説明

新規アデノウイルスを用いた癌治療方法及び組成物

本発明は、哺乳類の癌細胞を効果的に殺すことのできる新規のウイルスを含む。上記ウイルスは二つの非毒性のプロドラッグを有効な化学療法剤に転換する新規タンパク質を産生する。この化学療法剤は局所的に産生され、ウイルスが癌細胞を殺すことを助け、また癌細胞の放射線に対する感受性を高める。前臨床試験において、上記ウイルスは単独で用いても、またはプロドラッグ療法及び/又は放射線療法との併用においても、多様な哺乳類の癌細胞を殺す上で効果的であることが明らかとなった。本発明は、ヒト癌に対する安全で効果的な治療を提供するであろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は2003年7月9日に出願された米国仮出願番号60/486,219に基づく優先権を主張し、またそれを全て参照により取り込む。
【0002】
本発明は、概ね癌治療に関し、より詳しくはアデノウイルスに基づいた癌治療に関する。
【背景技術】
【0003】
癌についての診断及び治療方法において、発展が遂げられてきたにも関わらず、癌関連の年間死亡者数は過去60年間減少していない。既存の癌治療法(手術、放射線療法、化学療法)は初期段階の癌患者に対しては高い治療率を見せるが、多くの場合は癌が再発し、また既に進行した癌患者の場合は結局死亡することになる。既存の癌治療の限界は腫瘍を除去する能力の不足に起因するものではなく、むしろ患者に過度のダメージを与えずにその効果を発揮できないことに起因する。そのため、外科的切除の範囲、放射線量および照射量、化学療法剤の用量および組み合わせが制約を受けることになる。腫瘍組織と正常組織との間の反応差(つまり治療指数)の顕著な増加がなければ、治療効果を改善することに臨床的価値は無い。
【0004】
それにも関わらず、癌を治療するための向上した方法と新規な製剤により、様々なタイプの癌患者の生存期間と生存率が増加した。例えば、手術方法と放射線治療方法の発達により、より効果的に局所腫瘍を除去することができるようになった。しかし手術の場合、例えば腫瘍の位置や転移性腫瘍細胞の播種のために制限されえる。放射線治療もまた、照射できる線量を制限する他の条件により制限されえる。放射線に比較的耐性を有する腫瘍の場合、そのような線量では治癒されないであろう。
【0005】
放射線療法、化学療法、手術法、免疫療法などの場合、単独治療でも患者の状態を改善することはできるが、それぞれの方法を組み合わせて使用すると、より良い治療効果を達成しうる。特に、腫瘍を含む局所領域に指向しうる放射線療法と、全身作用性の治療を提供する化学療法または免疫療法との組み合わせは、癌が他の組織に拡散しているか、拡散が起こりそうな場合に有用である。不幸にも、腫瘍細胞が放射線耐性を有する場合は、放射線療法の有用性は、放射領域内の正常組織の耐性に制限されるため、限定されえる。従って、患者の腫瘍の重篤度をより効果的に緩和させるため、放射線療法の効果に癌腫瘍を感作させる必要がある。さらに、正常細胞への放射線治療の影響を抑えるため、照射位置をより特異的に分離する治療法の開発は有用であろう。
【0006】
同様に、ある化学療法の不必要な効果を軽減するため、非毒性物質(すなわちプロドラッグ(prodrug))を毒性を有する治療的に有効な形態に転換する、いわゆる「化学遺伝子(chemogenes)」を組み込んだアデノウイルスベクターを用いて腫瘍細胞を形質導入させる方法が用いられてきた。遺伝子治療法を伴う様々な新しい試みが、癌治療の治療指数を増加させるために考慮されている。
【0007】
これらの方法の内の一つである所謂“自殺遺伝子療法(suicide gene therapy)”は、非毒性のプロドラッグを毒性の抗代謝物に転換する酵素をコードする非哺乳動物の遺伝子の移行および発現を伴う。臨床試験で現在評価されている二つの“自殺遺伝子”は、大腸菌(E. coli)由来のシトシンデアミナーゼ(CD)と単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV-1 TK)遺伝子であって、これらはそれぞれ5−フルオロシトシン(5-FC)とガンシクロビル(GCV)に対する感受性を与える。このような遺伝子の腫瘍への標的化された移行に引き続き、プロドラッグ5-FC及びGCVは有効な化学療法剤に局所的に転換され、顕著に腫瘍細胞死を起こす(下記引用文献のリスト中の文献1(および文献1で引用している文献をも)を参照)。従って、既存の化学療法に付随する用量に制限を加える全身性毒性が緩和される。
【0008】
従来、バクテリアCDと野生型HSV-1 TK遺伝子を結合させて新規なCD/HSV-1 TK融合遺伝子が作成されている(引用文献のリスト中の文献1(以下「文献」という)を参照)。CD/HSV-1 TK融合遺伝子は、CD/5-FCとHSV-1 TK/GCVとの自殺遺伝子治療を組み合わせて使用することを可能にする。CD/5-FC自殺遺伝子療法及びHSV-1 TK/GCV自殺遺伝子療法は、悪性細胞の特異的薬剤に対する感受性を高め、又重要なことに、腫瘍細胞の放射線に対する感受性を高めることが、以前に提示されてきた(文献1−9を参照)。原型(prototype)CD/HSV-1 TK融合遺伝子(文献10)を含む、新規で、腫瘍崩壊性のある複製コンピテントアデノウイルス(Ad5-CD/TKrep)を使用し、複製コンピテントアデノウイルス介在の二重自殺遺伝子療法の安全性および効果について、放射線治療を行わない場合と、行った場合とで、いくつかの前臨床癌モデル(文献10−13)において、より最近ではヒト前立腺癌患者(文献14および15)において、立証されている。
【0009】
ヒト前立腺癌を標的にしたこれら臨床試験において、最高3週まで、5-FCとGCV(vGCV)のプロドラッグ療法を併用する際に、通常用量(70Gy)の三次元原体照射治療法(3DCRT)を行わない場合(文献14)および行った場合(文献15)、Ad5-CD/TKrepウイルスは1012ウイルス粒子(Vp)の用量までの安全性を示した。さらに、このような治療方式は臨床活性の徴候を示した(文献14および15)。
【0010】
このような進展にも関わらず、癌治療に使用する効果的な方法及び組成物の発明に対する重要な必要性が依然として顕著に存在する。本発明はこのような欠点及び他の欠点を鑑みてなされた。
【非特許文献1】ログルスキー・ケー・アール、キム・ジェイ・エイチ、キム・エス・エイチ、フレイタグ・エス・オー(Rogulski, K.R., Kim, J.H., Kim, S.H., and Freytag, S.O.)”大腸菌CD/HSV-1 TK融合遺伝子でトランスフェクトされたグリオーマ細胞は向上した代謝的自殺および放射線感受性を示す(Glioma cells transduced with an E. coli CD/HSV-1 TK fusion gene exhibit enhanced metabolic suicide and radiosensitivity.)”ヒューマンジーンセラピー(Hum. Gene Ther.), 8: 73-85, 1997.
