説明

新規イミダゾール誘導体

本発明は殺微生物活性、特に、殺真菌活性を有する活性成分としての式(I)(式中、R1 はハロゲン、 C1-C4アルキル又は C1-C4ハロアルキルであり、R2 は任意に置換されたアリール又はヘテロアリールであり、R3 はハロゲンであり、R4 は水素、 ハロゲン、 C1-C4アルキル、 C1-C4ハロアルキル、 C1-C4アルコキシ、 C1-C4ハロアルコキシ又はシアノであり、R5 はハロゲンであり、X はN 又はC(R)であり、そしてRは水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ又はシアノであり、ただし、X がC(R)である場合にはRは任意に置換されたアリールであることはない)の新規イミダゾール誘導体又はその農薬上使用可能な塩の形態に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺微生物活性、特に殺真菌性を有する活性成分としての新規イミダゾール誘導体に関する。本発明はこれらの活性成分の調製、これらの活性成分の調製における中間体として使用される新規複素環誘導体、これらの新規中間体の調製、少なくとも1つのその新規活性成分を含む農薬組成物、これらの組成物の調製、及び、植物、収穫した食用用作物、種子又は非生物材料の植物原病性微生物、好ましくは菌類による侵襲を制御し又は防止するための農業又は園芸におけるその活性成分又は組成物の使用にも関する。
【0002】
本発明は、これらの新規イミダゾール誘導体の植物成長調節剤(PGR)としての使用にも関する。
【0003】
さらに、本発明は、植物を改良し、そのプロセスが一般にそして下記において「植物の健康」と呼ばれる、植物を改良する新規イミダゾール誘導体を含む組成物にも関する。
【0004】
本発明は、さらに、癌の治療におけるこれらの新規イミダゾール誘導体の使用、及び、これらの化合物の少なくとも1つを活性成分として含む殺真菌性組成物又は医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【0005】
これらの目的は下記式I
【化1】

【0006】
(R1 はハロゲン、C1-C4アルキル又は C1-C4ハロアルキルであり、
R2 は任意に置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
R3 はハロゲンであり、
R4 は水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ又はシアノであり、
R5 はハロゲンであり、
X はN 又はC(R)であり、そして
Rは水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ又はシアノであり、
ただし、X がC(R)である場合にはRは任意に置換されたアリールであることはない)の化合物又はその農薬上使用可能な塩の形態によって達成される。
【0007】
上記の定義において、アリールはフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル及びビフェニルなどの芳香族炭素環を含み、フェニルが好ましい。
【0008】
ヘテロアリールは環構成要素として少なくとも1つの酸素、窒素又は硫黄原子が存在している単環、二環又は三環系を含む芳香族環系を表す。例としては、たとえば、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、フタルアジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル及びナフチリジニルがある。
【0009】
上記又は下記の縮合環、炭素同素環、複素環、アリール基及びヘテロアリール基は任意に置換されていてよい。これは1つ以上の同一であるか又は異なる置換基を有してよいことを意味する。通常、3個以下の置換基が同時に存在する。置換基の例には、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルコキシアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノがある。任意に置換されたアリールの典型的な例としては、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、 4-ブロモフェニル、 m-トリル、p-トリル、3-トリフルオロメチルフェニル、4- トリフルオロメチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3-トリフルオロメトキシフェニル、4-トリフルオロメトキシフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、2-クロロ-4-フルオロフェニル、2-クロロ-5-フルオロフェニル、2-クロロ-6-フルオロフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-6-フルオロフェニル、3-クロロ-4-メチルフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、4-クロロ-2-フルオロフェニル、4-クロロ-3-フルオロフェニル、4-クロロ-3-メチルフェニル、4-クロロ-3-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-メチルフェニル、4-フルオロ-3-メトキシフェニル、4-フルオロ-3-メチルフェニル、3-メトキシ-4-メチルフェニル、4-メトキシ-3-メチルフェニル、2,6-ジフルオロ-4-メチルフェニル、2,6-ジフルオロ-4-トリフルオロメチルフェニル、2,6-ジフルオロ-4-メトキシフェニル、2,6-ジフルオロ-4-トリフルオロメトキシフェニル、2,6-ジフルオロ-4-シアノフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,5,6-トリフルオロフェニルが挙げられる。任意に置換されたヘテロアリールの典型的な例として、6-クロロピリジン-2-イル、6-フルオロピリジン-2-イル、6-メトキシピリジン-2-イル、6-メチルピリジン-2-イル、6-クロロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジン-3-イル、6-メトキシピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、2-クロロピリジン-4-イル、2-フルオロピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-4-イル、2-メチルピリジン-4-イル、3,5-ジクロロピリジン-2-イル、3,5-ジフルオロピリジン-2-イル、3-クロロ-5-フルオロピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-クロロ-5-メトキシピリジン-2-イル、3-クロロ-5-トリフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-クロロ-5-シアノピリジン-2-イル、5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-メチルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-トリフルオロメチルピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-メトキシピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-トリフルオロメトキシピリジン-2-イル、3-フルオロ-5-シアノピリジン-2-イル、5-クロロチオフェン-2-イル, 5-ブロモチオフェン-2-イル、5-メトキシチオフェン-2-イル、4-メトキシキノリン-2-イル, 4-メチルキノリン-2-イルが挙げられる。
【0010】
上記の定義において、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
アルキル、アルケニル又はアルキニル基は直鎖であっても又は枝分かれ鎖であってもよい。
【0011】
アルキルは、それ自体又は他の置換基の一部として、述べられる炭素原子の数によって、たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びそれらの異性体、たとえば、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル又はtert-ペンチルである。
【0012】
ハロアルキル基は1つ以上の同一であるか又は異なるハロゲン原子を含んでよく、たとえば、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2F、CHF2、CF3、CF3CH2、CH3CF2、CF3CF2 又はCCl3CCl2であることができる。
【0013】
シクロアルキルは、それ自体又は他の置換基の一部として、述べられる炭素原子の数によって、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0014】
アルケニルは、それ自体又は他の置換基の一部として、述べられる炭素原子の数によって、たとえば、エテニル、アリル、1-プロペニル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ペンテン-1-イル、ペンテン-3-イル、ヘキセン-1-イル又は4-メチル-3-ペンテニルである。
【0015】
アルキニルは、それ自体又は他の置換基の一部として、述べられる炭素原子の数によって、たとえば、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、1-メチル-2-ブチニル、ヘキシン-1-イル又は1-エチル-2-ブチニルである。
【0016】
式Iの化合物中に1又は複数の可能な非対称炭素原子が存在することは化合物がエナンチオマー又はジアステレオマー形態を意味する光学異性が生じうることを意味する。可能な脂肪族C=C二重結合の存在の結果として、シス−トランス又は(E)−(Z)異性を意味する幾何学異性も生じうる。単結合を軸とした回転が拘束されていることによってアトロプ異性体も生じることがある。式Iは全ての可能な異性体形態及びその混合物を包含することが意図されている。本発明は式Iの化合物についての全ての可能な異性体形態及びその混合物を包含することが意図されている。
【0017】
各場合に、本発明に係る式Iの化合物は遊離形態又は農薬上使用可能な塩の形態である。
【0018】
第一の実施形態において、本発明に係る式Iの化合物はハロゲン、 C1-C3アルキル又はC1-C3ハロアルキルであるR1を有する。
【0019】
第二の実施形態において、本発明に係る式Iの化合物は任意に置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、チエニル又はキノリルであるR2を有する。
【0020】
第三の実施形態において、本発明に係る式Iの化合物はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであるR3を有する。
【0021】
第四の実施形態において、本発明に係る式Iの化合物は水素、ハロゲン、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ又はシアノであるR4を有する。
【0022】
第五の実施形態において、本発明に係る式Iの化合物はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであるRを有する。
【0023】
第六の実施形態において、本発明に係る式Iの化合物はN、C(H)、C(ハロゲン)、C(C1-C4アルキル)、C(C1-C4ハロアルキル)、C(C1-C4アルコキシ) 又は C(C1-C4ハロアルコキシ)であるXを有する。
【0024】
本発明に係る式Iの化合物の好ましいサブグループは、
R1 はフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1-C2アルキル又はC1-C2ハロアルキルであり、
R2 は任意に置換されたフェニル、ピリジル、チエニル又はキノリルであり、
R3 はフルオロ、クロロ又はブロモであり、
R4 は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ又はシアノであり、
R5はフルオロ、クロロ又はブロモであり、そして
XはN、C(H)、C(Cl)、C(F)、C(Br)、C(I)、C(C1-C3アルキル)、C(C1-C3ハロアルキル)、C(C1-C3アルコキシ) 又はC(C1-C3ハロアルコキシ)であるものである。
【0025】
本発明に係る式Iの化合物のより好ましいサブグループは
R1 はフルオロ、クロロ、ブロモ、メチル又はエチルであり、
R2はフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、m-トリル、 p-トリル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3-トリフルオロメトキシフェニル、4-トリフルオロメトキシフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-メチルフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、4-クロロ-3-フルオロフェニル、4-クロロ-3-メチルフェニル、4-クロロ-3-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-メチルフェニル、4-フルオロ-3-メトキシフェニル、4-フルオロ-3-メチルフェニル、3-メトキシ-4-メチルフェニル、4-メトキシ-3-メチルフェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-クロロピリジン-2-イル、6-フルオロピリジン-2-イル、6-メトキシピリジン-2-イル、6-メチルピリジン-2-イル、6-クロロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジン-3-イル、6-メトキシピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、2-クロロピリジン-4-イル、2-フルオロピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-4-イル、2-メチルピリジン-4-イル、5-クロロチオフェン-2-イル、5-ブロモチオフェン-2-イル、5-メトキシチオフェン-2-イル、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、4-メトキシキノリン-2-イル又は4-メチルキノリン-2-イルであり、
R3 はフルオロ又はクロロであり、
R4は水素、フルオロ、クロロ、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ、C1-C2ハロアルコキシ又はシアノであり、
R5はフルオロ又はクロロであり、そして
XはN、C(H)、C(Cl)、C(F)、C(Br)、C(C1-C2アルキル)、C(C1-C2ハロアルキル)、C(C1-C2アルコキシ) 又は C(C1-C2ハロアルコキシ)であるものである。
【0026】
本発明に係る式Iの化合物の最も好ましいサブグループは、
R1はフルオロ、クロロ、メチル 又は エチルであり、
R2 は4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、6-クロロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジン-3-イル、6-メトキシピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、4-メトキシキノリン-2-イル又は4-メチルキノリン-2-イルであり、
R3はフルオロ又はクロロであり、
R4は水素、フルオロ、クロロ、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル又はC1-C2アルコキシであり、
R5 はフルオロ又はクロロであり、そして
X はN、C(H)、C(Cl) 又は C(F)であるものである。
【0027】
本発明に係る式Iの化合物の特に好ましいサブグループは
R1 はクロロ又はメチルであり、
R2 は4-ブロモフェニル、6-クロロピリジン-3-イル又はキノリン-3-イルであり、
R3 はクロロであり、
R4 はクロロであり、
R5 はクロロであり、そして
X はNであるものである。
【0028】
好ましい個々の化合物は2-クロロ-5-[2,5-ジクロロ-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-ピリジン;
2-クロロ-5-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-ピリジン;
5-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-2-メトキシ-ピリジン;
3-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
3-[2,5-ジクロロ-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
3-[2-クロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-5-メチル-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
3-[2,5-ジクロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
2-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
2-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-4-メトキシ-キノリン;
2-[2-クロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-5-メチル-3H-イミダゾール-4-イル]-4-メトキシ-キノリン;
3,5-ジクロロ-2-[2,4-ジクロロ-5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-イミダゾール-1-イル]-ピリジン;
3,5-ジクロロ-2-[2-クロロ-5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-4-メチル-イミダゾール-1-イル]-ピリジン;
5-[2-クロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-5-メチル-3H-イミダゾール-4-イル]-2-メチル-ピリジン; 及び、
3,5-ジクロロ-2-[2-クロロ-5-(4-メトキシ-フェニル)-4-メチル-イミダゾール-1-イル]-ピリジンである。
【0029】
式(I.1)
【化2】

