説明

新規アミド誘導体

【課題】強いベータアミロイド40及びベータアミロイド42産生抑制作用を有し、アルツハイマー病に代表されるベータアミロイドに起因する精神神経疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規化合物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物又はその製薬学的に許容される塩[式中、XはCQ等を表し、XはCQ等を表し、XはCQ等を表し、Q、Q及びQは各々独立して水素原子等を表し、Yは置換されていてもよいC0−6アルキレンを表し、Zは単結合又は−(置換されていてもよい4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−を表し、Wは−(CH−等を表し、Aはアリール等を表し、RはC1−6アルキル等を表し、RはC1−6アルコキシ等を表し、Rは水素原子等を表し、nは0〜4の整数を表す] 。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベータアミロイド(Aβ)産生抑制作用を有する医薬として有用な新規なアミド誘導体に関する。より詳しくは、アルツハイマー病、ダウン症などのAβが関与する神経変性疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規なアミド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、神経細胞の変性、脱落とともに老人斑の形成と神経原繊維変化を特徴とする神経変性疾患であり、認知機能の低下や人格変化を引き起こす認知症の一種である。現在、アルツハイマー病の治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤などを用いた症状改善を目的とした薬剤による対症療法に限られており、アルツハイマー病の原因に対する治療及び/又は予防のための有効な方法はない。
【0003】
Aβは、凝集することで老人斑を形成し、神経細胞の変性・脱落を引き起こす。Aβはアミノ酸数によっていくつかの種類に分けられるが、その中でもアミノ酸が40個のAβ40及び42個のAβ42は凝集性が高く、他種と比較して早期に脳内に沈着し易く、細胞毒性が強いことが知られている。また、家族性アルツハイマー病においては、より凝集性の高いAβ42の産生が亢進していることが知られている。これらの理由から、アルツハイマー病の発現はAβの産生と深く関わっていると考えられている。よって、Aβ40及びAβ42の産生を抑制する薬剤はアルツハイマー病の治療剤及び/又は予防剤になり得ると考えられている。また、Aβはダウン症又は他のAβに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害、学習障害、軽度認知障害、脳血管アンギオパチー等)の原因の1つとして考えられている。
【0004】
アミロイド前駆タンパク質(APP)がまずベータセクレターゼにより切断され、引き続いてプレセニリンを構成因子とするガンマセクレターゼによって切断されることでAβが産生される。そのため、ベータ及びガンマセクレターゼを標的とした薬剤は、Aβ産生を抑制することとなり、アルツハイマー病の治療剤及び/又は予防剤となることが期待される。これまでに種々のAβ産生を抑制する化合物が知られているが、アミドを主要構造とする本願発明の化合物とは化学構造が異なる(例えば、特許文献1)。一方、下記で示されるアミドを主要構造とするSSTレセプターサブタイプ5拮抗薬が知られている。
【0005】
【化1】