【非特許文献2】キム・ジェイ・エイチ、キム・エス・エイチ、ブラウン・エス・エイチ、フレイタグ・エス・オー(Kim, J.H., Kim, S.H., Brown, S.L., and Freytag, S.O.) ”抗菌剤によるHSV-tk遺伝子でトランスフェクトされたヒトグリオーマ細胞の放射線による殺細胞の選択的向上(Selective enhancement by an antiviral agent of the radiation-induced cell killing of human glioma cells transduced with HSV-tk gene.)” キャンサーリサーチ (Cancer Res.) , 54: 6003-6056, 1994.
【非特許文献3】キム・ジェイ・エイチ、キム・エス・エイチ、コロツヴァリー・エイ、ブラウン・エス・エル、キム・オー・ビー、フレイタグ・エス・オー(Kim, J.H., Kim, S.H., Kolozsvary, A., Brown, S.L., Kim, O.B., and Freytag, S.O.)”抗菌剤による、インビボおよびインビトロにおけるヘルペス単純ウイルスチミジンキナーゼでトランスフェクトした9Lグリオサルコーマ細胞の放射線反応の選択的向上(Selective enhancement of radiation response of herpes simplex virus thymidine kinase transduced 9L gliosarcoma cells in vitro and in vivo by antiviral agents.)” インターナショナルジャーナルオブラディエーション、オンコロジー、バイオロジー、フィジオロジー(Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys.) , 33: 861-868,1995.
【非特許文献4】キル・エム、キム・ジェイ・エイチ、ミュレン・シー・エイ、キム・エス・エイチ、フレイタグ・エス・オー(Khil, M., Kim, J.H., Mullen, C.A., Kim, S.H., and Freytag, S.O.)”シトシンデアミナーゼ遺伝子とトランスフェクトしたヒト結腸直腸癌細胞の5-フルオロシトシンによる放射線感受性 (Radiosensitization' by 5-fluorocytosine of human colorectal carcinoma cells in culture transduced with cytosine deaminase gene.)” クリニカルキャンサーリサーチ (Clin. Cancer Res.), 2: 53-57, 1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、哺乳類の癌細胞を効果的に殺すことのできる新規なウイルスを含む、新規の改良された癌治療用の方法及び組成物を含む。上記ウイルスは非毒性プロドラッグを有効な化学療法剤に転換する新規のタンパク質を産生する。この化学療法剤は局所的に産生され、ウイルスが癌細胞を殺すことを助け、また癌細胞の放射線に対する感受性を高める。前臨床研究において、上記ウイルスは単独で用いても、またはプロドラッグ療法及び/又は放射線療法との併用においても、多様なヒト癌細胞を殺す上で効果的であることが明らかとなった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来から開示されている原型Ad5-CD/TKrepウイルスに比べて少なくとも二つの顕著な改良点を有する新規な“第2世代”アデノウイルス(“Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP”と表す )を含む。 Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その産生物がプロドラッグ5-FC及びGCVをこれらの活性化学療法剤に転換するのにより効果的な、改良したyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。さらに、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはAd5 ADPタンパク質を発現し、これは複製コンピテントアデノウイルスの腫瘍崩壊性を顕著に増加させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、前臨床癌モデルにおいて、原型Ad5-CDITKrepウイルスに比べて優れたウイルス腫瘍崩壊性及び化学療法活性を示した。このデータは、本発明を含め、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスが、5-FCおよびGCVのプロドラッグ療法ならびに放射線療法とを併用した場合に、臨床的に低い毒性及び顕著な抗腫瘍活性を示すであろうことを示唆している。
【0013】
本発明の他の態様は、以下の図面及び詳細な説明を参照すれば、当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
一般的に、本発明は癌治療のための方法及び組成物を含む。より詳しくは、本発明は、プロドラッグと共に投与すると癌細胞を殺すことができ、また残存する癌細胞の放射線に対する感受性を高めることのできる治療を提供する。
【0015】
本発明の実施の形態には、非毒性プロドラッグを化学治療剤に転換することのできるタンパク質を産生する新規なウイルスが含まれる。上記プロドラッグは局部的に産生されるか、或いは治療に伴って投与することができる。上記ウイルスは、これに限定されないが好ましくはAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPなどの、腫瘍崩壊性の複製コンピテントアデノウイルスである。このような治療を必要とする患者に投与されたとき、上記アデノウイルスは少なくとも二つのプロドラッグを化学治療剤に転換する。かかるプロドラッグには、これに限定されないが、5−フルオロシトシン(5-FC)とガンシクロビル(GCV及びその誘導体)が含まれる。
【0016】
プロドラッグを化学治療剤に転換する能力に加え、本発明の実施の形態は細胞の放射線に対する感受性を高める。細胞の感受性を高めることにより、 放射線の利点を制限することなく、より低い線量の放射線を使用することができる。また、癌細胞は放射線に対して感受性が高くなるが、正常細胞の感受性が高くはならず、これにより癌治療の副作用を限定するため、放射線治療がより有効になる。本発明の治療は、手術、化学療法、ホルモン治療及び免疫治療などの他の治療と共に使用することができる。
【0017】