(上式中、R1、R2、R4、R5 及びXは上記の意味であり、ただし、X がC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることができない)の化合物は一般式(I)の例であり、そして下記に示すとおりに製造されうる。
【0030】
式I.1(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキル又はC1-C4ハロアルキルである)の化合物は、式II(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキル又はC1-C4ハロアルキルである)の化合物とN−クロロスクシンイミド(NCS)又は分子塩素との反応によって得ることができる。
【0031】
【化3】

【0032】
式I(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素である)の化合物は、式III(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできない)の化合物と少なくとも2当量のN−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)又はN−ヨードスクシンイミド(NIS)との反応によって得ることができる。
【0033】
【化4】

【0034】
式I.1(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4ハロアルキルである)の化合物は、式II(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキルである)の化合物と少なくとも2当量のN−クロロスクシンイミド(NCS)又は分子塩素との反応によって得ることができる。
【0035】
【化5】

【0036】
式II(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキルである)の化合物は、式IV(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできない)の化合物と式V(式中、R1はC1-C4アルキルである)の化合物とを、塩基、たとえば、無水炭酸カリウムの存在下に反応させることによって得ることができ、これはJournal of Medicinal Chemistry 2003, 46, 3463にすでに記載されるとおりである。
【0037】
【化6】

【0038】
式III(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできない)の化合物は、式IV(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできない)の化合物を、トルエンスルホニルメチルイソシアニドと、塩基、たとえば、無水炭酸カリウムの存在下に反応させることによって得ることができ、これはJournal of Medicinal Chemistry 2003, 46, 3463にすでに記載されるとおりである。
【0039】
【化7】

【0040】
式IV(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできない)の化合物は、式VI(式中、R2は式Iの化合物について規定したとおりである)のアルデヒドと、式VII(式中、 R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりである)のアミンとを反応させることによって得ることができ、ただし、式VIIの化合物中のXがC(R)である場合には、式VIの化合物中のR2 は任意に置換されたアリールであることはできず、これはJournal of Medicinal Chemistry 2003, 46, 3463にすでに記載されるとおりである。
【0041】
【化8】

【0042】
式V(式中、R1はC1-C4アルキルである)の化合物はトルエンスルホニルメチルイソシアニドと、式VIII(式中、R1はC1-C4アルキルである)の化合物とを、塩基の存在下に反応させることによって得ることができ、これはJournal of Medicinal Chemistry 2003, 46, 3463にすでに記載されるとおりである。
【0043】
【化9】