【0006】
しかし、Aβ産生抑制剤である本願発明の化合物とは用途が全く異なり、構造も異なる(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第05/115990号
【特許文献2】国際公開第06/128803号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、強いAβ40及びAβ42産生抑制作用を有し、アルツハイマー病に代表されるAβに起因する精神神経疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(I)で表される新規化合物が強いAβ産生抑制作用を有することを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、下記式(I)で表されるアミド誘導体又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が提供される。
【0010】
[項1]下記式(I):
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
は、CQ又は窒素原子を表し、Xは、CQ又は窒素原子を表し、Xは、CQ又は窒素原子を表し、
、Q及びQは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、
Yは、ハロゲン、水酸基、C1−3アルコキシ及びアリールからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC0−6アルキレンを表し、
Zは、単結合又は−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−を表し、 ここにおいて、Zが−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−のとき、該含窒素飽和複素環は、置換可能な位置にC1−6アルキル、CF、ヒドロキシ−C0−6アルキル、C1−6アルコキシ−C0−6アルキル、アリール及びフッ素原子からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
Wは、−(CH−、−CO(CH−、−COO(CH−又は−CONR(CH−を表し、ここにおいて、各該−(CH)−は、同一又は異なって1〜2個のC1−6アルキル、CF、ヒドロキシ−C0−6アルキル、C1−6アルコキシ−C0−6アルキル、アリール若しくはフッ素原子で置換されていてもよく、又は2個の水素原子がC2−6アルキレンで置換されて1個の飽和炭素環を形成していてもよく、
Aは、アリール、飽和炭素環又はヘテロアリールを表し、ここにおいて、該アリール、該飽和炭素環又は該へテロアリールは、ハロゲン、CF、CFO、水酸基、シアノ、ニトロ、アリール−C0−4アルキル、ヘテロアリール−C0−4アルキル、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル−C0−4アルキル、4〜8員の飽和複素環−C0−4アルキル、C1−6アルコキシカルボニル、C0−4アルキル−アミノカルボニル、C1−4アルキレンジオキシ、アリールオキシ及びC1−6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよく、ここにおいて、Aがアリール又はヘテロアリールであってZが単結合であるとき、Yは、C1−6アルキレンであり、
は、ハロゲン、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はC1−6アルコキシ−C1−6アルコキシを表し、
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はC1−6アルキルを表し、
nは、0〜4の整数を表す。]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0013】
[項2]Wが、−(CH−、−CO(CH−又は−CONR(CH−である、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項3]Zが、−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−であり、Wと含窒素飽和複素環の窒素原子が結合する、
項1又は項2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項4]Zの4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基が、アゼチジン2価基、モルホリン2価基、C1−4アルキレンで架橋されていてもよいピロリジン2価基、C0−4アルキレンで架橋されていてもよいピペリジン2価基又はC2−4アルキレンで架橋されていてもよいホモピペリジン2価基である、
項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項5]Rが、フッ素原子、塩素原子、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ又はC1−3アルコキシ−C1−3アルコキシである、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項6]Rが、C1−3アルキルである、
項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項7]Rが、イミダゾール環の4位に位置するメチルである、
項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項8]Wが、単結合、−CO−又はCONH−である、
項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項9]Xが、CQ又は、窒素原子であり、Xが、CQであり、Xが、CQである、
項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項10]X、X及びXが、各々CHである、
項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項11]Aが、ハロゲン、CF、CFO、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、4〜8員の飽和複素環及びアリールオキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール又は飽和炭素環である、
項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項12]Yが、フッ素原子及びC1−3アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC0−4アルキレンである、
項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
[項13]Zが、単結合である、
項1、2、5〜7及び9〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0014】
[項14]以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物:
N-(4−tert−ブチルベンジル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例23)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[2−(3−フェノキシフェニル)エチル]ベンズアミド(実施例29)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{2−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ベンズアミド(実施例30)、
N−(3,5−ジクロロベンジル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例39)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ナフタレン−1−イルメチル)ベンズアミド(実施例49)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[1−(ナフタレン−1−イル)エチル]ベンズアミド(実施例50)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[2−(ナフタレン−2−イル)エチル]ベンズアミド(実施例52)、
6−メトキシ−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ナフタレン−1−イルメチル)ピリジン−2−カルボキシアミド(実施例56)、
N−[1−(3−クロロベンジル)ピペリジン−4−イル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例62)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[1−(フェニルカルボニル)ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例64)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[3−(3−メチルフェニル)プロパノイル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例67)、
N−{1−[(2−クロロフェニル)アセチル]ピペリジン−3−イル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例71)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(1−{3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル}ピペリジン−3−イル)ベンズアミド(実施例79)、
N−({1−[(3−フルオロフェニル)アセチル]ピペリジン−4−イル}メチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1Hイミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例81)、
N−(2−クロロベンジル)−3−({[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシアミド(実施例87)、
N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−3−({[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシアミド(実施例98)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例112)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N{(3R)−1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例113)、
6−メトキシ−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{(3S)−1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピペリジン−3−イル}ピリジン−2−カルボキシアミド(実施例117)、
3−メトキシ−N−[1−(2−メトキシベンジル)ピペリジン−3−イル]−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例118)、
N−[1−(3−フルオロベンジル)ピペリジン−3−イル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例119)、及び
N−(ビフェニル−3−イルメチル)−3−(2−メトキシエトキシ)−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例136)。
【0015】
[項15]以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物:
N-(ビフェニル−3−イルメチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例1)、
N-(ビフェニル−3−イルメチル)−6−メトキシ−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン−2−カルボキシアミド(実施例6)、
N−[2−(ビフェニル−4−イル)エチル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例53)、
N−{1−[(4−クロロフェニル)カルボニル]ピペリジン−3−イル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例70)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N{(3S)−1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例114)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例121)、
3−メトキシ−N−[1−(4−メチルベンジル)ピペリジン−3−イル]−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例122)、
N−[1−(3−クロロベンジル)ピペリジン−3−イル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例123)、
N−[1−(4−ブロモベンジル)ピペリジン−3−イル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例125)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(実施例132)、
N−[1−(4−クロロベンジル)ピペリジン−3−イル]−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(実施例133)、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル}メチル)ベンズアミド(実施例134)及び、
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−({1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}メチル)ベンズアミド(実施例135)。
【0016】
[項16]項1〜15のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
[項17]項1〜15のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とするベータアミロイドに起因する疾患の治療剤又は予防剤。
[項18]ベータアミロイドに起因する疾患が、アルツハイマー病、ダウン症、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害又は脳血管アンギオパチーである、項17に記載の治療剤又は予防剤。
【発明の効果】
【0017】
本発明化合物はアルツハイマー病、ダウン症又は他のAβに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス、脳血管アンギオパチー等)に対する治療剤及び/又は予防剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
【0019】
式(I)の化合物は、1個又は場合によりそれ以上の不斉炭素原子を有する場合があり、また幾何異性や軸性キラリティを生じることがあるので、数種の立体異性体として存在することがある。本発明においては、これらの立体異性体、それらの混合物及びラセミ体は本発明の式(I)で表される化合物に包含される。
【0020】
つぎに、本明細書における用語について以下に説明する。
【0021】
「アルキル」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、「C0−4アルキル」又は「C1−6アルキル」とは炭素原子数が0、すなわち単結合もしくは1〜3、又は、1〜6の置換基をそれぞれ意味する。その具体例として、「C0−4アルキル」の場合には、単結合、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられ、「C1−6アルキル」の場合には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル又はヘキシルが挙げられる。
「アルコキシ」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基が酸素原子を介して結合している基を意味し、例えば、「C1−3アルコキシ」又は「C1−6アルコキシ」とは炭素原子数が1〜3又は1〜6のアルコキシをそれぞれ意味する。その具体例として、「C1−3アルコキシ」の場合には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられ、「C1−6アルコキシ」の場合には、前記に加え、ブチルオキシ、ぺンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0022】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
「アリール」としては、具体的にはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が挙げられる。中でも好ましくは、フェニルが挙げられる。
「飽和炭素環」としては、3〜11員環の単環又は2環の飽和炭素環基が挙げられ、一部芳香環を形成している基も含まれる。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、ボルニル、ピナニル、ノルアダマンチル、アダマンチル、2−インダニル、2−インデニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル等が挙げられる。中でも好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、ボルニル又はアダマンチルが挙げられる。
「ヘテロアリール」としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1から4個の原子を含む、単環の5〜7員環の芳香族複素環基又は2環の8〜11員の芳香族複素環基が挙げられる。具体的にはピリジル、ピリダジニル、イソチアゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インダゾリル、クロメニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル等が挙げられる。好ましいヘテロアリールとしては、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、及びイソキノリルが挙げられる。
【0023】
「アルキレン」とは、直鎖の、環状の、又は、環状・分枝を含む直鎖の2価の飽和炭化水素基を意味する。例えば、「C1−4アルキレン」とは、炭素原子数が、1〜4のアルキレンを意味し、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、2−メチルエチレン、シクロプロピルメチレン、1,1−シクロプロピレン、1,3−シクロブチレン等が挙げられる。「C0−6アルキレン」とは、炭素原子数が0〜6のアルキレンを意味し、その具体例としては、前記に加えて、単結合、ペンチレン、ヘキシレン、2−メチルブチレン、1,3−シクロペンチレン等が挙げられる。また、メチレン(−(CH)−)が、1個のC2−6アルキレンで置換されて飽和炭素環を形成していてもよいとは、1個のC3−7飽和炭素環の1個の炭素原子で結合する2価基を意味する。
【0024】
「4〜8員の飽和複素環」とは、炭素原子以外に1〜2個の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む4〜8個の原子で構成される複素環を意味する。例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
「4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基」とは、炭素原子以外に少なくとも1〜2個の窒素原子を含む4〜9個の原子で構成される単環又は2環性の飽和環(ここにおいて、該飽和環は更に1個の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい)の2価基を意味する。単環の飽和複素環の具体例としては、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン(たとえば、a−12またはa−13)等が挙げられる。
【0025】
【化2】