好ましい実施の形態では、本発明は酵母シトシンデアミナーゼ(yCD)/変異SR39単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(mutTKSR39)融合遺伝子及びアデノウイルス5型(Ad5)アデノウイルスデスプロテイン(ADP)遺伝子を含有する、新規で、腫瘍崩壊性の複製コンピテントアデノウイルス(Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP)を含む。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはヒト癌細胞内で複製され、癌細胞を効果的に殺す。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは二つのプロドラッグ、即ち5−フルオロシトシン(5-FC)及びガンシクロビル(GCV及びその誘導体)を有効な化学療法剤に転換することのできる新規なyCD/mutTKSR39 融合タンパク質を産生する(「二重自殺遺伝子治療」という。)。yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39自殺遺伝子治療はどちらも有効な化学療法活性を現し、腫瘍細胞の電離放射線に対する感受性を高める。
【0018】
例示目的のみであるが、前臨床研究は Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスは、単独で使用した場合、或いは二重自殺遺伝子治療及び/又は放射線療法と組み合わせて使用した場合に、多様なヒト癌細胞を殺すのに有効であることを示す。臨床設定の際、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスは、ウイルス介在の腫瘍崩壊性効果のために単一療法として使用することができるであろうし、ウイルス腫瘍崩壊性/化学療法の組み合わせ効果のためにyCD/5-FCおよびHSV-1 Ad5-TKSR39/GCV自殺遺伝子治療とを組み合わせることができるであろうし、もしくはウイルス腫瘍崩壊性/化学療法/放射線感受性効果(radiosensitization effect)(「3併用療法(trimodal therapy)」という。)のためにyCD/5-FC自殺遺伝子治療とHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療及び放射線療法とを組み合わせることができる。3併用療法はヒトの癌に対処する場合に、手術、化学療法、ホルモン治療及び免疫療法などの他の従来の癌治療と併用することができる。
【0019】
癌治療としてこの遺伝子治療を基礎とした方法をさらに発達させるため、原型Ad5-CD/TKrepウイルスに比べて二つの顕著な改良点を有する新規な第2世代アデノウイルス(Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP)が開発された。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その産生物がプロドラッグ5-FC及びGCVをこれらの活性化学療法剤に転換する上でより効果的な、改良したyCD/mutTKSR39融合遺伝子を含む。さらに、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはAd5 ADPタンパク質を発現し、これは複製コンピテンスアデノウイルスの腫瘍崩壊性活性を顕著に増加させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、前臨床癌モデルにおいて、原型Ad5-CDITKrepウイルスに比べて優れたウイルス腫瘍崩壊性及び化学療法活性を示した。
【0020】
ウイルス感染による本発明の核酸の取り込みは、他に列挙した方法に比べていくつかの長所を提供する。ウイルスの感染性のため、より高い効率が得られる。さらに、ウイルスは非常に特殊化しており、通常特定の細胞タイプに感染及び増殖する。従って、これらウイルスの本来の特異性を利用して、ベクターを、in vivo 又は組織内ならびに細胞の混合培養中の特異的細胞タイプに標的化することができる。ウイルスベクターはまた、特異的受容体又はリガンドとともに修飾され、受容体介在性事象を通して標的特異性を変えることも可能である。
【0021】
また、安全性の確保及び/又は治療効率の増大のために、付加的な特性をベクターに加えることができる。この特性は、例えば組換えウイルスに感染した細胞のネガティブ選択に使用可能なマーカーを含む。このようなネガティブ選択マーカーの例としては、抗生物質ガンシクロビルへの感受性を与える、上述したTK遺伝子が挙げられる。従って、ネガティブ選択は、抗生物質の添加により誘導可能な自殺を提供するため、その感染を制御できる方法である。このような防御は、例えば、ウイルスベクターまたは複製配列の変形を起こす変異体が生じた場合、細胞形質転換が起こらないことを保証する。
【0022】
発現を特異的な細胞タイプに制限する特性もまた、いくつかの実施形態に含めることができる。この特性は、例えば所望の細胞タイプに対して特異的なプロモーター及び調節エレメントを含む。
【0023】
また、組換えウイルスベクターは水平感染(lateral infection)及び標的特異性などの長所を提供するため、本発明の核酸のin vivo発現に有用である。水平感染は、例えばレトロウイルスのライフサイクルに固有のもので、単回感染した細胞が多くの子孫ビリオン(virion)を産生し出芽(bud off)し、隣接する細胞に感染する過程である。その結果、初めは元々のウイルス粒子により感染されなかった広範な領域が急速に感染することになる。これは感染因子が娘子孫を通してのみ広がる垂直感染とは対照的である。ウイルスベクターは水平に広がれないところでも産生され得る。この特性は局在化した標的細胞数にのみ特異的遺伝子を導入することが目的の場合に有用である。
【0024】
上記したように、ウイルスは、多くの場合宿主防御メカニズムを避けるために進化した非常に特殊化された感染因子である。一般にウイルスは、特異的な細胞タイプに感染してその細胞で増殖する。ウイルスベクターの標的特異性は、所定の特異標的細胞タイプへの本来の特異性を利用しており、それにより、感染した細胞中に複製遺伝子を取り込む。本発明の方法に使用されるベクターは、標的とする希望の細胞タイプに依存するものであり、これは当業界で知られているものであろう。例えば、乳癌を治療するばあいには、その様な上皮細胞に対して特異的なベクターが用いられるであろう。同様に、造血システムの疾病又は病態を治療する場合には、血液細胞及びこれらの前駆体に対して特異的なウイルスベクター、好ましくは造血細胞の特異的タイプに対して特異的なウイルスベクターが用いられるであろう。
【0025】
組換えベクターは幾通りかの方法で投与することができる。例えば、その方法はウイルスベクターの標的特異性を利用することができ、よって疾患部に局所的に投与する必要がない。しかし、局所投与はより迅速で効果的な治療を提供することができる。また投与は、例えば、対象者に対する静脈内注射又は皮下注射で行われる。注入後、これらウイルスベクターは感染に適した標的特異性を有する宿主細胞を認識するまで循環する。
【0026】