【0044】
驚くべきことに、今回、式Iの新規化合物は、実用目的で、細菌及びウイルスだけでなく、真菌類によって生じる病気に対して植物を保護するための非常に有利なレベルの生物学的活性を有することが判った。
【0045】
式Iの化合物は植物ペストを制御するための活性成分として農業分野及び関連分野で使用されることができ、又は、ヒトに対して潜在的に有害な腐敗性微生物もしくは生物の制御のために非生体材料上で使用されることができる。新規化合物は、少量の施用で優れた活性を発揮すること、植物に良好に許容されること及び環境的に安全であることによって区別される。その新規化合物は非常に有用な治療特性、予防特性及び浸透移行性(全身性)を有し、また、多数の耕作植物を保護するのに使用される。式Iの化合物は、有用植物の異なる作物の植物又は植物の部分(果実、花、葉、茎、塊茎、根)に起こりうるペストを抑制し又は破壊し、一方、同時に、後に成長する植物の部分を植物病原性微生物から保護するために使用することができる。
【0046】
植物繁殖材料、たとえば、種子、たとえば、果実、塊茎又はグレインの処置、又は、植物カッティング(たとえば、コメ)の処置、真菌類感染ならびに土壌中に発生する植物病原性真菌類に対する保護のためのドレッシング剤として式Iの化合物を使用することが可能である。植物繁殖材料は植える前に式Iの化合物を含む組成物で処理されうる。たとえば、種子は種子を撒く前にドレッシングされうる。本発明に係る活性成分は、また、種子を液体製剤中に含浸すること、又は、種子を固体製剤でコーティングすることによって、グレインに施用されうる(コーティング)。繁殖材料を植えるときに植え付けサイトに、たとえば、種子撒きの間に種子溝に組成物を施用することもできる。本発明は、また、植物繁殖材料の処置のためのそのような方法及びそのように処置された植物繁殖材料にも関する。
【0047】
さらに、本発明に係る化合物は、関連分野、たとえば、ウッド及びウッド関連技術製品を含む技術材料の保護、植物貯蔵、衛生管理において、真菌類を制御するために使用することができる。
【0048】
さらに、本発明は、真菌類の攻撃から、非生体材料、たとえば、材木、壁板及びペイントを保護するために使用できる。
【0049】
式Iの化合物は、たとえば、下記のクラスの植物病原性真菌類に対して有効である:不完全菌類(Fungi imperfecti) (たとえば、アルテルナリア属菌(Alternaria spp.))、担子菌類(Basidiomycetes) (たとえば、コルチシウム属菌(Corticium spp.)、セラトバシジウム属菌(Ceratobasidium spp.)、ワイティア属菌(Waitea spp.)、サナテホラス属菌(Thanatephorus spp.)、リゾクトニア属菌(Rhizoctonia spp.)、ヘミレイア属菌(Hemileia spp.)、プシニア属菌(Puccinia spp.)、ファコプソラ属菌(Phakopsora spp.)、ウスチラゴ属菌(Ustilago spp.)、チレチア属菌(Tilletia spp.))、子嚢菌類(Ascomycetes)(たとえば、ベンチュリア属菌(Venturia spp.)、ブラメリア属菌(Blumeria spp.)、エリシフェ属菌(Erysiphe spp.)、ポドスファエラ属菌(Podosphaera spp.)、ウンシヌラ属菌(Uncinula spp.)、モニリニア属菌(Monilinia spp.)、スクレロティニア属菌(Sclerotinia spp.)、コレトトリカム属菌(Colletotrichum spp.)、グロメレラ属菌(Glomerella spp.)、フザリウム属菌(Fusarium spp.)、ジベレラ属菌(Gibberella spp.)、モノグラファラ属菌(Monographella spp.)、ファエオスファエリア属菌(Phaeosphaeria spp.)、マイコクファラ属菌(Mycosphaerella spp.)、セルコスポラ属菌(Cercospora spp.)、ピレノフォラ属菌(Pyrenophora spp.)、リンコスポリウム属菌(Rhynchosporium spp.)、マグナポルテ属菌(Magnaporthe spp.)、ガエウマンノミセス属菌(Gaeumannomyces spp.)、オキュリマキュラ属菌(Oculimacula spp.)、ラムラリア属菌(Ramularia spp.)、ボトリオチニア属菌(Botryotinia spp.))及び卵菌門(Oomycetes) (たとえば、フィトフトラ属菌(Phytophthora spp.)、フィチウム属菌(Pythium spp.)、プラズモパラ属菌(Plasmopara spp.)、ペロノスポラ属菌(Peronospora spp.)、シュードペロノスポラ属菌(Pseudoperonospora spp.)、ブレミア属菌(Bremia spp))、ウドンコ病(powdery mildews)(たとえば、ウンシヌラ属菌(Uncinula necator))、サビ病(rusts)(たとえば、プシニア属菌(Puccinia spp.))及び斑点病(leaf spots)(たとえば、マイコクファラ属菌(Mycosphaerella spp.))に対して顕著な活性が観測された。さらに、式Iの新規化合物は植物病原性グラム陰性細菌及びグラム陽性細菌 (たとえば、キサントモナス属菌(Xanthomonas spp.)、シュードモナス属菌(Pseudomonas spp)、火傷病菌(Erwinia amylovora)、ラルストニア属菌(Ralstonia spp.))及びウイルス (たとえば、タバコモザイクウイルス(tobacco mosaic virus)に対して有効である。
【0050】
本発明の範囲内で、保護されるべき有用な植物及び/又は標的作物は、通常、下記の種類の植物:穀物(コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、コメ、トウモロコシ、モロコシ及び関連種)、ビート(サトウダイコン及び飼料ビート)、ナシ状果、核果及びソフトフルーツ(リンゴ、洋梨、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、イチゴ、キイチゴ及びブラックベリー)、 豆科植物(マメ、レンズマメ、エンドウ、ダイズ); 油性植物(セイヨウアブラナ、マスタード、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、トウゴマ、ココアマメ、ピーナッツ)、キュウリ植物(カボチャ、キュウリ、メロン); 繊維植物(綿、麻、大麻、ジュート)、柑橘類フルーツ(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン)、野菜(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、バレイショ、パプリカ)、 クスノキ科(アボカド、シナモン属、ショウノウ)又は植物、たとえば、タバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、コショウ、つる植物、ホップ、バナナ及び天然ゴム植物、ならびに、芝生及び装飾物。
【0051】
本発明に係る有用な植物及び/又は標的作物としては、従来の植物とともに、遺伝子改良変種又は遺伝子工学変種が挙げられ、たとえば、昆虫に対して耐性にされたもの(Bt及びVIP変種)ならびに病害耐性、除草剤耐性(たとえば、RoundupReady(登録商標)及びLibertylink(登録商標)の商品名で市販されているグリホサート及びグルホシネート耐性トウモロコシ変種)及び線虫耐性変種が挙げられる。例として、適切な遺伝子改良又は遺伝子工学変種としては、Stoneville 5599BR綿及びStoneville 4892BR綿変種が挙げられる。
【0052】
用語「有用な植物」及び/又は「標的作物」とは、従来の育種法又は遺伝子工学の結果としてブロモキシニルなどの除草剤又は除草剤クラス(たとえば、HPPD阻害剤、ALS阻害剤、たとえば、プリミスルフロン、プロスルフロン及びトリフロキシスルフロン、EPSPS(5-エノール-ピロビル-シキメート-3-ホスフェートシンターゼ)阻害剤、GS(グルタミンシンセターゼ)阻害剤又はPPO(プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ)阻害剤)に耐性が与えられた有用な植物も含むものと理解されるべきである。従来の育種法(変異誘発)によってイミダゾリノン、たとえば、イマザモックスに対して耐性となった作物の例はClearfield(登録商標) サマーレープ(summer rape) (カノーラ)である。遺伝子工学法によって除草剤又は除草剤クラスに対して耐性となった作物の例としては、RoundupReady(登録商標)、Herculex(登録商標)及びLibertylink(登録商標)の商品名で市販されているグリホサート及びグルホシネート耐性トウモロコシ変種が挙げられる。
【0053】
用語「有用な植物」及び/又は「標的作物」は1又は複数の選択的に作用する毒素を合成することができる(たとえば、毒素生成性細菌、特に、桿菌属のものとして知られている)組換え型DNA技術の使用によって変換された有用な植物も含むものと理解されるべきである。
【0054】
用語「有用な植物」及び/又は「標的作物」は、たとえば、病原関連タンパク質(PRP、たとえば、EP-A-0 392 225を参照されたい)などの選択的作用を有する抗病原性物質を合成することができる組換え型DNA技術の使用によって変換された有用な植物も含むものと理解されるべきである。このような抗病原性物質及びこのような抗病原性物質を合成することができるトランスジェニック植物の例は、たとえば、EP-A-0 392 225、WO 95/33818及びEP-A-0 353 191によって知られている。このようなトランスジェニック植物を形成する方法は一般に当業者に知られており、また、たとえば、上述の文献に記載されている。
【0055】
本明細書中に使用されるときに、有用な植物の所在地(場所)は、有用な植物の植物繁殖材料が撒かれ、又は、有用な植物の植物繁殖材料が土壌中に配置された、有用な植物が成長する場所を包含することが意図されている。このような所在地の例は作物植物を成長させる農地である。
【0056】
本明細書中に使用されるときに、用語「植物繁殖材料」は、植物の増殖に使用することができる植物の生殖部分、たとえば、種子、及び、発育性(vegetative)材料、たとえば、カッティング又は塊茎、たとえば、バレイショを指することが意図される。たとえば、種子(厳格な意味で)、根、果実、塊茎、鱗茎、根茎及び植物の部分を挙げることができる。発芽後又は出芽後に土壌から移植する予定の発芽後植物及び早期植物も挙げられる。これらの早期植物は浸漬による総合処理又は部分処理によって移植前に保護されうる。好ましくは、「植物繁殖材料」は種子を指すものと理解される。
【0057】
式Iの化合物は未変性の形で使用されるか、又は、好ましくは、製剤業界で従来から使用されているアジュバントととも使用される。最終的に、乳化可能な濃厚物、コーティング可能なペースト、直接スプレー可能な又は希釈可能な溶液又は懸濁液、希釈エマルジョン、湿潤可能な粉末、可溶性粉末、ダスト、粒剤、及びポリマー物質中のカプセル化物へと既知の方法で便利に製剤されることができる。組成物のタイプと同様に、スプレー塗布、微細化、ダスティング、微粉化、散布、コーティング又はポアリングなどの施用方法を、意図する目的及び支配的な環境によって選択する。組成物はさらに、アジュバント、たとえば、安定剤、消泡剤、粘度調節剤、バインダー又は粘着付与剤、ならびに、肥料、微量栄養素供与体又は特別な効果を得るための他の製剤を含むこともできる。
【0058】
適切なキャリア及びアジュバントは固体であっても又は液体であってもよく、そして製材技術に有用な物質であり、たとえば、天然もしくは再生無機物質、溶剤、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、増粘剤、バインダー又は肥料である。このようなキャリアは、たとえば、WO97/33890に記載されている。
【0059】
式Iの化合物は、通常、組成物の形態で使用され、そして該化合物は追加の化合物と同時に又は順次に、処理されるべき作物領域又は植物に施用されることができる。これらの追加の化合物は、たとえば、肥料又は微量栄養素供与体又は他の製剤であることができ、それは植物の成長に影響を及ぼす。追加の化合物は、また、選択的除草剤又は非選択的除草剤、ならびに、殺虫剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤又はこれらの幾つかの製剤の混合物であることができ、所望ならば、製剤業界で慣用されているさらなるキャリア、界面活性剤又は施用促進アジュバントとともに使用できる。
【0060】
式Iの化合物は、通常、植物病原性微生物を制御し又はそれから保護するための殺真菌剤組成物の形態で使用され、活性成分として、少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の上記のとおりの個々の化合物を遊離形態又は農薬上使用可能な塩の形態で含み、そして少なくとも1種の上記のアジュバント含む。
【0061】
活性成分として、少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の上記のとおりの個々の化合物を遊離形態又は農薬上使用可能な塩の形態で含み、そして少なくとも1種の上記のアジュバント含む植物病原性微生物を制御し又はそれから保護するための上記の殺真菌剤組成物は他の殺真菌剤と混合することができ、ある場合には予期しない相乗活性を生じることができる。特に好ましい混合成分は下記のとおりである:アゾ−ル、たとえば、アザコナゾール、BAY14120、ビテルタノ−ル、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアフォール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、プロクロラズ、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、
ピリミジニルカルビノール、たとえば、アンシミドール、フェナリモール、ヌアリモール、
2−アミノ−ピリミジン、たとえば、ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール、
モルホリン、たとえば、ドデモルフ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロオキサミン、トリデモルフ、
アニリノピリミジン、たとえば、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル、
ピロール、たとえば、フェンピクロニル、フルジオキソニル、
フェニルアミド、たとえば、ベナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R−メタラキシル、オフラセ、オキサジキシル、
ベンズイミダゾール、たとえば、ベノミル、カルベンダジム、デバカルブ、フベリダゾール、チアベンダゾール、
ジカルボキシイミド、たとえば、クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン、
カルボキサミド、たとえば、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、グアニジン、たとえば、グアザチン、ドジン、イミノクタジン、
ストロビルリン、たとえば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、
ジチオカルバメート、たとえば、フェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム、
N−ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、たとえば、カプタフォール、カプタン、ジクロフルアニド、フルオロミド、フォルペット、トリフルアニド、
銅化合物、たとえば、ボルドー混合物、銅水酸化物、銅オキシクロリド、銅硫酸塩、酸化第一銅、マンカッパー、オキシン−カッパー、
ニトロフェノール誘導体、たとえば、ジノキャップ、ニトロサール−イソプロピル、
オルガノリン誘導体、たとえば、エジフェンホス、イプロベンホス、イソプロチオラン、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス−メチル。
WO 05/121104、WO 06/001175及びWO 07/066601に記載される方法によって調製されることができる既知のピリダジン誘導体、たとえば、3-クロロ-5-(4-クロロ-フェニル)-6-メチル-4-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-ピリダジン (式 P.1)、3-クロロ-6-メチル-5-p-トリル-4-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-ピリダジン (式 P.2)及び3-クロロ-4-(3-クロロ-5-メトキシ-ピリジン-2-イル)-5-(4-クロロ-フェニル)-6-メチル-ピリダジン (式 P.3)、
【0062】
【化10】

