説明

新規イミダゾールシラン化合物、その製造方法およびその利用

【課題】表面処理剤または樹脂添加剤として使用した際、無機材料と有機材料の密着性を向上させ、貯蔵安定性や溶剤への溶解性が良好である新規なイミダゾールシラン化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)または(2)で示される新規イミダゾールシラン化合物。
【化1】

(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属、無機材料または有機材料との密着性および樹脂組成物の流動性や貯蔵安定性を改善させる新規シランカップリング剤およびその製造方法、またそれを有効成分とする表面処理剤、樹脂添加剤、ならびにそれを含有する樹脂組成物に関するものであり、電子材料、塗料、プライマー、接着剤等の分野に使用できる。特に電子材料に使用されている封止材や接着剤の添加剤において無機材料との密着性と貯蔵安定性が要求されている分野に適している。
【0002】
【従来の技術】
近年電子材料分野は軽薄短小化の流れとともにハロゲンやアンチモンフリー、鉛フリー半田化等の流れがあり、封止材等にはさらなる特性向上が必要とされる現状にある。
例えば、半導体用封止樹脂は従来ノボラックエポキシ樹脂をフェノールノボラック樹脂で硬化させるエポキシ樹脂組成物が用いられてきた。しかしながら、半導体は高集積化により、パッケージの小型化、薄型化、また環境問題から、鉛フリー半田への流れ、さらにリードフレームのPPF(プリプレーティッドフレーム)の開発等により封止樹脂に対する要求は年々厳しいものとなってきており、従来のエポキシ樹脂組成物では信頼性の確保が困難になってきている。具体的な要求特性としてはチップやリードフレームとの密着性、特に吸湿させた後、半田に浸漬してもクラックや界面はくり等が生じないことである。
【0003】
また、プリント配線板の絶縁材料は、ガラス基材エポキシ積層板が最も多く使用されている。積層板エポキシ樹脂としてはジシアンジアミドを硬化剤とする樹脂が一般的に用いられてきたが、鉛フリー半田等による耐熱性の要求からフェノールノボラック樹脂を硬化剤に用いる方法が注目されるようになってきた。しかしながら、フェノールノボラック樹脂を硬化剤として使用すると銅箔との接着、特に多層板における内層銅箔との接着が、ジシアンジアミド系に比べて大幅に劣るという欠点がある。
【0004】
このような金属や無機物と樹脂との接着性を改善させる手段としてはシランカップリング剤の表面処理または樹脂への添加の方法がとられるのが一般的である。
上記封止材関係では主にエポキシ系、アミノ系、メルカプト系のシランカップリング剤は効果があり、長年使用されてきていたが、近年の上記環境問題対応や軽薄短小化の流れでは、要求特性を十分に満足出来ない場合が増えてきている現状にある。
【0005】
本発明者らは、イミダゾール基を有するシランカップリング剤を開発した(例えば、特許文献1、特開平05−186479)。このシランカップリング剤は市販のシランカップリング剤に比べて、金属や無機物と樹脂との密着性を大幅に向上し、樹脂組成物の添加剤や金属やフィラー等の無機物として様々な分野で使用できることを確認した。しかしながら、このタイプのイミダゾールシランは加水分解性が速く、ゲル化しやすいため取り扱いにくく、例えばエポキシ樹脂組成物に添加した際に貯蔵安定性が短いという欠点もあり、また、溶剤への溶解性が悪いためプリプレグ用含浸樹脂、レジスト、ワニス、塗料等溶剤系樹脂組成物への添加剤としては不適であり、特性的には良好ではあるものの、使用方法や使用用途に制限があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−186479号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした実情の下に、表面処理剤または樹脂添加剤として使用した際、無機材料と有機材料の密着性を向上させ、貯蔵安定性や溶剤への溶解性が良好である新規なイミダゾールシラン化合物を提供する事を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記イミダゾールシランの溶剤に対する溶解性や貯蔵安定性は分子中に含まれている水酸基によるものであると考え、水酸基に別の官能基を付加することにより前記課題の解決を試みた。その結果、特定のイソシアネート化合物との反応が有効であることを見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で示される新規イミダゾールシラン化合物。
【化4】



(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)
【0010】
(2)下記一般式(3)で表されるイミダゾール化合物と下記一般式(4)で表されるグリシドキシアルキルシランを60〜200℃で反応させた後、下記一般式(5)で表されるイソシアネートシランを−5〜100℃で反応させて得られた反応混合物。
【化5】



