂肪の平均パーセントを、以下の表2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
上記表2からわかるように、マウスのAAV−ActRIIB5/Fc群は、1ヵ月後、すべての群で、最少の割合の体脂肪、および最大の割合の除脂肪量を示した。このデータは、ActRIIB5/Fcが、試験動物において、体重、除脂肪体重を増進し、そして脂肪量を減少させる際に有効であることを示す。
【0091】
関連する実験において、Columbia Instruments計器、モデル1027dsm(オハイオ州コロンバス)を用いて、握力に関して、群あたり10匹のマウスの5群を試験した。各群に関して、結果を平均した。AAV−空対照マウスと比較したAAV−プロミオスタチン/Fc群の平均握力は、マウスのプロミオスタチン/Fc群では約21%、ActRIIB−ECD/Fc群では約31%、そしてActRIIB5/Fc群では約33%であった。測定した握力の増加は、プロミオスタチン/Fc群では約46%、ActRIIB−ECD/Fc群では約56%、そしてActRIIB5/Fc群では約60%であった。
【0092】
実施例VI:Ay肥満マウスにおける体重および組成の変化
各11匹の動物(実験終了時、群あたり8匹の動物)のAy肥満マウス(Jackson Laboratories、メイン州バーハーバー)の2群に、それぞれ、AAV−空ベクターおよびAAV−ActRIIB5/Fcベクターを注射した。各マウスの門脈内に8x1012pfu/マウスのウイルスを注射した。次いで、注射後3ヶ月の期間に渡って、体重、食料摂取、除脂肪筋量および脂肪量の変化に関して、マウスを監視した。マウスケージ中の食べずに残った食料を毎日重量測定し、そして週摂取量を計算することによって、食料摂取を決定した。上述のように、NMRによって、除脂肪筋量および脂肪量を決定した。実験結果を図4および5に示す。図4Aは、体重減少を示し、そして図4Bは、対照マウスに比較した、AAV−ActRIIB5/Fcマウスにおける週食料摂取の減少を示す。図5Aは、AAV−ActRIIB5/Fcに関するNMRによって決定されるような除脂肪量の増加を示し、一方、図5Bは、対照マウスに比較した、およそ50%のAAV−ActRIIB5/Fcに関する脂肪量の大きな減少を示す。
【0093】
実験終了時、マウスを屠殺し、そして内部変化に関して調べた。AAV−ActRIIB5/Fc処置マウスの肝臓を、AAV−空対照で処置したものと比較した。AAV−空処置マウスおよびAAV−ActRIIB5/Fc処置マウスの肝臓の視覚的検査によって、対照AAV−空マウスの肝臓が、肝臓内に脂肪沈着を含有し、一方、AAV−ActRIIB5/Fc処置マウスが、脂肪沈着を含まないことが示された。したがって、AyマウスにおけるActRIIB5/Fcの発現は、Ay肥満マウスを特徴付ける脂肪肝を正すとともに、全体の体重の減少、消費食料量の減少、除脂肪筋量の増加、および脂肪量の大きな減少を引き起こした。
【0094】
本発明は、本明細書に記載する特定の態様によって範囲を限定されず、こうした態様は、本発明の個々の側面の単一の例示として意図され、そして機能的に同等な方法および構成要素が、本発明の範囲内である。実際、本明細書に示し、そして記載するものに加えて、本発明の多様な修飾が、前述の説明および付随する図から、当業者には明らかであろう。こうした修飾は、付随する請求項の範囲内に属すると意図される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、ActRIIB−ECD/Fcに比較した、ActRIIB5/Fcに関するEC50のBiacore(登録商標)アッセイ測定の結果を示す。
【図2】図2は、AAV−アクチビンA、AAV−プロミオスタチン/Fc、AAV−ActRIIB5/Fc、AAV−ActRIIB−ECD/FcおよびAAV−空ベクター対照を注射したC57Bl/6マウスにおける、長期に渡る体重増加を示す。
【図3】図3は、AAV−アクチビンA、AAV−ActRIIB5/Fc、AAV−ActRIIB−ECD/Fc、およびAAV−プロミオスタチン/Fcベクターを注射したC57Bl/6マウスにおける、ウイルス感染7週後の時点での、対照に比較した体重変化パーセントを示す。
【図4】図4Aは、約3ヶ月の期間に渡る、AAV−空ベクターを注射したAy肥満マウスの対照群と比較した、AAV−AcRIIB5/Fcを注射したAy肥満マウスの、長期に渡る体重減少を示す。図4Bは、同じ期間に渡る、対照群と比較した、AAV−ActRIIB5マウスの同じ群に関する、週食料摂取の減少を示す。
【図5】図5Aは、約3ヶ月の期間に渡る、AAV−空ベクターを注射したAy肥満マウスの対照群と比較した、AAV−ActRIIB5/Fcを注射したAy肥満マウスの、長期に渡る除脂肪体重変化を示す。図5Bは、同じ期間に渡る、AAV−空マウスの対照群と比較した、AAV−ActRIIB5/Fcマウスに関する、脂肪量の大きな減少を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1に示すポリヌクレオチド配列またはその相補体を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および
(c)約42℃での約50%ホルムアミド、6X SSC中の中程度のストリンジェンシーの条件、および約60℃、0.5X SSC、0.1%SDSの洗浄条件下で、(a)または(b)のいずれかにハイブリダイズし、そしてコードされるポリペプチドが配列番号3に示すアミノ酸配列を有するC末端を含み、そして該ポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、ポリヌクレオチド配列
(d)約42℃での約50%ホルムアミド、6X SSC中の中程度のストリンジェンシーの条件、および約60℃、0.5X SSC、0.1%SDSの洗浄条件下で、(a)または(b)のいずれかにハイブリダイズし、そしてコードされるポリペプチドが配列番号3に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するC末端を含み、そして該ポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、ポリヌクレオチド配列
からなる群より選択されるポリヌクレオチドを含む、単離核酸分子。
【請求項2】
配列番号2に示すアミノ酸配列に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離核酸分子であって、該ポリヌクレオチドが配列番号3に示すアミノ酸配列を有するC末端を含む、前記単離核酸分子。
【請求項3】
ポリヌクレオチドが配列番号3に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有するC末端を含む、請求項2の単離核酸配列。