【0063】
WO98/46607に記載されている方法によって調製されることができる既知のトリアゾロピリミジン誘導体、たとえば、5-クロロ-7-(4-メチル-ピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)- [1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン (式 T.1)、
【0064】
【化11】

【0065】
WO04/035589、WO06/37632、WO03/074491又はWO03/070705に記載されている方法によって調製されることができる既知のカルボキサミド誘導体、たとえば、3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸 (9-イソプロピプ(propyp)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノ-ナフタレン-5-イル)-アミド(式 U.1)、3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸 (2-ビシクロプロピル-2-イル-フェニル)-アミド(式 U.2) 又は N-(3',4'-ジクロロ-5-フルオロ-1,1'-ビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、
【0066】
【化12】

【0067】
WO 2004/016088に記載されている方法によって調製されることができる既知のベンズアミド誘導体、たとえば、フルオピラム(式V.1)の名称でも知られているN-{-2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]エチル}-2-トリフルオロメチルベンズアミド、
【0068】
【化13】

【0069】
及び、種々のその他のもの、たとえば、アシベンゾラー−S−メチル、アニラジン、ベンチアバリカルブ、ブラスチシジン−S、チノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、シフルフェンアミド、シモキサニル、ジクロン、ジクロシメト、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、ジチアノン、エタボキサム、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェノキサニル、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルオピコリド、フルサルファミド、フェンヘキサミド、フォセチルアルミニウム、ヒメキサゾール、イプロバリカルブ、シアゾファミド、カスガマイシン、マンジプロパミド、メタスルホカルブ、メトラフェノン、ニコビフェン、ペンシキュロン、フタリド、ポリオキシン、プロベナゾール、プロパモカルブ、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、キノトゼン、硫黄、チアジニル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリフォリン、バリダマイシン、ゾキサミド及びグリホサート。
【0070】
本発明の別の態様は、植物、収穫食用作物、種子又は非生体材料の植物病原性微生物、好ましくは真菌類生体による侵襲を制御し又は防止するための、式Iの化合物もしくは上記のとおりの好ましい個々の化合物、又は、少なくとも1種の式Iの化合物もしくは少なくとも1種の上記のとおりの好ましい個々の化合物を含む組成物、又は、少なくとも1種の式Iの化合物もしくは少なくとも1種の上記のとおりの好ましい個々の化合物を上記のとおりの他の殺真菌剤との組み合わせで含む殺真菌剤混合物の使用に関する。
【0071】
本発明のさらなる態様は、作物植物、収穫食用作物又は非生体材料の植物病原性微生物又はヒトに対して有害である可能性がある腐敗性微生物もしくは生物、特に真菌類生体による侵襲を制御し又は防止するための方法であって、式Iの化合物もしくは上記のとおりの好ましい個々の化合物を活性成分として、植物、植物の部分又はその所在地、種子、又は、非生体材料のいずれかの部分に施用することを含む方法に関する。
【0072】
制御又は防止とは、作物植物又は非生体材料の植物病原性微生物又はヒトに対して有害である可能性がある腐敗性微生物もしくは生物、特に真菌類生体による侵襲を改善が認められるレベルに減じることを意味する。
【0073】
式Iの化合物を、又は、少なくとも1種の上記化合物を含む農薬組成物を施用することを含む、作物植物の植物病原性微生物、特に真菌類生体による侵襲を制御し又は防止するための好ましい方法は葉への施用である。施用の頻度及び施用の量は対応する病原性物質による侵襲の危険性によって決まるであろう。しかしながら、式Iの化合物は、植物の所在地に液体製剤で浸すことによって又は固体の形態、 たとえば、粒剤形態で土壌中に化合物を施用すること(固体施用)によって、土壌を介して根をとおして植物に浸入することもできる(全身作用)。水田の作物において、このような粒剤は水浸しの稲作農地に施用されうる。式Iの化合物は、殺真菌剤の液体製剤で種子又は塊茎を含浸するか、又は、固体製剤でそれらをコーティングすることによって種子などに施用(コーティング)できる。
【0074】
製剤[すなわち、式Iの化合物、及び、所望ならば、固体もしくは液体アジュバント又は式Iの化合物をカプセル化するためのモノマーを含む組成物]は既知の様式で調製され、通常、その化合物をエクステンダー、たとえば、溶剤、固体キャリア、及び、場合により界面活性化合物(界面活性剤)と密に混合し及び/グラインドすることによって調製される。
【0075】
農薬製剤は、通常、0.1〜99質量%、好ましくは0.1〜95質量%の式Iの化合物、99.9〜1質量%、好ましくは99.8〜5質量%の固体もしくは液体アジュバント及び0〜25質量%、好ましくは0.1〜25質量%の界面活性剤を含むであろう。
【0076】
施用の有利な量は、通常、1ヘクタール(ha)当たり5g〜2kgの活性成分(a.i.)であり、好ましくは10g〜1kgのa.i./ha、最も好ましくは20g〜600gのa.i/haである。種子浸漬剤として使用するときに、便利な投与量は10mg〜1g活性物質/kg種子である。
【0077】
濃厚物として市販製品を製剤することが好ましいけれども、最終使用者は通常、希釈組成物を使用するであろう。
【0078】
驚くべきことに、本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に上記説明の中で好ましいものとして記載した個々のイミダゾール化合物は植物成長調整剤(PGR)活性をも呈する。それゆえ、本発明はこれらの新規イミダゾール誘導体の植物成長調節剤(PGR)としての使用にも関する。
【0079】
植物成長調節剤(PGR)は、一般に、成長又は成熟を加速させ又は遅延させるか、又は、植物又はその産物の発達を変更することが意図された物質又はそのような物質の混合物である。
【0080】
植物成長調節剤(PGR)は植物の成長及び分化に影響を及ぼす。
【0081】
より詳細には、様々な植物成長調節剤(PGR)は、たとえば、植物の身長を低くし、種子の発芽を刺激し、開花を誘導し、葉の色を濃くし、植物の成長速度を変更し、そして実のなる時期及び効率を変更することができる。
【0082】
さらに、本発明は、また、植物を改良し、そのプロセスが一般にそして下記で「植物の健康」と呼ばれる、植物を改良する本発明の新規イミダゾール誘導体を含む組成物にも関する。
【0083】
たとえば、言及されうる有利な特性は下記の作物の改良された特性である:出芽、作物収穫量、タンパク含有分、生長力の増加、成熟の高速化、種子出芽速度の増加、窒素利用効率の改良、水使用効率の改良、油の含有分及び/又は質の向上、消化性の改良、実がなるのを早めること、フレーバーの改良、デンプン含有分の改良、より発達した根系(根の成長の改良)、負荷(たとえば、干ばつ、熱、塩、光、UV、水、寒冷)に対する耐久力の改良、エチレンの低減(産生の低減及び/又は受理の抑制)、分げつの増加、植物の身長の増加、葉身の増大、根出葉の死滅の低減、より強い分げつ、より緑の色が濃い葉、色素含有分、光合成活性、より少量の投与必要量(たとえば、肥料又は水)、より少量の種子必要量、より生産性の高い分げつ、開花の早期化、早期の穀物成熟、より少ない植物のバース(verse)(倒伏)、苗条の成長の増加、植物生長力の向上、植物の群落の増加、及、早期かつ良好な発芽。
【0084】
特に、処理された種子から得られる有利な特性は、たとえば、発芽が改良され、そして、農地の確立(field establishment)が改良され、生長力がより良好になり、均一な農地の確立(field establishment)ができることである。
【0085】
特に、葉及び/又は溝への施用から得られる有利な特性は、たとえば、植物の成長及び植物の発達が改良され、成長がより良好になり、分げつがより多くなり、葉の色がより緑になり、葉がより大きくなり、より多量の植物生物体量となり、より良好な根となり、植物の負荷耐久力が改良され、より多量の穀物収穫量となり、より多量の植物生物体量が収穫され、より質(脂肪酸、代謝物、オイル含有分など)の改良された収穫物となり、より販売しやすい生産物(たとえば、改良されたサイズ)となり、改良されたプロセス(たとえば、より長い貯蔵寿命、より良好な化合物の抽出)となり、種子の質が改良され(種子生産につき次の季節に種ができる)、又は、当業者に知られた他の利点がある。
【0086】
それゆえ、本発明の目的は上記の課題を解決する方法を提供することである。
【0087】
本発明は、本発明に係る式Iのイミダゾール化合物であり、特に、上記の説明で好ましいものと記載された個々のイミダゾール化合物である植物保護活性成分に関し、また、効率が改良された混合物に関し、そして上記の化合物及び混合物を植物又はその所在地に施用することによる植物の健康を改善する方法に関する。
【0088】
式Iの化合物の作用は既知の殺真菌性作用を超えている。本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、上記説明の中で好ましいものとして記載した個々のイミダゾール化合物は植物の健康を示す。
【0089】
用語「植物の健康」とは有害な真菌類の制御に関係しない植物の種々の改良を含む。
【0090】
別の態様において、本発明は少なくとも1種の式Iの化合物又は少なくとも1種の上記のとおりの好ましい個々の化合物及び/又は少なくとも1種の医薬上許容されるその塩、少なくとも1種の医薬上許容されるキャリア及び/又は少なくとも1種の医薬上許容される希釈剤を含む組成物に関する。