他の投与形態としては、疾病又は病態部位に局所的に直接接種したり、或いはその部位に栄養分を供給する脈管系に接種する方式がある。局所投与は希釈効果を受けず、このため、標的細胞の大部分での発現のために必要な容量が少なくてすむという利点がある。また、局所接種では接種された領域の全ての細胞に感染するベクターが使用可能なため、他の投与形態で要求される標的化要件を緩和させることができる。接種された領域内の特異的な一部の細胞にのみ発現が望まれる場合は、所望の一部の細胞に対して特異的なプロモーター及び調節エレメントを用いてこの目的を達成することができる。非標的ベクターとしては、例えばウイルスベクター、ウイルスゲノム、プラスミド、ファージミドなどが挙げられる。リポソームなどのトランスフェクション伝達体も、上記非ウイルスベクターの、接種領域内の受容細胞内への導入に使用可能である。このようなトランスフェクション伝達体は当業者に知られている。
【0027】
本発明の化合物は、適正医療基準に従い、各患者の臨床的状態、投与部位及び投与方法、投与スケジュール、患者の年齢、性別、体重及び医者に知られているその他の要因を考慮して、投与及び投薬される。本発明の目的上、薬学的に“有効な量”は、当該技術分野で知られている上記のような考慮を基に決定される。その量は、これに限定するものではないが、生存率の向上、より迅速な回復、症状の改善または除去、および当業者に適切な尺度として選択される他の指標を含む、改善を達成するために有効なものでなければならない。
【0028】
本発明の方法において、本発明の化合物は様々な方式で投与可能である。化合物での投与が可能であり、単独で或いは製薬上許容できるキャリア、希釈剤、アジュバント、及びビヒクルと混合された有効成分として投与可能である。上記化合物は経口、皮下又は非経口で投与することが可能で、それには静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内及び鼻腔内投与だけでなく、髄腔内及びインフュージョン技術も含まれる。上記化合物のインプラントもまた有用である。治療を受ける患者は温血動物、特にヒトを含む哺乳類である。製薬上許容できるキャリア、希釈剤、アジュバント及びビヒクル、ならびにインプラントキャリアは、一般に本発明の成分と反応しない不活性、非毒性の固体フィラー、液体フィラー、希釈剤又はカプセル化材料を指す。
【0029】
一般的に本明細書に例示されているマウスや他の実験動物よりも、ヒトは長く治療される事実に注意しなければならず、その治療期間は疾病の過程の長さ及び薬剤の有効性につりあう。投与は単回投与または数日間にわたる多回投与でもよい。治療期間は一般的に、疾病の過程の長さ、薬剤の有効性及び治療しようとする対象種につりあう。
【0030】
本発明の化合物を非経口的に投与する場合、一般的に単位投与剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)で調合される。注入に適切な製剤形態は、滅菌水溶液や分散液及び滅菌注入可能な溶液や分散物に再構成するための滅菌粉末を含む。キャリアは、溶媒または、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)これらの適切な混合物、及び植物油を含有する分散媒体であってよい。
【0031】
例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散物の場合に要求される粒子サイズの維持、または界面活性剤の使用により適当な流動性の維持が可能である。綿実油、ごま油、オリーブ油、大豆油、コーン油、ひまわり油又はピーナッツ油などの非水性ビヒクル、及びイソプロピルミリステートなどのエステルが化合物組成物用の溶媒システムとして使用可能である。また、組成物の安定性、無菌性および等張性を高める様々な添加剤も添加可能であり、それには抗菌保存剤、抗酸化剤、キレート剤及びバッファーも含まれる。微生物の作用の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など様々な抗菌剤及び抗真菌剤により確保することができる。多くの場合、例えば糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが好ましいであろう。注入可能な製剤形態の吸収の延長は、例えばモノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収遅延剤の使用によりもたらされうる。しかし、本発明によれば、使用されるいずれのビヒクル、希釈剤又は添加剤も、上記化合物と相溶性でなければならない。
【0032】
注入可能な滅菌溶液は、必要に応じて様々な他の成分を有する必要量の適切な溶媒に、本発明の実施に使用される化合物を取り入れて調製することができる。
【0033】
本発明の製剤剤形は、様々なビヒクル、アジュバント、添加剤及び希釈剤などの相溶性のある任意のキャリアを含有する注入可能な形態で患者に投与することができ、あるいは本発明に使用される化合物は、徐放性皮下インプラント又はモノクローナル抗体、ベクター送達、イオン泳動、重合体マトリックス、リポソーム、ミクロスフェアなどの標的化送達システムの形態で患者に非経口的に投与することができる。他の多くのこのようなインプラント、送達システム及びモジュールは当業界でよく知られている。
【0034】
一実施形態において、本発明の化合物は、血中レベルを適切な水準にするためにはじめに静脈注射により投与することができる。その後、患者の血中濃度は経口投与形態で維持されるが、患者の状態によって、上記したような他の投与形態が使用可能である。投与される量は治療対象の患者により変わるであろう。
【0035】
定義
別途言及されるあるいは文脈によって示唆されない限り、下記の用語及び句は次のような意味を有する。
【0036】
本明細書で使用される語“遺伝子治療”とは、遺伝学的又は後天的な疾病や条件表現型を治療又は予防する、関心ある遺伝物質(例えばDNA又はRNA)の宿主内への伝達を指す。関心ある遺伝物質は、そのin vivo での産生が所望される産生物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ぺプチド、機能性RNA、アンチセンス)をコードしている。例えば、関心ある遺伝物質は治療価値のあるホルモン、受容体、酵素、ポリペプチド又はペプチドをコード化することができる。関心ある遺伝物質はまた、自殺遺伝子をコード化することができる。概観のためには、一般的に“Gene Therapy”(Advances in Pharmacology 40, Academic Press, 1997)を参照されたい。
【0037】
“in vivo遺伝子治療”とは、トランスファーされる遺伝物質が受容者内の受容組織の標的細胞内にin situで導入される場合を指す。治療後、遺伝的に改変された標的細胞はトランスフェクトされた遺伝物質をin situで発現する。このような治療は、宿主遺伝子に欠陥がある場合に、その遺伝子をin situで修復することも含む。
【0038】