【0026】
また、2環性の含窒素飽和複素環の2価基の具体例としては、前記の単環の飽和複素環の具体例の2価基に加えて、下記に記載の基が挙げられる。
【0027】
【化3】

【0028】
「C3−8シクロアルキル−C0−4アルキル」とは、C1−4アルキルの1個の水素原子がC3−8シクロアルキルで置き換わった基又はC3−8シクロアルキル(C0−4アルキルが、Cアルキル、すなわち単結合の場合)を意味する。置き換わる位置は末端に限らず任意の位置である。「C3−8シクロアルキル−C0−4アルキル」と同様に、「4〜8員の飽和複素環−C0−4アルキル」、「C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ」、「アリール−C0−4アルキル」、「ヘテロアリール−C0−4アルキル」及び「−(4〜8員の含窒素飽和複素環)−W−」は、各後者の置換基の1個の水素原子が各前者の基で置き換わった基を意味する。
【0029】
式(I)で表される本発明の化合物の中でも、X〜X、Y、Z、W、A、R〜R及びnで、好ましいものは以下のとおりであるが、本発明の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
【0030】
,X及びXの組み合わせとして好ましくは、X,X及びXがCQ、CQ及びCQであるベンゼン環又はXが窒素原子であり、X及びXが各々CQ及びCQであるピリジン環が挙げられる。
、Q及びQとして好ましくは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン又はC1−6アルキルが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子又はハロゲンであり、もっとも好ましくは、水素原子である。
Yとして好ましくは、無置換、又は、ハロゲン及びC1−3アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されているC0−6アルキレンが挙げられる。さらに好ましくは、無置換のC0−4アルキレンが挙げられる。もっとも好ましくは、無置換のC0−2アルキレンが挙げられる。
Zとして好ましくは、単結合又は−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−が挙げられる。より好ましくは、単結合又は−(4〜7員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−が挙げられる。WのYとの好ましい結合位置としては、含窒素飽和複素環上の任意の炭素原子が挙げられ、さらに好ましくは、窒素原子と結合していない炭素原子が挙げられる。Wとの好ましい結合位置としては、含窒素飽和複素環の窒素原子との結合位置が挙げられる。Zの4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基として好ましくは、アゼチジン2価基、モルホリン2価基、C1−4アルキレンで架橋されていてもよいピロリジン2価基、C0−4アルキレンで架橋されていてもよいピペリジン2価基又はC2−4アルキレンで架橋されていてもよいホモピペリジン2価基が挙げられる。より好ましくは、C1−4アルキレンで架橋されていてもよいピロリジン2価基又はC0−4アルキレンで架橋されていてもよいピペリジン2価である。
Wとして好ましくは、−(CH−又は−CO(CH−が挙げられる。さらに好ましくは、−(CH−が挙げられる。もっとも好ましくは、単結合、メチレン又はエチレンが挙げられる。
【0031】
Aとして好ましくは、フェニル、ナフチル又は飽和炭素環が挙げられる。より好ましくは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、ボルニル、アダマンチル又はシクロヘキシルが挙げられ、さらに好ましくは、フェニル又はシクロヘキシルが挙げられ、もっとも好ましくは、フェニルが挙げられる。Aに置換基が置換するとき、置換基として好ましくは、ハロゲン、CF、シアノ、ニトロ、アリール−C0−4アルキル、C1−6アルキル、C3−8飽和複素環−C0−4アルキル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−4アルキレンジオキシ、アリールオキシ又はC1−6アルコキシが挙げられる。さらに好ましくは、ハロゲン、CF、シアノ、アリール、C1−6アルキル、アリールオキシ又はC1−6アルコキシが挙げられる。もっとも好ましくは、ハロゲン、CF、アリール又はアリールオキシが挙げられる。
として好ましくは、ハロゲン又はC1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、C1−6アルキルが挙げられ、さらに好ましくは、C1−3アルキルが挙げられ、もっとも好ましくは、メチルが挙げられる。
として好ましくは、ハロゲン、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシが挙げられる。より好ましくは、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシが挙げられる。さらに好ましくは、C1−3アルコキシが挙げられ、もっとも好ましくは、メトキシが挙げられる。
として好ましくは、水素原子又はC1−3アルキルが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子又はメチルが挙げられ、もっとも好ましくは、水素原子が挙げられる。
として好ましくは、水素原子又はC1−3アルキルが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子又はメチルが挙げられ、もっとも好ましくは、水素原子が挙げられる。
nとして好ましくは、0、1又は2が挙げられ、さらに好ましくは、0又は1が挙げられ、もっとも好ましくは、1が挙げられる。
【0032】
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される塩とは、構造中に酸付加塩を形成しうる基を有する式(I)の化合物の製薬学的に許容される酸付加塩を意味する。酸付加塩の具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、又はグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられる。
【0033】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。p−:para−、t−:tert−、s−:sec−、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMA:N,N−ジメチルアセトアミド、DME:エチレングリコールジメチルエーテル、NMP:N−メチル−2−ピロリドン、DMSO:ジメチルスルホキシド、d−DMSO:重ジメチルスルホキシド。
【0034】
本発明化合物の製造方法
式(I)で表される本発明の化合物は、下記に示す製造法A、B、C、D、又はEにより製造することができる。式(I)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩は、新規化合物であり、例えば、以下に述べる方法、後述する実施例及びそれに準じた方法によって製造することができる。下記の製造法で用いられる化合物は、反応に支障を来たさない範囲において、塩を形成していてもよい。
【0035】
[製造法A]
式(I)の化合物は、下記製造法によって製造することができる。
【0036】
【化4】