【0091】
さらなる態様において、本発明は、また、医薬としての使用のための、式Iの化合物又は上記の通りの好ましい個々の化合物又はその医薬上許容される塩にも関する。
【0092】
好ましい態様において、本発明は、また、癌の治療のための、式Iの化合物又は上記の通りの好ましい個々の化合物又はその医薬上許容される塩にも関する。
【0093】
さらなる態様において、本発明は、また、癌の治療のための医薬の製造における、式Iの化合物又は上記の通りの好ましい個々の化合物又はその医薬上許容される塩の使用にも関する。
【0094】
特定の態様において、本発明は、また、必要とする対象において癌を治療するための方法であって、式Iの化合物又は上記の通りの好ましい個々の化合物を上記の対象者に対して上記の癌を治療するのに有効な量で投与することを含む、方法にも関する。
【0095】
本発明は、さらに、これらの式Iの化合物及び/又はその農薬上又は医薬上許容される塩及び適切なキャリアを含む殺真菌剤組成物又は医薬組成物を提供する。
適切な医薬上許容されるキャリアは下記のとおりである。
【0096】
本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、好ましいとして上記の説明において記載された個々のイミダゾール化合物及び/又は医薬上許容されるその塩は、腫瘍細胞の成長及び/又は増殖及びそれに関連する病気の治療、阻害又は制御に適している。
【0097】
したがって、それらは、温血脊椎動物、たとえば、哺乳類及び鳥類、特に、人間とともに他の哺乳類、特に、有用な家畜、たとえば、イヌ、ネコ、ブタ、反すう動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ、バイソンなど)、ウマ及びトリ、たとえば、ニワトリ、ターキー、ダック、ガチョウ、ホロホロチョウなどにおける癌の治療に適している。
【0098】
本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、好ましいものとして上記の説明において記載された個々のイミダゾール化合物及び/又はその医薬上許容される塩は、下記の器官:胸、肺、腸、前立腺、皮膚(黒色腫)、腎臓、膀胱、口、喉頭、食道、胃、卵巣、すい臓、肝臓及び脳の癌又は癌性病変の治療に適する。
【0099】
本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、好ましいものとして上記の説明において記載された個々のイミダゾール化合物及び/又はその医薬上許容される塩に加えて、本発明に係る医薬組成物は、場合により、少なくとも1種の適切なキャリアを含む。
【0100】
「医薬上許容される」とは、健全な医学上の判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー応答又は他の問題もしくは合併症がなく、合理的な利益/危険比に見合っている化合物、材料、組成物及び/又は投薬形態を意味する。
【0101】
適切なキャリアは、たとえば、溶剤、キャリア、賦形剤、バインダーなどであり、それらは個々の投与形態について下記に例示する医薬製剤に慣用されている。
【0102】
「医薬上許容されるキャリア」とは、本明細書中で使用するときに、1つの器官又は身体部分から別の器官又は身体部分に対象の薬剤を輸送し又は運搬することに関与する、医薬上許容される材料、組成物又はビヒクル、たとえば、液体又は固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、溶剤又はカプセル化材料を意味する。各々のキャリアは他の製剤成分と適合性があり、そして患者に対して有害でないという意味で「許容」されなければならない。医薬上許容されるキャリアとして機能することができる材料の幾つかの例としては、
糖類、たとえば、ラクトース、グルコース及びスクロース、
デンプン、たとえば、コーンスターチ及びバレイショスターチ、
セルロース及びその誘導体、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテート、
粉末トラガント、
モルト、
ゼラチン、
タルク、
賦形剤、たとえば、ココアバター及び坐薬ワックス、
オイル、たとえば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワーオイル、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイル及び大豆油、
グリコール、たとえば、プロピレングリコール、
ポリオール、たとえば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール、
エステル、たとえば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、
寒天、緩衝剤、たとえば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、
アルギン酸、
発熱物質を含有しない水、
等張性食塩水、
リンガー溶液、
エチルアルコール、
リン酸塩緩衝溶液、及び、
医薬製剤において使用される他の無毒性の適合性物質が挙げられる。
【0103】
本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、好ましいものとして上記の説明において記載された個々のイミダゾール化合物(活性化合物)は慣用の様式、たとえば、経口、静脈内、筋肉内又は皮下で投与されうる。
【0104】
経口投与では、活性化合物を、たとえば、不活性希釈剤又は食用キャリアと混合し、そして硬質又は軟質ゼラチンカプセル中に封入するか、圧縮してタブレットとするか又は食事/供給源と直接混合することができる。
【0105】
活性化合物を賦形剤と混合し、そして不消化性タブレット、頬側タブレット、トローチ、ピル、カプセル、懸濁液、水薬、シロップなどの形態で投与することができる。
このような製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。
製剤の組成はもちろん様々であることができる。
通常、製剤は対象の製剤の合計質量を基準として2〜60質量%の活性化合物を含む(投与単位)。
本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、好ましいものとして上記の説明において記載された個々のイミダゾール化合物の好ましい製剤は、10〜1000mg活性化合物/経口投与単位を含む。
【0106】
タブレット、トローチ、ピル、カプセルなどはさらに下記の成分を含むことができる:バインダー、たとえば、トラガント(traganth)、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチン、賦形剤、たとえば、第二リン酸カルシウム、崩壊剤、たとえば、コーンスターチ、バレイショスターチ、アルギン酸など、流動促進剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、甘味料、たとえば、スクロース、ラクトース又はサッカリン、及び/又は、フレーバー、たとえば、ペパーミント、バニラなど。
【0107】
カプセルはさらに液体キャリアを含むことができる。
投与単位の特性を変更する他の物質も使用できる。
たとえば、タブレット、ピル及びカプセルはシェラック(schellack)、糖又はそれらの混合物でコーティングすることができる。
活性化合物に加えて、シロップ又は水薬は糖(又は他の甘味料)、防腐剤としてメチル−もしくはプロピルパラベン、着色剤及び/又はフレーバーも含むことができる。
活性化合物製剤の成分は、もちろん、医薬上純粋でありかつ使用量で無毒性でなければならない。
さらに、活性化合物は活性化合物が制御された様式で開放される製剤、たとえば、徐放性製剤として製剤されうる。
活性化合物は非経口投与又は経口投与を行うことができる。
活性化合物又はその塩の溶液又は懸濁液はヒドロキシプロピルセルロースなどの適切な湿潤剤を用いて水とともに調製することができる。
分散体はオイル中のグリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物を用いて調製することができる。
頻繁に、これらの製剤は微生物の成長を防止するために防腐剤をさらに含む。
注入を意図した製剤は無菌水溶液及び分散体ならびに無菌溶液及び分散体を調製するための無菌粉末をも含む。
製剤は注入のために十分に液体でなければならない。
製剤は調製条件及び貯蔵条件下で安定でなければならず、また、微生物による汚染から保護されていなければならない。
【0108】
キャリアは溶剤又は分散媒であることができ、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、ポリエチレングリコール又は液体ポリエチレングリコール)、それらの混合物及び/又は植物油である。
【0109】
非経口投与に適する本発明の医薬組成物は、本発明に係る式Iのイミダゾール化合物、特に、好ましいものとして上記の説明において記載された個々のイミダゾール化合物を、1種以上の医薬上許容される無菌等張性水溶液もしくは非水溶液、分散体、懸濁液もしくはエマルジョン又は使用直前に無菌性注入可能溶液もしくは分散体に再構成されうる無菌粉末との組み合わせで含み、該組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、意図された受容者の血液と等張性である製剤とする溶質又は懸濁液もしくは増粘剤を含むことができる。
【0110】
本発明の医薬組成物中に使用されうる適切な水性キャリア及び非水性キャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、及び、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。レシチンなどのコーティング材料の使用、分散体の場合に要求される粒径の維持、及び、界面活性剤の使用で適切な流動性を維持することができる。これらの組成物は、また、アジュバント、たとえば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含んでよい。 微生物の作用の防止は、たとえば、様々な抗細菌剤及び他の抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを包含させることで確保されうる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含ませることも望ましいことがある。さらに、注入可能な医薬形態の長期の吸収はモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含ませることで行うことができる。