(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)
【0011】
(3)下記一般式(3)で表されるイミダゾール化合物と下記一般式(4)で表されるグリシドキシアルキルシランを60〜200℃で反応させたのち、下記一般式(5)で表されるイソシアネートシランを−5〜100℃で反応させることを特徴とする前記(1)記載のイミダゾールシラン化合物の製造方法。
【化6】



(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)
【0012】
(4)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を有効成分とする表面処理剤
(5)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を有効成分とする樹脂添加剤
(6)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する樹脂組成物
(7)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するペースト
(8)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するワニス
(9)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するレジスト
【0013】
(10)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するプリプレグ
(11)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するプライマー
(12)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する塗料
(13)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する接着剤
(14)上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する封止材料
である。
【0014】
以下、本発明の構成について説明する。
本発明のイミダゾールシランのR〜Rは各規定された通りの意義を有するが、特に合成の容易性からRは水素、メチル、ビニルが好ましく、Rは水素、メチル、エチル、ウンデシル、ヘプタデシルが好ましく、また、RまたはRはメチル、エチルが好ましい。RまたはRはメチル基が好ましい。また、mまたはnは無機化合物との反応性の点から3が好ましい。
【0015】
本発明のイミダゾールシランの合成方法に関して、前段階の反応であるイミダゾール化合物とグリシドキシアルキルシランの反応は特開平05―186479号公報に開示されている。後段階の反応である前記前段階の反応混合物とイソシアネートシランの反応は、−5〜100℃で反応させることにより目的生成物をえることができる。しかし、反応を穏やかに進行させるために室温下で反応混合物中にイソシアネートシランを滴下する方法が好ましい。反応混合物/イソシアネートシランの反応モル比は、0.8〜1.2であれば本発明の効果を十分発揮するが、特に好ましくは0.9〜1.1である。
【0016】
前段階の反応であるイミダゾール化合物とグリシドキシアルキルシランの反応により、以下の(A)〜(D)成分が生成する。
【0017】
【化7】



【0018】
後段階の反応では、上記(A)、(C)、(D)中の水酸基とイソシアネートシラン中のイソシアネート基が反応して以下の(A)’、(C)’、(D)’が生成する。なお、(A)〜(D)及び(A)’、(C)’、(D)’における各記号は前記と同義である。
【0019】
【化8】