【0037】
(式中、X、X、X、Y、Z、A、R、R及びRは、項1の定義に同じである。)
【0038】
化合物(II)と化合物(III)との縮合反応を行うことで、化合物(I)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(II)を反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル、活性エステル、酸無水物、酸ハライド等)に変換し、化合物(III)と反応させることによって達成される。原料化合物(III)は、市販されているか又は、公知の方法に準じた方法により合成される。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル等が挙げられる。酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、イソ吉草酸、ピバリン酸等との混合酸無水物が挙げられる。
【0039】
また、化合物(I)は、化合物(II)と化合物(III)とを縮合剤の存在下で反応させることによっても製造される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、ヘキサフルオロりん酸2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HATU)等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又は、これら縮合剤と、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾ−1−トリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。
【0040】
化合物(II)と化合物(III)との反応は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、化合物(III)は、水溶液又は塩酸塩等の酸付加塩の形で使用され、反応系中で遊離塩基を生成させてもよい。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、約−30℃〜約150℃、好ましくは約−10℃〜約70℃である。
【0041】
[製造法B]
式(I)中、Zが−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−であり、Wが−CO(CH−、−COO(CH−、−CONR(CH−である化合物[下記式(Ia)の化合物]は、下記製造法によっても製造することができる。
【0042】
【化5】

【0043】
(式中、X、X、X、Y、A、R、R、R、R及びnは、項1の定義に同じであり、Zは、4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基であり、Wは−(CH−、−O(CH−、−又は−NR(CH−である。)
【0044】
化合物(IV)と各種カルボン酸等との縮合反応を行うことで、化合物(Ia)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(IV)を、各種カルボン酸等と、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。縮合剤等の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、ヘキサフルオロりん酸2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HATU)等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾ−1−トリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。
【0045】
溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、1,4−ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、化合物(IV)は、塩酸塩等の酸付加塩の形で使用され、反応系中で遊離塩基を生成させてもよい。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0046】
また、化合物(Ia)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種酸クロリド、酸無水物、クロロホルメート、カルバモイルクロリド、イソシアネート等と化合物(IV)を反応させることによっても得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、1,4−ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、化合物(IV)は、塩酸塩等の酸付加塩の形で使用され、反応系中で遊離塩基を生成させてもよい。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0047】
[製造法C]
式(I)中、Zが−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−、Wが−(CH−であり、nが1〜4の整数である化合物[下記式(Ib)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0048】
【化6】

【0049】
(式中、X、X、X、Y、A、R、R及びRは、項1の定義に同じであり、Zは、4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基であり、nは、1〜4の整数である。)
【0050】
化合物(IV)から還元的アミノ化反応を行うことで、化合物(Ib)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(IV)を各種ケトン又はアルデヒド等と、還元剤等を共存させて反応を行うことで達成される。還元剤等の具体例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、1,4−ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、酢酸、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0051】
また、化合物(Ib)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、各種ベンジルハライド、フェネチルハライド等と化合物(IV)を反応させることによっても得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、1,4−ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、化合物(IV)は、塩酸塩等の酸付加塩の形で使用され、反応系中で遊離塩基を生成させてもよい。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。
【0052】
[製造法D]
式(I)中、Zが−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−、Wが−(CH−であって、nが0である化合物[下記式(Ic)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0053】
【化7】

【0054】
(式中、X、X、X、Y、A、R、R及びRは、項1の定義に同じであり、Zは、4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基である。)
【0055】
化合物(IV)を各種置換フェニルハライドとカップリングすると、化合物(Ic)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Ic)は、適当な溶媒中で、化合物(IV)と各種置換フェニルハライドを、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウムに代表されるパラジウム触媒等の遷移金属触媒と2−(ジ−t−ブチルフォスフィノ)ビフェニルに代表されるリガンド存在下、カップリング反応を行うことで得られる。これらカップリング反応においては、上記試薬の他に炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)やリン酸カリウム等の無機塩基、あるいはアルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウム−t−ブトキシド)、あるいはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、さらには塩化リチウム、フッ化セシウム等の無機塩共存下で行うこともできる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、1,4−ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
[製造法E]
式(I)の化合物は、下記製造法によっても製造することができる。
【0056】
【化8】