【0111】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、局所、経皮又は直腸投与を含む適切な手段のいずれかによって投与されうる。医薬組成物は、もちろん、各投与経路に適する形態で投与される。たとえば、医薬組成物はタブレット又はカプセル形態で投与され、注入、吸入、アイローション、軟膏、坐薬によって投与され、注入、輸液又は吸入による投与、ローション又は軟膏による局所投与、及び、坐薬による直腸投与が行われる。局所投与又は非経口投与が好ましい。
【実施例】
【0112】
下記の限定しない実施例はより詳細に上記の発明を説明する。
例1:本例は2-[5-(4-ブロモフェニル)-2-クロロ-4-メチルイミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジン(化合物番号1.s.035)の調製を示す。
a)[1-(4-ブロモフェニル)-メス-(E)-イリデン]-(3,5-ジクロロピリジン-2-イル)-アミンの調製
3,5-ジクロロピリジン-2-イルアミン(6g)及び4-ブロモベンズアルデヒド(7.02g)をトルエン(210ml)中に溶解させる。次いで、混合物をディーン・スターク装置中で3日間還流下に攪拌する。この反応混合物を減圧下に蒸発させ、12.213gの[1-(4-ブロモフェニル)-メス-(E)-イリデン]-(3,5-ジクロロピリジン-2-イル)-アミンを得る。1H NMR (300Mhz, CDCl3). 8.96ppm, 1H, s; 8.23ppm, 1H, d, J=2.25Hz; 7.81ppm, 2H, d, J=8.46Hz; 7.72ppm, 1H, d, J=2.27Hz; 7.55ppm, 2H, d, J=8.45Hz。
【0113】
b)1-(トルエン-4-スルホニル)-エチルイソシアニドの調製
10gのトルエンスルホニルメチルイソシアニド及び2.31gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリドを100mlのジクロロメタン中に溶解させる。100mlの30%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、そして混合物を0℃に冷却する。次いで、3.63mlのヨウ化メチルを添加し、反応混合物を0℃で2時間激しく攪拌する。その後、水を添加し、相を分離させ、そして水層をジクロロメタンで抽出する。有機相を合わせたものを硫酸ナトリウム上で乾燥し、そしてろ過し、溶剤を減圧下で除去する。黒色の残留物を冷ジエチルエーテルで数回抽出し、溶剤の蒸発後に、4.2gの1-(トルエン-4-スルホニル)-エチルイソシアニドを単離する。t-ブチルメチルエーテルによって室温で数回抽出することにより、残りの残留物からさらに1.8gを回収することができる。1H NMR (300Mhz, CDCl3) 7.81ppm, 2H, d, J=8.34Hz; 7.37ppm, 2H, d, J=8.04Hz; 4.52ppm, 1H, q, J=6.86Hz; 2.42ppm, 3H, s; 1.67ppm, 3H, d, J=6.81Hz。
【0114】
c)2-[5-(4-ブロモ-フェニル)-4-メチル-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジンの調製
0.9gの[1-(4-ブロモフェニル)-メス-(E)-イリデン]-(3,5-ジクロロピリジン-2-イル)-アミンを10mlのN,N−ジメチルホルムアミド及び8mlの1,2−ジメトキシエタン中に溶解させる。1.084gの1-(トルエン-4-スルホニル)-エチルイソシアニド及び0.754gの無水炭酸カリウムを添加し、そして得られた反応混合物を100℃で一晩加熱する。冷却後に、混合物をろ過し、溶剤を蒸発させ、未精製材料をアイソルート(Isolute)(登録商標)HM−Nに吸着させ、そして溶離液としてヘプタン/酢酸エチル1:1混合物を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーカラムによって精製し、0.509gの2-[5-(4-ブロモフェニル)-4-メチルイミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジンを得る。1H NMR (300Mhz, CDCl3) 8.31ppm, 1H, d, J=2.26Hz; 7.73ppm, 1H, d, J=2.23Hz; 7.61ppm, 1H, s; 7.33ppm, 2H, d, J=8.47Hz; 6.88ppm, 2H, d, J=8.45Hz; 2.27ppm, 3H, s。
【0115】
d)2-[5-(4-ブロモフェニル)-2-クロロ-4-メチルイミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジン(化合物番号I.s.035)の調製
0.251gの2-[5-(4-ブロモフェニル)-4-メチルイミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジン、0.096gのN−クロロスクシンイミド及び2.11mlのクロロホルムの混合物を80℃に90分間加熱する。次に、混合物を室温に冷却し、この反応混合物にアイソルート(Isolute)(登録商標)HM−Nを添加し、クロロホルムを蒸発させる。未精製混合物を、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル6:1混合物を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーカラムによって精製し、0.082gの2-[5-(4-ブロモフェニル)-2-クロロ-4-メチルイミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジンを得る。1H NMR (300Mhz, CDCl3) 8.37ppm, 1H, d, J=2.25Hz; 7.76ppm, 1H, d, J=2.27Hz; 7.33ppm, 2H, d, J=8.45Hz; 6.93ppm, 2H, d, J=8.48Hz; 2.03ppm, 3H, s。
【0116】
例2:本例は2-[5-(4-ブロモフェニル)-2,4-ジクロロ-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジン(化合物番号1.s.034)の調製を示す。
a)2-[5-(4-ブロモ-フェニル)-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジンの調製
6gの[1-(4-ブロモフェニル)-メス-(E)-イリデン]-(3,5-ジクロロピリジン-2-イル)-アミンを125mlのN,N−ジメチルホルムアミド及び55mlの1,2−ジメトキシエタン中に溶解させる。5.38gのトルエンスルホニルメチルイソシアニド及び5.02gの無水炭酸カリウムを添加し、そして得られた反応混合物を100℃で一晩加熱する。冷却後に、混合物をろ過し、溶剤を蒸発させ、得られた固形分を89mlのメタノール中に溶解させ、この溶液に4.428gの無水炭酸カリウムを添加する。得られた反応混合物をメタノールの還流下で4時間加熱する。冷却後に、混合物をろ過し、溶剤を蒸発させ、得られた固形分を100mlのジクロロメタン中に溶解させ、100mlの水の上に注ぐ。有機相を分離し、そして重炭酸ナトリウム飽和水溶液(50ml)で洗浄する。水層を分離し、50mlのジクロロロメタンで抽出する。有機相を合わせたものを25mlのブラインで洗浄し、分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で溶剤を蒸発させる。未精製材料をアイソルート(Isolute)(登録商標)HM−Nに吸着させ、そして溶離液としてヘプタン/酢酸エチル3:7混合物を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーカラムによって精製し、2.110gの2-[5-(4-ブロモフェニル)-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジンを得る。1H NMR (300Mhz, CDCl3) 8.37ppm, 1H, d, J=2.24Hz; 7.78ppm, 1H, d, J=2.26Hz; 7.68ppm, 1H, d, J=0.95Hz; 7.32ppm, 2H, d, J=8.58Hz; 7.21ppm, 1H, d, J=0.96Hz; 6.90ppm, 2H, d, J=8.56Hz。
【0117】
b)2-[5-(4-ブロモフェニル)-2,4-ジクロロ-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジン(化合物番号I.s.034)の調製
0.350gの2-[5-(4-ブロモフェニル)-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジン、0.253gのN−クロロスクシンイミド及び2.5mlのクロロホルムの混合物を80℃に16時間加熱する。次に、混合物を室温に冷却し、クロロホルムを蒸発させる。この未精製混合物を5mlのジクロロロメタン中に溶解させ、5mlの1N塩酸水溶液上に注ぐ。有機相を分離し、そして逐次に1N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)及び5mlのブラインで洗浄する。分離後、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、そして減圧下に溶剤を蒸発させる。未精製材料をアイソルート(Isolute)(登録商標)HM−Nに吸着させ、溶離液としてヘプタン/酢酸エチル23:2混合物を用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーカラムによって精製し、0.224gの2-[5-(4-ブロモフェニル)-2,4-ジクロロ-イミダゾール-1-イル]-3,5-ジクロロピリジンを得る。1H NMR (300Mhz, CDCl3) 8.41ppm, 1H, d, J=2.24Hz; 7.80ppm, 1H, d, J=2.23Hz; 7.36ppm, 2H, d, J=8.57Hz; 7.04ppm, 2H, d, J=8.50Hz。
【0118】
下記の表1は本発明に係る式Iの個々の化合物の例を示す。
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
【表3】