すなわち、イミダゾール化合物、グリシドキシアルキルシラン、イソシアネートシランのモル比が1:1:1の場合、得られる生成物は、(A)’、(B)、(C)’、(D)’の混合物である。
これらの生成物の比は、反応条件(反応温度、時間、滴下速度等)や、m、R、Rの数や種類によって大きく変化する。それぞれの化合物は、カラムクロマトグラフィー等を使用することによって単離することもできるが、表面処理剤や樹脂添加剤として使用するには、(1)または(2)式の化合物を単離せず、反応混合物をそのまま使用しても本発明の効果を十分に発揮する。
【0020】
本発明のイミダゾールシランを表面処理剤として使用する際、直接塗布してもよいが、水、メタノール、エタノール等のアルコール類、さらにはアセトン、酢酸エチル、トルエン等の溶剤で0.001〜20重量%になるように希釈し、この液に無機材料または金属材料を浸漬させたり、スプレーにより噴霧させることが取り扱う上で簡便で好ましい。また、本イミダゾールシランは単独で用いてもよいが、他の防錆剤、あるいはカップリング剤等と混合して用いても良い。また表面処理する材料は特に制限がないが、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク等のフィラーやガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の繊維、または鉄鋼、亜鉛めっき鋼板、銅箔、アルミ、マグネシウム等の金属材料等が挙げられる。
【0021】
本発明のイミダゾールシランは、樹脂に添加してその樹脂の他の基材に対する密着性を向上することができる。特に本発明のイミダゾールシランは溶剤への溶解性がよいので、ペースト状樹脂、プリプレグ用含浸樹脂、レジスト、ワニス、プライマー、塗料等の溶剤系樹脂組成物への添加剤としても有用である。これらへの樹脂添加剤として使用する際、その樹脂の種類には特に制限がないが、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、およびこれらの樹脂が含有されている組成物に添加することが好ましい。この中でも電子材料分野で一般的に使用されているエポキシ樹脂組成物が特に適している。
【0022】
このようなエポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類のジグリシジルエーテル化物(ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシドのジグリシジルエーテル(脂肪族エポキシ樹脂)や側鎖、または主鎖にゴム、ウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等の可撓性樹脂で変性されたもの、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのグリシジルエーテル化物(ノボラック型エポキシ樹脂)、あるいはポリブタジエンなどの共役ジエンポリマーのエポキシ化物などが挙げられる。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記の特定のイミダゾールシランを密着性向上剤として使用するが、この場合エポキシ樹脂の硬化剤として、また、他の硬化剤と共に使用する場合には硬化促進剤としても機能する。その他エポキシ樹脂用硬化剤として知られている他の硬化剤、硬化促進剤を併用することができる。
このような硬化剤あるいは硬化促進剤としては、たとえば、エポキシ樹脂の硬化剤としてはジシアンジアミドなどのグアニジン系硬化剤、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド系硬化剤、フェノールノボラック等のフェノール系硬化剤、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系硬化剤、ジアミノジフェニルメタン等のアミン系硬化剤、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤を用いることができる。また、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、トリフェニルフォスフィン等の芳香族フォスフィン類、三フッ化ホウ素モノエチルアミン等のルイス酸が挙げられる。
【0024】
上記の本発明のイミダゾールシランなどの硬化剤およびその他の硬化剤の使用量は、特に制限はないが、エポキシ樹脂100重量部に対して通常1〜25重量部、好ましくは4〜10重量部であり、また硬化促進剤については同様に0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部で使用される。
硬化剤が1重量部未満では硬化性が低下し、25重量部を超えると硬化物自体の脆性が増し、何れも充分な接着強度が得られないので好ましくない。一方、硬化促進剤が0.1重量部未満では充分な接着強度が得られず、5重量部を超えると剪断強度が低下する。
【0025】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて接着向上剤として、シランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤を添加することにより、特に金属に対する接着強度を向上させることができる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩などを挙げることができる。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物は前述のエポキシ樹脂、イミダゾールシランを必須成分として、必要に応じて他の硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤を含むが、さらに必要に応じて、他のエポキシ樹脂、モノエポキシ化合物からなる反応性希釈剤、難燃剤、着色剤、低応力化剤、充填剤等を配合することができる。
【0027】
なお、本発明のイミダゾールシランは硬化剤としても機能するが、硬化剤として作用する他に、硬化促進剤、接着向上剤としての作用も同時に果たしている。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般の硬化性エポキシ樹脂が利用できる分野において同様に利用することができるが、接着剤、とくに金属用接着剤に好適である。
【0028】
【実施例】
次に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
新規イミダゾールシランの合成
イミダゾール68g(1mol)を100℃で溶融し、撹拌しながら3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン236g(1mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに100℃の温度で1時間反応させた。
反応式を以下に示す。反応生成物の液体クロマトグラフィーの面積比は、(A):(B):(C):(D)=45:20:29:6であることが確認された。
【0029】
反応は以下の式で示すことができる。
【化9】



【0030】
1時間反応後、反応混合物を室温に冷却し、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン247g(1mol)を1時間かけて滴下した。得られた生成物は透明な褐色粘性液体であった。図1にこの生成物のFT−IR、および図2に13C−NMRのチャートを示す。
【0031】
このFT−IR(図1)より原料のイソシアネートシランのイソシアネート基による2300cm−1付近のバンドおよび水酸基による3400cm−1付近のバンドがほとんど観察されていないこと、および1720cm−1付近にウレタン結合のバンドが生成していることにより定量的に反応が進行していることを確認した。また、図2に示す13C−NMRチャートにそれぞれの化合物の帰属を記載した。下記式中炭素原子上の丸数字は、図2の13C−NMRチャートにおける丸数字に対応する。以上FT−IRと13C−NMRの結果より、下記式で表される(A)’、(B)、(C)’、(D)’の混合物であることを確認した。その液体クロマトグラフィーの面積比は、(A)’:(B):(C)’:(D)’=37:6:32:25であった。
【0032】
【化10】



【0033】
溶解性テスト
前記新規イミダゾールシラン(反応混合物)を各種溶剤へ約5%の濃度となるよう添加し、溶液の性状を目視により観察した。その結果を表1に示す。
また比較として従来のイミダゾールシラン(イミダゾールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応生成物の意、以下同様)も表1に示す。表1の結果から新規イミダゾールシランは従来のイミダゾールシランに比べて溶解性が向上し、ペースト、プリプレグ用含浸樹脂、ワニス、レジスト、塗料、接着剤等への溶剤系の添加剤として、または表面処理剤として使用可能であることが確認された。
【0034】
【表1】