【0057】
(式中、X、X、X、Y、Z、A、R、R及びRは、項1の定義に同じである。Halは、ハロゲンである。)
【0058】
化合物(V)と置換又は無置換イミダゾールとを反応すると、化合物(I)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(I)は、適当な溶媒中で、化合物(V)と置換又は無置換イミダゾールを無触媒、ハロゲン化第一銅、酸化第一銅または酸化第二銅に代表される銅触媒と2−オキソシクロヘキサンカルボキシレートに代表されるβ―ケトエステル類やトランス―1,2−シクロヘキサンジアミンに代表されるジアミン類あるいは8−ヒドロキシキノリン、4,7−ジメトキシー1,8−フェナントラセン等のリガンド存在下、カップリング反応を行うことで得られる。これらのカップリング反応においては、上記試薬の他に炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)やナトリウムアルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、リン酸カリウム等の無機塩基、あるいはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、さらには塩化リチウム、フッ化セシウム等の無機塩共存下で行うこともできる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばDMF、DMSO,NMP、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、キシレンあるいはイオン性液体等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0059】
上記製造法A、B、C、D、又はEで製造される式(I)、(Ia)、(Ib)、及び(Ic)の化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等通常の方法により単離・精製することができる。
【0060】
次に、上記製造法A、B、C、D、又はEで用いられる原料化合物は下記の方法により製造することができる。
【0061】
前記製造法B、C及びDで用いられる化合物(IV)は、下記反応式で示される方法に従って製造される。
【0062】
【化9】

【0063】
(式中、X、X、X、Y、Z、R、R及びRは、項1の定義に同じであり、Zは、4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基であり、Pは、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等のアミノ保護基である。)
【0064】
化合物(VI)の脱保護反応を行うことで、化合物(IV)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(VI)と酸又は塩基等を共存させて反応を行うことで達成される。原料化合物(VI)は、対応する原料化合物を用い、製造法Aに準ずる方法により製造できる。酸の具体例としては、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化ホウ素等が挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、1,4−ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、水又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜200℃、好ましくは0〜120℃である。また、本脱保護反応は、保護基によっては水素気流下パラジウム触媒等を用いた接触還元によっても達成される。
【0065】
前記製造法Eで用いられる化合物(V)は、下記反応式で示される方法に従って製造される。
【0066】
【化10】

【0067】
(式中、X、X、X、Y、Z、A、R及びRは、項1の定義に同じである。Halは、ハロゲンである。)
【0068】
化合物(VII)と化合物(VIII)との縮合反応を行うことで、化合物(V)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(VII)と化合物(VIII)を、縮合剤等を共存させて反応を行うことで達成される。原料化合物(VII)は、市販されているか、又は、公知の方法に準じた方法により合成される。例えば、この反応は化合物(VII)を反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル、活性エステル、酸無水物、酸ハライド等)に変換し、化合物(VIII)と反応させることによって達成される。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル等が挙げられる。酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、イソ吉草酸、ピバリン酸等との混合酸無水物が挙げられる。
【0069】
また、化合物(V)は、化合物(VII)と化合物(VIII)とを縮合剤の存在下で反応させることによっても製造される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート、ヘキサフルオロりん酸2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HATU)等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又は、これら縮合剤と、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾ−1−トリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。
【0070】
化合物(VII)と化合物(VIII)との反応は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、化合物(VIII)は、水溶液又は塩酸塩等の酸付加塩の形で使用され、反応系中で遊離塩基を生成させてもよい。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、約−30℃〜約150℃、好ましくは約−10℃〜約70℃である。
【0071】
光学異性体は、前記製造法の適切な工程で、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法などの公知の分離工程を実施することで分離することができる。また、出発原料として光学活性体を使用することもできる。
【0072】
化合物(I)の製薬学的に許容される塩は、上記の製造方法で、化合物(I)の塩が得られる場合はそのまま精製すればよい。また、化合物(I)の遊離塩基が得られる場合は、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸を加えて塩を形成させればよい。
【0073】
本発明の化合物は、後述のとおり、アルツハイマー治療薬をはじめ種々の精神神経疾病に対して有用な治療薬となり得る。本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01〜1000mg、更に好ましくは約0.1〜500mgを1〜数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg〜300mg、更に好ましくは約1mg〜100mgを投与することができる。
【0074】
本発明の化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、例えばクエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水等が挙げられる。
【0075】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。更に、これらの製剤は治療上価値ある他の成分を含有してもよい。
【実施例】
【0076】
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
【0077】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号としては、Meはメチル基、Phはフェニル基を意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重線の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線及びbrtは幅広い三重線を意味する。
【0078】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMH+で、保持時間をRt(min)で示す。
検出機器:
Perkin−Elmer Sciex API 150EX Massspectrometer(40eV)
HPLC:
Shimadzu LC 10ATVP
Column:
Shiseido CAPCELL PAK C18 ACR(S−5um, 4.6mm×50mm)
Solvent:
A液:0.035%TFA/MeOH、B液:0.05%TFA/H
Gradient Condition:
0.0−0.5min;A/B = 10:90
0.5−5.9min;A/B = 10:90〜99:1(linear gradient)
5.9−6.4min;A/B = 99:1
Flow rate:
2.8mL/min
UV:
220nm
カラム温度:
40℃
【0079】
参考例1
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−3−イル)ベンズアミド 塩酸塩
【0080】
【化11】

【0081】
[工程1]:3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(500mg)、1−Boc−3−アミノピペリジン(440mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩(422mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(297mg)及びトリエチルアミン(596μl)のDMF(5ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(0%〜10% メタノール/クロロホルム)で精製し、tert−ブチル 3−({[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(703mg)を無色アモルファスとして得た。
【0082】
[工程2]:参考例1[工程1]で得られた化合物(703mg)をジオキサン(5ml)に溶解し、4MHCl/ジオキサン溶液(5ml)を滴下した。室温で5時間攪拌後、反応液を減圧濃縮し、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−3−イル)ベンズアミド 塩酸塩(878mg)を薄茶色固体物として得た。
【0083】
H−NMR (CDOD)δ:9.20 (1H, s), 7.80 (1H, s), 7.67 (1H, d), 7.66 (1H, d) 7.62 (1H, s), 4.31 (1H, m), 4.01 (3H, s), 3.53 (1H, m), 3.34 (2H, m), 3.03 (2H, m), 2.43 (3H, s), 2.11 (2H, m), 1.83 (2H, m).
LC-MS:[M+H] / Rt= 315 / 2.42min.
【0084】
参考例2−6
対応する原料化合物を用いて参考例1と同様に反応・処理し、表1に示す化合物を得た。
【0085】
【表1】