【0121】
【表4】

【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
【表9】

【0127】
【表10】

【0128】
【表11】

【0129】
ここで、a)110個の式(I.a)の化合物は
【化14】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0130】
b)110個の式(I.b)の化合物は
【化15】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0131】
c)110個の式(I.c)の化合物は
【化16】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0132】
d)110個の式(I.d)の化合物は
【化17】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0133】
e)110個の式(I.e)の化合物は
【化18】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0134】
f)110個の式(I.f)の化合物は
【化19】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0135】
g)110個の式(I.g)の化合物は
【化20】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0136】
h)110個の式(I.h)の化合物は
【化21】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0137】
i)110個の式(I.i)の化合物は
【化22】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0138】
j)110個の式(I.j)の化合物は
【化23】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0139】
k)110個の式(I.k)の化合物は
【化24】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0140】
l)110個の式(I.l)の化合物は
【化25】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0141】
m)110個の式(I.m)の化合物は
【化26】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0142】
n)110個の式(I.n)の化合物は
【化27】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0143】
o)110個の式(I.o)の化合物は
【化28】

であり、R1、R2及びR3は化合物171〜280として表1に規定されるとおりである。
【0144】
p)280個の式(I.p)の化合物は
【化29】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0145】
q)280個の式(I.q)の化合物は
【化30】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0146】
r)280個の式(I.r)の化合物は
【化31】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0147】
s)280個の式(I.s)の化合物は
【化32】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0148】
t)280個の式(I.t)の化合物は
【化33】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0149】
u)280個の式(I.u)の化合物は
【化34】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0150】
v)280個の式(I.v)の化合物は
【化35】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0151】
w)280個の式(I.w)の化合物は
【化36】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0152】
x)280個の式(I.x)の化合物は
【化37】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0153】
y)280個の式(I.y)の化合物は
【化38】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0154】
z)280個の式(I.z)の化合物は
【化39】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0155】
aa)280個の式(I.aa)の化合物は
【化40】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0156】
ab)280個の式(I.ab)の化合物は
【化41】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0157】
ac)280個の式(I.ac)の化合物は
【化42】

であり、R1、R2及びR3は表1に規定されるとおりである。
【0158】
本記載の全体にわたって、温度は摂氏温度で与えられ、m.p.は融点を意味し、NMRは核磁気共鳴スペクトルを意味し、%は対応する濃度が他の単位で示されていないかぎり質量%である。
下記の略語を本記載の全体にわたって用いる。
m.p.=融点、br=広い
s=一重項、dd=二重項の二重項
d=二重項、dt=三重項の二重項
t=三重項 q=四重項
m=多重項、ppm=百万部当たりの部(ピーピーエム)
【0159】
表2は表1の化合物について選択されたNMRデータを示し、全てCDClを溶剤として用いる(特に指示がなければ、全ての場合の全ての特性データをリストしようとはしていない)。
【0160】
【表12】

【0161】
本発明に係る化合物は、上記の反応スキームによって調製されることができ、ここで、特に指示がなければ、各変数の定義は式(I)の化合物について上記したとおりである。
【0162】
生物学的実施例
トマト輪紋病菌(Alternaria solani)/トマト/予防(トマト上のトマト輪紋病菌に対する作用)
週齢4週間のトマト植物品種ロテルグノム(Roter Gnom)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用2日後に、胞子懸濁液を試験植物上にスプレーすることでトマト植物に接種する。22℃/18℃及び95%相対湿度で4日間、温室中にてインキュベートした後に、病気の発生を評価する。
化合物I.s.034、I.s.035、I.s.210、I.s.269及びI.s.270は、200ppmで、この試験での真菌侵襲を少なくとも80%にまで抑制し、一方、同一の条件下で、未処理の対照植物は80%を超えて植物病原性真菌によって侵襲される。
【0163】
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)/トマト/予防(トマト上の灰色かび病に対する作用)
週齢4週間のトマト植物品種ロテルグノム(Roter Gnom)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用2日後に、胞子懸濁液を試験植物上にスプレーすることでトマト植物に接種する。20℃及び95%相対湿度で3日間、温室中にてインキュベートした後に、病気の発生を評価する。
化合物I.s.034は、200ppmで、この試験での真菌侵襲を少なくとも80%にまで抑制し、一方、同一の条件下で、未処理の対照植物は80%を超えて植物病原性真菌によって侵襲される。
【0164】
コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)/コムギ/予防(コムギ上の赤さび病菌に対する作用)
週齢1週間のコムギ植物品種アリーナ(Arina)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用1日後に、胞子懸濁液(1×10夏胞子/ml)を試験植物上にスプレーすることでコムギ植物に接種する。20℃及び95%相対湿度で1日間インキュベートした後に、植物を20℃/18℃(日中/夜間)及び60%相対湿度に10日間温室内で維持する。接種の11日後に病気の発生を評価する。
化合物I.s.035は、200ppmで、この試験での真菌侵襲を少なくとも80%にまで抑制し、一方、同一の条件下で、未処理の対照植物は80%を超えて植物病原性真菌によって侵襲される。
【0165】
イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)/コメ/予防(イネいもち病菌に対する作用)
週齢3週間のコメ植物品種こしひかり(Koshihikari)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用2日後に、胞子懸濁液(1×10分生子/ml)を試験植物上にスプレーすることでコメ植物に接種する。25℃及び95%相対湿度で6日間インキュベートした後に、病気の発生を評価する。
【0166】
オオムギ斑葉病菌(Pyrenophora teres)(ヘルミントスポリウム属菌(Helminthosporium teres))/オオムギ/予防(オオムギ上のオオムギ斑葉病菌に対する作用)
週齢1週間のオオムギ品種レジーナ(Regina)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用2日後に、胞子懸濁液(2.6×10分生子/ml)を試験植物上にスプレーすることでオオムギ植物に接種する。20℃及び95%相対湿度で4日間インキュベートした後に、病気の発生を評価する。
【0167】
コムギ葉枯病菌(Septoria tritici)/コムギ/予防(コムギ上のコムギ葉枯病菌に対する作用)
週齢2週間のコムギ植物品種リバンド(Riband)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用1日後に、胞子懸濁液(106分生子/ml)を試験植物上にスプレーすることでコムギ植物に接種する。22℃/21℃及び95%相対湿度で1日間インキュベートした後に、植物を22℃/21℃及び70%相対湿度に温室内で維持する。接種の16〜18日後に病気の発生を評価する。
化合物I.s.034、I.s.035、I.s.210、I.s.269及びI.s.270は、200ppmで、この試験での真菌侵襲を少なくとも80%にまで抑制し、一方、同一の条件下で、未処理の対照植物は80%を超えて植物病原性真菌によって侵襲される。
【0168】
ブドウうどんこ病菌(Uncinula necator)/ブドウ/予防(ブドウ上でのうどんこ病に対する作用)
週齢5週間のブドウ実生品種グテデル(Gutedel)をスプレーチャンバー中において、製剤された試験化合物で処理する。施用1日後に、試験植物上でブドウうどんこ病に侵襲された植物を振動させることでブドウ植物に接種する。14時間/10時間(明/暗)の光条件下に24℃/22℃及び70%相対湿度で7日間インキュベートした後に、病気の発生を評価する。
化合物I.s.034、I.s.035、I.s.210、I.s.269及びI.s.270は、200ppmで、この試験での真菌侵襲を少なくとも80%にまで抑制し、一方、同一の条件下で、未処理の対照植物は80%を超えて植物病原性真菌によって侵襲される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I
【化1】