“遺伝子発現伝達体”とは、宿主細胞内に異種核酸を送達/トランスファーすることのできる任意の伝達体を指す。発現伝達体は、当業界で知られている細胞選択的方法で核酸の標的化、発現及び転写を制御するエレメントを含んでいてよい。遺伝子の5'UTR及び/又は3'UTRが発現伝達体の5'UTR及び/又は3'UTRによって置換されてもよい場合がよくあることに注意するべきである。従って、本明細書で使用されるとおり、発現伝達体には、必要に応じて、トランスファーされる実際の遺伝子の5'UTR及び/又は3'UTRを含めず、かつ特異的なアミノ酸コード領域のみを含めてもよい。発現伝達体は異種物質の転写を制御するプロモータを含むことができ、選択的な転写をさせるために、構成的プロモーターまたは誘導可能なプロモータのいずれでもあり得る。必要な転写レベルを得るために要求されるエンハンサーを場合により含めることができる。エンハンサーは一般に、コード配列(in cis)に隣接して作用して、プロモータにより指令される基礎転写水準を変化させる任意の非翻訳DNA配列である。発現伝達体は、選択遺伝子を含むこともできる。
【実施例1】
【0039】
実施例1:Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPアデノウイルスの説明
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPアデノウイルス、yCD/mutTKSR39融合遺伝子、及びADP遺伝子(配列番号1〜5)の全DNA、部分DNA及び翻訳されたタンパク質の配列を以下の参照目録に開示した。下記実施例はこの配列を考慮した上で示される。
【0040】
実施例のAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルス(配列番号1)は、E1領域に改良したyCD/mutTKSR39融合遺伝子、E3領域にAd5 ADP遺伝子を含む、複製コンピテント5型アデノウイルス(その配列は当業者に容易に知られており入手可能)である。 Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの概略図を図1に示す(図1において“CMV”=ヒトサイトメガロウイルスプロモータ;“SV40”=シミアンウイルス40ポリアデニル化配列;及び“mu”=マップ単位)。図1に示すとおり、CMV-yCD/mutTKSR39-SV40発現カセットは、欠失した55kDa E1B遺伝子に代えて、E1領域に位置する。CMV-ADP-SV40発現カセットは、欠失したE3遺伝子に代えてE3領域に位置する。
【0041】
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、55kDa E1B遺伝子(配列番号2を参照)に1,255塩基対(bp)の欠失(塩基2,271−3,524)を含む。当業者に知られている方法を使用して、二つの未成熟翻訳停止コドンを55kDa E1B遺伝子に組み込み、短縮した非機能性の78アミノ酸E1Bタンパク質を得た。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP は、野生型Ad5 E1A及び19kDa E1Bタンパク質を発現する。yCD/mutTKSR39融合遺伝子(配列番号4)を、欠失した55kDa E1B遺伝子に代えて挿入した。yCD/mutTKSR39融合遺伝子の発現は、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータにより誘導され、かつシミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化エレメントを使用する。yCD/mutTKSR39融合遺伝子は59kDa yCD/mutTKSR39融合タンパク質をコードし、これは酵素的に5−フルオロシトシン(5-FC)をフルオロウラシル(5-FU)に転換し、ガンシクロビル(GCV)及びその誘導体をこれらの相応する一リン酸塩に転換することができる(例えばGCV-MP)。5-FU及びGCV-MPの下流の代謝産物はDNA複製の有効な阻害剤であり、分裂細胞の死を引き起こす。この下流の代謝産物は、有効な放射線増感剤でもあり、放射線治療の治療効果を顕著に増加させることができる(文献1−14を参照)。yCD/mutTKSR39融合タンパク質を発現する細胞ならびに、バイスタンダー効果により、近傍の細胞がyCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療により殺され、かつ電離放射線の殺効果に感作される。
【0042】
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、宿主免疫反応を抑えるが、ウイルス複製に不必要な遺伝子に作用するE3領域に2.68kb欠失(塩基28,133〜30,181)をも含む(配列番号3)。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、天然Ad5 E3遺伝子に代えてAd5 ADP発現カセットを有する。ADP遺伝子(配列番号5)の発現はヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータにより誘導され、かつシミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化エレメントを使用する。真正の111.6kDa Ad5 ADPタンパク質が産生され、これは複製コンピテントアデノウイルスの腫瘍崩壊性活性を顕著に増加させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、他の全ての既知のAd5 E3遺伝子(gp19、10.4kDa、14.5kDa及び14.7kDa遺伝子)を欠失している。
【実施例2】
【0043】
実施例2:Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPアデノウイルスの構築
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP構築物に使用するアデノウイルス配列を含むプラスミドは、Microbix(Toronto、Canada)から入手した。pCMV-yCD/mutTKSR39発現プラスミド(左末端ベクター)を作成するために、線状化pET23d:HSVTKSR39を鋳型としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、変異SR39 HSV-1 TK遺伝子(下記文献16)を作成した。mutTKSR39 PCR産物を作成するため、以下のプライマー対を使用した:
5'-GATCGGATCCCTCGAGATC2CTAGCATGGCTTCGTACCCCGGC-3
5'-GATCGAATTCTTCCGTGTTTCAGTTAGCCTC-3
得られた1,128bp断片をBamHI(GGATCC) + EcoRI(GAATTC)で切断し、原型CD/HSV-1 TK融合遺伝子を除去した後、pCA14-CDglyTK-E1aE1b(文献10)のBamHI + EcoRI部位の間にクローニングし、pCA14- CMV -mutTKSR39-E1aE1bを作成した。yCD遺伝子(文献17)を、線状化pBAD-ByCDを鋳型としてPCRによって作成した。yCD PCR産物の作成に、以下のプライマー対を使用した:
5'-GATCCTCGAGCCACCATGGTGACAGGGGGAATG-3'