○ :溶解
△ :一部溶解
× :不溶
【0035】
貯蔵安定性テスト
エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン製)100部に対して新規イミダゾールシラン(反応混合物)および前記従来のイミダゾールシランをそれぞれ1部添加し、十分混合した後、室温に放置した。それぞれのサンプルを経時的に粘度測定し、その粘度上昇の比較により、貯蔵安定性を評価した。その結果を図3に示す。
図3の結果から新規イミダゾールシランは従来のイミダゾールシランに比べて粘度上昇が少なく、貯蔵安定性が改善されていることが確認された。
【0036】
接着性データ
以下の組成、手順により封止材を作成し、各種金属に対する接着強度を評価した。その結果を表2に示す。また比較としてイミダゾールシラン未添加についても評価した。
【0037】



【0038】
封止材作製手順
・(ア)原料配合:フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、TPP、カル ナバワックス、カーボンブラック、シランカップリング剤の順で自動乳鉢に添 加。
・(イ)ドライブレンド:自動乳鉢を使用し、約10分ブレンド。
・熱混練:熱ロール機を硬化剤の軟化点+10〜15℃(90℃)に温めて混 練。原料が黒色に変色してから約4分間熱混練を継続。
・(ウ)粉砕:スタンプミルを使用し、約30分間粉砕。
【0039】
せん断強度評価用金属
銅材:約0.1μm銅ストライクめっきした銅合金(C7025)、サイズ:50×25×0.15mm
銀材:約5μm銀めっきした銅合金(C7025)、サイズ:50×25×0.15mm
PPF材:銅合金(C7025)、サイズ:50×25×0.15mmに以下のめっきを行った。
約0.5μmのNiめっき
→約0.05μmのPdめっき
→約0.005μmのAuめっき
【0040】
評価方法
せん断強度:2枚の金属板を封止材で張り合わせてサンプルを作成し、引張り試験機により剪断強度を測定。接着面積:25×12.5mm。硬化時間:175℃、6時間。
【0041】
【表2】



【0042】
【発明の効果】
以上の実施例および比較例から本発明の新規イミダゾールシランは溶剤への溶解性や貯蔵安定性が従来品に比べて改善され、金属に対して優れた密着性を示すことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の合成例で得られた本発明の新規イミダゾールシラン反応混合物のFT−IRチャート。
【図2】同上13C−NMRチャート。
【図3】実施例の貯蔵安定性テストの結果を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または(2)で示される新規イミダゾールシラン化合物。
【化1】



(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)
【請求項2】
下記一般式(3)で表されるイミダゾール化合物と下記一般式(4)で表されるグリシドキシアルキルシランを60〜200℃で反応させた後、下記一般式(5)で表されるイソシアネートシランを−5〜100℃で反応させて得られた反応混合物。
【化2】



(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)
【請求項3】
下記一般式(3)で表されるイミダゾール化合物と下記一般式(4)で表されるグリシドキシアルキルシランを60〜200℃で反応させたのち、下記一般式(5)で表されるイソシアネートシランを−5〜100℃で反応させることを特徴とする請求項1記載のイミダゾールシラン化合物の製造方法。
【化3】



(但し、Rは水素、ビニル基または炭素数が1〜5のアルキル基、Rは水素または炭素数が1〜20のアルキル基、R、R、R、Rは炭素数が1〜3のアルキル基、n、mはそれぞれ1〜3の整数、lまたはkは1〜5の整数を表す)
【請求項4】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を有効成分とする表面処理剤。
【請求項5】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を有効成分とする樹脂添加剤。
【請求項6】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する樹脂組成物。
【請求項7】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するペースト。
【請求項8】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するワニス。
【請求項9】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するレジスト。
【請求項10】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するプリプレグ。
【請求項11】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有するプライマー。
【請求項12】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する塗料。
【請求項13】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する接着剤。
【請求項14】
上記一般式(1)および/または(2)で表されるイミダゾールシラン化合物を含有する封止材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2005−2000(P2005−2000A)
【公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−163992(P2003−163992)
【出願日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【出願人】(591007860)株式会社日鉱マテリアルズ (545)
【Fターム(参考)】