【0086】
参考例7
N-(ビフェニル−3−イルメチル)−4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンズアミド
【0087】
【化12】

【0088】
4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)安息香酸(700mg)、m−フェニルベンジルアミン(559mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩(728mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(515mg)、トリエチルアミン(531μl)のDMF(10ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=0%〜100%)で精製し、N-(ビフェニル−3−イルメチル)−4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンズアミド(979mg)を無色アモルファスとして得た。
【0089】
実施例1
N-(ビフェニル−3−イルメチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド
【0090】
【化13】

【0091】
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)安息香酸(100mg)、m−フェニル−ベンジルアミン(95mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩(100mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(70mg)、N,N −ジイソプロピルエチルアミン(120ml)のDMF(4ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(クロロホルム:メタノール=99:1〜85:15)で精製し、N-(ビフェニル−3−イルメチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(170mg)を得た。
【0092】
H−NMR (CDCl)δ:2.24(s, 3H), 3.85(s, 3H), 4.69(d, J = 5.6Hz, 2H), 6.90(s, 1H), 7.04-7.66(m, 14H).
LC-MS:[M+H] / Rt= 398 / 5.18min
【0093】
実施例2−63
対応する原料化合物を用いて実施例1と同様に反応・処理し、表2に示す化合物を得た。
【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
【表9】

【0102】
【表10】

【0103】
【表11】

【0104】
【表12】

【0105】
【表13】

【0106】
【表14】

【0107】
実施例64
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[1−(フェニルカルボニル)ピペリジン−3−イル}ベンズアミド
【0108】
【化14】

【0109】
参考例1[工程2]で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−3−イル)ベンズアミド 塩酸塩(24mg)を脱塩後、DMF(1ml)に溶解し、安息香酸(13mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(36μl)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(28mg)及びトリエチルアミン(29μl)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、水で洗浄した。反応混合物を減圧濃縮し、逆相HPLC(水/メタノール=10%−90%)で精製し、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−[1−(フェニルカルボニル)ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(3.3mg)を無色アモルファスとして得た。
LC-MS:[M+H] / Rt:419 / 4.11 min
【0110】
実施例65−80
対応する原料化合物を用いて実施例64と同様に反応・処理し、表3に示す化合物を得た。
【0111】
【表15】

【0112】
【表16】

【0113】
【表17】

【0114】
実施例81
N−({1−[(3−フルオロフェニル)アセチル]ピペリジン−4−イル}メチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド
【0115】
【化15】

【0116】
参考例15で得られてた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)ベンズアミド(33mg)、3−フルオロフェニル酢酸(15mg)、ヘキサフルオロりん酸2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム (HATU)(46mg)、トリエチルアミン(20mg)のDMF(1ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を中圧カラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0→90/10)により精製し、N−({1−[2−(3−フルオロフェニル)アセチル]ピペリジン−4−イル}メチル)−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(40mg)をアモルファスとして得た。
【0117】
H−NMR (CDCl)δ:7.71 (1H, d), 7.60 (1H, d), 7.35 (1H, dd), 7.29-7.22 (2H, m), 7.07-6.90 (5H, m), 4.64 (1H, d), 3.89-3.85 (4H, m), 3.71 (2H, s), 3.45-3.36 (1H, m), 3.27-3.18 (1H, m), 3.03-2.96 (1H, m), 2.62-2.55 (1H, m), 2.28 (3H, d), 1.90-1.72 (3H, m), 1.21-0.95 (2H, m).
LC-MS:[M+H] / Rt:465 / 4.47 min
【0118】
実施例82−86
対応する原料化合物を用いて実施例81と同様に反応・処理し、表4に示す化合物を得た。
【0119】
【表18】

【0120】
実施例87
N−(2−クロロベンジル)−3−{[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニルアミノ}ピペリジン−1−カルボキシアミド
【0121】
【化16】

【0122】
参考例1[工程2]で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−3−イル)ベンズアミド 塩酸塩(24mg)を脱塩後、THF(1ml)に溶液し、2-クロロベンジルイソシアネート(14mg)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液にメタノール(1ml)を加えて、室温で30分攪拌し、反応混合物を減圧濃縮後、逆相HPLC(水/メタノール=10%−90%)で精製し、N−(2−クロロベンジル)−3−({[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシアミド(27.9mg)を無色アモルファスとして得た。
LC-MS:[M+H] / Rt:482 / 4.55 min
【0123】
実施例88−111
対応する原料化合物を用いて実施例87と同様に反応・処理し、表5に示す化合物を得た。
【0124】
【表19】

【0125】
【表20】

【0126】
【表21】

【0127】
【表22】

【0128】
実施例112
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド
【0129】
【化17】

【0130】
参考例1[工程2]で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−3−イル)ベンズアミド 塩酸塩(65mg)、3−トリフルオロメチルベンジルブロマイド(31μl)、炭酸カリウム(111mg)のDMF(2ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=0%−10%)で精製し、3-メトキシ-4-(4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-N-(1-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペリジン-3-イル)ベンズアミド(31mg)を無色アモルファスとして得た。
【0131】
H−NMR (CDCl)δ:7.77 (1H, s), 7.63 (2H, d), 7.46 (3H, m), 7.31 (1H, d) 7.24 (1H, d), 6.97 (1H, s), 6.86 (1H, s), 4.29 (1H, m), 3.94 (3H, s), 3.65 (1H, d), 3.49 (1H, d), 2.74 (1H, m), 2.61 (1H, m), 2.48 (1H, m), 2.31 (2H, s), 2.27 (1H, m), 1.86 (1H, m), 1.77 (1H, m), 1.61 (2H, m), 1.13 (1H, s).
LC-MS:[M+H] / Rt:473 / 3.99 min
【0132】
実施例113−128
対応する原料化合物を用いて実施例112と同様に反応・処理し、表6に示す化合物を得た。
【0133】
【表23】