5'-GATCGCTAGCACCTCCCCCACCGCCTCtCCCTCCACCCTCACCAATATCTTC-3'
得られた526bp断片をXhoI(CTCGAG) + NheI(GCTAGC)で切断し、pCA14-CMV-mutTKSR39-E1aE1bのXhoI + NheI部位の間にクローニングしてpCA14-CMV-yCD/mutTKSR39-E1aE1bを作成した。。
【0044】
pBHG10-Paclmod-CMV-ADP(右末端ベクター)を作成するために、ADP遺伝子をPCRにより作成し、pBHG10-PacImodのPacIとSwaI部位の間にクローニングした。pBHG10-PacImodはpBHG10(Microbix; Toronto, Canada)の誘導体であり、指向性クローニングを容易にするためにE3領域にPacI及びSwaI部位を含む。
【0045】
pBHG10は、E1領域の塩基188〜1,339、及びE3領域の塩基28,133〜30,818を引いた、全アデノウイルス5型ゲノムを含むプラスミドである。野生型Ad5 DNAを鋳型として使用し、ADP遺伝子を含有する333bp PCR産物を作成した。ADP PCR産物の作成に以下のプライマー対を使用した:
5'-GATCGGATCCCCTGCTCCAGAGATGACCGGC-3'
5'-GATCAAGCTTGGAATCATGTCTCAMAATC-3'
得られた333bp PCR産物をBamHI(GGATCC) + HindIII(AAGCTT)で切断し、BamHI-HindIII切断されたpCA14(Microbix; Toronto, Canada)内にクローニングしてpCA14-ADPを作成した。全CMV-ADP-SV40ポリA発現カセットを、以下のプライマー対を用いてPCRにより生成した:
5'-GATCATTTAAATAATTCCCTGGCATTATGCCCAGTA-3'
5'-GATCTTAATTAATCGATGCTAGACGATCCAGACATG-3'
SwaI制限部位(ATTTAAAT)を 5'プライマー中のCMVプロモータの上流に導入し、PacI制限部位(TTAATTAA)を SV40ポリA領域の下流に3’プライマーを用いて導入した。PCR産物をSwaI及びPacIで切断し、SwaI-PacIで切断したpBGH10-PacImod内にクローニングしてpBGH10-PacImod-CMV-ADPを作成した。
【0046】
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスを作成するために、pCA14-CMV-yCD/mutTKSR39-E1aE1b(10μg)をPvuI切断により線状化し、CaPO4-DNA沈殿法を用いてHEK293細胞(Microbix)にClaI-線形化したpBHG10-PacImod-CMV-ADP(30μg)と共に同時導入した。分離したプラークを7〜14日後に収集し、HEK 293細胞で2回目のプラーク精製をした。2回精製されたウイルス形態プラークを使用し、HEK293細胞を感染させて未精製ウイルス上清及びCsCl勾配精製したアデノウイルスを作成した。
【実施例3】
【0047】
実施例3:in vitro Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含まれるADP遺伝子の有利さ
ヒトDU145前立腺腺癌細胞を24ウェルプレートに5×104細胞/ウェルの濃度で蒔き、段階量のAd5-CD/TKrep(レーン1)及びAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルス(レーン2)で感染させた。5日後、細胞を固定し、クリスタルバイオレットで染色した。その結果(図2に示す通り、“Vp”=ウイルス粒子)、Ad5 ADP遺伝子を含有しADPタンパク質を発現する、複製コンピテントアデノウイルス(つまり、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP)は、ADPを欠くアデノウイルスより著しく優れた腫瘍崩壊性活性を有することを明らかに示した。即ち、Ad5 ADP遺伝子の存在は、複製コンピテントアデノウイルスの腫瘍崩壊性活性を著しく増加させた。この結果は、in vitroでAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含まれるADP遺伝子の有利さを示している。
【実施例4】
【0048】
実施例4: Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含まれるyCD/mutTKSR39遺伝子のin vitroでの有利さ
A.CDアッセイ
LNCaP C4-2細胞を偽感染(モック感染(mock-infected))、(レーン1及び5)、又は10 MOIでAd5-CD/TKrep(レーン2及び6)、 Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP(レーン3及び7)、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-hNIS(レーン4及び8)で感染させた。72時間後、 [14C]-シトシン(レーン1〜4)及び[3H]-5-FC(レーン4〜8)を基質として用いて、細胞をCD活性について調べた。結果は、図3A[(シトシン(左下側の矢印)、ウラシル(左上側の矢印)、 5-FC(右上側の矢印)、 5-FU(右下側の矢印)]に示した。図3Aに示した通り、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPなどの改良したyCD/mutTKSR39rep遺伝子を発現する組換えアデノウイルスは、原型Ad5-CD/TKrepウイルスに含まれるCD/HSV-1 TK融合遺伝子を発現するウイルスに比べて、より多くの5-FCの5-FUへの転換を示すが、シトシンのウラシルへの転換は示さない。
【0049】
B.細胞変性効果アッセイ
細胞(106細胞、60mmディッシュ)を偽感染、或いは3 MOIでAd5-CD/TKrep又はAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPで感染させた。翌日、細胞を様々な濃度(μg/ml)の5-FC(ウェル3〜7及び15〜19、左から右へ、上から下へ)又はGCV(ウェル8〜12及び20〜24、左から右へ、上から下へ)を含む培地に再び蒔いた(24ウェルプレート)。9日後、細胞をクリスタルバイオレットで染色した。その結果(図3Bに示す通り)、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPなどの改良したyCD/mutTKrep遺伝子を発現する組換えアデノウイルスが、5-FCプロドラッグ療法と組み合わせた場合に、原型Ad5-yCD/TKrepウイルスに含まれるCD/HSV-1 TK融合遺伝子を発現するウイルスよりもより多くの細胞死を達成することを示した。図3A及び図3Bの結果を総合して、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含まれるyCD/mutTKSR39遺伝子のin vivo での有利さを示す。