【請求項4】
核酸分子が、アクチビンIIB5型受容体をコードするポリヌクレオチドとインフレームである少なくとも1つの異種タンパク質をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1の単離核酸分子。
【請求項5】
異種タンパク質がFcポリペプチドである、請求項4の単離核酸分子。
【請求項6】
Fcがリンカーペプチドによって付着している、請求項5の単離核酸分子。
【請求項7】
配列番号1に示す配列からなるポリヌクレオチドを含む、単離核酸分子。
【請求項8】
ポリヌクレオチドが、転写または翻訳制御配列に機能可能であるように連結されている、請求項1〜7のいずれか1項の核酸分子。
【請求項9】
転写または翻訳配列が転写プロモーターまたはエンハンサーを含む、請求項8の核酸分子。
【請求項10】
請求項1の核酸分子の発現を指示する、組換えベクター。
【請求項11】
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号2に少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、ミオスタチン、アクチビンAまたはGDF−11に結合可能である、前記ポリペプチド
(c)ポリペプチドのC末端が配列番号3に示すアミノ酸配列を含み;そしてポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、(b)のポリ
ペプチド;および
(d)ポリペプチドのC末端が配列番号3に少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;そしてポリペプチドがミオスタチン、アクチビンA、またはGDF−11に結合可能である、(b)のポリペプチド
からなる群より選択される、アクチビンIIB5型受容体ポリペプチドを含む、単離タンパク質。
【請求項12】
配列番号2に示すアミノ酸配列からなるアクチビンIIB5型受容体ポリペプチドを含む、単離タンパク質。
【請求項13】
配列番号2中のアミノ酸残基64がアラニンである、請求項12のタンパク質。
【請求項14】
配列番号1に示すポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドを含む、単離タンパク質。
【請求項15】
ポリペプチドが少なくとも1つの異種ポリペプチドに融合している、請求項11のタンパク質。
【請求項16】
異種タンパク質がFcポリペプチドである、請求項15のタンパク質。
【請求項17】
Fcポリペプチドが、リンカー配列を介して付着している、請求項16のタンパク質。
【請求項18】
請求項1の核酸分子を発現するように遺伝子操作されている、宿主細胞。
【請求項19】
宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項18の宿主細胞。
【請求項20】
請求項11のタンパク質を産生するように遺伝子操作されている、宿主細胞。
【請求項21】
宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項20の宿主細胞。
【請求項22】
アクチビンIIB5受容体ポリペプチドを産生する方法であって、ポリペプチドの発現を促進する条件下で、請求項21の宿主細胞を培養し、そして該ポリペプチドを回収する工程を含む、前記方法。
【請求項23】
薬学的に許容されうるキャリアーと混合された、請求項11のアクチビンIIB5型受容体タンパク質を含む、薬学的組成物。
【請求項24】
ミオスタチン活性を阻害する必要がある被験体において、ミオスタチン活性を阻害する方法であって、該被験体に、請求項23の組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項25】
除脂肪(lean)筋量を増加させる必要がある被験体において、除脂肪筋量を増加させる方法であって、該被験体に、請求項23の組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項26】
脂肪に対する除脂肪筋量の比を増加させる必要がある被験体において、脂肪に対する除脂肪筋量の比を増加させる方法であって、該被験体に、請求項23の組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項27】
疾患などに罹患した被験体において、筋萎縮(muscle−wasting)疾患を
治療する方法であって、該被験体に、請求項23の組成物の療法的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項28】
疾患が癌悪液質である、請求項27の方法。
【請求項29】
疾患が、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、うっ血性閉塞性肺疾患、慢性心不全、癌悪液質、AIDS、腎不全、尿毒症、関節リウマチ、年齢に関連するサルコペニア、臓器萎縮、手根管症候群、アンドロゲン枯渇、ならびに長期間の絶対安静、脊椎傷害、脳卒中、骨折、および加齢による筋萎縮から選択される、請求項27の方法。
【請求項30】
代謝障害を治療する必要がある被験体において、代謝障害を治療する方法であって、該被験体に、請求項23の組成物の療法的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項31】
代謝障害が、糖尿病、肥満、高血糖、および骨減少から選択される、請求項30の方法。
【請求項32】
被験体においてアクチビンが過剰発現されている疾患を治療する方法であって、該被験体に、請求項23の組成物の療法的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
疾患が癌である、請求項30の方法。
【請求項34】
被験体が食用動物である、請求項25の方法。
【請求項35】
請求項10のベクターを被験体に投与することを含む、筋萎縮障害の治療法であって、ベクターが被験体におけるActRIIB5ポリペプチドの発現を指示可能な、前記方法。
【請求項36】
ベクターがAAVベクターである、請求項35の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−27391(P2013−27391A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171705(P2012−171705)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2008−539077(P2008−539077)の分割
【原出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】