【0134】
【表24】

【0135】
【表25】

【0136】
実施例129
N−{[1−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド
【0137】
【化18】

【0138】
参考例4で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−4−イルメチル)ベンズアミド(33mg)、4−フルオロベンズアルデヒド(12mg)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(32mg)、酢酸(9mg)のTHF(1ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0→90/10)により精製し、N−{[1−(4−フルオロフェニル)ピペリジン−4−イル]メチル}−3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(7mg)をアモルファスとして得た。
【0139】
H−NMR (CDCl)δ:7.74 (1H, d), 7.59 (1H, s), 7.30-7.26 (4H, m), 7.02-6.94 (3H, m), 6.34 (1H, t), 3.92 (3H, s), 3.49 (2H, s), 3.38 (2H, t), 2.91 (2H, d), 2.30 (3H, d), 2.06-1.96 (2H, m), 1.72-1.68 (3H, m), 1.47-1.30 (2H, m).
LC-MS:[M+H] / Rt:437 / 3.56 min.
【0140】
実施例130−131
対応する原料化合物を用いて実施例129と同様に反応・処理し、表7に示す化合物を得た。
【0141】
【表26】

【0142】
実施例132
3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド
【0143】
【化19】

【0144】
参考例1[工程1]で得られた3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(ピペリジン−3−イル)ベンズアミド(92mg)、1−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(65mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(27mg)、2−(ジ−t−ブチルフォスフィノ)ビフェニル(17mg)、ナトリウム−t−ブトキシド(42mg)のトルエン(1ml)溶液を窒素雰囲気下、40℃で終夜攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、セライトろ過を行った。ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0→90/10)により精製し、3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−{1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−イル}ベンズアミド(67mg)をアモルファスとして得た。
【0145】
H−NMR (CDCl)δ:7.72 (1H, d), 7.61 (1H, d), 7.38-7.23 (4H, m), 7.15-7.08 (3H, m), 6.94-6.93 (1H, m), 6.83 (1H, d), 4.46-4.32 (1H, m), 3.89 (3H, s), 3.57-3.52 (1H, m), 3.25-3.15 (3H, m), 2.28 (3H, d), 1.95-1.78 (4H, m).
LC-MS:[M+H] / Rt= 459 / 5.34 min.
【0146】
実施例133−135
対応する原料化合物を用いて実施例132と同様に反応・処理し、表8に示す化合物を得た。
【0147】
【表27】

【0148】
実施例136
N−(ビフェニル−3−イル−メチル)−3−(2−メトキシエトキシ)−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド
【0149】
【化20】

【0150】
参考例7で得られたN-(ビフェニル−3−イル−メチル)−4−ブロモ−3−(2−メトキシエトキシ)ベンズアミド(0.43g)、4−メチルイミダゾール(0.14g)、臭化第一銅(0.03g)、炭酸セシウム(0.39g)、エチル2−シクロヘキサノンカルボキシレート(0.08g)をDMSO(1ml)へ懸濁させ、窒素気流下100℃で終夜攪拌した。室温まで冷却後、水、酢酸エチルを加え、セライトろ過により不溶物を除去した。ろ液を分液し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮することで得た粗製をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製することでN−(ビフェニル−3−イルメチル)−3−(2−メトキシエトキシ)−4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)ベンズアミド(0.02g)を得た。
LC-MS:[M+H] / Rt= 442 / 5.25 min
試験例
【0151】
以下に、本発明の代表化合物の薬理試験結果を示すが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0152】
ラット胎仔由来神経細胞を用いたAβ産生抑制作用評価
(1)ラット胎仔由来初代培養神経細胞
胎生16〜17日齢のWistar系ラット(Charles RiverJapan,Yokohama,Japan)より大脳皮質を摘出し、細胞を単離し培養に供した。具体的には、CO吸引により安楽死させた妊娠ラットより胎仔を取り出し、氷冷したHepes緩衝液中で胎仔脳を摘出した。次に、実体顕微鏡下で大脳皮質を採取し、0.3mg/ml papain(Sigma−aldrich,cat#P4762,St.Louis,MO,USA)溶液中で37℃、5分間振盪することで組織を分散した。10%の牛胎仔血清を含む培養液に交換することで分散反応を停止し、Hepes緩衝液で洗浄後ピペッティングにより物理的に組織を分散し、ナイロンメッシュ(セルストレーナー,cat#352350,Becton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ,USA)を通し細胞塊を除き、神経細胞懸濁液を得た。懸濁液を1000rpmにて4分間遠心分離し、上清を除いた。次に、細胞を少量のHepes緩衝液にて再懸濁した後細胞数を計数し、1wellあたり1×10個となるよう培地で神経細胞を希釈し、poly−D−lysineでコートした96ウェルプレート(cat#356461,Becton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ,USA)に播種した。培地には0.5mM L−glutamine(cat#25030−081,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)、ペニシリン・ストレプトマイシン(cat#15140−122,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)及び2% B27Supplement(cat#17504−044,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を含むNeurobasal medium(cat#21103−049,Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を使用した。播種した細胞は、5% CO下37℃インキュベーターにて3日間培養した。
【0153】
(2)化合物添加及びサンプリング、細胞生存の評価
培養3日目に以下の通り試験化合物の添加を行った。試験化合物のDMSO溶液を最終濃度の100倍濃度で作製した。この溶液を培地で100倍希釈した。細胞の培地を全量除去し、試験化合物を含む培地を100又は200μl/well添加した。対照群には試験化合物を含まないDMSOを含有する培地を添加した。化合物添加後1〜3日間培養した後培地を回収し、ELISAによるAβ測定の試料とした。また、培地を回収後の細胞はCell Counting Kit−8(cat# 347−07621,Dojindo, Kumamoto,Japan)を用いて生存の評価を行った。具体的には、培地を除去した細胞にCell Counting Kit−8試薬を10%含む37℃に温めた培地を100μl/well添加し、5% CO下37℃インキュベーターにて1〜3時間培養した後、各wellの450nmの吸光度を測定した。測定の際、細胞を播種しないwellにCell Counting Kit−8試薬を含む培地を加えたものをバックグラウンド(bkg)として設定した。以下の数式に従って各wellの値を算出し、DMSO処理した対照群(ctrl)に対する比率(% control)として評価を行った。
% control = (A450_sample - A450_bkg) / (A450_ctrl - A450_bkg) × 100
A450_sample:試験化合物処理したwellの450nmの吸光度
A450_bkg:バックグラウンドwellの450nmの吸光度
A450_ctrl:DMSO処理したwellの450nmの吸光度
【0154】
(3)AβELISA
AβのELISAによる定量は、和光純薬工業株式会社のHuman/Ratβamyloid (42) ELISA kit, High−Sensitive(cat# 292−64501)及びHuman/Ratβamyloid (40) ELISA kit(cat# 294−62501)を用いて、メーカー推奨のプロトコール(添付文書に記載の方法)にて行った。測定結果は、対照群の培地中のAβ濃度を100%とし、各試験化合物による阻害活性を百分率で表した。
(4)代表的化合物のAβ産生抑制作用のデータを表9に示す。
【0155】
【表28】