(R1 はハロゲン、C1-C4アルキル又は C1-C4ハロアルキルであり、
R2 は任意に置換されたアリール又はヘテロアリールであり、
R3 はハロゲンであり、
R4 は水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ又はシアノであり、
R5 はハロゲンであり、
X はN 又はC(R)であり、そして
Rは水素、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ハロアルコキシ又はシアノであり、
ただし、X がC(R)である場合にはRは任意に置換されたアリールであることはない)の化合物又はその農薬上使用可能な塩。
【請求項2】
R1はハロゲン、C1-C3アルキル又はC1-C3ハロアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2は任意に置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、チエニル又はキノリルである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
R3はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
R4は水素、ハロゲン、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ又はシアノである、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
Rはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
X はN、C(H)、C(ハロゲン)、C(C1-C4アルキル)、C(C1-C4ハロアルキル)、C(C1-C4アルコキシ) 又は C(C1-C4ハロアルコキシ)である、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
R1 はフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1-C2アルキル又はC1-C2ハロアルキルであり、
R2 は任意に置換されたフェニル、ピリジル、チエニル又はキノリルであり、
R3 はフルオロ、クロロ又はブロモであり、
R4 は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1-C3アルキル、C1-C3ハロアルキル、C1-C3アルコキシ、C1-C3ハロアルコキシ又はシアノであり、
R5はフルオロ、クロロ又はブロモであり、そして
XはN、C(H)、C(Cl)、C(F)、C(Br)、C(I)、C(C1-C3アルキル)、C(C1-C3ハロアルキル)、C(C1-C3アルコキシ) 又はC(C1-C3ハロアルコキシ)である、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
R1 はフルオロ、クロロ、ブロモ、メチル又はエチルであり、
R2はフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、m-トリル、 p-トリル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、3-トリフルオロメトキシフェニル、4-トリフルオロメトキシフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-4-メチルフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、4-クロロ-3-フルオロフェニル、4-クロロ-3-メチルフェニル、4-クロロ-3-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-メトキシフェニル、3-フルオロ-4-メチルフェニル、4-フルオロ-3-メトキシフェニル、4-フルオロ-3-メチルフェニル、3-メトキシ-4-メチルフェニル、4-メトキシ-3-メチルフェニル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、6-クロロピリジン-2-イル、6-フルオロピリジン-2-イル、6-メトキシピリジン-2-イル、6-メチルピリジン-2-イル、6-クロロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジン-3-イル、6-メトキシピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、2-クロロピリジン-4-イル、2-フルオロピリジン-4-イル、2-メトキシピリジン-4-イル、2-メチルピリジン-4-イル、5-クロロチオフェン-2-イル、5-ブロモチオフェン-2-イル、5-メトキシチオフェン-2-イル、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、4-メトキシキノリン-2-イル又は4-メチルキノリン-2-イルであり、
R3 はフルオロ又はクロロであり、
R4は水素、フルオロ、クロロ、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル、C1-C2アルコキシ、C1-C2ハロアルコキシ又はシアノであり、
R5はフルオロ又はクロロであり、そして
XはN、C(H)、C(Cl)、C(F)、C(Br)、C(C1-C2アルキル)、C(C1-C2ハロアルキル)、C(C1-C2アルコキシ) 又は C(C1-C2ハロアルコキシ)である、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
R1はフルオロ、 クロロ、 メチル又はエチルであり、
R2 は4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、6-クロロピリジン-3-イル、6-フルオロピリジン-3-イル、6-メトキシピリジン-3-イル、6-メチルピリジン-3-イル、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、4-メトキシキノリン-2-イル又は4-メチルキノリン-2-イルであり、
R3はフルオロ又はクロロであり、
R4は水素、フルオロ、クロロ、C1-C2アルキル、C1-C2ハロアルキル又はC1-C2アルコキシであり、
R5 はフルオロ又はクロロであり、そして
X はN、C(H)、C(Cl) 又は C(F)である、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
R1 はクロロ又はメチルであり、
R2 は4-ブロモフェニル、6-クロロピリジン-3-イル又はキノリン-3-イルであり、
R3 はクロロであり、
R4 はクロロであり、
R5 はクロロであり、そして
X はNである、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
2-クロロ-5-[2,5-ジクロロ-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-ピリジン;
2-クロロ-5-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-ピリジン;
5-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-2-メトキシ-ピリジン;
3-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
3-[2,5-ジクロロ-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
3-[2-クロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-5-メチル-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
3-[2,5-ジクロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
2-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-キノリン;
2-[2-クロロ-5-メチル-3-(2,4,6-トリフルオロ-フェニル)-3H-イミダゾール-4-イル]-4-メトキシ-キノリン;
2-[2-クロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-5-メチル-3H-イミダゾール-4-イル]-4-メトキシ-キノリン;
3,5-ジクロロ-2-[2,4-ジクロロ-5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-イミダゾール-1-イル]-ピリジン;
3,5-ジクロロ-2-[2-クロロ-5-(6-クロロ-ピリジン-3-イル)-4-メチル-イミダゾール-1-イル]-ピリジン;
5-[2-クロロ-3-(2,6-ジフルオロ-4-メトキシ-フェニル)-5-メチル-3H-イミダゾール-4-イル]-2-メチル-ピリジン; 及び、
3,5-ジクロロ-2-[2-クロロ-5-(4-メトキシ-フェニル)-4-メチル-イミダゾール-1-イル]-ピリジンから選ばれる、化合物。
【請求項13】
式I.1
【化2】

(式中、R2、 R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキル又はC1-C4ハロアルキルである)の化合物の製造方法であって、
式II
【化3】

(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキル又はC1-C4ハロアルキルである)の化合物をN−クロロスクシンイミド又は分子塩素と反応させることを含む、方法。
【請求項14】
式I
【化4】

(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はハロゲンである)の化合物の製造方法であって、
式III
【化5】

(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできない)の化合物を少なくとも2当量のN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド又はN−ヨードスクシンイミドと反応させることを含む、方法。
【請求項15】
式I.1
【化6】

(式中、R2、R4、R5及びXは式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4ハロアルキルである)の化合物の製造方法であって、
式II
【化7】

(式中、R2、R4、R5及びX は式Iの化合物について規定したとおりであり、ただし、XがC(R)である場合には、R2 は任意に置換されたアリールであることはできず、R1はC1-C4アルキルである)の化合物を少なくとも2当量のN−クロロスクシンイミド又は分子塩素と反応させることを含む、方法。
【請求項16】
植物病原性微生物を制御し又はそれから保護するための殺真菌剤組成物であって、活性成分として、少なくとも1種の請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物を遊離形態又は農薬上使用可能な塩の形態で含み、そして少なくとも1種のアジュバント含む、組成物。
【請求項17】
少なくとも1種の追加の殺真菌性活性化合物を含み、該化合物は、好ましくは、アゾ−ル、ピリミジニルカルビノール、2−アミノ−ピリミジン、モルホリン、アニリノピリミジン、ピロール、フェニルアミド、ベンズイミダゾール、ジカルボキシイミド、カルボキサミド、ストロビルリン、ジチオカルバメート、N−ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、銅化合物、ニトロフェノール、オルガノリン誘導体、ピリダジン、トリアゾロピリミジン、カルボキサミド又はベンズアミドからなる群より選ばれる、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
植物、収穫食用作物、種子又は非生体材料の植物病原性微生物による侵襲を制御し又は防止するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項19】
作物植物、収穫食用作物又は非生体材料の植物病原性微生物又はヒトに対して有害である可能性がある腐敗性微生物もしくは生物による侵襲を制御し又は防止するための方法であって、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物を活性成分として、植物、植物の部分又はその所在地、種子、又は、非生体材料のいずれかの部分に施用することを含む方法。
【請求項20】
前記植物病原性微生物は真菌類生物である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物及び/又は少なくとも1種のその医薬上許容される塩、少なくとも1種の医薬上許容されるキャリア及び/又は少なくとも1種の医薬上許容される希釈剤を含む組成物。
【請求項22】
医薬としての使用のための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項23】
癌の治療のための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項24】
癌の治療のための医薬の製造における、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物又はその医薬上許容される塩の使用。
【請求項25】
癌の治療を必要とする対象における癌の治療を行う方法であって、前記対象に対して、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物を、前記癌を治療するのに有効な量で投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2011−500750(P2011−500750A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530350(P2010−530350)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009043
【国際公開番号】WO2009/053102
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】