【0050】
本実施例の結果は、yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療がAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルス自身の治療効果の増大に使用できることも示している。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その産生物が原型Ad5-CD/TKrepウイルスにより産生されるCD/HSV-1 TK融合タンパク質に比べて改良した触媒活性を有する、新規のyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。改良したyCD/mutTKSR39融合タンパク質を発現する組換えアデノウイルスは、原型CD/HSV-1-TK融合タンパク質を発現するウイルスに比べて、5-FCから5-FUへのより多くの転換を示し、またおそらくはGCVからGCV-MPへの転換もより多いであろうことを示した。従って、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスの腫瘍破壊効果を増大させるために、yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子は単独で使用することもでき、共に使用することもできる。
【実施例5】
【0051】
実施例5: Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含まれるADP遺伝子のin vivoでの有利さ
筋肉内(脚)C33A腫瘍(150〜200mm3)に1010vpのAd5-CD/TKrep又はAd5-CD/TKrep-ADPを第0日、第2日及び第4日に注入した(図4の矢じり)。5-FC(500mg/kg/day)及びGCV(30mg/kg/day)を第5〜11日に投与した(図4の斜線で表した棒)。腫瘍体積を隔日でモニタリングした。所定の終結時点は500mm3であった。生存は第90日に腫瘍を有していないか(治癒)、又は腫瘍<500mm3を有する動物と定義する。結果は(図4及び下記表1に示す通り)、in vivoにおけるより優れた腫瘍細胞破壊を示し、従ってAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含まれるADP遺伝子の有利さを示している。つまり、Ad5 ADP遺伝子の存在がin vitroでだけでなく、in vivoでも複製コンピテントアデノウイルスの腫瘍崩壊性活性を増加させた。
【0052】
【表1】

【実施例6】
【0053】
実施例6:マウスモデルにおけるAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPのin vivoでの効果
前立腺内にLNCaP C4-2腫瘍(サイズ〜25〜50mm3)を有する雄SCIDマウスに、約109vpのAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを第0日に注入した(図5の矢じり)。5-FC(500mg/kg/day)及びGCV(30mg/kg/day)を第3〜9日に投与した(図5の斜線で表した棒)。血清PSAを毎週測定した。所定の終結時点はPSA=500ng/mlであった。その結果(図5及び表2に示した通り)、本発明のAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを用いたマウスモデルにおいて、メジアン生存時間及び/又は腫瘍治癒率の増加を示した。
【0054】
【表2】

【実施例7】
【0055】
実施例7:yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCVを用いた放射線感受性ヒト癌細胞
本発明者による以前の実験が示す通り(文献1〜14を参照)、yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療はまた、ヒト癌細胞を放射線に感作するために使用することもできる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その産生物が原型Ad5-CD/TKrepウイルスによって産生されるCD/HSV-1 TK融合タンパク質に比べて、改良した触媒活性を有する、新規のyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。以前の研究で、CD/5-FC及びHSV-1 TK/GCV自殺遺伝子治療がヒトの腫瘍細胞を電離放射線に感作することができることを示した。従って、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPが、改良したyCD/mutTKSR39融合タンパク質を発現するため、in vivoでより優れた腫瘍細胞の放射線感作を導くことができるであろう。
【0056】
本明細書の全般で各種参考文献は参考文献番号で表記されている。これらの参考文献の番号目録をその全文献名とともに下記に示す。これらの参考文献の全体説明は、本発明と関連する技術分野の状態をより完全に説明するために本明細書に参照により取り込まれる。
本発明を、前述の好ましい又は選択的な実施の形態および実施例を参照して、具体的に示し、述べたが、ここに記載した発明の実施の形態の様々な代案が、以下の特許請求の範囲に規定する発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者が本発明を実施するうえでなしうることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、発明の範囲、これらの特許請求の範囲内の方法および組成物、ならびにそれによりカバーされるその均等物を定義することを意図するものである。本発明の説明には、本明細書に記述された要素の新規で且つ自明でない組み合わせの全てが含まれると理解されるべきであり、特許請求の範囲はこのような要素の新規で且つ自明でない組み合わせについて、本出願或いは後続出願として提出されることができるであろう。上述した実施の形態は例示的なものであり、単独の特徴又は要素のいずれも、本出願又は後続出願で請求されえるすべての可能な組み合わせに必須のものではない。。請求項に均等物の「一つ」又は「第一」の要素を記載している場合、この請求項はこの要素を二つ又はそれ以上に必要とするものでも排除するものでもなく、この要素を一つ又はそれ以上組み込むものとして理解されるべきである。
【0057】
参考文献目録
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41. Strauss et al., "Germ line transmission of a yeast artificial chromosome spanning the murine a (1) collagen locus", Science, Vol. 259, pp. 1904-1907 (1993).