【0156】
【表29】

【0157】
【表30】

【0158】
本発明の代表化合物を上述の生物学的試験で評価したところ、2.5μMの濃度で、Aβ産生抑制作用を示す化合物を見出した。特に、実施例6、121、122、125、132、133、134及び135、は、2.5μMの濃度で強いAβ産生抑制作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上で説明したように、本発明の化合物は強いベータアミロイド産生抑制効果を示す。したがって、本発明の化合物はアルツハイマー病、ダウン症又は他のベータアミロイドに起因する疾患(例えば、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害、老年性痴呆、アミロイドーシス、脳血管アンギオパチー等)に対する治療剤及び/又は予防剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】


[式中、Xは、CQ又は窒素原子を表し、Xは、CQ又は窒素原子を表し、Xは、CQ又は窒素原子を表し、
、Q及びQは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、
Yは、ハロゲン、水酸基、C1−3アルコキシ及びアリールからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC0−6アルキレンを表し、
Zは、単結合又は−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−を表し、 ここにおいて、Zが−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−のとき、該含窒素飽和複素環は、置換可能な位置にC1−6アルキル、CF、ヒドロキシ−C0−6アルキル、C1−6アルコキシ−C0−6アルキル、アリール及びフッ素原子からなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよく、
Wは、−(CH−、−CO(CH−、−COO(CH−又は−CONR(CH−を表し、ここにおいて、各該−(CH)−は、同一又は異なって1〜2個のC1−6アルキル、CF、ヒドロキシ−C0−6アルキル、C1−6アルコキシ−C0−6アルキル、アリール若しくはフッ素原子で置換されていてもよく、又は2個の水素原子がC2−6アルキレンで置換されて1個の飽和炭素環を形成していてもよく、
Aは、アリール、飽和炭素環又はヘテロアリールを表し、ここにおいて、該アリール、該飽和炭素環又は該へテロアリールは、ハロゲン、CF、CFO、水酸基、シアノ、ニトロ、アリール−C0−4アルキル、ヘテロアリール−C0−4アルキル、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル−C0−4アルキル、4〜8員の飽和複素環−C0−4アルキル、C1−6アルコキシカルボニル、C0−4アルキル−アミノカルボニル、C1−4アルキレンジオキシ、アリールオキシ及びC1−6アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよく、ここにおいて、Aがアリール又はヘテロアリールであってZが単結合であるとき、Yは、C1−6アルキレンであり、
は、ハロゲン、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はC1−6アルコキシ−C1−6アルコキシを表し、
及びRは、同一又は異なって、水素原子又はC1−6アルキルを表し、
nは、0〜4の整数を表す。]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Wが、−(CH−、−CO(CH−又は−CONR(CH−である、
請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Zが、−(4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基)−W−であり、Wと含窒素飽和複素環の窒素原子が結合する、
請求項1又は請求項2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Zの4〜9員の含窒素飽和複素環の2価基が、アゼチジン2価基、モルホリン2価基、C1−4アルキレンで架橋されていてもよいピロリジン2価基、C0−4アルキレンで架橋されていてもよいピペリジン2価基又はC2−4アルキレンで架橋されていてもよいホモピペリジン2価基である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、フッ素原子、塩素原子、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ又はC1−3アルコキシ−C1−3アルコキシである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、C1−3アルキルである、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、イミダゾール環の4位に位置するメチルである、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Wが、単結合、−CO−又はCONH−である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、CQ又は、窒素原子であり、Xが、CQであり、Xが、CQである、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
、X及びXが、各々CHである、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Aが、ハロゲン、CF、CFO、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、4〜8員の飽和複素環及びアリールオキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール又は飽和炭素環である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項12】
Yが、フッ素原子及びC1−3アルコキシからなる群から選択される同一又は異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC0−4アルキレンである、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Zが、単結合である、
請求項1、2、5〜7及び9〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分とするベータアミロイドに起因する疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項16】
ベータアミロイドに起因する疾患が、アルツハイマー病、ダウン症、認知障害、記憶障害・学習障害、軽度認知障害又は脳血管アンギオパチーである、請求項15に記載の治療剤又は予防剤。

【公開番号】特開2013−28538(P2013−28538A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260482(P2009−260482)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】