42. Gilboa, E, Eglitis, MA, Kantoff, PW, Anderson, WF: Transfer and expression of cloned genes using retroviral vectors. BioTechniques 4(6):504-512, 1986.
43. Cregg JM, Vedvick TS, Raschke WC: Recent Advances in the Expression of Foreign Genes in Pichia pastoris, Bio/Technology 11:905-910, 1993.
44. Culver, 1998. Site-Directed recombination for repair of mutations in the human ADA gene. (Abstract) Antisense DNA & RNA based therapeutics, February, 1998, Coronado, CA.
45. Huston et al, 1991 "Protein engineering of single-chain Fv analogs and fusion proteins" in Methods in Enzymology (JJ Langone, ed.; Academic Press, New York, NY) 203:46-88.
46. Johnson and Bird, 1991 construction of single-chain Fvb derivatives of monoclonal antibodies and their production in Escherichia coli in Methods in Enzymology (JJ Langone, ed.; Academic Press, New York, NY) 203:88-99.
47. Mernaugh and Mernaugh, 1995 "An overview of phage-displayed recombinant antibodies" in Molecular Methods In Plant Pathology (RP Singh and US Singh, eds.; CRC Press Inc., Boca Raton, FL) pp. 359-365.
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明を下記の図面を参照して例示することにより説明する。
【図1】図1は本発明のウイルスAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの概要図である。
【図2】図2は本発明のADP遺伝子の有利さを表す図面である。
【図3】図3A及び図3Bは本発明の改良したyCD/mutTKSR39遺伝子の有利さを表す図面である。
【図4】図4は本発明のADP遺伝子の有利さを表す図面である。
【図5】図5は前立腺内LNCaP C4-2マウスモデルにおいてAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを用いたカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)プロットを表す。
【0059】

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【0090】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母シトシンデアミナーゼ/変異SR39単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ融合遺伝子のヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸配列を含み、プロドラッグ5−フルオロシトシン及びガンシクロビルを活性化学療法剤に転換する単離ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む組換えアデノウイルス。
【請求項4】
アデノウイルス5型アデノウイルスデスプロテイン遺伝子をさらに含む請求項3に記載の組換えアデノウイルス。
【請求項5】
アデノウイルスが、複製コンピテント5型アデノウイルスである請求項3に記載の組換えアデノウイルス。
【請求項6】
アデノウイルス5型アデノウイルスデスプロテイン遺伝子をさらに含む請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号4のヌクレオチド配列を含む請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記アデノウイルス5型アデノウイルスデスプロテイン遺伝子が配列番号5のヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号4のアミノ酸配列を含む請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号1のヌクレオチド配列を含む請求項4に記載の組換えアデノウイルス。
【請求項11】
請求項3に記載の組換えアデノウイルスと、製剤上許容できるキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項4に記載の組換えアデノウイルスと、製剤上許容できるキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項13】
悪性腫瘍を有する哺乳類患者を治療する方法であって、前記患者に請求項11に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項14】
悪性腫瘍を有する哺乳類患者を治療する方法であって、前記患者に請求項12に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項15】
前記医薬組成物が腫瘍部位に局所的に投与される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物を腫瘍への直接注入により投与される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物が静脈注入により投与される請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記投与が、2回以上に分けて行われる請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物が腫瘍部位に局部的に投与される請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記医薬組成物が腫瘍への直接注入により投与される請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬組成物が静脈注入により投与される請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記投与が、2回以上に分けて行われる請求項14に記載の方法。
【請求項23】
(a)5−フルオロシトシン及び/又は(b)ガンシクロビルまたはこれらの誘導体を前記患者に投与することを更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記患者を放射線療法で治療することを更に含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
固形腫瘍を有する哺乳類患者を治療する方法であって、前記腫瘍を含む細胞がアデノウイルスによる感染能を有し、前記方法が、
請求項4に記載の組換えアデノウイルスで前記患者を治療し、
(a)5−フルオロシトシン及び/又は(b)ガンシクロビルまたはこれらの誘導体を前記患者に投与し、及び
前記患者を放射線療法で治療すること
を含む方法。
【請求項26】
5−フルオロシトシン及び/又はガンシクロビルを活性化学療法剤に転換する方法であって、請求項2に記載のポリペプチドを5-フルオロシトシンおよび/またはガンシクロビルと接触させることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528715(P2007−528715A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518967(P2006−518967)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/022320
【国際公開番号】WO2005/007109
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(501092667)ヘンリー フォード ヘルス システム (8)
【Fターム(参考)】